(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172622
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】倉庫システム、および、ピッキング作業の仕分け方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241205BHJP
B25J 9/18 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B25J9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090463
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 将志
(72)【発明者】
【氏名】若山 達大
(72)【発明者】
【氏名】田口 愛乃
【テーマコード(参考)】
3C707
3F522
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS01
3C707BS09
3C707DS01
3C707FU01
3C707LW03
3C707MT04
3F522AA02
3F522CC01
3F522GG18
3F522JJ04
3F522LL56
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】自動倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化を実現する。
【解決手段】倉庫システムは、ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得部と、前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け部とを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得部と、
前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け部と
を有する、倉庫システム。
【請求項2】
前記倉庫システムは更に、前記ピッキング作業に係る条件に基づいて、前記把持成功率に対する閾値を決定する決定部を有し、
前記仕分け部は、前記把持成功率と前記閾値とに基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項3】
前記取得部は、複数のロボットそれぞれの物品に対する把持成功率を取得する、請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項4】
前記把持成功率は、物品の種類ごと、および、物品の分類ごとの少なくともいずれかが前記ロボットに対応付けて設定される、請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項5】
前記仕分け部は、前記閾値を超える把持成功率を有するロボットが無い場合、前記ピッキング作業を人に割り当てる、請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項6】
前記条件は、ロボットおよび人のピッキング作業の稼働状況、ピッキング作業の実施時間、出荷指示の緊急性の少なくともいずれかに対する条件である、請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項7】
ピッキング作業の対象となる物品が収納されている状態の保管ビンの画像と、当該保管ビンに対してロボットにより当該物品のピッキング作業が行われた結果とに基づいて、補正情報を生成する生成部と、
前記生成部にて生成された補正情報を用いて、前記決定部にて決定した閾値を補正する補正部と、
を更に有し、
前記仕分け部は、前記補正部にて補正された閾値を用いて、作業担当の割り当てを行う、請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項8】
プロセッサとメモリが協働して、
ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得工程と、
前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け工程と
を有する、ピッキング作業の仕分け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、倉庫システム、およびピッキング作業の仕分け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品が梱包された荷物の入荷・出荷に係る自動倉庫が普及している。例えば、特許文献1では、作業者によるピッキング作業を効率化するために、作業者ごとの作業割り付け行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得部と、前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け部とを有する、倉庫システムを提供する。
【0006】
また、本開示は、プロセッサとメモリが協働して、ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得工程と、前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け工程とを実行する、ピッキング作業の仕分け方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るシステム構成の例を示すブロック図
【
図2】本発明の一実施の形態に係るシステムにて利用可能な情報処理装置の構成例を示すブロック図
【
図3】本発明の一実施の形態に係る倉庫内の構成例を示す概略図
【
図4】本発明の一実施の形態に係るデータ構成の例を示す表図
【
図5】本発明の一実施の形態に係るデータ構成の例を示す表図
【
図6】本発明の一実施の形態に係る仕分け処理を示すフローチャート
【
図7】本発明の別の実施形態に係る補正情報の導出処理のフローチャート
【
図8】本発明の別の実施形態に係る仕分け処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(各実施の形態の内容に至る経緯)
荷物の入荷、保管、梱包、出荷などを行うための倉庫は、人手による作業負荷を軽減するために、ロボットなどを用いた自動化が求められている。近年における荷物の増加に伴って、一連の作業に係る更なる効率化が求められている。このような倉庫では、様々な形状や属性などの特性を有する物品(以下、「商品」とも称する)を扱うため、その商品の特性を考慮して人やロボットが作業を分担して実施することが必要となる。このような作業の一つとして、出荷指示に基づき、商品が保管されている収納部(以下、「保管ビン」と称する)から、出荷対象として1つまたは複数の商品を収納させる収納部(以下、「出荷ビン」と称する)へのピッキング作業が挙げられる。
【0010】
ピッキング作業を行う作業主体である人とロボットは、ピッキング作業に係る得意・不得意が異なる。例えば、単純な形状の商品であればロボットでも対応可能であるが、複雑な形状、例えば、平面が少ない形状の商品や、柔らかい材質の商品については、人によるピッキング作業の方が効率的である場合がある。一方、一定以上の重量や寸法を有する商品については、ロボットによるピッキング作業の方が効率的である場合がある。
【0011】
そこで、以下の実施の形態では、効率的にピッキング作業を行うために適切な作業主体に対する割り当てを行うシステム、および制御方法の例を説明する。
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るシステム、および制御方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
<実施の形態1>
[システム構成]
図1は、本実施の形態に係る倉庫システム1の全体概要を示すブロック図である。なお、
図1に示すシステム構成は一例であり、1つのシステムが複数に分割されて構成されてもよいし、複数のシステムが1つにまとめて構成されてもよい。また、
図1にて示した1つのシステムや装置が複数備えられてもよい。更には、以下に示す処理主体は一例であり、あるシステムの機能の一部が別のシステムの機能として実現されてもよい。
【0014】
倉庫システム1は、倉庫管理システム100、倉庫運用管理システム200、倉庫制御システム300、400、500、ロボット600、自動倉庫700、無人搬送車800、および操作端末900を含んで構成される。倉庫システム1を構成する各構成は、ネットワークを介して互いに通信可能に構成される。倉庫管理システム100は、倉庫内の物流を管理、制御するシステムであり、
図1に示す構成例では最も上位に位置する。倉庫管理システム100は、例えば、倉庫内における物の在庫管理や、物の出入り(入荷や出荷)や移動を管理する。倉庫管理システムは、WMS(Warehouse Management System)などと称される場合がある。倉庫管理システム100は、
図1では図示していない更に外部のシステムと通信可能に構成され、荷物の入出荷に係る指示や商品情報、ロボット等の倉庫内の設備に関する情報、作業者に関する情報などを取得、管理してよい。
【0015】
倉庫運用管理システム200は、倉庫内の作業を管理、制御するシステムであり、
図1に示す構成例では倉庫管理システム100の下位に位置する。倉庫運用管理システムは、WES(Warehouse Execution System)などと称される場合がある。倉庫運用管理システム200は、例えば、倉庫内における各種作業主体の作業内容や、倉庫内の設備に対する包括的な制御を行う。
【0016】
倉庫制御システム300、400、500は、倉庫内の様々な設備それぞれに対応して、これらを管理、制御する。倉庫制御システムは、WCS(Warehouse Control System)などと称される場合がある。
図1に示す構成例では、倉庫制御システム300、400、500はそれぞれ、ロボット600、自動倉庫700、無人搬送車800の管理、制御を担う。ロボット600は、例えば、直行機構や多軸のアームを備え、その先端部にて商品を保持可能に構成される。ロボット600の先端部の構成としては、例えば、吸着式であってもよいし、多指のハンドによる把持式であってもよく、特に限定するものではない。ロボット600は、様々な商品に対するピッキング作業を想定して、複数種類が倉庫内に設置されてよい。また、ロボット600周辺には、周辺画像、特に周辺に配置されたビンの画像を撮影するためのカメラが設置されてよい。
【0017】
自動倉庫700は、複数のビンを収容可能に構成され、要求に応じて、ビンを、無人搬送車800を用いて搬送する。なお、ビンの搬送は無人搬送車800を用いるものには限らない。例えば、ビンはベルトコンベアなどを用いて搬送されてもよい。自動倉庫700は、例えば、複数のビンを収容可能なように格子上のフレームにて構成される。自動倉庫700に収容されるビンとして、商品を保管するための保管ビンが挙げられる。また、保管ビンについては、商品が収納されていない状態の空のビンや、収容すべき商品が決定されていないビンが含まれてよい。なお、自動倉庫700で使用されるビンには、出荷の際に商品をまとめるための出荷ビンも含まれる。保管ビンと出荷ビンの形状や寸法はそれぞれ異なっていてもよいが、無人搬送車800にて搬送可能に構成されるものとし、ここでは矩形の箱型として同じ構成であるものとして説明する。
【0018】
無人搬送車800は、ビンを所定の位置に搬送するための車両であり、指示に基づき、自動的に移動や待機等を行う。無人搬送車800は、その上部にビンを着脱可能に搭載するような構成であってもよいし、ビンを押したり引いたりして搬送するような構成であってもよい。無人搬送車800は、例えば、移動に係る動作を行うための走行部、周辺情報を取得するためのセンサ、倉庫制御システム300などとデータの送受信を行うための通信部などを含んで構成される。
【0019】
操作端末900は、倉庫内外で、作業者が利用可能に構成される情報処理装置である。操作端末900は、例えば、PC(Personal Computer)などの設置式の情報処理装置であってもよいし、タブレット端末、POS端末、ハンディーターミナルやスマートフォンなどのモバイル端末であってもよい。操作端末900は、倉庫管理システム100、倉庫運用管理システム200、倉庫制御システム300、400、500などとデータの送受信を行い、各システムからの通知を受け付けたり、各システムへの設定や操作を行う際に用いられたりする。
【0020】
(ハードウェア構成例)
図1に示す各システムは、倉庫が設けられる拠点にてオンプレミス型のサーバ装置として構成されてもよいし、ネットワーク上にてクラウド型にて構成されてもよい。
図2は、各システムを構成する装置として適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。ここでは、各システムを構成する装置の構成は同じであるものとして説明するが、提供する機能に応じて、一部の部位が省略されたり、他の部位が追加されたりしてよい。追加される部位の例としては、例えば、倉庫内で商品やビンに付されたバーコードから情報の取得するために用いられるバーコードリーダ等が挙げられる。
【0021】
情報処理装置10は、処理装置11、記憶装置12、通信装置13、入力装置14、画像取得部15、外部インタフェース16、および表示装置17を含んで構成される。各部位は、内部インタフェース18を介して通信可能に構成される。処理装置11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いて構成されてよい。処理装置11は、例えば、記憶装置12に記憶された各種データベース(以下、DB)を参照したり、プログラムを読み出したりすることで、後述する各種機能を実現する。記憶装置12は、各種データやプログラムなどを記憶するための記憶部であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの揮発性/不揮発性の記憶装置から構成されてよい。
【0022】
通信装置13は、ネットワーク35を介して外部装置と通信するためのインタフェースである。通信装置13にて対応可能な通信規格は特に限定するものではなく、有線/無線も問わない。また、複数の通信規格に対応可能であってもよい。したがって、ネットワーク35は、複数の通信規格によるネットワークが組み合わせて構成されてよい。
【0023】
入力装置14は、倉庫の利用者(例えば、管理者や作業者)による操作や指示を受け付ける。入力装置14は、マウス、キーボード、タッチパネルディスプレイなどから構成されてよい。画像取得部15は、倉庫内に設置されたカメラ30から倉庫内の画像を取得するためのインタフェースである。外部インタフェース16は、外部システム20と通信するためのインタフェースである。なお、外部システム20とは、通信装置13およびネットワーク35を介して通信可能に接続されてもよい。外部システム20は、
図1に示した各システムに限らず、他のシステムであってもよい。表示装置17は、利用者に対し、各種ユーザインタフェースを表示する。表示装置17は、液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、ランプなどから構成されてよい。
【0024】
[倉庫概要]
図3は、本実施の形態に係る倉庫システム1の倉庫内の構成例を示す概念図である。倉庫内には、自動倉庫700と、1つまたは複数のロボット600が設置される。また、倉庫内には、ビンを搬送する複数の無人搬送車800が、走行可能に配置される。
【0025】
自動倉庫700の周辺には、ピッキング作業の作業主体としての作業者850が作業を行うための作業エリア830が構成される。また、ロボット600が作業を行うための作業エリアも設けられる。作業主体が保管ビンから出荷ビンへ商品を移動させる際により効率的となるビンの配置が決定される。また、出荷作業全体の効率化の観点から、ビンを自動倉庫700内に移動させる代わりに、一時的に待機させておくことが望ましい場合に、当該ビンを待機させるための待機エリア840が設けられる。以下、ピッキング作業を行うエリアを、ピッキングステーションと称する場合がある。
【0026】
なお、
図3の例では、人である作業者850が作業するエリアと、ロボット600が作業するエリアをそれぞれ1つずつ設けた例を示しているが、これに限定するものではない。それぞれのエリアが複数設けられてもよい。または、人が作業するエリア、および、ロボットが作業するエリアのいずれかのみが設けられてもよい。また、ロボット600として、直行機構を備えるロボット600が設置された例を示しているが、多軸のアームを備えるロボットが設置されてもよい。
【0027】
[データ構成例]
図4および
図5を用いて、本実施の形態に係るデータの構成例について説明する。ここでは、1つの出荷指示に着目して説明する。1つの出荷指示、すなわち、1つの出荷ビンには、複数の商品および複数種類の商品を含めることが可能である。これらの情報が1つの出荷指示に含まれているため、1つの出荷指示を商品ごとに分割する。
【0028】
図4(a)は、1つの出荷指示において、3種類の商品A、B、Cが出荷対象の商品として指定されていた場合において、商品ごとに指示を分割したレコードを示す出荷情報40の構成例を示す。各レコードには、出荷先40a、出荷商品ID40b、個数40c、および出荷予定日40dの項目が含まれる。
【0029】
図4(b)は、
図4(a)に示す出荷情報40の各レコードに対し、ピッキング作業担当者を示す項目を追加した状態の出荷情報41を示している。各レコードには、出荷先41a、出荷商品ID41b、個数41c、出荷予定日41dに加え、ピッキング担当41eの項目を含む。
【0030】
ピッキング担当41eは、保管ビンから出荷ビンへ商品のピッキング作業を行う作業担当を示す。ピッキング担当41eには、作業担当が作業を行うピッキングステーションの情報などがさらに含められてよい。
図4(b)の例において、レコード41fに示すピッキング作業は、「ロボットA」が割り当てられている。また、レコード41gに示すピッキング作業は、「ロボットB」が割り当てられている。また、レコード41hに示すピッキング作業は、「作業者」、すなわち人が割り当てられている。
【0031】
図5(a)は、物品情報の一例である商品情報のデータ構成の例を示す。商品情報50は、商品ID50a、商品分類50b、寸法50c、重量50d、在庫数50e、および格納保管ビン50fを含んで構成される。商品ID50aは、商品を一意に識別するための識別情報である。商品分類50bは、予め規定された商品の分類を示す。商品分類は、例えば、食品、家具などの商業的な分類を示してもよいし、ピッキング作業に関連する情報に対応付けて定義される分類であってもよい。ピッキング作業に関連する情報としては、例えば、商品の表面形状や軟度、素材などが挙げられる。これらの属性は商品の滑り易さや、把持の際に物品を損壊しない力の限界値などに影響するため、把持の難易度に影響するためである。寸法50cは、商品の寸法を示す。在庫数50eは、倉庫内における商品の在庫数を示す。なお、同じ商品が異なる保管ビンに保管されていてもよく、その場合には、在庫数の総和が示されてもよい。もしくは、同じ商品が保管された保管ビンごとに在庫数が示されてもよい。格納保管ビン50fは、商品が保管されている保管ビンを一意に識別するための識別情報である。
【0032】
図5(b)は、ピッキング作業が行われるピッキングステーションに関するステーション情報のデータ構成の例を示す。ステーション情報51は、ステーションID51a、ピッキング担当51b、アーム構成51c、先端部構成51d、および稼働率51eを含んで構成される。ステーションID51aは、ピッキングステーションを一意に識別するための識別情報である。ピッキング担当51bは、当該ピッキングステーションにてピッキング作業を行う作業担当を示す。例えば、人であれば、「作業者」が設定され、ロボットであれば、その識別情報が設定される。アーム構成51cは、当該ピッキングステーションにおける作業担当がロボットである場合にそのアームの構成に関する情報が設定される。ロボットのアームの構成としては、例えば、多関節型や直行型などが挙げられる。先端部構成51dは、当該ピッキングステーションにおける作業担当がロボットである場合にその先端部の構成に関する情報が設定される。ロボットの先端部の構成としては、例えば、吸着型や多指のハンド型などが挙げられる。稼働率51eは、当該ピッキングステーションの現時点における稼働率を示す。稼働率は、例えば、予め設定されたピッキング作業数(例えば、所定時間内に処理可能な数)に対する、割り当てられているピッキング作業数の比により導出されてよい。
【0033】
図5(c)は、ピッキング作業を行うロボット600に対し、商品ごともしくは商品分類ごとの把持成功率が規定されたロボット情報のデータ構成の例を示す。ロボット情報52は、ロボットID52a、商品ID52b、商品分類52c、および把持成功率52dを含んで構成される。ロボットID52aは、ロボット600を一意に識別するための識別情報である。商品ID52bは、商品を一意に識別するための識別情報であり、
図5(a)に示す商品情報50の商品ID50aに対応する。商品分類52bは、予め規定された商品の分類を示し、
図5(a)に示す商品分類50bに対応する。把持成功率52dは、ロボット600が該当商品もしくは該当商品分類を把持しようとした際に把持が成功した確率を示す。把持成功率は、例えば、所定の回数(例えば、1回)の把持動作を行った結果、把持できた確率であってよい。本実施の形態では、商品と商品分類のいずれかにて把持成功率が設定されていればよいものとして説明する。
【0034】
[処理フロー]
以下、本実施の形態に係るピッキング作業の仕分け処理について
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る倉庫システム1において、倉庫運用管理システム200による商品の出荷時のピッキング作業の仕分け処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、本例において、処理主体を倉庫運用管理システム200として説明するが、一部の機能が他のシステムにて実行されるように構成されてもよい。
【0035】
倉庫運用管理システム200は、上位システムである倉庫管理システム100から出荷指示を受信する(ステップS601)。
【0036】
倉庫運用管理システム200は、ステップS601にて受信した出荷指示に対し、商品ごとに分解して、商品ごとのピッキング作業として登録する(ステップS602)。本処理の結果、
図4(a)に示すような出荷情報が生成される。
【0037】
倉庫運用管理システム200は、ステップS602にて生成した商品ごとのピッキング作業に対して、未仕分けの商品、すなわち、ピッキング作業の割り当てが完了していない商品に着目する(ステップS603)。
【0038】
倉庫運用管理システム200は、ステップS603にて着目した商品に対する各ロボットの把持成功率を取得する(ステップS604)。把持成功率は、
図5(c)に示したロボット情報52から取得される。なお、ロボット情報52に該当する商品の把持成功率が登録されていない場合には、倉庫運用管理システム200は、
図5(a)に示す商品情報50を参照し、当該商品の商品分類を特定する。そして、倉庫運用管理システム200は、当該商品分類に対する各ロボットの把持成功率を取得する。これにより、膨大な商品群に対して個々の把持成功率が登録されていない場合でも、商品分類を用いることで把持成功率を特定することが可能となる。なお、倉庫内において複数のピッキングステーションが設置されている場合には、その中からピッキング作業の仕分けが可能なピッキングステーションにおける情報のみを取得してもよい。
【0039】
倉庫運用管理システム200は、着目した商品に対する出荷条件を取得する(ステップS605)。ここでの出荷条件とは、例えば、ロボットや人のピッキング作業の稼働状況、ピッキング作業の実施時間、出荷指示の緊急性などに対する条件が挙げられる。これらの条件は予め規定され、倉庫運用管理システム200などに登録されているものとする。
【0040】
倉庫運用管理システム200は、ステップS605にて取得した出荷条件に基づいて、把持成功率に対する閾値を決定する(ステップS606)。例えば、出荷指示に対する緊急性が高い場合には、把持成功率に対する閾値も高くなるように決定される。また、ピッキング作業の実施時間が深夜帯などである場合には、人よりもロボットに極力作業を行わせたいため、把持成功率に対する閾値は低くなるように決定される。また、ロボットと人のピッキング作業の稼働率を比較し、ロボットの方が稼働率が低いようであれば、人よりもロボットに極力作業を行わせたいため、把持成功率に対する閾値は低くなるように決定される。
【0041】
倉庫運用管理システム200は、ステップS604にて取得した把持成功率が、ステップS606にて設定した閾値を超えるロボット600があるか否かを判定する(ステップS607)。閾値を超える把持成功率を有するロボット600がある場合(ステップS607:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS609へ進む。一方、閾値を超える把持成功率を有するロボット600が無い場合(ステップS607:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS608へ進む。
【0042】
倉庫運用管理システム200は、着目した商品に対するピッキング作業を人に割り当てる(ステップS608)。なお、人が作業担当となるピッキングステーションが複数存在する場合には、倉庫運用管理システム200は、稼働率が最も低いピッキングステーションに着目した商品に対するピッキング作業を割り当ててもよいし、予め指定された作業者が作業を行っているピッキングステーションに割り当ててもよい。その後、倉庫運用管理システム200の処理は、ステップS612へ進む。
【0043】
倉庫運用管理システム200は、閾値を超える把持成功率を有するロボット600が1つか否かを判定する(ステップS609)。1つである場合(ステップS609:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS610へ進む。一方、複数ある場合(ステップS609:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS611へ進む。
【0044】
倉庫運用管理システム200は、閾値を超える把持成功率を有するロボット600に着目した商品に対するピッキング作業を割り当てる(ステップS610)。そして、倉庫運用管理システム200の処理はステップS612へ進む。
【0045】
倉庫運用管理システム200は、閾値を超える把持成功率を有するロボット600のうち、最も稼働率が低いロボット600に、着目した商品に対するピッキング作業を割り当てる(ステップS611)。そして、倉庫運用管理システム200の処理はステップS612へ進む。
【0046】
倉庫運用管理システム200は、未仕分けの商品があるか否かを判定する(ステップS612)。未仕分けの商品がある場合(ステップS612:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS603へ戻り、未処理の商品に着目して処理を繰り返す。一方、未仕分けの商品が無い場合(ステップS612:NO)、本処理フローを終了する。
【0047】
本処理フローが終了した後、倉庫運用管理システム200は、仕分けした各ロボットや人に対してピッキング作業の指示を送信することとなる。
【0048】
以上、本実施の形態に係る倉庫システム(例えば、1)は、ピッキング作業の対象となる物品に対するロボット(例えば、600)の把持成功率を取得する取得部(例えば、200、10、11)と、把持成功率に基づき、ピッキング作業の作業担当を人またはロボットに割り当てる仕分け部(例えば、200、10、11)とを有する。この構成により、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。特に、人やロボットに対してより適切な商品のピッキング作業の仕分けが可能となる。
【0049】
また、倉庫システムは更に、ピッキング作業に係る条件に基づいて、把持成功率に対する閾値を決定する決定部(例えば、200、10、11)を有し、仕分け部は、把持成功率と閾値とに基づき、ピッキング作業の作業担当を人またはロボットに割り当てる。これにより、人やロボットに対してより適切な商品のピッキング作業の仕分けが可能となる。
【0050】
また、取得部は、複数のロボットそれぞれの物品に対する把持成功率を取得する。この構成により、ロボット毎の商品に対する把持成功率に基づいて、ピッキング作業の仕分けが可能となる。
【0051】
また、把持成功率は、物品の種類ごと、および、物品の分類ごとの少なくともいずれかがロボットに対応付けて設定される。この構成により、商品の種類ごと、または、商品の分類ごとに対応して把持成功率を規定でき、より柔軟に仕分けを行うことが可能となる。
【0052】
また、仕分け部は、閾値を超える把持成功率を有するロボットが無い場合、ピッキング作業を人に割り当てる。この構成により、ロボットではピッキング作業が困難な商品については、人にピッキング作業を割り当てることが可能となる。
【0053】
また、条件は、ロボットおよび人のピッキング作業の稼働状況、ピッキング作業の実施時間、出荷指示の緊急性の少なくともいずれかに対する条件である。この構成により、ピッキング作業を行う際の状況を想定した条件に基づいてピッキング作業の仕分けを行うことが可能となる。
【0054】
<実施の形態2>
以下、本発明の別の実施の形態として、実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1と重複する構成については説明を省略し、差分に着目して説明を行う。システム構成等については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
実施の形態1では、把持成功率に対する閾値を用いて仕分けを行っていた。ロボットの把持成功率は、保管ビン内の商品の状態などに応じて変動し得る。例えば、保管ビン内の商品が偏って収納されている場合、その商品の位置によっては把持成功率が低下する場合がある。または、保管ビン内の商品が立った状態か、寝た状態かによっても把持成功率は変動し得る。本実施の形態では、このような保管ビン内の商品の状態に応じて、商品ごと等に対して設定されている把持成功率を補正した上で、仕分けに用いる構成について説明する。
【0056】
(補正情報生成処理)
図7は、本実施の形態に係る把持成功率に対する補正情報の生成処理のフローチャートである。本実施の形態において、本処理フローは、処理主体を倉庫運用管理システム200として説明するが、一部の機能が他のシステムにて実行されるように構成されてもよい。本処理フローは、ピッキング作業が行われる毎に実行されてもよい。または、本処理フローは、保管ビン内の画像とピッキング作業の実行結果を対応付けて保持しておき、これらに対して予め規定されたタイミングにて実行されてもよい。
【0057】
倉庫運用管理システム200は、把持対象の商品が収納されている保管ビンの画像を取得する(ステップS701)。保管ビンの画像は、例えば、ロボット600がピッキング作業を行う直前に、当該ロボット600の周辺に設置されたカメラ30を介して取得されたものであってよい。
【0058】
倉庫運用管理システム200は、ステップS701にて取得した画像を解析し、保管ビン内の商品の状態を導出する(ステップS702)。ここで導出される商品の状態としては、保管ビン内での位置や姿勢などであってよい。また、画像から保管ビン内に収納されているすべての商品を導出対象とする必要は無く、ピッキング作業の対象となる商品のみの状態の導出を行ってもよい。
【0059】
倉庫運用管理システム200は、保管ビン内の商品に対するロボット600による把持結果を取得する(ステップS703)。ここでの把持結果は、ロボット600が保管ビン内の商品に対して、把持動作を行った結果、何回目で正しく把持できたか否かの情報であってよい。
【0060】
倉庫運用管理システム200は、ステップS703にて取得した把持結果に基づいて、補正情報を決定する(ステップS704)。例えば、把持結果において、1回目でロボット600が正しく把持できた場合には、補正の必要は無いものとして補正情報を決定してよい。一方、複数回の試行の結果、ロボット600が商品を正しく把持できた場合には、その回数に応じて補正情報を決定してよい。
【0061】
倉庫運用管理システム200は、ステップS704にて決定した補正情報と、ステップS702にて導出した商品の状態情報とを対応付けて保持する(ステップS705)。そして、本処理フローを終了する。
【0062】
(仕分け処理)
図9は、本実施の形態に係る倉庫システム1において、倉庫運用管理システム200による商品の出荷時のピッキング作業の仕分け処理の流れを説明するためのフローチャートである。本処理フローと、実施の形態1に係る
図6に示す仕分け処理のフローとは、ステップS801~ステップS803の工程が異なる。同じ処理工程については、同じ参照番号を付して示す。
【0063】
ステップS604の処理の後、倉庫運用管理システム200は、着目商品が保管された保管ビンの状態情報を取得する(ステップS801)。保管情報は、該当保管ビンの直前のピッキング作業が完了した際に取得された画像から導出されて管理されている情報であってよい。もしくは、その時点における保管ビンの画像を新たに撮影することで取得し、当該画像を解析して取得してもよい。
【0064】
倉庫運用管理システム200は、ステップS802にて取得した状態情報に対応する補正情報を取得する(ステップS802)。
図7にて示した補正情報生成処理により、状態情報と補正情報とが対応付けて保持されているため、補正情報はこれを参照して取得される。なお、状態情報に対応する補正情報が保持されていない場合には、把持成功率の補正は不要であるものとして処理を進めてよい。
【0065】
倉庫運用管理システム200は、ステップS803にて取得した補正情報に基づいて、ステップS604にて取得したロボット600の把持成功率を補正する(ステップS803)。そして、倉庫運用管理システム200の処理は、ステップS605へ進む。以降の処理は、補正情報に基づいて補正された把持成功率を用いて実行される。
【0066】
以上、本実施の形態に係る倉庫システムは、ピッキング作業の対象となる物品が収納されている状態の保管ビン(例えば、810)の画像と、当該保管ビンに対してロボットにより当該物品のピッキング作業が行われた結果とに基づいて、補正情報を生成する生成部(例えば、200、10、11)と、補正情報を用いて、閾値を補正する補正部(例えば、200、10、11)と、を更に有し、仕分け部は、補正部にて補正された閾値を用いて、作業担当の割り当てを行う。この構成により、ピッキング作業を行う際の状況に応じて把持成功率を調整することが可能となり、より適切なピッキング作業の仕分けを行うことが可能となる。
【0067】
(その他の変形例)
上記の実施の形態2では、ピッキング作業の結果に応じて把持成功率を補正する構成について説明した。このとき、ある商品について、あるロボットが所定回数以上のピッキング動作にて把持を失敗したことを検出した場合には、以降の仕分けにおいて当該ロボットに当該商品の仕分けを行わないように制御してもよい。また、このような場合には、利用者(管理者や作業者)にその旨を通知するような構成であってもよい。
【0068】
また、上記の実施の形態では、出荷条件に基づく閾値を用いて仕分け処理を行う形態について説明した。しかし、この構成に限定するものではなく、一部の機能を学習処理にて得られた学習済みモデルを用いて実現してもよい。例えば、把持成功率に対する閾値の設定に関し、各ピッキングステーションの稼働状況、ピッキング作業の実施時間、出荷指示の緊急性を入力データとし、把持成功率に対する閾値を出力データとして一定の学習処理が行われた結果にて得られる学習済みモデルが用いられてもよい。そのほか、把持成功率を予め設定しておく代わりに、保管ビン内の画像、商品情報、およびロボット情報を入力データとし、把持成功率を出力データとして一定の学習処理が行われた結果にて用いる学習済みモデルが用いられてもよい。
【0069】
なお、上記の学習処理は予め実行され、仕分け時に学習済みモデルが利用可能に生成されているものとする。また、倉庫システム1においては、上述したような処理が断続的に繰り返されているため、その中で得られた各種データを学習データとして取得し、学習処理に用いることで、学習済みモデルを更新するような構成であってもよい。また、学習処理に用いられる学習アルゴリズムについても特に限定するものではなく、利用する学習データや利用する工程に応じて、使い分けられてよい。
【0070】
また、上記の各実施の形態において、ピック担当として作業者個人を区別するようにしてもよい。また、この場合、作業者に作業を担当させる商品を、作業者それぞれの属性に応じて更に振り分けてもよい。作業者の属性としては、例えば、作業者の身体能力や作業の経験年数等様々なものが考えられる。また、この場合、各作業者による作業の得意・不得意を作業の履歴から推定し、その推定結果に基づいて各作業者に担当させる商品を決定してもよい。この情報は、例えば、各商品について各作業者による作業に要した時間を計測することで収集することができる。
【0071】
また、上記の各実施の形態における商品情報のデータ構成の例は一例であり、各情報が別々のデータベースから提供されるようにしてもよい。例えば、主に倉庫で使用される情報と、小売店などの倉庫外でも使用される情報とが別のデータベースから提供されるようにしてもよい。主に倉庫で使用される情報の例としては、例えば、保管ビンの情報が挙げられる。また、倉庫外でも使用される情報の例としては、商品を一意に識別するための商品ID等が挙げられる。ここで、倉庫外でも使用される情報は、例えば、小売店または商品のメーカ等の、倉庫を運用する主体とは異なる主体から提供されるデータベースから取得してもよい。
【0072】
また、上記の各実施の形態において、倉庫の利用者が各商品の把持成功率を手動で設定可能としてもよい。この場合、把持成功率の値に対して所定の意味を割り当ててもよい。例えば、必ず人に取り扱わせたい商品の把持成功率を「0」に設定してもよい。このようにすることで、当該商品の作業担当としてロボットが選択されないようにすることができる。同様に、必ず所定のロボットに取り扱わせたい商品については当該ロボットの把持成功率を「100」に設定してもよい。すなわち、把持成功率は、必ずしも過去の把持の成否を反映したものでなくともよく、倉庫の利用者の意思で決定可能なロボットによる把持の優先度であってもよい。なお、上記の各実施の形態では、把持成功率は商品ごとに設定されるため、この変形例によれば、作業者またはロボットのどちらの作業を優先するかを商品ごとにきめ細かく設定することができる。
【0073】
上記の各実施の形態において、倉庫の利用者が把持成功率の閾値を手動で設定可能としてもよい。この場合、例えば、全ての商品を作業者に取り扱わせたい場合は閾値を「100」に設定し、全ての商品をロボットに取り扱わせたい場合は閾値を「0」に設定してもよい。上述した各実施の形態では、閾値は全ての商品で共通の値を使用するため、この変形例によれば、作業者またはロボットのどちらの作業を優先するかを全ての商品について一括で調整することができる。
【0074】
ただし、上記の実施の形態および変形例における把持成功率および閾値が設定される範囲はあくまでも一例である。すなわち、商品ごとに閾値を設定したり、全商品で同一の把持成功率を設定したりできるようにしてもよい。なお、上記の実施の形態では、仕分けのための指標として、把持成功率を用いる形態について説明したが、これに限定するものでは無い。例えば、ロボット600と商品の組み合わせにおける評価値(例えば、仕分けの優先度)や閾値を用いて、ピッキング作業の仕分けを行うような構成であってよい。
【0075】
また、上記の各実施の形態では、ロボットによる各商品の把持成功率とピッキング作業に係る条件に基づく閾値との比較の結果に基づいて、ピッキング作業の作業担当を人またはロボットに割り当ていた。しかし、ピッキング作業の条件を考慮した制御を行う必要がなければ、閾値を用いない構成にしてもよい。この場合、商品をロボットに割り当てるかどうかを把持成功率に基づいて確率的に決定してもよい。例えば、把持成功率が「80%」であれば、商品の総数のうち80%がロボットに割り当てられ、残りの20%が人に割り当てられるようにしてもよい。この場合も、人とロボットの作業の割り当てを把持成功率に応じて調整することができる。
【0076】
また、上記の各実施の形態において、ピッキング作業の対象物は商業的な流通に置かれる「商品」には限らない。上記の各実施の形態の構成は、非売品や部品などのいわゆる「商品」には該当しないことがある物品全般のピッキング作業に適用することができる。
【0077】
また、本開示は、上述した実施の形態の装置の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して装置に供給し、この装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラム及び記憶媒体も適用範囲である。
【0078】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に相当し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0079】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)
ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得部と、
前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け部と
を有する、倉庫システム。
この構成により、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。特に、人やロボットに対してより適切な商品のピッキング作業の仕分けが可能となる。
【0080】
(技術2)
前記倉庫システムは更に、前記ピッキング作業に係る条件に基づいて、前記把持成功率に対する閾値を決定する決定部を有し、
前記仕分け部は、前記把持成功率と前記閾値とに基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる、技術1に記載の倉庫システム。
この構成により、人やロボットに対してより適切な商品のピッキング作業の仕分けが可能となる。
【0081】
(技術3)
前記取得部は、複数のロボットそれぞれの物品に対する把持成功率を取得する、技術2に記載の倉庫システム。
この構成により、ロボット毎の商品に対する把持成功率に基づいて、ピッキング作業の仕分けが可能となる。
【0082】
(技術4)
前記把持成功率は、物品の種類ごと、および、物品の分類ごとの少なくともいずれかが前記ロボットに対応付けて設定される、技術2または技術3に記載の倉庫システム。
この構成により、商品の種類ごと、または、商品の分類ごとに対応して把持成功率を規定でき、より柔軟に仕分けを行うことが可能となる。
【0083】
(技術5)
前記仕分け部は、前記閾値を超える把持成功率を有するロボットが無い場合、前記ピッキング作業を人に割り当てる、技術2から技術4のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成により、ロボットではピッキング作業が困難な商品については、人にピッキング作業を割り当てることが可能となる。
【0084】
(技術6)
前記条件は、ロボットおよび人のピッキング作業の稼働状況、ピッキング作業の実施時間、出荷指示の緊急性の少なくともいずれかに対する条件である、技術2から技術5のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成により、ピッキング作業を行う際の状況を想定した条件に基づいてピッキング作業の仕分けを行うことが可能となる。
【0085】
(技術7)
ピッキング作業の対象となる物品が収納されている状態の保管ビンの画像と、当該保管ビンに対してロボットにより当該物品のピッキング作業が行われた結果とに基づいて、補正情報を生成する生成部と、
前記生成部にて生成された補正情報を用いて、前記決定部にて決定した閾値を補正する補正部と、
を更に有し、
前記仕分け部は、前記補正部にて補正された閾値を用いて、作業担当の割り当てを行う、技術2から技術6のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成により、ピッキング作業を行う際の状況に応じて把持成功率を調整することが可能となり、より適切なピッキング作業の仕分けを行うことが可能となる。
【0086】
(技術8)
プロセッサとメモリが協働して、
ピッキング作業の対象となる物品に対するロボットの把持成功率を取得する取得工程と、
前記把持成功率に基づき、前記ピッキング作業の作業担当を人または前記ロボットに割り当てる仕分け工程と
を有する、ピッキング作業の仕分け方法。
この構成により、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。特に、人やロボットに対してより適切な商品のピッキング作業の仕分けが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、倉庫システム、および、倉庫内におけるピッキング作業の仕分け方法として有用である。
【符号の説明】
【0088】
1…倉庫システム
10…情報処理装置
11…処理装置
12…記憶装置
13…通信装置
14…入力装置
15…画像取得部
16…外部インタフェース
17…表示装置
18…内部インタフェース
20…外部システム
30…カメラ
35…ネットワーク
100…倉庫管理システム
200…倉庫運用管理システム
300,400,500…倉庫制御システム
600…ロボット
700…自動倉庫
800…無人搬送車
900…操作端末