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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172634
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】遮断装置、遮断システム、及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01H 39/00 20060101AFI20241205BHJP
   B60L 3/04 20060101ALI20241205BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H01H39/00 C
B60L3/04 D
B60L50/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090477
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 進弥
(72)【発明者】
【氏名】小玉 和広
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD04
5H125EE02
5H125EE22
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】点火器の動作の信頼性の向上を図る。
【解決手段】遮断装置4は、検知ユニット1と、遮断ユニット2と、を備える。遮断ユニット2は、検知ユニット1と電気的に接続される。検知ユニット1は、コア10と、コイル11と、全波整流回路12と、を有する。コア10は、磁性体で形成されている。コイル11は、コア10に巻回されている。全波整流回路12は、コイル11と電気的に接続されている。遮断ユニット2は、点火器21と、射出体22と、を有する。点火器21は、火薬を含む。点火器21は、全波整流回路12と電気的に接続される。点火器21は、コイル11の発電した電力によって火薬を点火可能に構成されている。射出体22は、点火された火薬に応じて射出されて移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知ユニットと、
前記検知ユニットと電気的に接続される遮断ユニットと、を備え、
前記検知ユニットは、
磁性体で形成されたコアと、
前記コアに巻回されたコイルと、
前記コイルと電気的に接続された全波整流回路と、を有し、
前記遮断ユニットは、
火薬を含み、前記全波整流回路と電気的に接続され、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成された点火器と、
点火された前記火薬に応じて射出されて移動する射出体と、を有する、
遮断装置。
【請求項2】
前記検知ユニットは、第1スイッチング素子を更に有し、
前記第1スイッチング素子は、
前記全波整流回路と電気的に接続される第1端子と、前記点火器と電気的に接続される第2端子と、を含み、
第1値以上の電圧が印加されると前記第1端子から前記第2端子へ向かって電流を流す、
請求項1に記載の遮断装置。
【請求項3】
前記第1スイッチング素子は、単方向サイリスタ又は双方向サイリスタを備える、
請求項2に記載の遮断装置。
【請求項4】
前記検知ユニットは、第2スイッチング素子を更に有し、
前記第2スイッチング素子は、
前記第1スイッチング素子と電気的に接続される第3端子と、前記点火器と電気的に接続される第4端子と、を含み、
第2値以上の電圧が印加されると前記第3端子から前記第4端子へ向かって電流を流す、
請求項2又は3に記載の遮断装置。
【請求項5】
前記第2値は、前記第1値と同じ又は前記第1値よりも大きい、
請求項4に記載の遮断装置。
【請求項6】
前記第2スイッチング素子は、単方向サイリスタ又は双方向サイリスタを備える、
請求項4又は5に記載の遮断装置。
【請求項7】
前記検知ユニットは、凹部又は貫通孔が形成された筐体を更に有し、
前記コアは、前記凹部又は貫通孔を囲うように前記筐体に設けられている、
請求項1~6のいずれか一項に記載の遮断装置。
【請求項8】
バスバーを更に備え、
前記コアは、前記バスバーと向かい合う内側面を含み、
前記射出体は、点火された前記火薬に応じて前記バスバーに向かって移動する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の遮断装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の遮断装置と、
前記点火器からみて前記全波整流回路と並列に接続され、前記コイルの発電した前記電力によらずに前記点火器へ電流を供給して前記火薬を点火可能な制御部と、を備える、
遮断システム。
【請求項10】
前記検知ユニットは、
筐体と、
前記筐体から露出し、前記点火器と電気的に接続される第1接続端子と、
前記第1接続端子と電気的に接続されており、前記筐体から露出し、前記制御部と電気的に接続される第2接続端子と、を更に有する、
請求項9記載の遮断システム。
【請求項11】
前記制御部と前記制御部を保持又は収容する筐体とを有する制御ユニットを備え、
前記制御ユニットは、
前記筐体から露出し、前記検知ユニットと電気的に接続される第1接続端子と、
前記第1接続端子と電気的に接続されており、前記筐体から露出し、前記点火器と電気的に接続される第2接続端子と、を更に有する
請求項9記載の遮断システム。
【請求項12】
請求項1に記載の遮断装置と、
前記点火器からみて前記全波整流回路と並列に接続され、前記コイルの発電した前記電力によらずに前記点火器へ電流を供給して前記火薬を点火可能な制御部と、を備え、
前記遮断装置は、前記全波整流回路と電気的に接続される第1端子と、前記点火器と電気的に接続される第2端子と、を含み、第1値以上の電圧を印加されると前記第1端子から前記第2端子へ向かって電流を流すスイッチング素子を、更に備え、
前記スイッチング素子は、双方向サイリスタを備え、
前記スイッチング素子の前記第2端子と電気的に接続されるアノードと、前記制御部と電気的に接続されるカソードと、を含む整流素子を、更に備える、
遮断システム。
【請求項13】
車両であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の遮断装置と、
電池と、
前記電池と電気的に接続され、前記コアの内側面と向かい合うバスバーと、
前記点火器からみて前記全波整流回路と並列に接続され、前記コイルの発電した前記電力によらずに前記点火器へ電流を供給して前記火薬を点火可能な制御部と、
前記制御部と電気的に接続されたセンサと、
前記バスバーを介して前記電池と電気的に接続されるモータと、を備え、
前記電池と前記モータとの間に過電流が流れると、前記遮断装置の前記コイルが発電した前記電力によって前記火薬が点火され、
前記センサの検知結果に基づいて前記車両に異常が発生したと判定されると、前記制御部から供給される前記電流によって前記火薬が点火され、
前記射出体は、点火された前記火薬に応じて前記バスバーに向かって移動して、前記電池と前記モータとの電気的な接続を遮断するよう構成された、
車両。
【請求項14】
前記バスバーは、
前記射出体と向かい合う可動部と、
前記可動部が押し当てられる固定部と、を有し、
前記射出体は、点火された前記火薬に応じて射出されて移動し、前記可動部が前記固定部から離れる向きに前記可動部を押圧する、
請求項13記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に遮断装置、遮断システム、及び車両に関する。本開示は、より詳細には、点火器を備える遮断装置、遮断装置を備える遮断システム、及び遮断装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガス発生器を備えた導通遮断装置が開示されている。特許文献1の導通遮断装置は、電気回路に適用される。電気回路は、これを構成する機器として蓄電池及び電気機器を備えている。この電気回路では、蓄電池からの電力供給によって電気機器が作動させられる。特許文献1の導通遮断装置は、電気回路を構成する機器間の導通を、導電体の切断を通じて遮断する。
【0003】
上記電気回路は、車両に搭載されている。導通遮断装置は、車両の衝突に際して、電気回路を構成する機器間、例えば、蓄電池と電気機器との間の導通を遮断する。車両には、その衝突の有無を検出する衝突センサと、衝突センサからの信号が入力される電子制御ユニットとが取付けられている。電子制御ユニットは、衝突センサの出力信号をもとに車両の衝突を検知すると、導通遮断装置を作動させる。この作動により、蓄電池から電気機器への電力供給が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-54774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス発生器のような点火器を備える遮断装置では、点火器の動作の信頼性の向上が望まれている。
【0006】
本開示の目的は、点火器の動作の信頼性の向上を図ることが可能な遮断装置、遮断システム、及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の遮断装置は、検知ユニットと、遮断ユニットと、を備える。前記遮断ユニットは、前記検知ユニットと電気的に接続される。前記検知ユニットは、コアと、コイルと、全波整流回路と、を有する。前記コアは、磁性体で形成されている。前記コイルは、前記コアに巻回されている。前記全波整流回路は、前記コイルと電気的に接続されている。前記遮断ユニットは、点火器と、射出体と、を有する。前記点火器は、火薬を含む。前記点火器は、前記全波整流回路と電気的に接続される。前記点火器は、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成されている。前記射出体は、点火された前記火薬に応じて射出されて移動する。
【0008】
本開示の一態様の遮断システムは、前記遮断装置と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記点火器からみて前記全波整流回路と並列に接続される。前記制御部は、前記コイルの発電した前記電力によらずに前記点火器へ電流を供給して前記火薬を点火可能である。
【0009】
本開示の一態様の遮断システムは、前記遮断装置と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記点火器からみて前記全波整流回路と並列に接続される。前記制御部は、前記コイルの発電した前記電力によらずに前記点火器へ電流を供給して前記火薬を点火可能である。前記遮断装置は、スイッチング素子を更に備える。前記スイッチング素子は、前記全波整流回路と電気的に接続される第1端子と、前記点火器と電気的に接続される第2端子と、を含む。前記スイッチング素子は、第1値以上の電圧を印加されると前記第1端子から前記第2端子へ向かって電流を流す。前記スイッチング素子は、双方向サイリスタを備える。前記遮断システムは、前記スイッチング素子の前記第2端子と電気的に接続されるアノードと、前記制御部と電気的に接続されるカソードと、を含む整流素子を、更に備える。
【0010】
本開示の一態様の車両は、前記遮断装置と、電池と、バスバーと、制御部と、センサと、モータと、を備える。前記バスバーは、前記電池と電気的に接続される。前記バスバーは、前記コアの内側面と向かい合う。前記制御部は、前記点火器からみて前記全波整流回路と並列に接続される。前記制御部は、前記コイルの発電した前記電力によらずに前記点火器へ電流を供給して前記火薬を点火可能である。前記センサは、前記制御部と電気的に接続されている。前記モータは、前記バスバーを介して前記電池と電気的に接続される。前記車両では、前記電池と前記モータとの間に過電流が流れると、前記遮断装置の前記コイルが発電した前記電力によって前記火薬が点火される。前記車両では、前記センサの検知結果に基づいて前記車両に異常が発生したと判定されると、前記制御部から供給される前記電流によって前記火薬が点火される。前記射出体は、点火された前記火薬に応じて前記バスバーに向かって移動して、前記電池と前記モータとの電気的な接続を遮断するよう構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、点火器の動作の信頼性の向上を図ることが可能な遮断装置、遮断システム、及び車両を提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態の遮断装置の回路構成を示す図である。
図2図2は、同上の遮断装置が備える検知ユニットの斜視図である。
図3図3は、同上の検知ユニットの要部の斜視図である。
図4図4は、同上の検知ユニットの断面図である。
図5図5は、同上の遮断装置が備える遮断ユニットの断面図である。
図6図6は、同上の遮断装置のバスバーに正の向きの短絡電流が流れた場合の電流の時間変化を示すグラフである。
図7図7は、同上の遮断装置のバスバーに負の向きの短絡電流が流れた場合の電流の時間変化を示すグラフである。
図8図8は、一実施形態の遮断システムの回路構成を示す図である。
図9図9は、比較例の遮断システムの回路構成を示す図である。
図10図10は、参考例の遮断システムの回路構成を示す図である。
図11図11は、参考例の遮断装置のバスバーに正の向きの短絡電流が流れた場合の電流の時間変化を示すグラフである。
図12図12は、参考例の遮断装置のバスバーに負の向きの短絡電流が流れた場合の電流の時間変化を示すグラフである。
図13図13は、同上の遮断装置を備える車両の概略構成図である。
図14図14は、同上の車両の回路構成を示す図である。
図15図15Aは、変形例1の遮断装置が備える第1スイッチング素子の回路構成を示す図である。図15Bは、同上の遮断装置が備える第2スイッチング素子の回路構成を示す図である。
図16図16は、変形例2の遮断装置が備える検知ユニットの回路構成を示す図である。
図17図17は、変形例3の遮断システムの各ユニット間の接続関係を示す概略構成図である。
図18図18は、変形例4の遮断システムの各ユニット間の接続関係を示す概略構成図である。
図19図19は、変形例5の遮断システムの各ユニット間の接続関係を示す概略構成図である。
図20図20は、変形例6の遮断システムの各ユニット間の接続関係を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態に係る遮断装置、遮断システム、及び車両について、添付の図面を参照して説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
(1)実施形態
本実施形態の遮断装置4、遮断システム5、及び車両6について、図1図14を参照して説明する。
【0015】
(1.1)遮断装置
図1に示すように、遮断装置4は、検知ユニット1と、検知ユニット1と電気的に接続される遮断ユニット2と、を備えている。本開示において「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材から第2部材へ(及び/又は第2部材から第1部材へ)電気を流すことが可能なように、第1部材と第2部材とが直接又は第3部材を介して接続されることを意味する。本実施形態では、検知ユニット1と遮断ユニット2とは、第1電線71及び第2電線72を有するケーブルによって、接続される。
【0016】
図1に示すように、検知ユニット1は、コイル11と、全波整流回路12と、第1抵抗131と、第2抵抗132と、第3抵抗133と、コンデンサ14と、第1スイッチング素子15と、第2スイッチング素子16と、を備えている。検知ユニット1は、図1図4に示すように、コア10と、コネクタ17と、基板18と、筐体19と、を更に備えている。
【0017】
図1に示すように、コネクタ17は、検知側第1接続端子171と、検知側第2接続端子172と、を有している。コネクタ17は、検知側第1接続端子171及び検知側第2接続端子172が筐体19から露出するように、筐体19に保持されている。
【0018】
図3に示すように、基板18は、矩形の板状である。基板18には、検知ユニット1の回路部品(本実施形態では、全波整流回路12、第1抵抗131、第2抵抗132、第3抵抗133、コンデンサ14、第1スイッチング素子15、及び第2スイッチング素子16を含む)が実装されている。基板18には、コネクタ17も実装されている。
【0019】
筐体19は、コア10、コイル11、コネクタ17、及び基板18(検知ユニット1の回路部品を含む)を、収容又は保持する。
【0020】
図2図4に示すように、筐体19は、中空の直方体状である。筐体19は、一面(以下、「上面」とする)が開口した箱状の本体191と、本体191の開口上面を閉じる矩形板状の蓋材192と、を有している。
【0021】
筐体19の蓋材192からは、検知側第1接続端子171及び検知側第2接続端子172が上方へ露出するように、コネクタ17が突出している。
【0022】
図2に示すように、筐体19には、貫通孔190が形成されている。貫通孔190は、本体191に形成されている。貫通孔190は、筐体19を一方向に貫通する。ここでは、貫通孔190は、上下方向と交差(ここでは直交)する方向(以下、「前後方向」とする)に、筐体19を貫通している。図4に示すように、貫通孔190は、筐体19の下壁に形成されている。貫通孔190は、矩形の断面形状を有している。貫通孔190は、高さ寸法(上下方向の寸法)よりも幅寸法(左右方向の寸法)の方が大きい。
【0023】
図2に示すように、貫通孔190には、バスバー9が通される。貫通孔190の形状及び寸法は、例えば、バスバー9の形状及び寸法に応じて決められている。例えば、貫通孔190は、貫通孔190に通されることになるバスバー9の形状及び寸法とほぼ一致するように形成され得る。
【0024】
コア10は、磁性体で形成されている。図3図4に示すように、コア10は、前後方向を軸方向として、軸方向に貫通孔100を有する筒状ここでは角筒状に形成されている。コア10は、矩形板状の第1部材101と、正面視U字状の板状の第2部材102と、を組み合わせて結合することで、形成される。コア10の第2部材102は、例えば、第2部材102をインサート品とするインサート成形により筐体19の本体191を形成することで、筐体19の本体191と一体に形成されている。
【0025】
図3図4に示すように、コア10には、第1部材101及び第2部材102で囲まれるようにして貫通孔100が形成されている。コア10は、筐体19の貫通孔190がコア10の貫通孔100内に位置するように、筐体19の内部に収容されている。つまり、コア10は、(前方から見て)筐体19の貫通孔190を囲うように、筐体19に設けられている。
【0026】
筐体19の貫通孔190にバスバー9が通されることで、コア10の貫通孔100にバスバー9が通される。そのため、コア10は、バスバー9と向かい合う内側面103(貫通孔100の内面)を有している。
【0027】
コイル11は、コア10に巻回されている。コイル11は、例えばコア10のうちの第1部材101に巻回されている。ここでは、コア10の第1部材101に、樹脂材料等の絶縁部材から形成されるボビン110が装着されており、コイル11は、ボビン110を介してコア10の第1部材101に巻回されている。コイル11は、導電性を有する導線(例えば銅線)を巻き回して形成されている。
【0028】
コイル11は、コア10及びバスバー9とともに、トランスを構成する。すなわち、一次巻線としてのバスバー9に流れる電流Ibが変化すると、コア10を通る磁束が変化し、二次巻線としてのコイル11に誘導電流Icが流れる。
【0029】
本実施形態の検知ユニット1では、筐体19に貫通孔190が形成され、貫通孔190を囲うようにコア10が設けられているため、貫通孔190にバスバー9を配置するだけで、バスバー9とコイル11とを磁気的に結合させることができる。
【0030】
基板18は、例えばプリント配線板である。基板18は、法線方向が上下方向(貫通孔190の貫通方向と交差する方向;コネクタ17の突出方向に沿った方向)を向くように、筐体19内に収容されている。上述のように、基板18には、検知ユニット1の回路部品、及びコネクタ17等が、実装されている。また、基板18には、回路部品同士等をつなぐ導体(パターン導体)が設けられている。コイル11の両端は、基板18のパターン導体とつながっている。
【0031】
図1を参照して、第2抵抗132は、コイル11の両端と電気的に接続されている。
【0032】
全波整流回路12は、コイル11と電気的に接続されている。全波整流回路12は、いわゆるブリッジダイオードである。全波整流回路12は、ブリッジ接続された4つのダイオード120を備えている。
【0033】
全波整流回路12は、第1入力端121と、第2入力端122と、第1出力端123と、第2出力端124と、を有している。全波整流回路12の第1入力端121は、第2抵抗132の第1端(及びコイル11の第1端)と電気的に接続されている。全波整流回路12の第2入力端122は、第2抵抗132の第2端(及びコイル11の第2端)と電気的に接続されている。すなわち、全波整流回路12の一対の入力端121,122間に、第2抵抗132(及びコイル11)が電気的に接続されている。
【0034】
第1出力端123は、高電位側の出力端であり、第2出力端124は、低電位側の出力端である。全波整流回路12は、一対の入力端121,122に入力された電流の向きを、第1出力端123から外部回路を通して第2出力端124へ向かう向き(図1の電流Irの矢印の向き)に、変換(整流)する。
【0035】
第1抵抗131は、全波整流回路12の一対の出力端123,124間に電気的に接続されている。
【0036】
第1スイッチング素子15は、全波整流回路12と電気的に接続されている。第1スイッチング素子15は、全波整流回路12と電気的に接続される第1端子151と、点火器21と電気的に接続される第2端子152と、を含む。図1に示すように、第1端子151は、全波整流回路12の第1出力端123と電気的に接続されている。第2端子152は、第2スイッチング素子16の第1端と電気的に接続されている。第2端子152は、第2スイッチング素子16を介して、点火器21の第1端211と電気的に接続される。
【0037】
第1スイッチング素子15は、例えばサイリスタを備える。サイリスタは、例えば双方向サイリスタである。第1スイッチング素子15は、パッケージされた素子であってよく、例えばサイダック(登録商標)であってもよい。
【0038】
第1スイッチング素子15は、第1スイッチング素子15の両端間(第1端子151と第2端子152との間)に印加される電圧の電圧値が第1値未満の場合、電流を(ほとんど)通さない。一方、第1スイッチング素子15は、第1値以上の電圧が印加されると、第1端子151から第2端子152へ向かって電流を流す。第1値は、例えば、サイダックとしての第1スイッチング素子15のブレークオーバー電圧である。
【0039】
コンデンサ14は、第1スイッチング素子15と電気的に接続されている。コンデンサ14の第1端は、第1スイッチング素子15の第2端子152と電気的に接続されており、コンデンサ14の第2端は、全波整流回路12の第2出力端124と電気的に接続されている。コンデンサ14は、第1スイッチング素子15を通って流れる電流Irの電荷を蓄積する。
【0040】
第3抵抗133は、コンデンサ14の両端と電気的に接続されている。
【0041】
第2スイッチング素子16は、第1スイッチング素子15と電気的に接続されている。第2スイッチング素子16は、第1スイッチング素子15と電気的に接続される第3端子161と、点火器21と電気的に接続される第4端子162と、を含む。図1に示すように、第3端子161は、第1スイッチング素子15の第2端子152と電気的に接続されている。第4端子162は、検知側第1接続端子171と電気的に接続されている。
【0042】
第2スイッチング素子16は、例えばサイリスタを備える。サイリスタは、例えば双方向サイリスタである。第2スイッチング素子16は、パッケージされた素子であってよく、例えばサイダックであってもよい。
【0043】
第2スイッチング素子16は、第2スイッチング素子16の両端間(第3端子161と第4端子162との間)に印加される電圧の電圧値が第2値未満の場合、電流を(ほとんど)通さない。一方、第2スイッチング素子16は、第2値以上の電圧が印加されると、第3端子161から第4端子162へ向かって電流を流す。第2値は、例えば、サイダックとしての第2スイッチング素子16のブレークオーバー電圧である。本実施形態では、第2値は、第1値と同じである。なお、本開示において、2つの要素が「同じ」とは、2つの要素が厳密に同じであってもよいが、これに限られず、例えば実質的に同等な範囲であってもよく、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異を含んでいてもよい。
【0044】
図1に示すように、検知ユニット1は、整流素子(ダイオード)180を更に備えている。図1に示すように、ダイオード180のアノードは、第2スイッチング素子16の第4端子162と電気的に接続されており、これにより、第2スイッチング素子16を介して第1スイッチング素子15の第2端子152と電気的に接続されている。また、ダイオード180のカソードは、検知側第1接続端子171と電気的に接続されており、これにより後述の制御部30と電気的に接続される。
【0045】
コネクタ17の検知側第1接続端子171は、第2スイッチング素子16の第4端子162と電気的に接続されている。ここでは、コネクタ17の検知側第1接続端子171は、ダイオード180を介して第2スイッチング素子16の第4端子162と電気的に接続されている。コネクタ17の検知側第2接続端子172は、全波整流回路12の第2出力端124と電気的に接続されている。
【0046】
図1に示すように、遮断ユニット2は、点火器21と、射出体22と、を備えている。図5に示すように、遮断ユニット2は、導電体23と、筐体24と、を更に備えている。筐体24は、点火器21、射出体22及び導電体23を保持又は収容する。
【0047】
点火器21は、全波整流回路12と電気的に接続される。点火器21の第1端211は、(ここでは第1電線71を介して)検知ユニット1の検知側第1接続端子171と電気的に接続される。点火器21の第2端212は、(ここでは第2電線72を介して)検知ユニット1の検知側第2接続端子172と電気的に接続される。これにより点火器21は、第1スイッチング素子15及び第2スイッチング素子16を介して、全波整流回路12と電気的に接続される。
【0048】
点火器21は、いわゆる電気式点火器である。図1図5に示すように、点火器21は、発熱素子213と、火薬214と、を含んでいる。
【0049】
発熱素子213は、例えばニクロム線、又は鉄とクロムとアルミの合金線等である。発熱素子213は、点火器21の第1端211と第2端212との間に電気的に接続されている。発熱素子213は、発熱素子213に電流が流れることで熱を発生させる。
【0050】
図5に示すように、火薬214は、発熱素子213の周囲に配置されている。火薬214は、発熱素子213で発生した熱により点火される。発熱素子213には、コイル11で発生した電力による電流Id(図1参照)が流れるため、点火器21は、コイル11の発電した電力によって火薬214を点火可能に構成されている、と言える。
【0051】
点火器21では、火薬214が点火されると、火薬214が燃焼することにより大量のガスが発生する。発生したガスは、点火器21が収容されている筐体24の内部空間240へと、放出される。
【0052】
図5に示すように、射出体22は、筐体24の内部空間240に配置されている。射出体22は、筐体24の内部において、点火器21と導電体23との間の位置に配置されている。射出体22は、筐体24が備える保持部241に、保持されている。射出体22は、導電体23と向かい合うように保持部241に保持されている。保持部241は、ここでは筐体24の内側面であるが、筐体24の内側面から突出して射出体22を保持する突部等を有していてもよい。
【0053】
射出体22は、点火器21で発生したガスの圧力を受けて、保持部241から射出されて移動する。すなわち、射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて、移動する。
【0054】
保持部241から射出された射出体22は、導電体23へと向かって移動し、導電体23を押すことで導電体23を破断する。ここで、導電体23は、検知ユニット1の筐体19の貫通孔190に通されるバスバー9の、少なくとも一部である。そのため、射出体22は、点火された火薬214に応じて、導電体23(バスバー9)に向かって移動するよう構成されている。なお、筐体19の貫通孔190に通されるバスバー9は、導電体23とは別体であって導電体23と電気的に接続されている金属板であってもよいし、導電体23そのものであってもよい。
【0055】
(1.2)遮断装置の動作
遮断装置4では、バスバー9に流れる電流Ibの変化が小さい(例えば電流Ibが一定の)場合、コイル11が発生させる誘導電流Icは小さい(又はコイル11は誘導電流Icを発生させない)。その場合、誘導電流Icが全波整流回路12を通った後の電流Irが第1抵抗131を流れたとしても、第1スイッチング素子15に印加される電圧はブレークオーバー電圧を超えない(第1スイッチング素子15に印加される電圧の電圧値は第1値未満である)。そのため、第1スイッチング素子15はオフに維持され、検知ユニット1の外部には電流が流れない。
【0056】
一方、例えばバスバー9に短絡電流が流れる等して、バスバー9に流れる電流Ibが大きく変化すると、コイル11は大きな誘導電流Icを発生させる。この誘導電流Icが全波整流回路12を通った後の電流Irが、第1抵抗131を流れると、第1スイッチング素子15に印加される電圧がブレークオーバー電圧を超えて(第1スイッチング素子15に第1値以上の電圧が印加されて)、第1スイッチング素子15がオンされる。これによりコンデンサ14が充電されて、コンデンサ14の両端電圧が増加する。コンデンサ14の両端電圧が増加することにより、第2スイッチング素子16に印加される電圧がブレークオーバー電圧を超える(第2スイッチング素子16に第2値以上の電圧が印加される)と、第2スイッチング素子16がオンされる。これにより、検知ユニット1からの電流Idが遮断ユニット2へ供給され、発熱素子213に電流が流れて、点火器21の火薬214が点火される。遮断ユニット2の射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて、導電体23(バスバー9)へ向かって移動し、導電体23を破断する。これにより、遮断ユニット2の内部で、電路が遮断される。
【0057】
要するに、本実施形態の遮断装置4では、バスバー9に短絡電流が流れる等してバスバー9に流れる電流Ibが大きく変化すると、遮断ユニット2によって、バスバー9を含む電気回路を遮断することができる。
【0058】
ところで、本実施形態の遮断装置4では、バスバー9に流れる電流Ibの変化の方向によらず、全波整流回路12から流れ出る電流Irの向きは一定(図1の電流Irの矢印の向き)である。例えば、バスバー9に正の向き(図1の電流Ibの矢印の向き)の短絡電流が流れると、コイル11は、正の向き(図1の電流Icの矢印の向き)の誘導電流Icを発生させる(図6の中段参照)。一方、バスバー9に負の向き(図1の電流Ibの矢印と反対の向き)の短絡電流が流れると、コイル11は、負の向き(図1の電流Icの矢印と反対の向き)の誘導電流Icを発生させる(図7の中段参照)。いずれの場合でも、誘導電流Icは、全波整流回路12を通ることで、所定の向き(図1の電流Irの矢印の向き)の電流Irへと整流される(図6図7の下段参照)。
【0059】
このように、本実施形態の遮断装置4では、検知ユニット1から遮断ユニット2へと流れる電流Idの向きは、バスバー9に流れる電流Ibの変化の方向によらず、検知側第1接続端子171から流れ出して検知側第2接続端子172へと戻る向き(図1の電流Idの矢印の向き)となる。
【0060】
(1.3)遮断システム
遮断装置4は、対象物に搭載される。対象物は、電源から供給される電流を通す電気回路を有する装置である。遮断装置4は、例えば、対象物内の電気回路又はシステム等の異常時に作動して電気回路を遮断することにより、異常の被害が大きくなることを防止する。
【0061】
遮断装置4が搭載される対象物は、例えば車両6(図13参照)である。例えば図13に示すように、車両6におけるモータ62とモータ駆動用の電池61(例えば、リチウムイオンバッテリ)との間に、遮断装置4のバスバー9(コイル11と磁気結合されているバスバー9)が電気的に接続される。遮断装置4は、例えば、車両6の異常又は事故等の緊急時に、バスバー9により形成される電路を遮断することで、モータ62と電池61との電気的な接続を遮断する。なお、対象物は、車両6以外であってもよく、例えば、家電製品、太陽光発電システム等が例示されるが、特に限定されない。
【0062】
図8に示すように、遮断装置4は、対象物に設けられている制御ユニット3とともに、遮断システム5を構成する。言い換えれば、遮断システム5は、遮断装置4と、制御ユニット3と、を備えている。制御ユニット3の一例は、対象物に搭載されている電池61を制御する制御装置(ジャンクションボックス)である。制御ユニット3の一例は、対象物としての車両6のECU(Electronic Control Unit)64(図13参照)である。
【0063】
図8に示すように、制御ユニット3は、制御部30を備えている。制御ユニット3は、コネクタ31と、筐体32と、を更に備えている。
【0064】
コネクタ31は、制御側第1接続端子311と、制御側第2接続端子312と、を有している。コネクタ31は、制御側第1接続端子311及び制御側第2接続端子312が筐体32から露出するように、筐体32に保持されている。
【0065】
例えば、第1電線71及び第2電線72を有するケーブルは、第1電線71から分岐する第3電線73、及び第2電線72から分岐する第4電線74を更に有している。すなわち、ケーブルは分岐ケーブルである。
【0066】
コネクタ31の制御側第1接続端子311は、ケーブルの第3電線73と電気的に接続され、これにより検知側第1接続端子171及び点火器21の第1端211と電気的に接続される。また、コネクタ31の制御側第2接続端子312は、ケーブルの第4電線74と電気的に接続され、これにより検知側第2接続端子172及び点火器21の第2端212と電気的に接続される。すなわち、制御ユニット3の制御部30は、点火器21からみて全波整流回路12と並列に接続される。
【0067】
筐体32は、制御部30及びコネクタ31を、収容又は保持する。
【0068】
図8に示すように、制御部30は、第1スイッチ301と、第2スイッチ302と、マイコン303と、電圧源304と、整流素子(ダイオード)305と、を備えている。
【0069】
第1スイッチ301は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。第1スイッチ301は、ダイオード305を介して、電圧源304と制御側第1接続端子311との間に電気的に接続されている。ダイオード305のアノードは、電圧源304と電気的に接続されている。ダイオード305のカソードは、第1スイッチ301と電気的に接続されている。ダイオード305は、例えば逆流防止用の素子である。
【0070】
第2スイッチ302は、例えばMOSFETである。第2スイッチ302は、制御側第2接続端子312とグランドとの間に電気的に接続されている。
【0071】
マイコン303は、第1スイッチ301及び第2スイッチ302のオンオフを制御する。
【0072】
本実施形態の遮断システム5では、マイコン303により第1スイッチ301及び第2スイッチ302がオンされると、電圧源304から、点火器21の発熱素子213へ電流Iaが供給される。これにより、点火器21の火薬214が点火され得る。
【0073】
特に、制御部30は、点火器21からみて検知ユニット1と並列に接続されているものの、検知ユニット1が電流Idを供給しているかいないかにかかわらず、点火器21へ電流Iaを供給して点火器21の火薬214を点火可能である。すなわち、制御部30は、検知ユニット1のコイル11の発電した電力によらずに、点火器21へ電流Iaを供給して火薬214を点火可能である。
【0074】
このように、本実施形態の遮断システム5では、検知ユニット1及び制御ユニット3の各々によって、点火器21の火薬214を点火させることができる。これにより、点火器21の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0075】
特に、制御部30は、例えば、コイル11の発電した電力の量が火薬214を点火するのに十分でない場合又はコイル11の発電した電力による火薬214の点火に失敗した場合に、検知ユニット1に代わって火薬214を点火することができる。「コイル11の発電した電力の量が火薬214を点火するのに十分でない場合又はコイル11の発電した電力による火薬214の点火に失敗した場合」が生じたことは、例えば、検知ユニット1内を流れる電流、点火器21を流れる電流、検知ユニット1と点火器21とをつなぐケーブルを流れる電流、制御ユニット3への印加電圧等を測定することで、検出することができる。例えば、制御部30から電流Iaを供給していないにもかかわらず第1電線71上に電流が流れたことを検出した場合、制御部30は、検知ユニット1から電流Idが供給された(すなわち、検知ユニット1が火薬214を点火させようとした)と判断できる。そのため、制御部30は、このような電流を検出したにもかかわらず、所定時間(0秒でもよい)が経過しても点火器21の火薬214が点火されない場合には、コイル11の発電した電力の量が火薬214を点火するのに十分でなかった、又はコイル11の発電した電力による火薬214の点火に失敗したと、判断することができる。制御部30は、このように判断した場合に、検知ユニット1の代わりに点火器21へ電流Iaを供給して火薬214を点火させてもよい。
【0076】
もちろん、制御部30は、コイル11で電力が発電されていなくても、対象物の異常(例えば車両6の事故)等を検出した場合に、検知ユニット1とは独立して点火器21へ電流Iaを供給して火薬214を点火してもよい。
【0077】
(1.4)遮断装置の利点
(1.4.1)全波整流回路の利点
本実施形態の遮断装置4では、上述のように、検知ユニット1が全波整流回路12を備えている。以下、その利点について説明する。
【0078】
(1.4.1.1)利点1
本実施形態の遮断装置4では、検知ユニット1が全波整流回路12を備えていることで、点火器21に対して検知ユニット1と制御ユニット3との両方が同時に接続可能である。言い換えれば、検知ユニット1が全波整流回路12を備えていることで、遮断装置4及び制御ユニット3を備える遮断システム5を不具合なく構成することが可能となる。この点について、比較例の遮断装置4Aを備える遮断システム5Aとの比較を交えて説明する。なお、比較例の遮断装置4A及び遮断システム5Aにおいて、本実施形態の遮断装置4及び遮断システム5と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0079】
図9は、比較例の遮断システム5Aの構成を示すブロック図である。なお、図9では、遮断ユニット2については、点火器21以外の構成の図示を省略している。
【0080】
図9に示すように、比較例の遮断システム5Aは、本実施形態の遮断システム5(図8参照)と基本的に同様の構成を有しているが、遮断装置4Aの検知ユニット1Aが全波整流回路12、第2抵抗132及びダイオード180を備えていない。図9に示すように、比較例の遮断システム5Aでは、コイル11の両端間に、第1抵抗131が電気的に接続されている。
【0081】
比較例の遮断装置4Aでは、例えば、バスバー9に正の向き(図9の電流Ibの矢印の向き)の短絡電流が流れると、コイル11は正の向き(図9の電流Icの矢印の向き)の誘導電流Icを発生させる。これにより遮断装置4Aでは、検知側第1接続端子171から流れ出す向き(図9の電流Idの矢印の向き;以下、「正の向き」とする)の電流Idが流れる。
【0082】
図9に示すように、比較例の遮断システム5Aでは、検知側第1接続端子171に、制御ユニット3の高電位側の制御側第1接続端子311が電気的に接続される。そのため、比較例の遮断システム5Aにおいて、仮に第1スイッチ301及び第2スイッチ302がオンされている状態で正の向きの電流Idが流れても、この電流Idは、制御ユニット3へは流れ込みにくい(電流Idは、制御ユニット3よりも点火器21へ向かって流れやすい)。
【0083】
一方、比較例の遮断装置4Aでは、例えば、バスバー9に負の向き(図9の電流Ibの矢印と反対の向き)の短絡電流が流れると、コイル11は負の向き(図9の電流Icの矢印と反対の向き)の誘導電流Icを発生させる。これにより遮断装置4Aでは、検知側第2接続端子172から流れ出す向き(図9の電流Idの矢印と反対の向き;以下「負の向き」とする)の電流Idが流れる。
【0084】
図9に示すように、比較例の遮断システム5Aでは、検知側第2接続端子172に、制御ユニット3の低電位側の制御側第2接続端子312が電気的に接続される。そのため、比較例の遮断システム5Aにおいて、仮に第1スイッチ301及び第2スイッチ302がオンされている状態で負の向きの電流Idが流れると、負の向きの電流Idは、点火器21へ流れることなく制御ユニット3へと流れ込んでしまう。すなわち、比較例の遮断システム5Aでは、バスバー9に負の向きの短絡電流が流れると、検知ユニット1Aからの負の向きの電流Idが制御ユニット3へ直接流れ込み、制御ユニット3へダメージを与える可能性がある。
【0085】
これに対して、本実施形態の遮断装置4では、「(1.2)遮断装置の動作」の欄で説明したように、コイル11で発生する誘導電流Icの向きによらずに、検知ユニット1から流れ出す電流Idの向きは一定(図8の電流Idの矢印の向き)である。そのため、本実施形態の遮断システム5では、制御ユニット3が、検知ユニット1からの電流Idによるダメージを受けにくい。そのため、本実施形態の遮断装置4では、点火器21に対して検知ユニット1と制御ユニット3との両方を同時に接続可能となり、遮断装置4及び制御ユニット3を備えた遮断システム5を不具合なく構成可能となる。
【0086】
また、本実施形態の遮断装置4では、検知ユニット1が整流素子(ダイオード180)を備えていることで、例えば制御ユニット3からの電流Iaが検知ユニット1へ流れ込むのを抑制することが可能となる。
【0087】
(1.4.1.2)利点2
ところで、図10に示す参考例の遮断装置4Bであっても、点火器21に対して、検知ユニット1Bと制御ユニット3との両方を同時に接続可能である。これに対して、本実施形態の遮断装置4は、双方向の短絡電流に対して点火器21を点火させることが可能であるという利点がある。この点について、以下説明する。
【0088】
図10に示すように、参考例の遮断装置4Bを備える遮断システム5Bは、本実施形態の遮断システム5(図8参照)と基本的に同様の構成を有している。ただし、参考例の遮断装置4Bでは、検知ユニット1Bが、全波整流回路12、第2抵抗132及びダイオード180を備えておらず、代わりに整流素子(ダイオード)12Bを備えている。具体的には、図10に示すように、参考例の遮断システム5Bでは、コイル11の両端間に、ダイオード12Bが電気的に接続されている。なお、参考例の遮断装置4B及び遮断システム5Bにおいて、本実施形態の遮断装置4及び遮断システム5と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、図10でも、図9と同様、遮断ユニット2については点火器21以外の構成の図示を省略している。
【0089】
参考例の遮断装置4Bでは、例えば、バスバー9に正の向き(図10の電流Ibの矢印の向き)の短絡電流が流れると、コイル11は正の向き(図10の電流Icの矢印の向き)の誘導電流Icを発生させる(図11の中段参照)。この場合、コイル11で発生した正の向きの誘導電流Icは、コイル11及び第1抵抗131を含む閉回路を(図10の時計回りに)流れる。そして、第1抵抗131を流れる電流Irによる第1抵抗131の両端電圧によって、第1スイッチング素子15がオンされる。更に、コンデンサ14の両端電圧によって第2スイッチング素子16がオンされて、検知側第1接続端子171から流れ出す向き(図10の電流Idの矢印の向き)の電流Idが流れる。
【0090】
一方、参考例の遮断装置4Bでは、例えば、バスバー9に負の向き(図10の電流Ibの矢印と反対の向き)の短絡電流が流れると、コイル11は負の向き(図10の電流Icの矢印と反対の向き)の誘導電流Icを発生させる(図12の中段参照)。この場合、コイル11で発生した負の向きの誘導電流Icは、コイル11と、ダイオード12B及び第1抵抗131の並列回路と、を含む閉回路を(図10の反時計回りに)流れる。このとき、負の向きの誘導電流Icの大半は、相対的に抵抗の大きな第1抵抗131よりも相対的に抵抗の小さなダイオード12Bを流れることになる。そのため、第1抵抗131を流れる電流Ir(図12の下段参照)の大きさは、正の向きの誘導電流Icの場合の電流Ir(図11の下段参照)と比べて小さくなる。そのため、参考例の遮断装置4Bでは、バスバー9に負の向きの短絡電流が流れても第1スイッチング素子15がオンされず、点火器21には検知ユニット1Bから電流Idが供給されない。
【0091】
これに対して、本実施形態の遮断装置4では、「(1.2)遮断装置の動作」の欄で説明したように、バスバー9に流れる短絡電流の向きによらず(正の向きであっても負の向きであっても)、検知ユニット1から点火器21へ電流Idを供給することができる。そのため、バスバー9に流れる双方向の短絡電流に対して、点火器21を点火させることが可能となる。
【0092】
特に、充放電が可能な蓄電池の電力供給経路に遮断装置4のバスバー9が接続されている場合、放電の際に発生する短絡電流の向きと充電の際に発生する短絡電流の向きとは、互いに反対向きであり得る。そのため、双方向の短絡電流に対して点火器21を動作可能とすることで、放電の際に発生する短絡電流のみならず充電の際に発生する短絡電流に対しても、点火器21を動作させることが可能となる。これにより、点火器21の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0093】
(1.4.2)第1及び第2スイッチング素子の利点
本実施形態の遮断装置4では、上述のように、検知ユニット1が第1スイッチング素子15及び第2スイッチング素子16を備えている。以下、その利点について説明する。
【0094】
(1.4.2.1)第1スイッチング素子の利点
検知ユニット1では、上述のように、全波整流回路12に第1スイッチング素子15が電気的に接続されている。
【0095】
ここで、検知ユニット1では、バスバー9に流れる電流Ibが例えば小さなノイズ等によって変動して、コイル11が誘導電流Icを発生させる場合がある。
【0096】
しかしながら、誘導電流Icの大きさが小さい場合には、第1抵抗131で発生する両端電圧は小さく、第1スイッチング素子15に印加される電圧は第1値を超えない。そのため、第1スイッチング素子15はオフに維持され、コンデンサ14は充電されない。
【0097】
すなわち、本実施形態の検知ユニット1は、第1スイッチング素子15を備えていることで、小さな誘導電流Icによって意図せずコンデンサ14が充電されてしまう事態が抑制される。これにより、意図せず点火器21へ電流Idが供給されてしまう事態が抑制される。
【0098】
なお、コイル11により発生した誘導電流Icの電気エネルギーは、第2抵抗132及び第1抵抗131等で熱に変換されて消費される。
【0099】
(1.4.2.2)第2スイッチング素子の利点
検知ユニット1では、上述のように、第1スイッチング素子15に第2スイッチング素子16が電気的に接続されている。
【0100】
ここで、検知ユニット1では、例えば大きなノイズ等によってバスバー9に流れる電流Ibが大きく変化すると、第1スイッチング素子15に印可される電圧が第1値以上となって、第1スイッチング素子15がオンされる場合がある。
【0101】
しかしながら、例えばノイズの場合等のように、バスバー9に流れる電流Ibの変化の継続時間が短時間であれば、たとえ第1スイッチング素子15がオンされたとしても、コンデンサ14には十分な電荷が蓄積されない。そのため、第2スイッチング素子16に印可される電圧は第2値を超えず、第2スイッチング素子16はオフに維持される。
【0102】
すなわち、本実施形態の検知ユニット1は、第2スイッチング素子16を備えていることで、ノイズ等の影響により意図せず点火器21へ電流Idが供給されてしまう事態が抑制される。
【0103】
なお、コンデンサ14に蓄積された電荷の電気エネルギーは、第3抵抗133等で熱に変換されて消費される。
【0104】
(1.5)車両
上述のように、遮断装置4は、例えば、対象物としての車両6に搭載される。車両6は、例えば、電動車両、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車等であり得る。
【0105】
図13に示すように、車両6は、遮断装置4(検知ユニット1及び遮断ユニット2)と、電池61と、モータ62と、バスバー9と、制御部30と、センサ63と、を備えている。
【0106】
バスバー9は、電池61と電気的に接続される。モータ62は、バスバー9を介して電池61と電気的に接続される。また、バスバー9は、例えば検知ユニット1の筐体19の貫通孔190に通されており、コア10の内側面103(図4参照)と向かい合う。
【0107】
制御部30は、例えば車両6のECU64に備えられる。制御部30は、点火器21からみて全波整流回路12と並列に接続される。制御部30は、コイル11の発電した電力によらずに点火器21へ電流Iaを供給して火薬214を点火可能である。また、センサ63は、制御部30と電気的に接続されている。
【0108】
車両6では、電池61とモータ62との間(すなわちバスバー9)に過電流が流れると、遮断装置4のコイル11が発電した電力によって、火薬214が点火される。過電流とは、バスバー9に流れることが許容されている電流を超える電流であり、例えば短絡電流である。
【0109】
また、車両6では、例えばECU64(制御部30)によって、センサ63の検知結果に基づいて車両6に異常が発生したと判定されると、制御部30から供給される電流Iaによって火薬214が点火される。本実施形態において、車両6の異常は、車両6の事故であり得る。車両6の異常は、例えば、車両の特定の位置の温度が異常であること、モータ62の挙動が異常であること、衝撃、及び漏電等を含み得る。また、センサ63は、車両6の異常を検出するための任意のセンサを含み得る。センサ63は、例えば、車両6の特定の位置の温度を検出する温度センサを含み得る。センサ63は、例えば、モータ62の挙動の異常を検出するためのセンサを含み得る。センサ63は、車両6の車体にかかる衝撃(加速度)を検出することで事故等の発生を検出するための衝撃センサを含み得る。センサ63は、バスバー9を含む電気回路での漏電の発生を検出するための電流センサを含み得る。センサ63は、バスバー9を含む電気回路での過電流(短絡電流等)を検出するための電流センサを含み得る。
【0110】
そして、遮断装置4の遮断ユニット2の射出体22は、点火された火薬214に応じてバスバー9(ここでは導電体23)に向かって移動して、電池61とモータ62との電気的な接続を遮断する。
【0111】
本実施形態の車両6では、図13に示すように、バスバー9(導電体23)は、射出体22と向かい合う可動部231と、可動部231が押し当てられる固定部232と、を有する。射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて移動し、可動部231が固定部232から離れる向きに可動部231を押圧する。すなわち、本実施形態では、バスバー9は、射出体22によって破断されるわけではなく、射出体22に押されて可動部231が固定部232から離れることで、バスバー9を含む電気回路が遮断される。
【0112】
一具体例において、車両6としての電動車両は、図14に示すように、遮断装置4と、電池61と、モータ62と、センサ63としての電流センサ631と、制御ユニット3としてのECU64と、を備えている。車両6としての電動車両は、インバータ65と、メインリレー66と、プリチャージ抵抗67と、プリチャージリレー68と、プリチャージコンデンサ69と、を更に備えている。
【0113】
モータ62は、例えば三相交流同期モータである。電池61は、直列接続された複数の電池セルを備える。電池セルは、例えば、ニッケル水素電池セル、リチウムイオン電池セル等を用いることができる。インバータ65は、力行時、電池61から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ62に供給し、回生時、モータ62から供給される交流電力を直流電力に変換して電池61に供給する。
【0114】
メインリレー66及び電流センサ631は、電池61からモータ62への電流の供給経路に設けられている。プリチャージ抵抗67及びプリチャージリレー68の直列回路は、メインリレー66と並列に接続されている。なお、車両6は、高電位側の電路に接続されているメインリレー66(第1メインリレー)に加えて、低電位側の電路に接続されている第2メインリレーを備えていてもよい。
【0115】
ECU64は、メインリレー66及びプリチャージリレー68の動作を制御する。ECU64は、モータ62への電力の供給の開始時、プリチャージリレー68を閉じて、プリチャージコンデンサ69を充電する。これによりモータ62への突入電流が抑制される。ECU64は、プリチャージコンデンサ69への充電の完了後、プリチャージリレー68を開き、メインリレー66を閉じて、電池61からモータ62への電力の供給を開始させる。
【0116】
また、ECU64(制御ユニット3)は、センサ63により車両6の異常を検出すると、点火器21に電流を供給して火薬214を点火させる。例えば、ECU64は、電流センサ631により短絡電流を検出すると、車両6に事故が発生したと判断して、点火器21へ電流Iaを供給する。これにより、遮断ユニット2で電路が遮断されて、電池61からモータ62への電力の供給が停止される。
【0117】
また、遮断装置4の検知ユニット1は、ECU64とは独立に、バスバー9に過電流が流れると点火器21に電流Idを供給して、火薬214を点火させる。これにより、遮断ユニット2で電路が遮断されて、電池61からモータ62への電力の供給が停止される。
【0118】
本実施形態の車両6によれば、検知ユニット1とECU64との両方で車両6の異常(例えば事故)の発生を検出して、点火器21を動作させることができる。そのため、例えば、コイル11の発電した電力の量が火薬214を点火するのに十分でない場合又はコイル11の発電した電力による火薬214の点火に失敗した場合に、ECU64によって火薬214を点火することができる。また、例えばECU64と点火器21との間の電路で断線等が発生しても、検知ユニット1によって火薬214を点火することができる。要するに、本実施形態の車両6によれば、点火器21の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0119】
(2)変形例
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。上記の実施形態及び以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下の各変形例の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する場合がある。
【0120】
本開示における遮断システム5は、制御部30等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部30としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0121】
また、制御部30における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。制御部30の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御部30における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御部30の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0122】
(2.1)変形例1
検知ユニット1において、第1スイッチング素子15は、単方向サイリスタ153を備えていてもよい。例えば図15Aに示すように、単方向サイリスタ153のアノードが第1スイッチング素子15の第1端子151と電気的に接続され、単方向サイリスタ153のカソードが第1スイッチング素子15の第2端子152と電気的に接続されている。
【0123】
例えば、第1スイッチング素子15は、図15Aに示すように、ダイオード154と、ツェナーダイオード155と、抵抗156と、コンデンサ157と、を更に備えている。ダイオード154とツェナーダイオード155との直列回路が、単方向サイリスタ153のアノードとゲートとの間に電気的に接続されている。ダイオード154とツェナーダイオード155とのカソード同士が、電気的に接続されている。抵抗156とコンデンサ157との並列回路が、単方向サイリスタ153のゲートとカソードとの間に電気的に接続されている。
【0124】
また、第2スイッチング素子16は、単方向サイリスタ163を備えていてもよい。例えば図15Bに示すように、単方向サイリスタ163のアノードが第2スイッチング素子16の第3端子161と電気的に接続され、単方向サイリスタ163のカソードが第2スイッチング素子16の第4端子162と電気的に接続されている。
【0125】
例えば、第2スイッチング素子16は、図15Bに示すように、ダイオード164と、ツェナーダイオード165と、抵抗166と、コンデンサ167と、を更に備えている。ダイオード164とツェナーダイオード165との直列回路が、単方向サイリスタ163のアノードとゲートとの間に電気的に接続されている。ダイオード164とツェナーダイオード165とのカソード同士が、電気的に接続されている。抵抗166とコンデンサ167との並列回路が、単方向サイリスタ163のゲートとカソードとの間に電気的に接続されている。
【0126】
なお、第1スイッチング素子15と第2スイッチング素子16とのうちの少なくとも一方が単方向サイリスタを備えている場合、遮断装置4(の検知ユニット1)は、整流素子(ダイオード180)を備えていなくてもよい。単方向サイリスタ153(又は163)によって、制御ユニット3からの電流Iaが検知ユニット1へ流れ込むのを抑制することができるからである。
【0127】
本変形例の遮断装置4及び遮断システム5でも、点火器21の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0128】
(2.2)変形例2
本変形例では、図16に示すように、検知ユニット1のコンデンサ14が省略されている。また、検知ユニット1では、第3抵抗133及び第2スイッチング素子16も省略されている。
【0129】
本変形例の遮断装置4では、誘導電流Icが全波整流回路12を通った後の電流Irが第1抵抗131を流れることにより第1スイッチング素子15がオンされると、検知ユニット1から点火器21へ電流Idが供給される。例えば、コイル11の巻き数が比較的大きくて、コンデンサ14に電荷を蓄積せずとも火薬214を燃焼させるのに十分な電流Idを点火器21へ供給できるのであれば、コンデンサ14は省略可能である。
【0130】
本変形例の遮断装置4及びそれを備えた遮断システム5でも、点火器21の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0131】
なお、本変形例の遮断装置4においては、全波整流回路12が省略されてもよい。
【0132】
(2.3)変形例3~6
検知ユニット1、遮断ユニット2、及び制御ユニット3の間の接続関係は、図8に示すような第1電線71~第4電線74を有する分岐ケーブルにより接続する関係に限られない。
【0133】
(2.3.1)変形例3
本変形例の遮断システム5では、図17に示すように、検知ユニット1が、検知側第3接続端子173を更に有している。検知側第3接続端子173は、筐体19の内部(例えば基板18上)で、検知側第1接続端子171と電気的に接続されている。なお、検知側第3接続端子173も、筐体19から露出している。なお、図17では、整流素子(ダイオード)180の図示を省略している。
【0134】
そして、図17に示すように、検知側第1接続端子171が、第1電線71を介して点火器21の第1端211と電気的に接続される。また、検知側第2接続端子172が、第2電線72を介して点火器21の第2端212と電気的に接続され、第2電線72及び第4電線74を介して制御側第2接続端子312と電気的に接続される。検知側第3接続端子173が、第5電線75を介して制御側第1接続端子311と電気的に接続される。
【0135】
このように、本変形例の遮断システム5では、検知ユニット1は、筐体19と、第1接続端子(検知側第1接続端子171)と、第2接続端子(検知側第3接続端子173)と、を有する。第1接続端子(検知側第1接続端子171)は、筐体19から露出し、点火器21と電気的に接続される。第2接続端子(検知側第3接続端子173)は、第1接続端子(検知側第1接続端子171)と電気的に接続されており、筐体19から露出し、制御部30と電気的に接続される。
【0136】
本変形例によれば、遮断システム5での構成の接続関係の簡略化を図ることが可能となる。
【0137】
なお、検知側第3接続端子173は、検知側第1接続端子171ではなく検知側第2接続端子172と電気的に接続されていてもよい。その場合、検知側第1接続端子171及び制御側第1接続端子311が点火器21の第1端211と電気的に接続され、検知側第2接続端子172が点火器21の第2端212と電気的に接続され、検知側第3接続端子173が制御側第2接続端子312と電気的に接続されてもよい。
【0138】
(2.3.2)変形例4
本変形例の遮断システム5では、図18に示すように、検知ユニット1が、検知側第3接続端子173及び検知側第4接続端子174を更に有している。検知側第3接続端子173は、筐体19の内部(例えば基板18上)で、検知側第1接続端子171と電気的に接続されている。検知側第4接続端子174は、筐体19の内部(例えば基板18上)で、検知側第2接続端子172と電気的に接続されている。なお、検知側第3接続端子173及び検知側第4接続端子174も、筐体19から露出している。なお、図18では、整流素子(ダイオード)180の図示を省略している。
【0139】
そして、図18に示すように、検知側第1接続端子171が、第1電線71を介して点火器21の第1端211と電気的に接続され、検知側第2接続端子172が、第2電線72を介して点火器21の第2端212と電気的に接続される。また、検知側第3接続端子173が、第5電線75を介して制御側第1接続端子311と電気的に接続され、検知側第4接続端子174が、第6電線76を介して制御側第2接続端子312と電気的に接続される。
【0140】
変形例3と同様に本変形例の遮断システム5でも、検知ユニット1は、筐体19と、第1接続端子(検知側第1接続端子171)と、第2接続端子(検知側第3接続端子173)と、を有する。第1接続端子(検知側第1接続端子171)は、筐体19から露出し、点火器21と電気的に接続される。第2接続端子(検知側第3接続端子173)は、第1接続端子(検知側第1接続端子171)と電気的に接続されており、筐体19から露出し、制御部30と電気的に接続される。
【0141】
本変形例によれば、遮断システム5での構成の接続関係の簡略化を図ることが可能となる。
【0142】
また、本変形例の遮断システム5では、例えば、検知側第1接続端子171及び検知側第2接続端子172を有するコネクタ17(第1コネクタ)を、第1電線71及び第2電線72を有する第1ケーブルを介して点火器21と電気的に接続し、検知側第3接続端子173及び検知側第4接続端子174を有するコネクタ170(第2コネクタ)を、第5電線75及び第6電線76を有する第2ケーブルを介して制御ユニット3のコネクタ31と電気的に接続することで、遮断システム5を構成することができる。すなわち、図8の例のような分岐ケーブルを用いる必要が無い。これにより、遮断システム5での構成の接続関係が簡略化され得る。
【0143】
(2.3.3)変形例5
本変形例の遮断システム5では、図19に示すように、制御ユニット3が、制御側第3接続端子313を有している。制御側第3接続端子313は、筐体32の内部(例えば、制御部30が備える基板上)で、制御側第1接続端子311と電気的に接続されている。なお、制御側第3接続端子313も、筐体32から露出している。
【0144】
そして、図19に示すように、制御側第1接続端子311が、第5電線75を介して検知側第1接続端子171と電気的に接続される。また、制御側第2接続端子312が、第2電線72及び第4電線74を介して点火器21の第2端212及び検知側第2接続端子172と電気的に接続される。制御側第3接続端子313が、第7電線77を介して点火器21の第1端211と電気的に接続される。
【0145】
このように、本変形例の遮断システム5では、制御ユニット3は、筐体32と、第1接続端子(制御側第1接続端子311)と、第2接続端子(制御側第3接続端子313)と、を有する。第1接続端子(制御側第1接続端子311)は、筐体32から露出し、検知ユニット1と電気的に接続される。第2接続端子(制御側第3接続端子313)は、第1接続端子(制御側第1接続端子311)と電気的に接続されており、筐体32から露出し、点火器21と電気的に接続される。
【0146】
本変形例によれば、遮断システム5での構成の接続関係の簡略化を図ることが可能となる。
【0147】
なお、制御側第3接続端子313は、制御側第1接続端子311ではなく制御側第2接続端子312と電気的に接続されてもよい。その場合、制御側第1接続端子311及び検知側第1接続端子171が点火器21の第1端211と電気的に接続され、制御側第2接続端子312が点火器21の第2端212と電気的に接続され、制御側第3接続端子313が検知側第2接続端子172と電気的に接続されてもよい。
【0148】
(2.3.4)変形例6
本変形例の遮断システム5では、図20に示すように、制御ユニット3が、制御側第3接続端子313及び制御側第4接続端子314を更に有している。制御側第3接続端子313は、筐体32の内部(例えば、制御部30が備える基板上)で、制御側第1接続端子311と電気的に接続されている。制御側第4接続端子314は、筐体32の内部(例えば、制御部30が備える基板上)で、制御側第2接続端子312と電気的に接続されている。なお、制御側第3接続端子313及び制御側第4接続端子314も、筐体32から露出している。
【0149】
そして、図20に示すように、制御側第1接続端子311が、第5電線75を介して検知側第1接続端子171と電気的に接続され、制御側第2接続端子312が、第6電線76を介して検知側第2接続端子172と電気的に接続される。また、制御側第3接続端子313が、第7電線77を介して点火器21の第1端211と電気的に接続され、制御側第4接続端子314が、第8電線78を介して点火器21の第2端212と電気的に接続される。
【0150】
変形例5と同様に本変形例の遮断システム5でも、制御ユニット3は、筐体32と、第1接続端子(制御側第1接続端子311)と、第2接続端子(制御側第3接続端子313)と、を有する。第1接続端子(制御側第1接続端子311)は、筐体32から露出し、検知ユニット1と電気的に接続される。第2接続端子(制御側第3接続端子313)は、第1接続端子(制御側第1接続端子311)と電気的に接続されており、筐体32から露出し、点火器21と電気的に接続される。
【0151】
本変形例によれば、遮断システム5での構成の接続関係の簡略化を図ることが可能となる。
【0152】
また、本変形例の遮断システム5では、例えば、制御側第1接続端子311及び制御側第2接続端子312を有するコネクタ31(第1コネクタ)を、第5電線75及び第6電線76を有する第1ケーブルを介して検知ユニット1のコネクタ17と電気的に接続し、制御側第3接続端子313及び制御側第4接続端子314を有するコネクタ310(第2コネクタ)を、第7電線77及び第8電線78を有する第2ケーブルを介して点火器21と電気的に接続することで、遮断システム5を構成することができる。すなわち、図8の例のような分岐ケーブルを用いる必要が無い。これにより、遮断システム5での構成の接続関係が簡略化され得る。
【0153】
(2.4)その他の変形例
一変形例において、検知ユニット1は、第1スイッチング素子15と第2スイッチング素子16とのいずれか一方のみを備えていてもよい。更には、検知ユニット1は、第1スイッチング素子15と第2スイッチング素子16との両方が省略されてもよい。第1スイッチング素子15と第2スイッチング素子16との両方が省略される場合、第1スイッチング素子15又は第2スイッチング素子16の位置に、整流素子(ダイオード)が配置されてもよい。第1抵抗131及び第3抵抗133は、第1スイッチング素子15及び/又は第2スイッチング素子16の省略に応じて、適宜省略され得る。
【0154】
一変形例において、第1スイッチング素子15及び第2スイッチング素子16の少なくとも一方は、サイダック以外のスイッチング素子、例えばダイアック等であってもよい。
【0155】
一変形例において、第2値は、第1値より大きくてもよい。
【0156】
一変形例において、検知ユニット1の筐体19には、貫通孔190の代わりに凹部が形成されていてもよい。凹部は、例えば、筐体19の下面に、前後に延びる溝状に形成されてもよい。この場合、コア10は、凹部を囲うように筐体19に設けられてもよい。例えば、コア10は、凹部の上側面、左側面、及び右側面を三方から囲うように、筐体19内に配置されてもよい。
【0157】
一変形例において、整流素子(ダイオード)180は、第1スイッチング素子15の第2端子152と第2スイッチング素子16の第3端子161との間に電気的に接続されていてもよい。一変形例において、整流素子(ダイオード)180は、検知ユニット1の筐体19の外側に設けられていてもよい。例えば、ダイオード180は、アノードが検知側第1接続端子171と電気的に接続され、カソードが制御ユニット3の制御側第1接続端子311及び点火器21の第1端211と電気的に接続されていてもよい。
【0158】
一変形例において、遮断装置4は、制御ユニット3が接続されることなく遮断装置4単独で用いられてもよい。
【0159】
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0160】
第1の態様の遮断装置(4)は、検知ユニット(1)と、遮断ユニット(2)と、を備える。遮断ユニット(2)は、検知ユニット(1)と電気的に接続される。検知ユニット(1)は、コア(10)と、コイル(11)と、全波整流回路(12)と、を有する。コア(10)は、磁性体で形成されている。コイル(11)は、コア(10)に巻回されている。全波整流回路(12)は、コイル(11)と電気的に接続されている。遮断ユニット(2)は、点火器(21)と、射出体(22)と、を有する。点火器(21)は、火薬(214)を含む。点火器(21)は、全波整流回路(12)と電気的に接続される。点火器(21)は、コイル(11)の発電した電力によって火薬(214)を点火可能に構成されている。射出体(22)は、点火された火薬(214)に応じて射出されて移動する。
【0161】
この態様によれば、点火器(21)の動作の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0162】
第2の態様の遮断装置(4)では、第1の態様において、検知ユニット(1)は、第1スイッチング素子(15)を更に有する。第1スイッチング素子(15)は、第1端子(151)と、第2端子(152)と、を含む。第1端子(151)は、全波整流回路(12)と電気的に接続される。第2端子(152)は、点火器(21)と電気的に接続される。第1スイッチング素子(15)は、第1値以上の電圧が印加されると、第1端子(151)から第2端子(152)へ向かって電流を流す。
【0163】
この態様によれば、意図せず点火器(21)へ電流(Id)が供給されてしまう事態が抑制される。
【0164】
第3の態様の遮断装置(4)では、第2の態様において、第1スイッチング素子(15)は、単方向サイリスタ(153)又は双方向サイリスタを備える。
【0165】
この態様によれば、簡易な構成で第1スイッチング素子(15)を実現できる。
【0166】
第4の態様の遮断装置(4)では、第2又は第3の態様において、検知ユニット(1)は、第2スイッチング素子(16)を、更に有する。第2スイッチング素子(16)は、第3端子(161)と、第4端子(162)と、を含む。第3端子(161)は、第1スイッチング素子(15)と電気的に接続される。第4端子(162)は、点火器(21)と電気的に接続される。第2スイッチング素子(16)は、第2値以上の電圧が印加されると、第3端子(161)から第4端子(162)へ向かって電流を流す。
【0167】
この態様によれば、意図せず点火器(21)へ電流(Id)が供給されてしまう事態が抑制される。
【0168】
第5の態様の遮断装置(4)では、第4の態様において、第2値は、第1値と同じ又は第1値よりも大きい。
【0169】
この態様によれば、意図せず点火器(21)へ電流(Id)が供給されてしまう事態が抑制される。
【0170】
第6の態様の遮断装置(4)では、第4又は第5の態様において、第2スイッチング素子(16)は、単方向サイリスタ(153)又は双方向サイリスタを備える。
【0171】
この態様によれば、簡易な構成で第2スイッチング素子(16)を実現できる。
【0172】
第7の態様の遮断装置(4)では、第1~第6のいずれか一つの態様において、検知ユニット(1)は、凹部又は貫通孔(190)が形成された筐体(19)を更に有する。コア(10)は、凹部又は貫通孔(190)を囲うように筐体(19)に設けられている。
【0173】
この態様によれば、凹部又は貫通孔(190)にバスバー(9)を配置するだけで、バスバー(9)とコイル(11)とを磁気的に結合させることが可能となる。
【0174】
第8の態様の遮断装置(4)は、第1~第7のいずれか一つの態様において、バスバー(9)を更に備える。コア(10)は、バスバー(9)と向かい合う内側面(103)を含む。射出体(22)は、点火された火薬(214)に応じてバスバー(9)に向かって移動する。
【0175】
この態様によれば、バスバー(9)に流れる電流(Ib)の変化に応じて、射出体(22)によりバスバー(9)が形成する電路を遮断することが可能となる。
【0176】
第9の態様の遮断システム(5)は、第1~第8のいずれか一つの態様の遮断装置(4)と、制御部(30)と、を備える。制御部(30)は、点火器(21)からみて全波整流回路(12)と並列に接続される。制御部(30)は、コイル(11)の発電した電力によらずに点火器(21)へ電流(Ia)を供給して火薬(214)を点火可能である。
【0177】
この態様によれば、点火器(21)の動作の信頼性を向上させることが可能となる。
【0178】
第10の態様の遮断システム(5)では、第9の態様において、検知ユニット(1)は、筐体(19)と、第1接続端子(検知側第1接続端子171)と、第2接続端子(検知側第3接続端子173)と、を更に有する。第1接続端子(検知側第1接続端子171)は、筐体(19)から露出し、点火器(21)と電気的に接続される。第2接続端子(検知側第3接続端子173)は、第1接続端子(検知側第1接続端子171)と電気的に接続されており、筐体(19)から露出し、制御部(30)と電気的に接続される。
【0179】
この態様によれば、遮断システム(5)での構成の接続関係の簡略化を図ることが可能となる。
【0180】
第11の態様の遮断システム(5)は、第9の態様において、制御ユニット(3)を備える。制御ユニット(3)は、制御部(30)と、制御部(30)を保持又は収容する筐体(32)と、を有する。制御ユニット(3)は、第1接続端子(制御側第1接続端子311)と、第2接続端子(制御側第3接続端子313)と、を更に有する。第1接続端子(制御側第1接続端子311)は、筐体(32)から露出し、検知ユニット(1)と電気的に接続される。第2接続端子(制御側第3接続端子313)は、第1接続端子(制御側第1接続端子311)と電気的に接続されており、筐体(32)から露出し、点火器(21)と電気的に接続される。
【0181】
この態様によれば、遮断システム(5)での構成の接続関係の簡略化を図ることが可能となる。
【0182】
第12の態様の遮断システム(5)は、第1の態様の遮断装置(4)と、制御部(30)と、を備える。制御部(30)は、点火器(21)からみて全波整流回路(12)と並列に接続される。制御部(30)は、コイル(11)の発電した電力によらずに点火器(21)へ電流(Ia)を供給して火薬(214)を点火可能である。遮断装置(4)は、スイッチング素子(第1スイッチング素子15)を更に備える。スイッチング素子(第1スイッチング素子15)は、第1端子(151)と、第2端子(152)と、を含む。第1端子(151)は、全波整流回路(12)と電気的に接続される。第2端子(152)は、点火器(21)と電気的に接続される。スイッチング素子(第1スイッチング素子15)は、第1値以上の電圧を印加されると、第1端子(151)から第2端子(152)へ向かって電流を流す。スイッチング素子(第1スイッチング素子15)は、双方向サイリスタを備える。遮断システム(5)は、整流素子(ダイオード180)を更に備える。整流素子(ダイオード180)は、スイッチング素子(第1スイッチング素子15)の第2端子(152)と電気的に接続されるアノードと、制御部(30)と電気的に接続されるカソードと、を含む。
【0183】
この態様によれば、意図せず点火器(21)へ電流が供給されてしまう事態が抑制される。
【0184】
第13の態様の車両(6)は、第1~第7のいずれか一つの態様の遮断装置(4)と、電池(61)と、バスバー(9)と、制御部(30)と、センサ(63)と、モータ(62)と、を備える。バスバー(9)は、電池(61)と電気的に接続される。バスバー(9)は、コア(10)の内側面と向かい合う。制御部(30)は、点火器(21)からみて全波整流回路(12)と並列に接続される。制御部(30)は、コイル(11)の発電した電力によらずに点火器(21)へ電流(Ia)を供給して火薬(214)を点火可能である。センサ(63)は、制御部(30)と電気的に接続されている。モータ(62)は、バスバー(9)を介して電池(61)と電気的に接続される。車両(6)では、電池(61)とモータ(62)との間に過電流が流れると、遮断装置(4)のコイル(11)が発電した電力によって火薬(214)が点火される。車両(6)では、センサ(63)の検知結果に基づいて車両(6)に異常が発生したと判定されると、制御部(30)から供給される電流(Ia)によって火薬(214)が点火される。射出体(22)は、点火された火薬(214)に応じてバスバー(9)に向かって移動して、電池(61)とモータ(62)との電気的な接続を遮断するよう構成されている。
【0185】
この態様によれば、車両(6)に設けられた遮断装置(4)の点火器(21)の動作の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0186】
第14の態様の車両(6)は、第13の態様において、バスバー(9)は、射出体(22)と向かい合う可動部(231)と、可動部(231)が押し当てられる固定部(232)と、を有する。射出体(22)は、点火された火薬(214)に応じて射出されて移動し、可動部(231)が固定部(232)から離れる向きに可動部(231)を押圧する。
【0187】
この態様によれば、射出体(22)に押されて可動部(231)が固定部(232)から離れることで、バスバー(9)を含む電気回路を遮断することが可能となる。
【符号の説明】
【0188】
1 検知ユニット
10 コア
103 内側面
11 コイル
12 全波整流回路
15 第1スイッチング素子
151 第1端子
152 第2端子
153 単方向サイリスタ
16 第2スイッチング素子
161 第3端子
162 第4端子
163 単方向サイリスタ
171 検知側第1接続端子(第1接続端子)
173 検知側第3接続端子(第2接続端子)
180 整流素子(ダイオード)
19 筐体
190 貫通孔
2 遮断ユニット
21 点火器
214 火薬
22 射出体
231 可動部
232 固定部
3 制御ユニット
30 制御部
311 制御側第1接続端子(第1接続端子)
313 制御側第3接続端子(第2接続端子)
32 筐体
4 遮断装置
5 遮断システム
6 車両
61 電池
62 モータ
63 センサ
9 バスバー
Ia 電流
図1
図2
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