(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172636
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電流センサ、センサシステム、遮断装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
G01R 19/165 20060101AFI20241205BHJP
H01H 39/00 20060101ALI20241205BHJP
G01R 15/18 20060101ALI20241205BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
G01R19/165 L
H01H39/00 C
G01R15/18 B
B60R16/02 650V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090479
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 進弥
(72)【発明者】
【氏名】小玉 和広
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA14
2G025AB14
2G025AC01
2G035AA00
2G035AB03
2G035AC02
2G035AC15
2G035AD04
2G035AD09
2G035AD10
2G035AD13
2G035AD28
2G035AD47
(57)【要約】
【課題】過電流を検出する電流の領域を、適切に設定可能とする。
【解決手段】電流センサ4は、ヨーク40と、第1コイル41と、第2コイル42と、を備える。ヨーク40は、所定の向きの電流Ibが流れる配線部材と向かい合う内面405を有する。第1コイル41は、ヨーク40に設けられる。第1コイル41は、配線部材を流れる電流Ibにより発生する第1向きの磁界H1によって発電する。第2コイル42は、ヨーク40に設けられる。第2コイル42は、通電されることで、第1向きとは逆向きの第2向きの磁界H2をヨーク40に発生させるためのコイルである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の向きの電流が流れる配線部材と向かい合う内面を有するヨークと、
前記ヨークに設けられ、前記配線部材を流れる前記電流により発生する第1向きの磁界によって発電する第1コイルと、
前記ヨークに設けられ、通電されることで、前記第1向きとは逆向きの第2向きの磁界を前記ヨークに発生させるための第2コイルと、を備える、
電流センサ。
【請求項2】
前記ヨークが形成する磁気回路に挿入された永久磁石を更に備える、
請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記第2向きの磁界と同じ向きの磁界を前記ヨークに発生させる、
請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記ヨークは、前記配線部材が通される貫通孔を有する筒状である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記第2コイルの両端間に電気的に接続される、抵抗とコンデンサとの並列回路を更に備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電流センサ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電流センサと、
前記第2コイルの通電を制御する制御部と、備える、
センサシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記配線部材への前記電流の供給が開始される前に、前記第2コイルの通電を開始する、
請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記配線部材を流れる前記電流の大きさに応じて、前記第2コイルが発生させる前記第2向きの磁界の大きさを変化させる、
請求項6又は7に記載のセンサシステム。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電流センサと、
前記第1コイルの発電した電力が供給される遮断ユニットと、を備え、
前記遮断ユニットは、
火薬を含み、前記第1コイルの発電した前記電力によって前記火薬を点火可能に構成された点火器と、
点火された前記火薬に応じて射出されて移動する射出体と、を有する、
遮断装置。
【請求項10】
請求項9に記載の遮断装置と、
電池と、
前記配線部材と、
前記配線部材を介して前記電池と電気的に接続されるモータと、
前記配線部材を流れる前記電流の供給及び前記第2コイルの通電を制御する制御部と、を備え、
前記電池と前記モータとの間に過電流が流れると、前記第1コイルの発電した前記電力によって前記火薬が点火され、
前記射出体は、点火された前記火薬に応じて前記配線部材に向かって射出されて移動して、前記電池と前記モータとの電気的な接続を遮断するように構成されている、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電流センサ、センサシステム、遮断装置、及び車両に関する。本開示は、より詳細には、コイルを備える電流センサ、電流センサを備えるセンサシステム、電流センサを備える遮断装置、及び遮断装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車載用遮断装置が開示されている。この車載用遮断装置は、第1導電路と、第2導電路と、第1電流検出器と、第2電流検出器と、火工遮断器と、遮断制御部と、を備えている。
【0003】
第1導電路は、第1入力端と第1出力端とを接続する。第1入力端には、第1極性の直流電力が供給される。第2導電路は、第2入力端と第2出力端とを接続する。第2入力端には、第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される。第1電流検出器は、第1導電路もしくは第2導電路に流れる電流を検出可能である。第2電流検出器は、第1導電路もしくは第2導電路に流れる電流を検出可能である。火工遮断器は、第1導電路を不可逆的に遮断する動作が可能である。遮断制御部は、火工遮断器の遮断動作に対する制御が可能である。
【0004】
遮断制御部は、第1電流検出器と第2電流検出器とから検出電流に対応して発信される第1検出信号と第2検出信号との受信が可能である。遮断制御部は、第1検出信号に基づいて得られる第1電流値及び第2検出信号に基づいて得られる第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに、火工遮断器に遮断動作を実行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車載用遮断装置のような遮断装置では、電流センサが過電流を検出する電流の領域を、適切に設定できることが望まれる場合がある。
【0007】
本開示の目的は、過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能な電流センサ、センサシステム、遮断装置、及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の電流センサは、ヨークと、第1コイルと、第2コイルと、を備える。前記ヨークは、配線部材と向かい合う内面を有する。前記配線部材には、所定の向きの電流が流れる。前記第1コイルは、前記ヨークに設けられる。前記第1コイルは、前記配線部材を流れる前記電流により発生する第1向きの磁界によって、発電する。前記第2コイルは、前記ヨークに設けられる。前記第2コイルは、通電されることで、前記第1向きとは逆向きの第2向きの磁界を前記ヨークに発生させるためのコイルである。
【0009】
本開示の一態様のセンサシステムは、前記電流センサと、制御部と、を備える。前記制御部は、前記第2コイルを通電させる。
【0010】
本開示の一態様の遮断装置は、前記電流センサと、遮断ユニットと、を備える。前記遮断ユニットには、前記第1コイルの発電した電力が供給される。前記遮断ユニットは、点火器と、射出体と、を有する。前記点火器は、火薬を含み、前記第1コイルの発電した前記電力によって前記火薬を点火可能に構成されている。前記射出体は、点火された前記火薬に応じて射出されて移動する。
【0011】
本開示の一態様の車両は、前記遮断装置と、電池と、前記配線部材と、モータと、制御部と、を備える。前記モータは、前記配線部材を介して前記電池と電気的に接続される。前記制御部は、前記配線部材を流れる前記電流の供給及び前記第2コイルの通電を制御する。前記車両では、前記電池と前記モータとの間に過電流が流れると、前記第1コイルの発電した前記電力によって前記火薬が点火される。前記射出体は、点火された前記火薬に応じて前記配線部材に向かって射出されて移動して、前記電池と前記モータとの電気的な接続を遮断するように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電流センサが過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態の遮断システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の遮断システムが備える遮断装置の回路構成を示す図である。
【
図3】
図3は、同上の遮断システムが備えるセンサシステムの回路構成を示す図である。
【
図4】
図4は、同上の遮断システムが備える検知ユニットの斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の検知ユニットの要部の正面図である。
【
図6】
図6は、同上の遮断システムが備える電流センサにおいて、第2コイルに電流が流れていない状態での、配線部材に流れる電流とヨークを通過する磁束密度との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、同上の遮断システムの配線部材に流れる過電流の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、同上の遮断システムが備える電流センサにおいて、第2コイルに電流が流れている状態での、配線部材に流れる電流とヨークを通過する磁束密度との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、同上の遮断システムの配線部材に流れる過電流の一例を示すグラフである。
【
図10】
図10は、同上の遮断システムが備える遮断ユニットの断面図である。
【
図11】
図11は、同上の遮断システムを備える車両の概略構成図である。
【
図12】
図12は、変形例1の電流センサの要部の正面図である。
【
図13】
図13は、同上の電流センサにおいて、配線部材に流れる電流とヨークを通過する磁束密度との関係を示すグラフである。
【
図14】
図14Aは、変形例2の遮断装置が備える第1スイッチング素子の回路構成を示す図である。
図14Bは、同上の遮断装置が備える第2スイッチング素子の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態に係る電流センサ、センサシステム、遮断装置、及び車両について、添付の図面を参照して説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(1)実施形態
(1.1)遮断システム
本実施形態の遮断システム400について、
図1~
図10を参照して説明する。
【0016】
遮断システム400は、対象物に搭載される。対象物は、電源から供給される電流を通す電気回路を有する装置である。遮断システム400は、例えば、対象物内の電気回路又はシステム等の異常時に作動して電気回路を遮断することにより、異常の被害が大きくなることを防止する。
【0017】
遮断システム400が搭載される対象物は、例えば車両6(
図11参照)である。車両6は、車両6の駆動用の電気回路60を有している。電気回路60は、モータ62、モータ駆動用の電池61(例えば、リチウムイオンバッテリ)、及びスイッチを含む回路部品を、配線部材9により接続して構成されている。遮断システム400は、例えば、車両6の異常又は事故等の緊急時に電気回路60を遮断することで、モータ62と電池61との電気的な接続を遮断する。なお、対象物は、車両6以外であってもよく、例えば、家電製品、太陽光発電システム等が例示されるが、特に限定されない。
【0018】
図1に示すように、遮断システム400は、検知ユニット1と、遮断ユニット2と、制御ユニット3と、を備えている。
【0019】
遮断システム400のうち、検知ユニット1と遮断ユニット2とが、遮断装置200を構成する。
図2には、遮断装置200の回路構成の要部を示してある。
【0020】
また、遮断システム400のうち、検知ユニット1(のうちの少なくとも電流センサ4)と制御ユニット3とが、センサシステム300を構成する。
図3には、センサシステム300の回路構成の要部を示してある。
【0021】
図1、
図2に示すように、検知ユニット1と遮断ユニット2とは、電気的に接続される。また、
図1、
図3に示すように、検知ユニット1(の電流センサ4)と制御ユニット3とは、電気的に接続される。本開示において「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材から第2部材へ(及び/又は第2部材から第1部材へ)電気を流すことが可能なように、第1部材と第2部材とが直接又は第3部材を介して接続されることを意味する。
【0022】
(1.2)検知ユニット
図1、
図2に示すように、検知ユニット1は、電流センサ4と、フィルタ回路5と、を備えている。また、
図4、
図5に示すように、検知ユニット1は、コネクタ17と、基板18と、筐体19と、を更に備えている。
【0023】
(1.2.1)電流センサ
本実施形態の電流センサ4は、配線部材9を流れる電流Ibの変化を検出し、検出した電流Ibの変化に応じた信号を出力するセンサである。配線部材9は、例えばバスバー90を含む。バスバー90とは、大電流を流すための導電体であり、例えば銅等の金属製の板状又は棒状の部材である。配線部材9には、例えば電池61の放電時に、所定の向き(
図2の電流Ibの矢印の向き、
図5の電流Ibの向き;以下、「正の向き」とする)の電流Ibが流れる。
【0024】
図5に示すように、電流センサ4は、ヨーク40と、第1コイル41と、第2コイル42と、を備えている。
図5では、電流センサ4の検出対象である電流Ibが流れる配線部材9(バスバー90)を、一点鎖線(想像線)で示してある。
【0025】
ヨーク40は、磁性体で形成されている。ヨーク40は、筒状であり、ここでは角筒状である。ヨーク40は、例えば、それぞれ矩形板状の第1部材401、第2部材402、第3部材403、及び第4部材404を筒状に組み合わせて結合することで、形成される。以下では便宜上、第1部材401、第2部材402、第3部材403、第4部材404が位置する側を、それぞれ「上」、「下」、「左」、「右」ともいう。なお、ヨーク40は、筒状の単一の部材であってもよい。
【0026】
ヨーク40は、ヨーク40の軸方向(前後方向)に貫通する貫通孔409を有している。以下では便宜上、貫通孔409が貫通する方向を「前後方向」ともいう。
図5に示すように、貫通孔409には配線部材9(バスバー90)が通される。そのため、ヨーク40は、配線部材9と向かい合う内面405を有している。
【0027】
また、ヨーク40は第1部位406と第2部位407とを有している。第1部位406は、ヨーク40のうちで第1コイル41が設けられる部位である。第1部位406は、例えば第1部材401の一部である。また、配線部材9と向かい合う内面405は、第1部位406の一面(下面)である。第2部位407は、ヨーク40のうちで第2コイル42が設けられる部位である。第2部位407は、例えば第2部材402の一部である。
図5に示すように、第1部位406と第2部位407とは、貫通孔409(すなわち、貫通孔409に通されたバスバー90)を挟んで互いに反対側に位置している。
【0028】
図5に示すように、第1コイル41は、ヨーク40に設けられる。第1コイル41は、導電性を有する導線(例えば銅線)を第1部位406に巻き回すことで、形成されている。第1コイル41は、例えば、樹脂材料等の絶縁材料から形成されるボビン410を介して、第1部位406に設けられている。
【0029】
図2に示すように、第1コイル41は、第1端411及び第2端412を有している。第1コイル41の第1端411及び第2端412は、フィルタ回路5と電気的に接続される。例えば、第1コイル41の第1端411は、フィルタ回路5の第1入力端子511と電気的に接続され、第1コイル41の第2端412は、フィルタ回路5の第2入力端子512と電気的に接続される。
【0030】
上述のように、ヨーク40の貫通孔409には、配線部材9(バスバー90)が通される。配線部材9(バスバー90)に電流Ibが流れると、
図5に示すように、配線部材9(バスバー90)の周りに、電流Ibの向きに応じた向きの磁界H1が発生する。この磁界H1は、ヨーク40が形成する磁気回路内を通過し、第1コイル41内を通過する。第1コイル41を通過する磁束が変化すると、第1コイル41は誘導電流Icを発生させる。
【0031】
例えば、配線部材9(バスバー90)に過電流が流れると、第1コイル41を通過する磁界H1(磁束)が大きく変化し、第1コイル41は大きな誘導電流Icを発生させる。過電流とは、配線部材9に流れることが許容されている電流を超える電流であり、例えば短絡電流である。
【0032】
要するに、ヨーク40及び第1コイル41は、配線部材9(バスバー90)とともにトランスを構成する。一次巻線としての配線部材9(バスバー90)に流れる電流Ibが変化すると、コアとしてのヨーク40を通る磁束が変化し、二次巻線としての第1コイル41に誘導電流Icが流れる。電流センサ4は、この誘導電流Icを、電流Ibの変化に応じた信号として出力する。
【0033】
以下では、便宜上、配線部材9(バスバー90)を流れる正の向きの電流Ibによってヨーク40で発生する磁界H1の向き(
図5の磁界H1の向き)を、「第1向き」ともいう。すなわち、ヨーク40には、配線部材9(バスバー90)を流れる所定の向き(正の向き)の電流Ibに応じて、第1向きの磁界H1が発生する。そして、第1コイル41は、配線部材9(バスバー90)を流れる電流Ibにより発生する磁界H1によって、発電する。
【0034】
また、便宜上、配線部材9を流れる正の向きの電流Ibが増加する場合に、第1コイル41が発生させる誘導電流Icの向きを、「正の向き」とする。「正の向きの誘導電流Ic」は、ここでは、第1コイル41の第1端411からフィルタ回路5へ流れ出て、フィルタ回路5から第1コイル41の第2端412へと戻る向き(
図2の電流Icの矢印の向き)の電流である。
【0035】
図5に示すように、第2コイル42は、ヨーク40に設けられる。第2コイル42は、導電性を有する導線(例えば銅線)を第2部位407に巻き回すことで、形成されている。第2コイル42は、例えば、樹脂材料等の絶縁材料から形成されるボビン420を介して、第2部位407に設けられている。
【0036】
図3に示すように、第2コイル42は、第1端421及び第2端422を有している。第2コイル42の第1端421及び第2端422は、制御ユニット3と電気的に接続される。例えば、第2コイル42の第1端421は、制御ユニット3の第1接続端子311と電気的に接続され、第2コイル42の第2端422は、制御ユニット3の第2接続端子312と電気的に接続される。
【0037】
第2コイル42には、制御ユニット3から電流Iaが供給される。第2コイル42は、通電される(電流Iaが供給される)ことで、ヨーク40に磁界H2を発生させる。制御ユニット3から第2コイル42へ供給される電流Iaの向きは、第2コイル42がヨーク40内に、第1向きとは逆向きの第2向き(
図5の磁界H2の向き)の磁界H2を発生させる向きである。すなわち、第2コイル42は、通電されることで、第1向きとは逆向きの第2向きの磁界H2をヨーク40に発生させる。
【0038】
例えば、制御ユニット3が第2コイル42へ供給する電流Iaは、一定(定電流)である。一定の電流Iaが供給されることで、第2コイル42は、ヨーク40に一定の磁界H2(磁束)を発生させる。
【0039】
(1.2.2)電流センサの動作及び利点
本実施形態の電流センサ4の動作及びその利点について、
図6~
図9を参照して説明する。
【0040】
上述のように、配線部材9(バスバー90)には、所定の向きの電流Ibが流れる。ヨーク40では、この電流Ibによって、第1向きの磁界H1(磁束)が発生する。
【0041】
図6に、第2コイル42に電流Iaが供給されていない状態(以下、「非通電状態」ともいう)での、バスバー90を流れる電流Ibとヨーク40を通過する磁束密度Bとの関係の概略を表すグラフG1を示す。
【0042】
図6に示すように、電流Ibが比較的小さい領域A10(0A付近)では、磁束密度Bは、電流Ibに応じてほぼ線形に変化する。例えば、電流Ibの増加に伴い、磁束密度Bも線形に増加する。そのため、電流Ibが領域A10内で変化すると、第1コイル41は、磁束密度Bの変化(磁束の変化)に応じて誘導電流Icを発生させる。
【0043】
また、
図6に示すように、電流Ibが比較的大きな領域A11では、ヨーク40の磁気飽和のため、電流Ibによらず磁束密度Bはほぼ一定である。そのため、電流Ibが領域A11内で変化しても、第1コイル41を通過する磁束密度Bは変化せず、第1コイル41は誘導電流Icを発生させない。
【0044】
このように、非通電状態では、電流センサ4は、領域A10内(0A付近)の電流Ibの変化に対して信号(誘導電流Ic)を発生させる。すなわち、電流センサ4は、非通電状態では、領域A10内の電流Ibの変化に対して感度を有している、と言える。そのため、非通電状態は、例えば対象物としての車両6の停車時のような、配線部材9(バスバー90)に電流Ibが流れていない(0A付近の)状態で発生する過電流(
図7参照)の検出に、特に利用することができる。
【0045】
一方、第2コイル42に制御ユニット3から電流Iaが供給されている状態(以下、「通電状態」ともいう)では、電流Iaによって、ヨーク40内に第2向きの磁界H2が発生している。そのため、ヨーク40内の磁束は、バスバー90を流れる電流Ibによる第1向きの磁界H1による磁束と、第2コイル42を流れる電流Iaによる第2向きの磁界H2による磁束との、足し合わせ(互いに逆向きのため、大きさで言えば引き算)になる。
【0046】
図8に、通電状態での、バスバー90を流れる電流Ibとヨーク40を通過する磁束密度Bとの関係の概略を表すグラフG2を示す。
【0047】
図8に示すように、電流Ibが比較的小さい領域A21(電流Ibが第1所定値P1以下の領域)では、電流Iaによる磁界H2が電流Ibによる磁界H1よりも十分に大きく、電流Iaの磁界H2によってヨーク40が磁気飽和している。そのため、電流Ibが領域A21内で変化しても、第1コイル41を通過する磁束密度Bは変化せず、第1コイル41は誘導電流Icを発生させない。
【0048】
電流Ibが第1所定値P1に達すると、電流Iaの磁界H2によるヨーク40の磁気飽和が解消される。そして、電流Ibが第1所定値P1から第2所定値P2(第2所定値P2>第1所定値P1)までの領域A20では、磁束密度Bは、電流Ibに応じてほぼ線形に変化する。例えば、電流Ibの増加に伴い、磁束密度Bも線形に増加する。そのため、電流Ibが領域A20内で変化すると、第1コイル41は、磁束密度Bの変化(磁束の変化)に応じて誘導電流Icを発生させる。
【0049】
電流Ibが第2所定値P2以上の領域A22では、電流Ibによる磁界H1が電流Iaによる磁界H2よりも十分に大きくなり、電流Ibの磁界H1によってヨーク40が磁気飽和している。そのため、電流Ibが領域A22内で変化しても、第1コイル41を通過する磁束密度Bは変化せず、第1コイル41は誘導電流Icを発生させない。
【0050】
このように、通電状態では、電流センサ4は、領域A20(第1所定値P1~第2所定値P2の範囲)内の電流Ibの変化に対して信号(誘導電流Ic)を発生させる。すなわち、電流センサ4は、通電状態では、領域A20内の電流Ibの変化に対して感度を有している、と言える。そのため、通電状態は、例えば対象物としての車両6の走行時のような、配線部材9に一定の電流Ib(例えば第1所定値P1の電流Ib)が流れている状態で発生する過電流(
図9参照)の検出に、特に利用することができる。
【0051】
図6、
図8から分かるように、通電状態での電流Ibと磁束密度Bとの関係(
図8のグラフG2参照)は、非通電状態での電流Ibと磁束密度Bとの関係(
図6のグラフG1参照)と比較して、電流Ibの軸方向において所定値P0だけ正の方向にシフトした関係にある。所定値P0は、第2コイル42を流れる電流Iaによって発生する第2向きの磁界H2が、配線部材9(バスバー90)を流れる電流Ibによって発生する第1向きの磁界H1によって丁度打ち消される場合の、電流Ibの大きさに相当している。
【0052】
このように、本実施形態の電流センサ4では、配線部材9(バスバー90)に電流Ibが流れていない状態で発生する過電流については、電流Iaをオフして領域A10に感度を持たせることで精度良く検出することが可能である。また、電流Ibが流れている状態で発生する過電流については、電流Iaをオンして領域A20に感度を持たせることで精度良く検出することが可能である。すなわち、本実施形態の電流センサ4では、第2コイル42への電流Iaの入り切りを切り替える(非通電状態と通電状態とを切り替える)ことで、電流センサ4が感度を有する電流Ibの領域を、領域A10と領域A20との間で切り替えることができる。要するに、本実施形態の電流センサ4によれば、過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【0053】
(1.2.3)フィルタ回路
フィルタ回路5は、電流センサ4と電気的に接続される。
図2に示すように、フィルタ回路5は、電流センサ4の第1コイル41と電気的に接続される。
【0054】
図2に示すように、フィルタ回路5は、第1入力端子511と、第2入力端子512と、整流素子(ダイオード)52と、第1抵抗531と、第2抵抗532と、コンデンサ54と、第1スイッチング素子55と、第2スイッチング素子56と、第1接続端子571と、第2接続端子572と、を有している。
【0055】
ダイオード52は、電流センサ4の第1コイル41の両端と電気的に接続される。ダイオード52のカソードが第1コイル41の第1端411と電気的に接続され、ダイオード52のアノードが第1コイル41の第2端412と電気的に接続される。
【0056】
第1抵抗531は、ダイオード52の両端と電気的に接続されている。
【0057】
第1スイッチング素子55は、ダイオード52と電気的に接続されている。第1スイッチング素子55の第1端551は、ダイオード52のカソードと電気的に接続されている。第1スイッチング素子55の第2端552は、第2スイッチング素子56の第1端561と電気的に接続されている。
【0058】
第1スイッチング素子55は、例えばサイリスタを備える。サイリスタは、例えば双方向サイリスタである。第1スイッチング素子55は、パッケージされた素子であってよく、例えばサイダック(登録商標)であってもよい。
【0059】
第1スイッチング素子55は、第1スイッチング素子55の両端間(第1端551と第2端552との間)に印加される電圧の電圧値が第1値未満の場合、電流を(ほとんど)通さない。一方、第1スイッチング素子55は、第1値以上の電圧が印加されると、第1端551から第2端552へ向かって電流を流す。第1値は、例えば、サイダックとしての第1スイッチング素子55のブレークオーバー電圧である。
【0060】
コンデンサ54は、第1スイッチング素子55と電気的に接続されている。コンデンサ54の第1端は、第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されており、コンデンサ54の第2端は、ダイオード52のアノードと電気的に接続されている。コンデンサ54は、第1スイッチング素子55を通って流れる電流の電荷を蓄積する。
【0061】
第2抵抗532は、コンデンサ54の両端と電気的に接続されている。
【0062】
第2スイッチング素子56は、第1スイッチング素子55と電気的に接続されている。第2スイッチング素子56の第1端561は、第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されている。第2スイッチング素子56の第2端562は、第1接続端子571と電気的に接続されている。
【0063】
第2スイッチング素子56は、例えばサイリスタを備える。サイリスタは、例えば双方向サイリスタである。第2スイッチング素子56は、パッケージされた素子であってよく、例えばサイダックであってもよい。
【0064】
第2スイッチング素子56は、第2スイッチング素子56の両端間(第1端561と第2端562との間)に印加される電圧の電圧値が第2値未満の場合、電流を(ほとんど)通さない。一方、第2スイッチング素子56は、第2値以上の電圧が印加されると、第1端561から第2端562へ向かって電流を流す。第2値は、例えば、サイダックとしての第2スイッチング素子56のブレークオーバー電圧である。第2値は、例えば、第1値と同じか第1値よりも大きい。
【0065】
図2に示すように、フィルタ回路5は、整流素子(ダイオード)580を更に備えていてもよい。
図2に示すように、ダイオード580のアノードは、第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されており、これにより、第2スイッチング素子56を介して第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されている。また、ダイオード580のカソードは、第1接続端子571と電気的に接続されている。
【0066】
第1接続端子571は、第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されている。例えば、第1接続端子571は、ダイオード580を介して第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されている。第2接続端子572は、ダイオード52のアノードと電気的に接続されている。
【0067】
フィルタ回路5には、電流センサ4から、第1コイル41で発生した誘導電流Icが供給される。
【0068】
第1コイル41で発生した誘導電流Icが0又は比較的小さい場合、第1スイッチング素子55に印加される電圧の電圧値は第1値未満である。そのため、第1スイッチング素子55はオフに維持され、フィルタ回路5の外部には電流が流れない。
【0069】
一方、例えば配線部材9に短絡電流等の過電流が流れる等して、配線部材9に流れる電流Ibが大きく変化すると、第1コイル41は大きな誘導電流Icを発生させる。この誘導電流Icが第1抵抗531を流れると、第1スイッチング素子55に第1値以上の電圧が印加されて、第1スイッチング素子55がオンされる。これによりコンデンサ54が充電されて、コンデンサ54の両端電圧が増加する。そして、コンデンサ54の両端電圧が増加することにより、第2スイッチング素子56に第2値以上の電圧が印加されると、第2スイッチング素子56がオンされる。これにより、検知ユニット1から遮断ユニット2へ、電流Idが供給される。
【0070】
(1.2.4)筐体
筐体19は、例えば、中空の直方体状である。筐体19は、上面が開口した箱状の本体191と、本体191の開口上面を閉じる矩形板状の蓋材192と、を有している。筐体19は、ヨーク40、第1コイル41、第2コイル42、コネクタ17、及び基板18を、収容又は保持する。
【0071】
図4に示すように、筐体19には、貫通孔190が形成されている。貫通孔190は、筐体19を前後方向に貫通する。貫通孔190は、矩形の断面形状を有している。筐体19には、本体191の内部を貫通するように、前後方向に延びる矩形筒状の筒体193が設けられている。筒体193の内周面が、貫通孔190の内面に相当する。貫通孔190は、高さ寸法(上下方向の寸法)よりも幅寸法(左右方向の寸法)の方が大きい。
【0072】
ヨーク40は、貫通孔190を囲うように、筐体19の内部に配置される。ヨーク40の貫通孔409(
図5参照)内に、筐体19の筒体193が位置している。
【0073】
図4に示すように、貫通孔190には、バスバー90が通される。筐体19の貫通孔190にバスバー90が通されることで、ヨーク40の貫通孔409にバスバー90が通される。
【0074】
本実施形態の検知ユニット1では、筐体19に貫通孔190が形成され、貫通孔190を囲うようにヨーク40が設けられているため、貫通孔190にバスバー90を配置するだけで、バスバー90とヨーク40の内面405とを対向させることができる。
【0075】
コネクタ17には、第1接続端子571と、第2接続端子572と、が設けられている。コネクタ17は、筐体19の蓋材192から、第1接続端子571及び第2接続端子572が上方へ露出するように突出している。
【0076】
基板18は、矩形の板状である。基板18は、例えばプリント配線板である。基板18は、法線方向が上下方向(貫通孔190の貫通方向と交差する方向;コネクタ17の突出方向に沿った方向)を向くように、筐体19内に収容されている。
【0077】
基板18には、フィルタ回路5の回路部品(本実施形態では、ダイオード52、第1抵抗531、第2抵抗532、コンデンサ54、第1スイッチング素子55、及び第2スイッチング素子56を含む)が実装されている。基板18には、コネクタ17も実装されている。また、基板18には、回路部品同士等をつなぐ導体(パターン導体)が設けられている。第1コイル41の両端(第1端411及び第2端412)は、基板18のパターン導体とつながっている。
【0078】
(1.3)遮断ユニット
遮断ユニット2は、検知ユニット1と電気的に接続される。遮断ユニット2には、第1コイル41の発電した電力が供給される。
【0079】
図2、
図10に示すように、遮断ユニット2は、点火器21と、射出体22と、導電体23と、筐体24と、を備えている。筐体24は、点火器21、射出体22及び導電体23を保持又は収容する。
【0080】
点火器21の第1端211は、検知ユニット1の第1接続端子571と電気的に接続される。点火器21の第2端212は、検知ユニット1の第2接続端子572と電気的に接続される。これにより点火器21は、第1スイッチング素子55及び第2スイッチング素子56を介して、第1コイル41と電気的に接続される。点火器21には、第1コイル41の発電した電力による電流Idが、供給される。
【0081】
点火器21は、いわゆる電気式点火器である。
図10に示すように、点火器21は、発熱素子213と、火薬214と、を含んでいる。
【0082】
発熱素子213は、例えばニクロム線、又は鉄とクロムとアルミの合金線等である。発熱素子213は、点火器21の第1端211と第2端212との間に電気的に接続されている。発熱素子213は、発熱素子213に電流が流れることで熱を発生させる。
【0083】
図10に示すように、火薬214は、発熱素子213の周囲に配置されている。火薬214は、発熱素子213で発生した熱により点火される。発熱素子213には、第1コイル41で発生した電力による電流Idが流れるため、点火器21は、第1コイル41の発電した電力によって火薬214を点火可能に構成されている、と言える。
【0084】
点火器21では、火薬214が点火されると、火薬214が燃焼することにより大量のガスが発生する。発生したガスは、点火器21が収容されている筐体24の内部空間240へと、放出される。
【0085】
図10に示すように、射出体22は、筐体24の内部空間240に配置されている。射出体22は、筐体24の内部において、点火器21と導電体23との間の位置に配置されている。射出体22は、筐体24が備える保持部241に、保持されている。射出体22は、導電体23と向かい合うように保持部241に保持されている。保持部241は、ここでは筐体24の内側面であるが、筐体24の内側面から突出して射出体22を保持する突部等を有していてもよい。
【0086】
射出体22は、点火器21で発生したガスの圧力を受けて、保持部241から射出されて移動する。すなわち、射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて、移動する。
【0087】
保持部241から射出された射出体22は、導電体23へと向かって移動し、導電体23を押すことで導電体23を破断する。導電体23は、例えば、検知ユニット1の筐体19の貫通孔190に通されるバスバー90の、少なくとも一部である。そのため、射出体22は、点火された火薬214に応じて、導電体23(バスバー90)に向かって移動するよう構成されている。なお、筐体19の貫通孔190に通されるバスバー90は、導電体23とは別体であって導電体23と電気的に接続されている金属板であってもよいし、導電体23そのものであってもよい。
【0088】
要するに、本実施形態の遮断装置200では、配線部材9(バスバー90)に短絡電流が流れる等して配線部材9(バスバー90)に流れる電流Ibが大きく変化すると、第1コイル41の発電した電力が、遮断ユニット2へ供給される。これにより、遮断ユニット2が動作して、配線部材9を含む電気回路60を遮断することができる。
【0089】
(1.4)制御ユニット
図3に示すように、制御ユニット3は、電流センサ4の第2コイル42と電気的に接続される。制御ユニット3は、第2コイル42への通電を制御し、第2コイル42へ供給される電流Iaを制御する。制御ユニット3の一例は、対象物に搭載されている電池61を制御する制御装置(ジャンクションボックス)である。制御ユニット3の一例は、対象物としての車両6のECU(Electronic Control Unit)64(
図11参照)である。制御ユニット3は、電流センサ4に専用の処理装置(プロセッサ)であってもよい。
【0090】
図3に示すように、制御ユニット3は、制御部30を備えている。また、制御ユニット3は、第1接続端子311と第2接続端子312とを有している。
【0091】
図3に示すように、制御部30は、電圧源301と、スイッチ302と、マイコン303と、を備えている。
【0092】
電圧源301は、第1接続端子311と電気的に接続されている。
【0093】
スイッチ302は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチ302は、第2接続端子312とグランドとの間に電気的に接続されている。
【0094】
マイコン303は、スイッチ302のオンオフを制御する。本実施形態の制御ユニット3では、マイコン303によりスイッチ302がオンされると、電圧源301から、第2コイル42へ電流Iaが供給される。
【0095】
制御部30は、スイッチ302をオンオフすることで、第2コイル42に電流Iaが供給されている状態(通電状態)と、第2コイル42に電流Iaが供給されていない状態(非通電状態)と、を切り替えることができる。すなわち制御部30は、電流センサ4の第2コイル42の通電を制御する。また、制御部30は、第2コイル42が第2向き(配線部材9を流れる電流Ibが発生させる磁界H1の向きと逆向き)の磁界H2を発生するように、第2コイル42を通電させる。
【0096】
制御部30が第2コイル42の通電を制御することで、「(1.2.2)電流センサの動作及び利点」の欄で説明したように、電流センサ4が感度を有する電流Ibの領域を、領域A10(
図6参照)と領域A20(
図8参照)との間で切り替えることができる。
【0097】
制御部30は、配線部材9への電流Ibの供給が開始される前に、第2コイル42の通電を開始するとよい。例えば、配線部材9への電流Ibの供給の開始時に第2コイル42が既に通電されていると、電流センサ4が領域A20の電流Ibに感度を有している(領域A21の電流Ibに感度を有していない)状態になっていて、0A付近の電流Ibの変動を検出しにくい。そのため、電流センサ4が突入電流を過電流として検出してしまう事態が、防止される。
【0098】
例えば、制御部30が、配線部材9を流れる電流Ibの供給を制御するように構成されていて、制御部30が、配線部材9への電流Ibの供給を開始する前に、第2コイル42の通電を開始する構成であってもよい。他にも、制御部30は、電流Ibの供給を制御する制御装置から受け取った信号(電流Ibの供給の開始予定を示す信号)に基づいて、第2コイル42の通電を開始する構成であってもよい。
【0099】
図3に示すように、制御ユニット3は、ダイオード32と、抵抗33と、コンデンサ34と、を更に備えている。
【0100】
ダイオード32と抵抗33とコンデンサ34とは、第1接続端子311と電圧源301とをつなぐ高電位側の電路と第2接続端子312とスイッチ302とをつなぐ低電位側の電路との間に、互いに電気的に並列に接続されている。そのため、抵抗33とコンデンサ34との並列回路が、第2コイル42の両端間に電気的に接続される。
【0101】
ダイオード32は、フリーホイールダイオードである。
【0102】
ここで、スイッチ302がオフからオンされると、第2コイル42に流れる電流Iaが(0から0より大きな値に)変化し、この電流Iaの変化に起因するヨーク40内の磁束の変化に応じて、第1コイル41が誘導電流Icを発生させる場合がある。抵抗33とコンデンサ34との並列回路は、ヨーク40内での磁束の変化を和らげることで、この誘導電流Icを低減するために、設けられている。
【0103】
すなわち、抵抗33とコンデンサ34との並列回路には、スイッチ302がマイコン303によってオンされた際に、電圧源301からの電流の一部が流れこむ。そのため、抵抗33とコンデンサ34との並列回路が設けられていることで、第2コイル42に突入電流が流れるのが抑制される。これにより、スイッチ302がオンされた際に第2コイル42を流れる電流Iaの変化によって生じる、ヨーク40内の磁束の変化を、和らげることができる。
【0104】
また、スイッチ302がオンに維持されて電圧源301から電流が供給されている定常時において、電圧源301からの電流の供給が多少変動しても、その変動は、コンデンサ34の充放電によって吸収され得る。すなわち、抵抗33とコンデンサ34との並列回路が設けられていることで、第2コイル42を流れる電流Iaの、定常時における変動が抑制される。これにより、定常時でのヨーク40内の磁束の変化を和らげることができる。
【0105】
なお、ダイオード32、抵抗33、及びコンデンサ34のうちの少なくとも一つは、制御ユニット3ではなく電流センサ4に設けられていてもよい。すなわち、電流センサ4が、第2コイル42の両端間に電気的に接続されるダイオード32を備えていてもよいし、第2コイル42の両端間に電気的に接続される抵抗33とコンデンサ34との並列回路を備えていてもよい。或いは、ダイオード32、抵抗33、及びコンデンサ34のうちの少なくとも一つは、制御ユニット3及び電流センサ4とは別体に設けられていてもよい。
【0106】
(1.5)車両
上述のように、遮断システム400は、例えば、対象物としての車両6に搭載される。車両6は、例えば、電動車両、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車等であり得る。
【0107】
図11に示すように、車両6は、遮断装置200(検知ユニット1及び遮断ユニット2)と、電池61と、配線部材9と、モータ62と、制御部30と、を備えている。
【0108】
モータ62は、配線部材9を介して電池61と電気的に接続される。
【0109】
また、配線部材9はバスバー90を含む。バスバー90は、例えば検知ユニット1の筐体19の貫通孔190に通されており、ヨーク40の内面405(
図5参照)と向かい合う。
【0110】
制御ユニット3は、例えば車両6のECU64であって、制御部30はECU64に備えられている。制御部30は、配線部材9を流れる電流Ibの供給及び第2コイル42の通電を制御する。
【0111】
車両6では、電池61とモータ62との間(すなわち配線部材9)に過電流が流れると、遮断装置200の第1コイル41が発電した電力によって、火薬214が点火される。
【0112】
そして、遮断装置200の遮断ユニット2の射出体22は、点火された火薬214に応じてバスバー90(ここでは導電体23)に向かって射出されて移動して、電池61とモータ62との電気的な接続を遮断する。これにより、車両6の事故又は電気回路60の漏電等の異常時に、遮断ユニット2を動作させて、電気回路60を強制的に遮断することが可能となる。
【0113】
本実施形態の車両6では、
図11に示すように、配線部材9のバスバー90(導電体23)は、射出体22と向かい合う可動部231と、可動部231が押し当てられる固定部232と、を有する。射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて移動し、可動部231が固定部232から離れる向きに可動部231を押圧する。すなわち、
図11の例では、バスバー90は、射出体22によって破断されるわけではなく、射出体22に押されて可動部231が固定部232から離れることで、バスバー90を含む電気回路60が遮断される。
【0114】
(2)変形例
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。上記の実施形態及び以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下の各変形例の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する場合がある。
【0115】
本開示における遮断システム400は、制御部30等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部30としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0116】
また、制御部30における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。制御部30の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御部30における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御部30の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0117】
(2.1)変形例1
本変形例では、
図12に示すように、電流センサ4が、永久磁石43を更に備えている。永久磁石43は、ヨーク40が形成する磁気回路に挿入されている。永久磁石43の磁界H3は、ヨーク40を通る。
【0118】
永久磁石43は、例えば、第2コイル42が設けられる第2部位407に、配置される。例えば、
図12に示すように、ヨーク40の第2部材402が、それぞれ矩形板状の第1半体4021と第2半体4022とに分割されていて、第1半体4021と第2半体4022との間に矩形板状の永久磁石43が配置されてもよい。本変形例では第1半体4021と第2半体4022とは物理的につながっていないが、つながっていてもよい。
【0119】
永久磁石43は、例えば、永久磁石43の少なくとも一部(ここでは全部)が第2コイル42の内側に位置するように設けられてもよいし、永久磁石43の全体が第2コイル42の外側に位置するように設けられてもよい。
【0120】
永久磁石43の磁界H3の向きは、ここでは、第2コイル42が発生させる磁界H2の向きと同じ向き(すなわち第2向き)である。逆に言えば、第2コイル42は、通電されることで、永久磁石43がヨーク40に発生させる磁界H3の向きと同じ向きの磁界H2を、ヨーク40に発生させる。
【0121】
図13に、本変形例の電流センサ4において、バスバー90を流れる電流Ibとヨーク40を通過する磁束密度Bとの関係の概略を表すグラフG3,G4を示す。グラフG3は、非通電状態での関係を示すグラフである。グラフG4は、通電状態での関係を示すグラフである。
【0122】
図13のグラフG3に示すように、本変形例の電流センサ4では、非通電状態では、電流Ibが領域A30内で変化すると、第1コイル41が誘導電流Icを発生させる。電流Ibが領域A31内で変化しても、第1コイル41は誘導電流Icを発生させない。
【0123】
また、
図13のグラフG4に示すように、通電状態では、電流Ibが領域A40内で変化すると、第1コイル41が誘導電流Icを発生させる。電流Ibが領域A41内又は領域A42内で変化しても、第1コイル41は誘導電流Icを発生させない。
【0124】
図6のグラフG1と
図13のグラフG3との比較から分かるように、本変形例の電流センサ4は、永久磁石43が無い上記実施形態の電流センサ4の場合と比べて、非通電状態において感度を有する電流Ibの領域が高電流側へシフト(領域A10から領域A30へと変化)している。また、
図8のグラフG2と
図13のグラフG4との比較から分かるように、本変形例の電流センサ4は、永久磁石43が無い上記実施形態の電流センサ4の場合と比べて、通電状態においても、感度を有する電流Ibの領域が高電流側へシフト(領域A20から領域A40へと変化)している。
【0125】
このように、本変形例の電流センサ4では、上記実施形態の電流センサ4に比べて、感度を有する電流Ibの領域を高電流側へシフトさせることができる。そのため、本変形例の電流センサ4では、例えば、実施形態の電流センサ4と比較して、より高電流側の電流Ibに感度を持たせやすくなる。また、より小さな電流Iaを第2コイル42に供給するだけで、同じ領域に感度を持たせることが可能となる。
【0126】
なお、
図13のグラフG3にも示すように、永久磁石43の磁界H3の大きさは、永久磁石43の磁界H3だけではヨーク40が磁気飽和しない(電流Ibが0の状態ではヨーク40が磁気飽和しない)程度であってよい。
【0127】
(2.2)変形例2
フィルタ回路5において、第1スイッチング素子55は、単方向サイリスタ553を備えていてもよい。例えば
図14Aに示すように、単方向サイリスタ553のアノードが第1スイッチング素子55の第1端551と電気的に接続され、単方向サイリスタ553のカソードが第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されている。
【0128】
例えば、第1スイッチング素子55は、
図14Aに示すように、ダイオード554と、ツェナーダイオード555と、抵抗556と、コンデンサ557と、を更に備えている。ダイオード554とツェナーダイオード555との直列回路が、単方向サイリスタ553のアノードとゲートとの間に電気的に接続されている。ダイオード554とツェナーダイオード555とのカソード同士が、電気的に接続されている。抵抗556とコンデンサ557との並列回路が、単方向サイリスタ553のゲートとカソードとの間に電気的に接続されている。
【0129】
また、第2スイッチング素子56は、単方向サイリスタ563を備えていてもよい。例えば
図14Bに示すように、単方向サイリスタ563のアノードが第2スイッチング素子56の第1端561と電気的に接続され、単方向サイリスタ563のカソードが第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されている。
【0130】
例えば、第2スイッチング素子56は、
図14Bに示すように、ダイオード564と、ツェナーダイオード565と、抵抗566と、コンデンサ567と、を更に備えている。ダイオード564とツェナーダイオード565との直列回路が、単方向サイリスタ563のアノードとゲートとの間に電気的に接続されている。ダイオード564とツェナーダイオード565とのカソード同士が、電気的に接続されている。抵抗566とコンデンサ567との並列回路が、単方向サイリスタ563のゲートとカソードとの間に電気的に接続されている。
【0131】
(2.3)その他の変形例
一変形例において、制御部30は、配線部材9を流れる電流Ibの大きさに応じて、第2コイル42が発生させる第2向きの磁界H2の大きさ(すなわち、領域A20の領域A10からのシフト量;所定値P0の大きさ)を変化させてもよい。第2コイル42が発生させる第2向きの磁界H2の大きさを変化させる構成としては、例えば、電圧源301から第2コイル42へ電流を供給する電流経路に可変抵抗を設ける構成(抵抗33を可変抵抗としてもよい)等が挙げられる。なお、遮断システム400が車両6に設置されている場合、制御部30(ECU64)は、例えば、上り坂の走行時と下り坂の走行時と平地の走行時とで、第2コイル42が発生させる磁界H2の大きさを変化させてもよい。すなわち、上り坂の走行時のように大きなトルクが必要な場合には、配線部材9に流れる電流Ibが相対的に大きくなるので、制御部30は、磁界H2が大きくなるように電流Iaを大きくしてもよい。また、下り坂の走行時には、配線部材9に流れる電流Ibが相対的に小さくなるので、制御部30は、磁界H2が小さくなるように電流Iaを小さくしてもよい。
【0132】
一変形例において、第2コイル42に供給される電流Iaは、制御ユニット3以外の部材、例えば電流センサ4が制御してもよい。例えば、電流センサ4は、配線部材9に流れる電流Ibの大きさを検出し、検出した電流Ibの大きさに応じた大きさの電流Iaを第2コイル42に供給してもよい。
【0133】
一変形例において、フィルタ回路5は、第1スイッチング素子55と第2スイッチング素子56とのいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0134】
一変形例において、フィルタ回路5は、整流素子(ダイオード580)を備えていなくてもよい。
【0135】
一変形例において、第1スイッチング素子55及び第2スイッチング素子56の少なくとも一方は、サイダック以外のスイッチング素子、例えばダイアック等であってもよい。
【0136】
一変形例において、検知ユニット1の筐体19には、貫通孔190の代わりに凹部が形成されていてもよい。凹部は、例えば、筐体19の左面に、前後に延びる溝状に形成されてもよい。この場合、ヨーク40は、凹部を囲うように筐体19に設けられてもよい。例えば、ヨーク40は、凹部の上側面、下側面、及び右側面を三方から囲うように、筐体19内に配置されてもよい。
【0137】
一変形例において、電流センサ4、遮断装置200、及びセンサシステム300は、それぞれ単独で用いられてもよい。
【0138】
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0139】
第1の態様の電流センサ(4)は、ヨーク(40)と、第1コイル(41)と、第2コイル(42)と、を備える。ヨーク(40)は、所定の向きの電流(Ib)が流れる配線部材(9)と向かい合う内面(405)を有する。第1コイル(41)は、ヨーク(40)に設けられる。第1コイル(41)は、配線部材(9)を流れる電流(Ib)により発生する第1向きの磁界(H1)によって発電する。第2コイル(42)は、ヨーク(40)に設けられる。第2コイル(42)は、通電されることで、第1向きとは逆向きの第2向きの磁界(H2)をヨーク(40)に発生させるためのコイルである。
【0140】
この態様によれば、過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【0141】
第2の態様の電流センサ(4)は、第1の態様において、ヨーク(40)が形成する磁気回路に挿入された永久磁石(43)を更に備える。
【0142】
この態様によれば、過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【0143】
第3の態様の電流センサ(4)では、第2の態様において、永久磁石(43)は、第2向きの磁界(H2)と同じ向きの磁界(H3)をヨーク(40)に発生させる。
【0144】
この態様によれば、過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【0145】
第4の態様の電流センサ(4)では、第1~第3のいずれか一つの態様において、ヨーク(40)は、配線部材(9)が通される貫通孔(409)を有する筒状である。
【0146】
この態様によれば、貫通孔(409)に配線部材(9)を通すだけで、ヨーク(40)の内面(405)と配線部材(9)とを向かい合わせることが可能となる。
【0147】
第5の態様の電流センサ(4)は、第1~第4のいずれか一つの態様において、第2コイル(42)の両端間に電気的に接続される、抵抗(33)とコンデンサ(34)との並列回路を更に備える。
【0148】
この態様によれば、ヨーク(40)内での磁束の変化を和らげることが可能となる。
【0149】
第6の態様のセンサシステム(300)は、第1~第5のいずれか一つの態様の電流センサ(4)と、第2コイル(42)の通電を制御する制御部(30)と、備える。
【0150】
この態様によれば、制御部(30)により第2コイル(42)の通電を制御することで、電流センサ(4)が過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【0151】
第7の態様のセンサシステム(300)では、第6の態様において、制御部(30)は、配線部材(9)への電流(Ib)の供給が開始される前に、第2コイル(42)の通電を開始する。
【0152】
この態様によれば、電流センサ(4)が突入電流を過電流として検出してしまう事態が、防止される。
【0153】
第8の態様のセンサシステム(300)では、第6又は第7の態様において、制御部(30)は、配線部材(9)を流れる電流(Ib)の大きさに応じて、第2コイル(42)が発生させる第2向きの磁界(H2)の大きさを変化させる。
【0154】
この態様によれば、過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【0155】
第9の態様の遮断装置(200)は、第1~第5のいずれか一つの態様の電流センサ(4)と、遮断ユニット(2)と、を備える。遮断ユニット(2)には、第1コイル(41)の発電した電力が供給される。遮断ユニット(2)は、点火器(21)と、射出体(22)と、を有する。点火器(21)は、火薬(214)を含み、第1コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)を点火可能に構成されている。射出体(22)は、点火された火薬(214)に応じて射出されて移動する。
【0156】
この態様によれば、過電流を検出する電流の領域が適切に設定された電流センサ(4)を備える遮断装置(200)を提供することが可能となる。
【0157】
第10の態様の車両(6)は、第9の態様の遮断装置(200)と、電池(61)と、配線部材(9)と、モータ(62)と、制御部(30)と、を備える。モータ(62)は、配線部材(9)を介して電池(61)と電気的に接続される。制御部(30)は、配線部材(9)を流れる電流(Ib)の供給及び第2コイル(42)の通電を制御する。車両(6)では、電池(61)とモータ(62)との間に過電流が流れると、第1コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)が点火される。射出体(22)は、点火された火薬(214)に応じて配線部材(9)に向かって射出されて移動して、電池(61)とモータ(62)との電気的な接続を遮断するように構成されている。
【0158】
この態様によれば、車両(6)に設けられた遮断装置(200)の電流センサ(4)が過電流を検出する電流の領域を、適切に設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0159】
200 遮断装置
2 遮断ユニット
21 点火器
214 火薬
22 射出体
300 センサシステム
30 制御部
33 抵抗
34 コンデンサ
4 電流センサ
40 ヨーク
405 内面
409 貫通孔
41 第1コイル
42 第2コイル
43 永久磁石
6 車両
61 電池
62 モータ
9 配線部材
H1 磁界
H2 磁界
H3 磁界
Ib 電流