(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172652
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20241205BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04Q9/00 341Z
G05B19/05 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090504
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】522124150
【氏名又は名称】cynaps株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】岩屋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由治
【テーマコード(参考)】
5H220
5K048
【Fターム(参考)】
5H220AA10
5H220BB10
5H220CC07
5H220HH01
5H220JJ06
5H220JJ12
5H220JJ26
5H220KK06
5K048AA05
5K048AA15
5K048BA08
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB06
5K048EB10
5K048EB12
5K048GC06
(57)【要約】
【課題】1モジュール化した新規な小型PLCを開発し、PLCの置換えや後付けで新規のPLCを設置可能な遠隔制御システムを提供する。
【解決手段】管理対象の拠点内又は拠点外に設置された制御手段と、管理対象の拠点内設置PLCユニットと、PLCユニットによってインバータ等を介して接続されシーケンス制御される被動力装置とを備えた遠隔制御システムであって、PLCユニットは、無線アンテナと、無線通信を行うLTE通信モジュールと、近接無線通信モジュールと、外部のセンサからのアナログ信号を入力するAD変換器と、AD変換器で変換されたデジタル信号を所定の計算条件を定義する計算テーブルに基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成する信号処理手段と、アナログ信号を変換出力するDA変換器と、から構成され、制御手段は、PLCユニットと、無線通信又は近接無線通信ネットワークにより計算テーブルを設定するようにした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の拠点内又は拠点外に設置された制御手段と、管理対象の拠点内に設置されたPLCユニットと、前記PLCユニットによってインバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器を介して接続されシーケンス制御される被動力装置とを備え、通信ネットワークを介して遠隔制御を行う遠隔制御システムであって、
前記PLCユニットは、
無線アンテナと、
前記無線アンテナを介して無線通信を行うLTE通信モジュールと、
前記無線アンテナを介して近接無線通信を行う近接無線通信モジュールと、
外部のセンサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器と、
前記AD変換器により変換されたデジタル信号を予め定められた計算条件を定義する計算テーブルに基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成する信号処理手段と、
前記信号処理手段により自動生成されたデジタル制御信号をアナログ信号に変換するDA変換器と、から構成され、
前記制御手段は、
前記PLCユニットと、無線通信又は近接無線通信のネットワークに接続され、前記無線通信又は前記近接無線通信により前記計算テーブルを設定し、設定された計算テーブルに基づいて前記インバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器による遠隔制御を行うことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、無線端末又はクラウド上に備えられていることを特徴とする請求項1記載の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記クラウド上に備えられ、
前記クラウドは、
更に前記インバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器による遠隔制御を行う人工知能(AI)と、
前記無線通信又は近接無線通信のネットワーク経由で外部情報を収集するデータ収集手段と、を有し、
前記人工知能(AI)が前記データ収集手段により収集された外部情報又は前記PLCユニットに記憶された入力情報の変化に基づいて設定された計算テーブルの計算条件を設定変更し、前記信号処理手段は、新たな更新デジタル制御信号を自動生成することを特徴とする請求項2記載の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記PLCユニットは、更に電磁接触器を有し、前記信号処理手段は予め定められた判定条件を定義する判定テーブルに基づいて前記電磁接触器を動作させ、前記被動力装置の動作をオン/オフすることを特徴とする請求項1記載の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記計算テーブルは、前記無線端末又はクラウド経由で遠隔で変更することを特徴とする請求項2記載の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記判定テーブルは、前記無線端末又はクラウド経由で遠隔で変更することを特徴とする請求項4記載の遠隔制御システム。
【請求項7】
前記外部のセンサは、汎用IoTセンサであることを特徴とする請求項1記載の遠隔制御システム。
【請求項8】
前記PLCユニットは、通信ネットワーク切断時又はスケジュール運転時に、前記PLCユニットのみによる前記インバータによる電力制御を行うことを特徴とする請求項1記載の遠隔制御システム。
【請求項9】
管理対象の拠点内又は拠点外に設置された制御手段と、管理対象の拠点内に設置されたPLCユニットと、前記PLCユニットによってインバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器を介して接続されシーケンス制御される被動力装置とを備え、通信ネットワークを介して遠隔制御を行う遠隔制御システムであって、
前記PLCユニットは、
無線アンテナと、
前記無線アンテナを介して無線通信を行うLTE通信モジュールと、
前記無線アンテナを介して近接無線通信を行う近接無線通信モジュールと、
外部のセンサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器と、
前記AD変換器により変換されたデジタル信号を予め定められた計算条件を定義する計算テーブルに基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成する信号処理手段と、
前記信号処理手段により自動生成されたデジタル制御信号をアナログ信号に変換するDA変換器と、から構成され、
前記PLCユニットを第1のPLCユニットと第2のPLCユニットとの2台構成とし、
前記制御手段は、上記拠点外のクラウドに設置され、前記第1のPLCユニットと、前記第2のPLCユニットとは無線通信のネットワークを介して前記クラウドに接続され、
前記第1のPLCユニットのAD変換器のデジタル信号出力を前記クラウドに送信し、受信した前記AD変換器のデジタル信号出力に対して前記クラウドは、無線端末から受信した計算条件又は判定条件に基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成して前記第2のPLCユニットに出力し、受信した前記第2のPLCユニットのDA変換器により前記デジタル制御信号をアナログ信号に変換することを特徴とする遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御システムに関し、特に管理対象の拠点内に設けられた自動制御のためのプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を管理対象の拠点外から通信ネットワークを介して遠隔制御を行うのに好適な遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な被制御対象機器、例えば被動力装置などがプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)を介して接続され、PLCの自動制御により活用されている。PLCのことを、シーケンサと呼ぶこともある。使用される被動力装置は、インバータを介して接続される場合もある。
【0003】
ここで、活用されているPLC(又はシーケンサ)はプログラム可能であり、被制御対象機器の制御の種類に応じて、入力用PLC、出力用PLC、入出力PLCなどの形態を採っている。これらのPLCは、アナログ入力端子、デジタル入力端子、入力リレー接点端子、アナログ出力端子、デジタル出力端子、出力リレー接点端子などを備えている。これらの入力端子には、各種センサが接続されている。例えば、被動力装置が換気装置の場合は、PLCはセンサから室温や湿度などを検出して、出力端子から制御信号を出力し、被動力装置としての換気装置の自動制御を行うことになる。
【0004】
また、被動力装置が空調機に冷水を供給するポンプの場合は、
図16(a)に示すように、PLCが無ければ、ポンプ152の回転数を100%で制御し、空調機151の冷房制御などを行う。このような制御では、無駄な電力が使用されるので、電気代が高くなる。省エネのために、
図16(b)に示すように、ポンプ152にインバータ154を設置し、ポンプの回転数を60%程度に落として空調機151に冷水を供給して冷房制御などを行う。このような制御システムでは、制御の柔軟性が低いので、
図17(a)に示すように、制御システムを構成し、モータ161にPLC164を設置してインバータを導入し、ポンプの出入口配管に簡単に取り付けられ回転数調整つまみ167をセットするだけで、8段階にモータ161の回転数を切替え、電動機出力を変化させて、省エネを達成するものがある。ここで、運転ランプ168と異常警告ランプ169が備えられている。
【0005】
上記したようなPLCは設置時に、一旦制御条件を設定すると、無駄に電力消費されるか、現場にサービスエンジニアが出向いて調整するか、管理者が手動で変更するしかなかった。
【0006】
図18にホテルの部門構成と使用形態の特徴を示す。
図18に示すように、シティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテルなどの種類によって部屋の使用され方が異なる。また、使用時間帯も24時間使用から午前10時~20時など、使用時間帯も異なり、部屋の面積も大中小と異なるので、エネルギー消費原単位も異なる。このような部屋の換気を考えた場合は、省エネを考慮すると、例えば宴会場・催事場(大~小)や屋内駐車場など換気場所によってPLCの自動制御を変更できることが理想的である。
【0007】
しかしながら、古いホテルなどでは、ホテル新築時に一旦設定してしまうと変更が難しいという問題がある。例えば、時代とともに、宴会場の活用の仕方が変化したり、屋内駐車場などでは、電気自動車が増加したような駐車環境では、換気の考え方や設定された制御条件が現状に合わなくなってくる。
【0008】
そこで、新しい換気設備に変更しようとすると、電気室から数百メートルの配線を引く必要があったり、古いPLCは遠隔制御対応になっていないので、PLCの制御条件を変更するためには、サービスエンジニアが現場に出向く必要が発生する。
【0009】
これらの問題を解決するため、例えば、特許文献1に記載のように、管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムが提案されている。この遠隔制御システムは、管理対象領域外のサーバ上に仮想PLCを実現したものであり、領域内の信号変換手段(IoTデバイス)は新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号を記憶した内容で被制御機器を制御するシステムである。
【0010】
近年、建築構造物の空調機器の操作手段として、スマートフォン等の通信機器を介して操作するための制御用プログラムが開発されている。例えば、特許文献2には、通信ネットワークに接続可能なリモート端末によりダウンロードされた制御用プログラムを用いて、空気調和機等の制御対象機器の制御を行う機器制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2020-53789号公報
【特許文献2】特開2004-289505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1では、インバータを介して接続された被動力装置をPLCにより制御することについては開示がない。また、上記特許文献1では、管理対象の領域内の信号変換手段と、領域外の制御手段との通信が遮断された場合に、信号変換手段は前回の記憶内容で被制御機器を制御するとあるが、不十分であった。例えば換気の場合、前回の遠隔制御の指示値が50%運転のときに通信遮断が起きると、そのまま50%運転をし続けることになる。しかし、その後室内の人が増えて換気量が不足した時、そのままでは二酸化炭素濃度が高まり過ぎて危険な状態になる。
【0013】
上記特許文献1では、セキュリティ対策として書き換え不能にしたとあるが、このようなセキュリティ対策であると、制御プログラムに問題が見つかった時に、結局、現地へエンジニアが行かなければならなくなる。
【0014】
特許文献2に開示された技術を用いて換気装置を制御する場合、換気装置が通信ネットワークを介して様々な要求を受けるために、通信ネットワークに常時接続されている必要がある。このため、例えば建築物に既設であり、リモート端末の接続に対応していない換気装置については、制御の対象とすることができない。また、換気装置の種類(換気扇・ダンパー・空気調和機など)によって対応する制御用プログラムが異なる場合、複数の制御用プログラムを手配する必要があり、管理が煩雑となる懸念がある。
【0015】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、インバータを介して接続された被動力装置を備えた被制御機器をPLCで自律制御を行うときに、通信ネットワーク対応の新規なPLCを開発し、通信ネットワーク非対応のPLCの置き換え可能とし、PLCが無い箇所に後付けで新規のPLCを設置可能とし、新規なPLCの遠隔監視、割込み制御、設定変更の自由度を高めた遠隔制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明に係る遠隔制御システムは、管理対象の拠点内又は拠点外に設置された制御手段と、管理対象の拠点内に設置されたPLCユニットと、前記PLCユニットによってインバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器を介して接続されシーケンス制御される被動力装置とを備え、通信ネットワークを介して遠隔制御を行う遠隔制御システムであって、前記PLCユニットは、無線アンテナと、前記無線アンテナを介して無線通信を行うLTE通信モジュールと、前記無線アンテナを介して近接無線通信を行う近接無線通信モジュールと、外部のセンサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器と、前記AD変換器により変換されたデジタル信号を予め定められた計算条件を定義する計算テーブルに基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成する信号処理手段と、前記信号処理手段により自動生成されたデジタル制御信号をアナログ信号に変換するDA変換器と、から構成され、前記制御手段は、前記PLCユニットと、無線通信又は近接無線通信のネットワークに接続され、前記無線通信又は前記近接無線通信により前記計算テーブルを設定し、設定された計算テーブルに基づいて前記インバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器による遠隔制御を行うことを特徴とする。
【0017】
第2発明に係る遠隔制御システムは、第1発明において、前記制御手段は、無線端末又はクラウド上に備えられていることを特徴とする。
【0018】
第3発明に係る遠隔制御システムは、第2発明において、前記制御手段は前記クラウド上に備えられ、前記クラウドは、更に前記インバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器による遠隔制御を行う人工知能(AI)と、前記無線通信又は近接無線通信のネットワーク経由で外部情報を収集するデータ収集手段と、を有し、前記人工知能(AI)が前記データ収集手段により収集された外部情報又は前記PLCユニットに記憶された入力情報の変化に基づいて設定された計算テーブルの計算条件を設定変更し、前記信号処理手段は、新たな更新デジタル制御信号を自動生成することを特徴とする。
【0019】
第4発明に係る遠隔制御システムは、第1発明において、前記PLCユニットは、更に電磁接触器を有し、前記信号処理手段は予め定められた判定条件を定義する判定テーブルに基づいて前記電磁接触器を動作させ、前記被動力装置の動作をオン/オフすることを特徴とする。
【0020】
第5発明に係る遠隔制御システムは、第2発明において、前記計算テーブルは、前記無線端末又はクラウド経由で遠隔で変更することを特徴とする。
【0021】
第6発明に係る遠隔制御システムは、第4発明において、前記判定テーブルは、前記無線端末又はクラウド経由で遠隔で変更することを特徴とする。
【0022】
第7発明に係る遠隔制御システムは、第1発明において、前記外部のセンサは、汎用IoTセンサであることを特徴とする。
【0023】
第8発明に係る遠隔制御システムは、第1発明において、前記PLCユニットは、通信ネットワーク切断時又はスケジュール運転時に、前記PLCユニットのみによる前記インバータによる電力制御を行うことを特徴とする。
【0024】
第9発明に係る遠隔制御システムは、管理対象の拠点内又は拠点外に設置された制御手段と、管理対象の拠点内に設置されたPLCユニットと、前記PLCユニットによってインバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器を介して接続されシーケンス制御される被動力装置とを備え、通信ネットワークを介して遠隔制御を行う遠隔制御システムであって、前記PLCユニットは、無線アンテナと、前記無線アンテナを介して無線通信を行うLTE通信モジュールと、前記無線アンテナを介して近接無線通信を行う近接無線通信モジュールと、外部のセンサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器と、前記AD変換器により変換されたデジタル信号を予め定められた計算条件を定義する計算テーブルに基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成する信号処理手段と、前記信号処理手段により自動生成されたデジタル制御信号をアナログ信号に変換するDA変換器と、から構成され、前記PLCユニットを第1のPLCユニットと第2のPLCユニットとの2台構成とし、前記制御手段は、上記拠点外のクラウドに設置され、前記第1のPLCユニットと、前記第2のPLCユニットとは無線通信のネットワークを介して前記クラウドに接続され、前記第1のPLCユニットのAD変換器のデジタル信号出力を前記クラウドに送信し、受信した前記AD変換器のデジタル信号出力に対して前記クラウドは、無線端末から受信した計算条件又は判定条件に基づいて演算し、デジタル制御信号を自動生成して前記第2のPLCユニットに出力し、受信した前記第2のPLCユニットのDA変換器により前記デジタル制御信号をアナログ信号に変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
第1発明~第9発明によれば、インバータ又は電磁開閉器若しくは電磁接触器を介して接続された被動力装置を備えた被制御機器をPLCで自律制御を行うときに、通信ネット―ワーク対応の新規なPLCを開発し、通信ネットワーク非対応のPLCの置き換え可能とし、PLCが無い箇所に後付けで新規のPLCを設置可能とし、新規なPLCの遠隔監視、割込み制御、設定変更の自由度を高めた遠隔制御システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1を示す遠隔制御システムにおけるPLCユニットの基本構成図である。
【
図2】
図2は、
図1のPLCユニットの詳細ブロック構成図である。
【
図4】
図4は、PLCユニットのACアダプタ接続例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態における設定テーブル例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の遠隔制御システムの原理的な説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の遠隔制御システムにおける人工知能(AI)制御フローを示す図である。
【
図9】
図9(a)は、クラウド経由でPLCユニットの計算式と判定式を通信する遠隔制御システムの概略構成図である。
図9(b)は、汎用IoTセンサからの入力をクラウド上で演算する遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図10】
図10は、クラウド上で信号変換器の計算判定処理を行う遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態の遠隔制御システムにおける遠隔制御フローチャートである。
【
図12】
図12は、
図7のPLCユニットが2台構成の遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図13】
図13は、本発明を適用したホテルの共用部分の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明を適用したホテルの共用部分で使用される空調設備における遠隔制御システム構成図である。
【
図15】空調設備がエアハンドリングユニット(外調機)における遠隔制御の具体例を示す図である。
【
図16】
図16(a)は、従来の被動力装置が空調機に冷水を供給するポンプの例を示す図である。
図16(b)は、
図16(a)のポンプにインバータを導入した例を示す図である。
【
図17】
図17(a)は、ポンプにインバータを導入した時のコントローラの設置概要図である。
図17(b)は、
図17(a)のコントローラの回転数調整つまみの一例を示す図である。
【
図18】
図18は、ホテルの部門構成と使用形態の特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用して例示した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<実施形態1>
本実施形態1の遠隔制御システムは、1つのPLCユニットにPLC機能及び遠隔通信機能をまとめて、汎用のPLCユニットを開発し、管理対象内にその汎用のPLCユニット1つを設置し、管理対象の拠点内又は拠点外に設置された制御手段(例えば、無線端末又はクラウド上に備えられたクラウドサーバ)から無線通信又は近接無線通信によりセンサからのアナログ入力信号を設定テーブルの計算条件(計算式)に基づいて制御信号を自動生成し、アナログ出力信号を出力するようにした。これにより、PLCの制御信号を生成するためのプログラム開発工数を削減することができる。また、1つのPLCユニットにPLC機能と複数の通信機能をモジュール化したので、システムの簡素化が図れ、小規模な遠隔制御システムを簡単に構築でき、システム開発費の削減、システムメンテナンスの柔軟性の向上も図れる。本実施形態1の遠隔制御システムでは、1つのPLCユニットにPLC機能及び遠隔通信機能をまとめて、汎用のPLCユニットを構成したが、LTE通信モジュールを別体として構成し、近接無線通信機能を備えた低コスト化を図り、設置箇所の環境に応じてシステム構築を柔軟に変更するように構成しても良い。
【0029】
図1は、本発明の実施形態1の遠隔制御システムに使用される小型のPLCユニットの基本構成図である。以下、
図1を用いてPLCユニットの原理的な説明を行う。
【0030】
小型のPLCユニットは、
図1に示すように、図中点線部にPLCユニットのメイン部の構成を示し、電磁接触器を有する。すなわち、PLCユニットは、AD変換器25と、Wi-Fi(登録商標)/BT通信機能付きSoC24と、LTE通信モジュール22と、DA変換器26と、電磁接触器27と、を有する。
【0031】
このPLCユニットは、外部のセンサ(図示せず)からのアナログ入力信号xを、AD変換器25でデジタル信号に変換し、その変換されたデジタル信号を予め定められた計算条件を定義する計算テーブルに基づいて演算し、信号処理手段としてのSoC24によりデジタル制御信号を自動生成し、SoC24により自動生成されたデジタル制御信号を、DA変換器26でアナログ信号に変換し、アナログ出力信号yするように構成した。また、SoC24の出力信号を予め定められた判定条件を定義する判定テーブルにより条件判定を行い、電磁接触器27より接点出力信号zを出力するように構成している。そして、LTE通信モジュール22により無線通信のクラウド上の制御手段としてのクラウドサーバ(図示省略)やSoC24のWi-Fi(登録商標)通信機能により拠点内の無線端末(図示省略)から遠隔制御により、計算テーブルや判定テーブルの設定、更新、削除などの処理を行うことができる。ここで、クラウドはパブリッククラウドやプライベートクラウドを利用することができる。また、パブリッククラウドとしては、AWS(Amazon Web Services)(登録商標)クラウドサービス、Azure(登録商標)クラウドサービス、Google(登録商標)Cloudサービスなどを利用することができる。これらのパブリッククラウドを利用する場合は、ユーザにクラウドサービス契約をしてもらい、クラウドサービス上で登録したユーザ管理を行うように構成しても良い。
【0032】
図2は、
図1のPLCユニットの詳細ハードウェアブロック構成図である。ここで、GPIOは、General-purpose input/outputの略で、「汎用入出力」を意味する。UARTは、Universal Asynchronous Receiver/Transmitterの略で、シリパラ/パラシリ変換回路を意味する。SPIは、Serial Peripheral Interfaceの略で、SoC24とAD変換
器25a、25bやLAN部33との通信インタフェースである。
【0033】
本実施形態1のPLCユニットは、
図2に示すように、LTE通信用の無線アンテナ21と、LTE通信モジュール22と、Wi-Fi(登録商標)通信用の近接無線通信アンテナ23と、近接無線通信機能付きのSoC24と、AD変換器25a、25bと、DA変換器26と、電磁接触器27と、電源スイッチ28と、電源モードキー29と、LED30と、USBコントローラ31と、USB-C端子32と、LAN部33と、LANコネクタ34と、シリアル通信部35と、シリアル通信用のRS485コネクタ36と、を有する。その他の端子類としては、2つのアナログ入力端子と、1つのアナログ出力端子と、2つのデジタル入力端子と、1つのデジタル出力端子と、電源端子と、を備えている。電源端子は、図示を省略しているが、AC商用電源をACアダプタ接続し、直流電源を供給する電源部を有している。
【0034】
無線アンテナ21は、LTE通信用の無線アンテナであり、管理対象の拠点外の制御手段から上記したPLCユニットの遠隔制御を行うための送受信アンテナである。
【0035】
LTE通信モジュール22は、SIMスロット(図示省略)に挿入されたSIMカードを介してモバイル携帯ネットワークに接続するためのモジュールである。CAT-M通信モジュール規格を使用することができる。SIMカードとしては、マイクロSIM、ナノSIMなどが使用できる。
【0036】
近接無線通信アンテナ23は、Wi-Fi(登録商標)通信用のアンテである。図示を省略しているが、ブルートゥース(登録商標)通信用のアンテナを備え、ブルートゥース(登録商標)通信を行っても良い。
【0037】
近接無線通信機能付きのSoC24は、System-on-a-Chipを意味し、CPU、DSP、チップセット、Wi-Fi(登録商標)通信又はブルートゥース(登録商標)通信機能を内蔵している。また、
図2中、Wi-Fi(登録商標)通信のみを図示しているが、ブル
ートゥース(登録商標)通信を行っても良い。
【0038】
AD変換器25a、25bは、外部センサからの入力アナログ信号をデジタル信号に変換する。これにより、SoC24での信号処理が可能となる。
【0039】
DA変換器26は、計算テーブルで変換されたデジタル制御信号をアナログ制御信号に変換する。AD変換器25a、25bとDA変換器26とでアナログ-アナログ変換を行い、制御信号のプログラム開発工数を削減することができる。
【0040】
電磁接触器27は、接点信号を出力し、例えば空調換気用のダクトに設置されたダンパの開閉制御などを行うために使用される。
【0041】
電源スイッチ28は、PLCユニットの電源をON/OFFを行う。
【0042】
電源モードキー29は、電源モードが3モードあり、それぞれを切り替えるキーである。
【0043】
LED30は、電源ステータスの3色表示を行う表示器である。
【0044】
USBコントローラ31は、USBインタフェース用のコントローラである。
【0045】
USB-C端子32は、USB-TYPECのコネクタ端子である。
【0046】
LAN部33は、管理対象の拠点内において、無線端末等をLAN接続するためのイーサネット接続のコントローラである。
【0047】
LANコネクタ34は、LANケーブルをLAN部33に接続するためのR-45コネクタである。
【0048】
シリアル通信部35は、R485等のシリアル通信コントローラである。
【0049】
RS485コネクタ36は、シリアル通信部35に接続するためのものである。MODBUSに接続することもできる。
【0050】
【0051】
PLCユニットの外観は、
図3に示すように、アンテナ端子側にはアナログ入力端子、アナログ出力端子、RS485端子が配置されており、その反対側は電源端子、デジタル入力端子、デジタル出力端子、LANコネクタが配置され、2WAY方式を採用している。PLC制御の柔軟性を確保するために、2WAY方式を採用した。アナログ端子側には、アナログ絶縁回路を配置し、EMIノイズ低減を図っている。ESP32は、SoCチップである。右側面のアンテナ近傍にUSB-C端子を配置している。LTE通信用のSIMスロットを配置し、SIMカードの挿入可能となっている。
【0052】
図3に示すPLCユニット(モジュール)1つでPLCの遠隔制御を可能としているので、既存システムの置き換えや、新規設置の際にも狭スペース空間に設置可能である。制御盤(図示省略)の隙間に設置することができる。例えば制御盤外に設置したり、制御盤内にPLUユニットを取り付け、アンテナを外部に引き出し、設置したりすることができる。PLCユニット内に電源を内蔵すると、装置が大きくなるので、電源はACアダプタ方式を採用している。この例を
図4に示す。
【0053】
図5にPLCユニットの設定テーブルの例を示す。ここで、設定テーブルは、複数の設定項目(設定1、設定2、設定3、設定4・・・)と入力チャンネル、条件(計算又は判定)、条件式(計算式又は判定式)と出力先(アナログ出力又は接点出力)などから構成される。これらの項目に限定されない。
【0054】
例えば、設定1の項目を見ると、アナログ入力1の入力チャンネルで、計算条件の条件式を計算式=2x+3となっている。すなわち、アナログ入力1の値を単純に計算式=2x+3の計算を行い、アナログ出力1に出力することを意味している。これにより、アナログ入力値を単純な演算を行い、アナログ出力を行うので、プログラム開発が不要となる。また、シンプルな計算式で制御信号を生成するので、遠隔制御による設定、更新、変更などが容易になる。
【0055】
また、設定3の項目を見ると、アナログ入力1の入力チャンネルで、判定条件の条件式を判定式=x≧10mAとなっている。すなわち、アナログ入力1の値を単純に判定式x≧10mAの判定を行い、接点出力1に出力することを意味している。これにより、アナログ入力値を単純な判定を行い、接点出力を行うので、プログラム開発が不要となる。
【0056】
図6に
図5の設定テーブルを用いてアナログ入力の計算や判定を行い、制御信号を生成する例を示す。
【0057】
例えば、アナログ信号変換器61の入力がx=5mAであるとすると、設定1の場合、計算器62の計算式はy=2x+3となり、計算器62で計算すると、y=2*5mA+3=13mAとなる。さらに、判定器64、設定3の判定式を適用して、x≧10mAとなるので、アナログ信号変換器66の出力をx≧10mA→20mAを強制出力するような遠隔制御を行うことができる。また、スマートフォン(以下、スマホという)やPC、タブレットなどの端末5からPLCクラウド8に接続し、計算式63や判定式65の更新や変更を行うことができる。判定器64において、x≦10mAのとき、High(or ON)を出力し、z=High(or ON)の出力zを出力するように制御することができる。
【0058】
上記実施形態1において、PLCユニットは、アナログ入力のためのアナログ入力端子、AD変換器、およびデジタル入力のためのデジタル入力端子を備えていたが、アナログ入力端子、AD変換器、およびデジタル入力端子を省略し、PLCユニットによる遠隔出力制御を行うように構成しても良い。
【0059】
<実施形態2>
<実施形態2:遠隔制御システム:1台構成:自律制御>
図7は、実施形態1の遠隔制御システムの概略構成図を示す。
【0060】
実施形態1の遠隔制御システムは、
図7に示すように、センサ1と、PLCユニット2と、インバータ3と、被動力装置4と、端末5と、人工知能(AI)6と、外部情報7と、PLCクラウド8と、インターネット基地局9と、を有する。実施形態2のPLUユニット2は、実施形態1のPLCユニット2と同一のものであるので、詳細については説明を省略する。ここで、PLCユニット2は、上述した一体化されたものであるが、LTE通信モジュールを別体構成としても良い。
【0061】
<実施形態1:遠隔制御システム:構成の説明>
センサ1は、PLCユニット2(
図2、
図3を参照)の各種入力端子に接続され、計測情報、動作情報、環境情報等を検出する。計測情報は、装置の動作に関する動作情報、装置で計測された前記装置の周辺の環境情報、装置で消費される電力に関する電力情報などである。
【0062】
動作情報は、例えば被動力装置が空調機器の場合、設定温度、タイマの設定状態、風向及び風量の情報、稼働時間、累積稼働時間、フィルタ使用時間、及び温度又は湿度のセンサ情報などである。動作情報の付加情報としては、装置に関して、ユーザに知らせるための動作ログ又はエラー情報、並びに、サービスエンジニアに知らせるための動作ログ又はエラー情報などである。
【0063】
環境情報は、温度、湿度、照度、気圧、速度、加速度、角速度、角加速度、音、又は匂いに関する情報、前記装置の周辺空間における人の在否、紫外線量、赤外線量、又は受信電波強度の情報などである。環境情報の付加情報としては、前記装置としてスマートPLCに設けられたセンサで検知された物理量に関する情報である。
【0064】
図7の例では、センサ1は1台しか記載されていないが、各種制御の内容に合わせて複数のセンサを備えていても良い。また、
図7の例では、PLCユニットにインバータが接続されているが、インバータの代わりにPLCユニットに電磁開閉器又は電磁接触器が接続され、さらに電磁開閉器又は電磁接触器が被動力装置に接続される構成とし、設定された計算テーブルに基づいて電磁開閉器又は電磁接触器による遠隔制御を行うように構成しても良い。ネットワーク切断時やスケジュール運転時はPLCユニットのみで制御を行う構成とし、100%運転を行うように構成しても良い。PLCユニットがインバータを介して被動力装置に接続して制御する場合は、省エネ効果も奏することができる。
【0065】
PLCユニット2は、
図2に示すような構成からなり、センサ1の入力信号を受信し、各種出力端子からの制御信号を出力する。
【0066】
インバータ3は、インバータ周波数制御を行い、省エネを実現する。
【0067】
被動力装置4は、インバータ3の制御により出力を可変させて被動力装置4の自律制御を行う。
【0068】
端末5は、スマホ、タブレット、PCなどであり、システム管理者やエンジニアによりスマートPLCの監視や操作を行う。端末5とPLCユニット2との通信方式は、無線マルチホップ、Wi-Fi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Ethernet(登録商標)などでも良い。赤外線通信や制御部と一体型でも良い。
【0069】
人工知能(AI:Artificial Intelligence)6は、PLCクラウド8を経由して制御信号を出力し、PLCユニット2の遠隔制御を行う。例えば、人工知能(AI)6は、制御条件の自動変更、自動割込み制御、特定条件下でのアラート通知などを行う。人工知能(AI)6の制御は、端末5を介してシステム管理者やエンジニアが行う構成としても良い。
【0070】
PLCクラウド8は、クラウドベースで人工知能(AI)6や端末5により遠隔監視や割込み制御、制御条件の設定変更を行うプラットフォームである。クラウドベースのシステムを採用することにより、どこからでもブラウザベースで遠隔制御を行うこともできる。なお、十分なセキュリティ対策を施しておく必要がある。
【0071】
インターネット基地局9は、Wi-Fi(登録商標)、LTE、5G、LoRaなどの通信を行う基地局である。
【0072】
<人工知能(AI)制御フロー>
図8は、実施形態1の遠隔制御システムにおける人工知能(AI)制御フローを示している。
【0073】
入力されたアナログ信号を符号化ステップ71で符号化し、判定ステップ72で人工知能(AI)による自動判定を行う。演算ステップ73により、例えば入力信号の1/2になるような信号を演算して生成する。判定ステップ72において、エラーが出たときは、異常時動作定数を設定し、記録ステップ75で記録する。正常のときは、演算結果を記録ステップ75で記録し、記録したデータを復号化ステップ76で復号化し出力を1/2にしたアナログ信号を出力する。このアナログ信号は1/2の制御信号としてPLCクラウド8からインターネット基地局9を経由して管理対象のPLCユニット2、インバータ3の出力を1/2に可変させて被動力装置4の消費電力を低下させる。
【0074】
図9(a)は、PLCユニット1台でのクラウド型遠隔制御システムの概略構成図である。
図9(b)は、PLCユニット2台でのクラウド型遠隔制御システムの概略構成図である。
【0075】
図9(a)は遠隔制御システムをクラウドベースで構築し、PLCユニット2をPLCクラウド8を介して接続し、スマホやPCなどの端末5の制御により計算式や判定式をPLCクラウド8から提供し、計算・判定処理を行うように構成したものである。PLCユニット2には、インバータ3を介して被動力装置(例えば、空調機器等)4が接続されている。PLCユニット2はインバータ制御を介して動力装置を遠隔制御できるので、省エネ効果も奏するものである。
【0076】
図9(b)は遠隔制御システムをクラウドベースで構築し、汎用IoTセンサ1aからの入力信号をPLCクラウド8に接続し、スマホやPCなどの端末5の制御により計算式や判定式をPLCクラウド8に提供し、PLCクラウド8上で計算・判定処理を行うように構成したものである。PLCクラウドからの出力をPLCユニット2に入力する。PLCユニット2にはインバータ3が接続されており、さらに動力装置(図示省略)が接続されている。PLCユニット2の出力はインバータ3に入力され、汎用IoTセンサ1aのセンサ出力に応じて動力装置の回転速度を調整するような遠隔制御が可能となる。例えば、動力装置が空調機器(例えば、送風機、還風機)である場合、部屋のCO2(二酸化炭素)濃度や温湿度に応じてファンの回転速度を調整することができる。
【0077】
図10は、PLCユニット2台でのクラウド型遠隔制御システムの概略構成図である。
図10は、クラウドベースの計算/判定処理はクラウド8上で行う構成とし、入力信号を信号変換器91で符号化を行い、クラウド8上で計算/判定処理を行い、信号変換器92で復号化を行い、出力信号を出力する。この出力信号をインバータ3に入力し、インバータ制御を介した動力装置(図示省略)の省エネによる遠隔制御が可能となるので、昨今の電気代の節約も達成できる。システム管理者やエンジニアは、スマホ、PC、タブレットなどの端末5を介してクラウド8に接続してクラウド8内の設定値を設定、更新することができる。
図11に
図10の制御信号生成フローチャートを示す。すなわち、まず、入力信号の符号化ステップを実行する(ステップ1001)。次に、符号化された入力信号に対して計算/判定処理を行う(ステップ1002)。計算/判定結果を復号化して出力信号を生成する(ステップ1003)。次に、出力信号を出力端子より出力する(ステップ1004)。
【0078】
図12は、
図7のPLCユニットが2台構成の遠隔制御システムを示している。
図12の例では、PLCユニット2aと2bとなっている以外の構成は、
図7と同様であるので、説明を省略し、相違点について説明する。
【0079】
<実施形態3:遠隔制御システム:2台構成:遠隔制御>
図12の遠隔制御システムは、2台のPLCユニット2a、2bを用いて、トランシーバのようにセンサ1と被動力装置との間をPLCクラウド8を通じて遠隔で接続することができる。また、PLCクラウド8から出力信号を直接指定して遠隔制御することができる。インターネットから切断されたときに自動的に自律制御に戻ることができる。人工知能(AI)による自動監視/通知/制御を行うことができる。実施形態3のPLUユニット2は、実施形態1のPLCユニット2と同一のものであるので、詳細については説明を省略する。
【0080】
<ホテル共用部分の空調機器に本発明を適用した具体例>
図13にホテルの共用部分の施設例を示す。ホテルの共用部分には、ロビー、エントランス・ホール、風除室、廊下、エレベーター・ホール、エスカレーター、階段、客室トイレなどがあり、空調エリアの面積は大きく、空調機器は24時間稼働することが基本である。従って、効率的な空調機器の運用を実施しないと、エネルギーコストが高くなるという問題がある。このようなケースにおいて、本発明を適用した具体例について説明する。
【0081】
図14は、本発明を適用したホテルの共用部分で使用される空調設備における遠隔制御システム構成図である。
図15は、
図14の空調設備がエアハンドリングユニット(外調機)における遠隔制御の具体例を示す図である。以下、
図14、
図15を用いて、ホテルの共用部分における空調機器の遠隔制御について説明する。
【0082】
空調機器の遠隔制御システムは、
図14、
図15に示すように、PLCユニット40a、40b(
図14ではスマートシーケンサとも称する)と、CO2センサ41a、41bと、温湿度センサ42a、42bと、排気ダンパ43と、還気ダンパ44と、外気ダンパ45と、インバータ46,47と、送風機48と、還風機49と、クラウド50と、外部情報51と、端末52と、給気ダクト53と、還気/排気ダクト54と、LTEルーター55、56と、を有する。ここで、実線矢印はアナログ信号、点線矢印は接点又はパルス信号を示している。
図15の空調エリアには、CO2センサ41a、41bや温湿度センサ42a、42bが所定箇所に設置されており、LTEルーター55と56を介してPLCユニット40a、40bと無線通信又は近接無線通信ネットワークで接続されている。センサ自身が通信可能な汎用IoTセンサなどでも良い。PLCユニット40aは遠隔制御したい機器の近くに設置されており、排気ダンパ43と還気ダンパ44と外気ダンパ45とアナログ信号線で接続されており、ダンパの開閉率司令信号(アナログ電流4-20mA)によりCO2濃度に応じて開閉率を調整することができる。また、PLCユニット40bの出力側は、インバータ46、47に接続されており、更にそれぞれ還風機49、送風機48に接続された構成をしている。そして、PLCユニット40bとインバータ46、47とはアナログ信号線又は接点信号線で接続されており、インバータへの周波数司令信号(アナログ電流4-20mA)や発停司令信号(接点信号)によりCO2濃度に応じて還風機49や送風機48の回転速度を調整することができる。これらの接続は、無線通信又は近接無線通信ネットワークによりシステムを構築できるので、電気室への配線問題は生じない。
【0083】
PLCユニット40a、40bと、クラウド50との間は、無線通信(LTE通信)又は近接無線通信(Wi-Fi(登録商標)通信)で無線通信ネットワーク接続されている。クラウド50上のクラウドサーバなどには、PLC制御用のアプリがインストールされており、PLCユニット40a、40bに対して遠隔制御を行うことができる構成となっている。また、クラウド50上のデータベースに外部情報51が蓄積されている。外部情報としては、気象情報(リアルタイム情報)、外気温湿度情報、監視カメラ情報などである。監視カメラは、直接PLCユニットに接続されていても良く、また直接接続されていない監視カメラの画像や映像でも良い。システム管理者やエンジニアは、端末52の遠隔制御によりクラウド50経由で、ホテルの共用部分の遠隔監視、遠隔制御、設定などの操作部を操作して行うことができる。
【0084】
上述した実施形態1、2及び3において、セキュリティ認証処理を搭載した他の実施形態について説明する。
【0085】
<他の実施形態:遠隔制御システム:セキュリティ認証>
無線端末やクラウドとしての制御手段と、上述したようなPLCユニットとの間の無線通信は、公知の秘密鍵による公開鍵方式により暗号化する方式をセキュリティ認証に用いる。また、電子証明書なども利用し、汎用IoTデバイスや各種デバイスなどの登録を行い、セキュリティチェックを行うように構成しても良い。
【0086】
このように、他の実施形態において、セキュリティ認証技術を搭載することにより、システムの安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 センサ
1a 汎用IoTセンサ
2、2a、2b PLCユニット
3 インバータ
4 被動力装置
5 端末(無線端末)
6 人工知能(AI)
7 外部情報
8 PLCクラウド
9 インターネット基地局
21 無線アンテナ(LTE通信用)
22 LTE通信モジュール
23 近接無線通信アンテナ(Wi-Fi(登録商標)通信用)
24 SoC
25、25a、25b AD変換器
26 DA変換器
27 電磁接触器
28 電源スイッチ
29 電源モードキー
30 LED
31 USBコントローラ
32 USB-C端子
33 LAN部
34 LANコネクタ
35 シリアル通信部
36 RS485コネクタ
40a、40b PLCユニット(スマートシーケンサ)
41a、41b CO2センサ
42a、42b 温湿度センサ
43 排気ダンパ
44 還気ダンパ
45 外気ダンパ
46、47 インバータ
48 送風機
49 還風機
50 クラウド
51 外部情報
52 端末
53 給気ダクト
54 還気/排気ダクト
55、56 LTEルーター
61 アナログ信号変換器
62 計算器
63 計算式
64 判定器
65 判定式
66 アナログ信号変換器
67 デジタル信号出力器
71 符号化ステップ
72 判定ステップ
73 演算ステップ
74 異常時動作定数
75 記録ステップ
76 復号化ステップ
91、92 信号変換器
151 空調機
152 ポンプ
153 冷凍機
154 インバータ
161 モータ
162 ボックス
163 ケーブル
164 PLC
165 ケーブル
166 制御盤
167 つまみ
168 運転ランプ
169 停止ランプ
1001 符号化ステップ
1002 計算/判定処理ステップ
1003 出力信号生成ステップ
1004 出力ステップ