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特開2024-172655設計支援システム、及び設計支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172655
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】設計支援システム、及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090509
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】望月 義則
(72)【発明者】
【氏名】大津 智宏
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA02
3C223AA05
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF04
3C223FF05
3C223FF12
3C223FF22
3C223FF23
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異なるスケールでそれぞれ実施される成果物の生成のプロセスにおいて、適切な品質の成果物を得るためのプロセス設計を行う。
【解決手段】空間領域に分布する原料に対してプロセスが行われた場合の各位置の状態の情報に基づき空間領域における状態の不均一性を表す値を算出し、その値に基づき、プロセス後の状態の不均一性を表すデータが出力される状態分布モデル108を生成し、設定したプロセス設計パラメータの値を状態分布モデル108に入力することにより、そのプロセス後の状態の不均一性を表すデータの値を取得し、そのデータの値から特定した、取
り得る状態を表す各データを品質予測モデル105に入力することにより成果物の品質パラメータを取得し、各品質パラメータに基づき、成果物の品質が所定範囲に収まるようにプロセス設計パラメータの値を変更する設計支援システム1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態を表すデータ、及び前記状態にて原料に対して行われるプロセスを表すデータが入
力され、前記プロセスの後に前記原料から得られる成果物の品質を表すデータが出力され
る品質予測モデルを記憶する記憶装置、及び、
空間領域に分布する原料に対してプロセスが行われた場合の前記空間領域の各位置の状
態の情報を取得し、取得した各情報に基づき前記空間領域における状態の不均一性を表す
値を算出し、算出した不均一性を表す値と、前記プロセスを規定するデータとに基づき、
空間領域に存在する原料に対して行われるプロセスを規定するデータであるプロセス設計
パラメータが入力され、前記プロセスの実行中ないし実行後の当該空間領域における状態
の不均一性を表すデータが出力される状態分布モデルを生成する状態分布モデル構築処理
と、
前記プロセス設計パラメータの値を設定し、設定したプロセス設計パラメータの値を前
記状態分布モデルに入力することにより、前記設定したプロセス設計パラメータの値が示
すプロセスの実行中ないし実行後の、前記値を設定したプロセス設計パラメータに係る空
間領域における状態の不均一性を表すデータの値を取得する状態分布モデル実行処理と、
前記取得した、空間領域における状態の不均一性を表すデータの値から、前記空間領域
において取り得る状態を複数特定し、特定した各状態を表す各データと、前記設定したプ
ロセス設計パラメータの値とを前記品質予測モデルに各前記状態について入力することに
より、前記設定したプロセス設計パラメータの値が示すプロセスの後において前記原料か
ら得られる成果物の品質パラメータをそれぞれ取得する製造品質予測処理と、
前記取得した各品質パラメータに基づき、前記原料から得られる成果物の品質が所定範
囲に収まるように、前記設定したプロセス設計パラメータの値を変更するパラメータ探索
処理とを実行する制御装置
を備える設計支援システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記状態分布モデル構築処理において、前記プロセス設計パラメータ
として、前記原料の構成、前記プロセスに使用される装置の仕様、又は、前記プロセスに
使用される装置の運転条件、の少なくともいずれかが入力される状態分布モデルを生成す
る、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記状態分布モデルにおける前記プロセス設計パラメータに係るプロ
セスよりも小規模に行われるプロセスに係る品質予測モデルを記憶する
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記パラメータ探索処理において、前記取得した各状態の品質パラメ
ータに基づき、前記成果物の品質のばらつき及び前記品質が所定の範囲にある確率を算出
し、算出したばらつき及び確率の情報を出力する、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記パラメータ探索処理において、前記取得した各状態の各品質パラ
メータに基づき、前記原料から得られる成果物の品質が所定範囲に収まりかつ所定の制約
を満たすように、前記設定したプロセス設計パラメータの値を変更し、前記プロセス設計
パラメータの値を変更した場合の、前記成果物の品質の範囲に関する情報を出力する、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項6】
前記記憶装置は、空間領域に分布する原料に対して行われるプロセスを規定するデータ
が入力され、前記プロセスの実行中ないし実行後の前記空間領域の各位置の状態が出力さ
れる空間プロセスモデルを記憶し、
前記制御装置は、
空間領域に分布する原料に対して行われるプロセスの内容を設定し、前記設定したプロ
セスの内容を前記空間プロセスモデルに入力することにより、前記設定したプロセスの実
行中ないし実行後の前記空間領域の各位置の状態を取得する空間プロセスモデル実行部と

前記取得した空間領域の各位置の状態に基づき、前記不均一性を表す値を算出し、算出
した不均一性を表す値と、前記空間プロセスモデルに入力したプロセスの内容を表すデー
タとに基づき、前記状態分布モデルを生成する状態分布モデル構築処理
を実行する、請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項7】
所定の空間領域を有し、原料に所定の条件において所定のプロセスを行うことが可能な
容器をさらに含んで構成され、
前記制御装置は、前記状態分布モデル構築処理において、前記所定のプロセスの実行中
ないし実行後の前記容器の空間領域の各位置の状態に基づき、前記不均一性を表す値を算
出し、算出した不均一性を表す値と、前記所定のプロセスの内容を表すデータとに基づき
、前記状態分布モデルを生成する
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記状態分布モデル構築処理において、ガウス過程回帰により状態分
布モデルを生成する、請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記状態分布モデル構築処理において、
前記変更したプロセス設計パラメータが示すプロセスを前記原料に対して行わせること
により得られた前記成果物の品質のデータを取得し、取得した品質のデータに基づき、前
記行わせたプロセスを規定する新たなデータを生成し、生成した新たなデータと、前記算
出した不均一性を表す値とに基づき、前記状態分布モデルを再生成する、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記再生成した状態分布モデルに基づき、前記設定したプロセス設計
パラメータの値をさらに変更する、請求項9に記載の設計支援システム。
【請求項11】
前記プロセスは前記原料に対して行わせる反応プロセスを含む、請求項1に記載の設計
支援システム。
【請求項12】
前記制御装置は、空間領域に分布する原料の反応プロセスを規定するデータが入力され
、前記反応プロセスの実行中ないし実行後の前記空間領域の各位置の原料の状態が出力さ
れる空間プロセスモデルを生成する空間プロセスモデル構築処理を実行する、
請求項6に記載の設計支援システム。
【請求項13】
前記記憶装置は、前記原料の構成を表すデータがさらに入力される品質予測モデルを記
憶し、
前記制御装置は、
前記製造品質予測処理において、前記原料の構成を表すデータをさらに前記品質予測モ
デルに各前記状態について入力することにより、前記成果物の品質パラメータを前記各状
態について取得し、
前記パラメータ探索処理において、前記設定したプロセス設計パラメータの値及び前記
原料の構成を変更する、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項14】
制御装置と、状態を表すデータ、及び前記状態にて原料に対して行われるプロセスを表
すデータが入力され、前記プロセスの後に前記原料から得られる成果物の品質を表すデー
タが出力される品質予測モデルを記憶する記憶装置とを備える情報処理装置による設計支
援方法であって、
前記制御装置が、
空間領域に分布する原料に対してプロセスが行われた場合の前記空間領域の各位置の状
態の情報を取得し、取得した各情報に基づき前記空間領域における状態の不均一性を表す
値を算出し、算出した不均一性を表す値と、前記プロセスを規定するデータとに基づき、
空間領域に存在する原料に対して行われるプロセスを規定するデータであるプロセス設計
パラメータが入力され、前記プロセスの後の当該空間領域における状態の不均一性を表す
データが出力される状態分布モデルを生成する状態分布モデル構築処理と、
前記プロセス設計パラメータの値を設定し、設定したプロセス設計パラメータの値を前
記状態分布モデルに入力することにより、前記設定したプロセス設計パラメータの値が示
すプロセスの後の、前記値を設定したプロセス設計パラメータに係る空間領域における状
態の不均一性を表すデータの値を取得する状態分布モデル実行処理と、
前記取得した、空間領域における状態の不均一性を表すデータの値から、前記空間領域
において取り得る状態を複数特定し、特定した各状態を表す各データと、前記設定したプ
ロセス設計パラメータの値とを前記品質予測モデルに各前記状態について入力することに
より、前記設定したプロセス設計パラメータの値が示すプロセスの後において前記原料か
ら得られる成果物の品質パラメータを前記各状態について取得する製造品質予測処理と、
前記取得した各品質パラメータに基づき、前記原料から得られる成果物の品質が所定範
囲に収まるように、前記設定したプロセス設計パラメータの値を変更するパラメータ探索
処理とを実行する
設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援システム、及び設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学産業ないし素材産業では、製品の開発開始から量産に至るまでに段階的に技術検討
を行う。具体的には、(1) ラボ実験、(2) ベンチ試験、(3) パイロットプラント試験、(4
) 本プラント設計及び運転、の4つのフェーズで検討を進めることが一般的である。ラボ
実験では、原料の組合せや各種反応条件を変更しながらビーカーレベルでの試製を行い、
製品の基本的な物性や収率を決定する。ベンチ試験では、ラボ実験で得られる製品を製造
する小規模な装置を組み上げ、蒸留または吸着などの各種単位操作およびプロセスの設計
、詳細な物性の調査および設計を行う。パイロットプラント試験では、本プラントに近い
規模のパイロットプラントを建設し、運転条件の決定、操作方法の決定、及び計装システ
ムの設計などを行う。本プラント設計では、パイロットプラントで確立した技術を基にプ
ラントの設計及び運転を行う。なお、ベンチ試験とパイロット試験はその他フェーズに統
合されることもある。
【0003】
このような各フェーズ間では、装置、設備、又は製造プロセス等の仕様は大きく異なり
、例えば製造プロセスが反応プロセスであれば、フェーズが1つ進むにつれて反応器の体
積は数十倍から数百倍になり得る。
【0004】
そのため、フェーズ間の仕様の差異により、所望の品質(物性や収率)が得られないと
いった事態が生じ得る。反応プロセスを例に具体例を説明する。まず、反応器の体積が大
きくなると、単位体積あたりの表面積が減少し外部からの伝熱効率が低下し、または攪拌
翼の接する単位体積あたりの表面積が減り攪拌効率が低下し得る。その結果、伝熱に遅れ
が生じるとともに、温度または濃度のむらが大きくなる。一般に、反応速度は温度および
各物質の濃度に依存し、反応速度によって副生成物の比率や物性分布が異なることから、
上述の伝熱遅れや温度又は濃度のむらによる物性ないし収率の変化を考慮しつつ、反応器
のサイズおよび攪拌翼の形状といった仕様及び反応温度の時間プロファイルなどの運転条
件を設計する必要がある。こうしたフェーズ進展に応じた各仕様の設計業務を総称してス
ケールアップと呼ぶ。
【0005】
スケールアップは多大な時間を要する業務である。例えば、ラボ実験で考案した反応条
件がベンチ試験で再現できない場合、ラボ実験で物性ないし収率の再設計が必要になり、
大幅な手戻りが生じる。また、パイロットプラント試験では、容量が大きく製造時間が長
くなるため、半年から1年半もの作業期間を要することもある。このため、化学メーカ及
び素材メーカなどにとって、スケールアップは製品開発のボトルネックとなっている。
【0006】
スケールアップを効率よく行うための技術として、例えば非特許文献1には、パイロッ
トプラント試験での検証を終えて、本プラントの製造設備で生産を開始した直後に、でき
るだけ少ない実験回数でプラントの運転条件を最適化し、所望の製品を製造できるように
する方法が開示されている。具体的には、転移学習とガウス過程回帰を組合せて用いるこ
とで、運転条件から品質の平均およびばらつきを予測するモデル(品質予測モデル)を構
築し、ばらつきを考慮して目的関数が大きくなる可能性のある条件で実験を行うことによ
り、少ない実験回数で良好な品質を得る方式が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】加納学、吉崎亮介、製造設備スケールアップ時のベイズ的操業条件最適化、化学工学、第80巻、第12号、pp.769-772 (2016)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1では、パイロットプラントと本プラントで品質予測モデルの出力の数が同
じであることを要請している。すなわち、スケールアップ前後で最適化の対象となるKPI
及びその構成要素の数が同じである必要がある。しかしながら、ラボ試験からのスケール
アップでは、KPIやその構成要素の数が異なることが多い。例えば、ベンチ装置、パイロ
ットプラント、ないし本プラントでは、伝熱遅れ及び温度又は濃度のむらの各項目を考慮
して収率を最適化する必要があるが、ラボ試験では、これらは一般に検討項目に含まれな
い。また、ラボ試験では品質項目を単変量として検討するが、ベンチ、パイロット、本プ
ラントスケールでは品質項目に関する複数の統計量(平均値、最大値、最小値など)を最
適化するケースも考えられる。以上のようなケースでは非特許文献1の方式は適用できな
い。
【0009】
また、非特許文献1とは別のアプローチとして、プラントスケールでの第一原理的なシ
ミュレーション(反応プロセスであれば流体と反応の連成シミュレーション、押出プロセ
スであれば混練シミュレーションなど)を行い、プロセス内部の濃度や温度といった状態
を精緻に推定し、その結果をもとに品質を推定する方式も考えられる。しかしながら、上
記のシミュレーションは膨大な計算負荷を要するため、機器仕様や運転条件などの条件を
変更しつつ試行を繰り返したり、製造の開始から終了に至るまでの全時間帯のシミュレー
ションを行うことは困難である。
【0010】
このように、ラボ試験で得られるデータを活用し、ベンチ試験、パイロットプラント、
ないし本プラントでの品質や収率を効率的に把握し、本プラントで安定した品質の製品を
得られるような仕組みを構築するのは困難であった。
【0011】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、異なるスケール
でそれぞれ実施される成果物の生成のプロセスにおいて、適切な品質の成果物を得るため
のプロセス設計を行うことが可能な設計支援システム、及び設計支援方法を提供すること
にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の一つは、状態を表すデータ、及び前記状態にて原料
に対して行われるプロセスを表すデータが入力され、前記プロセスの後に前記原料から得
られる成果物の品質を表すデータが出力される品質予測モデルを記憶する記憶装置、及び
、空間領域に分布する原料に対してプロセスが行われた場合の前記空間領域の各位置の状
態の情報を取得し、取得した各情報に基づき前記空間領域における状態の不均一性を表す
値を算出し、算出した不均一性を表す値と、前記プロセスを規定するデータとに基づき、
空間領域に存在する原料に対して行われるプロセスを規定するデータであるプロセス設計
パラメータが入力され、前記プロセスの実行中ないし実行後の当該空間領域における状態
の不均一性を表すデータが出力される状態分布モデルを生成する状態分布モデル構築処理
と、前記プロセス設計パラメータの値を設定し、設定したプロセス設計パラメータの値を
前記状態分布モデルに入力することにより、前記設定したプロセス設計パラメータの値が
示すプロセスの実行中ないし実行後の、前記値を設定したプロセス設計パラメータに係る
空間領域における状態の不均一性を表すデータの値を取得する状態分布モデル実行処理と
、前記取得した、空間領域における状態の不均一性を表すデータの値から、前記空間領域
において取り得る状態を複数特定し、特定した各状態を表す各データと、前記設定したプ
ロセス設計パラメータの値とを前記品質予測モデルに各前記状態について入力することに
より、前記設定したプロセス設計パラメータの値が示すプロセスの後において前記原料か
ら得られる成果物の品質パラメータをそれぞれ取得する製造品質予測処理と、前記取得し
た各品質パラメータに基づき、前記原料から得られる成果物の品質が所定範囲に収まるよ
うに、前記設定したプロセス設計パラメータの値を変更するパラメータ探索処理とを実行
する制御装置を備える設計支援システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なるスケールでそれぞれ実施される成果物の生成のプロセスにおい
て、適切な品質の成果物を得るためのプロセス設計を行うことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態における設計支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】ラボ実験データの一例を示す図である。
図3】プラント実験の構成の一例を示す図である。
図4】プラント実験によって得られるプラント実験データの一例を示す図である。
図5】CAEシミュレーションデータの一例を示す図である。
図6】状態分布モデルデータベースの一例を示す図である。
図7】設計支援システムを構成する情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。
図8】プロセス設計パラメータ決定第1処理の一例を説明するフロー図である。
図9】状態分布モデル構築画面の一例を示す図である。
図10】状態分布モデル構築処理の詳細を説明するフロー図である。
図11】状態分布生成処理の詳細を説明するフロー図である。
図12】製造品質予測処理の詳細を説明するフロー図である。
図13】プロセス探索処理の詳細を説明するフロー図である。
図14】プロセス探索画面の一例を示す図である。
図15】状態分布モデル再生成処理の詳細を説明するフロー図である。
図16】製造実績データの一例を示す図である。
図17】プロセス設計パラメータ決定第2処理の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下の記載および図面は、本開
示を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなさ
れている。本開示は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り
、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0016】
本実施形態に係る設計支援システムは、原料に対して所定のプロセス(物理的又は化学
的プロセス)を行うことにより製造される製品(成果物。例えば、樹脂又は繊維。)の開
発及び製造のために、小規模実験(例えば、ラボ実験のような、小規模なプロセスが実行
される空間領域を有するビーカーレベルでの小規模の試製。以下では、小規模実験をラボ
実験と称する場合もある。)及び、大規模試験(ベンチ試験、パイロットプラント試験、
本プラント設計(運転)のような、大規模なプロセス実行が実行される空間領域を有する
大規模装置での製品の大規模な試験又は製造。以下では、大規模製造をプラント実験と称
する場合もある。)をそれぞれ実施する場合に利用される。
【0017】
具体的には、まず、設計支援システムは、実際に実施したプラント実験(大規模試験)
の結果データまたは後述する連成モデルを用いた連成シミュレーション(以下、空間プロ
セスモデルともいう)を実行して得られたデータ(以下、CAE(Computer Aided Engineer
ing)シミュレーションデータという)に基づいて、プロセスが実行される所定の広さを
有する空間領域の内部状態の分布(温度などの成果物の品質に影響を与える要素の空間分
布)の不均一性を表す値(本実施形態では内部状態を確率変数とみなした場合の平均値及
び分散値)を算出する状態分布モデルを構築する。状態分布モデルは、様々な規模での(
様々な装置サイズや運転条件の下での)製品の製造における、空間領域の内部状態の分布
の値を出力する。ただし、この場合のプラント実験又は連成シミュレーションにより得ら
れるデータは少量でよい。
【0018】
さらに、設計支援システムは、実際に行った、上記のような内部状態の分布を考慮する
必要が無い程度に小規模で実施されたラボ実験(小規模実験)の実データに基づき、原料
から得られる製品の品質(硬度など)を予測する品質予測モデルを構築しておく。
【0019】
設計支援システムは、大規模試験の外部条件(例えば、プラントの装置のサイズ若しく
は形状、攪拌条件、又はプラントの運転条件。以下、プロセス設計パラメータという。)
の内容を設定し、設定したプロセス設計パラメータを状態分布モデルに入力することで、
大規模試験によるプラントの内部状態の分布の不均一性ないし範囲を表す値(本実施形態
は内部状態を確率変数とみなした場合の平均値及び分散値)を出力する。そして、設計支
援システム1は、この不均一性の値に基づき状態の値(温度の値)のサンプリングを行い
、サンプリングした各値及び対応するプロセス設計パラメータを品質予測モデルにそれぞ
れ入力することで、その状態(温度)及びプロセス設計パラメータ下において製造される
製品の品質をそれぞれ予測する。
【0020】
ここで、品質予測モデルへの入力値の元データは上記のように確率変数であるので、品
質予測モデルからそれぞれ出力(予測)される製品の品質の値も同様に、確率変数に対応
した、品質のばらつきを想定した値として出力される。これにより、小規模実験から大規
模試験にスケールアップする際の、製品の品質のずれやばらつきを把握することが可能に
なる。すなわち、設計支援システムは、大規模試験で製造される製品の品質の予測値のば
らつきを考慮した上で、製造される製品の品質が所定範囲に収まりかつプラントの制約等
を満たすようなプロセス設計パラメータを探索することができる。
【0021】
なお、以下では、原料に対して行うプロセスは反応プロセスであるとするが、それ以外
の物理プロセス(混合プロセスなど)のような他の種類のプロセスであっても本発明は広
く適用できる。例えば、化学品、薬剤、又は鉄鋼などの連続体の製造プロセスでもよい。
また、火力発電等のエネルギープラントといった、内部状態の把握が重要な機器又は設備
を伴うプロセスであってもよい。
【0022】
<設計支援システムの構成>
図1は、本実施形態における設計支援システム1の構成の一例を示す図である。
【0023】
設計支援システム1は、小規模実験での実験データを記憶するラボ実験データ21と、
大規模試験での実験データを記憶するプラント実験データ22と、実際に後述する反応器
30等で実スケールで製造された製品の製造実績のデータを記憶する製造実績データ23
とに接続している。
【0024】
また、設計支援システム1は、品質予測モデル105と、反応特性モデル106と、C
AEシミュレーションデータ107と、状態分布モデル108と、CAEシミュレーショ
ンモデル109と、状態分布モデルデータベース115とを記憶する。
【0025】
(ラボ実験データ)
ここで、図2は、ラボ実験データ21の一例を示す図である。ラボ実験データ21は、
小規模実験での実験条件及び実験結果を記憶したデータである。具体的には、ラボ実験デ
ータ21は、各小規模実験について、実験を識別するための実験ID211、その実験にお
ける実験条件212、その実験における反応特性213、及び、その実験により得られる
生成物(製品)の品質214の各データを対応付けて記憶している。
【0026】
実験条件212及び反応特性213は、原料又は原料に対して行うプロセスに関するデ
ータである。具体的には、実験条件212は、実験に用いた原料の構成(成分及びその配
合)、反応温度、及び反応時間を含む。反応特性213は、その実験条件での実験により
測定された反応速度、反応熱、溶液の粘度を含む。品質214は、その実験条件での実験
により得られた物質の硬度、伸びを含む。なお、ここで説明した各データの項目は一例で
ある。実験条件212及び反応特性213は、様々な物理的又は化学的処理の内容を表す
パラメータがありうる。また、品質214は、製品の様々な物理的又は化学的性質を表す
パラメータがありうる。
【0027】
なお、ラボ実験データ21は、品質予測モデル105および反応特性モデル106の生
成に用いる。
【0028】
(プラント実験の構成及びプラント実験データ)
次に、図3は、プラント実験の構成の一例を示す図である。
また、図4は、プラント実験によって得られるプラント実験データ22の一例を示す図
である。
【0029】
まず、図3に示すように、このプラント実験では、原料を収容可能な空間領域を有する
容器(反応器30)内の各所に温度計51~55が設置される。所定の運転システム又は
制御システム情報処理(例えば、設計支援システム1でもよい)が、反応器30を運転さ
せながら、所定時間ごとに、温度計51~55の温度をそれぞれ計測してプラント実験デ
ータ22に登録する。なお、作業者が、反応器30を運転させながら、計測した温度をプ
ラント実験データ22に登録してもよい。なお、温度計51~55の各位置は、それぞれ
の位置で計測される温度の値がばらつくように設定することが好ましい。
【0030】
次に、図4に示すように、プラント実験データ22は、各プラント実験について、プラ
ント実験のID221と、プラント実験における機器設備仕様222と、プラント実験に
おける原料の構成(原料配合223)と、プラント実験の結果224とを互いに対応付け
たデータである。プラント実験の結果224は、各時刻における各センサ(例えば、温度
計51~55)が測定したパラメータ(温度)を含む。なお、プラント実験の結果224
における時刻及び温度は、データの粒度は異なるが、後述するCAEシミュレーションデー
タ107中のシミュレーションの結果1074における時刻及び温度と同一構造のデータ
である。プラント実験データ22は、状態分布モデル108の生成に用いられる。
【0031】
(CAEシミュレーションデータ)
次に、図5は、CAEシミュレーションデータ107の一例を示す図である。CAEシミュレ
ーションデータ107は、CAEシミュレーションモデル109及び反応特性モデル106
をカップリングした連成シミュレーションモデルの実行結果を記録したデータベースであ
る。具体的には、CAEシミュレーションデータ107は、各連成シミュレーションについ
て、連成シミュレーションを識別するためのID1071と、反応プロセスを規定するデ
ータである機器設備仕様1072と、連成シミュレーションで入力値として設定した原料
の構成(原料配合1073)と、その連成シミュレーションの結果1074とを対応付け
て記憶している。
【0032】
機器設備仕様1072は、連成シミュレーションで入力値として設定した、プロセスが
実行される容器(反応器)又はプロセスに用いる装置、機器、若しくは設備(以下、これ
らの反応器、装置、機器、及び設備を、装置と総称する)に関するデータである。機器設
備仕様1072は、例えば、反応器の形状、反応器の半径、反応器の高さ、反応器に設置
する攪拌翼の形状、攪拌翼の面積、反応器に設定する除熱の方式を含む。原料配合107
3は、原料の成分及びそれらの配合割合を含む。また、シミュレーションの結果1074
は、反応器の各時刻での各位置(3次元位置座標)における流速(3次元流速)、温度、
及び粘度を含む。
【0033】
(状態分布モデルデータベース)
図6は、状態分布モデルデータベース115の一例を示す図である。状態分布モデルデ
ータベース115は、各状態分布モデル108を生成するためのデータソースを記憶して
いる。
【0034】
具体的には、状態分布モデルデータベース115は、状態分布モデル108のID、そ
の状態分布モデル108を生成するために用いるデータの種類(学習データソース115
2)、そのデータソースの内容を特定する情報(学習データID1153)、及びその状
態分布モデル108の内容を記憶したモデルデータ1154の各データを有する。学習デ
ータソース1152は、例えば、CAEシミュレーションデータ107又はプラント実験
データ22のいずれかであることを表すデータである。学習データID1153は、CA
Eシミュレーションデータ107又はプラント実験データ22における具体的なデータソ
ースを特定する情報(具体的には、プラント実験データ22のデータID2111又はC
AEシミュレーションデータ107のデータID1071)である。
【0035】
次に、図1に示すように、設計支援システム1は、品質予測モデル構築部101と、反
応特性モデル構築部102と、CAEシミュレーション部103と、状態分布モデル構築部
104と、状態分布生成部110と、製造品質予測部111と、プロセス探索部112と
、ユーザインタフェース部113とを含む各機能部(プログラム)を有する。
【0036】
品質予測モデル構築部101は、小規模実験のデータに基づき、指定された実験条件及
び原料の反応特性に基づき製造される製品(成果物)の品質を予測する品質予測モデル1
05を生成する。
【0037】
具体的には、品質予測モデル105は、状態(温度)を表すデータ及びその状態にて原
料に対して行う反応プロセス(ラボ実験データ21の実験条件212及び反応特性213
)を表すデータが入力され、その反応プロセスにおいて原料から生成される成果物の品質
を表すデータが出力されるモデルである。なお、本実施形態では、品質予測モデル105
が予め生成及び記憶されているものとする。
【0038】
また、本実施形態では、品質予測モデル105は、ラボ実験データ21に基づき生成さ
れるものとする。すなわち、品質予測モデル105の入力値は、ラボ実験データ21の実
験条件212及び反応特性213に対応するデータである。品質予測モデル105の出力
値は、ラボ実験データ21の品質214に対応するデータである。
【0039】
反応特性モデル構築部102は、反応特性モデル106を生成する。
本実施形態では、反応特性モデル106は、大規模試験における反応の実行開始から終
了までの特性の変化を算出するモデルである。反応特性モデル106は、原料の構成、反
応温度、又は反応時間を入力値とし、反応速度、反応熱、又は溶液粘度を出力値とするモ
デルであるものとする。
【0040】
本実施形態では、反応特性モデル106は、ラボ実験データ21に基づき、所定の機械
学習アルゴリズムに基づき生成されるものとする。反応特性モデル106は,例えば,入
力値が入力される入力層と、入力値から特徴量を抽出して出力する1又は複数の中間層(
隠れ層)と、特徴量から出力値を出力する出力層とを有するニューラルネットワーク(C
NN:Convolutional Neural Network等)により学習されるモデルである。例えば、反応
特性モデル106は、例えば、ラボ実験データ21の実験条件212(入力値に対応)及
び反応特性213(出力値に対応)を教師データとした機械学習により生成される。
【0041】
本実施形態では、あらかじめ反応特性モデル106が生成及び記憶されているものとす
る。なお、反応特性モデル106は、例えば、所定の反応量論式、化学記述子、又は分子
量分布などを入力変数とし、反応速度、反応熱、又は粘度などを出力変数とする数式であ
ってもよい。
【0042】
CAEシミュレーション部103は、CAEシミュレーションモデル109を記憶している。
CAEシミュレーション部103は、CAEシミュレーションモデル109を実行することで、
CAEシミュレーションデータ107を生成する。
【0043】
CAEシミュレーションモデル109は、大規模試験における反応器内の流体挙動を予測
するモデルである。具体的には、CAEシミュレーションモデル109は、反応器の仕様(
形状等)を入力値とし、反応器における物質の運動プロセス(流体運動)の後の、反応器
内の各時刻の各位置の状態(温度、粘度等)を算出する支配方程式(ナビエ・ストークス
方程式)を含む。
【0044】
CAEシミュレーション部103は、CAEシミュレーションモデル109及び反応特性モデ
ル106を組み合わせた連成シミュレーションモデルを実行する。すなわち、連成シミュ
レーションモデルは、反応器の空間領域に分布する原料のプロセス(流動反応プロセス)
を規定するデータが入力され、流動反応プロセスの開始後の各時刻における反応器内の各
位置の原料の状態が出力されるモデルである。
【0045】
本実施形態では、反応特性モデル構築部102は、状態分布モデルデータベース115
に基づき、連成シミュレーションモデルを予め生成しているものとする。
【0046】
なお、連成シミュレーションモデルは、以上に説明したモデルと異なる種類のシミュレ
ーションモデルを含むものであってもよい。例えば、製品を製造するプロセスが押出プロ
セスを含むものであれば、混錬シミュレーションモデルを含んでいてもよい。また、化学
反応を伴わないプロセス(例えば鉄鋼の製造プロセス)では、反応特性モデル構築部10
2および反応特性モデル106は不要であり、連成シミュレーションモデルは、CAEシミ
ュレーションモデル109のみで構成されてもよい。
【0047】
なお、このような大規模試験のスケールでの連成シミュレーションは、様々な商用のシ
ミュレータソフトウェア又はOSS(Open Source Software)のようなソフトウェアで実行
可能であるが、これらのソフトウェアの実行には、多大な負荷及び時間を要する。例えば
、反応の進展や粘度の変化を正確に追跡するために、時間及び空間の双方で細かな粒度の
計算が必要となる。また、反応器の壁面や攪拌翼での境界条件と整合する解を常に計算す
る必要があるため、条件によっては計算が収束しなかったり、物理的に意味のない解が得
られるおそれがある。このため、そのようなソフトウェアは極めて限定的な範囲でしか実
行できず、これらだけを用いても、通常ではプロセス設計パラメータの特定に必要な情報
は得られない。しかしながら、本実施形態では、このような状況であっても(限られた数
のシミュレーション結果しか得られない場合でも)、これらのソフトウェアの結果に基づ
いて生成した状態分布モデル108と、品質予測モデル105とを組み合わせることで、
プロセス設計パラメータの特定が可能である。
【0048】
次に、状態分布モデル構築部104は、CAEシミュレーションデータ107又はプラン
ト実験データ22を用いて、状態分布モデル108を生成する。
【0049】
状態分布モデル108は、原料の構成(原料の成分及びそれらの配合比率)のデータ、
及び反応器に存在する原料に対して行うプロセスを規定するデータ(プロセス設計パラメ
ータ)が入力され、そのプロセスの開始後の各時刻(プロセスの実行中ないし実行後)に
おける反応器内の状態の不均一性を表すデータが出力される。
【0050】
ここで、入力値におけるプロセス設計パラメータは、製造プロセスを規定するデータで
ある。本実施形態では、例えば、装置の仕様(形状若しくはサイズ等)、又は、運転条件
(攪拌方式もしくは冷却方式といったプロセスの方式、若しくは、反応を円滑に行うため
の状態の時間プロファイル等)であるとするが、これに限定するものではない。
【0051】
状態分布モデル108の不均一性を表すデータである出力値は、プロセスの実行に応じ
てその分布が変化ないしばらつく可能性がある状態のパラメータであり、品質予測モデル
105の入力値となる。本実施形態では、状態分布モデル108の出力値は、反応器内部
の温度とするが、これに限られず、例えば、反応器内の原料又は製品の濃度又は密度でも
よい。また、不均一性を表すデータとは、確率分布(平均及び分散)であるものとするが
、その他の不均一性を表すデータを用いてもよい。なお、一般のCAEシミュレーションで
は、3次元空間での各位置の状態をそれぞれ計算するが、本実施形態ではそれら各位置の
状態(ばらつき)を全体として表すことができるパラメータである確率分布によって表現
することにより、各位置の状態の演算ないしデータ記憶に係るコストを削減する。
【0052】
状態分布モデル108は、例えば以下の数式1によって表される、状態(ここでは温度
)の確率密度関数f0(y(t))を備え、さらに時刻tにおいて前記確率密度に従いサ
ンプリングを行うことで状態y(t)を生成する機能を有する。
【数1】
【0053】
ここで、状態y(t)は時刻tにおける状態値、σ(t)は時刻tにおける状態y(t
)の分散、μ(t)は時刻tにおける状態y(t)の平均である。
【0054】
さらに、σ(t)及びμ(t)の時間発展は、数式2に示すように、時刻tより前の過
去の時刻における分散、平均、及びプロセス設計パラメータ(外部入力)によって定まる

【数2】
【0055】
ここで、θ(t)は時刻tの外部入力であり、プロセス設計パラメータに相当する。本
実施形態では、θ(t)は、装置の仕様のデータ(時刻tによらず固定値のデータ)およ
びプロセスの操作量(時刻tに依存する可変値)から成るベクトルである。dは次数であ
る。
【0056】
なお、数式1、数式2は状態yが単変量である場合である場合の数式であるが、多変量
でも同様の記述が可能である。
【0057】
次に、状態分布生成部110は、状態分布モデル構築部104で生成された状態分布モ
デル108に、原料の構成(原料の配合等)及びプロセス設計パラメータの値を入力する
ことで、プロセスの開始後の各時刻における反応器内部の状態の分布(不均一性)を表す
データ(すなわち、平均及び分散)を出力する。
【0058】
製造品質予測部111は、状態分布生成部110で出力された、反応器内部における状
態の分布(不均一性)を表すデータから、反応器内部の取り得る具体的な状態の値を複数
算出し(サンプリングし)、それらの状態のデータ、原料の構成、及びプロセス設計パラ
メータを品質予測モデル105に入力することにより、プロセス完了後に生成される製品
の品質を予測する。
【0059】
本実施形態では、製造品質予測部111は、平均及び分散に基づきランダムに温度のデ
ータをサンプリングし、サンプリングした各温度のデータを品質予測モデル105にそれ
ぞれ入力して品質(硬度及び伸び)を予測することで、対象プロセスでの品質のばらつき
(ヒストグラムないし確率密度関数)を特定する。
【0060】
プロセス探索部112は、製造品質予測部111で予測した品質が所定範囲に収まるよ
うな、プロセス設計パラメータの内容及び原料の構成を探索する。すなわち、プロセス探
索部112は、品質のばらつきを考慮し、また、所定のKPIないし制約条件を加味した、
成果物の品質がどの程度の確率(割合)で所定範囲に収まるかを探索する最適化を行うこ
とで、プロセス設計パラメータの内容及び原料の構成を探索することができる。
【0061】
ユーザインタフェース部113は、設計支援システム1の行う一連の処理に必要なパラ
メータをユーザ40から受け付ける機能(入力機能)と、演算結果および制御結果などを
ユーザ40に提供する機能(出力機能)とを有する。
【0062】
具体的には、入力機能は、例えば、キーボード、タッチパネル、音声入力装置、視線検
出装置などを用いて、ユーザ40から情報の入力を受け付ける。出力機能は、例えば、モ
ニタディスプレイ、プリンタ、音声合成装置などを介して情報を出力する。
【0063】
なお、ユーザインタフェース部113は、設計支援システム1とは異なる情報処理装置
に設けてもよい。この情報処理装置は、例えば、ユーザ40が操作するラップトップ型、
ノート型、タブレット型、もしくはデスクトップ型などのパーソナルコンピュータ、スマ
ートフォン、またはゴーグル型もしくは腕時計型などのウェアラブル端末である。
【0064】
図7は、設計支援システム1を構成する情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示
す図である。この情報処理装置200は、例えば、プロセッサ201(制御装置)と、メ
モリ202と、外部記憶装置203と、通信装置204と、出力装置205と、入力装置
206と、読み書き装置207とを備えており、これらの装置は通信線208を介して相
互に接続される。プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)に限らず、
演算機能を持つ他の装置でもよい。外部記憶装置203は、例えば、ハードディスク装置
、フラッシュメモリ装置、光磁気ディスク装置、光ディスク装置などの、比較的大容量の
データを書き換え可能に記憶する装置である。通信装置204は、NIC(Network Inte
rface Card)等のように構成されており、通信ネットワークCN(インターネット、LA
N(Local Area Network)、WAN、又は専用線等の無線又は有線の通信ネットワーク)
を介して、外部の装置と通信する。出力装置205は、ユーザインタフェース部113が
使用する装置であり、例えば、モニタディスプレイ、プリンタなどである。入力装置20
6は、ユーザインタフェース部113が使用する装置であり、例えば、キーボード、ポイ
ンティングデバイス、タッチパネルなどである。読み書き装置207は、非一時的にコン
ピュータプログラムを記憶する記憶媒体MMに対して情報を読み書きする。通信線208
は、一つのコンピュータ内を接続するシステムバスでもよいし、複数のコンピュータ間を
接続する通信ネットワークでもよい。つまり、設計支援システム1の主要機能を複数のコ
ンピュータ上に設け、それらコンピュータを通信ネットワークで相互に接続することで、
設計支援システム1を実現することもできる。
【0065】
設計支援システム1に記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、プロセッ
サ201がメモリ202または外部記憶装置203から読み出して利用することにより利
用可能である。設計支援システム1が有する有する各機能部の機能は、プロセッサ201
が外部記憶装置203に記憶されている所定のコンピュータプログラムをメモリ202に
ロードして実行することにより実現可能である。
【0066】
上述した所定のコンピュータプログラムは、読み書き装置207を介して記憶媒体MM
から、あるいは、通信装置204を介してネットワークから、外部記憶装置203へ記憶
(ダウンロード)され、それから、メモリ202上にロードされて、プロセッサ201に
より実行されるようにしてもよい。コンピュータプログラムは、読み書き装置207を介
して記憶媒体MMから、あるいは通信装置204を介してネットワークから、メモリ20
2上へ直接ロードされ、プロセッサ201により実行されるようにしてもよい。
【0067】
また、以下では、設計支援システム1が、1つの情報処理装置により構成される場合を
説明するが、これらの機能の全部または一部が、クラウドのような1または複数のコンピ
ュータに分散して設けられ、ネットワークを介して互いに通信することにより設計支援シ
ステム1の各機能を実現してもよい。
次に、設計支援システム1で行われる処理について説明する。
【0068】
まず、CAEシミュレーションモデル109に基づいて状態分布モデル108を生成する
場合の、プロセス設計パラメータを決定する処理(以下、プロセス設計パラメータ第1決
定処理という)について説明する。
【0069】
<プロセス設計パラメータ決定第1処理>
図8は、プロセス設計パラメータ決定第1処理の一例を説明するフロー図である。
【0070】
設計支援システム1は、プラント実験を想定した、プロセス設計パラメータの固定値を
設定する(S801)。具体的には、ユーザインタフェース部113は、ユーザ40から
、大規模試験において設定される固定値の入力を受け付けてもよいし、予め用意されたデ
ータベースから、固定値を受信してもよい。
【0071】
ここで、本実施形態では、ユーザインタフェース部113は、プロセス設計パラメータ
の固定値として、反応器形状を「円筒」に設定し、攪拌翼形状を「プロペラ」に設定し、
冷却方式を「ジャケット」に設定する。
【0072】
そして、設計支援システム1は、プロセス設計パラメータの固定値に基づく各種の値の
組み合わせを複数種類設定し、設定した複数種類の組み合わせを入力値として、連成シミ
ュレーションを実行する(S802)。
【0073】
具体的には、まず、CAEシミュレーション部103は、ユーザ40から、大規模試験に
おいて設定される、プロセス設計パラメータの各種の値の入力を受け付ける。
【0074】
例えば、CAEシミュレーション部103は、反応器半径r、反応器高さh、攪拌翼面積
Sの公称値r0、h0、S0の入力をユーザ40から受け付け、それらの入力値をもとに
r、h、Sを変化させた各条件を生成する。各パラメータは公称値から大幅に変化するこ
とはないと想定し、例えば(r、h、S)=(0.25r0、0.25h0、0.25S
0)、(0.5r0、0.5h0、0.5S0)、(r、h、S)、(2r0、2h0、
2S0)、(4r0、4h0、4S0)を生成する。
【0075】
そして、設計支援システム1は、上記で設定した各値をそれぞれ連成シミュレーション
モデル(CAEシミュレーションモデル109及び反応特性モデル106)に入力するこ
とで、連成シミュレーションを実行する。設計支援システム1は、連成シミュレーション
モデルが出力したデータを、CAEシミュレーションデータ107に記憶する。
【0076】
次に、設計支援システム1は、S802で記憶したCAEシミュレーションデータ10
7に基づき状態分布モデル108を生成する状態分布モデル構築処理S803を実行する
。状態分布モデル構築処理S803の詳細は後述する。
【0077】
その後、設計支援システム1は、プロセス設計パラメータの探索のために、プロセス設
計パラメータの候補値(外部入力θ0、θ1、…)を設定する(S804)。例えば、設
計支援システム1は、プロセス設計パラメータの条件値の公称値に所定の増減値を加えた
値(雑音を加えたもの)を設定してもよいし、ユーザ40から初期値の入力を受け付けて
もよい。
【0078】
そして、設計支援システム1は、S804で設定したプロセス設計パラメータの候補値
等をS803で生成した状態分布モデル108に入力して状態分布モデル108を実行す
ることで、反応器における状態分布(平均及び分散)を算出する状態分布生成処理S80
5を実行する。状態分布生成処理S805の詳細は後述する。
【0079】
(状態分布モデル構築画面)
ここで、図9は、設計支援システム1が表示する状態分布モデル構築画面1200の一
例を示す図である。
【0080】
状態分布モデル構築画面1200は、原料の構成及びプロセス設計パラメータの固定値
の入力をそれぞれユーザから受け付ける前提条件入力欄1201と、プロセス設計パラメ
ータの各値の組み合わせの入力をユーザから受け付ける設計パラメータ入力欄1202と
、前提条件入力欄1201及び設計パラメータ入力欄1202で入力されたデータに基づ
き状態分布モデル108を生成する場合にユーザにより指定される状態分布モデル構築指
定欄1203とを有する。
【0081】
また、状態分布モデル構築画面1200は、生成された状態分布モデル108に対する
入力値とするプロセス設計パラメータの各値の組み合わせの入力をユーザから受け付ける
設計パラメータ設定欄1208と、設計パラメータ設定欄1208で入力された入力値に
基づき状態分布モデル108を実行させる場合にユーザにより指定される状態分布モデル
実行指定欄1204と、状態分布モデル108の実行結果の表すグラフで表示されるグラ
フ表示欄1205と、後述する品質予測表示欄1206とを有する。
【0082】
グラフ表示欄1205に表示されるグラフは、横軸に時刻(反応開始からの経過時間)
、縦軸に反応器内部における状態(ここでは温度)をそれぞれ有する。
このグラフは、状態の値の範囲を表す第1グラフ1209及びその範囲における平均値
の変化を表す第2グラフ1210を含む。また、このグラフは、第1グラフ1209が示
す範囲から各時刻ごとにサンプリングした値1212を繋げることで生成した、仮想的な
状態(温度)の時系列のグラフ(標本路のグラフ1211)を含む。サンプリングした値
1212及び標本路の詳細は後述する。
【0083】
また、グラフ表示欄1205には、状態の制限値1215(同図では、温度の上限値)
が表示される。制限値1215の詳細は後述する。
【0084】
続いて、図8に示すように、設計支援システム1は、S805で出力した状態の分布か
らサンプリングした各状態の情報を品質予測モデル105にそれぞれ入力することにより
、製造される製品の品質をそれぞれ予測する製造品質予測処理S806を実行する。製造
品質予測処理S806の詳細は後述する。
【0085】
そして、設計支援システム1は、製造品質予測処理S806で予測した製品の各品質(
品質の分布)から、S804で設定したプロセス設計パラメータ及び原料の構成の良否を
評価するプロセス探索処理処理S807を実行する。具体的には、プロセス探索部112
は、プロセス設計パラメータ等の良否を評価する所定の目的関数に対して、品質の分布、
プロセス設計パラメータ、及び原料の構成を入力し、その値を取得する。プロセス探索処
理処理S807の詳細は後述する。
【0086】
S807で取得した目的関数の値の変化が所定値以下になった場合(S807で取得し
た値と前回S807で取得した値との差が所定値以下となった場合)は(S808:YE
S)、S809の処理を実行し、S807で取得した目的関数の値の変化が所定値を超え
る場合は(S808:NO)、プロセス探索部112は、異なるプロセス設計パラメータ
を設定するべくS804の処理を繰り返す。
【0087】
なお、ここでは、S804からS808による最適化処理をいわゆる勾配法によって実
行する例を示したが、他の最適化手法、例えば貪欲法やランダムサーチなどの手法を用い
て最適化問題を解いてもよい。
【0088】
S809において設計支援システム1は、プロセス探索処理S807で変更したプロセ
ス設計パラメータに基づき状態分布モデル108を更新する状態分布モデル再生成処理S
809を実行する。状態分布モデル再生成処理S809の詳細は後述する。以上でプロセ
ス設計パラメータ決定第1処理は終了する。
【0089】
以上により、実製造で目標品質を実現する可能性の高いプロセスの設計パラメータを探
索することが可能になる。
次に、状態分布モデル構築処理S803、状態分布生成処理S805、製造品質予測処
理S806、及びプロセス探索処理S807の詳細を説明する。
【0090】
<状態分布モデル構築処理>
図10は、状態分布モデル構築処理S803の詳細を説明するフロー図である。
【0091】
CAEシミュレーション部103は、CAEシミュレーションデータ107から、S80
1で設定した条件に合った、対象とするプロセス設計パラメータを一つ抽出する(S90
1)。
【0092】
本実施形態では、CAEシミュレーション部103は、反応器形状が円筒で、撹拌翼形状
がプロペラで、かつ冷却方式がジャケットであるデータIDのデータをCAEシミュレー
ションデータ107から抽出する。
【0093】
次に、CAEシミュレーション部103は、S901で抽出したプロセス設計パラメータ
、及び設定された原料の構成(原料の配合)に基づき行われた連成シミュレーションに係
るCAEシミュレーションデータ107から、シミュレーションの結果1074(各時刻
における温度の空間分布)を取得する(S902)。
【0094】
CAEシミュレーション部103は、S902で取得したシミュレーションの結果107
4からランダムに複数位置をサンプリングし前記複数位置での温度の時系列を取得するこ
とで、仮想的な温度の時系列(標本路)を複数生成し、生成した標本路を学習データとし
て記憶する(S903)。
【0095】
なお、CAEシミュレーション部103は、自動的にサンプリングを行ってもよいし、ユ
ーザ40から、状態分布モデル構築画面1200に対する、サンプリングするデータの指
定(サンプリングした値1212)を受け付けてもよい。また、各時刻についてサンプリ
ングするデータの数は、一定としてもよいし、分散に応じた数としてもよい。
【0096】
CAEシミュレーション部103は、S903で記憶した学習データに基づき、数式3-
5に示すような、各時点tにおける状態の値y(t)...y(tn-1)に関する確
率過程モデルを生成する(S904)。この同定は、ガウス過程回帰などの確率的な同定
手法を用いて実行することができる。
【数3】

【数4】
【数5】
【0097】
ここで、NはN次元正規分布、数式4は各時点の平均、数式5は時点間の共分散行列
を表す。また、μは平均、Vは分散を表す。
【0098】
CAEシミュレーション部103は、対象とする全てのプロセス設計パラメータをS90
1で抽出したか否かを確認する(S905)。対象とする全てのプロセス設計パラメータ
をS901で抽出した場合は(S905:YES)、CAEシミュレーション部103はS
906の処理を実行し、S901で抽出していないプロセス設計パラメータがある場合は
(S905:NO)、CAEシミュレーション部103はそのプロセス設計パラメータを選
択すべくS902の処理を繰り返す。
【0099】
S906においてCAEシミュレーション部103は、以上の処理で生成した確率過程モ
デルと、S902から得られた状態(平均μ(t)、分散V(t、t))、およびプロセ
ス設計パラメータ(外部入力のデータ)とに基づき、数式6に示す状態分布モデル108
を同定する(S906)。以上で状態分布モデル構築処理S803は終了する。
【0100】
なお、状態分布モデル108の同定は、一般的なシステム同定手法、例えばARXモデ
ル同定やHammerstein-Wienerモデル同定などにより実現できる。これにより、プロセス設
計パラメータが変わると、状態の分布がどのように変動するかを把握することができる。
【数6】
【0101】
ここで、数式6のうち、平均μ(t)に関する成分(第1成分)については、エネルギ
ー収支則や反応速度式に立脚した反応熱の理論式などから微分方程式の構造を定め、その
パラメータを平均μ(t)、分散V(t、t)、および外部入力のデータを用いて推定す
ることでも同定できる。この場合、平均μ(t)がとり得る値の範囲が制限されるため、
未知の(すなわちCAEシミュレーションの実績のない)領域のプロセス設計パラメータ
に対する状態分布をも予測しやすくなることが期待される。
【0102】
<状態分布生成処理>
次に、図11は、状態分布生成処理S805の詳細を説明するフロー図である。
【0103】
状態分布生成部110は、S804で取得したプロセス設計パラメータを外部入力とし
て取得する(S1001)。また、状態分布生成部110は、状態(温度)の分布(平均
μ(t)および分散V(t、t))の初期値を設定する(S1002)。状態(温度)の
平均の初期値は、例えば、製品の製造時の初期条件(初期温度など)とする。また、状態
(温度)の分散の初期値は、むらがないためゼロに設定する。
【0104】
状態分布生成部110は、S1001及びS1002でそれぞれ設定した外部入力及び
状態(温度)の分布の初期値に基づき、数式6に示す状態分布モデルを時間方向に積分す
ることで、各時刻における状態(温度)の平均と分散を計算する(S1003)。以上で
状態分布生成処理S805は終了する。
【0105】
<製造品質予測処理>
図12は、製造品質予測処理S806の詳細を説明するフロー図である。
【0106】
製造品質予測部111は、まず、サンプリング回数Nsを設定する(S1101)。サ
ンプリング回数は、各時刻について、状態の値のサンプリングを行う回数である。製造品
質予測部111は、例えば、あらかじめユーザ40により作成された設定ファイルに記録
されている値を読み込むことにより、サンプリング回数Nsを設定する。
【0107】
また、製造品質予測部111は、品質予測を行う時刻(サンプル時点)の総数Nt及び
それらのサンプル時点(T、T、…TNt)を設定する。具体的には、製造品質予測
部111は、ラボ実験データ21での反応時間に基づき、サンプル時点の取り得る範囲(
反応開始から反応終了までの時間範囲)を特定する。そして、製造品質予測部111は、
この範囲における各サンプル時点の入力をユーザ40から受け付けることで、Ntを設定
する。
【0108】
例えば、製造品質予測部111は、状態分布モデル構築画面1200に表示されている
標本路のグラフ1211上から各時刻の値1212の入力をユーザ40から受け付ける(
同図の場合は、Nt=4である)。
【0109】
そして、製造品質予測部111は、サンプリングのカウント用のインデックスiを1に
設定し(S1103)、S1104の処理を実行する。
【0110】
S1104において製造品質予測部111は、サンプル時点t=T、T、…、T
の各時点について、状態分布モデル構築処理S803で求めた確率分布f(y(t))
が示す状態の値の範囲内からランダムに状態値y(t)(T、T、…、TNt)(こ
こでは温度の値)を抽出する(サンプリングを行う)。
【0111】
続いて、製造品質予測部111は、サンプル時点用のインデックスjを1に設定し(S
1105)、S1106の処理を実行する。
【0112】
S1106において製造品質予測部111は、サンプル時点Tにおける状態値y(t
)および、予め設定した原料の構成を品質予測モデル105に入力して品質予測モデル
105を実行することで、製品の品質Qを算出する(予測する)。なお、Qは、[q
、・・・、qであり、qは、プロセス完了時の品質k(例えば、硬度、伸び
)の値である。
【0113】
製造品質予測部111は、算出した品質Qを記憶する(S1107)。
【0114】
製造品質予測部111は、S1106、S1107の処理を、各時刻(j=1、・・・
、Nt)について繰り返すことで(S1108、S1111)、各標本路に対応する品質
Qを算出し記憶する。
【0115】
その後、製造品質予測部111は、S1104~S1108の処理を、各サンプル(i
=1、・・・、Ns)について繰り返すことで(S1109、S1112)、各サンプル
に対する品質Qを算出し記憶する。
【0116】
その後、製造品質予測部111は、以上の処理で算出した品質Qの分布を、ヒストグラ
ム又は確率密度関数等の形式で出力する(S1110)。
【0117】
例えば、製造品質予測部111は、状態分布モデル構築画面1200の品質予測表示欄
1206に、硬度に関するグラフ1213及び伸びに関するグラフ1214を表示する。
硬度に関するグラフ1213は、横軸を硬度の値とし、縦軸にその硬度の値が出現する確
率(確率密度)とするグラフである。伸びに関するグラフ1214は、横軸を伸びの値と
し、縦軸にその伸びの値が出現する確率(確率密度)とするグラフである。
【0118】
<プロセス探索処理>
次に、図13は、プロセス探索処理S807の詳細を説明するフロー図である。
【0119】
プロセス探索部112は、製品の良品の範囲(要求される製品の品質の範囲)を示すデ
ータを取得する(S1301)。
【0120】
例えば、プロセス探索部112は、ユーザ40から、良品の範囲の上限値及び下限値の
入力をそれぞれ受け付ける。本実施形態では、プロセス探索部112は、硬度qおよび
伸びqの上限値(q1,max、q2,max)及び下限値(q2,max、q2,m
in)の入力をそれぞれユーザ40から受け付けるものとする。
【0121】
プロセス探索部112は、製造品質予測処理S806で算出した品質Q及び、S130
1で取得した良品の範囲に基づき、各品質q、q、…が良品の範囲から外れる範囲と
なる確率(割合)である不良率(P(q)、P(q)、…)を計算する(S1302
)。本実施形態では、プロセス探索部112は、以下の数式7により不良率を算出するも
のとする。
【数7】
【0122】
これにより、プロセス内部の状態のばらつきに応じた品質分布を考慮したプロセス設計
パラメータの探索が可能になる。
【0123】
プロセス探索部112は、S1302で算出した不良率に基づき、不良率が少ないほど
その値が小さくなるような目的関数と、目的関数に関する制約条件式とを生成する。本実
施形態では、プロセス探索部112は、以下の数式8に示す、各不良率に関する目的関数
及び、数式9に示す装置の状態に関する制約条件式を生成するものとする。
【数8】
【数9】
【0124】
ここで、a、bは定数である。θは外部入力、Tminは温度の最小値、Tmaxは温
度の最大値、Tは温度である。なお、Tは、温度の平均値であってもよいし、温度の最大
値(Tmaxとの比較のために用いる)、温度の最小値(Tminとの比較のために用い
る)であってもよい。なお、プロセス探索部112は、目的関数及び制約条件式を自動的
に生成してもよいし、ユーザ40から目的関数及び制約条件式の入力を受け付けるように
してもよい。
【0125】
プロセス探索部112は、制約条件式を満たしつつ目的関数の値が最小となるように、
外部入力θ、θ、…を変更する探索計算を行う(S1303)。なお、探索計算にお
ける外部入力θの変更は、例えば目的関数の計算値を記憶しておき、外部入力θ、θ
、…に対する勾配を計算し、勾配が最も急な方向に外部入力θ、θ、…を変化させれ
ばよい。
【0126】
なお、ここで説明した目的関数及び制約条件式は一例であり、制約条件の下で説明変数
(品質又は不良率)を最適化するものであればよい。
【0127】
また、ここでは、反応器の形状、攪拌翼の形状、冷却方式、原料の組合せ、及び配合比
率は固定してプロセス設計パラメータの探索を行う場合を説明したが、これらも探索対象
としてもよい。この場合、反応器形状、撹拌機形状、冷却方式、原料の組合せは一般に離
散変数になるため、S1303に示した最適化問題は混合整数計画問題になる。このため
、本実施形態で示したものとは異なるソルバを用いて実行することになる。
【0128】
(プロセス探索画面)
図14は、プロセス探索処理S807において設計支援システム1で表示されるプロセ
ス探索画面1400の一例を示す図である。
【0129】
プロセス探索画面1400は、各種類の品質について製品の良品の範囲(上限及び下限
)の入力をユーザ40から受け付ける良品範囲入力部1401と、目的関数が表示され又
は目的関数のユーザ40からの入力を付け付ける目的関数定義部1402と、制約条件式
に生成に必要な情報(例えば、状態(温度)の範囲(上限及び下限))が表示され又は制
約条件式に生成に必要な情報の入力をユーザ40から受け付ける制約条件定義部1403
と、探索計算の実行を行う場合にユーザから選択されるプロセス探索実行部1404とを
備える。
【0130】
また、プロセス探索画面1400は、探索計算の過程で算出された製品の各品質の分布
のグラフが表示されるグラフ表示部1405と、探索計算の過程で算出された不良率が表
示される不良率表示部1406と、探索計算により算出されたプロセス設計パラメータの
値が表示されるプロセス設計パラメータ表示部1407とを備える。
【0131】
グラフ表示部1405には、製品の各種類の品質について、その品質の値を横軸とし、
その品質の値となる確率(確率密度)の値を縦軸とするグラフ1408が表示される。な
お、グラフ1408には、各品質の範囲(上限値及び下限値)が表示される。
【0132】
<状態分布モデル再生成処理S809>
図15は、状態分布モデル再生成処理S809の詳細を説明するフロー図である。
【0133】
プロセス探索処理S807の実行後、ユーザは、プロセス探索画面1400を参照する
ことで、製造される製品の品質の予測値を確認すると共に、大規模試験において設定すべ
きプロセス設計パラメータ(例えば、実際のプラントの装置の仕様)を決定して、製品の
試験製造又は実製造を行う(S1501)。
【0134】
そして、プロセス探索部112は、製造された製品及び採用したプロセス設計パラメー
タの内容を、以下の製造実績データ23に記録する(S1502)。例えば、プロセス探
索部112は、ユーザ40からデータの入力を受け付けてもよいし、所定の実験管理シス
テム(例えば、反応器30を運転する統合制御システム(DCS))から自動的にデータを
取得してもよい。
【0135】
(製造実績データ)
図16は、製造実績データ23の一例を示す図である。製造実績データ23は、データ
ID231と、製品の原料の種類である品種232、製品の製造に用いた装置の仕様のデ
ータである機種233、製品の製造に際して行った運転条件のデータである運転データ2
34、及び、製造された製品の品質235の各データを対応付けて記憶している。
【0136】
品種232は、原料の構成(配合)の組み合わせのデータである。運転データ234は
、例えば、制御装置に与えられる目標値、制御機器がプロセスに与える操作量、又はプロ
セスの制御対象となる制御量の時系列データである。本実施形態では、目標値は反応器の
目標温度、操作量は温度制御のためのジャケットの冷水温度、制御量は反応器内の温度(
すなわち状態)であるものとしている。
【0137】
品質235は、製品の製造毎に必ず特定されるものではなく、検査した製品に対しての
みのデータである。一般に、品質の検査値にはばらつきがあるため、幅を持って記憶する
ことができる。
【0138】
ここで、図14のプロセス探索画面1400の例では、製品の品質のうち硬度の範囲が
、S1301で設定された良品範囲を逸脱している。この場合は、状態分布モデル再生成
処理S809で生成した状態分布モデル108が信頼できない可能性がある。
【0139】
そこで、次に、図15に示すように、プロセス探索部112は、ユーザ40からの指定
に基づき又は自動的に、プロセス設計パラメータを修正する(S1503)。
【0140】
具体的には、まず、プロセス探索部112は、製造実績データ23およびそれに紐づい
たプロセス設計パラメータをプラント実験データ22に追加し、データを追加したプラン
ト実験データ22に基づき、状態分布モデル108を再学習して新たな状態分布モデル1
08を再生成する。プロセス探索部112は、新たな状態分布モデル108に基づき、再
度、プロセス探索処理S807を実行する。
【0141】
これにより、実際に製造を繰り返すうちに状態分布モデル108および製品の品質の予
測の精度が向上し、ユーザ40は、試行錯誤的なシミュレーションを繰り返すことなく適
切な設計が可能になる。
【0142】
次に、CAEシミュレーションモデル109ではなくプラント実験データ22に基づいて
状態分布モデル108を生成する場合の、プロセス設計パラメータを決定する処理(以下
、プロセス設計パラメータ第2決定処理という)について説明する。
【0143】
<プロセス設計パラメータ決定第2処理>
図17は、プロセス設計パラメータ決定第2処理の一例を説明するフロー図である。
【0144】
S1701の処理は、プロセス設計パラメータ決定第1処理のS801と同様である。
【0145】
そして、設計支援システム1は、実施されたプラント実験の結果のデータ(温度計51
~55の計測データ)を反応器30から取得し、取得したデータをプラント実験データ2
2に記憶する(S1702)。
【0146】
状態分布モデル構築部104は、S803と同様にして、プラント実験データ22に基
づき状態分布モデル108を生成する(S1703)。その後のS1704~S1708
の処理は、S804~S808の処理と同様である。
【0147】
なお、CAEシミュレーションモデル109及びプラント実験データ22の双方に基づい
て状態分布モデル108を生成してもよい。この場合、両データの時間粒度を一致させる
【0148】
以上説明したように、本実施形態の設計支援システム1は、反応器(具体的には、実験
に用いた反応器30の空間領域又は連成シミュレーションで設定した空間領域)に分布す
る原料に対してプロセスが行われた場合の反応器内部の各位置の温度に基づき、反応器に
おける状態の不均一性を表す値(平均及び分散)を算出し、算出した不均一性を表す値と
、プロセスを規定するデータとに基づき、プロセス設計パラメータが入力され、そのプロ
セスの後の反応器における状態の不均一性を表すデータ(平均及び分散)が出力される状
態分布モデル108を生成する。そして、設計支援システム1は、設定したプロセス設計
パラメータの値を状態分布モデル108に入力することにより、そのプロセスの実行中な
いし実行後の、反応器における状態の不均一性を表すデータの値を取得し、その不均一性
を表すデータ(平均及び分散)の値から、反応器において取り得る状態を複数サンプリン
グし、サンプリングした状態のデータと、プロセス設計パラメータの値とを品質予測モデ
ル105に各状態について入力することにより、製品の品質パラメータ(硬度及び伸び)
をそれぞれ取得する。そして、設計支援システム1は、各品質パラメータに基づき、製品
の品質が所定範囲に収まるように、プロセス設計パラメータの値を変更する。
【0149】
すなわち、設計支援システム1は、プロセス設計パラメータ及び、確率変数からサンプ
リングした各状態データの値を品質予測モデル105に入力して実行することで製品の品
質をそれぞれ予測し、それらの品質のデータに基づいて、適切なプロセス設計パラメータ
の値を決定することができる。ここで、確率変数に基づくサンプリングを用いていること
で、例えば大規模試験が想定するような大きなプロセス空間における状態分布を簡便かつ
適切に表現(代表)させることができる。そして、この状態分布に基づく製品の品質を、
例えば小規模実験に基づく品質予測モデル105によって予測し、これに基づきプロセス
設計パラメータを決定することができる。
【0150】
このように、本実施形態の設計支援システム1によれば、異なるスケールでそれぞれ実
施される成果物の生成のプロセスにおいて、適切な品質の成果物を得るためのプロセス設
計を行うことができる。例えば、各プロセスにおいて実施される実験ないしシミュレーシ
ョンの回数や、小スケールのプロセスでの再実験の回数を抑えつつ、品質に関するKPIを
所定の範囲に収めるようなプロセスの設計が可能になり、スケールアップ業務におけるリ
ードタイム削減につながる。
【0151】
また、本実施形態の設計支援システム1は、原料の構成、プロセスに使用される装置の
仕様、又は、プロセスに使用される装置の運転条件、の少なくともいずれかが入力される
状態分布モデル108を生成する。
【0152】
これにより、プロセスにおける状態(温度等)の分布の変化を適切に予測可能な状態分
布モデル108を生成することができる。
【0153】
また、本実施形態の設計支援システム1は、状態分布モデル108におけるプロセス設
計パラメータに係るプロセスよりも小規模に行われるプロセスに係る品質予測モデル10
5を記憶する。
【0154】
これにより、製品の製造にあたり、ラボ実験のような小規模実験からプラント実験のよ
うな大規模試験にスケールアップする際でも、製造される製品の品質をそれぞれの実験レ
ベルで適切に予測することができる。
【0155】
また、本実施形態の設計支援システム1は、状態分布モデル108の実行に基づき取得
した各状態の品質パラメータに基づき、成果物の品質のばらつき(確率密度)及び品質が
所定の範囲にある確率(不良率)を算出し、算出した確率分布及び不良率の情報を出力す
る(プロセス探索画面1400のグラフ表示部1405)。
【0156】
これにより、多量に製造される製品の全体的な品質を的確に評価することができる。
【0157】
また、本実施形態の設計支援システム1は、状態分布モデル108の実行に基づき取得
した各状態の各品質パラメータに基づき、原料から得られる成果物の品質が所定範囲に収
まりかつ所定の制約(運転条件、制約条件)を満たすようにプロセス設計パラメータの値
を変更し、プロセス設計パラメータの値を変更した場合の、成果物の品質の範囲に関する
情報を出力する(プロセス探索画面1400のグラフ表示部1405又は不良率表示部1
406)。
【0158】
これにより、ユーザ40は、必要な制約を満たしつつ製造される製品の品質を把握する
ことができる。
【0159】
また、本実施形態の設計支援システム1は、原料に対して行われるプロセスの内容を連
成シミュレーションモデルに入力することにより、そのプロセスの実行中ないし実行後の
反応器の各位置の状態を取得し、取得した反応器内部の各位置の状態に基づき、不均一性
を表す値(平均及び分散)を算出し、算出した不均一性を表す値に基づき、状態分布モデ
ル108を生成する。
【0160】
このように、大規模試験等を想定した連成シミュレーションの実行結果に基づき状態分
布モデル108を生成することで、状態分布モデル108を簡便に生成することができる
【0161】
また、本実施形態の設計支援システム1は、所定のプロセス(プラント実験)の実行中
ないし実行後の反応器の各位置の状態に基づき、不均一性を表す値(平均及び分散)を算
出し、算出した不均一性を表す値に基づき、状態分布モデル108を生成する。
【0162】
このように、実際に行われた大規模試験(プラント実験)に基づき状態分布モデル10
8を生成することで、適切な内容の状態分布モデル108を生成することができる。
【0163】
また、本実施形態の設計支援システム1は、ガウス過程回帰により状態分布モデル10
8を生成する。
【0164】
これにより、実際に出現すると想定される確率分布を算出するような状態分布モデル1
08を生成することができる。
【0165】
また、本実施形態の設計支援システム1は、変更したプロセス設計パラメータによる試
験製造又は実製造の実行後の製品の品質のデータを取得し、取得した品質のデータに基づ
き、新たなプロセスのパラメータを生成し、生成したパラメータに基づき状態分布モデル
108を再生成する。
【0166】
このように、実際の製品の製造結果に基づいて状態分布モデル108を再生成すること
で、状態分布モデル108の状態の予測精度を向上させることができる。
【0167】
また、本実施形態の設計支援システム1は、再生成した状態分布モデル108に基づき
、先に設定したプロセス設計パラメータの値をさらに変更する。
【0168】
これにより、例えばユーザ40が実際に製品の製造を繰り返すうちに状態分布モデル1
08および製品の品質の予測の精度が向上し、試行錯誤的なシミュレーションを繰り返す
ことなく適切なプロセス設計パラメータの設計が可能になる。
【0169】
また、本実施形態の設計支援システム1は、原料に対して行わせる反応プロセスを含む
プロセスを処理する。
【0170】
これにより、製品を製造しうる様々な反応プロセスを考慮することができる。
【0171】
また、本実施形態の設計支援システム1は、反応器に分布する原料の反応プロセスを規
定するデータが入力され、その反応プロセスの実行中ないし実行後の反応器の各位置の原
料の状態が出力される反応特性モデル106を含んだ連成シミュレーションモデルを生成
する。
【0172】
これにより、製品を製造しうる様々な反応プロセスを考慮した連成シミュレーションモ
デルを生成することができる。
【0173】
また、本実施形態の品質予測モデル105は、原料の構成(配合割合等)を表すデータ
がさらに入力されるモデルであり、設計支援システム1は、原料の構成を表すデータをさ
らに品質予測モデル105に入力することにより製品の品質パラメータを取得し、プロセ
ス設計パラメータ及び原料の構成を変更する。
【0174】
このように、原料の構成を各モデルのパラメータとすることにより、製品の品質に関し
て、プロセス設計パラメータだけでなく原料の構成も最適化することができる。
【0175】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、
任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例
であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではな
い。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定
されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の
範囲内に含まれる。
【0176】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい
【0177】
また、各装置の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプ
ログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合して
もよい。
【0178】
また、本実施形態で説明した運転条件以外の運転条件をプロセス設計パラメータとして
もよい。例えば、製造実績データ23における目標値(反応器の目標温度など)をプロセ
ス設計パラメータとしてもよい。運転条件は一般に時系列として定義されるが、数式6な
いし数式8で定義される状態分布モデル108は時刻毎の外部入力を入力可能であるため
、様々な運転条件をプロセス設計パラメータに含め、プロセス設計パラメータを探索する
ことができる。
【符号の説明】
【0179】
1 設計支援システム、105 品質予測モデル、106 反応特性モデル、108 状
態分布モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17