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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172659
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】連鎖端子、及び、端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/16 20060101AFI20241205BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01R43/16
H01R13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090515
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】黒田 美桜
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063GA03
5E063XA02
(57)【要約】
【課題】端子を同時に複数製造する場合でも、これら複数の端子の質のばらつきを容易に抑制可能な連鎖端子、及び、端子の製造方法を提供すること。
【解決手段】連鎖端子1は、直線状に形成された複数の端子10がキャリア1aを介して連なって構成される。複数の端子10の各々には、仮想中心軸線CLに対する端子10の反りを矯正するためのアライメント調整部15が設けられており、アライメント調整部15は、端子10の幅方向両側面が切り欠かれて形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に形成された複数の端子がキャリアを介して連なった連鎖端子であって、
前記複数の端子の各々には、当該端子の仮想中心軸線に対する前記端子の反りを矯正するためのアライメント調整部が設けられ、
前記アライメント調整部は、前記端子の幅方向両側面が切り欠かれて形成される、
連鎖端子。
【請求項2】
請求項1に記載の連鎖端子であって、
前記複数の前記端子は、
連鎖方向において、交互に配置されて互いに隣り合う複数の第1端子及び複数の第2端子を有し、
前記複数の第1端子及び前記複数の第2端子は、
前記アライメント調整部の切り欠き形状が互いに異なる、
連鎖端子。
【請求項3】
請求項2に記載の連鎖端子であって、
前記第1端子における前記アライメント調整部の幅、及び、前記第2端子における前記アライメント調整部の幅は、略等しい、
連鎖端子。
【請求項4】
請求項1に記載の連鎖端子であって、
前記アライメント調整部は、
前記端子の幅方向両側面に形成された切り欠きが、前記端子の延在方向に互いに位置ずれしている、
連鎖端子。
【請求項5】
請求項1に記載の連鎖端子であって、
前記複数の前記端子の各々は、
当該端子の延在方向の一端部に設けられて、相手側端子と接続される端子接続部と、
前記キャリアと前記端子接続部との間に設けられて、ハウジングに対して当該端子を保持させるための圧入部と、を有し、
前記アライメント調整部は、
前記端子における前記端子接続部と前記圧入部との間に設けられる、
連鎖端子。
【請求項6】
端子の仮想中心軸線に対する前記端子の反りを矯正するためのアライメント調整部が設けられた端子の製造方法であって、
金属板を打ち抜き加工して、キャリアを介して連なる複数の端子を形成する第1工程と、
前記複数の端子のそれぞれに前記アライメント調整部を設ける第2工程と、を含み、
前記アライメント調整部は、前記端子の幅方向両側面が切り欠かれて形成される、
端子の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の端子の製造方法であって、
前記第2工程は、
キャリアを介して連なる前記複数の前記端子のうち少なくとも連鎖方向に隣接する一対の前記端子ごとに、前記アライメント調整部を設ける、
端子の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の端子の製造方法であって、
前記一対の前記端子は、前記アライメント調整部の切り欠き形状が互いに異なる、
端子の製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の端子の製造方法であって、
前記複数の端子のうち一の前記端子を前記キャリアから切り離す第3工程と、を含む
端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖端子、及び、端子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に実装されるPCB(Printed Circuit Bord)コネクタ等の端子は、例えば、帯板状の金属板を順送プレス金型で打ち抜き加工することによって製造(形成)される。このように端子が製造される場合、金属板を順次打ち抜き加工していく段階で、形成された端子に反り等が生じることがある。これにより、製品(本例では、PCBコネクタ)に不具合が生じ得るおそれがある。なお、不具合としては、例えば、回路基板へのPCBコネクタの実装作業性の煩雑化等が考えられる。
【0003】
特許文献1では、特定の構造を有するダイ(ダイス)及びパンチによって端子を挟み込み、3点曲げの原理によって反り方向と逆方向に塑性加工を行って、端子の反りを矯正・修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-035838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生産性の観点から、端子を同時に複数製造する場合がある。この場合においては、同時に製造(例えば、打ち抜き加工等)された複数の端子のそれぞれに反り等が生じることがあり、これにより、端子ごとの質にばらつきが生じるおそれがある。しかしながら、従来の方法では、同時に製造されたこれら複数の端子の反りを矯正・修正しようとしても、矯正・修正に時間を要したり、端子ごとの反りの矯正・修正代の調整が煩雑化したり等、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、端子を同時に複数製造する場合でも、これら複数の端子の質のばらつきを容易に抑制可能な連鎖端子、及び、端子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る連鎖端子は、下記を特徴としている。
直線状に形成された複数の端子がキャリアを介して連なった連鎖端子であって、
前記複数の端子の各々には、当該端子の仮想中心軸線に対する前記端子の反りを矯正するためのアライメント調整部が設けられ、
前記アライメント調整部は、前記端子の幅方向両側面が切り欠かれて形成される、
連鎖端子であること。
【0008】
更に、前述した目的を達成するために、本発明に係る端子の製造方法は、下記を特徴としている。
端子の仮想中心軸線に対する前記端子の反りを矯正するためのアライメント調整部が設けられた端子の製造方法であって、
金属板を打ち抜き加工して、キャリアを介して連なる複数の端子を形成する第1工程と、
前記複数の端子のそれぞれに前記アライメント調整部を設ける第2工程と、を含み、
前記アライメント調整部は、前記端子の幅方向両側面が切り欠かれて形成される、
端子の製造方法であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の端子の各々には、端子の仮想中心軸線に対する反りを矯正するアライメント調整部が設けられる。裏を返せば、各端子は、アライメント調整部が設けられたことで、仮想中心軸線に対する反りが矯正された、といえる。具体的には、各端子は、アライメント調整部を設ける際に幅方向両側面が切り欠かれることで、切り欠き部分を基点に反り方向と逆方向に反るように変形する。この結果、各端子は、仮想中心軸線に対する反りが打ち消されて直線状に延びることになる。即ち、本発明によれば、端子を同時に複数製造する場合でも、これら複数の端子の質のばらつきを容易に抑制できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る連鎖端子の正面図である。
図2図2は、図1に示す連鎖端子の斜視図である。
図3図3は、図1に示す連鎖端子を構成する第1端子の正面図である。
図4A図4Aは、図3のA部拡大図である。
図4B図4Bは、第1端子におけるアライメント調整の一例を示す図4Aに相当する図である。
図5図5は、図1に示す連鎖端子を構成する第2端子の正面図である。
図6A図6Aは、図5のB部拡大図である。
図6B図6Bは、第2端子におけるアライメント調整の一例を示す図6Aに相当する図である。
図7図7は、第1端子及び第2端子を備えたコネクタの斜視図である。
図8図8は、図7のC-C断面図である。
図9図9は、図8のD部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る連鎖端子1及び端子10の製造方法について説明する。なお、本発明の「端子10の仮想中心軸線CLに対する反り」とは、端子10の板厚方向(図の上下方向)の反りや幅方向(図の左右方向)の反り(いわゆる、なびき)、及び、仮想中心軸線CLに対して回転するような反り(いわゆる、転び)等が含まれる。
【0013】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、前後方向は、本発明の「延在方向」に対応している。また、左右方向は、本発明の「幅方向」及び「連鎖方向」に対応している。
【0014】
<連鎖端子1>
以下、連鎖端子1について説明する。
連鎖端子1は、図1及び図2に示すように、直線状に形成された複数の端子10がキャリア1aを介して連なって構成される。この複数の端子10は、左右方向において、交互に配置されて互いに隣り合う複数の第1端子10A及び複数の第2端子10Bを有している。
【0015】
まず、端子10の概略構成について説明する。端子10は、例えばPCBコネクタの端子として用いられ、具体的には電子部品(図示省略)などが表面に実装された回路基板(図示量略)の表面に配置されるハウジング30に収容・保持される(図7図9参照)。
【0016】
端子10は、導電性材料からなる1枚の板材に打ち抜き加工等を施すことにより、図3及び図5に示すように、キャリア痕部11、基板接続部12、端子接続部13、圧入部14、及びアライメント調整部15を有して構成される。
【0017】
端子10は、連鎖端子1におけるキャリア1aの所定箇所を切断することで(即ち、連鎖端子1から切り離されて)形成される。このため、端子10には、キャリア痕部11が残存している(図3及び図5参照)。
【0018】
このキャリア痕部11は、ハウジング30への端子10(具体的には、圧入部14)の圧入時に、端子圧入用孔部31が設けられたハウジング30の壁部(符号省略、図8及び図9参照)に当接することで、圧入部14の圧入位置を規制するストッパとなる。
【0019】
端子10の後端部には、前後方向に直線状に延びる基板接続部12が設けられている(図3及び図5参照)。ハウジング30への端子10の収容完了状態において、基板接続部12は、ハウジング30の外部に露出し、回路基板に向けて延出している(図7参照)。
【0020】
この基板接続部12は、ハウジング30への端子10の収容完了状態において、ハウジング30を回路基板上に配置することにより、回路基板の回路を構成する導体部(図示省略)に設けられた孔部に挿入され、回路基板に塗られた半田ペーストを加熱する半田付け等によって端子10と回路基板とが電気的に接続される。
【0021】
端子10の前端部には、タブ状に形成された端子接続部13が設けられている(図3及び図5参照)。ハウジング30への端子10の収容完了状態において、端子接続部13は、ハウジング30のフード部32に覆われて、ハウジング30の端子圧入用孔部31から前方に向けて突出している(図8及び図9参照)。
【0022】
この端子接続部13は、ハウジング30が相手側ハウジングと嵌合することにより、雌型の相手側端子の接続部(図示省略)に挿入され、端子10と相手側端子とが電気的に接続される。
【0023】
端子10におけるキャリア痕部11と端子接続部13との間には(より具体的には、キャリア痕部11の前側に隣接するように)、圧入部14が設けられている(図3及び図5参照)。圧入部14は、端子10の左右方向両側面から外方に向けてそれぞれ突設された一対の突部であり、この一対の突部が前後方向において複数個(本例では、2個)並設されている。
【0024】
この圧入部14は、ハウジング30に設けられた前後方向に貫通する端子圧入用孔部31に対して圧入され、ハウジング30に対して端子10を保持させることで、端子10がハウジング30に収容・保持される。
【0025】
端子10における端子接続部13と圧入部14との間には、アライメント調整部15が設けられている(図3及び図5参照)。アライメント調整部15は、端子10の左右方向両側面が切り欠かれて形成される。なお、端子10におけるアライメント調整部15の位置は、端子10の機能を損なわなければ図示の場所に限定されるものではない。
【0026】
本例では、アライメント調整部15は、第1端子10Aと第2端子10Bとでは異なる切欠き形状を有している。
第1端子10Aにおけるアライメント調整部15Aは、図4Aに示すように、左右方向両側面がそれぞれ略円弧状に切り欠かれて形成されている。即ち、第1端子10Aのアライメント調整部15Aには、左右一対の略円弧状の切欠部16Aが形成されている。
第2端子10Bにおけるアライメント調整部15Bは、図6Aに示すように、左右方向両側面がそれぞれ略矩形テーパ状(台形状)に切り欠かれて形成されている。即ち、第2端子10Bのアライメント調整部15Bには、略矩形テーパ状の切欠部16Bが形成されている。
アライメント調整部15Aにおける最も狭い箇所の幅L1とアライメント調整部15Bにおける最も狭い箇所の幅L2とは、略等しい。
【0027】
このアライメント調整部15(15A,15B)は、端子10の製造段階において、端子10に生じた反りを矯正・修正(いわゆる、アライメントを調整)するために設けられたものであり、端子10の反りに対する矯正・修正加工の加工痕ともいえる。
【0028】
なお、アライメント調整部15は、端子10の製造段階における端子10の反り方によっては、左右一対の切欠部16がそれぞれ左右非対称に位置して(具体的には、前後方向に位置ずれして)形成されることがある(図4B及び図6B参照)。
【0029】
<端子10の製造方法>
以下、端子10の製造方法について説明する。本例では、端子10がいわゆる2個取りで製造される場合を例に説明する。
まず、帯板状の金属板を順送プレス金型で打ち抜き加工することによって、キャリア1aを介して連なる複数の端子10、即ち連鎖端子1を製造(形成)する(本発明の「第1工程」に対応)。
【0030】
次いで、順送プレス金型による打ち抜き加工工程の次段階にて反り修正装置(図示省略)に搬送されて、反り修正装置によって連鎖方向に隣接して対となる端子10(即ち、第1端子10A及び第2端子10B)ごとに、順次、アライメント調整部15(15A,15B)を形成する(本発明の「第2工程」に対応)。この工程において、アライメント調整部15は、例えばノッチ加工等によって形成される。
【0031】
端子10の反りの矯正・修正は、アライメント調整部15における切り欠き幅を大きく(小さく)したり、アライメント調整部15における左右一対の切欠部16の位置や大きさをそれぞれ左右非対称に形成したりすることで調整できる。アライメント調整部15における切り欠き幅や切り欠き位置は、例えば端子の反りの大きさである反り量にあわせて適宜決定される。
【0032】
この反り量は、端子10(即ち、金属板)の材料特性、及び端子10の長さや幅等の寸法に影響するため、製造ロット毎に各端子10の反り量がおおよそ等しい。このため、生産性等の観点から製造ロット毎に修正量が調整される。
一方、本例のように2個取りで製造される場合には、連鎖方向に対となる第1端子10Aと第2端子10Bとで反り量や反り方が異なることもある。このような連鎖方向に対となる端子10(第1端子10A及び第2端子10B)における反り量の異なりに対応すべく、第1端子10A及び第2端子10Bには異なる形状の切り欠きを施して、第1端子10A及び第2端子10Bの修正量がそれぞれ管理される。
【0033】
なお、この反り量の測定方法としては、端子10の材料特性及び端子10の寸法から予め算出してもよいし、順送プレス金型又は反り修正装置等に設けられたカメラによって検知してもよい。このように測定された反り量によって端子10へのアライメント調整部15の形成が制御される。
【0034】
次いで、反り修正装置による反り修正工程の次段階にて切断装置(図示省略)に搬送されて、切断装置によって連鎖端子1のキャリア1aから一の端子10を切り離す(本発明の「第3工程」に対応)。これにより、端子10の製造が完了する。
【0035】
<作用・効果>
本実施形態によれば、複数の端子10の各々には、端子の仮想中心軸線CLに対する反りを矯正するアライメント調整部15が設けられる(図3及び図5参照)。裏を返せば、各端子10は、アライメント調整部15が設けられたことで、仮想中心軸線CLに対する反りが矯正された、といえる。具体的には、各端子10は、アライメント調整部15を設ける際に左右方向両側面が切り欠かれることで、切欠部16A,16Bを基点に反り方向と逆方向に反るように変形する。この結果、各端子10は、仮想中心軸線CLに対する反りが打ち消されて直線状に延びることになる。
即ち、本実施形態によれば、端子10を同時に複数製造する場合でも、これら複数の端子10の質のばらつきを容易に抑制できる。
【0036】
更に、本実施形態によれば、第1端子10A及び第2端子10Bにおけるアライメント調整部15A,15Bの切欠部16A,16Bの形状が互いに異なる(図1及び図2参照)。裏を返せば、第1端子10A及び第2端子10Bの双方に反りが生じ、この反り方が互いに異なったとしても、第1端子10A及び第2端子10Bの各端子10に対応するように反りを矯正可能である。
即ち、本実施形態によれば、端子10がいわゆる2個取りで製造される場合でも、これら複数の端子10の質のばらつきを容易に抑制できる。
【0037】
更に、本実施形態によれば、第1端子10A及び第2端子10Bにおけるアライメント調整部15A,15Bの幅L1,L2が略等しいことで(図4A及び図6A参照)、例えばアライメント調整部15A,15Bにおける電気抵抗等についても第1端子10A及び第2端子10Bは略等しく、第1端子10Aと第2端子10Bとの質のばらつきを抑制できる。
【0038】
更に、本実施形態によれば、アライメント調整部15において切欠部16A(16B)が、前後方向に互いに位置ずれしている(図4B及び図6B参照)。裏を返せば、アライメント調整部15では、左右の切欠部16A(16B)の位置を調整することで、端子10の仮想中心軸線CLに対する反りを矯正可能である。
【0039】
更に、本実施形態によれば、アライメント調整部15が、端子接続部13と圧入部14との間に設けられることで(図3及び図5参照)、端子10は機能を損なうことなく反りが矯正されている。
【0040】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0041】
ここで、上述した本発明に係る連鎖端子、及び、端子の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
【0042】
[1]
直線状に形成された複数の端子(10)がキャリア(1a)を介して連なった連鎖端子(1)であって、
前記複数の端子(10)の各々には、当該端子の仮想中心軸線(CL)に対する前記端子(10)の反りを矯正するためのアライメント調整部(15)が設けられ、
前記アライメント調整部(15)は、前記端子(10)の幅方向両側面が切り欠かれて形成される、
連鎖端子(1)。
【0043】
上記[1]の構成によれば、複数の端子の各々には、端子の仮想中心軸線に対する反りを矯正するアライメント調整部が設けられる。裏を返せば、各端子は、アライメント調整部が設けられたことで、仮想中心軸線に対する反りが矯正された、といえる。具体的には、各端子は、アライメント調整部を設ける際に幅方向両側面が切り欠かれることで、切り欠き部分を基点に反り方向と逆方向に反るように変形する。この結果、各端子は、仮想中心軸線に対する反りが打ち消されて直線状に延びることになる。即ち、上記構成によれば、端子を同時に複数製造する場合でも、これら複数の端子の質のばらつきを容易に抑制できる。
【0044】
[2]
上記[1]に記載の連鎖端子(1)であって、
前記複数の前記端子(10)は、
連鎖方向において、交互に配置されて互いに隣り合う複数の第1端子(10A)及び複数の第2端子(10B)を有し、
前記複数の第1端子(10A)及び前記複数の第2端子(10B)は、
前記アライメント調整部(15A,15B)の切り欠き形状が互いに異なる、
連鎖端子(1)。
【0045】
上記[2]の構成によれば、第1端子及び第2端子におけるアライメント調整部の切欠き形状が互いに異なる。裏を返せば、第1端子及び第2端子の双方に反りが生じ、この反り方が互いに異なったとしても、第1端子及び第2端子の各端子に対応するように反りを矯正可能である。即ち、上記構成によれば、端子がいわゆる2個取りで製造される場合でも、これら複数の端子の質のばらつきを容易に抑制できる。
【0046】
[3]
上記[2]に記載の連鎖端子(1)であって、
前記第1端子(10A)における前記アライメント調整部(15A)の幅(L1)、及び、前記第2端子(10B)における前記アライメント調整部(15B)の幅(L2)は、略等しい、
連鎖端子(1)。
【0047】
上記[3]の構成によれば、第1端子及び第2端子におけるアライメント調整部の幅が略等しいことで、例えばアライメント調整部における電気抵抗についても第1端子及び第2端子は略等しく、第1端子と第2端子との質のばらつきを抑制できる。
【0048】
[4]
上記[1]から上記[3]の何れか一つに記載の連鎖端子であって、
前記アライメント調整部(15A,15B)は、
前記端子の幅方向両側面に形成された切り欠き(切欠部16A,16B)が、前記端子(10)の延在方向に互いに位置ずれしている、
連鎖端子(1)。
【0049】
上記[4]の構成によれば、アライメント調整部において端子の幅方向両側面に形成された切り欠きが、端子の延在方向に互いに位置ずれしている。裏を返せば、アライメント調整部では、幅方向両側面に形成する切り欠きの位置を調整することで、端子の仮想中心軸線に対する反りを矯正可能である。
【0050】
[5]
上記[1]から上記[4]の何れか一つに記載の連鎖端子(1)であって、
前記複数の前記端子(10)の各々は、
当該端子(10)の延在方向の一端部に設けられて、相手側端子と接続される端子接続部(13)と、
前記キャリア(1a)と前記端子接続部(13)との間に設けられて、ハウジング(30)に対して当該端子(10)を保持させるための圧入部(14)と、を有し、
前記アライメント調整部(15)は、
前記端子(10)における前記端子接続部(13)と前記圧入部(14)との間に設けられる、
連鎖端子(1)。
【0051】
上記[5]の構成によれば、アライメント調整部が、相手側端子と接続される端子接続部とハウジングに対して当該端子を保持させるための圧入部との間に設けられる。これにより、端子は、端子としての機能を損なうことなく反りが矯正されている。
【0052】
[6]
端子(10)の仮想中心軸線(CL)に対する前記端子(10)の反りを矯正するためのアライメント調整部(15)が設けられた端子の製造方法であって、
金属板を打ち抜き加工して、キャリア(1a)を介して連なる複数の端子(10)を形成する第1工程と、
前記複数の端子(10)のそれぞれに前記アライメント調整部(15)を設ける第2工程と、を含み、
前記アライメント調整部(15)は、前記端子(10)の幅方向両側面が切り欠かれて形成される、
端子の製造方法。
【0053】
上記[6]の構成によれば、上記[1]と同様の効果を奏し得る。
【0054】
[7]
上記[6]に記載の端子の製造方法であって、
前記第2工程は、
キャリア(1a)を介して連なる前記複数の前記端子(10)のうち少なくとも連鎖方向に隣接する一対の前記端子(10)ごとに、前記アライメント調整部(15)を設ける、
端子の製造方法。
【0055】
上記[7]の構成によれば、上記[1]と同様の効果を奏し得る。
【0056】
[8]
上記[7]に記載の端子の製造方法であって、
前記一対の前記端子(第1端子10A及び第2端子10B)は、前記アライメント調整部(15A,15B)の切り欠き形状が互いに異なる、
端子の製造方法。
【0057】
上記[8]の構成によれば、上記[2]と同様の効果を奏し得る。
【0058】
[9]
上記[6]から上記[8]の何れか一つに記載の端子の製造方法であって、
前記複数の端子(10)のうち一の前記端子(10)を前記キャリア(1a)から切り離す第3工程と、を含む
端子の製造方法。
【0059】
上記[9]の構成によれば、上記[1]と同様の効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0060】
1 連鎖端子
1a キャリア
10 端子
10A 第1端子
10B 第2端子
11 キャリア痕部
12 基板接続部
13 端子接続部
14 圧入部
15,15A,15B アライメント調整部
16,16A,16B 切欠部
CL 仮想中心軸線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9