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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172661
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】換気システムおよび結露の予測方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/77 20180101AFI20241205BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241205BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20241205BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20241205BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20241205BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20241205BHJP
【FI】
F24F11/77
F24F7/007 B
F24F11/79
F24F11/65
F24F7/08 101J
F24F7/08 101L
F24F11/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090517
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】伊豆川 聖司
(72)【発明者】
【氏名】小前 草太
(72)【発明者】
【氏名】長田 福太郎
(72)【発明者】
【氏名】大城 博行
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BD03
3L056BD07
3L056BE01
3L260BA24
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA32
3L260CA37
3L260CA39
3L260EA04
3L260FA07
3L260FC01
(57)【要約】
【課題】窓の結露を予測して、換気システムの運転状態を変えることにより、窓の結露発生を事前に防ぐことができる換気システムを得ること。
【解決手段】換気システム100aは、窓を備えた室内の換気を行う換気扇20と、窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部と、環境情報取得部で検知された環境情報に基づいて算出した、将来の第1の時刻における窓の表面温度の予測値と、将来の第1の時刻における室内の空気の露点温度の予測値とに基づいて、将来の第1の時刻における窓の結露の発生を予測する判定部2と、を備える。判定部2は、第1の時刻における窓の結露の発生を予測した場合に、第1の時刻以前の第2の時刻に、換気扇の排気風量を増加させる第1の結露抑制運転モードを制御する。換気システム100aは、人の手を煩わせることなく、自動で窓の結露発生を事前に防ぐことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓を備えた室内の換気を行う換気扇と、
前記窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部と、
前記環境情報取得部で検知された前記環境情報に基づいて算出した、将来の第1の時刻における前記窓の表面温度の予測値と、前記将来の第1の時刻における前記室内の空気の露点温度の予測値とに基づいて、前記将来の第1の時刻における前記窓の結露の発生を予測する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記第1の時刻における前記窓の結露の発生を予測した場合に、前記第1の時刻以前の第2の時刻に、前記換気扇の排気風量を増加させる第1の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする換気システム。
【請求項2】
前記環境情報取得部は、
前記室内の室内温度を検知する室内温度取得部と、
前記室内の室内湿度を検知する室内湿度取得部と、
室外温度を検知する室外温度取得部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記判定部が、前記換気扇とインターネットを介して通信可能なサーバに配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項4】
前記室内に配置された空気調和機を備え、
前記判定部は、前記第2の時刻に前記換気扇が排気風量を増加した場合に、前記空気調和機が室内に吹き出す暖房風を前記窓に当てるように前記暖房風の風向を調整する第2の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項5】
前記空気調和機を遠隔制御する制御指示命令を前記空気調和機に送信するリモートコントローラを備え、
前記空気調和機は、前記第2の結露抑制運転モードへの運転状態の切替えを指示する運転切替指示情報を前記リモートコントローラから受信した場合に、前記第2の結露抑制運転モードに移行すること、
を特徴とする請求項4に記載の換気システム。
【請求項6】
前記換気扇は、前記空気調和機が前記第2の結露抑制運転モードに移行した場合に、前記第1の結露抑制運転モードに移行すること、
を特徴とする請求項5に記載の換気システム。
【請求項7】
前記換気扇を遠隔制御する端末装置を備え、
前記判定部は、前記第1の結露抑制運転モードへの運転状態の切替えを指示する運転切替指示情報を前記端末装置から受信した場合に、前記第1の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする請求項4に記載の換気システム。
【請求項8】
前記空気調和機は、前記換気扇が前記第1の結露抑制運転モードに移行した場合に、前記第2の結露抑制運転モードに移行すること、
を特徴とする請求項7に記載の換気システム。
【請求項9】
前記室内の物体を室内の物体の情報を室内画像として取得する室内画像取得部を備え、
前記判定部は、前記室内画像に基づいて前記窓の位置を特定し、前記第2の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする請求項4に記載の換気システム。
【請求項10】
前記室内の物体の情報を室内画像として取得する室内画像取得部を備え、
前記判定部は、前記室内画像に基づいて前記室内に人が存在すると判定した場合に、前記第2の結露抑制運転モードを解除して、前記人に暖房風を当てるように前記暖房風の風向を制御すること、
を特徴とする請求項9に記載の換気システム。
【請求項11】
前記換気扇を遠隔制御する端末装置を備え、
前記端末装置は、前記室内画像を表示し、前記室内画像中における前記窓の位置の情報である窓の位置情報を取得し、
前記判定部は、前記室内画像と、前記窓の位置情報とに基づいて前記室内の窓の位置を特定し、前記第2の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする請求項9に記載の換気システム。
【請求項12】
前記室内の表面温度を測定して前記室内の熱画像を生成する赤外線センサを備え、
前記判定部は、前記熱画像内の温度と、窓の表面温度の予測値との差があらかじめ決められた範囲内である前記室内の箇所を前記窓の位置と判定すること、
を特徴とする請求項4に記載の換気システム。
【請求項13】
前記室内側の前記窓の表面温度を検知する温度計を備え、
前記判定部は、前記窓の表面温度の予測値を、前記温度計で検知された窓の表面温度の現在値で補正すること、
を特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項14】
前記室内側の前記窓の表面温度を検知する温度計を備え、
前記空気調和機は、前記暖房風の風向を異なる複数の風向で暖房運転を行い、
前記判定部は、複数の風向のうち前記窓の表面温度が最も高かった風向で前記暖房風の風向を制御すること、
を特徴とする請求項4に記載の換気システム。
【請求項15】
前記室内の物体を室内の物体の情報を室内画像として取得する室内画像取得部と、
前記換気扇を遠隔制御する端末装置と、
を備え、
前記判定部は、前記室内画像に前記窓が映っていない場合に、前記室内画像における前記窓に近い位置の情報を前記端末装置から取得し、
前記空気調和機は、前記室内における前記窓に近い位置の周辺の領域に向けて前記暖房風の風向を異なる複数の風向で暖房運転を行い、
前記判定部は、複数の風向のうち前記窓の表面温度が最も高かった風向で前記暖房風の風向を制御すること、
を特徴とする請求項14に記載の換気システム。
【請求項16】
前記温度計が、前記温度計の位置情報を取得して前記判定部に送信し、
前記判定部は、前記温度計の位置を前記窓の位置として判定すること、
を特徴とする請求項14に記載の換気システム。
【請求項17】
前記換気扇が、熱交換型換気扇であり、
前記判定部は、前記第1の結露抑制運転モードにおいて、前記熱交換型換気扇の排気風量が給気風量よりも大きくなるように制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の換気システム。
【請求項18】
前記熱交換型換気扇は、
給気流と排気流との間で熱または湿度を交換する熱交換器と、
前記熱交換器を通る前記排気流の風量の割合を減少させるダンパと、
を備えることを特徴とする請求項17に記載の換気システム。
【請求項19】
換気システムが窓の結露の発生を予測する結露の予測方法であって、
換気システムが、前記窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報をあらかじめ決められた時刻ごとに取得して記憶するステップと、
換気システムが、あらかじめ決められた保持期間の前記環境情報を用いて、将来の特定時刻の前記環境情報の予測値を算出するステップと、
換気システムが、前記特定時刻の環境情報の予測値を用いて、前記窓の表面温度の予測値と、室内空気の露点温度の予測値とを算出するステップと、
換気システムが、前記特定時刻において、前記窓の表面温度の予測値が、前記室内空気の露点温度の予測値よりも小さい場合に、前記特定時刻に前記窓の結露が発生すると予測するステップと、
を含むことを特徴とする結露の予測方法。
【請求項20】
前記環境情報が、室内温度、室内湿度および室外温度の情報であること、
を特徴とする請求項19に記載の結露の予測方法。
【請求項21】
前記環境情報が、気圧の情報をさらに含むこと、
を特徴とする請求項20に記載の結露の予測方法。
【請求項22】
室外温度および気圧の情報として気象情報を用いること、
を特徴とする請求項21に記載の結露の予測方法。
【請求項23】
前記換気システムは、前記環境情報をあらかじめ決められた保持期間に限定して記憶すること、
を特徴とする請求項19に記載の結露の予測方法。
【請求項24】
前記環境情報の予測値を前記環境情報の現在値で補正すること、
を特徴とする請求項19に記載の結露の予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の窓の結露を予防することが可能な換気システムおよび結露の予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の換気システムとして、特許文献1には、温度検出手段により検出された温度と湿度検出手段により検出された湿度との関係から室内に含まれる水蒸気量を算出し、水蒸気が飽和し結露に至る温度差を演算する演算手段を備えた換気システムが記載されている。換気システムは、演算手段により結露する温度差であると判定した場合には、室内の結露を防止するように、ファンにより排気または給気する。
【0003】
また、特許文献2には、予測手段により予測された室内温度、予報外気温度、および窓の仮想熱貫流率に基づいて窓の表面温度を推定し、推定した窓の表面温度を用いて窓が結露する結露リスクの有無を判定するリスク判定手段を備える結露予測システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-63251号公報
【特許文献2】特開2021-6755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された換気システムは、室内が結露してから、結露を防ぐための運転に切り替えるものであり、窓の結露を事前に防ぐには至らない、という問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載された結露予測システムは、窓の結露の予測にとどまり、窓の結露の予防には至らない、という問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、窓の結露を予測して、換気システムの運転状態を変えることにより、窓の結露発生を事前に防ぐことができる換気システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる換気システムは、窓を備えた室内の換気を行う換気扇と、窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部と、環境情報取得部で検知された環境情報に基づいて算出した、将来の第1の時刻における窓の表面温度の予測値と、将来の第1の時刻における室内の空気の露点温度の予測値とに基づいて、将来の第1の時刻における窓の結露の発生を予測する判定部と、を備える。判定部は、第1の時刻における窓の結露の発生を予測した場合に、第1の時刻以前の第2の時刻に、換気扇の排気風量を増加させる第1の結露抑制運転モードを制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、窓の結露を予測して、換気システムの運転状態を変えることにより、窓の結露発生を事前に防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる換気システムの構成を示す図
図2】実施の形態1にかかる換気システムが備える換気扇の機能構成を示すブロック図
図3】実施の形態1にかかる換気システムの判定部が時刻ごとに窓の結露の発生の有無を予測するために用いる情報の一例を示す図
図4】実施の形態1にかかる換気システムのデータ保持部が保持する、あらかじめ決められた過去の所定期間の時刻ごとの室内温度の情報の一例を示す図
図5】実施の形態1にかかる換気システムにおいて環境情報の予測値が環境情報の現在値で補正される場合の環境情報の一例を示す図
図6】実施の形態1にかかる換気システムにおける窓の結露の予防のための動作の手順を示すフローチャート
図7】実施の形態2にかかる換気システムの構成を示す図
図8】実施の形態3にかかる換気システムの構成を示す図
図9】実施の形態3にかかる換気システムが備える空気調和機の室内機の機能構成を示すブロック図
図10】実施の形態3にかかる換気システムが備えるリモートコントローラの機能構成を示すブロック図
図11】実施の形態3にかかる換気システムが備える空気調和機のリモートコントローラの一例を示す図
図12】実施の形態3にかかる換気システムにおいて、使用者の操作により空気調和機が結露抑制運転モードに移行したときに、換気扇が結露抑制運転モードに移行する動作の手順を示すフローチャート
図13】実施の形態4にかかる換気システムの構成を示す図
図14】実施の形態4にかかる換気システムにおいて、室内に人がいる場合の空気調和機における空気調和機の結露抑制運転モードでの運転の手順を示すフローチャート
図15】実施の形態5にかかる換気システムの構成を示す図
図16】実施の形態6にかかる換気システムの構成を示す図
図17】実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の機能構成を示すブロック図
図18】実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の端末表示部に表示された室内画像の模式図
図19】実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の端末表示部の表示画面の例を示す第1の図
図20】実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の端末表示部の表示画面の例を示す第2の図
図21】実施の形態6にかかる換気システムにおいて、端末装置の操作により換気扇が結露抑制運転モードに移行した際に、追従して空気調和機が結露抑制運転モードに移行する動作の手順を示すフローチャート
図22】実施の形態6にかかる換気システムにおいて、端末装置の操作により結露抑制運転モードに移行した換気扇に追従して結露抑制運転モードに移行した空気調和機の結露抑制運転モードを解除する動作の手順を示すフローチャート
図23】実施の形態6にかかる換気システムにおいて、リモートコントローラの操作により結露抑制運転モードに移行した空気調和機に追従して結露抑制運転モードに移行した換気扇の結露抑制運転モードを解除する動作の手順を示すフローチャート
図24】実施の形態7にかかる換気システムの構成を示す図
図25】実施の形態7にかかる換気システムにおいて窓の表面温度の予測値が窓の表面温度の予測値の現在値で補正される場合の窓の表面温度の予測値の一例を示す図
図26】実施の形態8にかかる換気システムの構成を示す図
図27】実施の形態8にかかる換気システムにおいて、空気調和機の結露抑制運転モードでの暖房風の適切な風向を見つけるためのフローチャート
図28】実施の形態9にかかる換気システムの構成を示す図
図29】実施の形態9にかかる換気システムが備える端末装置に表示された室内画像に窓が映っていない状態を示す模式図
図30】実施の形態10にかかる換気システムの構成を示す図
図31】実施の形態10にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇の構成を示す模式図
図32】実施の形態10にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇における給気風量と交換効率との関係の一例を示す特性図
図33図32における、給気風量が100m/hのときと、給気風量が200m/hのときとの、温度交換効率と、湿度交換効率との数値を抽出して表形式で示す図
図34】実施の形態11にかかる換気システムの構成を示す図
図35】実施の形態11にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇の熱交換換気運転時の排気流の流れのイメージを示す概念図
図36】実施の形態11にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇の非熱交換換気運転時の排気流の流れのイメージを示す概念図
図37】実施の形態11にかかる換気システムにおける結露抑制運転モードにおいて非熱交換換気運転と熱交換換気運転とを組み合わせた場合の経過時間と室内の絶対湿度との関係を示す特性図の一例を示す図
図38】実施の形態12にかかる換気システムの構成を示す図
図39】実施の形態1から12にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図
図40】実施の形態1から12にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態にかかる換気システムおよび結露の予測方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる換気システムの構成を示す図である。図2は、実施の形態1にかかる換気システムが備える換気扇の機能構成を示すブロック図である。実施の形態1にかかる換気システム100aは、換気対象空間である建物の室内の換気を行う換気システムであり、建物の窓の結露を予防することが可能な換気システムである。
【0013】
換気システム100aは、システム本体部1と、室内温度取得部6と、室内湿度取得部7と、室外温度取得部8と、換気扇20と、を備える。換気システム100aを構成する上記の各構成部は、電気的に接続され、互いに情報の送受信が可能である。以下、換気システム100aの各構成部について詳細に説明する。
【0014】
システム本体部1は、建物の内部に設置され、換気システム100aにおける室内の換気動作を制御する。システム本体部1は、判定部2と、データ保持部3と、システム通信部4と、システム制御部5と、を備える。システム本体部1を構成する上記の各構成部は、電気的に接続され、互いに情報の送受信が可能である。なお、実施の形態1では、判定部2とデータ保持部3とがシステム本体部1に配置されているが、判定部2とデータ保持部3とのうちの一報がシステム本体部1の外部に配置されてもよい。
【0015】
判定部2は、換気システム100aが備える換気扇20などの機器の運転、停止または風量の調整などの動作を、遠隔管理により制御する。すなわち、判定部2により、換気扇20の排気風量を増減する指示を換気扇20に与えることができる。
【0016】
データ保持部3は、換気システム100aの制御に用いられる各種の情報をあらかじめ決められた保持期間にわたって記憶して保持する。データ保持部3は、システム通信部4を介して、システム本体部1の外部から各種の情報を取得することができる。データ保持部3は、室内温度取得部6が取得した室内温度のデータ、室内湿度取得部7が取得した室内湿度のデータ、および室外温度取得部8が取得した室外温度などの、換気システム100aが備える換気扇20などの機器の運転の制御に用いられる各種の情報をあらかじめ決められた保持期間にわたって記憶して、保持する。
【0017】
また、データ保持部3は、換気扇20から送信される、換気扇20の運転状態を示す運転状態情報を記憶する。換気扇20の運転状態は、停止中、相対的に風量が少ない弱ノッチで運転中、相対的に風量が多い強ノッチで運転中、などといった情報である。
【0018】
データ保持部3は、記憶媒体として、不揮発性の記憶部である、フラッシュメモリなどの半導体記憶媒体を有する。データ保持部3は、各種の情報を記憶して保持する記憶機能を有する。また、データ保持部3は、各種の情報をデータ保持部3の外部の機器または構成部から取得する処理、各種の情報の当該記憶部に対する記憶および削除の処理、当該記憶部に記憶された各種の情報をデータ保持部3の外部の機器または構成部に送信する処理といった処理を行う記憶部制御機能を有する。なお、データ保持部3の記憶部としての機能と記憶部制御機能とは、独立した構成部とされてもよい。
【0019】
システム通信部4は、システム本体部1の外部の機器との間で通信を行う。システム通信部4は、室内温度取得部6、室内湿度取得部7、室外温度取得部8および換気扇20との間で通信を行う。システム通信部4は、システム本体部1の外部の機器の通信部から受信した情報を、システム制御部5またはデータ保持部3に送信する。システム通信部4は、システム制御部5またはデータ保持部3から受信した情報を、室内機30aの外部の機器の通信部に送信する。
【0020】
システム制御部5は、システム本体部1全体を制御する。
【0021】
室内温度取得部6は、室内空気の温度を測定して室内の温度を検知する。室内温度取得部6は、システム本体部1に情報を送信可能である。室内温度取得部6は、取得した室内の温度の情報をデータ保持部3に送信する。なお、室内温度取得部6は、データ保持部3と直接、電気的に接続され、直接、室内の温度の情報をデータ保持部3に送信するようにされてもよい。室内温度取得部6は、窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部である。
【0022】
室内湿度取得部7は、室内空気の湿度を測定して室内の湿度を検知する。室内湿度取得部7は、システム本体部1に情報を送信可能である。室内湿度取得部7は、取得した室内の湿度の情報をデータ保持部3に送信する。なお、室内湿度取得部7は、データ保持部3と直接、電気的に接続され、直接、室内の湿度の情報をデータ保持部3に送信するようにされてもよい。室内湿度取得部7は、室内の絶対湿度を取得してもよく、また室内の相対湿度を取得してもよい。室内湿度取得部7は、窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部である。
【0023】
室外温度取得部8は、外気の温度を測定して外気の温度である室外の温度を検知する。室外温度取得部8は、システム本体部1に情報を送信可能である。室外温度取得部8は、取得した室外の温度の情報をデータ保持部3に送信する。なお、室外温度取得部8は、データ保持部3と直接、電気的に接続され、直接、室外の温度の情報をデータ保持部3に送信するようにされてもよい。室外温度取得部8は、窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部である。
【0024】
換気扇20は、建物の壁あるいは天井等の屋内側に取り付けられる換気扇である。換気扇20は、不図示の排気風路を有し、排気風路を介して室内の換気を排気して室内の換気を行う。換気扇20とシステム本体部1とは、通信可能である。すなわち、換気扇20とシステム本体部1とは、互いに情報の送受信が可能とされている。
【0025】
換気扇20は、排気用送風機21と、換気扇記憶部22と、換気扇通信部23と、換気扇制御部24と、を備える。
【0026】
排気用送風機21は、不図示の電動機と、当該電動機の駆動軸に結合された羽根車とから構成されている。羽根車は、電動機の駆動によって回転することにより、室内の空気を排気する気流を形成する。電動機は、羽根車を駆動する。排気用送風機21の風量、すなわち、換気扇20の風量は、電動機の回転数を制御することによって制御される。
【0027】
換気扇記憶部22は、換気扇20の運転に用いられる各種の情報を記憶する。
【0028】
換気扇通信部23は、換気扇20の外部の機器との間で通信を行う。換気扇通信部23は、システム本体部1のシステム通信部4との間で通信を行う。換気扇通信部23は、換気扇20の外部の機器の通信部から受信した情報を、換気扇制御部24に送信する。換気扇通信部23は、換気扇制御部24から受信した情報を、換気扇20の外部の機器の通信部に送信する。換気扇通信部23とシステム通信部4との間の通信方法は、有線通信が用いられてもよく、無線通信が用いられてもよい。
【0029】
換気扇制御部24は、換気扇20の運転を制御する。すなわち、換気扇制御部24は、電動機の駆動を制御して排気用送風機21の運転を制御する。また、換気扇制御部24は、判定部2からの指示に従って、換気扇20の換気運転の運転モードおよび換気運転の風量を切り替える。換気扇制御部24は、電動機の出力を調整して電動機の回転数を制御することによって、排気用送風機21の風量、すなわち換気扇20の風量を制御する。
【0030】
次に、換気システム100aにおける、建物の窓の結露予防のための動作の概要について説明する。図3は、実施の形態1にかかる換気システムの判定部が時刻ごとに窓の結露の発生の有無を予測するために用いる情報の一例を示す図である。図3に示す各種情報は、データ保持部3に記憶されている。データ保持部3は、図3に示すように、あらかじめ決められた時刻ごとに、窓の表面温度の予測値[℃]と、室内空気の露点温度の予測値[℃]と、窓の結露の予測の結果との情報を、テーブル形式で記憶している。
【0031】
判定部2は、データ保持部3に記憶されている、窓の表面温度の予測値と、室内空気の露点温度の予測値とを、時刻ごとに、比較する。窓の表面温度の予測値と、室内空気の露点温度の予測値の算出方法は、後述する。
【0032】
判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の表面温度の予測値が、室内空気の露点温度の予測値よりも小さい場合に、すなわち「窓の表面温度の予測値<室内空気の露点温度の予測値」の関係が成立する場合に、当該時刻に、窓の結露が発生すると判定する。
【0033】
判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の表面温度の予測値が、室内空気の露点温度の予測値以上である場合に、すなわち「窓の表面温度の予測値≧室内空気の露点温度の予測値」の関係が成立する場合に、当該時刻に、窓の結露が発生しないと判定する。
【0034】
判定部2は、将来の特定の時刻について、窓の結露が発生すると判定した場合に、当該特定の時刻よりもあらかじめ決められた前倒時間だけ前の事前制御時刻に、排気風量を増加する制御を換気扇20に対して行う。すなわち、判定部2は、将来の特定の時刻について、窓の結露が発生すると判定した場合に、当該特定の時刻よりあらかじめ決められた前倒時間だけ前の事前制御時刻に、排気風量の増加を指示する旨の風量増加指示情報を換気扇20に対して送信する。換気扇20は、風量増加指示情報を受信すると、当該風量増加指示情報に基づいて排気風量を増加させる。ここで、排気風量を増加することは、換気扇20が停止していた場合に換気扇20の運転を開始することを含む。将来の特定の時刻を将来の第1の時刻とすると、事前制御時刻は、現在以降の時刻であり且つ第1の時刻以前の時刻である第2の時刻といえる。
【0035】
ここで、排気風量を増加させる場合、例えば換気扇20が強ノッチと弱ノッチとの切替のような2段階のノッチを有する機種であれば、1段階ノッチアップさせる。また、例えば窓の表面温度予測値と、室内空気の露点温度予測値との差が、あらかじめ決められた規定値以上であれば、1段階ノッチアップではなく、最強ノッチで運転とする。また、換気扇20が停止していた場合に換気扇20の運転を開始させる場合は、例えば1段階ノッチアップさせる。
【0036】
これにより、換気システム100aは、窓の結露が生じる前に、室内の排湿を行い、窓の結露が生じにくい空間を維持することにより、窓の結露の予防が可能である。
【0037】
前倒時間は、窓の結露が発生すると予測された将来の特定の時刻における窓の結露の発生を、あらかじめ換気扇20の排気風量を増加することにより事前に防止することが可能な時間であり、例えば1時間である。前倒時間の情報は、あらかじめ決められて判定部2に記憶されている。ここで、前倒時間は、窓の結露が発生すると予測された将来の特定の時刻における窓の結露の発生を、あらかじめ換気扇20の排気風量を増加することにより事前に防止することが可能な時間であればよく、1時間に限定されず、任意の時間に変更可能である。なお、前倒時間の情報は、データ保持部3に記憶されてもよい。
【0038】
上記の換気扇20が窓の結露を予防するために排気風量を増加するように切り替えた後の換気扇20の運転状態を、換気扇20の結露抑制運転モードと呼称する。すなわち、換気扇20の結露抑制運転モードは、将来の特定の時刻における窓の結露の発生が予測された場合に排気風量を増加して運転する換気扇20の運転モードである。
【0039】
次に、判定部2が将来の特定の時刻における窓の結露の発生の予測のために使用する、窓の表面温度の予測値を算出する方法と、室内空気の露点温度の予測値を算出する方法について説明する。
【0040】
(窓の表面温度の予測値の算出方法)
判定部2は、以下の式(1)を用いて、窓の表面温度tgiを計算する。
【0041】
【数1】
【0042】
上記の式(1)において、熱貫流率は、窓の材質等の条件に依存するが、例えば窓ガラスが、1枚のフロートガラスであり厚さ5mmである場合は、5.9と仮定して計算できる。上記の式(1)において、室内側熱伝達率は、例えば8.6と仮定して計算できる。熱貫流率および室内側熱伝達率の情報は、たとえば上記の値があらかじめ判定部2に記憶される。なお、熱貫流率および室内側熱伝達率の情報は、使用者によって、システム本体部1にアクセス可能なシステム本体部1の外部の機器を用いて入力および変更することが可能である。また、熱貫流率および室内側熱伝達率の情報は、データ保持部3に記憶されてもよい。また、窓ガラスの材質および枚数といった窓ガラスの条件を外部の機器等で選択することで、外部の機器から自動で熱貫流率および室内側熱伝達率がデータ保持部3に設定されるようにしてもよい。
【0043】
したがって、判定部2は、室内温度取得部6が取得した室内温度tと、室外温度取得部8が取得した室外温度tとを取得することにより、室内側の窓の表面温度を算出することができる。
【0044】
そして、判定部2は、室内温度を、将来の特定時刻の室内温度の予測値とし、室外温度を、将来の特定時刻の室外温度の予測値とすることで、将来の特定時刻の窓の表面温度の予測値を算出することができる。室内温度の予測値の求め方と、室外温度の予測値の求め方については、後述する。
【0045】
(室内空気の露点温度の予測値の算出方法)
判定部2は、以下の式(2)から式(7)を用いて、室内空気の露点温度を計算する。式(2)から式(7)の情報は、あらかじめ判定部2に記憶されている。
【0046】
(第1の算出方法:室内温度の絶対温度T[℃]と、室内の相対湿度U[%RH]とが分かっている場合)
判定部2は、以下の式(2)から式(6)を用いて、室内空気の露点温度を計算する。
【0047】
【数2】
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
【0050】
(y≧0の場合)
【数5】
【0051】
(y<0の場合)
【数6】
【0052】
(第2の算出方法:室内の相対湿度U[%RH]が不明であり、室内の絶対湿度D[kg/kg(DA)]が分かっている場合)
第2の算出方法は、水蒸気圧の計算方法のみが上述した第1の算出方法と異なる。すなわち、判定部2は、上記の式(2)、式(4)、式(5)および式(6)と、水蒸気圧の計算方法である以下の式(7)と、を用いて、室内空気の露点温度を計算する。大気圧は、たとえば1013hPaと仮定して計算してもよい。
【0053】
【数7】
【0054】
したがって、判定部2は、室内温度取得部6が取得した室内温度の絶対温度Tと、室内湿度取得部7が取得した室内湿度である、室内の相対湿度U[%RH]あるいは室内の絶対湿度Dとを取得することにより、室内空気の露点温度を算出することができる。
【0055】
そして、判定部2は、室内温度を、将来の特定時刻の室内温度の予測値とし、室内湿度を、将来の特定時刻の室内湿度の予測値とすることで、将来の特定時刻の室内空気の露点温度の予測値を算出することができる。室内温度の予測値の求め方と、室内湿度の予測値の求め方とについては、後述する。
【0056】
次に、室内温度の予測値と、室内湿度の予測値と、室外温度の予測値との求め方について説明する。以下では、代表として、室内温度の予測値の求め方を説明する。
【0057】
図4は、実施の形態1にかかる換気システムのデータ保持部が保持する、あらかじめ決められた過去の所定期間の時刻ごとの室内温度の情報の一例を示す図である。ここでは、あらかじめ決められた過去の所定期間は、直近の過去1週間である。図4に示すように、データ保持部3は、例えば、直近の過去1週間分の、9:00の室内温度のデータを、保持する。
【0058】
判定部2は、データ保持部3に保持された直近の過去1週間分の、9:00の室内温度の平均値を計算する。判定部2は、算出した室内温度の平均値を、9:00における、室内温度の予測値とする。
【0059】
上記のように、判定部2は、直近の過去1週間における9:00の、1週間分の室内温度の平均値を、9:00における室内温度の予測値とする。すなわち、判定部2は、あらかじめ決められた過去の所定期間における特定時刻の、当該所定期間分の室内温度の平均値を、当該特定時刻における室内温度の予測値とする。
【0060】
なお、直近の過去1週間分の室内温度のデータではなく、直近の過去1年分の室内温度のデータがデータ保持部3に保存されている場合には、判定部2は、1年前の同一日の対応する特定時刻の室内温度、あるいは1年前の同一週の特定時刻の室内温度の平均値を、当該特定時刻における室内温度の予測値としてもよい。
【0061】
判定部2は、室内湿度の予測値および室外温度の予測値についても、上述した室内温度の予測値と同様の求め方で、求めることができる。
【0062】
室内温度、室内湿度および室外温度をまとめて環境情報と呼称する。
【0063】
環境情報は、判定部2が将来の特定の時刻における窓の結露の発生の予測のために使用する、窓の表面温度の予測値と、室内空気の露点温度の予測値との算出に用いる、窓の周囲の環境に関する情報である。環境情報には、室内温度、室内湿度および室外温度以外の項目が含まれてもよい。
【0064】
環境情報は、データ保持部3に保持される。データ保持部3に保持される環境情報は、あらかじめ決められた保持期間に限定されてもよい。すなわち、データ保持部3に保持されている、あらかじめ決められた保持期間よりも古い環境情報が削除され、データ保持部3に保持されている環境情報が相対的に新しい環境情報で上書きされてもよい。これにより、季節が変化し、環境情報の傾向が変わったとしても、環境情報の予測値が相対的に新しい値に更新される。すなわち、データ保持部3に保持される環境情報を、あらかじめ決められた一定期間に限定することにより、環境情報の予測値を、自動的に季節の変化に追従させることができる。
【0065】
また、室外温度の予測値には、気象情報における外気温度の予測値が使用されてもよい。室外温度の予測値に気象情報における外気温度の予測値を使用する場合には、室外温度の予測値は、現時点での実際の気象予報に基づくことになる。この場合、室外温度の予測値は、台風などの突発的な気温変化にも対応可能であり、単に過去のデータを使用した上述の室外温度の予測値よりも、より精度の高い予測値を得ることができ、室外温度の予測値の予測の精度が向上する。
【0066】
また、環境情報の予測値は、環境情報の現在値を用いて補正されてもよい。すなわち、判定部2は、環境情報の予測値を、環境情報の現在値を用いて補正して算出してもよい。図5は、実施の形態1にかかる換気システムにおいて環境情報の予測値が環境情報の現在値で補正される場合の環境情報の一例を示す図である。
【0067】
図5に示すように、例えば、7:00の直近の過去1週間分の室内温度の平均値が、22℃であるとする。また、6:00の直近の過去1週間分の室内温度の平均値が、21℃であるとする。そして、室内温度取得部6が取得した6:00の室内温度が、23℃であるとする。室内温度取得部6が取得した6:00の室内温度は、室内温度の現在値である。この場合、6:00の直近の過去1週間分の室内温度の平均値に対する、室内温度取得部6が取得した6:00の室内温度の差分である平均値との差分は、+2℃となる。そして、判定部2は、平均値との差分の+2℃を、1時間後の7:00の室内温度の平均値である22℃に加算した、24℃を、7:00における室内温度の予測値として算出する。
【0068】
また、図5に示すように、例えば、8:00の直近の過去1週間分の室内温度の平均値が、20℃であるとする。また、7:00の直近の過去1週間分の室内温度の平均値が、22℃であるとする。そして、室内温度取得部6が取得した7:00の室内温度が、25℃であるとする。室内温度取得部6が取得した7:00の室内温度は、室内温度の現在値である。この場合、7:00の直近の過去1週間分の室内温度の平均値に対する、室内温度取得部6が取得した7:00の室内温度の差分である平均値との差分は、+3℃となる。そして、判定部2は、平均値との差分の+3℃を、1時間後の8:00の室内温度の平均値である20℃に加算した、23℃を、8:00における室内温度の予測値として算出する。
【0069】
上記のように環境情報の現在値を用いて補正された室内温度の予測値は、現時点での実際の室内温度に基づくことになる。したがって、室内温度の予測値を室内温度の現在値で補正することで、単に過去の室内温度のデータを使用した室内温度の予測値よりも、より精度の高い室内温度の予測値を得ることができる。すなわち、過去の環境情報のデータに基づいて算出した環境情報の予測値を環境情報の現在値で補正することで、単に過去のデータを使用した環境情報の予測値よりも、より精度の高い環境情報の予測値を得ることができ、環境情報の予測値の予測の精度が向上する。
【0070】
次に、換気システム100aにおける窓の結露の予防のための動作および効果について説明する。図6は、実施の形態1にかかる換気システムにおける窓の結露の予防のための動作の手順を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS110において、データ保持部3が、環境情報を記憶する。具体的に、データ保持部3は、室内温度取得部6が取得した室内温度のデータ、室内湿度取得部7が取得した室内湿度のデータ、および室外温度取得部8が取得した室外温度などの環境情報をあらかじめ決められた時刻ごとに取得し、記憶する。
【0072】
ステップS120において、判定部2が、あらかじめ決められた将来の期間について、将来の特定時刻の環境情報の予測値を算出する。判定部2は、データ保持部3に記憶されている、あらかじめ決められた保持期間の環境情報を用いて、上述したように環境情報である、室内温度の予測値、室内湿度の予測値および室外温度の予測値を算出する。
【0073】
ステップS130において、判定部2が、ステップS120において算出した将来の特定時刻の環境情報の予測値を用いて、窓の表面温度の予測値と、室内空気の露点温度の予測値とを、算出する。
【0074】
ステップS140において、判定部2が、将来の特定時刻において窓に結露が生じるか否かを判定する。
【0075】
判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の表面温度の予測値が、室内空気の露点温度の予測値よりも小さい場合に、当該時刻に、窓の結露が発生すると判定する。すなわち、判定部2は、「窓の表面温度の予測値<室内空気の露点温度の予測値」の関係が成立する場合に、当該時刻に、窓の結露が発生すると予測する。
【0076】
また、判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の表面温度の予測値が、室内空気の露点温度の予測値以上である場合に、当該時刻に、窓の結露が発生しないと判定する。すなわち、判定部2は、「窓の表面温度の予測値≧室内空気の露点温度の予測値」の関係が成立する場合に、当該時刻に、窓の結露が発生しないと予測する。
【0077】
ステップS140においては、判定部2は、あらかじめ決められた将来の複数の特定時刻のそれぞれについて、例えば時刻が早い順に、窓に結露が生じるか否かを判定する。
【0078】
将来の特定時刻において窓に結露が生じないと判定された場合は、ステップS140においてNoとなり、ステップS140に戻り、判定を繰り返す。将来の特定時刻において窓に結露が生じると判定された場合は、ステップS140においてYesとなり、ステップS150に進む。
【0079】
ステップS150において、判定部2は、窓に結露が生じると判定した将来の特定の時刻よりもあらかじめ決められた前倒時間だけ前の事前制御時刻に、換気扇20の結露抑制運転モードで換気扇20を制御する。すなわち、判定部2は、窓に結露が生じると判定した将来の特定の時刻よりもあらかじめ決められた前倒時間だけ前の事前制御時刻に、排気風量の増加を指示する旨の風量増加指示情報を換気扇20に対して送信して、換気扇20の結露抑制運転モードで換気扇20を制御する。
【0080】
ステップS160において、判定部2が、将来の特定時刻において窓に結露が生じるか否かを判定する。判定部2は、換気扇20が換気扇20の結露抑制運転モードで運転を開始した後、上述したステップS120からステップS140と同様にして、将来の特定時刻において窓に結露が生じるか否かを判定する。換気扇20が換気扇20の結露抑制運転モードに移行した後もデータ保持部3には新たな環境情報が記憶される。
【0081】
将来の特定時刻において窓に結露が生じると判定された場合は、ステップS160においてYesとなり、ステップS160に戻り、判定を繰り返す。将来の特定時刻において窓に結露が生じないと判定された場合は、ステップS160においてNoとなり、ステップS170に進む。
【0082】
ステップS170において、判定部2が、窓に結露が生じないと判定された将来の特定時刻に、換気扇20の結露抑制運転モードを解除する。すなわち、判定部2は、窓に結露が生じないと判定された将来の特定時刻に、換気扇20の結露抑制運転モードの解除を指示する解除指示情報を、換気扇20に送信する。換気扇20は、当該解除指示情報に従って、換気扇20の運転を、換気扇20の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転状態に切り替える。
【0083】
上述したように、実施の形態1にかかる換気システム100aでは、判定部2は、将来の特定の時刻について窓の結露発生を予測すると、当該特定の時刻よりもあらかじめ決められた前倒時間だけ前の事前制御時刻に、換気扇20を換気扇20の結露抑制運転モードで運転させる制御を行い、換気扇20の排気風量を増加させる制御を行う。これにより、換気システム100aは、窓の結露が生じる前に、室内の排湿を行い、窓の結露が生じにくい空間を維持することにより、窓の結露の予防が可能である。
【0084】
また、判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の結露が生じないことを予測すると、当該時刻に換気扇20の結露抑制運転モードを解除して、換気扇20の排気風量を元に戻す制御を行う。これにより、換気システム100aでは、換気扇20の排気風量の不要な増加状態を防止することができ、省エネルギーを実現しながら、窓の結露の予防が可能である。
【0085】
したがって、実施の形態1にかかる換気システム100aによれば、窓の結露を予測して、換気システムの運転状態を変えることにより、窓の結露発生を事前に防ぐことができる、という効果を奏する。換気システム100aは、人の手を煩わせることなく、自動で窓の結露発生を事前に防ぐことができる。
【0086】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態2では、実施の形態1にかかる換気システム100aの変形例について説明する。実施の形態2にかかる換気システム100bは、システム本体部1の代わりにサーバ1aを備えることが、実施の形態1にかかる換気システム100aと異なる。
【0087】
換気扇20とサーバ1aとは、通信可能である。また、換気扇20とサーバ1aとは、グローバルな情報通信網であるインターネット200等のネットワークを介して、互いに通信可能に接続されている。すなわち、換気扇20とサーバ1aとは、ネットワークに接続し、互いに情報の送受信が可能とされている。サーバ1aには、クラウドサーバまたはオンプレミスサーバを用いることができる。サーバ1aは、クラウドサーバおよびオンプレミスサーバのいずれが用いられても、インターネット200等のネットワークを介して、互いに通信可能に接続される。
【0088】
サーバ1aは、判定部2と、データ保持部3と、サーバ通信部4aと、サーバ制御部5bと、を備える。サーバ1aを構成する上記の各構成部は、電気的に接続され、互いに情報の送受信が可能である。
【0089】
サーバ通信部4aは、サーバ1aの外部の機器との間で通信を行う。サーバ通信部4aは、換気扇20との間で通信を行う。
【0090】
サーバ制御部5bは、サーバ1a全体を制御する。
【0091】
すなわち、換気システム100bでは、判定部2と、データ保持部3とがシステム本体部1ではなく、システム本体部1として機能するサーバ1aに設けられている。上記のように構成された換気システム100bは、判定部2とデータ保持部3とがサーバ1aに設けられていること以外は、実施の形態1にかかる換気システム100aと同様の構成および機能を有する。
【0092】
上述した実施の形態2にかかる換気システム100bは、上述した実施の形態1にかかる換気システム100aと同様の効果を有する。
【0093】
また、換気システム100bは、判定部2およびデータ保持部3がインターネット200等のネットワークを介してアクセス可能なサーバ1aに配置されているため、換気扇20の近辺に判定部2およびデータ保持部3を物理的に設置する必要が無い。このため、建物に設置される機器が少なく、建物における換気システム100bの設置の自由度が向上する。また、換気システム100bは、換気扇20の運転を遠隔制御するための制御アプリケーションソフトがインストールされたスマートフォン等の端末装置などをサーバ1aと連携させることにより、換気扇20の遠隔操作制御の機能の拡張も可能である。
【0094】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態3では、実施の形態1にかかる換気システム100aの変形例について説明する。実施の形態3にかかる換気システム100cは、実施の形態1にかかる換気システム100aの構成に対して空気調和機30およびリモートコントローラ40をさらに備える点が、実施の形態1にかかる換気システム100aと異なる。
【0095】
空気調和機30およびリモートコントローラ40とシステム本体部1とは、通信可能である。すなわち、空気調和機30およびリモートコントローラ40とシステム本体部1とは、互いに情報の送受信が可能とされている。
【0096】
空気調和機30は、建物において換気扇20が設置された室内に設置される。なお、空気調和機30は、換気扇20が設置された室内と連通する他の室内に設置されてもよい。
【0097】
空気調和機30は、室内に設置された室内機30aと、室外に設置された不図示の室外機と、リモートコントローラ40と、を備える。室内機30aは、通信線を介して室外機と通信可能とされている。リモートコントローラ40は、使用者が空気調和機30を遠隔制御するために空気調和機30に対する制御指示命令を使用者が操作して設定する操作装置であり、使用者により操作された制御指示命令を空気調和機30の室内機30aに送信する。以下では、リモートコントローラをリモコンと呼ぶ場合がある。
【0098】
図9は、実施の形態3にかかる換気システムが備える空気調和機の室内機の機能構成を示すブロック図である。室内機30aは、図9に示すように、室内機センサ31と、風向調整部32と、室内機記憶部33と、室内機通信部34と、室内機制御部35と、を備える。上記の室内機30aの各構成部は、互いに情報の授受が可能である。
【0099】
室内機センサ31は、空気調和機30を制御するために空気調和機30の状態および空気調和機30の使用環境の状態を検出する検出器である。室内機センサ31は、室内の温度を検出する室内温度センサ311、室内の湿度を検出する室内湿度センサ312、などの各種のセンサが例示される。
【0100】
風向調整部32は、調和空気を室内機30aから送り出す方向を調整する。風向調整部32は、室内機制御部35の制御に従って、調和空気を室内機30aから送り出す方向を調整する。
【0101】
室内機記憶部33は、空気調和機30を制御するための各種の制御設定値および制御プログラムなどが記憶されている記憶部である。室内機記憶部33は、不揮発性の記憶部であり、フラッシュメモリなどの半導体記憶媒体で構成される。
【0102】
室内機通信部34は、室内機30aの外部の機器との間で通信を行う。室内機通信部34は、システム本体部1のシステム通信部4との間で、通信を行う。室内機通信部34は、室内機30aの外部の機器の通信部から受信した情報を、室内機制御部35に送信する。室内機通信部34は、室内機制御部35から受信した情報を、室内機30aの外部の機器の通信部に送信する。
【0103】
外部の機器の通信部と室内機通信部34との間の通信方法は、有線通信であってもよく、赤外線通信、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)あるいはBluetooth(登録商標)などを用いた無線通信であってもよい。
【0104】
室内機制御部35は、室内機30aの全体の動作を制御する制御部であり、室内機30aおよび室外機の動作を制御して空気調和機30の運転を制御する。室内機制御部35は、室内機30aの外部の機器の通信部から送信された各種の情報を、室内機通信部34を介して受信する。室内機制御部35は、空気調和機30に関する各種の情報を、室内機通信部34を介して室内機30aの外部の機器に送信する。室内機制御部35は、現在の空気調和機30の運転モードの情報および空気調和機30の運転状態の情報などの情報を、室内機通信部34を介してシステム本体部1のシステム制御部5またはデータ保持部3に送信する。
【0105】
また、室内機制御部35は、風向調整部32を制御して、調和空気を室内機30aから送り出す方向を調整する。室内機制御部35は、調和空気である暖房風の風向の変更を指示する風向変更指示情報を判定部2から受信すると、当該風向変更指示情報に従って風向調整部32を制御して、調和空気である暖房風を窓に当てて窓の表面温度を上げるように、室内機30aから送り出す暖房風の吹出し方向を調整する。
【0106】
図10は、実施の形態3にかかる換気システムが備えるリモートコントローラの機能構成を示すブロック図である。リモコン40は、リモートコントローラ操作部41と、リモートコントローラ表示部42と、リモートコントローラ記憶部43と、リモートコントローラ通信部44と、リモートコントローラ制御部45と、を備える。上記のリモコン40の各構成部は、互いに情報の授受が可能である。
【0107】
リモコン操作部41は、空気調和機30の運転を遠隔制御するためのインタフェースであり、使用者から空気調和機30の運転に関わる操作を受け付ける。リモコン操作部41は、使用者からの操作を受け付けると、使用者の操作に対応した情報である操作情報をリモコン制御部45に送信する。
【0108】
リモコン表示部42は、空気調和機30に関する各種の情報が表示される。リモコン表示部42は、リモコン制御部45から送信された情報を受信し、当該情報に基づいて各種の情報を表示する。
【0109】
リモコン記憶部43は、空気調和機30における換気運転に関わる各種の情報を記憶し、リモコン表示部42に表示するための設定内容、設定内容に関する画像データなどの情報を一時的または長期的に記憶する。
【0110】
リモコン通信部44は、リモコン40の外部の機器との間で通信を行う。リモコン通信部44は、室内機30aの室内機通信部34との間で通信を行う。リモコン通信部44は、リモコン40の外部の機器の通信部から受信した情報を、リモコン制御部45に送信する。リモコン通信部44は、リモコン制御部45から受信した情報を、リモコン40の外部の機器の通信部に送信する。
【0111】
なお、リモコン40の外部の機器とリモコン通信部44との間の通信は、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。実施の形態3では、リモコン40の外部の機器とリモコン40とが無線接続されており、リモコン40の外部の機器とリモコン通信部44との間の通信が無線通信であるものとする。
【0112】
リモコン制御部45は、リモコン40全体の動作を制御する。リモコン制御部45は、リモコン操作部41から送信される操作情報に基づいて、リモコン40の制御を行う。リモコン制御部45は、使用者からの操作に基づいた空気調和機30の制御に関する制御指示命令を、システム本体部1のデータ保持部3に送信する制御を行う。リモコン制御部45は、各種情報をリモコン表示部42に表示させる制御を行う。
【0113】
上述した構成を有する実施の形態3にかかる換気システム100cでは、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードに移行すると同時に、空気調和機30が、窓の表面温度を上げるように、暖房の風向を変える。このように、空気調和機30の暖房風を窓に当てて窓の表面温度を上げることで、室内空気が露点温度に到達する可能性がさらに低減する。このため、実施の形態3にかかる換気システム100cでは、実施の形態1にかかる換気システム100aに比べて、窓の結露予防効果がさらに向上する。
【0114】
上記の空気調和機30が窓の結露を予防するために暖房風を窓に当てて窓の表面温度を上げるように切り替えた後の空気調和機30の運転状態を、空気調和機30の結露抑制運転モードと呼称する。したがって、換気システム100cでは、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードに移行すると同時に、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する。
【0115】
換気扇20の結露抑制運転モードを換気システム100cにおける第1の結露抑制運転モードとすると、空気調和機30の結露抑制運転モードは、換気システム100cにおける第2の結露抑制運転モードといえる。
【0116】
また、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替えは、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報を使用者がリモコン40に入力することにより、任意のタイミングで行うことが可能である。すなわち、換気システム100cでは、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替えは、判定部2において窓の結露の発生が予測されて換気扇20が換気扇20の結露抑制運転モードに移行したタイミングだけでなく、使用者の指示による任意のタイミングでも可能である。
【0117】
図11は、実施の形態3にかかる換気システムが備える空気調和機のリモートコントローラの一例を示す図である。図11に示すように、リモコン40のリモコン操作部41には、結露抑制ボタン411が設けられている。結露抑制ボタン411は、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報を使用者がリモコン40に入力するボタンである。
【0118】
使用者が結露抑制ボタン411を押すと、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する。すなわち、使用者が結露抑制ボタン411を押すと、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報が、リモコン40から室内機30aの室内機制御部35に送信される。室内機制御部35は、当該運転切替指示情報に従って、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替える。
【0119】
再度、使用者が結露抑制ボタン411を押すと、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除する。再度、使用者が結露抑制ボタン411を押すと、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除を指示する解除指示情報が、リモコン40から室内機30aの室内機制御部35に送信される。室内機制御部35は、当該解除指示情報に従って空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転モードに切り替える。すなわち、空気調和機30は、空気調和機30の結露抑制運転モードで運転中にリモコン40の結露抑制ボタン411が押されると、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除する。
【0120】
また、空気調和機30が使用者の指示により空気調和機30の結露抑制運転モードに切替わった際に、追従して、換気扇20が自動的に換気扇20の結露抑制運転モードに切り替わってもよい。図12は、実施の形態3にかかる換気システムにおいて、使用者の操作により空気調和機が結露抑制運転モードに移行したときに、換気扇が結露抑制運転モードに移行する動作の手順を示すフローチャートである。図12に示す例では、リモコン40の結露抑制ボタン411が2回押されることで、空気調和機30の結露抑制運転モードが解除される。
【0121】
ステップS210において、リモコン40のリモコン操作部41が、使用者からの結露抑制ボタン411の操作を受け付ける。リモコン操作部41は、結露抑制ボタン411の操作に対応する操作情報として、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報を、室内機30aの室内機制御部35に送信する。
【0122】
ステップS220において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する。具体的に、室内機制御部35が、運転切替指示情報に従って、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替える。
【0123】
ステップS230において、室内機制御部35が、空気調和機30の結露抑制運転モードへの状態切替情報をシステム本体部1のデータ保持部3に送信する。空気調和機30の結露抑制運転モードへの状態切替情報は、空気調和機30の運転状態が空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替わったことを示す情報である。
【0124】
ステップS240において、データ保持部3が、室内機制御部35から送信された、空気調和機30の結露抑制運転モードへの状態切替情報に基づいて、空気調和機30の結露抑制運転モードの運転状態情報を判定部2に送信する。空気調和機30の結露抑制運転モードの運転状態情報は、空気調和機30の運転状態が空気調和機30の結露抑制運転モードであることを示す情報である。
【0125】
ステップS250において、判定部2が、換気扇20の結露抑制運転モードへの切替を指示する運転切替指示情報を、換気扇20の換気扇制御部24に送信する。
【0126】
ステップS260において、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードに移行する。具体的に、換気扇制御部24が、判定部2から送信された運転切替指示情報に従って、換気扇20の運転を換気扇20の結露抑制運転モードに切り替える。
【0127】
ステップS270において、リモコン40のリモコン操作部41が、使用者からの結露抑制ボタン411の操作を、再度受け付ける。リモコン操作部41は、再度の結露抑制ボタン411の操作に対応する操作情報として、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除を指示する解除指示情報を、室内機30aの室内機制御部35に送信する。
【0128】
ステップS280において、空気調和機30の結露抑制運転モードが、解除される。具体的に、室内機制御部35が、解除指示情報に従って空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転状態に切り替える。
【0129】
ステップS290において、換気扇20の結露抑制運転モードが、解除される。具体的に、室内機制御部35が、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除情報をシステム本体部1のデータ保持部3に送信する。空気調和機30の結露抑制運転モードの解除情報は、空気調和機30の結露抑制運転モードが解除されたことを示す情報である。データ保持部3は、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除情報を受信すると、当該空気調和機30の結露抑制運転モードの解除情報を判定部2に送信する。
【0130】
判定部2は、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除情報を受信すると、換気扇20の結露抑制運転モードの解除を指示する解除指示情報を、換気扇20の換気扇制御部24に送信する。換気扇制御部24は、判定部2から送信された解除指示情報に従って、換気扇20の運転を、換気扇20の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転状態に切り替える。
【0131】
上述した実施の形態3にかかる換気システム100cは、上述した実施の形態1にかかる換気システム100aと同様の効果を有する。
【0132】
また、換気システム100cは、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードに移行すると同時に、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する。すなわち、換気システム100cは、換気扇20が換気扇20の結露抑制運転モードに移行して室内の排湿を開始すると同時に、空気調和機30の暖房風を窓に当てて窓の表面温度を上げることで、室内空気が露点温度に到達する可能性がさらに低減させることができる。これにより、換気システム100cでは、実施の形態1にかかる換気システム100aに比べて、窓の結露予防効果がさらに向上する。
【0133】
実施の形態4.
図13は、実施の形態4にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態4では、実施の形態3にかかる換気システム100cの変形例について説明する。実施の形態4にかかる換気システム100dは、実施の形態3にかかる換気システム100cの構成に対して室内画像取得部9をさらに備える点が、実施の形態3にかかる換気システム100cと異なる。
【0134】
室内画像取得部9は、撮像機器を備え、監視範囲である室内の物体を撮影し、室内の物体の情報を室内画像として取得する。室内画像取得部9は、あらかじめ決められた周期で定期的に室内の物体を撮影し、室内画像を取得する。室内画像取得部9は、システム本体部1のデータ保持部3と電気的に接続され、データ保持部3に情報を送信可能である。室内画像取得部9は、取得した室内画像のデータをデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、室内画像のデータを判定部2に送信する。
【0135】
判定部2は、データ保持部3から取得した室内画像のデータによって、室内の窓の位置および室内における人の位置を特定することができる。そして、判定部2は、画像のデータから取得した室内の窓の位置の情報に基づいて、室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように指示する風向変更指示情報を生成できる。これにより、判定部2は、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替わる際に、空気調和機30が室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように、空気調和機30の暖房風の風向を調節することができる。
【0136】
また、換気システム100dは、室内に人が居るときには、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除して、室内に居る人に暖房風を当てることができる。これにより、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードで運転している場合でも、窓ではなく人を優先して温めることができ、人が寒さを感じることを回避できる。
【0137】
図14は、実施の形態4にかかる換気システムにおいて、室内に人がいる場合の空気調和機における空気調和機の結露抑制運転モードでの運転の手順を示すフローチャートである。
【0138】
ステップS310において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードでの運転を実施する。
【0139】
ステップS320において、室内画像取得部9が、あらかじめ決められた周期で室内画像を取得し、当該室内画像のデータをデータ保持部3に送信する。
【0140】
ステップS330において、データ保持部3が、室内画像のデータを判定部2に送信する。
【0141】
ステップS340において、判定部2が、室内画像の中に人が存在するか否かを判定する。
【0142】
室内画像の中に人が存在しないと判定された場合は、ステップS340においてNoとなり、ステップS340に戻り、データ保持部3から送信される新たな室内画像について判定を繰り返す。室内画像の中に人が存在すると判定された場合は、ステップS340においてYesとなり、ステップS350に進む。
【0143】
ステップS350において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、室内に居る人に暖房風を当てるように暖房風の風向を調節する。具体的に、判定部2が、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除を指示する解除指示情報を、室内機30aの室内機制御部35に送信する。また、判定部2が、室内画像から取得した室内の人の位置の情報に基づいて、室内の人の位置に向かって暖房風を送るように指示する風向変更指示情報を室内機制御部35に送信して、暖房風の風向を制御する。
【0144】
室内機制御部35は、解除指示情報に従って空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転状態に切り替える。また、室内機制御部35は、風向変更指示情報に従って、室内の人の位置に向かって暖房風を送るように風向調整部32を制御する。
【0145】
ステップS360において、判定部2が、あらかじめ決められた待機時間の間に室内画像の中に人が存在するか否かを判定する。判定部2は、あらかじめ決められた周期でデータ保持部3から送信されてくる室内画像のデータを監視し、あらかじめ決められた待機時間の間にわたって室内画像の中に人が存在するか否かを判定する。
【0146】
あらかじめ決められた待機時間の間に室内画像の中に人が存在すると判定された場合は、ステップS360においてYesとなり、ステップS360に戻る。判定部2は、待機時間の間に室内画像の中に人が存在すると判定された時点を基準として、データ保持部3から送信される新たな室内画像について、判定を繰り返す。あらかじめ決められた待機時間の間に室内画像の中に人が存在しないと判定された場合は、ステップS360においてNoとなり、ステップS370に進む。
【0147】
ステップS370において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する。具体的に、判定部2が、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替を指示する運転切替指示情報を、空気調和機30の室内機30aの室内機制御部35に送信する。室内機制御部35は、運転切替指示情報に従って、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替える。
【0148】
上述した実施の形態4にかかる換気システム100dは、上述した実施の形態3にかかる換気システム100cと同様の効果を有する。
【0149】
また、換気システム100dは、室内に人が居るときには、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除して、室内に居る人に暖房風を当てることができる。これにより、換気システム100dは、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードで運転している場合でも、窓ではなく人を優先して温めることができ、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードで運転することに起因して人が寒さを感じることを防止できる。
【0150】
実施の形態5.
図15は、実施の形態5にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態5では、実施の形態4にかかる換気システム100dの変形例について説明する。実施の形態5にかかる換気システム100eは、室内画像取得部9の代わりに赤外線センサ10を備えることが、実施の形態4にかかる換気システム100dと異なる。
【0151】
赤外線センサ10は、監視範囲である室内の表面温度を測定する。赤外線センサ10は、あらかじめ決められた周期で定期的に監視範囲の赤外線強度を検出する。赤外線センサ10は、検出した赤外線強度の検出結果に対して既定の変換処理を行うことにより、検出した監視範囲の赤外線強度を温度に変換して室内の表面温度の温度分布を示す温度分布情報を生成する。そして、赤外線センサ10は、温度分布情報から、室内の表面温度の温度分布を色温度で表現する熱画像の情報である熱画像情報を生成する。熱画像情報は、室内の温度情報を画像として示す情報である。
【0152】
赤外線センサ10は、システム本体部1のデータ保持部3と電気的に接続され、データ保持部3に情報を送信可能である。赤外線センサ10は、取得した熱画像情報をデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、取得した熱画像情報を判定部2に送信する。
【0153】
判定部2は、データ保持部3から取得した熱画像情報によって示される熱画像内の温度と、窓の表面温度の予測値とを比較して、両者の差があらかじめ決められた範囲内である室内の箇所を、窓の位置と判定する。すなわち、判定部2は、熱画像情報と、窓の表面温度の予測値とに基づいて、室内の窓の位置を判定して特定することができる。
【0154】
判定部2は、熱画像情報から取得した室内の窓の位置の情報に基づいて、室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように指示する風向変更指示情報を生成できる。これにより、判定部2は、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替わる際に、空気調和機30が室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように、空気調和機30の暖房風の風向を調節することができる。
【0155】
上述した実施の形態5にかかる換気システム100eは、上述した実施の形態4にかかる換気システム100dと同様の効果を有する。
【0156】
実施の形態6.
図16は、実施の形態6にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態6では、実施の形態4にかかる換気システム100dの変形例について説明する。実施の形態6にかかる換気システム100fは、実施の形態4にかかる換気システム100dの構成に対して端末装置50をさらに備える点が、実施の形態4にかかる換気システム100dと異なる。
【0157】
端末装置50とシステム本体部1とは、通信可能である。また、端末装置50とシステム本体部1とは、グローバルな情報通信網であるインターネット200等のネットワークを介して、互いに通信可能に接続されている。すなわち、端末装置50とシステム本体部1とは、ネットワークに接続し、互いに情報の送受信が可能とされている。
【0158】
端末装置50は、使用者が換気扇20を制御するために換気扇20に対する制御指示命令を使用者が操作して設定可能であり、使用者により操作された制御指示命令をシステム本体部1のデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、端末装置50から送信された制御指示命令をシステム本体部1の判定部2に送信する。判定部2は、データ保持部3から送信された制御指示命令を換気扇20の換気扇制御部24に送信する。換気扇制御部24は、判定部2から送信された制御指示命令に従って排気用送風機21を制御して換気扇20の運転を制御する。
【0159】
また、端末装置50は、使用者が空気調和機30を制御するために空気調和機30に対する制御指示命令を使用者が操作して設定可能であり、使用者により操作された制御指示命令をシステム本体部1のデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、端末装置50から送信された制御指示命令をシステム本体部1の判定部2に送信する。判定部2は、データ保持部3から送信された制御指示命令を空気調和機30の室内機30aの室内機制御部35に送信する。室内機制御部35は、判定部2から送信された制御指示命令に従って空気調和機30の運転を制御する。
【0160】
端末装置50は、換気扇20の運転を遠隔制御するための制御アプリケーションソフトおよび空気調和機30の運転を遠隔制御するための制御アプリケーションソフトがインストールされている。端末装置50は、制御アプリケーションソフトを用いることにより、換気扇20または空気調和機30の運転を遠隔制御するための制御操作を使用者から受け付け、受け付けた制御操作をシステム本体部1に送信することができる。すなわち、端末装置50は、換気システム100fの遠隔操作端末として機能する。
【0161】
端末装置50は、システム本体部1から取得した各種情報を表示して、使用者に各種情報を提示し、また、使用者から換気扇20または空気調和機30の運転に関する各種指示情報を受け付ける。端末装置50には、スマートフォンなどの携帯端末を用いることができる。端末装置50の機能は、例えばスマートフォンのアプリケーション、ワールドワイドウェブ(World Wide Web)に接続可能な通信機器などによって実現可能である。
【0162】
図17は、実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の機能構成を示すブロック図である。端末装置50は、端末操作部51と、端末表示部52と、端末記憶部53と、端末通信部54と、端末制御部55と、を備える。上記の端末装置50の各構成部間においては、互いに情報の授受が可能である。
【0163】
端末操作部51は、使用者操作、すなわち使用者からの操作を受け付ける操作受付部である。端末操作部51は、使用者による操作を受け付けると、使用者の操作に対応した情報である操作情報を端末制御部55に送信する。端末操作部51は、換気扇20または空気調和機30の運転を遠隔制御するための操作を受け付けると、当該操作に対応した操作情報を端末制御部55に送信する。端末操作部51は、キーボード、マウス、タッチパネル機能を備えたタッチパネルディスプレイなどの入力機器により構成され、端末装置50に対する操作が使用者によって行われる。
【0164】
端末表示部52は、端末装置50の内部の各種情報を表示する表示部である。また、端末表示部52は、端末装置50の外部の機器から取得した各種情報を表示する。実施の形態6においては、端末表示部52は、端末操作部51とともにタッチパネルディスプレイによって構成される。端末表示部52のタッチパネルディスプレイは、指で画面を触れるタッチ操作、指で画面をたたくタップ操作など、タッチパネルディスプレイにおける一般的な操作が可能である。
【0165】
端末記憶部53は、端末装置50の内部の各種情報を記憶する記憶部である。
【0166】
端末通信部54は、インターネット200に接続し、システム本体部1との間で通信を行う。端末通信部54は、システム本体部1から送信された各種情報を端末制御部55に送信する。端末通信部54は、端末制御部55から送信された操作情報を、システム本体部1のデータ保持部3に送信する。
【0167】
端末制御部55は、端末装置50の全体の処理を制御する。また、端末制御部55は、使用者からの操作に基づいた操作情報をシステム本体部1に送信する制御を行う。端末制御部55は、使用者からの操作に基づいた換気扇20の制御に関する制御指示命令または使用者からの操作に基づいた空気調和機30の制御に関する制御指示命令を、システム本体部1のデータ保持部3に送信する制御を行う。また、端末制御部55は、情報を端末表示部52に表示させる制御を行う表示制御部としての機能を有する。
【0168】
上述した構成を有する端末装置50は、室内画像取得部9が取得した室内画像のデータをシステム本体部1から取得して、室内画像を表示することができる。そして、使用者は、端末装置50の端末表示部52に表示された室内画像において、窓の位置を指定することができる。
【0169】
図18は、実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の端末表示部に表示された室内画像の模式図である。例えば、図18に示すように、端末表示部52に表示された室内画像521が、破線によって、領域R1から領域R9の領域に仮想的に9分割される。領域R1から領域R9の各領域は、端末表示部52の画面をタッチすることにより使用者によって選択可能とされている。室内画像521は、室内画像取得部9で取得され、データ保持部3を介して端末装置50に送信される。
【0170】
例えば、図18に示すように、端末表示部52における領域R1から領域R9の領域中において、「窓」と表示された領域R3の位置に室内画像521中の窓が映っている場合、当該領域R3の領域を使用者が選択することで、領域R3の位置に向けて、空気調和機30が暖房風を送るように風向を調節することができる。
【0171】
すなわち、タッチパネルにおいて領域R3が使用者によって選択されると、端末操作部51は、室内画像521中における領域R3に対応する位置の位置情報を窓の位置情報として生成し、当該窓の位置情報をデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、窓の位置情報を判定部2に送信する。
【0172】
判定部2は、データ保持部3から取得した窓の位置情報と、室内画像のデータとに基づいて、室内の窓の位置を特定することができる。そして、判定部2は、窓の位置情報に基づいて、室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように指示する風向変更指示情報を生成する。これにより、判定部2は、空気調和機30が空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替わる際に、空気調和機30が室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように、空気調和機30の暖房風の風向を調節することができる。
【0173】
上記のように、実施の形態6にかかる換気システム100fは、室内を映した室内画像521中における領域R3に対応する位置の位置情報を、窓の位置情報として生成することができる。そして、判定部2は、窓の位置情報に基づいて、室内の窓の位置に向かって暖房風を送るように指示する風向変更指示情報を生成する。これにより、実施の形態6にかかる換気システム100fは、実施の形態4にかかる換気システム100dと比較して、より正確に、空気調和機30から窓に向かって暖房風を送ることができる。
【0174】
また、換気システム100fは、換気扇20の結露抑制運転モードへの切替えを、換気扇20の結露抑制運転モードへの切替えを指示する切替指示情報を使用者が端末装置50に入力することにより、任意のタイミングで行うことが可能である。すなわち、換気システム100fでは、換気扇20の結露抑制運転モードへの切替えは、判定部2において窓の結露の発生が予測されたタイミングだけでなく、使用者の指示による任意のタイミングでも可能である。
【0175】
図19は、実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の端末表示部の表示画面の例を示す第1の図である。図20は、実施の形態6にかかる換気システムが備える端末装置の端末表示部の表示画面の例を示す第2の図である。図19に示すように、端末装置50の端末表示部52であるタッチパネルには、運転切替ボタン522が表示される。運転切替ボタン522は、換気扇20の運転モードの切替えを指示する運転切替指示情報を使用者が端末装置50に入力するボタンである。使用者が、運転切替ボタン522を押すと、図20に示すように、指示する換気扇20の運転状態を選択できる選択画面523が表示される。
【0176】
図20に示す選択画面523においては、換気強ボタン524、換気弱ボタン525、結露抑制ボタン526および停止ボタン527が表示される。換気強ボタン524は、換気扇20の強ノッチでの換気運転への切替えを指示する運転切替指示情報を使用者が端末装置50に入力するボタンである。換気弱ボタン525は、換気扇20の弱ノッチでの換気運転への切替えを指示する運転切替指示情報を使用者が端末装置50に入力するボタンである。結露抑制ボタン526は、換気扇20の結露抑制運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報を使用者が端末装置50に入力するボタンである。停止ボタン527は、換気扇20の停止を指示する運転切替指示情報を使用者が端末装置50に入力するボタンである。
【0177】
使用者が結露抑制ボタン526を選択すると、換気扇20を換気扇20の結露抑制運転モードに切り替えることができる。また、換気扇20が換気扇20の結露抑制運転モードで運転している際に、選択画面523において使用者が結露抑制ボタン526以外のボタンを選択することで、換気扇20の結露抑制運転モードを解除することができる。
【0178】
図20に示す選択画面523において使用者が結露抑制ボタン526を押すと、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードに移行する。すなわち、使用者が結露抑制ボタン526を押すと、換気扇20の結露抑制運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報が、端末装置50からシステム本体部1のデータ保持部3に送信される。データ保持部3は、当該運転切替指示情報を判定部2に送信する。判定部2は、当該運転切替指示情報を換気扇20の換気扇制御部24に送信する。換気扇制御部24は、運転切替指示情報に従って、換気扇20の運転を、換気扇20の結露抑制運転モードに切り替える。
【0179】
これにより、換気システム100fは、判定部2において窓の結露の発生が予測されたタイミングだけでなく、使用者の指示による任意のタイミングでも、換気扇20の運転の換気扇20の結露抑制運転モードへの切替えを行うことができる。
【0180】
換気システム100fでは、使用者による端末装置50の操作によって、換気扇20を換気扇20の結露抑制運転モードへ切替えた際に、追従して、空気調和機30が自動的に、空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替わる。さらに、換気システム100fでは、端末装置50から、換気扇20の結露抑制運転モード以外の運転モードを選択して、換気扇20の結露抑制運転モードを解除することができる。
【0181】
図20に示す選択画面523において使用者が結露抑制ボタン526以外の操作ボタンを押すと、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードを解除する。すなわち、使用者が結露抑制ボタン526以外の操作ボタンを押すと、当該操作ボタンに対応した運転モードへの切替えを指示する運転切替指示情報が、端末装置50からシステム本体部1のデータ保持部3に送信される。データ保持部3は、当該運転切替指示情報を判定部2に送信する。判定部2は、当該運転切替指示情報を換気扇20の換気扇制御部24に送信する。換気扇制御部24は、運転切替指示情報に従って、使用者が操作した操作ボタンに対応した運転モードに、換気扇20の運転を制御する。したがって、この場合は、換気扇20の結露抑制運転モードが解除される。
【0182】
図21は、実施の形態6にかかる換気システムにおいて、端末装置の操作により換気扇が結露抑制運転モードに移行した際に、追従して空気調和機が結露抑制運転モードに移行する動作の手順を示すフローチャートである。
【0183】
ステップS410において、端末装置50の端末操作部51が、図20に示す選択画面523において使用者から結露抑制ボタン526の操作を受け付ける。
【0184】
ステップS420において、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードに移行する。
【0185】
ステップS430において、換気扇20の換気扇制御部24が、換気扇20の結露抑制運転モードへの状態切替情報をシステム本体部1のデータ保持部3に送信する。換気扇20の結露抑制運転モードへの状態切替情報は、換気扇20の運転状態が換気扇20の結露抑制運転モードに切り替わったことを示す情報である。
【0186】
ステップS440において、データ保持部3が、換気扇制御部24から送信された、換気扇20の結露抑制運転モードへの状態切替情報に基づいて、換気扇20の結露抑制運転モードの運転状態情報を判定部2に送信する。換気扇20の結露抑制運転モードの運転状態情報は、換気扇20の運転状態が換気扇20の結露抑制運転モードであることを示す情報である。
【0187】
ステップS450において、判定部2が、空気調和機30の結露抑制運転モードへの切替を指示する運転切替指示情報を、空気調和機30の室内機30aの室内機制御部35に送信する。
【0188】
ステップS460において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する。具体的に、室内機制御部35が、判定部2から送信された運転切替指示情報に従って、空気調和機30の運転を空気調和機30の結露抑制運転モードに切り替える。
【0189】
ステップS470において、端末装置50の端末操作部51が、図20に示す選択画面523において使用者から結露抑制ボタン526以外の操作ボタンの操作を受け付ける。
【0190】
ステップS480において、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードを解除する。
【0191】
ステップS490において、追従して、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転モードに切り替える。
【0192】
また、換気システム100fでは、空気調和機30の結露抑制運転モードの解除は、空気調和機30のリモコン40から行うこともできる。
【0193】
図22は、実施の形態6にかかる換気システムにおいて、端末装置の操作により結露抑制運転モードに移行した換気扇に追従して結露抑制運転モードに移行した空気調和機の結露抑制運転モードを解除する動作の手順を示すフローチャートである。
【0194】
まず、上述したステップS410からステップS460が行われる。その後、ステップS510に進む。
【0195】
ステップS510において、リモコン40のリモコン操作部41が、図11に示す結露抑制ボタン411の操作を受け付ける。
【0196】
ステップS520において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転モードに切り替える。
【0197】
ステップS530において、換気扇20が、追従して換気扇20の結露抑制運転モードを解除する。
【0198】
また、換気システム100fでは、図12のフローチャートに示したとおり、リモコン40の操作によって使用者が任意のタイミングで空気調和機30を結露抑制運転モードに切り替えた後に、端末装置50の図20に示す選択画面523での操作により結露抑制ボタン526以外の操作ボタンで換気扇20の運転モードを選択することで、換気扇20の結露抑制運転モードを解除することができる。
【0199】
図23は、実施の形態6にかかる換気システムにおいて、リモートコントローラの操作により結露抑制運転モードに移行した空気調和機に追従して結露抑制運転モードに移行した換気扇の結露抑制運転モードを解除する動作の手順を示すフローチャートである。
【0200】
まず、上述したステップS210からステップS260が行われる。その後、ステップS610に進む。
【0201】
ステップS610において、端末装置50の端末操作部51が、図20に示す選択画面523において使用者から結露抑制ボタン526以外の操作ボタンの操作を受け付ける。
【0202】
ステップS620において、換気扇20が、換気扇20の結露抑制運転モードを解除する。
【0203】
ステップS630において、空気調和機30が、追従して空気調和機30の結露抑制運転モードを解除し、空気調和機30の運転を、空気調和機30の結露抑制運転モードに移行する前の元の運転モードに切り替える。
【0204】
上述した実施の形態6にかかる換気システム100fは、上述した実施の形態4にかかる換気システム100dと同様の効果を有する。
【0205】
また、換気システム100fは、端末装置50を用いて換気扇20の運転を制御できるため、使用者による換気システム100fの使い勝手が向上する。
【0206】
実施の形態7.
図24は、実施の形態7にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態7では、実施の形態1にかかる換気システム100aの変形例について説明する。実施の形態7にかかる換気システム100gは、実施の形態1にかかる換気システム100aの構成に対して温度計11をさらに備える点が、実施の形態1にかかる換気システム100aと異なる。
【0207】
温度計11は、室内側の窓に接触するように設置され、室内側の窓の表面温度を検知する。温度計11は、システム本体部1に情報を送信可能である。温度計11は、取得した窓の表面温度の情報をデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、窓の表面温度の情報を判定部2に送信する。なお、温度計11は、データ保持部3と直接、電気的に接続され、直接、窓の表面温度の情報をデータ保持部3に送信するようにされてもよい。
【0208】
判定部2は、上述した式(1)を用いて算出した窓の表面温度の予測値を、温度計11で検知された窓の表面温度の現在値で補正することで、窓の表面温度の予測の精度を上げることができる。温度計11で検知された窓の表面温度の現在値による窓の表面温度の予測値の補正は、上述した図5で示した方法と同様の方法により行うことができる。すなわち、データ保持部3において算出された、窓の表面温度の予測値と、温度計11で取得された窓の表面温度の現在値との差分を使って、窓の表面温度の予測値を補正する。
【0209】
図25は、実施の形態7にかかる換気システムにおいて窓の表面温度の予測値が窓の表面温度の予測値の現在値で補正される場合の窓の表面温度の予測値の一例を示す図である。
【0210】
図25に示すように、例えば、7:00の窓の表面温度の予測値が、7.7℃であるとする。また、6:00の窓の表面温度の予測値が、6.7℃であるとする。そして、温度計11が取得した6:00の窓の表面温度が、6.0℃であるとする。温度計11が取得した6:00の窓の表面温度は、窓の表面温度の現在値である。この場合、6:00の窓の表面温度の予測値に対する、温度計11が取得した6:00の窓の表面温度の差分は、-0.7℃となる。そして、判定部2は、差分の-0.7℃を、1時間後の7:00の窓の表面温度の予測値である7.7℃に加算した、7.0℃を、7:00における窓の表面温度の予測値として算出する。
【0211】
上記のように窓の表面温度の現在値を用いて補正された窓の表面温度の予測値は、現時点での実際の窓の表面温度に基づくことになる。したがって、窓の表面温度の予測値を窓の表面温度の現在値で補正することで、単に室内温度の予測値と室外温度の予測値とを使用して算出した窓の表面温度の予測値よりも、より精度の高い窓の表面温度の予測値を得ることができる。すなわち、上述した式(1)を用いて算出した窓の表面温度の予測値を窓の表面温度の現在値で補正することで、より精度の高い窓の表面温度の予測値を得ることができ、窓の表面温度の予測値の予測の精度が向上する。
【0212】
上述した実施の形態7にかかる換気システム100gは、上述した実施の形態1にかかる換気システム100aと同様の効果を有する。
【0213】
また、換気システム100gは、上述した式(1)を用いて算出した窓の表面温度の予測値を窓の表面温度の現在値で補正することで、より精度の高い窓の表面温度の予測値を得ることができ、実施の形態1にかかる換気システム100aと比較して、窓の表面温度の予測値の予測の精度が向上する。
【0214】
実施の形態8.
図26は、実施の形態8にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態8では、実施の形態7にかかる換気システム100gの変形例について説明する。実施の形態8にかかる換気システム100hは、実施の形態7にかかる換気システム100gの構成に対して空気調和機30およびリモコン40をさらに備える点が、実施の形態7にかかる換気システム100gと異なる。
【0215】
実施の形態8にかかる換気システム100hは、空気調和機30が暖房風を窓に直接当てられない場合でも、窓の表面温度を上げるための、空気調和機30の暖房風の適切な風向を見つけることができる。これにより、換気システム100hは、空気調和機30が暖房風を窓に直接当てられない場合でも、空気調和機30の結露抑制運転モードにおいて、空気調和機30の暖房風の風向を最適な風向とすることで、効果的に窓の表面温度を上げることが可能である。
【0216】
図27は、実施の形態8にかかる換気システムにおいて、空気調和機の結露抑制運転モードでの暖房風の適切な風向を見つけるためのフローチャートである。空気調和機30は、暖房風を窓に直接当てられない場合に、あらかじめ決められた複数の風向で暖房運転を行って、窓の表面温度を上げるための、空気調和機30の暖房風の適切な風向を見つける。
【0217】
ステップS710において、空気調和機30が、空気調和機30の結露抑制運転モードで運転を開始する。
【0218】
ステップS720において、空気調和機30が、判定部2の制御により、あらかじめ決められた送風時間にわたって、暖房風を窓に直接当てられない風向である、任意の風向で暖房運転を開始する。
【0219】
ステップS730において、温度計11が、窓の表面温度を検知して、検知結果である窓の表面温度の情報をデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、窓の表面温度の情報を判定部2に送信する。
【0220】
ステップS740において、空気調和機30が、判定部2の制御により、あらかじめ決められた送風時間にわたって、暖房風を窓に直接当てられない風向である、他の風向で暖房運転を開始する。
【0221】
ステップS750において、温度計11が、窓の表面温度を検知して、検知結果である窓の表面温度の情報をデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、窓の表面温度の情報を判定部2に送信する。
【0222】
ステップS760において、判定部2が、あらかじめ決められた全ての風向で暖房運転を行ったか否かを判定する。
【0223】
あらかじめ決められた全ての風向で暖房運転を行っていないと判定された場合は、ステップS760においてNoとなり、ステップS740に戻る。あらかじめ決められた全ての風向で暖房運転を行ったと判定された場合は、ステップS760においてYesとなり、ステップS770に進む。
【0224】
ステップS770において、判定部2が、複数の風向のうち窓の表面温度が最も高かった風向を、窓の表面温度を上げるための空気調和機30の暖房風の適切な風向である適切風向と判定する。
【0225】
ステップS780において、空気調和機30が、判定部2の制御により、暖房風を窓に直接当てられない風向である適切風向で暖房運転を開始する。すなわち、判定部2は、複数の風向のうち窓の表面温度が最も高かった風向に暖房風の風向を制御する。
【0226】
温度計11は、温度計11の位置情報を取得できてもよい。温度計11は、取得した温度計の位置情報をデータ保持部3に送信する。データ保持部3は、温度計11から取得した温度計の位置情報を判定部2に送信する。判定部2は、空気調和機30に、温度計11から取得した温度計の位置を向けた送風方向を適切な風向として、暖房風を送るよう制御する。これにより、暖房風の最適な風向を、より簡単に見つけることが可能となる。温度計11は、室内側の窓に接触するように設置される。このため、当該温度計11の位置情報を、窓の位置情報として扱うことができる。
【0227】
上述した実施の形態8にかかる換気システム100hは、上述した実施の形態7にかかる換気システム100gと同様の効果を有する。
【0228】
また、換気システム100hは、空気調和機30の暖房風を窓に直接当てられない場合でも、空気調和機30の結露抑制運転モードにおいて、窓の表面温度を上げるための空気調和機30の暖房風の適切な風向である適切風向で暖房運転を行うことで、効果的に窓の表面温度を上げることが可能である。
【0229】
実施の形態9.
図28は、実施の形態9にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態9では、実施の形態8にかかる換気システム100hの変形例について説明する。実施の形態9にかかる換気システム100iは、実施の形態8にかかる換気システム100hの構成に対して室内画像取得部9および端末装置50をさらに備える点が、実施の形態8にかかる換気システム100hと異なる。すなわち、実施の形態9にかかる換気システム100iは、実施の形態6にかかる換気システム100fと、実施の形態8にかかる換気システム100hとを組み合わせた構成を有する。
【0230】
実施の形態9にかかる換気システム100iは、端末装置50に表示される上述した図18に示した室内画像521中に窓が映っていない場合に、空気調和機30の結露抑制運転モードにおける空気調和機30の暖房風の最適な風向を、上述した図27のフローチャートに沿って速やかに見つけることが可能である。
【0231】
図29は、実施の形態9にかかる換気システムが備える端末装置に表示された室内画像に窓が映っていない状態を示す模式図である。上述した図18においては、「窓」と表示された領域R3の位置に室内画像521中の窓が映っている。一方、図29の例では、室内画像521に窓が映っていない。図29において、例えば、室内画像521を仮想的に広げた場合に、室内画像521の領域R6の位置よりもさらに右側の位置に、すなわち図29における★印の位置あたりに、窓があるものと想定する。
【0232】
このとき、タッチパネルにおいて領域R6が使用者によって選択されると、空気調和機30が、まず図29の室内画像521における領域R6に対応する室内の位置に向けて、暖房風を送風する。領域R6は、仮想的に窓があるものと想定した、図29における★印の位置に最も近い、室内画像521の領域である。
【0233】
上述したように、実施の形態8では、空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つけるために、図27のフローチャートに沿って空気調和機30が制御される。一方、実施の形態9では、空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つけるために、図27のフローチャートに沿って空気調和機30が制御されるが、室内における窓のおおよその位置を使用者が端末装置50を用いて指定するため、空気調和機30は、最初に、使用者によって指定された室内の位置に向けて、暖房風を送風する。
【0234】
そして、換気システム100iでは、例えば、図29の室内画像521の領域R6に対応する室内の領域に向けて暖房風を送風した後、室内画像521において領域R6に隣接する領域である、領域R3、領域R5、領域R9に対応する室内の領域に、暖房風の風向を変えて窓の表面温度を比較し、空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つける。すなわち、判定部2は、室内画像に窓が映っていない場合に、室内画像における窓に近い位置の情報である、室内画像521における領域6の位置の情報を端末装置50から取得する。また、空気調和機は、室内における窓に近い位置である、領域6の位置に対応する領域の周辺の領域に向けて暖房風の風向を異なる複数の風向で暖房運転を行う。そして、判定部2は、複数の風向のうち窓の表面温度が最も高かった風向で暖房風の風向を制御する。
【0235】
これにより、換気システム100iでは、空気調和機30が制御可能な全風向に対して暖房風を送風することなく、速やかに空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つけることができる。すなわち、換気システム100iでは、空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つけるために、図27のフローチャートに沿って空気調和機30を制御する際に、空気調和機30が制御可能な全風向に対して暖房風を送風する必要が無く、効率的に空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つけることができる。
【0236】
上述した実施の形態9にかかる換気システム100iは、上述した実施の形態6にかかる換気システム100fおよび実施の形態8にかかる換気システム100hと同様の効果を有する。
【0237】
また、換気システム100iは、実施の形態8にかかる換気システム100hと比較して、より速やかに空気調和機30の暖房風の最適な風向を見つけることができる。
【0238】
実施の形態10.
図30は、実施の形態10にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態10では、実施の形態1にかかる換気システム100aの変形例について説明する。実施の形態10にかかる換気システム100jは、換気扇20の代わりに熱交換型換気扇60を備えることが、実施の形態1にかかる換気システム100aと異なる。
【0239】
図31は、実施の形態10にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇の構成を示す模式図である。なお、図31においては、熱交換型換気扇60を簡略化して示している。
【0240】
図31に示すように、熱交換型換気扇60は、本体61を備える。本体61は、板金によって構成された直方体状を有する筐体61aの内部に熱交換器66を有する。熱交換器66は、給気流と排気流との間で熱または湿度を交換する。熱交換器66は、顕熱交換器であってもよく、また全熱交換器であってもよい。
【0241】
本体61は、前述の熱交換器66の他に、筐体61aの長手方向の一端面61bにおいて並べて設けられた排気吐出口61gおよび外気吸込口61dと、筐体61aの長手方向において一端面61bと対向する他端面61cにおいて並べて設けられた給気吐出口61eおよび室内空気吸込口61fと、を備える。本体61は、熱交換器66を介して外気吸込口61dと給気吐出口61eとを結ぶ給気風路62と、熱交換器66を介して室内空気吸込口61fと排気吐出口61gとを結ぶ排気風路63と、を備える。給気風路62と排気風路63とは、熱交換器66において交差している。
【0242】
本体61は、給気風路62の入口端から出口端へ向かう給気流の流れ、すなわち外気吸込口61dから給気吐出口61eへ向かう給気流の流れを生成する給気用送風機64を給気風路62に備える。給気用送風機64が運転することにより、給気流の流れが生成され、熱交換型換気扇60を介して外気を室内に取り入れることができる。すなわち、給気用送風機64は、建物の外部から外気を吸い込むとともに熱交換後の外気を室内へ送り出す熱交換給気のための送風を行う送風機である。給気用送風機64を駆動するための不図示の給気用モータを内部に備えている。
【0243】
また、本体61は、排気風路63の入口端から出口端へ向かう排気流の流れ、すなわち室内空気吸込口61fから排気吐出口61gへ向かう排気流の流れを生成する排気用送風機65を排気風路63に備える。排気用送風機65が運転することにより、排気流の流れが生成され、熱交換型換気扇60を介して室内空気を屋外に排出することができる。すなわち、排気用送風機65は、建物内の空気を吸い込むとともに熱交換後の建物内の空気を建物の外側へ送り出して排出する熱交換排気のための送風を行う送風機である。排気用送風機65は、排気用送風機65を駆動するための不図示の排気用モータを内部に備えている。
【0244】
また、本体61には、熱交換型換気扇60の全体の動作を制御する制御部である熱交換型換気扇制御部67が、設けられている。熱交換型換気扇制御部67は、給気用送風機64と排気用送風機65とを含む構成部の動作を制御して熱交換型換気扇60の運転を制御する。
【0245】
実施の形態10では、実施の形態1にかかる換気システム100aにおける換気扇20の結露抑制運転モードが、実施の形態10にかかる換気システム100jの熱交換型換気扇60の結露抑制運転モードとなる。すなわち、熱交換型換気扇60の結露抑制運転モードは、将来の特定の時刻における窓の結露の発生が予測された場合に排気風量を増加して運転する熱交換型換気扇60の運転モードである。
【0246】
熱交換型換気扇60の結露抑制運転モードは、熱交換型換気扇60において、排気風量が給気風量よりも大きい運転モード、すなわち排気風量>給気風量となる運転モードである。
【0247】
熱交換型換気扇60の結露抑制運転モードにおいて、排気風量を給気風量よりも大きくする方法、すなわち排気風量>給気風量とする方法は、排気風量だけを増加する方法、給気風量だけを減少させる方法、および排気風量を増加させるとともに給気風量を減少させる方法のうち、いずれの方法でもよい。
【0248】
そして、判定部2は、将来の特定の時刻について、窓の結露発生を予測すると、当該特定の時刻よりもあらかじめ決められた前倒時間だけ前の事前制御時刻に、熱交換型換気扇60を熱交換型換気扇60の結露抑制運転モードで運転させる制御を行う。
【0249】
これにより、実施の形態10にかかる換気システム100jにおいても、実施の形態1にかかる換気システム100aと同様に、窓の結露が生じる前に室内の排湿を行い、窓の結露が生じにくい空間を維持することにより、窓の結露の予防が可能である。
【0250】
また、判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の結露が生じないことを予測すると、当該時刻に、熱交換型換気扇60の排気風量を元に戻す制御を行う。すなわち、判定部2は、将来の特定の時刻において、窓の結露が生じないことを予測すると、当該時刻に、熱交換型換気扇60の結露抑制運転モードを解除する制御を行う。
【0251】
実施の形態10にかかる換気システム100jは、実施の形態1にかかる換気システム100aと比較して、室内の温度低下を抑制しながら、窓の結露発生を予防することが可能である。
【0252】
図32は、実施の形態10にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇における給気風量と交換効率との関係の一例を示す特性図である。図32では、例えば熱交換型換気扇60の排気風量を150m/hで一定とし、熱交換型換気扇60の給気風量を変化させたときの、温度交換効率と、湿度交換効率との推移を示している。図33は、図32における、給気風量が100m/hのときと、給気風量が200m/hのときとの、温度交換効率と、湿度交換効率との数値を抽出して表形式で示す図である。
【0253】
図33の表における最右列に示すとおり、給気風量が200m/h時の値からの、給気風量100m/h時の値の増加倍率は、温度交換効率では1.5倍、湿度交換効率では1.4倍である。上記のように、熱交換型換気扇60では、排気リッチとすることで、温度交換効率と湿度交換効率との両方が向上するものの、温度交換効率の上昇幅の方が大きい。このため、熱交換型換気扇60では、室内の温度を維持しながら、室内の排湿をすることが可能である。これにより、換気システム100jは、室内の温度低下を抑制しながら、窓の結露発生を予防することが可能である。
【0254】
排気リッチとは、排気風量が給気風量よりも大きい状態、すなわち排気風量>給気風量の状態である。給気リッチとは、排気風量が給気風量よりも小さい状態、すなわち排気風量<給気風量の状態である。
【0255】
上述した実施の形態10にかかる換気システム100jは、上述した実施の形態1にかかる換気システム100aと同様の効果を有する。
【0256】
また、換気システム100jは、実施の形態1にかかる換気システム100aと比較して、室内の温度低下を抑制しながら、窓の結露発生を予防することが可能である。
【0257】
実施の形態11.
図34は、実施の形態11にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態11では、実施の形態10にかかる換気システム100jの変形例について説明する。実施の形態11にかかる換気システム100kは、熱交換型換気扇60の代わりに熱交換型換気扇60aを備えることが、実施の形態10にかかる換気システム100jと異なる。
【0258】
図35は、実施の形態11にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇の熱交換換気運転時の排気流の流れのイメージを示す概念図である。図36は、実施の形態11にかかる換気システムが備える熱交換型換気扇の非熱交換換気運転時の排気流の流れのイメージを示す概念図である。図35および図36における矢印は、気流の流れを示している。なお、図35および図36においては、熱交換型換気扇60aを簡略化して示している。図35および図36においては、上述した図31に示した熱交換型換気扇60と同様の構成部については、図31と同じ符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0259】
筐体61aの内部には、熱交換排気風路である排気風路63における熱交換器66を通る風路に併設されて熱交換器66を迂回するバイパス風路である排気側バイパス風路68が形成されている。排気側バイパス風路68は、熱交換器66を迂回して室内空気吸込口61fと排気吐出口61gとを繋ぐ風路であり、熱交換器66を通さずに排気吐出口61gに排気流を流すためのバイパス風路である。排気側バイパス風路68は、熱交換器66を通らない非熱交換風路である。
【0260】
熱交換型換気扇60aは、室内空気吸込口61fから吸い込んだ室内空気の気流である排気流を熱交換排気風路である排気風路63に流して熱交換器66に通すことにより、給気流と排気流との間で熱交換を伴う熱交換換気を行うことができる。一方、熱交換型換気扇60aは、室内空気吸込口61fから吸い込んだ室内空気の気流である排気流を排気側バイパス風路68に流して熱交換器66に通さないことにより、給気流と排気流との間で熱交換を伴わない普通換気を行うことができる。普通換気は、給気流と排気流との間で熱交換を伴わない換気である非熱交換換気である。
【0261】
筐体61aの内部には、排気風路63と排気側バイパス風路68とが分岐する部分に、排気風路63における熱交換器66を通る風路と排気側バイパス風路68とを切り替えるためのダンパである電動式の排気風路切替ダンパ69が設けられている。排気風路切替ダンパ69は、排気風路63と排気側バイパス風路68とを切り替えるためのダンパと換言できる。
【0262】
排気風路切替ダンパ69は、熱交換器66を通る排気流の風量の割合を減少させる、またはゼロにすることが可能である。排気風路切替ダンパ69は、排気風路63と排気側バイパス風路68との分岐点に回転軸を有し室内空気吸込口61fから吸い込まれた室内空気を熱交換器66に通すか否かを切り替えて排気風路63と排気側バイパス風路68とを切り替える風路切替部を構成している。排気風路切替ダンパ69は、例えば回転する板からなり、向きが変化することにより排気風路63と排気側バイパス風路68とを切り替えることができる。排気風路切替ダンパ69の動作は、熱交換型換気扇制御部67によって制御される。
【0263】
図35では、排気側バイパス風路68を閉塞する閉塞位置に排気風路切替ダンパ69を配置して、排気流が通る排気風路を排気風路63に切り替えた状態を示している。図35に示すように排気風路切替ダンパ69が閉塞位置に配置されているときは、排気風路63が開放され、排気側バイパス風路68が閉塞される。これにより、排気流が熱交換器66に流れるため、熱交換型換気扇60aは、熱交換器66において給気流と排気流との間で熱交換を行う熱交換換気運転を行うことができる。
【0264】
図36では、排気側バイパス風路68を開放する開放位置に排気風路切替ダンパ69を配置して、排気流が通る排気風路を排気側バイパス風路68に切り替えた状態を示している。図36に示すように排気風路切替ダンパ69が開放位置に配置されているときは、排気風路63が閉塞され、排気側バイパス風路68が開放される。これにより、排気流は、熱交換器66を通らずに流れるため、熱交換型換気扇60aは、熱交換器66において給気流と排気流との間で熱交換を行わない非熱交換換気運転である普通換気運転を行うことができる。
【0265】
また、排気風路切替ダンパ69を閉塞位置と開放位置との間の位置に配置することにより、熱交換器66を通る排気流の割合を減少させて熱交換換気運転を行うことができる。
【0266】
普通換気運転は、排気流が熱交換器66を迂回して流れ、室内空気を熱交換器66に通さずに室外へ排気するバイパス換気運転と換言できる。
【0267】
実施の形態11では、実施の形態1にかかる換気システム100aにおける換気扇20の結露抑制運転モードが、実施の形態11にかかる換気システム100kの熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードとなる。すなわち、熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードは、将来の特定の時刻における窓の結露の発生が予測された場合に排気風量を増加して運転する熱交換型換気扇60aの運転モードである。
【0268】
熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードは、熱交換型換気扇60aにおいて、排気風量が給気風量よりも大きい運転モード、すなわち排気風量>給気風量となる運転モードである。
【0269】
熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードにおいて、排気風量を給気風量よりも大きくする方法、すなわち排気風量>給気風量とする方法は、排気風量だけを増加する方法、給気風量だけを減少させる方法、および排気風量を増加させるとともに給気風量を減少させる方法のうち、いずれの方法でもよい。
【0270】
実施の形態11にかかる換気システム100kでは、判定部2において窓の結露の発生が予測されて熱交換型換気扇60aが熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードに移行した際に、室内空気を熱交換器66に通さずに室外へ排気するバイパス換気運転、すなわち非熱交換換気運転が行われてもよい。熱交換型換気扇60aが熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードに移行した際にバイパス換気運転が行わることで、熱交換型換気扇60aは実施の形態1における換気扇20と同様の機能を果たす。
【0271】
また、換気システム100kでは、判定部2において窓の結露の発生が予測されて熱交換型換気扇60aが熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードに移行した際に、バイパス換気運転を行い、且つ排気風量が給気風量よりも大きい状態である排気リッチとすることもできる。この場合は、熱交換型換気扇60aが熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードに移行した際に、排気リッチで熱交換換気運転を行う場合と比較して、湿度交換を行わずに室内の排湿を行うため、より素早く室内の排湿を行うことができる。
【0272】
また、換気システム100kでは、熱交換型換気扇60aの結露抑制運転モードにおいて、バイパス換気運転、すなわち非熱交換換気運転と、熱交換換気運転とを組み合わせることもできる。
【0273】
図37は、実施の形態11にかかる換気システムにおける結露抑制運転モードにおいて非熱交換換気運転と熱交換換気運転とを組み合わせた場合の経過時間と室内の絶対湿度との関係を示す特性図の一例を示す図である。図37では、熱交換型換気扇60aが結露抑制運転モードに移行した際に、最初にあらかじめ決められた時間だけバイパス換気運転を行い、その後に排気リッチで熱交換換気運転を行った場合について示している。
【0274】
図37から分かるように、熱交換型換気扇60aが最初にあらかじめ決められた時間だけバイパス換気運転を行うことにより、素早く室内の絶対湿度を下げることができる。その後、熱交換型換気扇60aの運転を熱交換換気運転に切り替えて、排気リッチ運転を行うことで、室内の温度低下を抑えながら排湿を行い、窓が結露しにくい空間を維持することができる。
【0275】
上述した実施の形態11にかかる換気システム100kは、上述した実施の形態10にかかる換気システム100jと同様の効果を有する。
【0276】
また、換気システム100kは、熱交換型換気扇60aが結露抑制運転モードに移行した際に排気リッチで熱交換換気運転を行うことにより、湿度交換を行わずに室内の排湿を行うため、実施の形態10にかかる換気システム100jと比較して、より素早く室内の排湿を行うことができる。
【0277】
実施の形態12.
図38は、実施の形態12にかかる換気システムの構成を示す図である。実施の形態12では、実施の形態1にかかる換気システム100aの変形例について説明する。実施の形態12にかかる換気システム100lは、実施の形態1にかかる換気システム100aの構成に対して気圧取得部12をさらに備える点が、実施の形態1にかかる換気システム100aと異なる。環境情報は、気圧の情報を含んでもよい。
【0278】
気圧取得部12は、室内の気圧を検知する。気圧取得部12は、システム本体部1に情報を送信可能である。気圧取得部12は、取得した室内の気圧の情報をデータ保持部3に送信する。なお、気圧取得部12は、データ保持部3と直接、電気的に接続され、直接、室内の気圧の情報をデータ保持部3に送信するようにされてもよい。気圧取得部12は、窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部である。
【0279】
室内湿度取得部7が、室内空気の絶対湿度を取得する場合に、判定部2が絶対湿度Dを用いて上述した式(7)により水蒸気圧を算出するために、気圧取得部12における気圧の取得値を使用できる。判定部2が上述した式(7)により水蒸気圧を算出する際に、気圧を1013hPaなどと仮定して計算するよりも、現在の気圧である気圧取得部12における気圧の取得値を用いることで、室内空気の露点温度の予測値の予測の精度が高くなり、窓の結露の発生の予測の精度が高くなる。
【0280】
また、室外温度の予測値および室外温度の予測値に合わせて、室内の気圧の予測値も、気象情報における気圧の予測値が使用されてもよい。気圧の予測値に気象情報における気圧の予測値を使用する場合には、水蒸気圧の予測値は、現時点での実際の気象予報に基づくことになる。この場合、室内空気の露点温度の予測値は、台風などの突発的な気圧の変化にも対応可能であり、より精度の高い予測値を得ることができ、室内空気の露点温度の予測の精度が向上する。
【0281】
上述した実施の形態12にかかる換気システム100lは、上述した実施の形態1にかかる換気システム100aと同様の効果を有する。
【0282】
また、換気システム100lは、判定部2が上述した式(7)により水蒸気圧を算出する際に、現在の気圧である気圧取得部12における気圧の取得値を用いることで、室内空気の露点温度の予測値の予測の精度が高くなり、窓の結露の発生の予測の精度が高くなる。
【0283】
続いて、実施の形態1から12にかかる制御部80のそれぞれのハードウェア構成について説明する。実施の形態1から12にかかる制御部80は、システム本体部1のシステム制御部5、換気扇20の換気扇制御部24、サーバ1aのサーバ制御部5b、空気調和機30の室内機30aの室内機制御部35、リモコン40のリモコン制御部45および端末装置50の端末制御部55のそれぞれに対応する。実施の形態1から12にかかる制御部80のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。
【0284】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらを組み合わせたものが該当する。図39は、実施の形態1から12にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81には、制御部80の機能を実現する論理回路81aが組み込まれている。
【0285】
処理回路81が処理装置の場合、制御部80の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0286】
図40は、実施の形態1から12にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81は、プログラム81bを実行するプロセッサ811と、プロセッサ811がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ812と、プログラム81bを記憶する記憶装置813とを有する。記憶装置813に記憶されているプログラム81bをプロセッサ811がランダムアクセスメモリ812上に展開し、実行することにより、制御部80の機能が実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラム言語で記述され、記憶装置813に格納される。プロセッサ811は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置813は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また、記憶装置813は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)を適用できる。なお、プロセッサ811は、演算結果といったデータを記憶装置813に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ812を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。プロセッサ811、ランダムアクセスメモリ812および記憶装置813を1チップに集積することにより、制御部80の機能をマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0287】
処理回路81は、記憶装置813に記憶されたプログラム81bを読み出して実行することにより、制御部80の機能を実現する。プログラム81bは、制御部80の機能を実現する手順および方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0288】
なお、処理回路81は、制御部80の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部80の機能の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0289】
このように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0290】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0291】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0292】
(付記1)
窓を備えた室内の換気を行う換気扇と、
前記窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報を検知する環境情報取得部と、
前記環境情報取得部で検知された前記環境情報に基づいて算出した、将来の第1の時刻における前記窓の表面温度の予測値と、前記将来の第1の時刻における前記室内の空気の露点温度の予測値とに基づいて、前記将来の第1の時刻における前記窓の結露の発生を予測する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記第1の時刻における前記窓の結露の発生を予測した場合に、前記第1の時刻以前の第2の時刻に、前記換気扇の排気風量を増加させる第1の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする換気システム。
(付記2)
前記環境情報取得部は、
前記室内の室内温度を検知する室内温度取得部と、
前記室内の室内湿度を検知する室内湿度取得部と、
室外温度を検知する室外温度取得部と、
を含むことを特徴とする付記1に記載の換気システム。
(付記3)
前記判定部が、前記換気扇とインターネットを介して通信可能なサーバに配置されていること、
を特徴とする付記1に記載の換気システム。
(付記4)
前記室内に配置された空気調和機を備え、
前記判定部は、前記第2の時刻に前記換気扇が排気風量を増加した場合に、前記空気調和機が室内に吹き出す暖房風を前記窓に当てるように前記暖房風の風向を調整する第2の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする付記1に記載の換気システム。
(付記5)
前記空気調和機を遠隔制御する制御指示命令を前記空気調和機に送信するリモートコントローラを備え、
前記空気調和機は、前記第2の結露抑制運転モードへの運転状態の切替えを指示する運転切替指示情報を前記リモートコントローラから受信した場合に、前記第2の結露抑制運転モードに移行すること、
を特徴とする付記4に記載の換気システム。
(付記6)
前記換気扇は、前記空気調和機が前記第2の結露抑制運転モードに移行した場合に、前記第1の結露抑制運転モードに移行すること、
を特徴とする付記4または5に記載の換気システム。
(付記7)
前記換気扇を遠隔制御する端末装置を備え、
前記判定部は、前記第1の結露抑制運転モードへの運転状態の切替えを指示する運転切替指示情報を前記端末装置から受信した場合に、前記第1の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする付記4に記載の換気システム。
(付記8)
前記空気調和機は、前記換気扇が前記第1の結露抑制運転モードに移行した場合に、前記第2の結露抑制運転モードに移行すること、
を特徴とする付記7に記載の換気システム。
(付記9)
前記室内の物体を室内の物体の情報を室内画像として取得する室内画像取得部を備え、
前記判定部は、前記室内画像に基づいて前記窓の位置を特定し、前記第2の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする付記4から8のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記10)
前記室内の物体の情報を室内画像として取得する室内画像取得部を備え、
前記判定部は、前記室内画像に基づいて前記室内に人が存在すると判定した場合に、前記第2の結露抑制運転モードを解除して、前記人に暖房風を当てるように前記暖房風の風向を制御すること、
を特徴とする付記4から9のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記11)
前記換気扇を遠隔制御する端末装置を備え、
前記端末装置は、前記室内画像を表示し、前記室内画像中における前記窓の位置の情報である窓の位置情報を取得し、
前記判定部は、前記室内画像と、前記窓の位置情報とに基づいて前記室内の窓の位置を特定し、前記第2の結露抑制運転モードを制御すること、
を特徴とする付記9に記載の換気システム。
(付記12)
前記室内の表面温度を測定して前記室内の熱画像を生成する赤外線センサを備え、
前記判定部は、前記熱画像内の温度と、窓の表面温度の予測値との差があらかじめ決められた範囲内である前記室内の箇所を前記窓の位置と判定すること、
を特徴とする付記4から10のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記13)
前記室内側の前記窓の表面温度を検知する温度計を備え、
前記判定部は、前記窓の表面温度の予測値を、前記温度計で検知された窓の表面温度の現在値で補正すること、
を特徴とする付記1から9のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記14)
前記室内側の前記窓の表面温度を検知する温度計を備え、
前記空気調和機は、前記暖房風の風向を異なる複数の風向で暖房運転を行い、
前記判定部は、複数の風向のうち前記窓の表面温度が最も高かった風向で前記暖房風の風向を制御すること、
を特徴とする付記4から13のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記15)
前記室内の物体を室内の物体の情報を室内画像として取得する室内画像取得部と、
前記換気扇を遠隔制御する端末装置と、
を備え、
前記判定部は、前記室内画像に前記窓が映っていない場合に、前記室内画像における前記窓に近い位置の情報を前記端末装置から取得し、
前記空気調和機は、前記室内における前記窓に近い位置の周辺の領域に向けて前記暖房風の風向を異なる複数の風向で暖房運転を行い、
前記判定部は、複数の風向のうち前記窓の表面温度が最も高かった風向で前記暖房風の風向を制御すること、
を特徴とする付記14に記載の換気システム。
(付記16)
前記温度計が、前記温度計の位置情報を取得して前記判定部に送信し、
前記判定部は、前記温度計の位置を前記窓の位置として判定すること、
を特徴とする付記13から15のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記17)
前記換気扇が、熱交換型換気扇であり、
前記判定部は、前記第1の結露抑制運転モードにおいて、前記熱交換型換気扇の排気風量が給気風量よりも大きくなるように制御すること、
を特徴とする付記1から16のいずれか1つに記載の換気システム。
(付記18)
前記熱交換型換気扇は、
給気流と排気流との間で熱または湿度を交換する熱交換器と、
前記熱交換器を通る前記排気流の風量の割合を減少させるダンパと、
を備えることを特徴とする付記17に記載の換気システム。
(付記19)
換気システムが窓の結露の発生を予測する結露の予測方法であって、
換気システムが、前記窓の周囲の空気の環境に関する情報である環境情報をあらかじめ決められた時刻ごとに取得して記憶するステップと、
換気システムが、あらかじめ決められた保持期間の前記環境情報を用いて、将来の特定時刻の前記環境情報の予測値を算出するステップと、
換気システムが、前記特定時刻の環境情報の予測値を用いて、前記窓の表面温度の予測値と、室内空気の露点温度の予測値とを算出するステップと、
換気システムが、前記特定時刻において、前記窓の表面温度の予測値が、前記室内空気の露点温度の予測値よりも小さい場合に、前記特定時刻に前記窓の結露が発生すると予測するステップと、
を含むことを特徴とする結露の予測方法。
(付記20)
前記環境情報が、室内温度、室内湿度および室外温度の情報であること、
を特徴とする付記19に記載の結露の予測方法。
(付記21)
前記環境情報が、気圧の情報をさらに含むこと、
を特徴とする付記20に記載の結露の予測方法。
(付記22)
室外温度および気圧の情報として気象情報を用いること、
を特徴とする付記21に記載の結露の予測方法。
(付記23)
前記換気システムは、前記環境情報をあらかじめ決められた保持期間に限定して記憶すること、
を特徴とする付記19から22のいずれか1つに記載の結露の予測方法。
(付記24)
前記環境情報の予測値を前記環境情報の現在値で補正すること、
を特徴とする付記19から23のいずれか1つに記載の結露の予測方法。
【符号の説明】
【0293】
1 システム本体部、1a サーバ、2 判定部、3 データ保持部、4 システム通信部、4a サーバ通信部、5 システム制御部、5b サーバ制御部、6 室内温度取得部、7 室内湿度取得部、8 室外温度取得部、9 室内画像取得部、10 赤外線センサ、11 温度計、12 気圧取得部、20 換気扇、21 排気用送風機、22 換気扇記憶部、23 換気扇通信部、24 換気扇制御部、30 空気調和機、30a 室内機、31 室内機センサ、32 風向調整部、33 室内機記憶部、34 室内機通信部、35 室内機制御部、40 リモートコントローラ、41 リモートコントローラ操作部、42 リモートコントローラ表示部、43 リモートコントローラ記憶部、44 リモートコントローラ通信部、45 リモートコントローラ制御部、50 端末装置、51 端末操作部、52 端末表示部、53 端末記憶部、54 端末通信部、55 端末制御部、60,60a 熱交換型換気扇、61 本体、61a 筐体、61b 一端面、61c 他端面、61d 外気吸込口、61e 給気吐出口、61f 室内空気吸込口、61g 排気吐出口、62 給気風路、63 排気風路、64 給気用送風機、65 排気用送風機、66 熱交換器、67 熱交換型換気扇制御部、68 排気側バイパス風路、69 排気風路切替ダンパ、80 制御部、81 処理回路、81a 論理回路、81b プログラム、100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g,100h,100i,100j,100k,100l 換気システム、200 インターネット、311 室内温度センサ、312 室内湿度センサ、411 結露抑制ボタン、521 室内画像、522 運転切替ボタン、523 選択画面、524 換気強ボタン、525 換気弱ボタン、526 結露抑制ボタン、527 停止ボタン、811 プロセッサ、812 ランダムアクセスメモリ、813 記憶装置、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9 領域。
図1
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