(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017267
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】充電制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240201BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240201BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240201BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240201BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240201BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240201BHJP
B60L 58/24 20190101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J7/00 U
H02J7/00 P
H02J7/10 L
G06Q50/06
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
B60L58/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119793
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊田 陽
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CB11
5G503CC02
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC05
5H125BC12
5H125BC19
5H125BC21
5H125CD02
5H125CD08
5H125CD09
5H125CD10
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】充電による電気料金情報の精度を上げる充電制御システムを提供する。
【解決手段】車両1に搭載されるバッテリ11の充電制御システム21であって、充電地点で車両1が充電可能な状態となったことを検知し、車両1が次回使用される時刻までの充電量を、車両1が次回使用される時刻までの放電量を考慮して算出し、充電地点の電気料金テーブル及び充電時間に基づいて即充電の電気料金及びタイマー充電の電気料金を算出し、両電気料金の差分を算出してユーザの携帯端末3に通知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリの充電制御システムであって、
充電地点で前記車両が充電可能な状態となったことを検知する状態検知部と、
前記車両が次回使用される時刻までに充電設備から前記車両に電力を充電する電力量である充電量を算出する充電量算出部と、
前記充電地点における電気料金テーブルを取得する電気料金テーブル取得部と、
前記車両が次回使用される時刻までに放電される電力量である放電量を推定する放電量取得部と、
前記状態検知部が充電可能となったことを検知した以降の時刻である第1の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第1の電気料金と、前記第1の時刻とは異なる第2の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第2の電気料金とを、前記充電量、前記電気料金テーブル、及び前記放電量に基づいて算出する電気料金算出部と、
前記第1の電気料金と前記第2の電気料金とを比較する電気料金比較部と、
前記電気料金比較部による比較結果を通知する通知部と、を備える、充電制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
前記通知部は、前記第2の電気料金と前記第1の電気料金との差分又は前記第1の電気料金に対する前記第2の電気料金の削減割合を通知する、充電制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
前記第1の時刻は、前記車両が充電可能な状態となった時刻である、充電制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
前記第2の時刻は、ユーザが設定可能である、充電制御システム。
【請求項5】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
ユーザのスケジュールを取得するスケジュール取得部と、
前記スケジュール及び前記電気料金テーブルに基づいて前記第2の時刻を設定する充電時刻設定部と、をさらに備える、充電制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の充電制御システムであって、
前記バッテリの温度推移を予測するバッテリ温度予測部と、
前記バッテリの温度推移に基づいて、停車中に前記バッテリの温度を調整するバッテリ温調制御部と、をさらに備え、
前記放電量は、前記バッテリの温度を調整するために消費する電力量を含む、充電制御システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の充電制御システムであって、
次回の使用予定時刻に基づいて、停車中に車室の温度を調整する車室温調制御部をさらに備え、
前記放電量は、前記車室の温度を調整するために消費する電力量を含む、充電制御システム。
【請求項8】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
前記放電量取得部は、目標SOCまで充電が行われた以降の時刻における放電量を取得する、充電制御システム。
【請求項9】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
前記電気料金算出部は、充電開始時のSOC、充電終了時のSOC、前記充電設備の出力、及びバッテリの温度推移予測から、充電出力の時系列変化を予測し、充電出力及び充電時間に電気料金単価を乗算して前記電気料金を算出する、充電制御システム。
【請求項10】
請求項1に記載の充電制御システムであって、
前記通知部は、予め登録した基礎充電場所で前記車両に充電手段が接続されたことを検知したタイミングで、前記比較結果を通知する、充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に搭載される充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する電動車に関する研究開発が行われている。
【0003】
電動車における充給電において、例えば特許文献1には、充電装置の充電料金表示部に、バッテリの複数の使用開始時刻候補を、各使用開始時刻候補に応じた充電料金とともに表示することが記載されている。具体的には、現在の蓄電量から予め定める蓄電量までバッテリを充電するために必要な必要充電時間と、時間帯別電力料金とに基づいて、各使用開始時刻候補に応じた充電スケジュールおよび充電料金が算出され、充電料金表示部に表示される。複数の使用開始時刻候補のうちのいずれかが、使用開始時刻として出発時刻入力部に入力される。充電制御部は、入力された使用開始時刻に応じて、外部電源から供給される電力によって、バッテリの充電を行う。
【0004】
近年、充電料金を節約するため、自動的に充電料金が安くなる時間帯に充電を行うサブスクリプションサービスが検討されている。以下、このサブスクリプションサービスをスマート充電サービスと称することがある。このスマート充電サービスでは、どのぐらい充電による電気料金が節約できたかをユーザに認知させることが重要である。そのため、節約できる電気料金の精度を向上させたいという要望がある。
【0005】
ところで、バッテリを高温状態若しくは低温状態で放置すると、バッテリの劣化や性能低下が発生する虞がある。そこで、車両の停車中に、バッテリが高温状態又は低温状態にならないように自動でバッテリの温調を行う技術が提案されている。また、ユーザの使用時間にあわせて車室を予め快適な温度に調整する技術なども提案されている。以下、この技術をプレ空調と称することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような車両の停車中におけるバッテリ温度の調整や車室のプレ空調が行われる場合、バッテリの充電量が変化するため、スマート充電サービスによる節約効果が分かりにくくなる虞がある。
【0008】
一方で、電気自動車における充電についてユーザは煩わしいと感じる傾向がある。これに対し、スマート充電サービスなどを利用して電気料金を節約することで、“充電=煩わしい”というネガティブな心理から、“充電=お得”というポジティブな心理へユーザの意識改革を進め、エネルギーの効率化に寄与する電気自動車の普及を進めたいという要望もある。
【0009】
本発明は、充電による電気料金情報の精度を上げる充電制御システムを提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
車両に搭載されるバッテリの充電制御システムであって、
充電地点で前記車両が充電可能な状態となったことを検知する状態検知部と、
前記車両が次回使用される時刻までに充電設備から前記車両に電力を充電する電力量である充電量を算出する充電量算出部と、
前記充電地点における電気料金テーブルを取得する電気料金テーブル取得部と、
前記車両が次回使用される時刻までに放電される電力量である放電量を推定する放電量取得部と、
前記状態検知部が充電可能となったことを検知した以降の時刻である第1の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第1の電気料金と、前記第1の時刻とは異なる第2の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第2の電気料金とを、前記充電量、前記電気料金テーブル、及び前記放電量に基づいて算出する電気料金算出部と、
前記第1の電気料金と前記第2の電気料金とを比較する電気料金比較部と、
前記電気料金比較部による比較結果を通知する通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電による電気料金情報の精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】バッテリ11が搭載される車両1と、充電制御システム21を構成する管理サーバ2と、ユーザの携帯端末3と、の関係を示す図である。
【
図3】ユーザの携帯端末3に表示されるバッテリ充電に伴う電気料金情報を示す図である。
【
図8】電気料金比較結果の通知処理のフロー図である。
【
図10】変形例の充電制御システム21のブロック図である。
【
図11】変形例の電気料金比較結果の通知処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、
図1~
図11を参照して説明する。
【0014】
図1は、バッテリ11が搭載される車両1と、充電制御システム21を構成する管理サーバ2と、ユーザの携帯端末3と、の関係を示す図である。なお、本実施形態では、管理サーバ2に充電制御システム21が搭載されているが、充電制御システム21は、車両1や携帯端末3に搭載されていてもよく、車両1、管理サーバ2及び携帯端末3に分散して搭載されていてもよい。
【0015】
また、本実施形態において、車両は、バッテリからの電力供給によって移動可能なものであればよい。従って、本実施形態は、二輪、三輪、四輪等の各種の車両に適用可能である。車両には、バッテリからの電力供給によって走行する電動車両や、バッテリからの電力供給を受けて駆動するモータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両が含まれる。
【0016】
図1に示すように、車両1は、バッテリ11、充電実行部12、車載ディスプレイ13、通信制御ユニット14及び充電ポート15を備える。外部電源4は、例えば、車両1のユーザの自宅の敷地内に設置された充電設備である。なお、外部電源4は、自宅の敷地以外にあってもよいが、予め登録した充電設備であってスマート充電が可能な場所(基礎充電場所)に限られる。車両1が自宅の敷地内にある場合、ユーザは、外部電源4から延びるケーブル41の先端に設けられた充電ガン(充電コネクタ)を充電ポート15に差し込むことで、外部電源4からバッテリ11への充電を可能な状態にする。なお、本実施形態では、プラグイン方式で外部電源4からバッテリ11に充電する場合について説明するが、非接触給電方式で外部電源4からバッテリ11に充電してもよい。
【0017】
充電実行部12は、充電コネクタが充電ポート15に接続されている場合、管理サーバ2からの制御に従って、外部電源4からバッテリ11への充電を実行する。また、充電実行部12は、各種のセンサを用いて、バッテリ11を含む車両1に関わる各種の情報(例えば、バッテリ11の残容量であるSOC(State of Charge)、バッテリ11の温度(以下、バッテリ温度と称する)、車両1の外気温等を取得可能である。
【0018】
車載ディスプレイ13は、車両1に備わるナビゲーション装置等である。従って、車載ディスプレイ13は、各種の情報を画像として表示するとともに、該情報を音として出力可能である。また、車載ディスプレイ13は、ユーザの操作入力を受け付けるタッチパネル等の操作部を備えている。
【0019】
通信制御ユニット14は、管理サーバ2及び携帯端末3との間で、無線通信による情報の送受信が可能である。通信制御ユニット14は、例えば、管理サーバ2からバッテリ11の充電制御に関わる指示内容を受信して充電実行部12に出力し、その一方で、充電実行部12が取得したバッテリ11に関わる各種の情報を管理サーバ2に送信する。
【0020】
管理サーバ2は、充電制御システム21及び通信部22を備える。充電制御システム21は、CPU等の制御プロセッサや、ROM、RAM、ストレージ等の記憶装置を含むハードウェアと、ROMやストレージに記憶される充電制御プログラム等のソフトウェアと、を備える。そして、充電制御システム21は、
図2に示すように、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能構成として、状態検知部211、充電量算出部212、電気料金テーブル取得部213、電気料金算出部214、電気料金比較部215、放電量取得部216、バッテリ温調制御部217、プレ空調制御部218及び通知部219を備える。これらの機能構成については、後述する。
【0021】
通信部22は、車両1の通信制御ユニット14及び携帯端末3との間で、無線通信による情報の送受信が可能である。通信部22は、例えば、通信制御ユニット14から車両1に関わる各種の情報(例えば、バッテリ11のSOC及びバッテリ温度、車両1の外気温)を受信する。
【0022】
携帯端末3は、例えば、スマートフォンなどのスマートデバイスであり、通信部31、表示部32及び操作部33を備える。通信部31は、管理サーバ2の通信部22及び車両1の通信制御ユニット14との間で、無線通信による情報の送受信が可能である。表示部32は、各種の情報を画像として表示する。操作部33は、ユーザの操作入力を受け付けるタッチパネル等である。
【0023】
つぎに、充電制御システム21の機能構成について説明する。
【0024】
状態検知部211は、充電地点で車両1が充電可能な状態となったことを検知する。例えば、状態検知部211は、車両1の充電ポート15に対する充電ガンの差し込み状態を検出し、充電可能な状態であるか否かを判定する。
【0025】
充電量算出部212は、車両1が次回使用される時刻までに充電する電力量である充電量(充電出力及び充電時間)を算出する。例えば、充電量算出部212は、現在のSOCに基づいて、バッテリ11が設定上限SOCとなるまでの充電量を予測する。なお、設定上限SOCは、充電時の目標SOCであり、満充電でもよく、例えば80%のようにユーザが任意に設定できることが好ましい。また、充電量算出部212は、車両1が次回使用される時刻までに放電される電力量である放電量を考慮して充電量を算出する。充電量算出部212は、放電量を補う電力量を算出し、充電量に加算する。なお、放電量については、後述する。
【0026】
電気料金テーブル取得部213は、充電地点における電気料金テーブルを取得する。例えば、電気料金テーブル取得部213は、複数の電力会社が提供する様々な電気料金プランに関する電気料金テーブルを記憶し、その中から充電地点に対応する電気料金テーブルを取得する。電気料金テーブルには、複数の時間帯を示す情報と、各時間帯の電気料金単価を示す情報と、が含まれている。例えば、
図6及び
図7に示すように、電気料金テーブルには、11:00~23:00の時間帯は電気料金単価が40円/kWh、23:00~2:00の時間帯、及び7:00~11:00の時間帯は電気料金単価が30円/kWh、2:00~7:00の時間帯は電気料金単価が20円/kWhというような情報が含まれている。
【0027】
放電量取得部216は、車両1が次回使用される時刻までにバッテリ11から放電される電力量である放電量を推定する。例えば、放電量には、停車中にバッテリ11の温度を調整するために消費する電力量や、停車中に車室の温度を調整するために消費する電力量が含まれており、バッテリ温調制御部217やプレ空調制御部218の履歴情報等に基づいて推定することができる。放電量取得部216が取得する放電量は、典型的には、設定上限SOCまで充電が行われた以降の時刻における放電量である。ただし、バッテリ温調制御部217による温調制御が設定上限SOCまで充電が行われる前に行われる場合には、設定上限SOCまで充電が行われる以前の時刻における放電量を含む。
【0028】
バッテリ温調制御部217は、バッテリ11の温度推移を予測し、バッテリ11の温度推移に基づいて、停車中にバッテリ11の温度を調整する。例えば、
図4に示すように、バッテリ11の温度が予め設定されるバッテリ保温開始温度を下回ると、バッテリ温度がバッテリ保温開始温度よりも高い温度に設定されたバッテリ保温終了温度になるまでバッテリ11を加温する。このとき、車両1が充電可能な状態である場合は、SOCが低下しないように充電が実行される。放電量取得部216は、このとき消費される電力量を第1放電量として推定する。
【0029】
プレ空調制御部218は、次回の使用予定時刻に基づいて、停車中に車室の温度を調整する。例えば、プレ空調制御部218は、ユーザがプレ空調を設定している場合、
図5に示すように、出発予定時刻の30分前から車室の空調を実施し、出発予定時刻における車室の温度を設定温度に調整する。このとき、車両1が充電可能な状態である場合は、SOCが低下しないように充電が実行される。放電量取得部216は、このとき消費される電力量を第2放電量として推定する。
【0030】
電気料金算出部214は、充電量算出部212が算出した充電量、電気料金テーブル取得部213が取得した電気料金テーブル、及び放電量取得部216が推定した放電量に基づいて、状態検知部211が充電可能となったことを検知した以降の時刻である第1の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第1の電気料金と、第1の時刻とは異なる第2の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第2の電気料金と、を算出する。例えば、第1の時刻は、車両1が充電可能な状態となった時刻であり、第2の時刻は、第2の電気料金が最も安くなるように、電気料金テーブル及び充電量に基づいて選択された時刻である。以下、第1の時刻から充電を開始する充電を「即充電」、第2の時刻から充電を開始する充電を「タイマー充電」と称する場合がある。タイマー充電は、前述のスマート充電サービスの一態様である。
【0031】
電気料金比較部215は、第1の電気料金と第2の電気料金とを比較する。例えば、電気料金比較部215は、第1の電気料金と第2の電気料金との差分を算出する。
【0032】
通知部219は、電気料金比較部215による第1の電気料金と第2の電気料金との比較結果をユーザに通知する。例えば、
図6に示す即充電時の電気料金と、
図7に示すタイマー充電時の電気料金との比較結果をユーザの携帯端末3に通知する。
【0033】
具体的に説明すると、
図6に示す即充電時の電気料金には、帰宅後直後から設定上限SOCまでの充電に必要な充電出力(kW)及び充電時間(h)にその時間帯の電気料金単価(円/kWh)を乗じて求められる電気料金(円)と、バッテリ温調制御(加温)に伴う充電に必要な充電出力(kW)及び充電時間(h)にその時間帯の電気料金単価(円/kWh)を乗じて求められる電気料金(円)と、が含まれる。
【0034】
また、
図7に示すタイマー充電時の電気料金には、電気料金単価が安くなる時間帯から設定上限SOCまでの充電に必要な充電出力(kW)及び充電時間(h)にその時間帯の電気料金単価(円/kWh)を乗じて求められる電気料金(円)と、バッテリ温調制御(加温)に伴う充電に必要な充電出力(kW)及び充電時間(h)にその時間帯の電気料金単価(円/kWh)を乗じて求められる電気料金(円)と、が含まれる。即ち、
図6及び
図7の電気料金は、充電開始時のSOC、充電終了時のSOC、充電設備の出力、及びバッテリの温度推移予測から、充電出力の時系列変化を予測し、充電出力及び充電時間に電気料金単価を乗算することで算出される。
【0035】
なお、
図6及び
図3に示す電気料金には、ユーザがプレ空調を設定している場合には、プレ空調に必要な充電出力及び充電時間にその時間帯の電気料金単価を乗じて求められる電気料金も含まれる。
【0036】
そして、通知部219は、
図3に示すように、即充電時の電気代である第1の電気料金(例えば、300円)と、タイマー充電時の電気代である第2の電気料金(例えば、200円)と、第1の電気料金と第2の電気料金との差分である節約結果(例えば、100円)と、をユーザの携帯端末3に通知する。これにより、ユーザは、タイマー充電により充電時刻を変更した場合の節約効果を正確に知ることができる。なお、通知先は、携帯端末3に限らず、車載ディスプレイ13、自宅のスマートデバイス等であってもよい。また、第1の電気料金と第2の電気料金との差分の代わりに、第1の電気料金に対する第2の電気料金の削減割合を通知してもよい。
【0037】
つぎに、充電制御システム21の処理手順について、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、電気料金比較結果の通知処理のフロー図、
図9は、充電量算出処理のフロー図である。
【0038】
図8に示すように、充電制御システム21は、電気料金比較結果の通知処理において、車両1の位置が自宅(充電地点)であるか否かの判断(S11)、及び、充電ポート15に充電ガンが嵌合されているか否かの判断(S12)を行い、いずれかの判断結果がNOの場合は、処理を終了する。充電制御システム21は、ステップS11及びステップS12の判断結果がいずれもYESの場合は、車両1が次回使用される時刻までに充電する電力量である充電量を算出する(S13)。充電量算出処理の詳細は、後述する。
【0039】
つぎに、充電制御システム21は、自宅(充電地点)に適用される電気料金テーブルを取得した後(S14)、即充電における電気料金を算出するとともに(S15)、タイマー充電における電気料金を算出する(S16)。その後、充電制御システム21は、電気料金の比較処理として、即充電の電気料金とタイマー充電の電気料金との差分を算出し(S17)、差分をユーザの携帯端末3に通知する(S18)。なお、電気料金比較結果の通知は、充電前に通知してもよく、充電後に通知してもよく、予め定められた時刻に通知するようにしてもよい。一例として、通知部219は、予め登録した基礎充電場所で車両1に充電ガンが接続されたことを検知したタイミングで、電気料金比較結果を通知する。
【0040】
図9に示すように、充電制御システム21は、充電量算出処理において、自宅(充電地点)の気象情報を取得した後(S21)、バッテリ11の温度推移を予測し(S22)、車両1が次回使用される時刻までにバッテリ11の温度調整に消費される第1放電量を算出する(S23)。その後、充電制御システム21は、プレ空調の設定があるか否かを判断し(S24)、この判断結果がNOの場合は、第1放電量を加えた充電量を算出して処理を終える(S25)。また、充電制御システム21は、プレ空調の設定があると判断した場合は(S24のYES)、プレ空調に消費する第2放電量を算出するとともに(S26)、第1放電量及び第2放電量を加えた充電量を算出して処理を終える(S27)。
【0041】
つぎに、充電制御システム21の変形例について、
図10及び
図11を参照して説明する。ただし、前述した実施形態と共通の構成については、前述した実施形態と同じ符号を用いることで、前記実施形態の説明を援用する。
【0042】
図10に示すように、変形例の充電制御システム21は、機能構成として、スケジュール取得部220及び充電時刻設定部221を備える。
【0043】
スケジュール取得部220は、ユーザのスケジュールを取得する。例えば、ユーザのスケジュールには、車両1を次回使用する予定の時刻が含まれる。
【0044】
充電時刻設定部221は、ユーザのスケジュール及び電気料金テーブルに基づいて第2の時刻を設定する。充電時刻設定部221は、第2の時刻を、例えば、最も電気料金が安くなる時刻を第1優先として、その時刻がユーザのスケジュールを参照して充電可能であればその時刻を設定する。一方、その時刻がユーザのスケジュールを参照して充電不可能であれば次に電気料金が安くなる時刻を設定する。このような変形例の充電制御システム21によれば、ユーザのスケジュールに合わせた最適な充電時刻を設定できる。なお、第2の時刻は、ユーザが手動で設定できるようにしてもよい。
【0045】
図11に示すように、変形例の充電制御システム21は、電気料金比較結果の通知処理において、車両1の位置が自宅(充電地点)であるか否かの判断(S31)、及び、充電ポート15に充電ガンが嵌合されているか否かの判断(S32)を行い、いずれかの判断結果がNOの場合は、処理を終了する。充電制御システム21は、ステップS31及びステップS32の判断結果がいずれもYESの場合は、車両1が次回使用される時刻までに充電する電力量である充電量を算出する(S33)。
【0046】
つぎに、充電制御システム21は、自宅(充電地点)に適用される電気料金テーブルを取得するとともに(S34)、ユーザのスケジュールを取得する(S35)。また、充電制御システム21は、ユーザのスケジュール及び電気料金テーブルに基づいて、タイマー充電の時刻を設定し、タイマー充電における電気料金を算出するとともに(S36)、即充電における電気料金を算出する(S37)。その後、充電制御システム21は、電気料金の比較処理として、即充電の電気料金とタイマー充電の電気料金との差分を算出し(S38)、差分をユーザの携帯端末3に通知する(S39)。
【0047】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0049】
(1) 車両(車両1)に搭載されるバッテリ(バッテリ11)の充電制御システム(充電制御システム21)であって、
充電地点で前記車両が充電可能な状態となったことを検知する状態検知部(状態検知部211)と、
前記車両が次回使用される時刻までに充電設備から前記車両に電力を充電する電力量である充電量を算出する充電量算出部(充電量算出部212)と、
前記充電地点における電気料金テーブルを取得する電気料金テーブル取得部(電気料金テーブル取得部213)と、
前記車両が次回使用される時刻までに放電される電力量である放電量を推定する放電量取得部(放電量取得部216)と、
前記状態検知部が充電可能となったことを検知した以降の時刻である第1の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第1の電気料金と、前記第1の時刻とは異なる第2の時刻から充電を開始した場合における次回の車両使用時刻までの充放電量に対する第2の電気料金とを、前記充電量、前記電気料金テーブル、及び前記放電量に基づいて算出する電気料金算出部(電気料金算出部214)と、
前記第1の電気料金と前記第2の電気料金とを比較する電気料金比較部(電気料金比較部215)と、
前記電気料金比較部による比較結果を通知する通知部(通知部219)と、を備える、充電制御システム。
【0050】
(1)によれば、車両が次回使用される時刻までに放電される電力量である放電量を考慮して電気料金が算出され、この電気料金の比較結果がユーザに通知される。したがって、電気料金情報の精度が向上する。これにより、ユーザは充電時刻を変更した場合の節約効果をより正確に知ることができる。また、電気使用量の少ない時間に充電を行うことで、エネルギーの効率化が期待できる。
【0051】
(2) (1)に記載の充電制御システムであって、
前記通知部は、前記第2の電気料金と前記第1の電気料金との差分又は前記第1の電気料金に対する前記第2の電気料金の削減割合を通知する、充電制御システム。
【0052】
(2)によれば、ユーザは充電時刻を変更した場合の節約効果が分かりやすくなる。
【0053】
(3) (1)又は(2)に記載の充電制御システムであって、
前記第1の時刻は、前記車両が充電可能な状態となった時刻である、充電制御システム。
【0054】
(3)によれば、例えば充電プラグを接続してすぐ充電する場合との節約効果を比較できる。
【0055】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
前記第2の時刻は、ユーザが設定可能である、充電制御システム。
【0056】
(4)によれば、ユーザの希望にあわせて充電開始時間を設定でき、その時間に充電を開始した場合の節約効果をユーザに知らせることができる。
【0057】
(5) (1)~(3)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
ユーザのスケジュールを取得するスケジュール取得部(スケジュール取得部220)と、
前記スケジュール及び前記電気料金テーブルに基づいて前記第2の時刻を設定する充電時刻設定部(充電時刻設定部221)と、をさらに備える、充電制御システム。
【0058】
(5)によれば、ユーザのスケジュールと電気料金テーブルに基づいて最適な充電開始時間が設定されるので、スマート充電サービスの利便性が向上する。
【0059】
(6) (1)~(5)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
前記バッテリの温度推移を予測するバッテリ温度予測部(バッテリ温調制御部217)と、
前記バッテリの温度推移に基づいて、停車中に前記バッテリの温度を調整するバッテリ温調制御部(バッテリ温調制御部217)と、をさらに備え、
前記放電量は、前記バッテリの温度を調整するために消費する電力量を含む、充電制御システム。
【0060】
(6)によれば、バッテリの劣化が抑制される。また、放電量にはこの制御に伴う電力量が含まれるので、電気料金情報の精度が向上する。
【0061】
(7) (1)~(6)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
次回の使用予定時刻に基づいて、停車中に車室の温度を調整する車室温調制御部(プレ空調制御部218)をさらに備え、
前記放電量は、前記車室の温度を調整するために消費する電力量を含む、充電制御システム。
【0062】
(7)によれば、ユーザが車両を使用する際に車室が適切な温度に保たれているので車両の快適性が向上する。また、放電量にはこの制御に伴う電力量が含まれるので、電気料金情報の精度が向上する。
【0063】
(8) (1)~(7)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
前記放電量取得部は、目標SOCまで充電が行われた以降の時刻における放電量を取得する、充電制御システム。
【0064】
(8)によれば、目標SOCまで充電が行われた以降の時刻における放電量に基づいて電気料金が算出されるので、電気料金情報の精度が向上する。
【0065】
(9) (1)~(8)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
前記電気料金算出部は、充電開始時のSOC、充電終了時のSOC、前記充電設備の出力、及びバッテリの温度推移予測から、充電出力の時系列変化を予測し、充電出力及び充電時間に電気料金単価を乗算して前記電気料金を算出する、充電制御システム。
【0066】
(9)によれば、充電出力に電気料金単価を乗算して電気料金を算出することで、電気料金の算出が容易になる。情報の精度が向上する。
【0067】
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の充電制御システムであって、
前記通知部は、予め登録した基礎充電場所で前記車両に充電手段(充電ガン)が接続されたことを検知したタイミングで、前記比較結果を通知する、充電制御システム。
【0068】
(10)によれば、充電に対する意識が高いタイミングでタイマー充電による節約効果をユーザに知らしめることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 車両
11 バッテリ
21 充電制御システム
211 状態検知部
212 充電量算出部
213 電気料金テーブル取得部
214 電気料金算出部
215 電気料金比較部
216 放電量取得部
217 バッテリ温調制御部
218 プレ空調制御部
219 通知部
220 スケジュール取得部
221 充電時刻設定部