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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017268
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】緩衝部材及び緩衝部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65D81/05 540A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119794
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(71)【出願人】
【識別番号】522301016
【氏名又は名称】島津ロジスティクスサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 健司
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 崇洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 修
(72)【発明者】
【氏名】南 あゆみ
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA46
3E066BA01
3E066CA04
3E066FA06
3E066FA13
3E066GA01
3E066HA01
3E066JA03
3E066MA01
(57)【要約】
【課題】少なくとも下面が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性を有する緩衝部材を提供すること。
【解決手段】緩衝部材1は、波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなる。緩衝部材1は、保護対象物10の下方に配置されており、表ライナーと裏ライナーとを結ぶ厚み方向及び中芯の流れ方向の双方と直交する幅方向が上下方向と平行となる姿勢で保護対象物10を支持する底支持部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、保護対象物と当該保護対象物を収容する外装箱との間に配置された状態において前記保護対象物を保護する緩衝部材であって、
前記保護対象物の下方に配置されており、前記表ライナーと前記裏ライナーとを結ぶ厚み方向及び前記中芯の流れ方向の双方と直交する幅方向が上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底支持部を含む、緩衝部材。
【請求項2】
前記幅方向が上下方向と直交する第1方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する第1支持部と、
前記幅方向が上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する第2支持部と、をさらに含む、請求項1に記載の緩衝部材。
【請求項3】
前記保護対象物の上方に配置されており、前記幅方向が上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する天支持部をさらに含む、請求項2に記載の緩衝部材。
【請求項4】
請求項1に記載の緩衝部材の製造方法であって、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部における前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部における前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部における前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、を含む、緩衝部材の製造方法。
【請求項5】
請求項2に記載の緩衝部材の製造方法であって、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部及び前記第2支持部における前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部、前記第1支持部及び前記第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部及び前記第2支持部における前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、を含む、緩衝部材の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の緩衝部材の製造方法であって、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部、前記第2支持部及び前記天支持部における前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部、前記第1支持部、前記第2支持部及び前記天支持部のそれぞれにおける前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部、前記第2支持部及び前記天支持部における前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、を含む、緩衝部材の製造方法。
【請求項7】
波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、保護対象物と当該保護対象物を収容する外装箱との間に配置された状態において前記保護対象物を保護する緩衝部材であって、
前記保護対象物の下方に配置される底側緩衝材を備え、
前記底側緩衝材は、
前記保護対象物の下方に配置された底壁と、
上下方向と直交する第1方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の底側第1側壁と、
上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の底側第2側壁と、を有し、
前記底壁は、
前記表ライナーと前記裏ライナーとを結ぶ厚み方向及び前記中芯の流れ方向の双方と直交する幅方向が上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底支持部と、
前記底支持部における前記幅方向が上下方向と平行となるように前記底支持部を保持する底保持部と、を有し、
前記一対の底側第1側壁の各々は、
前記幅方向が前記第1方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底側第1支持部と、
前記底側第1支持部における前記幅方向が前記第1方向と平行となるように前記底側第1支持部を保持する底側第1保持部と、を有し、
前記一対の底側第2側壁の各々は、
前記幅方向が前記第2方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底側第2支持部と、
前記底側第2支持部における前記幅方向が前記第2方向と平行となるように前記底側第2支持部を保持する底側第2保持部と、を有する、緩衝部材。
【請求項8】
前記保護対象物の上方に配置される天側緩衝材をさらに備え、
前記天側緩衝材は、
前記保護対象物の上方に配置された天壁と、
前記第1方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の天側第1側壁と、
前記第2方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の天側第2側壁と、を有し、
前記一対の天側第1側壁の各々は、
前記幅方向が前記第1方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する天側第1支持部と、
前記天側第1支持部における前記幅方向が前記第1方向と平行となるように前記天側第1支持部を保持する天側第1保持部と、を有し、
前記一対の天側第2側壁の各々は、
前記幅方向が前記第2方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する天側第2支持部と、
前記天側第2支持部における前記幅方向が前記第2方向と平行となるように前記天側第2支持部を保持する天側第2保持部と、を有する、請求項7に記載の緩衝部材。
【請求項9】
前記底支持部は、上下方向と直交する方向に互いに対向する一対の底支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の底支持要素の各々は、当該底支持要素における前記幅方向が上下方向と平行であり、
前記底側第1支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の底側第1支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の底側第1支持要素の各々は、当該底側第1支持要素における前記幅方向が前記第1方向と平行であり、
前記底側第2支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の底側第2支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の底側第2支持要素の各々は、当該底側第2支持要素における前記幅方向が前記第2方向と平行であり、
前記天側第1支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の天側第1支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の天側第1支持要素の各々は、当該天第1支持要素における前記幅方向が前記第1方向と平行であり、
前記天側第2支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の天側第2支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の天側第2支持要素の各々は、当該天側第2支持要素における前記幅方向が前記第2方向と平行である、請求項8に記載の緩衝部材。
【請求項10】
前記底壁は、平面視において前記保護対象物の外形よりも大きな外形を有し、
前記一対の底側第1側壁及び前記一対の底側第2側壁は、前記底壁とつながっている、請求項8又は9に記載の緩衝部材。
【請求項11】
前記底側緩衝材は、
前記底壁を含む底クッションと、
前記底クッション上に配置されており、前記一対の底側第1側壁及び前記一対の底側第2側壁を含む底パットと、を有し、
前記底クッションは、上下方向と直交する方向における前記底支持部の外側に形成されており前記外装箱に対する前記底支持部の相対位置を決定する位置決め部を有する、請求項8又は9に記載の緩衝部材。
【請求項12】
前記底側緩衝材は、
第1緩衝材と、
前記第1方向に前記第1緩衝材から離間した位置に配置された第2緩衝材と、を有し、
前記第1緩衝材は、前記底支持部と、前記一対の底側第1側壁の一方と、前記一対の底側第2側壁と、を含み、
前記第2緩衝材は、前記底支持部と、前記一対の底側第1側壁の他方と、前記一対の底側第2側壁と、を含む、請求項8又は9に記載の緩衝部材。
【請求項13】
請求項10に記載の前記緩衝部材における前記底側緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する底側展開シート情報と、請求項11に記載の前記緩衝部材における前記底クッションを展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する底クッション展開シート情報と、請求項11に記載の前記緩衝部材における前記底パットを展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する底パット展開シート情報と、請求項12に記載の前記緩衝部材における前記第1緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する第1展開シート情報と、請求項12に記載の前記緩衝部材における前記第2緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する第2展開シート情報と、前記緩衝部材における前記天側緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する天側展開シート情報と、を準備する工程と、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記底側第1支持部、前記底側第2支持部、前記天側第1支持部及び前記天側第2支持部のそれぞれにおける前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部、前記底側第1支持部、前記底側第2支持部、前記天側第1支持部及び前記天側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記底側第1支持部、前記底側第2支持部、前記天側第1支持部及び前記天側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、
前記第1算出工程で算出された値及び前記第2算出工程で算出された値に基づいて、前記底側展開シート情報、前記底クッション展開シート情報及び前記底パット展開シート情報、又は、前記第1展開シート情報及び前記第2展開シート情報のいずれを用いるかを選定する選定工程と、
波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、前記底側緩衝材を形成することが可能な底側展開シートであって、前記選定工程で選定されたシート情報に対応する外形を有し、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記流れ方向の長さが前記第1算出工程で算出された値であり、かつ、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向の長さが前記第2算出工程で算出された値である前記底側展開シートを作成するとともに、前記段ボールシートからなり、前記天側緩衝材を形成することが可能な天側展開シートであって、前記天側展開シート情報に対応する外形を有し、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記流れ方向の長さが前記第1算出工程で算出された値であり、かつ、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向の長さが前記第2算出工程で算出された値である前記天側展開シートを作成する展開シート作成工程と、を備える、緩衝部材の製造方法。
【請求項14】
前記第2設計曲線は、前記保護対象物の質量に応じて互いに異なる複数の曲線を含み、
前記第2算出工程では、前記第2設計曲線として、前記複数の曲線の中から前記保護対象物の質量に応じた曲線が用いられる、請求項13に記載の緩衝部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緩衝部材及び緩衝部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外装箱と保護対象物との間の配置される緩衝部材として、段ボールシートからなるものが用いられることがある。例えば、特開2004-161341号公報には、段ボールシートからなり、内容物を上下または左右の両側から挟むように保持して緩衝性を付与する緩衝材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-161341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
段ボールシートからなる緩衝部材では、少なくとも下面が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性を有していることが求められる。
【0005】
本発明の目的は、少なくとも下面が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性を有する緩衝部材及び緩衝部材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様は、波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、保護対象物と当該保護対象物を収容する外装箱との間に配置された状態において前記保護対象物を保護する緩衝部材であって、前記保護対象物の下方に配置されており、前記表ライナーと前記裏ライナーとを結ぶ厚み方向及び前記中芯の流れ方向の双方と直交する幅方向が上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底支持部を含む、緩衝部材に関する。
【発明の効果】
【0007】
この緩衝部材では、外装箱の底面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際、幅方向が上下方向と平行となる姿勢で保護対象物を支持する底支持部によって保護対象物が支持される。よって、下面が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態における緩衝部材の斜視図である。
図2図1とは異なる角度における緩衝部材の斜視図である。
図3】段ボールシートの拡大図である。
図4】底側緩衝材の斜視図である。
図5図4とは異なる角度における底側緩衝材の斜視図である。
図6】第2方向と直交する平面での底側緩衝材の断面を示す斜視図である。
図7】第1方向と直交する平面での底側緩衝材の断面を示す斜視図である。
図8】底側第2保持部の拡大図である。
図9】天側緩衝材の斜視図である。
図10】第1方向と直交する平面での天側緩衝材の断面を示す斜視図である。
図11】底側展開シートの平面図である。
図12】天側展開シートの平面図である。
図13】本発明の第2実施形態における緩衝部材の底側緩衝材の斜視図である。
図14】底クッションの斜視図である。
図15】第2方向と直交する平面での底クッションの断面を示す斜視図である。
図16】第1方向と直交する平面での底クッションの断面を示す斜視図である。
図17】第2方向と直交する平面での底側緩衝材の断面を示す斜視図である。
図18】底パットの下面側を示す斜視図である。
図19】底クッション展開シートの平面図である。
図20】底パット展開シートの平面図である。
図21】本発明の第3実施形態における緩衝部材の底側緩衝材の斜視図である。
図22図21とは異なる角度における底側緩衝材の斜視図である。
図23】第2方向と直交する平面での底側緩衝材の断面を示す斜視図である。
図24】第1展開シートの平面図である。
図25】第1設計曲線を示すグラフである。
図26】落下高さが450mmにおける第2設計曲線を示すグラフである。
図27】落下高さが600mmにおける第2設計曲線を示すグラフである。
図28】落下高さが800mmにおける第2設計曲線を示すグラフである。
図29】緩衝部材の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における緩衝部材の斜視図である。図2は、図1とは異なる角度における緩衝部材の斜視図である。この緩衝部材1は、保護対象物10と当該保護対象物10を収容する外装箱(図示略)との間に配置された状態において保護対象物10を保護する。外装箱は、底面、天面、前側面、後側面、左側面及び右側面を有する直方体形状に形成されている。
【0011】
図1及び図2に示されるように、緩衝部材1は、底側緩衝材100Aと、天側緩衝材200と、を備えている。図3に示されるように、底側緩衝材100A及び天側緩衝材200は、波形に形成された中芯2、表ライナー3及び裏ライナー4を有する段ボールシートからなる。表ライナー3は、中芯2の表面に接続されており、裏ライナー4は、中芯2の裏面に接続されている。以下、図3に示されるように、表ライナー3と裏ライナー4とを結ぶ厚み方向を「TD」と表記し、中芯2の流れ方向を「MD」と表記し、厚み方向及び流れ方向の双方と直交する幅方向を「CD」と表記する。
【0012】
底側緩衝材100Aは、保護対象物10の下方に配置される。図4及び図5に示されるように、底側緩衝材100Aは、底壁110と、一対の底側第1側壁120と、一対の底側第2側壁130と、を有している。
【0013】
底壁110は、保護対象物10を下方から支持する。底壁110は、平面視において矩形状に形成されている。底壁110は、その断面が閉断面を形成する中空状に形成されている。底壁110は、保護対象物10の下面に接する上壁部と、外装箱に接する下壁部と、を有している。保護対象物10が脚部やねじ頭などの突起を有する場合、上壁部には、その突起を挿通させる挿通孔が設けられてもよい。底壁110は、底支持部112と、底保持部114と、を有している。
【0014】
底支持部112は、幅方向CDが上下方向と平行となる姿勢で保護対象物10を支持する。図6に示されるように、底支持部112は、閉断面を構成する四角筒状に形成されている。底支持部112は、上下方向と直交する方向に互いに対向する一対の底支持要素112aを含んでいる。本実施形態では、一対の底支持要素112aは、第1方向に互いに対向している。一対の底支持要素112aの各々は、当該底支持要素112aにおける幅方向CDが上下方向と平行である。なお、底支持部112のうち上下方向に互いに対向する上壁部及び下壁部における幅方向CDは、第1方向と平行である。図2図5図7に示されるように、各底支持要素112aは、底壁110における下壁部を構成する段ボールシートの一部を切り起こすことにより形成されている。
【0015】
底保持部114は、底支持部112における幅方向CDが上下方向と平行となるように底支持部112を保持している。具体的には、底保持部114は、底支持要素112aにおける幅方向CDが上下方向と交差するように底支持要素112aが傾斜するのを規制している。図6及び図7に示されるように、底壁110を構成する段ボールシートの一部に底支持要素112aを差込み可能なスリットが形成されており、このスリットが底保持部114を構成している。図5及び図7に示されるように、底支持要素112aにも、底保持部114を差込み可能な凹部112a1が形成されている。
【0016】
一対の底側第1側壁120は、第1方向における保護対象物10の両側に配置されている。各底側第1側壁120は、底壁110上に配置されており、底壁110につながっている。各底側第1側壁120は、その断面が閉断面を形成する中空状に形成されている。第1方向における各底側第1側壁120の外側面は、外装箱に接する。各底側第1側壁120は、第1支持部を構成する底側第1支持部122を有している。
【0017】
底側第1支持部122は、幅方向CDが第1方向と平行となる姿勢で保護対象物10を支持する。図6に示されるように、各底側第1支持部122は、閉断面を構成する四角筒状に形成されている。各底側第1支持部122は、上下方向に互いに対向する一対の底側第1支持要素122aを含んでいる。一対の底側第1支持要素122aの各々は、当該底側第1支持要素122aにおける幅方向CDが第1方向と平行である。なお、底側第1支持部122のうち第1方向に互いに対向する内側の壁部及び外側の壁部における幅方向CDは、上下方向と平行である。底側第1側壁120のうち第2方向に底側第1支持要素122aと隣接する位置に開口が形成されていてもよい。第2方向は、上下方向及び第1方向の双方と直交する方向である。
【0018】
一対の底側第2側壁130は、第2方向における保護対象物10の両側に配置されている。各底側第2側壁130は、底壁110上に配置されており、底壁110につながっている。各底側第2側壁130は、その断面が閉断面を形成する中空状に形成されている。第2方向における各底側第2側壁130の外側面は、外装箱に接する。各底側第2側壁130は、第2支持部を構成する底側第2支持部132と、底側第2保持部134と、を有している。
【0019】
底側第2支持部132は、幅方向CDが第2方向と平行となる姿勢で保護対象物10を支持する。図6及び図7に示されるように、各底側第2支持部132は、閉断面を構成する四角筒状に形成されている。各底側第2支持部132は、上下方向に互いに対向する一対の底側第2支持要素132aを含んでいる。一対の底側第2支持要素132aの各々は、当該底側第2支持要素132aにおける幅方向CDが第2方向と平行である。なお、底側第2支持部132のうち第2方向に互いに対向する内側の壁部及び外側の壁部における幅方向CDは、上下方向と平行である。本実施形態では、第1方向に互いに隣接する一対の底側第2支持部132間に空間が形成されている。
【0020】
底側第2保持部134は、底側第2支持部132における幅方向CDが第2方向と平行となるように底側第2支持部132を保持している。具体的には、底側第2保持部134は、底側第2支持要素132aにおける幅方向CDが第2方向と交差するように底側第2支持要素132aが傾斜するのを規制している。図8に示されるように、底側第2保持部134は、底側第2側壁130を構成する段ボールシートの一部を切り起こすことにより形成された切り起こし片で構成されている。底壁110のうち底側第2保持部134と対向する部位には、当該底側第2保持部134を差込み可能な貫通孔h1が設けられている。底側第2保持部134が貫通孔h1に差し込まれることにより、底側第2側壁130が底壁110に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位することも抑制される。
【0021】
図4に示されるように、第2方向における底側第1側壁120の両端部は、底側第2側壁130につながっている。このため、底側第1側壁120が底壁110に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位すること、及び、底側第1支持要素122aにおける幅方向CDが第1方向と交差するように底側第1支持要素122aが傾斜することが規制される。すなわち、底側第1側壁120と底側第2側壁130との境界の角部は、底側第1支持部122における幅方向CDが第1方向と平行となるように底側第1支持部122を保持する底側第1保持部124を構成している。
【0022】
天側緩衝材200は、保護対象物10の上方に配置される。図1図2及び図9に示されるように、天側緩衝材200は、天壁210と、一対の天側第1側壁220と、一対の天側第2側壁230と、を有している。
【0023】
天壁210は、保護対象物10の上方に配置される。天壁210は、平板状に形成されている。天壁210は、平面視において矩形状に形成されている。
【0024】
一対の天側第1側壁220は、第1方向における保護対象物10の両側に配置されている。一対の天側第1側壁220の各々は、天壁210下に配置されており、天壁210につながっている。一対の天側第1側壁220の各々は、その断面が閉断面を形成する中空状に形成されている。第1方向における各天側第1側壁220の外側面は、外装箱に接する。各天側第1側壁220は、第1支持部を構成する天側第1支持部222を有している。
【0025】
天側第1支持部222は、幅方向CDが第1方向と平行となる姿勢で保護対象物10を支持する。図9に示されるように、各天側第1支持部222は、閉断面を構成する四角筒状に形成されている。各天側第1支持部222は、上下方向に互いに対向する一対の天側第1支持要素222aを含んでいる。一対の天側第1支持要素222aの各々は、当該天側第1支持要素222aにおける幅方向CDが第1方向と平行である。なお、天側第1支持部222のうち第1方向に互いに対向する内側の壁部及び外側の壁部における幅方向CDは、上下方向と平行である。天側第1側壁220のうち第2方向に天側第1支持要素222aと隣接する位置に開口が形成されていてもよい。
【0026】
一対の天側第2側壁230は、第2方向における保護対象物10の両側に配置されている。各天側第2側壁230は、天壁210下に配置されており、天壁210につながっている。各天側第2側壁230は、その断面が閉断面を形成する中空状に形成されている。第2方向における各天側第2側壁230の外側面は、外装箱に接する。各天側第2側壁230は、第2支持部を構成する天側第2支持部232と、天側第2保持部234と、を有している。
【0027】
天側第2支持部232は、幅方向CDが第2方向と平行となる姿勢で保護対象物10を支持する。図9及び図10に示されるように、各天側第2支持部232は、閉断面を構成する四角筒状に形成されている。各天側第2支持部232は、上下方向に互いに対向する一対の天側第2支持要素232aを含んでいる。一対の天側第2支持要素232aの各々は、当該天側第2支持要素232aにおける幅方向CDが第2方向と平行である。なお、天側第2支持部232のうち第2方向に互いに対向する内側の壁部及び外側の壁部における幅方向CDは、上下方向と平行である。本実施形態では、第1方向に互いに隣接する一対の天側第2支持部232間に空間が形成されている。
【0028】
天側第2保持部234は、天側第2支持部232における幅方向CDが第2方向と平行となるように天側第2支持部232を保持している。具体的には、天側第2保持部234は、天側第2支持要素232aにおける幅方向CDが第2方向と交差するように天側第2支持要素232aが傾斜するのを規制している。図1及び図10に示されるように、天側第2保持部234は、天壁210上に配置されている。天側第2保持部234は、天側第2側壁230のうち第2方向における外側の壁部の上端部につながっており、第2方向に延びる形状を有している。第2方向における一方側に位置する天側第2側壁230における天側第2保持部234の端部234aと、第2方向における他方側に位置する天側第2側壁230における天側第2保持部234の端部234aとは、互いに連結されている。これにより、天側第2側壁230が天壁210に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位することも抑制される。
【0029】
図1図2及び図9に示されるように、第2方向における天側第1側壁220の両端部は、天側第2側壁230につながっている。このため、天側第1側壁220が天壁210に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位すること、及び、天側第1支持要素222aにおける幅方向CDが第1方向と交差するように天側第1支持要素222aが傾斜することが規制される。すなわち、天側第1側壁220と天側第2側壁230との境界の角部は、天側第1支持部222における幅方向CDが第1方向と平行となるように天側第1支持部222を保持する天側第1保持部224を構成している。
【0030】
図11は、底側緩衝材100Aを展開することにより形成される展開シート(以下、「底側展開シート100AS」と表記されることもある。)を示している。図12は、天側緩衝材200を展開することにより形成される展開シート(以下、「天側展開シート200S」と表記されることもある。)を示している。なお、図11及び図12において、展開シートのうち切断される部位が実線で示されており、折り曲げられる部位が一点鎖線で示されている。
【0031】
図11に示されるように、底側展開シート100ASにおける幅方向CDは、底支持部112の一方側に配置された底側第1支持要素122aと底支持部112の他方側に配置された底側第1支持要素122aとを結ぶ方向(第1方向)と平行に設定されている。この底側展開シート100ASのうち所定の切断部分が切断されるとともに、所定の折り曲げ部で折り曲げられることにより、底側緩衝材100Aが形成される。なお、この組み立て工程において、底支持要素112aの凹部112a1とスリットで構成された底保持部114とが互いに嵌合され、また、底側第2保持部134が貫通孔h1に差し込まれる。
【0032】
図12に示されるように、天側展開シート200Sにおける幅方向CDは、天壁210の一方側に配置された天側第1支持要素222aと天壁210の他方側に配置された天側第1支持要素222aとを結ぶ方向(第1方向)と平行に設定されている。この天側展開シート200Sのうち所定の切断部分が切断されるとともに、所定の折り曲げ部で折り曲げられることにより、天側緩衝材200が形成される。なお、この組み立て工程において、天側第2保持部234の端部234a同士が互いに接続される。
【0033】
以上に説明したように、本実施形態における緩衝部材1では、外装箱の底面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底支持部112によって保護対象物10が支持され、前側面又は後側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底側第1支持部122及び天側第1支持部222によって保護対象物10が支持され、左側面又は右側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底側第2支持部132及び天側第2支持部232によって保護対象物10が支持される。さらに、各支持部の姿勢が各保持部によって保持されている。よって、上面を除く5面の各々が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【0034】
(第2実施形態)
次に、図13図20を参照しながら、本発明の第2実施形態における緩衝部材1について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0035】
本実施形態では、底側緩衝材100Bは、底クッションB1と、底パットB2と、を有している。
【0036】
底クッションB1は、底支持部112及び底保持部114を含む底壁110を含んでいる。図15及び図16に示されるように、底支持部112における上壁部のうち第1方向における中央部に形成された貫通孔h2に、底支持要素112aの上端部112a2が差し込まれることにより、底支持部112が形成される。底支持部112は、平面視において矩形状に形成されている。
【0037】
底保持部114は、底支持部112における上壁部のうち第2方向における両端部に接続されている。一対の底保持部114は、第2方向に互いに対向している。各底保持部114は、底支持部112の上壁部と下壁部とを連結している。
【0038】
底クッションB1は、外装箱に対する底支持部112の相対位置を決定する位置決め部116をさらに有している。位置決め部116は、上下方向と直交する方向における底支持部112の外側に形成されている。位置決め部116は、外装箱の4つの内側面に接する。各位置決め部116は、底支持部112の下壁部のうち第2方向における端部につながっている。
【0039】
底パットB2は、底クッションB1上に配置されている。底パットB2は、一対の底側第1側壁120及び一対の底側第2側壁130を含んでいる。
【0040】
図13図17及び図18に示されるように、底パットB2は、底側第1側壁120及び底側第2側壁130の下方に配置されており、底側第1側壁120及び底側第2側壁130につながった底板119を有している。底板119は、底クッションB1における底壁110上に配置されている。底板119は、矩形状に形成されている。保護対象物10が脚部やねじ頭を有する突起を有する場合、底板119には、その突起を挿通させる挿通孔が設けられてもよい。
【0041】
本実施形態では、図17及び図18に示されるように、底側第2保持部134は、底板119下に配置されている。底側第2保持部134は、底側第2側壁130のうち第2方向における外側の壁部の下端部につながっており、第2方向に延びる形状を有している。第2方向における一方側に位置する底側第2側壁130における底側第2保持部134の端部134aと、第2方向における他方側に位置する底側第2側壁130における底側第2保持部134の端部134aとは、互いに連結されている。これにより、底側第2側壁130が底板119に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位することも抑制される。
【0042】
図13及び図18に示されるように、第2方向における底側第1側壁120の両端部は、底側第2側壁130につながっている。このため、底側第1側壁120が底板119に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位すること、及び、底側第1支持要素122aにおける幅方向CDが第1方向と交差するように底側第1支持要素122aが傾斜することが規制される。すなわち、底側第1側壁120と底側第2側壁130との境界の角部は、底側第1支持部122における幅方向CDが第1方向と平行となるように底側第1支持部122を保持する底側第1保持部124を構成している。
【0043】
図19及び図20は、底側展開シートを示している。本実施形態では、底側展開シートは、図19に示される底クッション展開シートB1Sと、図20に示される底パット展開シートB2Sと、を有している。底クッション展開シートB1Sは、底クッションB1を展開することにより形成される展開シートである。底パット展開シートB2Sは、底パットB2を展開することにより形成される展開シートである。
【0044】
図19に示されるように、底クッション展開シートB1Sにおける幅方向CDは、底支持部112の上壁部を構成する段ボールシートを挟む位置に配置された一対の底支持要素112a同士を結ぶ方向と平行に設定されている。この底クッション展開シートB1Sのうち所定の切断部分が切断されるとともに、所定の折り曲げ部で折り曲げられることにより、底クッションB1が形成される。なお、この組み立て工程において、底支持要素112aの上端部112a2は、貫通孔h2に差し込まれる。
【0045】
図20に示されるように、底パット展開シートB2Sにおける幅方向CDは、底板119の一方側に配置された底側第1支持要素122aと底板119の他方側に配置された底側第1支持要素122aとを結ぶ方向と平行に設定されている。この底パット展開シートB2Sのうち所定の切断部分が切断されるとともに、所定の折り曲げ部で折り曲げられることにより、底パットB2が形成される。なお、この組み立て工程において、底側第2保持部134の端部134a同士が互いに接続される。
【0046】
(第3実施形態)
次に、図21図24を参照しながら、本発明の第3実施形態における緩衝部材1について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0047】
本実施形態では、底側緩衝材100Cは、第1緩衝材C1と、第2緩衝材C2と、を有している。
【0048】
第1緩衝材C1は、底壁110と、一対の底側第1側壁120の一方と、一対の底側第2側壁130と、を有している。
【0049】
図21及び図23に示されるように、底支持部112における上壁部に形成された貫通孔h2に、底支持要素112aの上端部112a2が差し込まれることにより、底支持部112が形成される。底支持部112は、平面視において矩形状に形成されている。保護対象物10が脚部やねじ頭などの突起を有する場合、底支持部112の上壁部には、その突起を挿通させる挿通孔が設けられてもよい。
【0050】
底保持部114は、底支持部112における上壁部のうち第2方向における両端部に接続されている。一対の底保持部114は、第2方向に互いに対向している。各底保持部114は、底支持部112の上壁部と下壁部とを連結している。
【0051】
本実施形態では、図22及び図23に示されるように、底側第2保持部134は、底壁110下に配置されている。底側第2保持部134は、底側第2側壁130のうち第2方向における外側の壁部の下端部につながっており、第2方向に延びる形状を有している。第2方向における一方側に位置する底側第2側壁130における底側第2保持部134の端部134aと、第2方向における他方側に位置する底側第2側壁130における底側第2保持部134の端部134aとは、互いに連結されている。これにより、底側第2側壁130が底壁110に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位することも抑制される。
【0052】
図21及び図22に示されるように、第2方向における底側第1側壁120の両端部は、底側第2側壁130につながっている。このため、底側第1側壁120が底壁110に対して保護対象物10から離間する向きに相対変位すること、及び、底側第1支持要素122aにおける幅方向CDが第1方向と交差するように底側第1支持要素122aが傾斜することが規制される。すなわち、底側第1側壁120と底側第2側壁130との境界の角部は、底側第1支持部122における幅方向CDが第1方向と平行となるように底側第1支持部122を保持する底側第1保持部124を構成している。
【0053】
第2緩衝材C2は、第1方向に第1緩衝材C1から離間した位置に配置されている。第2緩衝材C2は、第1方向と直交する平面であって、第1緩衝材C1のうち第1方向における内側の端部を通る平面を対称面として第1緩衝材C1と面対称な形状を有している。このため、第2緩衝材C2の説明を省略する。
【0054】
図24は、底側展開シートの一部、より詳細には、第1緩衝材C1を展開することにより形成される展開シート(以下、「第1展開シートC1S」と表記される。)を示している。なお、図示は省略するが、底側展開シートの残部である第2緩衝材C2の展開シートは、第1展開シートC1Sと面対称な形状を有している。
【0055】
図24に示されるように、第1展開シートC1Sにおける幅方向CDは、底支持部112の上壁部を構成する段ボールシートと下壁部を構成する段ボールシートとを結ぶ方向と平行に設定されている。この第1展開シートC1Sのうち所定の切断部分が切断されるとともに、所定の折り曲げ部で折り曲げられることにより、第1緩衝材C1が形成される。なお、この組み立て工程において、底支持要素112aの上端部112a2は、貫通孔h2に差し込まれ、底側第2保持部134の端部134a同士が互いに接続される。
【0056】
(第4実施形態)
次に、図25図29を参照しながら、本発明の第4実施形態における緩衝部材1の製造方法について説明する。第4実施形態では、第1実施形態~第3実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態~第3実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0057】
本実施形態における緩衝部材1の製造方法は、準備工程と、第1算出工程と、第2算出工程と、選定工程と、展開シート作成工程と、組立て工程と、を備えている。
【0058】
準備工程では、底側展開シートの外形を含む形状を有する底側展開シート情報と、天側展開シート200Sの外形を含む形状を有する底側展開シート情報と、が準備される。より詳細には、準備工程では、底側展開シート情報として、第1実施形態に記載の底側展開シート100ASの外形を含む形状を有する底側展開シート情報と、第2実施形態に記載の底クッション展開シートB1Sの外形を含む形状を有する底クッション展開シート情報及び底パット展開シートB2Sの外形を含む形状を有する底パット展開シート情報と、第3実施形態に記載の第1展開シートC1Sの外形を含む形状を有する第1展開シート情報及び第2展開シートの外形を含む形状を有する第2展開シート情報と、が準備される。これらの情報は、情報処理端末(パーソナルコンピュータ等)に格納される。
【0059】
第1算出工程では、図25に示される第1設計曲線に基づいて、底支持部112、底側第1支持部122、底側第2支持部132、天側第1支持部222及び天側第2支持部232のそれぞれにおける流れ方向MDの長さが算出される。この算出は、例えば、情報処理端末により実行される。第1設計曲線は、情報処理端末に格納されていてもよい。
【0060】
第1設計曲線は、緩衝部材1に保護された状態の保護対象物10の落下時における保護対象物10の最大加速度X[G]と、保護対象物10に生じる静的応力σ[kPa]と、の関係を示す曲線である。第1設計曲線は、シミュレーションで算出した予測線を、複数回の落下試験結果で補正することによって予め取得されている。なお、最大加速度Xは、保護対象物10を含む緩衝部材1の地面等への衝突後に保護対象物10に生じる加速度の最大値である。図25には、K6Wで表される段ボールシートの第1設計曲線が示されている。なお、第1設計曲線は、各支持部における幅方向CDが保護対象物10の落下方向と平行となった状態で当該支持部が幅方向CDに潰れながら保護対象物10を支持したときの実測値に基づいて取得された曲線である。
【0061】
第1算出工程では、保護対象物10に応じて目標となる最大加速度Xが設定され、それに応じて静的応力σが決まる。静的応力σは、保護対象物10の質量Mを、各支持部の面積(厚み方向TDの寸法と流れ方向MDの寸法との積)で除した値である。保護対象物10の質量Mは最大加速度Xとともに設定されており、また、使用される段ボールシートによってその厚み(厚み方向TDの寸法)が決まっているため、第1算出工程では、流れ方向MDにおける各支持部の長さが算出される。
【0062】
第2算出工程では、図26図28に示される第2設計曲線に基づいて、底支持部112、底側第1支持部122、底側第2支持部132、天側第1支持部222及び天側第2支持部232のそれぞれにおける幅方向CDの長さが算出される。この算出も、例えば、情報処理端末により実行される。第2設計曲線は、情報処理端末に格納されていてもよい。
【0063】
第2設計曲線は、最大加速度X[G]と、底支持部112、底側第1支持部122、底側第2支持部132、天側第1支持部222及び天側第2支持部232のそれぞれにおける幅方向CDにおける長さ[mm]と、の関係を示す曲線である。第2設計曲線も、第1設計曲線と同様に複数回の落下試験によって予め取得されている。第2算出工程では、各支持部の幅方向CDにおける長さとして、例えば、第2設計曲線よりも上側の領域(安全領域)に含まれる最小値が算出される。なお、図26図28では、危険領域(最大加速度Xが目標とする加速度よりも大きくなる領域)に斜線が施されている。
【0064】
図26図28に示されるように、第2設計曲線は、保護対象物10の質量Mに応じて互いに異なる複数の曲線を含んでいる。具体的に、図26は、落下高さが450mmにおける第2設計曲線を示しており、図27は、落下高さが600mmにおける第2設計曲線を示しており、図28は、落下高さが800mmにおける第2設計曲線を示している。落下高さは、保護対象物10の質量Mによって予め決定されている。
【0065】
第2算出工程では、第2設計曲線として、複数の曲線の中から保護対象物10の質量Mに応じた曲線が用いられ、その曲線に基づいて各支持部の幅方向CDにおける長さが算出される。
【0066】
選定工程は、第1算出工程で算出された値及び第2算出工程で算出された値に基づいて、底側展開シート情報、底クッション展開シート情報及び底パット展開シート情報、又は、第1展開シート情報及び第2展開シート情報のいずれを用いるかを選定する工程である。具体的に、選定工程では、保護対象物10の外寸及び形状、流れ方向MDにおける各支持部の長さ、及び、幅方向CDにおける各支持部の長さに基づいて、まずは底側展開シート100ASの外形を含む形状を有する底側展開シート情報に基づいて底側緩衝材100Aが製造可能か判断され、それが不可能であれば、底クッション展開シート情報及び底パット展開シート情報、又は、第1展開シート情報及び第2展開シート情報のいずれを用いるか判断される。
【0067】
展開シート作成工程では、段ボールシートからなる底側展開シートと、段ボールシートからなる天側展開シート200Sと、が作成される。
【0068】
底側展開シートは、底側緩衝材100A,100B,100Cを形成することが可能な展開シートである。底側展開シートは、選定工程で選定されたシート情報に対応する外形を有し、底支持部112、底側第1支持部122及び底側第2支持部132のそれぞれにおける流れ方向MDの長さが第1算出工程で算出された値であり、かつ、底支持部112、底側第1支持部122及び底側第2支持部132のそれぞれにおける幅方向CDの長さが第2算出工程で算出された値である展開シートである。
【0069】
天側展開シート200Sは、天側緩衝材200を形成することが可能な展開シートである。天側展開シート200Sは、天側展開シート情報に対応する外形を有し、底支持部112、底側第1支持部122及び底側第2支持部132のそれぞれにおける流れ方向MDの長さが第1算出工程で算出された値であり、かつ、底支持部112、底側第1支持部122及び底側第2支持部132のそれぞれにおける幅方向CDの長さが第2算出工程で算出された値である展開シートである。
【0070】
組立て工程では、展開シート作成工程で作成された底側展開シートを組み立てることにより底側緩衝材が形成され、展開シート作成工程で作成された天側展開シート200Sを組み立てることにより天側緩衝材200が形成される。
【0071】
次に、図29を参照しながら、緩衝部材の製造工程を説明する。
【0072】
まず、保護対象物10の質量Mと、保護対象物10の外寸及び形状と、目標とする最大加速度Xと、が決定される(ステップS11)。具体的には、これらのデータが情報処理端末に入力される。
【0073】
次に、緩衝部材1の質量mが仮決めされ、保護対象物10の質量Mと緩衝部材1の質量mとの和(以下、「総質量M+m」と表記する。)が求められる(ステップS12)。
【0074】
これにより、適用する規格から総質量M+mに応じた落下高さと緩衝面(鉛直下向きに落下することを想定して緩衝材を設計する面)とが決定される(ステップS13)。例えば、ISO4180:2009を用いるとき、緩衝面は、総質量M+mが閾値未満の場合、上面を除く5面(下面、前側面、後側面、左側面、右側面)に決定され、総質量M+mが閾値以上である場合、下面のみに決定される。以下、総質量M+mが閾値未満の場合について説明する。
【0075】
次に、第1設計曲線を用いて、最大加速度Xから静的応力σが算出され(ステップS14)、その静的応力σと、保護対象物10の質量Mと、使用される段ボールシートの厚み(厚み方向TDの寸法)と、に基づいて各支持部の流れ方向MDにおける長さL1が算出される(ステップS15)。このステップS14及びステップS15が第1算出工程に相当する。
【0076】
続いて、落下高さに応じた第2設計曲線を用いて、最大加速度Xから幅方向CDにおける各支持部の長さL2が算出される(ステップS16)。このステップS16が第2算出工程に相当する。
【0077】
その後、保護対象物10の外寸及び形状、流れ方向MDにおける各支持部の長さL1、及び、幅方向CDにおける各支持部の長さL2に基づいて、底側展開シートが選定される(ステップS17)。具体的には、まず、保護対象物10の外寸及び形状、流れ方向MDにおける各支持部の長さL1、及び、幅方向CDにおける各支持部の長さL2に基づいて、第1実施形態に記載の底側展開シート100ASで底側緩衝材100Aが製造可能か判断する(ステップS18)。
【0078】
その結果、底側展開シート100ASで底側緩衝材100Aが製造可能であれば、底側展開シート100ASの質量mを算出するとともに、総質量M+mに応じた落下高さに変更があるか否かを判断する(ステップS19)。落下高さに変更がある場合、ステップS13に戻り、落下高さに変更がない場合、底側展開シート100AS及び天側展開シート200Sの製造に進む(ステップS20)。
【0079】
一方、底側展開シート100ASで底側緩衝材100Aが製造可能でなければ、底クッション展開シートB1S及び底パット展開シートB2S、又は、第1展開シートC1S及び第2展開シートのいずれかで底側緩衝材を製造可能か判断する(ステップS21)。なお、底クッション展開シートB1S及び底パット展開シートB2S、又は、第1展開シートC1S及び第2展開シートのいずれを選択するかは、コスト等に応じて決定される。
【0080】
その結果、底クッション展開シートB1S及び底パット展開シートB2S、又は、第1展開シートC1S及び第2展開シートのいずれかで底側緩衝材を製造可能である場合、ステップS19に進む。一方、底クッション展開シートB1S及び底パット展開シートB2S、及び、第1展開シートC1S及び第2展開シートのいずれでも底側緩衝材を製造可能でなければ、第1算出工程で算出した値(流れ方向MDにおける各支持部の長さL1)と第2算出工程で算出した値(幅方向CDにおける各支持部の長さL2)とを参考にして、当該保護対象物10専用の緩衝部材を設計する(ステップS22)。
【0081】
なお、ステップS13において総質量M+mが閾値以上である場合、ステップS15では、底支持部112の流れ方向MDにおける長さL1が算出され、ステップS16では、底支持部112の長さL2が算出される。
【0082】
上記各実施形態では、上面を除く5面(下面、前側面、後側面、左側面、右側面)の各々が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときに保護対象物10が各支持部で支持される例を説明したが、緩衝部材1は、少なくとも底支持部112を有していればよい。
【0083】
また、緩衝部材1は、上記各実施形態で示された各支持部に加え、上面が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときに保護対象物10を支持する天支持部(図示略)をさらに有していてもよい。この場合、天側緩衝材200は、底側緩衝材と上下対称な形状に形成されてもよい。この場合において、ステップS13において総質量M+mが閾値未満である場合、ステップS15では、天支持部を含む全ての支持部の流れ方向MDにおける長さL1が算出され、ステップS16では、天支持部を含む全ての支持部の長さL2が算出される。この態様では、6面の各々が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【0084】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0085】
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0086】
(第1項)
波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、保護対象物と当該保護対象物を収容する外装箱との間に配置された状態において前記保護対象物を保護する緩衝部材であって、
前記保護対象物の下方に配置されており、前記表ライナーと前記裏ライナーとを結ぶ厚み方向及び前記中芯の流れ方向の双方と直交する幅方向が上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底支持部を含む、緩衝部材。
【0087】
この緩衝部材では、外装箱の底面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際、幅方向が上下方向と平行となる姿勢で保護対象物を支持する底支持部によって保護対象物が支持される。よって、下面が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【0088】
(第2項)
前記幅方向が上下方向と直交する第1方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する第1支持部と、
前記幅方向が上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する第2支持部と、をさらに含む、第1項に記載の緩衝部材。
【0089】
この緩衝部材では、外装箱の底面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底支持部によって保護対象物が支持され、前側面又は後側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、第1支持部によって保護対象物が支持され、左側面又は右側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、第2支持部によって保護対象物が支持される。よって、上面を除く5面の各々が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【0090】
(第3項)
前記保護対象物の上方に配置されており、前記幅方向が上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する天支持部をさらに含む、第2項に記載の緩衝部材。
【0091】
この態様では、6面の各々が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【0092】
(第4項)
第1項に記載の緩衝部材の製造方法であって、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部における前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部における前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部における前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、を含む、緩衝部材の製造方法。
【0093】
(第5項)
第2項に記載の緩衝部材の製造方法であって、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部及び前記第2支持部における前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部、前記第1支持部及び前記第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部及び前記第2支持部における前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、を含む、緩衝部材の製造方法。
【0094】
(第6項)
第3項に記載の緩衝部材の製造方法であって、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部、前記第2支持部及び前記天支持部における前記流れ方向の長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部、前記第1支持部、前記第2支持部及び前記天支持部のそれぞれにおける前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記第1支持部、前記第2支持部及び前記天支持部における前記幅方向の長さを算出する第2算出工程と、を含む、緩衝部材の製造方法。
【0095】
(第7項)
波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、保護対象物と当該保護対象物を収容する外装箱との間に配置された状態において前記保護対象物を保護する緩衝部材であって、
前記保護対象物の下方に配置される底側緩衝材を備え、
前記底側緩衝材は、
前記保護対象物の下方に配置された底壁と、
上下方向と直交する第1方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の底側第1側壁と、
上下方向及び前記第1方向の双方と直交する第2方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の底側第2側壁と、を有し、
前記底壁は、
前記表ライナーと前記裏ライナーとを結ぶ厚み方向TD及び前記中芯の流れ方向MDの双方と直交する幅方向CDが上下方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底支持部と、
前記底支持部における前記幅方向が上下方向と平行となるように前記底支持部を保持する底保持部と、を有し、
前記一対の底側第1側壁の各々は、
前記幅方向が前記第1方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底側第1支持部と、
前記底側第1支持部における前記幅方向が前記第1方向と平行となるように前記底側第1支持部を保持する底側第1保持部と、を有し、
前記一対の底側第2側壁の各々は、
前記幅方向が前記第2方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する底側第2支持部と、
前記底側第2支持部における前記幅方向が前記第2方向と平行となるように前記底側第2支持部を保持する底側第2保持部と、を有する。
【0096】
この緩衝部材では、外装箱の底面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底支持部によって保護対象物が支持され、前側面又は後側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底側第1支持部によって保護対象物が支持され、左側面又は右側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底側第2支持部によって保護対象物が支持される。さらに、各支持部の姿勢が各保持部によって保持されている。よって、少なくとも上面を除く5面の各々が鉛直下向きとなった姿勢で落下したときにおける緩衝性が確保される。
【0097】
(第8項)
前記保護対象物の上方に配置される天側緩衝材をさらに備え、
前記天側緩衝材は、
前記保護対象物の上方に配置された天壁と、
前記第1方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の天側第1側壁と、
前記第2方向における前記保護対象物の両側に配置された一対の天側第2側壁と、を有し、
前記一対の天側第1側壁の各々は、
前記幅方向が前記第1方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する天側第1支持部と、
前記天側第1支持部における前記幅方向が前記第1方向と平行となるように前記天側第1支持部を保持する天側第1保持部と、を有し、
前記一対の天側第2側壁の各々は、
前記幅方向が前記第2方向と平行となる姿勢で前記保護対象物を支持する天側第2支持部と、
前記天側第2支持部における前記幅方向が前記第2方向と平行となるように前記天側第2支持部を保持する天側第2保持部と、を有する、第7項に記載の緩衝部材。
【0098】
この態様では、前側面又は後側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底側第1支持部及び天側第1支持部によって保護対象物が支持され、左側面又は右側面が鉛直下向きとなった姿勢で落下した際は、底側第2支持部及び底側第2支持部によって保護対象物が支持される。
【0099】
(第9項)
前記底支持部は、上下方向と直交する方向に互いに対向する一対の底支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の底支持要素の各々は、当該底支持要素における前記幅方向が上下方向と平行であり、
前記底側第1支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の底側第1支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の底側第1支持要素の各々は、当該底側第1支持要素における前記幅方向が前記第1方向と平行であり、
前記底側第2支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の底側第2支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の底側第2支持要素の各々は、当該底側第2支持要素における前記幅方向が前記第2方向と平行であり、
前記天側第1支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の天側第1支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の天側第1支持要素の各々は、当該天第1支持要素における前記幅方向が前記第1方向と平行であり、
前記天側第2支持部は、前記上下方向に互いに対向する一対の天側第2支持要素を含みかつ閉断面を構成する四角筒状に形成されており、
前記一対の天側第2支持要素の各々は、当該天側第2支持要素における前記幅方向が前記第2方向と平行である、第8項に記載の緩衝部材。
【0100】
この態様では、上記効果がより確実に得られる。
【0101】
(第10項)
前記底壁は、平面視において前記保護対象物の外形よりも大きな外形を有し、
前記一対の底側第1側壁及び前記一対の底側第2側壁は、前記底壁とつながっている、第8項又は第9項に記載の緩衝部材。
【0102】
(第11項)
前記底側緩衝材は、
前記底壁を含む底クッションと、
前記底クッション上に配置されており、前記一対の底側第1側壁及び前記一対の底側第2側壁を含む底パットと、を有し、
前記底クッションは、上下方向と直交する方向における前記底支持部の外側に形成されており前記外装箱に対する前記底支持部の相対位置を決定する位置決め部を有する、第8項又は第9項に記載の緩衝部材。
【0103】
(第12項)
前記底側緩衝材は、
第1緩衝材と、
前記第1方向に前記第1緩衝材から離間した位置に配置された第2緩衝材と、を有し、
前記第1緩衝材は、前記底支持部と、前記一対の底側第1側壁の一方と、前記一対の底側第2側壁と、を含み、
前記第2緩衝材は、前記底支持部と、前記一対の底側第1側壁の他方と、前記一対の底側第2側壁と、を含む、第8項又は第9項に記載の緩衝部材。
【0104】
(第13項)
第10項に記載の前記緩衝部材における前記底側緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する底側展開シート情報と、第11項に記載の前記緩衝部材における前記底クッションを展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する底クッション展開シート情報と、第11項に記載の前記緩衝部材における前記底パットを展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する底パット展開シート情報と、第12項に記載の前記緩衝部材における前記第1緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する第1展開シート情報と、第12項に記載の前記緩衝部材における前記第2緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する第2展開シート情報と、前記緩衝部材における前記天側緩衝材を展開することにより形成される展開シートの外形を含む形状を有する天側展開シート情報と、を準備する工程と、
前記緩衝部材に保護された状態の前記保護対象物の落下時における前記保護対象物の最大加速度と、前記保護対象物に生じる静的応力と、の関係を示す第1設計曲線であって予め取得された前記第1設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記底側第1支持部、前記底側第2支持部、前記天側第1支持部及び前記天側第2支持部のそれぞれにおける前記流れ方向MDの長さを算出する第1算出工程と、
前記最大加速度と、前記底支持部、前記底側第1支持部、前記底側第2支持部、前記天側第1支持部及び前記天側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向における長さと、の関係を示す第2設計曲線であって予め取得された前記第2設計曲線に基づいて、前記底支持部、前記底側第1支持部、前記底側第2支持部、前記天側第1支持部及び前記天側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向CDの長さを算出する第2算出工程と、
前記第1算出工程で算出された値及び前記第2算出工程で算出された値に基づいて、前記底側展開シート情報、前記底クッション展開シート情報及び前記底パット展開シート情報、又は、前記第1展開シート情報及び前記第2展開シート情報のいずれを用いるかを選定する選定工程と、
波形に形成された中芯、表ライナー及び裏ライナーを有する段ボールシートからなり、前記底側緩衝材を形成することが可能な底側展開シートであって、前記選定工程で選定されたシート情報に対応する外形を有し、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記流れ方向の長さが前記第1算出工程で算出された値であり、かつ、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向の長さが前記第2算出工程で算出された値である前記底側展開シートを作成するとともに、前記段ボールシートからなり、前記天側緩衝材を形成することが可能な天側展開シートであって、前記天側展開シート情報に対応する外形を有し、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記流れ方向の長さが前記第1算出工程で算出された値であり、かつ、前記底支持部、前記底側第1支持部及び前記底側第2支持部のそれぞれにおける前記幅方向の長さが前記第2算出工程で算出された値である前記天側展開シートを作成する展開シート作成工程と、を備える、緩衝部材の製造方法。
【0105】
この製造方法では、落下時に保護対象物に生じる最大加速度が目標とする加速度に実質的に等しくなる緩衝部材が製造されるため、試作や試験を省略し、短時間かつ低コストで緩衝部材を製造することが可能となる。
【0106】
(第14項)
前記第2設計曲線は、前記保護対象物の質量に応じて互いに異なる複数の曲線を含み、
前記第2算出工程では、前記第2設計曲線として、前記複数の曲線の中から前記保護対象物の質量に応じた曲線が用いられる、第13項に記載の緩衝部材の製造方法。
【符号の説明】
【0107】
1 緩衝部材、2 中芯、3 表ライナー、4 裏ライナー、100A 底側緩衝材、100AS 底側展開シート、100B 底側緩衝材、100C 底側緩衝材、110 底壁、112 底支持部、112a 底支持要素、114 底保持部、116 位置決め部、120 底側第1側壁、122 底側第1支持部(第1支持部)、122a 底側第1支持要素、124 底側第1保持部、130 底側第2側壁、132 底側第2支持部(第2支持部)、132a 底側第2支持要素、134 底側第2保持部、200 天側緩衝材、200S 天側展開シート、210 天壁、220 天側第1側壁、222 天側第1支持部(第1支持部)、222a 天側第1支持要素、224 天側第1保持部、230 天側第2側壁、232 天側第2支持部(第2支持部)、232a 天側第2支持要素、234 天側第2保持部、B1 底クッション、B1S 底クッション展開シート、B2 底パット、B2S 底パット展開シート、C1 第1緩衝材、C1S 第1展開シート、C2 第2緩衝材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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