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特開2024-172684シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172684
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241205BHJP
   B65H 7/06 20060101ALI20241205BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20241205BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20241205BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241205BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241205BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
B65H7/06
B65H1/04 322
B65H11/00 H
H04N1/12 Z
H04N1/00 L
G03G15/00 107
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090550
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】松村 宏一
【テーマコード(参考)】
2H012
3F048
3F063
3F343
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CC02
2H012CC30
3F048AA01
3F048AB02
3F048BA11
3F048BA12
3F048BA14
3F048BA20
3F048BB02
3F048BB04
3F048BB05
3F048BB08
3F048BB09
3F048BC03
3F048CC03
3F048CC16
3F048DA04
3F048DA06
3F048DB04
3F048DB06
3F048DB07
3F048DB09
3F048DB11
3F048DB13
3F048DC13
3F048EA01
3F048EB12
3F063BA02
3F063BA04
3F063BC01
3F063CA02
3F063CA04
3F063CD05
3F063CD08
3F343FA03
3F343FB01
3F343FC17
3F343FC29
3F343GA01
3F343GB01
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3F343GD01
3F343HA12
3F343HA33
3F343HE03
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3F343KB20
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3F343MA55
3F343MA57
3F343MB04
3F343MB14
3F343MB19
3F343MC26
3F343MC28
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB32
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC22
5C062AC66
5C062AC69
5C072AA01
5C072BA20
5C072CA03
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA05
5C072LA02
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA03
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】 異幅混載の場合であっても綴じ原稿を検知することが可能なシート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 ADF20は、給送される原稿Dの斜行を検知する第1斜行検知センサS11及び第2斜行検知センサS12と、給送される原稿Dの跳ね上がりを検知する発光部S21及び受光部S22と、を備える。CPU81は、原稿Dの斜行が検知された場合と、原稿Dの跳ね上がりが検知された場合と、に給送を停止する。CPU81は、幅の異なる複数の原稿が積載される異幅混載モードが設定された場合は、斜行の検知に基づく給送の停止は実行せず、跳ね上がりの検知に基づく給送の停止を実行する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを1枚ずつに分離して給送する給送手段と、
前記給送手段により給送されるシートの斜行を検知する第1検知手段と、
前記給送手段により給送されるシートの跳ね上がりを検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段によりシートの斜行が検知された場合と、前記第2検知手段によりシートの跳ね上がりが検知された場合と、に前記給送手段による給送を停止する制御手段と、
幅の異なる複数のシートが前記積載部に積載される異幅混載モードを設定する設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記設定手段により前記異幅混載モードが設定された場合は、前記第1検知手段による斜行の検知に基づく給送の停止は実行せず、前記第2検知手段による跳ね上がりの検知に基づく給送の停止を実行する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1検知手段は、前記給送手段により給送されるシートを検知する第1センサと、前記第1センサと幅方向に並んで配置され、前記給送手段により給送されるシートを検知する第2センサと、を含み、
前記制御手段は、前記第1センサと前記第2センサとの一方がシートを検知してから所定時間が経過するまでに前記第1センサと前記第2センサとの他方がシートを検知しない場合に、前記給送手段による給送を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2センサが先行シートの後端を検知したことに基づいて、前記先行シートに後続する後続シートの給送を開始する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第2検知手段は、前記積載部の上方に配置された発光部及び受光部を含み、
前記制御手段は、前記給送手段による給送が開始された後に、シートによって前記発光部から前記受光部への光路が遮られた場合に、前記給送手段による給送を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記異幅混載モードと、幅が同じでシート搬送方向における長さが異なる複数のシートが前記積載部に積載される同幅混載モードと、を設定することが可能であり、
前記制御手段は、前記設定手段により前記同幅混載モードが設定された場合は、前記第1検知手段による斜行の検知に基づく給送の停止と、前記第2検知手段による跳ね上がりの検知に基づく給送の停止と、の両方を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1検知手段により斜行が検知された場合と、前記第2検知手段により跳ね上がりが検知された場合と、に前記積載部に積載されたシートが綴じ原稿である可能性があることを示すメッセージを表示する表示手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを1枚ずつに分離して給送する給送手段と、
前記給送手段により給送されるシートの斜行を検知する第1検知手段と、
前記給送手段により給送されるシートの跳ね上がりを検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段によりシートの斜行が検知された場合と、前記第2検知手段によりシートの跳ね上がりが検知された場合と、に前記積載部に積載されたシートが綴じ原稿であると判定する制御手段と、
幅の異なる複数のシートが前記積載部に積載される異幅混載モードを設定する設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記設定手段により前記異幅混載モードが設定された場合は、前記第1検知手段による斜行の検知に基づく綴じ原稿の判定は実行せず、前記第2検知手段による跳ね上がりの検知に基づく綴じ原稿の判定を実行する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを1枚ずつに分離して給送する給送手段と、
前記給送手段により給送されるシートの斜行を検知する第1検知手段と、
前記給送手段により給送されるシートの跳ね上がりを検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段によりシートの斜行が検知された場合と、前記第2検知手段によりシートの跳ね上がりが検知された場合と、に前記給送手段による給送を停止する制御手段と、
前記第1検知手段によるシートの斜行の検知を有効にするか無効にするかの第1設定と、前記第2検知手段によるシートの跳ね上がりの検知を有効にするか無効にするかの第2設定と、を設定する設定手段と、
を備える、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置により搬送されるシートの画像を読み取る読取手段と、
を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読み取られたシートの画像情報に基づいて、記録材に画像を形成する画像形成手段と、
を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、シートから画像情報を読み取る画像読取装置、及び記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ装置、及びデジタル複合機等に搭載された画像読取装置は、ADF(Auto Document Feeder)によって原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取るものが知られている。このようなADFは、原稿トレイに積載された複数の原稿を1枚ずつに分離して給送する。そのため、ADFはステープルされた原稿(所謂「綴じ原稿」)を分離して給送することができず、誤って綴じ原稿が給送される場合には、原稿が破損する虞がある。
【0003】
特許文献1には、原稿の跳ね上がりを検知する跳ね上がり検知手段と、原稿の斜行を検知する斜行検知手段と、によって綴じ原稿を検出するシート搬送装置が提案されている。綴じ原稿が検出された場合に原稿の給送を停止することによって、原稿が破損することを防止することが可能である。跳ね上がり検知手段は原稿トレイの上方に設けられたセンサで構成され、斜行検知手段は幅方向に並んで配置された複数のセンサで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-17298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、原稿トレイには、セットされた原稿の幅方向の位置を規制する1対の規制板が設けられている。そして、幅の異なる複数の原稿が原稿トレイにセットされる(所謂「異幅混載」である)場合においては、幅の小さい原稿は片側の規制板に突き当てられた状態でセットされる。そのため、幅の小さい原稿の位置が搬送中心からずれた位置となり、斜行検知手段が斜行を誤検知してしまうという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、異幅混載の場合であっても綴じ原稿を検知することが可能なシート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを1枚ずつに分離して給送する給送手段と、前記給送手段により給送されるシートの斜行を検知する第1検知手段と、前記給送手段により給送されるシートの跳ね上がりを検知する第2検知手段と、前記第1検知手段によりシートの斜行が検知された場合と、前記第2検知手段によりシートの跳ね上がりが検知された場合と、に前記給送手段による給送を停止する制御手段と、幅の異なる複数のシートが前記積載部に積載される異幅混載モードを設定する設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記設定手段により前記異幅混載モードが設定された場合は、前記第1検知手段による斜行の検知に基づく給送の停止は実行せず、前記第2検知手段による跳ね上がりの検知に基づく給送の停止を実行する、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【0008】
また、本発明の別の一態様は、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを1枚ずつに分離して給送する給送手段と、前記給送手段により給送されるシートの斜行を検知する第1検知手段と、前記給送手段により給送されるシートの跳ね上がりを検知する第2検知手段と、前記第1検知手段によりシートの斜行が検知された場合と、前記第2検知手段によりシートの跳ね上がりが検知された場合と、に前記積載部に積載されたシートが綴じ原稿であると判定する制御手段と、幅の異なる複数のシートが前記積載部に積載される異幅混載モードを設定する設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記設定手段により前記異幅混載モードが設定された場合は、前記第1検知手段による斜行の検知に基づく綴じ原稿の判定は実行せず、前記第2検知手段による跳ね上がりの検知に基づく綴じ原稿の判定を実行する、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【0009】
また、本発明の別の一態様は、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを1枚ずつに分離して給送する給送手段と、前記給送手段により給送されるシートの斜行を検知する第1検知手段と、前記給送手段により給送されるシートの跳ね上がりを検知する第2検知手段と、前記第1検知手段によりシートの斜行が検知された場合と、前記第2検知手段によりシートの跳ね上がりが検知された場合と、に前記給送手段による給送を停止する制御手段と、前記第1検知手段によるシートの斜行の検知を有効にするか無効にするかの第1設定と、前記第2検知手段によるシートの跳ね上がりの検知を有効にするか無効にするかの第2設定と、を設定する設定手段と、を備える、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異幅混載の場合であっても綴じ原稿を検知することが可能なシート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プリンタの概略断面図。
図2】プリンタの制御ブロック図。
図3】(a)はコピーの設定を行うための画面の一例である。(b)は積載モードの設定を行うための画面の一例である。
図4】斜行検知センサの位置を示す上面図。
図5】跳ね上がり検知センサの位置を示す斜視図。
図6】原稿給送動作のフローチャート。
図7】跳ね上がり検知プロセスのフローチャート。
図8】(a)は綴じ原稿が積載された状態を示す斜視図。(b)は綴じ原稿が給送された状態を示す斜視図。(c)は綴じ原稿の跳ね上がりが起きた状態を示す斜視図。
図9】(a)は通常原稿が搬送されている状態を示す斜視図。(b)は搬送された通常原稿が第2斜行検知センサを通過した状態を示す斜視図。
図10】(a)は綴じ原稿が積載された状態を示す斜視図。(b)は綴じ原稿が給送された状態を示す斜視図。(c)は綴じ原稿の跳ね上がりが起きた状態を示す斜視図。
図11】斜行検知プロセスのフローチャート。
図12】(a)は綴じ原稿が積載された状態を示す上面図。(b)は綴じ原稿が給送されて斜行が発生した状態を示す上面図。
図13】(a)は異幅混載原稿が積載された状態を示す上面図。(b)は異幅混載原稿が給送された状態を示す上面図。
図14】綴じ原稿検知設定を行うための画面の一例。
図15】画像読取装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[画像形成装置]
まず、第1の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100の概略断面図である。プリンタ100は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ100は、プリンタ本体70と、プリンタ本体70の上部に装着される画像読取装置10と、を備えている。また、プリンタ100は、ユーザーからの操作を受け付ける操作部506を備えている。操作部506には、ユーザーに対して情報を表示する表示部としての表示パネル506aが設けられている。表示パネル506aは、ユーザーが指でタッチして操作することが可能なタッチパネルである。
【0014】
以下において、プリンタ100の操作部506が設けられている側を手前側、その反対側を奥側と呼ぶ。即ち、図1は、プリンタ100を手前側から視た図面である。また、本実施形態において、シートとは、普通紙の他にも、コート紙等の特殊紙、封筒やインデックス紙等の特殊形状からなる記録材、及びオーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルムや布などを含むものとし、原稿もシートの一例である。
【0015】
プリンタ本体70は、画像形成エンジン60を有している。画像形成エンジン60は、電子写真方式の画像形成手段としての画像形成ユニットPUと、定着装置7と、を備えている。画像形成動作の開始が指令されると、感光体である感光ドラム1が回転し、ドラム表面が帯電装置2によって一様に帯電される。そして、露光装置3が、画像読取装置10又は外部のコンピュータから送信された画像データに基づいてレーザ光を変調して出力し、感光ドラム1の表面を走査して静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置4から供給されるトナーによって可視化(現像)されてトナー像となる。
【0016】
このような画像形成動作に並行して、カセット9又は不図示の手差しトレイに積載された記録材Sを画像形成エンジン60へ向けて給送する給送動作が実行される。給送された記録材Sは、画像形成ユニットPUによる画像形成動作の進行に合わせて搬送される。そして、感光ドラム1に担持されたトナー像は、転写ローラ5によって記録材Sに転写される。トナー像転写後に感光ドラム1上に残ったトナーは、クリーニング装置6によって回収される。未定着のトナー像が転写された記録材Sは、定着装置7へと受け渡されて、ローラ対に挟持されて加熱及び加圧される。トナーが定着された記録材Sは、排出トレイ71へ排出される。
【0017】
[画像読取装置]
次に、画像読取装置10について説明する。図1に示すように、画像読取装置10は、原稿Dを搬送するシート搬送装置としてのADF20(Auto Document Feeder)と、ADF20によって搬送される原稿を読み取る読取手段としての読取ユニット40と、を備えている。ADF20は、原稿台ガラス41が開放可能となるように、不図示のヒンジによって読取ユニット40に対して回動可能に支持されている。なお、シートの一例である原稿Dは、白紙でも、片面又は両面に画像が形成されていてもよい。
【0018】
ADF20は、原稿Dが積載される積載部としての原稿トレイ21と、原稿Dが排出される排出トレイ32と、を有している。原稿トレイ21には、原稿トレイ21にセットされた原稿Dの幅方向の位置を規制する規制手段としての第1規制板21a及び第2規制板21bが設けられている。第1規制板21aは手前側に配置され、原稿トレイ21に積載された原稿Dの手前側端部に当接する。第2規制板は奥側に配置され、原稿トレイ21に積載された原稿Dの奥側端部に当接する。1対の規制板である第1規制板21a及び第2規制板21bは、不図示の連動機構によって互いに連動して幅方向に移動可能である。具体的には、第1規制板21aと第2規制板21bとの一方が幅方向に移動した場合、第1規制板21aと第2規制板21bとの他方はその反対方向へ移動する。そして、第1規制板21a及び第2規制板21bが原稿Dの幅方向における端部に当接することで、原稿Dの位置が規制される。なお、幅方向とは、ADF20が原稿Dを搬送するシート搬送方向(給送方向)に直交する方向である。
【0019】
ADF20は、ピックアップローラ22と、給送ローラ23及び分離ローラ24と、搬送ローラ対25と、リードローラ対26と、リードローラ対30と、排出ローラ対31と、を有している。ピックアップローラ22、給送ローラ23及び分離ローラ24は、本実施形態における給送手段の一例である。また、ADF20は、原稿トレイ21上の原稿Dの有無を検知する原稿有無センサS31と、原稿Dの斜行を検知する第1検知手段としての第1斜行検知センサS11及び第2斜行検知センサS12と、を有している。第1斜行検知センサS11は第1センサの一例であり、第2斜行検知センサS12は第2センサの一例である。また、ADF20は、原稿Dの跳ね上がりを検知する第2検知手段としての発光部S21及び受光部S22を有している。原稿の跳ね上がりとは、給送される原稿が外力によってめくれ上がるように変形することである。受光部S22は、発光部S21から出射された光を受光するセンサである。発光部S21及び受光部S22は、原稿の跳ね上がりを検知する跳ね上がり検知センサを構成する。発光部S21及び受光部S22は第3センサの一例である。
【0020】
読取ユニット40は、流し読みガラス28と、ジャンプ台29と、基準白板42と、原稿台ガラス41と、第1ミラー台43と、第2ミラー台44と、レンズ45と、CCDラインセンサ46と、を有している。第1ミラー台43の内部には、ランプ47と、ミラー48と、が配置されている。第2ミラー台44の内部には、ミラー49、50が配置されている。第1ミラー台43及び第2ミラー台44は、不図示のワイヤ及び駆動モータによって副走査方向(図中の左右方向)に移動可能に構成されている。
【0021】
画像読取装置10は、原稿トレイ21に積載された原稿DをADF20により給送しながら原稿の画像を読み取る流し読みモードと、原稿台ガラス41に載置された原稿の画像を読み取る固定読みモードと、を実行可能である。流し読みモードは、原稿トレイ21に積載された原稿Dを原稿有無センサS31が検出した場合、又は操作部506によって流し読みモードが明示的に指示された場合に選択される。
【0022】
流し読みモードが実行されると、不図示のアームに支持されたピックアップローラ22が下降し、原稿トレイ21上の最上位の原稿Dに当接する。そして、原稿Dは、ピックアップローラ22によって給送され、給送ローラ23及び分離ローラ24によって形成される分離ニップにおいて1枚ずつに分離される。給送ローラ23は、分離ローラ24より摩擦が少ないゴム材等から形成されている。分離ローラ24への駆動伝達経路には、トルクリミッタが配置されており、分離ローラ24は、給送された原稿が1枚のときには給送ローラ23に連れ回り、給送された原稿が2枚以上のときには回転しない。このため、給送ローラ23及び分離ローラ24によって原稿を1枚ずつ分離することができる。なお、分離ローラ24は、摩擦部材を有する分離パッドのような分離部材あってもよい。また、給送ローラ23は、回転可能に設けられたベルトのような搬送部材であってもよい。
【0023】
原稿トレイ21から給送された原稿Dは、搬送ローラ対25によって搬送され、リードローラ対26によって流し読みガラス28に向けて搬送される。流し読みガラス28に対向する位置には、プラテンガイドローラ27が配置されている。プラテンガイドローラ27は、流し読みガラス28を通過する原稿Dが流し読みガラス28から浮かないように案内する。
【0024】
そして、原稿Dの表面の画像が流し読みガラス28を介して読取ユニット40によって読み取られる。具体的には、搬送中の原稿Dに対してランプ47の光が照射され、原稿Dからの反射光がミラー48、49、50によってレンズ45に導かれる。そして、レンズ45を通過した光は、CCDラインセンサ46の受光部に結像され、光電変換されてCPU81に画像情報が送信される。なお、基準白板42は、原稿Dの読取輝度の基準となる。流し読みガラス28を通過した原稿Dは、ジャンプ台29によってリードローラ対30に導かれ、排出ローラ対31によって排出トレイ32に排出される。
【0025】
一方、固定読みモードは、原稿台ガラス41に載置された原稿Dを読取ユニット40が検出した場合、又は操作部506によって固定読みモードが明示的に指示された場合に選択される。固定読みモードにおいては、第1ミラー台43及び第2ミラー台44が原稿台ガラス41に沿って移動し、ランプ47が照射する光によって原稿Dを走査する。CCDラインセンサ46の受光素子によって光電変換された画像情報は、CPU81へと転送される。
【0026】
[制御ブロック]
図2は、制御手段としてのCPU81の制御ブロック図である。CPU81には、第1斜行検知センサS11と、第2斜行検知センサS12と、発光部S21と、受光部S22と、原稿有無センサS31と、が接続されている。また、CPU81には、モータ制御部83を介して、給送モータ84と搬送モータ85とが接続されている。給送モータ84は、ピックアップローラ22と給送ローラ23とを駆動する。搬送モータ85は、搬送ローラ対25とリードローラ対26とリードローラ対30と排出ローラ対31とを駆動する。また、CPU81には、操作部506と記憶部507が接続されている。ユーザーは、操作部506によってコピージョブの開始や各種設定を行うことができる。
【0027】
本実施形態において、第2斜行検知センサS12は、原稿の給送を開始するタイミングを決定するための分離後センサの役割も兼ねている。具体的には、CPU81は、第2斜行検知センサS12が先行シートの後端を検知したことに基づいて、先行シートの次の後続シートの給送を開始する。このように、第2斜行検知センサS12が分離後センサの役割を兼ねることで、センサの数を削減して製品のコストを抑えることができる。
【0028】
[積載モードの設定]
ADF20は、通常モードと異幅混載モードと同幅混載モードとの3つの積載モードで原稿の搬送を実行することが可能である。通常モードとは、サイズが同じ複数の原稿又は1枚の原稿が原稿トレイ21にセットされて搬送されるモードである。異幅混載モードとは、幅の異なる複数の原稿が原稿トレイ21にセットされて搬送されるモードである。例えば、A5(幅210mm)とB5(幅182mm)のように幅の異なる原稿をまとめて原稿トレイ21にセットする場合、ユーザーは異幅混載モードを設定する。幅の異なる複数の原稿(異幅混載原稿)の画像読取を行う場合、ユーザーは最も幅の大きな原稿に合わせて第1規制板21aと第2規制板21bとを移動し、幅の小さな原稿は奥側の第2規制板21bに突き当ててセットする(後述する図13参照)。同幅混載モードとは、幅が同じでシート搬送方向の長さが異なる複数の原稿が原稿トレイ21にセットされて搬送されるモードである。例えば、A5(幅210mm)とA4R(幅210mm)のように幅が同じでシート搬送方向の長さが異なる原稿をまとめて原稿トレイ21にセットする場合、ユーザーは同幅混載モードを設定する。なお、以下の説明において、異幅混載モードと同幅混載モードとをまとめて混載モードと呼ぶことがある。
【0029】
図3(a)はユーザーがコピーの設定を行うための画面の一例であり、図3(b)はユーザーが積載モードの設定を行うための画面の一例である。図3(a)に示す画面には、コピージョブの開始の指示を行うためのスタートボタン600と、積載モード設定を行うための積載モード設定ボタン601と、綴じ原稿検知の設定を行うための綴じ原稿検知設定ボタン602と、が表示されている。ここで、「綴じ原稿」とは、ステープルされた原稿束である。ユーザーによってスタートボタン600が押下されると、画像読取装置10は画像読取動作を開始する。ユーザーによって積載モード設定ボタン601が押下されると、表示パネル506aの画面は図3(b)に示す画面へ遷移する。
【0030】
図3(b)に示す画面には、通常モード選択部603と、混載モード選択部604と、異幅混載選択部605と、同幅混載選択部606と、が表示されている。異幅混載選択部605及び同幅混載選択部606は、混載モード選択部604がユーザーによって押下されたことに応じて、画面に表示される。ユーザーは、画像を読み取る原稿束に含まれる原稿の幅と長さに基づいて、図3(b)の画面から適切な積載モードを選択することが可能である。例えば、ユーザーが幅の異なる複数の原稿を原稿トレイ21にセットする場合は、ユーザーは異幅混載選択部605を押して異幅混載モードを設定する。
【0031】
[斜行検知センサ]
次に、第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12について説明する。図4は、第1斜行検知センサS11及び第2斜行検知センサS12の位置を示す上面図である。第1斜行検知センサS11及び第2斜行検知センサS12は、シート搬送方向において給送ローラ23よりも下流に配置されている。また、第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12とは、幅方向に並んで配置されている。即ち、第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12とは、シート搬送方向について同じ位置に配置されている。なお、本実施形態における斜行検知センサは2つであるが、斜行検知センサの数は3つ以上であってもよい。
【0032】
CPU81は、第1斜行検知センサS11及び第2斜行検知センサS12からの信号に基づいて、給送中の原稿が斜行している否かを判断することが可能である。また、CPU81は原稿の斜行量が大きい場合に、原稿がステープルされていると判断する。CPU81は、第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12との一方が原稿を検知してから所定時間が経過するまでに、第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12との他方が原稿を検知しない場合に、原稿がステープルされていると判断する。そして、CPU81は、原稿がステープルされていると判断した場合に、原稿の給送を停止する。言い換えると、CPU81は、第1斜行検知センサS11及び第2斜行検知センサS12の検知タイミングの差が大きい場合に給送を停止する。例えば、第1斜行検知センサS11が原稿を検知してから所定時間が経過しても第2斜行検知センサS12が原稿を検知しない場合は、CPU81は給送を停止する。なお、CPU81が実行する斜行検知プロセスの処理については後述する。
【0033】
[跳ね上がり検知センサ]
次に、跳ね上がり検知センサとしての発光部S21及び受光部S22について説明する。図15は、画像読取装置10の斜視図である。図15に示すように、ADF20は、原稿トレイ21の原稿を支持する支持面に対して垂直に延びる第1壁部33と第2壁部34を有している。第1壁部33と第2壁部34は、原稿トレイ21の支持面を挟んで対向配置された1対の壁面である。第1壁部33は第1規制板21aよりも手前側に配置され、第2壁部34は第2規制板21bよりも奥側に配置されている。発光部S21は第1壁部33に配置され、受光部S22は第2壁部に配置されている。即ち、発光部S21と受光部S22とは、幅方向において原稿トレイ21の支持面を挟むように間隔を空けて配置されている。
【0034】
図5は、発光部S21と受光部S22の位置を示す斜視図である。図5に示すように、発光部S21及び受光部S22は、鉛直方向において原稿トレイ21の支持面よりも上方に配置されている。また、発光部S21及び受光部S22は、シート搬送方向において給送ローラ23及び分離ローラ24により形成される分離ニップよりも上流に配置されている。
【0035】
CPU81は、受光部S22からの信号に基づいて、原稿がステープルされているか否かを判断することが可能である。CPU81は、発光部S21から受光部S22への光路が原稿によって遮られた場合に、原稿がステープルされていると判断して給送を停止する。なお、CPU81が実行する跳ね上がり検知プロセスの処理については後述する。
【0036】
[綴じ原稿検知フロー]
次に、綴じ原稿を検知する処理についてフローチャートに沿って説明する。図6は、CPU81が実行する原稿給送動作の処理を示すフローチャートである。プリンタ100に電源が投入されると、CPU81は図6のフローチャートの処理を開始する。
【0037】
まず、CPU81は原稿有無センサS31からの信号に基づいて原稿トレイ21に原稿が積載されているか否かを判断する(ステップS101)。原稿トレイ21に原稿がない場合(ステップS101:No)には、CPU81は次の処理に進まず、原稿トレイ21に原稿が積載されるまで待機する。
【0038】
原稿トレイ21に原稿が積載されていると判断された場合(ステップS101:Yes)は、ユーザーによって給送開始が指示されたかどうかを判断する(ステップS102)。給送開始が指示されていない場合(ステップS102:No)には、CPU81は次の処理に進まず、給送開始が指示されるまで待機する。給送開始が指示されたと判断された場合(ステップS102:Yes)、CPU81は原稿の給送を開始する(ステップS103)。
【0039】
原稿の給送が開始されると、CPU81は異幅混載モードが設定されているか否かを判断する(ステップS104)。異幅混載モードが設定されていなかった場合(ステップS104:No)、CPU81は跳ね上がり検知プロセス(ステップS105)と斜行検知プロセス(ステップS106)の両方を並行して実施する。ここで、異幅混載モードが設定されていない場合とは、通常モード又は同幅混載モードが設定されている場合である。異幅混載モードが設定されていた場合(ステップS104:Yes)、CPU81は跳ね上がり検知プロセス(ステップS105)のみを実施し、斜行検知プロセスは実施しない。なお、跳ね上がり検知プロセス及び斜行検知プロセスについては後述する。
【0040】
跳ね上がり検知プロセス又は斜行検知プロセスの処理が終了すると、CPU81は原稿の斜行もしくは跳ね上がりを検知したかどうかを判断する(ステップS107)。原稿の斜行もしくは跳ね上がりを検知していた場合(ステップS107:Yes)、CPU81は給送モータ84及び搬送モータ85を停止して原稿の給送を停止する(ステップS108)。ここで、原稿の斜行もしくは跳ね上がりを検知していた場合は、CPU81は原稿がステープルされている可能性があることを示すメッセージを表示パネル506aに表示する。
【0041】
原稿の斜行もしくは跳ね上がりを検知していない場合(ステップS107:No)、CPU81は原稿有無センサS31からの信号に基づいて搬送中の原稿が最終原稿かどうかを判断する(ステップS109)。搬送中の原稿が最終原稿であった場合(ステップS109:Yes)、CPU81は給送モータ84及び搬送モータ85を停止する(ステップS108)。搬送中の原稿が最終原稿でなかった場合(ステップS109:No)、ステップS103へ戻り、次の原稿の給送を開始する。CPU81は以上の処理を繰り返し、最終原稿の搬送が完了すると、フローチャートの処理を終了する。
【0042】
[跳ね上がり検知プロセス]
次に、図6のステップS105である跳ね上がり検知プロセスについて説明する。図7は、CPU81が実行する跳ね上がり検知プロセスの処理を示すフローチャートである。以下の説明において、発光部S21からの光を受光部S22が受光している状態を「非検知状態」、発光部S21からの光を受光部S22が受光していない状態を「検知状態」と呼ぶ。
【0043】
まず、跳ね上がり検知プロセスのフローチャートについて説明する前に、跳ね上がりが発生する場合の原稿の動きについて説明する。図8は、綴じ原稿Dstが給送される場合の原稿の動きを示す斜視図である。図8(a)は綴じ原稿Dstが積載された状態、図8(b)は綴じ原稿Dstが給送ローラ23まで給送された状態、図8(c)は綴じ原稿Dstの跳ね上がりが起きた状態、をそれぞれ示す。なお、綴じ原稿Dstは、1枚目の原稿Dst1と2枚目の原稿Dst2とがステープルSTによって綴じられた原稿束である。また、図9は、ステープルされていない通常原稿Dが給送された場合の原稿の動きを示す斜視図である。図9(a)は通常原稿Dが搬送されている状態、図9(b)は搬送された通常原稿Dが第2斜行検知センサS12を通過した状態、をそれぞれ示す。
【0044】
図8(a)のように綴じ原稿Dstが原稿トレイ21に積載された状態で給送が開始されると、綴じ原稿Dstはピックアップローラ22により、給送ローラ23と分離ローラ24によって形成される分離ニップへ搬送される。図8(b)のように綴じ原稿Dstが分離ニップに到達すると、1枚目の原稿Dst1と2枚目の原稿Dst2とが分離されるように搬送される。このとき、1枚目の原稿Dst1はシート搬送方向に進むのに対して、2枚目の原稿Dst2は分離ローラ24によって原稿トレイ21に留まる。しかしながら、1枚目の原稿Dst1と2枚目の原稿Dst2とはステープルSTによって綴じられているため、各ローラから受ける力によって、1枚目の原稿Dst1がめくり上がるように跳ね上がる場合がある。図8(c)のように1枚目の原稿Dst1が跳ね上がると、発光部S21からの光が1枚目の原稿Dst1のA点に当たり、発光部S21から受光部S22への光路が遮られる。そのため、受光部S22が検知状態となった場合は、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生したと判断することが可能である。
【0045】
一方で、図9(a)のようにステープルされていない通常原稿Dが搬送されている場合は、受光部S22が常に非検知状態となる。そして、図9(b)のように受光部S22が非検知状態のまま原稿Dの後端が第2斜行検知センサS12を通過すると、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生していないと判断する。
【0046】
図10は、原稿の後端がステープルされた綴じ原稿Dstが給送される場合の原稿の動きを示す斜視図である。図10(a)は綴じ原稿Dstが積載された状態、図10(b)は綴じ原稿Dstが給送ローラ23まで給送された状態、図10(c)は綴じ原稿Dstの跳ね上がりが起きた状態、をそれぞれ示す。図8は綴じ原稿Dstの先端がステープルされているのに対して、図10は綴じ原稿Dstの後端がステープルされている。図10(a)のように後端がステープルされた綴じ原稿Dstが給送される場合、図10(b)のように給送ローラ23までは跳ね上がりは発生せずに綴じ原稿Dstは搬送される。しかしながら、分離ニップにおいて1枚目の原稿Dst1のみがシート搬送方向に進み、2枚目の原稿Dst2は原稿トレイ21に留まるため、綴じ原稿Dstのステープルされている後端が跳ね上がる。これにより、発光部S21から受光部S22への光路が遮られ、受光部S22が検知状態となる。このように、ステープルSTの位置が異なっても、CPU81は原稿の跳ね上がりを検出することができる。
【0047】
以下、跳ね上がり検知プロセスのフローチャートについて説明する。跳ね上がり検知プロセスがスタートすると、CPU81は受光部S22が検知状態であるかどうかを判断する(ステップS201)。受光部S22が非検知状態である場合(ステップS201:No)、CPU81は第2斜行検知センサS12がON(原稿を検知している状態)からOFF(原稿を検知していない状態)になったかどうかを判断する(ステップS202)。第2斜行検知センサS12がONである場合(ステップS202:No)、処理はステップS201へ戻る。
【0048】
ステップS201において、受光部S22が検知状態となった場合(ステップS201:Yes)、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生したと判断して(ステップS203)、跳ね上がり検知プロセスを終了する。ステップS203において、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生したことを記憶部507に記録する。一方で、受光部S22が非検知状態のまま第2斜行検知センサS12がOFFになった場合(ステップS202:Yes)、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生していないと判断して(ステップS204)、跳ね上がり検知プロセスを終了する。ステップS204において、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生していないことを記憶部507に記録する。
【0049】
以上説明したように、綴じ原稿Dstによって発光部S21から受光部S22への光路が遮られ、受光部S22が検知状態となった場合に、CPU81は原稿の跳ね上がりが発生した(原稿がステープルされている)と判断する。そして、S107で説明したように、原稿の跳ね上がりが発生した場合は、CPU81は原稿の給送を停止する。
【0050】
[斜行検知プロセス]
次に、斜行検知プロセス(図6のステップS106)について、フローチャートに沿って説明する。図11は、CPU81が実行する斜行検知プロセスの処理を示すフローチャートである。
【0051】
まず、斜行検知プロセスのフローチャートについて説明する前に、斜行が発生する場合の原稿の動きについて説明する。図12は、綴じ原稿Dstが給送される場合の原稿の動きを示す斜視図である。図12(a)は綴じ原稿Dstが積載された状態、図6(b)は綴じ原稿Dstが給送されて斜行が発生した状態、をそれぞれ示す。
【0052】
図12(a)のように綴じ原稿Dstが原稿トレイ21に積載された状態で給送が開始されると、綴じ原稿Dstはピックアップローラ22により、給送ローラ23と分離ローラ24によって形成される分離ニップへ搬送される。図12(b)のように綴じ原稿Dstが分離ニップに到達すると、1枚目の原稿Dst1と2枚目の原稿Dst2とが分離されるように搬送される。このとき、1枚目の原稿Dst1はシート搬送方向に進むのに対して、2枚目の原稿Dst2は分離ローラ24によって原稿トレイ21に留まる。しかしながら、1枚目の原稿Dst1と2枚目の原稿Dst2とはステープルSTによって綴じられているため、1枚目の原稿Dst1がステープルSTを中心に回転する場合がある。このとき、原稿Dst1のステープルSTで綴じられている側は搬送されないため、第1斜行検知センサS11はOFFとなる。一方、原稿Dst1のステープルSTで綴じられていない側は下流へ搬送されるため、第2斜行検知センサS12はONとなる。このように、2つの斜行検知センサがONになるタイミングの差によって、CPU81は原稿の斜行を判断することができる。
【0053】
以下、斜行検知プロセスのフローチャートについて説明する。まず、CPU81は第1斜行検知センサS11がONであるかどうかを判定する(ステップS301)。第1斜行検知センサS11がONでない場合(ステップS301:No)、CPU81は第2斜行検知センサS12がONになったかどうかを判定する(ステップS302)。ステップS302で第2斜行検知センサS12がONである場合には、CPU81は第1斜行検知センサS11がONであるかどうかを判定する(ステップS303)。即ち、ステップS303では、ステップS302で第2斜行検知センサS12がONした後に、CPU81は第1斜行検知センサS11がONするかどうかを判定する。ここで、第1斜行検知センサS11がOFFである場合(ステップS303:No)、CPU81は第2斜行検知センサS12がONしてから所定時間Tth[ms]が経過したかどうかを判断する(ステップS304)。第2斜行検知センサS12がONしてから第1斜行検知センサS11がOFFのまま所定時間Tth[ms]が経過した場合(ステップS304:Yes)、CPU81は原稿の斜行が発生したと判断する(ステップS305)。ステップS305において、CPU81は原稿の斜行が発生したことを記憶部507に記録する。
【0054】
一方で、第2斜行検知センサS12がONしてから所定時間Tth[ms]が経過する前に第1斜行検知センサS11がONになった場合(ステップS303:Yes)、CPU81は第2斜行検知センサS12がOFFになるまで待機する(ステップS308)。ステップS308で第2斜行検知センサS12がOFFになったら、CPU81は斜行が発生していないと判断して(ステップS309)、斜行検知プロセスを終了する。ステップS309において、CPU81は原稿の斜行が発生しなかったことを記憶部507に記録する。
【0055】
ステップS301において、第1斜行検知センサS11がONである場合(ステップS301:Yes)、CPU81は第2斜行検知センサS12がONになったかどうかを判定する(ステップS306)。即ち、ステップS306では、ステップS301で第1斜行検知センサS11がONした後に、CPU81は第2斜行検知センサS12がONするかどうかを判断する。ここで、第2斜行検知センサS12がOFFである場合(ステップS306:No)、CPU81は第1斜行検知センサS11がONしてから所定時間Tth[ms]が経過したかどうかを判断する(ステップS307)。第1斜行検知センサS11がONしてから第2斜行検知センサS12がOFFのまま所定時間Tth[ms]が経過した場合(ステップS307:Yes)、CPU81は原稿の斜行が発生したと判断する(ステップS305)。
【0056】
一方で、第1斜行検知センサS11がONしてから所定時間Tth[ms]が経過する前に第2斜行検知センサS12がONになった場合(ステップS306:Yes)、処理はステップS308に進む。ステップS308で第2斜行検知センサS12がOFFになったら、CPU81は斜行が発生していないと判断して(ステップS309)、斜行検知プロセスを終了する。
【0057】
ここで、所定時間Tthは搬送速度に応じて決められる値であり、一例として30mSである。ただし、所定時間Tthの値はこれに限るものではない。また、ステップS304とステップS307とで所定時間Tthの値は異なっていてもよい。
【0058】
以上説明したように、第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12との一方が原稿を検知してから、所定時間が経過するまでに他方が原稿を検知しない場合に、CPU81は原稿の斜行が発生した(原稿がステープルされている)と判断する。そして、S107で説明したように、原稿の斜行が発生した場合は、CPU81は原稿の給送を停止する。
【0059】
[異幅混載モードにおける原稿の配置]
次に、異幅混載モードにおける原稿のセット方法について説明する。図13(a)は、異幅混載モードにおいて原稿が積載された状態の原稿トレイ21の上視図である。図13(b)は、異幅混載モードにおいて幅が短い原稿が給送された状態を示す上面図である。図13(a)、(b)は、幅の小さい原稿D1と幅の大きい原稿D2とが原稿トレイ21に積載された場合を示している。
【0060】
上述したように、異幅混載モードは、幅の異なる複数の原稿が原稿トレイ21に積載されて給送されるモードである。図13(a)のように、異幅混載モードにおいては、第1規制板21a及び第2規制板21bは、ユーザーによって最も幅の大きい原稿D2に合わせて移動される。即ち、幅の大きい原稿D2は、幅方向の手前側端部が第1規制板21aに突き当たり、奥側端部が第2規制板21bに突き当たった状態となる。一方で、幅の小さい原稿D1は、奥側の第2規制板21bを基準にセットされる。即ち、幅の小さい原稿D1は、幅方向の手前側端部が第1規制板21aから離間し、奥側端部が第2規制板21bに突き当たった状態となる。なお、ユーザーが操作部506において異幅混載を選択した場合、表示パネル506aにはすべての原稿を奥側の第2規制板21bに揃えてセットすることを促す画面が表示される。
【0061】
図13(b)のように、異幅混載原稿の給送が開始されると、幅の小さい原稿D1は第2斜行検知センサS12の検知位置を通過するのに対し、第1斜行検知センサS11の検知位置は通過しないことがある。このような場合に、上述した斜行検知プロセスが実行されると、CPU81が斜行ありと誤検知する虞がある。これは、第2斜行検知センサS12が原稿を検知してから第1斜行検知センサS11がOFFのまま所定時間Tth[ms]が経過するためである(ステップS304:Yes)。
【0062】
しかしながら、本実施形態においては、異幅混載モードが設定されている場合、CPU81は斜行検知プロセスを実施せずに跳ね上がり検知プロセスのみを実行する。これにより、異幅混載モードにおいてCPU81が原稿の斜行が発生したと誤検知することを防ぐことが可能である。さらに、異幅混載モードであっても跳ね上がり検知プロセスによるステープル検知は可能であるため、異幅混載モードにおいてもステープル検知を給送して原稿が破損することを防ぐことができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、異幅混載モードが設定されている場合にCPU81は斜行検知プロセスを実行しない。しかしながら、CPU81は異幅混載モードにおいて斜行検知プロセスを実行して、その斜行検知結果を無視するように構成されていてもよい。即ち、異幅混載モードにおいては、斜行検知プロセスによって原稿の斜行が検知された場合であっても、CPU81は給送を継続するように構成されていてもよい。また、CPU81は、異幅混載モードにおいて第1斜行検知センサS11と第2斜行検知センサS12とに電源を供給しないように制御してもよい。
【0064】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成については、第1の実施の形態同様であるため説明を省略する。図14は、ユーザーが綴じ原稿検知の設定を行うための画面の一例である。上述した図3(a)の画面において、ユーザーによって綴じ原稿検知設定ボタン602が押下されると、表示パネル506aの画面は図14に示す画面へ遷移する。
【0065】
図14の画面には、斜行検知設定部607と跳ね上がり検知設定部608とが表示されている。斜行検知設定部607は、第1設定として、ADF20における斜行検知をON(有効)にするかOFF(無効)にするかを選択することが可能である。斜行検知設定部607でONが選択されている場合、CPU81は上述した斜行検知プロセスの結果に基づいて、原稿の斜行が発生した場合には給送を停止する。斜行検知設定部607でOFFが選択されている場合、CPU81は斜行検知プロセスの結果を無視し、原稿の斜行が発生したと判断しても給送を継続する。
【0066】
跳ね上がり検知設定部608は、第2設定として、ADF20における跳ね上がり検知をON(有効)にするかOFF(無効)にするかを選択することが可能である。跳ね上がり検知設定部608でONが選択されている場合、CPU81は上述した跳ね上がり検知プロセスの結果に基づいて、原稿の跳ね上がりが発生した場合には給送を停止する。跳ね上がり検知設定部608でOFFが選択されている場合、CPU81は跳ね上がり検知プロセスの結果を無視し、原稿の跳ね上がりが発生したと判断しても給送を継続する。
【0067】
なお、CPU81は、斜行検知設定部607でOFFが選択されている場合には、斜行検知プロセスを実行しないように構成されてもよい。また、CPU81は、跳ね上がり検知設定部608でOFFが選択されている場合には、跳ね上がり検知プロセスを実行しないように構成されてもよい。
【0068】
このように、綴じ原稿検知の設定が可能な構成であれば、給送される原稿のサイズに応じて、斜行検知と跳ね上がり検知を実行するかどうかをそれぞれ任意にユーザーが選択することができる。例えば、読み取られる原稿が異幅混載原稿であった場合、ユーザーは斜行検知をOFFに設定し、跳ね上がり検知をONに設定する。これにより、第1の実施形態と同様に、異幅混載モードにおいてCPU81が原稿の斜行が発生したと誤検知することを防ぐことが可能である。さらに、異幅混載モードであっても跳ね上がり検知プロセスによるステープル検知は可能であるため、異幅混載モードにおいてもステープル検知を給送して原稿が破損することを防ぐことができる。
【0069】
また、例えばカールの大きい原稿が原稿トレイ21に積載される場合には、原稿のカール部分によって発光部S21から受光部S22への光路が遮られ、CPU81が原稿の跳ね上がりが発生したと誤検知する可能性がある。しかしながら、本実施形態においてはユーザーが原稿の状態に応じて綴じ原稿検知の設定を任意に行うことができるため、誤検知を低減することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 画像読取装置
20 ADF
40 読取ユニット
81 CPU
100 プリンタ
S11 第1斜行検知センサ
S12 第2斜行検知センサ
S21 発光部
S22 受光部
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