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特開2024-172685ステータハンドリング装置、及び一軸偏心ねじポンプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172685
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ステータハンドリング装置、及び一軸偏心ねじポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/16 20060101AFI20241205BHJP
   F16H 31/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F04C2/16
F16H31/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090554
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭
(72)【発明者】
【氏名】香水 憲司
(72)【発明者】
【氏名】谷戸 敦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 麻美
【テーマコード(参考)】
3H041
3J062
【Fターム(参考)】
3H041BB06
3H041CC15
3H041DD01
3H041DD31
3H041DD34
3J062AA31
3J062AB36
3J062BA11
3J062BA35
(57)【要約】
【課題】ステータの組み付け作業や取り外し作業において、作業に要する労力の軽減効果を有するステータハンドリング装置、及び一軸偏心ねじポンプシステムの提供を目的とした。
【解決手段】ステータハンドリング装置10は、回動操作が可能な操作部20と、複数の歯32aが設けられた動力伝達部材32と、歯32aに対して係合及び離脱できる係合部34とを備え、動力伝達部材32に対して操作部20が接続されるとともに、ステータ120に対して係合部34が設けられたものであり、動力伝達部材32に設けられた歯32aに対して係合部34が係合された状態において、操作部20を回動操作するのに応じて、複数の歯32aがそれぞれ順に係合部34に対して係合及び離脱し、係合部34と歯との係合位置が延伸方向に変動することにより、ステータ120を軸線方向に移動させるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸偏心ねじポンプにおいてステータを軸線方向に移動させることにより、前記ステータの組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方を行うためのステータハンドリング装置であって、
固定された支点を起点として回動操作が可能な操作部と、
前記ステータの軸線方向に沿って延びるように配されるとともに、前記軸線方向に沿う延伸方向に複数の歯が設けられた動力伝達部材と、
前記動力伝達部材の複数の歯に対して係合及び離脱できる係合部と、を備え、
前記動力伝達部材及び前記ステータの一方に対して前記操作部が接続されるとともに、前記動力伝達部材及び前記ステータの他方に対して前記係合部が設けられたものであり、
前記動力伝達部材に設けられた複数の前記歯のうちの一部に対して前記係合部が係合された状態において、前記操作部を回動操作するのに応じて、複数の前記歯がそれぞれ順に前記係合部に対して係合及び離脱し、前記係合部と前記歯との係合位置が前記延伸方向に変動することにより、前記ステータを軸線方向に移動させること、を特徴とするステータハンドリング装置。
【請求項2】
前記動力伝達部材が、前記操作部に対して連結されたものであり、
前記係合部が、前記ステータに対して固定されたものであり、
前記操作部を回動操作するのに応じて、前記動力伝達部材が前記延伸方向に移動するとともに複数の前記歯がそれぞれ順に前記係合部に対して係合及び離脱し、前記係合部と前記歯との係合位置が前記延伸方向に変動すること、を特徴とする請求項1に記載のステータハンドリング装置。
【請求項3】
前記一軸偏心ねじポンプが、駆動源と、前記ステータ及び前記駆動源の間に取り付けられるケーシングと、を備えたものであり、
前記支点が、前記ケーシング、又は当該ケーシングに装着されたアダプタに設けられること、を特徴とする請求項1又は2に記載のステータハンドリング装置。
【請求項4】
前記ステータの軸線方向に沿って延びるガイド部材をさらに備え、
前記ガイド部材が、前記ステータを軸線方向に移動可能に支持するものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載のステータハンドリング装置。
【請求項5】
前記ステータが、前記ステータの軸線方向への中間部であって、前記ステータの重心位置を基準として規定される支持位置において前記ガイド部材によって支持されること、を特徴とする請求項4に記載のステータハンドリング装置。
【請求項6】
前記係合部が、前記支持位置に対して前記ステータの軸線方向に外れた位置において、軸線方向に対して交差する方向に突出するように前記ステータに対して固定されたものであることを特徴とする請求項5に記載のステータハンドリング装置。
【請求項7】
軸線方向に対して交差する方向に突出する突出部が、前記支持位置において前記ステータに設けられており、
前記突出部が前記ガイド部材に対して接触するように配されることにより、前記ステータが、軸線周り方向への回動が制限されつつ前記ガイド部材によって支持されることを特徴とする請求項4に記載のステータハンドリング装置。
【請求項8】
前記係合部が、前記支持位置に設けられており、前記ステータを支持すること、を特徴とする請求項6に記載のステータハンドリング装置。
【請求項9】
前記一軸偏心ねじポンプが、前記ステータの一端側に取り付けられるエンドスタッドを備え、
前記エンドスタッドが、前記一軸偏心ねじポンプを支持するベースに対して、固定具によって固定されるものであり、
前記ステータの組み付け作業、及び取り外し作業に際して、前記固定具を、前記ベースに対する前記ガイド部材の固定に利用可能であること、を特徴とする請求項4に記載のステータハンドリング装置。
【請求項10】
前記ガイド部材が、前記ステータの組み付け方向の端部に組付側端部領域を有し、
前記ステータが組み付けられた状態において、前記ステータの支持に伴って前記組付側端部領域において前記ガイド部材が受ける荷重が、前記組付側端部領域を外れた部位おいて前記ガイド部材が受ける荷重よりも小さいこと、を特徴とする請求項4に記載のステータハンドリング装置。
【請求項11】
前記組付側端部領域が、前記ステータの組み付け方向の端部に向かうにつれて先細りとなるように形成されていること、を特徴とする請求項10に記載のステータハンドリング装置。
【請求項12】
前記ステータを、前記ステータの横断面において位置決めすることが可能な位置決部をさらに備えること、を特徴とする請求項1又は2に記載のステータハンドリング装置。
【請求項13】
前記操作部が、
前記支点に連結される第一部品と、
前記第一部品に対して直接的あるいは間接的に取り付けられるとともに前記回動操作時に把持可能な第二部品とを備え、
前記動力伝達部材が、前記第一部品によって保持され、
前記第一部品が、前記第二部品によって保持されること、を特徴とする請求項1又は2に記載のステータハンドリング装置。
【請求項14】
一軸偏心ねじポンプと、
請求項1又は2に記載のステータハンドリング装置と、
を備え、
前記一軸偏心ねじポンプが、
雄ねじ型の軸体によって構成されたロータと、
前記ロータを挿通可能であり、内周面が雌ねじ型に形成されたステータと、
駆動源から出力された動力を前記ロータに伝達するフレキシブルロッドと、
を有するものであること、を特徴とする一軸偏心ねじポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一軸偏心ねじポンプにおいてステータの組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方を行うために用いられるステータハンドリング装置、及び当該ステータハンドリング装置を備えた一軸偏心ねじポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているような一軸偏心ねじポンプが提供されている。特許文献1に係る一軸偏心ねじポンプは、ポンプケーシングの一端に備えた駆動装置の駆動軸にフレキシブルシャフトを介して接続した雄ねじ形ロータを、雌ねじ形ステータ内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることにより、移送物を移送するものとされている。特許文献1に係る一軸偏心ねじポンプにおいては、フレキシブルシャフトがエンジニアリングプラスチックで形成したものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3629100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に開示されているような一軸偏心ねじポンプにおいては、ステータを組み付ける際に、予め設置された雄ねじ形のロータを、雌ねじ形に形成されたステータの孔に差し込んだ状態として、ステータを回動させつつ軸線方向に移動させる作業を行う必要がある。また、ステータを取り外す際には、組み付け時とは逆方向にステータを回動させつつ軸線方向に移動させる作業を行う必要がある。
【0005】
ここで、一軸偏心ねじポンプにおいては、ロータとステータが所定の締め代をなすように密接するものとされている。そのため、一軸偏心ねじポンプにおいてステータを組み付けたり取り外したりするべく、ステータを回動させつつ移動させる作業を行うためには比較的大きな力を必要とし、特に大型のものである場合には相応の力を必要としていた。そのため、従来技術のものに比べてステータの組み付け作業、及び取り外し作業に要する労力の軽減効果を有するステータハンドリング装置の提供が求められていた。
【0006】
そこで本発明は、一軸偏心ねじポンプにおいてステータの組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方について、作業に要する労力の軽減効果を有するステータハンドリング装置、及び当該ステータハンドリング装置を備えた一軸偏心ねじポンプシステムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のステータハンドリング装置は、一軸偏心ねじポンプにおいてステータを軸線方向に移動させることにより、前記ステータの組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方を行うためのものであって、固定された支点を起点として回動操作が可能な操作部と、前記ステータの軸線方向に沿って延びるように配されるとともに、前記軸線方向に沿う延伸方向に複数の歯が設けられた動力伝達部材と、前記動力伝達部材の複数の歯に対して係合及び離脱できる係合部とを備え、前記動力伝達部材及び前記ステータの一方に対して前記操作部が接続されるとともに、前記動力伝達部材及び前記ステータの他方に対して前記係合部が設けられたものであり、前記動力伝達部材に設けられた複数の前記歯のうちの一部に対して前記係合部が係合された状態において、前記操作部を回動操作するのに応じて、複数の前記歯がそれぞれ順に前記係合部に対して係合及び離脱し、前記係合部と前記歯との係合位置が前記延伸方向に変動することにより、前記ステータを軸線方向に移動させること、を特徴とするものである。
【0008】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(1)のような構成とすることにより、操作部の回動操作に応じてテコの原理によって発生する大きな力が、動力伝達部材及び係合部を介してステータに伝達される。これにより、本発明のステータハンドリング装置は、ステータを軸線方向に向けて軽快に移動させることができる。また、本発明のステータハンドリング装置は、操作部を回動操作するのに応じて、複数の歯がそれぞれ順に係合部に対して係合及び離脱し、係合部と歯との係合位置が前記延伸方向に変動するものとされている。そのため、本発明のステータハンドリング装置は、操作部の回動操作を繰り返すことにより、軸線方向へのステータの移動を継続させることができる。従って、本発明のステータハンドリング装置は、一軸偏心ねじポンプにおけるステータの組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方において活用することにより、当該作業に要する労力を軽減できる。
【0009】
(2)本発明のステータハンドリング装置は、前記動力伝達部材が、前記操作部に対して連結されたものであり、前記係合部が、前記ステータに対して固定されたものであり、前記操作部を回動操作するのに応じて、前記動力伝達部材が前記延伸方向に移動するとともに複数の前記歯がそれぞれ順に前記係合部に対して係合及び離脱し、前記係合部と前記歯との係合位置が前記延伸方向に変動するものであると良い。
【0010】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(2)のような構成とすることにより、操作部に対して連結された動力伝達部材、及びステータに固定された係合部を介して、操作部に加えた力を活用して、ステータを軸線方向に移動させることができる。従って、本発明のステータハンドリング装置は、ステータの組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方において活用することにより、当該作業に要する労力を軽減できる。
【0011】
(3)本発明のステータハンドリング装置は、前記一軸偏心ねじポンプが、駆動源と、前記ステータ及び前記駆動源の間に取り付けられるケーシングと、を備えたものであり、前記支点が、前記ケーシング、又は当該ケーシングに装着されたアダプタに設けられるものであると良い。
【0012】
本発明のステータハンドリング装置は、ステータに対して力を作用させることにより、操作部の支点となる位置に大きな反力が作用することが想定される。かかる想定に基づけば、本発明のステータハンドリング装置は、上記(3)のような構成とすると良い。本発明のステータハンドリング装置は、かかる構成とすることにより、支点を支持するための堅牢な固定用部材等を別途設けることなく、ケーシングあるいはケーシングに装着されたアダプタを活用して、支点となる位置においてしっかりと操作部を固定することができる。
【0013】
(4)本発明のステータハンドリング装置は、前記ステータの軸線方向に沿って延びるガイド部材をさらに備え、前記ガイド部材が、前記ステータを軸線方向に移動可能に支持するものであると良い。
【0014】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(4)のような構成とすることにより、重量物であるステータを軸線方向に沿ってスムーズに移動するように支持できる。
【0015】
(5)本発明のステータハンドリング装置は、前記ステータが、前記ステータの軸線方向への中間部であって、前記ステータの重心位置を基準として規定される支持位置において前記ガイド部材によって支持されるものであると良い。
【0016】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(5)のような構成とすることにより、ステータが上下方向に傾くのを抑制しつつ、ステータを軸線方向に移動可能に支持することができる。
【0017】
(6)本発明のステータハンドリング装置は、前記係合部が、前記支持位置に対して前記ステータの軸線方向に外れた位置において、軸線方向に対して交差する方向に突出するように前記ステータに対して固定されたものであると良い。
【0018】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(6)のように支持位置から軸線方向に離れた位置に係合部を設けることにより、動力伝達部材を伸ばす等する必要がなくなる。これにより、本発明のステータハンドリング装置は、部品のサイズや重量を最小限に抑制し、製造コストの低減や取り扱い性の向上を図ることができる。
【0019】
(7)本発明のステータハンドリング装置は、軸線方向に対して交差する方向に突出する突出部が、前記支持位置において前記ステータに設けられており、前記突出部が前記ガイド部材に対して接触するように配されることにより、前記ステータが、軸線周り方向への回動が制限されつつ前記ガイド部材によって支持されるものであると良い。
【0020】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(7)のような構成とすることにより、ステータが上下方向に傾くのを抑制することに加え、ステータが軸線周り方向に回動するのを抑制しつつ、ステータを軸線方向に移動可能に支持することができる。
【0021】
(8)本発明のステータハンドリング装置は、前記係合部が、前記支持位置に設けられており、前記ステータを支持するものであると良い。
【0022】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(8)のように、係合部によってステータを支持可能な構成とすることにより、装置構成の簡素化を図れる。
【0023】
(9)本発明のステータハンドリング装置は、前記一軸偏心ねじポンプが、前記ステータの一端側に取り付けられるエンドスタッドを備え、前記エンドスタッドが、前記一軸偏心ねじポンプを支持するベースに対して、固定具によって固定されるものであり、前記ステータの組み付け作業、及び取り外し作業に際して、前記固定具を、前記ベースに対する前記ガイド部材の固定に利用可能なものであると良い。
【0024】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(9)のような構成とすることにより、ベースに対するガイド部材の固定に際し、エンドスタッドを固定するための固定具を活用することができる。これにより、本発明のステータハンドリング装置は、装置構成の簡素化を図れる。
【0025】
(10)本発明のステータハンドリング装置は、前記ガイド部材が、前記ステータの組み付け方向の端部に組付側端部領域を有し、前記ステータが組み付けられた状態において、前記ステータの支持に伴って前記組付側端部領域において前記ガイド部材が受ける荷重が、前記組付側端部領域を外れた部位において前記ガイド部材が受ける荷重よりも小さいものであると良い。
【0026】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(10)のような構成とすることにより、ステータの組み付け作業の完了後にガイド部材を撤去したり、ステータの取り外し作業に際してガイド部材を設置したりする作業が行いやすくなる。
【0027】
(11)本発明のステータハンドリング装置は、前記組付側端部領域が、前記ステータの組み付け方向の端部に向かうにつれて先細りとなるように形成されているものであると良い。
【0028】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(11)のような構成とすることにより、ステータの組み付け作業後におけるガイド部材の撤去や、ステータの取り外し作業時におけるガイド部材の設置作業が行いやすくなる。
【0029】
(12)本発明のステータハンドリング装置は、前記ステータを、前記ステータの横断面において位置決めすることが可能な位置決部をさらに備えるものであると良い。
【0030】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(12)のような構成とすることにより、ステータの位置決めを行いやすくなる。これにより、ステータの位置決めが十分でないままステータの組み付け作業やステータの取り外し作業を行うことによる、ステータや周辺部材の破損や変形、摩耗等を抑制できる。
【0031】
(13)本発明のステータハンドリング装置は、前記操作部が、前記支点に連結される第一部品と、前記第一部品に対して直接的あるいは間接的に取り付けられるとともに前記回動操作時に把持可能な第二部品とを備え、前記動力伝達部材が、前記第一部品によって保持され、前記第一部品が、前記第二部品によって保持されるものであると良い。
【0032】
本発明のステータハンドリング装置は、上記(13)のように、操作部を構成する第一部品によって動力伝達部材を保持することにより、動力伝達部材のガタつきや脱落を抑制できる。また、本発明のステータハンドリング装置は、上記(13)のように回動操作時に把持される第二部品によって第一部品を保持する構成とすることにより、回動操作時に第一部品を安定的に保持することができる。従って、本発明のステータハンドリング装置は、上記(13)のような構成とすることにより、動力伝達部材の動作安定性を高めることができる。
【0033】
(14)本発明の一軸偏心ねじポンプシステムは、一軸偏心ねじポンプと、上述した本発明のステータハンドリング装置と、を備え、前記一軸偏心ねじポンプが、雄ねじ型の軸体によって構成されたロータと、前記ロータを挿通可能であり、内周面が雌ねじ型に形成されたステータと、駆動源から出力された動力を前記ロータに伝達するフレキシブルロッドと、を有するものである。
【0034】
本発明の一軸偏心ねじポンプシステムは、上記(14)のように、一軸偏心ねじポンプがフレキシブルロッドを備えたものである。また上述のとおり、一軸偏心ねじポンプにおいては、ロータとステータが所定の締め代をなすように密接するものとされている。そのため、従来技術のように、ステータの組み付け作業、及び取り外し作業においてステータを回動させることとした場合には、ステータの回動によってロータにも回動方向への力が作用し、フレキシブルロッドが捻られた状態になる可能性がある。フレキシブルロッドが捻られた状態において、何らかの理由でステータを回動させる力が弱まると、フレキシブルロッドに蓄えられた力がロータを介してステータに伝わり、ステータが予期せず回動してしまう可能性がある。そのため、ステータがこのようにして回動してしまうのを抑制するためには、ステータを回動させることなく、ステータの組み付け作業及び取り外し作業の少なくともいずれかを行えるようにすることが望ましい。
【0035】
かかる知見に基づき、本発明の一軸偏心ねじポンプシステムは、上述した本発明のステータハンドリング装置を備えたものとされている。上述したとおり、本発明のステータハンドリング装置は、ステータを回動させることなく軸線方向へ移動させることにより、ステータの組み付け作業及び取り外し作業の少なくともいずれかを行えるものである。そのため、本発明の一軸偏心ねじポンプシステムは、フレキシブルロッドを備えた一軸偏心ねじポンプにおいてステータの組み付け作業及び取り外し作業の少なくともいずれかを行う際に、ステータが予期せず回動してしまうのを抑制できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、上述した課題を解決可能なステータハンドリング装置、及び一軸偏心ねじポンプシステムの提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係る一軸偏心ねじポンプシステム、及びステータハンドリング装置を示す正面図である。
図2図1の一軸偏心ねじポンプシステムが備える一軸偏心ねじポンプを示す断面図である。
図3図1に係る一軸偏心ねじポンプシステム、及びステータハンドリング装置の要部拡大図である。
図4】(a),(b)はそれぞれ、操作部を構成する第一部品を示す正面図、及び側面図である。
図5】(a),(b)はそれぞれ、操作部を示す正面図、及び側面図である。
図6図5に示した操作部をアダプタ及び動力伝達部材に接続した状態を示す側面図である。
図7】(a),(b)はそれぞれ、アダプタの分解状態を示す正面図、及び側面図である。
図8】(a),(b)はそれぞれ、動力伝達部材を示す正面図、及び側面図である。
図9】ガイド部材に対して台座部を取り付けた状態を示す正面図である。
図10】ステータハンドリング装置、及び一軸偏心ねじポンプシステムにおけるステータの組み付け作業について段階を追って説明した説明図である。
図11】ステータハンドリング装置、及び一軸偏心ねじポンプシステムにおけるステータの取り外し作業について段階を追って説明した説明図である。
図12】変形例に係るアダプタに対して操作部及び動力伝達部材に接続した状態を示す側面図である。
図13】(a)は変形例に係るガイド部材及び台座部の分解状態を示す正面図、(b)は(a)において用いられる台座部を示す側面図、(c)は(a)に係るガイド部材及び台座部の組立状態を示す正面図である。
図14】動力伝達部材がステータに対して連結され、係合部が操作部に対して固定された構成とした変形例に係る説明図である。
図15】(a)は装着具を示す斜視図、(b)は装着具を用いてステータをガイド部材に対して配した状態を示す側面図、(c)は装着具を用いてステータをガイド部材に対して配した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
続いて、本発明の一実施形態に係る一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0039】
≪一軸偏心ねじポンプシステムSについて≫
一軸偏心ねじポンプシステムSは、ステータハンドリング装置10と、一軸偏心ねじポンプ110とを備えている。一軸偏心ねじポンプシステムSは、ステータハンドリング装置10を用い、一軸偏心ねじポンプ110が備えるステータ120を軸線方向に移動させることにより、ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業を行えるようにしたものである。以下の説明においては、先ず一軸偏心ねじポンプ110の構成について説明したうえ、ステータハンドリング装置10についてさらに詳細に説明する。
【0040】
≪一軸偏心ねじポンプ110について≫
図2に示すように、一軸偏心ねじポンプ110は、いわゆる回転容積型のポンプであり、図2に示すように、ケーシング112の内部にステータ120や、ロータ130、動力伝達機構150などが収容された構成とされている。ケーシング112は、金属製で筒状の部材であり、長手方向一端側に取り付けられた円板形のエンドスタッド112aに第一開口114aが設けられている。また、ケーシング112の外周部分には、第二開口114bが設けられている。第二開口114bは、ケーシング112の長手方向中間部分に位置する中間部112dにおいてケーシング112の内部空間に連通している。
【0041】
第一開口114a及び第二開口114bは、それぞれ一軸偏心ねじポンプ110の吸込口および吐出口として機能する部分である。本実施形態の一軸偏心ねじポンプ110は、ロータ130を正方向に回転させることにより、第一開口114aが吐出口として機能し、第二開口114bが吸込口として機能するように流動体(流体)を圧送することが可能である。また、一軸偏心ねじポンプ110は、ロータ130を逆方向に回転させることにより、第一開口114aが吸込口として機能し、第二開口114bが吐出口として機能するように流動体を圧送させることが可能である。以下、特に断りのない限り、一軸偏心ねじポンプ110は、第一開口114aが吐出口として機能し、第二開口114bが吸込口として機能するように作動するものとして説明する。
【0042】
ステータ120は、円筒状の外観形状を有する部材である。ステータ120は、例えば弾性体や樹脂、金属、セラミックスなどで作成される。ステータ120をなす材質は、一軸偏心ねじポンプ110を用いて移送される被搬送物(流動体)の種類や性状などにあわせて適宜選択される。ステータ120は、ケーシング112において第一開口114aに隣接する位置にあるステータ取付部112bの内部に収容されている。ステータ120の外径は、ステータ取付部112bの内径とほぼ同一である。そのため、ステータ120は、外周面がステータ取付部112bの内周面に略密着した状態で取り付けられている。また、ステータ120は、一端側にあるフランジ部120aをケーシング112の端部においてエンドスタッド112aによって挟み込み、エンドスタッド112aとケーシング112の本体部分とに亘ってステーボルト116を取り付けて締め付けることにより固定されている。そのため、ステータ120は、ケーシング112のステータ取付部112b内において位置ずれ等を起こさない。ステータ120の内周面124は、n条で単段あるいは多段の雌ねじ形状とされている。本実施形態では、2条で多段の形状とされている。
【0043】
ロータ130は、雄ねじ型の軸体によって構成されている。ロータ130は、例えば金属やセラミックス等の材質によって形成されている。ロータ130をなす材質は、被搬送物(流動体)の種類や性状などにあわせて適宜選択される。ロータ130は、n-1条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ロータ130は、1条で多段とされている。ロータ130は、後に詳述する連結軸170が接続される軸体(被接続軸)である。ロータ130は、ロータ側連結部200を介して連結軸170(連結軸)に対して連結されている。ロータ130は、連結軸170を介して伝達された動力により偏心回転する。ロータ130は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状がほぼ真円形となるように形成されている。ロータ130は、上述したステータ120に形成された貫通孔122に挿通され、貫通孔122の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【0044】
ロータ130をステータ120に対して挿通すると、ロータ130の外周面132とステータ120の内周面124とが両者の接線(シール線)において当接した状態になる。これにより、貫通孔122を形成しているステータ120の内周面124と、ロータ130の外周面との間に、キャビティ134とよばれる独立した一連の密閉空間が形成される。キャビティ134は、非搬送物である流動体を搬送するための流体搬送路140を構成する。流体搬送路140は、上述したステータ120やロータ130のリードの長さLを基準長とした場合に、ステータ120やロータ130の軸方向にリードの基準長のd倍の長さを有する多段(d段)の流路となっている。
【0045】
流体搬送路140は、ステータ120やロータ130の長手方向に向けて螺旋状に延びている。また、流体搬送路140は、ロータ130をステータ120の貫通孔122内において回転させると、ステータ120内を回転しながらステータ120の長手方向に進む。そのため、ロータ130を回転させると、ステータ120の一端側から流体搬送路140内に流動体を吸い込むと共に、この流動体を流体搬送路140内に閉じこめた状態でステータ120の他端側に向けて移送し、ステータ120の他端側において吐出させることが可能である。すなわち、ロータ130を正方向に回転させると、第二開口114bから吸い込んだ流動体を圧送し、第一開口114aから吐出することが可能である。また、ロータ130を逆方向に回転させると、第一開口114aから吸い込んだ流動体を第二開口114bから吐出することが可能である。
【0046】
動力伝達機構150は、ケーシング112の外部に設けられた駆動機などの駆動源155から上述したロータ130に対して動力を伝達するために設けられている。動力伝達機構150は、動力接続部152と偏心回転部154とを有する。動力接続部152は、ケーシング112の長手方向の一端側、さらに詳細には上述したエンドスタッド112aやステータ取付部112bが設けられたのとは反対側(以下、単に「基端側」とも称す)に設けられた軸収容部112c内に設けられている。また、偏心回転部154は、軸収容部112cとステータ取付部112bとの間に形成された中間部112dに設けられている。
【0047】
動力接続部152は、ドライブシャフト156を有する。ドライブシャフト156は、2つの軸受156a,156bによって回転自在に支持されている。ドライブシャフト156は、ケーシング112の基端側の閉塞部分から外部に取り出されている。ドライブシャフト156は、駆動源155に接続されている。そのため、駆動源155を作動させることにより、ドライブシャフト156を回転させることが可能である。すなわち、ドライブシャフト156は、駆動源155における出力を受けて回動する出力軸として機能する軸体である。
【0048】
動力接続部152が設けられた軸収容部112cと中間部112dとの間には、軸封部材160が設けられている。軸封部材160は、中間部112d側から軸収容部112c側に被搬送物たる流動体が漏れ出さない構造とするために設けられている。軸封部材160は、例えばメカニカルシールやグランドパッキン等によって構成できる。本実施形態では、軸封部材160として、メカニカルシールが採用されている。軸封部材160は、ドライブシャフト156(出力軸)に対して装着されている。
【0049】
偏心回転部154は、上述したドライブシャフト156とロータ130とを動力伝達可能なように接続する部分である。偏心回転部154は、連結軸170を有する。連結軸170は、可撓性を有する軸体によって構成されている。本実施形態において、連結軸170は、フレキシブルロッドによって構成されている。連結軸170は、長手方向一端側(基端側)において、駆動側連結部100を介してドライブシャフト156に対して連結されている。また、連結軸170は、長手方向他端側(先端側)において、ロータ側連結部200を介してロータ130に対して連結されている。これらの構成により、偏心回転部154は、駆動源155からドライブシャフト156を介して伝達されてきた回転動力をロータ130に伝達し、ロータ130を偏心回転させることができる。
【0050】
≪ステータハンドリング装置10について≫
続いて、ステータハンドリング装置10について説明する。上述したように、ステータハンドリング装置10は、一軸偏心ねじポンプ110においてステータ120を軸線方向に移動させることにより、ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業を行うための装置である。図1に示すように、ステータハンドリング装置10は、大別して、操作部20、動力伝達機構部30、及びステータ案内部50を備えている。
【0051】
操作部20は、ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業を行う際に、使用者が操作するために設けられている。操作部20は、固定された支点22を起点として回動操作が可能なものとされている。操作部20は、別途設けられた固定用部材等に設けたり、ケーシング112、又はケーシング112に装着されたアダプタ28に設けたりすると良い。図1図3に示すように、本実施形態では、操作部20は、ケーシング112に固定したアダプタ28に支点22を設けたものとされている。
【0052】
図3図5等に示すように、操作部20は、第一部品24、及び第二部品26を有する。操作部20は、第一部品24及び第二部品26を連結して組み立てることにより構成されている。操作部20は、適宜、第一部品24及び第二部品26に分解できる。
【0053】
第一部品24は、支点22に連結される部品である。第一部品24は、後述する動力伝達機構部30の動力伝達部材32に連結される部品でもある。第一部品24は、支点22に連結された状態において、動力伝達部材32を保持することができる。後述するように、ステータ120が移動する領域(以下、「ステータ移動領域T」とも称す)に対して動力伝達部材32が一方側及び他方側にそれぞれ配置されることから、これに対応して、第一部品24についても一対準備され、ステータ移動領域Tを介して一方側及び他方側に配される。また、第一部品24は、第二部品26によって保持される。本実施形態では、ステータ移動領域Tを介して配された一対の第一部品24,24に対して第二部品26を連結することにより、第一部品24,24が第二部品26によって保持される。
【0054】
図4に示すように、第一部品24は、板状の部材によって構成されている。第一部品24は、基端側(支点22との連結側)に支軸連結部24a、動力伝達部材連結部24b、及び回動領域規定部24cを有する。また、第一部品24は、先端側(第二部品26との連結側)に第二部品連結部24dを有する。
【0055】
支軸連結部24aは、後述するアダプタ28において支点22をなすように設けられた支軸28aが連結される部分である。支軸連結部24aは、支軸28aを挿入可能な孔によって形成されている。
【0056】
動力伝達部材連結部24bは、動力伝達部材32を第一部品24に対して揺動(回動)可能に連結する部分である。動力伝達部材連結部24bは、第一部品24をなす板体に対して交差(本実施形態では略直交)する方向に突出した軸体を取り付け可能とされている。
【0057】
回動領域規定部24cは、後述するアダプタ28に設けられた回動規制突部28bとの組み合わせにより、支点22を中心とする操作部20の回動領域を規制するためのものである。回動領域規定部24cは、支軸連結部24aにおいて支点22を中心として回動可能とされた状態において、支軸連結部24a(支点22)に対して回動方向一方側、及び他方側となる位置に、回動規制突部28bと干渉するように設けられている(図3参照)。
【0058】
第二部品連結部24dは、第一部品24の先端側に向けて延びるように形成された部分である。第二部品連結部24dは、上述した支軸連結部24a及び動力伝達部材連結部24bの延長線上において、直線的に延びるように形成されている。第二部品連結部24dは、第二部品26をなす筒体に対して挿入できる幅に形成されている。これにより、第一部品24は、第二部品連結部24dを第二部品26に挿入することにより、第二部品26に対して連結できるものとされている。
【0059】
図5図6に示すように、第二部品26は、第一部品24に対して直接的あるいは間接的(本実施形態では直接的)に取り付けられる部品である。第二部品26は、上述のとおり、一対の第一部品24,24に対して連結することにより、これらを保持するものとされている。第二部品26は、第一部品連結部26a、連結部26b、及び補強部26cを有する。第二部品26は、第一部品連結部26a、連結部26b、及び補強部26cをそれぞれ別部材によって構成して連結した構成とするほか、一部又は全部の部分を一体的に形成した構成とすることも可能である。本実施形態では、第二部品26は、第一部品連結部26a、及び連結部26bを金属製のパイプなどの筒体を用いて一体的に形成しつつ、これに対して補強部26cを連結した構成とされている。
【0060】
第一部品連結部26aは、上述した第一部品24の第二部品連結部24dとの組み合わせにより、第二部品26を第一部品24に対して連結するものである。第一部品連結部26aは、端部が解放された筒状の形状とされている。上述したように、本実施形態では、ステータ移動領域Tを介して一方側及び他方側に一対の第一部品24,24が配される。そのため、第二部品26は、第一部品24,24に対応して、第一部品連結部26a,26aが一対設けられている。本実施形態では、第一部品連結部26a、及び連結部26bをなす筒体をU字型に折り曲げることにより、一対の第一部品連結部26a,26aが形成されている。
【0061】
連結部26bは、第一部品連結部26a,26aを繋ぐように形成されている。これにより、第二部品26は、第一部品連結部26a,26a及びこれに接続される第一部品24,24(第二部品連結部24d,24d)を一体的に回動操作できるものとされている。これにより、操作部20は、第一部品24,24に接続される一対の動力伝達部材32,32をタイミングのずれが生じないように同時に動作させることができる。また、連結部26bは、使用者が操作部20を回動操作するときに把持することができ
る。使用者が連結部26bを把持して操作部20を回動操作することにより、第一部品24,24に連結された一対の動力伝達部材32,32の両者に対して同等の力を伝達しやすくなる。
【0062】
補強部26cは、上述した第一部品連結部26a,26aの長手方向中間部において、両者の間をつなぐように接続したものである。補強部26cは、連結部26bと略並行に設けられている。第二部品26は、補強部26cを設けることにより、第二部品26を補強し、第一部品連結部26a,26aの間隔が変動するのを抑制できる。
【0063】
図1図3等に示すように、アダプタ28は、ステータハンドリング装置10を設置するために、一軸偏心ねじポンプ110をなすケーシング112の端部に設けられたフランジ部分に取り付けられる部材である。図6に示すように、ステータハンドリング装置10の設置に際し、アダプタ28は、二つ用いられる。アダプタ28,28は、それぞれステータ移動領域Tを介して一方側、及び他方側においてケーシング112の端部に取り付けられる。
【0064】
図6図7に示すように、アダプタ28は、上述した一軸偏心ねじポンプ110のケーシング112に対して接続される操作部20との関係において用いられる、支軸28a、及び回動規制突部28bを備えている。また、アダプタ28は、ステータ案内部50との関係において用いられる、ガイド部材接続部28cを備えている。さらに、アダプタ28は、ステータ120との関係において用いられる、ステータ案内部50を構成する位置決部28dが設けられている。
【0065】
支軸28aは、アダプタ28をケーシング112に取り付けた状態において、支点22となる位置に設けられる軸状の部材である。支軸28aは、アダプタ28をケーシング112に取り付けた状態においてステータ移動領域Tの外側に向けて突出するように設けられている。
【0066】
回動規制突部28bは、アダプタ28をケーシング112に取り付けた状態において、支軸28aに対して下方となる位置に設けられる軸状の部材である。回動規制突部28bは、操作部20をなす第一部品24の支軸連結部24aに支軸28aを挿入した状態において、第一部品24に設けられた二つの回動領域規定部24c,24cの間に配される。これにより、操作部20(第一部品24)は、回動規制突部28bが回動領域規定部24c,24cと干渉しない範囲内において支点22(支軸28a)を中心として回動可能とされる。
【0067】
ガイド部材接続部28cは、ステータ案内部50を構成するガイド部材52が接続される部分である。ガイド部材接続部28cは、ガイド部材52を接続可能なものであれば良いが、本実施形態ではガイド部材52の先端部分を差し込み可能な穴(凹部)によって構成されている。
【0068】
位置決部28dは、ステータ120を一軸偏心ねじポンプ110のケーシング112に対して接続して組み付ける作業を行うのに際して、ステータ120を、ステータ120の横断面において位置決めするものである。位置決部28dは、ステータ120を上下方向、左右方向のいずれか一方にのみ位置決めするものとすることができるが、本実施形態では上下方向、左右方向の双方について位置決めするものとされている。また、本実施形態では、位置決部28dは、ケーシング112の端部にアダプタ28を取り付けた状態において、ケーシング112の軸線方向に突出するピンや軸体からなる突出部によって構成されている。
【0069】
位置決部28dは、一つのアダプタ28に対して二つ設けられている。位置決部28d,28dは、取り付け対象とされるステータ120の大きさに応じた間隔で上下方向に離れた位置関係となるように設けられている。また、ケーシング112に対して二つのアダプタ28,28を取り付けた状態において、二つの位置決部28d,28dが取り付け対象とされるステータ120の大きさに応じた間隔で左右方向(ステータ移動領域Tを介して一方側及び他方側)に離れた位置関係となるように設けられている。
【0070】
アダプタ28は、上述した支軸28a、回動規制突部28b、ガイド部材接続部28c、及び位置決部28dを一体的に形成したものとしても、一部の構成について別体として形成されたパーツを、他の部位をなすパーツに対して組み付けることにより形成されるものとしても良い。本実施形態では、図7に示すように、アダプタ28は、支軸28a、回動規制突部28b、及びガイド部材接続部28cを構成する第一アダプタパーツ28xと、位置決部28dを構成する第二アダプタパーツ28yとを組み立てることにより形成されるものとされている。そのため、アダプタ28は、必要に応じて第二アダプタパーツ28yを取り外したり、ステータ120等に応じて第二アダプタパーツ28yを適宜交換したりする構成とすることができる。
【0071】
動力伝達機構部30は、操作部20に加えられた操作力を伝達して、ステータ120を軸線方向片方側(順方向)にのみ移動させ、逆方向への移動を制限できるものである。動力伝達機構部30は、例えばワンウェイクラッチ等の各種の動力伝達機構によって構成できるが、本実施形態ではラチェット機構により構成されている。図1等に示すように、動力伝達機構部30は、動力伝達部材32、及び係合部34を備えている。
【0072】
図1等に示すように、動力伝達部材32は、ステータ120の軸線方向に沿って延伸するように配される部材である。動力伝達部材32は、棒状のもの、プレート状のもの等とすることができるが、本実施形態ではプレート状のものとされている。動力伝達部材32は、一方向に動力伝達し、逆方向に動力伝達しない一方向動力伝達部材としての機能を有する。本実施形態では、図1図8に示すように、動力伝達部材32は、延伸方向に複数の歯32a(ラチェット歯)が並ぶように設けられたラチェットプレートとされている。歯32aは、鋭角的な一端(以下、「尖端」とも称す)と、尖端に対してなだらかな傾斜を持つ他端(以下、「斜面」とも称す)を有する。
【0073】
動力伝達部材32は、操作部連結部32bを有する。操作部連結部32bは、動力伝達部材連結部24bを挿入可能な孔によって構成されている。動力伝達部材32は、操作部連結部32bをなす孔に動力伝達部材連結部24bを挿入することにより、長手方向一端側において、操作部20に対して動力伝達可能に接続される。動力伝達部材32は、長手方向一端側、及び他方側の端部に設けられている。そのため、動力伝達部材32は、長手方向一方側及び他方側に設けられた操作部連結部32b,32bのいずれに動力伝達部材連結部24bを挿入するかによって歯32aの向きを変えることができる。すなわち、動力伝達部材32は、操作部連結部32b,32bのうち一方に動力伝達部材連結部24bを挿入することにより、歯32aが下方向を向きつつ、尖端がケーシング112側を向くように取り付けることができる。また、動力伝達部材32は、操作部連結部32b,32bの他方に動力伝達部材連結部24bを挿入することにより、歯32aが下方向を向きつつ、尖端がケーシング112とは反対側を向くように取り付けることができる。
【0074】
動力伝達部材32は、操作部20の第一部品24によって保持される。本実施形態では、動力伝達部材32が第一部品24をなす板状の部分と、第一部品24が接続されるアダプタ28との間に配された状態になる。これにより、動力伝達部材32は、第一部品24によってステータ移動領域Tの外側に脱落しないように保持される。
【0075】
図1等に示すように、係合部34は、動力伝達部材32に設けられた歯32a(ラチェット歯)に対して係合及び離脱できる突部をなすものである。すなわち、係合部34は、動力伝達部材32に設けられた歯32a(ラチェット歯)に嵌合するポールとして機能するものである。係合部34は、ステータ120に対して一体的に設けられたものとすることも可能であるが、本実施形態ではステータ120に取り付けられる第一ステータクランプ36に設けられている。第一ステータクランプ36は、ステータ120の重心位置よりも軸線方向一端側(ケーシング112との接続側)に外れた位置に取り付けられる。第一ステータクランプ36は、ステータ120の外周を取り囲むように取り付けられる。第一ステータクランプ36は、ステータ120に対して軸線方向に相対移動不能に取り付けることができる。係合部34は、第一ステータクランプ36において、ステータ120への取り付け状態においてステータ120の径方向一方側、及び他方側において、ステータ120の軸線方向に対して交差する方向(径方向)の外側に向けて突出するように設けられる。
【0076】
動力伝達機構部30は、歯32a(ラチェット歯)が一方側に尖端を有し、他方側に斜面を有する形状とされている。そのため、動力伝達機構部30は、第一の方向(以下、「前進方向」という)に動力伝達部材32が移動する場合には係合部34が歯32aに強固に噛み合うことができるが、反対の方向(以下、「後退方向」という)に動力伝達部材32が移動する場合には係合部34が歯32aの斜面に沿って滑り落ち、次の歯32aに係合部34が移動する構成とされている。動力伝達機構部30は、このようなラチェット機構を備えたものとされているため、操作部20から動力伝達部材32に伝達された力を一方向にのみ効果的に伝達し、逆方向への力の伝達を抑制することができる。また、動力伝達機構部30は、このような構成とされているため、動力伝達部材32の取り付け方向を調整することにより、ステータ120を移動させたい方向に移動させることができる。
【0077】
ステータ案内部50は、ステータ120の組み付け作業や取り外し作業を行う際に、ステータ120を支持しつつ、軸線方向にスライドするように案内するものである。ステータ案内部50は、上述したアダプタ28に設けられた位置決部28d,28dを備えており、ステータ120を位置決め精度よく、軸線方向にスライドさせることができる。これに加え、図1等に示すように、ステータ案内部50は、ガイド部材52、台座部54、及び突出部56を備えている。
【0078】
ガイド部材52は、ステータ移動領域Tにおいて、ステータ120を軸線方向に移動可能に支持するための部材である。ガイド部材52は、レール状のもの、棒状のもの等適宜の形状を有するものとすることができるが、本実施形態ではプレート状のものとされている。ガイド部材52は、ステータ移動領域Tの側方において、ステータ120の軸線方向に沿って延びるように配される部材である。本実施形態では、ステータ移動領域Tに対して一方側の側方、及び他方側の側方において、ガイド部材52,52が対をなすように立設される。
【0079】
図1図9等に示すように、ガイド部材52は、ステータハンドリング装置10の設置状態において、ステータ120の組み付け方向となる側(ケーシング112側)の端部に組付側端部領域52a(テーパー部)を有する。ガイド部材52は、組付側端部領域52aにおいて、ステータ120の組み付け方向の端部に向かうにつれて先細りとなるように形成されている。組付側端部領域52aは、組付側端部領域52aをテーパ状、片テーパ状等の形状を有するものとすることができるが、本実施形態では片テーパ状の形状を有するものとされている。また、ガイド部材52は、組付側端部領域52a側の端部に、アダプタ28に対して接続するための接続部52bを有する。接続部52bは、棒状の突部とされており、アダプタ28に設けられたガイド部材接続部28cに対して差し込むことにより、ガイド部材52をアダプタ28に対して接続することができる。
【0080】
組付側端部領域52aは、ステータハンドリング装置10の設置状態において、上側となる部分が、ケーシング112に近づくのに連れて下り勾配となるように形成されている。また、組付側端部領域52aは、ステータ120を組み付けた状態において、ステータ120に取り付けられた係合部34が到来する部分にある。これにより、ステータ120が組み付け位置に配置された状態において、組付側端部領域52aにおいてステータ120からガイド部材52が受ける荷重が、組付側端部領域52aを外れた部位においてステータ120からガイド部材52が受ける荷重よりも小さくなる。
【0081】
台座部54は、ガイド部材52,52を下方側から支持する台座として機能するものである。台座部54を設けることにより、ガイド部材52,52にガイドされて移動するステータ120が、ケーシング112に対する取り付け位置に対して大きく外れた位置とならないように、ガイド部材52,52を最適な高さに設置することができる。
【0082】
台座部54は、ガイド部材52,52の長手方向中間部に設置される。また、台座部54は、一軸偏心ねじポンプ110においてエンドスタッド112aをその台座部112fにおいてベースBに固定するために用いられる固定具112e(本実施形態ではナット)を活用することにより、一軸偏心ねじポンプ110が設置されるベースBに対して固定される。
【0083】
突出部56は、ステータ120において軸線方向に対して交差する方向(本実施形態では径方向)の外側に向けて突出するように設けられるものである。突出部56は、ステータ120において所定の支持位置120bとなる位置に設けられる。支持位置120bは、重量バランス等を考慮して適宜の位置に設定することが可能であるが、本実施形態ではステータ120の重心位置を基準として、ステータ120の軸線方向中間部に規定される。本実施形態では、支持位置120bは、ステータ120の重心位置よりも取り外し方向(ケーシング112から離れる方向)に外れた位置に規定される。また、支持位置120bは、上述した係合部34よりもステータ120の組み付け方向の後方側(取り外し方向側)となる位置とされる。
【0084】
突出部56は、ステータ120に対して一体的に設けられたものとすることも可能であるが、本実施形態ではステータ120に取り付けられる第二ステータクランプ58に設けられている。第二ステータクランプ58は、ステータ120の外周を取り囲むように取り付けられる。第二ステータクランプ58は、ステータ120に対して軸線方向に相対移動不能に取り付けることができる。突出部56は、第二ステータクランプ58において、ステータ120への取り付け状態においてステータ120の径方向一方側、及び他方側において、ステータ120の軸線方向に対して交差する方向(径方向)の外側に向けて突出するように設けられる。
【0085】
ステータ案内部50は、対向配置された一対のガイド部材52,52の上に、ステータ120に設けられた係合部34及び突出部56を載せた状態とすることにより、ステータ120をガイド部材52,52に沿って移動させることができる。ガイド部材52,52は、ステータ移動領域Tの一方側及び他方側においてステータ120の軸線方向に沿って配置される。また、ガイド部材52,52は、台座部54によって高さ調整された状態で設置される。そのため、ステータ案内部50は、ステータ120を略水平な姿勢を維持した状態で、ステータ120の軸線方向に向けてスムーズに移動させることができる。
【0086】
≪ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業について≫
続いて、上述したステータハンドリング装置10を用いたステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業について説明する。ステータハンドリング装置10を用いたステータ120の組み付け作業は、図10の(a)~(i)に示した手順に則って行うことができる。
【0087】
具体的には、ステータハンドリング装置10を用いてステータ120を組み付ける場合には、図10(a)に示すように、先ず一軸偏心ねじポンプ110のケーシング112の端部にアダプタ28,28を取り付ける。その後、同図(b)に示すように、ガイド部材52,52の先端部分をガイド部材接続部28c,28cに対して差し込んで接続する。また、ガイド部材52,52を下支えする台座部54については、エンドスタッド112aの固定に用いる固定具112eを活用して、ベースBに対して固定する。
【0088】
上述したようにしてガイド部材52,52がベースBの上に設置されると、図10(c)に示すように、予め第一ステータクランプ36及び第二ステータクランプ58を取り付けた状態とされたステータ120を、ガイド部材52,52の上に配置する。これにより、ステータ120が、第一ステータクランプ36に設けられた係合部34、及び第二ステータクランプ58に設けられた突出部56がガイド部材52,52の上端面に乗った状態とされる。
【0089】
上述したようにしてステータ120がガイド部材52,52の上に配置されると、図10(d)に示すように、操作部20をなす第一部品24,24及び動力伝達部材32,32が取り付けられる。すなわち、動力伝達部材32に設けられた操作部連結部32bを、第一部品24の動力伝達部材連結部24bに対して連結するとともに、予めケーシング112に取り付けられているアダプタ28の支軸28aを、第一部品24の支軸連結部24aに挿通する。また、動力伝達部材32に複数設けられた歯32aの一つに対し、ステータ120に設けられた係合部34を係合させる。このようにして、第一部品24,24及び動力伝達部材32,32が取り付けられる。
【0090】
上述したようにして第一部品24,24及び動力伝達部材32,32の取り付けが完了すると、上方に向けて立ち上がるように配された第一部品24,24の第二部品連結部24d,24dを第二部品26の第一部品連結部26a,26aに挿入する。これにより、図10(e)のように第一部品24,24と第二部品26とが連結される。これにより、ステータハンドリング装置10のセットが完了する。
【0091】
上述したようにしてステータハンドリング装置10のセットが完了すると、図10(f)のように、支点22を中心として操作部20を回動操作する。これに応じて、動力伝達部材32,32がステータ120の軸線方向(延伸方向)に移動するとともに複数の歯32a,32aがそれぞれ順に係合部34,34に対して係合及び離脱し、係合部34,34と歯32a,32aとの係合位置が延伸方向に変動する。これにより、ステータ120は、軸線方向に沿ってケーシング112に近接する方向に移動する。
【0092】
上述したようにしてステータ120がケーシング112まで到達するまで移動し、ステータ120とケーシング112との接続が完了した状態になると、図10(g)のように操作部20をなす第一部品24及び第二部品26が取り外される。その後、台座部54を固定していた固定具112eが取り外され、図10(h)のようにガイド部材52,52がガイド部材接続部28c,28cから取り外されるととともに、台座部54がベースBから取り外される。また、図10(i)のように、ケーシング112の端部に取り付けられていたアダプタ28が取り外される。これにより、ステータ120の組み付け作業が完了する。
【0093】
ステータハンドリング装置10によるステータ120の取り外し作業についても、概ね上述した組み付け作業と同様の手順で行うことができる。具体的には、ステータハンドリング装置10を用いてステータ120を取り外す場合には、図11(a)に示すように、ケーシング112の端部にアダプタ28,28を取り付ける。その後、図11(b)に示すように、ガイド部材52,52の先端部分をガイド部材接続部28c,28cに対して差し込んで接続する。この際、ステータ120の下側からガイド部材52,52を差し入れる。これにより、ステータ120に設けられた係合部34及び突出部56がガイド部材52,52の上に配置され、これによりステータ120がガイド部材52,52によって支持された状態とされる。また、台座部54は、固定具112eを活用して、ベースBに対して固定される。
【0094】
上述したようにしてガイド部材52,52の設置が完了すると、図11(c)に示すように、操作部20をなす第一部品24,24及び動力伝達部材32,32が取り付けられる。第一部品24,24及び動力伝達部材32,32の取り付け方法は、上述したステータ120の組み付け作業のときと同様であるが、動力伝達部材32,32の取り付け方向が逆方向とされる。すなわち、ステータ120の組み付け作業のときには、ケーシング112に近づく方向がステータ120の前進方向となるように動力伝達部材32,32が取り付けられる。これに対し、ステータ120の取り外し作業のときには、ケーシング112に離れる方向がステータ120の前進方向となるように動力伝達部材32,32が取り付けられる。
【0095】
上述したようにして第一部品24,24及び動力伝達部材32,32が取り付けられると、図11(d)のように第一部品24,24に対して第二部品26が連結される。これにより、ステータハンドリング装置10のセットが完了する。
【0096】
上述したようにしてステータハンドリング装置10のセットが完了すると、図11(e)のように、支点22を中心として操作部20を回動操作する。これに応じて、ステータ120は、軸線方向に沿ってケーシング112から離反する方向に移動する。このようにしてステータ120がケーシング112から十分に離反した位置まで移動すると、図11(f)のように操作部20をなす第一部品24及び第二部品26が取り外される。その後、台座部54を固定していた固定具112eが取り外され、図11(g)のようにガイド部材52,52がアダプタ28に設けられたガイド部材接続部28c,28cから取り外され、台座部54がベースBから取り外される。また、図11(h)のように、ケーシング112の端部に取り付けられていたアダプタ28が取り外される。これにより、ステータ120の取り外し作業が完了する。
【0097】
上述した実施形態において例示した一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10は、以下の(a)~(m)のような特徴的構成を備えている。これにより、一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0098】
(a)上述したステータハンドリング装置10は、一軸偏心ねじポンプ110においてステータ120を軸線方向に移動させることにより、ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方を行うためのものであって、固定された支点22を起点として回動操作が可能な操作部20と、ステータ120の軸線方向に沿って延びるように配されるとともに、軸線方向に沿う延伸方向に複数の歯32aが設けられた動力伝達部材32と、動力伝達部材32の複数の歯32aに対して係合及び離脱できる係合部34とを備え、動力伝達部材32及びステータ120の一方に対して操作部20が接続されるとともに、動力伝達部材32及びステータ120の他方に対して係合部34が設けられたものであり、動力伝達部材32に設けられた複数の歯32aのうちの一部に対して係合部34が係合された状態において、操作部20を回動操作するのに応じて、複数の歯32aがそれぞれ順に係合部34に対して係合及び離脱し、係合部34と歯32aとの係合位置が延伸方向に変動することにより、ステータ120を軸線方向に移動させるものである。
【0099】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(a)のような構成とすることにより、操作部20の回動操作に応じてテコの原理によって発生する大きな力が、動力伝達部材32及び係合部34を介してステータ120に伝達される。これにより、上述したステータハンドリング装置10は、ステータ120を軸線方向に向けて軽快に移動させることができる。また、上述したステータハンドリング装置10は、操作部20を回動操作するのに応じて、複数の歯32aがそれぞれ順に係合部34に対して係合及び離脱し、係合部34と歯との係合位置が延伸方向に変動するものとされている。そのため、上述したステータハンドリング装置10は、操作部20の回動操作を繰り返すことにより、軸線方向へのステータ120の移動を継続させることができる。従って、上述したステータハンドリング装置10は、一軸偏心ねじポンプ110におけるステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方において活用することにより、当該作業に要する労力を軽減できる。
【0100】
(b)上述したステータハンドリング装置10は、動力伝達部材32が、操作部20に対して連結されたものであり、係合部34が、ステータ120に対して固定されたものであり、操作部20を回動操作するのに応じて、動力伝達部材32が延伸方向に移動するとともに複数の歯32aがそれぞれ順に係合部34に対して係合及び離脱し、係合部34と歯との係合位置が延伸方向に変動するものである。
【0101】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(b)のような構成とすることにより、操作部20に対して連結された動力伝達部材32、及びステータ120に固定された係合部34を介して、操作部20に加えた力を活用して、ステータ120を軸線方向に移動させることができる。従って、上述したステータハンドリング装置10は、ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業のうち少なくとも一方において活用することにより、当該作業に要する労力を軽減できる。
【0102】
(c)上述したステータハンドリング装置10は、一軸偏心ねじポンプ110が、駆動源155と、ステータ120及び駆動源155の間に取り付けられるケーシング112と、を備えたものであり、支点22が、ケーシング112、又は当該ケーシング112に装着されたアダプタ28に設けられるもの(上記実施形態ではアダプタ28に設けた構成を例示)である。
【0103】
上述したステータハンドリング装置10は、ステータ120に対して力を作用させることにより、操作部20の支点22となる位置に大きな反力が作用することが想定される。かかる想定に基づき、上述したステータハンドリング装置10は、上記(c)のような構成とされている。ステータハンドリング装置10は、かかる構成とすることにより、支点22を支持するための堅牢な固定用部材等を別途設けることなく、ケーシング112あるいはケーシング112に装着されたアダプタ28を活用して、支点22となる位置においてしっかりと操作部20を固定することができる。
【0104】
(d)上述したステータハンドリング装置10は、ステータ120の軸線方向に沿って延びるガイド部材52をさらに備え、ガイド部材52が、ステータ120を軸線方向に移動可能に支持するものである。
【0105】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(d)のような構成とすることにより、重量物であるステータ120を軸線方向に沿ってスムーズに移動するように支持できる。
【0106】
(e)上述したステータハンドリング装置10は、ステータ120が、ステータ120の軸線方向への中間部であって、ステータ120の重心位置を基準として規定される支持位置120bにおいてガイド部材52によって支持されるものである。
【0107】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(e)のような構成とすることにより、ステータ120が上下方向に傾くのを抑制しつつ、ステータ120を軸線方向に移動可能に支持することができる。
【0108】
(f)上述したステータハンドリング装置10は、係合部34が、支持位置120bに対してステータ120の軸線方向に外れた位置において、軸線方向に対して交差する方向に突出するようにステータ120に対して固定されたものである。
【0109】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(f)のように支持位置120bから軸線方向に離れた位置に係合部34を設けることにより、動力伝達部材32を伸ばしたり、動力伝達部材32の長さはそのままとしつつ第一ステータクランプ36の長さを伸ばしたりする必要がなくなる。これにより、ステータハンドリング装置10は、部品のサイズや重量を最小限に抑制し、製造コストの低減や取り扱い性の向上を図ることができる。
【0110】
(g)上述したステータハンドリング装置10は、軸線方向に対して交差する方向に突出する突出部56が、支持位置120bにおいてステータ120に設けられており、突出部56がガイド部材52に対して接触するように配されることにより、ステータ120が、軸線周り方向への回動が制限されつつガイド部材52によって支持されるものである。
【0111】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(g)のような構成とすることにより、ステータ120が上下方向に傾くのを抑制することに加え、ステータ120が軸線周り方向に回動するのを抑制しつつ、ステータ120を軸線方向に移動可能に支持することができる。
【0112】
(h)上述したステータハンドリング装置10は、一軸偏心ねじポンプ110が、ステータ120の一端側に取り付けられるエンドスタッド112aを備え、エンドスタッド112aが、一軸偏心ねじポンプ110を支持するベースBに対して、固定具112eによって固定されるものであり、ステータ120の組み付け作業、及び取り外し作業に際して、固定具112eを、ベースBに対するガイド部材52の固定に利用可能なものである。
【0113】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(h)のような構成とすることにより、ベースBに対するガイド部材52の固定に際し、エンドスタッド112aを固定するための固定具112eを活用することができる。これにより、上述したステータハンドリング装置10は、装置構成の簡素化を図れる。
【0114】
(i)上述したステータハンドリング装置10は、ガイド部材52が、ステータ120の組み付け方向の端部に組付側端部領域52aを有し、ステータ120が組み付けられた状態において、ステータ120の支持に伴って組付側端部領域52aにおいてガイド部材52が受ける荷重が、組付側端部領域52aを外れた部位おいてガイド部材52が受ける荷重よりも小さいものである。
【0115】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(i)のような構成とすることにより、ステータ120の組み付け作業の完了後にガイド部材52を撤去したり、ステータ120の取り外し作業に際してガイド部材52を設置したりする作業が行いやすくなる。
【0116】
(j)上述したステータハンドリング装置10は、組付側端部領域52aが、ステータ120の組み付け方向の端部に向かうにつれて先細りとなるように形成されているものである。
【0117】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(j)のような構成とすることにより、ステータ120の組み付け作業後におけるガイド部材52の撤去や、ステータ120の取り外し作業時におけるガイド部材52の設置作業が行いやすくなる。
【0118】
(k)上述したステータハンドリング装置10は、ステータ120を、ステータ120の横断面において位置決めすることが可能な位置決部28dをさらに備えるものである。
【0119】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(k)のような構成とすることにより、ステータ120の位置決めを行いやすくなる。これにより、ステータ120の位置決めが十分でないままステータ120の組み付け作業やステータ120の取り外し作業を行うことによる、ステータ120や周辺部材の破損や変形、摩耗等を抑制できる。
【0120】
(l)上述したステータハンドリング装置10は、操作部20が、支点22に連結される第一部品24と、第一部品24に対して直接的あるいは間接的(上記実施形態では直接的)に取り付けられるとともに回動操作時に把持可能な第二部品26とを備え、動力伝達部材32が、第一部品24によって保持され、第一部品24が、第二部品26によって保持されるものである。
【0121】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(l)のように、操作部20を構成する第一部品24によって動力伝達部材32を保持することにより、動力伝達部材32のガタつきや脱落を抑制できる。また、上述したステータハンドリング装置10は、上記(l)のように回動操作時に把持される第二部品26によって第一部品24を保持する構成とすることにより、回動操作時に第一部品24を安定的に保持することができる。従って、上述したステータハンドリング装置10は、上記(l)のような構成とすることにより、動力伝達部材32の動作安定性を高めることができる。
【0122】
(m)上述した一軸偏心ねじポンプシステムSは、一軸偏心ねじポンプ110と、上述したステータハンドリング装置10と、を備え、一軸偏心ねじポンプ110が、雄ねじ型の軸体によって構成されたロータ130と、ロータ130を挿通可能であり、内周面が雌ねじ型に形成されたステータ120と、駆動源155から出力された動力をロータ130に伝達するフレキシブルロッド172と、を有するものである。
【0123】
一軸偏心ねじポンプシステムSが備えるステータハンドリング装置10は、ステータ120を回動させることなく軸線方向へ移動させることにより、ステータ120の組み付け作業及び取り外し作業を行えるものである。そのため、上述した一軸偏心ねじポンプシステムSは、フレキシブルロッド172を備えた一軸偏心ねじポンプ110においてステータ120の組み付け作業及び取り外し作業を行う際に、フレキシブルロッド172が予期せず捩られた状態となるのを抑制できる。従って、一軸偏心ねじポンプシステムSにおいては、ステータ120の組み付け作業及び取り外し作業を行う際に、ステータ120が予期せず回動してしまうのを抑制できる。
【0124】
上記実施形態において例示した一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10は、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更を行うことができる。以下、一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10に係る変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上述した一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10と共通する構成については、同一の符号を用いる等して詳細の説明を省略する。
【0125】
≪変形例≫
図12に示すように、変形例に係るステータハンドリング装置10は、上述したアダプタ28に代えて、アダプタ228を採用している点において、上記実施形態において例示したものと相違している。アダプタ228は、正面視において略「コ」字状あるいは略「C」字状の形状を有するものとされている。アダプタ228は、ケーシング112の端部に設けられたフランジ状の部分に対して上方から嵌合させて装着することができる。アダプタ228をケーシング112のフランジ部に装着することにより、インロー構造が構成される。アダプタ228は、ケーシング112のフランジ部に装着して正面視した状態において、一方側及び他方側の側方に支軸28a,28aが突出するように設けられている。支軸28a,28aを操作部20の第一部品24,24の支軸連結部24a,24aに対して挿通することにより、支軸28a,28aに対して操作部20を連結可能とされている。また、アダプタ228の正面側には、ケーシング112に対して左右に隣接する位置にガイド部材接続部28c,28cが設けられている。
【0126】
アダプタ228は、天面部に押しボルト230(Starting Bolt)が設けられている。アダプタ228には、押しボルト230としてジャッキボルトが設けられている。本変形例では、二つの押しボルト230,230が設けられており、それぞれケーシング112のフランジ部に装着して正面視した状態において、一方側及び他方側(左側及び右側)となる位置に設けられている。これにより、アダプタ228は、押しボルト230,230をそれぞれ調整することにより、左右の取り付け位置を微調整できる。
【0127】
本変形例のアダプタ228は、押しボルト230,230を調整することによってガイド部材接続部28c,28cの高さを調整することができる。これにより、ガイド部材接続部28cに接続されるガイド部材52,52の接続部52b側の位置を上下方向に変動させることができる。そのため、アダプタ28,28に代えてアダプタ228を採用することにより、ガイド部材52の組付側端部領域52aを先細り形状にしなくても、ガイド部材52の着脱を容易に行えるものとすることができる。また、アダプタ228を用いた場合には、押しボルト230,230の調整により、ガイド部材52,52の高さ調整を容易に行える。そのため、図13(a),(b)のように、ガイド部材52,52や台座部54に互いに嵌合する切込部52c,52cや切込部54a,54aを上下方向に延びる形状に設けておき、切込部52c,52c及び切込部54a,54aにおいてガイド部材52,52と台座部54とを嵌合させることにより、図13(c)のように台座部54をガイド部材52,52に対して容易に連結可能なものとすることができる。
【0128】
本変形例のアダプタ228は、上記実施形態のアダプタ28とは異なり、位置決部28dを備えていない。その一方で、押しボルト230,230を備えており、上述のとおりガイド部材52,52の高さ調整を行える。そのため、アダプタ228を用いることにより、ガイド部材52,52によって支持されるステータ120の高さも調整できる。従って、本変形例のように、アダプタ28,28に代えてアダプタ228を用いることにより、ステータ120の左右方向への位置決めは使用者が目視で行う必要があるものの、ステータ120の上下方向への位置決めは押しボルト230,230の調整により行うことができる。
【0129】
≪その他の変形例≫
上記実施形態において例示したものは、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(m)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとすることが可能である。また、本発明の一軸偏心ねじポンプシステムS、及びステータハンドリング装置10は、上述した(a)~(m)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(m)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。
【0130】
具体的には、上記実施形態で例示したステータハンドリング装置10は、上記(b)のように、動力伝達部材32が操作部20に対して連結され、係合部34がステータ120に対して固定されたものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、動力伝達部材32が第一ステータクランプ36等を介してステータ120に対して連結され、係合部34が操作部20に対して固定されたもの等とすることも可能である。
【0131】
具体的には、例えば図14に示すように、動力伝達部材32について、ステータ120側に設けられた操作部連結部32bにおいて、ステータ120に取り付けられた第一ステータクランプ36に対して回動(揺動)可能に接続する(図中において黒丸で図示)。また、操作部20の第一部品24は、支点22を中心として回動(揺動)可能に設置しつつ、係合部34を設ける(図中において黒丸で図示)。このような構成とした場合、操作部20の回動操作に伴って、操作部20に設けられた係合部34が、動力伝達部材32の歯32aに対して順次係脱し、係合部34と歯32aとの係合位置が延伸方向に変動することを繰り返す。これにより、上記実施形態において例示したのと同様に、ステータ120を軸線方向に移動させることができる。
【0132】
また、上記実施形態では、ステータ120を包囲するように装着される第二ステータクランプ58に突出部56を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第二ステータクランプ58に代えて、図15(a)に示すような装着具158を準備し、これに突出部56に代わって装着具158を支承する支承部156を設けた構成としても良い。図15(a)に示した装着具158は、ステータ120の外周面の一部に沿う形状に湾曲した支持部155と、支承部156,156とを有する。上記実施形態ではステータ120が円形とされていることから、支持部155は円弧状(図示例では半円状)の形状とされている。支承部156,156は、それぞれ支持部155の一端側及び他端側に続くように形成されている。支承部156,156は、鈎状に屈曲しており、ガイド部材52,52に引っ掛けることにより、装着具158及び支持部155に支持されたステータ120を支承することができる。
【0133】
装着具158を用いてガイド部材52,52に対してステータ120を配置する際には、対向配置されたガイド部材52,52に対して支承部156,156を引っ掛けて装着具158をガイド部材52,52に取り付けた後、支持部155の上にステータ120を配置する。あるいは、ステータ120の所定位置において支持部155をステータ120の外周面に沿うように配置して装着具158を装着した状態とした後、支承部156,156を対向配置されたガイド部材52,52に対して支承部156,156を引っ掛ける。これにより、装着具158とともにステータ120をガイド部材52,52の上に配置し、支承することができる。このようにすることにより、図15(b),(c)のように、装着具158を用いてステータ120をガイド部材52,52の上に配置するとができる。
【0134】
第二ステータクランプ58がステータ120を強固に保持できるとともに、突出部56を備えたやや複雑な形状とされたものであるのに対し、上述した装着具158は、ステータ120を下支えするとともに、ガイド部材52,52に対して引っ掛けて支承する簡素な構成とされている。ここで、ステータ120は、ロータ130が挿入された状態において、ロータ130によって支持され、不用意に傾いてしまう可能性が低い。そのため、ステータハンドリング装置10は、ステータ120とロータ130とが非連結状態である間において、ステータ120が意図せず傾かないように支持できるものであれば良い。従って、ステータハンドリング装置10は、上述のように、装着具158のような簡素なものを用いたとしても、第二ステータクランプ58を用いた場合と同様に、ステータ120が予期せず傾くのを抑制できる。また、装着具158のような簡素なものを用いることにより、ステータハンドリング装置10の製造コストを抑制したり、容易に取り扱えるものとすることができる。なお、装着具158は、ステータ120とロータ130とが非連結状態である間のみガイド部材52に対して取り付け、ステータ120とロータ130が連結状態になれば、ガイド部材52から取り外すようにしてもよい。
【0135】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(c)のように、支点22が、ケーシング112やアダプタ28に設けられるものであるが、本発明はこれに限定されない。ステータハンドリング装置10は、例えば支点22を支持するための固定用部材等を別途設け、これに支点22を設けた構成とすることも可能である。
【0136】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(d)のようにステータ120の軸線方向に沿って延びるガイド部材52を備えたものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステータ120を下支えする支持部材を別途設ける等して、ステータ120を軸線方向に移動可能に支持する構成等とすることができる。
【0137】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(e)のように、ステータ120が重心位置を基準として規定される支持位置120bにおいてガイド部材52によって支持されるものであるが、本発明はこれに限定されない。ステータハンドリング装置10は、ステータ120の重心を基準とするのではなく、他の基準で支持位置120bを規定して支持することも可能である。
【0138】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(f)のように、係合部34が、支持位置120bに対してステータ120の軸線方向に外れた位置において、軸線方向に対して交差する方向に突出するようにステータ120に対して固定されたものであるが、本発明はこれに限定されず、支持位置120bに係合部34を設けた構成等とすることも可能である。
【0139】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(g)のように、突出部56を支持位置120bに設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。ステータハンドリング装置10は、例えば、突出部56を設けない構成としたり、係合部34に加えて突出部56を別途設けるのではなく、突出部56としての機能を係合部34によって発揮出来るように、係合部34を支持位置120bに設けた構成としたりしても良い。すなわち、ステータハンドリング装置10は、以下の(n)のような構成とすることが可能である。
【0140】
(n)上述したステータハンドリング装置10は、係合部34が、支持位置120bに設けられており、ステータ120を支持するものであると良い。
【0141】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(n)のような構成とすることにより、係合部34について、突出部56としての機能を有するものとして活用することができる。これにより、上述したステータハンドリング装置10は、装置構成の簡素化を図れる。
【0142】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(h)のように、一軸偏心ねじポンプ110のエンドスタッド112aを固定するための固定具112eを活用してベースBに固定するものであるが、本発明はこれに限定されない。ステータハンドリング装置10は、固定具112eを用いるのではなく、ベースBへの固定用の固定具を別途準備した構成としたり、例えばステーボルト116の取り付けに用いられる固定具のように、固定具112e以外で一軸偏心ねじポンプ110等において用いられる固定具をベースBへの固定用として活用したりすることが可能である。
【0143】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(i)のように、ステータ120の支持に伴って組付側端部領域52aにおいてガイド部材52が受ける荷重が、組付側端部領域52aを外れた部位においてガイド部材52が受ける荷重よりも小さくなるようにしたものであるが、本発明はこれに限定されない。ステータハンドリング装置10は、組付側端部領域52aにおいて、他の箇所と同等の荷重をステータ120から受けるものであっても良い。
【0144】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(j)のように、組付側端部領域52aが、ステータ120の組み付け方向の端部に向かうにつれて先細りとなるように形成されたものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、ステータハンドリング装置10は、組付側端部領域52aにおいても先細りにならないものとすることも可能である。
【0145】
上記実施形態に係るステータハンドリング装置10は、上記(k)のように位置決部28dを備えたアダプタ28を用いることにより上下左右方向への位置決めを可能としたものである。また、ステータハンドリング装置10は、変形例として例示したアダプタ228を用いた場合についても、上記(k)のように上下方向への位置決めを行える。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、ステータハンドリング装置10は、上述したアダプタ28,228とは異なる構成によりステータ120の位置決めを行えるものとすることも可能である。また、ステータハンドリング装置10は、ステータ120の上下左右方向への位置決め機能を有するものや、上下方向への位置決め機能を有するものではなく、左右方向への位置決め機能を有するものや、ステータ120の位置決め機能を備えていないものとすることも可能である。
【0146】
上述したステータハンドリング装置10は、上記(l)のように、操作部20をなす第一部品24に対して内側(ステータ移動領域T側)に動力伝達部材32を配することにより、動力伝達部材32が、操作部20をなす第一部品24によって保持され、第一部品24が、操作部20をなす第二部品26によって保持される構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステータハンドリング装置10は、上記(l)のような構成ではなく、他の構成によって動力伝達部材32が保持されるものとしても良い。具体的には、第一部品24に設けられる動力伝達部材連結部24bを内側(ステータ移動領域T側)に向けて突出させるのではなく、外側に向けて突出させたものとすることにより、第一部品24に対して外側に動力伝達部材32を配した状態で第一部品24と動力伝達部材32とを連結するものとしても良い。このような構成とする場合は、動力伝達部材連結部24bにフランジ部24eを設けたり、別途抜け留め部材を装着したりして、動力伝達部材32の脱落を抑制できる構成とすると良い。
【0147】
上述した一軸偏心ねじポンプシステムSは、上記(m)のように、一軸偏心ねじポンプ110が、駆動源155から出力された動力をロータ130に伝達するフレキシブルロッド172を有するものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、一軸偏心ねじポンプシステムSは、一軸偏心ねじポンプ110が、連結軸170としてオルダムジョイント、ピンジョイント等を備えたものとすることが可能である。
【0148】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素又は課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願又は本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明のステータハンドリング装置及び一軸偏心ねじポンプシステムは、ステータの組み付け作業、及び取り外し作業を行う必要のある一軸偏心ねじポンプ全般、及びこれを備えた一軸偏心ねじポンプシステム全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0150】
10 :ステータハンドリング装置
20 :操作部
22 :支点
24 :第一部品
26 :第二部品
28 :アダプタ
28d :位置決部
32 :動力伝達部材
32a :歯
34 :係合部
52 :ガイド部材
52a :組付側端部領域
56 :突出部
110 :一軸偏心ねじポンプ
110 :ポンプ
112 :ケーシング
112a :エンドスタッド
112d :中間部
112e :固定具
120 :ステータ
120b :支持位置
124 :内周面
130 :ロータ
155 :駆動源
172 :フレキシブルロッド
228 :アダプタ
B :ベース
S :一軸偏心ねじポンプシステム
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