(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172695
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】診察用ブース
(51)【国際特許分類】
A61G 10/00 20060101AFI20241205BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20241205BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20241205BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61G10/00 C
A61L9/16 F
F24F7/003
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090570
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(71)【出願人】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清
(72)【発明者】
【氏名】塚見 史郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昭
(72)【発明者】
【氏名】神農 享明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘邦
【テーマコード(参考)】
3L058
4C180
4C341
【Fターム(参考)】
3L058BE08
3L058BF03
4C180AA07
4C180DD09
4C180HH05
4C341JJ01
4C341KK05
4C341KL07
(57)【要約】
【課題】 種々の公共施設に一時的に設置でき、しかも容易に移動することができ、構成が簡単かつ設置も容易でありながら、感染防止効果も高い診察用ブースを提供する。
【解決手段】 区画枠体10と、仕切パネル60と、被覆シート70と、吹出装置80と、吸込装置90と、から診察用ブース1を構成する。区画枠体10は、下端枠体20と、上端枠体30と、支柱部材40と、連結杆材50と、から構成される。左側被覆シート71は、上端枠体30の左側半部、中央支柱部材41及び左側支柱部材42によって包囲される外周面を被覆して、内部に被験者収容空間SPを形成する。右側被覆シート75は、上端枠体30の右側半部及び中央支柱部材41によって包囲される外周面を被覆して、内部に医療従事者収容空間SDを形成する。吹出装置80は、被験者収容空間SP内の空気を上方に流出させる。吸込装置90は、上方の空気を医療従事者収容空間SD内へ流入させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端横梁部材と、中央連結部材と、から成る下端枠体と、前記下端枠体の中央部に立設した中央支柱部材と、前記下端枠体の左端部に立設した左側支柱部材と、から成る支柱部材と、上端横梁部材と、中央連結部材と、左側連結部材と、右側連結部材と、から成る上端枠体と、から構成される区画枠体と、
正面側及び背面側の前記中央支柱部材の間に配設される、合成樹脂から成る透明性を有する仕切パネルと、
前記上端枠体の左側半部、前記中央支柱部材及び前記左側支柱部材によって包囲される外周面を被覆して、内部に被験者収容空間を形成する左側被覆シートと、
前記上端枠体の右側半部及び中央支柱部材によって包囲される外周面を被覆して、内部に医療従事者収容空間を形成する右側被覆シートと、
前記上端枠体の左側半部の中央部に配設して、前記被験者収容空間内の空気を上方に流出させる吹出装置と、
前記上端枠体の右側半部の中央部に配設して、上方の空気を前記医療従事者収容空間内へ流入させる吸込装置と、
から構成されることを特徴とする診察用ブース。
【請求項2】
前記下端横梁部材の両端部に、ストッパーを付設した車輪を固定、配設したことを特徴とする請求項1に記載の診察用ブース。
【請求項3】
前記仕切パネルには、医療従事者がその両手及び両腕を挿通できる内径とした2個の挿通孔を穿設し、通常時には、合成樹脂から成る薄肉で、可撓性を有する閉鎖シートによって前記挿通孔は閉鎖された状態となっていることを特徴とする請求項1に記載の診察用ブース。
【請求項4】
前記左側被覆シートの左側面部を中央部で分割して、ファスナーによって連結可能とすると共に、前記右側被覆シートの右側面部を中央部で分割して、ファスナーによって連結可能としたことを特徴とする請求項1に記載の診察用ブース。
【請求項5】
前記吹出装置は、筐体内の下半部にフィルタを配設すると共に、上半部に送風ファンを配設したものであることを特徴とする請求項1に記載の診察用ブース。
【請求項6】
前記吸込装置は、筐体内の下半部にフィルタを配設すると共に、上半部に送風ファンを配設したものであることを特徴とする請求項1に記載の診察用ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関、福祉施設、教育施設、公民館、体育館等の公共施設において簡易に設置及び移動することができ、細菌、ウイルス等の病原体の感染を防止しつつ、医療従事者が被験者を診察することができる診察用ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、細菌、ウイルス等の病原体に起因する感染症が発生した場合、医療機関内に特別に設置された密閉空間又は密閉小室内において、防護服、マスク等を着用する等感染防止対策を万全にした上で、医療従事者は被験者を診察していた。
【0003】
しかし、上記密閉空間又は密閉小室は、面積、費用等、種々観点を考慮すると、比較的大規模な医療機関、すなわち、大学病院、公営病院等の大規模な医療機関でなければ設置することはできなかった。
【0004】
よって、被験者が病原体に感染しているか否かを診察又は検査するのに、上記密閉空間又は密閉小室を設置した大規模な医療機関まで被験者を移動させる必要があり、診察又は検査するまでには相当の時間を必要とした。
【0005】
このような状況では、感染速度が極めて速い感染症の場合には、被験者の迅速な診察が困難であり、早期に感染者を発見し、隔離、治療等を実施するのも困難であって、感染の拡大を効果的に防止することはできなかった。
【0006】
そこで、インフルエンザ等の感染者が比較的に重篤な症状になる可能性が低い感染症の場合には、大規模な医療機関に設置された密閉空間又は密閉小室のみではなく、感染防止対策を施した比較的簡易な診察用ブース内で診察することも考慮されるようになった。
【0007】
上記診察用ブースとして、従来、医療従事者と被験者をブース内に着席させ、そのブース内の空気を送風機によって流動させ、排出させることによって、感染防止対策を施した診察用ブースが提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【0008】
このような診察用ブースによれば、被験者が病原体に感染していたとしても、被験者の口、鼻等から放散される病原体を含む霧状粒子は、送風機によって空気と共に流動され、ブース外に排出されるので、医療従事者が感染するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-017225号公報
【特許文献2】特開2011-229696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載された診察用ブースは、医療従事者と被験者との間に仕切体を設置していないから、空気の流動方向に反して霧状粒子が流動する場合もあって、感染防止効果は低くならざるを得なかった。
【0011】
一方、特許文献2に記載された診察用ブースは、医療従事者と被験者との間に仕切体を設置してあるが、その仕切体の下端は医療従事者の頭部を被覆するまでの高さに設定されているから、やはり、感染防止効果は低くならざるを得なかった。
【0012】
又、特許文献1及び2に記載された診察用ブースは、比較的小規模の医療機関でも設置できるが、容易に設置及び移動できるものではないから、福祉施設、教育施設、公民館等に一時的に設置し、適宜場所で診察することができるものではなかった。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、種々の公共施設に一時的に設置でき、しかも容易に移動することができ、構成が簡単かつ設置も容易でありながら、感染防止効果も高い診察用ブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の診察用ブースは、
下端横梁部材と、中央連結部材と、から成る下端枠体と、前記下端枠体の中央部に立設した中央支柱部材と、前記下端枠体の左端部に立設した左側支柱部材と、から成る支柱部材と、上端横梁部材と、中央連結部材と、左側連結部材と、右側連結部材と、から成る上端枠体と、から構成される区画枠体と、
正面側及び背面側の前記中央支柱部材の間に配設される、合成樹脂から成る透明性を有する仕切パネルと、
前記上端枠体の左側半部、前記中央支柱部材及び前記左側支柱部材によって包囲される外周面を被覆して、内部に被験者収容空間を形成する左側被覆シートと、
前記上端枠体の右側半部及び中央支柱部材によって包囲される外周面を被覆して、内部に医療従事者収容空間を形成する右側被覆シートと、
前記上端枠体の左側半部の中央部に配設して、前記被験者収容空間内の空気を上方に流出させる吹出装置と、
前記上端枠体の右側半部の中央部に配設して、上方の空気を前記医療従事者収容空間内へ流入させる吸込装置と、
から構成されることを特徴とするものである。
【0015】
又、前記下端横梁部材の両端部に、ストッパーを付設した車輪を固定、配設したことを特徴とする。
【0016】
又、前記仕切パネルには、医療従事者がその両手及び両腕を挿通できる内径とした2個の挿通孔を穿設し、通常時には、合成樹脂から成る薄肉で、可撓性を有する閉鎖シートによって前記挿通孔は閉鎖された状態となっていることを特徴とする。
【0017】
又、前記左側被覆シートの左側面部を中央部で分割して、ファスナーによって連結可能とすると共に、前記右側被覆シートの右側面部を中央部で分割して、ファスナーによって連結可能としたことを特徴とする。
【0018】
前記吹出装置は、筐体内の下半部にフィルタを配設すると共に、上半部に送風ファンを配設したものであるのが好ましい。
【0019】
同様に、前記吸込装置は、筐体内の下半部にフィルタを配設すると共に、上半部に送風ファンを配設したものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の診察用ブースは、仕切パネルによって被験者収容空間と医療従事者収容空間とに完全に分離されており、吹出装置と吸込装置とによって、空気の流動状態が規制されているから、医療従事者が被験者から病原体を感染させられることは殆どなく、感染防止効果は極めて高い。
【0021】
又、本発明の診察用ブースは、その構成部材を公共施設等に搬送させ、容易かつ迅速に組立て、分解することができると共に、容易に移動することもできるから、比較的小規模の医療機関、福祉施設、教育施設、公民館等の公共施設等でも、一時的に設置して、又、設置場所を容易に変更して、効率的な診察を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態の診察用ブースの平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の診察用ブースの正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の診察用ブースの左側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の診察用ブースの右側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の診察用ブースのV-V断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の診察用ブースの仕切パネルのVI-VI切断一部拡大断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の診察用ブースの吹出装置の(A)は平面図、(B)は正面図及び(C)は底面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の診察用ブースの吸込装置の(A)は平面図、(B)は正面図及び(C)は底面図である。
【
図9】本発明の一実施形態の診察用ブースにおける空気の流れを示す説明図である。
【
図10】本発明の他実施形態の診察用ブースの平面図である。
【
図11】本発明の他実施形態の診察用ブースの正面図である。
【
図12】本発明の他実施形態の診察用ブースの左側面図である。
【
図13】本発明の他実施形態の診察用ブースの右側面図である。
【
図14】本発明の他実施形態の診察用ブースにおける空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の診察用ブースの好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
本発明の一実施形態の診察用ブース1は、
図1乃至
図5に示すように、区画枠体10と、仕切パネル60と、被覆シート70と、吹出装置80と、吸込装置90と、から構成してある。
【0025】
区画枠体10は、
図1乃至
図5に示すように、下端枠体20と、上端枠体30と、支柱部材40と、連結杆材50と、から構成してある。
【0026】
下端枠体20は、
図1乃至
図5に示すように、下端横梁部材21,21と、中央連結部材22と、から構成してある。
又、下端横梁部材21,21の両端部には、ストッパー23aを付設した車輪23,23,23,23を固定してある。
【0027】
上端枠体30は、
図1乃至
図5に示すように、上端横梁部材31,31と、中央連結部材32と、左側連結部材33と、右側連結部材34と、から構成してある。
又、中央連結部材32と左側連結部材33との間に、吹出装置80を支持する支持杆材35,35を、中央連結部材32と右側連結部材34との間に、吸込装置90を支持する支持杆材36,36を配設してある。
【0028】
支柱部材40は、
図1乃至
図5に示すように、下端枠体20の中央部に立設した中央支柱部材41,41と、下端枠体20の左端部に立設した左側支柱部材42,42と、から構成してある。
【0029】
又、
図1乃至
図5に示すように、前後の中央支柱部材41,41の中間部同士を連結杆材51によって連結し、中央支柱部材41と左側支柱部材42の中間部同士を連結杆材52によって連結してある。
【0030】
さらに、
図2に示すように、上端横梁部材31,31の中間部と中央支柱部材41,41の上側部とは、傾斜杆材53,53によって連結してある。
【0031】
仕切パネル60は、
図5に示すように、前後の中央支柱部材41,41の間に配設された下側仕切パネル61と、上側仕切パネル62、とから構成してある。
【0032】
下側仕切パネル61は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂から成る透明性を有する板状体であって、前後の中央支柱部材41,41と、中央連結部材22と、連結杆材51と、によって区画される範囲内に嵌め込んである。
【0033】
上側仕切パネル62は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂から成る透明性を有する板状体であって、前後の中央支柱部材41,41と、中央連結部材32と、連結杆材51と、によって区画される範囲内に嵌め込んである。
【0034】
又、
図5に示すように、上側仕切パネル62の下端部には、円形状を呈する2個の挿通孔63,63を穿設してある。この挿通孔63,63は、医療従事者Dがその両手及び両腕を挿通できる内径としてある。
【0035】
さらに、
図6に示すように、挿通孔63,63の上端より若干上方に、その上端部64a,64aを接着又は面ファスナーによって貼着するようにして、合成樹脂から成る薄肉で、可撓性を有する閉鎖シート64,64を配設してある。
尚、閉鎖シート64の密着性を高めるため、その外周部64bに薄肉のゴム、スポンジ等の弾性部材を貼着してもよい。
【0036】
よって、通常時には、閉鎖シート64,64によって挿通孔63,63は閉鎖された状態となっており、診察時には、医療従事者Dがその両手で閉鎖シート64,64を押圧し、湾曲させて、両手及び両腕を挿通孔63,63に挿通できるようになっている。
【0037】
被覆シート70は、上面部71A、正面部71B、背面部71C及び左側面部71Dから構成され、薄肉かつ透明な合成樹脂から成る左側被覆シート71と、上面部75A、正面部75B、背面部75C、右側面部75Dから構成され、薄肉かつ透明な合成樹脂から成る右側被覆シート75と、から構成される。
【0038】
左側被覆シート71は、
図1乃至
図4に示すように、上端枠体30の左側半部、中央支柱部材41,41及び左側支柱部材42,42によって包囲される外周面を被覆するようにしてあり、この包囲される空間を被験者収容空間SPとしてある。
【0039】
左側被覆シート71は、その上面部71Aの中央部に矩形状を呈する空気吹出孔72を形成してあると共に、
図3に示すように、その左側面部71Dを中央部で正面側シート71Fと背面側シート71Rとに分割し、ファスナー73によって連結可能としてある。
【0040】
右側被覆シート75は、
図1乃至
図4に示すように、上端枠体30の右側半部及び中央支柱部材41,41によって包囲される外周面を被覆するようにしてあり、この包囲される空間を医療従事者収容空間SDとしてある。
【0041】
右側被覆シート75は、その上面部75Aの中央部に矩形状を呈する空気吸込孔76を形成してあると共に、
図4に示すように、その右側面部75Dを中央部で正面側シート75Fと背面側シート75Rとに分割し、ファスナー77によって連結及び分離可能としてある。
【0042】
尚、左側被覆シート71及び右側被覆シート75の下端は、連結杆材52の下端と略同一の高さ位置としてある。
【0043】
図1に示すように、被験者収容空間SPの上端部であり、上端枠体30の左側半部の中央部には、吹出装置80を配設してある。
【0044】
吹出装置80は、
図7に示すように、筐体81内の下半部にフィルタ82を配設すると共に、上半部に送風ファン85を配設してある。
又、フィルタ82の下端面にはアルミニウム等の金属から成る網状部材83を固着してある。
【0045】
筐体81内には送風ファン85の制御ボックス86も配設してあり、この制御ボックス86からは接続コード87が導出されている。
【0046】
吹出装置80は、
図1に示すように、取付部材88,88を介して上端枠体30の前記支持杆材35,35に固定してある。
ここで、取付部分から空気の漏洩が生じないよう、筐体81の下端周囲にはガスケット84を配設してある。
【0047】
図1に示すように、医療従事者収容空間SDの上端部であり、上端枠体30の右側半部の中央部には、吸込装置90を配設してある。
【0048】
吸込装置90は、
図8に示すように、筐体91内の下半部にフィルタ92を配設すると共に、上半部に送風ファン95を配設してある。
又、フィルタ92の下端面にはアルミニウム等の金属から成る網状部材93を固着してある。
【0049】
筐体91内には送風ファン95の制御ボックス96も配設してあり、この制御ボックス96からは接続コード97が導出されている。
【0050】
吸込装置90は、
図1に示すように、取付部材98,98を介して上端枠体30の前記支持杆材36,36に固定してある。
ここで、取付部分から空気の漏洩が生じないよう、筐体91の下端周囲にはガスケット94を配設してある。
【0051】
上端枠体30の適宜位置には電源ボックス100を配設してあり、この電源ボックス100には複数のコンセント101,102を形成してある。
又、電源ボックス100からは電源コード103が導出されており、適宜外部電源に接続して、電力を供給できるようになっている。
【0052】
よって、電源ボックス100のコンセント101,102に、吹出装置80及び吸込装置90の接続コード87,97のプラグ87a,97aを挿入、接続すれば、吹出装置80及び吸込装置90を作動させることができる。
【0053】
ここで、吹出装置80を作動させた時、送風ファン85は上方へと空気を流動させるように設定してあるので、被験者収容空間SP内の空気は上方に流動し、フィルタ82を通過することによって汚染物質、病原体等が捕捉され、被験者収容空間SPの上方には清浄された空気が流出される。
【0054】
一方、吸込装置90を作動させた時、送風ファン95は下方へと空気を流動させるように設定してあるので、医療従事者収容空間SDの上方の空気は下方に流動し、フィルタ92を通過することによって汚染物質等が捕捉され、医療従事者収容空間SD内には清浄された空気が流入される。
【0055】
本発明の診察用ブース1は、以上のような構成であって、以下のように組み立て、使用することができる。
【0056】
先ず、医療機関、福祉施設、教育施設、公民館等の公共施設に、診察用ブース1を構成する部材を搬入する。
【0057】
次に、適宜床面FL上にて、下端横梁部材21,21及び中央連結部材22を連結し、下端枠体20を構成する。
又、上端横梁部材31,31、中央連結部材32、左側連結部材33及び右側連結部材34を連結し、上端枠体30を構成する。
【0058】
次に、下端枠体20の中央部に中央支柱部材41,41を連結、立設すると共に、下端枠体20の左端部に左側支柱部材42,42を連結、立設する。
そして、前後の中央支柱部材41,41の中間部同士を連結杆材51によって連結すると共に、中央支柱部材41と左側支柱部材42の中間部同士を連結杆材52によって連結する。
【0059】
次に、中央支柱部材41,41の上端に上端枠体30の中央部両端を載置、連結すると共に、左側支柱部材42,42の上端に上端枠体30の左端部両端を載置、連結する。
さらに、上端横梁部材31,31の中間部と中央支柱部材41,41の上側部と亘って傾斜杆材53,53を連結する。
【0060】
次に、前後の中央支柱部材41,41と、中央連結部材22と、連結杆材51と、によって区画される範囲内に、下側仕切パネル61を嵌め込む。
又、前後の中央支柱部材41,41と、中央連結部材32と、連結杆材51と、によって区画される範囲内に、上側仕切パネル62を嵌め込む。
【0061】
次に、上端枠体30の左側半部、中央支柱部材41,41及び左側支柱部材42,42によって包囲される外周面を左側被覆シート71によって被覆して、この包囲される空間を被験者収容空間SPとする。
又、上端枠体30の右側半部及び中央支柱部材41,41によって包囲される外周面を右側被覆シート75によって被覆して、この包囲される空間を医療従事者収容空間SDとする。
【0062】
次に、被験者収容空間SPの上端部であり、上端枠体30の左側半部の中央部に、取付部材88,88によって、吹出装置80を載置、固定する。
一方、医療従事者収容空間SDの上端部であり、上端枠体30の右側半部の中央部に、取付部材98,98によって、吸込装置90を載置、固定する。
【0063】
次に、上端枠体30の適宜位置に電源ボックス100を載置、固定し、このコンセント101,102に吹出装置80の接続コード87及び吸込装置90の接続コード97の各プラグ87a,97aを挿入、接続する。
以上のようにして、本発明の診察用ブース1は、種々公共施設の適宜床面FLに容易に組み立て、構成することができる。
【0064】
又、上記と全く逆の作業手順によって、本発明の診察用ブース1は、容易に分解することができ、構成部材として搬出することができる。
【0065】
組み立て、構成した本発明の診察用ブース1は、種々公共施設の適宜場所に移動させ、電源ボックス100の電源コード103を適宜外部電源に接続し、電力を供給できるようにする。
【0066】
そして、診察用ブース1の被験者収容空間SP及び医療従事者収容空間SDの内部に、対峙するように2脚の椅子を配置すれば、診察用ブース1内に被験者P及び医療従事者Dが入室して、被験者Pを診察することができる。
【0067】
診察時において、吹出装置80及び吸込装置90の電源をONにして、作動させれば、
図9に示すように、被験者側では、左側下方から被験者収容空間SPの下方に空気が流入し、その流入した空気は、被験者Pの口、鼻等から放散される霧状粒子と混合し、被験者収容空間SPの上方に流動していく。
【0068】
そして、霧状粒子と混合した空気は、被験者収容空間SPの上端部に配設した吹出装置80に吸引され、浄化されて、汚染物質、病原体等を殆ど含まない清浄な空気となって、吹出装置80の上方へと流出される。
【0069】
一方、
図9に示すように、医療従事者側では、右側上方から医療従事者収容空間SDの上端部に配設した吸込装置90に空気が吸引され、汚染物質等を殆ど含まない清浄な空気となって、吸込装置90の下方へと流出される。
【0070】
そして、医療従事者収容空間SDの上方に流入した空気は、医療従事者Dの口、鼻等から放散される霧状粒子と混合し、医療従事者収容空間SDの下方に流動していき、右側下方へと流出される。
【0071】
このように、本発明の診察用ブース1は、仕切パネル60によって被験者収容空間SPと医療従事者収容空間SDとに完全に分離されており、吹出装置80と吸込装置90とによって、空気の流動状態が規制されているから、医療従事者Dが被験者Pから病原体を感染させられることは殆どなく、感染防止効果は極めて高い。
【0072】
又、吹出装置80によって、被験者Pの口、鼻等から放散される霧状粒子は捕捉され、浄化された上で空気が放出されるから、診察用ブース1を設置した公共施設等に病原体が放散されることはなく、公共施設等の空気を汚染させることもなく、空気環境を良好に保持できる。
【0073】
さらに、上側仕切パネル62に2個の挿通孔63,63を穿設すると共に、この挿通孔63,63を、通常時に、閉鎖シート64,64によって閉鎖状態とし、診察時に、医療従事者Dがその両手で押圧し、湾曲させて、両手及び両腕を挿通孔63,63に挿通できるようになっているから、診察時においても、感染防止効果は高い。
【0074】
本発明の診察用ブース1は、その構成部材を公共施設等に搬送させ、僅か2名の作業者であっても容易かつ迅速に組立てることができ、しかも、分解することもできるから、比較的小規模の医療機関でも、福祉施設、教育施設、公民館等の公共施設等でも、一時的に設置し、適宜場所で診察することができる。
【0075】
又、診察用ブース1は、ストッパー23aを付設した車輪23,23,23,23を固定してあるから、1、2名の作業者であっても容易に移動することができ、公共施設等の適宜場所に一時的に設置できると共に、設置場所を容易に変更して、効率的な診察を実行することができる。
【0076】
さらに、本発明の診察用ブース1は、構成部材が少なく、簡単、軽量であるから、診察用ブース1全体も小型、軽量であると共に、吹出装置80と吸込装置90以外には、特に高価な部品を使用していないから、診察用ブース1全体も比較的安価に製造することができる。
【0077】
又、本発明の診察用ブースとして、
図10乃至
図13に示すような、より簡易な診察用ブース201を構成するようにしてもよい。
【0078】
本発明の他実施形態の診察用ブース201は、
図10乃至
図13に示すように、区画枠体210と、仕切パネル260と、被覆シート270と、吸込装置290と、から構成してある。
【0079】
区画枠体210は、
図10乃至
図13に示すように、下端枠体220と、上端枠体230と、支柱部材240と、連結杆材250と、から構成してある。
【0080】
下端枠体220は、
図10乃至
図13に示すように、下端横梁部材221,221と、左側連結部材222と、から構成してある。
又、下端横梁部材221,221の両端部には、ストッパー223aを付設した車輪223,223,223,223を固定してある。
【0081】
上端枠体230は、
図10乃至
図13に示すように、上端横梁部材231,231と、左側連結部材233と、右側連結部材234と、から構成してある。
又、左側連結部材233と右側連結部材234との間に、吸込装置290を支持する支持杆材236,236を配設してある。
【0082】
支柱部材240は、
図10乃至
図13に示すように、下端枠体220の左端部に立設した左側支柱部材242,242と、から構成してある。
【0083】
又、
図10乃至
図13に示すように、前後の左側支柱部材242,242の中間部同士を連結杆材251によって連結してある。
【0084】
さらに、
図11に示すように、上端横梁部材231,231の中間部と左端支柱部材242,242の上側部とは、傾斜杆材253,253によって連結してある。
【0085】
仕切パネル260は、
図12に示すように、前後の左側支柱部材242,242の間に配設された下側仕切パネル261と、上側仕切パネル262、とから構成してある。
【0086】
下側仕切パネル261は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂から成る透明性を有する板状体であって、前後の左側支柱部材242,242と、左側連結部材222と、連結杆材251と、によって区画される範囲内に嵌め込んである。
【0087】
上側仕切パネル262は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂から成る透明性を有する板状体であって、前後の左側支柱部材242,242と、左側連結部材233と、連結杆材251と、によって区画される範囲内に嵌め込んである。
【0088】
又、
図12に示すように、上側仕切パネル262の下端部には、円形状を呈する2個の挿通孔263,263を穿設してある。この挿通孔263,263は、医療従事者Dがその両手及び両腕を挿通できる内径としてある。
【0089】
さらに、
図12に示すように、挿通孔263,263の上端より若干上方に、その上端部264a,264aを接着又は面ファスナーによって貼着するようにして、合成樹脂から成る薄肉で、可撓性を有する閉鎖シート264,264を配設してある。
尚、閉鎖シート264の密着性を高めるため、その外周部264bに薄肉のゴム、スポンジ等の弾性部材を貼着してもよい。
【0090】
よって、通常時には、閉鎖シート264,264によって挿通孔263,263は閉鎖された状態となっており、診察時には、医療従事者Dがその両手で閉鎖シート264,264を押圧し、湾曲させて、両手及び両腕を挿通孔263,263に挿通できるようになっている。
【0091】
被覆シート270は、薄肉かつ透明な合成樹脂から成るシート状部材であって、上面部270A、正面部270B、背面部270C、右側面部270Dから構成される。
【0092】
被覆シート270は、
図10乃至
図13に示すように、上端枠体230及び左側支柱部材242,242によって包囲される外周面を被覆するようにしてあり、この包囲される空間を医療従事者収容空間SDとしてある。
【0093】
被覆シート270は、その上面部270Aの中央部に矩形状を呈する空気吸込孔276を形成してあると共に、
図13に示すように、その右側面部270Dを中央部で正面側シート270Fと背面側シート270Rとに分割し、ファスナー277によって連結及び分離可能としてある。
【0094】
ここで、被覆シート270の下端は、連結杆材251の下端と略同一の高さ位置としてある。
【0095】
図10に示すように、医療従事者収容空間SDの上端部であり、上端枠体230の中央部には、吸込装置290を配設してある。
【0096】
吸込装置290は、
図8に示すような、吸込装置90と同一構成のものであって、筐体91内の下半部にフィルタ92を配設すると共に、上半部に送風ファン95を配設してある。
又、フィルタ92の下端面にはアルミニウム等の金属から成る網状部材93を固着してある。
【0097】
筐体91内には送風ファン95の制御ボックス96も配設してあり、この制御ボックス96からは接続コード97が導出されている。
【0098】
吸込装置290は、
図10に示すように、取付部材298,298を介して上端枠体230の前記支持杆材236,236に固定してある。
ここで、取付部分から空気の漏洩が生じないよう、筐体91の下端周囲にはガスケット94を配設してある。
【0099】
上端枠体230の適宜位置には電源ボックス300を配設してあり、この電源ボックス300には複数のコンセント301,302を形成してある。
又、電源ボックス300からは電源コード303が導出されており、適宜外部電源に接続して、電力を供給できるようになっている。
【0100】
よって、電源ボックス300のコンセント301,302の何れかに、吸込装置290の接続コード297のプラグ297aを挿入、接続すれば、吸込装置290を作動させることができる。
【0101】
ここで、吸込装置290を作動させた時、送風ファン95は下方へと空気を流動させるように設定してあるので、医療従事者収容空間SDの上方の空気は下方に流動し、フィルタ92を通過することによって汚染物質等が捕捉され、医療従事者収容空間SD内には清浄された空気が流入される。
【0102】
本発明の診察用ブース201は、以上のような構成であって、診察用ブース1と同様にして組み立て、使用することができる。
【0103】
そして、上端枠体230及び左側支柱部材242,242によって包囲される外周面を被覆シート270によって被覆して、この包囲される空間を医療従事者収容空間SDとする。
【0104】
又、診察用ブース1と同様に、医療従事者収容区間SDの上端部であり、上端枠体230の中央部に、取付部材298,298によって、吸込装置290を載置、固定する。
【0105】
次に、上端枠体230の適宜位置に電源ボックス300を載置、固定し、このコンセント301,302の何れかに、吸込装置290の接続コード297のプラグ297aを挿入、接続する。
以上のようにして、本発明の診察用ブース201は、種々公共施設の適宜床面に容易に組み立て、構成することができる。
【0106】
又、上記と全く逆の作業手順によって、本発の診察用ブース201は、容易に分解することができ、構成部材として搬出することができる。
【0107】
組み立て、構成した本発明の診察用ブース201は、種々公共施設の適宜場所に移動させ、電源ボックス300の電源コード303を適宜外部電源に接続し、電力を供給できるようにする。
【0108】
そして、診察用ブース201の医療従事者収容空間SDの内部及び外部に、対峙するように2脚の椅子を配置すれば、診察用ブース201内に医療従事者Dが入室して、外部の被験者Pを診察することができる。
【0109】
診察時において、吸込装置290の電源をONにして、作動させれば、
図14に示すように、上方から医療従事者収容空間SDの上端部に配設した吸込装置290に空気が吸引され、清浄な空気となって、吸込装置290の下方へと流出される。
【0110】
そして、医療従事者収容空間SDの上方に流入した空気は、医療従事者Dの口、鼻等から放散される霧状粒子と混合し、医療従事者収容空間SDの下方に流動していき、右側下方へと流出される。
【0111】
このように、本発明の診察用ブース201は、仕切パネル260によって医療従事者収容空間SDが完全に外部と隔離されており、吸込装置290によって、空気の流動状態が規制されているから、医療従事者Dが被験者Pから病原体を感染させられることは殆どなく、感染防止効果は極めて高い。
【0112】
さらに、上側仕切パネル262に2個の挿通孔263,263を穿設すると共に、この挿通孔263,263を、通常時に、閉鎖シート264,264によって閉鎖状態とし、診察時に、医療従事者Dがその両手で押圧し、湾曲させて、両手及び両腕を挿通孔263,263に挿通できるようになっているから、診察時においても、感染防止効果は高い。
【0113】
又、診察用ブース201において、吸込装置290に代えて、吹出装置280を設置するようにして、被験者収容空間SPを形成するようにしてもよい。
【0114】
この場合は、診察時に、吹出装置280の電源をONにして、作動させれば、右側下方から被験者収容空間SPの下方に空気が流入し、その流入した空気は、被験者Pの口、鼻等から放散される霧状粒子と混合し、被験者収容空間SPの上方に流動していく。
【0115】
そして、霧状粒子と混合した空気は、被験者収容空間SPの上端部に配設した吹出装置280に吸引され、浄化されて、病原体等を殆ど含まない清浄な空気となって、吹出装置280の上方へと流出される。
【0116】
このように、本発明の診察用ブース201は、仕切パネル260によって被験者収容空間SPが完全に外部と隔離されており、吹出装置280によって、空気の流動状態が規制されているから、医療従事者Dが被験者Pから病原体を感染させられることは殆どなく、感染防止効果は極めて高い。
【0117】
又、吹出装置280によって、被験者Pの口、鼻等から放散される霧状粒子は捕捉され、浄化された上で空気が放出されるから、診察用ブース201を設置した公共施設等に病原体が放散されることはなく、公共施設等の空気を汚染させることもなく、空気環境を良好に保持できる。
【0118】
さらに、本発明の診察用ブース201は、診察用ブース1に比べて、さらに構成部材が少なく、簡単、軽量であるから、診察用ブース201全体も小型、軽量であると共に、吹出装置280と吸込装置290以外には、特に高価な部品を使用していないから、診察用ブース201全体もさらに安価に製造することができる。
【0119】
上記の通り、本発明の診察用ブースについて具体的に説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の実施形態が想定されること、勿論である。
【符号の説明】
【0120】
1 診察用ブース
10 区画枠体
20 下端枠体
21 下端横梁部材
22 中央連結部材
23 車輪
23a ストッパー
30 上端枠体
31 上端横梁部材
32 中央連結部材
33 左側連結部材
34 右側連結部材
40 支柱部材
41 中央支柱部材
42 左側支柱部材
60 仕切パネル
61 下側仕切パネル
62 上側仕切パネル
63 挿通孔
64 閉鎖シート
70 被覆シート
71 左側被覆シート
71D 左側面部
73 ファスナー
75 右側被覆シート
75D 右側面部
77 ファスナー
80 吹出装置
81 筐体
82 フィルタ
85 送風ファン
90 吸込装置
91 筐体
92 フィルタ
95 送風ファン
SP 被験者収容空間
SD 医療従事者収容空間