IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特開2024-172702光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置
<>
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図1
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図2
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図3
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図4
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図5
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図6
  • 特開-光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172702
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20241205BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G02B26/08 D
G01J1/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090584
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 諭
【テーマコード(参考)】
2G065
2H141
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AA11
2G065AB09
2G065BA04
2G065BA06
2H141MB23
2H141MC04
2H141ME01
2H141ME09
2H141ME24
2H141MF05
2H141MF28
2H141MZ02
(57)【要約】
【課題】省スペースでありながら、光学系の回転量を精密な調節が可能な光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置を提供する。
【解決手段】光学系の駆動装置は、光学素子を回転させるための駆動装置であって、光学素子に接続される回転シャフトと、前記回転シャフトを回転可能に支持するための軸受と、前記回転シャフトに接続され、前記回転シャフトの径方向に沿って延びるアームと、出力部を有し、前記出力部を前記回転シャフトの周方向に沿って線形に動かすように構成されたリニアモータと、前記出力部及び前記アームに接続され、前記出力部の動きを前記アームに伝達するための弾性体と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を回転させるための駆動装置であって、
光学素子に接続される回転シャフトと、
前記回転シャフトを回転可能に支持するための軸受と、
前記回転シャフトに接続され、前記回転シャフトの径方向に沿って延びるアームと、
出力部を有し、前記出力部を前記回転シャフトの周方向に沿って線形に動かすように構成されたリニアモータと、
前記出力部及び前記アームに接続され、前記出力部の動きを前記アームに伝達するための弾性体と、
を備える光学系の駆動装置。
【請求項2】
前記弾性体は、直線状の線材からなるばねを含む
請求項1に記載の光学系の駆動装置。
【請求項3】
前記リニアモータは、リニア型の超音波モータを含む
請求項1又は2に記載の光学系の駆動装置。
【請求項4】
前記光学素子を収容するとともに、前記光学素子及び前記リニアモータを支持するケーシングを備える
請求項1又は2に記載の光学系の駆動装置。
【請求項5】
前記回転シャフトの軸方向において、前記アームの位置を基準として前記光学素子及び前記リニアモータが同じ側に設けられている
請求項1又は2に記載の光学系の駆動装置。
【請求項6】
光学素子と、
前記光学素子を回転駆動させるように構成された請求項1又は2に記載の光学系の駆動装置と、
前記光学素子を通過したビームを撮像するための撮像部と、
を備えるビームプロファイル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームや電子ビーム等のビームを用いる造形、加工又は処理等の品質向上のために、予めビームプロファイル(ビームの形状や強度分布等)を測定して適切に調整することが重要である。
【0003】
特許文献1には、レーザ光のプロファイル測定において、測定部に入射される測定対象のレーザ光を減衰するための装置が記載されている。この装置では、レーザ光を減衰するためのプリズム(光学系)をアクチュエータで駆動して回転させることで、レーザ光の減衰量を調節することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/139486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビームプロファイル測定装置は、ビーム照射部からの照射方向を様々に変えてビームプロファイルを測定することがあり、限られた空間であってもなるべく広範な領域でビームプロファイルを測定するために、コンパクトであることが望まれる。また、コンパクトな構成でありながら、光学系の回転量を精密に調節可能であることが望まれる。この点、特許文献1には、光学系を回転駆動するための具体的な構成は記載されていない。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、省スペースでありながら、光学系の回転量を精密な調節が可能な光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係る光学系の駆動装置は、
光学素子を回転させるための駆動装置であって、
光学素子に接続される回転シャフトと、
前記回転シャフトを回転可能に支持するための軸受と、
前記回転シャフトに接続され、前記回転シャフトの径方向に沿って延びるアームと、
出力部を有し、前記出力部を前記回転シャフトの周方向に沿って線形に動かすように構成されたリニアモータと、
前記出力部及び前記アームに接続され、前記出力部の動きを前記アームに伝達するための弾性体と、
を備える。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るビームプロファイル測定装置は、
光学素子と、
前記光学素子を回転駆動させるように構成された上述の光学系の駆動装置と、
前記光学素子を通過したビームを撮像するための撮像部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、省スペースでありながら、光学系の回転量を精密な調節が可能な光学系の駆動装置及びビームプロファイル測定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るビームプロファイル測定装置が適用される造形装置を示す概略的な模式図である。
図2】一実施形態に係るビームプロファイル測定装置が適用される造形装置を示す概略的な模式図である。
図3】一実施形態に係る光学系の駆動装置を含むビームプロファイル測定装置の概略図である。
図4図3に示すビームプロファイル測定装置の一部を示す概略的な平面図である。
図5】一実施形態に係るビームプロファイル測定装置における撮像部を含む測定部を示す概略図である。
図6】一実施形態に係る光学系の駆動装置の概略図である。
図7】一実施形態に係る光学系の駆動装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(造形装置の構成)
図1及び図2は、幾つかの実施形態に係るビームプロファイル測定装置の適用対象の一例である造形装置を示す概略的な模式図である。なお、以下において、ビームプロファイル測定装置を造形装置に適用する場合について説明するが、幾つかの実施形態に係るビームプロファイル測定装置は、造形装置以外のビームを用いる装置(レーザ加工装置等)にも適用可能である。
【0013】
図1に示す造形装置1は、三次元積層造形装置であり、層状に敷設された粉末にビームを照射して積層造形を行うことにより三次元形状物を製造するための装置である。図1に示すように、造形装置1は、チャンバ2内を昇降可能な昇降テーブル6(昇降部)と、ビームBを照射するための照射部10と、を備える。造形装置1での造形時には、通常、チャンバ2内に不活性ガスが供給される。
【0014】
昇降テーブル6は、不図示の駆動部によって駆動されて、上下方向(Z方向)に沿って移動可能となっている。昇降テーブル6の上下方向における移動は案内部4によって案内される。造形時には、昇降テーブル6の上面である設置面6aに、三次元形状物が造形される土台となるベースプレート8が設置される。造形装置1での造形時には、ベースプレート8は、昇降テーブル6に固定されて昇降テーブル6とともに昇降するようになっている。
【0015】
照射部10は、チャンバ2内にて造形領域A(平面視における昇降テーブル6及びベースプレート8の領域;図2参照)に向けてビームBを照射するように構成される。照射部10は、ビームBとして光ビーム(レーザビーム等)又は電子ビーム等を照射するように構成されていてもよい。
造形装置1により三次元造形物を形成するときには、ベースプレート8上には粉末が敷設されてパウダーベッド11(パウダーの層)が形成される。パウダーベッド11は、造形作業の間、各サイクルにて昇降テーブル6及びベースプレート8が下降する毎に、上層側に粉末が敷設されることにより新たに形成される。各サイクルにてパウダーベッド11の上面は、所定の造形面Qに一致するようになっている。
【0016】
各サイクルで形成されたパウダーベッド11には、照射部10からビームBが照射されることによって選択的に固化される。次のサイクルでは、昇降テーブル6をパウダーベッド11の1層分だけ下降させ、前のサイクルのパウダーベッド11の上に次のパウダーベッド11を形成し、このパウダーベッド11にビームBを照射して選択的に固化させる。このサイクルを繰り返し行うことで、固化された部分が重なったものとして造形物12が形成される。
【0017】
なお、パウダーベッド11の材料粉末は、三次元造形物の原料となる粉末状物質であり、例えば鉄、銅、アルミニウム又はチタン等の金属材料、又は、セラミック等の非金属材料等であってもよい。
【0018】
造形装置1においては、造形品の品質向上等のために、予めビームプロファイル(ビームの形状や強度分布等)を測定して適切に調整することが重要である。造形装置1では、造形時において、照射部10からのビームBが造形領域Aの中央部R1及び端部R2を含む様々な位置に照射され、照射位置によって照射部10からのビームBの照射方向が異なる。このため、ビームプロファイルの測定時にも、照射部10からのビームBの様々な照射方向で測定する必要がある。
【0019】
(ビームプロファイル測定装置の構成)
図3は、一実施形態に係る光学系の駆動装置を含むビームプロファイル測定装置の概略図である。図4は、図3に示すビームプロファイル測定装置の一部を示す概略的な平面図である。図5は、一実施形態に係るビームプロファイル測定装置における撮像部を含む測定部を示す概略図である。
【0020】
ビームプロファイル測定装置100は、ビームプロファイルを測定するための撮像部62を含む測定部60と、測定部60の姿勢を調整可能に支持するための姿勢調整装置14と、測定部60に含まれる光学系を駆動するための駆動装置70と、を含む。以下においては、照射部10から照射されるビームB(プロファイル測定対象のビーム)が光ビームである例について説明する。
【0021】
図5に示すように測定部60は、照射部10から照射されたビームB(測定対象のビーム)を撮像するための撮像部62と、撮像部62に入れる測定対象のビームの光量を調節するための光学系71と、を備えている。
【0022】
撮像部62は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)又はCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を含む。撮像部62は、測定対象のビームを受ける撮像面(受光面)Qを有する。撮像面Qは軸L(以下、撮像部62の軸Lともいう。)の方向を向いている。即ち軸Lは、撮像面Q直交する直線である。
【0023】
光学系71は、ミラー、プリズム又はレンズ等の光学素子を含む。図示する実施形態では、光学系71は、ミラー66と、近接場結合素子68と、を含む。
【0024】
ミラー66は、照射部10からのビームBの一部を反射して放熱部(ビームダンパ)52に導くように構成される。典型的には、ミラー66は、ビームBの大部分(例えば80%以上)を反射して放熱部52に導くように構成される。
【0025】
近接場結合素子68は、ミラー66を通過したビームBの光量をさらに減少させて撮像部62に入射させるように構成される。近接場結合素子68は、ビームBの光軸方向にてミラー66と撮像部62との間に設けられる。
ビームBに直交する回転軸O(図5参照)の周りの近接場結合素子68の角度位置を調節することで、撮像部62に入射されるビームの光量を細かく調節することが可能である。
【0026】
近接場結合素子68は、2つのプリズムを隙間をあけて対向配置させることで構成されている。対向面同士の間における近接場光の発生と結合によって、プリズムから出射される光と反射される光出力の比率を変化させることが可能である。
【0027】
ミラー66、近接場結合素子68及び撮像部62は、それぞれの中心がビームBの光軸を通るように、この順に直線上に配列される。
【0028】
光学系71(ミラー66(光学素子)及び近接場結合素子68(光学素子))及び撮像部62は、ケーシング64に収容されるとともに支持されている。また、ケーシング64及び放熱部52は、支持部50に支持されている。なお、ケーシング64には貫通孔65を設けられており、ミラーで反射されたビームBの一部が該貫通孔65を介して放熱部52に導かれるようになっていてもよい。
【0029】
図3及び図4に示すように、一実施形態に係る姿勢調整装置14は、位置調節部18と、姿勢調節部20と、を備えている。
【0030】
一実施形態では、位置調節部18はプレート状の基台16に支持されている。また、一実施形態では、姿勢調節部20は、位置調節部18を介して基台16に支持されている。レーザプロファイル測定時には、基台16は造形装置1の昇降テーブル6の設置面6aに固定される。すなわち、レーザプロファイル測定時には、基台16を含む姿勢調整装置14は、造形装置1の昇降テーブル6の上に設置される。基台16は、造形装置1において造形時に用いるベースプレート8と同様の形状を有していてもよい。
【0031】
位置調節部18は、撮像部62をZ方向に直交するX方向及びY方向を含むXY平面内で移動させるように構成される。
【0032】
図示する例示的な実施形態では、位置調節部18は、
基台16に支持され、姿勢調節部20を搭載する搭載部36をX方向に沿って案内するための第1ガイド部と、基台16に支持され、搭載部36をY方向に沿って案内するための第2ガイド部と、を含む。
【0033】
一実施形態では、第1ガイド部は、X方向に沿って延びるX軸レール24A,24Bと、X軸レール24A,24B上を移動可能なX軸ガイド26A,26B(第1ガイド部)と、を含む。また、第2ガイド部は、Y方向に沿って延びるY軸レール32と、Y軸レール32上を移動可能なY軸ガイド34(第2ガイド部)と、を含む。
【0034】
Y軸レール32は、X軸ガイド26A,26BとともにX方向に沿って移動するように構成されたレール支持部30によって支持される。また、Y軸ガイド34には、姿勢調節部20及び撮像部62を含む測定部60を搭載可能な搭載部36(XYステージ)が支持される。これにより、搭載部36、姿勢調節部20及び撮像部62(測定部60)、は、X方向及びY方向に沿って(即ちXY平面内を)移動することが可能である。なお、位置調節部18は、搭載部36及び/又は姿勢調節部20のX軸及びY軸に沿った移動をそれぞれ駆動するための駆動部を含んでいてもよい。
【0035】
姿勢調節部20は、上述の撮像部62の軸Lの、XY平面における方位角及びXY平面に対する傾斜角を調節するように構成される。図3において、撮像部62の撮像面QRを通るXY平面をQXYで示す。
【0036】
一実施形態では、姿勢調節部20は、撮像部62の撮像面Qを通りXY平面に直交するZ方向に沿って延びるθ軸Lθの周りを回動可能に撮像部62を支持するように構成された方位角調節部38と、撮像面Qとθ軸Lθとの交点Pを通りXY平面に平行な傾斜軸Lの周りを回動可能に前記撮像部を支持するように構成された傾斜角調節部44と、
を含む。
【0037】
方位角調節部38は、位置調節部18(図示する例では具体的には搭載部36)に固定して支持される支持部40と、該支持部40にθ軸Lθの周りを回動可能に支持される回動部42と、を含む。
【0038】
傾斜角調節部44は、方位角調節部38の回動部42に固定して支持される支持部46と、該支持部46に傾斜軸Lの周りを回動可能に支持される回動部48と、を含む。
【0039】
特に図示しないが、別の一実施形態では、姿勢調節部20は、傾斜軸が異なる2つの傾斜角調節部を含んでいてもよい。即ち、姿勢調節部20は、撮像面QとZ軸との交点Pを通りXY平面に平行な第1の傾斜軸LG1(不図示)の周りを回動可能に撮像部62を支持するように構成された第1の傾斜角調節部と、撮像面QとZ軸との交点Pを通りXY平面に平行であり、第1の傾斜軸LG1とは異なる方向に延びる第2の傾斜軸LG2(不図示)の周りを回動可能に撮像部62を支持するように構成され、かつ、回動半径が第1の傾斜角調節部よりも小さい第2の傾斜角調節部と、を備えていてもよい。第1傾斜角調節部は、位置調節部18(例えば具体的には搭載部36)に固定して支持される支持部と、該支持部に第1の傾斜軸LG1の周りを回動可能に支持される回動部と、を含んでもよい。また、第2の傾斜角調節部は、第1の傾斜角調節部の回動部に固定して支持される支持部と、該支持部に第2の傾斜軸LG2の周りを回動可能に支持される回動部と、を含んでもよい。
【0040】
幾つかの実施形態にかかるビームプロファイル測定装置100は、撮像部62(測定部60)と、撮像部62(測定部60)の姿勢を調節するための上述の姿勢調整装置14と、姿勢調整装置14をX方向に沿って移動させる(あるいは昇降させる)ことが可能な昇降部を備える。図1に示す造形装置1に適用されるビームプロファイル測定システムの場合、姿勢調整装置14を昇降させるための昇降部は、造形装置1の昇降テーブル6である。
【0041】
上述のビームプロファイル測定装置100は、撮像部62を含む姿勢調整装置14をZ方向に沿って移動させることができるので、撮像部62のZ方向における位置を調節可能である。よって、撮像面Q(撮像部62)をX方向、Y方向及びZ方向において所望の位置に位置させることができ、ビームプロファイルの正確な測定がよりしやすくなる。
【0042】
幾つかの実施形態では、昇降部(図1では昇降テーブル6)の設置面(図1では設置面6a)は、造形装置1における造形面Q図1及び図3参照)よりも下方の位置にてZ方向に沿って移動可能である。
【0043】
上述の実施形態では、造形装置1における造形面Qよりも下方に位置する設置面6aに姿勢調整装置14を載せた状態で昇降テーブル6を昇降させることで姿勢調整装置14のZ方向における位置を調節可能である。よって、撮像部62の撮像面Qを、造形装置1における造形面Qに合わせることができる。これにより、造形装置1の造形面Qにおけるビームプロファイルを正確に測定しやすくなる。
【0044】
幾つかの実施形態では、昇降部(昇降テーブル6)は、姿勢調整装置14の撮像面Qの位置が、造形装置1における造形面Qの位置に一致するように、姿勢調整装置14のZ方向における位置を調節するように構成されていてもよい。
【0045】
上述の実施形態では、昇降部(昇降テーブル6)を昇降させて姿勢調整装置14のZ方向における位置を調節することで、撮像部62の撮像面Qを、造形装置1における造形面Qに合わせることができる。これにより、造形装置1の造形面Qにおけるビームプロファイルを正確に測定しやすくなる。
【0046】
(光学系の駆動装置の構成)
図6及び図7は、図3に示すビームプロファイル測定装置100に適用される、一実施形態に係る光学系の駆動装置70の概略図である。図7は、図6のA-A断面を示す図である。
【0047】
駆動装置70は、ビームプロファイル測定装置100の光学素子(光学系71)を回転駆動するように構成される。図示する例示的な実施形態では、駆動装置70は、近接場結合素子68(プリズム;光学素子)を回転駆動するように構成される。
【0048】
図6及び図7に示すように、一実施形態に係る駆動装置70は、近接場結合素子68に結合される回転シャフト72と、軸受74と、アーム76と、リニアモータ78と、弾性体82と、を備えている。
【0049】
回転シャフト72は、近接場結合素子68等を収容するケーシング64に設けられる貫通孔63を貫通するように設けられる。軸受は、ケーシング64における回転シャフト72の貫通部に設けられ、回転シャフト72を回転可能に支持するように構成される。
【0050】
アーム76は、回転シャフト72に連結され、回転シャフトの径方向に沿って延びる。アーム76は、回転シャフト72と一体的に回転シャフト72の回転軸Oの周りを回転可能になっている。即ち、回転シャフト72の回転角度と、アーム76の回転角度とは一致している。
【0051】
リニアモータ78は、出力部80(出力軸)を有し、出力部80を、該出力部80の長手方向に沿って線形に動かすように構成される。リニアモータ78は、出力部80の長手方向(出力軸の軸方向)が、回転シャフト72の周方向に沿った方向となるように設けられる。図示するように、リニアモータ78は、出力部80の長手方向(軸方向)が、回転シャフト72の軸方向とアーム76の延在方向(概ね回転シャフトの径方向と一致する)とを含む平面に対して略直交するように設けられていてもよい。図示するように、リニアモータ78は、近接場結合素子68(駆動対象の光学素子)を収容するケーシング64に支持される。
【0052】
弾性体82は、リニアモータ78の出力部80及び上述のアーム76に接続される。典型的には、弾性体82は、出力部80とアーム76の間を、回転シャフト72の軸方向(回転軸Oの方向)に沿って延びるように設けられる。
【0053】
図示する例示的な実施形態では、弾性体82は、直線状の線材からなるばねを含む。ばねを形成する線材は、例えばピアノ線等の鋼線である。図示する例示的な実施形態では、弾性体82(線材からなるばね)の一端部は、リニアモータ78の出力部80と、押さえプレート84との間に設けられ、ボルト86で出力部と押さえプレート84とを締結することで、出力部80と押さえプレート84とによって挟持されている。また、図示する例示的な実施形態では、弾性体82の他端部は、締りばめによって、アーム76に固定されている。
【0054】
造形装置1等におけるビームプロファイルの測定においては、照射部10からの照射方向を様々に変えてビームプロファイルを測定することがあるため、限られた空間であってもなるべく広範な領域でビームプロファイルを測定するために、ビームプロファイル測定装置はコンパクトであることが望まれる。また、ビームプロファイル測定装置は、コンパクトな構成でありながら、光学系の回転量を精密に調節可能であることが望まれる。
【0055】
この点、上述の実施形態に係る光学系の駆動装置70によれば、リニアモータ78が、近接場結合素子68(光学素子)に接続される回転シャフト72の周方向に沿って直動する出力部80を有し、該出力部80と、回転シャフト72に接続されるアーム76とが、弾性体82を介して接続される。このため、コンパクトな構成で、回転シャフト72の周方向に直交する方向(径方向)におけるアーム76の動きを弾性体82で吸収しながら、該周方向に沿ったリニアモータ78の直動をアーム76に精密に伝達することができる。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト72及び近接場結合素子68(光学素子)の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。これにより、例えばビームプロファイル測定装置100では、限られた設置スペースであっても比較的広範囲の測定位置においてビームプロファイルの測定が可能であり、かつ、撮像部に入るビームの光量を精密に調節することができる。
【0056】
また、上述の実施形態では、弾性体82が直線上の線材からなるばねを含むので、コンパクトな構成で、回転シャフト72の周方向に直交する方向(径方向)におけるアーム76の動きをばねで吸収しながら、該周方向に沿ったリニアモータ78の直動をアーム76に精密に伝達することができる。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト72及び近接場結合素子68(光学素子)の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。
【0057】
また、上述の実施形態では、近接場結合素子68(光学素子)及びリニアモータ78が同一のケーシング64に支持されるので、コンパクトな構成を実現しやすい。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト72及び近接場結合素子68(光学素子)の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。
【0058】
図示する例示的な実施形態では、回転シャフト72の軸方向において、アーム76の位置を基準として近接場結合素子68(光学素子)及びリニアモータ78が同じ側に設けられている。
【0059】
上述の実施形態では、回転シャフト72の軸方向において、アーム76の位置を基準として近接場結合素子68(光学素子)及びリニアモータ78が同じ側に設けられるので、コンパクトな構成を実現しやすい。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト72及び近接場結合素子68(光学素子)の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。
【0060】
幾つかの実施形態では、リニアモータ78は、リニア型の超音波モータであってもよい。
【0061】
超音波モータは,圧電素子を使い電気エネルギーを機械エネルギーに変換する圧電アクチュエータの一種であり、圧電素子により振動体に超音波振動を発生させ、摩擦力を介して移動体(ロータまたはスライダー等)を駆動するものである。リニアモータ78が超音波モータである場合、電磁気式の一般的なリニアモータとは異なり、ひとたび近接場結合素子68(光学素子)の回転量の調整が完了したら、リニアモータ78への電源供給を停止しても、リニアモータ78の出力部80は、調整された位置から動かない。このため、近接場結合素子68(光学素子)の回転量が精密に調節された状態を維持しやすい。よって、これにより、ビームプロファイル測定装置100において、正確な測定をしやすくなる。
【0062】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0063】
[1]本発明の少なくとも一実施形態に係る光学系の駆動装置(70)は、
光学素子(例えば上述の近接場結合素子68等)を回転させるための駆動装置であって、
光学素子に接続される回転シャフト(72)と、
前記回転シャフトを回転可能に支持するための軸受(74)と、
前記回転シャフトに接続され、前記回転シャフトの径方向に沿って延びるアーム(76)と、
出力部(80)を有し、前記出力部を前記回転シャフトの周方向に沿って線形に動かすように構成されたリニアモータ(78)と、
前記出力部及び前記アームに接続され、前記出力部の動きを前記アームに伝達するための弾性体(82)と、
を備える。
【0064】
上記[1]の構成によれば、リニアモータが、光学素子に接続される回転シャフトの周方向に沿って直動する出力軸を有し、該出力軸と、回転シャフトに接続されるアームとが、弾性体を介して接続される。このため、コンパクトな構成で、回転シャフトの周方向に直交する方向(径方向)におけるアームの動きを弾性体で吸収しながら、該周方向に沿ったリニアモータの直動をアームに精密に伝達することができる。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト及び光学素子の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。これにより、例えばビームプロファイル測定装置では、限られた設置スペースであっても比較的広範囲の測定位置においてビームプロファイルの測定が可能であり、かつ、ビームを撮像するための撮像部に入るビームの光量を精密に調節することができる。
【0065】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]の構成において、
前記弾性体は、直線状の線材からなるばねを含む。
【0066】
上記[2]の構成によれば、弾性体が直線上の線材からなるばねを含むので、コンパクトな構成で、回転シャフトの周方向に直交する方向(径方向)におけるアームの動きをばねで吸収しながら、該周方向に沿ったリニアモータの直動をアームに精密に伝達することができる。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト及び光学素子の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。
【0067】
[3]幾つかの実施形態では、上記[1]又は[2]の構成において、
前記リニアモータは、リニア型の超音波モータを含む。
【0068】
上記[3]の構成によれば、リニアモータは、超音波モータを含むので、ひとたび光学素子の回転量の調整が完了したら、リニアモータへの電源供給を停止しても、リニアモータの出力部は、調整された位置から動かない。このため、光学素子の回転量が精密に調節された状態を維持しやすい。よって、これにより、例えばビームプロファイル測定装置等において、正確な測定をしやすくなる。
【0069】
[4]幾つかの実施形態では、上記[1]乃至[3]の何れかの構成において、
前記駆動装置は、
前記光学素子を収容するとともに、前記光学素子及び前記リニアモータを支持するケーシング(64)を備える。
【0070】
上記[4]の構成によれば、光学素子及びリニアモータが同一のケーシングに支持されるので、コンパクトな構成を実現しやすい。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト及び光学素子の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。
【0071】
[5]幾つかの実施形態では、上記[1]乃至[4]の何れかの構成において、
前記回転シャフトの軸方向において、前記アームの位置を基準として前記光学素子及び前記リニアモータが同じ側に設けられている。
【0072】
上記[5]の構成によれば、回転シャフトの軸方向において、アームの位置を基準として光学素子及びリニアモータが同じ側に設けられるので、コンパクトな構成を実現しやすい。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト及び光学素子の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。
【0073】
[6]本発明の少なくとも一実施形態に係るビームプロファイル測定装置(100)は、
光学素子(例えば上述の近接場結合素子68等)と、
前記光学素子を回転駆動させるように構成された上記[1]乃至[5]の何れか一項に記載の光学系の駆動装置(70)と、
前記光学素子を通過したビームを撮像するための撮像部(62)と、
を備える。
【0074】
上記[6]の構成によれば、リニアモータが、光学素子に接続される回転シャフトの周方向に沿って直動する出力軸を有し、該出力軸と、回転シャフトに接続されるアームとが、弾性体を介して接続される。このため、コンパクトな構成で、回転シャフトの周方向に直交する方向(径方向)におけるアームの動きを弾性体で吸収しながら、該周方向に沿ったリニアモータの直動をアームに精密に伝達することができる。よって、省スペースであるとともに、回転シャフト及び光学素子の回転量(回転角度)を精密に調節可能である。これにより、例えばビームプロファイル測定装置では、限られた設置スペースであっても比較的広範囲の測定位置においてビームプロファイルの測定が可能であり、かつ、ビームを撮像するための撮像部に入るビームの光量を精密に調節することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0076】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0077】
1 造形装置
2 チャンバ
4 案内部
6 昇降テーブル
6a 設置面
8 ベースプレート
10 照射部
11 パウダーベッド
12 造形物
14 姿勢調整装置
16 基台
18 位置調節部
20 姿勢調節部
24A 軸レール
24B 軸レール
26A 軸ガイド
26B 軸ガイド
30 レール支持部
32 Y軸レール
34 Y軸ガイド
36 搭載部
38 方位角調節部
40 支持部
42 回動部
44 傾斜角調節部
46 支持部
48 回動部
50 支持部
52 放熱部
60 測定部
62 撮像部
63 貫通孔
64 ケーシング
65 貫通孔
66 ミラー
68 近接場結合素子
70 駆動装置
71 光学系
72 回転シャフト
74 軸受
76 アーム
78 リニアモータ
80 出力部
82 弾性体
84 押さえプレート
86 ボルト
100 ビームプロファイル測定装置
造形領域
B ビーム
傾斜軸
LG1 第1の傾斜軸
LG2 第2の傾斜軸
撮像部の軸
θ θ軸
O 回転軸
交点
造形面
撮像面
中央部
端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7