(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172703
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システム
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20241205BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20241205BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20241205BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01J1/02 L
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K15/00 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090585
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 諭
【テーマコード(参考)】
2G065
4E066
4E168
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AA11
2G065AB09
2G065BA04
2G065BA06
4E066CC04
4E168BA35
4E168BA81
4E168CA06
(57)【要約】
【課題】測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすいビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムを提供する。
【解決手段】ビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置は、測定対象のビームを撮像するための撮像部を、X方向及び前記X方向に交差するY方向を含むXY平面内で移動させるための位置調節部と、前記撮像部の撮像面を通り、前記撮像面の向きを示す軸の、前記XY平面における方位角及び前記XY平面に対する傾斜角を調節するように構成された姿勢調節部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置であって、
測定対象のビームを撮像するための撮像部を、X方向及び前記X方向に交差するY方向を含むXY平面内で移動させるための位置調節部と、
前記撮像部の撮像面を通り、前記撮像面の向きを示す軸の、前記XY平面における方位角及び前記XY平面に対する傾斜角を調節するように構成された姿勢調節部と、
を備えるビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置。
【請求項2】
前記姿勢調節部は、
前記撮像面を通り前記XY平面に直交するZ方向に沿って延びるθ軸の周りを回動可能に前記撮像部を支持するように構成された方位角調節部と、
前記撮像面と前記θ軸との交点を通り前記XY平面に平行な傾斜軸の周りを回動可能に前記撮像部を支持するように構成された傾斜角調節部と、
を含む
請求項1に記載のビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置。
【請求項3】
前記傾斜角調節部は、前記撮像部とともに前記θ軸の周りを回動可能に前記方位角調節部に支持される
請求項2に記載のビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置。
【請求項4】
前記位置調節部は、
前記姿勢調節部及び前記撮像部を搭載するための搭載部と、
基台に支持され、前記搭載部を前記X方向に沿って案内するための第1ガイド部と、
前記基台に支持され、前記搭載部を前記Y方向に沿って案内するための第2ガイド部と、
を含む
請求項1乃至3の何れか一項に記載のビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置。
【請求項5】
ビームを照射するための照射部を含む造形装置用のビームプロファイル測定システムであって、
測定対象のビームを撮像するための撮像部と、
前記撮像部の姿勢を調節するように構成された請求項1乃至3の何れか一項に記載の姿勢調整装置と、
前記姿勢調整装置を前記XY平面と直交するZ方向に沿って移動させることが可能な昇降部と、
を備える
ビームプロファイル測定システム。
【請求項6】
前記昇降部は、前記姿勢調整装置を載置するための設置面を有し、
前記設置面は、前記造形装置における造形面よりも下方の位置にて前記Z方向に沿って移動可能である
請求項5に記載のビームプロファイル測定システム。
【請求項7】
前記昇降部は、前記姿勢調整装置の前記撮像面の位置が、前記造形装置における造形面の位置に一致するように、前記姿勢調整装置の前記Z方向における位置を調節可能に構成された
請求項5に記載のビームプロファイル測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームや電子ビーム等のビームを用いる造形、加工又は処理等の品質向上のために、予めビームプロファイル(ビームの形状や強度分布等)を測定して適切に調整することが重要である。
【0003】
特許文献1には、レーザビームのプロファイルを測定するための測定装置が記載されている。この測定装置は、レーザビームのプロファイルを撮像するためのカメラが配置されるステージ部をX軸方向及びY軸方向に移動するためのX軸駆動系及びY軸駆動系を備えており、カメラによる撮像位置をX軸方向及びY軸方向に動かすことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、設置位置が固定された照射部からのビーム照射方向を様々に変化させて、各々の照射方向についてビームプロファイルを測定することがある。ここで、例えば特許文献1のように、撮像部(カメラ等)をX方向及びY方向において(即ちXY平面において)移動させる場合、照射部からのビームの照射方向によっては、撮像部の撮像面に対するビームの入射角度が斜めになり、この場合、ビームプロファイルを正確に測定することが難しい。ビームプロファイルを正確に測定できない場合、ビームを用いて得られる製品(造形物等)の品質が良好でなくなると考えられる。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすいビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係るビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置は、
測定対象のビームを撮像するための撮像部を、X方向及び前記X方向に交差するY方向を含むXY平面内で移動させるための位置調節部と、
前記撮像部の撮像面を通り、前記撮像面の向きを示す軸の、前記XY平面における方位角及び前記XY平面に対する傾斜角を調節するように構成された姿勢調節部と、
を備える。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るビームプロファイル測定システムは、
ビームを照射するための照射部を含む造形装置用のビームプロファイル測定システムであって、
上述の姿勢調整装置と、
前記姿勢調整装置を前記XY平面と直交するZ方向に沿って移動させることが可能な昇降部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすいビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る姿勢調整装置が適用される造形装置の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る姿勢調整装置が適用される造形装置の一例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る姿勢調整装置の概略図である。
【
図4】
図3に示す姿勢調整装置の一部を示す概略的な平面図である。
【
図5】一実施形態に係る姿勢調整装置に支持される撮像部を含む測定部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(造形装置の構成)
図1及び
図2は、幾つかの実施形態に係る姿勢調整装置を含むビームプロファイル測定システムの適用対象の一例である造形装置を示す概略的な模式図である。なお、以下において、姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムを造形装置に適用する場合について説明するが、幾つかの実施形態に係る姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムは、造形装置以外のビームを用いる装置(レーザ加工装置等)にも適用可能である。
【0013】
図1に示す造形装置1は、三次元積層造形装置であり、層状に敷設された粉末にビームを照射して積層造形を行うことにより三次元形状物を製造するための装置である。
図1に示すように、造形装置1は、チャンバ2内を昇降可能な昇降テーブル6(昇降部)と、ビームBを照射するための照射部10と、を備える。造形装置1での造形時には、通常、チャンバ2内に不活性ガスが供給される。
【0014】
昇降テーブル6は、不図示の駆動部によって駆動されて、上下方向(Z方向)に沿って移動可能となっている。昇降テーブル6の上下方向における移動は案内部4によって案内される。造形時には、昇降テーブル6の上面である設置面6aに、三次元形状物が造形される土台となるベースプレート8が設置される。造形装置1での造形時には、ベースプレート8は、昇降テーブル6に固定されて昇降テーブル6とともに昇降するようになっている。
【0015】
照射部10は、チャンバ2内にて造形領域A
F(平面視における昇降テーブル6及びベースプレート8の領域;
図2参照)に向けてビームBを照射するように構成される。照射部10は、ビームBとして光ビーム(レーザビーム等)又は電子ビーム等を照射するように構成されていてもよい。
造形装置1により三次元造形物を形成するときには、ベースプレート8上には粉末が敷設されてパウダーベッド11(パウダーの層)が形成される。パウダーベッド11は、造形作業の間、各サイクルにて昇降テーブル6及びベースプレート8が下降する毎に、上層側に粉末が敷設されることにより新たに形成される。各サイクルにてパウダーベッド11の上面は、所定の造形面Q
Fに一致するようになっている。
【0016】
各サイクルで形成されたパウダーベッド11には、照射部10からビームBが照射されることによって選択的に固化される。次のサイクルでは、昇降テーブル6をパウダーベッド11の1層分だけ下降させ、前のサイクルのパウダーベッド11の上に次のパウダーベッド11を形成し、このパウダーベッド11にビームBを照射して選択的に固化させる。このサイクルを繰り返し行うことで、固化された部分が重なったものとして造形物12が形成される。
【0017】
なお、パウダーベッド11の材料粉末は、三次元造形物の原料となる粉末状物質であり、例えば鉄、銅、アルミニウム又はチタン等の金属材料、又は、セラミック等の非金属材料等であってもよい。
【0018】
造形装置1においては、造形品の品質向上等のために、予めビームプロファイル(ビームの形状や強度分布等)を測定して適切に調整することが重要である。造形装置1では、造形時において、照射部10からのビームBが造形領域AFの中央部R1及び端部R2を含む様々な位置に照射され、照射位置によって照射部10からのビームBの照射方向が異なる。このため、ビームプロファイルの測定時にも、照射部10からのビームBの様々な照射方向で測定する必要がある。
【0019】
このように、様々な照射方向のビームBについてビームプロファイルを測定するとき、ビームを撮像するための撮像部(カメラ等)をX方向及びY方向において(即ち上下方向(Z方向)に直交するXY平面において)移動させる場合、照射部10からのビームBの照射方向によって(例えば造形領域AFの端部R2に照射するとき等)、撮像部の撮像面に対するビームBの入射角度が斜めになり、この場合、ビームプロファイルを正確に測定することが難しい。
【0020】
この点、以下に説明する実施形態に係る姿勢調整装置によれば、X方向及びY方向における撮像部の位置によらず、撮像部の撮像面を測定対象のビームに正対させることができる。よって、撮像部による測定位置(即ち、ビームBの照射位置)に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすい。
【0021】
(姿勢調整装置及びビームプロファイル測定システムの構成)
図3は、一実施形態に係る姿勢調整装置の概略図である。
図4は、
図3に示す姿勢調整装置の一部を示す概略的な平面図である。
図5は、一実施形態に係る姿勢調整装置に支持される撮像部を含む測定部を示す概略図である。
【0022】
姿勢調整装置14は、ビームプロファイルを測定するための撮像部62を含む測定部60の姿勢を調整可能に支持するように構成される。以下においては、照射部10から照射されるビームB(プロファイル測定対象のビーム)が光ビームである例について説明する。
【0023】
図5に示すように測定部60は、照射部10から照射されたビームB(測定対象のビーム)を撮像するための撮像部62と、撮像部62に入れる測定対象のビームの光量を調節するための光学系71と、を備えている。
【0024】
撮像部62は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)又はCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を含む。撮像部62は、測定対象のビームを受ける撮像面(受光面)QRを有する。撮像面QRは軸LR(以下、撮像部62の軸LRともいう。)の方向を向いている。即ち軸LRは、撮像面QR直交する直線である。
【0025】
図示する実施形態では、光学系71は、ミラー66と、近接場結合素子68と、を含む。
【0026】
ミラー66は、照射部10からのビームBの一部を反射して放熱部(ビームダンパ)52に導くように構成される。典型的には、ミラー66は、ビームBの大部分(例えば80%以上)を反射して放熱部52に導くように構成される。
【0027】
近接場結合素子68は、ミラー66を通過したビームBの光量をさらに減少させて撮像部62に入射させるように構成される。近接場結合素子68は、ビームBの光軸方向にてミラー66と撮像部62との間に設けられる。近接場結合素子68を用いることで、撮像部62に入射されるビームの光量を細かく調節することが可能である。
【0028】
近接場結合素子68は、2つのプリズムを隙間をあけて対向配置させることで構成されている。対向面同士の間における近接場光の発生と結合によって、プリズムから出射される光と反射される光出力の比率を変化させることが可能である。
【0029】
ミラー66、近接場結合素子68及び撮像部62は、それぞれの中心がビームBの光軸を通るように、この順に直線上に配列される。
【0030】
光学系71(ミラー66及び近接場結合素子68)及び撮像部62は、ケーシング64に収容されるとともに支持されている。また、ケーシング64及び放熱部52は、支持部50に支持されている。なお、ケーシング64には貫通孔65を設けられており、ミラーで反射されたビームBの一部が該貫通孔65を介して放熱部52に導かれるようになっていてもよい。
【0031】
図3及び
図4に示すように、一実施形態に係る姿勢調整装置14は、位置調節部18と、姿勢調節部20と、を備えている。
【0032】
一実施形態では、位置調節部18はプレート状の基台16に支持されている。また、一実施形態では、姿勢調節部20は、位置調節部18を介して基台16に支持されている。レーザプロファイル測定時には、基台16は造形装置1の昇降テーブル6の設置面6aに固定される。すなわち、レーザプロファイル測定時には、基台16を含む姿勢調整装置14は、造形装置1の昇降テーブル6の上に設置される。基台16は、造形装置1において造形時に用いるベースプレート8と同様の形状を有していてもよい。
【0033】
位置調節部18は、撮像部62をZ方向に直交するX方向及びY方向を含むXY平面内で移動させるように構成される。
【0034】
図示する例示的な実施形態では、位置調節部18は、
基台16に支持され、姿勢調節部20を搭載する搭載部36をX方向に沿って案内するための第1ガイド部と、基台16に支持され、搭載部36をY方向に沿って案内するための第2ガイド部と、を含む。
【0035】
一実施形態では、第1ガイド部は、X方向に沿って延びるX軸レール24A,24Bと、X軸レール24A,24B上を移動可能なX軸ガイド26A,26B(第1ガイド部)と、を含む。また、第2ガイド部は、Y方向に沿って延びるY軸レール32と、Y軸レール32上を移動可能なY軸ガイド34(第2ガイド部)と、を含む。
【0036】
Y軸レール32は、X軸ガイド26A,26BとともにX方向に沿って移動するように構成されたレール支持部30によって支持される。また、Y軸ガイド34には、姿勢調節部20及び撮像部62を含む測定部60を搭載可能な搭載部36(XYステージ)が支持される。これにより、搭載部36、姿勢調節部20及び撮像部62(測定部60)、は、X方向及びY方向に沿って(即ちXY平面内を)移動することが可能である。なお、位置調節部18は、搭載部36及び/又は姿勢調節部20のX軸及びY軸に沿った移動をそれぞれ駆動するための駆動部を含んでいてもよい。
【0037】
姿勢調節部20は、上述の撮像部62の軸L
Rの、XY平面における方位角及びXY平面に対する傾斜角を調節するように構成される。
図3において、撮像部62の撮像面QRを通るXY平面をQ
XYで示す。
【0038】
一実施形態では、姿勢調節部20は、撮像部62の撮像面QRを通りXY平面に直交するZ方向に沿って延びるθ軸Lθの周りを回動可能に撮像部62を支持するように構成された方位角調節部38と、撮像面QRとθ軸Lθとの交点P0を通りXY平面に平行な傾斜軸LGの周りを回動可能に前記撮像部を支持するように構成された傾斜角調節部44と、
を含む。
【0039】
方位角調節部38は、位置調節部18(図示する例では具体的には搭載部36)に固定して支持される支持部40と、該支持部40にθ軸Lθの周りを回動可能に支持される回動部42と、を含む。
【0040】
傾斜角調節部44は、方位角調節部38の回動部42に固定して支持される支持部46と、該支持部46に傾斜軸LGの周りを回動可能に支持される回動部48と、を含む。
【0041】
特に図示しないが、別の一実施形態では、姿勢調節部20は、傾斜軸が異なる2つの傾斜角調節部を含んでいてもよい。即ち、姿勢調節部20は、撮像面QRとZ軸との交点P0を通りXY平面に平行な第1の傾斜軸LG1(不図示)の周りを回動可能に撮像部62を支持するように構成された第1の傾斜角調節部と、撮像面QRとZ軸との交点P0を通りXY平面に平行であり、第1の傾斜軸LG1とは異なる方向に延びる第2の傾斜軸LG2(不図示)の周りを回動可能に撮像部62を支持するように構成され、かつ、回動半径が第1の傾斜角調節部よりも小さい第2の傾斜角調節部と、を備えていてもよい。第1傾斜角調節部は、位置調節部18(例えば具体的には搭載部36)に固定して支持される支持部と、該支持部に第1の傾斜軸LG1の周りを回動可能に支持される回動部と、を含んでもよい。また、第2の傾斜角調節部は、第1の傾斜角調節部の回動部に固定して支持される支持部と、該支持部に第2の傾斜軸LG2の周りを回動可能に支持される回動部と、を含んでもよい。
【0042】
上述のように構成された姿勢調整装置14によれば、測定対象のビームを撮像するための撮像部62のX方向及びY方向における位置を位置調節部18によって調節することができるとともに、撮像部62の撮像面QR(受光面)を通り撮像面QRの向きを示す軸LRのXY平面における方位角、及び、撮像部62の軸のXY平面に対する傾斜角を姿勢調節部20によって調節することができる。これにより、X方向及びY方向における撮像面QR(撮像部62)の位置によらず、撮像面をQR測定対象のビームに正対させることができる。よって、撮像部62による測定位置(ビームの照射位置)に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすい。
【0043】
幾つかの実施形態にかかるビームプロファイル測定システムは、撮像部62(測定部60)と、撮像部62(測定部60)の姿勢を調節するための上述の姿勢調整装置14と、姿勢調整装置14をX方向に沿って移動させる(あるいは昇降させる)ことが可能な昇降部を備える。
図1に示す造形装置1に適用されるビームプロファイル測定システムの場合、姿勢調整装置14を昇降させるための昇降部は、造形装置1の昇降テーブル6である。
【0044】
上述のビームプロファイル測定システムは、撮像部62を含む姿勢調整装置14をZ方向に沿って移動させることができるので、撮像部62のZ方向における位置を調節可能である。よって、撮像面QR(撮像部62)をX方向、Y方向及びZ方向において所望の位置に位置させることができ、ビームプロファイルの正確な測定がよりしやすくなる。
【0045】
幾つかの実施形態では、昇降部(
図1では昇降テーブル6)の設置面(
図1では設置面6a)は、造形装置1における造形面Q
F(
図1及び
図3参照)よりも下方の位置にてZ方向に沿って移動可能である。
【0046】
上述の実施形態では、造形装置1における造形面QFよりも下方に位置する設置面6aに姿勢調整装置14を載せた状態で昇降テーブル6を昇降させることで姿勢調整装置14のZ方向における位置を調節可能である。よって、撮像部62の撮像面QRを、造形装置1における造形面QFに合わせることができる。これにより、造形装置1の造形面QFにおけるビームプロファイルを正確に測定しやすくなる。
【0047】
幾つかの実施形態では、昇降部(昇降テーブル6)は、姿勢調整装置14の撮像面QRの位置が、造形装置1における造形面QFの位置に一致するように、姿勢調整装置14のZ方向における位置を調節するように構成されていてもよい。
【0048】
上述の実施形態では、昇降部(昇降テーブル6)を昇降させて姿勢調整装置14のZ方向における位置を調節することで、撮像部62の撮像面QRを、造形装置1における造形面QFに合わせることができる。これにより、造形装置1の造形面QFにおけるビームプロファイルを正確に測定しやすくなる。
【0049】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0050】
[1]本発明の少なくとも一実施形態に係るビームプロファイル測定装置用の姿勢調整装置(14)は、
測定対象のビームを撮像するための撮像部(62)を、X方向及び前記X方向に交差するY方向を含むXY平面内で移動させるための位置調節部(18)と、
前記撮像部の撮像面(QR)を通り、前記撮像面の向きを示す軸(LR)の、前記XY平面における方位角及び前記XY平面に対する傾斜角を調節するように構成された姿勢調節部(20)と、
を備える。
【0051】
上記[1]の構成によれば、測定対象のビームを撮像するための撮像部のX方向及びY方向における位置を位置調節部によって調節することができるとともに、撮像部の撮像面(受光面)を通り撮像面の向きを示す軸(以下、撮像部の軸ともいう。)のXY平面における方位角、及び、撮像部の軸のXY平面に対する傾斜角を姿勢調節部によって調節することができる。これにより、X方向及びY方向における撮像面(撮像部)の位置によらず、撮像面を測定対象のビームに正対させることができる。よって、撮像部による測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすい。
【0052】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]の構成において、
前記姿勢調節部は、
前記撮像面を通り前記XY平面に直交するZ方向に沿って延びるθ軸(Lθ)の周りを回動可能に前記撮像部を支持するように構成された方位角調節部(38)と、
前記撮像面と前記θ軸との交点を通り前記XY平面に平行な傾斜軸(LG)の周りを回動可能に前記撮像部を支持するように構成された傾斜角調節部(44)と、
を含む。
【0053】
上記[2]の構成によれば、撮像部は、姿勢調節部によって、θ軸の周りを回動可能に、かつ、傾斜軸(ゴニオ軸)の周りを回動可能に支持されるので、上述の方位角及び傾斜角を適切に調整することができる。よって、撮像部による測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすい。
【0054】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]の構成において、
前記傾斜角調節部は、前記撮像部とともに前記θ軸の周りを回動可能に前記方位角調節部に支持される。
【0055】
上記[3]の構成によれば、上述の傾斜角を調節するための傾斜角調節部及び撮像部が、上述の方位角を調節するための方位角調節部に支持されるので、上述の方位角及び傾斜角の両方を適切に調節することができる。よって、撮像部による測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすい。
【0056】
[4]幾つかの実施形態では、上記[1]乃至[3]の何れかの構成において、
前記位置調節部は、
前記姿勢調節部及び前記撮像部を搭載するための搭載部(36)と、
基台(16)に支持され、前記搭載部を前記X方向に沿って案内するための第1ガイド部(例えば上述のX軸レール24A,24B及びX軸ガイド26A,26B)と、
前記基台に支持され、前記搭載部を前記Y方向に沿って案内するための第2ガイド部(例えば上述のY軸レール32及びY軸ガイド34)と、
を含む。
【0057】
上記[4]の構成によれば、姿勢調節部及び撮像部を搭載する搭載部が、基台に支持される第1ガイド部及び第2ガイド部によって、X方向及びY方向に沿ってそれぞれ案内される。よって、撮像部がX方向及びY方向に沿って移動可能でありX方向及びY方向における撮像部の位置を適切に調節であるとともに、上述の方位角及び傾斜角を適切に調節可能である。よって、撮像部による測定位置に関わらずビームプロファイルを正確に測定しやすい。
【0058】
[5]本発明の少なくとも一実施形態に係るビームプロファイル測定システムは、
ビームを照射するための照射部(10)を含む造形装置用のビームプロファイル測定システムであって、
測定対象のビームを撮像するための撮像部(62)と、
前記撮像部の姿勢を調節するように構成された上記[1]乃至[4]の何れか一項に記載の姿勢調整装置(14)と、
前記姿勢調整装置を前記XY平面と直交するZ方向に沿って移動させることが可能な昇降部(6)と、
を備える。
【0059】
上記[5]の構成によれば、撮像部を含む姿勢調整装置をZ方向に沿って移動させることができるので、撮像部のZ方向における位置を調節可能である。よって、撮像面(撮像部)をX方向、Y方向及びZ方向において所望の位置に位置させることができ、ビームプロファイルの正確な測定がよりしやすくなる。
【0060】
[6]幾つかの実施形態では、上記[5]の構成において、
前記昇降部は、前記姿勢調整装置を載置するための設置面(6a)を有し、
前記設置面は、前記造形装置における造形面よりも下方の位置にて前記Z方向に沿って移動可能である。
【0061】
上記[6]の構成によれば、造形装置における造形面よりも下方に位置する設置面に姿勢調整装置を載せた状態で昇降部を昇降させることで姿勢調整装置のZ方向における位置を調節可能である。よって、撮像部の撮像面を、造形装置における造形面に合わせることができる。これにより、造形装置の造形面におけるビームプロファイルを正確に測定しやすくなる。
【0062】
[7]幾つかの実施形態では、上記[5]又は[6]の構成において、
前記昇降部は、前記姿勢調整装置の前記撮像面の位置が、前記造形装置における造形面の位置に一致するように、前記姿勢調整装置の前記Z方向における位置を調節可能に構成される。
【0063】
上記[7]の構成によれば、昇降部を昇降させて姿勢調整装置のZ方向における位置を調節することで、撮像部の撮像面を、造形装置における造形面に合わせることができる。これにより、造形装置の造形面におけるビームプロファイルを正確に測定しやすくなる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0065】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0066】
1 造形装置
2 チャンバ
4 案内部
6 昇降テーブル
6a 設置面
8 ベースプレート
10 照射部
11 パウダーベッド
12 造形物
14 姿勢調整装置
16 基台
18 位置調節部
20 姿勢調節部
24A X軸レール
24B X軸レール
26A X軸ガイド
26B X軸ガイド
30 レール支持部
32 Y軸レール
34 Y軸ガイド
36 搭載部
38 方位角調節部
40 支持部
42 回動部
44 傾斜角調節部
46 支持部
48 回動部
50 支持部
52 放熱部
60 測定部
62 撮像部
64 ケーシング
65 貫通孔
66 ミラー
68 近接場結合素子
71 光学系
AF 造形領域
B ビーム
LG 傾斜軸
LG1 第1の傾斜軸
LG2 第2の傾斜軸
LR 撮像部の軸
Lθ θ軸
P0 交点
QF 造形面
QR 撮像面
R1 中央部
R2 端部