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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172704
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】真空バルブ
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/664 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H01H33/664 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090590
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘覚
(72)【発明者】
【氏名】川田 将司
【テーマコード(参考)】
5G026
【Fターム(参考)】
5G026DA02
5G026DB01
(57)【要約】
【課題】製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる真空バルブを提供する。
【解決手段】電極部10、20は、電極棒6と、コイル9と、接点電極3とを有し、コイル9は、複数の分割コイル4が軸方向Yに積層して形成され、各分割コイル4は、電極棒6が挿入される環状の保持部42と、保持部42の径方向の外側に延出するとともに、周方向Zの一方に弧状に延びる円弧部41を有する複数のアーム40を備え、円弧部41は、軸方向Yに貫通する貫通孔50が形成され、コイル9は、分割コイル4の貫通孔51が周方向Zの位置が一致するように軸方向Yに積層され、軸方向Yに並んだ貫通孔51に挿入して設置されるとともに、接点電極3と接触する接触面51を有する導電性を有するピン5を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記円弧部は、軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記貫通孔が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、軸方向に並んだ前記貫通孔に挿入して設置されるとともに、前記接点電極と接触する接触面を有する導電性を有するピンを備えた真空バルブ。
【請求項2】
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するように積層され、軸方向の一番上方に設置された前記分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
【請求項3】
前記分割コイルの前記円弧部は、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の下方に向かって斜めに形成された第2傾斜部を有し、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部および前記第2傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するよう積層された請求項2に記載の真空バルブ。
【請求項4】
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記段差下面の長さが、前記第2分割コイルの前記段差下面の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
【請求項5】
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続され接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度が、前記第2分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度よりも小さく形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
【請求項6】
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、
前記第1分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記第1分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記第2分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部となる部分保持部と、
前記部分保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する1つの第2アームを備え、
前記第2分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第3傾斜部を有し、前記第3傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第3傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第4傾斜部を有し、前記第4傾斜部よりも前記円弧部の先端側の先端上面と、前記段差上面とは平行に形成され、
前記第2分割コイルの前記円弧部の長さは、前記第1分割コイルの前記円弧部の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、最下層を前記第1分割コイルとし、前記第1分割コイルの1つの前記アームの上に1つの前記第2分割コイルをそれぞれ配置し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第3傾斜部とを接するように積層され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイル同士は、軸方向において離反して配置され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイルの前記部分保持部にて前記保持部が形成され、複数の前記第2分割コイルの前記先端上面は、前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
【請求項7】
前記分割コイルの前記保持部は、径方向の外側に延びる切り欠き部が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記切り欠き部が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、
前記電極棒は、前記切り欠き部に挿入される径方向の外側に突出し軸方向に延びる突起部を備え、
前記コイルの軸方向に並んだ前記切り欠き部に前記突起部が嵌合されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の真空バルブ。
【請求項8】
前記接点電極と前記コイルとの間に、前記接点電極に当接して支持する補強部を備えた請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の真空バルブ。
【請求項9】
前記分割コイルの外周は、R加工にて形成された請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の真空バルブ。
【請求項10】
前記分割コイルは、銅、または銅合金にて形成された請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の真空バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、真空バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、真空遮断器及び真空開閉器等に搭載される真空バルブは、一般的に絶縁容器、シールド、固定側電極、固定側電極棒、固定側金属端板、可動側電極、可動側電極棒、ベローズカバー、ベローズ、可動側金属端板、ガイドで構成されている。前述の電極の種類に縦磁界電極があり、縦磁界電極は一般的に接点、コイル、電極棒で構成され、電流遮断時に接点間で発生するアークに対して平行な磁界を発生させ、アークを拡散して遮断する。例えば、従来の真空バルブでは、縦磁界電極に使用するコイルに関して、プレス加工で製作した複数枚のコイル電極片を積み重ねて形成することで、電極製作コストを低減している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-188524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の真空バルブは、コイル電極片の構造では電極組立時の位置決めができず、製造の効率性が悪くなるという問題点があった。さらに、電極組立時の位置決めができなければ、組み立てられた電極構造に個体差が生じやすくなり、製造される真空バルブの性能にバラツキの発生および本来の縦磁界電極としての機能を損ない信頼性が低下するという問題点があった。
【0005】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、
製造の位置決めが容易となり、製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる真空バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される真空バルブは、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記円弧部は、軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記貫通孔が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、軸方向に並んだ前記貫通孔に挿入して設置されるとともに、前記接点電極と接触する接触面を有する導電性を有するピンを備えたものである。
また、本願に開示される真空バルブは、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するように積層され、軸方向の一番上方に設置された前記分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である。
また、本願に開示される真空バルブは、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記段差下面の長さが、前記第2分割コイルの前記段差下面の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である。
また、本願に開示される真空バルブは、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続され接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度が、前記第2分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度よりも小さく形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である。
また、本願に開示される真空バルブは、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、
前記第1分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記第1分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記第2分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部となる部分保持部と、
前記部分保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する1つの第2アームを備え、
前記第2分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第3傾斜部を有し、前記第3傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第3傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第4傾斜部を有し、前記第4傾斜部よりも前記円弧部の先端側の先端上面と、前記段差上面とは平行に形成され、
前記第2分割コイルの前記円弧部の長さは、前記第1分割コイルの前記円弧部の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、最下層を前記第1分割コイルとし、前記第1分割コイルの1つの前記アームの上に1つの前記第2分割コイルをそれぞれ配置し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第3傾斜部とを接するように積層され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイル同士は、軸方向において離反して配置され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイルの前記部分保持部にて前記保持部が形成され、複数の前記第2分割コイルの前記先端上面は、前記接点電極と接触する接触面である。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される真空バルブによれば、
製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による真空バルブの構成を示す断面図である。
図2図1に示した真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。
図3図2に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図4図1に示した真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。
図5】実施の形態2による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。
図6図5に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図7】実施の形態2による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。
図8】実施の形態3による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。
図9図8に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図10】実施の形態3による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。
図11】実施の形態4による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。
図12図11に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図13】実施の形態4による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。
図14】実施の形態5による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。
図15図14に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図16】実施の形態5による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。
図17】実施の形態5による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極との組立状態を示す断面図である。
図18】実施の形態6による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。
図19】実施の形態6による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。
図20図18および図19に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図21】実施の形態6による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。
図22】実施の形態7による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。
図23】実施の形態7による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。
図24図22および図23に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図25】実施の形態7による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。
図26】実施の形態8による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。
図27】実施の形態8による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。
図28図22に示した第1分割コイル上に図27に示した1つの第2分割コイルを設置した状態を示す斜視図である。
図29図22に示した第1分割コイル上に図27に示した1つの第2分割コイルを設置した状態を示す斜視図である。
図30図22に示した第1分割コイル上に図27に示した1つの第2分割コイルを設置した状態を示す斜視図である。
図31図26および図27に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図32図31のコイルのうち、第2分割コイルのみを組み合わせた状態を示す斜視図である。
図33】実施の形態8による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。
図34】実施の形態9による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。
図35】実施の形態9による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。
図36図34および図35に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。
図37】実施の形態9による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、真空バルブ100における各方向を、中心軸Qの方向を軸方向Y、中心軸Qを中心とする周の方向を周方向Zとして示す。これらの方向は、真空バルブ100を構成する各部分において同一であり、当該方向を基準として各方向を示して説明する。また、固定側電極部10および可動側電極部20の対向する側を、軸方向Yの上方、そして、反する側を軸方向Yの下方として説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による真空バルブの構成を示す断面図である。図2は、図1に示した真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。図3は、図2に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図4は、図1に示した真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、真空バルブ100は、絶縁性を有する真空容器1と、真空容器1内に軸方向Yに対向して配置された一対の電極部としての固定側電極部10および可動側電極部20とを備える。真空容器1は、軸方向Yの両端に端板7を有し、真空容器1内にはシールド2を有する。固定側電極部10および可動側電極部20は、接点電極3、コイル9、電極棒6を備える。そして、可動側電極部20側には、軸方向Yに移動するための、ベローズ13、ベローズ13のカバー12、およびこれらをガイドするガイド15を備える。コイル9は、分割コイル4が軸方向Yに複数枚積層されて形成される。電極棒6は、軸方向Yに突出する凸部60を有する。
【0012】
分割コイル4は、図2に示すように、板状の部材にて形成され、電極棒6の凸部60が挿入される環状の保持部42と、保持部42の径方向の外側に延出するとともに、周方向Zの一方、ここでは反時計回り方向に弧状に延びる円弧部41を有するアーム40が3個形成される。保持部42は、電極棒6の凸部60が挿入可能であればよく、凸部60と同等の径または凸部60よりも大きな径を有している。円弧部41は、軸方向Yに貫通する貫通孔50がそれぞれ形成される。
【0013】
そして、コイル9は、図3に示すように、分割コイル4の貫通孔50が周方向Zの位置が一致するように軸方向Yに積層される(但し、貫通孔50には後述するピン5が挿入されているため、図3には表れていない)。そして、軸方向Yに並んだ貫通孔50に挿入して設置されるとともに、接点電極3と接触する接触面51を有するピン5が設置されている。よって、ピン5は、導電性を有しており、分割コイル4を周方向Zの位置を固定するとともに給電を行うものである。
【0014】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、複数のピン5は、コイル9の上端に設置され、ピン5の接触面51が、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。
【0015】
そして、各電極部10、20は、図1および図4に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル4の保持部42が挿入して設置される。これにより、各分割コイル4の径方向へのズレを制限できる。そして、各分割コイル4の軸方向Yに並んで配置された貫通孔50にピン5が設置される。これにより、各分割コイル4は、軸方向Yおよび周方向Zの位置が固定される。
【0016】
なお、複数の分割コイル4が軸方向Yに積層され形成されたコイル9は、固定側電極部10および可動側電極部20の両方に適用する例を示したが、これに限られることはなく、いずれか1方のみに適用してもよい。また、このことは、以下の実施の形態においても同様であるためその説明は適宜省略する。
【0017】
上記のように構成された実施の形態1の真空バルブによれば、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記円弧部は、軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記貫通孔が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、軸方向に並んだ前記貫通孔に挿入して設置されるとともに、前記接点電極と接触する接触面を有する導電性を有するピンを備えたので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、貫通孔へのピンの挿入により周方向および軸方向の固定ができる。これにより、分割コイル同士の軸方向、周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、真空バルブの製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
【0018】
さらに、前記分割コイルは、銅、または銅合金にて形成されたので、
プレス加工が容易にでき、かつ、真空バルブの電気伝導率を向上できる。
【0019】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。図6は、図5に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図7は、実施の形態2による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。また、以後の各実施の形態においては、各電極部10、20の異なる部分を中心に説明し、同様の部分の説明は適宜省略する。
【0020】
分割コイル4は、図5に示すように、アーム40の円弧部41には、それぞれ軸方向Yの上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部43を有し、第1傾斜部43よりも円弧部41の先端側の段差上面44と、第1傾斜部43よりも反先端側の段差下面45とは平行にて形成されている。そして、コイル9は、図6に示すように、分割コイル4の第1傾斜部43が、上層と下層との分割コイル4において接するように積層される。そして、軸方向Yの一番上方に設置された分割コイル4の段差上面44は接点電極3と接触する接触面51となる。
【0021】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、実施の形態1のように別部品としてピン5が必要なく、分割コイル4の積層のみにてコイル9を形成できるため、低コストになるとともに、作業性に優れている。そして、分割コイル4の上端の段差上面44が接触面51となり、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。
【0022】
そして、各電極部10、20は、図7に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル4の保持部42が挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル4の径方向へのズレを制限できる。そして、各分割コイル4の第1傾斜部43が上層と下層との分割コイル4において接するように積層されるため、各分割コイル4の反時計方向の周方向Zのズレを制限できる。
【0023】
上記のように構成された実施の形態2の真空バルブによれば、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するように積層され、軸方向の一番上方に設置された前記分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面であるので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、分割コイル同士の第1傾斜部の接触により、一方の周方向のズレを制限できる。これにより、分割コイル同士の一方の周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、真空バルブの製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
【0024】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。図9は、図8に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図10は、実施の形態3による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
分割コイル4は、図8に示すように、アーム40の円弧部41には、段差上面44よりも先端側に、軸方向Yの下方に向かって斜めに形成された第2傾斜部46を備える。そして、コイル9は、図9に示すように、分割コイル4の第1傾斜部43および第2傾斜部46が、上層と下層との分割コイル4において接するよう積層される。そして、軸方向Yの一番上方に設置された分割コイル4の段差上面44は接点電極3と接触する接触面51となる。
【0026】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、上記実施の形態2と同様に別部品としてピン5が必要なく、分割コイル4の積層のみにてコイル9を形成できるため、低コストになるとともに、作業性に優れている。そして、分割コイル4の上端の段差上面44が接触面51となり、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。
【0027】
そして、各電極部10、20は、図10に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル4の保持部42が挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル4の径方向へのズレを制限できる。そして、各分割コイル4の第1傾斜部43および第2傾斜部46が上層と下層との分割コイル4において接するように積層されるため、各分割コイル4の反時計方向および時計方向の両方の周方向Zのズレを制限できる。
【0028】
上記のように構成された実施の形態3の真空バルブによれば、
前記分割コイルの前記円弧部は、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の下方に向かって斜めに形成された第2傾斜部を有し、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部および前記第2傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するよう積層されたので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、分割コイル同士の第1傾斜部および第2傾斜部の接触により周方向のズレを制限できる。これにより、分割コイル同士の周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、真空バルブの製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
【0029】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。図12は、図11に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図13は、実施の形態4による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極の分解斜視図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
分割コイル4は、図11に示すように、保持部42に、径方向の外側に延びる切り欠き部47を複数箇所に備える。そして、コイル9は、図12に示すように、分割コイル4の切り欠き部47が周方向Zの位置が一致するように軸方向Yに積層される。分割コイル4の第1傾斜部43が、上層と下層との分割コイル4において接するよう積層される。そして、軸方向Yの一番上方に設置された分割コイル4の段差上面44は接点電極3と接触する接触面51となる。そして、図13に示すように、電極棒6の凸部60には、切り欠き部47に挿入される径方向の外側に突出するとともに軸方向Yに延びる突起部61を備える。
【0031】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、上記各実施の形態と同様に別部品としてピン5が必要なく、分割コイル4の積層のみにてコイル9を形成できるため、低コストになるとともに、作業性に優れている。そして、分割コイル4の上端の段差上面44が接触面51となり、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。
【0032】
そして、各電極部10、20は、図13に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル4の保持部42が挿入可能に設置されるとともに、電極棒6の凸部60の突起部61が各分割コイル4の切り欠き部47に挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル4の径方向および周方向へのズレを制限できる。
【0033】
なお、切り欠き部47と突起部61との関係は、以下の実施の形態においても同様であるため、その説明は適宜省略する。また、切り欠き部47と突起部61との関係は、特に、本実施の形態4に示した、分割コイル4同士が第1傾斜部43の接触により、各分割コイル4の周方向Zの一方向のみのズレが制限されている構成の場合、特に有効的である。
【0034】
上記のように構成された実施の形態4の真空バルブによれば、
前記分割コイルの前記保持部は、径方向の外側に延びる切り欠き部が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記切り欠き部が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、
前記電極棒は、前記切り欠き部に挿入される径方向の外側に突出し軸方向に延びる突起部を備え、
前記コイルの軸方向に並んだ前記切り欠き部に前記突起部が嵌合されているので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒の突起部との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、保持部の切り欠き部と電極棒の突起部との嵌合により、周方向のズレを制限できる。これにより、分割コイル同士の周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、真空バルブの製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
【0035】
実施の形態5.
図14は、実施の形態5による真空バルブの分割コイルの構成を示す斜視図である。図15は、図14に示した分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図16は、実施の形態5による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。図17は、図16に示した真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部とを組み合わせた状態を示す断面図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
分割コイル4は、図14に示すように、分割コイル4の中央部分には、後述する補強部16を設置するための保持部42が段差下面45よりも軸方向Yの下方に位置するように凹部48が形成される。そして、コイル9は、図15に示すように、分割コイル4の第1傾斜部43が、上層と下層との分割コイル4において接するよう積層される。図16に示すように、接点電極3とコイル9との間に、補強部16を備える。
【0037】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、上記各実施の形態と同様に別部品としてピン5が必要なく、分割コイル4の積層のみにてコイル9を形成できるため、低コストになるとともに、作業性に優れている。そして、分割コイル4の上端の段差上面44が接触面51となり、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。
【0038】
そして、各電極部10、20は、図16および図17に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル4の保持部42が挿入可能に設置されるとともに、電極棒6の凸部60の突起部61が各分割コイル4の切り欠き部47に挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル4の径方向および周方向へのズレを制限できる。そして、各分割コイル4の第1傾斜部43が上層と下層との分割コイル4において接するように積層されるため、各分割コイル4の2反時計方向の周方向Zのズレを制限できる。
【0039】
さらに、補強部16がコイル9の凹部48に嵌まりこんで、接点電極3とコイル9との間に設置され、接点電極3に当接するため、コイル9の機械的な強度が向上する。なお、コイル9と補強部16と接点電極3との関係は、以下の実施の形態においても同様であるため、その説明は適宜省略する。
【0040】
上記のように構成された実施の形態5の真空バルブによれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するとともに、
前記接点電極と前記コイルとの間に、前記接点電極に当接して支持する補強部を備えたので、
コイルの機械的な強度を向上できる。
【0041】
実施の形態6.
図18は、実施の形態6による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。図19は、実施の形態6による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。図20は、図18および図19に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図21は、実施の形態6による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
第1分割コイル401および第2分割コイル402は、図18および図19に示すよう、アーム40の円弧部41には、それぞれ軸方向Yの上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部43を有し、第1傾斜部43よりも円弧部41の先端側の段差上面44と、第1傾斜部43よりも反先端側の段差下面45とは平行にて形成されている。第1分割コイル401と第2分割コイル402との違いは、第1分割コイル401の段差下面45の長さW1(図18参照)が、第2分割コイル402の段差下面45の長さW2(図19参照)よりも長く形成される。
【0043】
そして、コイル9は、図21に示すように、下層を第1分割コイル401と、上層を第2分割コイル402として軸方向Yに、第1分割コイル401の第1傾斜部43と第2分割コイル402の第1傾斜部43とが離反して積層される。そして、コイル9の状態において、第1分割コイル401の段差上面44および第2分割コイル402の段差上面44の軸方向Yの高さが同じ高さになるように形成される。よって、第1分割コイル401の段差上面44および第2分割コイル402の段差上面44はいずれも接点電極3と接触する接触面51となる。
【0044】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、上記各実施の形態と同様に別部品としてピン5が必要なく、第1分割コイル401および第2分割コイル402の積層のみにてコイル9を形成できるため、低コストになるとともに、作業性に優れている。そして、第1分割コイル401および第2分割コイル402の段差上面44がいずれも接触面51となり、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。これにより、コイル9の電流経路を増加できるため、給電部分付近に発生する磁界が強くなり、遮断性能が向上する。
【0045】
そして、各電極部10、20は、図21に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル401、402の保持部42が挿入可能に設置されるとともに、電極棒6の凸部60の突起部61が各分割コイル401、402の切り欠き部47に挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル401、402の径方向および周方向へのズレを制限できる。そして、第1分割コイル401の段差上面44と第2分割コイル402の段差上面44とが軸方向Yにおいて同一の高さにて形成されているため、各分割コイル401、402の反時計方向の周方向Zのズレを制限できる。
【0046】
上記のように構成された実施の形態6の真空バルブによれば、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記段差下面の長さが、前記第2分割コイルの前記段差下面の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面であるので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、第1分割コイルの段差上面と第2分割コイルの段差上面とが軸方向において同一の高さにて形成されているため、一方の周方向のズレを制限できる。これにより、分割コイル同士の一方の周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
【0047】
実施の形態7.
図22は、実施の形態7による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。図23は、実施の形態7による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。図24は、図22および図23に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図25は、実施の形態7による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
第1分割コイル411および第2分割コイル412は、図22および図23に示すよう、アーム40の円弧部41には、それぞれ軸方向Yの上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部43を有し、第1傾斜部43よりも円弧部41の先端側の段差上面44と、第1傾斜部43よりも反先端側の段差下面45とは平行にて形成されている。第1分割コイル411と第2分割コイル412との違いは、第1分割コイル411の第1傾斜部43の傾斜角度θ1(図22参照)が、第2分割コイル412の第1傾斜部43の傾斜角度θ2(図23参照)よりも小さく形成される。
【0049】
そして、コイル9は、図24に示すように、下層を第1分割コイル411と、上層を第2分割コイル412として軸方向Yに、第1分割コイル401の第1傾斜部43と第2分割コイル402の第1傾斜部43とが離反して積層される。そして、コイル9の状態において、第1分割コイル411の段差上面44および第2分割コイル412の段差上面44の軸方向Yの高さが同じ高さになるように形成される。よって、第1分割コイル411の段差上面44および第2分割コイル412の段差上面44はいずれも接点電極3と接触する接触面51となる。
【0050】
このように形成された分割コイル4は、加工費が高価な機械加工(削り加工)ではなく、プレス加工にて形成可能である。よって、分割コイル4は、容易にプレス加工可能で、かつ電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を母材にて形成される。また、上記各実施の形態と同様に別部品としてピン5が必要なく、第1分割コイル411および第2分割コイル412の積層のみにてコイル9を形成できるため、低コストになるとともに、作業性に優れている。そして、第1分割コイル411および第2分割コイル412の段差上面44がいずれも接触面51となり、接点電極3に当接し、コイル9に給電する。これにより、コイル9の電流経路を増加できるため、給電部分付近に発生する磁界が強くなり、遮断性能が向上する。
【0051】
そして、各電極部10、20は、図21に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル401、402の保持部42が挿入可能に設置されるとともに、電極棒6の凸部60の突起部61が各分割コイル401、402の切り欠き部47に挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル401、402の径方向および周方向へのズレを制限できる。そして、第1分割コイル401の段差上面44と第2分割コイル402の段差上面44とが軸方向Yにおいて同一の高さにて形成されているため、各分割コイル401、402の反時計方向の周方向Zのズレを制限できる。
【0052】
上記のように構成された実施の形態7の真空バルブによれば、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続され接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度が、前記第2分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度よりも小さく形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面であるので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、第1分割コイルの段差上面と第2分割コイルの段差上面とが軸方向において同一の高さにて形成されているため、一方の周方向のズレを制限できる。これにより、分割コイル同士の一方の周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、真空バルブの製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
【0053】
実施の形態8.
図26は、実施の形態8による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。図27は、実施の形態8による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。図28から図30は、図22に示した第1分割コイル上に図27に示した1つの第2分割コイルを設置した状態を示す斜視図である。図31は、図26および図27に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図32は、図31のコイルのうち、第2分割コイルのみを組み合わせた状態を示す斜視図である。図33は、実施の形態8による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
第1分割コイル421は、図26に示すように、アーム40の円弧部41には、それぞれ軸方向Yの上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部43を有し、第1傾斜部43よりも円弧部41の先端側の段差上面44と、第1傾斜部43よりも反先端側の段差下面45とは平行にて形成されている。
【0055】
第2分割コイル422は、図27に示すように、電極棒6が挿入される環状の保持部42の一部となる部分保持部420と、部分保持部420の径方向の外側に延出するとともに、周方向Zの一方、ここでは反時計方向に弧状に延びる円弧部410を有する1つの第2アーム400を備える。第2分割コイル422の円弧部410は、軸方向Yの上方に向かって斜めに形成された第3傾斜部430を有し、第3傾斜部430よりも円弧部410の先端側の段差上面440と、第3傾斜部430よりも反先端側の段差下面450とは平行にて形成される。
【0056】
さらに、第2分割コイル422の円弧部410は、段差上面440よりも先端側に、軸方向Yの上方に向かって斜めに形成された第4傾斜部490を有し、第4傾斜部490よりも円弧部410の先端側に先端上面480と、段差上面440とは平行に形成されている。部分保持部420とは周方向Zの反する側に延在して他の第2分割コイル422の部分保持部420の外周に沿うように形成された外側保持部444を備える。そして、第2分割コイル422の円弧部410の長さは、第1分割コイル421の円弧部41の長さよりも長く形成されている。
【0057】
第1分割コイル421に、1つの第2分割コイル422を積層した状態を、図28から図30に示す。図29は、図28の状態から反時計回りに周方向Zに120°回転された状態を示し、図30は、図28の状態から反時計回りに周方向Zに240°回転された状態を示している。第1分割コイル421の1つのアーム40の第1傾斜部43と、第2分割コイル422の第3傾斜部430が接するように積層される。この状態では、第2分割コイル422の第2アーム400は、第1分割コイル421の他のアーム40に干渉しないように構成されている。
【0058】
そして、図31に示すように、コイル9は、第1分割コイル421の各アーム40に、第2分割コイル422をそれぞれ配置し、第1分割コイル421の各アーム40の第1傾斜部43と各第2分割コイル422の第3傾斜部430とが接するように積層される。また、第1分割コイル421上に積層された、3つの第2分割コイル422同士は、軸方向Yに離反して配置されている。そして、軸方向Yの上方に設置された3つの第2分割コイル422の先端上面480がそれぞれ接点電極3と接触する接触面51となる。
【0059】
さらに、また、第1分割コイル421上に積層された、3つの第2分割コイル422の部分保持部420および外側保持部444にて、電極棒6の凸部60が挿入される環状の保持部42が形成される。コイル9における、第1分割コイル421を除いた、3つの第2分割コイル422のみを組み合わせた状態を図32に示す。
【0060】
そして、各電極部10、20は、図33に示すように、電極棒6の凸部60に各分割コイル421、422の保持部42が挿入可能に設置されるとともに、電極棒6の凸部60の突起部61が各分割コイル421、422の切り欠き部47に挿入可能に設置される。これにより、各分割コイル421、422の径方向および周方向へのズレを制限できる。そして、第1分割コイル421の第1傾斜部43と各第2分割コイル422の第3傾斜部430とが接して配置されているため、反時計方向の周方向Zのズレを制限できる。
【0061】
さらに、第2分割コイル422の円弧部410の長さが、第1分割コイル421の長さよりも長く形成されているため、電流経路が長くでき、これにより発生する磁界が強くなることで遮断性能が向上できる。
【0062】
上記のように構成された実施の形態8の真空バルブによれば、
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、
前記第1分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記第1分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記第2分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部となる部分保持部と、
前記部分保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する1つの第2アームを備え、
前記第2分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第3傾斜部を有し、前記第3傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第3傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第4傾斜部を有し、前記第4傾斜部よりも前記円弧部の先端側の先端上面と、前記段差上面とは平行に形成され、
前記第2分割コイルの前記円弧部の長さは、前記第1分割コイルの前記円弧部の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、最下層を前記第1分割コイルとし、前記第1分割コイルの1つの前記アームの上に1つの前記第2分割コイルをそれぞれ配置し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第3傾斜部とを接するように積層され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイル同士は、軸方向において離反して配置され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイルの前記部分保持部にて前記保持部が形成され、複数の前記第2分割コイルの前記先端上面は、前記接点電極と接触する接触面であるので、
分割コイル同士を、保持部と電極棒との嵌合により、径方向へのズレを制限でき、さらに、第1分割コイルの第1傾斜部と第2分割コイルの第3傾斜部との接触により、一方の周方向のズレを制限できる。これにより、分割コイル同士の一方の周方向、および、径方向の位置決めができ、縦磁界電極の組立性が向上する。よって、真空バルブの製造の効率性を向上できるとともに、信頼性を向上できる。
さらに、分割コイルを上記のような形状とすることで、プレス加工で製造することが可能となり、縦磁界電極を組み込んだ真空バルブの製造コストを低減できる。
さらに、電流経路が長くでき、これにより発生する磁界が強くなることで遮断性能が向上できる。
【0063】
実施の形態9.
図34は、実施の形態9による真空バルブの第1分割コイルの構成を示す斜視図である。図35は、実施の形態9による真空バルブの第2分割コイルの構成を示す斜視図である。図36は、図34および図35に示した第1分割コイルおよび第2分割コイルにて形成する真空バルブのコイルの構成を示す斜視図である。図37は、実施の形態9による真空バルブのコイルと電極棒と接点電極と補強部との分解斜視図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施の形態9おいて、上記実施の形態8との異なる部分は、各図34から図37において示すように、第1分割コイルの円弧部41および保持部の外周側、および、第2分割コイルの円弧部41および外側保持部の外周側に、R加工Aが施されている。このように、R加工Aを施すことでエッジ部分がなくなり、電界が緩和され、耐電圧性能が向上する。なお、本実施の形態9では、上記実施の形態8と同様の構成の例を示したが、これに限られることはなく、他の実施の形態においても同様にR加工を行うことが可能であり、同様の効果を奏することができる。
【0065】
上記のように構成された実施の形態9の真空バルブによれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するとともに、
前記分割コイルの外周は、R加工にて形成されたので、
電界が緩和され、耐電圧性能を向上できる。
【0066】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0067】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0068】
(付記1)
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記円弧部は、軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記貫通孔が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、軸方向に並んだ前記貫通孔に挿入して設置されるとともに、前記接点電極と接触する接触面を有する導電性を有するピンを備えた真空バルブ。
(付記2)
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するように積層され、軸方向の一番上方に設置された前記分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
(付記3)
前記分割コイルの前記円弧部は、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の下方に向かって斜めに形成された第2傾斜部を有し、
前記コイルは、前記分割コイルの前記第1傾斜部および前記第2傾斜部が、上層と下層との前記分割コイルにおいて接するよう積層された付記2に記載の真空バルブ。
(付記4)
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記段差下面の長さが、前記第2分割コイルの前記段差下面の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
(付記5)
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続され接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
各前記分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度が、前記第2分割コイルの前記第1傾斜部の傾斜角度よりも小さく形成され、
前記コイルは、下層を前記第1分割コイルと、上層を前記第2分割コイルとして軸方向に、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第1傾斜部とが離反して積層され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面の軸方向の高さが同じ高さに形成され、前記第1分割コイルの前記段差上面および前記第2分割コイルの前記段差上面は前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
(付記6)
真空容器内に軸方向に対向して配置され、電極棒により互いに接離可能に設けられた一対の電極部を備えた真空バルブにおいて、
少なくとも一方の前記電極部は、前記電極棒に設置されるコイルと、前記コイルと接続される接点電極とを有し、
前記コイルは、複数の分割コイルが軸方向に積層して形成され、
前記分割コイルは、第1分割コイルおよび第2分割コイルの2種類を有し、
前記第1分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部と、
前記保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する複数のアームを備え、
前記第1分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第1傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、
前記第2分割コイルは、前記電極棒が挿入される環状の保持部となる部分保持部と、
前記部分保持部の径方向の外側に延出するとともに、周方向の一方に弧状に延びる円弧部を有する1つの第2アームを備え、
前記第2分割コイルの前記円弧部は、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第3傾斜部を有し、前記第3傾斜部よりも前記円弧部の先端側の段差上面と、前記第3傾斜部よりも反先端側の段差下面とは平行にて形成され、前記段差上面よりも前記先端側に、軸方向の上方に向かって斜めに形成された第4傾斜部を有し、前記第4傾斜部よりも前記円弧部の先端側の先端上面と、前記段差上面とは平行に形成され、
前記第2分割コイルの前記円弧部の長さは、前記第1分割コイルの前記円弧部の長さよりも長く形成され、
前記コイルは、最下層を前記第1分割コイルとし、前記第1分割コイルの1つの前記アームの上に1つの前記第2分割コイルをそれぞれ配置し、前記第1分割コイルの前記第1傾斜部と前記第2分割コイルの前記第3傾斜部とを接するように積層され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイル同士は、軸方向において離反して配置され、前記第1分割コイルの上に積層された複数の前記第2分割コイルの前記部分保持部にて前記保持部が形成され、複数の前記第2分割コイルの前記先端上面は、前記接点電極と接触する接触面である真空バルブ。
(付記7)
前記分割コイルの前記保持部は、径方向の外側に延びる切り欠き部が形成され、
前記コイルは、前記分割コイルの前記切り欠き部が周方向の位置が一致するように軸方向に積層され、
前記電極棒は、前記切り欠き部に挿入される径方向の外側に突出し軸方向に延びる突起部を備え、
前記コイルの軸方向に並んだ前記切り欠き部に前記突起部が嵌合されている付記1から付記6のいずれか1項に記載の真空バルブ。
(付記8)
前記接点電極と前記コイルとの間に、前記接点電極に当接して支持する補強部を備えた付記1から付記7のいずれか1項に記載の真空バルブ。
(付記9)
前記分割コイルの外周は、R加工にて形成された付記1から付記8のいずれか1項に記載の真空バルブ。
(付記10)
前記分割コイルは、銅、または銅合金にて形成された付記1から付記9のいずれか1項に記載の真空バルブ。
【符号の説明】
【0069】
1 真空容器、12 カバー、13 ベローズ、15 ガイド、16 補強部、
10 固定側電極部、100 真空バルブ、2 シールド、20 可動側電極部、
3 接点電極、4 分割コイル、401 第1分割コイル、402 第2分割コイル、
411 第1分割コイル、412 第2分割コイル、421 第1分割コイル、
422 第2分割コイル、40 アーム、400 第2アーム、41 円弧部、
410 円弧部、42 保持部、420 部分保持部、43 第1傾斜部、
430 第3傾斜部、44 段差上面、440 段差上面、45 段差下面、
450 段差下面、46 第2傾斜部、47 切り欠き部、48 凹部、
480 先端上面、490 第4傾斜部、5 ピン、50 貫通孔、51 接触面、
6 電極棒、61 突起部、60 凸部、7 端板、A R加工、Q 中心軸、
Y 軸方向、Z 周方向、θ1 傾斜角度、θ2 傾斜角度、W1 長さ、W2 長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37