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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172710
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】タンブラー
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A47G19/22 A
A47G19/22 C
B65D81/38 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090600
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】513125304
【氏名又は名称】仲吉商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 二美
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(72)【発明者】
【氏名】屋田 高路
【テーマコード(参考)】
3B001
3E067
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001BB10
3B001CC11
3B001CC36
3E067AA03
3E067AB26
3E067BA07A
3E067BB13A
3E067BB30A
3E067BC03A
3E067CA18
3E067EE40
3E067FA04
3E067FC03
3E067GA11
(57)【要約】
【課題】飲料を収容可能な凹部を有する木製又は竹製の第一容器部と、前記第一容器部より外周寸法が小さい木製又は竹製の第二容器部と、を備え、前記第一容器部の上端は前記第二容器部の外周に接着され、前記外側容器部と前記内側容器部との間に空気層を有することで、保温性能及び保冷性能が高いタンブラーを提供すること。
【解決手段】二重構造のタンブラーであって、飲料を収容可能な凹部を有する木製又は竹製の第一容器部と、前記第一容器部の前記凹部の外側に配置され、前記第一容器部より外周寸法及び底面積が大きい木製又は竹製の第二容器部と、を備え、前記第一容器部と前記第二容器部との間に空気層を有することを特徴とするタンブラーを提供する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重構造のタンブラーであって、
飲料を収容可能な凹部を有する木製又は竹製の第一容器部と、
前記第一容器部の前記凹部の外側に配置され、前記第一容器部より外周寸法及び底面積が大きい木製又は竹製の第二容器部と、を備え、
前記第一容器部と前記第二容器部との間に空気層を有することを特徴とするタンブラー。
【請求項2】
前記第一容器部の高さ寸法が前記第二容器部の高さ寸法より大きく、且つ、前記第一容器部の上部に飲み口部が設けられると共に、前記第二容器部の上端が前記第一容器部の外周に接着されていることを特徴とする請求項1に記載のタンブラー。
【請求項3】
前記第一容器部または前記第二容器部いずれか1つが炭化処理した竹素材からなることを特徴とする請求項1に記載のタンブラー。
【請求項4】
前記第一容器部または前記第二容器部いずれか1つが炭化処理した竹素材からなることを特徴とする請求項2に記載のタンブラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製又は竹製の二重構造のタンブラーに関する。
【背景技術】
【0002】
木材を切り出して成形される木製食器、竹材を削り出して成形される竹製食器は、軽くて扱いやすいこと、温かみがあり手触りが良いことから、飲料容器としても、広く使用されている。木製や竹製の飲料容器は、木のぬくもりが唇に触れて口当たりが良く、また、木や竹は、熱伝導率が低いので熱い飲料を入れても容器が熱くなりにくく、手で持ちやすいという利点がある。
【0003】
特許文献1のタンブラーは、合成樹脂製の容器を二重構造として間に空気層を設けることにより、容器内の温度を低温のまま保ち、飲料の保冷を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-147587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のタンブラーは、合成樹脂製の容器を二重構造としており、容器内の温度を低温のまま保ち、飲料の保冷を可能としているが、素材が合成樹脂製であることから、タンブラーを手に持ったときの手の感触や、唇が触れる部分の感触が硬くて冷たい。
【0006】
本発明では、木製又は竹製の容器を二重構造として間に空気層を設け、容器内の温度を一定に保つ保冷又は保温効能を持ちつつ、手に持ったときの感触や唇が触れたときの感触が柔らかく、且つ、抗菌性能も備える衛生的なタンブラーを提供する。また、本発明のタンブラーは、間に空気層を有する二重構造であるため結露しにくい。コースターが不要となるので、アウトドア利用、飲食店等での利用にも適している。さらに、本発明のタンブラーは、素材に竹材または木材を用いることで、ステンレスやプレスチックでは作れない曲線的な造形を可能としている。中央部のくびれ、飲み口近傍のくびれ等、全体的に美しい曲線のラインを有しており、手に持ちやすく、飲みやすいタンブラーとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタンブラーは、二重構造のタンブラーであって、飲料を収容可能な凹部を有する木製又は竹製の第一容器部と、前記第一容器部の前記凹部の外側に配置され、前記第一容器部より外周寸法及び底面積が大きい木製又は竹製の第二容器部と、を備え、前記第一容器部と前記第二容器部との間に空気層を有することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、木製又は竹製の第一容器部と、前記第一容器部の前記凹部の外側に配置され、前記第一容器部より外周寸法及び底面積が大きい木製又は竹製の第二容器部と、で二重構造となっており、前記第一容器部と前記第二容器部との間に空気層を有するので、第一容器部内の飲料の温度が外気によって変動せず、飲料の温度を、そのまま維持することができ、保冷効果及び保温効果が高いタンブラーを提供することができる。
【0009】
また、この発明のタンブラーは、第一容器部の高さ寸法が第二容器部の高さ寸法より大きく、且つ、前記第一容器部の上部に飲み口部が設けられると共に、前記第二容器部の上端が前記第一容器部の外周に接着されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、第一容器部が第二容器部より高さがあり、上部に飲み口部が設けられているので、第一容器部内の飲料を冷たい状態のまま又は暖かい状態のまま、口まで到達させ飲むことができる。また、第二容器部の上端が前記第一容器部の外周に接着されているので、手に持って飲む際に、第一容器部と第二容器部がバラバラになったり、第一容器部が第二容器部から抜けてしまったりすることがなく、快適に飲むことができ、携帯にも便利である。
【0011】
また、この発明のタンブラーは、第一容器部または第二容器部いずれか1つが炭化処理した竹素材からなることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、炭化処理した竹素材の色が、炭化処理しない竹素材の色と対照的なカラーコントラストを構成し、デザイン性の高いタンブラーを提供することができる。炭化処理で行う着色は、塗料を塗布する着色に比べ、色が褪せたり、塗料が剥がれる心配がなく、綺麗な色彩とコントラストを半永久的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態のタンブラーを示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態のタンブラーを示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態のタンブラーを示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態のタンブラーを示す底面図である。
図5】本発明の実施の形態のタンブラーを示す平面図である。
図6図5に示したタンブラーのA-A断面図である。
図7】本発明の実施の形態のタンブラーの外側部1の参考断面図である。
図8】本発明の実施の形態のタンブラーの内側部2の参考断面図である。
図9】本発明の実施の形態のタンブラーの構造を説明するための外側部1と内側部2の参考断面図である。
図10】本発明の実施の形態のタンブラーの使用状態を示す参考斜視図である。
図11】本発明の実施の形態のタンブラーを示す斜視図である。
図12】本発明の実施の形態のタンブラーを示す正面図である。
図13】本発明の実施の形態のタンブラーを示す平面図である。
図14】本発明の実施の形態のタンブラーを示す底面図である。
図15図5に示したタンブラーのA-A断面図である。
図16】本発明の実施の形態のタンブラーの外側部1の参考断面図である。
図17】本発明の実施の形態のタンブラーの内側部2の参考断面図である。
図18】本発明の実施の形態のタンブラーの構造を説明するための外側部1と内側部2の参考断面図である。
図19】本発明の実施の形態のタンブラーを示す斜視図である。
図20】本発明の実施の形態のタンブラーを示す斜視図である。
図21】本発明の実施の形態のタンブラーを示す正面図である。
図22】本発明の実施の形態のタンブラーを示す背面図である。
図23】本発明の実施の形態のタンブラーを示す右側面図である。
図24】本発明の実施の形態のタンブラーを示す左側面図である。
図25】本発明の実施の形態のタンブラーを示す平面図である。
図26】本発明の実施の形態のタンブラーを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態のタンブラー100を示す斜視図であり、図2は正面図である。図3は、本発明の実施の形態のタンブラー100を示す平面図であり、図4は、底面図である。
【0016】
図1に示すように、本発明のタンブラー100は、上部が開口した有底円筒形状であり、中央付近がくびれた形状である。中央付近がくびれていることで、手に持ったときに握りやすく、手にフィットしやすいものとなっている。本発明のタンブラー100は、第一容器部1と第二容器部2からなる二重構造であり、飲料を収容可能な凹部を有する第一容器部1と、第一容器部1よりも一回り大きな外周と底面を有する第二容器部2とを主に有する。
【0017】
図2に示すように、第二容器部2は、中央がくびれた有底円筒形状であり、下部は、少し絞られ下端部21となっている。図3に示すように、第二容器部2の内側には第一容器部1が収容されている。第一容器部1は、有底円筒形状であり、第二容器部2よりも外周寸法が小さく、底面積も小さい。また、第一容器部1は、第二容器部2の内側に設けられているが、第一容器部1の高さ寸法は、第二容器部2の高さ寸法より大きいので、第一容器部1の上方は、第二容器部2から露出し、第一容器部1の上端は、飲み口部11となっている。
【0018】
第二容器部2の上端の外周寸法と、第一容器部1の外周であって、第一容器部1の内側に第二容器部2を収納した際に第二容器部2の上端が対応する部分の外周寸法は、略同じ寸法である。第二容器部2の上端と、第一容器部1の対応する部分とは接着されており、第二容器部2が抜け落ちることがないように固定されている。
【0019】
図4に示すように、タンブラー100の底面には、高台22が設けられており、その内側は裏面23となっている。高台22が設けられていることで、タンブラー100の裏面23が床やテーブル等に直接触れず、木材が蒸れたり、カビたりすることを防いでいる。
【0020】
図5は、本発明のタンブラー100を示す平面図であり、図6は、図5に示したタンブラー100のA-A断面図である。図5に示すように、第二容器部2の上端は、第一容器部1の外周と接着されており、第一容器部1と第二容器部2の間には、僅かな空間が設けられ空気層3となっている。空気層3は、外気を遮断し、第一容器部1内の温度を一定に保つ役目を担っている。空気層3が設けられていることで、第一容器部1内に収容された飲料の温度が変動しにくく、熱い飲料は熱いまま、冷たい飲料は冷たいままの温度を維持することが可能となっている。また、空気層3は、第一容器部1内の飲料の温度と、外気との気温差を緩和するので、タンブラー100の表面が結露することも予防することができる。手に持つ部分は、いつでもサラリと乾いた感触で手触りが非常に良いタンブラー100とすることができる。
【0021】
図7に示すように、飲料を収容する凹部を備えた第一容器部1は、上部が開口した形状であり、上方に行くほど外周寸法が大きくなっている。第一容器部1の内径は、a2>a1となっている。第一容器部1は、内部に飲料を収容する凹部を有するが、飲料が溜まる部分は、第二容器部2との間に空気層3を設けているため、内径寸法が、上端内径よりも小さくなっている。
【0022】
第一容器部1は、第二容器部2の内側容器として内側に挿入されるが、第一容器部1の高さ寸法は、第二容器部2より大きく、上部付近、すなわち図7中のa3部分は、第二容器部2から露出している。第一容器部1のa3部分から下は、厚みが薄くなっており、厚みが変わる部分が段になって、接続部14となっている。接続部14は、第二容器部2の上端と接着され固定される。
【0023】
接着部14の幅は、第二容器部2の上端の厚みと略同じ寸法となっている。第一容器部1を作成する際、最初は、接着部14の幅は、第二容器部2の上端の厚みよりも大きい寸法になるように作成する。そのあと、第一容器部1を第二容器部2に嵌めた状態にして、第一容器部1の接着部14の幅が第二容器部2の上端の厚みと略同じになるように第一容器部1の接着部14を削る。接着部14の幅を、第二容器部2の上端の厚みと略同じ寸法まで削ることで、タンブラー100の表面に凸凹が生じず、滑らかな表面となり、手触りが良い仕様となっている。接続部14と、第二容器部2の上端は、接着せず、互いに着脱可能とした仕様として、洗浄時や保管時は取り外して洗ったり保管したりできるようにしても良い。
【0024】
図8に示すように、第一容器部1を内側に収納する第二容器部2は、上部が開口した形状であり、かつ、中央部分がくびれた有底の略円筒形状となっている。第二容器部2は、略円筒形状であるが、中央近傍が若干くびれており、内径は、b3>b2かつb3>b1となっている。タンブラー100においては、b1は、b2より僅かに大きい内径である。b1とb2は略同径の寸法としても良い。第二容器部2は、第一容器部1の外側に設けられるが、第一容器部1と第二容器部2との間隙に空気層3を設けるため、第二容器部2の内径は、上端部以外のどの部分も、対応する第一容器部1の内径よりも大きくなっている。
【0025】
第一容器部1は、第二容器部2よりも外周寸法が小さいので、第一容器部1と第二容器部2とを重ねたときに、第一容器部1と第二容器部2の間に間隙が生じ、空気層3が形成される。空気層3は、第一容器部1の内側に収容された飲料の温度を一定とする働きを担う。空気層3が設けられていることで、外気温が空気層3の部分で緩和され、第一容器部1内の温度への影響を最小限とすることができる。
【0026】
本発明のタンブラー100を製造する際は、図9に示すように、第一容器部1を、第二容器部2の内側に奥まで挿入し、第二容器部2の上端を、第一容器部1の外周部分に設けられた突起部分と接着して固定する。
【0027】
本発明のタンブラー100では、第一容器部1と第二容器部2の上端を接着しているが、第一容器部1と第二容器部2は、重ねるだけとして、接着せず、脱着可能としても良い。第一容器部1と第二容器部2を脱着可能とすると、使用後は、第一容器部1と第二容器部2を取り外して、それぞれ洗浄でき、衛生的なタンブラー100とすることができる。
【0028】
また、本発明のタンブラー100は、木製素材又は竹製素材からなるので、図10に示すように、手に持ったとき、ひやっとしたり硬い手触りになったりせず、やわらかく、手の温度になじみやすいタンブラー100とすることができる。本発明のタンブラー100の素材は、あらゆる木材のほか竹材も用いることができる。タンブラー100の第一容器部1と第二容器部2を、竹素材とすると、竹の抗菌性能を生かした衛生的なタンブラー100とすることができる。
【0029】
また、本発明のタンブラーは、図19から図26に示すように、第二容器部2は、炭化処理した竹素材を用いて、第一容器部1は、炭化処理しない竹素材を用いることができる。炭化処理した第二容器部2と、炭化処理しない第一容器部1とで、色彩が異なるので、対照的なカラーコントラストを構成し、デザイン性の高いタンブラー100を提供することができる。炭化処理で行う着色は、塗料を塗布する着色に比べ、色が褪せたり、塗料が剥がれる心配がないので、綺麗な色彩とコントラストを半永久的に保持することができる。従って、長期間に渡って使用しても、色が劣化せず、いつでも綺麗な状態のタンブラー100とすることができる。
【0030】
本発明のタンブラー100は、第二容器部2を炭化処理した竹素材としたが、第一容器部1を炭化処理した竹素材とし、第二容器部2を炭化処理しない竹素材としても良い。第一容器部1と第二容器部2の色を変えることで、デザイン性の高いタンブラー100とすることができる。
【0031】
本発明のタンブラー100は、間に空気層を有する二重構造であるため結露しにくい。コースターが不要となるので、アウトドア利用、飲食店等での利用にも適している。また、本発明のタンブラー100は、中央部のくびれ、飲み口近傍のくびれ等が、全体的に美しい曲線のラインを有し、手に持ちやすく、飲みやすい形状となっている。タンブラー100は、素材に竹材または木材を用いることで、ステンレスやプレスチックでは作れない曲線的な造形を可能としている。
【符号の説明】
【0032】
100 タンブラー
1 第一容器部
11 飲み口部
12 内壁
13 底部
14 接続部
2 第二容器部
20 外側面
21 下端部
22 高台
23 裏面
3 空気層
H 人
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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