IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-異常検知システム 図1
  • 特開-異常検知システム 図2
  • 特開-異常検知システム 図3
  • 特開-異常検知システム 図4
  • 特開-異常検知システム 図5
  • 特開-異常検知システム 図6
  • 特開-異常検知システム 図7
  • 特開-異常検知システム 図8
  • 特開-異常検知システム 図9
  • 特開-異常検知システム 図10
  • 特開-異常検知システム 図11
  • 特開-異常検知システム 図12
  • 特開-異常検知システム 図13
  • 特開-異常検知システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172713
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】異常検知システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A47K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090605
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】野村 航希
(72)【発明者】
【氏名】早田 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037EA01
(57)【要約】
【課題】トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行すること。
【解決手段】実施形態に係る異常検知システムは、トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用を検知する検知部と、前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定し、前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合、判定結果を示す情報を外部に報知する制御部とを備え、前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用を検知する検知部と、
前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、
前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定し、前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合、判定結果を示す情報を外部に報知する制御部と、
を備え、
前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能であることを特徴とする異常検知システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の使用対象における前記一の使用対象の使用傾向に基づき算出される情報の取得件数を含む前記一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の使用対象のうち前記一の使用対象以外の他の使用対象と、前記一の使用対象との使用傾向との比較に基づき算出される前記一の使用対象に対応する特徴値を含む前記一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記複数の使用対象の各々の使用時刻の過去履歴を示す前記履歴情報を記録し、前記過去履歴を出力可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記判定結果を示す情報を管理者に通知し、
前記記憶部は、
前記管理者が入力した前記判定結果に対する前記管理者の正誤判断結果を示す情報を記憶可能であり、前記管理者の正誤判断結果を含む前記過去履歴を出力可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定することにより、前記複数の判定基準を自動で調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記制御部は、
所定のタイミングで前記複数の使用対象の各々に対応する判定基準を更新する処理を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の異常検知システム。
【請求項8】
前記記憶部は、
前記複数の使用対象の各々の少なくとも前回の判定結果を記録し、
前記制御部は、
前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合に、前記前回の判定結果が異常を示す場合、前記判定結果を示す情報を外部に報知しない
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記一の使用対象に異常が生じたと判定した後に、前記一の使用対象が使用された場合、前記判定結果を示す情報の外部への報知を停止する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の異常検知システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記一の使用対象に異常が生じたとの判定を取り消したことを通知する
ことを特徴とする請求項9に記載の異常検知システム。
【請求項11】
トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用が検知部により検知された検知情報を取得する取得部と、
前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、
前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する制御部と、
を備え、
前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能であることを特徴とする異常検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、異常検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大便器が配置されるトイレブース等のトイレの使用対象について異常を検知するシステムが知られている(例えば特許文献1)。例えば、特許文献1に記載されたシステムでは、各トイレブースのドアの開閉頻度の差が所定の値以上の差となった場合に異常と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-133066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術には改善の余地がある。例えば、パブリックトイレでは、トイレブース、小便器、水栓機器等の同一種別の使用対象が複数並べて配置(レイアウト)されるため、レイアウトに応じて同一種別の使用対象間で使用回数に偏りが存在する。上記の従来技術の場合、このように同一種別の使用対象間で使用回数の偏りが生じ、一の使用対象と他の使用対象の使用回数に差が発生したことを、異常と誤って判定してしまう場合がある。このように、上記の従来技術による異常判定には改善の余地がある。そのため、トイレブース等のトイレの使用対象の異常の誤判定や誤判定に基づく処理等を抑制するために、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することが望まれている。
【0005】
上記のような点を鑑みて、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することが課題となる。
【0006】
開示の実施形態は、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる異常検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る異常検知システムは、トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用を検知する検知部と、前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定し、前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合、判定結果を示す情報を外部に報知する制御部と、を備え、前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能であることを特徴とする。
【0008】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、複数の使用対象(「トイレ機器」ともいう)の各々の使用傾向に基づいて、自動または手動で調整可能であり、複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて一の使用対象に異常判定を行うことにより、各使用対象の配置等に基づく使用傾向を加味した判定基準を用いて適切に異常判定を行うことができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。なお、使用対象についての例示は後述するが、例えば大便器、大便器が設けられたトイレブース、小便器、洗面台、トイレ空間等の様々な対象であってもよい。
【0009】
例えば、使用対象の配置によって、もともと使用されやすい使用対象、使用されにくい使用対象があると、使用されにくい傾向がある使用対象に対して、異常ではないのに異常と誤判定してしまう可能性がある。そのため、異常検知システムでは、使用対象ごとに判定基準を変更することで、もともと使用されにくい使用対象に対して基準を緩める等で調整することで、異常ではないのに異常と誤判定してしまうことを抑制できる。このように、異常検知システムでは、他の使用対象と比較した特定の使用対象の使用傾向に応じた判定基準を用いて異常と判定するため、例えば夜間や偶々トイレ空間に来る人が少なかった際に誤って異常と判定して外部に連絡してしまうことを抑制し、精度よく異常を判定できる。
【0010】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、前記複数の使用対象における前記一の使用対象の使用傾向に基づき算出される情報の取得件数を含む前記一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、複数の使用対象ごとに算出される情報の取得件数を含む判定基準のうち、一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて一の使用対象に異常判定を行うことにより、使用対象ごとに判定基準を変動させて異常判定を行うことができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。このように、異常検知システムでは、使用対象ごとに情報の取得件数を変更することで、使用されにくい傾向がある使用対象に対して取得件数を多くすること等で調整することで、異常ではないのに異常と誤判定してしまうことを抑制できる。
【0012】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、前記複数の使用対象のうち前記一の使用対象以外の他の使用対象と、前記一の使用対象との使用傾向との比較に基づき算出される前記一の使用対象に対応する特徴値を含む前記一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、複数の使用対象ごとに算出される特徴値を含む判定基準のうち、一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて一の使用対象に異常判定を行うことにより、使用対象ごとに判定基準を変動させて異常判定を行うことができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。このように、異常検知システムでは、使用対象ごとに算出した特徴値を用いることで、使用されにくい傾向がある使用対象に対しても適切に特徴値が調整されることで、異常ではないのに異常と誤判定してしまうことを抑制できる。
【0014】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記記憶部は、前記複数の使用対象の各々の使用時刻の過去履歴を示す前記履歴情報を記録し、前記過去履歴を出力可能であることを特徴とする。
【0015】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、過去の履歴を踏まえ、異常判定を変更できるとともに、過去履歴を出力可能であることにより、適切に判定に関する情報を出力可能となる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0016】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、前記判定結果を示す情報を管理者に通知し、前記記憶部は、前記管理者が入力した前記判定結果に対する前記管理者の正誤判断結果を示す情報を記憶可能であり、前記管理者の正誤判断結果を含む前記過去履歴を出力可能であることを特徴とする。
【0017】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、判定結果について管理者による正誤判断の情報を用いることにより、判定結果が正しかったのか、誤判定だったのかを踏まえて、判定基準の変更が可能になるため、より精度の良い判定基準の変更が可能となる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0018】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、前記複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定することにより、前記複数の判定基準を自動で調整することを特徴とする。
【0019】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、複数の使用対象の各々の判定基準を自動で調整することにより、複数ある使用対象の判定基準の設定を一つ一つ手動でする手間を省くことができる。また、使用対象ごとに判定基準が異なるため、手動で複数の使用対象の判定基準を設定することで発生するミスを防止することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0020】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、所定のタイミングで前記複数の使用対象の各々に対応する判定基準を更新する処理を実行することを特徴とする。
【0021】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、所定のタイミングで複数の使用対象の各々に対応する判定基準を更新することにより、各使用対象の使用傾向に変化が生じた場合であっても、変化に対応した判定基準に更新することが可能となる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0022】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記記憶部は、前記複数の使用対象の各々の少なくとも前回の判定結果を記録し、前記制御部は、前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合に、前記前回の判定結果が異常を示す場合、前記判定結果を示す情報を外部に報知しないことを特徴とする。
【0023】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、一の使用対象に異常が生じたと判定しても、前回の判定結果が異常を示す場合外部に報知しないことで、不要な報知を抑制することができ、例えば何度も通知が来て管理者等の通知先への負担が増大すること等がなくなる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0024】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、前記一の使用対象に異常が生じたと判定した後に、前記一の使用対象が使用された場合、前記判定結果を示す情報の外部への報知を停止することを特徴とする。
【0025】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、一の使用対象に異常が生じたと判定した後に、一の使用対象が使用された場合、その一の使用対象が使用可能である、すなわちその一の使用対象が正常であると判定(推定)し、外部への報知を停止することで、異常誤報知に対する対処を行う手間をなくすことができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0026】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記制御部は、前記一の使用対象に異常が生じたとの判定を取り消したことを通知することを特徴とする。
【0027】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、一の使用対象に異常が生じたと判定した後に、一の使用対象が使用された場合、一の使用対象に異常が生じたとの判定を取り消したことを通知することで、使用され異常判定が取り消されたことを通知することでき、一の使用対象の状態について、異常なのか正常なのかの混乱が生じることを抑制することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【0028】
実施形態の一態様に係る異常検知システムは、トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用が検知部により検知された検知情報を取得する取得部と、前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する制御部と、を備え、前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能であることを特徴とする。
【0029】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、複数の使用対象(トイレ機器)の各々の使用傾向に基づいて、自動または手動で調整可能であり、複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて一の使用対象に異常判定を行うことにより、各使用対象の配置等に基づく使用傾向を加味した判定基準を用いて適切に異常判定を行うことができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【発明の効果】
【0030】
実施形態の一態様によれば、トイレの使用対象の異常判定に関する処理を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施形態に係る異常検知処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るトイレの利用対象の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る異常検知システムの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る収集情報記憶部の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る設定情報記憶部の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る判定情報記憶部の一例を示す図である。
図9図9は、異常検知システムが実行する異常検知処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、判定基準の更新の一例を示す図である。
図11図11は、異常検知システムにおける判定基準の一例を示す図である。
図12図12は、異常検知システムが実行する判定基準の更新の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、異常検知システムが実行する判定基準の更新の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、取得件数の決定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する異常検知システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0033】
<1.実施形態>
<1-1.異常検知処理概要>
まず、実施形態に係る異常検知システム1(図3参照)において実行される異常検知の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る異常検知処理の一例を示す図である。
【0034】
図1では、大便器10が配置されたトイレブースTB(単に「ブースTB」ともいう)を対象として、異常検知システム1が異常判定を行う場合を説明する。なお、異常検知の対象は、トイレの使用対象であればトイレブースTBに限らず、大便器10であってもよいし、図2中に示すトイレ空間2、小便器20及び洗面器30等の様々なトイレの使用対象であってもよいが、詳細は後述する。
【0035】
以下、図1に示す処理例について説明する、具体的には、図1では、大便器1011が配置されるトイレブースTB1、大便器1012が配置されるトイレブースTB2及び大便器1013が配置されるトイレブースTB3の3つのトイレブースTBを対象として、異常検知システム1が異常判定を行う。例えば、異常検知システム1の解析装置100(図3参照)は、図1に示す処理を実行する。
【0036】
異常検知システム1は、異常判定の対象(「処理対象」ともいう)となるトイレブースTB1~TB3の3つの使用対象の各々の使用に関する情報を収集する。異常検知システム1は、トイレブースTB1~TB3の各々の使用を示す履歴情報を記憶部120(図4参照)に記憶する。すなわち、異常検知システム1は、同じ種別の複数の使用対象の各々についての使用を示す履歴情報を記憶部120に記憶する。図1では、異常検知システム1は、トイレブースTB1~TB3の各々の使用を示す履歴情報DT1を記憶する。履歴情報DT1は、各トイレブースTBを識別する情報に、各トイレブースTBに対応する検知部101によりその情報が検知された日時、及びその種別が入室または退室のいずれを示す情報が対応付けられた情報(収集情報)である。
【0037】
また、異常検知システム1は、トイレブースTB1~TB3の各々の使用傾向に基づいて、トイレブースTB1~TB3ごとに決定された複数の判定基準を記憶部120に記憶する。すなわち、異常検知システム1は、同じ種別の複数の使用対象の各々について、それらの使用傾向に基づいて各使用対象に設定される判定基準を示す情報を記憶部120に記憶する。図1では、異常検知システム1は、トイレブースTB1~TB3の各々に対して設定された判定基準を示す判定基準情報CR1を記憶する。判定基準情報CR1は、各トイレブースTBを識別する情報に、各トイレブースTBに対応する判定基準を示す情報が対応付けられた情報(判定基準情報)である。
【0038】
なお、各使用対象に対応する判定基準の決定についての詳細は後述するが、図1の判定基準情報CR1では、トイレブースTB1~TB3のうちトイレブースTB1が最も使用されにくい傾向があるため、トイレブースTB1の判定に用いる件数が最大となっている。また、図1の判定基準情報CR1では、トイレブースTB1~TB3のうちトイレブースTB2が最も使用されやすい傾向があるため、トイレブースTB2の判定に用いる件数が最小となっている。
【0039】
まず、異常検知システム1は、一の使用対象を対象として処理を実行する場合、履歴情報のうち、一の使用対象に対応する判定基準に基づく所定数の使用を示す情報を対象情報として取得する取得処理を実行する。例えば、異常検知システム1は、一のトイレブースTBを対象として処理を実行する場合、履歴情報DT1のうち、一のトイレブースTBに対応する判定基準が示す所定数の使用を示す情報を対象情報として取得する取得処理を実行する。図1では、異常検知システム1は、トイレブースTB1~TB3の各々について、取得処理を実行し、取得処理により取得した対象情報を用いて判定処理を実行する。
【0040】
例えば、異常検知システム1は、トイレブースTB1を対象として処理を実行する場合、履歴情報DT1のうち、トイレブースTB1に対応する判定基準が示すように、最新5件分の使用を示す情報を対象情報TD1として取得する取得処理を実行する(ステップS11)。図1では、異常検知システム1は、対象情報TD1に示すように、履歴情報DT1のうち最新5件分の入室を示す情報を対象情報TD1として取得する。
【0041】
そして、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報を用いて、一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する。例えば、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報に一の使用対象の使用が含まれない場合、一の使用対象に異常が生じたと判定する判定処理を実行する。なお、異常検知システム1は、処理対象となる使用対象の特徴値を算出し、算出した特徴値を用いて、判定処理を実行してもよいが、この点については後述する。
【0042】
例えば、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD1を用いて、トイレブースTB1に異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS12)。例えば、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD1にトイレブースTB1の情報が含まれない場合、トイレブースTB1に異常が生じたと判定する判定処理を実行する。図1では、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD1にトイレブースTB1の情報が含まれないため、トイレブースTB1に異常が生じたと判定し、判定処理の結果を示す判定結果RS1を記憶部120に記憶する。
【0043】
異常検知システム1は、トイレブースTB2、TB3についても、トイレブースTB1と同様に処理を実行する。例えば、異常検知システム1は、トイレブースTB2を対象として処理を実行する場合、履歴情報DT1のうち、トイレブースTB2に対応する判定基準が示すように、最新3件分の使用を示す情報を対象情報TD2として取得する取得処理を実行する(ステップS21)。図1では、異常検知システム1は、対象情報TD2に示すように、履歴情報DT1のうち最新3件分の入室を示す情報を対象情報TD2として取得する。
【0044】
そして、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD2を用いて、トイレブースTB2に異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS22)。例えば、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD2にトイレブースTB2の情報が含まれない場合、トイレブースTB2に異常が生じたと判定する判定処理を実行する。図1では、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD2にトイレブースTB2の情報が含まれるため、トイレブースTB2に異常が生じていない、すなわち正常であると判定し、判定処理の結果を示す判定結果RS2を記憶部120に記憶する。
【0045】
また、異常検知システム1は、トイレブースTB3を対象として処理を実行する場合、履歴情報DT1のうち、トイレブースTB3に対応する判定基準が示すように、最新4件分の使用を示す情報を対象情報TD3として取得する取得処理を実行する(ステップS31)。図1では、異常検知システム1は、対象情報TD3に示すように、履歴情報DT1のうち最新4件分の入室を示す情報を対象情報TD3として取得する。
【0046】
そして、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD3を用いて、トイレブースTB3に異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS32)。例えば、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD3にトイレブースTB3の情報が含まれない場合、トイレブースTB3に異常が生じたと判定する判定処理を実行する。図1では、異常検知システム1は、取得処理により取得された対象情報TD3にトイレブースTB3の情報が含まれるため、トイレブースTB3に異常が生じていない、すなわち正常であると判定し、判定処理の結果を示す判定結果RS3を記憶部120に記憶する。
【0047】
なお、図1に示す処理は一例に過ぎず、異常検知システム1は、任意の情報を用いて判定処理を行ってもよい。例えば、異常検知システム1は、退室を示す情報を対象情報として用いて判定処理を行ってもよい。また、異常検知システム1は、判定処理により一の使用対象に異常が生じたと判定された場合、一の使用対象が異常であることを任意の報知手段にて報知させる報知処理を実行してもよい。図1では、異常検知システム1は、判定処理によりトイレブースTB1に異常が生じたと判定したため、トイレブースTB1が異常であることを任意の報知手段にて報知させる報知処理を実行してもよいが、この点について後述する。
【0048】
<1-2.トイレの利用対象例>
ここから、図2を用いて、トイレの利用対象例について説明する。図2は、実施形態に係るトイレの利用対象の一例を示す図である。図2は、トイレの利用対象の物理的な配置等の概念的に示す。なお、図2に示すトイレの利用対象は一例に過ぎず、トイレの利用対象は、ユーザに使用される対象となり得るトイレに関する要素であり、異常検知の対象となり得るものであればどのような要素であってもよい。
【0049】
図2に示すように、トイレの利用対象には、トイレ空間2、トイレ空間2等のトイレ空間が含まれてもよい。図2に示すトイレ空間2は、個室空間を形成するトイレブースであるトイレブースTB1~TB3と、トイレブース以外の空間である共有空間である共有空間CS1を有する。なお、トイレブースTB1、トイレブースTB2、トイレブースTB3等、トイレ空間2に設けられるトイレブースを区別せずに説明する場合、「トイレブースTB」と記載する場合がある。
【0050】
なお、トイレ空間2、トイレ空間2等のトイレ空間を区別せずに説明する場合、「トイレ空間2」と記載する場合がある。図2では、トイレ空間2が2つのトイレ空間2、トイレ空間2を図示するが、トイレの利用対象には3つ以上のトイレ空間2が含まれてもよい。図2では、トイレ空間2が3つのトイレブースTBを有する場合を一例として説明するが、トイレ空間2は2つ以下または4つ以上のトイレブースTBを有してもよい。
【0051】
すなわち、図2に示すトイレ空間2は、トイレ空間2の一例に過ぎず、トイレ空間2については任意の構成が採用可能である。例えば、トイレ空間2は、1つのトイレブースTBを有する構成であってもよい。トイレ空間2は、使用者に使用され得るトイレの使用対象となるものが1つでも含まれれば、どのような構成であってもよい。例えば、トイレ空間2は、大便器10、小便器20及び洗面器30等の機器(トイレ機器)のうち少なくとも1つを有すれば、どのような構成であってもよい。
【0052】
トイレブースTBは、パーティション(間仕切り)で区切られた空間(個室空間)である。各トイレブースTBは、大便器10を備え、人が排泄行為を行う場所としての機能を有する。また、各トイレブースTBは、そのトイレブースTB内に入室するための開閉可能なドア(図示は省略)を備える。なお、各トイレブースTBのドアは、一般的なトイレブースTBに設けられるドアと同様であるため、詳細な説明は省略する。また、トイレブースTBは、パーティションによって、完全に区切られた空間でなくてもよく、パーティションの上部や下部に、隣接するトイレブースTBや共有空間と区切られていない部分が設けられていてもよい。
【0053】
また、共有空間CS1等、トイレ空間2に設けられる共有空間を区別せずに説明する場合、「共有空間CS」と記載する場合がある。共有空間CSは、トイレ空間2内において複数人が同時に滞在し得る共有部である。例えば、共有空間CSは、トイレ空間2への入り口、洗面器30等の洗面の設備、各トイレブースTBへの経路を有する。共有空間CSは、トイレ空間2への入場、手等の洗浄、各トイレブースTBへの移動等を行うための場所としての機能を有する。なお、トイレ空間2が男性用のトイレ空間2として機能する場合、その共有空間CSには小便器20が配置される。すなわち、共有空間CSも人が排泄行為を行う場所として機能する場合がある。
【0054】
次に、図2に示すトイレ空間2を一例として説明しつつ、トイレ空間2における各装置の配置について説明する。大便器1011は、トイレブースTB1に配置される。また、大便器1012は、トイレブースTB2に配置される。また、大便器1013は、トイレブースTB3に配置される。なお、大便器1011、大便器1012、大便器1013等、大便器を区別せずに説明する場合、「大便器10」と記載する場合がある。
【0055】
図2では、大便器10の数が3つである場合を一例として示すが、大便器10の数は、所望の処理が可能であれば任意の数が採用可能であり、大便器10の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。なお、大便器10の機能などの詳細は後述する。また、情報の収集や判定等の処理の対象として、大便器10を説明する記載は、その大便器10が配置されるトイレブースTBと読み替えてもよい。また、情報の収集や判定等の処理の対象として、トイレブースTBを説明する記載は、そのトイレブースTBに配置される大便器10と読み替えてもよい。例えば、大便器1011は、トイレブースTB1と読み替えてもよく、トイレブースTB1は、大便器1011と読み替えてもよい。
【0056】
小便器2011、小便器2012、小便器2013は、共有空間CS1に配置される。小便器2011、小便器2012、小便器2013等、トイレ空間2に配置される小便器を区別せずに説明する場合、「小便器20」と記載する場合がある。図2では、小便器20の数が3つである場合を一例として示すが、小便器20の数は、所望の処理が可能であれば任意の数が採用可能であり、小便器20の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。なお、小便器20の機能などの詳細は後述する。
【0057】
洗面器3011、洗面器3012、洗面器3013は、共有空間CS1に配置される。洗面器3011、洗面器3012、洗面器3013等、トイレ空間2に配置される小便器を区別せずに説明する場合、「洗面器30」と記載する場合がある。図2では、洗面器30の数が3つである場合を一例として示すが、洗面器30の数は、所望の処理が可能であれば任意の数が採用可能であり、洗面器30の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。なお、洗面器30の機能などの詳細は後述する。
【0058】
<1-3.トイレ空間の配置>
トイレ空間2の配置について簡単に説明する。トイレ空間2は、そのトイレ空間2が物理的に配置可能な空間であれば、どのような場所に設けられてもよい。すなわち、トイレ空間2が設けられる場所は、任意の場所が採用可能である。例えば、トイレ空間2は、デパート(百貨店)等のような商業施設に設けられてもよい。また、トイレ空間2が設けられる場所は、店舗等の商業施設に限らず、種々の施設であってもよい。例えば、トイレ空間2が設けられる場所は、遊園地や競技場やオフィスビル等であってもよい。例えば、トイレ空間2が設けられる場所は、観光地等の地域に設けられるトイレであってもよい。例えば、トイレ空間2が設けられる場所は、公園や駐車場等であってもよい。すなわち、トイレは公園や駐車場等の屋外に設けられてもよい。このように、トイレ空間2が設けられる場所は、トイレ空間2が配置可能な空間があれば、どのような場所であってもよい。
【0059】
<1-4.異常検知システムの構成>
次に、異常検知システム1の構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る異常検知システムの構成例を示す図である。具体的には、図3は、異常検知システム1の構成を示す。
【0060】
異常検知システム1は、異常検知の処理を実行する情報処理装置(図3では解析装置100)を有する。また、異常検知システム1は、異常検知の処理に用いる情報を収集する情報処理装置(図3では収集装置50)を有する。図3に示す異常検知システム1は、解析装置100、収集装置50、検知部21、検知部101、検知部201及び検知部301を有する。なお、異常検知システム1には、複数の解析装置100、複数の収集装置50、複数の検知部21、複数の検知部101、複数の検知部201、複数の検知部301等が含まれてもよい。
【0061】
図3では、異常検知システム1の異常検知の対象となるトイレの使用対象には、トイレ空間2、大便器10、小便器20及び洗面器30のうち少なくとも1つが含まれる。なお、異常検知システム1の異常検知の対象となるトイレの使用対象には、図2に示すように、複数のトイレ空間2、複数の大便器10、複数の小便器20、複数の洗面器30等が含まれてもよい。
【0062】
トイレ空間2は、施設等の空間に設けられ、トイレを使用する使用者が入退場する空間である。例えば、トイレ空間2は、トイレブースTB、共有空間CS等を有し、トイレに関する構造物が配置される空間である。例えば、図2に示すトイレ空間2は、複数の大便器1011、1012、1013が各々配置されるトイレブースTB1~TB3、及び複数の小便器2011、2012、2013、及び複数の洗面器3011、3012、3013が配置される共有空間CS1を有する。なお、トイレ空間2は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0063】
トイレ空間2の検知部21は、トイレ空間2に関する検知を行う。検知部21は、トイレ空間2への人(使用者)の入退場を検知する検知部として機能する。検知部21は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部21は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部21は、トイレ空間2の出入り口を撮像する画像センサ(行動検知センサ)であってもよい。検知部21は、トイレの使用者による複数のトイレ空間2の各々の使用を検知する。なお、上記は一例であり、検知部21は、使用者のトイレ空間2への入退場を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。
【0064】
トイレ空間2の検知部21は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部21は、トイレ空間2への人の入退場を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、そのトイレ空間2を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、トイレ空間2へ入場した人が退場するまでの時間(使用時間)を示す検知情報を、そのトイレ空間2を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象にトイレ空間2が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部21が含まれなくてもよい。
【0065】
大便器10は、トイレを使用する使用者が大便または小便等を排泄する際に使用されるトイレの使用対象である。大便器10は、トイレ空間2内に設けられるトイレブースTBに配置される。例えば、大便器10は、使用者が着座する便座、及び洗浄用の水を吐水するためのノズルを操作するための操作部を含む便座装置を有する。大便器10は、便座装置以外にも、便蓋、便器等、大便器としての機能を実現するための各種構成を有するが、詳細な説明は省略する。なお、大便器10は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0066】
大便器10の検知部101は、大便器10に関する検知を行う。大便器10の検知部101は、大便器10が配置されたトイレブースTBに関する検知を行う。検知部101は、トイレの使用者による複数のトイレブースTBの各々の使用を検知する。例えば、検知部101は、トイレの使用者による複数の大便器10の各々の使用を検知する。検知部101は、大便器10が配置されたトイレブースTBへの人(使用者)の入退場を検知する検知部として機能する。検知部101は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部101は、人体検知センサ、行動検知センサ、着座検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部101は、トイレブースTBのドア等に設けられ、トイレブースTBのドアの開閉を検知するドアセンサであってもよい。検知部101は、トイレブースTBのドア付近を撮像する画像センサであってもよい。検知部101は、大便器10への使用者の着座を検知する着座センサであってもよい。なお、上記は、検知部101が使用者の大便器10への入退場を検知可能とした一例であるが、それに限らず、検知部101は、例えば大便器10の使用、便座の使用、便蓋の動作といったトイレの使用を検知する手段であっても良い。なお、大便器10と検知部101とは一体であってもよい。この場合、検知部101を有する大便器10が、異常検知システム1に含まれてもよい。なお、検知部101の配置位置は、特に限定されず、トイレブースTBの天井、壁面、床等に設置してもよく、大便器10の便座に搭載してもよい。
【0067】
大便器10の検知部101は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部101は、大便器10が配置されたトイレブースTBへの人の入退場を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、その大便器10または大便器10が配置されたトイレブースTBを識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、大便器10が配置されたトイレブースTBへ入室した人が退室するまでの時間(使用時間)を示す検知情報を、その大便器10または大便器10が配置されたトイレブースTBを識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象に大便器10が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部101が含まれなくてもよい。
【0068】
小便器20は、男性用のトイレ空間2に設けられ、トイレを使用する使用者が小便を排泄する際に使用されるトイレの使用対象である。小便器20は、トイレ空間2内に設けられる共有空間CSに配置される。なお、小便器20は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0069】
小便器20の検知部201は、小便器20に関する検知を行う。検知部201は、小便器20の人(使用者)の使用を検知する検知部として機能する。検知部201は、トイレの使用者による複数の小便器20の各々の使用を検知する。検知部201は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部201は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部201は、小便器20への人の近接を検知する近接センサであってもよい。なお、上記は一例であり、検知部201は、使用者の小便器20の使用を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。なお、小便器20と検知部201とは一体であってもよい。この場合、検知部201を有する小便器20が、異常検知システム1に含まれてもよい。例えば、検知部201は、小便器20の前面に設けられ、小便器20の前に位置する人を検知する。なお、検知部201の配置位置は、特に限定されず、共有空間CSの天井、壁面、床等に設置してもよい。
【0070】
小便器20の検知部201は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部201は、小便器20の人の使用を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、その小便器20を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、人が使用している間(例えば小便器20に人が近接してから離れるまでの間)の時間(使用時間)を示す検知情報を、その小便器20を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象に小便器20が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部201が含まれなくてもよい。
【0071】
洗面器30は、トイレを使用する使用者が手を洗ったり、顔を洗ったり、鏡を見たりする際に使用されるトイレの使用対象である。洗面器30は、トイレ空間2内に設けられる共有空間CSに配置される。例えば、洗面器30は、自動水栓の機能を有する蛇口、蛇口からの水を受けるボウル部を有する。なお、洗面器30は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0072】
洗面器30の検知部301は、洗面器30に関する検知を行う。検知部301は、洗面器30の人(使用者)の使用を検知する検知部として機能する。検知部301は、トイレの使用者による複数の洗面器30の各々の使用を検知する。検知部301は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部301は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部301は、洗面器30のへの人の身体の近接を検知する近接センサであってもよい。なお、上記は一例であり、検知部301は、使用者の洗面器30の使用を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。なお、洗面器30と検知部301とは一体であってもよい。この場合、検知部301を有する洗面器30が、異常検知システム1に含まれてもよい。例えば、検知部301は、洗面器30の蛇口付近に設けられ、洗面器30の蛇口への人の手の近接を検知する。なお、検知部301の配置位置は、特に限定されず、共有空間CSの天井、壁面、床等に設置してもよい。
【0073】
洗面器30の検知部301は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部301は、洗面器30の人の使用を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、その洗面器30を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、人が使用している間(例えば洗面器30の蛇口が水を吐水している間)の時間(使用時間)を示す検知情報を、その洗面器30を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象に洗面器30が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部301が含まれなくてもよい。
【0074】
収集装置50は、各種情報を収集する。例えば、収集装置50は、ゲートウェイ装置等であってもよい。収集装置50は、各使用対象について検知されるセンサデータ等の検知情報を収集する装置である。収集装置50は、他の装置から情報を収集する。収集装置50は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等について検知された情報である検知情報を収集する。収集装置50は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等の情報を検知する装置から検知情報を受信する。
【0075】
収集装置50は、トイレ空間2の検知部21からトイレ空間2の検知結果を受信する。収集装置50は、大便器10の検知部101から大便器10の検知情報を受信する。収集装置50は、小便器20の検知部201から小便器20の検知情報を受信する。収集装置50は、洗面器30の検知部301から洗面器30の検知情報を受信する。収集装置50は、トイレ空間2の検知部21、大便器10の検知部101、小便器20の検知部201及び洗面器30の検知部301と、無線により通信可能に接続される。なお、収集装置50は、情報の送受信が可能であれば、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等の情報を検知する装置とどのように接続されてもよく、有線により通信可能に接続されてもよい。
【0076】
収集装置50はトイレ空間2外に配置されてもよいし、トイレ空間2内に配置されてもよい。例えば、収集装置50は、トイレ空間2が設けられた施設などに配置されるサーバ装置であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、検知部21、検知部101、検知部201及び検知部301と通信して、情報を収集し、収集した情報を解析装置100へ送信可能であれば、収集装置50の装置構成及び配置は任意の形態が採用可能である。また、収集装置50は、解析装置100と一体であってもよい。この場合、解析装置100が収集装置50の機能を有し、解析装置100は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等の使用対象の情報を収集する。
【0077】
解析装置100は、トイレの使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、解析装置100は、クラウドサーバ等であってもよい。解析装置100は、収集装置50と、インターネット等の所定のネットワークNを介して、無線または有線により通信可能に接続される。なお、解析装置100は、情報の送受信が可能であれば、収集装置50とどのように接続されてもよく、無線により通信可能に接続されてもよいし、有線により通信可能に接続されてもよい。
【0078】
解析装置100は、収集装置50が収集した情報を用いて、トイレの使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する。解析装置100は、収集装置50から受信した情報である収集情報を用いて、トイレの使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する。解析装置100は、収集情報を用いて、トイレ空間2に関する異常が生じたか否かを判定する。解析装置100は、収集情報を用いて、大便器10に関する異常が生じたか否かを判定する。解析装置100は、収集情報を用いて、小便器20に関する異常が生じたか否かを判定する。解析装置100は、収集情報を用いて、洗面器30に関する異常が生じたか否かを判定する。
【0079】
<1-5.解析装置の機能構成>
以下、解析装置の機能構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0080】
図4に示すように、解析装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、解析装置100は、解析装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0081】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部110は、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、収集装置50等の他の装置との間で情報の送受信を行う。
【0082】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、判定処理等の異常検知プログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。記憶部120は、複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する。
【0083】
記憶部120は、複数の使用対象の各々の使用時刻の過去履歴を示す履歴情報を記録し、過去履歴を出力可能である。記憶部120は、制御部130からの制御に応じて過去履歴を出力する。記憶部120は、管理者が入力した判定結果に対する管理者の正誤判断結果を示す情報を記憶可能であり、管理者の正誤判断結果を含む過去履歴を出力可能である。記憶部120は、制御部130からの制御に応じて管理者の正誤判断結果を含む過去履歴を出力する。記憶部120は、複数の使用対象の各々の少なくとも前回の判定結果を記録する。
【0084】
実施形態に係る記憶部120は、図4に示すように、配置情報記憶部121と、収集情報記憶部122と、設定情報記憶部123と、判定情報記憶部124とを有する。なお、記憶部120は、配置情報記憶部121、収集情報記憶部122、設定情報記憶部123及び判定情報記憶部124に限らず、処理に必要な様々な情報を記憶する。例えば、記憶部120は、判定処理で用いる様々な情報(例えば閾値に関する情報)を記憶する。例えば、記憶部120は、判定処理で用いる閾値を算出するための関数、算出した関数の情報を記憶する。
【0085】
実施形態に係る配置情報記憶部121は、異常検知システム1の検知対象となる各種の使用対象の配置に関する各種情報を記憶する。例えば、配置情報記憶部121は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30の配置に関する情報を記憶する。図5は、実施形態に係る配置情報記憶部121の一例を示す図である。図5に示す配置情報記憶部121には、「施設」、「トイレ空間」、「配置箇所」、「配置要素」といった項目が含まれる。
【0086】
「施設」は、トイレ空間が配置される場所を示す。なお、「施設」には、構造物に限らず、トイレ空間が配置される場所であれば様々な場所が登録可能である。「トイレ空間」は、各トイレ空間を識別するための識別情報を示す。図5では、説明の為に「トイレ空間」に「2」、「2」といった各トイレ空間に付した符号を図示するが、「トイレ空間」には、トイレ空間を特定可能な情報(例えばトイレ空間ID等)が記憶される。
【0087】
「配置箇所」は、各配置箇所を識別するための識別情報を示す。図5では、説明の為に「配置箇所」に「TB1」、「TB2」、「TB3」、「CS1」といったトイレ空間2の各構成に付した符号を図示するが、「配置箇所」には、配置箇所を特定可能な情報(例えば配置箇所ID等)が記憶される。
【0088】
「配置要素」は、対応する配置箇所に配置されるトイレの使用対象を識別するための識別情報を示す。例えば、「配置要素」は、対応する配置箇所に配置される大便器10、小便器20、及び洗面器30等のトイレの使用対象を識別するための識別情報を示す。図5では、説明の為に「配置要素」に「1011」、「1012」、「1013」、「2011」、「2012」、「2013」、「3011」、「3012」、「3013」等の各構成に付した符号を図示するが、「配置要素」には、各使用対象を識別可能であればどのような情報が登録されてもよい。
【0089】
例えば、「配置要素」には、対応する配置箇所に配置される大便器を特定可能な情報(例えば大便器ID等)、小便器を識別するための識別情報(例えば小便器ID等)、または洗面器を識別するための識別情報(例えば洗面器ID等)が記憶される。
【0090】
図5の例では、「2」により識別されるトイレ空間2には、「TB1」により識別されるトイレブースTB1、「TB2」により識別されるトイレブースTB2、「TB3」により識別されるトイレブースTB3が配置箇所として含まれることを示す。また、トイレ空間2には、「CS1」により識別される共有空間CS1が配置箇所として含まれることを示す。
【0091】
「TB1」により識別される配置箇所であるトイレブースTB1には、「1011」により識別される大便器1011が配置されることを示す。また、「TB2」により識別される配置箇所であるトイレブースTB2には、「1012」により識別される大便器1012が配置されることを示す。また、「TB3」により識別される配置箇所であるトイレブースTB3には、「1013」により識別される大便器1013が配置されることを示す。
【0092】
また、「CS1」により識別される配置箇所である共有空間CS1には、「2011」により識別される小便器2011、「2012」により識別される小便器2012、「2013」により識別される小便器2013が配置されることを示す。また、共有空間CS1には、「3011」により識別される洗面器3011、「3012」により識別される洗面器3012、「3013」により識別される洗面器3013が配置されることを示す。
【0093】
なお、配置情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、検知対象となる各使用対象のセンサデータ(検知情報)を検知するセンサ(検知部)を特定可能な情報(例えばセンサID等)を、そのセンサが検知する使用対象に対応付けて記憶してもよい。
【0094】
各トイレの使用対象の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各トイレの使用対象に対応付けて記憶してもよい。例えば、各トイレ空間2の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各トイレ空間2に対応付けて記憶してもよい。例えば、各大便器10の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各大便器10に対応付けて記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、各小便器20が検知する情報や各小便器20の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各小便器20に対応付けて記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、各洗面器30が検知する情報や各洗面器30の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各洗面器30に対応付けて記憶してもよい。
【0095】
収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象について収集したセンサデータ等の検知情報を記憶する。収集情報記憶部122は、収集装置50から受信した情報を記憶する。収集情報記憶部122は、検知部21、検知部101、検知部201及び検知部301により検知された検知情報を記憶する。例えば、収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象の使用履歴を、各トイレの使用対象を識別する情報に対応付けて記憶する。
【0096】
収集情報記憶部122は、複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する。収集情報記憶部122は、過去の判定処理の結果を記憶する。図6は、実施形態に係る収集情報記憶部122の一例を示す図である。図6に示す収集情報記憶部122には、「時間」、「ID」、「信号」といった項目が含まれる。
【0097】
「時間」は、IDにより識別される使用対象について使用に関する情報が検知された時間を示す。「ID」は、情報が検知された使用対象を識別するためのID(識別情報)を示す。「信号」は、IDにより識別される使用対象について検知された使用に関する信号を示す。例えば、図6では、トイレブースTBへの入室または退室を示す情報が「信号」に記憶される場合を一例として示すが、「信号」は、対処となる使用対象の使用の開始または終了を示す情報が記憶される。
【0098】
図6の例では、ID「TB3」により識別される使用対象(トイレブースTB3)について、時間「2023/01/15 9:32」に入室が検知されたことを示す。また、ID「TB3」により識別される使用対象(トイレブースTB3)について、時間「2023/01/15 9:40」に退室が検知されたことを示す。
【0099】
このように、収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象の使用の開始または終了が検知された日時を、各トイレの使用対象を識別する情報に対応付けて記憶する。図6では、収集情報記憶部122は、各大便器10が配置されたトイレブースTBの使用の開始または終了が検知された日時を、各トイレブースTBを識別する情報に対応付けて記憶する。
【0100】
なお、上記は一例に過ぎず、収集情報記憶部122は、収集された様々な情報を記憶する。例えば、収集情報記憶部122は、各大便器10の使用の開始または終了が検知された日時を、各大便器10を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各小便器20の使用の開始または終了が検知された日時を、各小便器20を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各洗面器30の使用の開始または終了が検知された日時を、各洗面器30を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各トイレ空間2の使用の開始または終了が検知された日時を、各トイレ空間2を識別する情報に対応付けて記憶する。例えば、収集情報記憶部122は、各使用対象の使用時間を示す情報を各使用対象に対応付けて記憶してもよい。
【0101】
設定情報記憶部123は、異常検知に関する各種の設定情報を記憶する。図7は、実施形態に係る設定情報記憶部123の一例を示す図である。図7に示す設定情報記憶部123には、使用対象ごとに設定される異常検知の判定基準を示す基準用テーブルTL1と、異常検知に用いる判定基準の更新に関する情報を示す更新用テーブルTL2とを記憶する。
【0102】
基準用テーブルTL1は、図7では、「ID」、「判定基準」といった項目が含まれる。「ID」は、情報が検知された使用対象を識別するためのID(識別情報)を示す。「判定基準」は、IDにより識別される使用対象について設定された判定基準を示す。例えば、「判定基準」は、IDにより識別される使用対象について決定(算出)された取得件数に基づく判定基準を示す。
【0103】
図7の例では、ID「TB1」により識別される使用対象(トイレブースTB1)について、判定基準が「最新5件の入室信号にTB1の信号が含まれない」に設定されたことを示す。すなわち、トイレブースTB1については取得件数が5件に決定されてことを示す。また、トイレブースTB1が異常と判定される条件は、最新5件の入室信号にトイレブースTB1の信号が含まれないことであることを示す。
【0104】
また、ID「TB2」により識別される使用対象(トイレブースTB2)について、判定基準が「最新3件の入室信号にTB2の信号が含まれない」に設定されたことを示す。すなわち、トイレブースTB2については取得件数が3件に決定されてことを示す。また、トイレブースTB2が異常と判定される条件は、最新3件の入室信号にトイレブースTB2の信号が含まれないことであることを示す。
【0105】
更新用テーブルTL2は、図7では、「項目」、「データ」といった項目が含まれる。「項目」は、その項目に対応する情報(データ)として格納するデータの内容を示す。「データ」は、項目に対応する情報として格納されたデータを示す。例えば、「データ」は、更新に用いる情報、更新を行う条件の一例であるタイミング、更新を行った日時等を示すデータを示す。
【0106】
図7の例では、項目「判定基準更新用の取得件数」に対応するデータとしては、データ「1000データ」が格納される。すなわち、判定基準を更新する際には、1000件のデータを用いることを示す。また、項目「定期更新タイミング」に対応するデータとしては、データ「60日ごと」が格納される。すなわち、判定基準は、60日ごとに更新されることを示す。また、項目「前回更新日時」に対応するデータとしては、データ「2022年12月1日」が格納される。すなわち、判定基準が最後に更新された日時は、2022年12月1日であることを示す。
【0107】
なお、上記は一例に過ぎず、設定情報記憶部123は、設定された様々な情報を記憶する。また、基準用テーブルTL1と更新用テーブルTL2とは異なる記憶部として記憶されてもよく、この場合、記憶部120は、設定情報記憶部123に代えて、基準用テーブルTL1に対応する情報を記憶する基準情報記憶部と、更新用テーブルTL2に対応する情報を記憶する更新情報記憶部とを有してもよい。
【0108】
判定情報記憶部124は、判定に関する各種の設定情報を記憶する。図8は、実施形態に係る判定情報記憶部124の一例を示す図である。図8に示す判定情報記憶部124には、使用対象ごとに過去の判定結果を記憶する。図8に示す判定情報記憶部124では、各処理対象(使用対象)について、直前(前回)の異常判定の結果を示す情報を記憶する場合を示すが、直前に限らず、過去の判定結果及び判定日時の履歴一覧を記憶してもよい。
【0109】
図8に示す判定情報記憶部124には、図8では、「ID」、「判定結果」といった項目が含まれる。「ID」は、使用対象を識別するためのID(識別情報)を示す。「判定結果」は、IDにより識別される使用対象についての判定結果を示す。例えば、「判定結果」は、IDにより識別される使用対象について、異常または正常のいずれかの判定結果を示す。
【0110】
図8の例では、ID「TB1」により識別される使用対象(トイレブースTB1)について、判定結果が異常であったことを示す。すなわち、トイレブースTB1については、前回は異常と判定されたことを示す。また、ID「TB2」により識別される使用対象(トイレブースTB2)について、判定結果が正常であったことを示す。すなわち、トイレブースTB2については、前回は正常と判定されたことを示す。
【0111】
なお、上記は一例に過ぎず、判定情報記憶部124は、判定に関する様々な情報を記憶する。例えば、判定情報記憶部124は、判定結果としては、異常であるか正常であるかを判定できなかったり、未判定であったりする処理対象がある場合は「未定」等の情報を記憶してもよい。
【0112】
図4に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって、解析装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る判定処理等の異常検知プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0113】
制御部130は、複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、記憶部120に記憶された履歴情報が示す複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、自動または手動で調整可能であり、複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、一の使用対象に異常が生じたか否かを判定し、一の使用対象に異常が生じたと判定した場合、判定結果を示す情報を外部に報知する。制御部130は、複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定することにより、複数の判定基準を自動で調整する。なお、判定基準は、制御部130が自動で変更(設定)する場合に限らず、異常検知システム1の管理者等が手動で設定してもよい。このように、複数の判定基準の各々は、自動または手動で調整可能である。
【0114】
図4に示すように、制御部130は、取得部131と、算出部132と、判定部133と、送信部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0115】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、他の装置から情報を受信する。取得部131は、収集装置50が収集した情報(検知情報等)を収集装置50から受信する。取得部131は、トイレの使用対象について検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、トイレの使用対象に対応するセンサ等により検知された検知情報を収集装置50から受信する。
【0116】
取得部131は、トイレ空間2について検知部21により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、大便器10について検知部101により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、大便器10が配置されたトイレブースTBについて検知部101により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、小便器20について検知部201により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、洗面器30について検知部301により検知された検知情報を収集装置50から受信する。
【0117】
取得部131は、処理に用いる情報を記憶部120から取得する。取得部131は、記憶部120に指示し、記憶部120から所望の情報を出力させることにより、記憶部120から情報を取得する。取得部131は、判定処理に用いる情報を、収集情報記憶部122から取得する。取得部131は、処理対象(「判定対象」ともいう)となるトイレの使用対象に対応する情報を、収集情報記憶部122から取得する。取得部131は、取得件数の決定(算出)に用いる情報を、収集情報記憶部122から取得する。取得部131は、異常検知に関する設定情報を設定情報記憶部123から取得する。取得部131は、前回(直近)の判定結果等の過去の判定結果を判定情報記憶部124から取得する。取得部131は、管理者が入力した判定結果に対する管理者の正誤判断結果を示す情報を取得し、記憶部120に登録する。
【0118】
取得部131は、トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用が検知部により検知された検知情報を取得する。取得部131は、算出部132により算出された取得件数の情報を取得する。取得部131は、判定対象となる使用対象について算出部132により算出された取得件数に基づいて、その使用者の異常判定に用いる情報を取得件数分取得する。
【0119】
算出部132は、算出処理を行う。算出部132は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて算出処理を行う。算出部132は、取得部131により取得された各種の情報を用いて算出処理を行う。算出部132は、判定処理に用いる各種の値を算出する。算出部132は、判定処理に用いる情報の取得件数を算出する。算出部132は、判定対象となる使用対象に応じて取得件数を算出する。
【0120】
算出部132は、記憶部120に記憶された履歴情報が示す複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、複数の使用対象ごとに取得件数を算出する。算出部132は、判定対象となる使用対象に応じて特徴値を算出する。算出部132は、記憶部120に記憶された履歴情報が示す複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、複数の使用対象ごとに特徴値を算出する。
【0121】
判定部133は、判定処理に用いる判定基準を決定する決定処理を行う。判定部133は、算出部132により算出された取得件数に応じて、複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定する。判定部133は、算出部132により算出された特徴値に応じて、複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定する。
【0122】
判定部133は、判定処理を行う。判定部133は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて判定処理を行う。判定部133は、取得部131により取得された各種の情報を用いて判定処理を行う。判定部133は、算出部132により算出された各種の値(情報)を用いて判定処理を行う。判定部133は、決定した判定基準を用いて判定処理を行う。判定部133は、使用対象ごとに決定した判定基準を用いて判定処理を行う。
【0123】
判定部133は、複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、記憶部120に記憶された履歴情報が示す複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する。判定部133は、複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、決定した一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する。
【0124】
判定部133は、複数の使用対象における一の使用対象の使用傾向に基づき算出される情報の取得件数を含む一の判定基準を用いて、一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する。判定部133は、複数の使用対象のうち一の使用対象以外の他の使用対象と、一の使用対象との使用傾向との比較に基づき算出される一の使用対象に対応する特徴値を含む一の判定基準を用いて、一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する。判定部133は、所定のタイミングで複数の使用対象の各々に対応する判定基準を更新する処理を実行する。
【0125】
送信部134は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。送信部134は、判定部133による判定結果に関する情報を、異常検知システム1を管理する管理者が利用する管理者装置へ送信する。送信部134は、判定部133による判定が異常を示す場合、異常と判定されたトイレの使用対象に関する情報を送信する。
【0126】
送信部134は、判定部133による判定が異常を示す場合、異常と判定されたトイレの使用対象を識別する情報を管理者装置へ送信する。送信部134は、判定部133による判定が異常を示す場合、異常と判定されたトイレの使用対象が配置される場所を示す情報を管理者装置へ送信する。なお、送信部134は、収集装置50へ情報を送信してもよい。例えば、送信部134は、収集装置50が収集した情報を要求する情報を収集装置50へ送信する。
【0127】
送信部134は、管理者装置へ異常を示す情報を管理者装置へ送信することにより、管理者装置を利用する管理者に異常を示す報知を行う。送信部134は、判定処理により一の使用対象に異常が生じたと判定された場合、管理者装置へ異常を示す情報を管理者装置へ送信することにより、管理者装置を利用する管理者に異常を示す報知を行う。送信部134は、管理者装置へ異常を示す情報を管理者装置へ送信し、管理者装置が受信した情報を出力することにより、管理者装置を利用する管理者に異常を示す報知を行う。
【0128】
送信部134は、判定部133による判定処理により一の使用対象に異常が生じたと判定された場合、一の使用対象が異常であることを任意の報知手段にて報知させる報知処理を実行する。送信部134は、判定処理により一の使用対象に異常が生じたと判定された場合、異常検知システム1を管理する管理者が利用する管理者装置へ一の使用対象が異常であることを示す情報を送信することにより、管理者装置に一の使用対象が異常であることを示す情報を報知させる報知処理を実行する。
【0129】
送信部134は、一の使用対象に異常が生じたと判定した場合、判定結果を示す情報を外部に報知する。送信部134は、判定結果を示す情報を管理者に通知する。送信部134は、一の使用対象に異常が生じたと判定した場合に、前回の判定結果が異常を示す場合、判定結果を示す情報を外部に報知しない。送信部134は、一の使用対象に異常が生じたと判定した後に、一の使用対象が使用された場合、判定結果を示す情報の外部への報知を停止する。送信部134は、一の使用対象に異常が生じたとの判定を取り消したことを通知する。
【0130】
<1-6.処理例>
ここから、上述した内容を前提として、各種の処理例についての詳細を説明する。以下では、異常検知システム1を処理主体として説明するが、各処理は、異常検知システム1に含まれる装置構成に応じて、解析装置100、収集装置50等のいずれの装置が行ってもよい。以下では、異常検知処理とその異常検知処理で用いる判定基準の更新処理との処理態様について説明する。
【0131】
<1-6-1.異常検知処理>
まず、異常検知システム1が実行する異常検知処理について説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0132】
まず、図9を用いて、異常検知処理における処理フロー例について説明する。図9は、異常検知システムが実行する異常検知処理の一例を示すフローチャートである。例えば、図9は、異常検知システム1が実行する異常検知処理例を示すフローチャートである。
【0133】
異常検知システム1は、変数iを1に設定する(ステップS101)。例えば、異常検知システム1は、トイレブースTBの処理対象を指定するための変数iを1に設定する。
【0134】
異常検知システム1は、変数iが3以下である場合(ステップS102:Yes)、ステップS103以降に示す異常判定の処理を実行する。なお、判定条件に用いられる値「3」は一例に過ぎず、変数iを比較する値は、処理対象とする使用対象の数に応じて設定される。異常検知システム1は、変数iが処理対象とする使用対象の数以下に達するまで、異常判定の処理を実行する。
【0135】
異常検知システム1は、設定情報記憶部から判定基準情報を取得する(ステップS103)。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1からトイレブースTB1(「ブースTB1」ともいう)に対応する判定基準情報を取得する。この場合、異常検知システム1は、例えば「最新5件の入室信号にブースTB1の信号が含まれない」というブースTB1に対応する判定基準を示す情報を取得する。
【0136】
異常検知システム1は、収集情報記憶部から最新Ni件の入室信号を取得する(ステップS104)。例えば、異常検知システム1は、判定基準が「最新5件の入室信号にブースTB1の信号が含まれない」である場合、収集情報記憶部122から最新5件の入室信号に対応する情報を取得する。
【0137】
異常検知システム1は、入室信号が含まれないか否かを判定する(ステップS105)。例えば、異常検知システム1は、取得した最新Ni件の入室信号に、ブースTBiの入室信号が含まれないか否かを判定する。例えば、異常検知システム1は、ブースTB1が判定対象である場合、取得した最新5件の入室信号に、ブースTB1の入室信号が含まれないか否かを判定する。
【0138】
異常検知システム1は、入室信号が含まれる場合(ステップS105:No)、ブースTBiが正常であると判定する(ステップS106)。例えば、異常検知システム1は、取得した最新Ni件の入室信号に、ブースTBiの入室信号が含まれる場合、ブースTBiが正常であると判定する。例えば、異常検知システム1は、ブースTB1が判定対象である場合、取得した最新5件の入室信号にブースTB1の入室信号が含まれれば、ブースTBiが正常であると判定する。そして、異常検知システム1は、処理対象であるブースTBiの処理結果を直前(前回)の判定結果として判定情報記憶部124に保存することにより、ブースTBiの直前の判定結果を更新する。そして、異常検知システム1は、ステップS110以降の処理を実行する。
【0139】
一方、異常検知システム1は、入室信号が含まれない場合(ステップS105:Yes)、ブースTBiが異常であると判定する(ステップS107)。例えば、異常検知システム1は、取得した最新Ni件の入室信号に、ブースTBiの入室信号が含まれない場合、ブースTBiが異常であると判定する。例えば、異常検知システム1は、ブースTB1が判定対象である場合、取得した最新5件の入室信号にブースTB1の入室信号が含まれなければ、ブースTBiが異常であると判定する。そして、異常検知システム1は、ステップS110以降の処理を実行する。
【0140】
そして、異常検知システム1は、記憶部120のブースTBiの結果が異常であるか否かを判定する(ステップS108)。例えば、異常検知システム1は、判定情報記憶部124に記憶されたブースTBiの前回(直近)の判定結果が異常であるか否かを判定する。例えば、異常検知システム1は、ブースTB1が判定対象である場合、判定情報記憶部124に記憶されたブースTB1の前回(直近)の判定結果が異常であるか否かを判定する。
【0141】
異常検知システム1は、記憶部120のブースTBiの結果が異常である場合(ステップS108:Yes)、ステップS109の処理を行わずにステップS110の処理を実行する。例えば、異常検知システム1は、処理対象がトイレブースTB1である場合、判定情報記憶部124に記憶された直前のブースTB1の判定結果が異常であるため、所定の報知手段で報知を行わない。
【0142】
一方、異常検知システム1は、記憶部120のブースTBiの結果が異常ではない場合(ステップS108:No)、所定の報知手段で報知する(ステップS109)。例えば、異常検知システム1は、処理対象がトイレブースTB2である場合、判定情報記憶部124に記憶された直前のブースTB2の判定結果が正常である、すなわち異常ではないため、所定の報知手段で報知する。そして、異常検知システム1は、処理対象であるブースTBiの処理結果を直前(前回)の判定結果として判定情報記憶部124に保存することにより、ブースTBiの直前の判定結果を更新する。そして、異常検知システム1は、ステップS110以降の処理を実行する。
【0143】
そして、異常検知システム1は、変数iを1加算する処理を実行し(ステップS110)、ステップS102に戻る。異常検知システム1は、変数iが3を超えた場合(ステップS102:No)、処理を終了する。例えば、異常検知システム1は、変数iが3を超えた場合、処理対象となる使用対象の全ての異常判定の処理が完了したとして処理を終了する。
【0144】
<1-6-1-1.更新処理例>
ここで、図10を用いて、図9で示した異常検知処理の処理フローで用いる判定基準の更新の例について説明する。図10は、判定基準の更新の一例を示す図である。なお、以下では、図10に示す処理を異常検知システム1、すなわちコンピュータが自動で行う場合を一例として説明するが、図10に示す処理は、異常検知システム1の管理者等が行ってもよい。この場合、異常検知システム1の管理者等は、更新した判定基準を異常検知システム1に設定する。
【0145】
図10では、異常検知システム1は、処理#1~#7により、トイレブースTB1~TB3の各々の判定基準を更新する場合を一例として示す。例えば、異常検知システム1は、処理#1~#7により、トイレブースTB1~TB3の各々の判定基準に含まれる取得件数を更新する。
【0146】
まず、異常検知システム1は、ブースTBごとの1カ月の使用回数から使用の割合(「使用率」ともいう)を算出する処理#1を実行する。図10では、割合情報DT11に示すように、トイレブースTB1の月の使用回数は300回であり、トイレブースTB2の月の使用回数は200回であり、トイレブースTB3の月の使用回数は500回である。異常検知システム1は、トイレブースTB1の割合(使用率)を「0.3」(=300/(300+200+500))と算出し、トイレブースTB2の割合(使用率)を「0.2」と算出し、トイレブースTB3の割合(使用率)を「0.5」と算出する。
【0147】
ここで、異常の発生した期間のデータを判定基準の更新に用いると、異常状態での使用傾向、すなわち通常状態の使用傾向以外の情報を加味してしまい、異常判定の精度向上が難しい。そこで、異常検知システム1は、使用対象が異常と判定された期間のデータを判定基準の更新に用いるデータから除外して、判定基準の更新を行ってもよい。これにより、異常検知システム1は、正常時のデータで判定基準を決定することができるため、精度をより向上させることができる。例えば、図10の処理#1での割合を算出する期間(1カ月)に異常判定がされた期間(異常判定期間)があった場合、異常検知システム1は、その異常判定期間のデータを除いたデータを用いて、割合を算出してもよい。また、割合の算出に用いるデータ数(例えば千件等)が設定されている場合、異常検知システム1は、その異常判定期間のデータを除いたデータを対象として、データ数(例えば千件等)分のデータを抽出し、抽出したデータを用いて割合を算出してもよい。
【0148】
異常検知システム1は、ブースTB1がN回連続して使用されない確率を理論式から推定する処理#2を実行する。例えば、異常検知システム1は、算出式FC11を用いて、ブースTB1がN回連続して使用されない確率を推定する。算出式FC11中の「0.3」は、処理#1で算出したトイレブースTB1の割合に対応する。トイレブースTB1の場合、上記N回に対応する変数nと確率pの関係は、変数nの増加につれて確率pが低下するグラフGR11に示すような関係となる。
【0149】
そして、異常検知システム1は、ブースTB1がN回連続して使用されない事象の1カ月の発生回数に変換する処理#3を実行する。例えば、異常検知システム1は、算出式FC12を用いて、確率pをブースTB1がN回連続して使用されない事象の1カ月の発生回数に変換する。算出式FC11中の「300」は、処理#1で取得したトイレブースTB1の月の使用回数に対応する。トイレブースTB1の場合、上記N回に対応する変数nと発生回数aの関係は、変数nの増加につれて発生回数aが低下するグラフGR12に示すような関係となる。
【0150】
そして、異常検知システム1は、管理者が許容できる異常誤報知回数を設定する処理#4を実行する。図10では、「1(回/月)」に設定された場合を一例として説明するが、「1」に限らず任意の設定が可能である。また、処理#4の設定は、事前に行われてもよく、この場合、異常検知システム1は、記憶部120に管理者が許容できる異常誤報知回数を示す設定値を予め記憶し、処理#4において、記憶部120からその設定値を取得する。
【0151】
そして、異常検知システム1は、ブースTB1がN回以上連続して使用されない事象の1カ月の発生回数が、1回以下になるようなNを算出する処理#5を実行する。なお、1回以下は、一例に過ぎず、例えば1回未満であってもよく、任意の条件が設定可能である。例えば、異常検知システム1は、グラフGR12の情報と、条件式FC13とを用いて、ブースTB1がN回以上連続して使用されない事象の1カ月の発生回数が、1回以下になるようなNを算出する。異常検知システム1は、条件式FC13で算出されるSの値(Nから∞までのaの合計値)が1以下となるようにNを算出する。図10では、異常検知システム1は、ブースTB1について、Nを15と算出する。これにより、異常検知システム1は、ブースTB1について、取得件数を15件に更新すると決定する。
【0152】
そして、異常検知システム1は、ブースTB1について、判定基準を「最新15件の入室信号にTB1の信号が含まれない」として、設定情報記憶部123に保存する処理#6を実行する。このように、異常検知システム1は、処理対象のブースについての判定基準を算出した取得件数に応じて更新する。
【0153】
また、異常検知システム1は、他のブースも同様の流れで判定基準を更新する処理#7を実行する。例えば、異常検知システム1は、ブースTB2について、ブースTB1と同様に、処理#2~処理#3を実行し、グラフGR13に示すような情報を生成する。そして、異常検知システム1は、グラフGR13の情報と、条件式FC13とを用いて、ブースTB2がN回以上連続して使用されない事象の1カ月の発生回数が、1回以下になるようなNが23であると算出する。これにより、異常検知システム1は、ブースTB2について、取得件数を23件に更新すると決定する。そして、異常検知システム1は、ブースTB2について、判定基準を「最新23件の入室信号にTB2の信号が含まれない」として、設定情報記憶部123に保存する処理を実行する。
【0154】
また、異常検知システム1は、ブースTB3についても、処理#2~処理#3を実行し、グラフGR14に示すような情報を生成する。そして、異常検知システム1は、グラフGR14の情報と、条件式FC13とを用いて、ブースTB3がN回以上連続して使用されない事象の1カ月の発生回数が、1回以下になるようなNが8であると算出する。これにより、異常検知システム1は、ブースTB3について、取得件数を8件に更新すると決定する。そして、異常検知システム1は、ブースTB3について、判定基準を「最新8件の入室信号にTB3の信号が含まれない」として、設定情報記憶部123に保存する処理を実行する。
【0155】
<1-6-1-2.判定基準例>
なお、上述した判定基準は一例に過ぎず、判定基準は任意の情報が採用可能である。例えば、判定基準としては、各使用対象について算出される特徴値が用いられてもよい。この点について図11を用いて説明する。図11は、異常検知システムにおける判定基準の一例を示す図である。
【0156】
例えば、異常検知システム1は、所得件数に応じて取得したデータにおける各使用対象の情報の数を基に、各使用対象の特徴値を算出してもよい。この場合、異常検知システム1は、各使用対象について、算出した特徴値に応じて変動する判定基準を用いて、各使用対象の異常判定を行う。
【0157】
図11中の特徴値に基づく判定例CL1は、トイレブースTB1の特徴値の算出例を示す。判定例CL1では、所得件数が5件であり、異常検知システム1は、取得した5件のデータにおけるトイレブースTB1~TB3の各々の件数を基に、トイレブースTB1の特徴値を算出してもよい。図11では、取得した5件のデータのうち、トイレブースTB1に対応する件数は0件であり、トイレブースTB2に対応する件数は3件であり、トイレブースTB3に対応する件数は2件である場合を示す。
【0158】
この場合、異常検知システム1は、判定例CL1に示すように、異常検知システム1が取得した「全トイレブース(トイレブースTB1~TB3)を使用した件数のうち、トイレブースTB2を使用した件数及びトイレブースTB3を使用した件数の合計値でトイレブースTB1を使用した件数を除することにより、トイレブースTB1の特徴値を算出する。これにより、異常検知システム1は、トイレブースTB1の特徴値を「0」(=0/(3+2))であると算出する。また、特徴値は、上述した計算に限らず、例えば、異常検知システム1が取得した「全トイレブース(トイレブースTB1~TB3)を使用した件数のうち、トイレブースTB1を使用した件数及びトイレブースTB2を使用した件数及びトイレブースTB3を使用した件数の合計値でトイレブースTB1を使用した件数を除することで算出するものであっても良い。
【0159】
そして、異常検知システム1は、トイレブースTB1の特徴値「0」とトイレブースTB1の閾値「0」とを比較することにより、トイレブースTB1が異常であるか否かを判定する。例えば、異常検知システム1は、トイレブースTB1の特徴値がトイレブースTB1の閾値以下である場合、トイレブースTB1が異常であると判定する。また、異常検知システム1は、トイレブースTB1の特徴値がトイレブースTB1の閾値より大きい場合、トイレブースTB1が正常であると判定する。図11では、異常検知システム1は、トイレブースTB1の特徴値が「0」であり、トイレブースTB1の閾値「0」以下であるため、トイレブースTB1が異常であると判定する。
【0160】
また、異常検知システム1は、トイレブースTB2、TB3についても同様に、決定した取得件数のデータを取得し、トイレブースTB2、TB3の各々の特徴値を算出する。そして、異常検知システム1は、算出したトイレブースTB2、TB3の各々の特徴値と、トイレブースTB2、TB3の各々の閾値とを比較することにより、トイレブースTB2、TB3の各々が異常であるか否かを判定する。このように、異常検知システム1は、トイレブースTB1~TB3について、各々の異なる特徴値を含む判定基準を用いて、判定処理を実行する。例えば、トイレブースTB2、TB3の各々の閾値は「0」である。
【0161】
図11に示すように、使用対象の特徴値を用いて異常判定を行う場合、図9に示すステップS105での判定処理は「処理対象の特徴値が閾値以下?」となり、異常検知システム1は、処理対象となる使用対象について特徴値を算出してステップS105の処理を実行する。
【0162】
<1-6-2.判定基準の更新処理>
次に判定基準の更新について以下説明する。異常検知システム1は、複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定することにより、複数の判定基準を自動で調整する。例えば、異常検知システム1は、所定のタイミングで複数の使用対象の各々に対応する判定基準を更新する処理を実行する。この点について以下、処理例を説明する。
【0163】
<1-6-2-1.判定基準の初期更新>
例えば、異常検知システム1は、図12に示すように判定基準の更新(初期更新)を実行してもよい。図12は、異常検知システムが実行する判定基準の更新の一例を示すフローチャートである。例えば、図12は、異常検知システム1が実行する判定基準の初期更新を示すフローチャートである。なお、図10の判定基準の更新処理等、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0164】
図12に示す判定基準の更新例では、異常検知システム1は、設定情報記憶部から判定基準更新用の取得件数情報を取得する(ステップS201)。例えば、異常検知システム1は、設定情報記憶部123の更新用テーブルTL2のうち判定基準更新用の取得件数(例えば「1000データ」)に対応する情報を取得する。
【0165】
異常検知システム1は、収集情報記憶部から全件取得する(ステップS202)。例えば、異常検知システム1は、収集情報記憶部122に格納された入室信号を全件取得する。
【0166】
そして、異常検知システム1は、1000データ以上であるか否かを判定する(ステップS203)。例えば、異常検知システム1は、収集情報記憶部122から取得した入室信号の数が1000件以上であるか否かを判定する。なお、図12では、ステップS203の条件が「1000データ以上」である場合を一例として示すが、ステップS203の条件は、図12に示す場合に限らず、例えば判定基準更新用の取得件数の情報等に応じて適宜変更される。
【0167】
異常検知システム1は、1000データ以上ではない場合(ステップS203:No)、ステップS202に戻って処理を繰り返す。一方、異常検知システム1は、1000データ以上である場合(ステップS203:Yes)、異常検知システム1は、変数iを1に設定する(ステップS204)。異常検知システム1は、変数iが3以下である場合(ステップS205:Yes)、ステップS206以降に示す判定基準の初期更新の処理を実行する。
【0168】
異常検知システム1は、ブースの使用率を算出する(ステップS206)。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、トイレブースTB1(ブースTB1)の使用率(例えば図10の割合に対応)を算出する。そして、異常検知システム1は、ブースの使用率に応じた判定基準の算出する(ステップS207)。例えば、異常検知システム1は、ブースの使用率に応じた取得件数を算出する。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、トイレブースTB1(ブースTB1)の使用率に応じて、トイレブースTB1に対応する取得件数を含む判定基準を決定する。
【0169】
そして、異常検知システム1は、設定情報記憶部に判定基準を保存する(ステップS208)。例えば、異常検知システム1は、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に判定基準を保存する。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、ブースTB1について決定した判定基準を、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に、ブースTB1に対応する判定基準として登録する。
【0170】
そして、異常検知システム1は、変数iを1加算する処理を実行し(ステップS209)、ステップS205に戻る。異常検知システム1は、変数iが3を超えた場合(ステップS205:No)、処理を終了する。例えば、異常検知システム1は、変数iが3を超えた場合、更新対象となる使用対象の全ての判定基準の更新の処理が完了したとして処理を終了する。
【0171】
<1-6-2-2.判定基準の定期更新>
図12では初回の更新処理について示したが、異常検知システム1は、図13に示すように判定基準の定期更新処理を実行する。図13は、異常検知システムが実行する判定基準の更新の一例を示すフローチャートである。例えば、図13は、異常検知システム1が実行する判定基準の2回目以降の更新処理例を示すフローチャートである。なお、図12等で説明した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0172】
図13に示す判定基準の更新例では、異常検知システム1は、設定情報記憶部から定期更新タイミングと前回更新日時を取得する(ステップS301)。例えば、異常検知システム1は、設定情報記憶部123の更新用テーブルTL2のうち、定期更新タイミングに対応する情報(例えば「60日ごと」)と、前回更新日時に対応する情報(例えば「2022年12月1日」)を取得する。
【0173】
そして、異常検知システム1は、前回更新から60日経過しているか否かを判定する(ステップS302)。例えば、異常検知システム1は、前回更新日時「2022年12月1日」から60日経過しているか否かを判定する。なお、図13では、ステップS302の条件が「前回更新から60日経過」である場合を一例として示すが、ステップS302の条件は、図13に示す場合に限らず、例えば定期更新タイミングの情報等に応じて適宜変更される。
【0174】
異常検知システム1は、前回更新から60日経過していない場合(ステップS302:No)、ステップS301に戻って処理を繰り返す。一方、異常検知システム1は、前回更新から60日経過している場合(ステップS302:Yes)、設定情報記憶部から判定基準更新用の取得件数情報を取得する(ステップS303)。例えば、異常検知システム1は、前回更新から60日経過している場合、設定情報記憶部123の更新用テーブルTL2のうち判定基準更新用の取得件数に対応する情報(例えば「1000データ」)を取得する。
【0175】
異常検知システム1は、収集情報記憶部から最新1000件取得する(ステップS304)。例えば、異常検知システム1は、収集情報記憶部122に格納された入室信号のうち、日時が新しい方から順に1000件の入室信号を取得する。なお、取得件数は、図13に示す1000件に限らず、例えば判定基準更新用の取得件数の情報等に応じて適宜変更される。
【0176】
そして、異常検知システム1は、変数iを1に設定する(ステップS305)。異常検知システム1は、変数iが3以下である場合(ステップS306:Yes)、ステップS307以降に示す判定基準の初期更新の処理を実行する。
【0177】
異常検知システム1は、ブースの使用率を算出する(ステップS307)。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、トイレブースTB1(ブースTB1)の使用率を算出する。そして、異常検知システム1は、ブースの使用率に応じた判定基準の算出する(ステップS308)。例えば、異常検知システム1は、ブースの使用率に応じた取得件数を算出する。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、トイレブースTB1(ブースTB1)の使用率に応じて、トイレブースTB1に対応する取得件数を含む判定基準を決定する。
【0178】
そして、異常検知システム1は、設定情報記憶部に判定基準を保存する(ステップS309)。例えば、異常検知システム1は、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に判定基準を保存する。例えば、異常検知システム1は、変数iが1である場合、ブースTB1について決定した判定基準を、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に、ブースTB1に対応する判定基準として登録する。
【0179】
そして、異常検知システム1は、変数iを1加算する処理を実行し(ステップS310)、ステップS306に戻る。異常検知システム1は、変数iが3を超えた場合(ステップS306:No)、処理を終了する。例えば、異常検知システム1は、変数iが3を超えた場合、更新対象となる使用対象の全ての判定基準の更新の処理が完了したとして処理を終了する。
【0180】
<1-6-3.取得件数の決定例>
なお、上述した取得件数の決定は一例に過ぎず、異常検知システム1は、任意の処理により取得件数を決定してもよい。図14を用いて、取得処理で取得する件数の決定の例について説明する。図14は、取得件数の決定の一例を示す図である。
【0181】
図14に示す取得件数の決定処理を実行する場合、異常検知システム1は、n件のデータを取得した際、その使用対象を一人も選択しない確率pを過去の蓄積データから分析する。例えば、異常検知システム1は、図14中の分布情報GR1、分布情報GR2等を用いて、取得件数を決定する。例えば、分布情報GR1は、トイレブースTB1の取得件数を決定する際に用いられる情報の一例を示し、分布情報GR2は、トイレブースTB2の取得件数を決定する際に用いられる情報の一例を示す。
【0182】
異常検知システム1は、図14中の分布情報GR1を用いて、トイレブースTB1の取得件数を決定する。図14では、分布情報GR1が示すように、トイレブースTB1については、5件のデータを取得した際、トイレブースTB1を一人も選択しない確率は非常に低い。例えば、トイレブースTB1については、5件のデータを取得した際、トイレブースTB1を一人も選択しない確率が所定値(「例えば0、0.01等の設定値)以下である。そのため、トイレブースTB1については、この状態になれば異常が発生と判定することが可能であると想定される。そのため、異常検知システム1は、トイレブースTB1については、取得件数を5件に決定する。この場合、異常検知システム1は、ブースTB1について決定した取得件数「5件」を含む判定基準を、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に、ブースTB1に対応する判定基準として登録する。
【0183】
同様に、異常検知システム1は、図14中の分布情報GR2を用いて、トイレブースTB2の取得件数を決定する。図14では、分布情報GR2が示すように、トイレブースTB2については、6件のデータを取得した際、トイレブースTB2を一人も選択しない確率は非常に低い。例えば、トイレブースTB2については、6件のデータを取得した際、トイレブースTB2を一人も選択しない確率が所定値(「例えば0、0.005等の設定値)以下である。そのため、トイレブースTB2については、この状態になれば異常が発生と判定することが可能であると想定される。そのため、異常検知システム1は、トイレブースTB2については、取得件数を6件に決定する。この場合、異常検知システム1は、ブースTB2について決定した取得件数「6件」を含む判定基準を、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に、ブースTB2に対応する判定基準として登録する。例えば、異常検知システム1は、「最新6件の入室信号にTB2の信号が含まれない」という判定基準を、設定情報記憶部123の基準用テーブルTL1に、ブースTB2に対応する判定基準として登録する。
【0184】
<1-6-3.その他の処理例>
異常検知システム1は、上記のように様々な処理を行ってもよい。この点について、以下例示を記載する。例えば、異常検知システム1は、異常判定して外部に連絡を行った結果を受けて、管理者が入力した異常の正誤結果を記録可能であり、その正誤結果の過去履歴も出力可能であってもよい。これにより、異常検知システム1は、閾値を変更するにあたって、本当に異常だったのか、誤判定だったのかを踏まえて、閾値を変更できるため、より精度の良い閾値変更が行える。
【0185】
また、例えば、異常検知システム1は、異常判定後に使用された場合、異常の報知を停止する。これにより、異常検知システム1は、異常誤報知に対して管理者や清掃者等が対処に向かう手間を削減することができる。また、例えば、異常検知システム1は、異常報知を取り消したことを通知する。これにより、異常検知システム1は、使用され異常判定が取り消されたことを管理者や清掃者等に知らせることができ、混乱が生じる可能性を低減させることができる。
【0186】
また、異常の発生した期間を学習データに入れると、偏りが生じ、誤報知につながる。そこで、異常検知システム1は、異常と判定されたデータを学習データから除外し、学習してもよい。これにより、異常検知システム1は、正常時のデータで判定基準を定められるため、精度を向上させることができる。
【0187】
また、夜間は人の使用が少ないため、偏りが大きくなり、誤検知発生につながる。例えば、一人ずつの利用だと、特定のブースのみが使用される可能性が有り、混雑していると均一に埋まる可能性が高い。そこで、異常検知システム1は、夜間は異常判定を行わないように設定可能であってもよい。この場合、異常検知システム1は、夜間として設定された時間帯(例えば23時~翌日7時等)には、異常判定を行わなくてもよい。これにより、異常検知システム1は、誤検知する可能性を低減させることができる。
【0188】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0189】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0190】
上述してきた各実施形態及び変形例について、以下のような構成であってもよいが、以下には限られない。
(1)
トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用を検知する検知部と、
前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、
前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定し、前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合、判定結果を示す情報を外部に報知する制御部と、
を備え、前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能であることを特徴とする異常検知システム。
(2)
前記制御部は、
前記複数の使用対象における前記一の使用対象の使用傾向に基づき算出される情報の取得件数を含む前記一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する
ことを特徴とする(1)に記載の異常検知システム。
(3)
前記制御部は、
前記複数の使用対象のうち前記一の使用対象以外の他の使用対象と、前記一の使用対象との使用傾向との比較に基づき算出される前記一の使用対象に対応する特徴値を含む前記一の判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の異常検知システム。
(4)
前記記憶部は、
前記複数の使用対象の各々の使用時刻の過去履歴を示す前記履歴情報を記録し、前記過去履歴を出力可能である
ことを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の異常検知システム。
(5)
前記制御部は、
前記判定結果を示す情報を管理者に通知し、
前記記憶部は、
前記管理者が入力した前記判定結果に対する前記管理者の正誤判断結果を示す情報を記憶可能であり、前記管理者の正誤判断結果を含む前記過去履歴を出力可能である
ことを特徴とする(4)に記載の異常検知システム。
(6)
前記制御部は、
前記複数の使用対象の各々に対応する判定基準を決定することにより、前記複数の判定基準を自動で調整する
ことを特徴とする(1)~(5)のいずれか1つに記載の異常検知システム。
(7)
前記制御部は、
所定のタイミングで前記複数の使用対象の各々に対応する判定基準を更新する処理を実行する
ことを特徴とする(6)に記載の異常検知システム。
(8)
前記記憶部は、
前記複数の使用対象の各々の少なくとも前回の判定結果を記録し、
前記制御部は、
前記一の使用対象に異常が生じたと判定した場合に、前記前回の判定結果が異常を示す場合、前記判定結果を示す情報を外部に報知しない
ことを特徴とする(1)~(7)のいずれか1つに記載の異常検知システム。
(9)
前記制御部は、
前記一の使用対象に異常が生じたと判定した後に、前記一の使用対象が使用された場合、前記判定結果を示す情報の外部への報知を停止する
ことを特徴とする(1)~(8)のいずれか1つに記載の異常検知システム。
(10)
前記制御部は、
前記一の使用対象に異常が生じたとの判定を取り消したことを通知する
ことを特徴とする(9)に記載の異常検知システム。
(11)
トイレの使用者による使用の対象となる複数の使用対象の各々の使用が検知部により検知された検知情報を取得する取得部と、
前記複数の使用対象の各々の使用を示す履歴情報を記憶する記憶部と、
前記複数の使用対象のうち一の使用対象を対象として処理を実行する場合、前記記憶部に記憶された前記履歴情報が示す前記複数の使用対象の各々の使用傾向に基づいて、前記複数の使用対象ごとに決定された複数の判定基準のうち、前記一の使用対象に対応する判定基準を用いて、前記一の使用対象に異常が生じたか否かを判定する制御部と、
を備え、前記複数の判定基準は、自動または手動で調整可能であることを特徴とする異常検知システム。
【符号の説明】
【0191】
1 異常検知システム
2 トイレ空間
10 大便器
20 小便器
30 洗面器
50 収集装置
100 解析装置
110 通信部
120 記憶部
121 配置情報記憶部
122 収集情報記憶部
123 設定情報記憶部
124 判定情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 算出部
133 判定部
134 送信部
CS 共有空間
TB トイレブース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14