(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172724
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20241205BHJP
A62C 33/04 20060101ALI20241205BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C33/04
A62C3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090640
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EB02
2E189EB05
2E189LB03
(57)【要約】
【課題】薄型化された収納スペースに、隣接する消火栓装置との放水範囲の重複が可能な所定長の消火用ホースを折れ曲がることなく巻き込んで引出自在に収納することを可能とする。
【解決手段】消火栓装置10は、第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cで構成される。第1筐体11aには、放水用ノズル66を含む消火栓機器が消火栓扉14の開放により操作可能に設けられる。第2筐体11bには、消火器19が消火器扉16の開放により取り出し可能に収納され、電装扉18に赤色表示灯22等の電装機器が配置される。第3筐体11cには、奥行方向に分割したスリット開口を有する収納区画が形成され、奥側のスリット開口から順番に消火用ホース62が縦回りに巻き入れられて引出自在に収納される。第3筐体11cは、第1筐体11a及び第2筐体11bを、監視員通路34の路面上方の所定高さに取付け固定する架台としても機能する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路上に露出した状態で当該トンネル壁面に近接又は当接して設置される消火栓装置であって、
消火用ホースを除く所定の機器が設けられた装置本体が前記監視員通路の路面上方の所定の高さに設置され、
前記装置本体と前記監視員通路の路面との間の空間に、奥行方向に向けて分割された収納区画に消火用ホースが順番に縦回りに巻き入れられて引出自在に収納されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記装置本体として、
前記所定の機器として、前記消火用ホースを除く所定の消火栓機器が設けられると共に、前記所定の消火栓機器を操作可能とする開口に開閉自在に設けられた消火栓扉が配置された第1筐体と、
前記第1筐体と共に前記トンネル壁面に沿うように前記第1筐体の所定の側面に配置され、前記所定の機器として、少なくとも消火器及び所定の電装機器が設けられると共に、前記消火器を取り出し可能とする開口に開閉自在に設けられた消火器扉及び前記所定の電装機器が配置された電装扉が設けられた第2筐体と、
を備え、
更に、前記装置本体と前記監視員通路の路面との間の空間に設置され、自身の上面側に前記第1筐体と前記第2筐体を設置することで前記第1筐体と前記第2筐体を前記監視員通路の路面上方の所定の高さに設置し、前記収納区画として少なくとも前記消火用ホース1本分の出し入れが可能な奥行方向の開口幅を有する横長のスリット開口が形成された第3筐体を架台上に備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記スリット開口は、非可撓性の線材を用いたケージ構造により形成されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記スリット開口は、前記第3筐体の内側面の間に可撓性の線材を張り渡した張線構造により形成されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項4記載の消火栓装置において、
前記張線構造は、前記線材の張力を調整する張力調整機構を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項6】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記スリット開口は、前記第3筐体の底面側に起立した板部材を配置した箱板構造により形成されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項7】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースは、前記スリット開口にループ状に巻き入れられて収納されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項8】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースは、前記スリット開口に横方向で湾曲する横波状に巻き入れられて収納されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項9】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースは、前記スリット開口に少なくとも1.5周期分が横波状に湾曲して巻き入れられたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項10】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記スリット開口は、横波状に巻き入れられる前記消火用ホースが前記スリット開口を横切る半周期に対応した位置に、前記スリット開口を横切る支援線材が配置されて複数の開口区画に分割され、
前記支援線材は、前記開口区画に前記消火用ホースを半周期ずつ巻き入れる収納を支援した後に、前記スリット開口から離脱して前記開口区画を開放可能に設けられたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項11】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースは、前記スリット開口に縦方向で湾曲する縦波状に巻き入れられて収納されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項12】
請求項11記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースは、前記スリット開口に少なくとも1周期分が縦波状に湾曲して巻き入れられたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項13】
請求項12記載の消火栓装置において、
前記スリット開口は、縦波状に巻き入れられる前記消火用ホースの半周期の縦波山位置ごとに配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項14】
請求項7又は8記載の消火栓装置において、
前記スリット開口は、巻き入れられる前記消火用ホースの下側を支える所定の高さであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項15】
請求項7又は8記載の消火栓装置において、
前記スリット開口の高さは、前記筐体内部の高さ幅の少なくとも半分の高さであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項16】
請求項3記載の消火栓装置において、
前記第1筐体の下面及び前記第3筐体の上面の各々に、相互に対応したホース引出口が形成され、
前記第3筐体内に収納される消火用ホースは、巻き始めとなる一端側が前記第1筐体の内部に設けられた消火栓弁を含むバルブ類の配管の出口側に接続され、前記第1筐体の下面に形成されたホース引出口及び前記第3筐体の上面に形成されたホース引出口を経由して前記第3筐体の内部に引き込まれ、巻き終わりとなる他端側が前記第3筐体の上面に形成されたホース引出口及び前記第1筐体の下面に形成されたホース引出口を経由して前記第1筐体の内部に引き込まれ、前記第1筐体の内部に着脱自在に保持された放水用ノズルに接続されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項17】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記第1筐体、前記第2筐体及び前記第3筐体の奥行幅は、何れかの筐体の内部に設けられる最大奥行寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小奥行幅であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項18】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記第1筐体及び前記第2筐体の高さ幅は、前記第1筐体及び前記第2筐体何れかの筐体の内部に設けられる最大高さ寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小高さ幅であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項19】
請求項17又は18記載の消火栓装置において、
前記最大奥行寸法又は前記最大高さ寸法を有する機器は、前記消火器であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項20】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記第3筐体は、前記消火用ホースを外部から内部に収納するための開口に、開閉自在に設けられたホース収納扉が配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項21】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記監視員通路の路面から前記第1筐体及び前記第2筐体の最上部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の上限高さ以下に位置し、
前記監視員通路の路面から前記第1筐体及び前記第2筐体の最下部までの高さは、前記法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の下限高さ以上に位置することを特徴とする消火栓装置。
【請求項22】
請求項2記載の消火栓装置において、
法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲に位置する前記第1筐体に設けられた所定の操作対象は、前記消火栓扉の開閉操作部、前記放水用ノズル、前記消火栓弁の開閉操作部、外部からホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動操作部を含み、
前記法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲に位置する前記第2筐体に設けられた所定の操作対象は、前記消火器扉の開閉操作部、前記消火器の操作部及び前記電装機器の操作部を含むことを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路に露出して設置される消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路等のトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。例えば、消火栓装置は、前傾式の消火栓扉(前傾扉)を備えた筐体内部の消火栓収納部に、先端に放水ノズルを装着した消火用ホースや消火栓弁を含むバルブ類等が収納され、また、消火器扉を備えた筐体内部の消火器収納部に、2本の消火器が収納されている。また、消火栓装置は、一般的にトンネル長手方向、例えば、50メートル間隔で、監視員通路が設けられたトンネル壁面を箱抜きして埋込み設置されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、シールド工法等により造られたトンネルにあっては、トンネル躯体の構造上、トンネル壁面を箱抜きして消火栓装置を埋込み設置することがコストや労力の関係から困難であることから、消火栓装置を監視員通路に露出した状態で設置することが要求されている。
【0004】
このため、消火栓装置をトンネル壁面に箱抜きすることなく、監視員通路に消火栓装置が露出した状態で設置する構造として、トンネル壁面に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置の装置本体を取付固定する壁掛け構造が提案されており、当該壁掛け構造の架台は、壁面に固定される主支持部と消火栓装置の装置本体の姿勢を保持する姿勢保持部材等から構成されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、壁掛け構造による消火栓装置の設置は、トンネル壁面への消火栓装置の取り付けに工数と時間が掛かる等の課題があることから、設置が容易である監視員通路の路面上に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置の装置本体を取付固定する、いわゆる据置き構造を採用することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-279294号公報
【特許文献2】特開2019-000196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、据置き型の消火栓装置にあっては、監視員通路の路面上の所定の高さに消火栓装置の装置本体を設置するための架台は一般的にアングル材を箱形に組み合わせた型枠構造である。その架台のアングル材を剥き出しにしておくことは従来の壁面埋込型と比べ見栄えに問題があり、型枠構造の周囲に板部材等によるカバーを配置して剥き出しとなったアングル材を隠すことも考えられるが、見栄えの悪さを解消するためだけに追加構造を設ける意義は薄い。
【0008】
また、架台の内部空間を監視員通路から立ち上げた給水配管を消火栓装置の装置本体に引き込むための配管スペースに利用しているが、それでも架台の内部空間の大部分は空き空間として残っており、架台が設置された空間に存在する空き空間が十分に活用されていない問題もある。
【0009】
そこで、消火栓装置と監視通路との間のスペースをホース収納部に利用することが考えられるが、監視員通路の通路幅の制約を低減するために、消火栓装置は可能な限り薄型化する必要がある。ここで、消火栓装置に収納又は配置される奥行寸法が最も大きくなる機器は消火器であることから、消火器を収納可能な奥行幅として、例えば、250mm程度に薄型化が可能となる。
【0010】
しかしながら、消火栓装置の薄型化に伴い、消火栓装置と監視員通路との間となるホース収納スペースも同様に薄型化されるが、消火栓装置には少なくとも30mの消火用ホースを折れ曲がることなく巻き回して引出自在に収納する必要があり、このためのホース収納構造をどのようにするかが課題となる。
【0011】
本発明は、薄型化された収納スペースに、隣接する消火栓装置との放水範囲の重複が可能な所定長の消火用ホースを折れ曲がることなく巻き込んで引出自在に収納することを可能とする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(消火栓装置)
本発明は、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路上に露出した状態で当該トンネル壁面に近接又は当接して設置される消火栓装置であって、
消火用ホースを除く所定の機器が設けられた装置本体が監視員通路の路面上方の所定の高さに設置され、
装置本体と監視員通路の路面との間の空間に、奥行方向に向けて分割された収納区画に消火用ホースが順番に縦回りに巻き入れられて引出自在に収納されたことを特徴とする。
【0013】
(消火栓装置の構造)
装置本体として、
所定の機器として、消火用ホースを除く所定の消火栓機器が設けられると共に、所定の消火栓機器を操作可能とする開口に開閉自在に設けられた消火栓扉が配置された第1筐体と、
第1筐体と共にトンネル壁面に沿うように第1筐体の所定の側面に配置され、所定の機器として、少なくとも消火器及び所定の電装機器が設けられると共に、消火器を取り出し可能とする開口に開閉自在に設けられた消火器扉及び所定の電装機器が配置された電装扉が設けられた第2筐体と、
を備え、
更に、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に設置され、自身の上面側に第1筐体と第2筐体を設置することで第1筐体と第2筐体を監視員通路の路面上方の所定の高さに設置し、収納区画として少なくとも消火用ホース1本分を出し入れ可能な奥行方向の開口幅を有する横長のスリット開口が奥行方向に複数形成された第3筐体を架台上に備える。
【0014】
(ケージ構造(籠構造)のスリット開口)
スリット開口は、非可撓性の線材を用いたケージ構造により形成される。
【0015】
(張線構造のスリット開口)
スリット開口は、第3筐体の内側面の間に可撓性の線材を張り渡した張線構造により形成される。
【0016】
(張力調整機構)
張線構造は、線材の張力を調整する張力調整機構を備える。
【0017】
(箱板構造のスリット開口)
スリット開口は、第3筐体の底面側に起立した板部材を配置した箱板構造により形成される。
【0018】
(収納区画のホースのループ状の収納)
消火用ホースは、スリット開口にループ状に巻き入れられて収納される。
【0019】
(収納区画の横波状のホース収納)
消火用ホースは、スリット開口に横方向で湾曲する横波状に巻き入れられて収納される。
【0020】
(1.5周期分の横波状のホース巻き入れ)
消火用ホースは、スリット開口に少なくとも1.5周期分が横波状に湾曲して巻き入れられる。
【0021】
(半周期の横波部分を仕切る支援線材)
スリット開口は、横波状に巻き入れられる消火用ホースがスリット開口を横切る半周期の横波部分に対応した位置に、スリット開口を横切る支援線材が配置されて複数の開口区間に分割され、
支援線材は、開口区間に消火用ホースを半周期ずつ巻き入れる収納を支援した後に、スリット開口から離脱して区間を開放可能に設けられる。
【0022】
(収納区画の縦波状のホース収納)
消火用ホースは、スリット開口に縦方向で湾曲する縦波状に巻き入れられて収納される。
【0023】
(1周期分の縦波状のホース巻き入れ)
消火用ホースは、スリット開口に少なくとも1周期分が縦波状に湾曲して巻き入れられる。
【0024】
(半周期の縦波位置ごとにスリット開口を配置)
スリット開口は、縦波状に巻き入れられる消火用ホースの半周期の縦波山位置ごとに配置される。
【0025】
(収納スリットの高さ)
消火用ホースのループ状収納又は横波状収納において、
スリット開口は、巻き入れられる消火用ホースの下側を支える所定の高さである。
【0026】
(筐体高さ幅の半分以上となる収納スリットの高さ)
スリット開口の高さは、筐体内部の高さ幅の少なくとも半分の高さである。
【0027】
(消火用ホースの引込み引き出し構造)
第1筐体の下面及び第3筐体の上面の各々に、相互に対応したホース引出口が形成され、
第3筐体内に収納される消火用ホースは、巻き始めとなる一端側が第1筐体の内部に設けられた消火栓弁を含むバルブ類の配管の出口側に接続され、第1筐体の下面に形成されたホース引出口及び第3筐体の上面に形成されたホース引出口を経由して第3筐体の内部に引き込まれ、巻き終わりとなる他端側が第3筐体の上面に形成されたホース引出口及び第1筐体の下面に形成されたホース引出口を経由して第1筐体の内部に引き込まれ、第1筐体の内部に着脱自在に保持された放水用ノズルに接続される。
【0028】
(消火栓装置の薄型化)
第1筐体、第2筐体及び第3筐体の奥行幅は、何れかの筐体の内部に設けられる最大奥行寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小奥行幅である。
【0029】
(装置本体の小型化)
第1筐体及び第2筐体の高さ幅は、第1筐体及び第2筐体何れかの筐体の内部に設けられる最大高さ寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小高さ幅である。
【0030】
(消火器に対応した薄型化・小型化)
最大奥行寸法又は最大高さ寸法を有する機器は、消火器である。
【0031】
(第3筐体のホース収納扉)
第3筐体は、消火用ホースを外部から内部に収納するための開口に、開閉自在に設けられたホース収納扉が配置される。
【0032】
(適正操作範囲に対応した第1筐体及び第2筐体の設置高さ)
監視員通路の路面から第1筐体及び第2筐体の最上部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の上限高さ以下に位置し、
監視員通路の路面から第1筐体及び第2筐体の最下部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の下限高さ以上に位置する。
【0033】
(適正操作範囲に位置する操作対象)
法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲に位置する第1筐体に設けられた所定の操作対象は、消火栓扉の開閉操作部、放水用ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部からホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動操作部を含み、
法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲に位置する第2筐体に設けられた所定の操作対象は、消火器扉の開閉操作部、消火器の操作部及び電装機器の操作部を含む。
【発明の効果】
【0034】
(消火栓装置の効果)
本発明は、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路上に露出した状態で当該トンネル壁面に近接又は当接して設置される消火栓装置であって、消火用ホースを除く所定の機器が設けられた装置本体が監視員通路の路面上方の所定の高さに設置され、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に、消火用ホースが収納されたため、装置本体と監視員通路の路面との間の空間を架台の設置空間として利用するだけでなく、消火用ホースの収納空間として有効活用することができ、更に、装置本体側での消火用ホースの収納空間が不要となることで、装置本体及び消火栓装置全体としてのサイズを低減することが可能となる。
【0035】
また、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に、奥行方向に向けて分割された収納区画に消火用ホースが順番に縦回りに巻き入いれられて引出自在に収納されたため、1つの収納区画に巻き入れる1ターン当りのホース長として十分な長さが確保され、消火栓装置を薄型化しても、少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して収納可能となる。
【0036】
(消火栓装置の構造による効果)
また、装置本体として、所定の機器として、消火用ホースを除く所定の消火栓機器が設けられると共に、所定の消火栓機器を操作可能とする開口に開閉自在に設けられた消火栓扉が配置された第1筐体と、第1筐体と共にトンネル壁面に沿うように第1筐体の所定の側面に配置され、所定の機器として、少なくとも消火器及び所定の電装機器が設けられると共に、消火器を取り出し可能とする開口に開閉自在に設けられた消火器扉及び所定の電装機器が配置された電装扉が設けられた第2筐体と、を備え、更に、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に設置され、自身の上面側に第1筐体と第2筐体を設置することで第1筐体と第2筐体を監視員通路の路面上方の所定の高さに設置し、内部に消火用ホースが収納された第3筐体を架台上に備えたため、第3筐体が第1筐体と第2筐体を監視員通路上の所定の高さに設置する機能と消火用ホースを収納するホース収納部としての機能を合わせ持ち、従来の消火栓装置を所定高さに設置する空間を消火用ホースの収納空間として有効活用することができ、装置本体の第1筐体側での消火用ホースの収納空間を不要として、装置本体及び消火栓装置全体としてのサイズを低減することが可能となる。
【0037】
また、第3筐体に、収納区画として、少なくとも消火用ホース1本分を出し入れ可能な奥行方向の開口幅を有する横長のスリット開口が奥行方向に複数形成されたため、筐体内の所定高さで奥行方向に複数のスリット開口が形成されたことで、消火用ホースの収納位置が規制され、奥行方向に向けて分割された収納区画としての機能が簡単な構造で実現可能となる。
【0038】
(ケージ構造(籠構造)のスリット開口による効果)
また、スリット開口は、非可撓性の線材を用いたケージ構造により形成されたため、簡単な構造により筐体内の所定高さに複数のスリット開口が奥行方向に形成可能となる。ケージ構造として、例えば、所定高さに複数のスリット開口を奥行方向に形成した箱形ケージを第3筐体とは別に制作し、箱形ケージを第3筐体内に収納して取付けることで、簡単且つ容易に、筐体内の所定高さで奥行方向に複数のスリット開口を形成することが可能となる。
【0039】
(張線構造のスリット開口による効果)
或いは、スリット開口は、第3筐体の内側面の間に可撓性の線材を張り渡した張線構造で形成されたため、1本の可撓性の線材、例えば、鋼線、ワイヤー線(撚り線)、耐熱性の樹脂線を、筐体内の所定高さで、奥行方向にホース1本分の隙間を空けて筐体の内側面の間に張り渡すことで、簡単且つ容易に、第3筐体内の所定高さで奥行方向に複数のスリット開口を形成することが可能となる。
【0040】
(張力調整機構の効果)
また、張線構造は、線材の張力を調整する張力調整機構を備えたため、製作段階或いは運用中に、スリット開口を形成するために張り渡している線材に緩みが生じたとしても、張力調整機構の操作により線材の張力を回復させることで、消火用ホースの収納板を仕切っているスリット開口の機能が簡単に回復して維持可能となる。
【0041】
(箱板構造のスリット開口)
また、スリット開口は、第3筐体の底面側に起立した板部材を配置した箱板構造により形成されるため、奥行方向に複数枚の板部材を並べるといった簡単な箱板構造によりスリット開口を形成することが可能となる。また、スリット開口が位置部材で仕切られているため、スリット区画に巻き込まれた消火用ホースは下側が板部材により支えられ、崩れることなく安定した収納状態の維持が可能となる。
【0042】
(収納区画のホースのループ状収納の効果)
また、消火用ホースは、スリット開口にループ状に巻き入れられて収納されたため、第3筐体内に形成されるスリット開口で奥行方向に仕切られた収納区画の内周に沿って消火用ホースが縦回りのループ状に順番に収納され、1ターン当りのホース長として十分な長さが確保でき、消火栓装置が薄型化されていても、少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して引出自在に収納可能となる。
【0043】
(収納区画の横波状のホース収納の効果)
また、消火用ホースは、スリット開口に横方向で湾曲する横波状に巻き入れられて収納されたため、収納区画の内周に沿って収納されるループ状収納に対し、横波状に湾曲して巻き入れられた分、1ターン当りのホース長を更に長くすることができ、奥行方向に形成された複数のスリット開口に対し、余裕をもって少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して引出自在に収納可能となる。
【0044】
(1.5周期分の横波状のホース巻き入れの効果)
また、消火用ホースは、スリット開口に少なくとも1.5周期分が横波状に湾曲して巻き入れられたため、消火用ホースは、第3筐体の上面側に設置されている第1筐体のバルブ類収納部から第3筐体に引き込まれた後に、第3筐体から第1筐体に引き出されて第1筐体に保持されている放水用ノズルに接続される必要があり、スリット開口に1.5周期分の消火用ホースが横波状に巻き入れられることで、ホース巻き入れ側及びホース巻き出し側の両方を第3筐体から上方に向かわせて第1筐体側との接続が可能となる。なお、周期数をNとすると、(N+0.5)周期の横波状の巻き入れと一般化することで、消火用ホースの巻き入れ側と巻き出し側を第3筐体の上方に向かわせることが可能となる。
【0045】
(半周期の横波部分を仕切る支援線材の効果)
また、スリット開口は、横波状に巻き入れられる消火用ホースがスリット開口を横切る半周期に対応した位置に、スリット開口を横切る支援線材が配置されて複数の開口区間に分割され、支援線材は、開口区間に消火用ホースを半周期ずつ巻き入れる収納を支援した後に、スリット開口から離脱して開口区間を開放可能に設けられたため、スリット開口が支援線材により0.5周期の区間に仕切られることで、1.5周期分となる消火用ホースの横波状の巻き入れ作業が簡単且つ容易に可能となる。
【0046】
また、スリット開口を開口区間に仕切っていた支援線材は、スリット開口に消火用ホースが横波状に巻き入れられた後に消火用ホースを引き出す妨げになることから、スリット開口から離脱する構造となる。支援線材がスリット開口から離脱する構造は任意であるが、支援線材の、リング状に丸められた一端がスリット開口の一番奥の線材に回動自在に支持され、鉤状(フック状)に湾曲した他端が最前部のスリット開口の線材に下側から係止し、消火用ホースの巻き入れ作業が終了した後に、支援線材の他端の係止部が押し下げられて最前部のスリット開口の線材から外れ、一番奥のスリット開口の線材に対し下向きに回動して垂れ下がった離脱状態となる。
【0047】
(収納区画の縦波状のホース収納の効果)
また、消火用ホースは、スリット開口に縦方向で湾曲する縦波状に巻き入れられて収納されたため、横波状のホース巻き入れに比べると短いが、収納区画の内周に沿って収納されるループ状の巻き入れ収納に対し、縦波状に湾曲して巻き入れられた分、1ターン当りのホース長を更に長くすることができ、奥行方向に形成された複数のスリット開口に対し、余裕をもって少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して引出自在に収納可能となる。
【0048】
(1周期分の縦波状のホース巻き入れの効果)
また、消火用ホースは、スリット開口に少なくとも1周期分が縦波状に湾曲して巻き入れられたため、横波状のホース巻き入れの場合と同様に、ホース巻き入れ側及びホース巻き出し側の両方を第3筐体から第3筐体の上方に配置された第1筐体側へ向かわせることが可能となる。
【0049】
(半周期の縦波位置ごとにスリット開口を配置する効果)
また、スリット開口は、縦波状に巻き入れられる消火用ホースの半周期の縦波山位置ごとに配置されたため、第3筐体内にスリット開口が上下2段に分けて配置され、且つ、消火用ホースが縦巻きされる場合に、半周期の縦波山位置にスリット開口を仕切る線材が位置することで、スリット開口に対する消火用ホースの縦波状の巻き入れ作業が簡単且つ容易に可能となる。
【0050】
(収納スリットの高さ)
また、消火用ホースのループ状収納又は横波状収納において、スリット開口は、巻き入れられる消火用ホースの下側を支える所定の高さである。例えば、スリット開口の高さはが、筐体内部の高さ幅の少なくとも半分の高さであれば、第3筐体内の高さ幅の中央付近にスリット開口が形成されることで、上下及び左右でバランスの取れた消火用ホースの巻き入れ作業と巻き入れ後のホース収納状態の維持が可能となる。また、スリット開口の上側に十分な空き空間が形成されたため、道路利用者が放水用ノズルを取り出して消火用ホースを第3筐体から第1筐体を経由して引き出す場合に、消火用ホースが自由に動ける十分な内部空間(ホース引き出し空間)が確保され、消火用ホースを軽い力で滑らかに引き出すことが可能となる。
【0051】
(消火用ホースの引込み引き出し構造)
また、第1筐体の下面及び第3筐体の上面の各々に、相互に対応したホース引出口が形成され、第3筐体内に収納される消火用ホースは、巻き始めとなる一端側が第1筐体の内部に設けられた消火栓弁を含むバルブ類の配管の出口側に接続され、第1筐体の下面に形成されたホース引出口及び第3筐体の上面に形成されたホース引出口を経由して第3筐体の内部に引き込まれ、巻き終わりとなる他端側が第3筐体の上面に形成されたホース引出口及び第1筐体の下面に形成されたホース引出口を経由して第1筐体の内部に引き込まれ、第1筐体の内部に着脱自在に保持された放水用ノズルに接続されたため、上側に位置する第1筐体に配置されている消火栓機器と下側に位置する第3筐体に収納されている消火用ホースとを最短距離で接続でき、また、道路利用者が第3筐体に収納されている消火用ホースを第1筐体を経由して、滑らかにホースを引き出すことが可能となる。
【0052】
(消火栓装置の薄型化の効果)
また、第1筐体、第2筐体及び第3筐体の奥行幅は、何れかの筐体の内部に設けられる最大奥行寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小奥行幅であるため、消火栓装置の奥行幅を可能な限り低減することができ、監視員通路上に露出して設置される消火栓装置であっても、避難通路として利用する監視員通路の通行を妨げることが抑制可能となる。
【0053】
(装置本体の小型化の効果)
また、第1筐体及び第2筐体の高さ幅は、第1筐体及び第2筐体何れかの筐体の内部に設けられる最大高さ寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小高さ幅であるため、第1筐体及び第2筐体の高さ幅を可能な限り低減することができ、装置本体を小型化することが可能となる。
【0054】
(消火器に対応した薄型化・小型化の効果)
また、第3筐体が消火用ホースを収納するホース収納部として機能して架台の設置空間が有効活用されることから、ホース収納部のサイズに依存することなく消火栓装置の奥行幅や装置本体の高さ幅等のサイズが定められ、その場合、消火栓装置のサイズに影響する最大奥行寸法又は最大高さ寸法を有する機器は、消火器となる。
【0055】
(第3筐体のホース収納扉の効果)
また、第3筐体は、消火用水ホースを外部から内部に収納するための開口に、開閉自在に設けられたホース収納扉が配置されたため、消火活動を終了した後の第3筐体へのホース巻き戻し作業を、ホース収納扉を開いて簡単且つ容易に行うことが可能となる。
【0056】
(適正操作範囲に対応した装置本体の高さ幅の効果)
また、監視員通路の路面から第1筐体及び第2筐体の最上部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の上限高さ以下に位置し、監視員通路の路面から第1筐体及び第2筐体の最下部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の下限高さ以上に位置するため、第1筐体に設けられた所定の操作対象、例えば、消火栓扉の開閉操作部、放水用ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部からホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動操作部、並びに第2筐体に設けられた所定の操作対象、例えば、消火器扉の開閉操作部、消火器の操作部及び電装機器の操作部は、どの位置に設けられたとしても必ず適正操作範囲に位置し、消火栓装置の設計の自由度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の実施形態を、正面から示した説明図である。
【
図2】
図1の消火栓装置の筐体構造を組立分解状態で示した説明図である。
【
図3】
図1の消火栓装置を左側面から示した説明図である。
【
図4】第3筐体に消火用ホースを巻き入れて収納する消火栓装置の内部構造を、第1筐体及び第3筐体の前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図5】第3筐体内の奥行方向に分割して形成される消火用ホースの収納区画を模式的に示した説明図である。
【
図6】
図4の第3筐体に配置されたホース格納ケージを取り出して斜視図で示した説明図である。
【
図7】
図4の第3筐体内にスリット開口を形成するホース格納ケージを取り出して示した説明図である。
【
図8】第3筐体内のスリット開口にループ状に巻き入れられる消火用ホースを模式的に示した説明図である。
【
図9】第3筐体内を収納区画に仕切るスリット開口を形成する張線構造を示した説明図である。
【
図10】
図9(B)の切断線a-aによる断面を示した説明図である。
【
図11】
図9の張線構造に設けられた張力調整構造を示した説明図である。
【
図12】第3筐体内を収納区画に仕切るスリット開口を形成する箱板構造を示した説明図である。
【
図13】消火栓装置を、消火栓扉を開いた状態で正面から示した説明図である。
【
図14】消火栓扉の扉開閉機構を消火栓装置の右側面から見た断面で示した説明図である。
【
図15】消火栓装置を、ホース収納扉を開いた状態で正面から示した説明図である。
【
図16】第3筐体の前面に設けられたホース収納扉の他の実施形態を示した説明図である。
【
図17】第3筐体の前面に設けられたホース収納扉の他の実施形態を示した説明図である。
【
図18】第3筐体に消火用ホースを横波状に巻き入れて収納する消火栓装置の内部構造を、第1筐体及び第3筐体の前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図19】消火用ホースを横波状に巻き入れるスリット開口が形成されたケージ構造を示した説明図である。
【
図20】第3筐体内のスリット開口に支援線材が配置されて横波状に巻き入れられた消火用ホースを模式的に示した説明図である。
【
図21】第3筐体に消火用ホースを縦波状に巻き入れて収納する消火栓装置の内部構造を、第1筐体及び第3筐体の前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図22】消火用ホースを縦波状に巻き入れるスリット開口が形成されたケージ構造を示した説明図である。
【
図23】
図21の第3筐体内にスリット開口を形成するホース格納ケージを取出して示した説明図である。
【
図24】第3筐体内のスリット開口に縦波状に巻き入れられる消火用ホースを模式的に示した説明図である。
【
図25】治具を使用して消火用ホースが縦波状に巻き戻された状態を、第3筐体の前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図26】治具を使用して消火用ホースが縦波状に巻き戻された状態を、
図25の切断線d-dの断面で示した説明図である。
【
図27】第3筐体内のスリット開口に支援線材が配置され、治具を使用して縦波状に巻き入れられる消火用ホースを模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下に、本発明に係る消火栓装置の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0059】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路上に露出して設置される消火栓装置に関するものである。
【0060】
ここで、「消火栓装置」とは、消火対象領域となる高速道路や自動車専用道路のトンネル内等に設置される非常用設備の一種であり、消火用ホース等の消火栓機器、赤色表示灯や発信機等の電装機器、端子箱及び消火器等が設置又は収納されたものであり、消火栓装置が設置された消火栓設備を含む概念である。
【0061】
また、実施形態の消火栓装置は、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路上に、当該トンネル壁面に近接又は当接するように設置されたものであり、監視員通路に消火栓装置を露出した状態で設置する「壁掛け構造」や「据置き構造」により設置された消火栓装置を含むものである。ここで、背景技術でも説明した通り、「壁掛け構造」とは、トンネル壁面に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置の装置本体を取付固定する等により消火栓装置をトンネル壁面に対して壁掛けするように設置可能とする構造であり、「据置き構造」とは、監視員通路の路面上に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置の装置本体を取付固定する等により消火栓装置を監視員通路の路面上に設置可能とする構造である。
【0062】
また、「トンネル壁面に近接又は当接させて設置」とは、消火栓装置をトンネル壁面に近接して設置、又は一部がトンネル壁面に当接して設置、又は一部がトンネル壁面に固定設置されることを含むものである。
【0063】
実施形態の消火栓装置は、消火用ホースを除く所定の機器が設けられた装置本体が監視員通路の路面上方の所定の高さに設置され、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に、奥行方向に向けて分割された収納区画に消火用ホースが順番に縦回りに巻き入いれられて引出自在に収納されることを基本構成とし、消火栓装置の装置本体と監視員通路の路面との間の空間を、消火用ホースの収納空間に有効活用したことを特徴とする。
【0064】
また、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に、奥行方向に向けて分割された収納区画に消火用ホースが順番に縦回りに巻き入いれられて引出自在に収納されたため、1つの収納区画に巻き入れる1ターン当りのホース長として十分な長さが確保され、消火栓装置を薄型化しても、少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して収納可能となる。ここで、「1ターン」とは「ホースを収納区画内に1回巻き回すこと」を意味し、ホースの巻き回しには、ループ状(円環状)の巻き回しと、後述する横波状又は縦波状の巻き回し等が含まれる。
【0065】
そして、実施形態の消火栓装置は、装置本体として第1筐体と第2筐体とを備え、消火栓装置の装置本体と監視員通路の路面との間の空間に第3筐体を架台上に備える。
【0066】
第1筐体は、所定の機器として、消火用ホースを除く所定の消火栓機器が設けられると共に、所定の消火栓機器を操作可能とする開口に開閉自在に設けられた消火栓扉が配置される。ここで、「消火用ホースを除く所定の消火栓機器」とは、消火用ホースに接続された放水用ノズルや消火栓弁等のバルブ類やバルブ類の操作部等の消火用ホースを除いた消火栓に関する任意の機器を含むものである。
【0067】
第2筐体は、第1筐体と共にトンネル壁面に沿うように第1筐体の所定の側面に配置され、所定の機器として、少なくとも消火器及び所定の電装機器が設けられると共に、消火器を取り出し可能とする開口に開閉自在に設けられた消火器扉及び所定の電装機器が配置された電装扉が設けられる。
【0068】
第3筐体は、装置本体と監視員通路の路面との間の空間に設置され、自身の上面側に第1筐体と第2筐体を設置することで第1筐体と第2筐体を監視員通路の路面上方の所定の高さに設置し、収納区画として少なくとも消火用ホース1本分を出し入れ可能な奥行方向の開口幅を有する横長のスリット開口が奥行方向に複数形成される。
【0069】
つまり、第3筐体は、第1筐体及び第2筐体を監視員通路上の所定高さに配置する機能とホース収納部としての機能を合わせ持つことになり、消火栓機器が設けられる第1筐体にはホース収納部としての機能が不要となり、装置本体となる第1筐体及び第2筐体のサイズを低減させることができる。
【0070】
また、第3筐体は、消火用ホース1本分を出し入れ可能な奥行方向の開口幅を有する横長のスリット開口が奥行方向に複数形成されることで、第3筐体内に消火用ホースを巻き入れる収納区画としての機能が簡単な構造で実現可能となる。
【0071】
また、第3筐体内の奥行方向に形成されるスリット開口を実現するための構造は任意であるが、例えば、非可撓性の線材を用いたケージ構造により形成される。ここで、実施形態のケージ構造は任意であるが、例えば、上面の奥行方向に複数のスリット開口を形成した箱形ケージを制作して第3筐体内に取付けることで、簡単且つ容易に、スリット開口が形成可能となる。
【0072】
また、スリット開口は、第3筐体の内側面の間に可撓性の線材を張り渡した張線構造で形成されてもよい。ここで、実施形態の張線構造は任意であるが、例えば、鋼線、ワイヤー線(撚り線)、耐熱性の樹脂線等の可撓性の線材を、奥行方向にホース1本分の開口幅を空けて筐体の内側面の間の所定高さに張り渡すことで、簡単且つ容易に、第3筐体内の所定高さの奥行方向に複数のスリット開口を形成することが可能となる。
【0073】
また、張線構造は、線材の張力を調整する張力調整機構を備える。このため、製作段階或いは運用中に、スリット開口を形成するために張り渡している線材に緩みが生じたとしても、張力調整機構の操作により線材の張力を回復させることで、消火用ホースの収納板を仕切っているスリット開口の機能が簡単に回復し維持可能となる。
【0074】
また、スリット開口は、第3筐体の底面側に起立した板部材を配置した箱板構造により形成されてもよい。このため、奥行方向に複数枚の板部材を並べるといった簡単な箱板構造によりスリット開口を形成することが可能となる。また、スリット開口が板部材で仕切られているため、スリット開口に巻き入れられた消火用ホースは下側が板部材により支えられ、崩れることなく安定した収納状態の維持が可能となる。
【0075】
また、第3筐体内のスリット開口に巻き入れる消火用ホースの形態は任意であるが、例えば、消火用ホースは、スリット開口にループ状に巻き入れられて収納される。ここで、「ループ状に巻き入れ」とは、スリット開口を含む縦回りの内壁面(例えば、左内側面、底面、右内側面及び上面)に沿って消火用ホースがループ状に順番に巻き入れられることである。このため、1ターン当りのホース長として十分な長さが確保でき、消火栓装置が薄型化されていても、少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して引出自在に収納可能となる。
【0076】
また、消火用ホースは、スリット開口に消火用ホースが横方向で周期的に湾曲する横波状に巻き入れられて収納されもよい。ここで、「横方向で周期的に湾曲する横波状に巻き入れ」とは、スリット開口を含む縦回りの上下方向の内壁面との間(底面と上面の間)に消火用ホースが横波を描くように周期的に湾曲して巻き入れられることである。また、「周期」とは、消火用ホースを横波状に湾曲させて巻き入れた場合の谷部から山部又は山部から谷部の間となる波の間隔(波の1サイクルの間隔)」を意味する。
【0077】
このため、「ループ状の巻き入れ」に比べ、横波状に湾曲して巻き入れられた分、1ターン当りのホース長を更に長くすることができ、奥行方向に形成された複数のスリット開口に対し、余裕をもって少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して引出自在に収納可能となる。
【0078】
また、消火用ホースは、「横方向で湾曲する横波状の巻き入れ」として、スリット開口に少なくとも1.5周期分が横波状に湾曲して巻き入れられる。ここで、消火用ホースは、第3筐体の上面側に設置されている第1筐体のバルブ類収納部から第3筐体に引き込まれた後に、第3筐体から第1筐体に引き出されて第1筐体に保持されている放水用ノズルに接続される必要がある。
【0079】
このため、スリット開口に1.5周期分の消火用ホースが横波状に巻き入れられることで、ホース巻き入れ側及びホース巻き出し側の両方を第3筐体から上方に向かわせて第1筐体側との接続が可能となる。なお、「1.5周期分の横波状の巻き入れ」は一例であり、周期数をNとすると、「(N+0.5)周期の横波状の巻き入れ」と一般化することができ、同様に、消火用ホースの巻き入れ側と巻き出し側を第3筐体の上方に向かわせることが可能となる。
【0080】
また、スリット開口は、横方向で湾曲する横波状に巻き入れる場合、横波状に巻き入れられる消火用ホースがスリット開口を横切る半周期に対応した位置に、スリット開口を横切る支援線材が配置されて複数の開口区間に分割され、支援線材は、開口区間に消火用ホースを半周期ずつ巻き入れる収納を支援した後に、スリット開口から離脱して開口区間を開放可能に設けられる。
【0081】
このため、スリット開口が支援線材により0.5周期の区間に仕切られることで、1.5周期分となる消火用ホースの横波状の巻き入れが簡単且つ容易に可能となる。また、スリット開口を開口区間に仕切っていた支援線材は、スリット開口に消火用ホースが横波状に巻き入れられた後に消火用ホースを引き出す妨げになる可能性があることから、スリット開口から離脱する構造としてもよい。
【0082】
また、消火用ホースは、スリット開口に縦方向で湾曲する縦波状に巻き入れられて収納されてもよい。ここで、「縦方向で湾曲する縦波状に巻き入れ」とは、スリット開口を含む縦回りとなる左右方向の内壁面との間(左内側面と右内側面面との間)に消火用ホースが縦波を描くように湾曲して巻き入れられることである。
【0083】
このため、「横波状の巻き入れ」に比べると短いが、「ループ状の巻き入れ」に比べ、縦波状に湾曲して巻き入れられた分、1ターン当りのホース長を更に長くすることができ、奥行方向に形成された複数のスリット開口に対し、余裕をもって少なくとも30mの保形ホースが折れ曲がることなく緩やかに湾曲して引出自在に収納可能となる。
【0084】
また、消火用ホースは、「縦方向で湾曲する縦波状の巻き入れ」として、スリット開口に少なくとも1周期分が縦波状に湾曲して巻き入れられる。このため、前述した「横波状の巻き入れ」の場合と同様に、「縦波状の巻き入れ」においてもホース巻き入れ側及びホース巻き出し側の両方を第3筐体から第3筐体の上方に配置された第1筐体側へ向かわせることが可能となる。
【0085】
また、「縦波状の巻き入れ」のためのスリット開口は、縦波状に巻き入れられる消火用ホースの半周期の縦波山位置ごとに配置される。このため、第3筐体内にスリット開口が上下2段に分けて配置され、且つ、消火用ホースが縦巻きされる場合に、半周期の縦波山位置にスリット開口を仕切る線材が位置することで、スリット開口に対する消火用ホースの縦波状の巻き入れ作業が簡単且つ容易に可能となる。
【0086】
(スリット開口の高さ)
また、消火用ホースの「ループ状の巻き入れ」及び「横波状の巻き入れ」において、スリット開口は、巻き入れられる消火用ホースの下側を支える所定の高さである。例えば、スリット開口の高さが、筐体内部の高さ幅の少なくとも半分の高さであれば、第3筐体内の高さ幅の中央付近にスリット開口が形成されることで、上下及び左右でバランスの取れた消火用ホースの巻き入れ作業と巻き入れ後のホース収納状態の維持が可能となる。
【0087】
また、スリット開口の上側に十分な空き空間が形成されたため、道路利用者が放水用ノズルを取り出して消火用ホースを第3筐体から第1筐体を経由して引き出す場合に、消火用ホースが自由に動ける十分な内部空間(ホース引き出し空間)が確保され、消火用ホースを軽い力で滑らかに引き出すことが可能となる。
【0088】
また、第1筐体の下面及び第3筐体の上面の各々に、相互に対応したホース引出口が形成され、第3筐体内に収納される消火用ホースは、巻き始めとなる一端側が第1筐体の内部に設けられた消火栓弁を含むバルブ類の配管の出口側に接続され、第1筐体の下面に形成されたホース引出口及び第3筐体の上面に形成されたホース引出口を経由して第3筐体の内部に引き込まれ、巻き終わりとなる他端側が第3筐体の上面に形成されたホース引出口及び第1筐体の下面に形成されたホース引出口を経由して第1筐体の内部に引き込まれ第1筐体の内部に着脱自在に保持された放水用ノズルに接続される。このため、上側に位置する第1筐体に配置されている消火栓機器と下側に位置する第3筐体に収納されている消火用ホースとを最短距離で接続でき、また、道路利用者が第3筐体に収納されている消火用ホースを、第1筐体を経由して、滑らかにホースを引き出すことが可能となる。
【0089】
また、第1筐体、第2筐体及び第3筐体の奥行幅を何れかの筐体の内部に設けられる最大奥行寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小奥行幅であるため、消火栓装置が薄型化され、また第1筐体及び第2筐体の高さ幅を第1筐体及び第2筐体何れかの筐体の内部に設けられる最大高さ寸法を有する機器が、対応する筐体の内部に配置可能な所定の最小高さ幅であるため、装置本体が小型化される。また、消火用ホースが装置本体の第1筐体に設けられるのではなく、従来架台が設置された空間の位置に相当する第3筐体の内部に設けられるため、消火栓装置のサイズに影響する最大奥行寸法又は最大高さ寸法を有する機器は、消火用ホースの収納空間のサイズを考慮することなく、例えば、消火器とすることができる。
【0090】
また、「奥行幅」とは、消火栓装置を正面から見てトンネル壁面に向かう方向の幅のことであり、「高さ幅」は監視員通路の路面に対する高さ方向における幅のことであり、後述する具体的な実施形態の説明では奥行方向が前後方向であり、高さ方向が上下方向である。
【0091】
また、第3筐体は、消火用水ホースを外部から内部に収納するための開口に、開閉自在に設けられたホース収納扉が配置される。ここで、ホース収納扉が設けられる開口の大きさは任意であるが、必ずしも第3筐体の開口が設けられる面の大部分を占めている必要はなく、少なくとも上部半分程度を開口するサイズであれば十分である。
【0092】
また、監視員通路の路面から第1筐体及び第2筐体の最上部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の上限高さ以下に位置し、監視員通路の路面から第1筐体及び第2筐体の最下部までの高さは、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の下限高さ以上に位置する。本出願時における法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲の下限高さは800mmであり、上限高さは1500mmであるため、第1筐体及び第2筐体は監視員通路の路面から高さ800mm~1500mmの適正操作範囲内に位置することになる。
【0093】
また、第1筐体に設けられた適正操作範囲内で配置される所定の操作対象として、消火栓扉の開閉操作部、放水用ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部からホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動操作部を含む。
【0094】
また、第2筐体に設けられた適正操作範囲内で配置される所定の操作対象として、消火器扉の開閉操作部、消火器の操作部及び電装機器の操作部を含む。
【0095】
尚、「設ける」、「配置」、「設置」、「収納」の用語は、それぞれの用語が表現として代替し得る他の用語を包括し得るものであり、その他にも「取付」、「取付固定」、「装着」等、用語の意味合いから代替し得る用語の意味合いを含み得る概念である。また、一般的(物理学的)には、媒質の振動方向が波の振動方向に垂直な波を「横波」、平行な波を「縦波」と言うが、実施形態の説明においては、便宜上、水平方向に進む横波のような形態を「横波」や「横波状」、鉛直方向に進む横波のような形態を「縦波」や「縦波状」と記載する。
【0096】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、消火栓装置が監視員通路の路面上に露出して配置される「据置き構造」とし、「消火栓装置の装置本体としての第1筐体及び第2筐体、消火栓装置の架台及びホース収納部として機能する第3筐体を備えるもの」であり、第3筐体のホース収納構造が消火用ホースを奥行方向に分割した複数のスリット開口で仕切られた収納区画に巻き入れて収納する「スリット開口によるホース収納構造」である場合について説明する。
【0097】
[実施形態の具体的内容]
消火栓装置の実施形態について説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.消火栓装置の構造
b.消火栓装置の設置
c.消火栓装置の薄型化
d.消火栓装置の高さ低減
e.消火栓装置の内部構造
e1.第1筐体の内部構造
e2.第2筐体の内部構造
f.第3筐体のホース収納構造
g.ケージ構造により形成されるスリット開口
h.ループ状の巻き入れによるホース収納
i.張線構造により形成されるスリット開口
j.箱板構造により形成されるスリット開口
k.消火栓扉の開閉機構
l.操作対象の設置高さ
m.消火用ホースの巻き戻し作業
n.ホース収納扉の他の実施形態
o.横波状のホース巻き入れ収納
p.縦波状のホース巻き入れ収納
p1.上下2段にスリット開口が形成されたホース収納ケージ
p2.消火用ホースの巻き戻し作業
q.本発明の変形例
【0098】
[a.消火栓装置の構造]
まず、消火栓装置の構造について説明する。当該説明にあっては、監視員通路の路面上に設置された消火栓装置を正面(前面)から示した
図1、及び
図1の消火栓装置の筐体構造を組立分解状態で示した
図2を参照する。
【0099】
ここで、
図1及び
図2の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、消火栓装置10の前面を正面に見て、X方向を左右方向とし、Y方向を上下方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。この点は本発明の実施形態となる
図3~
図27においても同様となる。
【0100】
図1に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面上に設置され、消火栓装置10の筐体は、
図2に示すように、第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cに分割されている。
【0101】
ここで、第1筐体11aの内部は、消火用ホースを除く消火栓機器が収納されるバルブ類収納部46となる。第2筐体11bの内部は、隔壁45により左右に仕切られており、右側が電装機器収納部45aとなり、左側が消火器収納部45bとなる。第3筐体11cの内部は、消火用ホースが収納されるホース収納部48となり、架台32の上に設置される。
【0102】
また、第1筐体11aの底面左側(下面左側)にはホース引出開口42aが形成され、第1筐体11aの下側に配置される第3筐体11cの上面には、ホース引出開口42aに対応してホース引出開口42bが形成されている。
【0103】
また、第1筐体11aの底面右側には配管通し穴43aが形成され、第1筐体11aの下側に配置される第3筐体11cの上面と底面には、配管通し穴43aに対応して配管通し穴43b,43cが形成されている。尚、第3筐体11cの配管通し穴43cを通る配管の接続作業が可能となるように、第3筐体11cの右側面に作業開口が形成された扉構造か、又は右側面を着脱自在な板部材で閉鎖した構造となっている。
【0104】
また、第1筐体11aの左側面上側には通線開口44aが形成され、第1筐体11aの左側に配置される第2筐体11bの右側面上側には、通線開口44aに対応して通線口44bが形成されている。通線口44a,44bは、第1筐体11aに外部から引き込まれた配線ケーブルを第2筐体11b側に通して端子箱25a,25bに接続するために設けている。
【0105】
図1に示すように、第1筐体11aの前面には化粧枠12aが装着されている。化粧枠12aの扉開口の下側には、扉開閉ハンドル1410の操作でロックが解除された場合に、ヒンジ14aを軸として、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に垂直回り(下向き)に開く消火栓扉14が配置されている。
【0106】
化粧枠12aの扉開口の上側には、ヒンジ15aを軸として垂直回り(上向き)に開く保守扉15が配置されている。上向きに開いた保守扉15は、扉内側に配置されたステー(支持棒)により開放状態が保持可能となっている。
【0107】
第1筐体11aの内部となるバルブ類収納部46には、後述するように、消火栓弁などを含むバルブ類、消火用ホースが接続された放水用ノズル、消火栓弁の開閉操作レバーを含む消火栓機器が収納されている。
【0108】
第2筐体11bの前面には化粧枠12bが装着されている。化粧枠12bの右側の扉開口にはヒンジ18aにより右向きに横開きする電装扉18が配置され、その左側にはヒンジ20aにより左向きに横開きすることで、内部の端子箱25a,25bへのアクセスが可能となる補助扉20が配置されている。
【0109】
実施形態にあっては、補助扉20が配置され、従来よりも電装機器収納部45aが拡大されたため、従来では消火器収納部の内部後面に配置されていた端子箱25a,25bが補助扉20の内部後面に配置することが可能となっている。
【0110】
電装扉18には、電装機器として、例えば、赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ28が配置され、扉内側には電話ジャック26配置されている。赤色表示灯22は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から確認できるようになっている。また、発信機24は、例えば、火災等の発生時に押されてスイッチがオンすると発信信号を送信し、これを受信した電気室等に設置された防災受信盤から火災警報が出力され、防災受信盤からの応答信号を受信した消火栓装置10は、赤色表示灯22を点滅させると共に、応答ランプ28を点灯させる。
【0111】
補助扉20に相対した第2筐体11b内の後面には、高圧用の端子箱25aと低圧用の端子箱25bが、例えば、上下方向に並べて配置されている。高圧用の端子箱25aは、内蔵した端子台を使用して、消火栓装置10の外部から引き込まれた強電用ケーブルと赤色表示灯22を接続する。低圧用の端子箱25bは、内蔵した端子台を使用して、消火栓装置10の外部から引き込まれた弱電用ケーブルと発信機24、応答ランプ28及び電話ジャック26を接続する。
【0112】
また、第2筐体11bに装着された化粧枠12bの左側の扉開口には、扉開閉ハンドル1610の操作でロックが解除された場合に、ヒンジ16aにより左向きに横開きする消火器扉16が配置され、扉内部となる消火器収納部45bには、例えば、2本の消火器19が収納されている。また、消火器扉16には覗き窓17が設けられ、外部から消火器19の有無が確認可能となっている。
【0113】
第3筐体は、筐体内に消火用ホースが収納されており、また、左右方向で連結固定した第1筐体11aと第2筐体11bを、監視員通路34の路面上方の所定の高さにトンネル壁面に当接又は近接して取付固定する機能を果たしている。
【0114】
第3筐体11cの前面には、化粧枠12cが装着されている。化粧枠12cの扉開口には、扉開閉ハンドル3010の操作でロックが解除された場合に、ヒンジ30aを軸として、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に垂直回り(下向き)に開くホース収納扉30が配置されている。ホース収納扉30が配置される扉開口のサイズは任意であるが、消火栓装置10が使用された後に、復旧作業員が消火用ホースを第3筐体11c内部に巻き戻す作業を行うのに十分なサイズであり、例えば、扉開口の縦幅(上下方向の幅)は第3筐体11cの前面の縦幅の半分程度の縦幅であり、扉開口の横幅(左右方向の幅)は第3筐体11c内部に形成されたホース収納部の左右内側面に外部から手が届く程度の横幅である。
【0115】
[b.消火栓装置の設置]
次に、監視員通路に対する消火栓装置の設置について説明する。当該説明にあっては、
図1及び
図2に加え、
図1の消火栓装置を左側面から示した
図3を参照する。
【0116】
図3に示すように、シールド工法により構築された円筒状(円形断面)のトンネル躯体の下部には、道路38がトンネル長手方向(
図1の左右方向)に構築され、道路38に沿ったトンネル壁面35の下側に、道路38に対し所定高さの監視員通路34が構築されている。監視員通路34の内部はダクトとなっており、内部には給水本管40やケーブルが敷設され、給水本管40から分岐した給水配管36が監視員通路34の路面上に取り出される。給水配管36には引込配管37が接続され、引込配管37は第3筐体11c内を上下方向に通り第3筐体11cの上側に位置する第1筐体11aの内部に引き込まれている。
【0117】
シールド工法によるトンネル壁面35は、消火栓装置10を設置するための箱抜きが困難であることから、監視員通路34の路面上にトンネル壁面35に近接させて架台32の上に第3筐体11cが設置され、連結された第1筐体11a及び第2筐体11bが第3筐体11c上に取付固定されることで、第1筐体11aと第2筐体11bが監視員通路34の路面上の所定高さに設置される。また、第1筐体11aと第2筐体11bの上部は筐体支持部材41によりトンネル壁面35に固定され、前方へ倒れないようになっている。
【0118】
ここで、監視員通路34の路面から消火栓装置10に配置された発信機24や放水用ノズル等を含む全ての操作対象までの高さが、法的に定められた適正操作範囲に入るように、第3筐体11cの高さが設定される。監視員通路34の路面を道路利用者の立ち面とした場合には、公知のように、法的に定められた適正操作範囲は、路面からの下限高さH1が800mm、上限高さH2が1500mmであり、適正操作範囲の高さ幅Hwは700mmとなっている。
【0119】
本実施形態にあっては、第1筐体11a及び第2筐体11bに配置されている操作対象の全てが適正操作範囲内に入るように、監視員通路34の路面から第1筐体11aと第2筐体11bの底面までの高さ(=架台32の高さ+第3筐体11cの高さ)が設定されている。当該高さは、操作対象の全てが適正操作範囲内に入っていれば任意であるが、例えば、適正操作範囲の下限高さH1と同じ800mmであれば、第1筐体11a及び第2筐体11bに配置されている操作対象の全てが、どの位置に配置されても下限高さ以上の位置に配置されるようになる。
【0120】
[c.消火栓装置の薄型化]
次に、消火栓装置の薄型化について説明する。
図3に示すように、監視員通路34の路面上に設置された消火栓装置10の、トンネル壁面35からの突出(出っ張り)による監視員通路34の通路幅の制約を低減するため、消火栓装置10は可能な限り薄型化されている。
【0121】
消火栓装置10の薄型化は、消火栓装置10の内部に収納される機器に合わせて最適化されることとなる。実施形態にあっては、消火栓装置10の内部に収納される機器の中で前後方向のサイズが最大となるのは、第2筐体11bに収納される消火器であり、消火栓装置10の奥行幅(前後方向の厚さ)は消火器が収納できるサイズまで薄型化が可能であるから、消火栓装置10の奥行幅は、第2筐体11bに収納される消火器の外径に対応した所定の奥行幅に設定される。
【0122】
消火栓装置10の第2筐体11bに収納される消火器は、例えば、薬剤量6kgの20型消火器であり、20型消火器の外径は160~180mm程度であるから、収納された消火器が第2筐体11bに接触しないように隙間が確保されると、消火栓装置10の最小奥行幅は、例えば、200mm~250mm程度の範囲内の、例えば、250mmに設定され、第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cの奥行幅は全て250mmに設定されることになる。これに対して、トンネル躯体の壁面を箱抜きして埋込設置する従来の消火栓装置の奥行幅は300mm以上であることから、実施形態の消火栓装置10は奥行幅をは従来の消火栓装置よりも低減され、消火栓装置10の薄型化が可能となる。
【0123】
[d.消火栓装置の高さ低減]
次に、消火栓装置の高さ低減について説明する。
図3に示すように、架台32と第3筐体11cにより、筐体底面が監視員通路34の路面上の高さH1に設置される第1筐体11a及び第2筐体11bの高さ幅(縦幅)は、第1筐体11a及び第2筐体11bに収納される機器の中で高さが最大となる機器が収納可能となる必要最小限の高さ幅に設定される。実施形態にあっては、第1筐体11aは消火用ホースを収納する必要がないことから、高さが最大となる機器は、前述した薄型化の場合と同様に、第2筐体11bに収納される消火器であり、第2筐体11bの高さ幅(縦幅)は、消火器が収納できる最小高さ幅に設定される。
【0124】
前述した薄型化の場合と同様に、第2筐体11bに薬剤量6kgの20型消火器を収納する場合には、20型消火器の高さは600mm程度であるから、収納された消火器が第2筐体11bの内部上面に接触しないように隙間を確保すると、第2筐体11bの高さは、例えば、700mmに設定され、第1筐体11a及び第2筐体11bの高さ幅は適正操作範囲の高さ幅Hw(=700mm)以下の高さに設定でき、監視員通路34の路面から第1筐体11aと第2筐体11bの上面までの高さを適正操作範囲の上限高さH2(=1500mm)以下にすることを可能とする。これにより、第1筐体11a及び第2筐体11bに配置されている操作対象の全てが、上限高さ以下の位置に配置されることになる。
【0125】
[e.消火栓装置の内部構造]
次に、消火栓装置の内部構造について説明する。当該説明にあっては、
図1の消火栓装置の内部構造を、第1筐体及び第3筐体の前面を開放して正面(前面)から示した
図4を参照する。
【0126】
(e1.第1筐体の内部構造)
最初に、バルブ類収納部となる第1筐体11aの内部構造について説明する。第1筐体11aの内部のバルブ類収納部46は、消火栓機器を収納する従来の消火栓収納部から消火用ホースを収納するホース収納部としての機能が取り除かれたものに相当する。
【0127】
図2に示した第1筐体11aの右側底面の配管通し穴43aから第3筐体11cを通って引き込まれた引込配管37が分岐配管52に接続され、分岐配管52の分岐側には給水栓50が接続されている。分岐配管52の主管側の配管54はコの字形状に配置され、配管54の途中には消火栓弁56及び自動調圧弁58が順次接続されている。
【0128】
消火栓弁56には連動ボックス72が設けられている。連動ボックス72は、第1筐体11a内部の前側に格子状に配置されたフレーム64の右側に設けられた操作ボックス68とワイヤー連結されており、操作ボックス68の消火栓弁開閉レバー70の開閉操作に伴う回転を、ワイヤーを介して連動ボックス72に伝達して消火栓弁56を開閉する、公知のワイヤーリンク機構が設けられている。
【0129】
自動調圧弁58は、消火用ホース62へ供給される消火用水の圧力を、所定圧力を保つように調整する。自動調圧弁58に続く配管54は、左側面付近で下方に屈曲し、左側底面付近に設けられたホース継手60により第3筐体11cに収納された消火用ホース62に接続されている。ホース継手60の種類や構造は任意であるが、例えば、公知の町野式継手により、消火用ホース62が配管54に着脱自在に接続される。
【0130】
第1筐体11a内部の前側に配置されたフレーム64にはホース取出口65が形成されており、第3筐体11cから
図2に示したホース引出開口42a,42bを通って第1筐体11a内に引き込まれた消火用ホース62の先端には放水用ノズル66が装着され、消火用ホース62がホース取出口65から引き出された状態で、放水用ノズル66はノズルホルダー67に着脱自在に保持されている。尚、
図2に示したホース引出開口42a,42bの開口縁には、消火用ホース62の接触による摩耗や傷付きを防止するため、例えば、パイプ状のフレーム部材を用いた枠取りが施されている。
【0131】
操作ボックス68の内部には、ポンプ起動連動スイッチ74が設けられている。ポンプ起動連動スイッチ74は、消火栓弁開閉レバー70が開位置に操作された場合にオンし、防災受信盤へポンプ起動信号を送信して消火ポンプ設備を起動させる。
【0132】
また、給水栓50の右側には、ポンプ起動スイッチ75が設けられている。ポンプ起動スイッチ75は、消防隊員が給水栓50にホースを連結して消火を行う際に、押込み操作でオンし、防災受信盤へポンプ起動信号を送信して消火ポンプ設備を起動させる。
【0133】
(e2.第2筐体の内部構造)
続いて、第2筐体11bの内部構造について説明する。
【0134】
第2筐体11bの内部は、
図2に示したように、隔壁45により電装機器収納部45aと消火器収納部45bに分けられている。前述したように、電装機器収納部45aの前面の扉開口に設けられた電装扉18には赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ28が配置され、電装扉18の裏面には電話ジャック26が配置され、補助扉18の内部となる筐体背面には
図1に示したように端子箱25a,25bが配置されている。また、消火器収納部45bには、2本の消火器19が収納されている。
【0135】
[f.第3筐体のホース収納構造]
続いて、第3筐体のホース収納構造について説明する。当該説明にあっては、
図4及び第3筐体内の奥行方向に分割して形成される消火用ホースの収納区画を模式的に示した
図5を参照する。
【0136】
図4に示すように、第3筐体11cの右端部には、監視員通路34から立ち上げられた給水配管36を第1筐体11a側の分岐配管52に連結する引込配管37が配置されており、引込配管37の左側に配置された仕切板77と第3筐体11cの左側面との間にホース収納部48が形成されている。
【0137】
ホース収納部48の底部側には、ホース収納区画として機能するホース収納ケージ76が配置されている。ホース収納ケージ76は、
図5に示すように、第3筐体11c内に仮想的に形成されるホース収納区画78を実現する。
【0138】
ホース収納区画78は、第1筐体11aと第2筐体11bで構成される装置本体と監視員通路34の路面との間の空間に配置された第3筐体11c内に、奥行方向に向けて分割した第1区画78a、第2区画78b、第3区画78c及び第4区画78dが形成され、第1区画78a~第4区画78dの各々に、消火用ホース62が順番に縦回りに巻き入いれられて引出自在に収納される。
【0139】
ここで、ホース収納区画78の奥行方向に分割した区画数は任意であるが、第3筐体11cの奥行幅、消火用ホース62の外径と最小湾曲許容径、及び、ホース収納部48の縦幅と横幅で決まる1ターン当りのホース長に対応した区画数となる。
【0140】
本実施形態では、例えば、消火用ホース62の外径は40mmで最小湾曲許容径は340mm、ホース収納部48の横幅は2000~2200mm、縦幅は800mmであり、この場合の1ターン当りのホース長は6.5~6.8mとなることから、30mの消火用ホース62を収納するための区画数は4~5区画となる。
【0141】
ホース収納区画78の区画数を4区画とした場合、第3筐体11cの奥行幅を250mmとすると、各区画幅は62.5mmとなり、外径40mmのホース1本分の巻き入れが可能となる。また、ホース収納区画78の区画数を5区画とした場合、各区画幅は50mmとなり、この場合にも、外径40mmのホース1本分の巻き入れが可能となる。
【0142】
図5に示すホース収納区画78は仮想的なものであり、ホース収納区画78に消火用ホース62が順番に縦回りに巻き入れられて引出自在に収納される構造は、ケージ構造、張線構造、又は、箱板構造により、第3筐体11c内の所定高さで奥行方向に形成される複数のスリット開口により実現される。
【0143】
[g.ケージ構造により形成されるスリット開口]
ケージ構造により形成されるスリット開口について説明する。当該説明にあっては、
図4の第3筐体に配置されたホース格納ケージを取り出して斜視図で示した
図6、及び、第3筐体内にスリット開口を形成するホース格納ケージを取り出して示した
図7を参照する。なお、
図7(A)は前面を除いた第3筐体の正面を示し、
図7(B)はホース収納ケージの正面を示し、
図7(C)はホース収納ケージの平面を示し、
図7(D)はホース収納ケージの側面を示す。
【0144】
図6及び
図7に示すホース収納ケージ76は、非可撓性の線材、例えば、鋼鉄などの金属線材を使用して構成されたケージ構造(籠構造)であり、所定高さの奥行方向に4分割されたスリット開口80a~80dを形成するように、横ケージ76a、縦ケージ76b、底ケージ76c、斜めケージ76d及び奥行ケージ76eを、ケージ交差点を溶接等により固着することで構成されている。
【0145】
ホース収納ケージ76に使用される金属線材の外径が1~1.5mm程度であれば、奥行方向に配置される5本の横ケージ76aの占める奥行幅は5~7.5mm幅であり、第3筐体11cの奥焼幅250mmに対し、残りの奥行幅は242.5~245mmとることから、前後に配置される板部材を含めても、ホース外径に対し十分に余裕をもった60mm程度のスリット開口80a~80dの奥行開口幅の確保が可能となる。
【0146】
また、
図7(A)に示すように、第3筐体11c内に配置されるホース収納ケージ76の、スリット開口80a~80dが位置する高さ幅H11は任意であるが、少なくとも筐体内の高さ幅の半分の高さとなる。このため、ホース収納ケージ76は、第3筐体11c内の左内側面、底面、右内側面、上面に沿って巻き入れられる消火用ホース62の1ターンにおける高さ方向の中央付近に、スリット開口80a~80dが位置して消火用ホース62を支え、巻き入れられた消火用ホース62を引出自在に収納する。
【0147】
このように第3筐体11c内に形成されたスリット開口80a~80dに対しては、消火用ホース62がループ状に順次巻き入れられて収納される。
【0148】
[h.ループ状の巻き入れによるホース収納]
次に、スリット開口に対し消火用ホースをループ状に巻き入れて収納するホース収納について説明する。当該説明にあっては、第3筐体内のスリット開口にループ状に巻き入れられる消火用ホースを模式的に示した
図8を参照する。尚、
図8(A)~(D)は4つのスリット開口に対するホース巻き入れを分離して正面から示し、
図8(E)はスリット開口に対するホース巻き入れを平面で示す。
【0149】
図8(E)に示すホース収納部48の最も奥に位置するスリット開口80aへの消火用ホース62の巻き入れ作業は、
図4に示す第1筐体11a内の配管54にホース継手60で接続されている消火用ホース62を、
図8(A)に示すように、ホース巻入れ部62aとして上方から引き込み、縦回りの筐体内周面、即ち、上面内側の中央から左内側面、底面、右内側面を介して上面下側の中央付近となる筐体内周面に沿ってループ状に消火用ホースを巻き入れる。
【0150】
続いて、
図8(E)に示すように、消火用ホース62を1つ手前のスリット開口80b側へ移動しなから、同様に、縦回りの筐体内周面に沿ってループ状に巻き入れを行い、これを
図8(B)に示すスリット開口80b及び
図8(C)に示すスリット開口80cまで繰り返す。
【0151】
最後のスリット開口80dの巻き込みにあっては、
図8(D)に示すように、右内側面から上面下側に巻き入れた消火用ホース62を、ホース巻出し部62bとして上方に取り出し、
図4に示した第1筐体11aのノズルホルダー67に保持されている放水用ノズル66に接続された状態となる。
【0152】
なお、このような消火用ホース62のループ状の巻き入れ作業にあっては、放水用ノズル66をホース先端から外した状態で行い、巻き込みを終えた消火用ホース62の先端側を第1筐体11a内に引き出して放水用ノズル66を接続し、ノズルホルダー67に保持させる。
【0153】
ここで、ホース収納部48のサイズが、例えば、縦800mm、横2000mmである場合、消火用ホース62がホース収納ケージ76にループ状に巻き入れられた場合の1ターン当りのホース長は、前述したように約6.5mとなることから、スリット開口80a~80dによる4ターンの巻き入れのホース長は26mとなるが、
図8に示すホース巻き入れの直線部分を湾曲させて1ターン当りのホース長を増加させることで、30mの消火用ホース62の収納が可能となる。
【0154】
[i.張線構造により形成されるスリット開口]
次に、張線構造により形成されるスリット開口について説明する。当該説明にあっては、第3筐体内を収納区画に仕切るスリット開口を形成する張線構造を示した
図9、
図9(B)の切断線a-aによる断面を示した
図10、及び、
図9の張線構造に設けられた張力調整部を示した
図11を参照する。なお、
図9(A)は張線構造によりスリット開口が形成される第3筐体のアングル構造を示し、
図9(B)は
図9(A)の平面を示す。また、
図11(A)は張力調整部を側面から示し、
図11(B)は
図11(A)の切断線b-bの断面を示し、
図11(C)は
図11(A)の切断線c-cの断面を示す。
【0155】
図9に示すように、第3筐体11c内に形成されるスリット開口80a~80dは張線構造により実現されてもよい。第3筐体11cは、
図9(A)に示すように、例えば、断面L形のアングル材を溶接等により連結して箱形に形成されており、ホース収納部48の両側を仕切るアングル枠の高さ幅の中央に、ワイヤー取付部84が相対して配置されている。
【0156】
ワイヤー取付部84の間には、ワイヤー82が張り渡されることで、奥行方向にスリット開口80a~80dが形成される。具体的には、左側のワイヤー取付部84の背面からスリット開口80aの間隔を空けた位置にワイヤー82の一端がワイヤー固定端86aとして固定され、ワイヤー固定端86aを起点にワイヤー82が相対する右側のワイヤー取付部84まで、所定のスリット開口幅を空けて順次張り渡されることで、スリット開口80a、80b,80c,80dが形成され、ワイヤー82の終端が右側のワイヤー取付部84のワイヤー固定端86bで終端して固定されている。
【0157】
張線構造によるスリット開口80a~80dの形成に使用されるワイヤー82は、可撓性の金属線、金属撚り線、耐熱樹脂線などが使用され、その線径(太さ)は任意であるが、前述した非可撓性の線材の場合と同様に、例えば、1~1.5mm程度の線径となる。
【0158】
また、スリット開口80a~80dを生成する張線構造に対しては、例えば、
図10に示すように、右側のアングル枠に配置されたワイヤー取付部84の、ワイヤー82を折り返すために渡らせた部分に張力調整部86が配置されている。張力調整部86の構造や機能は任意であるが、例えば、ワイヤー82の渡り部分を外側に移動してワイヤー82を引き出し、ワイヤー82に加える張力を増加させ、ワイヤー82にスリット開口80a~80dを形成するに十分な張りを与える。
【0159】
実施形態の張力調整部86は、例えば、
図11に示す構造となる。
図11に示すように、ワイヤー取付部84にはワイヤー82の渡り部分が通るための一対のワイヤー通し穴88が形成されている。左右のワイヤー通し穴88の間にはリフト板90が配置され、ワイヤー82がリフト板90の外側に接触して左右のワイヤー通し穴88に通っている。
【0160】
リフト板90は、ワイヤー取付部84の裏面に起立した2本のガイドポール94にスライド自在に嵌め入れられている。リフト板90の略中央に設けられたねじ穴に調整ボルト92がねじ込まれ、調整ボルト92の先端は、ワイヤー取付部84の裏面に形成された受け穴96に当接している。
【0161】
ワイヤー82の張り渡し作業において、工場製作段階では、調整ボルト92を緩めてリフト板90をワイヤー取付部84の裏面に当接した状態とし、この状態でワイヤー82はリフト板90の上を通って左右のワイヤー通し穴88の間に張り渡されている。このワイヤー82の張り渡し作業により十分な張力が得られていれば問題ないが、張力が不足してスリット開口80a~80dを形成するワイヤー部分の張りが不足する場合には、調整ボルト94をねじ込んで、リフト板90をワイヤー取付部84の裏面から引き離すことでワイヤー82を押し出し、ワイヤー82に加わる張力を増加させる。
【0162】
また、消火栓装置を設置した運用中の定期点検などで、ワイヤー82に緩みが見られたような場合には、同様に、張力調整部86の操作によりワイヤー82の張力を回復させることが可能となる。
【0163】
このように、張線構造により形成されたスリット開口80a~80dに対する消火用ホース62の巻き込み作業は、例えば、
図8に示した手順と同様に、消火用ホース62をスリット開口80a~80dに順次ループ状に巻き込んで巻出自在に収納することになる。
【0164】
[j.箱板構造により形成されるスリット開口]
次に、箱板構造により形成されるスリット開口について説明する。当該説明にあっては、第3筐体内を収納区画に仕切るスリット開口を形成する箱板構造を示した
図12を参照する。
【0165】
図12に示すように、第3筐体11c内に形成されるスリット開口80a~80dは箱板構造により実現されてもよい。想像線で示す第3筐体11cの内部には、ホース収納箱98が配置されている。ホース収納箱98は、ホース1本を通すことが可能な所定の奥行幅を介して奥行方向に5枚の横板100が起立し、左右側面の奥行方向に横桟板102が配置され、また、底部には3枚の底桟板104が配置され、上面奥行方向にスリット開口80a~80dを形成する箱板構造となっている。
【0166】
ホース収納箱98の高さは任意であるが、例えば、少なくとも第3筐体11cの高さ幅の半分程度の高さである。また、スリット開口80a~80dの形成に使用される横板100は、鋼鈑などの金属板や硬質プラスチック板が使用可能であり、その厚さは任意であるが、前述した非可撓性の線材の場合と同様に、例えば、1~1.5mm程度の厚さとなる。
【0167】
このように、箱板構造により形成されたスリット開口80a~80dに対する消火用ホース62の巻き込み作業は、例えば、
図8に示した手順と同様に、消火用ホース62をスリット開口80a~80dに順次ループ状に巻き込んで巻出自在に収納することになる。また、スリット開口80a~80dに巻き込まれた消火用ホース62は、横板100の間に収納されて両側から支えられた状態となり、安定したホース収納状態の維持が可能となる。
【0168】
[k.消火栓扉の開閉機構]
続いて、消火栓扉の扉開閉機構について説明する。当該説明にあっては、
図1の消火栓装置を、消火栓扉を開いた状態で正面(前面)から示した
図13、及び消火栓扉の扉開閉機構を消火栓装置の右側面から見た断面で示した
図14を参照する。尚、
図14(A)は消火栓扉が閉鎖した状態(閉鎖位置)を示し、
図14(B)は消火栓扉が180°開放した状態(開放位置)を示し、
図14(C)はホース巻き戻し作業の際の消火栓扉が略水平に保持された状態を示す。
【0169】
道路利用者が消火栓を使用して消火活動を行う際に、消火栓扉14の扉開閉ハンドル1410を操作してロックを解除すると、
図13に示すように、消火栓扉14は下端のヒンジ14aを軸として下向きに開放し、第1筐体11a内に配置された放水用ノズル66、消火栓弁開閉レバー70、給水栓50及びポンプ起動スイッチ75が操作可能となる。また、開放した消火栓扉14の裏面には、消火栓扉14を略水平に開いた状態に保持するためのステー122が、上下に起立された左右両側のフレーム64の略中央に配置されたピン124に対応して、上端を軸に回動自在に保持されている。
【0170】
図14(A)に示すように、消火栓扉14の扉開閉機構130は、軸となるヒンジ14aにより消火栓扉14を開閉自在に第1筐体11aの扉開口の下側に軸支しており、更に、緩衝装置として機能するダンパー136を備えている。ダンパー136は、シリンダ側となる一端が固定側軸部138により筐体内のフレーム64等に固定され、ロッド側となる他端が軸部132により消火栓扉14の下端部内側に設けられたダンパー取付部134に軸支されている。
【0171】
道路利用者が消火栓扉14を開放するために扉開閉ハンドル1410を手前に引いてロックを外すと、
図14(B)に示すように、消火栓扉14は、ヒンジ14aを軸として下向きに180°回転して第3筐体11cの前面に相対する位置まで開き、監視員通路34の路面に対して垂直に位置する。尚、「垂直」とは、厳密に監視員通路の路面に対して垂直であることを限定するものではなく、監視員通路の路面に対して略垂直であるものを含む。
【0172】
また、道路利用者が消火栓装置10を使用した後に、復旧作業員が外部に引き出された消火用ホース62を水抜きして第3筐体11cのホース収納部48に巻き戻す場合、
図14(C)に示すように、消火栓扉14の裏面に配置されているステー122を第1筐体11a内のフレーム64に配置されているピン124に係止することで、消火栓扉14を略水平状態に開いた状態に維持することが可能となる。
【0173】
[l.操作対象の設置高さ]
次に、操作対象の設置高さについて説明する。
図3及び
図13に示すように、消火栓装置10は、監視員通路の路面から消火栓装置10に配置された発信機や放水用ノズル等を含む全ての操作対象までの高さが、下限高さH1の800mmから上限高さH2の1500mmの間の適正操作範囲Hwに位置するように設置される必要がある。実施形態では、前述したように、監視員通路34の路面から第1筐体11aと第2筐体11bの底面(筐体底面)までの高さは下限高さH1と同じ800mm、第1筐体11及び第2筐体11bの高さ幅(縦幅)は適正操作範囲の高さ幅Hwと同じ700mmとなっている。
【0174】
第1筐体11aの操作対象としては、
図1に示した消火栓扉14の扉開閉ハンドル1410及び
図13に示した消火栓扉14の開放で外部に露出する放水用ノズル66、消火栓弁開閉レバー70、給水栓50(操作ハンドルとホース接続口)及びポンプ起動スイッチ75が該当する。
【0175】
また、第2筐体11bの操作対象としては、電装扉18の発信機24と電話ジャック26、消火器扉16の扉開閉ハンドル1610、及び消火器19の上部の操作部となるハンドルレバーが該当する。
【0176】
実施形態の消火栓装置10にあっては、前述した操作対象の全てが、下限高さH1と上限高さH2との間の適正操作範囲に含まれており、監視員通路34の路面に立った道路利用者、消防隊員及び復旧作業員にとって、操作対象の全てが操作し易い位置(高さ)となっている。
【0177】
[m.消火用ホースの巻き戻し作業]
次に、消火栓装置が使用された後に、復旧作業員が行う消火用ホースの巻き戻し作業について説明する。当該説明にあっては、
図1の消火栓装置を、ホース収納扉を開いた状態で正面(前面)から示した
図15を参照する。
【0178】
道路利用者が放水用ノズル66を取り出し、消火用ホース62を引き出して消火活動を行った後の復旧作業として、復旧作業員は使用した消火用ホース62を水抜きした後に、第3筐体11cのホース収納部48に消火用ホース62を巻き戻す作業を行う。
【0179】
復旧作業員が消火用ホース62を巻き戻す場合には、
図14(C)に示したように、消火栓扉14をステー122により略水平に開いた状態に保持するとともに、
図15に示すように、ホース収納扉30の操作ハンドル3010を操作してロックを解除し、ホース収納扉30を下向きに開いた状態とする。この状態で外部に引き出されている消火用ホース62の先端の放水用ノズル66を取外して水抜きし、続いて、第1筐体11aのホース取出口65を介して外部に引き出されている消火用ホース62を、ホース収納扉30の扉開口30bを介して第3筐体11cの外側へ全て引き出し、この状態で第3筐体11cの扉開口30bを介して消火用ホース62を巻き戻す作業を行う。消火用ホース62を第3筐体11cに巻き戻し終えたら、消火用ホース62の先端を第3筐体11cのホース引出開口42b及び第1筐体11aのホース引出開口42aを通して第1筐体11aの内部からホース取出口65を介して引き出し、放水用ノズル66を装着してノズルホルダー66に保持することで、作業は終了する。
【0180】
[n.ホース収納扉の他の実施形態]
次に、第3筐体に設けられたホース収納扉の他の実施形態について説明する。当該説明にあっては、第3筐体の前面に設けられたホース収納扉の他の実施形態を示した
図16及び
図17を参照する。なお、
図16(A)及び
図17(A)は斜視図を示し、
図16(B)及び
図17(B)は左側面図を示す。
【0181】
第3筐体11cの前面に設けられるホース収納扉30は、
図1に示したように、化粧枠12cの扉開口に、扉開閉ハンドル3010の操作でロックが解除された場合に、ヒンジ30aを軸として、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に垂直回り(下向き)に開くように配置されている。
【0182】
ここで、ホース収納扉30が設けられた扉開口は、消火用ホース62を第3筐体11c内部に巻き戻す作業を行うに十分なサイズであり、例えば、扉開口の縦幅(上下方向の幅)は第3筐体11cの前面の縦幅の半分程度、扉開口の横幅(左右方向の幅)は第3筐体11c内部に形成されたホース収納部の左右内側面に外部から手が届く程度の横幅としなっている。
【0183】
このような構造のホース収納扉30の実施形態以外に、例えば、
図16又は
図17に示す構造のホース収納扉30の実施形態であってもよい。
【0184】
図16に示す実施形態は、第3筐体11c内のホース収納部48に対応した扉開口が、筐体前面全域に及ぶ大きな扉開口となっており、扉開口に対応した縦横サイズのホース収納扉30が、下端を軸に垂直回り(上下回り)に開閉自在に軸支されている。また、ホース収納扉30の上端両側と筐体との間には、所定長のワイヤー106が連結されており、扉開閉ハンドル3010が操作されてホース収納扉30が開いた場合に、ワイヤー106によりホース収納扉30の斜め上向きに開いた開放位置となるように規制されている。
【0185】
ワイヤー106により規制されたホース収納扉30の開放角度は任意であるが、第3筐体11c内のホース収納ケージ76に外部から消火用ホースを巻き入れる作業を、より容易に行うことを可能とするのに十分な開口幅が形成される角度となる。
【0186】
また、ワイヤー106の何れかの一端が必要に応じて取外し可能な構造となっていれば、2本の各ワイヤー106のそれぞれについて、何れかの一端が取り外されることで、ホース収納扉30が監視員通路34の路面位置まで開放することが可能となる。
【0187】
図17に示す実施形態は、第3筐体11c内のホース収納部48に対応した前面上側の扉開口が、筐体高さ幅の半分を超える扉開口となっており、扉開口に対応した縦幅のホース収納扉30が、下端を軸に垂直回り(上下回り)に開閉自在に軸支されている。
【0188】
扉開閉ハンドル3010が操作されてホース収納扉30が開いた場合に、ホース収納扉30は扉先端側が監視員通路34の路面に当接する斜め下向きに開いた傾斜位置に開放する。このため、ホース収納扉30が開くことで、第3筐体11c内のホース収納部48が大きく開放し、第3筐体11c内のホース収納ケージ76に外部から消火用ホースを巻き入れる作業を、より容易に行うことが可能となる。
【0189】
なお、ホース収納扉の構造は、上記に限定されず、例えば、横方向に両開き(観音開き)する扉構造、横方向にスライドして開閉する引き戸構造など適宜の扉構造を含むものである。
【0190】
[o.横波状のホース巻き入れ収納]
次に、スリット開口に対し消火用ホースを横波状に巻き入れるホース収納について説明する。当該説明にあっては、第3筐体に消火用ホースを横波状に巻き入れて収納する消火栓装置の内部構造を、第1筐体及び第3筐体の前面を開放して正面から示した
図18、消火用ホースを横波状に巻き入れるスリット開口が形成されたケージ構造を示した
図19、及び、第3筐体内のスリット開口に支援線材が配置されて横波状に巻き入れられた消火用ホースを模式的に示した
図20を参照する。尚、
図19(A)はホース収納ケージ76の斜視図を示し、
図19(B)はホース巻き支援ケージ108が配置された状態を示し、
図19(C)はホース巻き支援ケージ108が外れた状態を示す。また、
図20(A)~(D)は4つのスリット開口に対するホース巻き入れを分離して正面から示し、
図20(E)はスリット開口に対するホース巻き入れを平面で示す。
【0191】
図18に示すように、消火栓装置10の第3筐体62内にはホース収納ケージ76が配置され、ホース収納ケージ76には、消火用ホース62が横方向(左右方向)の波状の進行方向に対し縦方向(上下方向)に湾曲した横波状に巻き入れられて収納されている。また、本実施形態では、消火用ホース62は、ホース収納ケージ76の上面に位置する奥行方向に複数形成されたスリット開口に対し、1.5周期分(1サイクル半)の横波状に湾曲して巻き入れられている。なお、それ以外の構造は
図4の実施形態と同様になることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0192】
ここで、ホース収納ケージ76は
図17(A)に示す構造であり、基本的な構造は
図5及び
図6に示したホース収納ケージ76と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0193】
本実施形態のホース収納ケージ76は、横波状に巻き入れられる消火用ホース62がスリット開口80a~80dを横切る半周期に対応した位置の2箇所に、スリット開口80a~80dを横切る支援線材として機能するホース巻き支援ケージ108が配置され、スリット開口80a~80dを左右方向で3つの区間に分割している。
【0194】
ホース収納ケージ76に対するホース巻き支援ケージ108の取付けは、
図19(B)に示すように、ホース巻き支援ケージ108の一端を丸めて形成された軸受部108aが、ホース収納部48の最も奥に位置する横ケージ76aの横波半周期の位置に回動自在に軸支され、ホース巻き支援ケージ108の他端を屈曲して形成されたフック108bが、ホース収納部48の最も手前に位置する横ケージ76aに下側から係止され、スリット開口80a~80dを左右方向で3区間に分割している。
【0195】
このようにホース巻き支援ケージ108が配置されてホース収納ケージ76のスリット開口80a~80dを左右方向で3つの区間に分割した
図19(A)に示す状態でのホース巻き入れ作業は、
図18に示すように、消火用ホース62を1.5周期分(1サイクル半)の横波状に湾曲して巻き入れ、巻き入れ後に
図19(C)に示すようにフック108bを外してホース巻き支援ケージ108を下向きに垂れ下がった位置に退避させ、スリット開口80a~80dを左右方向に分割した区間を開放する。
【0196】
ホース収納ケージ76への消火用ホース62の横波状の巻き入れを詳細に説明すると次のようになる。
図20(E)に示すホース収納部48の最も奥に位置するスリット開口80aへの消火用ホース62の巻き入れ作業は、
図18に示す第1筐体11a内の配管54にホース継手60で接続されている消火用ホース62を、
図20(A)に示すように、ホース巻入れ部62aとして上方から引き込み、スリット開口80aの左側のホース巻き支援ケージ108で仕切られた左端の区間に、消火用ホース62を左内側面、底面及びホース巻き支援ケージ108に沿って横波の下向きの半周期分に当たるホース部分を巻き入れる。
【0197】
続いて、
図20(B)に示すように、左右のホース巻き支援ケージ108で仕切られた中央の区間に、消火用ホース62を左側の支援ケージ108、上面内側及び右側のホース巻き支援ケージ108に沿って横波の上向きの半周期分を巻き入れる。続いて、
図20(C)に示すように、スリット開口80aの右側のホース巻き支援ケージ108で仕切られた右端の区間に、消火用ホース62を右側のホース巻き支援ケージ108、底面及び右内側面に沿って横波の下向きの半周期分を巻き入れる。
【0198】
続いて、
図20(E)に示すように、消火用ホース62をスリット開口80aから1つ手前のスリット開口80b側へ移動しながら、同様に、横波状の巻き入れを行い、これをスリット開口80c及びスリット開口80dまで繰り返す。
【0199】
最後のスリット開口80dの横波状の巻き入れにあっては、
図20(D)に示すように、右内側面から上面下側に巻き入れた消火用ホース62を、ホース巻出し部62bとして上方に取り出し、
図18に示した第1筐体11aのノズルホルダー67に保持されている放水用ノズル66に接続された状態となる。
【0200】
なお、このような消火用ホース62の横波状の巻き入れ作業にあっても、放水用ノズル66をホース先端から外した状態で行い、巻き込みを終えた消火用ホース62の先端側を第1筐体11a内に引き出して放水用ノズル66を接続し、ノズルホルダー67に保持させる。
【0201】
また、消火用ホース62の横波状の巻き込みに使用されるスリット開口80a~80dとホース巻き支援ケージ108による左右方向での区間分割は、前述したホース収納ケージ76に限定されず、
図9乃至
図11に示した張線構造又は
図12に示した箱形構造で形成されるスリット開口80a~80dにも適用可能である。
【0202】
ここで、ホース収納部48のサイズが、例えば、縦800mm、横2000mmである場合、消火用ホース62がホース収納ケージ76に横波状に巻き入れられた場合の1ターン当りのホース長は約7.5mとなることから、スリット開口80a~80dによる4ターンの巻き入れにより30mの消火用ホース62の収納が可能となる。
【0203】
[p.縦波状のホース巻き入れ収納]
次に、スリット開口に対し消火用ホースを縦波状に巻き入れるホース収納について説明する。当該説明にあっては、第3筐体に消火用ホースを縦波状に巻き入れて収納する消火栓装置の内部構造を、第1筐体及び第3筐体の前面を開放して正面から示した
図21、消火用ホースを縦波状に巻き入れるスリット開口が形成されたケージ構造を示した
図22、
図21の第3筐体内にスリット開口を形成するホース格納ケージを取り出して示した
図23、及び第3筐体内のスリット開口に縦波状に巻き入れられる消火用ホースを模式的に示した
図24を参照する。尚、
図23(A)は前面を除いた第3筐体の正面を示し、
図23(B)はホース収納ケージの正面を示し、
図23(C)はホース収納ケージの平面を示し、
図23(D)はホース収納ケージの側面を示す。
【0204】
(p1.上下2段にスリット開口が形成されたホース収納ケージ)
図21に示すように、消火栓装置10の第3筐体11c内には、消火用ホース62を縦波状に巻き入れるためのホース収納ケージ76が配置され、ホース収納ケージ76には、消火用ホース62が縦方向(上下方向)の波状の進行方向に対し横方向(左右方向)に湾曲した縦波状に巻き入れられて収納されている。また、本実施形態では、消火用ホース62は、ホース収納ケージ76に縦波の概ね1周期分(1サイクル分)が巻き入れられている。
【0205】
ここで、消火用ホース62が縦波状に巻き入れられるホース収納ケージ76は、
図22及び
図23に示す構造であり、基本的な構造は
図5及び
図6に示したホース収納ケージ76と同様であるが、高さ幅(縦幅)が
図23(A)に示すように、第3筐体11c内の半分を超える高さ幅であり、また、スリット開口80a~80dが上面と中間面の上下2段に形成されている点で相違している。
【0206】
即ち、本実施形態のホース収納ケージ76は、非可撓性の線材、例えば、鋼鉄などの金属線材を使用して構成されたケージ構造(籠構造)であり、所定の上面高さH21及び所定の中間高さH22の各々で奥行方向に4分割されたスリット開口80a~80dを2段に形成するように、横ケージ76a、縦ケージ76b、底ケージ76c、及び奥行ケージ76eを、ケージ交差点を溶接等により固着することで構成されている。
【0207】
ここで、
図21に示すように、上面高さH21となる上段のスリット開口80a~80dは、縦波状に巻き入れられる消火用ホース62の上側半周期の縦波山位置に対応して配置され、また、中間高さH22となる下段のスリット開口80a~80dは、縦波状に巻き入れられる消火用ホース62の下側半周期の縦波山位置に対応して配置されている。
【0208】
このため、第3筐体11c内にスリット開口80a~80dが上下2段に分けて配置され、且つ、消火用ホース62の半周期となる縦波の山位置にスリット開口を仕切る横ケージ76aが奥行方向に位置することで、上下2段のスリット開口80a~80dへの消火用ホース62の縦波状の巻き入れ作業が簡単且つ容易に可能となる。
【0209】
上下2段のスリット開口80a~80dが形成されたホース収納ケージ76への消火用ホース62の縦波状の巻き入れを詳細に説明すると次のようになる。
【0210】
図24(A)に示すホース収納部48の最も奥に位置する2段のスリット開口80aへの消火用ホース62の巻き入れ作業は、
図21に示した第1筐体11a内の配管54にホース継手60で接続されている消火用ホース62を、
図24(A)に示すように、ホース巻入れ部62aとして上方から上下2段のスリット開口80aの左側に引き入れる。続いて、消火用ホース62を筐体の左内側面及び底面に沿って引き入れた後、右内側面に沿って下段のスリット開口80aを下から通過するように縦波右側の半周期分を巻き入れる。続いて、上下2段のスリット開口80aの間を左方向に巻き入れた後、左内側面に沿って上段のスリット開口80aを下から通過するように縦波左側の半周期分を巻き入れ、筐体上面の下側に沿って中央に向かい、点線で示すように、
図24(B)に示す1つ手前のスリット開口80bに引き入れる。
【0211】
上下2段のスリット開口80bへの消火用ホース62の巻き入れ作業は、
図24(B)に示すように、筐体上面の下側から右内側面に沿って上段のスリット開口80bを上から通過するように縦波右側の半周期分を引き入れる。続いて、上下2段のスリット開口80bの間を左方向に巻き入れた後、左内側面に沿って下段のスリット開口80aを上から通過するように縦波左側の半周期分を巻き入れ、底面及び右内側面に沿って上面下側の中央に向かい、点線で示すように、
図24(C)のスリット開口80cに引き入れる。
【0212】
図24(C)のスリット開口80cに対しては、
図24(A)のスリット開口80aの場合と同様に消火用ホース62を巻き入れ、続いて、
図21(D)の最後のスリット開口80dに、
図24(B)の場合と同様に消火用ホース62を巻き入れる。
【0213】
最後のスリット開口80dの縦波状の巻き入れにあっては、右内側面から上面下側に沿って巻き入れた消火用ホース62を、ホース巻出し部62bとして上方に取り出し、
図21に示した第1筐体11aのノズルホルダー67に保持されている放水用ノズル66に接続する。
【0214】
ここで、ホース収納部48のサイズが、例えば、縦800mm、横2000mmである場合、消火用ホース62がホース収納ケージ76に縦波状に巻き入れられた場合の1ターン当りのホース長は、約6.9mとなることから、スリット開口80a~80dによる4ターンの巻き入れのホース長は27.6mとなるが、
図24に示すホース巻き入れの直線部分を湾曲させて1ターン当りのホース長を増加させることで、30mの消火用ホース62の収納が可能となる。
【0215】
なお、このような消火用ホース62の縦波状の巻き入れ作業にあっても、放水用ノズル66をホース先端から外した状態で行い、巻き込みを終えた消火用ホース62の先端側を第1筐体11a内に引き出して放水用ノズル66を接続し、ノズルホルダー67に保持させる。
【0216】
また、消火用ホース62の縦波状の巻き込みに使用する上下2段のスリット開口80a~80dの形成は、前述したホース収納ケージ76に限定されず、
図9乃至
図11に示した張線構造についても適用可能である。
【0217】
(p2.消火用ホースの巻き戻し作業)
次に、上下2段にスリット開口が形成されたホース収納ケージ76に対し、消火栓の使用終了後に、復旧作業員が行う消火用ホースの巻き戻し作業について説明する。当該説明にあっては、治具を使用して消火用ホースを縦波状に巻き戻した状態を、第3筐体の前面を開放して正面から示した
図25、及び、治具を使用して消火用ホースが縦波状に巻き戻された状態を、
図25の切断線d-dの断面で示した
図26、及び、第3筐体内のスリット開口に支援線材が配置され、治具を使用して縦波状に巻き入れられる消火用ホースを模式的に示した
図27を参照する。尚、
図25はホース収納扉を開放した状態を想像線で示している。また、
図27(A)~(D)は4つのスリット開口に対する治具を用いたホース巻き入れを分離して正面から示す。
【0218】
道路利用者が放水用ノズル66を取り出し、消火用ホース62を引き出して消火活動を行った後の復旧作業として、復旧作業員は使用した消火用ホース62を水抜きした後に、
図15に示すように、消火栓扉14を略水平の開放位置に保持し、ホース収納扉30を開放した状態で、前出したのと同様に、放水用ノズル66を外した消火用ホース62をホース収納扉30の扉開口30bから全て外部へ引き出した状態で、第3筐体11c内の上下2段にスリット開口80a~80dを形成したホース収納ケージ76に消火用ホース62を巻き戻す作業を行う。
【0219】
消火用ホース62を巻き戻す作業は、
図25に示すように、消火栓扉14を閉じた後に、ホース収納扉30の操作ハンドル3010を操作してロックを解除し、想像線で示すように、ホース収納扉30を下向きに開いた状態とし、第3筐体11cの扉開口を介して消火用ホース62を巻き戻す。
【0220】
消火用ホース62を人手により巻き戻す場合には、ホース収納ケージ76の横幅(左右方向における幅)が長く、内巻きするホースの上側の部分が垂れ下がるため、巻き戻す消火用ホース62を支える必要があり、サポートする人がいない場合には復旧作業に手間と時間が掛かってしまう。
【0221】
そこで、実施形態にあっては、消火用ホース62を巻き戻す作業に、
図26に示すように、治具110が使用される。治具110はベース112にガイドポール114が起立したものである。
【0222】
ガイドポール114には、ガイドポール114に沿って移動自在なスライダ116が上下2段に設けられ、スライダ116から第3筐体11c内に向けて支持アーム118が延在している。また、スライダ116には蝶ネジ120が設けられ、スライダ116が任意の高さでガイドポール114に固定可能となっている。
【0223】
第3筐体11c内のホース収納ケージ76に消火用ホース62を縦波状に巻き入れる作業手順は、先ず、
図25に示すように、ホース収納扉30が開放された消火栓装置10の前面となる監視員通路34の路面上の左右2箇所に分けて治具110を配置する。
【0224】
続いて、
図26に示すように、第3筐体11cの上面の下側との間に2本の消火用ホース62を上下に通す間隔を空けて、上側の支持アーム118を位置決めし、蝶ネジ120を締めてスライダ116をガイドポール102に固定する。
【0225】
また、
図25に示すホース収納ケージ76の上下2段に形成されたスリット開口80a~80dの間の中央付近の位置に、下側の支持アーム118を位置決めし、蝶ネジ120を締めてスライダ116をガイドポール102に固定する。
【0226】
このように、治具110を配置した状態で、
図27(A)~(D)に示すように、治具110により上下2段にセットされた支持アーム118に対し、消火用ホース62の縦波の半周期部分を支えるようにホースを巻き入れる。
【0227】
消火用ホース62の縦波状の巻き入れ作業が完了したら、治具110を第3筐体11cから取り外す。治具110を取り外すと、縦波状に巻き入れられている消火用ホース62の上部中央は、自重により下向きに湾曲した状態に変形することになるが、上下2段に形成されたスリット開口80a~80dにより支えられているため、縦波状に巻き入れられた消火用ホースの収納状態が崩れることはない。
【0228】
[q.本発明の変形例]
本発明による消火栓装置の変形例について説明する。本発明の消火栓装置は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0229】
(ノズルホルダー)
上記の実施形態は、放水用ノズルを着脱自在に保持するノズルホルダーは、第1筐体の前面側のフレームに配置されているが、これに限定されず、消火栓扉の裏面側に配置されてもよい。
【0230】
(消火栓弁開閉操作部)
上記の実施形態は、消火栓弁の開閉操作部を構成する消火栓弁開閉レバーを備えた操作ボックスは、第1筐体の前面側のフレームに配置されているが、これに限定されず、消火栓扉の裏面側に配置されてもよい。
【0231】
(壁掛け構造により設置された消火栓装置)
上記の実施形態は、左右方向で連結した第1筐体と第2筐体を、ホース収納部を備えた第3筐体上に設置して監視員通路の路面上の所定の高さに取付固定する据置き構造により設置された消火栓装置を例にとるものであったが、これに限定されず、トンネル壁面に設置された架台に、左右方向で連結した第1筐体と第2筐体を取付固定する壁掛け構造により設置された消火栓装置についても、第1筐体及び第2筐体と監視員通路の路面との間に、ホース収納部を備えた第3筐体が配置された構造であっても構わない。この場合、第3筐体は、壁掛け構造であっても、据置き構造であってもよく、また、第1筐体と第2筐体に対し第3筐体は連結配置されても、分離配置されてもよい。
【0232】
(消火栓装置の筐体)
上記の実施形態は、第2筐体に電装機器と消火器が設けられているが、これに限定されず、第2筐体が電装機器を収納する筐体と消火器を収納する筐体に分割された形態であってもよい。即ち、ホース収納部以外の筐体が、消火栓機器を収納する第1筐体、電装機器を収納する第2筐体、消火器を収納する第3筐体に分割され、左右方向で連結固定した第1乃至第3筐体を、ホース収納部を備えた第4筐体で監視員通路の路面上の所定高さに取付固定する据置き構造であってもよい。
【0233】
(ホース巻き戻し)
上記の実施形態では、下端を軸に垂直回り(上下回り)に回動自在に軸支された消火栓扉14を、ホース巻き戻しの際にはステー122により略水平に開いた状態に保持し、消火栓扉14に妨げられることなくホース収納扉30が開放可能となっているが、これに限定されず、上端を軸に垂直回り(上下回り)に開閉自在に軸支された消火栓扉14であってもよい。この場合、消火栓扉14の扉開閉ハンドル1410が操作されてロックが解除した場合、ガスダンパー等により消火栓扉14を上向きに回動して開放させる構造となる。このため、道路利用者が消火栓装置10を使用した後に、復旧作業員が外部に引き出された消火用ホース62を巻き戻す作業を行う場合、消火栓扉14を開放した状態でホース収納扉30を開くだけで、ホース収納扉30の扉開口30bから第1筐体11aのホース取出口65を介して外部に引き出されている消火用ホース62を、ホース収納扉30の扉開口30bを経由して第3筐体11cの外側へ全て引き出した後に、第3筐体11c内に消火用ホース62をまき戻す作業を行うことになる。
【0234】
また、ホース巻き戻しのために消火栓扉14を閉じてホース収納扉30を開放するための他の構造として、第1筐体11a内のホース取出口65に相対した消火栓扉14の中央上側の位置に下端を軸に開放自在に軸支した子扉を設け、子扉の扉開口は消火栓扉14の上端側に開放する構造であってもよい。復旧作業員が消火用ホース62を巻き戻す場合には、消火栓扉14が開いたまま子扉を開いて、消火用ホース62を子扉の扉開口の内側から外部へ引き出した状態として消火栓扉14を閉じ、子扉の扉開口を介して外部に引き出しされている消火用ホース62を、開放したホース収納扉30の扉開口30bを介して第3筐体11cの外側へ全て引き出し、この状態で第3筐体11cの扉開口30bを介して消火用ホース62を巻き戻す作業を行うことになる。
【0235】
また、消火用ホースを巻き戻すための他の作業方法として、第1筐体11aのホース継手60から消火用ホース62を取り外した状態で、第1筐体11aのホース取出口65から第3筐体11cに収納されている消火用ホース62を全て外部に引き出し、続いて、消火用ホース62の後端を第3筐体11cのホース収納扉30の扉開口30bから入れて第1筐体11aのホース継手60に接続し、この状態で、第3筐体11cの扉開口30bを介して消火用ホース62を巻き戻す作業を行ってもよい。
【0236】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、さらに上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0237】
10:消火栓装置
11a:第1筐体
11b:第2筐体
11c:第3筐体
12a,12b,12c:化粧枠
14:消火栓扉
1410,1610,3010:扉開閉ハンドル
15:保守扉
16:消火器扉
17:覗き窓
18:電装扉
19:消火器
20:補助扉
22:赤色表示灯
24:発信機
26:電話ジャック
28:応答ランプ
30:ホース収納扉
32:架台
34:監視員通路
35:トンネル壁面
36:給水配管
37:引込配管
38:道路
40:給水本管
42a,42b:ホース引出開口
43a,43b,43c:配管通し穴
44a,44b:通線開口
45:隔壁
45a:電装機器収納部
45b:消火器収納部
46:バルブ類収納部
48:ホース収納部
50:給水栓
52:分岐配管
54:配管
56:消火栓弁
58:自動調圧弁
60:ホース継手
62:消火用ホース
62a:ホース巻入れ部
62b:ホース巻出し部
64:フレーム
65;ホース取出口
66:放水用ノズル
67:ノズルホルダー
68:操作ボックス
70:消火栓弁開閉レバー
72:連動ボックス
74:ポンプ起動連動スイッチ
75:ポンプ起動スイッチ
76:ホース収納ケージ
76a:横ケージ
76b:縦ケージ
76c:底ケージ
76d:斜めケージ
76e:奥行ケージ
77:仕切板
78:ホース収納区画
78a:第1区画
78b:第2区画
78c:第3区画
78d:第4区画
80a~80d:スリット開口
82,106:ワイヤー
84:ワイヤー取付部
86:張力調整部
88:ワイヤー通し穴
90:リフト板
92:調整ボルト
94:ガイドポール
96:受け穴
98:ホース収納箱
100:横板
102:横桟板
104:底桟板
108:ホース巻き支援ケージ
108a:軸穴部
108b:フック
110:治具
112:ベース
114:ガイドポール
116:スライダ
118:支持アーム
120:蝶ネジ
122:ステー
124:ピン
130:扉開閉機構
132:軸部
134:ダンパー取付部
136:ダンパー
138:固定側軸部