(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172737
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ファイル管理システム、作業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/28 20190101AFI20241205BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241205BHJP
G06F 16/13 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
G06F16/28
G06Q50/04
G06F16/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090661
(22)【出願日】2023-06-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 将史
(72)【発明者】
【氏名】林 真悟
(72)【発明者】
【氏名】中道 拓也
(72)【発明者】
【氏名】上野 高明
(72)【発明者】
【氏名】新岡 正彦
(72)【発明者】
【氏名】立川 智基
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175DA02
5B175KA12
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】データファイル間のリンク先候補が複数ある場合において、適切なリンク先を設定することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係るファイル管理システムは、データファイルが記載している文字列が指し示す対象の種別を判定することにより、前記対象がデータファイル間で一致するか否かを判定し、一致する場合はデータファイル間のリンクを付与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列を含むデータファイルを管理するファイル管理システムであって、
前記文字列が指し示す対象の種別を前記文字列に基づき判定するためのルールを記述した文字種別判定ルールにしたがって前記対象の種別を判定する指示対象種別判定部、
第1データファイル内に含まれる第1文字列と第2データファイル内に含まれる第2文字列とを比較する文字列比較処理部、
前記データファイル間のリンクを設定するためのルールを記述したリンクルールを取得するリンクルール認識処理部、
前記リンクルールにしたがって前記第1文字列と前記第2データファイルとの間のリンクを設定するリンク設定処理部、
を備え、
前記リンクルールは、前記第1文字列が指し示す前記対象の種別と、前記第2データファイルとの間のリンクを定義しており、
前記リンク設定処理部は、前記リンクルールにしたがって、前記第1文字列のリンク先データファイルとして前記第2データファイルを特定し、
前記文字列比較処理部は、前記特定した前記第2データファイル内の前記第2文字列が指し示す前記対象の種別と、前記第1文字列が指し示す前記対象の種別とを比較することにより、前記第1文字列の対象と前記第2文字列の対象が一致するか否かを判定し、
前記リンク設定処理部は、前記第1文字列が指し示す前記対象と前記第2文字列が指し示す前記対象が一致すると前記文字列比較処理部が判定した場合は、前記第1文字列と前記第2データファイルとの間のリンクを付与する
ことを特徴とするファイル管理システム。
【請求項2】
前記ファイル管理システムはさらに、前記データファイルが記述している内容を表すファイル種別を判定するファイル種別判定部を備え、
前記リンクルールは、前記第1データファイルのファイル種別、前記第1文字列が指し示す前記対象の種別、および、前記第2データファイルのファイル種別の間のリンクを定義しており、
前記リンク設定処理部は、前記ファイル種別判定部が判定した前記第1データファイルのファイル種別と、前記指示対象種別判定部が判定した前記第1文字列が指し示す前記対象の種別とを用いて前記リンクルールを参照することにより、前記第1文字列のリンク先データファイルとして前記第2データファイルを特定する
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項3】
前記文字種別判定ルールは、前記対象の種別を、
前記文字列の種別、
前記文字列の文字数、
前記文字列内に他の種別の前記文字列が含まれるか否か、および、含まれる場合はその位置、
のうち少なくともいずれかにしたがって判定するように構成されており、
前記指示対象種別判定部は、前記文字列の種別と前記文字列の文字数を用いて前記文字種別判定ルールを参照することにより、前記対象の種別を判定する
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項4】
前記文字種別判定ルールは、前記対象の種別を、前記文字列内に含まれるキーワードによって判定するように構成されており、
前記指示対象種別判定部は、前記文字列内のキーワードを用いて前記文字種別判定ルールを参照することにより、前記対象の種別を判定する
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項5】
前記リンクルールにおける前記第1データファイルと、前記リンクルールにおける前記第2データファイルは、前記対象を互いに異なる観点から記述した図面データである
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項6】
前記リンクルールにおける前記第1データファイルは、電気機器が有する部品と配線との間の電気的な接続関係を記述した図面データであり、
前記リンクルールにおける前記第2データファイルは、前記部品と前記配線の物理的配置または前記部品と前記配線との間の物理的な接続関係を記述した図面データである
ことを特徴とする請求項5記載のファイル管理システム。
【請求項7】
前記リンクルールにおける前記第1データファイルは、電気機器が有する部品と配線の全体像を記述した図面データであり、
前記リンクルールにおける前記第2データファイルは、特定の前記部品の種別について記述した図面データである
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項8】
前記リンクルールは、前記第1文字列から、2つ以上の互いに異なるデータファイルに対して、互いに異なる優先度でリンクを設定することができるように構成されており、
前記リンク設定処理部は、前記第1データファイルから2つ以上のデータファイルに対するリンクが前記リンクルール内に含まれる場合は、前記第1データファイルから前記2つ以上のデータファイルそれぞれに対するリンクを設定するとともに、その設定したリンクに対して前記優先度を付与する
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項9】
前記リンクルールは、前記第1データファイルから、2つ以上の互いに異なるデータファイルに対して、互いに異なる優先度でリンクを設定することができるように構成されており、
前記リンク設定処理部は、前記第1データファイルから2つ以上のデータファイルに対するリンクが前記リンクルール内に含まれる場合は、前記2つ以上のデータファイルのうち前記優先度が最も高いものに対するリンクを設定する
ことを特徴とする請求項1記載のファイル管理システム。
【請求項10】
作業者の業務を支援する作業支援システムであって、
請求項1記載のファイル管理システム、
前記ファイル管理システムが管理するデータファイルを取得して前記作業者に対して提示することができる第1作業端末、
を有する
ことを特徴とする作業支援システム。
【請求項11】
前記ファイル管理システムは、
単一の前記第1データファイルに対して2つ以上の前記リンクルールを対応付ける、
または、
前記第1データファイルと前記リンクルールのペアを2つ以上管理する、
のうち少なくともいずれかを実施するように構成されており、
前記ペアが2つ以上存在する場合、前記第1作業端末は、前記ペアのうちいずれか1つを選択することにより、他の前記ペアを無効化し、
単一の前記第1データファイルに対して2つ以上の前記リンクルールが対応付けられている場合、前記第1作業端末は、そのリンクルールのうちいずれか1つのみを残すとともにそれ以外を無効化する
ことを特徴とする請求項10記載の作業支援システム。
【請求項12】
前記作業支援システムはさらに、前記ファイル管理システムが管理するデータファイルを取得して前記作業者に対して提示することができる第2作業端末を有し、
前記第1作業端末は前記第1データファイルを前記ファイル管理システムから取得するとともに、前記第2作業端末は前記第2データファイルを前記ファイル管理システムから取得し、
前記第1作業端末と前記第2作業端末は、前記第1作業端末において前記第1データファイルから前記第2データファイルに対するリンクが選択されると、前記第2作業端末が前記第2データファイルを表示するように構成されている
ことを特徴とする請求項10記載の作業支援システム。
【請求項13】
前記作業支援システムはさらに、ユーザが前記ファイル管理システムを操作するために用いる管理端末を有し、
前記管理端末は、前記ユーザによる操作指示にしたがって、前記リンクルールを前記ファイル管理システムに対して格納する
ことを特徴とする請求項10記載の作業支援システム。
【請求項14】
前記作業支援システムはさらに、ユーザが前記ファイル管理システムを操作するために用いる管理端末を有し、
前記ファイル管理システムは、前記第1データファイルと前記リンクルールのペアを2つ以上管理するように構成されており、
前記管理端末は、前記ペアのうちいずれか1つのみを前記リンクルールとして前記第1データファイルに対して反映するように前記ファイル管理システムに対して指示し、
前記ファイル管理システムは、前記管理端末からの前記指示にしたがって、前記第1データファイルに対して前記リンクルールを反映する
ことを特徴とする請求項10記載の作業支援システム。
【請求項15】
前記作業支援システムはさらに、ユーザが前記ファイル管理システムを操作するために用いる管理端末を有し、
前記管理端末は、前記第1作業端末を前記第1データファイルのリンク元端末として指定するとともに、前記第2作業端末を前記第1データファイルのリンク先端末として指定するように、前記ファイル管理システムに対して指示し、
前記ファイル管理システムは、前記管理端末からの前記指示にしたがって、前記第1データファイルに対して前記リンクを付与する
ことを特徴とする請求項12記載の作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字列を含むデータファイルを管理するファイル管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、作業現場におけるデジタル化が加速し、作業情報を入力する携帯型端末を用いた作業が普及してきている。作業者は携帯型端末上で従来の紙を用いた作業と同様に図面を参照して作業する。大規模なシステムの場合、参照するべき図面は、全体の電気的な接続を示す図面や各部品の特性や外形を示す図面など多岐に渡るので、作業者は複数の図面ファイルから該当のページを探す必要がある。デジタル化した作業の場合、1つの図面のページから関連する他の図面ページへのリンクを設定することにより、作業者がページを探す行為を省略することができ、作業の効率化が期待できる。
【0003】
特許文献1は、『現場で必要な図面を少ない操作で閲覧する。』ことを課題として、『図面データを記憶する記憶部と、前記図面データの複数図面に共通する文字列を検索するリストアップ部と、前記図面データを表示し、表示した図面内の文字列が選択されると、前記検索された文字列のリンク先を表示する閲覧部と、前記リンク先を、複数図面に共通する文字列間のリンクの中から、ルールに従ってリンクを生成するリンク生成部と、を有する図書閲覧システム。図面データを記憶する記憶部と、図面のリンクを生成するリンク生成部を有する図書閲覧装置の図書閲覧方法において、前記図書閲覧装置が、前記図面データの複数図面に共通する文字列を検索し、前記複数図面に共通する文字列についてルールに従ってリンクを生成する図書閲覧方法。』という技術を記載している(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大規模なシステムの図面データにおいては、図面ファイルの容量が大きいので、個別にリンクを設定する作業のために労力を要する。また、リンク設定が実際に実施する作業に対して適切でない場合、1つの文字列に対して複数のリンク先が生成される。そうすると作業者は目標の図面ページを複数のリンクから選択する手間が発生し、閲覧の効率が低下する課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、データファイル間のリンク先候補が複数ある場合において、適切なリンク先を設定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るファイル管理システムは、データファイルが記載している文字列が指し示す対象の種別を判定することにより、前記対象がデータファイル間で一致するか否かを判定し、一致する場合はデータファイル間のリンクを付与する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るファイル管理システムによれば、データファイル間のリンク先候補が複数ある場合において、適切なリンク先を設定することができる。上記した以外の課題、構成、効果などについては、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る作業支援システムとファイル管理システム10の全体構成図である。
【
図2】作業支援システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図3】S202においてユーザが管理端末20上で用いる画面例である。
【
図6】実施形態1においてドキュメントファイル内に記載される文字列の例を列挙する。
【
図7】S203においてユーザがリンクルールを登録する際に管理端末20上で用いる画面例である。
【
図8B】
図8Aのルールに従ってリンクが形成された時のファイル間のリンク関係を示す。
【
図9A】S203においてユーザが文字種別判定ルールを登録する際に管理端末20上で用いる画面例である。
【
図11】ファイル解析ステップの詳細を説明するフローチャートである。
【
図13】S1104の詳細を説明するフローチャートである。
【
図14】S205の詳細を説明するフローチャートである。
【
図15A】S206における作業端末30上の表示例である。
【
図15B】S206における作業端末30上の表示例である。
【
図15C】S206における作業端末30上の表示例である。
【
図16】実施形態2におけるリンクルールの例である。
【
図17】実施形態3に係る作業支援システムの構成図である。
【
図18A】実施形態3における作業端末上での表示例を示す。
【
図18B】実施形態3における作業端末上での表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1:概要>
以下に本発明を実施するための形態(実施形態)における作業支援システムについて説明する。作業支援システムは、作業ユーザが作業において用いるドキュメント(図面)ファイルを管理するファイル管理システムと、管理ユーザが図面ファイルをファイル管理システムに登録して操作するための管理端末と、作業ユーザがドキュメントファイルを表示するための作業端末を含んで構成される。
【0011】
管理ユーザは管理端末を用いて、所定の作業に用いるドキュメントファイルをファイル管理システムに登録する。登録の際にファイル管理システムに対してリンク付与を指示する。ファイル管理システムはリンク付与指示に対応して、ドキュメントファイルに対してリンク情報を付与したデータを作成し、作業端末に対して書き出す。作業者は作業端末を用いて、ドキュメントファイルを表示しながら所定の作業を実施する。作業に際して、作業の内容に合ったリンク機能を用いて業務を効率化できる。
【0012】
<実施の形態1:全体構成>
図1は、本発明の実施形態1に係る作業支援システムとファイル管理システム10の全体構成図である。作業支援システムは、ファイル管理システム10と管理端末20と作業端末30を有する。ファイル管理システム10と管理端末20は、有線または無線のネットワークで接続され、互いにデータ通信可能である。実施形態1におけるファイル管理システム10は、管理端末20から入力される複数のドキュメントデータおよびリンクルールの設定により、ドキュメントデータに対してリンク情報を付与し、作業端末30に対して書き出す。ファイル管理システム10と作業端末30とは、有線または無線のネットワークで接続され、互いに通信可能である。
【0013】
本実施形態1においては、作業支援システムはプラントやインフラ施設を電気的に制御する複数の制御盤を含むシステムについての製造・保守・点検・改造などの作業を支援するものであるとして以下説明する。ドキュメントデータは制御盤などの電気機器に関する図面や説明書などのデータである。ただし本実施形態はその他のドキュメントデータを管理するファイル管理システムや作業支援システムにおいても適用することができる。
【0014】
<実施の形態1:サーバの構成>
ファイル管理システム10は例えばコンピュータによって構成されており、記憶部11、演算処理部12、読み込み処理部101、ドキュメント入出力IF102、ルール設定部104、ルール入出力IF105、指示対象種別判定部107、図種別判定部108(ファイル種別判定部)、文字比較処理部109、リンクルール認識処理部110、リンク設定処理部111、書き出し処理部112を備える。
【0015】
読み込み処理部101、ドキュメント入出力IF102、ルール設定部104、ルール入出力IF105、指示対象種別判定部107、図種別判定部108、文字比較処理部109、リンクルール認識処理部110、リンク設定処理部111、書き出し処理部112は、ソフトウェアによる処理として構成され、演算処理部12により実施される。これらのソフトウェアは記憶部11に記録され、動作する際に図示しないメモリにロードされて、演算処理部12により実行される。演算処理部12は例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。
【0016】
<実施の形態1:記憶部の構成>
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などの記憶機器によって構成される。記憶部11内には、ドキュメントデータ103、リンクルールデータ106、指示対象種別ルールデータ113が記憶される。
【0017】
<実施の形態1:管理端末の構成>
管理端末20は処理部201と表示部202と操作部203を有する。処理部201はコンピュータである。表示部202はディスプレイである。操作部203はキーボードやマウスなどの操作デバイスである。処理部201とファイル管理システム10は、EthernetやWi-Fiなどの有線または無線のネットワークで接続される。表示部202と処理部201は、例えばHDMIやDisplayPortなどの有線またはWi-Fiなどの無線で接続され、処理の手順な状況などをユーザに対して伝える画面を表示する。操作部203は処理部201と例えばUSBなどの有線またはBluetoothなどの無線で接続され、処理部201に対してユーザの操作を入力する。
【0018】
管理端末20は処理部201を省略した構成としてもよい。この場合、表示部202と操作部203はファイル管理システム10と有線または無線で接続される。
【0019】
管理端末20は処理部201を介して、読み込み処理部101やリンク設定処理部111と接続する。処理部201は、これらの処理部に接続するためのソフトウェアまたは一般的なインターネットブラウザなどを内部に備え、これらにより接続処理を実施する。
【0020】
管理端末20はこれ以外にも、タブレットやスマートフォンなどのデバイスでもよく、この構成の場合は、処理部201と表示部202と操作部203は1つのハードウェアとして構成される。
【0021】
<実施の形態1:作業端末の構成>
作業端末30は、作業者が持ち運び可能で内部に保存したドキュメントデータを表示する機能を有する端末であり、電子ペーパー端末やタブレットやスマートフォンである。作業端末30は、画面と同一面にタッチセンサを有しており、ペンや指などでタッチすることにより入力操作ができる。
【0022】
<実施の形態1:全体動作>
図2は、作業支援システムの動作を説明するフローチャートである。
図2を参照しながら、ドキュメントデータに対してリンクを付与し作業端末30に対して書き出す処理を説明する。
【0023】
ステップS202はファイル登録ステップである。ユーザは管理端末20を用いて、作業ファイルとして使用するドキュメントファイルをファイル管理システム10に対して登録する。
【0024】
ステップS203はルール登録ステップであり、ステップS202と同様に、管理端末20からルールを登録する。登録するルールは2種類あり、リンク設定ルールと、ファイルに含まれる文字列の種別判定ルールである。詳細は後述する。
【0025】
ステップS204はファイル解析ステップであり、ステップS202において登録されたドキュメントファイル内に含まれる文字列について、文字列の指し示す対象の種別を解析する。
【0026】
ステップS205はリンク付与ステップであり、ステップS203において登録されたルールに従って、ステップS204において解析された文字列の指示対象の種別に応じ、ドキュメントデータに対してリンクを付与する。
【0027】
ステップS206はファイル書き出しステップであり、ステップS202において登録されたドキュメントファイルとステップS205においてリンクが付与されたドキュメントファイルとを作業端末30に対して書き出す。
【0028】
<実施の形態1:ファイル登録ステップ>
図3は、S202においてユーザが管理端末20上で用いる画面例である。S202においてユーザは管理端末20からドキュメントファイルを登録する。管理端末20はドキュメントデータを読み込み処理部101に対して転送する。読み込み処理部101は
図3に示すような画面を表示部202に対して提供し、ユーザは同画面を用いてドキュメントファイルを登録する。ユーザはファイル選択ボタンを押下した後、ファイル管理システム10に対して転送するドキュメントファイルを選択し、アップロードボタンを押下する。以上の操作により、選択したドキュメントファイルがファイル管理システム10に対して転送される。読み込み処理部101は管理端末20よりドキュメントファイルデータを受信し、ドキュメント入出力IF102を通して記憶部11内のドキュメントデータ103として格納する。ドキュメントファイルデータは、あらかじめファイル管理システム10のドキュメントデータ103として格納されているもののなかから選択してもよい。
【0029】
図4A~
図4Dは、本実施形態において取り扱う4種類の図面を例示する。
【0030】
図4Aは展開接続図である。展開接続図は作業対象となる電気機器に含まれる部品と配線の電気的な接続を示す図である。図中の“SW01Δ”と“SW02Δ”はそれぞれ機器を示す機器番号であり、破線で囲われた“現場盤”という名称の制御盤に取り付けられていることを示す。“#HT02”は制御盤に付与される固有の盤番号である。配線の近傍に記載された“PD032A”、“PD032B”、“5AΔ”、“5BΔ”、“6AΔ”、“6BΔ”は配線番号であり、制御盤内の機器間を接続する内部配線に付与される固有番号である。“HT02CE01D1”は外部配線番号であり、制御盤と他の制御盤との接続に用いられる外部配線に付与された固有の番号である。展開接続図は各ページに固有の図面番号が付与され、例では“PE01”となる。図の中の“Δ”はこのページの図面番号が省略して記載される記号であり、例えば“SW01Δ”は省略せずに記載すると“SW01PE01”である。
【0031】
図4Bは配線表であり、配線番号をまとめた表である。
図4Bのように、各配線番号で示される配線の両端が接続された機器の機器番号と図面番号がまとめられる。
【0032】
図4Cは実装図であり、制御盤に取り付けられた機器の配置を示す図である。
図4Cの例では、盤番号“#HT02”に“SW01PE01”、“SW02PE01”、“CPU1PE02”、“CPU2PE02”の機器と、“T1”、“T2”の端子台が取り付けられていることを示す。
【0033】
図4Dは端子台接続図であり、盤番号“#HT02”の制御盤に取り付けられた端子台“T1”、“T02”に接続された内部配線と外部配線を図示している。
【0034】
本実施形態において、それぞれの図面は種類ごとに別のPDFファイルとして保存される。1つのPDFファイルには、同一種類の図面が複数ページ含まれていてもよい。同一図面種類のPDFファイルが複数登録されてもよい。ドキュメントファイルの形式はPDFに限るものではない。
【0035】
図5は、記憶部11内のフォルダ構造例を示す。ドキュメントファイルが登録されると
図5に示すように、プロジェクトフォルダの下の図面種別ごとのフォルダに各図面のファイルが格納されたフォルダ構造が形成され、記憶部11内のドキュメントデータ103として保存される。
【0036】
図6は、本実施形態においてドキュメントファイル内に記載される文字列の例を列挙する。
【0037】
<実施の形態1:ルール登録ステップ>
図7は、S203においてユーザがリンクルールを登録する際に管理端末20上で用いる画面例である。ユーザは管理端末20の操作部203を用いて、実施予定の作業に対応するリンクルール、および文字列種別判定ルールを登録する。まずリンクルールの登録を説明する。
【0038】
ユーザは管理端末20を用いてルール設定部104に対して接続する。ルール設定部104は
図7に示すような画面を管理端末20の表示部202に対して提供する。
図7の画面において、ユーザは実施予定の作業内容を選択して登録する。ルール設定部104は、ユーザが選択した作業内容に応じたリンクルールを、ルール入出力IF105を通してリンクルールデータ106から選択して設定する。
【0039】
図8Aは、リンクルールの1例である。リンクルールは、
図8Aに示すように、リンク元の図面種別と文字列指示対象の種別に対して、リンク先の図面種別を記載している。同一のリンク元図面と文字列指示対象種別に対して、異なるリンク先の図面種別が複数ある場合には、優先順位も記載される。優先順位は数字が若い方が高いものとする。
【0040】
図8Bは、
図8Aのルールに従ってリンクが形成された時のファイル間のリンク関係を示す。リンク元となる展開接続
図801からリンク先となる配線表802に向かう矢印811は、
図8AのNo.1、4、5、8を示し、それぞれ固有線番、外部配線、器具番号、盤番号、盤番号の文字列にリンクが付与されることを示す。同様に、展開接続
図801から端子台接続
図803に向かう矢印812は、
図8AのNo.2、3、9を示し、展開接続
図801から実装
図804に向かう矢印813はNo.6、7を示す。
【0041】
破線で示す矢印814、矢印815、矢印816は、それぞれ矢印811、矢印812、矢印813と逆方向のリンクである。これら矢印が示すように、逆方向のリンクを付与してもよい。また、リンクルールを登録する際には
図7のように作業種別を選択することを例示したが、これに替えて
図8Aの表の様な情報を入力してもよい。
【0042】
図9Aは、S203においてユーザが文字種別判定ルールを登録する際に管理端末20上で用いる画面例である。リンクルールの登録と同様に、ユーザは管理端末20を用いてルール設定部104に対して接続する。ルール設定部104は
図9Aに示すような画面を管理端末20の表示部202に対して提供する。
図9Aの画面において、ユーザは文字列種別判定ルールとして、
図6に挙げた各文字列の指示する対象の種別ごとに図面内で記載されるルールを登録する。
【0043】
図9Bは、文字種別判定ルールの具体例を示す。文字列種別判定ルールは
図9Bのように、文字列指示対象種別ごとに、(a)英字・数字・日本語などどの文字種別を含むか、(b)文字数の最小最大値、(c)他の文字列種別を含む場合はその番号と前方一致または後方一致(文字列の最前部または最後部において他の文字列種別を含むか)、などの条件を記載している。
図9Bの『#』は、他の文字列種別を含む場合、その文字列種別の番号を示す。さらに、特定の図面種別のタイトル欄等に記載されてリストが作成可能な場合はその図面種別、などの条件を記載する。
【0044】
図10は、文字種別判定ルールの別例を示す。
図9Bで説明したルールに代えてまたはこれに加えて、
図10のように図面種別ごとにその種別に含まれるキーワードを指定してもよい。文字列のなかにこれらのキーワードが含まれる場合、その文字列は、
図10の『文字列指示対象種別』が指定する種別であると判定されることになる。
【0045】
<実施の形態1:文字列の指示対象判定処理部の概要>
S204(ファイル解析ステップ)について説明する。S204においては、各ドキュメントファイル内に含まれる文字列が指し示す対象(指示対象)の種別を判定する。指示対象種別とは、
図6の例における『指示する対象の種別』列、またはそれに対応する『文字列種別』列の内容である。指示対象とは、
図6の『例』列が記載している各文字列の番号が指し示す固有の部品や図面などの対象を指す。
【0046】
図11は、ファイル解析ステップの詳細を説明するフローチャートである。本フローチャートは、指示対象種別判定部107によって実施される。
【0047】
ステップS1102は図面番号リスト作成ステップである。このステップにおいては、図面種別が展開接続図であるファイルについて、各ページに記載される図面番号を取得してそのリストを作成する。
【0048】
ステップS1103は盤番号リスト作成ステップである。このステップにおいては、図面種別が実装図であるファイルについて、各ページに記載された盤番号を取得してそのリストを作成する。
【0049】
ステップS1104は文字列指示対象種別判定ステップである。このステップにおいては、登録されたドキュメントファイル内に記載された文字列が指示する対象の種別を判定する。
【0050】
<実施の形態1:図面番号リスト作成ステップ・盤番号リスト作成ステップ>
ステップS1102(図面番号リスト作成ステップ)~S1103(盤番号リスト作成ステップ)について説明する。
【0051】
S1102において指示対象種別判定部107は、ドキュメント入出力IF102を用いて、記憶部11内のドキュメントデータ103のうちファイルの種別が展開接続図であるドキュメントファイルを取得する。
【0052】
展開接続図は
図4Aに示すように、図面ページの右下のタイトル欄に図面番号が記載される。図面ページの右下の座標に表示される文字列のうち、アルファベットと数字のみによって構成され文字数が4文字程度の文字列を抽出することにより、当該図面ページの図面番号を取得できる。このような方法以外にも、右下のタイトル欄の表構造に着目して、図面番号が記載される領域をより詳細に設定して図面番号を取得してもよい。
【0053】
図12Aは、図面番号リストの例である。登録したファイルのうちの展開接続図のすべてのページに対して上記処理を実行し、
図12Aに示すように、ファイルとページに対応した図面番号のリストを作成する。
【0054】
図12Bは、盤番号リストの例である。ステップS1103においても図面番号リストと同様に、
図4Cに示す実装図のタイトル欄から、文字の記載される座標、文字種別、文字数などにより盤番号を抽出する。これにより、
図12Bのような、ファイルとページに対応した盤番号のリストを作成する。
【0055】
S1102~S1103においては、展開接続図や実装図の図面ファイルから番号を抽出する方法のほかに、あらかじめ
図12A、
図12Bのような情報がまとめられている一覧表やデータを読み取ることによって、リストを作成してもよい。
【0056】
<実施の形態1:文字列指示対象種別判定ステップ>
ステップS1104(文字列指示対象種別判定ステップ)について説明する。S1104において、指示対象種別判定部107はドキュメント入出力IF102を用いて、記憶部11内のドキュメントデータ103に登録されたすべてのドキュメントファイルを1つずつ取得する。
【0057】
指示対象種別判定部107は、ルール入出力IF105を通して、指示対象種別ルールデータ113を読み出し、指示対象種別ルールに対応して判定方法を変更することができる。以下の説明においては、
図9Bの指示対象種別ルールが登録されていることを前提として、S1104の詳細を説明する。
【0058】
図13は、S1104の詳細を説明するフローチャートである。本フローチャートは
図9Bのルールにしたがって文字列指示対象種別を判定する手順を説明している。したがってルールが変われば本フローチャートも変わることを付言しておく。
【0059】
ステップS1302はファイル選択ステップであり、ドキュメントデータのうち1つのファイルを選択する。
【0060】
ステップS1303はページ選択ステップであり、選択されたファイルに含まれるページを1つ選択する。例えばファイルの1ページ目から番号順に選択する。
【0061】
ステップS1304は文字列選択ステップであり、選択されたページに含まれる文字列のうち1つを選択する。本実施形態においては、選択した文字列のうち連続した数字とアルファベットのみを取り出す処理を本ステップ内に含む。また、文字列が省略された表現を含む場合は、省略されていない表現に読み替える処理を本ステップ内に含む。
【0062】
ステップS1305は図面番号リストとの比較ステップである。S1304において選択された文字列と、図面番号リスト内に含まれる図面番号とを比較する。比較の結果、図面番号と文字列が完全に一致する場合は、ステップS1306に進む。比較の結果が部分一致である場合、対象の文字列の文字数から一致した図面番号の文字数を引いた差の文字数によりさらに判定する。差の文字数が2文字の場合はステップS1307に進み、差の文字数が3文字の場合はステップS1308に進む。比較の結果、選択された文字列にいずれの図面番号も含まれない場合にはステップS1309に進む。本ステップにおける分岐先ステップ、判定閾値の文字数、およびこれらに基づく判定結果は、指示対象種別判定ルールに依拠する。
【0063】
ステップS1306は、選択された文字列を図面番号と判定するステップである。選択した文字列と対応可能なデータとして、文字列の指示対象の種別が図面番号であることを示すデータを
図1の記憶部11に記録する。このデータはドキュメントデータ103に追記される形でもよいし、ドキュメントデータ103と対応付けられる形式の別データとして保存されてもよい。次にステップS1314に進む。
【0064】
ステップS1307は、選択された文字列を内部配線番号と判定するステップである。ステップS1306と同様に、文字列の指示対象の種別が内部配線番号であることを示すデータを記憶し、次のステップS1314に進む。
【0065】
ステップS1308は、選択された文字列を機器番号と判定するステップである。ステップS1306と同様に、文字列の指示対象の種別が機器番号であることを示すデータを記憶し、次のステップS1314に進む。
【0066】
ステップS1309は盤番号リストとの比較ステップである。S1304において選択された文字列と、盤番号リストに含まれる盤番号とを比較する。比較の結果、盤番号と文字列が完全に一致する場合は、ステップS1310に進む。比較の結果が部分一致である場合はステップS1311に進む。比較の結果、選択された文字列にいずれの盤番号も含まれない場合にはステップS1312に進む。判定結果は、指示対象種別判定ルールに依拠する。
【0067】
ステップS1310は、選択された文字列を盤番号と判定するステップである。ステップS1306と同様に、文字列の指示対象の種別が盤番号であることを示すデータを記憶し、次のステップS1314に進む。
【0068】
ステップS1311は、選択された文字列を外部配線番号と判定するステップである。ステップS1306と同様に、文字列の指示対象の種別が外部配線番号であることを示すデータを記憶し、次のステップS1314に進む。
【0069】
ステップS1312は特殊文字の包含確認ステップである。選択された文字列に含まれるキーワード(
図10において例示)によって文字列の指示対象種別を判定する。キーワードは文字列の指示対象種別ごとに特定のワードが登録される。登録されたキーワードが選択された文字列に含まれる場合は、ステップS1313に進む。いずれのキーワードも含まれない場合はステップS1314に進む。
【0070】
ステップS1313では、文字列に含まれたキーワードに対応する指示対象種別を取得し、その指示対象種別をステップS1306~ステップS1311と同様の手順で文字列の指示対象種別を示すデータを記憶する。次にステップS1314に進む。
【0071】
ステップS1314では、現在選択中のページにまだ選択されていない残りの文字列があるか判定し、残りの文字列が有る場合はステップS1304に戻り残りの文字列のうち1つを選択して処理を継続する。残りの文字列が無い場合はステップS1315に進む。
【0072】
ステップS1315では、現在選択中のファイル内にまだ選択されていない残りのページがあるか判定する。残りのページが有る場合はステップS1303に戻り残りのページのうち1つを選択して処理を継続する。残りのページが無い場合はステップS1316に進む。
【0073】
ステップS1316では、登録されたファイルのうち、まだ選択されていない残りのファイルがあるかを判定する。残りのファイルが有る場合はステップS1302に戻り残りのファイルのうち1つを選択して処理を継続する。残りのファイルが無い場合はフローチャートを終了する。
【0074】
ステップS1306、ステップS1307、ステップS1308、ステップS1310、ステップS1311、ステップS1313においては、文字列の指示対象の種別の記憶に加えて、ステップS1304で文字列に加えられた変更を反映した文字列を併せて記憶してもよい。S1304において文字列に対して加えられる変更としては、連続した数字とアルファベットの取り出し、省略表現の読み替えなどが挙げられる。ステップS1305、ステップS1309、ステップS1312の順序は、指示対象種別ルールにより変更可能である。
【0075】
以上のように、S1104(文字列指示対象種別判定ステップ)においては、登録したすべてのファイルに含まれる文字列について、条件に合う文字列を選択して、文字列が指し示す対象の種別の情報を、文字列に対応するデータとして保存する。
【0076】
<実施の形態1:図面種別判定処理部の概要>
図種別判定部108は、ドキュメントデータ103のうちのドキュメントファイルの図の種別を判定する。判定結果は本実施形態においては、
図4A~
図4Dに示す展開接続図、配線表、実装図、端子台接続図のいずれかである。判定方法としては例えば、
図4A~
図4Dに示すように、各図面の右下のタイトル欄に含まれる各図種別を示す文字列を検出することによって判定するか、あるいは、
図5に示すように各ファイルが格納されるフォルダ構造またはPDFファイルの名称から判定する。
【0077】
<実施の形態1:リンク設定処理部の概要>
ステップS205(リンク付与ステップ)について説明する。S205においてリンク設定処理部111は、ドキュメントデータ103内に他のファイルへのリンク情報を付与する。リンクルール認識処理部110はルール入出力IF105を通してリンクルールデータ106を読み出し、リンク設定処理部111に対して送信する。リンク設定処理部111は、受信したリンクルールデータと、指示対象種別判定部107が判定した文字列の指示対象種別情報と、図種別判定部108が判定した図の種別情報と、後述する文字比較処理部109が文字列を比較した結果とにより、ドキュメントデータ103に対してリンク情報を付与する。
【0078】
図14は、S205の詳細を説明するフローチャートである。
図14を用いてS205の処理を説明する。
【0079】
ステップS1402はリンクルール読み出しステップである。このステップにおいてリンクルール認識処理部110は、リンクルールデータ106を読み出す。リンク設定処理部111はそのリンクルールデータ106を取得する。
【0080】
ステップS1403はリンク元ファイル選択ステップである。リンク設定処理部111は、ステップS1402で読み出されたリンクルールに従ってリンク元となるファイルを選択する。リンクルールが
図8Aに示す内容である場合、リンク元図面種別は展開接続図である。したがってステップS1403においては、図種別判定部108がドキュメントデータの種別を判定した結果に基づき、展開接続図のうち1つのファイルを選択する。
【0081】
ステップS1404はページ選択ステップである。リンク設定処理部111は、S1403において選択されたファイルに含まれるページを1つ選択する。例えばファイルの1ページ目から番号順に選択する。
【0082】
ステップS1405は文字列選択ステップである。リンク設定処理部111は、S1404において選択されたページに含まれる文字列のうち1つを選択する。本実施形態においては、選択した文字列のうち、連続した数字とアルファベットのみを取り出す処理を本ステップに含む。また、文字列に省略された表現が含まれる場合は、これを省略されていない表現に読み替える処理を本ステップに含む。
【0083】
ステップS1406は文字列の指示対象種別読み出しステップである。このステップにおいて、指示対象種別判定部107は、ドキュメントデータ103からステップS1405で選択された文字列に対応した文字列の指示対象種別を読み出す。読み出される文字列の指示対象種別は、S204において生成された情報である。
【0084】
ステップS1407はリンクルール対象文字列判定ステップである。リンク設定処理部111は、S1406で読み出された文字列の指示対象種別と、リンクルールとを比較して、対象の文字列指示対象種別であるか否かを判定する。
図8Aのリンクルールに従えば、文字列が指す対象の種別が内部配線番号、外部配線番号、機器番号、盤番号のいずれかである場合は、リンクルールを付与する対象の文字列であると判定される。この場合はステップS1408に進む。リンクルールを付与する対象の文字列でない場合はステップS1417に進む。
【0085】
ステップS1408はリンク先ファイル選択ステップである。リンク設定処理部111は、ステップS1402で読み出されたリンクルールに従ってリンク先となるファイルを選択する。例えば、リンクルールが
図8Aに示す内容であり、リンク元図面種別が展開接続図であり、かつ文字列の指示対象種別が内部配線番号である場合、リンク先図面種別は配線表または端子台接続図となる。ステップS1408においては、図種別判定部108がドキュメントデータの種別を判定した結果にしたがって、配線表または端子台接続図のうち1つのファイルを選択する。
【0086】
ステップS1409はページ選択ステップである。リンク設定処理部111は、S1408において選択されたリンク先ファイル内に含まれるページを1つ選択する。例えばファイルの1ページ目から番号順に選択する。
【0087】
ステップS1410は文字列選択ステップである。リンク設定処理部111は、S1409において選択されたページ内に含まれる文字列のうち1つを選択する。本実施形態においては、選択した文字列のうち、連続した数字とアルファベットのみを取り出す処理を本ステップに含む。また、文字列に省略された表現が含まれる場合は、これを省略されていない表現に読み替える処理を本ステップに含む。
【0088】
ステップS1411は文字列の指示対象種別読み出しステップである。このステップにおいてリンク設定処理部111は、リンク先ファイル内の選択された文字列について、ステップS1406と同様に文字列の指示対象種別を読み出す。
【0089】
ステップS1412は文字列比較ステップである。このステップにおいて文字比較処理部109は、ステップS1405で選択されたリンク元ファイルの文字列およびS1406で取得された文字列の指示対象種別を、ステップS1410で選択されたリンク先ファイルの文字列およびS1411で取得された文字列の指示対象種別とそれぞれ比較する。比較結果が両方一致する場合にはステップS1413に進む。両方一致しない場合にはステップS1414に進む。
【0090】
ステップS1413はリンク生成ステップである。このステップにおいてリンク設定処理部111は、ステップS1405で選択された文字列に対して、ステップS1408で選択されたリンク先ファイルのパスおよびステップS1409で選択されたページの情報を含むリンク情報を付与する。リンク情報はドキュメントデータ103に対して書き込まれる。
【0091】
ステップS1414においてリンク設定処理部111は、ステップS1409で選択したページ内にまだ選択されていない残りの文字列があるか判定する。残りの文字列がある場合はステップS1410に戻り、残りの文字列のうち1つを選択して処理を継続する。残りの文字列が無い場合はステップS1415に進む。
【0092】
ステップS1415においてリンク設定処理部111は、ステップS1408で選択したファイル内にまだ選択されていない残りのページがあるか判定する。残りのページがある場合はステップS1409に戻り、残りのページのうち1つを選択して処理を継続する。残りのページが無い場合はステップS1416に進む。
【0093】
ステップS1416においてリンク設定処理部111は、リンク先の条件に合致するファイルのうち、まだ選択されていない残りのファイルがあるかを判定する。残りのファイルがある場合はステップS1408に戻り、残りのファイルのうち1つを選択して処理を継続する。残りのファイルが無い場合はステップS1417に進む。
【0094】
ステップS1417においてリンク設定処理部111は、ステップS1404で選択したページ内にまだ選択されていない残りの文字列があるか判定する。残りの文字列がある場合はステップS1405に戻り、残りの文字列のうち1つを選択して処理を継続する。残りの文字列が無い場合はステップS1418に進む。
【0095】
ステップS1418においてリンク設定処理部111は、ステップS1403で選択したファイル内にまだ選択されていない残りのページがあるか判定する。残りのページがある場合はステップS1404に戻り、残りのページのうち1つを選択して処理を継続する。残りのページが無い場合はステップS1419に進む。
【0096】
ステップS1419においてリンク設定処理部111は、リンク元の条件に合致するファイルのうち、まだ選択されていない残りのファイルがあるかを判定する。残りのファイルがある場合はステップS1404に戻り、残りのファイルのうち1つを選択して処理を継続する。残りのファイルが無い場合は本フローチャートを終了する。
【0097】
以上のような処理により、
図1のドキュメントデータ103に対して、リンクルールに沿ったリンク情報が付与される。
【0098】
<実施の形態1:作業端末の構成>
S206について説明する。ステップS206においては、リンク情報の付与されたドキュメントデータ103を作業端末30に対して書き出す。ファイル管理システム10と作業端末30は、書き出しの際にはUSBやEthernetなどの有線またはBluetoothやWi-Fiなどの無線で相互接続し、通信可能な状態とする。
【0099】
ステップS206において書き出し処理部112は、ドキュメント入出力IFを通してドキュメントデータ103を読み出し、作業端末30が扱うことが可能なPDFデータ形式に変換して、作業端末30に対して送信する。
【0100】
図15A~
図15Cは、S206における作業端末30上の表示例である。
図15Aはリンク元となる展開接続図のファイルを作業端末30に表示した例である。点破線で示すマーカにより、リンク情報が付与された文字列が強調表示される。作業者がリンク付与された文字列を指または電子ペンでタッチすることにより、リンク動作が実施される。
図15Aの文字列“PD032B”をタッチすると、
図15Bの表示に遷移する。
図15Bは文字列“PD032B”に付与されたリンク先の情報を一覧にして表示している。
図8Aが例示するリンクルールに従い、配線表と端子台接続図にリンクが設定されており、優先順位の順序で表示される。表示されたリンク先をさらにタッチするとリンク先のファイルを表示する。
図15Bのリンク先表示“配線表1.pdf”をタッチすると、
図15Cの表示に遷移する。
図15Cにおいては配線表1.pdfの2ページが表示され、リンク元となったキーワード”PD032B“が強調して表示される。
【0101】
リンク付与されたドキュメントデータの表示方法について、
図15Bの画面を省略して操作可能な構成としてもよい。すなわち、
図15Aにおいて、文字列“PD032B”をタッチした際に有効なリンク情報のうち、リンクルール
図8Aで指定されたリンク先の優先順位のなかで最も高いものが自動的に選択される構成とする。この場合は画面遷移の回数を減少することができる。
【0102】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る作業支援システムは、作業者が作業端末30を用いて複数の図面データを横断的に参照しながら作業を行う際に、ある図面データに記載された注目するべき文字列に対してリンクを設定する。これにより、他の図面データから探す手間を省略することができる。また、作業の内容に応じたリンクルールにより、リンク元とリンク先の図面ファイルを指定したり優先順位を設けたりすることにより、作業に合わせてさらに効率のよい表示を行うことが可能となる。
【0103】
<実施の形態2:複数のリンクルールを切り替える構成>
図16は、本発明の実施形態2におけるリンクルールの例である。本実施形態2においては、
図16のような
図8とは異なるリンクルールを、
図1のリンクルールデータ106に対して
図8のリンクルールと同時に登録することができる。
【0104】
本実施形態においてリンク設定処理部111は、複数のリンクルールに対してリンク情報を付与し、ドキュメントデータ103に対して記録する。したがって異なるリンクルールに基づき、異なるリンク情報が存在する。本実施形態2においてはこれらのリンク情報のうちどちらを使用するかをリンク付与の後に選択することができる。
【0105】
書き出し処理部112が作業端末30に対してファイルを書き出す際に、ユーザが管理端末20ないし作業端末30からリンクルールのうちいずれか1つを選択し、選択した内容に応じたリンク情報が付与されたファイルデータがドキュメントデータ103から作業端末30に対して書き出される。これにより作業端末30は、複数のリンクルールのうちいずれか1つのみが反映されたドキュメントデータを受け取ることになる。
【0106】
あるいはこれに代えて、ファイルの書き出しの際には複数のリンク情報を持つ状態でドキュメントファイルを作業端末30に対して書き出してもよい。作業者は作業端末30を携行して作業する際に、作業端末30上の操作により複数のリンク情報のうちから1つを選択する。作業端末30上に保存されるドキュメントファイルの形態は、異なるリンク情報を持った複数のファイルとして保存されてもよいし、複数のリンク情報が同一のドキュメントファイルに紐づくデータとして保存されてもよい。異なるリンク情報を持つ複数のファイルとして保存される場合、作業端末30上でリンク情報を選択することにより、作業端末30上で表示されるファイルを選択することになる。同一のファイルに複数のリンク情報が保存される場合、ドキュメントファイルにリンク情報の有効無効を切り替えるスクリプト追加しておき、作業者がいずれかのリンクルールを選択するとそのスクリプトがその他のリンク情報を無効化する。
【0107】
リンクルールは、作業者または作業項目によって自動切換してもよい。例えば作業者が作業を開始する際に作業端末30または管理端末20に対して作業者IDまたは作業項目を入力する。管理端末20は、その作業者IDまたは作業項目において用いられるリンクルールのみをドキュメントデータに対してするように、ファイル管理システム10に対して指示する。ファイル管理システム10はその指示にしたがってリンクを設定したドキュメントデータを作業端末30に対して書き出す。あるいはその作業者IDまたは作業項目において用いられるリンクルールのみを作業端末30上で残してその他のリンクルールを無効化する。
【0108】
以上説明した構成により、リンクルールが複数ある場合においても、作業者や作業項目にしたがって、適切なリンクを付与することができる。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0109】
<実施の形態3:複数台の作業端末による連携動作>
図17は、本発明の実施形態3に係る作業支援システムの構成図である。本実施形態における作業支援システムは、ファイル管理システム10と管理端末20と作業端末31と作業端末32により構成される。作業端末の数は2台以上であればよい。本実施形態においては2台以上の作業端末30を連携して用いる。
【0110】
本実施形態におけるファイル管理システム10は、端末設定部114以外の構成は実施形態1と同様である。端末設定部114は、複数の作業端末に対してIDを設定する。端末設定部114は例えばソフトウェアによって構成され、演算処理部12により実施される。端末設定部114は他のソフトウェアと同様に記憶部11に記録され、動作する際に図示しないメモリにロードされて、演算処理部12により実行される。
【0111】
ユーザは管理端末20から、使用する作業端末31と作業端末32を端末設定部114経由で設定する。作業端末31と作業端末32は、有線または無線によりファイル管理システム10と接続されており、それぞれの作業端末に固有の名称やIDなどを端末設定部114経由で管理端末20から参照可能であり、ユーザは使用する端末を選択することができる。ユーザは、リンク元として使用する端末と、リンク先として使用する端末を設定する。作業端末31をリンク元として使用する端末、作業端末32をリンク先として使用する端末として登録したものとして、以下説明する。
【0112】
管理端末20から、作業端末31と作業端末32を使用する端末として選択すると、書き出し処理部112は2つの端末に対してリンク情報が付与されたドキュメントデータを書き出す。この時、リンク元端末とリンク先端末が設定されている場合は、リンク元端末にはリンク元となるドキュメントデータのみを書き出し、リンク先端末にはリンク先となるドキュメントデータのみを書き出してもよい。リンク元となるドキュメントデータは、
図8Aに示すリンクルールにおいて、“リンク元図面種別”列に記載される種別のドキュメントデータである。同様にリンク先となるドキュメントデータは“リンク先図面種別”列に記載される種別のドキュメントデータである。
【0113】
<実施の形態3:作業端末の構成>
図18A~
図18Bは、本実施形態における作業端末上での表示例を示す。
図18Aは作業開始時点における画面例である。作業者は初めにどちらか一方の端末(この例においては作業端末31)を用いて作業を開始する。作業開始時点において、作業端末32は何も表示しなくてもよいし、あるいは他の画面を表示してもよい。
【0114】
他の図面を参照する必要がある際に、作業者は作業端末31の画面のリンク情報が付与されている文字列をタッチする。すると、作業端末31に
図18Bのように
図15Bと同様のリンク先候補が表示される。作業端末31上で表示されたリンク先をタッチすると、作業端末32は
図18Bのようにリンク先に設定されたファイルとページを表示する。
【0115】
リンク元端末である作業端末31において、リンク情報が付与された文字列がクリックされたとき、リンク先端末である作業端末32に対してリンク先となるファイルおよびページを表示するように指示が発信される。作業端末31と作業端末32は直接BluetoothやWi-Fiで接続されていてもよいし、間にファイル管理システム10を介して接続されていてもよい。
【0116】
作業端末31と作業端末32が、リンク元端末となるかリンク先端末となるかは、作業端末31または作業端末32からの操作により後から変更されてもよい。この場合は、あらかじめ書き出し処理部112から作業端末31および作業端末32に対して同じドキュメントデータを書き込む必要がある。
【0117】
本実施形態3によれば、複数の端末を連携して用いることが可能となり、関連する複数の図面データを同時に閲覧することが可能となる。
【0118】
<本発明の変形例について>
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることが可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0119】
以上の実施形態において、リンク先の優先度を表すデータは、例えば優先度そのものを表す数値などをリンク情報の一部として埋め込むこともできるし、リンク情報が記述しているリンク先ファイルの並び順(
図15Bの例においては『配線表1.pdf』『端子台接続
図1.pdf』の順)によって優先度を表してもよい。その他適当な形式によって優先度を表してもよい。
【符号の説明】
【0120】
10・・・ファイル管理システム
20・・・管理端末
30・・・作業端末
11・・・記憶部
12・・・演算処理部
101・・・読み込み処理部
102・・・ドキュメント入力IF
103・・・ドキュメントデータ
104・・・ルール設定部
105・・・ルール入出力IF
106・・・リンクルールデータ
107・・・指示対象種別判定部
108・・・図種別判定部
109・・・文字比較処理部
110・・・リンクルール認識処理部
111・・・リンク設定処理部
112・・・書き出し処理部
113・・・指示対象種別ルールデータ
114・・・端末設定部
201・・・処理部
202・・・表示部
203・・・操作部