(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172739
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】カテーテル、及び医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20241205BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20241205BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B8/12
A61B1/01 513
A61B1/01 512
A61B1/00 713
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090664
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭史
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161CC07
4C161FF21
4C161FF36
4C161FF40
4C161FF46
4C161MM10
4C161NN01
4C161QQ09
4C161RR01
4C161RR18
4C601DD14
4C601EE11
4C601FE04
(57)【要約】
【課題】生体管腔内での画像の取得とバルーンによる処置を円滑に進めることが可能なカテーテル、及び医療デバイスを提供する。
【解決手段】カテーテル100は、生体管腔B内の画像を取得するための撮像部113と、撮像部が先端部に取り付けられた長尺体110と、シース部120と、を備え、シース部は、撮像部及び長尺体を内部に収容する内側シース130と、内側シースの一部を覆い、かつ先端部に拡張及び収縮可能なバルーン部143を有する外側シース140と、を有し、長尺体の軸方向における撮像部の位置を固定した状態で、シース部を軸方向に移動可能にするシース部移動機構150を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内の画像を取得するための撮像部と、
前記撮像部が先端部に取り付けられた長尺体と、
シース部と、を備え、
前記シース部は、
前記撮像部及び前記長尺体を内部に収容する内側シースと、
前記内側シースの一部を覆い、かつ先端部に拡張及び収縮可能なバルーン部を有する外側シースと、を有し、
前記長尺体の軸方向における前記撮像部の位置を固定した状態で、前記軸方向に前記シース部を移動可能にするシース部移動機構を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記シース部移動機構は、
前記内側シースの基端部及び前記外側シースの基端部に接続される第1コネクタと、
前記第1コネクタから基端側に延在する外管と、
前記外管に収容され、当該外管の内部を前記外管に対して前記軸方向に相対的に移動可能な中管と、を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1コネクタは、前記バルーン部に流体を供給可能にする第1ポートを有し、
前記外側シースは、前記バルーン部の内部と前記第1ポートとの間を連通する流体供給用のルーメンを有する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記長尺体の基端部に接続されるハブ部と、
前記ハブ部から先端側に延在し、前記中管の内部を前記軸方向に移動可能な内管と、を有する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記外管の基端部に接続される第2コネクタと、
前記中管の基端部に接続される第3コネクタと、を備え、
前記第2コネクタの基端部と前記第3コネクタの先端部が接続可能である、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記内側シースは、前記内側シースの先端部の外面に配置されるとともにガイドワイヤが挿通可能なガイドワイヤルーメンを備えるガイドワイヤ挿通部材を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記シース部の先端よりも先端側へ突出するように配置された可撓性を備えるワイヤ部と、
前記ワイヤ部を前記シース部に固定する固定部と、を有し、
前記固定部は、前記ワイヤ部の基端部が接続された接続部と、前記シース部内に配置され、前記撮像部の少なくとも一部を収容可能な空間部と、を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の前記カテーテルと、
前記カテーテルの前記長尺体の回転動作を駆動するための駆動力を発生させる駆動装置と、を有する、医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、及び医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体内の疾患部位等の診断を行うための診断画像を取得するために使用する医療装置として、血管内超音波診断法(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)を利用したIVUSカテーテル、光干渉断層診断法(OCT:Optical Coherence Tomography)を利用したOCTカテーテル、光周波数領域画像化法(OFDI:Optical Frequency Domain Imaging)を利用したOFDIカテーテル等の開発が進められている。
【0003】
医療現場では、上記のような診断画像取得用カテーテルを使用した手技において、取得した生体管腔の画像(例えば、血管の断層画像)に基づいて手技の進め方や治療方針を決定することがある。また、医師等の術者は、取得した画像上において処置対象部位(例えば、血管の狭窄部)を特定した場合、診断画像取得用カテーテルとバルーンカテーテルを併用し、処置対象部位に対する治療や処置を進めることがある。
【0004】
診断画像取得用カテーテルとバルーンカテーテルは、互いにデバイスとして独立した構成を有する。そのため、上記のような手技の流れの中で、画像を取得する作業とバルーンによって狭窄部を拡張させる作業を同時に行うことはできず、それぞれの作業は別々に行わざるを得ない。また、状況によっては、血管内で両者の位置を入れ替える作業を行うこともある。そのため、診断画像取得用カテーテルとバルーンカテーテルを併用して手技を行う場合、医師等の術者には非常に煩雑な作業が強いられることになる。
【0005】
上記のような課題の解決を図るにあたり、特許文献1では、バルーンアセンブリ(バルーンデバイス)が一体的に搭載された診断画像取得用カテーテルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のバルーン一体型の診断画像取得用カテーテルによれば、一つのカテーテルによって画像の取得と処置対象部位の拡張を実現し得る。そのため、従来のような診断画像取得用カテーテルと、それとは別体に構成されたバルーンカテーテルを併用した手技を行う場合と比較して、手技を円滑に進めることが可能になる。
【0008】
また、特許文献1のバルーン一体型の診断画像取得用カテーテルでは、イメージング装置(トランスデューサーが配置されたシース部)とバルーンアセンブリの相対的な位置関係を調整し得るように、両者が互いに対して移動可能に構成されている。このような構成を採用している観点からも、特許文献1のバルーン一体型の診断画像取得用カテーテルは、従来の診断画像取得用カテーテルと比較して、高い利便性を備えるものであるとも言える。
【0009】
しかしながら、特許文献1のバルーン一体型の診断画像取得用カテーテルでは、次のような点が課題となる。
【0010】
一般的な診断画像取得用カテーテルは、その使用に際し、手元側に配置されるハブ部が画像の取得に必要とされる所定の動作を駆動する駆動装置(MDU(Mоtоr Drive Unit))やコンソール等と機械的・電気的に接続される。このような点は、特許文献1のバルーン一体型の診断画像取得用カテーテルについても同様である。そのため、特許文献1のバルーン一体型の診断画像取得用カテーテルを使用した手技において、イメージング装置とバルーンアセンブリを互いに対して相対的に移動させる際には、カテーテルのみを独立させて移動させることができず、術者等が手元側でカテーテルとともに駆動装置を一緒に移動させる必要がある。術者等は、上記のような煩雑な作業を強いられることになるため、円滑に手技を進めることが困難になる。
【0011】
本発明は、上記課題に基づいてなされたものであり、生体管腔内での画像の取得とバルーン部による処置を円滑に進めることが可能なカテーテル、及び医療デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記(1)~(8)のいずれか1つに記載の手段によって達成され得る。
【0013】
(1)生体管腔内の画像を取得するための撮像部と、前記撮像部が先端部に取り付けられた長尺体と、シース部と、を備え、前記シース部は、前記撮像部及び前記長尺体を内部に収容する内側シースと、前記内側シースの一部を覆い、かつ先端部に拡張及び収縮可能なバルーン部を有する外側シースと、を有し、前記長尺体の軸方向における前記撮像部の位置を固定した状態で、前記軸方向に前記シース部を移動可能にするシース部移動機構を備える、カテーテル。
【0014】
(2)前記シース部移動機構は、前記内側シースの基端部及び前記外側シースの基端部に接続される第1コネクタと、前記第1コネクタから基端側に延在する外管と、前記外管に収容され、当該外管の内部を前記外管に対して前記軸方向に相対的に移動可能な中管と、を有する、上記(1)に記載のカテーテル。
【0015】
(3)前記第1コネクタは、前記バルーン部に流体を供給可能にする第1ポートを有し、前記外側シースは、前記バルーン部の内部と前記第1ポートとの間を連通する流体供給用のルーメンを有する、上記(2)に記載のカテーテル。
【0016】
(4)前記長尺体の基端部に接続されるハブ部と、前記ハブ部から先端側に延在し、前記中管の内部を軸方向に移動可能な内管と、を有する、上記(2)又は(3)に記載のカテーテル。
【0017】
(5)前記外管の基端部に接続される第2コネクタと、前記中管の基端部に接続される第3コネクタと、を備え、前記第2コネクタの基端部と前記第3コネクタの先端部が接続可能である、上記(2)~(4)のいずれか1つに記載のカテーテル。
【0018】
(6)前記内側シースは、前記内側シースの先端部の外面に配置されるとともにガイドワイヤが挿通可能なガイドワイヤルーメンを備えるガイドワイヤ挿通部材を有する、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のカテーテル。
【0019】
(7)前記シース部の先端よりも先端側へ突出するように配置された可撓性を備えるワイヤ部と、前記ワイヤ部を前記シース部に固定する固定部と、を有し、前記固定部は、前記ワイヤ部の基端部が接続された接続部と、前記シース部内に配置され、前記撮像部の少なくとも一部を収容可能な空間部と、を有する、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のカテーテル。
【0020】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の前記カテーテルと、前記カテーテルの前記長尺体の回転動作を駆動するための駆動力を発生させる駆動装置と、を有する医療デバイス。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るカテーテル、及び医療デバイスは、次のような作用効果を奏し得る。
【0022】
生体管腔内の画像を取得するための撮像部を先端部に備える長尺体は、内側シースの内部に収容された状態において、軸方向に移動することができる。また、バルーン部を有する外側シース及び内側シースを備えるシース部は、長尺体の位置を固定した状態で、シース部移動機構によって長尺体とは独立して軸方向に移動することができる。そのため、本発明に係るカテーテルを使用した手技において、術者等は、シース部を軸方向に移動させる際に、シース部の移動に同伴させて長尺体を軸方向に移動させる必要がない。それにより、術者等は、シース部を軸方向に移動させる際に、カテーテルと接続された駆動装置等をシース部とともに軸方向に移動させる手間を省くことができる。したがって、術者等は、本発明に係るカテーテルを使用することにより、生体管腔内での画像の取得とバルーン部による処置を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係るカテーテル及び医療デバイスを簡略化して示す図である。
【
図3】実施形態に係るカテーテルの先端部付近を示す拡大断面図である。
【
図4】実施形態に係るカテーテルの基端部付近を示す拡大断面図である。
【
図5】実施形態に係る外側シースの先端部付近を示す拡大断面図である。
【
図6】
図5に示す矢印6A-6Aに沿う軸直交断面図である。
【
図7】実施形態に係る長尺体を軸方向に沿って後退させる際の様子を示す断面図である。
【
図8】実施形態に係るシース部を軸方向に沿って前進させる際の様子を示す断面図である。
【
図9】実施形態に係るカテーテルの使用例を模式的に示す断面図である。
【
図10】実施形態に係るカテーテルの使用例を模式的に示す断面図である。
【
図11】変形例1に係るカテーテルの部分断面図である。
【
図12】変形例2に係るカテーテルを示す図である。
【
図13】変形例2に係るカテーテルの先端部付近を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
図1~
図6は、本発明の実施形態に係るカテーテル100の各部の構成の説明に供する図である。
図7、
図8は、カテーテル100の操作例を説明するための図である。
図9、
図10は、カテーテル100の使用例を模式的に示す断面図である。
【0026】
本明細書では、カテーテル100においてハブ部300が配置される側を「基端側」と称する。また、カテーテル100において基端側とは反対側に位置し、生体内に導入される側を「先端側」と称する。また、カテーテル100のシース部120が延在する方向を軸方向と称する。また、「先端部」とは、先端(最先端)から基端側に向かう一定の範囲を含む部分を意味し、「基端部」とは、基端(最基端)から先端側に向かう一定の範囲を含む部分を意味する。
【0027】
本実施形態において、カテーテル100は、光干渉断層診断法(OCT:Optical Coherence Tomography)を利用したOCTカテーテルとして構成している。ただし、カテーテル100は、生体管腔B(
図9、
図10を参照)内での画像の取得を目的とするカテーテルであれば具体的な種類について特に制限はなく、例えば、血管内超音波診断法(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)を利用したIVUSカテーテル、光周波数領域画像化法(OFDI:Optical Frequency Domain Imaging)を利用したOFDIカテーテル、血管内超音波診断法(IVUS)及び光干渉断層診断法(OCT)の両方の機能を備えるデュアルタイプの画像診断用カテーテル等として構成することもできる。
【0028】
本実施形態では、カテーテル100の適用対象となる生体管腔B(
図9、
図10を参照)として血管を例示する。ただし、カテーテル100の適用対象となる生体管腔Bは血管のみに限定されることはなく、例えば、胆管、気管、食道、その他消化管、尿道、耳鼻内腔等の生体器官であってもよい。
【0029】
(医療デバイス10)
図1に示すように、カテーテル100と、カテーテル100が備える長尺体110の回転動作を駆動するための駆動力を発生させる駆動装置400は、生体管腔B内での画像の取得を可能にする医療デバイス10を構成している。
【0030】
駆動装置400は、長尺体110を回転させるための動力源であるモータ401と、長尺体110を軸方向に移動させるための動力源であるスライド機構410と、を有する。
【0031】
スライド機構410は、回転運動を駆動するモータ411を備える。モータ411が生じさせた回転運動は、スライド機構410が備える直動変換機構によって軸方向の運動に変換され、長尺体110の軸方向の移動(プルバック移動-フォワード移動)を駆動する。直動変換機構としては、例えば、ボールねじや、ラックアンドピニオン機構等を用いることができる。
【0032】
スライド機構410の先端側には、カテーテル100の第3コネクタ230が備える被接続部(ユニットコネクタ部)235と接続される接続部420が設けられている。後述するように長尺体110を軸方向に沿って移動させる際には、被接続部235を接続部420と接続し、かつハブ部300を駆動装置400に接続した状態において、ハブ部300、内管260、長尺体110が一体的に移動する。
【0033】
駆動装置400の動作は、駆動装置400と電気的に接続された制御部520によって制御することができる。制御部520は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主たる構成として含む。制御部520は、カテーテル100によって取得された画像(診断用の断層画像)を表示可能な画像表示装置(モニタ)510と電気的に接続される。
【0034】
(カテーテル100)
カテーテル100は、
図1~
図4を参照して概説すると、生体管腔Bの画像を取得するための撮像部113と、撮像部113が先端部に取り付けられた長尺体110と、シース部120と、を備える。
【0035】
(シース部120)
シース部120は、
図2、
図3に示すように、撮像部113及び長尺体110を内部に収容する内側シース130と、内側シース130の一部を覆い、かつ先端部に拡張及び収縮可能なバルーン部143を有する外側シース140と、長尺体110の軸方向における撮像部113の位置を固定した状態で、シース部120を軸方向に移動可能にするシース部移動機構150と、を備える。
【0036】
(内側シース130)
図3、
図4に示すように、内側シース130は、内側シース130の内部に延在するルーメン131を有する。
【0037】
図3に示すように、ルーメン131の先端部には、内側シース130の先端部の剛性を補強する先端部材135が配置されている。先端部材135には、内側シース130のルーメン131内にプライミング液が供給された際に、一部のプライミング液とともにルーメン131内に存在する空気等の気体を外部へ放出するプライミング用の孔部135aが形成されている。
【0038】
内側シース130の軸方向において撮像部113が移動する範囲内に位置する先端部付近は、光や超音波等の検査波の透過性が他の部位に比べて高く形成された窓部として構成することができる。
【0039】
図3に示すように、内側シース130は、内側シース130の先端部の外面に配置されたガイドワイヤ挿通部材160を備える。
【0040】
ガイドワイヤ挿通部材160は、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤルーメン161を有する。ガイドワイヤ挿通部材160の先端部は、内側シース130の先端よりも軸方向の先端側の位置まで突出するように配置されている。ガイドワイヤ挿通部材160の先端部付近には造影部163を配置することができる。造影部163は、例えば、造影性を備える公知の金属材料等で構成することができる。
【0041】
図4に示すように、内側シース130の基端部は、第1コネクタ210と接続されている。
【0042】
内側シース130のルーメン131内の基端側の一定の範囲には、ガイドシャフト138が配置されている。ガイドシャフト138の内側には長尺体110が挿通している。ガイドシャフト138は、内管260及び長尺体110が軸方向に沿って一体的に移動する際、その移動をガイドする機能を持つ。
図4に示すように、ガイドシャフト138の基端部は、ハブ部300の空間部302の先端部付近に配置している。
【0043】
内側シース130の基端部は、例えば、接着剤139等で第1コネクタ210に固定することができる。接着剤139は、内側シース130の基端部付近に形成された注入孔213内に充填することができる。
【0044】
図4に示すように、内側シース130のルーメン131は、ハブ部300に設けられた第2ポート301と連通している。
【0045】
本実施形態では、内側シース130とハブ部300の間に延在するガイドシャフト138を介して、内側シース130のルーメン131と第2ポート301が連通している。
【0046】
ガイドシャフト138の先端開口部(図示省略)は、第1コネクタ210よりも先端側の位置で内側シース130のルーメン131内に配置されている。そのため、第2ポート301を介してハブ部300の空間部302内にプライミング液が供給されると、プライミング液は、ハブ部300の空間部302及びガイドシャフト138の内部を通って内側シース130のルーメン131内に流入する。
【0047】
(外側シース140)
外側シース140は、
図4、
図5に示すように、バルーン部143の内部143aと第1ポート211との間を連通する流体供給用のルーメン145を有する。外側シース140のルーメン145は、外側シース140の軸方向に沿って延在している。
【0048】
図1、
図5に示すように、外側シース140の先端部にはバルーン部143が配置されている。
【0049】
バルーン部143の内部(内腔)143aは、所定の孔部145aを介して外側シース140のルーメン145と連通している。
【0050】
外側シース140の先端部は、例えば、
図5に示すように先端側に向けて外径が漸減するテーパー形状で形成することができる。
【0051】
図1、
図5に示すように、外側シース140においてバルーン部143が配置された位置よりも基端側の位置には、ガイドワイヤWを挿通可能なガイドワイヤルーメン171を備える基端側ガイドワイヤ挿通部材170を配置することができる。
【0052】
基端側ガイドワイヤ挿通部材170の先端は、例えば、
図5に示すように、先端側に向けて外側シース140の外面に近付く方向に傾斜した断面形状を有するように構成することができる。
【0053】
カテーテル100を使用した手技では、
図9、
図10に示すように、内側シース130の先端部に配置されたガイドワイヤ挿通部材160と外側シース140に配置された基端側ガイドワイヤ挿通部材170の各ガイドワイヤルーメン161、171内にガイドワイヤを挿通した状態で、カテーテル100を生体管腔B内の所定の位置まで送達することができる。また、狭窄部等の処置対象部位Dをバルーン部143によって処置する際には、各ガイドワイヤ挿通部材160、170間にガイドワイヤWを配置した状態でバルーン部143を拡張させることにより、処置対象部位Dに対してガイドワイヤWを押し付けることができる。そのため、処置対象部位Dが石灰化の進行した狭窄部等である場合においても、バルーン部143によって処置対象部位Dを効率的に拡張させることができる。
【0054】
図4に示すように、外側シース140の基端部は、第1コネクタ210に接続されている。外側シース140のルーメン145は、第1コネクタ210に設けられた第1ポート211と連通するように配置されている。第1ポート211を介して供給された拡張用の流体は、外側シース140のルーメン145及び孔部145aを介してバルーン部143の内部143aに注入することができる。バルーン部143の拡張に用いる流体として、例えば、造影剤を用いることが好ましい。造影剤を用いることにより、バルーン部143の拡張の際、バルーン部143の拡張の状態を造影画像装置上の画像で確認することが可能になる。
【0055】
図6には、
図5の矢印6A-6A線に沿う軸直交断面図を示している。
【0056】
図6に示すように、バルーン部143が配置された外側シース140は、ルーメン131内に長尺体110が配置された内側シース130を部分的に覆うように配置される。外側シース140のルーメン145は、内側シース130の外面側に区画される。そのため、シース部120は、外側シース140のルーメン145内に注入されたバルーン部143を拡張させるための流体が内側シース130のルーメン131内に流入することを防止できる。同様に、シース部120は、内側シース130のルーメン131内に供給されたプライミング液が外側シース140のルーメン145内に流入することを防止できる。そのため、バルーン部143を拡張させるための流体とプライミングのための流体として異なる流体を使用することが可能になる。
【0057】
バルーン部143を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を使用することができる。
【0058】
シース部120(内側シース130、外側シース140)を構成する材料としては、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等を使用することができる。各シース部130、140に配置される各ガイドワイヤ挿通部材160、170や後述する外管240、中管250、内管260等についても、例えば上記に例示した材料と同様の材料で構成することができる。
【0059】
(長尺体110)
長尺体110は、可撓性を有する管体で構成することができる。長尺体110の内部には、撮像部113に接続される電気信号ケーブル及び光ファイバを配置することができる。なお、長尺体110は、診断画像用カテーテルの分野において、一般的に駆動シャフトとも称される。
【0060】
長尺体110をなす管体は、例えば、軸まわりの巻き方向が異なる多層コイルによって構成することができる。コイルの構成材料としては、例えば、ステンレス、Ni-Ti(ニッケル・チタン)合金などを使用することができる。
【0061】
撮像部113は、画像を取得するための所定波長の光を送受信する光送受信部と、光送受信部を収容するハウジングと、を有するように構成することができる。
【0062】
撮像部113が備える光送受信部は、伝送された光を連続的に生体管腔B内に送信するとともに、生体管腔B内の生体組織において反射した光を連続的に受信する。また、撮像部113は、長尺体110の内部に配置された光ファイバの先端に設けられ、光を集光するレンズ機能と反射する反射機能とを備える光学素子を有するように構成することができる。なお、長尺体110及び撮像部113の具体的な構成については、公知のOCTカテーテルと同様の構成を適宜採用することが可能である。
【0063】
図4に示すように、長尺体110は、シース部120及びシース部120の基端側に配置された各コネクタ210、220、230、並びに各管240、250、260を挿通して、ハブ部300の空間部302まで延在している。
【0064】
図4に示すように、カテーテル100は、長尺体110の基端部に接続されるハブ部300と、ハブ部300から先端側に延在し、中管250の内部を軸方向に移動可能な内管260と、を有する。
【0065】
ハブ部300、内管260、及び長尺体110は、それぞれが一体的に軸方向に移動するように互いに接続されている。
【0066】
図4に示すように、ハブ部300の空間部302には、軸受部材117が配置されている。軸受部材117には、長尺体110の基端部付近に接続された保護シャフト116が固定されている。保護シャフト116の基端部には、駆動装置400に接続される電極端子及び光コネクタを収容するコネクタ部118が配置されている。
【0067】
長尺体110とハブ部300は、長尺体110に接続された保護シャフト116とハブ部300に取り付けられた軸受部材117を介して接続されている。なお、軸受部材117は、第2ポート301を介してハブ部300の空間部302内に供給されたプライミング液がコネクタ部118側に移動することを防止するシール部材としての機能も備える。
【0068】
図4に示すように、ハブ部300の先端部には内管260が接続されている。そのため、長尺体110、内管260、及びハブ部300は互いに接続されており、駆動装置400によってハブ部300の移動が駆動されると、長尺体110、内管260、及びハブ部300が軸方向に沿って一体的に移動する。
【0069】
(シース部移動機構150)
シース部移動機構150は、
図2、
図4に示すように、内側シース130及び外側シース140の基端部に接続される第1コネクタ210と、第1コネクタ210から基端側に延在する外管240と、外管240に収容され、当該外管240の内部を外管240に対して軸方向に相対的に移動可能な中管250と、を有する。
【0070】
カテーテル100は、
図2、
図4に示すように、外管240の基端部に接続される第2コネクタ220と、中管250の基端部に接続される第3コネクタ230と、を有する。
【0071】
図4に示すように、外管240の先端部は第1コネクタ210の基端部に接続されている。また、外管240の基端部は第2コネクタ220の先端部221に接続されている。
【0072】
外管240及び第2コネクタ220は、外管240の内部に内管260が配置された状態において、内管260に対して相対的に軸方向に移動可能に構成される。
【0073】
図4に示すように、中管250の先端部は第1コネクタ210やその他の部材とは接続されていない。また、中管250の基端部は第3コネクタ230の先端部231に接続されている。
【0074】
第1コネクタ210は、
図1、
図4に示すように、バルーン部143に流体を供給可能にする第1ポート211を有する。
【0075】
第1コネクタ210の基端部付近には、ハブ部300の第2ポート301を介してガイドシャフト138内に供給されたプライミング液が外部へ漏洩することを防止するシール部材215が配置されている。シール部材215は、例えば、公知の樹脂製のXリングで構成することができる。
【0076】
ガイドシャフト138は、ハブ部300の先端部付近から各コネクタ220、230の内部及びシール部材215を挿通して、内側シース130のルーメン131内まで延在している。
【0077】
図4に示すように、第2コネクタ220の基端部223と第3コネクタ230の先端部231は接続可能に構成されている。
【0078】
第2コネクタ220と第3コネクタ230を接続するための機構としては、例えば、第2コネクタ220の基端部223を第3コネクタ230の先端部231の内側に挿入することで嵌合される機械式の接続機構を採用することができる。
【0079】
第3コネクタ230の基端部233付近には、スライド機構410の接続部420と接続される被接続部(ユニットコネクタ部)235が設けられている。
【0080】
ハブ部300及び各コネクタ210、220、230は、例えば、硬質樹脂や金属材料等によって構成することができる。
【0081】
<操作手順例>
次に、長尺体110を軸方向に沿って移動させる際の操作手順、及びシース部120を軸方向に沿って移動させる際の操作手順を説明する。
【0082】
図7(A)には、長尺体110を軸方向に沿って後退させる操作(プルバック操作)を行う際の前後の様子を示している。
図7(B)には、上記の操作を行う際のハブ部300側での操作例を示している。
【0083】
長尺体110を後退させる際には、
図7(B)に示すように、ハブ部300を軸方向の基端側へ移動させる。ハブ部300が基端側へ移動すると、ハブ部300と接続された内管260がガイドシャフト138によってガイドされながら各コネクタ220、230の内部から引き出されるようにして基端側へ移動する。内管260が基端側へ移動すると、ハブ部300を介して内管260に接続された長尺体110が基端側へ移動する。なお、内管260及びガイドシャフト138には、内管260を基端側へ移動させた際に、ガイドシャフト138が内管260から完全に抜けて出て内管260とガイドシャフト138が分離してしまうことを防止するための抜け防止機構を適宜設けることができる。
【0084】
上記のように長尺体110が軸方向に沿って移動する際、長尺体110は、内側シース130のルーメン131内に挿入された状態を維持する。また、長尺体110が軸方向に沿って移動する際、長尺体110がシース部120の他の部材と干渉したり、シース部120の他の部材が同伴して移動することはない。そのため、カテーテル100では、長尺体110をシース部120から独立させて移動させることができる。なお、長尺体110を軸方向に沿って先端側へ前進させる操作を行う際も上記と同様にハブ部300を先端側へ向けて移動させることにより、長尺体110をシース部120から独立させて移動させることができる。
【0085】
図8(A)には、シース部120を軸方向に沿って前進させる操作(フォワード操作)を行う際の様子を示している。
図8(B)には、上記の操作を行った際の各コネクタ220、230側での操作例を示している。
【0086】
シース部120を軸方向に沿って前進させる際には、第2コネクタ220と第3コネクタ230の接続を解除する。カテーテル100は、第2コネクタ220と第3コネクタ230の接続を解除することにより、シース部120を移動させることが可能になる。カテーテル100は、第2コネクタ220と第3コネクタ230が接続された状態においては、シース部120が不用意に移動することを好適に防止できる。
【0087】
第2コネクタ220と第3コネクタ230の接続を解除した状態で、
図8(B)に示すように、第2コネクタ220を軸方向に沿って前進させると、第2コネクタ220に接続された外管240が中管250によってガイドされながら先端側へ移動する。また、外管240が先端側へ向けて移動すると、外管240に接続された第1コネクタ210(
図4を参照)が先端側へ向けて移動する。さらに、第1コネクタ210が先端側へ移動すると、第1コネクタ210と接続されたシース部120(内側シース130、外側シース140)が先端側へ向けて移動する。シース部120が先端側へ移動する際、長尺体110は、内側シース130のルーメン131内に挿入された状態を維持する。また、シース部120が先端側へ移動する際、シース部120の各部は、長尺体110と干渉せずに、独立して移動する。そのため、シース部移動機構150を備えるカテーテル100では、
図8(A)に示すように、内側シース130のルーメン131内に配置された長尺体110の位置を固定した状態で、長尺体110から独立させてシース部120のみを軸方向に沿って前進させることができる。なお、外管240及びガイドシャフト138には、外管240を先端側へ移動させた際に、外管240がガイドシャフト138から完全に抜けて出て外管240とガイドシャフト138が分離してしまうことを防止するための抜け防止機構を適宜設けることができる。
【0088】
上記の操作と同様にして第2コネクタ220を基端側へ向けて移動させることにより、内側シース130のルーメン131内に配置された長尺体110の位置を固定した状態で、シース部120を独立させて基端側へ移動させることができる。
【0089】
<使用例>
図9、
図10を参照して、カテーテル100の使用例を説明する。
【0090】
図9に示すように、術者等は、ガイドワイヤWを使用して、カテーテル100の先端部付近(撮像部113が配置された位置)を処置対象部位Dに配置する。術者等は、カテーテル100を生体管腔B内で移動させる際、ガイドワイヤ挿通部材160及び基端側ガイドワイヤ挿通部材170を利用することにより、カテーテル100の先端部付近を所望の位置まで円滑に送達することができる。
【0091】
術者等は、
図9に示すように、長尺体110をプルバック操作しつつ、画像を取得する作業を行う。画像の取得に際し、カテーテル100のハブ部300の基端側に配置されたコネクタ部118を駆動装置400に接続する。撮像部113は、駆動装置400によって動作が駆動されて所定の画像信号を取得すると、その画像信号を制御部520へ送信する。制御部520は、受信した画像信号に対して所定の処理を施して、画像表示部510に画像を表示させる。
【0092】
術者等は、画像表示部510に表示された画像に基づいて処置対象部位Dを確認した後、バルーン部143による処置が必要であると判断した場合、
図10に示すようにシース部120を軸方向に前進させて、外側シース140に配置されたバルーン部143を処置対象部位Dに配置する。この際、術者等は、内側シース130のルーメン131内において長尺体110の位置を固定した状態で、バルーン部143を処置対象部位Dに配置することができる。術者等は、処置対象部位Dにバルーン部143を配置した状態で、バルーン部143を拡張させる。術者等は、バルーン部143による処置を行っている間も長尺体110の撮像部113を処置対象部位Dに配置した状態を維持することができる。そのため、術者等は、バルーン部143による処置前及び処置後の間に亘って、処置対象部位Dの状態を確認することができる。したがって、術者等は、効率的かつ効果的な手技を実現することができる。
【0093】
また、一般的なOCTカテーテルでは、撮像部113による画像の取得を行う際、血液中に含まれる成分によって良好な画像を生成することができないこともあるため、処置対象部位D付近の血液を周辺へ移動させるためのフラッシュ操作を行う。本実施形態に係るカテーテル100では、バルーン部143によって処置対象部位Dの内側の血流を一時的に遮断することができる。そのため、バルーン部143による処置を実施している間、上記のようなフラッシュ操作を行う必要がない。したがって、術者は、より一層効率的に手技を進行することが可能になる。
【0094】
以上のように、本実施形態に係るカテーテル100は、生体管腔B内の画像を取得するための撮像部113と、撮像部113が先端部に取り付けられた長尺体110と、シース部120と、を備え、シース部120は、撮像部113及び長尺体110を内部に収容する内側シース130と、内側シース130の一部を覆い、かつ先端部に拡張及び収縮可能なバルーン部143を有する外側シース140と、を有し、長尺体110の軸方向における撮像部113の位置を固定した状態で、シース部120を軸方向に移動可能にするシース部移動機構150を備える。
【0095】
また、本実施形態に係る医療デバイス10は、上記のように構成されたカテーテル100と、カテーテル100の長尺体110の回転動作を駆動するための駆動力を発生させる駆動装置400と、を有するように構成されている。
【0096】
本実施形態において、生体管腔B内の画像を取得するための撮像部113を先端部に備える長尺体110は、内側シース130の内部に収容された状態において、軸方向に移動することができる。また、バルーン部143を有する外側シース140と内側シース130を備えるシース部120は、長尺体110の位置を固定した状態で、シース部移動機構150によって長尺体110とは独立して軸方向に移動することができる。そのため、カテーテル100を使用した手技において、術者等は、シース部120を軸方向に移動させる際に、シース部120の移動に同伴させて長尺体110を軸方向に移動させる必要がない。それにより、術者等は、シース部120を軸方向に移動させる際に、カテーテル100と接続された駆動装置400等をシース部120とともに軸方向に移動させる手間を省くことができる。したがって、術者等は、カテーテル100及び医療デバイス10を使用することにより、生体管腔B内での画像の取得とバルーン部143による処置を円滑に進めることが可能になる。
【0097】
次に、上述した実施形態の各変形例を説明する。各変形例の説明では既に説明した構成や部材については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、各変形例の説明において特に言及しない内容については、上述した実施形態と同一のものとすることができる。
【0098】
<変形例1>
図11には、変形例1に係るカテーテル100Aの軸方向に沿う部分断面図を示す。
図11は、外側シース140の先端部付近の断面図であり、前述した実施形態で示した
図5に対応する断面図である。
【0099】
図11に示すように、外側シース140に配置される基端側ガイドワイヤ挿通部材170は、例えば、外側シース140のルーメン145内を挿通するように配置してもよい。
【0100】
基端側ガイドワイヤ挿通部材170は、ガイドワイヤWが挿通可能なガイドワイヤルーメン171を備える管状部材で構成することができる。基端側ガイドワイヤ挿通部材170は、先端部172が外側シース140の先端に固定され、基端部173がバルーン部143よりも基端側の位置で外側シース140の管壁に固定されている。
【0101】
本変形例で示すように基端側ガイドワイヤ挿通部材170を配置した場合においても、前述した実施形態と同様に、ガイドワイヤWを利用することで生体管腔B内でのカテーテル100Aの移動を円滑に行うことができる。
【0102】
<変形例2>
図12には、変形例2に係るカテーテル100Bを示す。また、
図13には、内側シース130の軸方向に沿う部分断面図を示す。
図13は、内側シース130の先端部付近の断面図であり、前述した実施形態で示した
図3に対応する断面図である。
【0103】
図12、
図13に示すように、変形例2にカテーテル100Bは、可撓性を備えるワイヤ部190がシース部120の先端部に接続された構成を備える。カテーテル100Bは、生体管腔B内でカテーテル100Bを移動させる操作を行う際、ガイドワイヤWを使用せずに、移動等の操作がなされるように構成されている。そのため、カテーテル100Bには、前述した実施形態で示したガイドワイヤ挿通部材160及び基端側ガイドワイヤ挿通部材170が配置されていない。
【0104】
図13に示すように、カテーテル100Bは、シース部120の先端よりも先端側へ突出するように配置された可撓性を備えるワイヤ部190と、ワイヤ部190をシース部120に固定する固定部195と、を有する。本実施形態では、シース部120の先端部をなす内側シース130の先端部付近にワイヤ部190及び固定部195が配置されている。
【0105】
固定部195は、ワイヤ部190の基端部193が接続された接続部195aと、シース部120の内部(内側シース130のルーメン131)に配置され、撮像部113の少なくとも一部を収容可能な空間部195cと、を有する。
【0106】
図13に示すように、ワイヤ部190は、基端部193が固定部195に固定された状態において、先端部191がシース部120の先端よりも先端側まで突出するように配置されている。
【0107】
固定部195の接続部195aは、ワイヤ部190の基端部193が挿入可能な孔部で構成されている。ワイヤ部190の基端部193は、接続部195aに挿入された状態で接着剤196等によって固定することができる。
【0108】
固定部195の空間部195cは軸方向に沿う所定の長さを有するように構成されている。固定部195の基端部195bには固定部195内外への撮像部113の移動を可能にする開口部195dが形成されている。
【0109】
固定部195及び内側シース130の先端部の所定位置には、プライミング用の孔部197を設けることができる。
【0110】
図13には、長尺体110を軸方向に沿って前進させて、撮像部113を内側シース130の最も先端側の位置に配置した状態を示している。この状態において、撮像部113は、固定部195の空間部195c内に収容される。固定部195の空間部195c内に撮像部113を収容させることにより、カテーテル100Bを生体管腔B内で移動等させる際に、撮像部113に破損等が生じることを防止できる。
【0111】
固定部195は、上記の機能を良好に発揮し得るようにするために、例えば、シース部120(内側シース130)の構成材料よりも硬質な樹脂材料や金属材料で構成することが好ましい。
【0112】
シース部120の先端部に配置されたワイヤ部190は、カテーテル100Bを生体管腔B内で移動させる際に、カテーテル100の先端部が生体管腔Bの内壁(例えば、血管壁)等に接触した際に柔軟に変形することで、生体管腔Bの内壁が損傷等することを防止する。
【0113】
ワイヤ部190としては、例えば、ステンレスやNi-Ti(ニッケル・チタン)合金などの比較的弾性の高い金属材料で構成されたもので使用することができる。なお、ワイヤ部190の具体的な構成(素線の巻き方向、素線の断面形状や断面積、ワイヤ部190の外径等)について特に制限はない。また、ワイヤ部190には、造影マーカー部等を設けることもできる。
【0114】
以上、実施形態及び変形例を通じて本発明に係るカテーテル及び医療デバイスを説明したが、本発明は実施形態および変形例において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0115】
10 医療デバイス
100 カテーテル
100A カテーテル
100B カテーテル
110 長尺体
113 撮像部
118 コネクタ部
120 シース部
130 内側シース
131 内側シースのルーメン
135 先端部材
140 外側シース
143 バルーン部
143a バルーン部の内部
145 外側シースのルーメン
150 シース部移動機構
160 ガイドワイヤ挿通部材
161 ガイドワイヤルーメン
170 基端側ガイドワイヤ挿通部材
171 ガイドワイヤルーメン
190 ワイヤ部
191 ワイヤ部の先端部
193 ワイヤ部の基端部
195 固定部
195a 接続部
195c 空間部
210 第1コネクタ
211 第1ポート
220 第2コネクタ
221 第2コネクタの先端部
223 第2コネクタの基端部
230 第3コネクタ
231 第3コネクタの先端部
233 第3コネクタの基端部
240 外管
250 中管
260 内管
300 ハブ部
301 第2ポート
302 ハブ部の空間部
400 駆動装置
401 モータ
510 画像表示部
520 制御部
W ガイドワイヤ
B 生体管腔
D 処置対象部位