(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172769
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】管理サーバ、システム、管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20241205BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241205BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/0645
B41J29/38 204
G06F3/12 329
G06F3/12 373
G06F3/12 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090726
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩越 守孝
【テーマコード(参考)】
2C061
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HK15
2C061HK19
2C061HK20
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ01
5L030BB68
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】製品の提供をするサービスの管理を適切に行うこと。
【解決手段】
予め定められた料金を所定の期間ごとに支払うことで対象の画像形成装置および前記対象の画像形成装置の消耗品の少なくとも一方を、ユーザに提供するサービスを管理する管理サーバは、前記料金の見積もり対象の製品の使用状態に関する情報を受信する受信手段と、前記見積もり対象の製品の価値を、前記受信手段が受信した情報に基づき算出する算出手段と、前記見積もり対象の製品を新たに前記サービスの対象にして使用する場合の前記料金に関する情報を、前記算出手段によって算出された価値に基づき決定する決定手段と、を有し、前記料金の見積もり対象の製品は、前記サービスの対象ではない購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた料金を所定の期間ごとに支払うことで対象の画像形成装置および前記対象の画像形成装置の消耗品の少なくとも一方を、ユーザに提供するサービスを管理する管理サーバであって、
前記料金の見積もり対象の製品の使用状態に関する情報を受信する受信手段と、
前記見積もり対象の製品の価値を、前記受信手段が受信した情報に基づき算出する算出手段と、
前記見積もり対象の製品を新たに前記サービスの対象にして使用する場合の前記料金に関する情報を、前記算出手段によって算出された価値に基づき決定する決定手段と、を有し、
前記料金の見積もり対象の製品は、前記サービスの対象ではない購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方である
ことを特徴とする管理サーバ。
【請求項2】
前記購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方を新たに前記サービスの対象にする契約がされた場合、新たに前記サービスの対象となった前記購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方については、前記サービスの提供元に買い取られて前記ユーザに提供されたものとして前記サービスが提供される
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項3】
前記算出手段は、
前記購入済みの画像形成装置の定価、前記ユーザが前記購入済みの画像形成装置を購入した際の価格、前記購入済みの画像形成装置の前記ユーザの地域における平均販売価格のいずれか1つから、前記購入済みの画像形成装置の使用状態から算出した減算額を減算することにより、前記見積もり対象の製品である前記購入済みの画像形成装置の価値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記算出手段は、
前記購入済みの画像形成装置の使用開始からの日数、前記購入済みの画像形成装置の総印刷枚数、前記購入済みの画像形成装置の廃インク使用率、および前記購入済みの画像形成装置のハードウェアエラー発生回数の少なくとも1つに基づき前記減算額を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の管理サーバ。
【請求項5】
前記算出手段は、
前記消耗品の定価、前記ユーザが前記消耗品を購入した際の価格、前記ユーザの地域における前記消耗品の平均販売価格のいずれか1つから、前記消耗品の使用状態から算出した減算額を減算することにより、前記見積もり対象の製品である前記消耗品の価値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項6】
前記見積もり対象の製品である前記消耗品には、前記購入済みの画像形成装置において使用されている購入済みの消耗品および未使用の購入済みの消耗品の少なくとも一方が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項7】
前記決定手段は、
前記ユーザが前記料金を支払わないで前記サービスを利用できる期間を、前記料金に関する情報として決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記決定手段は、
前記算出手段によって算出された価値の合計に、前記料金を割ることで得られた値に基づき、前記料金を支払わないで前記サービスを利用できる期間を決定する
ことを特徴とする請求項7に記載の管理サーバ。
【請求項9】
前記決定手段によって決定された前記料金に関する情報を前記ユーザに提示するための処理をする処理手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項10】
前記サービスは、前記画像形成装置および前記消耗品が前記ユーザに提供されるサービスである
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項11】
前記算出手段は、前記購入済みの画像形成装置の価値を前記購入済みの画像形成装置の使用状態に基づき算出し、前記消耗品がある場合は前記消耗品の価値を前記消耗品の使用状態に基づき算出し、
前記決定手段は、前記購入済みの画像形成装置の価値および前記消耗品の価値に少なくとも基づき、前記料金に関する情報を決定する
ことを特徴とする請求項10に記載の管理サーバ。
【請求項12】
前記見積もり対象の製品を識別する情報に基づき、前記見積もり対象の製品が前記サービスの対象とすることができる製品かを判定する判定手段をさらに有し、
前記判定手段によって前記見積もり対象の製品が前記サービスの対象とすることができる製品と判定した場合、前記算出手段は前記価値を算出して、前記決定手段は、前記料金に関する情報を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の管理サーバと、
前記購入済みの画像形成装置と、
を有するシステム。
【請求項14】
前記購入済みの画像形成装置は、前記購入済みの画像形成装置の使用状態を送信する送信手段を有する
ことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
予め定められた料金を所定の期間ごとに支払うことで対象の画像形成装置および前記対象の画像形成装置の消耗品の少なくとも一方を、ユーザに提供するサービスを管理する管理方法であって、
前記料金の見積もり対象の製品の使用状態に関する情報を受信する受信ステップと、
前記見積もり対象の製品の価値を、前記受信ステップで受信した情報に基づき算出する算出ステップと、
前記見積もり対象の製品を新たに前記サービスの対象にして使用する場合の前記料金に関する情報を、前記算出ステップによって算出された価値に基づき決定する決定ステップと、を有し、
前記料金の見積もり対象の製品は、前記サービスの対象ではない購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方である
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項16】
コンピュータに、請求項1から12のいずれか1項に記載の管理サーバの各手段を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが毎月定額の料金を支払うことで、画像形成装置および画像形成装置の印刷に用いられる消耗品がユーザに提供される定額性サービスが知られている。定額制サービスの提供業者は、定額制サービスの対象となる画像形成装置の登録、消耗品の登録などを管理サーバに対して行う。その後、管理サーバと画像形成装置が逐次通信を行うことで、消耗品の自動配送などのサービスがユーザに対して提供される。
【0003】
特許文献1には、画像形成装置の消耗品を自動で配送する際の配送管理を、サーバで実行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが既に購入した画像形成装置および消耗品等の製品を新たに定額制サービスの対象とすることが考えられる。ユーザが購入した製品が定額制サービスの対象として登録されると、定額制サービスの料金がユーザに請求される。通常の定額制サービスの料金は、定額制サービスの提供業者が製品をユーザに提供することが前提に算出されているため、ユーザが購入した製品を定額制サービスの対象とする場合は、通常の料金がユーザに請求されるのは適切でない。しかしながら、特許文献1のシステムには、ユーザが購入した製品を新たに定額制サービスの対象とする場合の処理が含まれていなかったため、通常の料金がユーザに請求されてしまう虞がある。この場合、ユーザは重複した支払いをすることになってしまう。このように、製品の提供をする定額制サービスの管理を適切に行うことができないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の管理サーバは、予め定められた料金を所定の期間ごとに支払うことで対象の画像形成装置および前記対象の画像形成装置の消耗品の少なくとも一方を、ユーザに提供するサービスを管理する管理サーバであって、前記料金の見積もり対象の製品の使用状態に関する情報を受信する受信手段と、前記見積もり対象の製品の価値を、前記受信手段が受信した情報に基づき算出する算出手段と、前記見積もり対象の製品を新たに前記サービスの対象にして使用する場合の前記料金に関する情報を、前記算出手段によって算出された価値に基づき決定する決定手段と、を有し、前記料金の見積もり対象の製品は、前記サービスの対象ではない購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方であることを特徴とする管理サーバ。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、製品の提供をするサービスの管理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】画像形成システムに含まれる各装置の処理を説明するためのシーケンス図。
【
図4】定額制サービスのプランの説明を表示する説明画面の一例を示す図。
【
図5】未使用の消耗品の数量を入力するための入力画面の一例を示す図。
【
図6】定額制サービスの見積もり結果を表示するための画面の一例を示す図。
【
図7】定額制サービス適合判定依頼判定の詳細を示すフローチャート。
【
図8】定額制サービス適合判定の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】定額制サービスの見積もり処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】項目に応じた減額率を保持しているテーブルの一例を表した図。
【
図11】インク残量に応じた減額率を保持しているテーブルの一例を表した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の技術の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態に記載されている構成要素は、本開示の技術の一例を示すものであり、本開示の技術の範囲をそれらのみに限定するものではない。また、以下の実施形態で対応する構成要素及び処理には、同一の符号を付し、各実施形態で対応する構成要素及び処理についての重複説明は省略する。
【0010】
<実施形態1>
[定額制サービスについて]
定額制サービスとは、ユーザが所定の期間ごと(例えば月ごと)に定額の料金を支払うことで定額制サービスを提供する業者(サービス提供元)が装置等を貸与によりユーザに提供するサービスである。本実施形態では、プリンタのような画像形成装置に係る定額制サービスについて説明を行う。定額性サービスは、複数の種類(プラン)の定額制サービスがある。本実施形態では、定額制サービスの種類には、本体込定額制サービスと、消耗品定額制サービスと、が含まれるものとして説明する。
【0011】
本体込定額制サービスは、画像形成装置本体及び印刷に用いられる消耗品がサービス提供元からユーザに提供される定額制サービスである。消耗品定額制サービスは、印刷に用いられる消耗品がサービス提供元からユーザに提供される定額制サービスである。定額制サービスによって提供される消耗品は、カートリッジであるものとして説明する。ほかにも、定額性サービスの種類には、画像形成装置本体のみがサービス提供元からユーザに貸与により提供される定額制サービスが含まれていてもよい。
【0012】
ユーザは、定額制サービスを利用することにより画像形成装置を導入すると、画像形成装置の消耗品が自動で配送されたり、トラブル時の迅速な対応を受けられるなどのサービスが提供されたり、トータルコストの低さなどのメリットを享受できる。定額制サービスにおいて印刷可能な枚数が定められている場合は、ユーザは、当該サービスを、印刷可能な枚数の範囲内で利用できる。
【0013】
本体込定額制サービスの場合、定額制サービスの利用契約締結後、サービス提供元が仕入れた画像形成装置及び消耗品がユーザに提供されることで定額制サービスの利用が開始される。消耗品定額制サービスの場合、予め定額制サービスを利用することを前提に、サービス提供元が指定した画像形成装置をユーザが購入してから定額制サービスの利用が開始される。
【0014】
また、定額制サービスのサービス提供元は、定額制サービスを利用するユーザの満足度を高めるため、画像形成装置の動作環境を保証する役割がある。このためサービス提供元は、定額制サービス専用、または定額制サービスに特化した画像形成装置および消耗品を貸与するという形態で定額制サービスの提供を行っている場合が多い。
【0015】
定額制サービス専用、または定額制サービスに特化した画像形成装置および消耗品は、製品に組み込まれたソフトウェア(ファームウェア)により制御される。ファームウェアにおいて制御を実行するため情報は、サービス提供元の管理サーバに蓄積されていることが多い。
【0016】
ところで、量販店などで売り切り販売形態で画像形成装置および消耗品を購入して、定額制サービスを利用しないで画像形成装置を使用しているユーザが、定額制サービスを利用して当該画像形成装置を継続して使用したいと考えているケースが考えられる。即ち、購入済みの画像形成装置および消耗品を定額制サービスの対象として新たに管理サーバに登録するケースが考えられる。定額制サービスを利用して画像形成装置を使用すると、ユーザは、前述した定額制サービスのメリットを追加で享受できる。
【0017】
通常の定額制サービスの料金、例えば月額料金は、定額制サービスの提供元が仕入れた製品をユーザに提供することを前提に算出されている。このため、このケースにおいて、通常の定額制サービスの料金がユーザに請求されると、画像形成装置および消耗品を購入済みのユーザに重複した支払いを要求することになってしまい適切ではない。そこで本実施形態では、購入により導入された画像形成装置が、新たに定額制サービスの対象として定額制サービスを利用して使用される場合であっても、ユーザに適切に定額制サービスの料金の請求を行うことができるシステムについて説明を行う。
【0018】
[システム構成]
図1は、本実施形態の画像形成システム100の構成を示すブロック図である。画像形成システム100は、画像形成装置200、管理サーバ500、およびホスト端末600を有する。
【0019】
画像形成装置200は、記録材を用いた印刷動作を行う画像形成装置本体300と、画像形成装置本体300に装着可能であり記録材として用いられるインクを画像形成装置本体300に充填するカートリッジ400と、を有する。
【0020】
画像形成装置本体300は、CPU310、RAM311、プログラムメモリ320、データメモリ330、通信制御部340、印刷制御部350、印刷部360、接続部370、表示部380、および操作部390を有する。CPU310はシステム制御部であり、画像形成装置200全体を制御する。プログラムメモリ320は、CPU310が実行する制御プログラム、および組み込みオペレーティングシステム(OS)のプログラム等を格納する。RAM311は、CPU310が制御プログラムを実行する際のワークメモリとして使用される記憶部である。
【0021】
データメモリ330には、画像メモリ331、定額制サービス管理記憶部332、契約情報記憶部333が含まれる。データメモリ330には、プログラム制御変数等が記憶されており、印刷制御部350による処理時に利用される各種作業用のバッファ領域が設けられている。画像メモリ331は、図示しない画像処理部によって処理された画像データを蓄積する。
【0022】
定額制サービス管理記憶部332には、定額制サービスに関する管理情報として、管理サーバ500へアクセスするためのURLが記憶されている。さらに、定額制サービス適合判定依頼実行フラグ、直近に実行した定額制サービス適合判定日時、カートリッジ情報、および印刷情報が記憶されている。
【0023】
カートリッジ情報の詳細は、後述するが、例えば、画像形成装置本体300に装着されている色ごとのカートリッジ400のシリアル番号などの識別情報である。他にも、カートリッジ情報には、カートリッジ400の使用期限日の情報が含まれる。カートリッジ400の使用期限日の情報は、カートリッジ400の使用開始日から所定の期間(例えば2年)経過した日の情報でもよい。
【0024】
印刷情報には、画像形成装置200が印刷した枚数を月ごとに累積しているカウンタの情報などが含まれる。即ち、カウンタの情報は、画像形成装置200が稼働を開始してからの総印刷枚数を示す情報が少なくとも含まれる。印刷情報は、コピーまたはプリントといったジョブモード、印刷枚数、印刷結果をまとめたログ(以下、印刷実績ログ)である。印刷情報は、印刷制御部350によって、印刷動作を伴うジョブ単位で生成される。
【0025】
契約情報記憶部333には、画像形成装置本体300が通信制御部340を通じて管理サーバ500から受信した、画像形成装置本体300の定額制サービスの契約状態の情報が記憶される。契約状態には、「定額制サービス未契約状態」、「本体込定額制サービス契約済待機状態」、「消耗品定額制サービス契約済待機状態」、「本体込定額制サービス契約状態」、「消耗品定額制サービス契約状態」がある。「本体込定額制サービス契約済待機状態」および「消耗品定額制サービス契約済待機状態」は、定額制サービスの契約は完了しているが定額制サービスの利用が開始されていない状態を示す。ユーザが、画像形成装置本体300を、定額制サービスを利用せずに売り切り販売形態で購入して導入した場合、契約情報記憶部333には「定額制サービス未契約状態」が記憶されている。
【0026】
通信制御部340は、通信回線420や各種インターフェイスを介して外部とのデータ授受を制御する。
【0027】
印刷制御部350は、画像メモリ331から印刷用のデータを取得し、印刷部360に印刷用のデータに基づく印刷処理を実行させるように制御する。
【0028】
印刷部360は、印刷制御部350による印刷命令を受けて印刷処理を行う。印刷部360が印刷処理を実行すると、印刷制御部350は、データメモリ330内の定額制サービス管理記憶部332に記憶されている印刷情報のうちの、総印刷枚数を示すカウンタの情報を更新する。定額制サービスのサービス提供元から提供されている定額制サービス専用カートリッジを用いているかの判定は印刷部360が行い、印刷制御部350へ伝える。接続部370は、画像形成装置本体300とカートリッジ400とを接続する。
【0029】
表示部380は、ユーザに様々な情報を提示するための構成ユニットであり、例えばLED(発光ダイオード)またはLCD(液晶ディスプレイ)などにより実現される。本実施形態では表示部380はLCDによるディスプレイで実現されているものとする。操作部390は、タッチパネル機能を有するディスプレイ、または各種ハードウェアキーにて実現される。操作部390のディスプレイは各種操作画面を表示する。ユーザは、操作部390を介して画像形成装置本体300に対して指示および情報を入力することができる。
【0030】
CPU310、プログラムメモリ320、データメモリ330、通信制御部340、印刷制御部350、印刷部360、接続部370、表示部380、操作部390は、CPU310が管理するCPUバス312を介して、相互に接続されている。
【0031】
カートリッジ400には、メモリ410が含まれる。メモリ410には、第1のカートリッジ情報、第2のカートリッジ情報、第3のカートリッジ情報が記憶されている。
【0032】
第1のカートリッジ情報は、カートリッジ400を識別するための情報であり、例えば、カートリッジが製造された際に割り当てられたシリアル番号である。また、カートリッジ400の使用期限日の情報が含まれてもよい。
【0033】
第2のカートリッジ情報は、カートリッジに含まれるインクの残量を表す情報である。第2のカートリッジ情報が示すインク残量は、体積の単位を用いて表されてもよいし、所定の値によって分割された残量レベルで表されてもよい。
【0034】
第3のカートリッジ情報は、カートリッジ400が定額制サービス専用カートリッジであるかを判別するための情報である。例えば、第3のカートリッジ情報は、市販で購入されたカートリッジ(以下、通常カートリッジとよぶ)であるのか、定額制サービス専用カートリッジであるのかを判別するためのパラメータである。本体込定額制サービス専用カートリッジと、消耗品定額制サービス専用のカートリッジとは、異なるパラメータによって表されてもよいし、同一のパラメータで表されてもよい。
【0035】
画像形成装置本体300の接続部370は、メモリ410からそれぞれのカートリッジ情報を読み取り、印刷部360による情報取得の要求を受けてカートリッジ400の情報を画像形成装置本体300に提供する。カートリッジ400は、画像形成装置本体300の印刷に用いられる記録材が充填されており、接続部370から取り外して交換可能なものであればよい。カートリッジ400は、インクカートリッジのみに限定されず、例えばトナーカートリッジであってもよい。
【0036】
管理サーバ500は、画像形成装置200及び定額制サービスを管理するサーバである。管理サーバ500は、売り切り販売形態で導入された画像形成装置を、定額制サービスを利用することにより使用される定額制サービスの対象の画像形成装置として登録し、ユーザに定額制サービスを提供する際の料金に関する処理をするサーバである。管理サーバ500は、CPU510、RAM511、プログラムメモリ520、サービス情報記憶部530、および通信制御部540を有する。
【0037】
CPU510は、システム制御部である。CPU510は、管理サーバ500全体を制御する。プログラムメモリ520は、CPU510が実行する制御プログラム、および組み込みオペレーティングシステム(OS)のプログラム等を格納する。通信制御部540は、通信回線560を介して外部とのデータ授受を制御する。
【0038】
サービス情報記憶部530には、定額制サービスの対象とすることができる画像形成装置の識別情報(例えば、製品シリアル番号)の一覧である製品一覧テーブルが記憶されている。さらに、サービス情報記憶部530には、定額制サービスの対象とすることができる画像形成装置ごとに、印刷品質を担保可能なカートリッジの情報、および印刷枚数の閾値が記憶されている。また、定額制サービスを契約したユーザの情報、定額制サービスの対象となった画像形成装置の識別情報(例えばシリアル番号など)、画像形成装置から送信された印刷実績ログより収集した印刷情報が記憶されている。
【0039】
CPU510、プログラムメモリ520、サービス情報記憶部530、通信制御部540は、CPU510が管理するCPUバス550を介して、相互に接続されている。
【0040】
ホスト端末600は、スマートフォン、パソコンといった一般的な通信機器であり、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するプログラムメモリ、操作を行う操作部、情報を閲覧する表示部、画像を取り込むカメラ等を有する。また、ホスト端末600はネットワークを介して通信を行うための通信制御部を有し、ネットワークを介して管理サーバ500および画像形成装置200と通信を行うことが可能である。
【0041】
[シーケンス]
図2は、定額制サービスの対象として契約されていない購入済みの画像形成装置を、定額制サービスの対象とするための契約に至るまでの、各装置の処理を説明するためのシーケンス図である。画像形成装置200は、ユーザによって購入され、既に設置および使用がされているが、定額制サービスの対象として登録されていない画像形成装置であるものとして説明する。
【0042】
図2のシーケンスで示される一連の処理のうち、画像形成装置200が実行する処理は、CPU310がプログラムメモリ320に記憶されているプログラムコードをRAM311に展開し実行することにより行われる。また、管理サーバ500で実行される処理は、CPU510がプログラムメモリ520に記憶されているプログラムコードをRAM511に展開し実行することにより行われる。また、
図2におけるステップの一部または全部の機能を各装置においてASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
図2の各処理の説明における記号「S」は、当該シーケンスにおけるステップであることを意味し、以後のフローチャートにおいても同様とする。
【0043】
S201において画像形成装置200は、管理サーバ500に「定額制サービス適合判定」の依頼をするか否かを判定する。S201の処理は、画像形成装置200が、画像形成装置200において発生する所定の契機を検知した場合に行われる。S201の定額制サービス適合判定を依頼するかを判定する処理の詳細について、
図7を用いて説明を行う。
【0044】
S201が実行されるための所定の契機は、例えば、次の動作が行われた場合である。画像形成装置200の電源ボタンが押下されて起動された場合、画像形成装置200における何れかのカートリッジが交換された場合、印刷枚数が閾値を超えた場合、ファームウェアのアップデートが完了した場合である。印刷枚数は、例えば、300枚である。
【0045】
S201の判定処理は、これらの所定の契機が検知された直後に実行されなくてもよい。例えば、画像形成装置200は、上述した契機を検知してから、おおよそ30分から60分後にS201の判定を実行すればよい。何れかの所定の契機の発生直後においては、画像形成装置200において、CPU310、RAM311、プログラムメモリ320、および通信制御部340などのハードウェア、並びにソフトウェア資源の多くは使用されている状態にある。そのような状態においても、画像形成装置200は、ユーザからの要求を優先的に応えるべく処理を実行する必要がある。このため、ユーザからの要求に応える処理の妨げにならぬように、画像形成装置200は、上述した所定の契機を検知してからタイマを監視して、おおよそ30分から60分後にS201の判定処理を実行すればよい。または、画像形成装置200が、上述した所定の契機を検知してから、画像形成装置200の無操作状態が続くイベントを検知した場合に、S201の判定処理を実行してもよい。
【0046】
S202の処理は、S201において画像形成装置200が定額制サービス適合判定を管理サーバ500に依頼すると判定した場合に実行される処理である。S202において画像形成装置200は、管理サーバ500に対して定額制サービス適合判定を依頼するためのメッセージと画像形成装置200の情報とを送信する。
【0047】
S203は、管理サーバ500が画像形成装置200から定額制サービス適合判定の依頼を示すメッセージを受信した場合に行われる処理である。S203において管理サーバ500は、定額制サービス適合判定の処理を行う。定額制サービス適合判定の詳細については
図8を用いて後述する。
【0048】
管理サーバ500がS203の定額制サービス適合判定において「不適合」と判定した場合、
図2においては不図示の処理として、画像形成装置200に対して不適合を示す応答メッセージを送信する。不適合である旨のメッセージを受信した画像形成装置200は、何も表示することなく処理を終了する。
【0049】
画像形成装置200がネットワークに繋がりインターネットを介して管理サーバ500と通信することで、管理サーバ500は、画像形成装置200の状態、画像形成装置200の印刷枚数などの稼働状況等を蓄積することが可能となっている。よって、管理サーバ500において、画像形成装置200に対する定額制サービス適合判定を適切に行うことができる。
【0050】
S204は、管理サーバ500がS203の定額制サービス適合判定において「適合」と判定した場合の処理である。S204において管理サーバ500は、画像形成装置200に対して適合を示す応答メッセージを返却する。
【0051】
S205は、定額制サービス適合判定の結果が適合であった旨の応答メッセージを画像形成装置200が受信した場合の処理である。S205において画像形成装置200は、表示部380に、設置されている画像形成装置200が定額制サービスを受けることができる画像形成装置である旨をユーザへの通知するための通知画面を表示する。
【0052】
図3は、S205の処理の結果表示される通知画面の一例を示す図である。通知画面304において、ユーザが「今回は閉じる」のボタン302を押下した場合、画像形成装置200は通知画面304を閉じて元の画面に戻る処理を行う。通知画面304において、ユーザが「今後表示しない」のボタン303が押下した場合、プログラムメモリ320内の定額制サービス管理記憶部332に記憶されている定額制サービス適合判定依頼実行フラグが無効状態として記憶される。このため、「今後表示しない」のボタン303が押下された場合、通知画面304が以後表示されることがないように制御される。定額制サービス適合判定依頼実行フラグは、画像形成装置200の設置時は、有効状態として記憶されている。詳細は後述する。
【0053】
図3の通知画面304において、ユーザが「定額制サービスの詳細を見る」のボタン301を押下した場合、画像形成装置200を定額制サービスの対象とした場合の料金の見積もりに関する依頼の処理が実行される。
【0054】
S206において画像形成装置200は、定額制サービスのプラン(種類)の選択、及びプランの説明を表示する説明画面を表示部380に表示する。
【0055】
図4は、定額制サービスのプランの選択及びプランの説明を表示する説明画面の一例を示す図である。ユーザは操作部390を操作して、説明画面404のプルダウン401から定額制サービスのプランを選択する。プルダウン401から選択可能なプランは、本体込定額制サービス、または消耗品定額制サービスの何れかに対応しているものとする。
【0056】
図4の説明画面404の「次へ」のボタン402がユーザによって押下された場合、画像形成装置200はS207へ処理を進める。
図4の説明画面404の「中止する」のボタン403がユーザによって押下された場合、画像形成装置200は
図4の説明画面404を閉じて元の画面に戻る処理を行う。
【0057】
S207において画像形成装置200は、未使用の消耗品の数量を入力するための入力画面を表示部380に表示する。
【0058】
図5は、S207の処理の結果として表示部380に表示される、未使用の消耗品の数量を入力するための入力画面の一例を示す図である。本実施形態では前述したとおり消耗品はカートリッジであるものとして説明するため、未使用のカートリッジの本数を入力するための入力画面503が表示される。
図5の入力画面503の「見積もりを開始する」ボタン501がユーザによって押下された場合、画像形成装置200はS208へ処理を進める。
図5の入力画面503において、「中止する」のボタン502がユーザによって押下された場合、画像形成装置200では入力画面503を閉じて元の画面に戻る処理が行われる。
【0059】
S208において画像形成装置200は、管理サーバ500へ、画像形成装置200が定額制サービスの利用の対象となった場合の料金の見積り算出の依頼をするメッセージを送信する。さらに、画像形成装置200は、S206で表示された説明画面404において選択された定額制サービスのプラン、及びS207で表示された入力画面503において入力された未使用のカートリッジの数量を管理サーバ500へ送信する。
【0060】
S209において管理サーバ500は、画像形成装置200が、説明画面404を介して選択された定額制サービスの対象となった場合の定額制サービスの料金の見積りを算出する。
【0061】
定額制サービスは、本体込定額制サービスであれば、画像形成装置および消耗品がサービス提供元からユーザに提供される契約形態である。また、消耗品定額制サービスであれば、消耗品がサービス提供元からユーザに提供される形態となる。定額制サービスを利用しないで、ユーザが購入した画像形成装置200が新たに本体込定額制サービスの対象として登録される場合、サービス提供元は、ユーザが購入した画像形成装置および消耗品をユーザから買い取る。そして、買い取られた画像形成装置および消耗品が、サービス提供元からユーザに提供されたものとする。
【0062】
消耗品定額制サービスの場合は、サービス提供元は、ユーザが購入した消耗品をユーザから買い取って、買い取った消耗品をユーザに提供したものとすることになる。このため、定額制サービスの料金の見積りを算出においては、ユーザが購入した画像形成装置および消耗品を買い取るための適切な価格を決定することが求められる。
【0063】
説明画面404を介して選択されたプランが本体込定額制サービスのプランであれば、画像形成装置本体300及び消耗品であるカートリッジが、ユーザから買い取られる。このため、S209では、画像形成装置本体300及びカートリッジを買い取るために、画像形成装置本体300及びカートリッジの現在の価値(買い取り価格)が算出される。消耗品定額制サービスであればカートリッジをサービス提供元がユーザから買い取るために、カートリッジの現在の価値(買い取り価格)が算出される。S209の処理の詳細は後述する。買い取られた製品の現在の価値である買い取り価格は、定額制サービスの提供日数に充てるようにして、定額制サービスの利用料金(月額料金)に充当される。
【0064】
S210において管理サーバ500は、S209で決定された定額制サービスの見積もり結果を画像形成装置200へ送信する。管理サーバ500は、今回決定された見積もり結果を特定する識別子を生成している。管理サーバ500は、定額制サービスの見積もり結果をプログラムメモリ520に識別子と対応付けて一定時間記憶させておく。識別子の生成にはSHA-2やMD5といったハッシュ関数が使用される。
【0065】
S210では、定額制サービスの見積もり結果と共に、定額制サービスの契約に必要な情報が画像形成装置200へ送信される。具体的には、定額制サービスの契約を行うことができる管理サーバ500の契約用Webページに接続するための情報、及び管理サーバ500のプログラムメモリ520に記憶されている見積もり結果を特定する識別子が送信される。定額制サービスの契約に必要な情報は、復号することで管理サーバ500の契約用WebページのURLおよび識別子が得られる二次元コードが含まれるものとする。
【0066】
S211において画像形成装置200は、管理サーバ500から受信した定額制サービスの見積もり結果を表示部380に表示してユーザに提示する。
【0067】
図6は、定額制サービスの見積もり結果を表示するための画面の一例を示す図である。
図6に示すように、画像形成装置200等の買い取り価格は、ユーザが支払う定額制サービスの料金に充当されるため、ユーザが課金不要で定額制サービスを利用できる期間が見積もり結果として表示される。
図6の画面603において、「中止する」のボタン602がユーザによって押下された場合、画像形成装置200では
図6の画面603を閉じて元の画面に戻る処理が行われる。ユーザは、見積もり結果に同意する場合、
図6の「契約サイトに移動」ボタン601を押下する。
【0068】
S212は、
図6の「契約サイトに移動」ボタン601がユーザによって押下された場合の処理である。S212において画像形成装置200は、ボタン601が押下されると、定額制サービスの契約用Webサイトに誘導するための二次元コードを表示部380に表示する。S212で表示される二次元コードは、S210で送信された定額制サービス契約に必要な情報に含まれる。
【0069】
S213においてユーザは、ホスト端末600のカメラで、S212の処理の結果表示された二次元コードを撮影する。ホスト端末600は、撮影した二次元コードを復号することで、管理サーバ500の契約用WebページのURL、および見積もり結果を特定する識別子を取得する。
【0070】
S214においてホスト端末600は、ブラウザ等から管理サーバ500の契約用WebページのURLにアクセスする。そしてホスト端末600は、管理サーバ500に、見積もり結果を特定する識別子を通知する。S212では一定期間有効な短縮URLを表示部380に表示し、S213ではユーザがホスト端末600のブラウザ等に短縮URLを入力することで契約用Webページに接続されてもよい。
【0071】
S215において管理サーバ500は、通知された識別子から対象の見積もり結果を特定する。ユーザは、定額制サービスの契約に必要な情報として、例えば、契約者氏名、消耗品配送先住所、料金の支払い方法等を、ホスト端末600のブラウザ等を介して、管理サーバ500へ入力する。
【0072】
S216は、定額制サービスの契約に必要なユーザ情報が揃ったことが確認できた場合の処理であり、S216において管理サーバ500は、定額制サービスの契約完了通知をホスト端末600に対して通知し、定額制サービスの契約締結は完了する。
【0073】
S217において管理サーバ500は、画像形成装置200に対して定額制サービスの契約情報を送信する。
【0074】
S218において画像形成装置200は、管理サーバ500から送信された定額制サービスの契約情報を契約情報記憶部333に書き込む。この結果、契約情報記憶部333に記憶されている画像形成装置200における定額制サービスの契約状態は、「本体込定額制サービス契約済待機状態」または「消耗品定額制サービス契約済待機状態」となる。画像形成装置200は、「本体込定額制サービス契約済待機状態」または「消耗品定額制サービス契約済待機状態」の場合、定額制サービス用カートリッジではない通常カートリッジの使用を許可してもよい。
【0075】
S219において管理サーバ500は、定額制サービス用のカートリッジをサービス提供元からユーザへ配送するための処理を行う。
【0076】
サービス提供元が配送した定額制サービス用のカートリッジが、画像形成装置本体300に取り付けられた場合、画像形成装置200の契約情報記憶部333に記憶されている定額制サービスの契約状態が接続部370により変更される。契約状態が「本体込定額制サービス契約済待機状態」であった場合は「本体込定額制サービス契約状態」に変更される。契約状態が「消耗品定額制サービス契約済待機状態」であった場合は「消耗品定額制サービス契約状態」に変更される。そして、画像形成装置200を対象とした定額制サービスにおける各種サービスの提供が開始される。
【0077】
なお、画像形成装置本体300が定額制サービスを利用しないで、売り切り販売形態で購入された場合は、ネットワーク接続をユーザに促す処理などを行って、購入後の早い段階で、定額制サービスに移行できるようにする処理が行われてもよい。例えば、定額制サービスに移行できる旨の通知を画像形成装置本体300の設置時の最終段階で表示部380にお知らせとして表示してもよい。また、操作説明書類とともに紙媒体にて定額制サービスに移行できる旨をユーザに周知してもよい。
【0078】
[定額制サービス適合判定依頼]
図7は、S201の定額制サービス適合判定依頼判定の詳細を示すフローチャートである。CPU310が前述の画像形成装置200にて発生した定額制サービス適合判定依頼判定をする契機の発生を検知すると、
図7のフローチャートが開始される。
【0079】
図7の一連の処理は、画像形成装置200のCPU310がプログラムメモリ320に記憶されているプログラムコードをRAM311に展開し実行することにより行われる。また、
図7におけるステップの一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0080】
S701において画像形成装置200のCPU310は、管理サーバ500へのネットワーク接続が正常に動作しているかを通信制御部340に問合せ、ネットワーク接続が正常に動作しているかを判定する。S701の判定は、管理サーバ500への接続が確立可能であるかを確認するためと、管理サーバ500から定額制サービス適合判定の結果を受信できるかを確認するための判定である。通信制御部340は、管理サーバ500との接続確認用のAPIを提供しており、ホスト名、またはIPアドレスを用いたPING応答、個別に作成したIP通信によるホスト間通信の疎通確認用のプログラムにより構成される。
【0081】
管理サーバ500と画像形成装置200との間の通信に成功し、CPU310がネットワーク接続は正常に動作していると判定した場合(S701がYES)、S702に処理を進める。通信に失敗し、ネットワーク接続が正常に動作していない判定した場合(S701がNO)、定額制サービス適合判定依頼判定を終了する。
【0082】
S702においてCPU310は、前回実行した定額制サービス適合判定依頼判定から一定期間経過したかを判定する。例えば一定期間は30日とする。CPU310は、前回の定額制サービス適合判定依頼判定の実行日時をデータメモリ330内の定額制サービス管理記憶部332に記憶しておく。CPU310は、前回の定額制サービス適合判定依頼判定の実行日時を示す値をデータメモリ330から取得して、現在時刻を示す値を取得した値から減算することにより、前回実行した定額制サービス適合判定依頼判定からの経過時間相当の値を計算する。CPU310は、この経過時間相当の値が、30日以上を示す値であるかを判定する。S702の判定は、画像形成装置200が頻繁に管理サーバ500との通信を行うことを抑制し、管理サーバ500の負荷軽減とネットワークの通信量を抑えることを目的とする。
【0083】
CPU310は、前回実行した定額制サービス適合判定依頼判定から一定期間経過したと判定した場合(S702がYES)、S703に処理を進める。また、データメモリ330内の定額制サービス管理記憶部332に記憶されている定額制サービス適合判定依頼判定の実行日時を現在日時で更新される。一定期間経過していないと判定した場合(S702がNO)、定額制サービス適合判定依頼判定を終了する。
【0084】
S703においてCPU310は、定額制サービス適合判定依頼実行フラグが有効状態であるかを判定する。データメモリ330内の定額制サービス管理記憶部332に記憶されている定額制サービス適合判定依頼実行フラグは、各種プログラムにより参照される。CPU310は、定額制サービス適合判定依頼実行フラグが有効状態と判定した場合(S703がYES)、S704に処理を進める。定額制サービス適合判定依頼実行フラグが無効状態である場合(S703がNO)、定額制サービス適合判定依頼判定を終了する。
【0085】
定額制サービス適合判定依頼実行フラグは、売り切り販売形態で画像形成装置200が導入された場合は、出荷時には有効状態で記憶されている。本実施形態では、定額制サービス適合判定依頼実行フラグが無効状態となる契機が2つ存在する。一つは、以前に表示部380に
図3に示す通知画面304が表示されたが「今後表示しない」のボタン303が押下された場合である。前述したとおり、ボタン303が押下された場合は、定額制サービス適合判定依頼実行フラグが無効状態として記憶される。もう一つの契機は、画像形成装置200が定額制サービスの対象として登録されて、定額制サービスの利用が開始された場合、定額制サービス適合判定依頼実行フラグが無効状態として記憶される。定額制サービス適合判定依頼実行フラグが無効状態となった場合は、画像形成装置200の初期化、または設定値のリセットなどが実行されないと有効状態にはならない。
【0086】
S701~S703の判定の結果S704に進んだ場合、画像形成装置200の状態は、管理サーバ500への定額制サービス適合判定依頼を実行する条件が整っている状態である。このため、S704においてCPU310は、管理サーバ500に対して定額制サービス適合判定を依頼するためのメッセージを生成する。生成されたメッセージはS202で管理サーバに送信される。
【0087】
S202では、TCP通信プロトコルを使用したHTTPS通信にて管理サーバ500と接続が確立され、Postメソッドを使用してXML形式のデータが画像形成装置200から管理サーバ500へ送信されるものとして説明する。管理サーバ500へ送信されるXML形式のデータには、画像形成装置200の現在の状態を示す情報が含まれる。画像形成装置200の現在の状態を示す情報は、例えば、画像形成装置本体300の識別情報(製品シリアル番号)、設置日時に関する情報、装着されているカートリッジ400のカートリッジ情報、総印刷枚数、エラーの発生実績などである。
【0088】
カートリッジ情報には、カートリッジ400を識別するための第1のカートリッジ情報、インクの残量を表す第2のカートリッジ情報、および各カートリッジの使用期限などの情報等が含まれる。
【0089】
S202の送信で使用される、通信プロトコルはHTTPS、送信されるメッセージのデータ形式はXMLでなくてもよい。ほかにも、例えば、他の通信プロトコルが用いられてもよいし、メッセージのデータ形式はJSON形式、カンマ区切りのCSV形式であってもよい。
【0090】
[定額制サービス適合判定処理]
図8は、S203の定額制サービス適合判定の詳細を示すフローチャートである。
図8の一連の処理は、管理サーバ500のCPU510がプログラムメモリ520に記憶されているプログラムコードをRAM511に展開し実行することにより行われる。また、
図8におけるステップの一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0091】
管理サーバ500が定額制サービス適合判定を依頼するためのメッセージを受信すると、
図8のフローチャートが開始される。以下の説明では、管理サーバは、画像形成装置200からメッセージを受信したものとして説明を行う。管理サーバ500がネットワーク経由で受信したHTTPメッセージは、通信制御部540にてWEBサービスがPostメソッドを受信したというイベントとして生成され、起動している定額制サービス受付を実行するプログラムタスクに通知される。
【0092】
S801において管理サーバ500のCPU510は、定額制サービス適合判定依頼のメッセージを送信した画像形成装置200が、定額制サービスの対象とすることができる製品であるかの判定を行う。
【0093】
例えば、CPU510は、サービス情報記憶部530に記憶されている製品一覧テーブルに、画像形成装置200の製品シリアル番号があるかを検索する。検索の結果、画像形成装置200の製品シリアル番号が製品一覧から見つけられた場合、CPU510は、画像形成装置200は定額制サービスの対象とすることができる製品であると判定する。または、CPU510は、定額制サービスの対象とすることができる製品であるかを判定するための製品情報を集約している別のサーバに問い合わせることで、判定してもよい。
【0094】
CPU510は、画像形成装置200が定額制サービスの対象とすることができる製品であると判定した場合(S801がYES)、S802に処理を進める。CPU510は、画像形成装置200が定額制サービスの対象とすることができる製品でないと判定した場合(S801がNO)、S805に処理を進める。
【0095】
S805においてCPU510は、定額制サービスに適合していないことを示す「不適合」のメッセージを画像形成装置200に通知する処理を実行する。
【0096】
S802においてCPU510は、画像形成装置200が、印刷品質を担保できるカートリッジを使用しているかを判定する。この判定は、画像形成装置200が定額制サービスの対象になった場合に印刷品質を担保できるかを確認するための処理であり、定額制サービスを利用するユーザのため処理である。前述の通り、サービス情報記憶部530には、定額制サービスの対象とすることができる画像形成装置ごとに、印刷品質を担保可能なカートリッジの情報が関連付けられて記憶されている。サービス情報記憶部530に記憶されている印刷品質を担保可能なカートリッジの情報は、第1のカートリッジ情報に相当する情報であり、カートリッジが製造される際に割り当てられたシリアル番号を表す。サービス情報記憶部530には、一つの画像形成装置に対応する製品に、一つまたは複数の印刷品質を担保可能なカートリッジの情報が関連付けられている。
【0097】
S802においてCPU510は、画像形成装置200に対応する製品に関連付けられている印刷品質を担保可能なカートリッジの情報に、画像形成装置200から受信した第1のカートリッジ情報があるかを検索する。検索の結果、第1のカートリッジ情報がサービス情報記憶部530から見つかった場合、CPU510は、画像形成装置200は印刷品質を担保できるカートリッジを使用していると判定する。または、CPU510は、画像形成装置200に装着されているそれぞれのカートリッジの使用期限に関する情報を参照し、使用期限を超えたものが無いかを判定してもよい。
【0098】
CPU510は、印刷品質を担保できるカートリッジを使用していると判定した場合(S802がYES)、S803に処理を進める。CPU510は、印刷品質を担保できるカートリッジを使用していないと判定した場合(S802がNO)、S805に処理を進め、定額制サービスに不適合であるメッセージを画像形成装置200に通知する。
【0099】
S803においてCPU510は、画像形成装置200の使用量が閾値以下かを判定する。使用量は、例えば、総印刷枚数である。S803の判定は、S802の判定と同様に、定額制サービスの対象となった場合の印刷品質を担保するためのものである。S803の判定は、画像形成装置200自体の品質が印刷品質に影響を与えることが無いよう、定額制サービスのサービス提供元の想定している印刷枚数を超過していないかを確認するための処理である。
【0100】
サービス情報記憶部530には、定額制サービスの対象とすることができる製品ごとに、想定する総印刷枚数の閾値が保持されている。この閾値は、定額制サービスの提供元がそれぞれの製品に搭載される印刷のための先端塗付部品、保守用に使用される専用カートリッジなどの耐久部材の消耗を想定することで得られた値である。この閾値は、総印刷枚数が閾値を超えたということで印刷品質に急激に影響を与えるような数値ではない。本実施形態では、閾値は、A4サイズに換算して4万枚とするが、枚数ではなく例えば印刷した面積で表してもよい。または、閾値は、それらを重みで掛け合わせるなどして算出した得点であってもよい。
【0101】
画像形成装置200が設置されて稼働を開始してからの総印刷枚数が、データメモリ330内の定額制サービス管理記憶部332に記憶されており、その総印刷枚数が管理サーバ500へ送信されている。管理サーバ500のCPU510は、画像形成装置200から受信した総印刷枚数を取得してS803の判定を行うものとして説明する。即ち、S803においてCPU510は、画像形成装置200の総印刷枚数が、閾値以下かを判定する。
【0102】
CPU510は、総印刷枚数が閾値以下と判定した場合(S803がYES)、S804に処理を進める。CPU510は、総印刷枚数が閾値を超えたと判定した場合(S803がNO)場合、S805に処理を進め、定額制サービスに適合不可能である旨のメッセージを画像形成装置200に通知する。
【0103】
S804においてCPU510は、定額制サービスに適合する応答メッセージを生成し、S204においてCPU510は生成したメッセージを画像形成装置200に通知する処理を実行する。画像形成装置200から送信された定額制サービス適合判定依頼のメッセージの応答として、管理サーバ500は、Postに対するHTTPレスポンスを生成し、正常に処理を実行したことを示すステータスコードである200番を応答メッセージにセットする。また、応答メッセージのボディ部分には定額制サービス適合判定の結果をセットするが、本実施形態では適合である場合は“VALID”、不適合である場合は“INVALID”のそれぞれの文字列をセットする。
【0104】
定額制サービス適合判定が適合である旨を含む応答メッセージを受信した画像形成装置200では、
図2のS205において
図5に示す通知画面304を表示部380に表示し、ユーザがボタン301~303のいずれかを押下されるのを待機する。その後、ユーザによりボタン301が押下された場合、画像形成装置200は、管理サーバ500に対して見積りを依頼するメッセージを送信する。このメッセージは、前述のS704にて説明した方式と同様に、TCP通信プロトコルを使用したHTTPS通信にて管理サーバ500と接続を確立後、Postメソッドを使用してXML形式のデータとして送信される。
【0105】
[定額制サービスの見積もり処理]
図9は、S209の定額制サービスの見積もり処理の詳細を示すフローチャートである。
図9の一連の処理は、管理サーバ500のCPU510がプログラムメモリ520に記憶されているプログラムコードをRAM511に展開し実行することにより行われる。また、
図9におけるステップの一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0106】
S901において管理サーバ500のCPU510は、ユーザが選択した定額制サービスのプランが、本体込定額制サービスに対応するプランであるかを判定する。
図4の説明画面404を介してユーザが選択したプランを示す情報がS208で送信され、管理サーバ500が受信している。CPU510は、受信したプランが、本体込定額制サービスに対応するプランであるか判定できる。
【0107】
CPU510は、ユーザが選択したプランが本体込定額制サービスに対応するプランと判定した場合(S901がYES)、画像形成装置200の買い取り価格を決定するためにS902に処理を進める。CPU510は、ユーザが選択したプランが消耗品定額制サービスと判定した場合、画像形成装置本体300の現在の価値である買い取り価格は決定しないためS902~S903はスキップしてS904に進める。
【0108】
S902およびS903は、見積もり対象の画像形成装置200の画像形成装置本体300の現在の価値(買い取り価格)を算出するステップである。S902においてCPU510は、画像形成装置200が未使用の場合の価格を決定する。未使用の場合の画像形成装置本体300の価格は、画像形成装置本体300の定価、ユーザの住む地域の画像形成装置本体300の平均販売価格、またはユーザが画像形成装置本体300を購入した際の価格のいずれかから決定される。カートリッジの価値が含まれている場合は画像形成装置200に装着されているカートリッジ400の価値を引いて、未使用の場合の画像形成装置本体300の価格が決定される。カートリッジ400の価格は、例えば、定価、ユーザの住む地域の平均販売価格、または定額制サービス提供元が独自に設定した価格のいずれか1つが使用される。
【0109】
S903においてCPU510は、S902で決定された画像形成装置本体300の価格から、画像形成装置200の現在の使用状態に基づく減算額を減額して、画像形成装置200の現在の価値である買い取り価格を決定する。現在の使用状態に基づく減算額は、画像形成装置本体300の消耗度に対応する額である。減算額は、管理サーバ500に蓄積された画像形成装置200の稼働に関する項目の値を、画像形成装置200の消耗度として用いて決定される。例えば、稼働に関する項目は、画像形成装置200の稼働開始からの日数、総印刷枚数、廃インク使用率、およびハードウェアエラー発生回数である。これら項目の情報は、画像形成装置200から管理サーバ500へ送信されている。
【0110】
図10は、稼働に関する項目に応じた減額率を保持しているテーブルの一例を表した図である。CPU510は、画像形成装置200の稼働開始からの日数、総印刷枚数、廃インク使用率、およびハードウェアエラー発生実績の夫々の項目から、項目ごとに減額率を決定して、夫々の項目の減額率のうちの最も大きい減額率を使用すると決定する。そして、CPU510は、S902で決定された画像形成装置200の価格に、決定された減額率を乗じて得られた値を、画像形成装置200の現在の使用状態に基づく減算額として決定する。
【0111】
本実施形態では、稼働開始からの日数、総印刷枚数、廃インク使用率、ハードウェアエラー発生回数から減額率を求めているが他の方法により減額率が求められてもよい。例えば、画像形成装置200内の消耗が発生する部品毎に動作回数をデータメモリ330に記憶しておき、部品の耐久性と動作回数から消耗率を求め、減額率に換算されてもよい。
【0112】
S904においてCPU510は、見積もり対象の画像形成装置本体300にカートリッジが装着されているかを判定する。CPU510は、カートリッジが装着されていると判定した場合(S904がYES)、S905の処理を進める。カートリッジが装着されていないと判定した場合(S904がNO)、画像形成装置200の買い取り価格は決定しないためS905~S906はスキップしてS907に進める。
【0113】
S905およびS906は、画像形成装置本体300に装着されているカートリッジ400の現在の価値(買い取り価格)を算出するステップである。S905においてCPU510は、画像形成装置本体300に装着されているカートリッジ400が未使用の場合の価格を決定する。カートリッジ400の未使用の場合の価格は、例えば、カートリッジ400の定価、ユーザの住む地域のカートリッジ400の平均販売価格、またはユーザがカートリッジ400を購入した際の価格のいずれかから決定される。
【0114】
S906においてCPU510は、S905で決定されたカートリッジ400の価格から、カートリッジ400の現在の使用状態に基づく減算額を減額して、カートリッジ400の現在の価値である買い取り価格を算出する。カートリッジ400の現在の使用状態に基づく減算額は、管理サーバ500に蓄積されたカートリッジ400の消耗度の情報に基づき決定される。本実施形態では、第2のカートリッジ情報であるインク残量が、カートリッジ400の消耗度として用いられるものとして説明する。カートリッジ400のインク残量は、管理サーバ500へ画像形成装置200から送信されている。
【0115】
図11は、カートリッジのインク残量に応じた減額率を保持しているテーブルの一例を表した図である。インク残量は未使用の場合は100%として表されている。
【0116】
CPU510は、
図11を参照して、画像形成装置本体300に装着されているカートリッジ400の現在の使用状態(インク残量)から減額率を決定する。CPU510は、S902で決定されたカートリッジ400の価格に、決定した減額率を乗じて得られた値を、カートリッジ400の現在の使用状態に基づく減算額として算出する。複数のカートリッジが装着されている場合、カートリッジ毎に適用する。
【0117】
S907においてCPU510は、ユーザが購入済みの未使用のカートリッジの買い取り価格(価値)を決定する。CPU510は、入力画面503を介して入力された情報に基づき、ユーザの購入済みの未使用のカートリッジの種類および本数に対応する買い取り価格を決定する。1本の未使用のカートリッジの価格は、カートリッジの定価、ユーザの住む地域のカートリッジの平均販売価格、またはユーザがカートリッジを購入した際の価格のいずれかから決定される。S207でユーザが未使用の消耗品数を入力しなかった場合は、S907はスキップされ、未使用のカートリッジの価格の決定は行われない。
【0118】
S908においてCPU510は、定額制サービスの導入を促進するため額である促進価格を決定する。促進価格は、一定額でもよいし、地域毎に異なる値が設定されてもよい。促進価格はゼロでもよい。その場合、S908はスキップしてもよい。地域毎の促進価格が設定されている場合、CPU510は、画像形成装置200に設定された仕向け情報、または画像形成装置200が管理サーバ500と通信を行う際に使用するIPアドレスから地域を特定して、促進額を決定する。
【0119】
定額制サービスの利用促進のためのコードが記載されたクーポンが、販売店等で、画像形成装置200を売切りで販売する際などに配布されてもよい。そして、S207で表示される入力画面503で「見積もりを開始する」のボタン501が押下される前に、クーポンに記載されているコードを入力するためのコード入力画面が表示されてもよい。コード入力画面で正しいコードが入力された場合、促進額に、一定額の加算が行われるようにしてもよい。
【0120】
S909においてCPU510は、これまでのステップによって算出された、画像形成装置本体300の買い取り価格、消耗品であるカートリッジの買い取り価格、及び促進価格を合計して合計額を得る。そしてCPU510は、合計額を、定額制サービスの定額料金(例えば月額料金)で割ることで得られた値に基づき、ユーザが料金を支払わないで定額制サービスを利用できる期間を決定する。即ち、定額制サービスの利用が開始されてから料金を請求しない期間が決定される。例えば、定額サービスが月ごとに定額の月額料金を支払うサービスである場合、定額制サービスの利用が開始された場合に料金を請求しない月数が決定される。
【0121】
画像形成装置200の価値が下がっていない画像形成装置200の購入直後に、画像形成装置200が本体込定額制サービスの対象にすると、本体込定額制サービスの定額料金が請求されない期間は長く決定されることになる。一方、画像形成装置200が購入されてからの日数が経過した後、または、大量に印刷が行われた後に画像形成装置200を本体込定額制サービスの対象にすると、本体込定額制サービスの料金を請求しない期間が短く決定される。
【0122】
画像形成装置200の買い取り価格、消耗品であるカートリッジの買い取り価格、および促進額は、定額制サービスにおける印刷可能な枚数に換算されてもよい。そして、定額制サービスにおけるユーザが印刷可能な枚数が増加するようしてもよい。
【0123】
S907で決定された未使用のカートリッジの価格は、暫定の額として決定されてもよい。例えば、ユーザが、未使用のカートリッジを定額制サービスの提供元に送付し、定額制サービス提供元が未使用であることを確認したカートリッジの種類および本数に基づき、未使用のカートリッジの買い取り価格が確定されてもよい。その場合、S909で決定されたユーザに料金を請求しない期間は、参考値としてユーザに提示される。そして、後日、未使用のカートリッジの買い取り価格が確定した場合、確定した期間がユーザに通知される。
【0124】
なお、消耗品はカートリッジであるものとして説明したが、定額制サービスによってユーザが利用できる消耗品は、画像形成装置本体で使用される印刷用紙など消耗品が含まれてもよい。
【0125】
売り切り販売形態で画像形成装置が購入され、購入された画像形成装置設置を使用しているユーザの中には、定額制サービスの利用を望むユーザが少なからず存在する。本実施形態によれば、使用中の画像形成装置を動作しているファームウェアと、定額制サービスを管理する管理サーバを制御することで、購入済みの使用されている画像形成装置が、適切に定額制サービスの対象に切り替わるようにすることができる。また、購入済みの画像形成装置200の価値は定額制サービスを利用する際の料金に充てられるため、ユーザは重複した料金を支払うことなく、定額制サービスの提供を受けることが可能となる。
【0126】
<その他の実施形態>
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0127】
なお、上述した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0128】
(構成1)
予め定められた料金を所定の期間ごとに支払うことで対象の画像形成装置および前記対象の画像形成装置の消耗品の少なくとも一方を、ユーザに提供するサービスを管理する管理サーバであって、
前記料金の見積もり対象の製品の使用状態に関する情報を受信する受信手段と、
前記見積もり対象の製品の価値を、前記受信手段が受信した情報に基づき算出する算出手段と、
前記見積もり対象の製品を新たに前記サービスの対象にして使用する場合の前記料金に関する情報を、前記算出手段によって算出された価値に基づき決定する決定手段と、を有し、
前記料金の見積もり対象の製品は、前記サービスの対象ではない購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方である
ことを特徴とする管理サーバ。
【0129】
(構成2)
前記購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方を新たに前記サービスの対象にする契約がされた場合、
新たに前記サービスの対象となった前記購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方については、前記サービスの提供元に買い取られて前記ユーザに提供されたものとして前記サービスが提供される
ことを特徴とする構成1に記載の管理サーバ。
【0130】
(構成3)
前記算出手段は、
前記購入済みの画像形成装置の定価、前記ユーザが前記購入済みの画像形成装置を購入した際の価格、前記購入済みの画像形成装置の前記ユーザの地域における平均販売価格のいずれか1つから、
前記購入済みの画像形成装置の使用状態から算出した減算額を減算することにより、前記見積もり対象の製品である前記購入済みの画像形成装置の価値を算出する
ことを特徴とする構成1または2に記載の管理サーバ。
【0131】
(構成4)
前記算出手段は、
前記購入済みの画像形成装置の使用開始からの日数、前記購入済みの画像形成装置の総印刷枚数、前記購入済みの画像形成装置の廃インク使用率、および前記購入済みの画像形成装置のハードウェアエラー発生回数の少なくとも1つに基づき前記減算額を算出する
ことを特徴とする構成3に記載の管理サーバ。
【0132】
(構成5)
前記算出手段は、
前記消耗品の定価、前記ユーザが前記消耗品を購入した際の価格、前記ユーザの地域における前記消耗品の平均販売価格のいずれか1つから、前記消耗品の使用状態から算出した減算額を減算することにより、
前記見積もり対象の製品である前記消耗品の価値を算出する
ことを特徴とする構成1から4のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【0133】
(構成6)
前記見積もり対象の製品である前記消耗品には、前記購入済みの画像形成装置において使用されている購入済みの消耗品および未使用の購入済みの消耗品の少なくとも一方が含まれる
ことを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【0134】
(構成7)
前記決定手段は、
前記ユーザが前記料金を支払わないで前記サービスを利用できる期間を、前記料金に関する情報として決定する
ことを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【0135】
(構成8)
前記決定手段は、
前記算出手段によって算出された価値の合計に、前記料金を割ることで得られた値に基づき、前記料金を支払わないで前記サービスを利用できる期間を決定する
ことを特徴とする構成7に記載の管理サーバ。
【0136】
(構成9)
前記決定手段によって決定された前記料金に関する情報を前記ユーザに提示するための処理をする処理手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1から8のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【0137】
(構成10)
前記サービスは、前記画像形成装置および前記消耗品が前記ユーザに提供されるサービスである
ことを特徴とする構成1から9のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【0138】
(構成11)
前記算出手段は、前記購入済みの画像形成装置の価値を前記購入済みの画像形成装置の使用状態に基づき算出し、前記消耗品がある場合は前記消耗品の価値を前記消耗品の使用状態に基づき算出し、
前記決定手段は、前記購入済みの画像形成装置の価値および前記消耗品の価値に少なくとも基づき、前記料金に関する情報を決定する
ことを特徴とする構成10に記載の管理サーバ。
【0139】
(構成12)
前記見積もり対象の製品を識別する情報に基づき、前記見積もり対象の製品が前記サービスの対象とすることができる製品かを判定する判定手段をさらに有し、
前記判定手段によって前記見積もり対象の製品が前記サービスの対象とすることができる製品と判定した場合、前記算出手段は前記価値を算出して、前記決定手段は、前記料金に関する情報を決定する
ことを特徴とする構成1から11のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【0140】
(構成13)
構成1から12のいずれか1項に記載の管理サーバと、
前記購入済みの画像形成装置と、
を有するシステム。
【0141】
(構成14)
前記購入済みの画像形成装置は、前記購入済みの画像形成装置の使用状態を送信する送信手段を有する
ことを特徴とする構成13に記載のシステム。
【0142】
(構成15)
予め定められた料金を所定の期間ごとに支払うことで対象の画像形成装置および前記対象の画像形成装置の消耗品の少なくとも一方を、ユーザに提供するサービスを管理する管理方法であって、
前記料金の見積もり対象の製品の使用状態に関する情報を受信する受信ステップと、
前記見積もり対象の製品の価値を、前記受信ステップで受信した情報に基づき算出する算出ステップと、
前記見積もり対象の製品を新たに前記サービスの対象にして使用する場合の前記料金に関する情報を、前記算出ステップによって算出された価値に基づき決定する決定ステップと、を有し、
前記料金の見積もり対象の製品は、前記サービスの対象ではない購入済みの画像形成装置および消耗品の少なくとも一方である
を有することを特徴とする管理方法。
【0143】
(構成16)
コンピュータに、構成1から12のいずれか1項に記載の管理サーバの各手段を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0144】
500 管理サーバ
510 CPU
200 画像形成装置