(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172770
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】印刷装置、および、印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241205BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/14
B41J2/01 201
B41J2/01 213
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090727
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】サンドロ ロブステリ
(72)【発明者】
【氏名】ウーゴ ザローリ
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ ガッティ
(72)【発明者】
【氏名】小島 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】山本 章司
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EC72
2C056EC74
2C056HA07
2C056HA10
2C057AG01
(57)【要約】
【課題】複数種のインクを重畳印刷可能で、かつ、小型の印刷装置を提供すること。
【解決手段】印刷装置は、媒体を第1方向に搬送する搬送部と、前記第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに保持された第1印刷部と、前記キャリッジに保持され、前記第1印刷部よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部と、を備え、前記第1方向における前記第2印刷部の長さは、前記第1方向における前記第1印刷部の長さよりも短く、マルチパスモードの際に、前記第2印刷部が使用可能な状態となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を第1方向に搬送する搬送部と、
前記第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに保持された第1印刷部と、
前記キャリッジに保持され、前記第1印刷部よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部と、を備え、
前記第1方向における前記第2印刷部の長さは、前記第1方向における前記第1印刷部の長さよりも短く、
マルチパスモードの際に、前記第2印刷部が使用可能な状態となる、
印刷装置。
【請求項2】
前記第2印刷部は、複数のソレノイドバルブを有するソレノイドバルブ方式の吐出ヘッドを備える、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッドは、前記第2方向に対して傾きを持って配置される、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2印刷部は、前記第2方向において複数配置される、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2印刷部は、走査パス数が多くなるほど、1パス中に吐出する吐出量を少なくする、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
制御部と、
媒体を第1方向に搬送する搬送部と、
前記第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに保持された第1印刷部と、
前記キャリッジに保持され、前記第1印刷部よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部と、を備えた印刷装置による印刷方法であって、
前記第1方向における前記第2印刷部の長さは、前記第1方向における前記第1印刷部の長さよりも短く、
前記制御部は、前記印刷装置の印刷モードがマルチパスモードの際に、前記第2印刷部を使用可能な状態とする、
印刷装置による印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、および、当該印刷装置による印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー印刷による第1印刷の上に、クリアインクや、光沢インクなどを被覆させる第2印刷を行う印刷装置が知られている。例えば、特許文献1には、カラーインクを吐出する第1ヘッドと、クリアインクなどを吐出する第2ヘッドとを備える液滴吐出装置が開示されている。
【0003】
当該文献の
図2及びその説明によれば、第1ヘッドと第2ヘッドとは同一の吐出ヘッドであるものと推定され、第1ヘッドおよび第2ヘッドは、布帛などの被印刷媒体の副走査方向に沿って並んで配置されるとしている。つまり、第1ヘッドと第2ヘッドとは、副走査方向に並んで配置されており、後加工用の第2ヘッドには、カラー印刷用の解像度が高い第1ヘッドと同じ吐出ヘッドが用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液滴吐出装置では、カラー印刷用の大きな第1ヘッドが副走査方向に2つ並ぶ構成であるため、印刷ヘッドが大きくなってしまい、印刷装置が大型化してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係る印刷装置は、媒体を第1方向に搬送する搬送部と、前記第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに保持された第1印刷部と、前記キャリッジに保持され、前記第1印刷部よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部と、を備え、前記第1方向における前記第2印刷部の長さは、前記第1方向における前記第1印刷部の長さよりも短く、マルチパスモードの際に、前記第2印刷部が使用可能な状態となる。
【0007】
本願の一態様に係る印刷装置による印刷方法は、制御部と、媒体を第1方向に搬送する搬送部と、前記第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに保持された第1印刷部と、前記キャリッジに保持され、前記第1印刷部よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部と、を備えた印刷装置による印刷方法であって、前記第1方向における前記第2印刷部の長さは、前記第1方向における前記第1印刷部の長さよりも短く、前記制御部は、前記印刷装置の印刷モードがマルチパスモードの際に、前記第2印刷部を使用可能な状態とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】ソレノイドバルブの概略構成を示す側断面図。
【
図8】ソレノイドバルブの概略構成を示す異なる態様の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態1
***印刷装置の概要***
図1は、本実施形態に係る印刷装置の側面図である。
図1に示す本実施形態の印刷装置100は、布帛などの長尺の媒体Pに対して、模様や画像などを印刷し捺染を行うインクジェット式の印刷装置である。なお、各図面では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。本実施形態では、鉛直上向きをZプラス方向、媒体Pの搬送方向をYプラス方向、媒体Pの幅方向をXプラス方向としている。また、Zプラス方向を上方、Zマイナス方向を下方ともいう。Xプラス方向とXマイナス方向とを合せてX軸方向ともいう。Y軸、Z軸についても同様である。また、X軸方向は主走査方向であり、Yプラス方向は副走査方向に相当する。なお、副走査方向のことを第1方向、主走査方向のことを第2方向ともいう。
【0010】
図1に示すように、印刷装置100は、媒体搬送部20、媒体密着部50、印刷ユニット60、乾燥部70、洗浄部80などを備える。そして、これらの各部を制御する制御部90を有する。印刷装置100の各部は、フレームFに取り付けられる。
【0011】
媒体搬送部20は、媒体Pを搬送経路に沿って搬送する搬送部である。媒体搬送部20は、媒体供給部10、搬送ローラー21~24、搬送ベルト33、ベルト回転ローラー31、ベルト駆動ローラー32、及び媒体回収部40を備える。まず、媒体Pが、媒体供給部10から媒体回収部40に至る搬送経路について説明する。
【0012】
媒体供給部10は、媒体Pを搬送ベルト33に供給する。媒体Pとしては、例えば、天然繊維、綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミア、再生繊維、合成繊維、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステルや、これらの混紡からなる織布を用いることができる。本実施形態では、これらの織布を布帛という。または、不織布を用いてもよい。布帛や不織布には、発色性や定着性の促進のための前処理剤が塗布されていてもよい。
【0013】
媒体供給部10は、帯状の媒体Pがロール状に巻かれた供給軸部11と、円筒状の供給軸部11の両端を着脱及び回転可能に支持する軸受部12と、供給軸部11を回転駆動させるモーターを含む回転駆動部とを有する。回転駆動部が回転駆動され、供給軸部11が回転することにより、媒体Pが送り出される。搬送ローラー21,22は、媒体供給部10から送り出された媒体Pを搬送ベルト33まで中継する。
【0014】
搬送ベルト33は、印刷ユニット60と向い合う媒体Pを副走査方向に搬送させる。搬送ベルト33は、帯状のベルトの両端部が接続されて無端状に形成され、ベルト回転ローラー31とベルト駆動ローラー32との間に掛けられる。搬送ベルト33は、所定の張力が作用した状態で保持される。搬送ベルト33の表面33aには、媒体Pを粘着させる粘着層34が設けられる。搬送ベルト33は、後述する媒体密着部50で粘着層34に密着された媒体Pを支持する。これにより、伸縮性のある布帛などを媒体Pとして扱うことができる。
【0015】
ベルト回転ローラー31及びベルト駆動ローラー32は、搬送ベルト33の内側に設けられ、搬送ベルト33の内周面33bを支持する。ベルト駆動ローラー32は、ベルト駆動ローラー32を回転駆動させる回転駆動部を有する。ベルト駆動ローラー32が回転駆動され、搬送ベルト33が回転移動することにより、ベルト回転ローラー31が従動回転する。これにより、搬送ベルト33に支持された媒体Pが副走査方向に搬送され、ベルト回転ローラー31とベルト駆動ローラー32との間に設けられる印刷ユニット60で媒体Pに画像が形成される。
【0016】
なお、ベルト回転ローラー31とベルト駆動ローラー32との間に、搬送ベルト33を支持する支持部が設けられた構成であってもよい。また、搬送ベルト33は、媒体Pを密着させる粘着層34を備えるものと説明したが、例えば、静電気で媒体を吸着させる静電吸着式の搬送ベルトであってもよい。
【0017】
搬送ローラー23は、画像の形成された媒体Pを搬送ベルト33から剥離させる。搬送ローラー23,24は、剥離した媒体Pを媒体回収部40まで中継する。
【0018】
媒体回収部40は、媒体Pを回収する。媒体回収部40は、媒体Pをロール状に巻き取る巻取り軸部41と、円筒状の巻取り軸部41の両端を着脱及び回転可能に支持する軸受部42と、巻取り軸部41を回転駆動させる回転駆動部とを有している。回転駆動部が回転駆動され、巻取り軸部41が回転することにより、媒体Pが巻き取られる。
【0019】
次に、媒体Pの搬送経路に沿って設けられる各部について説明する。
媒体密着部50は、印刷ユニット60の上流に設けられ、搬送ベルト33上に供給された媒体Pを粘着層34に密着させる。媒体密着部50は、円柱状に形成された押圧ローラー51と、押圧ローラー51の両端を回転可能に支持するローラー支持部52と、搬送ベルト33を介して押圧ローラー51の荷重を受けるローラー受部54と、押圧ローラー51を駆動する押圧ローラー駆動部53を有する。押圧ローラー駆動部53は、押圧ローラー51を副走査方向、及び副走査方向と逆向きの方向に移動させる。これにより、媒体Pが、押圧ローラー51の荷重によって押圧され粘着層34に密着する。
【0020】
印刷ユニット60は、搬送ベルト33の上方に配置され、搬送ベルト33上の媒体Pに印刷を行う。
印刷ユニット60は、印刷ヘッド61と、印刷ヘッド61を搭載するキャリッジ62と、キャリッジ62を支持するガイドレール63,64とを有する。なお、印刷ヘッド61の詳細は後述する。
ガイドレール63,64は、X軸方向に沿って延在するレールであり、キャリッジ62を主走査方向に往復移動可能に支持する。
【0021】
印刷ユニット60は、キャリッジ62を移動させる移動機構及び移動機構を駆動する動力源を備える。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用される。動力源としては、例えば、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用される。
【0022】
乾燥部70は、巻取り軸部41の上流に設けられ、搬送ベルト33から剥離された媒体Pを乾燥させる。乾燥部70は、例えば、IRヒーターを有し、IRヒーターが駆動されることにより、媒体Pに浸透したインクを短時間で乾燥させる。これにより、印刷済みの媒体Pを巻取り軸部41に巻き取ることができる。
【0023】
洗浄部80は、ベルト駆動ローラー32とベルト回転ローラー31との間に配置され、媒体Pを剥離後の搬送ベルト33の表面33aを下方から洗浄する。洗浄部80は、洗浄槽81と、円筒状の洗浄ローラー82と、ブレード83と、洗浄ローラー82を回転駆動させる回転駆動部とを有する。洗浄槽81は、洗浄液を貯留する槽である。洗浄液としては、例えば、水やアルコール水溶液などの水溶性溶剤が用いられ、必要に応じて界面活性剤や消泡剤が添加される。
【0024】
洗浄ローラー82は、上部が洗浄槽81から突出するように洗浄槽81の内側に回転可能に支持される。洗浄ローラー82が回転され、洗浄ローラー82と搬送ベルト33とが摺動する。これにより、搬送ベルト33に付着したインクや媒体Pとしての布帛の繊維などが取り除かれる。
ブレード83は、洗浄ローラー82の下流に位置し、上端が洗浄槽81から突出するように洗浄槽81の内側に設けられる。搬送ベルト33の回転に伴って、ブレード83と搬送ベルト33とが摺動することにより、搬送ベルト33の表面33aに残留する洗浄液が除去される。
【0025】
***印刷装置の機能ブロック構成***
図2は、印刷装置の機能ブロック図である。
【0026】
印刷装置100は、印刷装置100の各部の制御を行う制御部90を備えている。
制御部90には、印刷データを供給する入力装置6が接続されている。入力装置6は、例えば、ノート型のパーソナルコンピューターである。なお、入力装置6は、印刷データを供給可能な装置であればよく、例えば、デスクトップ型のコンピューターや、タブレット型端末、携帯型端末などであっても良い。
印刷データには、模様や画像などを規定した画像データ、当該画像データを印刷するのに最適な条件を規定した印刷パラメータなどが含まれている。印刷パラメータには、高画質な印刷を行うための重ね印刷回数を規定したマルチパス回数も含まれている。
【0027】
制御部90は、インターフェイス回路2、制御回路3、記憶回路4、第1駆動回路13、第2駆動回路14、CR駆動回路35、ベルト駆動回路36などから構成される。
インターフェイス回路2は、入力装置6と制御回路3との間で画像データなどの送受信を行うためのインターフェイス回路である。
制御回路3は、1つ又は複数のプロセッサーを備えて構成され、記憶回路4に記憶されている制御プログラムに従って動作することにより印刷装置100の動作を統括制御する。
【0028】
記憶回路4は、RAM(Random Access Memory)、及び、ROM(Read Only Memory)を備えて構成される。RAMは、各種データ等の一時記憶に用いられ、ROMは、印刷装置100の動作を制御するための制御プログラムや、付随するデータなどを記憶する。制御プログラムには、印刷装置100を起動させるときの処理の順序と内容を指示する起動プログラムや、マルチパスモードで印刷を行う際の処理の順序と内容を規定した印刷プログラムなどが記憶されている。付随データには、走査パス回数に応じた第2インクの吐出量を規定した相関データが含まれている。
【0029】
印刷ヘッド61は、第1印刷部65と、第2印刷部66とを備えている。詳しくは後述するが、第1印刷部65はカラーインクからなる第1インクを吐出し、第2印刷部66はクリアインクなどの第2インクを吐出する。
第1駆動回路13は、第1印刷部65の吐出ヘッドによる第1インクの吐出を駆動制御する駆動回路である。
第2駆動回路14は、第2印刷部66の吐出ヘッドによる第2インクの吐出を駆動制御する駆動回路である。
【0030】
CR駆動回路35は、キャリッジ62の動力源であるCR駆動部62Mに付属するモーターを回転駆動させることにより、キャリッジ62を主走査方向に往復移動させる。換言すれば、キャリッジ62は、副走査方向としての第1方向と交差する第2方向としての主走査方向に移動する。
ベルト駆動回路36は、ベルト駆動ローラー32の回転駆動部であるベルト駆動部32Mに付属するモーターを回転駆動させることにより、ベルト駆動ローラー32を回転させて、搬送ベルト33を駆動する。
【0031】
制御回路3は、上記各部により、印刷ヘッド61を制御して吐出ヘッドからインクを吐出させながらキャリッジ62を往復移動させる主走査と、ベルト駆動ローラー32を制御して媒体Pを搬送方向に搬送させる副走査と、を交互に繰り返す印刷動作を行うことで、媒体Pに画像データに基づく印刷を行う。
【0032】
***印刷ヘッドの構成***
図3は、印刷ユニットの平面図である。
図3は、印刷ユニット60を上方から見た平面図であり、矩形状のキャリッジ62は、一対のガイドレール63,64に支持されている。ガイドレール63,64は、X軸方向に沿って延在している。ガイドレール63,64は、Y軸方向において離間しており、両者を跨いでキャリッジ62が設けられている。
ガイドレール63,64は、搬送ベルト33の外側に垂直に設けられた一対のフレーム部85a,85bの間に架け渡されている。キャリッジ62は、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構により、ガイドレール63,64の延在方向である主走査方向に往復移動可能に設けられている。
【0033】
図3では、キャリッジ62の下側に位置する印刷ヘッド61を透過して図示している。
図3に示すように、印刷ヘッド61は、第1印刷部65と、第2印刷部66とを備えている。第1印刷部65は、媒体Pの搬送方向における上流側に位置しており、第2印刷部66は下流側に位置している。換言すれば、第1印刷部65、第2印刷部66は、キャリッジ62に保持されている。そして、第2印刷部66は、第1印刷部65よりも下流側に配置されている。
媒体Pの搬送方向において、第1印刷部65の長さL1は、第2印刷部66の長さL2よりも長い。つまり、副走査方向において、第1印刷部65の長さL1は、第2印刷部66の長さL2よりも長い。換言すれば、第1方向における第2印刷部の長さL2は、第1方向における第1印刷部の長さL1よりも短くなっている。
【0034】
***第1印刷部の構成***
図4は、印刷ヘッドを下方から見た平面図である。
図4に示すように、第1印刷部65は、主走査方向に並んで配置された8つの吐出ヘッド15a~15hを備えている。なお、各吐出ヘッド15に共通の内容は、枝番を付さずに説明する。
吐出ヘッド15は、4つのノズルアレイ16,17,18,19を備えている。ノズルアレイ16は、副走査方向に延在する1列のノズル列であり、例えば、ノズル数は、800ノズルである。ノズルアレイ17は、ノズルアレイ16と同じノズル列であり、ノズルアレイ16と同じ列で、副走査方向に離間して配置される。
【0035】
ノズルアレイ18は、ノズルアレイ16と同じノズル列であり、ノズルアレイ16のXプラス方向に離間して配置される。ノズルアレイ18は、副走査方向においてノズルアレイ16とノズルアレイ17との間に配置される。
ノズルアレイ19は、ノズルアレイ16と同じノズル列であり、ノズルアレイ18と同じ列で、副走査方向に離間して配置される。
ノズルアレイ16とノズルアレイ18とは、吐出ヘッド15が主走査方向に移動する際に、複数のノズルが同じ軌道を走査するように重なりを持って配置される。ノズルアレイ18とノズルアレイ17、および、ノズルアレイ17とノズルアレイ19も同様に、吐出ヘッド15が主走査方向に移動する際に、複数のノズルが同じ軌道を走査するように重なりを持って配置される。
【0036】
これにより、吐出ヘッド15のバンド長は、副走査方向においてノズルアレイ16の上流側の端部ノズルと、ノズルアレイ19の下流側の端部ノズルとの間の長さとなる。好適例では、解像度600dpiの印刷を行うことができる。
吐出ヘッド15は、インクジェット方式の吐出ヘッドである。好適例では、ノズルに連通する圧力室内の壁面の一部が変形可能に設けられており、圧電素子に駆動信号を印加して圧電素子を収縮させ、この収縮により壁面を撓ませて、圧力室内のインクをノズルからインク滴として吐出させるピエゾ方式を採用している。なお、ピエゾ方式に限定するものではなく、インクジェット方式であれば良く、例えば、圧力室内に充填された液体をヒーター等の抵抗素子に電流を流して加熱し、その熱エネルギーを液体に伝達することで液体を吐出させるサーマル方式であっても良い。
【0037】
8つの吐出ヘッド15a~15hには、好適例では、8色のインクが供給される。なお、第1印刷部65に供給されるインクを第1インクという。第1インクの種類は、媒体Pの材質などに応じて最適な種類が選択され、例えば、反応染料インク、分散染料インク、酸性染料インク、顔料インクなどがある。例えば、反応染料インクの場合、インク色は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、レッド、ブルー、オレンジとなる。
このような第1印刷部65によれば、画像データに応じたフルカラーで高精細な印刷を媒体Pに施すことができる。
【0038】
***第2印刷部の構成***
図4に示すように、第2印刷部66は、副走査方向における上流側と下流側とに2行に配置された吐出ヘッド行26、吐出ヘッド行27から構成されている。
下流側の吐出ヘッド行26は、4つの吐出ヘッド25a~25dにより構成される。上流側の吐出ヘッド行27は、4つの吐出ヘッド25e~25hにより構成される。なお、各吐出ヘッド25に共通の内容は、枝番を付さずに説明する。
吐出ヘッド25は、細長い長方形をなしており、長辺に沿って並ぶ8つのノズル7を備えている。好適例では、ノズル7は、ソレノイドバルブ72(
図6)のノズルである。換言すれば、第2印刷部66は、複数のソレノイドバルブ72を有するソレノイドバルブ方式の吐出ヘッド25を備える。
【0039】
図5は、第2印刷部の拡大平面図である。
吐出ヘッド行26の吐出ヘッド25aは、X軸と平行な線分86に対して傾きを持って配置されている。詳しくは、一端のノズル7aと他端のノズル7hの中心を通る線分88は、線分86に対して角度θの傾きを持っている。
角度θは、ノズル7aとノズル7bとの間における副走査方向の配置ピッチがピッチP1となる角度である。ノズル7bとノズル7c、ノズル7cとノズル7d、ノズル7dとノズル7e、ノズル7eとノズル7f、ノズル7fとノズル7g、ノズル7gとノズル7hとの間の副走査方向の配置ピッチも、同様にピッチP1となっている。なお、ピッチP1は、これに限定するものではないが、例えば、約0.84mmである。
吐出ヘッド25b,25c,25dも、同様に線分86に対して角度θの傾きを持って配置されている。換言すれば、吐出ヘッド25は、第2方向に対して傾きを持って配置される。
【0040】
吐出ヘッド25bは、吐出ヘッド25aのXプラス側に配置されている。吐出ヘッド25bの一端のノズル7aは、吐出ヘッド25aの他端のノズル7hから、Yマイナス方向にピッチP1分シフトした位置に配置されている。
吐出ヘッド25cは、吐出ヘッド25bのXプラス側に配置されている。吐出ヘッド25cの一端のノズル7aは、吐出ヘッド25bの他端のノズル7hから、Yマイナス方向にピッチP1分シフトした位置に配置されている。
吐出ヘッド25dは、吐出ヘッド25cのXプラス側に配置されている。吐出ヘッド25dの一端のノズル7aは、吐出ヘッド25cの他端のノズル7hから、Yマイナス方向にピッチP1分シフトした位置に配置されている。
【0041】
吐出ヘッド行27は、吐出ヘッド行26と同じ構成であり、Yマイナス方向に離間して配置される。吐出ヘッド行27の吐出ヘッド25eの一端のノズル7aは、吐出ヘッド行26の吐出ヘッド25dの他端のノズル7hから、Yマイナス方向にピッチP1分シフトした位置に配置されている。
第2印刷部66のバンド長は、副走査方向において吐出ヘッド行26の吐出ヘッド25aの一端のノズル7aから吐出ヘッド行27の吐出ヘッド25hの他端のノズル7hまでの長さとなる。好適例では、解像度32dpiの印刷を行うことができる。なお、第2インクは、第1インクの印刷面に所定の厚さで被覆されれば良いため、第1インクのような高い解像度は必要なく、この解像度で十分である。
このような構成により、副走査方向における第2印刷部の長さL2(
図4)を第1印刷部の長さL1よりも短くすることができる。詳しくは、第2印刷部の長さL2は、第1印刷部の長さL1の半分以下にすることができる。
【0042】
図6は、吐出ヘッドの斜視図である。
図7は、ソレノイドバルブの概略構成を示す側断面図である。
図8は、ソレノイドバルブの概略構成を示す異なる態様の側断面図である。
図6に示すように、吐出ヘッド25は、細長い長方形状の筐体8に、8本のシリンダー状のソレノイドバルブ72を備えた構成をしている。ソレノイドバルブ72におけるノズル7とは反対側には、第2インクが供給される供給口73が設けられている。供給口73にはチューブが接続され、チューブを介して第2インクが供給される。
吐出ヘッド25におけるノズル7とは反対側には、電気接続用のコネクター74が設けられている。各ソレノイドバルブ72には、制御部90からの駆動信号がコネクター74を介して印加される。
【0043】
図7に示すように、ソレノイドバルブ72は、筐体71、ノズル7、シャッター75、バネ77、アクチュエーター76などから構成される。
筐体71は、例えば、金属製の円筒部材である。筐体71内には、円筒状のアクチュエーター76が配置されている。筐体71の一端には、ノズル7が設けられている。
ノズル7とアクチュエーター76との間には、シャッター75とバネ77とが設けられている。なお、バネ77は、好適例では、コイルバネを用いる。
アクチュエーター76は、例えば、電磁アクチュエーターであり、駆動信号に応じて、シャッター75を開閉することができる。なお、圧電アクチュエーターであっても良い。
【0044】
図7は、駆動信号が印加されていない状態を示している。この状態では、
図7に示すように、バネ77の付勢力によりシャッター75が閉じているため、ノズル7からインクは吐出されない。
図8は、駆動信号が印加された状態を示している。この状態では、
図8に示すように、駆動信号によりアクチュエーター76が起動し、バネ77の付勢力に抗うことにより、シャッター75が開き、ノズル7から駆動信号に応じた量のインクが吐出される。
【0045】
第2印刷部66から吐出される第2インクは、好適例では、クリアインク、または、光沢インクを用いる。なお、第2インクのことを機能液ともいう。
クリアインクとしては、樹脂インクを用いることができる。樹脂の種類は、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などを用いることができる。これらの樹脂に、顔料、添加剤などを適宜添加しても良い。
光沢インクとしては、例えば、顔料、樹脂、希釈剤などの成分を主成分とするメタリックインク、顔料、樹脂、希釈剤などの成分を主成分とするパールインキ、顔料、樹脂、希釈剤などの成分を主成分とし、顔料の大きさや製造工程を調整して干渉効果を得る特殊干渉インクであるレインボーインク、樹脂、顔料、添加剤などを主成分とし、通常、滑剤やレベリング剤を添加して光沢を向上させた光沢インクなどを用いることができる。
【0046】
***印刷の流れ***
図4に戻る。
印刷ヘッド61は、好適例では、第1印刷部65で第1インクを用いて4回の走査パスにより印刷した部分に、第2印刷部66で1回の走査パスで第2インクを所定量吐出する設定となっている。なお、この設定に限定するものではなく、マルチパス回数に応じて、第2インクの吐出量を制御すれば良い。詳しくは、第1印刷部65での印刷がシングルパスの場合は、第2印刷部66は、第2インクの吐出は行わず、マルチパスモードの際に、第2インクの吐出を行う。
【0047】
さらに、第2印刷部66は、走査パス数が多くなるほど、1走査パス中に吐出する吐出量を少なくする。例えば、第1印刷部65が8回の走査パスを行う場合、第2印刷部66が1回の走査パスで吐出するインク量を約1/8とする。換言すれば、制御部90は、印刷装置100の印刷モードがマルチパスモードの際に、第2印刷部66を使用可能な状態とする。また、第2印刷部66は、走査パス数が多くなるほど、1パス中に吐出する吐出量を少なくする。なお、これらの制御は、制御部90が、入力装置6から受信した印刷データに基づき、記憶回路4の印刷プログラムを実行することにより行われる。
【0048】
以上、述べた通り、本実施形態の印刷装置100、および、その印刷方法によれば、以下の効果を得ることができる。
印刷装置100は、媒体Pを第1方向に搬送する媒体搬送部20と、第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジ62と、キャリッジ62に保持された第1印刷部65と、キャリッジ62に保持され、第1印刷部65よりも下流側に配置された第2印刷部66と、を備え、第1方向における第2印刷部66の長さL2は、第1方向における第1印刷部65の長さL1よりも短く、マルチパスモードの際に、第2印刷部66が使用可能な状態となる。
【0049】
これによれば、印刷装置100は、副走査方向において、カラー印刷用の第1印刷部65のよりも長さの短い、第2インク用の第2印刷部66を備えている。よって、カラー印刷用の大きな第1ヘッドが副走査方向に2つ並ぶ構成であるため、印刷ヘッド、および、装置が大型化していた従来の液滴吐出装置と異なり、印刷ヘッド61、および、装置構成を小型化することができる。
従って、複数種のインクを重畳印刷可能で、かつ、小型の印刷装置100を提供することができる。
【0050】
また、第2印刷部66は、複数のソレノイドバルブ72を有するソレノイドバルブ方式の吐出ヘッド25を備える。
第2インクの印刷時における解像度は、第1インクのような高い解像度は必要ないため、シンプルなソレノイドバルブ方式で構成することができる。
【0051】
また、吐出ヘッド25は、第2方向に対して傾きを持って配置される。
これによれば、第1方向における第2印刷部66の長さL2を短く構成することができる。
【0052】
また、第2印刷部66は、走査パス数が多くなるほど、1パス中に吐出する吐出量を少なくする。
これによれば、走査パス数が増えても第2インクの吐出量が適性量に管理されるため、吐出量が多くなり過ぎることを防止できる。
【0053】
制御部90と、媒体Pを第1方向に搬送する媒体搬送部20と、第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジ62と、キャリッジ62に保持された第1印刷部65と、キャリッジ62に保持され、第1印刷部65よりも下流側に配置された第2印刷部66と、を備えた印刷装置100による印刷方法であって、第1方向における第2印刷部66の長さL2は、第1方向における第1印刷部65の長さL1よりも短く、制御部90は、印刷装置100の印刷モードがマルチパスモードの際に、第2印刷部66を使用可能な状態とする。
【0054】
これによれば、印刷装置100は、副走査方向において、カラー印刷用の第1印刷部65のよりも長さの短い、第2インク用の第2印刷部66を備えている。よって、カラー印刷用の大きな第1ヘッドが副走査方向に2つ並ぶ構成であるため、印刷ヘッド、および、装置が大型化していた従来の液滴吐出装置と異なり、印刷ヘッド61、および、装置構成を小型化することができる。
さらに、第2インクの重畳印刷が必要なマルチパスモードの際に、第2印刷部66による印刷が行われるため、作業効率が良い。
従って、複数種のインクを重畳印刷可能で、かつ、小型で作業効率の良い印刷装置100を提供することができる。
【0055】
実施形態2
***第2印刷部の異なる態様***
図9は、実施形態2に係る第2印刷部の拡大平面図であり、
図5に対応している。
上記実施形態では、第2印刷部66は、副走査方向に配置された2行の吐出ヘッド行26,27から構成されるものとして説明したが、これに限定するものではなく、ヘッド対が複数設けられていても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
本実施形態の第2印刷部67は、2行の吐出ヘッド行からなるヘッド対を2つ備えている。ヘッド対28は、吐出ヘッド行28aと、吐出ヘッド行28bとから構成される。ヘッド対29は、吐出ヘッド行29aと、吐出ヘッド行29bとから構成される。吐出ヘッド行28a,28b、および、吐出ヘッド行29a,29bは、実施形態1の吐出ヘッド行26と同じ構成である。なお、ヘッド対28,29のことを第2印刷部ともいう。換言すれば、第2印刷部としてのヘッド対28,29は、第2方向において複数配置される。
【0057】
図9に示すように、下流側から上流側に向かって、吐出ヘッド行28a、吐出ヘッド行29a、吐出ヘッド行28b、吐出ヘッド行29bの順番で配置されている。
このように、ヘッド対28,29の吐出ヘッド行を交互に配置することにより、副走査方向の長さを短く構成することができ、かつ、異なる2種類の機能液を吐出することができる。
【0058】
なお、ヘッド対28,29の吐出ヘッド行を交互に配置することに限定するものではなく、下流側から上流側に向かって、ヘッド対28とヘッド対29とをこの順番に配置することであっても良い。この場合、吐出ヘッド行の並びは、下流側から上流側に向かって、吐出ヘッド行28a,28b、吐出ヘッド行29a,29bの順番となる。この構成であっても、異なる2種類の機能液を吐出することができる。
【0059】
以上、述べた通り、本実施形態の印刷装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
第2印刷部67は、第2方向において複数配置される。詳しくは、第2印刷部67は、ヘッド対28と、ヘッド対29とを備えている。
【0060】
これによれば、副走査方向において複数のヘッド対を備える場合でも、副走査方向における第2印刷部67の長さを、第1印刷部65の長さL1よりも短く構成することができ、かつ、異なる種類の機能液を吐出することができる。
従って、複数種のインクを重畳印刷可能で、かつ、小型の印刷装置100を提供することができる。
【0061】
実施形態3
***第3印刷部を備えた構成***
図10は、実施形態3に係る印刷ユニットの平面図であり、
図3に対応している。
上記実施形態では、印刷ヘッド61は、第1印刷部65と第2印刷部66との2つの印刷部を備えるものとして説明したが、これに限定するものではなく、さらに二つ目の第2印刷部として第3の印刷部を備えていても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0062】
図10に示すように、本実施形態の印刷ヘッド68は、第1印刷部65、第2印刷部66に加えて、第3印刷部58を備えている。第3印刷部58は、第2印刷部66と同じソレノイドバルブ方式の印刷部であり、第1印刷部65の上流側に設けられている。
第3印刷部58の副走査方向における長さL3は、第2印刷部66の長さL2と同じである。よって、第1印刷部65の前後に第3印刷部58、第2印刷部66を備えた構成であっても、印刷ヘッド68を小型に構成することができる。なお、印刷ヘッド68は、第1印刷部65の上流側及び下流側に、第3印刷部58、第2印刷部66を備えているが、この構成に限定するものではなく、少なくとも一方に印刷部が配置されていれば良い。換言すれば、印刷装置100は、キャリッジ62に保持され、第1印刷部65よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部66を備える。
【0063】
第3印刷部58は、媒体Pにおける第1インクの浸透性や定着性を向上させる前処理用の前処理液などを吐出する。前処理液としては、極性材料として、双極子モーメントが大きい成分である尿素を用いた処理液を用いることが好ましい。なお、尿素に限定するものではなく、エチレングリコール、エタノール、2 - プロパノール、1 - プロパノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、メタノール、酢酸、テトラヒドロフラン、ピリジン、ジクロロメタン、無水酢酸、ジエチルエーテル、トリメチルアミン、シクロヘキサン、キシレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、n‐ペンタン、エチレン尿素、等を用いても良い。
【0064】
また、前処理液に限定するものではなく、媒体Pの布帛の色調が、黒色などのように濃い色調の場合、白インクによる白打ち印刷(ベタ印刷)を行うことでも良い。ソレノイドバルブ方式の印刷部なので、第1印刷部65よりも多量の吐出や、粘度の高い液体の吐出も対応可能である。
【0065】
以上、述べた通り、本実施形態の印刷装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
印刷装置100は、キャリッジ62に保持され、第1印刷部65よりも上流側及び下流側のうち少なくとも一方に配置された第2印刷部66を備える。好適例では、印刷ヘッド68は、第1印刷部65の上流側及び下流側に、第3印刷部58、第2印刷部66を備えている。
【0066】
これによれば、媒体Pに対して前処理液による処理を施した後で、第1インクによる印刷を行い、さらに、第2インクによる後処理を施すため、鮮明で強固な印刷を施すことができる。
従って、複数種のインクを重畳印刷可能で、鮮明で強固な印刷が得られる小型の印刷装置100を提供することができる。
【0067】
実施形態4
***第2印刷部の異なる印刷態様***
第2印刷部66は、走査パス数が多くなるほど、1走査パス中に吐出する吐出量を少なくする形態のほかに、例えば、第1印刷部65が8回の走査パスを行う場合、第2印刷部66が1回の走査パスで吐出するインク量を1/8とせず、100%の吐出を行ってもよい。これにより、通常でもとめられる濃度以上の印刷が可能となる。また、必要な第2印刷部からの印刷で必要な濃度から走査パス数を決定してもよい。
【符号の説明】
【0068】
2…インターフェイス回路、3…制御回路、4…記憶回路、6…入力装置、7…ノズル、7a~7h…ノズル、8…筐体、10…媒体供給部、11…供給軸部、12…軸受部、13…第1駆動回路、14…第2駆動回路、15…吐出ヘッド、16~19…ノズルアレイ、20…媒体搬送部、21~24…搬送ローラー、25…吐出ヘッド、25a~25h…吐出ヘッド、26,27…吐出ヘッド行、28,29…ヘッド対、28a,28b…吐出ヘッド行、29a,29b…吐出ヘッド行、31…ベルト回転ローラー、32…ベルト駆動ローラー、33…搬送ベルト、33a…表面、33b…内周面、34…粘着層、35…CR駆動回路、36…ベルト駆動回路、40…媒体回収部、41…巻取り軸部、42…軸受部、50…媒体密着部、51…押圧ローラー、52…ローラー支持部、53…押圧ローラー駆動部、54…ローラー受部、58…第3印刷部、60…印刷ユニット、61…印刷ヘッド、62…キャリッジ、63,64…ガイドレール、65…第1印刷部、66…第2印刷部、67…第2印刷部、68…印刷ヘッド、70…乾燥部、71…筐体、72…ソレノイドバルブ、73…供給口、74…コネクター、75…シャッター、76…アクチュエーター、77…バネ、80…洗浄部、81…洗浄槽、82…洗浄ローラー、83…ブレード、85a,85b…フレーム部、86…線分、88…線分、90…制御部、100…印刷装置、L1~L3…長さ、P1…ピッチ。