(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172778
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】二酸化炭素変換システム
(51)【国際特許分類】
C10L 3/08 20060101AFI20241205BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
C10L3/08
C25B1/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090741
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔一
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和政
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA09
4K021DC11
(57)【要約】
【課題】本開示は、回収装置から供給されるCO
2の濃度変化に対処し、電解装置にCO
2を安定的に供給可能なCO
2変換システムを提供する。
【解決手段】CO
2変換システム1は、CO
2を含む気体からCO
2を回収する回収装置2と、CO
2を電気分解してCOを含む合成ガスを生成する電解装置3と、回収装置2で脱離されたCO
2を電解装置3へ供給する供給系4と、を備える。供給系4は、回収装置2から供給されるCO
2を貯留して電解装置3へ供給する緩衝装置41を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含む気体から二酸化炭素を回収する回収装置と、二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を含む合成ガスを生成する電解装置と、前記回収装置で脱離された二酸化炭素を前記電解装置へ供給する供給系と、を備え、
前記供給系は、前記回収装置から供給される二酸化炭素を貯留して前記電解装置へ供給する緩衝装置を有することを特徴とする二酸化炭素変換システム。
【請求項2】
前記供給系は、前記緩衝装置と前記電解装置との間に、前記緩衝装置から前記電解装置へ供給される二酸化炭素の流量を制御する流量制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素変換システム。
【請求項3】
前記緩衝装置の容量C[L]と、前記回収装置から供給される二酸化炭素の最大流量Q[L/min]は、以下の式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素変換システム。
0.15×Q≦C≦0.25×Q (1)
【請求項4】
前記供給系は、前記緩衝装置から前記電解装置の入口までの間に設けられて二酸化炭素の濃度を検出するセンサと、前記センサによって検出される二酸化炭素の濃度を所定の目標濃度に漸近させるように前記回収装置における二酸化炭素の脱離を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からバイオガスを利用したメタネーションシステムが知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1のバイオガス利用メタネーションシステムは、被処理ガスを燃料ガスとして用いる固体酸化物形燃料電池と、再生可能エネルギー発電装置の電力を用いて水素を生成可能な水素生成装置と、システム内の二酸化炭素を水素生成装置で生成された水素とメタネーション処理するメタネーション装置と、を備える。システム内の二酸化炭素は、被処理ガスの供給量、または、再生可能エネルギー発電装置の電力に基いて貯蔵装置に貯蔵可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)から合成燃料を製造するプロセスに使用されるCO2変換システムは、たとえば、CO2回収装置と、電解装置とを備えている。CO2回収装置は、たとえば、大気や工場等の排気からCO2を回収する。電解装置は、たとえば、再生可能エネルギーに由来する電力を利用し、CO2回収装置で回収されたCO2を電気分解して一酸化炭素(CO)を含む合成ガスを生成する。このようなCO2変換システムは、以下のような課題を有している。
【0005】
電解装置は、再生可能エネルギーの供給の変動に応じた電解量制御を行うため、電解量に応じたCO2量が要求される。しかし、CO2回収装置は、回収したCO2の脱離開始時にCO2の濃度が急上昇し、電解装置の要求値に対してオーバーシュートする。CO2から合成ガスへの変換効率を向上させるためには、電解装置で要求されるCO2量に対して、CO2を過不足なく安定的に供給することが求められる。
【0006】
本開示は、CO2回収装置から供給されるCO2の濃度変化に対処し、電解装置にCO2を安定的に供給可能なCO2変換システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、二酸化炭素を含む気体から二酸化炭素を回収する回収装置と、二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を含む合成ガスを生成する電解装置と、前記回収装置で脱離された二酸化炭素を前記電解装置へ供給する供給系と、を備え、前記供給系は、前記回収装置から供給される二酸化炭素を貯留して前記電解装置へ供給する緩衝装置を有することを特徴とする二酸化炭素変換システムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の上記一態様によれば、CO2回収装置から供給されるCO2の濃度変化に対処し、電解装置にCO2を安定的に供給可能なCO2変換システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係るCO
2変換システムの実施形態1を示す概略図。
【
図2】
図1のシステムの緩衝装置の前後のCO
2濃度の時間変化を示すグラフ。
【
図3】本開示に係るCO
2変換システムの実施形態2を示す概略図。
【
図4】
図3のシステムの緩衝装置の前後のCO
2濃度の時間変化を示すグラフ。
【
図5】本開示に係るCO
2変換システムの実施形態3を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示に係る二酸化炭素変換システムの実施形態を説明する。
【0011】
[実施形態1]
図1は、本開示に係る二酸化炭素変換システムの実施形態1を示す概略図である。以下の説明では、特に必要な場合を除いて、二酸化炭素を「CO
2」と表記する。
【0012】
CO2を循環させるエネルギー循環型社会を実現するために、CO2変換/燃料合成技術の開発が求められている。本実施形態のCO2変換システム1は、たとえば、CO2と水素(H2)から合成燃料を製造するプロセスに用いられ、大気や工場等の排気から回収したCO2を電気分解して一酸化炭素(CO)を含む合成ガスを生成する。特に、電気分解による合成ガス生成は、他の方法と比較して高いエネルギー効率が期待されている。
【0013】
CO2変換システム1は、たとえば、車両に合成燃料を供給する合成燃料ステーションなどの供給施設に併設される合成燃料製造プラントに設置される。すなわち、CO2変換システム1の各構成は、同一サイトに設置される。CO2変換システム1は、たとえば、回収装置2と、電解装置3と、供給系4とを備えている。CO2変換システム1は、たとえば、複数の回収装置2を備えていてもよい。
【0014】
回収装置2は、たとえば、大気や工場等の排気等、CO2を含む気体からCO2を回収する装置である。回収装置2におけるCO2の回収は、たとえば、気体中のCO2を直接的に回収する技術であるダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)によって行うことができる。なお、回収装置2におけるCO2の回収は、DACに限定されず、他の技術を採用してもよい。
【0015】
電解装置3は、たとえば、回収装置2で回収された後に脱離されたCO2を電気分解してCOを含む合成ガスを生成する。電解装置3における電解方式は、たとえば、再生可能エネルギーに由来する電力を使用して合成ガスを生成する固体酸化物形水電解(Solid Oxide Electrolysis Cell:SOEC)を採用することができる。すなわち、電解装置3は、たとえば、CO2とともに水蒸気(H2O)が供給され、800℃程度の高温で水素(H2)とCOを含む合成ガスを生成する。電解装置3は、生成した合成ガスを、たとえば、図示を省略する燃料合成装置へ供給する。
【0016】
図1に示すCO
2変換システム1の各構成が同一サイトに設置される場合、回収装置2で脱離したCO
2を別サイトの電解装置3へ輸送する必要がない。そのため、CO
2の充填設備が不要になり、CO
2の輸送コストを抑制できる反面、回収装置2から電解装置3へCO
2を安定的に供給することが課題となる。
【0017】
供給系4は、たとえば、緩衝装置41を含んでいる。また、供給系4は、たとえば、上流配管42と、電磁弁43と、下流配管44を含んでいてもよい。緩衝装置41は、回収装置2から供給されるCO2を貯留して電解装置3へ供給する。緩衝装置41は、たとえば、CO2を貯留するバッファタンクである。緩衝装置41の容量C[L]と、回収装置2から供給されるCO2の最大流量Q[L/min]は、たとえば、以下の式(1)の関係を満たす。
【0018】
0.15×Q≦C≦0.25×Q (1)
【0019】
より詳細には、たとえば、回収装置2から供給されるCO2の最大流量Q[L/min]が1000[L/min]である場合、緩衝装置41の容量C[L]は、150[L]以上かつ250[L]以下に設定される。
【0020】
上流配管42は、たとえば、各々の回収装置2と緩衝装置41とを接続する配管であり、回収装置2で脱離されたCO2を各々の回収装置2から緩衝装置41へ供給する。電磁弁43は、たとえば、各々の上流配管42の途中に設けられ、各々の上流配管42を開閉する。下流配管44は、たとえば、緩衝装置41と電解装置3を接続する配管であり、緩衝装置41に貯留されたCO2を含む気体を電解装置3へ供給する。
【0021】
より具体的には、電磁弁43は、回収装置2によるCO2の回収時に、上流配管42を閉鎖して、回収装置2と緩衝装置41との間のCO2を含む気体の流れを遮断する。また、電磁弁43は、回収装置2におけるCO2の脱離時に、上流配管42を開放して、回収装置2から緩衝装置41へCO2を含む気体を流通させる。したがって、変換システム1が複数の回収装置2を備える場合には、各々の回収装置2において時期をずらしてCO2の回収と脱離を行うことで、回収装置2から電解装置3へCO2を連続的に供給することができる。
【0022】
以下、
図2を参照して、本実施形態のCO
2変換システム1の作用を説明する。
【0023】
図2は、
図1のCO
2変換システム1の緩衝装置41の前後のCO
2濃度[%]の時間変化を示すグラフである。より詳細には、
図2の(a)のグラフは、緩衝装置41の上流側の上流配管42を流れる気体に含まれるCO
2濃度[%]の時間変化を示すグラフであり、
図2の(b)のグラフは、緩衝装置41の下流側の下流配管44を流れる気体に含まれるCO
2濃度[%]の時間変化を示すグラフである。なお、
図2の(b)のグラフでは、回収装置2において脱離されるCO
2量の制御値Ctと、電解装置3におけるCO
2量の要求値Crを、それぞれ破線で示している。
【0024】
図2の(a)のグラフに示すように、回収装置2におけるCO
2の脱離時に回収装置2から供給される気体に含まれるCO
2の濃度は、CO
2の脱離開始後に急上昇し、その後、時間の経過とともに急減する。一方、電解装置3は、たとえば、再生可能エネルギーに由来する電力の供給変動に対応した電解量制御を行うため、電解量に応じたCO
2の供給量が要求される。そのため、CO
2変換システム1の高効率化のためには、電解装置3で要求されるCO
2量に対して過不足なくCO
2を供給する必要があり、
図2の(a)のグラフに示すようなCO
2濃度の変動に対処する必要がある。
【0025】
これに対し、本実施形態の二酸化炭素変換システム1は、前述のように、二酸化炭素を含む気体から二酸化炭素を回収する回収装置2と、二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を含む合成ガスを生成する3と、回収装置2で脱離された二酸化炭素を電解装置3へ供給する供給系4と、を備えている。供給系4は、回収装置2から供給される二酸化炭素を貯留して電解装置3へ供給する緩衝装置41を有している。
【0026】
このような構成により、本実施形態のCO
2変換システム1は、回収装置2で脱離されたCO
2を、一旦、緩衝装置41に貯留することができる。さらに、緩衝装置41に貯留されてCO
2の濃度勾配が緩和された高濃度のCO
2を含む気体を、緩衝装置41から電解装置3へ供給することができる。その結果、
図2の(b)のグラフに示すように、回収装置2において脱離されるCO
2量の制御値Ctを所定値に設定することで、回収装置2で脱離されるCO
2濃度の変動に関わらず、CO
2量の要求値Crに応じたCO
2濃度の気体を、電解装置3へ安定的に供給することができる。
【0027】
また、本実施形態の二酸化炭素変換システム1は、たとえば、前述のように、緩衝装置41の容量C[L]と、回収装置2から供給される二酸化炭素の最大流量Q[L/min]が前記式(1)の関係を満たす。
【0028】
このような構成により、本実施形態のCO2変換システム1は、回収装置2から緩衝装置41に供給される気体に含まれるCO2の濃度の変動を、必要十分な容量Cを有する緩衝装置41によってより確実に緩和することができる。したがって、本実施形態のCO2変換システム1によれば、回収装置から供給されるCO2の濃度変化に緩衝装置41によってより確実に対処し、電解装置3にCO2をより安定的に供給することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、回収装置2から供給されるCO2の濃度変化に対処し、電解装置3にCO2を安定的に供給可能なCO2変換システム1を提供することができる。
【0030】
[実施形態2]
以下、
図3および
図4を参照して、本開示に係るCO
2変換システムの実施形態2を説明する。
【0031】
図3は、本開示に係るCO
2変換システムの実施形態2を示す概略図である。本実施形態のCO
2変換システム1Aは、供給系4Aが流量制御装置45を有している点で、前述の実施形態1のCO
2変換システム1と異なっている。本実施形態のCO
2変換システム1Aのその他の構成は、前述の実施形態1のCO
2変換システム1と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
流量制御装置45は、たとえば、緩衝装置41と電解装置3とを接続する下流配管44の途中に設けられたマスフローコントローラ(MFC)である。流量制御装置45は、たとえば、流量センサと、制御回路と、流量制御バルブとを備えている。流量センサは、たとえば、流量制御装置45を通過するCO2を含む気体の流量を検出する。制御回路は、その流量センサによって検出された流量と、予め設定された流量目標値とに基いて、流量指令値を出力する。流量制御バルブは、たとえば、その制御回路から出力された制御指令値に基いて流量制御装置45を通過する気体の流量を制御する。
【0033】
図4は、
図3のCO
2変換システム1Aの緩衝装置41の前後のCO
2流量の時間変化を示すグラフである。より詳細には、
図4の(a)のグラフは、緩衝装置41の上流側の上流配管42を流れる気体に含まれるCO
2濃度[%]の時間変化を示すグラフであり、
図4の(b)のグラフは、流量制御装置の下流側の下流配管44を流れる気体に含まれるCO
2濃度[%]の時間変化を示すグラフである。なお、
図4の(b)のグラフでは、流量制御装置45の制御量Cmfcを破線で示している。
【0034】
本実施形態の二酸化炭素変換システム1Aは、前述の実施形態1の二酸化炭素変換システム1と同様の構成を備えている。さらに、本実施形態の二酸化炭素変換システム1Aにおいて、供給系4Aは、
図3に示すように、緩衝装置41と電解装置3との間に、緩衝装置41から電解装置3へ供給される二酸化炭素の流量を制御する流量制御装置45を備えている。
【0035】
このような構成により、本実施形態のCO
2変換システム1Aによれば、前述の実施形態1のCO
2変換システム1と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態のCO
2変換システム1Aによれば、
図2の(b)に示すような、緩衝装置41から排出される気体に含まれるCO
2の濃度の微小な変動を、
図4の(b)に示すように、流量制御装置45によってより均一化することが可能になる。
【0036】
[実施形態3]
以下、
図5および
図6を参照して、本開示に係るCO
2変換システムの実施形態3を説明する。
【0037】
図5は、本開示に係るCO
2変換システムの実施形態3を示す概略図である。本実施形態のCO
2変換システム1Bは、供給系4BがCO
2の濃度を検出するセンサ46と、図示を省略する制御装置とを備える点で、前述の実施形態1のCO
2変換システム1と異なっている。本実施形態のCO
2変換システム1Bのその他の点は、前述の実施形態1のCO
2変換システム1と同様であるので、同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
センサ46は、たとえば、緩衝装置41から電解装置3の入口までの間に設けられて、CO
2の濃度を検出する。
図5に示す例において、センサ46は、緩衝装置41に設けられ、緩衝装置41に貯留される気体のCO
2の濃度を検出する。供給系4Bの制御装置は、たとえば、センサ46によって検出されるCO
2の濃度を所定の目標濃度に漸近させるように、回収装置2におけるCO
2の脱離を制御する。
【0039】
より具体的には、制御装置は、たとえば、回収装置2の温度を上昇させ、回収装置2の圧力を低下させ、回収装置2に供給される水蒸気量を増加させることで、回収装置2において脱離されるCO2を増加させる。また、制御装置は、たとえば、回収装置2の温度を低下させ、回収装置2の圧力を増加させ、回収装置2に供給される水蒸気量を減少させることで、回収装置2において脱離されるCO2を減少させる。
【0040】
図6は、
図5のCO
2変換システム1Bの動作を説明するフロー図である。CO
2変換システム1Bの供給系4Bを構成する制御装置は、たとえば、
図6に示す処理を開始すると、第1処理P1を実行する。この第1処理P1において、制御装置は、以下の式(2)の条件を満たすか否かを判定する。
【0041】
1-CCO2/CCO2_Trg≦±kerror (2)
【0042】
上記式(2)において、C
CO2はセンサ46によって検出されたCO
2の濃度である。また、C
CO2_Trgは、制御装置において予め設定される目標濃度である。k
errorは目標濃度C
CO2_Trgに対するセンサ46の検出濃度C
CO2の許容誤差である。制御装置は、第1処理P1において上記式(2)の条件を満たす場合には、
図6に示す処理フローを終了させる。
【0043】
一方、第1処理P1において上記式(2)の条件を満たさない場合、制御装置は、
図6に示す第2処理P2を実行する。この第2処理P2において、センサ46の検出濃度C
CO2が目標濃度C
CO2_Trgよりも低い場合、制御装置は、次の第3処理P3において、回収装置2で脱離されるCO
2を増加させる。具体的には、制御装置は、回収装置2の温度を上昇させ、回収装置2の圧力を低下させ、回収装置2に供給される水蒸気量を増加させる。その後、制御装置は、後述する第5処理P5を実行する。
【0044】
一方、第2処理P2において、センサ46の検出濃度CCO2が目標濃度CCO2_Trgよりも高い場合、制御装置は、次の第4処理P4において、回収装置2で脱離されるCO2を減少させる。具体的には、制御装置は、回収装置2の温度を低下させ、回収装置2の圧力を増加させ、回収装置2に供給される水蒸気量を減少させる。その後、制御装置は、次の第5処理P5を実行する。
【0045】
第5処理P5において、制御装置は、前述の第1処理P1と同様に、上記式(2)の条件を満たすか否かを判定する。制御装置は、第5処理P5において、上記式(2)の条件を満たす場合には、
図6に示す処理フローを終了させ、上記式(2)の条件を満たさない場合には、第2処理P2以降の処理を繰り返す。
【0046】
以上のように、本実施形態の二酸化炭素変換システム1Bは、前述の実施形態1の二酸化炭素変換システム1と同様の構成に加えて、供給系4Bがセンサ46と制御装置とを備えている。センサ46は、緩衝装置41から電解装置3の入口までの間に設けられて二酸化炭素の濃度を検出する。制御装置は、センサ46によって検出される二酸化炭素の濃度CCO2を所定の目標濃度CCO2_Trgに漸近させるように回収装置2における二酸化炭素の脱離を制御する。
【0047】
このような構成により、本実施形態のCO2変換システム1Bによれば、前述の実施形態1のCO2変換システム1と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態のCO2変換システム1Bによれば、回収装置2から緩衝装置41へ供給されるCO2の濃度を所定の目標濃度CCO2_Trgに漸近させることができ、緩衝装置41から電解装置3へ供給されるCO2の濃度をより均一化することが可能になる。
【0048】
以上、図面を用いて本開示に係る二酸化炭素変換システムの実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B CO2変換システム(二酸化炭素変換システム)
2 回収装置
3 電解装置
4,4A,4B 供給系
41 緩衝装置
45 流量制御装置
46 センサ