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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172779
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090742
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伯川 貴哉
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353CC04
5E353CC21
5E353DD11
5E353EE51
5E353EE53
5E353GG01
5E353GG11
5E353GG12
5E353GG31
5E353HH11
5E353HH51
5E353JJ11
5E353JJ13
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353QQ01
5E353QQ23
(57)【要約】
【課題】サーボ系エラーが発生した場合に自動で復帰可否を判定可能な部品実装装置を提供する。
【解決手段】部品実装装置1は、部品Eを吸着して基板P上に実装する部品実装装置1であって、部品Eまたは基板Pに接触する接触部と、接触部を第1方向に移動させるサーボモータと、を備える駆動装置と、制御部30と、を備え、制御部30は、サーボモータに関するサーボ系エラーが生じた場合に、少なくとも第1方向におけるエラー発生区間を含んで接触部を第1方向に移動させる動作テスト処理と、動作テスト処理によりサーボ系エラーが生じない場合には、生産を再開可能であると判定する復帰可否判定処理と、を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着して基板上に実装する部品実装装置であって、
前記部品または前記基板に接触する接触部と、前記接触部を第1方向に移動させるサーボモータと、を備える駆動装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記サーボモータに関するサーボ系エラーが生じた場合に、少なくとも前記第1方向におけるエラー発生区間を含んで前記接触部を前記第1方向に移動させる動作テスト処理と、前記動作テスト処理により前記サーボ系エラーが生じない場合には、生産を再開可能であると判定する復帰可否判定処理と、を実行する、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作テスト処理により前記接触部もしくは前記接触部に接触する前記部品または前記基板に干渉する干渉物がある場合には、前記動作テスト処理を行う前に、前記接触部または前記干渉物を移動させ、前記接触部もしくは前記接触部に接触する前記部品または前記基板が前記干渉物に干渉することを防止する退避処理を実行する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記サーボ系エラーが前記サーボモータの電流値が所定の閾値を超えたことに起因している場合に、前記制御部は、前記閾値を小さく変更する閾値変更処理を実行する、請求項1または請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記復帰可否判定処理を実行して生産を再開可能であると判定した場合に、前記閾値変更処理と、前記閾値変更処理後、任意の数の生産を行う復帰生産処理と、を実行し、
前記閾値変更処理では、前記動作テスト処理時及び正常生産時の前記サーボモータの電流値の最大値に基づいて前記閾値が変更される、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記復帰生産処理では、前記制御部は、前記接触部を正常生産時よりも遅い任意の速さで動かす、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記動作テスト処理を行う前に、前記閾値変更処理を実行し、
前記閾値変更処理では、正常生産時の前記サーボモータの電流値の最大値に基づいて前記閾値が変更される、請求項3に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許第6826122号公報(下記特許文献1)に記載の実装装置が知られている。特許文献1に記載の実装装置は、フィードバック制御されるZ軸モータの駆動により昇降して部品を吸着可能な吸着ノズルを備え、吸着ノズルにより吸着された部品を基板に実装する。フィードバック制御には、Z軸モータに供給される駆動電流が用いられ、この駆動電流は電流センサにより検知される。この実装装置の制御装置は、電流センサにより検知された駆動電流に基づいて、吸着ノズルにかかる荷重を取得する。吸着ノズルにかかる荷重とは、例えば吸着ノズルが吸着中の部品の実装位置まで下降して部品を介して基板に接触する際の荷重を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6826122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成において、例えば基板上の部品の実装位置に異物が存在していた場合、異物の上に部品が実装されるため、吸着ノズルに大きな荷重がかかり、Z軸モータには大電流が流れる。このような実装不良を抑制するため、Z軸モータに所定の閾値を超える過電流が流れた場合には、エラーが発生し、生産が停止されるようになっている場合がある。このようなエラーが発生した場合、作業者が状況を確認し、生産を再開させることとなり、作業者の負担が大きくなってしまう。また、例えば軸の固着等により初回の吸着ノズルの昇降動作のみでエラーが発生し、次回以降の動作ではエラーが発生しない場合もあり、作業者が立ち会わなくても生産を再開できる場合もありうる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、サーボ系エラーが発生した場合に自動で復帰可否を判定可能な部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の部品実装装置は、部品を吸着して基板上に実装する部品実装装置であって、前記部品または前記基板に接触する接触部と、前記接触部を第1方向に移動させるサーボモータと、を備える駆動装置と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記サーボモータに関するサーボ系エラーが生じた場合に、少なくとも前記第1方向におけるエラー発生区間を含んで前記接触部を前記第1方向に移動させる動作テスト処理と、前記動作テスト処理により前記サーボ系エラーが生じない場合には、生産を再開可能であると判定する復帰可否判定処理と、を実行する、部品実装装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、サーボ系エラーが発生した場合に自動で復帰可否を判定可能な部品実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1にかかる部品実装装置の平面図である。
図2図2は、部品実装装置の側面図である。
図3図3は、部品実装装置の電気的構成を示す図である。
図4図4は、2重搭載によるサーボ系エラーの発生、退避処理、及び動作テスト処理について説明する説明図である。
図5図5は、実施形態1にかかる復帰可否判定処理について示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1にかかるオーバーカレントエラー復帰処理について示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態2にかかる低荷重モード移行判定について示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態2にかかる閾値変更処理について示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態3にかかる低荷重モード移行判定について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
[1]本開示の部品実装装置は、部品を吸着して基板上に実装する部品実装装置であって、前記部品または前記基板に接触する接触部と、前記接触部を第1方向に移動させるサーボモータと、を備える駆動装置と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記サーボモータに関するサーボ系エラーが生じた場合に、少なくとも前記第1方向におけるエラー発生区間を含んで前記接触部を前記第1方向に移動させる動作テスト処理と、前記動作テスト処理により前記サーボ系エラーが生じない場合には、生産を再開可能であると判定する復帰可否判定処理と、を実行する。
【0010】
このような構成によると、動作テスト処理によりサーボ系エラーの再現性を確認することにより、自動で生産を再開可能であるかの判定を行うことができる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記制御部は、前記動作テスト処理により前記接触部もしくは前記接触部に接触する前記部品または前記基板に干渉する干渉物がある場合には、前記動作テスト処理を行う前に、前記接触部または前記干渉物を移動させ、前記接触部もしくは前記接触部に接触する前記部品または前記基板が前記干渉物に干渉することを防止する退避処理を実行することが好ましい。
【0012】
このような構成によると、退避処理が実行されることで、接触部もしくは接触部に接触する部品または基板が干渉物に干渉することを抑制することができる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]において、前記サーボ系エラーが前記サーボモータの電流値が所定の閾値を超えたことに起因している場合に、前記制御部は、前記閾値を小さく変更する閾値変更処理を実行することが好ましい。
【0014】
このような構成によると、閾値を小さく変更することにより、接触部等に過大な荷重がかかることを回避することができる。
【0015】
[4]上記[3]において、前記制御部は、前記復帰可否判定処理を実行して生産を再開可能であると判定した場合に、前記閾値変更処理と、前記閾値変更処理後、任意の数の生産を行う復帰生産処理と、を実行し、前記閾値変更処理では、前記動作テスト処理時及び正常生産時の前記サーボモータの電流値の最大値に基づいて前記閾値が変更されることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、復帰生産処理において、接触部等に過大な荷重がかかることを回避することができる。
【0017】
[5]上記[4]において、前記復帰生産処理では、前記制御部は、前記接触部を正常生産時よりも遅い任意の速さで動かすことが好ましい。
【0018】
このような構成によると、生産再開時に接触部等に加わる衝撃を小さくすることができる。
【0019】
[6]上記[3]において、前記制御部は、前記動作テスト処理を行う前に、前記閾値変更処理を実行し、前記閾値変更処理では、正常生産時の前記サーボモータの電流値の最大値に基づいて前記閾値が変更されることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、動作テスト処理において、接触部等に過大な荷重がかかることを回避することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図14を参照しつつ説明する。以下の説明においては、図1における図示左右方向をX軸方向、図示上下方向をY軸方向、図2における図示上下方向をZ軸方向という。実空間においては、Z軸方向における正の方向が上方とされている。また、以降の説明では図1の図示右側を上流側、図示左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成部材には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0023】
(部品実装装置1の全体構造)
実施形態1は、図1に示すように、電子部品等の部品Eをプリント基板等の基板Pに実装する部品実装装置1を例示している。部品実装装置1は、基台10、搬送コンベア11、ヘッドユニット12、ヘッド搬送部13、バックアップ装置20(図2参照)、2つの部品撮像カメラ15、基板撮像カメラ16、テープ部品供給装置3、図3に示す制御部30、操作部31などを備えている。
【0024】
基台10は平面視方形状をなすとともに上面が平坦とされている。図1において二点鎖線で示す矩形枠は基板Pに部品Eを実装するときの作業位置Aを示している。作業位置Aの下方には、基板Pを支持するためのバックアップ装置20(図2参照)が配されている。
【0025】
(バックアップ装置20)
図2に示すように、バックアップ装置20は基板Pに部品Eを実装するときに基板Pをバックアップするものである。具体的には、作業位置Aに基板Pが搬入されてくる前の状態では、バックアップ装置20は上端(より具体的にはバックアップピン50の上端)がコンベアベルト11A及び11Bより下方となる位置まで下降している。作業位置Aに基板Pが搬入されるとバックアップ装置20が上昇し、複数のバックアップピン50によって基板Pが持ち上げられる。これにより基板Pがバックアップ装置20によって下方から支持される。言い換えると基板Pがバックアップされる。
【0026】
バックアップ装置20は複数のバックアップピン50、上部プレート22、上部プレート22の下方に配されている下部プレート23、支柱25、下部プレート23を昇降させる昇降機構26などを備えている。上部プレート22は平板状に形成された金属製の部材である。上部プレート22には板厚方向に貫通する複数の貫通孔がマトリクス状に形成されている。バックアップピン50は、基板Pの種類等に応じて所定の位置の貫通孔に挿通されるようになっている。下部プレート23は板状の部材であり、4隅から立ち上がっている支柱25を介して上部プレート22と連結されている。
【0027】
昇降機構26は下部プレート23から下方に延びる複数のボールねじ26A、各ボールねじ26Aに螺合しているボールナット26B、昇降モータ43、ボールナット26Bと昇降モータ43とに掛け回されているベルト26Cなどを備えている。昇降モータ43を回転させるとベルト26Cを介してボールナット26Bが回転し、ボールねじ26Aが上下に移動する。これによりバックアップ装置20が昇降する。
【0028】
(搬送コンベア11)
搬送コンベア11は基板PをX軸方向の上流側から作業位置Aに搬入し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出するものである。搬送コンベア11はX軸方向に循環駆動する一対のコンベアベルト11A,11B、それらのコンベアベルト11A,11Bを駆動するコンベア駆動モータ42(図3参照)などを備えている。図示上側のコンベアベルト11AはY軸方向に移動可能であり、基板Pの幅に応じて2つのコンベアベルト11A,11Bの間隔を調整できる。
【0029】
ヘッドユニット12は複数(ここでは5個)の実装ヘッド17を軸周りに回転、及び、軸方向に昇降させるものである。ヘッドユニット12は、本開示の「駆動装置」の一例である。ヘッドユニット12の構成については後述する。
【0030】
ヘッド搬送部13はヘッドユニット12を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に搬送するものである。ヘッド搬送部13はヘッドユニット12をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム13A、ビーム13AをY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール13B、ヘッドユニット12をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ38、ビーム13AをY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ39などを備えている。
【0031】
2つの部品撮像カメラ15はそれぞれX軸方向に並んだ2つのテープ部品供給装置3の間に設けられている。部品撮像カメラ15は実装ヘッド17に吸着されている部品Eを下から撮像して部品Eの位置や姿勢などを認識するためのものであり、撮像面を上に向けた姿勢で配されている。
【0032】
基板撮像カメラ16はヘッドユニット12に設けられている。基板撮像カメラ16は基板Pに付されている図示しないフィデューシャルマークなどを撮像してそれらの位置を認識するためのものであり、撮像面を下に向けた姿勢で配されている。
【0033】
テープ部品供給装置3は搬送コンベア11のY軸方向の両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらのテープ部品供給装置3には複数のフィーダ3AがX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ3Aは所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープが巻回されたリール(不図示)、及び、リールから部品テープを引き出す電動式のテープ送出装置等を備えており、搬送コンベア11側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを一つずつ供給する。
【0034】
なお、ここでは部品供給装置としてテープ部品供給装置3を例に説明するが、部品供給装置は部品Eが載置されているトレイを供給する所謂トレイフィーダであってもよいし、半導体ウェハを供給するものであってもよい。
【0035】
(ヘッドユニット12)
図2に示すように、本実施形態に係るヘッドユニット12は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド17がX軸方向に並んで設けられている。また、ヘッドユニット12にはこれらの実装ヘッド17を個別に昇降させるZ軸サーボモータ40(図5参照)やこれらの実装ヘッド17を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータ41(図5参照)などが設けられている。Z軸サーボモータ40は、本開示の「サーボモータ」の一例である。Z軸方向は、「第1方向」の一例である。
【0036】
各実装ヘッド17は部品Eを吸着及び解放するものであり、ノズルシャフト17Aと、ノズルシャフト17Aの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル17Bとを有している。吸着ノズル17Bにはノズルシャフト17Aを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル17Bは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。吸着ノズル17Bは、本開示の「接触部」の一例である。
【0037】
なお、ここではインライン型のヘッドユニット12を例に説明するが、ヘッドユニット12は例えば複数の実装ヘッド17が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
【0038】
(部品実装装置1の電気的構成)
次に、部品実装装置1の電気的構成を、図3を参照して説明する。部品実装装置1は制御部30及び操作部31を備えている。制御部30は演算処理部32、モータ制御部33、記憶部34、画像処理部35、外部入出力部36、フィーダ通信部37などを備えている。
【0039】
演算処理部32はCPU等により構成されている。演算処理部32は、記憶部34に記憶されている制御プログラムを実行することによって部品実装装置1の各部を制御する。
【0040】
モータ制御部33は演算処理部32の制御の下でX軸サーボモータ38、Y軸サーボモータ39、Z軸サーボモータ40、R軸サーボモータ41、コンベア駆動モータ42などの各モータを回転させる。
【0041】
本実施形態では、モータ制御部33は、Z軸サーボモータ40に供給される電流値を用いて、Z軸サーボモータ40をフィードバック制御する。Z軸サーボモータ40の電流値は電流センサにより検知される。また、Z軸サーボモータ40のロータの回転位置はエンコーダにより検知される。
【0042】
記憶部34は、RAM、ROM、HDD等により構成されている。記憶部34には、生産プログラムや部品データを含む各種のデータが記憶されている。具体的には、各種のデータには、生産が予定されている基板Pの生産枚数や品種に関する情報、部品Eの実装座標や実装角度に関する情報、部品Eの実装順序に関する情報等が含まれる。
【0043】
画像処理部35は部品撮像カメラ15や基板撮像カメラ16から出力される画像信号が取り込まれるように構成されており、出力された画像信号に基づいてデジタル画像を生成する。
外部入出力部36はいわゆるインターフェースであり、部品実装装置1の本体に設けられている各種センサ類44から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部36は演算処理部32から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類45に対する動作制御を行うように構成されている。
【0044】
フィーダ通信部37はフィーダ3Aに接続されており、フィーダ3Aを統括して制御する。
操作部31は液晶ディスプレイなどの表示部31Aや、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力部31Bを備えている。オペレータは操作部31を操作して各種の設定などを行うことができる。
【0045】
(サーボ系エラー)
本実施形態の部品実装装置1の制御部30は、図5に示すように、Z軸サーボモータ40に関するサーボ系エラーが生じた場合に(S10)、少なくとも動作テスト処理(S12)と、復帰可否判定処理(S14,S16)と、を実行する。
【0046】
(サーボ系エラー)
サーボ系エラーは、例えば、オーバーカレントエラー、速度エラー、パワー素子エラー、エンコーダエラーなどを含む。サーボ系エラーが発生すると、制御部30は、サーボ系エラーが発生したZ軸方向の座標区間(以下、エラー発生区間という)を取得するようになっている。
【0047】
オーバーカレントエラーは、Z軸サーボモータ40に供給される電流値が所定の閾値を超えることにより起こる。これは、Z軸サーボモータ40に過電流が流れると、Z軸サーボモータ40やモータ制御部33が故障するおそれがあるためである。
【0048】
例えば、図4の左側部分に示すように、吸着ノズル17Bにより部品Eが実装される際、実装位置にすでに部品Eがあった場合、部品Eの上にさらに部品Eが搭載される。このような搭載を、以下、2重搭載という。2重搭載は、例えば、生産プログラムの不備等により起こる場合がある。2重搭載がされる際、部品Eを吸着している吸着ノズル17Bは、予め指定された下降量だけ下方に下降する前に、基板P上の部品Eに干渉する。これにより、吸着ノズル17Bには大きな荷重がかかり、Z軸サーボモータ40の回転が止まってしまう。この状態で、制御部30はZ軸サーボモータ40を無理に回転させて、吸着ノズル17Bを下降させようとする。したがって、Z軸サーボモータ40に過大な電流を供給することとなり、オーバーカレントエラーが発生する。なお、本実施形態では、Z軸サーボモータ40の電流と吸着ノズル17Bにかかる荷重との関係は、予め実験等により求められ、記憶部34等に記憶されている。
【0049】
速度エラーは、吸着ノズル17Bの昇降速度に関するエラーである。例えば、生産プログラムにおいて、吸着ノズル17Bを低速で昇降させる、あるいは停止させることになっている場合に、昇降速度が異常に大きくなった場合に、速度エラーが発生する。
【0050】
パワー素子エラーは、Z軸サーボモータ40の電流値を制御するためのパワー素子に関するエラーである。パワー素子は、モータ制御部33を構成する制御基板に含まれる。例えば、パワー素子に過電流が流れた場合に、パワー素子エラーが発生する。
【0051】
エンコーダエラーは、Z軸サーボモータ40のエンコーダの配線が断線すること等により発生する。
【0052】
上記のサーボ系エラーは、例えば、Z軸サーボモータ40の故障や、モータ制御部33の制御基板の破損等に起因する場合がある。この場合、各部材の修理や交換等、作業者による処置が必要となる。しかしながら、サーボ系エラーが1回発生した後、サーボ系エラーが発生しなくなる場合もある。例えば、前回の生産から時間的な間隔が空いて生産がされる場合、軸が固着している場合がある。軸が固着していると、最初に吸着ノズル17Bを昇降させる際の負荷が大きくなり、オーバーカレントエラーが発生する場合がある。そして、その次に吸着ノズル17Bを昇降させる際には大きな負荷がかからず、オーバーカレントエラーが発生しない場合がある。すなわち、1回サーボ系エラーが発生して以降は、サーボ系エラーが再現しない場合がある。さらに言い換えると、サーボ系エラーが1回性のものである場合がある。
【0053】
上記した軸の固着によるオーバーカレントエラーの他、例えば、制御基板の接触不良等に起因するサーボ系エラー等も1回性である場合がある。サーボ系エラーが1回性である場合、特に作業者による処置を必要とすることなく、生産を再開することができる。
【0054】
本実施形態の部品実装装置1においては、サーボ系エラーが発生した場合、このサーボ系エラーの再現性について判断される。そして、サーボ系エラーが1回性のものであると判断された場合には、自動で生産が再開されるようになっている。これにより、作業者が手動で生産を再開させる手間を省くことができる。
【0055】
(動作テスト処理)
図4の右側部分に示すように、動作テスト処理では、制御部30は、エラー発生区間が含まれるように、Z軸サーボモータ40により吸着ノズル17BをZ軸方向に移動させる。この際、吸着ノズル17Bの移動は、Z軸方向におけるPTP(Point To Point)動作により行われる。サーボ系エラーが発生した際に吸着ノズル17Bが部品Eを吸着していた場合、制御部30は、吸着ノズル17Bが部品Eを吸着した状態で、動作テスト処理を実行する。
【0056】
(退避処理)
サーボ系エラーが発生した状況によっては、動作テスト処理を行う際、吸着ノズル17Bまたは吸着ノズル17Bに吸着された部品Eが他の部材に干渉することがありうる。このような場合、動作テスト処理の前に、吸着ノズル17Bを退避させる退避処理(図5のS11)が実行されることが好ましい。例えば、2重搭載によりサーボ系エラー(より詳細には、オーバーカレントエラー)が発生した場合等には、図4の中央部分に示すように、吸着ノズル17Bを所定の退避位置に退避させる退避処理が行われる。退避位置は、サーボ系エラーが発生した位置から少なくともX軸方向及びY軸方向のうちのいずれかの方向にずれている。また、退避位置は、サーボ系エラーが発生した位置から上方(Z軸方向の正方向)にずれていてもよい。退避位置においては、エラー発生区間を含んで吸着ノズル17BをZ軸方向に移動させる際、吸着ノズル17Bに吸着された部品Eが他の部材(例えば、基板Pや基板P上の部品E)に干渉しないようになっている。すなわち、退避処理の後で動作テスト処理を行うことにより、動作テスト処理の間、吸着ノズル17Bまたは吸着ノズル17Bに吸着された部品Eが他の部材に干渉しないことが担保される。
【0057】
動作テスト処理の前に退避処理が実行されるか否かは、例えば、動作テスト処理において、吸着ノズル17Bまたは吸着ノズル17Bに吸着された部品Eが干渉しうる干渉物の有無により、決定されてもよい。ここでいう干渉物とは、例えば、部品E(2重搭載の場合)、基板Pの反りによる凸部等がありうる。例えば、制御部30は基板撮像カメラ16の撮像画像等から干渉物の有無を判断し、干渉物があると判断された場合には、退避処理を実行することを決定してもよい。そして、干渉物がないと判断された場合には、制御部30は退避処理を実行しないことを決定してもよい。例えば、軸の固着等や制御基板の接触不良等によりサーボ系エラーが発生した場合には、干渉物がない場合がありうる。また、動作テスト処理の前には、干渉物の確認等を行わず、常に退避処理が実行されるように構成してもよい。
【0058】
(復帰可否判定処理)
復帰可否判定処理では、制御部30は、動作テスト処理によりサーボ系エラーが生じたか否かによって、生産を再開可能であるか判定する。動作テスト処理によりサーボ系エラーが発生した場合には、サーボ系エラーに再現性があることが考えられる。このサーボ系エラーの要因としては、例えば、ノズルシャフト17Aの曲がりや、Z軸サーボモータ40の故障、制御基板の破損等がありうる。このような再現性のあるサーボ系エラーを解消するには、作業者による部材の交換、修理等が必要になると考えられる。したがって、本実施形態では、動作テスト処理によりサーボ系エラーが生じた場合には(図5のS13:YES)、制御部30は、生産を再開不可能であると判定し(S14)、生産を停止する(S15)。生産が停止された場合には、表示部31Bにエラーメッセージが表示されてもよい。また、作業者が携帯する端末にエラーメッセージが送信されてもよい。
【0059】
動作テスト処理によりサーボ系エラーが生じない場合には、少なくとも上記のような再現性が見られないため、最初のサーボ系エラーは1回性のものであると考えられる。1回性のサーボ系エラーの要因としては、例えば、軸の固着や制御基板の接触不良等が考えられる。ただし、退避処理が実行された場合には、最初のサーボ系エラーが例えば干渉物によるオーバーカレントエラーである可能性も残っている。そこで、本実施形態では、動作テスト処理によりサーボ系エラーが生じない場合には(S13:NO)、制御部30は、生産を再開可能であると暫定的に判定する(S16)。
【0060】
生産が再開可能と判断された場合には、生産が再開される(S17)。最初のサーボ系エラーが軸の固着等に起因する1回性のものであった場合、生産再開後には最初のサーボ系エラーと同一のサーボ系エラーは生じないはずである。よって、制御部30は、生産再開後、サーボ系エラーが生じない場合(S18:NO)、生産を続行することができる(S19)。
【0061】
一方、生産再開後、再びサーボ系エラーが発生した場合には(S18:YES)、制御部30は、生産を再開することが不可能であると判定し(S14)、生産を停止する(S15)。例えば、最初のサーボ系エラーが干渉物によるものである場合には、最初と同様にサーボ系エラーが発生する。この場合、作業者が直接、サーボ系エラーの要因を取り除くことにより、生産を再開することとなる。
【0062】
なお、生産再開後、再びサーボ系エラーが発生した場合(S18:YES)であって、このサーボ系エラーがオーバーカレントエラーである場合には、S14に移行するのではなく、図6に示すオーバーカレントエラー復帰処理が実行されてもよい。
【0063】
(オーバーカレントエラー復帰処理)
オーバーカレントエラー復帰処理では、まず部品Eの実装位置が基板撮像カメラ16により撮像される(図6のS20)。基板撮像カメラ16の撮像画像を画像処理することにより、部品Eの実装位置に異物があるか否かが判定される(S21)。異物は、例えば意図せず落下した部品E等である。異物があると判定された場合には(S21:YES)、制御部30は生産再開が不可能であると判定し(S22)、生産を停止する(S23)。この場合、作業者が異物を除去する等の処置を行うこととなる。
【0064】
部品Eの実装位置に異物が確認されなかった場合(S21:NO)、実装位置を含む所定の領域について基板Pの高さが測定される(S24)。基板Pの高さの測定は、例えばレーザー光を用いた測定機器により行われる。実装位置における基板Pの高さと、実装位置の周辺の基板Pの高さと、を比較することにより、実装位置における基板Pの反りの有無を検知することができる。実装位置において実装位置の周辺よりも基板Pの高さが高くなっている場合には、基板Pが反っていると判断することができる。基板Pの反りがあった場合には(S25:YES)、制御部30は生産再開が不可能であると判定し(S22)、生産を停止する(S23)。この場合、作業者が基板Pの交換等の処置を行うこととなる。
【0065】
また、図6のフローとは異なり、基板Pの反りがあった場合でも、基板Pの反りの大きさが所定の目標値よりも小さく、基板Pに要求される平坦度に適合する場合には、生産を続行してもよい。詳細には、基板Pの反り量を差し引いた下降量だけ部品Eを下降させることによって、オーバーカレントエラーを発生させないようにして、部品Eを実装してもよい。
【0066】
基板Pの反りがなかった場合(厳密には、基板Pの反りが略ゼロである場合)には(S25:NO)、制御部30は部品Eの厚さ(Z軸方向の寸法)を測定する(S26)。部品Eの厚さの測定は、例えばヘッドユニット12に設けられるサイドビューカメラにより側方から部品Eを撮像した撮像画像に基づいて行われる。部品Eの厚さの測定値が記憶部34に記憶された部品データの中の部品Eの厚さと一致しない場合(S27:NO)、部品データが誤っているということになるから、制御部30は部品データの部品Eの厚さを測定値へと修正する(S28)。そして、部品Eの厚さを考慮して、吸着ノズル17Bの下降量を修正する(S29)。これにより、部品Eの押し込みすぎによるオーバーカレントエラーは解消され、生産を続行することができると考えられる。
【0067】
一方、部品Eの厚さの測定値が記憶部34に記憶された部品データの中の部品Eの厚さと一致する場合には(S27:YES)、制御部30は生産再開が不可能であると判定し(S22)、生産を停止する(S23)。この場合、異物や基板Pの反り、部品データの誤り以外の要因により、オーバーカレントエラーが発生していると考えられる。よって、作業者によりエラーの要因についての検討が行われる必要がある。
【0068】
(実施形態1の作用効果)
(1-1)実施形態1にかかる部品実装装置1は、部品Eを吸着して基板P上に実装する部品実装装置1であって、部品Eに接触する接触部(吸着ノズル17B)と、接触部を第1方向(Z軸方向)に移動させるサーボモータ(Z軸サーボモータ40)と、を備える駆動装置(ヘッドユニット12)と、制御部30と、を備え、制御部30は、サーボモータに関するサーボ系エラーが生じた場合に、少なくとも第1方向におけるエラー発生区間を含んで接触部を第1方向に移動させる動作テスト処理と、動作テスト処理によりサーボ系エラーが生じない場合には、生産を再開可能であると判定する復帰可否判定処理と、を実行する。
【0069】
このような構成によると、動作テスト処理によりサーボ系エラーの再現性を確認することにより、自動で生産を再開可能であるかの判定を行うことができる。
【0070】
(1-2)実施形態1では、制御部30は、動作テスト処理により接触部もしくは接触部に接触する部品Eに干渉する干渉物がある場合には、動作テスト処理を行う前に、接触部を移動させ、接触部もしくは接触部に接触する部品Eが干渉物に干渉することを防止する退避処理を実行してもよい。
【0071】
このような構成によると、退避処理が実行されることで、接触部もしくは接触部に接触する部品Eが干渉物に干渉することを抑制することができる。
【0072】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図7及び図8を参照しつつ説明する。なお、実施形態2において、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。実施形態2では、実施形態1と異なり、図7に示す低荷重モード移行判定が行われる。
【0073】
本実施形態では、図5のフローにおいて、動作テスト処理によりサーボ系エラーが発生せず(図5のS13:NO)、生産再開可能と判定された場合に(S16)、制御部30は低荷重モード移行判定を実行する。図7に示すように、低荷重モード移行判定では、まず、最初のサーボ系エラー(図5のS10)がオーバーカレントエラーであるかが判定される(S30)。最初のサーボ系エラーがオーバーカレントエラーである場合(S30:YES)、通常の生産が行われる通常モードから低荷重モードに移行する(S31)。最初のサーボ系エラーがオーバーカレントエラーでない場合(S30:NO)、低荷重モードには移行せず、低荷重モード移行判定が終了する。そして、通常の生産条件で、生産が再開される(図5のS17)。
【0074】
(閾値変更処理)
低荷重モードにおいては、オーバーカレントエラーが発生するZ軸サーボモータ40の電流値の閾値の大きさ(絶対値)が初期値よりも一時的に小さく変更される閾値変更処理が実行される(S32)。閾値変更処理において新たに設定される閾値は、図8に示すフローにより決定される。Z軸サーボモータ40の電流値は、生産中、定期的に電流センサにより検知され、ROMに保持されるようになっている。正常生産時においては、オーバーカレントエラーは発生していないから、ROMに保持された正常生産時の電流値の最大値(最大電流値)は予め設定された所定の閾値(閾値の初期値)よりも小さくなっている。また、動作テスト処理時のZ軸サーボモータ40の電流値は、RAMに一時的に保持されるようになっている。動作テスト処理後、サーボ系エラーが発生せず、生産再開可能と判定されているから、動作テスト処理時のZ軸サーボモータ40の最大電流値も同様に閾値の初期値より小さくなっている。
【0075】
閾値変更処理では、動作テスト処理時の電流値が、ROMに保持された正常生産時の最大電流値よりも大きいか判定がなされる(S40)。動作テスト処理時の電流値が正常生産時の最大電流値よりも大きい場合には(S40:YES)、制御部30は動作テスト処理時の最大電流値を新たな閾値として設定する(S41)。詳細には、RAMに一時保存された動作テスト処理時の最大電流値がROMに新たな閾値として保存される。動作テスト処理時の電流値が正常生産時の最大電流値以下である場合には(S40:NO)、制御部30は正常生産時の最大電流値を新たな閾値として設定する(S42)。
【0076】
(復帰生産処理)
図7に示すように、閾値変更処理の後には復帰生産処理が実行される(S33)。復帰生産処理では、任意の数の生産が行われる。ここで、生産の数とは、生産される基板Pの枚数であってもよく、対象の吸着ノズル17Bで部品Eの実装動作を行う回数であってもよい。復帰生産処理は、上記のようにZ軸サーボモータ40の電流値の閾値が初期値よりも小さく設定された状態で行われるため、通常モードよりも低い荷重でオーバーカレントエラーが発生する。すなわち、正常生産時よりもオーバーカレントエラーが発生しやすくなる。
【0077】
復帰生産処理では、制御部30は、吸着ノズル17Bを正常生産時よりも遅い任意の速さ(例えば、正常生産時の速さの10%、70%等)で動かしてもよい。これにより、部品Eの搭載時にかかる衝撃を小さくすることができる。よって、部品Eの破損を抑制することができる。
【0078】
復帰生産処理のいずれかの生産において、サーボ系エラーが発生した場合には(S34:YES)、制御部30は生産再開が不可能であると判定し(S35)、生産を停止する(S36)。これにより、復帰生産処理において部品Eの搭載時に2重搭載や異物の干渉が起こった場合に、ノズルシャフト17Aや吸着ノズル17Bが破損することを予防することができる。また、最初のオーバーカレントエラーの発生時にノズルシャフト17A等が破損した場合、その破損について早期に発見しやすくなる。
【0079】
なお、復帰生産処理のいずれかの生産において、サーボ系エラーが発生した場合(S34:YES)、S35に移行せずに、実施形態1のオーバーカレントエラー復帰処理が実行されてもよい。
【0080】
復帰生産処理の全ての生産において、サーボ系エラーが発生しなかった場合には(S34:NO)、制御部30は閾値を初期値に設定し直し(S37)、低荷重モードを終了する(S38)。そして、通常モードにより、生産が再開される(図5のS17)。
【0081】
(実施形態2の作用効果)
(2-1)実施形態2では、サーボ系エラーがサーボモータ(Z軸サーボモータ40)の電流値が所定の閾値を超えたことに起因している場合に、制御部30は、閾値を小さく変更する閾値変更処理を実行する。
【0082】
このような構成によると、閾値を小さく変更することにより、接触部(吸着ノズル17B)や部品Eに過大な荷重がかかることを回避することができる。
【0083】
(2-2)実施形態2では、制御部30は、復帰可否判定処理を実行して生産を再開可能であると判定した場合に、閾値変更処理と、閾値変更処理後、任意の数の生産を行う復帰生産処理と、を実行し、閾値変更処理では、動作テスト処理時及び正常生産時のサーボモータの電流値の最大値に基づいて閾値が変更される。
【0084】
このような構成によると、復帰生産処理において、接触部や部品Eに過大な荷重がかかることを回避することができる。
【0085】
(2-3)実施形態2では、復帰生産処理では、制御部30は、接触部を正常生産時よりも遅い任意の速さで動かしてもよい。
【0086】
このような構成によると、生産再開時に接触部や部品Eに加わる衝撃を小さくすることができる。
【0087】
<実施形態3>
本開示の実施形態3について、図9を参照しつつ説明する。なお、実施形態3において、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。実施形態3では、実施形態2と同様に閾値変更処理が実行されるが、実施形態3の閾値変更処理は動作テスト処理を行う前に実行される。
【0088】
本実施形態では、図5のフローにおいて、最初のサーボ系エラー発生(S10)の後、動作テスト処理(S12)を実行する前に、制御部30は低荷重モード移行判定を実行する。図9に示すように、低荷重モード移行判定では、サーボ系エラー(図5のS10)がオーバーカレントエラーであるかが判定される(S50)。サーボ系エラーがオーバーカレントエラーである場合(S50:YES)、通常モードから低荷重モードに移行する(S51)。サーボ系エラーがオーバーカレントエラーでない場合(S50:NO)、低荷重モードには移行せず、低荷重モード移行判定が終了する。そして、通常モードにおいて動作テスト処理が実行される(図5のS12)。
【0089】
(閾値変更処理)
低荷重モードにおいては、オーバーカレントエラーが発生するZ軸サーボモータ40の電流値の閾値の大きさ(絶対値)が初期値よりも一時的に小さく変更される閾値変更処理が実行される(S52)。本実施形態では、閾値変更処理において新たに設定される閾値は、ROMに保持された正常生産時の最大電流値に基づいて決定される。例えば、新たな閾値は、正常生産時の最大電流値であってもよいし、正常生産時の最大電流値の1.1倍の数値であってもよい。
【0090】
S52において、閾値が初期値(通常モードの値)よりも小さく設定されるから、続いて行われる動作テスト処理(S12)では、通常モードよりもサーボ系エラーが発生しやすくなる。これにより、動作テスト処理において、吸着ノズル17Bや部品E等が破損することを抑制することができる。
【0091】
変更された閾値は、動作テスト処理(S12)の後、任意のタイミングで初期値に変更されるように構成することができる。例えば、動作テスト処理の後、サーボ系エラーが発生した場合には(S13:YES)、閾値を初期値に変更してもよい。また、動作テスト処理の後、サーボ系エラーが発生しなかった場合には(S13:NO)、閾値を変更した後で生産再開(S17)してもよいし、あるいは、実施形態2の復帰生産処理(S33)に移行してもよい。
【0092】
(実施形態3の作用効果)
(3-1)実施形態3では、制御部30は、動作テスト処理を行う前に、閾値変更処理を実行し、閾値変更処理では、正常生産時のサーボモータ(Z軸サーボモータ40)の電流値の最大値に基づいて閾値が変更される。
【0093】
このような構成によると、動作テスト処理の前にサーボモータの電流値の閾値が小さく変更されるため、動作テスト処理において、サーボモータの電流値が閾値を超えやすくなり、サーボ系エラーが発生しやすくなる。よって、装置の故障等を検出しやすくなる。また、接触部(吸着ノズル17B)や部品Eに過大な荷重がかかることを回避することができる。
【0094】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態1~3及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0095】
・上記実施形態1~3では、サーボモータとしてZ軸サーボモータ40が例示されたが、本開示のサーボモータは、例えば、X軸サーボモータ、Y軸サーボモータ、コンベア搬送モータ、バックアップ装置の昇降モータ等であってもよい。
【0096】
・上記実施形態1~3では、接触部として吸着ノズル17Bが例示されたが、接触部は部品または基板に接触(支持、保持等を含む)するものであって、サーボモータを含む駆動装置に設けられるものであればよい。例えば、接触部は基板を支持するバックアップ装置のバックアップピンや、基板を搬送する搬送コンベアのコンベアベルト等であってもよい。ここで、バックアップピンは昇降モータによりZ軸方向に移動する。コンベアベルトの基板に接触する部分はコンベア駆動モータによりX軸方向に移動する。
【符号の説明】
【0097】
1:部品実装装置
3:テープ部品供給装置、3A:フィーダ
10:基台、11:搬送コンベア、11A,11B:コンベアベルト
12:ヘッドユニット、13:ヘッド搬送部、13A:ビーム、13B:Y軸ガイドレール、15:部品撮像カメラ、16:基板撮像カメラ、17:実装ヘッド、17A:ノズルシャフト、17B:吸着ノズル
20:バックアップ装置、22:上部プレート、23:下部プレート、25:支柱、26:昇降機構、26A:ボールねじ、26B:ボールナット、26C:ベルト、50:バックアップピン
30:制御部、31:操作部、31A:表示部、31B:入力部、32:演算処理部、33:モータ制御部、34:記憶部、35:画像処理部、36:外部入出力部、37:フィーダ通信部、38:X軸サーボモータ、39:Y軸サーボモータ、40:Z軸サーボモータ、41:R軸サーボモータ、42:コンベア駆動モータ、43:昇降モータ、44:センサ類、45:アクチュエータ類
A:作業位置、E:部品、P:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9