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特開2024-172788内燃機関および内燃機関の排気ガス温度と過給圧を同時に調整する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172788
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】内燃機関および内燃機関の排気ガス温度と過給圧を同時に調整する方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 43/00 20060101AFI20241205BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20241205BHJP
   F01N 3/22 20060101ALI20241205BHJP
   F01N 3/033 20060101ALI20241205BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F02D43/00 301T
F01N3/24 N
F01N3/22 311B
F01N3/22 311Z
F01N3/24 E
F01N3/24 T
F01N3/033 K
F02D45/00 360A
F02D45/00 364E
F02D43/00 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090754
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】592007771
【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ティール
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
3G384
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB04
3G091AB13
3G091BA04
3G091BA14
3G091CB07
3G091EA06
3G091EA17
3G091HA16
3G091HB01
3G091HB06
3G190AA12
3G190BA11
3G190CA01
3G190CB19
3G190CB26
3G190EA12
3G190EA23
3G384AA03
3G384BA07
3G384BA36
3G384DA14
3G384FA11
3G384FA45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内燃機関の効率損失を最小限に抑えて排気ガス温度を迅速に調整可能にする内燃機関を提供する。
【解決手段】1.内燃機関および内燃機関の排気温度と過給圧を同時に制御する方法。
2.排気ダクト(8)内に配置されたタービン(19)および吸気ダクト(4)内に配置された圧縮機(18)とを備えた排気ガスターボチャージャ(17)と、内燃機関の排気ガス質量流量の少なくとも一部をタービン(19)を通過させることができるバイパス弁(13)と、排気ガス通路(8)においてタービン(19)およびバイパス弁(13)の下流に配置された排気フラップ(15)とを有する内燃機関。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスダクト(8)内に配置されたタービン(19)と吸気通路(4)内に配置された圧縮機(18)とを有する排気ガスターボチャージャー(17)と、
内燃機関の排気ガス質量流量の少なくとも一部をタービン(19)を通過させることができるバイパス弁(13)と、
タービン(19)および排気ガスダクト(8)内に配置されたバイパス弁(13)の下流側の排気フラップ(15)と、
を有することを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
排気ガスダクト(8)が粒子フィルタ(24)およびSCR触媒コンバータ(26)を備えた排気ガス後処理装置(16)を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃エンジン。
【請求項3】
吸気通路(4)と排気ガス通路(8)が内燃機関(1)の燃焼室(3)を介してのみ互いに流体連通していることを特徴とする請求項2に記載の内燃エンジン。
【請求項4】
下記のステップで構成される、内燃機関、特に請求項1~3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気ガス温度と過給圧とを同時に制御する方法:
(V10)実際の過給圧(P_6_Ist)を決定し、
(V20)実際の排気ガス温度(T_15_Ist)を決定し、
(V30)目標過給圧(P_6_Soll)を決定し、
(V40)目標排気ガス温度範囲を決定し、
(V50)非線形モデル予測コントローラー(MPC)を用い、実際の過給圧(P_6_Ist)、実際の排気ガス温度(T_15_Ist)、目標過給圧(P_6_Soll)および目標排ガス温度範囲を関数にして、内燃機関(1)の排気ガス質量流量の少なくとも一部が排気ガスターボチャージャ(17)のタービン(19)を通過するように案内するバイパス弁(13)の操作量(ζ_WG)と、排気フラップ(15)の操作変数(ζ_AK)とを同時に決定し,
(V60)バイパス弁(13)の操作量(ζ_WG)と排気フラップ(15)の操作量(ζ_AK)とを調整する。
【請求項5】
上記非線形モデル予測コントローラー(MPC)はバイパス弁(13)の変数(ζ_WG)および排気フラップ(15)の操作変数(ζ_AK)の関数で後の時点での過給圧(P_6_pred)を予測し、上記非線形モデル予測コントローラー(MPC)はバイパス弁(13)の操作変数(ζ_WG)および排気フラップ(15)の操作変数(ζ_AK)を関数としての後の時点での排気ガス温度(T_15_pred)を予測し、上記非線形モデル予測コントローラー(MPC)は目標過給圧(P_6_Soll)と下流時点での予測過給圧(P_6_pred)の差および目標排気温度範囲と下流時点での予測排気ガス温度(T_15_pred)との差を関数としてメリット関数を最小化する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記非線形モデル予測コントローラ(MPC)が下記:
内燃機関(1)の排気ガスターボチャージャ(17)の最高速度(n_17_max)、
内燃機関(1)の最大排気ガス圧力(P_10_max)、
内燃機関(1)の排気ガスダクト(8)内の最高排気ガス温度(T_10_max)、
内燃機関(1)の排気ガスターボチャージャ(17)のタービン(19)の最高排気ガス温度(T_19_max)、
内燃機関(1)の燃焼室(3)内の最小燃空比λ_min、および
排気フラップ(15)の最大操作量(ζ_AK_max)
の少なくとも1つの二次的条件を考慮してメリット関数を最小化する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
排気ガスフラップ(15)の最大操作量(ζ_AK_max)が予測排気ガス温度(T_15_pred)の関数として決定され、ここで、予測排気ガス温度(T_15_pred)が目標排気ガス温度範囲を下回る場合には、排気フラップ(15)の最大操作量(ζ_AK_max)は排気ガスフラップ(15)が最大まで閉じられる最大動作変数(ζ_AK_1)に設定され、予測排気ガス温度(T_15_pred)が目標排気ガス温度範囲以上である場合には、最小操作量(LAK_O)に設定されるか、または排気ガスフラップ(15)の最大操作量(ζ_AK_max)は排気ガスフラップ(15)が完全に開いた状態に設定される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
目標排気ガス温度範囲が目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度(T_15_min)を決定することによって決定される請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粒子フィルタ(24)の実際の温度および/または粒子フィルタ(24)の実際の煤量の関数として排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度(T_15_min)、内燃機関の粒子フィルタ(24)の最低温度(T_24_min)を決定し、SCR触媒コンバータ(26)のアンモニア負荷の関数として内燃機関(1)のSCR触媒コンバータ(26)の最低温度(T_26_min)を決定し、SCR触媒コンバータ(26)の最大温度勾配(dT26_max)の関数として内燃機関(1)のSCR触媒コンバータ(26)の最高温度(T_26_max)を決定し、SCR計量システム(25)の必要な還元剤質量流量の関数として内燃機関(1)のSCR計量システム(25)の最低温度(T_25_min)を決定する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度(T_15_min)を決定するために内燃機関(1)の粒子フィルタ(24)の最低温度(T_24_min)から内燃機関(1)のSCR触媒コンバータ(26)の最低温度(T_26_min)および内燃機関(1)のSCR計量システム(25)の最低温度(T_25_min)の最大値との比較値を求め、必要に応じて、排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度(T_15_min)を上記比較値と内燃機関のSCR触媒コンバータ(26)の最高温度からの最小値に設定する請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関と、内燃機関の排気温度と過給圧を同時に制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、特にディーゼルエンジンは有害排気ガス、特に窒素酸化物と煤粒子を排出するため、近年その最大許容排出量の制限値が世界的に厳しくなってきている。そのため内燃機関からの排出物を削減するために内燃機関には定期的に排気ガスを後処理するシステムが組み込まれている。特に、排気ガスの後処理システムには煤粒子を除去するための粒子フィルタと窒素酸化物を除去するためのSCR触媒コンバータ(SCR、Selective Catalytic Reduction、選択的触媒還元)を含むことができる。
【0003】
粒子フィルターとSCR触媒コンバーターは両方とも特定の動作温度で機能する。これらコンポーネントの温度は主としてエンジンから供給される排気ガスの温度によって決まる。
【0004】
[特許文献1](ドイツ特許第DE 10 2005 004 880 B4号公報)には内燃機関の排気ガス温度を制御する方法が記載されている。この特許では混合気内の所定の最高排気ガス温度を超えると燃焼空気比が連続または数回に分けて下限値まで段階的に低下し、制限値に達するとシリンダーの充填量が連続的または数段階に減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許第DE 10 2005 004 880 B4号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、内燃機関の効率損失を最小限に抑えて排気ガス温度を迅速に調整可能にする内燃機関を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、内燃機関の排気ガス温度と過給圧を同時に制御し、それによって内燃機関を高効率かつ迅速に調整可能にする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、排気通路に配置されたタービンと吸気通路に配置された圧縮機とを有する排気ガスターボチャージャと、内燃機関の排気ガスの少なくとも一部を上記タービンを通過させるバイパス弁と、タービンおよびバイパス弁の下流の排気ガスダクト内に配置された排気フラップとを備えた内燃エンジンを提供する。
【0008】
内燃エンジンは排気ガス温度を調整するのに使用可能な2つのアクチュエーターが排気ガスダクト内に有している。その第1番目のアクチュエータは排気フラップである。この排気フラップを閉じると排気ダクト内を流れる排気ガスの流れ抵抗が生じ、排気ガス背圧が増加する。その結果、排気ガスターボチャージャーの圧縮機の性能が低下し、排気ガス流量が低下する。それにより吸気ポートに供給される過給圧が低下する。過給圧が低下すると内燃エンジンを流れる新鮮な空気が少なくなる。従って、内燃機関の燃焼室で燃焼した燃料のエネルギーがより少ないガスに分配される結果、排気ガスはより高い温度に達する。また、排気フラップが閉じると、内燃機関の燃焼室直後の排気ダクト内の排気背圧が増加する。従って、排気ガスバルブの閉鎖は排気ガス背圧の上昇と併せて過給圧の低下をもたらし、その結果、内燃機関のガス交換損失が増大し、内燃機関の効率が低下する。すなわち、排気ガス温度は排気ガスフラップのみで調整できるが、排気ガスフラップを閉じると効率が大幅に低下しする。
【0009】
第2番目のアクチュエータはバイパス弁で、これを介して吸気ポート内の圧縮機によって提供されるブースト圧力を主として調整できる。このバイパス弁を開くと排気ガスターボチャージャのタービンを通過する排気ガスの割合が増加し、圧縮機の出力が下がる。これはブースト圧の低下につながり、それは上記のように排気ガス温度の上昇につながる。バイパス弁を閉じると逆の効果になる。
【0010】
本発明による内燃機関は、内燃機関が大幅な効率損失を受けずに、主としてバイパス弁を介して排気ガス温度の可変限界値まで目標排気ガス温度を調整できるという利点を有する。その後に目標排気ガス温度が目標温度を超えた場合にのみ、バイパス弁によって調整できる排気ガス温度の可変限界値と同様に、内燃機関の効率損失を犠牲にして、排気ガス温度を調整するために排気ガスフラップを使用することもできる。
【0011】
本発明の1つの可能な実施形態では、内燃機関はディーゼル内燃機関として設計することができる。
【0012】
内燃機関の可能な一実施形態では、排気ガスダクトは排気ガス後処理システムを含むことができる。特に、排気ガス後処理システムは既知の排気ガス浄化システムを全て含むことができる。特に、排気ガス浄化システムは化学プロセスをベースにしたものにすることができる。例えば、排気ガス後処理システムは微粒子フィルタおよび/または排気ガスの選択的触媒還元に基づく触媒コンバータ(SCR触媒コンバータ)を含むことができる。
【0013】
本発明の内燃機関の可能なさらに他の実施形態では、吸気チャネルおよび排気ガスチャネルが内燃機関の燃焼室を介してのみ互いに??流体的に接続できる。この場合、内燃機関には例えば排気ガス再循環が存在しない。
【0014】
上記の問題を解決するために、本発明は内燃機関、特に上記種類の内燃機関の排気ガス温度と給気圧力とを同時に制御する方法を提案する。本発明方法は次のステップで構成される:実際のブースト圧力を決定し、実際の排気ガス温度を決定し、目標ブースト圧を決定し、目標排気ガス温度範囲を決定し、内燃機関の排気ガス質量流量の少なくとも一部を排気ガスターボチャージャーのタービンを通過させることができるバイパス弁の操作量と、実際の過給圧、実際の排気ガス温度、目標過給圧および目標排気ガス温度範囲に応じた非線形モデル予測コントローラーによる排気フラップの操作量とを同時に決定し、バイパス弁の操作量と排気フラップの操作量とを調整する。
【0015】
主として排気ガス後処理システムの機能のために規制される排気ガス温度に加えて、内燃エンジンの効率を本質的に最適化するために制御されるもう1つの制御変数はブースト圧力である。
【0016】
既に述べたように、バイパス弁と排気ガスフラップの両方は制御変数である排気ガス温度とブースト圧力に同時に影響を与える。従って、これらは互いに結合した多変数システムである。そのため、2つの制御変数のうちの他方を同時に変更せずに一方の制御変数を調整することは不可能であり、2つの制御変数の大部分は目的が衝突することになる。
【0017】
本発明方法は、特定の目標排気ガス温度ではなく目標排気ガス温度範囲を決定することによって、また、目標排気ガス温度範囲に応じた適切な調整を行うによって上記の目的の矛盾を解決できるという利点を有する。それにより、排気温度と過給圧の同時制御が可能となる。
【0018】
本発明方法の可能な一実施形態では、非線形モデル予測コントローラがバイパス弁の操作量と排気ガスフラップの操作量の関数として、その後の1つまたは複数の時点でのブースト圧力を予測することができる。
【0019】
この非線形モデル予測コントローラはバイパス弁の操作量および排気ガスフラップの操作量の関数として、その後の1つまたは複数の時点での排気ガス温度を予測することができる。
【0020】
非線形モデル予測コントローラーはメリット関数を最小化できる。ここで、メリット関数は1つまたは複数の下流時点における目標ブースト圧力と予測ブースト圧力との差の関数および/または目標排気ガス温度範囲とその後の1つまたは複数の時点における予測排気ガス温度との差の関数である。予測排気温度が目標排気温度範囲内にある場合、目標排気温度範囲と予測排気温度との差はゼロになる。品質関数はコスト関数または品質関数とも呼ばれる。
【0021】
この方法のさらなる改良では、非線形モデル予測コントローラがバイパス弁ブの操作量および排気ガスフラップの操作量の関数として予測期間のブースト圧力を予測することができる。非線形モデル予測コントローラはバイパス弁の操作量と排気ガスフラップの操作量に応じて、予測範囲の排気ガス温度を予測することができる。予測排気温度が目標排気温度範囲内にある場合、目標排気温度範囲と予測排気温度との差はゼロになる。予測範囲は開始時刻tSから終了時刻tS+Tまで時間的に延長される。予測ホライズンの期間はTである。実際の時間t0を開始時間tSとして選択できる。予測範囲には上記の1つまたは複数の下流時点を含めることができる。
【0022】
上記の場合、非線形モデル予測コントローラーは目標ブースト圧と予測期間内の予測ブースト圧の差に応じた1つの関数および/または目標排気ガス温度範囲と予測期間内の予測排気ガス温度との差の関数としてメリット関数を最小化できる。メリット関数は予測期間にわたる所望のブースト圧力と予測ブースト圧力との差の積分関数および/または目標排気ガス温度範囲と予測期間にわたる予測排気ガス温度の差の積分関数にすることができる。
【0023】
本発明の可能な1つの実施形態では、非線形モデル予測コントローラは少なくとも1つの二次的条件、特に、は内燃機関の排気ガスターボチャージャの最大速度、内燃機関の最大排気背圧、内燃機関の排気ガスダクト内の最高排気ガス温度、内燃機関の排気ガスターボチャージャーのタービンにおける最高排気ガス温度、内燃機関の燃焼室内の最小燃空比、排気フラップの最大操作量を少なくとも1つの二次状態として考慮してメリット関数を最小化することができる。
【0024】
排気ガスフラップの操作量は、排気ガスフラップが最大まで閉じられる最大操作量と排気ガスフラップが最大まで開く最小操作量との間の値をとることができ、この値に設定される。
【0025】
排気フラップの最大操作量は、予測される排気ガス温度の関数として決定できる。予測排気温度が目標排気温度範囲を下回っている場合には、排気フラップの最大操作量は排気フラップを最大限に閉じた最大操作量に設定することができる。
【0026】
あるいは、または、それと組み合わせて、排気ガスフラップの最大操作量を、予測排気ガス温度が目標排気ガス温度範囲以上である場合に排気ガスフラップが最大に開かれる最小動作操作量に設定することができる。あるいは、予測された排気温度が目標排気温度範囲以上である場合には、排気フラップの最大操作量を最大動作操作量と最小動作操作量との間の値に設定することができ、この予測された排気ガス温度と排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度との差は最小動作操作量の方向に増加するにつれて値が連続的に減少する。
【0027】
バイパス弁の操作量はバイパス弁が最大限に閉じられる動作の最小操作量と、バイパス弁が最大限に開く動作の最大操作量との間の値をとるか、またはその値に設定することができる。
【0028】
本発明の1つの可能な実施形態では、目標排気ガス温度範囲を決定するために、排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度を決定することができる。目標排気ガス温度範囲は目標最低排気ガス温度より小さな排気ガス温度値までに制限される。従って、排気ガス温度範囲は排気ガス温度値に対して大きすぎる開放間隔と呼ぶことができる。
【0029】
排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度を決定するために、内燃機関の粒子フィルタの最低温度を決定することができる。特に、粒子フィルタの最低温度は粒子フィルタの実際の温度の関数として決定できる。粒子フィルターの実際の温度、温度センサーを使用して測定できる。あるいは、または、それと組み合わせて、粒子フィルタの最低温度は粒子フィルタの実際の煤の量に応じて決定することができる。粒子フィルタの実際の煤量は当業者に公知の方法で測定または決定できる。
【0030】
排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度を決定するために、内燃機関のSCR触媒コンバータの最低温度を決定することができる。特に、内燃機関のSCR触媒コンバータの最低温度はSCR触媒コンバータのアンモニア負荷の関数として決定できる。SCR触媒コンバータのアンモニア負荷は当業者に公知の方法で測定または決定できる。
【0031】
排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度を決定するために、内燃機関のSCR触媒コンバータの最高温度を決定することができる。特に、内燃機関のSCR触媒コンバータの最高温度はSCR触媒コンバータの実際の温度および/またはSCR触媒コンバータの経時的な最大温度勾配の関数として決定することができる。アンモニアスリップはSCR触媒コンバーターの温度勾配を最大値に制限することで回避できる。SCR触媒コンバーターの温度は温度センサーを使用して測定できる。
【0032】
内燃機関のSCR計量システムの最低温度は、排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度を決定するために決定できる。特に、内燃機関のSCR計量システムの最低温度はSCR計量システムの必要な還元剤質量流量の関数として決定できる。SCR投与システムの必要な還元剤質量流量は目標還元剤質量流量とも呼ばれる。
【0033】
排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度は内燃機関の粒子フィルタの最低温度の最大値、内燃機関のSCR触媒コンバータの最低温度および内燃機関のSCR添加システムの最低温度を比較して決定できる。必要に応じて、排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度を内燃機関のSCR触媒コンバータの最高温度と比較して最小値に設定することができる。
【0034】
以下、図面を参照して本発明による内燃機関の実施形態と、内燃機関の排気ガス温度と過給圧とを同時に制御するための本発明方法の一つの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による内燃機関の概略図。
図2図1の内燃機関の排気ガス温度とブースト圧力とを同時に制御するための本発明方法を示す図。
図3】排気フラップの最大操作量ζ_AK_maxを求めるグラフ。
図4図1の内燃機関に実装される制御回路図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1]は燃料質量流量W_Fが機械動力P_mechに変換される本発明による内燃機関1を示している。内燃機関1のクランクケース2は燃料が燃焼される複数の燃焼室3を公知の方法で備えている。図の場合、内燃機関1は4つの燃焼室3を有している。
【0037】
内燃機関1は、燃料燃焼のために個々の燃焼室3に新鮮な空気を供給する吸気ダクト4を含む。吸気ダクト4は吸気マニホールド5の領域で中央通路から4つの個別の流れに分岐し、それぞれが燃焼室3に接続されている。
【0038】
吸気ダクト4中には排気ターボチャージャ17の圧縮機18が配置されている。大気圧P_Oと周囲温度T_Oとを有する環境からの給気が圧縮機18を介して吸入され、圧縮される。大気圧P_Oは大気圧センサーで測定され、周囲温度T_Oは周囲温度センサーで測定される。圧縮機18の直ぐ下流の給気の圧力は値P_18となり、給気の温度は値T_18となる。
【0039】
また、圧縮機18の下流の吸気ダクト4内には給気冷却器7が配置されており、これによって給気を公知の方法で冷却できる。
【0040】
吸気マニホールド5の直前の領域において、吸気ポート4に測定点6があり、ここで、過給圧P_6が過給圧センサーを使用して決定され、給気温度T_6が給気温度センサーを使用して決定され、新鮮な空気の質量流量W_einが吸気マニホールド5に供給される。
【0041】
燃焼室1は燃焼室3内での燃料燃焼の結果として発生した排気ガスの質量流量W_ausを排出することができる排気ガスダクト8を有している。排気ガスダクト8は排気マニホールド9を有し、燃焼室3にそれぞれ接続された各々の流れが集合して中央ダクトを形成する。
【0042】
排気マニホールド9の直後の領域において排気ガスダクト8は中央ダクト内に測定点10を有し、そこで排気ガス圧力P_10が第1の排気ガス圧力センサによって測定でき、排気ガス温度T_10が第1の排気ガス温度センサーによって測定できる。排気圧力P_10は排気背圧とも呼ばれる。排気ガス温度T_10は状況監視装置(Zustandsbeobachters)による他の測定値を使用して間接的に決定することもできる。
【0043】
排気ガスダクト8は測定点10の下流でタービンダクト11とバイパスダクト12とに分岐している。従って、排気ガスの質量流量W_ausはタービンダクト11とバイパスダクト12とに分割され、排気ガス質量流量W_Tはタービンダクト11を流れ、排気ガス質量流量W_WGはバイパスダクト12を流れる。
【0044】
タービンダクト11内には排気ターボ過給機17のタービン19が配置され、このタービン19はシャフト20を介して圧縮機18に接続されている。タービン19はシャフト20を介して圧縮機18を駆動するために既知の方法で排気ガス質量流量W_ausからエネルギーを取り出す。シャフト20の速度n_17は上記状況監視装置を使用してシミュレートすることができ、また、速度センサを使用して測定することもできる。
【0045】
タービン19の直後でのタービン流路11を流れる排気ガス質量流量W_T の圧力は値P_19であり、タービン流路11を流れる排気ガス質量流量W_ Tの温度は値T_19である。
【0046】
バイパス流路12にはバイパス弁13が配置されている。このバイパス弁13はウェストゲートとも呼ばれる。 バイパス弁13はバイパス弁13が最大まで閉じられる最小動作操作量とも呼ばれる閉位置と、バイパス弁13が最大限に開いた開位置との間で連続的に調整できる。最大限に開いたときを最大値と呼ぶこともできる。バイパス弁13のそれぞれの操作量はバイパス弁位置ζ_WGと呼ばれる。バイパス流路12を流れる排気ガスの質量流量W_WGはバイパス弁13を開閉することで調整できる。換言すれば、バイパス弁13を開閉することによってバイパス流路12を流れる排気ガス質量流量W_ausの割合を調整することができる。バイパス弁位置ζ_WGはバイパス弁位置センサー、例えば回転角センサーによって測定される。
【0047】
バイパス弁13の直後でバイパス流路12を流れる排気ガス質量流量W_WGの圧力は値P_13であり、バイパス流路12を流れる排気ガス質量流量W_WGの温度は値T_13である。
【0048】
タービン19の下流およびバイパス弁13の下流でタービン流路11とバイパス流路12は収集点14で一緒になる。排気ガスダクト8の収集点14の下流には排気ガスフラップ15が配置されている。この排気ガスフラップ15は、排気ガスフラップ15が最大限まで閉じられる最大動作変数とも呼ばれる閉位置と、排気ガスフラップ15が最大限に開かれる最小操作操作量とも呼ばれる開放位置との間で連続的に調整できる。排気ガスフラップ15のそれぞれの操作変数は、排気ガスフラップ位置ζ_AKと呼ばれる。この排気ガスフラップ位置ζ_AKは排気ガスフラップ位置センサ、例えば回転角センサによって測定される。
【0049】
排気フラップ15の直前(上流)の領域で排気ガス質量流量はP_15'の圧力値を持ち、これは第2排気ガス圧力センサーによって決定されるか、状況監視装置によってシミュレートされ、また、温度値はT_15'であり、これは第2の排気ガス温度センサーによって測定される。
【0050】
排気ガスフラップ15の直ぐ後ろ(下流)の領域で排気ガスの質量流量は、第3の排気ガス圧力センサーによって決定されるか、上記状況監視装置によってシミュレートされるP_15の圧力値と、第3の排気ガス温度センサーによって測定されるT_15の温度値とを有する。
【0051】
第2の排気圧センサと第3の排気圧センサは組み合わせるか、または交互に使用することができる。 第2の排気ガス温度センサと第3の排気ガス温度センサも組み合わせて使用??するか、代替として使用することができる。
【0052】
この場合、排??気ガスフラップ15の下流に排気ガス後処理装置16が配置される。この排気ガス後処理装置16は排気ガスの粒子、特に煤粒子の質量流を公知の方法で浄化する粒子フィルタ24を含む。この粒子フィルタ24の温度T_24は粒子フィルタ温度センサによって測定するか、または、適切な温度モデルによってシミュレートされる。
【0053】
また、排気ガス後処理装置16は選択的触媒還元による公知の方法で窒素酸化物の排気ガス質量流を浄化するSCR触媒コンバータ26を含む。このSCR触媒コンバータ26の温度T_26は触媒コンバータ温度センサによって測定するか、または、適切な温度モデルによってシミュレートされる。
【0054】
粒子フィルタ24とSCR触媒コンバータ26との間にはSCR添加システム25が配置され、それによって、例えば尿素の形態のアンモニアを排気ガスダクト8またはSCR触媒コンバータ26中に添加することができる。このSCR添加システム25の温度T_25は添加システム温度センサによって測定されるか、または、適切な温度モデルによってシミュレートされる。
【0055】
内燃機関1は制御ユニット21(コンピュータとも呼ばれる)を含み、それによって内燃機関1を制御することができる。この制御ユニット21は内燃機関1の状態ベクトルχを検出するように設計されている。この状態ベクトルχには内燃機関の動力要件からの例えば燃料の質量流量、クランクシャフト速度n_mot、排気ガスターボチャージャー速度n_17、バイパスバルブ位置ζ_WG、排気フラップ位置ζ_AK、空燃比λ、周囲圧力P_0、周囲温度T_0、チャージエアの圧P_18、過給圧P_6、排気ガス圧力P_10、給気温度T_18、給気温度T_6、排気ガス温度T_10、タービンチャンネル11を流れる水の温度T_19、排気ガスの質量流量、バイパスチャネル12を通って流れる排気ガス質量流の温度T_13、粒子フィルター温度T_24、粒子フィルタ24内の煤の質量流量の経過時間、粒子フィルタ24の粒子負荷およびSCR触媒コンバータ26の窒素酸化物負荷を含む1つまたは複数の値を含めることができる。
【0056】
制御ユニット21は上記状況監視装置を使用して状態ベクトルχの1つまたは複数の値を状態ベクトルχのさらなる値の関数としてシミュレートできるように設計することができる。制御ユニット21は排気温度T_15と過給圧P_6を同時に制御することもできる。また、制御ユニット21はバイパスバルブ位置ζ_WGおよび排気ガスフラップ位置ζ_AKを設定するためにスイッチオフされる。
【0057】
図2]は内燃機関の排気ガス温度と過給圧を同時に調整するための本発明による方法の一つの実施形態のフローチャートを示す。ここでは上記内燃機関での方法について説明する。
【0058】
本発明方法のステップV10では、第1の時点t0における実際の過給圧P_6_Istが決定される。この実際の過給圧P_6_Istは過給圧センサーによって測定する。あるいは、この実際のブースト圧P_6_Istは上記状況監視装置を使用して実際の排気ガスターボチャージャ速度n_17_istの関数として決定することもできる。
【0059】
本発明方法のさらなるステップV20では、実際の排気ガス温度が実際の時間t0で決定される。この場合、実際の排気ガス温度は排気ガスフラップ15の後ろで排気ガス後処理システム16の前にある第3の排気ガス温度センサによって決定される。従って、この場合の実際の排気ガス温度は値T_15_Istに対応する。あるいは、実際の排気ガス温度を第2の排気ガス温度センサによって排気ガスフラップ15の直前で直接測定することもできる。この場合の実際の排気ガス温度は値T_15'_Istに相当する。
【0060】
本発明方法のさらなるステップV30では、実際の時点t0に続く時点t0+Tで目標ブースト圧P_6_Sollが決定される。実際の時間t0とその後の時間t0+Tが時間Tの予測範囲(Pradiktionshorizont)を制限する。目標過給圧P_6_Sollはこの予測期間全体に対して決定される。これはクランクシャフト速度n_motおよび/または燃料質量流量W_Fに応じて行うことができる。
【0061】
本発明方法のさらなるステップV40において、排気ガス温度T_15(または排気ガス温度T15')の目標範囲が上記予測期間について決定される。これは目標排気ガス温度範囲とも呼ばれる。この目的のために排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minが決定される。
【0062】
粒子フィルタ24の最低温度T_24_minは目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minを決定するために実時間t0における粒子フィルタ24の実際の煤負荷および/または実時間t0における粒子フィルタ24の実際の温度T_24_istが使用される。
【0063】
目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minを決定するために、実際の時間t0におけるSCR触媒コンバータ26の実際のアンモニア負荷の関数としてSCR触媒コンバータ26の最低温度T_26_minも決定する。
【0064】
目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minを決定するために、実際の時間t0における実際の温度T_26_IstおよびSCR触媒コンバータ26の最大許容温度勾配dT26_maxの関数としてSCR触媒コンバータ26の最高温度T_26_maxも決定する。温度勾配dT26_maxはSCR触媒コンバータ26の平均温度T_26_meanの経時変化を表す。
【0065】
目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minを決定するためにSCR添加システム25の最低温度T_25_minも決定する。これは予測期間中のSCR計量システム25の目標還元剤質量流量の関数として得られる。
【0066】
目標排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minを決定するために、粒子フィルタ24の最低温度T_24_minの最大値からSCR触媒コンバータ26の最低温度T_26_minとSCR投与システム25の最低温度T25_minの比較値を決定する。
【0067】
必要に応じて、排気ガス温度範囲の目標最低排気ガス温度T_15_minを、比較値とSCR触媒コンバータ26の最高温度T_26_maxとから最小値に設定することができる。
【0068】
本発明方法のさらなるステップV50で、バイパス弁13の操作変数ζ_WGおよび排気ガスバルブの操作変数ζ_AKが同時に決定される。これは、実際の過給圧P_6_Ist、実際の排気ガス温度T_15_Ist、目標過給圧P_6_Sollおよび目標排気ガス温度範囲を用いて非線形モデル予測コントローラを使用して行われる。
【0069】
上記非線形モデル予測コントローラーはバイパス弁の操作変数ζ_WGと排気ガスフラップの操作量ζ_AKの関数で予測範囲内の1つまたは複数の下流側の時点でのブースト圧力P_6_predをシミュレートする。この非線形モデル予測コントローラーはバイパス弁13の操作量ζ_WGと排気フラップ15の操作量ζ_AKの関数で予測範囲内の1つまたは複数の下流時点での排気ガス温度T_15_predをシミュレートする。
【0070】
上記非線形モデル予測コントローラーはメリット関数(品質関数)を最小化する。このメリット関数は1つまたは複数の後続の時点における目標ブースト圧P_6_Sollと予測ブースト圧P_6_predとの間の差の関数である。メリット関数は目標排気ガス温度範囲とその後の1つまたは複数の時点における予測排気ガス温度T_15_predとの差の関数でもある。予測排気温度T_15_predが目標排気温度範囲内にある場合、目標排気温度範囲と予測排気温度T_15_predとの差はゼロに設定される。
【0071】
非線形モデル予測コントローラーは以下の制約を考慮して品質関数を最小化する。
【0072】
排気ターボ過給機17の回転数n_17は排気ターボ過給機17の最高回転数n_17_maxを超えてはならない。
【0073】
排気圧力P_10は最大排気背圧P_10_maxを超えてはならない。
【0074】
測定点10の排気ガス温度T_10は排気ガスダクト8内の最高排気ガス温度T_10_maxを超えてはならない。
【0075】
排気ガスターボチャージャ17のタービン19の直後の排気ガス温度T_19は排気ガスターボチャージャ17のタービン19における最高排気ガス温度T_19_maxを超えてはならない。
【0076】
燃焼室3内の燃料/空気比λは最小燃料/空気比λ_minを下回ってはならない。
【0077】
排気フラップ15の操作量ζ_AKは最大操作変数ζ_AK_maxを超えない。この排気ガスフラップ15の最大操作量ζ_AK_maxは予測排気ガス温度T_15_predの関数として決定される。排気フラップ15の最大操作量ζ_AK_maxを最大作動操作量ζ_AK_1に設定した場合、予測排気ガス温度T_15_predが目標排気ガス温度範囲を下回るときに、排気ガスフラップ15が最大限に閉じられる。
【0078】
また、予測排気ガス温度が目標排気ガス温度範囲以上の場合には[図3]の破線で示すように排気フラップ15の最大操作量ζ_AK_maxは排気フラップ15が最大に開かれる最小操作量ζ_AK_Oに設定される。あるいは、[図3]の実線で示すように、予測された排気ガス温度が目標排気ガス温度範囲内またはそれを超えてる場合には、排気フラップ15の最大操作量ζ_AK_maxは最大操作量ζ_AK_1と最小操作量ζ_AK_Oとの間の値に設定できる。この値は予測排気ガス温度T_15_predと目標最低排気ガス温度T_15_minとの差が大きくなるにつれて最小操作操作量の方向に減少していく。
【0079】
本発明方法のさらなるステップV60では、第1のアクチュエータによってバイパス弁13の操作量ζ_WGが設定され、第2のアクチュエータによって排気ガスフラップ15の操作量ζ_AKが設定される。
【0080】
本発明方法は制御ユニット21上で実行される。
【0081】
図4]は本発明方法で使用する制御回路を簡略化して示している。内燃機関1の状態ベクトルχから上記目標排気ガス温度範囲の決定部23によって目標最低排気ガス温度T_15_minが決定され、モデル予測コントローラーMPCに転送される。また、内燃機関1の状態ベクトル2から上記設定過給圧P_6_Sollの決定部23'によって設定過給圧P_6_Sollも決定され、モデル予測コントローラーへ渡される。
【0082】
決定された実際の過給圧P_6_istおよび実際の排気ガス温度T_15_Istがモデル予測コントローラMPCに転送される。このモデル予測コントローラーMPCは実際の過給圧P_6_Ist、実際の排気ガス温度T_15_Ist、目標過給圧P_6_Sollおよび目標最低排気ガス温度T_15_minの目標排気ガス温度範囲の関数でバイパスバルブの操作量ζ_AIG 13と排気フラップ15の操作量ζ_AKとを同時に決定する。
【0083】
充填圧力P_6および排気ガス温度T_15の新しい値は後の時点で制御システム22を用いて取得される。
【符号の説明】
【0084】
1 内燃エンジン
2 クランクケース
3 燃焼室
4 吸引チャンネル
5 吸気マニホールド
6 測定点
7 インタークーラー
8 排気ダクト
9 排気マニホールド
10 測定点
11 タービンダクト
12 バイパスダクト
13 バイパス弁
14 回収ポイント
15 排気フラップ
16 排気後処理装置
17 排気ガスターボチャージャー
18 圧縮機
19 タービン
20 シャフト
21 制御ユニット
22 制御システム
23 決定部
24 粒子フィルター
25 SCR投与システム
26 SCR触媒コンバーター
T_ 温度
P_ 圧力
χ 内燃機関の状態ベクトル
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】