IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

特開2024-172792基板搬送システム、および、基板搬送方法
<>
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図1
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図2
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図3
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図4
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図5
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図6
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図7
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図8
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図9
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図10
  • 特開-基板搬送システム、および、基板搬送方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172792
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】基板搬送システム、および、基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241205BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20241205BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 G
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090761
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】藤森 一夫
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS24
3C707BS15
3C707DS01
3C707ES03
3C707ES17
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS05
3C707KS13
3C707KT03
3C707KT05
3C707KT06
3C707LS09
3C707LS15
3C707LT06
3C707LT12
3C707LV04
3C707LV05
3C707LW12
3C707NS13
5F131AA02
5F131BA12
5F131BA19
5F131BB04
5F131BB23
5F131CA18
5F131CA42
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB58
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD42
5F131DD43
5F131DD74
5F131DD75
5F131DD76
5F131DD86
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA55
5F131KA56
5F131KA73
5F131KB05
5F131KB07
5F131KB32
5F131KB52
(57)【要約】
【課題】基板搬送ロボットによる基板の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減することが可能な基板搬送システム、および、基板搬送方法を提供する。
【解決手段】この基板搬送システム100は、基板搬送ロボット20により搬送される基板210と、基板210が載置される基板載置部30aとの少なくとも一方を検出する撮像部43を備える。そして、基板搬送システム100は、撮像部43による検出結果を入力とし、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する制御部60を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送ロボットと、
前記基板搬送ロボットにより搬送される基板と、前記基板が載置される基板載置部との少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部による前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、前記基板搬送ロボットによる前記基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する制御部とを、備える、基板搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、深層強化学習による機械学習によって前記学習済みモデルを生成する、請求項1に記載の基板搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出結果を入力とし、前記基板搬送ロボットと、前記基板載置部の位置との座標軸を合わせるための教示情報を含む前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、請求項1または2に記載の基板搬送システム。
【請求項4】
前記検出部は、前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方に加えて、前記基板搬送ロボットを検出し、
前記制御部は、前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方の前記検出結果と、前記基板搬送ロボットの前記検出結果とを入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを生成する、請求項1または2に記載の基板搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記基板搬送ロボットの搬送動作を制御するロボット制御部を兼ね、
前記学習済みモデルを用いることによって前記搬送制御情報を取得するとともに、取得された前記搬送制御情報に基づく前記基板の搬送動作を行うことによって、搬送動作におけるずれを補正しながら、前記基板搬送ロボットの搬送動作を制御する、請求項1または2に記載の基板搬送システム。
【請求項6】
前記検出部は、前記基板と、前記基板載置部と、前記基板載置部の位置を示すターゲット部材との少なくとも1つを撮像する撮像部を含み、
前記制御部は、前記検出部による前記検出結果として取得された前記撮像部による撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、請求項1または2に記載の基板搬送システム。
【請求項7】
前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材をさらに備え、
前記撮像部は、前記ターゲット部材を撮像し、
前記制御部は、前記検出結果として取得された前記ターゲット部材を含む前記撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習によって生成する、請求項6に記載の基板搬送システム。
【請求項8】
前記ターゲット部材は、前記学習済みモデルを生成する機械学習において識別されるように、前記撮像画像において所定の形状を有している、請求項7に記載の基板搬送システム。
【請求項9】
前記基板搬送ロボットが配置され、前記基板の搬送が行われる搬送室をさらに備え、
前記撮像部は、前記搬送室に配置されている、請求項6に記載の基板搬送システム。
【請求項10】
前記撮像部は、前記搬送室に配置されている搬送室撮像部と、前記基板搬送ロボットに配置されているロボット撮像部とを含み、
前記制御部は、前記搬送室撮像部による前記撮像画像と、前記ロボット撮像部による前記撮像画像とを入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを械学習により生成する、請求項9に記載の基板搬送システム。
【請求項11】
前記搬送室撮像部は、前記搬送室の上方に配置されている、請求項10に記載の基板搬送システム。
【請求項12】
前記基板搬送ロボットは、前記搬送室において、前記基板が収納される基板収納容器に対する前記基板の搬送動作を行い、
前記撮像部は、前記基板収納容器に収納されている状態の前記基板と、前記基板収納容器において前記基板が載置される前記基板載置部と、前記基板収納容器における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを撮像し、
前記制御部は、前記基板収納容器に収納されている状態の前記基板と、前記基板収納容器において前記基板が載置される前記基板載置部と、前記基板収納容器における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを含む前記撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、請求項9に記載の基板搬送システム。
【請求項13】
前記基板搬送ロボットは、前記基板収納容器と、前記基板に対して処理を行う処理装置に前記基板を受け渡すために前記基板が載置される処理待機部との間における前記基板の搬送動作を行い、
前記撮像部は、前記処理待機部における前記基板載置部に載置されている前記基板と、前記処理待機部における前記基板載置部と、前記処理待機部における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを撮像し、
前記制御部は、前記処理待機部における前記基板載置部に載置されている前記基板と、前記処理待機部における前記基板載置部と、前記処理待機部における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを含む前記撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、請求項12に記載の基板搬送システム。
【請求項14】
前記制御部は、
前記基板搬送ロボットの搬送動作を制御するロボット制御部を兼ね、
前記検出結果を入力とした機械学習による前記学習済みモデルの生成を行う場合に、前記学習済みモデルの学習が完了するまで、前記基板搬送ロボットの動作速度を比較的小さくした状態で搬送動作を制御する、請求項1または2に記載の基板搬送システム。
【請求項15】
基板搬送ロボットにより搬送される基板と、前記基板が載置される基板載置部との少なくとも一方を検出し、
前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、前記基板搬送ロボットによる前記基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する、基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、基板搬送システム、および、基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を搬送する基板搬送方法が開示されている。特許文献1には、基板搬送室に配置された搬送ロボットによって、基板の処理が行われる基板処理室の載置台に対して基板が搬送される基板搬送方法が開示されている。搬送ロボットは、基板が載置されるフォークを有している。また、基板搬送室内には、フォークに載置された基板を検出する位置センサが配置されている。特許文献1に記載の基板搬送方法では、フォークに載置された基板が位置センサにより検出されることによって、フォークに対する基板の位置ずれを補正するように、搬送ロボットによる基板の搬送経路が修正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6640321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板の搬送動作を行う場合には、基板を搬送する搬送ロボットである基板搬送ロボットに対して搬送動作を教示する必要がある。上記特許文献1では、基板を保持するフォークに対する基板の位置ずれが位置センサにより検出される一方で、基板搬送ロボットの搬送動作の教示を人の手によって行う必要がある。そのため、基板載置部の位置などの基板搬送システムの構成ごとに搬送動作の教示を行う必要があるため、基板搬送ロボットに対する搬送動作の教示の手間が作業者にとって負担となると考えられる。そのため、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減することが望まれている。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減することが可能な基板搬送システム、および、基板搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面による基板搬送システムは、基板搬送ロボットと、基板搬送ロボットにより搬送される基板と、基板が載置される基板載置部との少なくとも一方を検出する検出部と、検出部による基板および基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する制御部とを、備える。
【0007】
この開示の第1の局面による基板搬送システムは、上記のように、検出部による基板および基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する。これにより、機械学習により生成された学習済みモデルからの出力に基づいて、基板の搬送動作の制御を自動的に行うことができる。その結果、基板載置部に対する基板の搬送動作の教示を人の手によって行う場合に比べて、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減できる。
【0008】
この開示の第2の局面による基板搬送方法は、基板搬送ロボットにより搬送される基板と、基板が載置される基板載置部との少なくとも一方を検出し、基板および基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する。
【0009】
この開示の第2の局面による基板搬送方法は、上記のように、基板および基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する。これにより、機械学習により生成された学習済みモデルからの出力に基づいて、基板の搬送動作の制御を自動的に行うことができる。その結果、基板載置部に対する基板の搬送動作の教示を人の手によって行う場合に比べて、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減することが可能な基板搬送方法を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、基板搬送ロボットによる基板の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による基板搬送システムが配置されている基板処理システムを示す天面図である。
図2】本開示の一実施形態による基板搬送システムの構成を示すブロック図である。
図3】基板搬送システムの構成を模式的に示した斜視図である。
図4】搬送室に配置された撮像部によりFOUPが撮像された撮像画像の一例を示した図である。
図5】搬送室に配置された撮像部によりロードロック部が撮像された撮像画像の一例を示した図である。
図6】搬送室に配置された撮像部によりアライナが撮像された撮像画像の一例を示した図である。
図7】基板搬送ロボットに配置された撮像部により撮像された撮像画像の一例を示した図である。
図8】学習済みモデルによる搬送制御情報の出力を説明するための図である。
図9】基板載置部に対する基板の位置ずれの一例を示した図である。
図10】基板保持ハンドに対する基板の位置ずれの一例を示した図である。
図11】本実施形態による基板搬送方法を説明するためフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を具体化した本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1から図10までを参照して、本実施形態による基板搬送システム100について説明する。
【0014】
(基板処理システム)
図1に示すように、基板搬送システム100は、基板処理システム200に配置されている。基板処理システム200は、基板210に対して処理を行う処理装置201を備える。処理装置201は、基板搬送ロボット202、ロードロック部203、複数の処理モジュール部204、および、搬送室205を備えている。基板搬送ロボット202は、基板210を搬送する水平多関節ロボットである。ロードロック部203は、基板210の取入れ、および、取出しを行うための部屋である。すなわち、ロードロック部203は、処理装置201に基板210を受け渡すために基板210が載置される。基板処理システム200の処理装置201は、2つのロードロック部203を含む。ロードロック部203は、基板搬送システム100に接続されている。ロードロック部203は、基板210が載置される基板載置部203aを有する。処理モジュール部204では、基板210に対して、レジストの塗布や、エッヂングなどの処理が行われる。搬送室205には、基板搬送ロボット202が配置される。搬送室205において、基板搬送ロボット202は、ロードロック部203と処理モジュール部204との間において基板210を搬送する。なお、ロードロック部203は、処理待機部の一例である。
【0015】
基板搬送システム100は、基板210に対して処理が行われる基板処理システム200において、FOUP101(Front Opening Unify Pod)と処理装置201との間における基板210の搬送を行う。基板搬送システム100は、EFEM(Equipment Front End Module)である。FOUP101は、複数の基板210が収納される容器である。FOUP101は、基板210が載置される基板載置部101aを有する。FOUP101では、複数の基板210が上下方向に並んで配置される。FOUP101は、基板収納容器の一例である。また、基板210は、たとえば、円盤形状を有するシリコンウエハである。
【0016】
(基板搬送システム)
図2に示すように、基板搬送システム100は、搬送室10、基板搬送ロボット20、アライナ30、撮像部40、照明部50、および、制御部60を備えている。基板搬送システム100は、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73を備えている。基板搬送ロボット20は、水平多関節のロボットアーム21と、基板保持ハンド22とを含む。また、撮像部40は、撮像部41、撮像部42、撮像部43、および、撮像部44を含む。撮像部40は、検出部の一例である。
【0017】
図3に示すように、搬送室10は、直方体形状を有する筐体である。搬送室10は、Y1方向側の前面11、Y2方向側の背面12を有する。また、搬送室10は、Z1方向側である鉛直方向の上方側の天面13を有する。搬送室10内において、基板210の搬送が行われる。搬送室10は、基板搬送ロボット20、アライナ30、撮像部40、照明部50、および、制御部60を内部に収容している。搬送室10のY1方向側の前面11には、FOUP101が取り付けられるロードポート部11aが水平方向に沿って並んで3つ配置されている。ロードポート部11aは、開閉機構を有する。ロードポート部11aは、取り付けられたFOUP101の扉部を開閉する。また、搬送室10のY2方向側の背面12には、2つのロードロック部203が接続されている。ロードロック部203と背面12との間にも、開閉機構が配置されている。なお、図3では、3つのロードポート部11aのうちのX1方向側の1つのロードポート部11aにFOUP101が取り付けられている状態を示している。
【0018】
基板搬送ロボット20は、搬送室10に配置されている。基板搬送ロボット20は、搬送室10において基板210の搬送動作を行う。具体的には、基板搬送ロボット20において、ロボットアーム21の先端に基板210を保持するエンドエフェクタである基板保持ハンド22が配置されている。基板搬送ロボット20は、ロードポート部11aに取り付けられたFOUP101と、ロードロック部203との間における基板210の搬送動作を行う。基板搬送ロボット20は、基板保持ハンド22において水平面に沿って基板210を保持した状態で、基板210を搬送する。
【0019】
アライナ30は、基板搬送ロボット20によって搬送された基板210の位置合わせを行う。アライナ30は、搬送室10内において、左右方向であるX方向の一方側であるX2方向側に寄せて配置されている。アライナ30は、基板210が載置される基板載置部30aを有する。アライナ30は、基板載置部30aに載置された基板210を水平面に沿って回転させることによって、基板210の主表面の周方向に沿う回転位置の位置合わせを行う。また、アライナ30は、基板210の中心位置を検出する。
【0020】
基板搬送システム100では、FOUP101から基板搬送ロボット20により保持された処理前の基板210が、アライナ30に搬送される。そして、アライナ30により位置合わせされた基板210が、再度基板搬送ロボット20によりロードロック部203に搬送される。また、処理装置201において処理が行われた後の基板210は、基板搬送ロボット20により、ロードロック部203からFOUP101に搬送される。基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作は、FOUP101の基板載置部101a、ロードロック部203の基板載置部203a、および、アライナ30の基板載置部30aの各々に載置された基板210を取り出すことによって基板210を搬出する動作と、FOUP101の基板載置部101a、ロードロック部203の基板載置部203a、および、アライナ30の基板載置部30aの各々に対して、基板210を載置することによって基板210を搬入する動作との両方を含む。
【0021】
撮像部40は、たとえば、2次元のカメラである。撮像部40の撮像部41、撮像部42、撮像部43、および、撮像部44の各々は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有する。撮像部41、撮像部42、および、撮像部43は、搬送室10の上方に配置されている。撮像部44は、基板搬送ロボット20の基板保持ハンド22に配置されている。具体的には、撮像部41は、搬送室10内の背面12のZ1方向側である上方側において、FOUP101が取り付けられる3つのロードポート部11aに対応するように、3つ配置されている。撮像部41は、FOUP101を撮像する。撮像部42は、搬送室10内の前面11のZ1方向側である上方側において、2つのロードロック部203に対応するように、2つ配置されている。撮像部41は、ロードロック部203を撮像する。撮像部43は、搬送室10内の天面13において、アライナ30の上方に配置されている。撮像部43は、アライナ30を撮像する。撮像部44は、基板保持ハンド22のZ1方向側に配置されている。撮像部44は、基板保持ハンド22と一体的に移動するように、基板保持ハンド22に対して固定されている。なお、撮像部41、撮像部42、および、撮像部43は、搬送室撮像部の一例である。また、撮像部44は、ロボット撮像部の一例である。
【0022】
図4に示すように、撮像部40の撮像により撮像画像80が取得される。図4では、撮像部40のうちの撮像部41によりFOUP101が撮像された撮像画像80の例を示している。撮像部40の撮像部41、撮像部42、撮像部43、および、撮像部44の各々により撮像された撮像画像80は、制御部60に送信される。
【0023】
撮像部41による撮像画像80には、FOUP101に収納される基板210、FOUP101における基板載置部101a、および、ターゲット部材71が含まれる。ターゲット部材71は、FOUP101における基板載置部101aの位置を示す部材である。すなわち、撮像部41は、FOUP101を撮像することによって、FOUP101に収納される基板210、FOUP101における基板載置部101a、および、ターゲット部材71を撮像する。FOUP101では、ターゲット部材71は、たとえば、搬送室10内の前面11において、1つのロードポート部11aに対して、左右方向であるX方向の両側に1つずつ配置されている。
【0024】
図5に示すように、撮像部42によりロードロック部203が撮像された撮像画像80は、ロードロック部203に載置される基板210と、ロードロック部203における基板載置部203aと、ターゲット部材72とを含む。すなわち、撮像部42は、搬送室10の内部からロードロック部203を撮像することによって、ロードロック部203に載置される基板210と、ロードロック部203における基板載置部203aと、ターゲット部材72とを撮像する。ロードロック部203では、ターゲット部材72は、たとえば、搬送室10内の背面12において、ロードロック部203の4隅に配置されるように、ロードロック部203に対して、左右方向であるX方向の両側に2つずつ配置されている。
【0025】
図6に示すように、撮像部43によりアライナ30が撮像された撮像画像80は、アライナ30に載置される基板210と、アライナ30における基板載置部30aと、ターゲット部材73とを含む。すなわち、撮像部43は、搬送室10の内部の天面13からアライナ30を撮像することによって基板載置部30aに載置される基板210と、基板載置部30aと、ターゲット部材73とを撮像する。アライナ30では、ターゲット部材72は、たとえば、搬送室10内において、アライナ30における基板載置部30aの4隅に配置されている。
【0026】
また、搬送室10内には、基板搬送ロボット20が配置されているため、撮像部41、撮像部42、および、撮像部43の各々による撮像画像80には、基板搬送ロボット20が含まれる場合がある。図6の例では、基板210を保持した状態の基板保持ハンド22を、アライナ30に近づけるように動作している基板搬送ロボット20が、撮像部43によって撮像された撮像画像80に含まれる例が図示されている。なお、撮像部41、撮像部42、および、撮像部43は、搬送室10において固定された状態で配置されており、撮像部41、撮像部42、および、撮像部43の撮像の対象となる撮像対象領域は固定されている。
【0027】
また、図7に示すように、撮像部44に撮像された撮像画像80は、基板搬送ロボット20の基板保持ハンド22の基端から先端に向かう方向を、撮像方向として撮像された画像である。たとえば、基板搬送ロボット20が、FOUP101の基板210を取り出す動作を行う場合には、撮像部44による撮像画像80には、FOUP101の基板載置部101aと、基板載置部101aに載置されている基板210と、ターゲット部材71とが含まれる。また、撮像部44による撮像画像80では、基板搬送ロボット20の基板保持ハンド22の先端部分が含まれる。撮像部44の撮像方向は、基板保持ハンド22の動作に伴って変更される。
【0028】
図3に示すように、照明部50は、搬送室10において、照明光を照射する。照明部50は、たとえば、照明光として黄色の光を照射するLED(Light-Emitting Diode)を含む。照明部50は、撮像部40による撮像が行われるタイミングにおいて、照明光を照射する。照明部50は、たとえば、搬送室10内の全体に拡散された照明光を照射することによって、撮像部40により撮像される領域に対して照明光を照射する。照明部50は、搬送室10内のZ1方向側である上方側において、X1方向側とX2方向側との側面部の各々に1つずつ配置されている。照明部50による照明光が照射された状態において撮像部40により撮像された撮像画像80が、制御部60に送信される。
【0029】
図1に示すように、制御部60は、機械学習部61を含む。制御部60は、基板搬送システム100の各部の動作を制御する。本実施形態では、制御部60は、基板搬送ロボット20の動作を制御するロボット制御部である。すなわち、制御部60は、ロボットコントローラである。制御部60は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含む。また、制御部60は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などのメモリや、ハードディスクなどの記憶装置も含む。制御部60は、記憶装置に記憶されたプログラムおよびパラメータなどに基づいて、演算装置による制御処理を実行する。本実施形態では、制御部60は、撮像部40による撮像画像80の撮像を制御するとともに、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作の制御を実行する。たとえば、制御部60は、撮像画像80の撮像の制御、後述する機械学習の制御、および、基板210の搬送動作の指令値を生成する制御を行うメインCPUと、メインCPUからの搬送動作の指令値に基づいて、基板搬送ロボット20を動作させるための駆動源となるサーボモータに出力される駆動電流を制御するサーボCPUとを含む。なお、制御部60は、1つのCPUにより構成されていてもよい。
【0030】
(搬送動作の制御)
図8に示すように、本実施形態では、制御部60は、撮像部40による撮像画像80を用いた機械学習により生成された学習済みモデル62に基づいて、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御するための搬送制御情報81を取得する。学習済みモデル62は、撮像部40の撮像部41、撮像部42、撮像部43、および、撮像部44の各々による撮像画像80を入力とし、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御するための搬送制御情報81を出力する。搬送制御情報81は、基板搬送ロボット20と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置との座標軸を合わせるための教示情報を含む。搬送制御情報81は、基板搬送ロボット20の座標軸における、基板210の位置を示す情報と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置を示す情報とを含む。搬送制御情報81は、たとえば、基板搬送ロボット20のロボットアーム21を動作させるための制御量としての指令値を含む。具体的には、搬送制御情報81は、ロボットアーム21の駆動源となるモータの回転角を制御するための指令値を含む。学習済みモデル62は、制御部60の機械学習部61により生成されるとともに、制御部60の記憶装置に記憶される。
【0031】
〈学習済みモデルの生成〉
制御部60は、機械学習部61において、機械学習により、学習済みモデル62を生成する。機械学習部61において、学習済みモデル62は、撮像画像80を入力として搬送制御情報81を出力するように、深層強化学習による機械学習によって生成される。機械学習部61は、たとえば、深層学習を用いた強化学習であるDQN(Deep Q―Network)による機械学習を行う。深層強化学習において、機械学習部61は、撮像画像80に基づく繰り返しの試行により搬送制御情報81を学習することによって学習済みモデル62を生成する。
【0032】
深層強化学習では、制御部60は、たとえば、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの各々の中心位置に基板保持ハンド22の中心位置が配置されている状態の撮像画像80、または、載置された基板210の中心位置を基板保持ハンド22が保持している状態の撮像画像80などを、目標となる教示画像として予め取得している。そして、制御部60の機械学習部61による深層強化学習において、撮像部41、撮像部42、撮像部43、および、撮像部44の各々により撮像された撮像画像80を入力として、たとえば、入力された撮像画像80と予め取得されている教示画像との一致度を示す値を評価することによって、繰り返しの試行により基板搬送ロボット20を動作させることにより機械学習が行われる。たとえば、一致度の評価は、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73の各々と、基板210または基板保持ハンド22との位置関係に基づいて評価される。深層強化学習では、評価が高くなるように繰り返しの試行を行うことによって、学習済みモデル62の生成が行われる。
【0033】
本実施形態では、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73の各々は、たとえば、学習済みモデル62を生成する機械学習において、制御部60により識別されるように、撮像画像80において所定の形状である円形状を有する板状の部材である。また、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73の各々は、撮像画像80において識別されるように、周囲とは異なる色を有する。たとえば、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73の各々は、黒色である。また、制御部60は、撮像画像80に含まれる基板210を検出する。
【0034】
制御部60の機械学習部61は、深層強化学習による機械学習を行うことによって、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの各々に載置された基板210を搬出する動作と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの各々に対して基板210を搬入する動作との両方を含む基板搬送ロボット20の搬送動作を繰り返し試行しながら学習する。たとえば、FOUP101に対する搬送動作の搬送制御情報81を取得するための学習では、FOUP101における基板210および基板載置部101aの検出結果として、FOUP101を撮像する撮像部41による撮像画像80と、基板搬送ロボット20に配置された撮像部44による撮像画像80とが取得される。そして、機械学習部61は、検出結果としての撮像画像80を入力として、DQNによる深層強化学習の機械学習を行うことによって、搬送制御情報81を出力するように学習済みモデル62を学習する。たとえば、制御部60は、予め設定された回数の試行動作を行うことによって、学習済みモデル62の学習を行う。
【0035】
基板載置部101aに対する搬入の動作を学習する場合には、撮像画像80におけるターゲット部材71の示す基板載置部101aの位置と、撮像画像80における基板保持ハンド22、または、基板保持ハンド22に保持された基板210に基づいて検出される基板保持ハンド22の位置とが一致するように、基板搬送ロボット20の動作が学習される。基板載置部101aに載置された基板210の搬出の動作を学習する場合には、撮像画像80におけるターゲット部材71、または、基板載置部101aに載置された基板210に基づいて検出される基板載置部101aの位置と、撮像画像80における基板保持ハンド22に基づいて検出される基板保持ハンド22の位置とが一致するように、基板搬送ロボット20の動作が学習される。制御部60の機械学習部61は、ロードロック部203に対する搬送動作における制御量としての搬送制御情報81と、アライナ30に対する搬送動作における制御量としての搬送制御情報81との各々を、FOUP101と同様に、深層強化学習により学習する。
【0036】
すなわち、本実施形態では、撮像部40は、基板210と、基板載置部101aと、基板載置部203aと、基板載置部30aと、基板搬送ロボット20とを検出するように、基板210と、基板載置部101aおよびターゲット部材71と、基板載置部203aおよびターゲット部材72と、基板載置部30aおよびターゲット部材73と、基板搬送ロボット20とを撮像する。言い換えれば、本実施形態では、撮像画像80は、基板210と、基板載置部101aと、基板載置部203aと、基板載置部30aと、基板搬送ロボット20とが検出された検出結果である。そして、制御部60は、検出結果として取得された撮像部41、撮像部42、撮像部43、および、撮像部44の各々による撮像画像80に基づく機械学習により生成された学習済みモデル62を用いることによって、FOUP101、ロードロック部203、および、アライナ30の各々に対する基板210の搬送動作を制御するための搬送制御情報81を取得する。
【0037】
本実施形態では、制御部60は、撮像画像80に基づく機械学習により生成された学習済みモデル62を用いて取得された搬送制御情報81に基づいて、基板搬送ロボット20の動作を制御する。すなわち、本実施形態の基板搬送システム100では、取得された搬送制御情報81に基づいて基板搬送ロボット20の搬送動作が制御されることによって、基板搬送ロボット20の搬送動作の教示が、撮像画像80に基づく機械学習を用いた自動教示により行われる。したがって、本実施形態では、基板210の位置と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置とを示す絶対的な位置座標を示す情報が作業者により教示されず、撮像画像80を入力とした学習済みモデル62からの出力である搬送制御情報81が取得されることによって、現在の撮像画像80が取得された状態から、基板搬送ロボット20をどのように動作させることが適切であるかを示す相対的な位置関係が自動的に教示される。
【0038】
〈搬送動作のずれの補正〉
本実施形態では、制御部60は、機械学習により生成された学習済みモデル62を用いることによって搬送制御情報81を取得するとともに、取得された搬送制御情報81に基づく基板210の搬送動作を行うことによって、搬送動作におけるずれを補正しながら、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御する。
【0039】
たとえば、図9に示すように、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aに対して、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aに載置されている基板210に位置ずれが生じている場合がある。なお、図9では、基板載置部203aに載置された基板210の位置ずれを示しており、位置ずれが生じていない場合における基板210を点線によって示している。設定された設定値に基づいて、位置ずれが生じている基板210の搬送動作を行った場合には、搬送動作における基板210の移動にずれが生じると考えられる。そこで、制御部60の機械学習部61は、搬送動作を行いながら、学習済みモデル62を用いることにより、撮像画像80から取得された搬送制御情報81に基づいて基板搬送ロボット20の搬送動作のずれを補正するように搬送動作を制御する。制御部60は、ずれを補正しながら搬送動作を制御することによって、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aに載置された基板210に位置ずれが生じている場合にも、位置ずれを解消するように、搬送動作を行う。
【0040】
また、図10に示すように、基板搬送ロボット20の基板保持ハンド22に対して、基板保持ハンド22に保持されている基板210に位置ずれが生じている場合がある。なお、図10では、図9と同様に、位置ずれが生じていない場合における基板210を点線によって示している。このような場合にも、搬送動作における基板210の移動にずれが生じないように、制御部60は、搬送動作を行いながら、学習済みモデル62を用いることによって、撮像画像80から取得された搬送制御情報81に基づいて基板搬送ロボット20の搬送動作のずれを補正するように搬送動作を制御する。
【0041】
なお、制御部60は、機械学習部61により撮像画像80を入力とした機械学習による学習済みモデル62の生成を行う場合に、学習済みモデル62の学習が完了するまで、基板搬送ロボット20による搬送動作の動作速度を、通常の搬送動作の動作速度よりも小さくした状態で搬送動作を制御する。すなわち、制御部60は、動作速度を比較的小さくした状態において、撮像画像80を入力とした機械学習を行いながら、搬送動作を繰り返し試行することによって、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御するための搬送制御情報81を取得する。
【0042】
また、制御部60は、深層強化学習による学習済みモデル62の学習が完了した場合には、学習が完了した学習済みモデル62から出力される搬送制御情報81に基づいて、動作速度を比較的大きくした状態で、基板搬送ロボット20による搬送動作を行う。たとえば、制御部60は、予め設定された回数の試行動作が完了した時点において、学習済みモデル62の学習が完了したと判断する。
【0043】
たとえば、FOUP101に収納された複数の基板210を順次搬送する場合に、制御部60は、基板210の搬送動作を行う前に、搬送動作における動作速度を比較的小さくした状態で撮像画像80に基づいて所定の回数の試行を行うことにより、深層強化学習による学習済みモデル62を生成する機械学習を行う。そして、制御部60は、生成された学習済みモデル62による搬送制御情報81に基づいて、搬送動作における動作速度を比較的小さくした状態でさらに所定の回数搬送動作を行うことによって、再度機械学習を行いながら学習済みモデル62を更新するように学習を行う。そして、学習済みモデル62の学習が完了した後に、制御部60は、動作速度を比較的大きくした状態である通常の動作速度によって、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御する。一例として、基板搬送システム100の工場出荷前に、所定の回数の試行による機械学習を行うことによって、学習済みモデル62の生成が行われるとともに、基板搬送システム100の設置後に、さらに所定の回数の試行による機械学習を行うことによって、学習済みモデル62の学習が行われる。
【0044】
(基板搬送方法)
次に、図11を参照して、本実施形態の基板搬送システム100による基板搬送方法の制御処理について説明する。本実施形態の基板搬送方法の制御処理は、基板搬送システム100の制御部60により実行される。
【0045】
まず、ステップS1において、撮像画像80が取得される。具体的には、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aと、基板搬送ロボット20とが検出されるように、検出結果として、基板210、基板載置部101a、基板載置部203a、基板載置部30a、ターゲット部材71、ターゲット部材72、ターゲット部材73、および、基板搬送ロボット20が撮像された撮像画像80が取得される。なお、ステップS1において、動作速度が比較的小さい値の状態において基板搬送ロボット20を動作させながら、撮像画像80が取得される。
【0046】
次に、ステップS2において、機械学習が実行されることによって学習済みモデル62が生成される。具体的には、ステップS1において取得された撮像画像80を入力とし、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御する搬送制御情報81が出力されるように深層強化学習による機械学習が行われる。
【0047】
次に、ステップS3において、学習済みモデル62の学習が完了したか否かが判断される。学習済みモデル62の学習が完了していると判断された場合には、ステップS4に進む。学習済みモデル62の学習が完了していると判断されない場合には、ステップS1に戻る。ステップS3では、たとえば、所定の回数の機械学習が実行されたか否かに基づいて、学習済みモデル62の学習が完了したか否かが判断される。
【0048】
ステップS4では、基板搬送ロボット20の動作速度が比較的大きく上昇されるように設定される。
【0049】
次に、ステップS5において、ステップS1からステップS3までの制御処理によって生成された学習済みモデル62に基づいて、基板搬送ロボット20の搬送動作が開始される。すなわち、撮像画像80を用いた機械学習により生成された学習済みモデル62による搬送制御情報81に基づいて、搬送動作が開始される。
【0050】
[本実施形態の効果]
基板搬送システム100は、上記のように、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aとの検出結果としての撮像画像80を入力とし、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作を制御するための搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を、機械学習により生成する。これにより、機械学習により生成された学習済みモデル62からの出力に基づいて、基板210の搬送動作の制御を自動的に行うことができる。その結果、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aに対する基板210の搬送動作の教示を人の手によって行う場合に比べて、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減できる。
【0051】
制御部60は、深層強化学習による機械学習によって学習済みモデル62を生成する。これにより、深層学習を用いた強化学習である深層強化学習による機械学習により学習された学習済みモデル62を用いて、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御できる。そのため、学習済みモデル62を生成するための機械学習において、強化学習を行う場合における特徴量の抽出を深層学習によって行うことによって、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間をより軽減できる。
【0052】
制御部60は、検出結果としての撮像画像80を入力とし、基板搬送ロボット20と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置との座標軸を合わせるための教示情報を含む搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を、機械学習により生成する。これにより、学習済みモデル62から出力された教示情報を含む搬送制御情報81に基づいて、基板搬送ロボット20による搬送動作の教示を自動的に行えるため、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減できる。
【0053】
検出部としての撮像部40は、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aとに加えて、基板搬送ロボット20を撮像することによって検出する。制御部60は、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aとの検出結果としての撮像画像80と、基板搬送ロボット20の検出結果としての撮像画像80とを入力とし、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を生成する。これにより、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aとに加えて、基板搬送ロボット20が撮像された撮像画像80を入力として搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を学習できるので、学習済みモデル62により出力される搬送制御情報81の精度を向上できる。そのため、基板搬送ロボット20の搬送動作をより精度よく制御できる。
【0054】
制御部60は、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御するロボット制御部を兼ねる。また、制御部60は、学習済みモデル62を用いることによって搬送制御情報81を取得するとともに、取得された搬送制御情報81に基づく基板210の搬送動作を行うことによって、搬送動作におけるずれを補正しながら、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御する。これにより、基板搬送ロボット20の動作のずれ、または、基板210の載置位置のずれなどの搬送動作におけるずれが生じた場合にも、学習済みモデル62を用いることによって、ずれを補正するように基板搬送ロボット20の搬送動作を制御できる。そのため、搬送動作のずれを自動的に補正することによって、基板搬送ロボット20による搬送動作を精度よく行うことができる。
【0055】
基板搬送システム100は、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aと、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置を示すターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73との少なくとも1つを撮像する撮像部40を含む。制御部60は、検出結果として取得された撮像部40による撮像画像80を入力とし、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を機械学習により生成する。これにより、光電センサなどの位置センサを用いた検出に比べて、撮像部40による撮像によって、基板210と、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aと、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73とを容易に検出できる。そのため、撮像画像80を入力とした機械学習により生成される学習済みモデル62を用いた識別の精度を向上できるので、基板搬送ロボット20による基板210の搬送動作の精度を向上できる。
【0056】
基板搬送システム100は、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置を示すターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73を備えている。撮像部40は、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73を撮像する。制御部60は、検出結果として取得されたターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73を含む撮像画像80を入力とし、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を機械学習によって生成する。これにより、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの形状が撮像画像80において不鮮明である場合にも、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73を含む撮像画像80に基づいて、学習済みモデル62により搬送制御情報81を取得できる。そのため、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの形状が撮像画像80において不鮮明である場合に、撮像画像80に基づく機械学習により生成された学習済みモデル62を用いた搬送動作の制御の精度が低下することを抑制できる。
【0057】
ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73は、学習済みモデル62を生成する機械学習において識別されるように、撮像画像80において所定の形状を有している。これにより、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73が所定の形状を有しているため、撮像画像80のうちからターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73を容易に検出できる。そのため、撮像画像80における基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの位置を容易に検出できるので、機械学習において生成される学習済みモデル62の精度を向上できる。そのため、学習済みモデル62を用いた基板搬送ロボット20の搬送動作の制御をより一層精度よく行うことができる。
【0058】
基板搬送システム100は、基板搬送ロボット20が配置され、基板210の搬送が行われる搬送室10を備えている。撮像部40は、搬送室10に配置されている。これにより、搬送室10内において撮像された撮像画像80に基づいて、学習済みモデル62を用いて基板搬送ロボット20の搬送動作の制御を行うことができる。そのため、撮像画像80における背景を一定にできるので、学習済みモデル62を用いた基板搬送ロボット20の搬送動作の制御をより精度よく行うことができる。
【0059】
撮像部40は、搬送室10に配置されている搬送室撮像部としての撮像部41、撮像部42、および、撮像部43と、基板搬送ロボット20に配置されているロボット撮像部としての撮像部44とを含む。制御部60は、撮像部41、撮像部42、および、撮像部43による撮像画像80と、撮像部44による撮像画像80とを入力とし、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を機械学習により生成する。これにより、撮像部40が、搬送室10と基板搬送ロボット20との各々に配置されているため、多角的に撮像された撮像画像80を入力として、学習済みモデル62を生成する機械学習を行うことができる。そのため、学習済みモデル62の精度を向上できるので、学習済みモデル62を用いた基板搬送ロボット20の搬送動作の制御をより精度よく行うことができる。
【0060】
搬送室撮像部としての撮像部41、撮像部42、および、撮像部43は、搬送室10の上方に配置されている。これにより、撮像部41、撮像部42、および、撮像部43が基板搬送ロボット20の動作の妨げとなることを抑制できるとともに、基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aを上方から撮像できる。そのため、撮像画像80における基板載置部101a、基板載置部203a、および、基板載置部30aの視認性が向上するため、撮像画像80に基づく学習済みモデル62を用いた基板搬送ロボット20の搬送動作の制御を、より精度よく行うことができる。
【0061】
基板搬送ロボット20は、搬送室10において、基板210が収納される基板収納容器としてのFOUP101に対する基板210の搬送動作を行う。撮像部41は、FOUP101に収納されている状態の基板210と、FOUP101において基板210が載置される基板載置部101aと、FOUP101における基板載置部101aの位置を示すターゲット部材71との少なくとも1つを撮像する。制御部60は、FOUP101に収納されている状態の基板210と、FOUP101において基板210が載置される基板載置部101aと、FOUP101における基板載置部101aの位置を示すターゲット部材71との少なくとも1つを含む撮像画像80を入力とし、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を機械学習により生成する。これにより、学習済みモデル62を用いることによって、FOUP101に対する基板搬送ロボット20の搬送動作を制御するための搬送制御情報81を取得できるので、FOUP101に対する搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減できる。
【0062】
基板搬送ロボット20は、基板収納容器としてのFOUP101と、基板210に対して処理を行う処理装置201に基板210を受け渡すために基板210が載置される処理待機部としてのロードロック部203との間における基板210の搬送動作を行う。撮像部42は、ロードロック部203における基板載置部203aに載置されている基板210と、ロードロック部203における基板載置部203aと、ロードロック部203における基板載置部203aの位置を示すターゲット部材72との少なくとも1つを撮像する。制御部60は、ロードロック部203における基板載置部203aに載置されている基板210と、ロードロック部203における基板載置部203aと、ロードロック部203における基板載置部203aの位置を示すターゲット部材72との少なくとも1つを含む撮像画像80を入力とし、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62を機械学習により生成する。これにより、撮像画像80に基づく機械学習により生成された学習済みモデル62を用いることによって、ロードロック部203に対する基板搬送ロボット20の搬送動作を制御できるので、ロードロック部203に対する搬送動作の制御を行うために作業者が要する手間を軽減できる。
【0063】
制御部60は、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御するロボット制御部を兼ねる。制御部60は、検出結果としての撮像画像80を入力とした機械学習による学習済みモデル62の生成を行う場合に、学習済みモデル62の学習が完了するまで、基板搬送ロボット20の動作速度を比較的小さくした状態で搬送動作を制御する。これにより、学習済みモデル62の学習が行われている最中は、動作速度を比較的小さくすることによって、機械学習のために取得される撮像画像80にぶれが生じることを抑制できるので、機械学習により生成される学習済みモデル62の精度を向上できる。そのため、学習済みモデル62に基づく搬送動作の制御の精度を向上できる。
【0064】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0065】
たとえば、上記実施形態では、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御する制御部60が、深層学習を用いた強化学習であるDQNによる機械学習を行うことによって、学習済みモデル62を生成する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板搬送ロボットの動作を制御する制御部とは、別個の学習装置である制御装置によって、学習済みモデルの学習が行われるようにしてもよい。その場合には、学習装置において学習済みモデルに基づいて取得された搬送制御情報が、搬送動作を制御する制御部に出力されることによって、搬送制御情報に基づいて基板搬送ロボットの搬送動作の制御が行われる。また、学習済みモデルを生成するための機械学習のアルゴリズムは、DQNに限られない。たとえば、DQN以外の深層強化学習である多層全結合ニューラルネットワークを用いた強化学習を行うようにしてもよい。また、深層学習を用いないQラーニングなどの強化学習により学習済みモデルの機械学習を行うようにしてもよい。また、機械学習において、所定の回数の試行ではなく、所定の動作時間が経過した場合に、学習済みモデルの学習および更新の完了を判断するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、検出部としての撮像部40によって、基板210と、FOUP101の基板載置部101a、ロードロック部203の基板載置部203a、および、アライナ30の基板載置部30aと、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73と、基板搬送ロボット20とが撮像された検出結果としての撮像画像80を入力として、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62の機械学習が行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、学習に用いられる撮像画像は、基板搬送ロボットを含んでいなくともよい。また、撮像画像は、基板と、基板載置部と、ターゲット部材との少なくとも1つを含んでいればよい。たとえば、基板の搬出動作を学習する場合には、載置されている基板のみを検出するように、基板を撮像した撮像画像に基づいて機械学習を行うようにしてもよい。また、基板を載置する搬入動作を学習する場合には、基板載置部を検出するように基板載置部とターゲット部材とのいずれか一方を撮像した撮像画像に基づいて機械学習を行うようにしてもよい。すなわち、本開示による基板搬送システムは、ターゲット部材を備えていなくともよい。ターゲット部材を配置せず、撮像画像において基板載置部自体を検出するようにしてもよい。また、撮像部による撮像ではなく、検出光を出射する光電センサなどの位置センサを検出部として備えるようにしてもよい。その場合には、位置センサによる検出結果を入力として、搬送制御情報を出力する学習済みモデルが機械学習によって生成される。
【0067】
また、上記実施形態では、基板搬送ロボット20による搬送動作において、基板210を搬入する動作と、基板210を搬出する動作との両方を学習することによって、基板210を搬入する動作と搬出する動作との両方を含む搬送動作の制御が行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板を搬入する動作と搬出する動作とのいずれか一方の搬送動作を制御する搬送制御情報を学習するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、搬送制御情報81に基づく基板210の搬送動作を行うことによって、搬送動作におけるずれを補正しながら、基板搬送ロボット20の搬送動作を制御する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、機械学習による学習とは別個に、基板の検出結果に基づいて、ルールベースのアルゴリズムなどの演算処理によって、搬送動作におけるずれを補正するようにしてもよい。また、搬送動作を行いながら、検出結果としての撮像画像から学習済みモデルを用いて取得された搬送制御情報に基づいて基板搬送ロボットの搬送動作のずれを補正するように搬送動作を制御する例を示したが、搬送動作を行いながら学習済みモデルを用いないようにしてもよい。すなわち、予め機械学習を行うことによって搬送動作を行うための制御量を取得するとともに、機械学習により取得された搬送制御情報による制御量を設定値として、搬送動作の制御を行うようにしてもよい。すなわち、機械学習による搬送動作の自動教示を行うとともに、搬送動作自体は、自動教示により設定された固定値としての設定値に基づいて実行されるようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ターゲット部材71、ターゲット部材72、および、ターゲット部材73が、円形状の板状の部材である例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ターゲット部材は、球形であってもよいし、円柱形、または、多角形の断面を有する角柱形であってもよいし、十字形状などの所定の形状を有する立体であってもよい。また、ターゲット部材は、ARマーカーなどのマーカー部材であってもよい。また、学習が完了した後に、ターゲット部材を取り外すようにしてもよい。また、基板載置部のみならず、基板搬送ロボットの位置、または、基板保持ハンドの位置を示すターゲット部材を配置するようにしてもよい。その場合には、ターゲット部材を検出した検出結果または撮像画像に基づいて、基板搬送ロボットが検出されることにより機械学習が行われるようにしてもよい。また、基板の替わりに基板搬送ロボットにより搬送されるターゲット部材を配置するとともに、基板の替わりに配置されたターゲット部材を検出した検出結果または撮像画像に基づいて機械学習が行われるようにしてもよい。また、基板収納容器の内部など、基板載置部の基板が載置される位置にターゲット部材を配置するようにしてもよい。また、1つの基板載置部に対するターゲット部材の個数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、基板搬送ロボット20、撮像部40、および、照明部50が内部に配置される搬送室10が備えられている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、搬送室を備えていなくともよい。また、撮像部、および、照明部のうちのいずれかが、基板の搬送が行われる搬送室の外部に配置されていてもよい。たとえば、基板に対して処理を行う処理装置の搬送室において、本開示による基板搬送方法を行う場合には、処理装置の搬送室の天井部材をガラスなどの透明部材とするとともに、搬送室の外部の上方に撮像部、および、照明部を配置してもよい。また、搬送室の天井部材を透明部材とする場合には、外部の光源を用いることによって、照明部を配置しないようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、搬送室10の上方に配置されている撮像部41、撮像部42、および、撮像部43と、基板搬送ロボット20の基板保持ハンド22に配置されている撮像部44とを備える例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板搬送ロボットに撮像部を配置しなくともよい。また、搬送室に撮像部を配置しなくともよい。また、搬送室に撮像部を配置する場合に、搬送室の下方に撮像部を配置するようにしてもよい。また、撮像部を、ステレオカメラ、または、TOF(Time Of Flight)方式などの3Dカメラを含むようにしてもよい。また、1つの撮像対象に対して、複数の撮像部を配置するようにしてもよい。たとえば、1つの基板載置部を撮像するように、複数の撮像部を配置するようにしてもよい。また、撮像部を、赤外光を検出するように構成してもよい。その場合には、赤外光を照射する照明部と、赤外光を反射するターゲット部材を配置するようにしてもよい。また、基板収納容器の内部に撮像部を配置するようにしてもよい。また、処理待機部の内部に撮像部を配置するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、学習済みモデル62の学習が完了するまで、動作速度を比較的小さくする例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、学習済みモデルの学習を行う場合にも、搬送動作の動作速度を小さくしないようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、水平多関節のロボットアーム21を有する基板搬送ロボット20を備える例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板搬送ロボットを、水平多関節ではなく垂直多関節のロボットアームを有するようにしてもよい。また、基板搬送ロボットを、スライド機構などの直線移動機構を有するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、本開示の基板搬送システム100は、処理装置201に基板210を搬送するEFEMである例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板搬送システムは、EFEM以外であってもよい。たとえば、基板搬送システムは、基板収納容器から基板収納容器に対して基板を搬送するストッカーまたはソーターであってもよい。また、基板搬送システムは、基板収納容器ではなく、ベルトコンベアなどによって搬送されてきた基板を、基板収納容器または基板載置部に搬送するようにしてもよい。また、本開示による基板搬送方法を、処理装置側において基板を搬送するシステムに適用してもよい。すなわち、ロードロック部と処理モジュール部との間における基板の搬送を行う場合において、本開示による基板搬送方法によって、基板を搬送するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、照明部50が、撮像部40による撮像が行われるタイミングにおいて照明光を照射する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、照明部による照明光の照射を常時行われているようにしてもよい。また、撮像された撮像画像に基づいて、制御部による制御処理により照明光の照射を制御するようにしてもよい。たとえば、撮像画像の輝度値などに基づいて、照明光の光量、波長などを変更する制御が行われるようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、照明光として黄色の光を照射するLEDを含む照明部50が2つ配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、照明部を、LED以外の光源装置を含むようにしてもよい。また、照明部による照明光は、黄色以外に、オレンジ色などの所定の色の波長を有するようにしてもよい。照明部を、白色光などの複数の波長を含む光を照射するようにしてもよい。また、照明光は、赤外光などの可視光以外の波長の光であってもよい。また、照明部の個数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、基板搬送システム100の搬送室10に基板収納容器としてのFOUP101が3つ取り付けられており、撮像部40がFOUP101に対応するように3つ配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、搬送室に取り付けられる基板収納容器は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。また、複数の基板収納容器に対して、1つの撮像部を配置するようにしてもよい。その場合には、共通の撮像部によって、複数の基板収納容器に対して搬送される基板の撮像が行われる。
【0078】
また、上記実施形態では、撮像部40により撮像された撮像画像80を入力として、搬送制御情報81を出力する学習済みモデル62が機械学習により学習される例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、学習済みモデルに入力される撮像画像に対して、学習済みモデルに入力する前に、ノイズ除去、エッジ強調、コントラスト変更などの画像処理を予め行うようにしてもよい。また、学習済みモデルからの出力は、ロボットアームを動作させるための指令値を含む搬送制御情報でなく、検出された基板、基板載置部、および基板搬送ロボットの位置を示す座標を含む搬送制御情報であってもよい。
【0079】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0080】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0081】
(項目1)
基板搬送ロボットと、
前記基板搬送ロボットにより搬送される基板と、前記基板が載置される基板載置部との少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部による前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、前記基板搬送ロボットによる前記基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する制御部とを、備える、基板搬送システム。
【0082】
(項目2)
前記制御部は、深層強化学習による機械学習によって前記学習済みモデルを生成する、項目1に記載の基板搬送システム。
【0083】
(項目3)
前記制御部は、前記検出結果を入力とし、前記基板搬送ロボットと、前記基板載置部の位置との座標軸を合わせるための教示情報を含む前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、項目1または2に記載の基板搬送システム。
【0084】
(項目4)
前記検出部は、前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方に加えて、前記基板搬送ロボットを検出し、
前記制御部は、前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方の前記検出結果と、前記基板搬送ロボットの前記検出結果とを入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを生成する、項目1~3のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【0085】
(項目5)
前記制御部は、
前記基板搬送ロボットの搬送動作を制御するロボット制御部を兼ね、
前記学習済みモデルを用いることによって前記搬送制御情報を取得するとともに、取得された前記搬送制御情報に基づく前記基板の搬送動作を行うことによって、搬送動作におけるずれを補正しながら、前記基板搬送ロボットの搬送動作を制御する、項目1~4のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【0086】
(項目6)
前記検出部は、前記基板と、前記基板載置部と、前記基板載置部の位置を示すターゲット部材との少なくとも1つを撮像する撮像部を含み、
前記制御部は、前記検出部による前記検出結果として取得された前記撮像部による撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、項目1~5のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【0087】
(項目7)
前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材をさらに備え、
前記撮像部は、前記ターゲット部材を撮像し、
前記制御部は、前記検出結果として取得された前記ターゲット部材を含む前記撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習によって生成する、項目6に記載の基板搬送システム。
【0088】
(項目8)
前記ターゲット部材は、前記学習済みモデルを生成する機械学習において識別されるように、前記撮像画像において所定の形状を有している、項目7に記載の基板搬送システム。
【0089】
(項目9)
前記基板搬送ロボットが配置され、前記基板の搬送が行われる搬送室をさらに備え、
前記撮像部は、前記搬送室に配置されている、項目6~8のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【0090】
(項目10)
前記撮像部は、前記搬送室に配置されている搬送室撮像部と、前記基板搬送ロボットに配置されているロボット撮像部とを含み、
前記制御部は、前記搬送室撮像部による前記撮像画像と、前記ロボット撮像部による前記撮像画像とを入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、項目9に記載の基板搬送システム。
【0091】
(項目11)
前記搬送室撮像部は、前記搬送室の上方に配置されている、項目10に記載の基板搬送システム。
【0092】
(項目12)
前記基板搬送ロボットは、前記搬送室において、前記基板が収納される基板収納容器に対する前記基板の搬送動作を行い、
前記撮像部は、前記基板収納容器に収納されている状態の前記基板と、前記基板収納容器において前記基板が載置される前記基板載置部と、前記基板収納容器における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを撮像し、
前記制御部は、前記基板収納容器に収納されている状態の前記基板と、前記基板収納容器において前記基板が載置される前記基板載置部と、前記基板収納容器における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを含む前記撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、項目9~11のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【0093】
(項目13)
前記基板搬送ロボットは、前記基板収納容器と、前記基板に対して処理を行う処理装置に前記基板を受け渡すために前記基板が載置される処理待機部との間における前記基板の搬送動作を行い、
前記撮像部は、前記処理待機部における前記基板載置部に載置されている前記基板と、前記処理待機部における前記基板載置部と、前記処理待機部における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを撮像し、
前記制御部は、前記処理待機部における前記基板載置部に載置されている前記基板と、前記処理待機部における前記基板載置部と、前記処理待機部における前記基板載置部の位置を示す前記ターゲット部材との少なくとも1つを含む前記撮像画像を入力とし、前記搬送制御情報を出力する前記学習済みモデルを機械学習により生成する、項目12に記載の基板搬送システム。
【0094】
(項目14)
前記制御部は、
前記基板搬送ロボットの搬送動作を制御するロボット制御部を兼ね、
前記検出結果を入力とした機械学習による前記学習済みモデルの生成を行う場合に、前記学習済みモデルの学習が完了するまで、前記基板搬送ロボットの動作速度を比較的小さくした状態で搬送動作を制御する、項目1~13のいずれか1項に記載の基板搬送システム。
【0095】
(項目15)
基板搬送ロボットにより搬送される基板と、前記基板が載置される基板載置部との少なくとも一方を検出し、
前記基板および前記基板載置部の少なくとも一方の検出結果を入力とし、前記基板搬送ロボットによる前記基板の搬送動作を制御するための搬送制御情報を出力する学習済みモデルを、機械学習により生成する、基板搬送方法。
【符号の説明】
【0096】
10 搬送室
20 基板搬送ロボット
30a、101a、203a 基板載置部
40 撮像部
41、42、43 撮像部(搬送室撮像部)
44 撮像部(ロボット撮像部)
50 照明部
60 制御部
62 学習済みモデル
71、72、73 ターゲット部材
80 撮像画像
81 搬送制御情報
100 基板搬送システム
101 FOUP(基板収納容器)
201 処理装置
203 ロードロック部(処理待機部)
210 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11