(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172795
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20241205BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20241205BHJP
G06F 1/18 20060101ALI20241205BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/16 312E
G06F1/18 C
H05K7/20 H
H05K7/20 G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090766
(22)【出願日】2023-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田角 和也
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322DB10
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】冷却能力を向上させることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、扁平形状の本体筐体12と、本体筐体12の後側面12caに設けられた筐体排気口50へ向けて排気をするファン36と、ファン36の排気口36aに設けられたヒートシンク38と、後側面12caに沿って設けられるケーブル40bと、ヒートシンク38と筐体排気口50との間に設けられるダクト部品56と、を有する。ダクト部品56は、ファン36の排気がヒートシンク38を通って筐体排気口50に流れる通風路54aの壁の一部を形成する壁板58を有する。ケーブル40bは、壁板58によって仕切られた通風路54aの外であるケーブル空間54bに配置されている。ダクト部品56は、壁板58の両端から立設して、それぞれファン36の端と筐体排気口50の端との間を塞ぐ側板60を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
扁平形状の筐体と、
前記筐体の側面に設けられた筐体排気口へ向けて排気をするファンと、
前記ファンの排気口に設けられたヒートシンクと、
前記筐体の前記側面に沿って設けられるケーブルと、
前記ヒートシンクと前記筐体排気口との間に設けられるダクト部品と、
を有し、
前記ダクト部品は、前記ファンの排気が前記ヒートシンクを通って前記筐体排気口に流れる通風路の壁の一部を前記側面に沿って形成する壁板を有し、
前記ケーブルは、前記壁板によって仕切られた前記通風路の外に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ダクト部品は、前記壁板の両端から立設して、それぞれ前記ヒートシンクの端と前記筐体排気口の端との間を塞ぐ側板を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記壁板は前記筐体排気口に向かって前記通風路を広げるような傾斜部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記筐体は上面にキーボードを備える本体筐体であり、
前記側面に沿って設けられるヒンジによって前記本体筐体に対して回動可能なディスプレイ筐体を有し、
前記ディスプレイ筐体は、ディスプレイを備える平板部、および前記平板部の端から屈曲して前記本体筐体の前記側面に対向する位置で前記ヒンジと連結される屈曲部を備え、
前記壁板は前記通風路の上壁を形成し、
前記ケーブルは前記壁板と前記本体筐体の上面を形成する上カバー部材との間に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ノート型PCのような電子機器は、CPU等の発熱体及びその冷却用のサーマルモジュールを搭載した本体筐体と、ディスプレイを搭載したディスプレイ筐体とを備える。サーマルモジュールとしては、ヒートパイプ等で輸送された発熱体の熱を筐体外に排出するためのヒートシンク及びファンを備えた構成がある(例えば特許文献1参照)。この構成では、ヒートシンクを通過した排気が本体筐体の後面に開口した筐体排気口から外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本体筐体内部ではレイアウト上の都合からケーブルを上記の筐体排気口の近傍を通るように配策することがある。このように筐体排気口近傍を通るケーブルはファンの送気を阻害して冷却能力の低下を招く。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、冷却能力を向上させることのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、扁平形状の筐体と、前記筐体の側面に設けられた筐体排気口へ向けて排気をするファンと、前記ファンの排気口に設けられたヒートシンクと、前記筐体の前記側面に沿って設けられるケーブルと、前記ヒートシンクと前記筐体排気口との間に設けられるダクト部品と、を有し、前記ダクト部品は、前記ファンの排気が前記ヒートシンクを通って前記筐体排気口に流れる通風路の壁の一部を前記側面に沿って形成する壁板を有し、前記ケーブルは、前記壁板によって仕切られた前記通風路の外に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の上記態様によれば、ケーブルは壁板によって通風路の外に配置されていることから、排気の気流はケーブルによって阻害されることなくスムーズに流れるため十分な排気量が確保されて冷却能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、下カバー部材を取り外して本体筐体の内部構造を模式的に示した底面図である。
【
図3】
図3は、下カバー部材を取り外した状態における本体筐体の左後方部の斜視図である。
【
図4】
図4は、下カバー部材およびサーマルモジュールを取り外した状態における本体筐体の左後方部の斜視図である。
【
図5】
図5は、本体筐体の左後方部でディスプレイ筐体およびダクト部品を分解した状態の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、筐体排気口を含む箇所で本体筐体の後縁部およびディスプレイ筐体の一縁部とその周辺部の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、電子機器10は、本体筐体12とディスプレイ筐体14とをヒンジ16で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、例えばデスクトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン、又はゲーム機等でもよい。タブレット型PCおよびスマートフォンは所謂フォルダブル型を含む。
【0010】
ディスプレイ筐体14は、本体筐体12よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイ筐体14には、ディスプレイ18が搭載されている。ディスプレイ18は、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。
【0011】
以下、本体筐体12及びこれに搭載された各構成要素について、
図1に示すように筐体12,14間を所定角度に開いて、ディスプレイ18を視認する姿勢を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下、と呼んで説明する。
【0012】
本体筐体12は扁平な箱体である。本体筐体12は、上面12aを形成する上カバー部材20と、底面12b及び四周の側面12cを形成する下カバー部材22とで箱状に構成されている。カバー部材20,22は、厚み方向に重ね合わされて互いに着脱可能に連結される。下側の下カバー部材22は、上面が開口した略バスタブ形状を有する。上側の上カバー部材20は、略平板形状を有し、下カバー部材22の上面開口を閉じる蓋体となる。本体筐体12の上面12aには、キーボード24及びタッチパッド26が設けられている。
【0013】
ヒンジ16は、本体筐体12の後縁部12dと、これと隣接するディスプレイ筐体14の一縁部14aとの間を相対的に回動可能に連結している。筐体12,14を積層してクラムシェルを閉じた状態を0度と呼ぶとすると、ヒンジ16による筐体12,14間の回動可能な角度範囲は、例えば0度から135度である。筐体12,14間の回動角度は、135度より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0014】
図2は、下カバー部材22を取り外して本体筐体12の内部構造を模式的に示した底面図である。
図2に示すように、本体筐体12の内部には、サーマルモジュール28と、マザーボード29と、バッテリ装置30とが搭載されている。本体筐体12の内部には、さらに各種の電子部品や機械部品等が設けられる。
【0015】
マザーボード29は、電子機器10のメインボードである。マザーボード29は、本体筐体12の後方寄りに配置されている。マザーボード29は、発熱体32を実装したプリント基板である。発熱体32は、例えばCPU又はGPU等である。マザーボード29には、さらにパワーコンポーネント、通信モジュール、メモリ、及び接続端子等の各種電子部品が実装されている。マザーボード29は、例えば上カバー部材20の内面20aにネジ止めされている。マザーボード29は、上面が発熱体32等の実装面となり、下面が下カバー部材22に対する取付面となる。発熱体32は、マザーボード29の実装面の略中央に配置されている。
【0016】
バッテリ装置30は、電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置30は、サーマルモジュール28及びマザーボード29の前方に配置され、本体筐体12の前端部に沿って左右に延在している。
【0017】
サーマルモジュール28は、発熱体32が発生する熱を吸熱及び拡散し、さらに本体筐体12外へと排出する。サーマルモジュール28は、例えばマザーボード29の実装面の一部を覆うように積層される。サーマルモジュール28は、ヒートパイプ34と、左右一対のファン36L,36Rと、左右のヒートシンク38とを備える。サーマルモジュール28にはヒートスプレッダまたはベーパーチャンバなどが含まれていてもよい。左右のファン36L,36Rは、大きさや風量等は多少異なるが、実質的に左右対称構造である。ファン36L,36Rは、代表的にファン36とも呼ぶ。ファン36の排気口36aにはヒートシンク38が設けられている。
【0018】
ヒートパイプ34は、パイプ型の熱輸送デバイスである。ヒートパイプ34は、中央部で受熱板を挟んで発熱体32と接続され、一端が一方のヒートシンク38と接続され、他端が他方のヒートシンク38と接続されている。ヒートパイプ34は、金属パイプを薄く扁平に潰して断面楕円形状に形成し、金属パイプ内に形成された密閉空間に作動流体を封入した構成である。作動流体は、密閉空間内で相変化を生じながら流通し、熱を高効率に輸送する。
【0019】
本体筐体12の後部は中心を含んで広い範囲に亘る後側面12caと、その両側に形成される比較的短い端部側面12cbとによって構成されている。後側面12caは端部側面12cbよりやや前方にあって両者間には段差が形成されている。ヒンジ16はディスプレイ筐体14の一部を形成するヒンジカバー16a(
図3、
図7も参照)を備える。ヒンジカバー16aは後側面12caと端部側面12cbとの段差範囲に沈み込むように配置されている。また換言すれば、ディスプレイ筐体14はディスプレイ18を備える平板部、およびその端からヒンジカバー16aが屈曲して本体筐体12の後側面12caに対向する位置でヒンジと連結されており、いわゆるドロップダウン型となっている。
【0020】
本体筐体12とディスプレイ筐体14とは4本のケーブル40a,40b,42a,42bで接続されている。ケーブル40a,40bは例えばディスプレイ18の制御用であり、ケーブル42a,42bは例えばアンテナ線である。ディスプレイ筐体14にはカメラなどの電子デバイス44(
図1参照)が設けられている。これらの電子デバイスの制御線はケーブル40a,40b,42a,42bのいずれかに含まれている。
【0021】
ケーブル40a,40bは、コネクタ46a,46bによってマザーボード29と接続されている。コネクタ46aはマザーボード29における後側でファン36Lより左側にあり、本体筐体12における左端近傍にある。コネクタ46bはマザーボード29における後側でファン36Rより左側にある。ケーブル42a,42bはマザーボード29に実装されたアンテナモジュール48に接続されている。アンテナモジュール48はマザーボード29における後側でファン36Lより右側にある。コネクタ46bとアンテナモジュール48とはおおよそ左右対称位置にある。
【0022】
ケーブル40a,42a,42bは本体筐体12内で、左側の端部側面12cbの内側からヒンジカバー16a内に入ってディスプレイ筐体14内へ延在する。ケーブル42a,42bは対を形成して同じ経路を通っている。ケーブル40bは本体筐体12内で、右側の端部側面12cbの内側からヒンジカバー16a内に入ってディスプレイ筐体14内に延在する。ケーブル40bの配策についてはさらに後述する。
【0023】
図3は、下カバー部材22を取り外した状態における本体筐体12の左後方部の斜視図である。
図4は、下カバー部材22およびサーマルモジュール28を取り外した状態における本体筐体12の左後方部の斜視図である。
図5は、本体筐体12の左後方部でディスプレイ筐体14およびダクト部品56を分解した状態の分解斜視図である。
【0024】
ファン36は、ヒートシンク38の直前に配置され、後向きに開口した排気口36aがヒートシンク38に面する。ファン36は、ファン筐体の内部に収容されたインペラをモータによって回転させる遠心ファンである。ファン36の上面および下面にはそれぞれ吸気口が開口している。吸気口は、一方を省略してもよい。ファン36の筐体には排気口36aからの排気が吸気口に逆流することを防止するためにスポンジなどの気密材を設けてもよい。
【0025】
ヒートシンク38は、前後方向に沿って延在すると共に上下方向に起立した複数のフィン38aを左右方向に等間隔に並べた構造である。隣接するフィンの間には、ファン36から送られた空気が通過する隙間が形成されている。
【0026】
各フィン38aは、銅又はアルミニウムのような高い熱伝導率を有する金属で形成されるプレートであり、上下に屈曲部を有する。ヒートシンク38は、各フィン38aを隙間を介して板厚方向に積層し、隣接する上下の屈曲部同士を接合した構成である。
【0027】
後側面12caの両端にはそれぞれ筐体排気口50が形成されている。筐体排気口50は後方を向いて開口した横長で矩形状の開口部である。筐体排気口50は、ヒートシンク38に面して形成され、ヒートシンク38を流通した空気が通過する。筐体排気口50の左右方向の横幅は、ヒートシンク38の横幅と同程度となっている。筐体排気口50の上下方向の高さは、後側面12caの高さと同程度となっている。筐体排気口50は2本の支柱50aによって略同じ大きさの3つの開口に区切られており、強度が確保されている。支柱50aは排気を妨げない程度に細い。筐体排気口50にはルーバーが取り付けられていてもよい。
【0028】
ヒンジ16は、上記のヒンジカバー16aの他にヒンジ軸16b、トルク付与機構16c、ブラケット16dを備える。ヒンジ軸16bはヒンジカバー16a内に延在する。トルク付与機構16cはヒンジ軸16bに適度な摩擦トルクを付与してディスプレイ筐体14の角度を保持させる。ブラケット16dは上カバー部材20の内面20aにネジ止めされている。ブラケット16dと後側面12caの端との間には空間52が確保されている。
【0029】
コネクタ46bはマザーボード29の後端に沿った横長形状となっている。ケーブル40bはコネクタ46bの右端から後側面12caに近づくように斜めに延在し、ヒートシンク38と後側面12caにおける筐体排気口50との間の空間54を横断し、その先の空間52でUターンする湾曲部40baを形成してヒンジカバー16aに入っている。湾曲部40baはやや長めになっており、本体筐体12に対してディスプレイ筐体14が回動する際の経路長変化吸収の作用がある。空間54の前後幅は適度に狭い。空間54にはダクト部品56が設けられている。換言すれば、ダクト部品56はヒートシンク38と筐体排気口50との間に設けられている。ケーブル40bは該ダクト部品56と上カバー部材20の内面20aとの間を通っている。
【0030】
図6は、ダクト部品56の斜視図である。
図4~
図6に示すように、ダクト部品56は左右に長い壁板58と、壁板58の両端から下方に立設する側板60,60と、左端に設けられる固定部62Lと、右端に設けられる固定部62Rとを有する。ダクト部品56は例えば樹脂材であり、小さくかつ簡易形状であって射出成型などによって廉価に製作可能である。
【0031】
壁板58は左右幅が筐体排気口50と同じであって、前方部58a、後方部58b、およびその中間の傾斜部58cを備える。前方部58aは前後~左右の平面を形成しており、前後に短い。後方部58bは上下~左右の平面を形成しており、上下に短い。傾斜部58cは前方部58aと後方部58bとの間を斜めに繋いでおり、水平面との角度θは本実施例の場合で30度程度である。傾斜部58cが形成する面は、前方部58aおよび後方部58bが形成する面よりも広くなっている。
【0032】
2つの側板60は前後幅が壁板58と同じであって、互いに対向する側の面が筐体排気口50の縁面50b(
図4参照)と同一面を形成する位置に配置される。また、側板60は下カバー部材22の内面22a(
図7参照)にほぼ接する位置まで延在している。
【0033】
固定部62L,62Rは、側板60の略中間高さから側方に突出するネジ座板62aと、側板60およびネジ座板62aの前縁に沿って形成された前板62bとを有する。前板62bの上端には小さい切欠62cが形成されている。ネジ座板62aにはネジ孔が形成されており、ネジ64によって上カバー部材20の内面20aから突出するボス66に対して固定される。ボス66は前面が前板62bに当接して安定するように平面状に形成されている。切欠62cには、ボス66と後側面12caとの間に形成された小突起68が嵌り込んで位置決めがなされる。
【0034】
固定部62Lには、さらにネジ座板62aおよび前板62bの縁に沿って形成されて側方を塞ぐ内板62dが設けられている。内板62dは後側面12caから内面20aに亘って形成された平板突起70に当接して安定する。なお、固定部62Rには内板62dが設けられてなくその分左右幅が抑制されている。
【0035】
図7は、筐体排気口50を含む箇所で本体筐体12の後縁部12dおよびディスプレイ筐体14の一縁部14aとその周辺部の断面側面図である。
図7ではディスプレイ筐体14が本体筐体12に対して開いた状態を示している。
図7における符号72は本体筐体12の下面に設けられたゴム脚であり、符号74はディスプレイ18の周囲に設けられたベゼルシートである。
【0036】
図7に示すように、ダクト部品56の前後幅は空間54にちょうど嵌る程度となっている。後方部58bと傾斜部56cとの境界部は筐体排気口50における上端とほぼ同じ高さとなっている。前方部56aの前方下端はヒートシンク38の後方上端とほぼ同じ高さとなっている。後方部58bの前後幅は適度に厚く内面20aに対して安定して当接する。前方部58aおよび傾斜部58cは後方部58bよりも薄い。
【0037】
ダクト部品56における前方部58aから傾斜部58cに亘る部分は、空間54を下側の広い通風路54aと、上側のケーブル空間54bとに仕切っている。ケーブル空間54bにはケーブル40bが通っている。ケーブル空間54bは比較的狭く、ケーブル40bが通るのに必要十分な程度となっている。ケーブル40bはダクト部品56と内面20aとの間に配置されることで軽く押さえられ、またはほぼ隙間なく配置されて安定する。つまりダクト部品56はケーブル40bの固定作用がある。また、ケーブル40bはダクト部品56によって覆われるため筐体排気口50から視認されることがない。
【0038】
通風路54aはファン36の排気が流れる空間であり、壁板58、側板60、内面22aによって四方が囲われて形成されている。つまり、壁板58は通風路54aの壁の一部となる上壁を後側面12caに沿って形成している。ダクト部品56はヒートシンク38と筐体排気口50との間で排気ダクトの作用がある。
【0039】
ヒートシンク38から出たファン36の排気は、矢印で示すように通風路54aおよび筐体排気口50を通り、ヒンジカバー16aの側面に沿って後方に向かって斜め下方に向かう気流と、ディスプレイ18の表示面側へ向かうように斜め上方に向かう気流とに分かれる。ケーブル40bは壁板58によって仕切られた通風路54aの外に配置されていることから、これらの気流はケーブル40bによって阻害されることなくスムーズに流れるため十分な排気量が確保されて冷却能力を向上させることができる。ケーブル40bは排気に当たることが無いため振動することがない。
【0040】
壁板58は、傾斜部58cが筐体排気口50に向かって通風路54aを広げるような形状となっており、排気がスムーズになされるような制気板としての作用があり、特に上向きの気流を阻害することがなく好適である。
【0041】
ダクト部品56の一対の側板60は、それぞれファン36の端と筐体排気口50の端との間を塞ぐため、排気がこの部分を通って本体筐体12内に逆流することが防止され、冷却能力を一層向上させることができる。なお、
図3~
図7とその説明では本体筐体12における右後部を例示して説明したが、左後部については実質的に左右対称に構成されていることから詳細な説明を省略する。左後部におけるダクト部品56は一対のケーブル42a,42b(
図2参照)を通風路54aの外に配置させることができる。
【0042】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
10 電子機器
12 本体筐体
14 ディスプレイ筐体
16 ヒンジ
16a ヒンジカバー
18 ディスプレイ
20 上カバー部材
22 下カバー部材
24 キーボード
28 サーマルモジュール
34 ヒートパイプ
36,36L,36R ファン
38 ヒートシンク
40a,40b,42a,42b ケーブル
40ba 湾曲部
46a,46b コネクタ
50 筐体排気口
52,54 空間
54a 通風路
54b ケーブル空間
56 ダクト部品
58 壁板
58a 前方部
58b 後方部
58c 傾斜部
60 側板
62L,62R 固定部