(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172796
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/18 20060101AFI20241205BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20241205BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06F1/18 C
G06F1/16 312E
G06F1/16 312J
H05K7/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090767
(22)【出願日】2023-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】田角 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
【テーマコード(参考)】
4E352
【Fターム(参考)】
4E352AA03
4E352AA16
4E352BB02
4E352BB04
4E352BB08
4E352CC07
4E352CC22
4E352CC52
4E352DD05
4E352DD08
4E352DD15
4E352DR02
4E352DR05
4E352DR13
4E352DR25
4E352DR40
4E352GG18
4E352GG25
4E352GG27
(57)【要約】
【課題】第1筐体と第2筐体との間にわたって設けられる複数のケーブルが圧迫しあうことがなく適正位置に維持される。
【解決手段】電子機器10は、本体筐体12からヒンジ軸16bに沿う部分を経由してディスプレイ筐体14に入るケーブル42a,40aを備える。ケーブル42aは、本体筐体12内でディスプレイ筐体14との連結縁に沿って延在する第1筐体内延在部42ab、内面20aに沿い第1筐体内延在部42abから向きを反転する第1湾曲部42acを有する。ケーブル40aは第2筐体内延在部40aa、第2筐体内延在部40aaから第1湾曲部42acより小さい湾曲角度で湾曲する第2湾曲部40abを有する。第1湾曲部42acと第2湾曲部40abとは抑え具57によって内面20aからの位置が仕切られており、第1湾曲部42acは抑え具57によって内面20aからの浮き上がりが制限されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とがヒンジによって連結されており、回動可能に構成された電子機器であって、
前記第1筐体から前記ヒンジの軸に沿う部分を経由して前記第2筐体に入る第1ケーブルおよび第2ケーブルを備え、
前記第1ケーブルは、前記第1筐体内で前記第2筐体との連結縁に沿って延在する第1筐体内延在部、前記第1筐体の内面に沿い前記第1筐体内延在部から向きを反転する第1湾曲部、および該第1湾曲部から前記ヒンジの軸に沿って延在する第1筐体中継部を有し、
前記第2ケーブルは、前記第1筐体内延在部とは異なる方向に延在している第2筐体内延在部、前記第2筐体内延在部から前記第1湾曲部と同じ箇所で、前記第1湾曲部より前記内面から離れた位置で、かつ前記第1湾曲部より小さい湾曲角度で湾曲する第2湾曲部、および前記ヒンジの軸に沿って延在する第2筐体中継部を有し、
前記第1湾曲部と前記第2湾曲部とは抑え具によって前記内面からの位置が仕切られており、前記第1湾曲部は該抑え具によって前記内面からの浮き上がりが制限されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記抑え具は、前記第1湾曲部のU字形を基準として内径側の箇所で前記内面から突出する支柱部、および外径側に突出する突出部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1筐体内延在部は前記第2筐体内延在部より長い
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1ケーブルは複数本あり、前記第1湾曲部で前記内面に沿って並んで配列されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ノート型PCのような電子機器は、特許文献1で示されるように、載置面に載置される第1筐体と、ディスプレイを備えていて第1筐体に対してヒンジによって回動可能に連結された第2筐体とを有している。特許文献1に記載の電子機器では、第1筐体と第2筐体とを接続するケーブルがヒンジの回転軸に沿って配策されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第2筐体にはディスプレイの他にカメラなどの電子デバイスが搭載されており、第1筐体と第2筐体との間はディスプレイ制御用のケーブルとその他の用途のケーブルが並列して配策される場合がある。これらのケーブルはある程度の余長が確保されており、第1筐体と第2筐体との回動角度にともなって経路長が変化するが経路長だけでなく経路自体も多少変化し、複数のケーブルは態様によってはヒンジの回転軸に近い箇所で互いに圧迫しあうことが懸念される。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、第1筐体と第2筐体との間にわたって設けられる複数のケーブルが圧迫しあうことなく好適な位置に維持される電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、第1筐体と第2筐体とがヒンジによって連結されており、回動可能に構成された電子機器であって、前記第1筐体から前記ヒンジの軸に沿う部分を経由して前記第2筐体に入る第1ケーブルおよび第2ケーブルを備え、前記第1ケーブルは、前記第1筐体内で前記第2筐体との連結縁に沿って延在する第1筐体内延在部、前記第1筐体の内面に沿い前記第1筐体内延在部から向きを反転する第1湾曲部、および該第1湾曲部から前記ヒンジの軸に沿って延在する第1筐体中継部を有し、前記第2ケーブルは、前記第1筐体内延在部とは異なる方向に延在している第2筐体内延在部、前記第2筐体内延在部から前記第1湾曲部と同じ箇所で、前記第1湾曲部より前記内面から離れた位置で、かつ前記第1湾曲部より小さい湾曲角度で湾曲する第2湾曲部、および前記ヒンジの軸に沿って延在する第2筐体中継部を有し、前記第1湾曲部と前記第2湾曲部とは抑え具によって前記内面からの位置が仕切られており、前記第1湾曲部は該抑え具によって前記内面からの浮き上がりが制限されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の上記態様によれば、第1筐体と第2筐体との間にわたって設けられる複数のケーブルが圧迫しあうことなく好適な位置に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、下カバー部材を取り外して本体筐体の内部構造を模式的に示した底面図である。
【
図3】
図3は、下カバー部材を取り外した状態における本体筐体の左後方部の斜視図である。
【
図4】
図4は、下カバー部材およびサーマルモジュールを取り外した状態における本体筐体の左後方部の斜視図である。
【
図5】
図5は、本体筐体の左後方部でディスプレイ筐体およびダクト部品を分解した状態の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、抑え具を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【
図8】
図8は、
図4における抑え具および湾曲部とその周辺部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、電子機器10は、本体筐体(第1筐体)12とディスプレイ筐体(第2筐体)14とをヒンジ16で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、例えばタブレット型PC、スマートフォンのフォルダブル型を含む。
【0010】
ディスプレイ筐体14は、本体筐体12よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイ筐体14には、ディスプレイ18が搭載されている。ディスプレイ18は、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。
【0011】
以下、本体筐体12及びこれに搭載された各構成要素について、
図1に示すように筐体12,14間を所定角度に開いて、ディスプレイ18を視認する姿勢を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下、と呼んで説明する。
【0012】
本体筐体12は扁平な箱体である。本体筐体12は、上面12aを形成する上カバー部材20と、底面12b及び四周の側面12cを形成する下カバー部材22とで箱状に構成されている。カバー部材20,22は、厚み方向に重ね合わされて互いに着脱可能に連結される。下側の下カバー部材22は、上面が開口した略バスタブ形状を有する。上側の上カバー部材20は、略平板形状を有し、下カバー部材22の上面開口を閉じる蓋体となる。本体筐体12の上面12aには、キーボード24及びタッチパッド26が設けられている。
【0013】
ヒンジ16は、本体筐体12の後縁部12dと、これと隣接するディスプレイ筐体14の一縁部14aとの間を相対的に回動可能に連結している。筐体12,14を積層してクラムシェルを閉じた状態を0度と呼ぶとすると、ヒンジ16による筐体12,14間の回動可能な角度範囲は、例えば0度から135度である。筐体12,14間の回動角度は、135度より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0014】
図2は、下カバー部材22を取り外して本体筐体12の内部構造を模式的に示した底面図である。
図2に示すように、本体筐体12の内部には、サーマルモジュール28と、マザーボード29と、バッテリ装置30とが搭載されている。本体筐体12の内部には、さらに各種の電子部品や機械部品等が設けられる。
【0015】
マザーボード29は、電子機器10のメインボードである。マザーボード29は、本体筐体12の後方寄りに配置されている。マザーボード29は、発熱体32を実装したプリント基板である。発熱体32は、例えばCPU又はGPU等である。マザーボード29には、さらにパワーコンポーネント、通信モジュール、メモリ、及び接続端子等の各種電子部品が実装されている。マザーボード29は、例えば上カバー部材20の内面20aにネジ止めされている。マザーボード29は、上面が発熱体32等の実装面となり、下面が下カバー部材22に対する取付面となる。発熱体32は、マザーボード29の実装面の略中央に配置されている。
【0016】
バッテリ装置30は、電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置30は、サーマルモジュール28及びマザーボード29の前方に配置され、本体筐体12の前端部に沿って左右に延在している。
【0017】
サーマルモジュール28は、発熱体32が発生する熱を吸熱及び拡散し、さらに本体筐体12外へと排出する。サーマルモジュール28は、例えばマザーボード29の実装面の一部を覆うように積層される。サーマルモジュール28は、ヒートパイプ34と、左右一対のファン36L,36Rと、左右のヒートシンク38とを備える。サーマルモジュール28にはヒートスプレッダまたはベーパーチャンバなどが含まれていてもよい。左右のファン36L,36Rは、大きさや風量等は多少異なるが、実質的に左右対称構造である。ファン36L,36Rは、代表的にファン36とも呼ぶ。ファン36の排気口36aにはヒートシンク38が設けられている。
【0018】
ヒートパイプ34は、パイプ型の熱輸送デバイスである。ヒートパイプ34は、中央部で受熱板を挟んで発熱体32と接続され、一端が一方のヒートシンク38と接続され、他端が他方のヒートシンク38と接続されている。ヒートパイプ34は、金属パイプを薄く扁平に潰して断面楕円形状に形成し、金属パイプ内に形成された密閉空間に作動流体を封入した構成である。作動流体は、密閉空間内で相変化を生じながら流通し、熱を高効率に輸送する。
【0019】
本体筐体12の後部は中心を含んで広い範囲に亘る後側面12caと、その両側に形成される比較的短い端部側面12cbとによって構成されている。後側面12caは端部側面12cbよりやや前方にあって両者間には段差が形成されている。ヒンジ16はディスプレイ筐体14の一部を形成するヒンジカバー16a(
図3も参照)を備える。ヒンジカバー16aは後側面12caと端部側面12cbとの段差範囲に沈み込むように配置されている。また換言すれば、ディスプレイ筐体14はディスプレイ18を備える平板部、およびその端からヒンジカバー16aが屈曲して本体筐体12の後側面12caに対向する位置でヒンジと連結されており、いわゆるドロップダウン型となっている。
【0020】
本体筐体12とディスプレイ筐体14とは4本のケーブル40a,40b,42a,42bで接続されている。ケーブル(第2ケーブル)40a,40bは例えばディスプレイ18の制御用であり、ケーブル(第1ケーブル)42a,42bは例えばアンテナ線である。ディスプレイ筐体14にはカメラなどの電子デバイス44(
図1参照)が設けられている。これらの電子デバイスの制御線はケーブル40a,40b,42,42bのいずれかに含まれている。
【0021】
ケーブル40a,40bは、コネクタ46a,46bによってマザーボード29と接続されている。コネクタ46aはマザーボード29における後側でファン36Lより左側にあり、本体筐体12における左端近傍にある。コネクタ46bはマザーボード29における後側でファン36Rより左側にある。ケーブル42a,42bはマザーボード29に実装されたアンテナモジュール48に接続されている。アンテナモジュール48はマザーボード29における後側でファン36Lより右側にある。コネクタ46bとアンテナモジュール48とはおおよそ左右対称位置にある。
【0022】
ケーブル40a,42a,42bは本体筐体12内で、左側の端部側面12cbの内側からヒンジカバー16a内に入ってディスプレイ筐体14内へ延在する。ケーブル42a,42bは対を形成して同じ経路を通っている。ケーブル40bは本体筐体12内で、右側の端部側面12cbの内側からヒンジカバー16a内に入ってディスプレイ筐体14内に延在する。ケーブル40a,42a,42bの配策についてはさらに後述する。
【0023】
図3は、下カバー部材22を取り外した状態における本体筐体12の右後方部の斜視図である。
図4は、下カバー部材22およびサーマルモジュール28を取り外した状態における本体筐体12の右後方部の斜視図である。
図5は、本体筐体12の右後方部でディスプレイ筐体14およびダクト部品56を分解した状態の分解斜視図である。
【0024】
ファン36は、ヒートシンク38の直前に配置され、後向きに開口した排気口36aがヒートシンク38に面する。ファン36は、ファン筐体の内部に収容されたインペラをモータによって回転させる遠心ファンである。ファン36の上面および下面にはそれぞれ吸気口が開口している。吸気口は、一方を省略してもよい。ファン36の筐体には排気口36aからの排気が吸気口に逆流することを防止するためにスポンジなどの気密材を設けてもよい。
【0025】
ヒートシンク38は、前後方向に沿って延在すると共に上下方向に起立した複数のフィン38aを左右方向に等間隔に並べた構造である。隣接するフィンの間には、ファン36から送られた空気が通過する隙間が形成されている。
【0026】
各フィン38aは、銅又はアルミニウムのような高い熱伝導率を有する金属で形成されるプレートであり、上下に屈曲部を有する。ヒートシンク38は、各フィン38aを隙間を介して板厚方向に積層し、隣接する上下の屈曲部同士を接合した構成である。
【0027】
後側面12caの両端にはそれぞれ筐体排気口50が形成されている。筐体排気口50は後方を向いて開口した横長で矩形状の開口部である。筐体排気口50は、ヒートシンク38に面して形成され、ヒートシンク38を流通した空気が通過する。筐体排気口50の左右方向の横幅は、ヒートシンク38の横幅と同程度となっている。筐体排気口50の上下方向の高さは、後側面12caの高さと同程度となっている。筐体排気口50は2本の支柱50aによって略同じ大きさの3つの開口に区切られており、強度が確保されている。支柱50aは排気を妨げない程度に細い。筐体排気口50にはルーバーが取り付けられていてもよい。
【0028】
ヒンジ16は、上記のヒンジカバー16aの他にヒンジ軸16b、トルク付与機構16c、ブラケット16dを備える。ヒンジ軸16bはヒンジカバー16a内に延在する。トルク付与機構16cはヒンジ軸16bに適度な摩擦トルクを付与してディスプレイ筐体14の角度を保持させる。ブラケット16dは上カバー部材20の内面20aにネジ止めされている。ブラケット16dと後側面12caの端との間には空間52が確保されている。
【0029】
アンテナモジュール48はマザーボード29の後端近傍に実装されている。ケーブル42a,42bはアンテナモジュール48における後側の左右端から後側面12caに近づくように突出ている根元部42aa,42ba、そこから左側に90度湾曲して本体筐体12内で内面20aおよびディスプレイ筐体14との連結縁である後側面12caに沿って延在する第1筐体内延在部42ab,42bb、該第1筐体内延在部42ab,42bbからU字に湾曲して向きを反転する第1湾曲部42ac,42bc、および該第1湾曲部42ac,42bcからヒンジ軸16bに沿って延在する第1筐体中継部42ad,42bdを有する。ケーブル42a,42bは隣接しそれぞれ内面20aに沿うように配策されている。
【0030】
第1湾曲部42ac,42bcは空間52で180度Uターンし、第1筐体中継部42ad,42bdがヒンジカバー16aに入っている。電子機器10に対する小型化の要請から空間52は比較的狭く、第1湾曲部42ac,42bcが形成する円弧径はかなり小さいが適度な長さが確保されており、本体筐体12に対してディスプレイ筐体14が回動する際の経路長変化吸収の作用がある。第1湾曲部42acが内径側で,第1湾曲部42bcがその外径側に隣接している。
【0031】
ヒートシンク38と後側面12caにおける筐体排気口50との間の空間54にはダクト部品56が設けられている。第1筐体内延在部42ab,42bbは、空間54を横断しており、ダクト部品56と上カバー部材20の内面20aとの間を通っている。空間54の前後幅は適度に狭い。
【0032】
第1筐体内延在部42ab,42bbはダクト部品56の壁板58によって通風路の外に配置されていることから、ファン36Lの気流はケーブル42a,42bによって阻害されることなくスムーズに流れるため十分な排気量が確保されて冷却能力を向上させることができる。なお、
図3は本体筐体12における左後部を例示しているが、右後部についても対称構成のダクト部品56が設けられている(
図2参照)。ケーブル40bは右後部のダクト部品56と内面20aとの間を通っており、ファン36Rの排気を阻害することがない。
【0033】
コネクタ46aはマザーボード29の左後端部にある。ケーブル40aはコネクタ46aの右後端から後方に少し突出する第2筐体内延在部40aaと、該第2筐体内延在部40aaから湾曲する第2湾曲部40abと、その先でヒンジカバー16aに入ってヒンジ軸16bに沿って延在する第2筐体中継部40acとを有する。第2湾曲部40abはコネクタ46aから見てやや左側へ迂回しながら右方向へ略90度向きを変えるように湾曲している。つまり、ケーブル40aは第2湾曲部40abで経路長変化吸収の作用がある。
【0034】
第1筐体中継部42ad,42bdおよび第2筐体中継部40acは、実質的に本体筐体12とディスプレイ筐体14とを中継する部分であってヒンジ軸16bに沿うように配策されている。なお、ここでヒンジ軸16bに沿うと言うのは物理的にヒンジ軸16bに隣接している状態に限らず、ヒンジ軸16bの延長線上に沿っている状態を含む。
【0035】
第1湾曲部42ac,42bcおよび第2湾曲部40abは同じ空間52にある。ただし、空間52には抑え具57が設けられており、該抑え具57によって第1湾曲部42ac,42bcと第2湾曲部40abとは上下位置、つまり内面20aからの位置が仕切られている。第2湾曲部40abは、第1湾曲部42ac,42bcより下側、つまり内面20aから離れた位置で湾曲している。第1筐体内延在部42ab,42bbは比較的長く、左右方向に延在している。これに対して、第2筐体内延在部40aa短く、前後方向に延在している。
【0036】
図6は、ダクト部品56の斜視図である。
図4~
図6に示すように、ダクト部品56は左右に長い壁板58と、壁板58の両端から下方に立設する側板60,60と、左端に設けられる固定部62Lと、右端に設けられる固定部62Rとを有する。ダクト部品56は例えば樹脂材であり、小さくかつ簡易形状であって射出成型などによって廉価に製作可能である。
【0037】
壁板58は左右幅が筐体排気口50と同じであって、前方部58a、後方部58b、およびその中間の傾斜部58cを備える。前方部58aは前後~左右の平面を形成しており、前後に短い。後方部58bは上下~左右の平面を形成しており、上下に短い。傾斜部58cは前方部58aと後方部58bとの間を斜めに繋いでおり、水平面との角度θは本実施例の場合で30度程度である。傾斜部58cが形成する面は、前方部58aおよび後方部58bが形成する面よりも広くなっている。
【0038】
2つの側板60は前後幅が壁板58と同じであって、互いに対向する側の面が筐体排気口50の縁面50b(
図4参照)と同一面を形成する位置に配置される。また、側板60は下カバー部材22の内面にほぼ接する位置まで延在している。
【0039】
固定部62L,62Rは、側板60の略中間高さから側方に突出するネジ座板62aと、側板60およびネジ座板62aの前縁に沿って形成された前板62bとを有する。前板62bの上端には小さい切欠62cが形成されている。ネジ座板62aにはネジ孔が形成されており、ネジ64によって上カバー部材20の内面20aから突出するボス66に対して固定される。ボス66は前面が前板62bに当接して安定するように平面状に形成されている。切欠62cには、ボス66と後側面12caとの間に形成された小突起68が嵌り込んで位置決めがなされる。
【0040】
固定部62Rには、さらにネジ座板62aおよび前板62bの縁に沿って形成されて側方を塞ぐ内板62dが設けられている。内板62dは後側面12caから内面20aに亘って形成された平板突起70に当接して安定する。なお、固定部62Lには内板62dが設けられてなくその分左右幅が抑制されている。
【0041】
図7は、抑え具57を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。抑え具57は支柱部80、および突出部82を有する。抑え具57は例えば樹脂材であり、小さくかつ簡易形状であって射出成型などによって廉価に製作可能である。
【0042】
支柱部80は下面にネジ孔80aが形成され、上面が開口した箱形状である。支柱部80は平面視で略D字形状であって、左側面80bは180度の円弧状となっている。支柱部80の後壁および右壁には上向き開口の小さい切欠80c,80dが形成されている。支柱部80の前後幅はダクト部品56とほぼ同じであり(
図8参照)、左右幅は前後幅よりやや長く、高さはケーブル42a,42bの線径よりやや大きい。
【0043】
突出部82は支柱部80の下面80eから左斜め前方に向かって突出している。突出部82は下面80eよりやや高い位置にあり、該下面80eとは段差を形成している。突出部82は下面80eとの接続部にネジ孔80aと同心状の円弧切欠82aが形成されている。突出部82の先端は左右に沿う先端縁82bと前後に沿う先端縁82cとによって直角をなしている。先端縁82bは先端縁82cより短くなっている。突出部82の下面の各縁はR面取り形状となっている。突出部82の上下幅は薄く、突出長さは2本のケーブル42a,42bの合計線径よりやや長い。
【0044】
図5に戻り、抑え具57はネジ孔80aを通るネジ64によって上カバー部材20の内面20aから突出するボス84に対して固定される。ネジ64の座面となる支柱部80の下面80eは突出部82に対して段差を形成していることから、ネジ64の頭部は突出部82よりも下方に突出することがない(
図8参照)。
【0045】
ボス84は支柱部80の内空部に嵌り込むようになっている。ボス84はボス66のすぐ左隣にある。ボス84に固定される抑え具57は、空間52内でダクト部品56の固定部62Lの左側に隣接する。支柱部80の切欠80cにはボス84とボス66との間に形成された小突起86が嵌り込み、図示を省略するが切欠80dに対しても同様の小突起が嵌り込んで抑え具57の位置決めがなされる。
【0046】
図8は、
図4における抑え具57および第1湾曲部42ac,42bcとその周辺部の拡大図である。
図8ではケーブル40aを仮想線で示している。
【0047】
図8に示すように、抑え具57は第1湾曲部42ac,42bcのU字形を基準として内径側の箇所で内面20aに対して支柱部80が固定されており、突出部82が外径側に突出している。支柱部80は第1湾曲部42ac,42bcの内径側に配置されていることで、いわゆるデッドスペースが有効活用され、抑え具57を設けるために別途専用のスペースを確保する必要がない。
【0048】
第1湾曲部42ac,42bcは、抑え具57の突出部82と内面20aとの間を通っている。つまり第1湾曲部42ac,42bcは突出部82によって内面20aからの浮き上がりが制限されている。また。換言すれば第2湾曲部40baは突出部82によって内面20aに近づくことが制限されている。突出部82の先端縁82bはマザーボード29の縁とほぼ隙間なく隣接しており、第1湾曲部42ac,42bcが下方に抜けることがない。
【0049】
第1湾曲部42ac,42bcおよび第2湾曲部40baは、それぞれ多少の余長があってディスプレイ筐体14の開閉動作にともなう経路長の変化を吸収するために変位するが、両者は突出部82によって上下に仕切られていることから変位は仕切られた空間内に制限される。つまり、第1湾曲部42ac,42bcは空間52内における上方空間に維持され、第2湾曲部40baは空間52内における下方空間に維持されるため両者が互いに接触および圧迫しあうことがなく好適な位置に維持され、圧迫にともなう寿命低減を防止することができる。第1湾曲部42acが当接する支柱部80の左側面80bは円弧面であり、該第1湾曲部42acに対して静的および動的にストレスを与えることがない。
【0050】
ケーブル42a,42bは、第1湾曲部42ac,42bcが空間52で実質的に最大角度となる180度で反転しており、しかも第1筐体内延在部42ab,42bbが比較的長いためそれだけディスプレイ筐体14が回動する際の姿勢・経路変化が大きいと想定されるが、第1湾曲部42ac,42bcは突出部82と内面20aとの間の狭い隙間内に維持されており、変位が適正に制限される。また、同様の理由からケーブル42a,42bは組み付け時に空間52,54収まりにくいが、抑え具57およびダクト部品56によって適正に配置される。
【0051】
これに対して、ケーブル40aの第2湾曲部40abの湾曲角度は第1湾曲部42ac,42bcより小さい90度程度であり、しかも第2筐体内延在部40aaが比較的短いためそれだけディスプレイ筐体14が回動する際の姿勢・経路変化が小さいと想定され、第2湾曲部40abは空間52内における比較的広い下方空間に維持される。第2湾曲部40abは第1湾曲部42ac,42bcと比較して比較的自由に変位が可能となっており、第2筐体内延在部40aaが短くても接続元であるコネクタ46aに負荷を与えることがない。また、2本の第1湾曲部42ac,42bcは内面20aに沿って並んで配列されて高さが抑制されており、その分ケーブル40aが配置される空間52における突出部82より下方の空間が広く確保される。
【0052】
下面80eと突出部82とは段差を形成し、ネジ64の頭部は突出部82よりも下方に突出することがないためケーブル40aを損傷することがない。突出部82の縁はR面取り形状であることからケーブル40aを損傷することがない。
【0053】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10 電子機器
12 本体筐体
12ca 後側面
12cb 端部側面
14 ディスプレイ筐体
16 ヒンジ
16b ヒンジ軸
40a ケーブル(第2ケーブル)
40aa 第2筐体内延在部
40ab 第2湾曲部
40ac 第2筐体中継部
42a,42b ケーブル(第1ケーブル)
42aa,42ba 根元部
42ab,42bb 第1筐体内延在部
42ac,42bc 第1湾曲部
42ad,42bd 第1筐体中継部
46a,46b コネクタ
48 アンテナモジュール
52,54 空間
56 ダクト部品
57 抑え具
80 支柱部
82 突出部