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特開2024-172799地震発生状況把握方法、及び、地震発生状況管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172799
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】地震発生状況把握方法、及び、地震発生状況管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/01 20240101AFI20241205BHJP
   G01H 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01V1/00 D
G01H1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090772
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 由訓
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏章
【テーマコード(参考)】
2G064
2G105
【Fターム(参考)】
2G064AB02
2G064AB15
2G064AB19
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
2G105AA03
2G105BB01
2G105EE02
2G105MM01
2G105NN02
(57)【要約】
【課題】地震発生状況を早期かつ正確に把握すること。
【解決手段】建設現場において一時的に測定している地盤振動の測定データに基づき、前記建設現場の外部から当該建設現場の地震発生状況を把握する、ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場において一時的に測定している地盤振動の測定データに基づき、前記建設現場の外部から当該建設現場の地震発生状況を把握する、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項2】
請求項1に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記建設現場は、複数あり、
それぞれの前記建設現場における前記地震発生状況に基づき、地震対応の優先順位を決定する、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項3】
請求項1に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記測定データと、所定の観測点に設置された地震計による震度測定結果と、に基づき、前記建設現場の周辺の地震発生状況を把握する、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項4】
請求項1に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記建設現場は、複数あり、
対象の建設現場における前記測定データと、他の建設現場における前記測定データとに基づき、前記対象の建設現場の周辺の地震発生状況を把握する、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記建設現場に設置された撮像装置によって、当該建設現場の前記地震発生状況を撮像する、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記地盤振動の測定は、継続的に行われる、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項7】
請求項1~4の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記測定データは、前記建設現場の外部のサーバーに送信される、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項8】
請求項1~4の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、
前記建設現場の位置と、当該建設現場に対応する前記地震発生状況と、を示す情報を地図上に表示する、
ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【請求項9】
建設現場に設置され、一時的に地盤振動を測定する振動測定器と、
前記建設現場の地震発生状況を把握するための、当該建設現場の外部のサーバーと、
を備え、
前記サーバーに、前記振動測定器による前記地盤振動の測定データが送信される、
ことを特徴とする地震発生状況管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生状況把握方法、及び、地震発生状況管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築工事や土木工事などの建設現場では、通常、工事により発生する振動や騒音などを、計測機器を用いて監視(モニタリング)している(例えば、特許文献1参照)。また、地震が発生した際には、建設現場に近い公的な地震計による震度から、当該建設現場の震度を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-83803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、公的な地震計は、数十km程度の間隔で設置されていることが多い。このため、地震計から推定される震度と、実際の震度が異なる(乖離している)ことがあり、地震発生状況を正確に把握することが出来ず、初動対応が遅れるおそれがあった。なお、地震発生状況とは、震度等の揺れの大きさや被害の状況などである。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、地震発生状況を早期かつ正確に把握することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、建設現場において一時的に測定している地盤振動の測定データに基づき、前記建設現場の外部から当該建設現場の地震発生状況を把握する、ことを特徴とする地震発生状況把握方法である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、地震発生状況を早期かつ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】地震計psの配置と建設現場pcの位置の一例を示す図である。
図2】建設現場pcの震度の推定(比較例)を示す図である。
図3】実際の地震発生状況を示す図である。
図4】建設現場pcの一例を示す概略図である。
図5】本実施形態の地震発生状況管理システムの説明図である。
図6】本実施形態の地震発生状況把握方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
(態様1)
建設現場において一時的に測定している地盤振動の測定データに基づき、前記建設現場の外部から当該建設現場の地震発生状況を把握する、ことを特徴とする地震発生状況把握方法。
【0012】
態様1の地震発生状況把握方法によれば、建設現場の地震発生状況(震度等)を早期かつ正確に把握することができる。
【0013】
(態様2)
態様1に記載の地震発生状況把握方法であって、前記建設現場は、複数あり、それぞれの前記建設現場における前記地震発生状況に基づき、地震対応の優先順位を決定することが望ましい。
【0014】
態様2の地震発生状況把握方法によれば、複数の建設現場がある場合に、どこを優先的に対応するか判断することができ、初動対応の遅れを抑制できる。
【0015】
(態様3)
態様1に記載の地震発生状況把握方法であって、前記測定データと、所定の観測点に設置された地震計による震度測定結果と、に基づき、前記建設現場の周辺の地震発生状況を把握することが望ましい。
【0016】
態様3の地震発生状況把握方法によれば、建設現場の周辺の地震発生状況を早期かつ正確に把握できる。
【0017】
(態様4)
態様1に記載の地震発生状況把握方法であって、前記建設現場は、複数あり、対象の建設現場における前記測定データと、他の建設現場における前記測定データとに基づき、前記対象の建設現場の周辺の地震発生状況を把握することが望ましい。
【0018】
態様4の地震発生状況把握方法によれば、建設現場の周辺の地震発生状況を早期かつ正確に推定できる。
【0019】
(態様5)
態様1~4の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、前記建設現場に設置された撮像装置によって、当該建設現場の前記地震発生状況を撮像することが望ましい。
【0020】
態様5の地震発生状況把握方法によれば、建設現場の様子(被害の状況)を把握することができる。
【0021】
(態様6)
態様1~5の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、前記地盤振動の測定は、継続的に行われることが望ましい。
【0022】
態様6の地震発生状況把握方法によれば、突然地震が発生しても状況を把握することができる。
【0023】
(態様7)
態様1~6の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、前記測定データは、前記建設現場の外部のサーバーに送信される、ことが望ましい。
【0024】
態様7の地震発生状況把握方法によれば、建設現場にいなくても、サーバーにアクセスすれば、状況を把握することができる。
【0025】
(態様8)
態様1~7の何れか1項に記載の地震発生状況把握方法であって、前記建設現場の位置と、当該建設現場に対応する前記地震発生状況と、を示す情報を地図上に表示する、ことが望ましい。
【0026】
態様8の地震発生状況把握方法によれば、建設現場の地震発生状況が視覚的にわかりやすくなる。
【0027】
(態様9)
建設現場に設置され、一時的に地盤振動を測定する振動測定器と、前記建設現場の地震発生状況を把握するための、当該建設現場の外部のサーバーと、を備え、前記サーバーに、前記振動測定器による前記地盤振動の測定データが送信される、ことを特徴とする地震発生状況管理システム。
【0028】
態様9の地震発生状況管理システムによれば、建設現場にいなくても、サーバーにアクセスすることにより、地震発生状況を早期かつ正確に把握することができる。
【0029】
===実施形態===
<<地震の震度推定について(比較例)>>
図1は、地震計psの配置と建設現場pcの位置の一例を示す図である。図2は、建設現場pcの震度の推定(比較例)を示す図である。図3は、実際の地震発生状況を示す図である。なお、図1図3には、同じ場所の地図が示されている。
【0030】
地震計psは、地震により発生した地震動(地面の動き)を計測し、記録する機器であり、公的機関(気象庁や地方自治体など)によって全国各地に設置されている。また、図1に示すように、地震計psは、数km(実際には数十km程度)の間隔を空けて所定の観測点(ここでは4つの観測点)に設置されている。地震計psによる計測は常に(常時)行われており、地震発生時には、計測された地震動に基づいて震度が算出される。なお、気象庁は、各地に設置された地震計psの情報をリアルタイムで収集し、震度情報として発表する。
【0031】
建設現場pcは、建物、橋、道路等の構造物の建設工事を行っている現場である。図1において、建設現場pcは複数あり、その数は地震計psよりも多い。また、複数の建設現場pcは各所に点在しており、建設現場pc同士の間隔は様々である。なお、建設現場pcは、常設ではなく、建設工事が施工されている期間(工事期間)のみに存在している(工事が終了すると存在しなくなる)。
【0032】
ここで、地震が発生した際には、建設現場pcの状況を把握する必要がある。一般的には建設現場pcに近い地震計psの震度(気象庁にて発表される震度)を用いて、現場の震度を推定している。例えば、図2では、地震発生後に気象庁で発表された各地震計psの震度が「震度4」である。この場合、図の破線で囲まれた範囲内の建設現場pcにおける震度も「震度4」であると推定できる。
【0033】
しかしながら、場所によっては、地震計psから推定される震度と、実際の震度とが異なる場合がある。
【0034】
例えば、図3に示す領域R(ハッチングした箇所)は、昔に河川であった領域である。このような領域Rでは地盤が軟弱であり揺れやすい。図3の場合、領域Rに位置する建設現場pc(○で囲んだ建設現場pc)では実際には「震度6弱」となっている。
【0035】
このように、地震計psから推定される震度と、実際の震度に乖離が生じることがあり、地震発生時の建設現場pcにおける初動対応が遅れるおそれがあった。
【0036】
そこで、本実施形態では、地震発生状況(震度等)を早期かつ正確に把握できるようにしている。
【0037】
<<建設現場pcについて>>
図4は、建設現場pcの一例を示す概略図である。図4に示す建設現場pcには、仮囲い1と、モニター2と、監視システム10(振動測定器11及びカメラ12)とが設けられている。
【0038】
なお、建設現場pcにて発生する振動が近隣住民に及ぼす影響は大きく、法や条例により振動についての基準が定められている。そのため、図4に示すように、建設現場pcには振動測定器11が設置されることが多く、工事により発生する振動が監視されている。
【0039】
仮囲い1は、建設現場pcの工事期間中、建設現場pcと外部とを仕切る部材であり、建設現場pcの周囲を囲むように設けられている。この仮囲い1は、工事関係者以外の立入り禁止、騒音低減、落下物による危害防止、盗難防止などのため設けられている。
【0040】
モニター2は、仮囲い1に設置されており、振動測定器11で測定された測定値(振動値)を表示する。なお、モニター2が、仮囲い1以外の場所に設置されていても良い。
【0041】
監視システム10は、建設現場pcの工事期間中に、振動や騒音などを監視するためのシステムである。図4には、監視システム10の振動測定器11とカメラ12が示されている(監視システム10全体については図5参照)。
【0042】
振動測定器11は、一時的に建設現場pcにおける地盤振動を測定するため、建設現場pc内(図では地表面)に設置されている。なお、振動測定器11は、周知の振動測定器を使用できる。本実施形態の振動測定器11は振動(地盤振動)を検出するセンサー11A(図5参照)を備えている。そして、振動測定器11は、センサー11Aにより地盤振動を測定し、振動波形や振動値などの測定データを取得する。
【0043】
ここで、「一時的」とは、対象の建設現場pcに振動測定器11が設置されてから、工事が終了するまでの少なくとも一部の期間を意味する。そして、振動測定器11は、その期間において継続的に(例えば1日当たり24時間)測定を行う。こうすることで、建設現場pcにおける振動を監視できる。また、本実施形態では、突然地震が発生した際においても、地震発生状況を把握できる。
【0044】
振動を監視する方法としては、具体的には、モニター2に振動測定器11の測定値である振動値をリアルタイムで表示したり、振動測定器11の測定値が予め設定された閾値を超えたときに警報を発したり、工事関係者がスマートフォン等の端末(後述するユーザー端末30)から振動測定器11の測定値を取得可能にしたりする方法を例示できる。こうして振動を監視することで、工事により発生する振動が基準値を超えないように工事作業を進めることができる。
【0045】
特に、図4のように、振動測定器11で測定された振動値を、仮囲い1に設置されたモニター2に表示する等して、建設現場pcの外から振動値を視認可能に表示することで、近隣住民の不安を軽減したり、近隣住民からの信頼感が得られるようになったりする。
【0046】
また、建設現場pcに騒音計(不図示)を設け、モニター2に振動値と共に騒音値を表示するようにしてもよい。
【0047】
カメラ12(撮像装置に相当)は、建設現場pcの状況を示す画像(又は映像)を撮像する。図4において、カメラ12は、建設現場pcの仮囲い1に固定されている。ただし、これには限られず、カメラ12が仮囲い1以外の場所に配置(固定)されていてもよい。
【0048】
また、本実施形態の監視システム10は、記憶部13、制御部14、及び通信部15(図5参照)を備えている。これらについては、後述する。
【0049】
<<地震発生状況管理システム>>
図5は、本実施形態の地震発生状況管理システムの説明図である。図5に示す地震発生状況管理システムは、各建設現場pcに設けられる監視システム10と、クラウドサーバー20と、ユーザー端末30とを備えている。
【0050】
<監視システム10>
図5に示すように、本実施形態の監視システム10は、振動測定器11、カメラ12、記憶部13、制御部14、及び通信部15を備えている。
【0051】
監視システム10は、各建設現場pcにそれぞれ設けられている。監視システム10の通信部15は、ネットワークNを介して、クラウドサーバー20に接続されている。なお、監視システム10(通信部15)は、有線又は無線(例えばWi-Fi(登録商標)など)でネットワークNに接続されている。また、通信部15は、仮囲い1に取り付けられたモニター2と、有線又は無線(例えばWi-Fi(登録商標)、携帯電話回線、Bluetooth(登録商標)など)で接続されている。
【0052】
記憶部13は、各種のデータやプログラム(例えば、監視を実行させるためのプロラム)などを記憶する。
【0053】
制御部14は、監視システム10の各部を制御する。例えば、制御部14は、振動測定器11が測定した振動値(測定データ)をモニター2やクラウドサーバー20に送信するように通信部15を制御する。なお、振動測定器11に制御部や通信部を設けて、測定データをモニター2やクラウドサーバー20に直接送信するようにしてもよい。
【0054】
また、制御部14は、カメラ12で撮像した画像データを、クラウドサーバー20に送信するように通信部15を制御する。なお、カメラ12に制御部や通信部を設けて、画像データをクラウドサーバー20に直接送信するようにしてもよい。
【0055】
<クラウドサーバー20>
クラウドサーバー20は、クラウド環境(換言すると、建設現場pcの外部)に構築されたサーバーである。本実施形態において、クラウドサーバー20は、地盤振動を監視するとともに、地震発生状況を把握するためのサーバーであり、ここでは、記憶部21と、通信部22と、制御部23とを有するものを例示する。
【0056】
クラウドサーバー20の通信部22が、各建設現場pcの振動測定器11の測定データを受信すると、制御部23は、振動データベースを作成して記憶部21に記憶させる。振動データベースとしては、測定データを建設現場pcごとに、建設現場pcの名称や位置や測定時刻などを対応付けたデータ群である。なお、本実施形態において、制御部23は、振動測定器11で測定された地盤振動の測定データ(振動値または波形)を、揺れの強弱の程度を示す「震度」に変換する。こうすることにより、専門家以外にも揺れの程度がわかりやすくなり、地震発生状況をより把握しやすくなる。なお、「震度」に限らず、最大加速度や最大速度、振動数ごとの振幅値など、他の指標でもよい。
【0057】
また、上述したように、クラウドサーバー20には、各建設現場pcのカメラ12で撮像された画像データも送信される。クラウドサーバー20の通信部22が、各建設現場pcの画像データを受信すると、制御部23は、画像データベースを作成して記憶部21に記憶させる。画像データベースとしては、画像データを建設現場pcごとに、建設現場pcの名称や位置や撮像時刻などを対応付けたデータ群である。
【0058】
また、記憶部21には、地図データベースも記憶されている。地図データベースは、建設現場pcごとの名称や位置(緯度、経度など)と、地図画像データとを対応付けたデータ群である。また地図データベースには、建設現場pcと同様に、地震計psに関する情報(データ)も含まれている。
【0059】
このように複数の建設現場pcとクラウドサーバー20がネットワークNで接続されたデータの管理システムを構成することで、複数の建設現場pcで測定されたデータを、ネットワークNを利用して一元的に管理できる。
【0060】
ユーザー(例えば工事関係者)は、ユーザー端末30からネットワークNを介してクラウドサーバー20にアクセスするだけで、各建設現場pcの振動の測定データ(震度)や画像データを取得できる。すなわち、ネットワークNに接続できる環境があれば、どこにいても(建設現場pcの外部からでも)、クラウドサーバー20にアクセスすることが可能であり、各建設現場pcの地震発生状況(震度等)を早期かつ正確に把握することができる。
【0061】
なお、クラウドサーバー20に限らず、測定データを一元管理可能なサーバー(コンピューター)に蓄積するようにしてもよい。この場合も、当該サーバーと、複数の建設現場pc(監視システム10)とがネットワークNを介して接続されるようにすればよい。
【0062】
<<地震発生状況把握方法>>
図6は、本実施形態の地震発生状況把握方法を示すフロー図である。
【0063】
まず、建設現場pcに設置された振動測定器11により、地盤振動の測定を行い、振動の測定データを取得する(S01)。本実施形態では、複数の建設現場pcごとにそれぞれ、地盤振動の測定を行う。また、前述したように、地盤振動の測定は、建設工事を行う期間(工事期間)の少なくとも一部の期間において、継続的に行われる。
【0064】
また、カメラ12により建設現場pcの撮像を行なう。これにより、建設現場pcの様子(状況)を示す画像データが取得される。
【0065】
次に、監視システム10の制御部14は、振動測定器11で測定された測定データ(揺れの情報を示すデータ)やカメラ12で撮像された画像データを、ネットワークNを介して、クラウドサーバー20に送信するよう通信部15を制御する(S02)。これより、各データ(測定データや画像データ)が、クラウドサーバー20に送信される。
【0066】
クラウドサーバー20の通信部22が、振動測定器11の測定データを受信すると、制御部23は、測定データと、建設現場pcの名称や位置や測定時刻などを対応付けた振動データベースを作り、記憶部21に記憶させる。また、この際、制御部23は、揺れの情報を分析(例えば、波形を分析)し、地盤振動のデータを、震度に変換する(S03)。なお、監視システム10の制御部14で震度に変換して、クラウドサーバー20に送信するようにしてもよい。
【0067】
また、クラウドサーバー20の通信部22が、カメラ12で撮像された画像データ(又は映像データ)を受信すると、制御部23は、振動データベースと同様に、画像データと、建設現場pcの名称や位置や撮影時刻などを対応付けた画像データベースを作成し、記憶部21に記憶させる。
【0068】
地震が発生した際に、ユーザーがユーザー端末30からクラウドサーバー20にアクセスすると、クラウドサーバー20の制御部23は、記憶部21を参照して、ユーザー端末30に対象箇所の地図(図1等参照)を表示させるとともに、地図上に、各建設現場pcの位置と、建設現場pcに対応する地震発生状況(震度)を示す情報を表示する(S04)。例えば、図1の各建設現場pcのマーク(■)を、震度に応じて色を変えて表示させるとよい。こうすることで、各建設現場pcの地震発生状況が視覚的にわかりやすくなる。
【0069】
また、ユーザーが地図上の建設現場pcのマーク(■)をクリックすると、その建設現場pcのカメラ12で撮像された画像(地震発生状況を示す画像)が表示されるようにしてもよい。このように画像を表示するようにすることで、例えば、現場内に被害があった場合などに被害状況がわかる。よって、各建設現場pcの地震発生状況をより正確に把握することができる。
【0070】
そして、ユーザーは、各建設現場pcの地震発生状況に基づき、地震対応の優先順位を決定する(S05)。具体的には、図3のように震度4の建設現場pcと、震度6弱の建設現場pcがある場合、震度の大きい方(ここでは震度6弱)の建設現場pcを優先的に調査する。これにより、初動対応の遅れを抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では建設現場pcの地震発生状況を推定していたが、これには限らず、建設現場pcの周辺の地震発生状況も推定することができる。
【0072】
例えば、建設現場pcの振動測定器11の測定データ(震度)と、その近くの地震計psによる震度測定結果(気象庁で発表された震度)と、に基づき、当該建設現場pcの周辺の地震発生状況を把握できる。これにより、その建設現場pc周辺の構造物(例えば、橋、道路、建物など)の被害の状況を推定することができ、早期に対応することができる。
【0073】
また、例えば、2つの建設現場pc(対象の建設現場pcと他の建設現場pc)における振動測定器11の測定データ(震度)に基づいても、同様に、対象の建設現場pcの周辺の地震発生状況を把握できる。この場合も上記と同様の効果が得られる。
【0074】
===その他の実施形態について===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0075】
前述の実施形態では、建設現場pcに振動測定器11を一台設置していたがこれには限られず、複数(2台以上)設置しても良い。その場合、モニター2に全ての振動測定器11の測定値を表示するようにしてよいし、特定の振動測定器11の測定値を表示するようしてもよい。あるいは、複数の振動測定器11の測定値の最大のもの(最大値)を表示するようにしても良い。地震発生状況を把握する場合も同様に、例えば、特定の振動測定器11の測定値(震度)を用いても良いし、測定値の最大のものを用いても良い。
【0076】
また、カメラ12についても、建設現場pcに2台以上設置して、それぞれ建設現場pc内の別の場所を撮像するようにしてもよい。これにより、建設現場pcの様子(状況)をより正確に把握することができる。
【0077】
また、建設現場pcに限らず、振動測定している場所(例えば、工場)などにおいても、同様にして、地震発生状況を把握することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 仮囲い、2 モニター、
10 監視システム、
11 振動測定器、11A センサー、
12 カメラ、
13 記憶部、14 制御部、15 通信部、
20 クラウドサーバー、
21 記憶部、22 通信部、23 制御部、
30 ユーザー端末、
pc 建設現場、ps 地震計、
図1
図2
図3
図4
図5
図6