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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172800
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】樹脂微粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20220101AFI20241205BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20241205BHJP
   B22F 1/148 20220101ALI20241205BHJP
   B22F 1/06 20220101ALI20241205BHJP
   B22F 1/10 20220101ALI20241205BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B22F1/00 K
B22F1/102
B22F1/148
B22F1/06
B22F1/10
C08F292/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090774
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】吉正 泰
(72)【発明者】
【氏名】山本 毅
【テーマコード(参考)】
4J026
4K018
【Fターム(参考)】
4J026AC27
4J026BA05
4J026BA19
4K018BA01
4K018BB01
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC11
4K018BC29
4K018BC30
4K018KA32
4K018KA70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重合プロセスを通した場合でも、金ナノ粒子を安定に分散させたまま樹脂微粒子を得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】金ナノ粒子10の表面を保護剤20で処理し、処理金ナノ粒子100を得る表面処理工程、水系媒体中で、前記処理金ナノ粒子及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、及び前記重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を生成する重合工程、を有する樹脂微粒子の製造方法である。前記保護剤は、正負の電荷を両方持ち、分子全体としては電荷を有しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金ナノ粒子の表面を保護剤で処理し、処理金ナノ粒子を得る表面処理工程、
水系媒体中で、前記処理金ナノ粒子及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、及び
前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を生成する重合工程、
を有する樹脂微粒子の製造方法であって、
前記保護剤が、下記式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する化合物を含むことを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
【化1】
(式(1)~(3)中、R1~R3、R4、R5、及びR6~R8は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、A1~A5は、それぞれ独立に連結基を表し、Q-はCOO-又はSO3 -を表す。)
【請求項2】
前記金ナノ粒子が、金ナノロッドである請求項1に記載の樹脂微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記保護剤が高分子化合物である、請求項1または2に記載の樹脂微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記保護剤の少なくとも一部が、前記金ナノ粒子の表面に配位している、請求項1または2に記載の樹脂微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記高分子化合物が、下記式(4)で表されるユニットを含む高分子主鎖を有する、請求項3に記載の樹脂微粒子の製造方法。
【化2】
(式(4)中、R12は、水素原子又はアルキル基を表し、R13は、アルキル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金ナノ粒子を含有する樹脂微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金ナノ粒子は、ユニークな構造、電気特性、及び光学特性を持つことから、不可視印刷、先端エレクトロニクス、及び医療などの様々な用途での利用が期待されている。但し、金ナノ粒子、なかでもナノロッド、ナノキューブ、及びナノプレートなどの異方性形状の金ナノ粒子は、媒体中における分散安定性が低く、容易に凝集することが知られている。
そこで、例えば、媒体中における分散安定性が向上した、シリカコーティング層を有する金ナノロッドが提案されている(特許文献1)。また、金ナノロッドを含有するトナーが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-152223号公報
【特許文献2】特開2022―117406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術において、比較的疎水性の弱い媒体や、穏和なプロセス中においては、金ナノ粒子の安定性を担保することができる。しかし、特許文献1に記載のシリカコーティング層を有する金ナノロッドは、疎水性の強い媒体に対しては分散しない。また、特許文献2に記載のトナーでは、重合時に金ナノロッドが凝集し、赤外吸収性が弱まる場合があった。すなわち、疎水性の高い樹脂を母材とするトナーなどの樹脂微粒子中に、金ナノ粒子を安定分散させたまま、熱せん断などのエネルギーがかかる重合プロセスを通すことは困難であった。
したがって、本発明の目的は、重合プロセスを通した場合でも、金ナノ粒子を安定に分散させたまま樹脂微粒子を得ることができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明によれば、金ナノ粒子の表面を保護剤で処理し、処理金ナノ粒子を得る表面処理工程、
水系媒体中で、前記処理金ナノ粒子及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、及び
前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を生成する重合工程、
を有する樹脂微粒子の製造方法であって、
前記保護剤が、下記式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する化合物を含むことを特徴とする樹脂微粒子の製造方法が提供される。
【0006】
【化1】
(式(1)~(3)中、R1~R3、R4、R5、及びR6~R8は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、A1~A5は、それぞれ独立に連結基を表し、Q-はCOO-又はSO3 -を表す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重合プロセスを通した場合でも、金ナノ粒子を安定に分散させたまま樹脂微粒子を得ることができる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の処理金ナノ粒子の一実施形態を示す模式図である。
図2】本発明の樹脂微粒子の一実施形態を示す模式図である。
図3】本発明の処理金ナノ粒子の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
【0010】
<第1の実施形態>
本発明の樹脂微粒子の製造方法は、金ナノ粒子の表面を保護剤で処理し、処理金ナノ粒子を得る表面処理工程、
水系媒体中で、前記処理金ナノ粒子及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、及び
前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を生成する重合工程、
を有する樹脂微粒子の製造方法であって、
前記保護剤が、下記式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する化合物を含むことを特徴とする。
【0011】
【化2】
(式(1)~(3)中、R1~R3、R4、R5、及びR6~R8は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、A1~A5は、それぞれ独立に連結基を表し、Q-はCOO-又はSO3 -を表す。)
【0012】
以下、式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する化合物を「保護剤」と換言する場合がある。
【0013】
本発明により得られる樹脂微粒子において、凝集抑制効果が得られる詳細な理由は明確ではないが、本発明者らは次のように考えている。
【0014】
金ナノ粒子は、通常、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)等の界面活性剤を含む液中で合成されるため、合成後にもCTAB等が表面に配位している。近年の研究により、金ナノ粒子表面におけるCTABの密度差により、金ナノ粒子上に電位勾配が生じることが分かってきた(Science Advances、2018年、第4号、e1700682)。本発明の保護剤は、正負の電荷を両方持つため、金ナノ粒子表面の電位勾配に合わせて強力に配位すると考えられる。金ナノ粒子の凝集は、表面に配位している物質の脱離によって起きる。本発明では、保護剤を強力に配位させることで、熱やせん断などのエネルギーがかかる重合プロセス中においても保護剤を脱離しづらくさせ、凝集を防ぐことを可能にした。
【0015】
(金ナノ粒子)
金ナノ粒子は、金を主成分とする、好ましくは実質的に金で形成されるナノ粒子である。金ナノ粒子の形状としては、球状(ナノスフィア)、多面体状、立方体状(ナノキューブ)、双錐状、棒状(ナノロッド)、及び板状(ナノプレート)などがある。なかでも、金ナノ粒子の主成分は、金ナノロッドであることが好ましく、異なる形状のナノ粒子の混合物であってもよい。
【0016】
金ナノ粒子を構成する金属中の金(金元素)の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。金元素と金元素以外の金属元素との配置は、原子レベルで複合化された合金状であっても、実質的に金で形成されたナノ粒子を金以外の金属元素で被覆したコア-シェル状でもよい。金ナノ粒子の表面に分散剤などの物質が分散安定化のために配位している場合、金ナノ粒子と、分散剤などの物質との混合物を「金ナノ粒子含有組成物」と表現する。
【0017】
金ナノ粒子は、ナノメートル(nm)オーダーの大きさの粒子である。金ナノ粒子の大きさは、1nm以上500nm以下であることが好ましく、5nm以上200nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上100nm以下であることが特に好ましい。粒子の大きさは、粒子の最大長さを意味する。金ナノ粒子の大きさは、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)観察、走査透過電子顕微鏡(STEM)観察、又は透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって計測することができる。金ナノ粒子の最大長さは、動的光散乱式粒度分布測定装置(DLS)を使用して測定してもよい。SEM観察写真、STEM観察写真、及びTEM観察写真から金ナノ粒子の最大長さを計測する場合、任意の金ナノ粒子100個の最大長さを計測したデータの内、上位と下位の値10%を除いた80個の平均値を採用することができる。
【0018】
金ナノ粒子は、通常、局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance:LSPR)由来の光吸収特性を有する。金ナノ粒子の光吸収波長は、大きさ、形状、アスペクト比(棒状粒子の場合は長軸と短軸の比であり、板状粒子の場合は平面最大長と厚さの比である)、周囲の誘電率などで変化する。例えば、金ナノロッドの場合、ロッドの長軸、及びロッドの短軸のそれぞれに起因する、2本の特徴的なプラズモン吸収バンド(表面プラズモンバンドの励起に対応するバンド)を示す。短軸に起因する吸収バンドは530nm付近に存在し、長軸に起因する吸収バンドは650~2,000nmに存在する。アスペクト比(長軸/短軸)を制御することで、最大吸収波長を調節することができる。なお、金ナノロッドのアスペクト比は、通常、1.5以上である。
【0019】
金ナノスフィアは、従来公知の方法にしたがって調製することができる。例えば、水溶液中で塩化金酸(HAuCl4)に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を添加し、24時間反応させることで、金ナノスフィアを得ることができる。必要に応じて、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などの界面活性剤を用いてもよい。
【0020】
金ナノロッドは、例えば、B.NikoobakftとM.A.El-Sayedによって提案された方法(Chemistry of Materials、2003年、第15号、1957-1962頁)にしたがって調製することができる。例えば、2種類の界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド及びベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド)を含有する水溶液中で、塩化金酸(HAuCl4)をアスコルビン酸で還元することで、金ナノロッドを得ることができる。
【0021】
また、4級アンモニウム塩である臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を過剰に含む水溶液中で金イオンを還元して金ナノロッド粒子を合成する方法もある。この方法では、まず、塩化金酸四水和物の水溶液にCTAB水溶液を添加し、水素化ホウ素ナトリウムをさらに添加して、シード粒子を有する溶液を調製する。次いで、調製した溶液に、硝酸銀、塩化金酸四水和物、L-アスコルビン酸、及びCTABの混合溶液を添加して一定時間保持するか、この混合溶液を少量ずつ添加する。これにより、核としてのシード粒子を異方的に成長させやすく、金ナノロッドを得ることができる。
【0022】
シード粒子を成長させる際に、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムを添加しておくことで、アスペクト比の大きい金ナノロッドを得ることができる。また、強い還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元した後、弱い還元剤であるトリエチルアミンを用いて還元することによっても、アスペクト比の大きい金ナノロッドを得ることができる。
【0023】
必要に応じて、金ナノロッドを精製してアスペクト比分布を調整してもよい。金ナノロッドの精製には、一般的に知られている方法のいずれも採用することができる。例えば、密度勾配超遠心分離法によって、金ナノロッドを精製することができる。具体的には、まず、濃度の異なるショ糖及びCTABの混合溶液を用意し、遠心チューブ内に濃度勾配順に重層する。その上に金ナノロッドのサンプルを重層した後、超遠心分離処理する。これにより、標準偏差σが小さく、アスペクト比分布がより狭い金ナノロッドを得ることができる。
【0024】
金ナノ粒子を調製する際には、界面活性剤を分散剤として用いることができる。界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム(BDAC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(DTAB)、及びテトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド(TTAB)などを挙げることができる。
【0025】
(処理金ナノ粒子の構造)
図1は、本発明の処理金ナノ粒子の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、下記一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する化合物(保護剤20)は、結合部30(親水部35)を介して金ナノ粒子10の表面に強く配位する。これにより、本実施形態の金ナノ粒子含有組成物100が構成されている。結合部30は、相互に隣接しない位置に配置された正電荷(+)及び負電荷(-)を有する。また、保護剤20は、分子全体としては電荷を有しない。このような特徴を有する保護剤20は、正電荷及び負電荷の両方で金ナノ粒子10の表面に配位しうるため、高い分散安定性が発揮されると推測される。なお、後述の図3が保護剤が高分子化合物の場合の態様を表しているのに対し、図1は保護剤が低分子化合物の場合の態様を表している。
【0026】
【化3】
(式(1)~(3)中、R1~R3、R4、R5、及びR6~R8は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、A1~A5は、それぞれ独立に連結基を表し、Q-はCOO-又はSO3 -を表す。)
【0027】
(保護剤)
一般式(1)~(3)中、R1~R3、R4、R5、及びR6~R8で表されるアルキル基は、炭素数1以上18以下のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上18以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、及びオクタデシル基などを挙げることができる。これらのアルキル基は、さらに置換されていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0028】
一般式(1)中、A1は連結基である。連結基A1としては、カルボニル基、アルキレン基、アリーレン基、及び-COOR9-(R9は炭素数1以上4以下のアルキレンを表す。)などを挙げることができる。なお、A1は単結合であってもよい。
【0029】
連結基A1であるアルキレン基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、炭素数1以上4以下のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、及び各種ブチレン基などを挙げることができる。
【0030】
連結基A1であるアリーレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、及びナフタレン-2,6-ジイル基などを挙げることができる。
【0031】
連結基A1である「-COOR9-」中のカルボニル基は、リン酸エステル部位以外に結合している。R9で表される炭素数1以上4以下のアルキレンは、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよい。
【0032】
連結基A1は、さらに他の官能基で置換されていてもよい。連結基A1は、原料の入手性や製造の容易性などの観点から、カルボニル基又は「-COOR9-」であることが好ましい。
【0033】
一般式(1)中、A2は連結基である。連結基A2としては、アルキレン基及びアリーレン基などを挙げることができる。連結基A2であるアルキレン基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、炭素数1以上4以下のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、及び各種ブチレン基などを挙げることができる。
【0034】
連結基A2であるアリーレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、及びナフタレン-2,6-ジイル基などを挙げることができる。
【0035】
連結基A2は、さらに他の官能基で置換されていてもよい。連結基A2は、原料の入手性や製造の容易性などの観点から、メチレン基及びエチレン基などのアルキレン基であることが好ましい。
【0036】
一般式(2)中、A3は連結基である。連結基A3としては、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、-COOR10-、-CONHR10-、及び-OR10-(R10はアルキレン基又はアリーレン基を表す。)などを挙げることができる。なお、A3は単結合であってもよい。
【0037】
連結基A3であるアルキレン基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、炭素数1以上4以下のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、及び各種ブチレン基などを挙げることができる。
【0038】
連結基A3であるアリーレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、及びナフタレン-2,6-ジイル基などを挙げることができる。
【0039】
連結基A3であるアラルキレン基としては、炭素数7以上15以下のアラルキレン基を挙げることができる。連結基A3である「-COOR10-」、「-CONHR10-」、及び「-OR10-」中、R10で表されるアルキレン基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、炭素数1以上4以下のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、及び各種ブチレン基などを挙げることができる。連結基A3である「-COOR10-」、「-CONHR10-」、及び「-OR10-」中、R10で表されるアリーレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、及びナフタレン-2,6-ジイル基などを挙げることができる。
【0040】
連結基A3は、さらに他の官能基で置換されていてもよい。連結基A3は、原料の入手性や製造の容易性などの観点から、-COOR10-又は-CONHR10-であることが好ましい。
【0041】
一般式(2)中、A4は連結基である。連結基A4としては、アルキレン基及びアリーレン基などを挙げることができる。
【0042】
一般式(3)中、A5は連結基である。連結基A5としては、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、-COOR11-、-CONHR11-、及び-OR11-(R11はアルキレン基又はアリーレン基を表す。)などを挙げることができる。なお、A5は単結合であってもよい。
【0043】
連結基A5であるアルキレン基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよく、炭素数1以上4以下のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1以上4以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、及び各種ブチレン基などを挙げることができる。連結基A5であるアリーレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、及びナフタレン-2,6-ジイル基などを挙げることができる。連結基A5は、原料の入手性や製造の容易性などの観点から、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基などのアルキレン基であることが好ましい。
【0044】
一般式(2)及び(3)中、Q-は、4級アンモニウム部位のカウンターアニオンであり、COO-又はSO3 -である。
【0045】
保護剤の構造は、金ナノ粒子表面への配位の強さの観点から、式(1)で表されるものであるか、式(2)あるいは式(3)でQ-がSO3 -であるものであることが好ましい。
【0046】
保護剤が低分子化合物である場合、グリフィン法によって算出されるHLB値が11以下であることが好ましい。HLB値が11より大きいと、低極性溶媒に対する溶解度が低下し、保護効果を十分に発揮できない場合がある。
【0047】
処理金ナノ粒子中、金ナノ粒子100質量部に対する保護剤の含有量は、25質量部以上5,000質量部以下であることが好ましく、50質量部以上3,000質量部以下であることがさらに好ましい。また、100質量部以上2,000質量部以下であることが特に好ましい。金ナノ粒子100質量部に対する保護剤の含有量が25質量部未満であると、保存安定性の向上効果がやや不十分になる場合がある。一方、金ナノ粒子100質量部に対する保護剤の含有量が5,000質量部超であると、分散媒体に対する保護剤の溶解性や分散性が低下することがあり、安定性の向上効果がやや不十分になる場合がある。
【0048】
(樹脂微粒子)
樹脂微粒子は、樹脂を主成分とする微粒子である。樹脂微粒子の総質量に占める樹脂の割合は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0049】
樹脂微粒子は、重合性単量体を重合することで製造することができ、重合性単量体を含め樹脂微粒子の製造方法については後述する。
【0050】
樹脂微粒子の平均粒子径(重量平均粒径)は、0.05μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であることにより、微粒子としての機能が発現しやすくなる。平均粒子径が100μm以下であることにより、安定的に重合することができる。平均粒子径は、SEM観察によって、求めることができる。
【0051】
図2は、本発明の樹脂微粒子の一実施形態を示す模式図である。本発明の樹脂微粒子200は、母材である樹脂40中に、処理金ナノ粒子100が分散された構造を持つ。
【0052】
樹脂微粒子中の金ナノ粒子の含有量は、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。0.001質量%未満の場合、金ナノ粒子の電気特性や光学特性を十分に発揮できない場合がある。1質量%より多い場合、樹脂微粒子に対する分散安定性がやや不十分になる場合がある。
【0053】
<第2の実施形態>
保護剤が高分子化合物の場合について、詳細に説明する。
【0054】
(高分子化合物)
図3は、本発明の処理金ナノ粒子の一実施形態を示す模式図である。図3に示すように、一般式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する高分子化合物70(保護剤)は、結合部30(親水部35)を介して金ナノ粒子10の表面に強く配位する。これにより、本実施形態の処理金ナノ粒子300が構成されている。結合部30は、相互に隣接しない位置に配置された正電荷(+)及び負電荷(-)を有する。また、高分子化合物70は、分子全体としては電荷を有しない。このような特徴を有する高分子化合物70は、正電荷及び負電荷の両方で金ナノ粒子10の表面に配位しうるため、高い分散安定性が発揮されると推測される。
【0055】
高分子化合物の少なくとも一部は、金ナノ粒子の表面に配位していることが好ましい。図3に示すように、高分子化合物70は、疎水性の高分子主鎖60及び結合部30を有する。分散媒体が疎水性である場合、結合部30を金ナノ粒子10の表面側に向けて強く配位するとともに、高分子主鎖60を分散媒体側に向けることで、金ナノ粒子10をより効果的に分散安定化することができる。
【0056】
高分子化合物は、下記一般式(4)で表されるユニットを含む高分子主鎖を有することが好ましい。
【0057】
【化4】
(式(4)中、R12は、水素原子又はアルキル基を表し、R13は、アルキル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。)
【0058】
一般式(4)中、R12で表されるアルキル基としては、炭素数1以上4以下のアルキル基を挙げることができる。炭素数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、及びn-ブチル基などを挙げることができる。R12は、重合性などの観点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0059】
一般式(4)中、R13で表されるアルキル基としては、炭素数1以上30以下のアルキル基を挙げることができる。炭素数1以上30以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-デシル基、n-ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、及びトリアコンチル基などを挙げることができる。
【0060】
一般式(4)中、R13で表されるカルボン酸エステル基としては、-COOR14(R14は、炭素数1以上30以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1以上30以下のヒドロキシアルキル基)などを挙げることができる。カルボン酸エステル基としては、メチルエステル基、エチルエステル基、n-プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n-ブチルエステル基、tert-ブチルエステル基、オクチルエステル基、2-エチルヘキシルエステル基、ドデシルエステル基、オクタデシルエステル基、ドコシルエステル基、トリアコンチルエステル基、フェニルエステル基、及び2-ヒドロキシエチルエステル基などを挙げることができる。
【0061】
一般式(4)中、R13で表されるカルボン酸アミド基としては、-CO-NR1516(R15及びR16は、それぞれ独立に、水素、炭素数1以上30以下のアルキル基、又はフェニル基)などを挙げることができる。カルボン酸アミド基としては、N-メチルアミド基、N,N-ジメチルアミド基、N,N-ジエチルアミド基、N-イソプロピルアミド基、N-tert-ブチルアミド基、N-n-デシルアミド基、N-n-ヘキサデシルアミド基、N-オクタデシルアミド基、N-ドコシルアミド基、N-トリアコンチルアミド基、及びN-フェニルアミド基などを挙げることができる。
【0062】
一般式(4)中、R13で表されるアルコキシ基としては、炭素数1以上30以下のアルコキシ基、及び炭素数1以上30以下のヒドロキシアルコキシ基などを挙げることができる。アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ドコシルオキシ基、トリアコンチルオキシ基、及び2-ヒドロキシエトキシ基などを挙げることができる。
【0063】
一般式(4)中、R13で表されるアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、及び2-ナフチル基などを挙げることができる。
【0064】
一般式(4)中のR13は、さらに置換されていてもよい。置換基としては、メトキシ基及びエトキシ基などのアルコキシ基;N-メチルアミノ基及びN,N-ジメチルアミノ基などのアミノ基;アセチル基などのアシル基;フッ素原子及び塩素原子などのハロゲン原子;などを挙げることができる。
【0065】
一般式(4)中のR12及びR13は、上述した種々の置換基の中から、用途に応じて適宜選択することができるが、分散性及び安定性を向上させるために、長鎖アルキル鎖を持った置換基を選択することが好ましい。
【0066】
高分子化合物中、一般式(4)で表されるユニットの含有量(モル%)は、全ユニットを基準として、50モル%以上99モル%以下であることが好ましく、70モル%以上98モル%以下であることがさらに好ましい。また、80モル%以上97モル%以下であることが特に好ましい。高分子化合物中の一般式(4)で表されるユニットの含有量を上記の範囲内とすることで、金ナノ粒子表面に対する高分子化合物の配位が安定化され、金ナノ粒子の分散性をより向上させることができる。
【0067】
処理金ナノ粒子中、金ナノ粒子100質量部に対する高分子化合物の含有量は、25質量部以上5,000質量部以下であることが好ましく、50質量部以上2,500質量部以下であることがさらに好ましい。また、75質量部以上1,250質量部以下であることが特に好ましい。金ナノ粒子100質量部に対する高分子化合物の含有量が25質量部未満であると、保存安定性の向上効果がやや不十分になる場合がある。一方、金ナノ粒子100質量部に対する高分子化合物の含有量が5,000質量部超であると、分散媒体に対する高分子化合物の溶解性や分散性が低下することがあり、保存安定性の向上効果がやや不十分になる場合がある。
【0068】
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上100,000以下であることが好ましく、2,000以上50,000以下であることがさらに好ましい。なお、金ナノ粒子に対して、同じ量の低分子の保護剤と高分子の保護剤をそれぞれ用いた場合、高分子の保護剤を用いた場合の方が、得られる処理金ナノ粒子の分散安定性を高める効果が高い。
【0069】
<樹脂微粒子の製造方法>
以下では、本発明の樹脂微粒子製造方法について詳しく説明する。
【0070】
樹脂微粒子の製造方法としては、乳化重合、ソープフリー重合、分散重合、懸濁重合が挙げられる。中でもビーズ状の取り扱いやすい樹脂微粒子が安定して得られることから、懸濁重合によることが好ましい。以下では、懸濁重合の場合を例として製造方法を説明するが、懸濁重合以外の重合方法を用いる場合、工程を適宜変更すればよい。
【0071】
本発明の製造方法は、以下の製造工程を有する。
・金ナノ粒子の表面を保護剤で処理し、処理金ナノ粒子を得る表面処理工程。
・水系媒体中で、前記処理金ナノ粒子及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程
・前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を生成する重合工程。
【0072】
また、本発明の製造方法は、難水溶性無機微粒子を含有する分散液を調製する分散液調製工程を有することができる。さらに、本発明の製造方法は、例えば、造粒工程の前に、下記組成物調製工程を有することができる。
・重合性単量体、処理金ナノ粒子、離型剤、極性樹脂を混合して重合性単量体組成物を調製する組成物調製工程。
【0073】
しかしながら、本発明では、この組成物調製工程を別途設けなくても良い。造粒工程の際に、分散液中に、重合性単量体組成物を構成する成分(重合性単量体、処理金ナノ粒子及び極性樹脂等)を一度に添加しても良い(その際、一部の成分を予め別途混合していても良い)。また、例えば、これらの成分のうちの1つまたは複数の成分(その際、一部の成分を予め別途混合していても良い)を、温度条件や撹拌条件等を適宜変えて段階的に分散液中に添加しても良い。なお、重合性単量体組成物の一部(例えば、後述する重合開始剤)は、重合性単量体組成物粒子に含有されずに、分散液の分散媒中に溶解していても良い。このため、重合性単量体組成物のうち、重合開始剤等の分散媒中に溶解可能な成分は、造粒工程後(重合性単量体組成物の粒子が形成された後)かつ重合工程終了前(重合反応が完結して樹脂微粒子が形成される前)に、分散液中(または反応系中)に添加しても良い。即ち、本発明では、結果的に(樹脂微粒子が形成される前に)、分散液中(または反応系中)に、重合性単量体組成物の各成分が添加(含有)されていれば良い。
【0074】
なお、組成物調製工程を別途設ける場合は、造粒工程は、調製した重合性単量体組成物を上記分散液中に分散させることにより、この重合性単量体組成物の粒子を造粒する工程であることができる。
【0075】
また、本発明の製造方法は、上記重合工程より得られた樹脂微粒子(樹脂微粒子を含む重合反応液)に対し、以下の蒸留工程と、洗浄、濾過及び乾燥工程とを行うことができる。さらに、これらの工程より得られた樹脂微粒子に対して、以下の外添工程を行うこともできる。即ち、本発明の樹脂微粒子の製造方法は、分散液調製工程と、表面処理工程と、造粒工程と、重合工程(追加添加工程及び昇温工程)と、蒸留工程と、洗浄、濾過及び乾燥工程と、外添工程とを含むことができる。
・得られた樹脂微粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行う蒸留工程。
・得られた樹脂微粒子(または樹脂微粒子を含む分散液)に対して、洗浄、濾過及び乾燥
を行う、洗浄、濾過及び乾燥工程。
・得られた樹脂微粒子に外添剤(例えば、無機微粉体)を添加する外添工程。
【0076】
次に、上記各工程を詳述する。
【0077】
[分散液調製工程]
まず、分散剤として難水溶性無機微粒子を含む分散液を調製する。
【0078】
(分散液)
難水溶性無機微粒子を含む分散液は、難水溶性無機微粒子と、水とを含む分散液(水分散液)であることができる。また、この分散液は、この他に、難水溶性無機微粒子を生成する際に生じる対イオンや、pH調整用に添加する酸(例えば、塩酸及び硫酸)やアルカリ(例えば、塩酸、硫酸及び水酸化ナトリウム及び、炭酸ナトリウム)等を含むことができる。なお、分散液は難水溶性無機微粒子と水とからなることもできる。
【0079】
・水
分散液の調製に用いる水(分散媒)は、例えば、イオン交換水を用いることができる。なお、分散液は、重合性単量体100質量部に対して、100質量部以上の水を用いて調製することが好ましい。水の使用量が100質量部以上であれば、油水反転を起こすことなく油滴(重合性単量体組成物粒子)を容易に形成できる。
【0080】
・難水溶性無機微粒子
難水溶性無機微粒子は、造粒工程において、分散液中に存在する重合性単量体組成物の分散安定化剤としての役割を果たす。ここで難水溶性の微粒子とは、特定のpH領域(例えば4.0以上10.0以下)で水に対する溶解度(測定温度:60℃)が10以下であり、平均体積粒径が1.0μm以下のものをいう。なお、懸濁重合の分散安定化剤としては、無機系と有機系の分散安定化剤が公知であるが、本発明では特に無機系の分散安定化剤を、難水溶性無機微粒子として用いる。なお、有機系の分散安定化剤(例えば、界面活性剤)を、難水溶性無機微粒子と併用しても良い。
【0081】
難水溶性無機微粒子としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等の無機系の分散安定化剤(難水溶性無機分散安定化剤)が挙げられる。この中でも、粒子径の制御の簡便さから、難水溶性無機微粒子としては、リン酸カルシウムを用いることが好ましい。これらの難水溶性無機微粒子は1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
【0082】
・分散液の調製方法
難水溶性無機微粒子が分散された分散液を調製する場合には、難水溶性無機微粒子として、市販の分散安定化剤をそのまま用いて、水中に分散させても良い。しかし、細かい均一な粒度を有する難水溶性無機微粒子(分散安定化剤粒子)を得るために、水中にて高速撹拌下で、上記難水溶性無機微粒子を生成させて調製することが好ましい。
【0083】
例えば、リン酸カルシウムを難水溶性無機微粒子として使用する場合、以下のように調製することができる。即ち、高速撹拌下かつ60℃以下の低温領域で、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を水中に形成することで難水溶性無機微粒子を得ることができる。
【0084】
[表面処理工程]
金ナノ粒子の表面を保護剤で処理し、処理金ナノ粒子を得る。表面処理工程において、金ナノ粒子の表面に保護剤の少なくとも一部が配位する。方法としては、金ナノ粒子に保護剤を作用させて後述の界面活性剤と交換する方法;金ナノ粒子と保護剤とを共存させる方法;などを挙げることができる。界面活性剤と交換する方法の場合では、遠心分離することで、遊離した余剰の界面活性剤を除去することができる。表面処理工程は、固相、液相どちらで行ってもよい。液相で行う場合、媒体としては水、有機溶媒等、一般に知られているいずれの溶媒も用いることができるが、配位を促進するために、低極性媒体を用いることが好ましい。
【0085】
ここで、低極性媒体とは、水のような極性溶媒に対し、極性の低い有機溶媒のことを指す。低極性溶媒としては、誘電率が25以下であるものが好ましく、15以下であるものがより好ましい。具体的には、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ヘキサンなどの炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;スチレンなどの重合性単量体;などを挙げることができる。必要に応じて、これらの分散媒体を混合して用いることもできる。
【0086】
また、配位を促進するために、加熱、超音波処理等を行ってもよい。
【0087】
液相で処理金ナノ粒子を得た場合は、減圧留去等により媒体を除去すればよい。媒体としてスチレンなどの重合性単量体を用いた場合は、そのまま次工程に用いてもよい。必要に応じて、遠心分離等により、余分な配位子(CTAB等)を取り除いてもよい。
【0088】
[造粒工程]
重合性単量体、処理金ナノ粒子、離型剤、極性樹脂を含む重合性単量体組成物を分散させて、重合性単量体組成物の粒子を造粒する。なお、上述したように、分散液中に添加された重合性単量体組成物全てが、重合性単量体組成物粒子を構成しなくても良く、添加された重合性単量体組成物の一部(例えば、重合開始剤)が、分散媒中に含まれていても良い。
【0089】
このため、重合性単量体や重合性単量体組成物を基準とした重合性単量体組成物の各成分の相対使用量は、仕込みの重合性単量体量や重合性単量体組成物量に基づくものである。
【0090】
なお、上述したように、予め、重合性単量体、処理金ナノ粒子、離型剤および極性樹脂等を混合して重合性単量体組成物を調製して(組成物調製工程)、その調製した重合性単量体組成物を分散液に分散させ、重合性単量体組成物の粒子を作製しても良い。
【0091】
重合性単量体組成物の粒子を造粒する際には、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)等の撹拌装置を用いることができる。
【0092】
(重合性単量体組成物)
重合性単量体組成物は、重合性単量体、処理金ナノ粒子、離型剤および極性樹脂を含み、必要に応じて、その他に、重合開始剤、荷電制御剤、連鎖移動剤、重合禁止剤および架橋剤等の添加剤を含むことができる。重合性単量体組成物は、重合性単量体、処理金ナノ粒子、離型剤および極性樹脂と、これらの添加剤とを混合することにより得ることができる。
【0093】
(重合性単量体)
重合性単量体は、作製する樹脂微粒子に応じて適宜設定することができるが、例えば、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることができる。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0094】
単官能性重合性単量体としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン等のスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン。
【0095】
多官能性重合性単量体としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’-ビス(4-(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等。
【0096】
重合性単量体は、1種類を単独で用いても良いし、複数種類を併用しても良い。
【0097】
重合性単量体の使用量は、粒子の耐ストレス性の観点から、全重合性単量体組成物のうち50質量%以上を占めることが好ましい。
【0098】
(極性樹脂)
極性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、スチレンアクリル樹脂などを用いることができる。極性樹脂は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
【0099】
また、極性樹脂として用いるポリエステル樹脂は、非晶性であることが好ましい。非晶性であれば、耐熱保存性を付与することができる。なお、非晶性であるか否かはDSC測定装置で融点をもつか否かにより特定することができる。
【0100】
ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸とを重縮合することにより得られたポリエステル樹脂であれば特に限定されない。
【0101】
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0102】
多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸またはその無水物:コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸または、その無水物が挙げられる。
【0103】
(重合開始剤)
重合性単量体の重合の際に、油溶性開始剤及び水溶性開始剤のいずれか一方または両方の重合開始剤を用いることができる。
【0104】
油溶性開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等のニトリル系開始剤;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等のパーオキサイド系開始剤。
【0105】
水溶性開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
【0106】
上記重合開始剤の使用量(濃度)は、重合性単量体100質量部に対して、重合効率と安全性の観点から、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。上記重合性開始剤は、10時間半減温度を参考に、1種類を単独で、または、2種類以上を混合して使用することができる。
【0107】
(架橋剤)
樹脂微粒子の耐ストレス性を高めると共に、樹脂微粒子の構成分子の分子量を制御するために、重合性単量体の重合時に架橋剤を用いることもできる。
【0108】
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いることができる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。
【0109】
これらの架橋剤は、樹脂微粒子の定着性、耐オフセット性の観点から、上記重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下の範囲、より好ましくは0.10質量部以上5質量部以下の範囲で用いることが良い。
【0110】
(処理金ナノ粒子)
樹脂微粒子中に処理金ナノ粒子を分散させるために、処理金ナノ粒子を溶剤に分散させた状態で用いることができ、重合性単量体(例えばスチレン)をこの溶剤として用いることもできる。
【0111】
(離型剤)
離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0112】
離型剤は、離型性能と造粒安定性の観点から、総量で、重合性単量体100質量部に対して、2.5質量部以上25.0質量部以下用いられることが好ましい。離型剤が2.5質量部以上であることによって定着時の離型が容易となる、25.0質量部以下であることによって粒度分布が乱されることなく均一な表層を形成し易い。
【0113】
(連鎖移動剤、重合禁止剤)
重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、及び、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0114】
連鎖移動剤としては、(例えば、α-メチルスチレンダイマー、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素などを用いることができる。
【0115】
また、重合禁止剤としては、例えば、p-ペンゾキノン、クロルアニリル、アンスラキノン、フェナンスキノン、ジクロロベンゾキノン等のキノン化合物、フェノール、第3級ブチルカテコール、ハイドロキノン、カテコール、ハイドロキシモノメチルエーテル等のハイドロキシ有機化合物、ジニトロベンゼン、ジニトロトルエン、ジニトロフェノール等のニトロ化合物、ニトロソベンゼン、ニトロソナフトール等のニトロソ化合物、メチルアニリン、p-フェニレンジアミン、N,N’-テトラエチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン等のアミノ化合物、テトラアルキルウラムジスルフィド、ジチオベンゾイルジスルフィド等の有機イオウ化合物などを用いることができる。
【0116】
[重合工程]
難水溶性無機微粒子と、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液中にて、重合性単量体組成物粒子中の重合性単量体を重合(懸濁重合)させて、樹脂微粒子を生成する。
【0117】
[蒸留工程]
未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に、重合工程より得られる樹脂微粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行い、一部分散液を留去してもよい。蒸留工程は、常圧(101325Pa(a))もしくは減圧下(0.5kPa(a)以上0.95MPa(a)以下)で行うことができる。
【0118】
[アルカリ処理工程]
該水溶性金属塩の添加後樹脂微粒子の異形化を目的として、水系媒体の温度を該極性樹脂のTg以上かつ、pHを7.5以上にすることが好ましい。このアルカリ処理工程は重合後半で行ってもよいし、蒸留時や蒸留終了後に行ってもよい。
【0119】
[洗浄、濾過及び乾燥工程]
重合体粒子表面に付着した分散安定化剤を除去する目的で、蒸留工程等から得られた樹脂微粒子等の重合体粒子を含む分散液を、酸またはアルカリで処理をすることもできる。その際、一般的な固液分離法により樹脂微粒子等の重合体粒子は液相へと分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定化剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離して樹脂微粒子を得る。得られた樹脂微粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥することができる。
【0120】
[外添工程]
本発明の製造方法では、樹脂微粒子への各種特性付与を目的として、上述した工程より得られる樹脂微粒子の表面に、外添剤を付着させることができる。
【0121】
外添剤は樹脂微粒子に添加した時の耐久性の観点から、外添剤を付与する前の樹脂微粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;炭化物炭化ケイ素等の炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機金属塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;カーボンブラック、シリカ。
【0122】
これら外添剤は付着させる樹脂微粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下用いることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下用いることがより好ましい。外添剤は1種類を単独で用いても良いし、また複数種類を併用しても良い。なお、これらの外添剤は、帯電安定性の観点から、表面を疎水化処理したものを用いることが好ましい。疎水化処理方法としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
【0123】
(その他の添加剤)
樹脂微粒子は必要により、上記以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、可塑剤、重合安定剤、連鎖移動剤、蛍光増白剤、磁性粉、無機粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤等が挙げられる。また、樹脂微粒子の定着画像を可視画像とさせるような着色成分を含有しないことが好ましい。
【0124】
<各種測定方法など>
(配位の確認)
保護剤又が金ナノ粒子の表面に配位しているか否かは、赤外吸収分光法(IR)によって確認することができる。処理金ナノ粒子については、それ自体を試料とすることができる。また、金ナノ粒子含有樹脂微粒子の場合は、まず、トルエン等の有機溶媒で樹脂微粒子を溶解し、必要に応じて貧溶媒を加えて遠心分離処理した後、生成した沈殿物を乾燥させたものを試料とすることができる。IRスペクトルを測定し、結合部に特徴的なピークが認められれば、保護剤が金ナノ粒子の表面に配位していると判断することができる。
【0125】
(金含有量の定量方法)
樹脂微粒子中の金含有量は、JIS K 0116:2014に準拠したICP発光分光分析法によって定量することができる。樹脂微粒子に王水等の酸を添加した後、マイクロ波試料前処理装置(商品名「ETHOS PRO」、マイルストーンゼネラル製)などを使用し、マイクロウェーブ酸分解して液体を得る。その後、得られた液体を超純水で希釈し、ICP発光分光装置(商品名「CIROS CCD」(SPECTRO製)など)を使用してICP発光分光分析することにより、金含有量を定量することができる。
【0126】
(高分子化合物の重量平均分子量の測定)
高分子化合物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、単分散ポリメタクリル酸メチル換算で算出することができる。GPCによる重量平均分子量の測定は、例えば以下に示すように実施することができる。
【0127】
下記の溶離液に添加して濃度1質量%に調整したサンプルを室温(25℃)で24時間静置して溶液を得る。ポア径0.45μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで得られた溶液をろ過したものを試料とし、以下に示す条件にしたがって分析する。なお、分子量分布の算出にあたっては、標準ポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名「EasiVial PM ポリマースタンダードキット」、アジレント・テクノロジー製)により作成した分子量校正曲線を使用する。
・装置:Agilent 1260 infinity system(アジレント・テクノロジー製)
・カラム:PFG analytical linear M columns(PSS製)
・溶離液:2,2,2-トリフルオロエタノール
・流速:0.2mL/min
・オーブン温度:40℃
・試料注入量:20μL
【0128】
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)金ナノ粒子の表面を保護剤で処理し、処理金ナノ粒子を得る表面処理工程、
水系媒体中で、前記処理金ナノ粒子及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、及び
前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合させて樹脂微粒子を生成する重合工程、
を有する樹脂微粒子の製造方法であって、
前記保護剤が、前記式(1)~(3)のいずれかで表される構造を有する化合物を含むことを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
(構成2)前記金ナノ粒子が、金ナノロッドである構成1に記載の樹脂微粒子の製造方法。
(構成3)前記保護剤が高分子化合物である、構成1または2に記載の樹脂微粒子の製造方法。
(構成4)前記保護剤の少なくとも一部が、前記金ナノ粒子の表面に配位している、構成1~3のいずれかに記載の樹脂微粒子の製造方法。
(構成5)前記高分子化合物が、前記式(4)で表されるユニットを含む高分子主鎖を有する、構成3に記載の樹脂微粒子の製造方法。
【実施例0129】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
【0130】
<金ナノ粒子分散液の調製>
(金ナノ粒子分散液A)
0.0005mol/L塩化金酸四水和物(キシダ化学製)水溶液500mLと、0.2mol/L臭化セチルトリメチルアンモニウム(キシダ化学製)水溶液500mLとを混合した。次いで、0.01mol/L水素化ホウ素ナトリウム(東京化成工業製)60mLを添加して、シード粒子溶液である溶液Aを得た。
【0131】
0.15mol/L塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム(東京化成工業製)水溶液500mLに、臭化セチルトリメチルアンモニウム10gを溶解させた。0.004mol/L硝酸銀水溶液20mLを添加した後、0.001mol/L塩化金酸四水和物水溶液500mLをさらに添加した。次いで、0.078mol/L L-アスコルビン酸水溶液(キシダ化学製)7mLを添加して、溶液Bを得た。
【0132】
0.15mol/L塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム(東京化成工業製)水溶液500mLに、臭化セチルトリメチルアンモニウム10gを溶解させた。0.004mol/L硝酸銀水溶液20mLを添加した後、0.0005mol/L塩化金酸四水和物水溶液500mLをさらに添加した。次いで、0.078mol/L L-アスコルビン酸水溶液(キシダ化学製)3.6mLを添加して、溶液Cを得た。
【0133】
溶液Bに溶液A1.2mLを滴下した後、溶液C8.0mLを1.0mL/20分間の速度で添加して、核となるシード粒子を異方的に成長させた。10,000×gで5分間遠心分離した後、金ナノ粒子の含有量が0.05%となるようにトルエンに再分散させて、金ナノ粒子分散液Aを得た。得られた金ナノ粒子分散液A中の金ナノ粒子の主成分は金ナノロッドであり、長軸が72nm、アスペクト比(平均値)は8であった。
【0134】
<保護剤の製造、用意>
(低分子化合物a)
2-ヘキサデカノール100部、トリエチルアミン73部、及びトルエン3,000部を混合して0℃に冷却した。撹拌しながら、2-クロロ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オキシド79部を滴下した。0℃で15分間保持した後、室温に昇温して4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過し、溶媒を減圧留去して生成物を得た。得られた生成物をアセトニトリル2,700部に溶解させた後、ドライアイス-アセトン浴中で冷却しながらトリエチルアミン491部を添加した。70℃で48時間撹拌後、メタノールで希釈した。カラムクロマトグラフィーにより精製して、低分子化合物aを得た。
【0135】
低分子化合物aの構造、特性を表1に示す。表1中、YはA2とリン酸エステル部位との結合部位を示し、Y’はA2と4級アンモニウムカチオン部位との結合部位を示し、ZはA1と残部との結合部位を示す。
【0136】
【表1】
【0137】
(高分子化合物a)
冷却管、撹拌機、温度計、及び窒素導入管を取り付けた反応容器を用意した。この反応容器に、リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(トリメチルアンモニオ)エチル4.5部、メタクリル酸オクタデシル97.5部、アゾビスイソブチロニトリル3.9部、及びn-ブタノール900部を入れた。窒素ガスで30分間バブリングした後、65℃で8時間加熱して重合反応を完結させた。室温まで冷却した後、減圧して溶剤を留去した。得られた残渣をメタノールに溶解し、透析膜(商品名「Spectra/Por7 MWCO 1kDa」、スペクトラムラボラトリーズ製)を用いて透析精製した。溶媒を減圧留去した後、50℃、0.1kPa以下で減圧乾燥して高分子化合物aを得た。得られた高分子化合物a中、一般式(4)で表されるユニットの含有量は、全ユニットを基準として、95モル%であることを確認した。
【0138】
(高分子化合物b)
リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(トリメチルアンモニオ)エチル0.9部、メタクリル酸オクタデシルを101.6部、を用いたこと以外は、前述の高分子化合物aの場合と同様にして、高分子化合物bを得た。
【0139】
(高分子化合物c)
メタクリル酸オクタデシル97.5部に代えて、メタクリル酸ヘキシル49.0部を用いたこと以外は、前述の高分子化合物aの場合と同様にして、高分子化合物cを得た。
【0140】
(高分子化合物d)
メタクリル酸オクタデシル97.5部に代えて、スチレンモノマー30.0部を用いたこと以外は、前述の高分子化合物aの場合と同様にして、高分子化合物dを得た。
【0141】
高分子化合物a~dの構造、特性を表2に示す。表2中、XはA1と高分子主鎖との結合部位を示し、X’はA1とリン酸エステル部位との結合部位を示す。また、YはA2とリン酸エステル部位との結合部位を示し、Y’はA2と4級アンモニウムカチオン部位との結合部位を示し、ZはR13と高分子主鎖との結合部位を示す。
【0142】
【表2】
【0143】
(高分子化合物e)
リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(トリメチルアンモニオ)エチル4.5部に代えて、3-[[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホン酸4.2部を用いたこと以外は、前述の高分子化合物aの場合と同様にして、高分子化合物eを得た。
【0144】
(高分子化合物f)
リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(トリメチルアンモニオ)エチル4.5部に代えて、2-[[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニオ]酢酸3.3部を用いたこと以外は、前述の高分子化合物aの場合と同様にして、高分子化合物fを得た。
【0145】
高分子化合物e、fの構造、特性を表3に示す。表3中、XはA3と高分子主鎖との結合部位を示し、X’はA3と4級アンモニウムカチオン部位との結合部位を示す。YはA4と4級アンモニウムカチオン部位との結合部位を示し、Y’はA4とSO3 -あるいはCO2 -との結合部位を示し、ZはR13と高分子主鎖との結合部位を示す。
【0146】
【表3】
【0147】
(高分子化合物g)
2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアザミウニル)プロパン-1-スルホン酸39部をトリフルオロ酢酸130部に溶解し、0℃に冷却した。メタクリロイルクロリド91部を加え、0℃で45分撹拌後、室温で48時間撹拌した。ジエチルエーテルで再沈殿、洗浄して、3-トリメチルアンモニオ-2-メタクリロイルオキシプロパン-1-スルホン酸を収率60%で得た。
【0148】
次に、リン酸2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(トリメチルアンモニオ)エチル4.5部に変えて、3-トリメチルアンモニオ-2-メタクリロイルオキシプロパン-1-スルホン酸4.0部を用いたこと以外は、前述の高分子化合物aの場合と同様にして、高分子化合物gを得た。
【0149】
高分子化合物gの構造、特性を表4に示す。表4中、XはA5と高分子主鎖との結合部位を示し、X’はA5と双性イオン部位との結合部位を示し、ZはR13と高分子主鎖との結合部位を示す。
【0150】
【表4】
【0151】
〔実施例1~9、比較例1〕
<樹脂微粒子の製造>
(処理金ナノ粒子1の製造)
金ナノ粒子分散液A100部及び低分子化合物a0.5部を混合した後、60℃で1時間撹拌したのちに、溶媒を減圧留去し、処理金ナノ粒子1を得た。
【0152】
(処理金ナノ粒子2~9の製造)
表5に示す配合としたこと以外は、前述の処理金ナノ粒子1の場合と同様にして、処理金ナノ粒子2~9を得た。
【0153】
(比較用非処理金ナノ粒子1の製造)
金ナノ粒子分散液A100部の溶媒を減圧留去し、比較用非処理金ナノ粒子1を得た。
【0154】
【表5】
【0155】
<水系媒体1の調製>
反応容器にイオン交換水1000.0部、リン酸ナトリウム・12水和物14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1時間保温した。高速撹拌機「T.K.ホモミクサー」(プライミクス社製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。そこにイオン交換水20.0部に9.2部の塩化カルシウム・2水和物を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、微細な分散安定剤を含む水系媒体1を調製した。
【0156】
<重合性単量体組成物1の調製>
下記材料を混合し、混合物を得た。
・処理金ナノ粒子1 1.45部
・スチレン 128.9部
・n-ブチルアクリレート 36.3部
・飽和ポリエステル(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、ガラス転移温度65℃、重量平均分子量10000、数平均分子量6000) 8.2部
・エステルワックス(融点73℃) 14.9部
【0157】
この混合物を65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物1を調製した。
【0158】
<重合性単量体組成物2~10の調製>
表6に示す配合としたこと以外は、前述の重合性単量体組成物1の場合と同様にして、重合性単量体組成物2~10を得た。
【0159】
【表6】
【0160】
<造粒工程>
上記の分散安定剤を含む水系媒体1の温度を60℃とし、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1 121部中に上記の重合性単量体組成物1 39部を投入し、重合開始剤である2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル3.8部を添加した。その後、回転数12000rpmを維持しつつ、10分間造粒した。
【0161】
<重合工程>
造粒工程の後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に換え300rpmで撹拌しながら70℃を保持して8時間重合を行い、重合反応を完結させた。
【0162】
<洗浄、乾燥工程>
重合工程終了後、液温を室温まで冷却し、希塩酸を加えてpH1.5に調整した後、3時間撹拌した。その後、濾過、洗浄を繰り返した。次いで、気流乾燥機にて乾燥を行い、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットした。
【0163】
<外添工程>
得られた粗生成物を100.0部と、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒径7nm)1.0部とを高速混合機「FMミキサ」(日本コークス工業社製)を用いて混合して、重量平均粒径(D4)が5.8μmの実施例1に係る樹脂微粒子1を得た。
【0164】
造粒工程において、重合性単量体組成物1の代わりに重合性単量体組成物2~10を用いたこと以外は、前述の樹脂微粒子1の場合と同様にして、実施例2~9に係る樹脂微粒子2~9及び比較例1に係る樹脂微粒子10を得た。
【0165】
〔評価〕
(熱定着膜の作製)
厚さ1cm、直径5cmのSUS板を3枚、ホットプレート上で100℃に加熱した。そのうち1枚を、加熱機構を備えたプレス機の100℃に加熱した熱板上に載せ、さらに5cm×5cmの白色PETフィルム(東レ製)を載せた。PETフィルムの中央部に樹脂微粒子1~9をそれぞれ2mg載せ、その上に2枚目のSUS板を載せ、30MPaで30秒間プレスした。2枚目のSUS板とPETフィルムをはがし、プレス機とホットプレートの温度を80℃に下げた。1枚目のSUS板上に樹脂微粒子が加熱定着されたPETフィルムを再び載せ、その上に離型剤(ダイキン製)を塗布した3枚目のSUS板を載せた。30MPaで30秒間プレスし、表面を平滑化して、熱定着膜1~10を各5枚ずつ作製した。
【0166】
(比較対照用熱定着膜の作製)
比較対照用に、重合プロセスを経ずに、金ナノ粒子を0.05%含むポリスチレン樹脂膜を作製した。ポリスチレン粒子(アルドリッチ社製)99.95部、比較用非処理金ナノ粒子1 0.05部、トルエン500部を混合した。トルエンを減圧留去し、乳鉢で粉砕し、ポリスチレンに金ナノ粒子を0.05%含むポリスチレン樹脂を得た。この樹脂を用いて、上記熱定着膜の作製と同様にして、比較対照用熱定着膜1を5枚作製した。
【0167】
(近赤外領域における光吸収性の評価)
上記で作製した熱定着膜1~10、比較対照用熱定着膜1について、紫外可視近赤外分光光度計(商品名:MV-3300、日本分光社製)を使用して、波長900nm以上1800nm以下の範囲の分光分析測定を行った。ブランクとして白色PETフィルム単体の分光分析測定の値を使用し、熱定着膜の反射率の最大値(%)を算出した。そして、100から反射率の最大値を差し引いた値を光吸収率(%)とした。比較対照用熱定着膜1の光吸収率を100とした際の熱定着膜1~10の光吸収率を算出し、その値を吸収強度維持率と定義した。吸収強度維持率は5枚の平均値を採用した。そして、以下の基準で評価した。評価結果を表7に示す。
【0168】
[評価基準]
A:吸収強度維持率が60%以上であった。
B:吸収強度維持率が40%以上60%未満であった。
C:吸収強度維持率が20%以上40%未満であった。
D:吸収強度維持率が20%未満であった。
【0169】
【表7】
【符号の説明】
【0170】
10:金ナノ粒子、20:保護剤、30:結合部、35:親水部、40:樹脂、60:高分子主鎖、70:高分子化合物(保護剤)、100:処理金ナノ粒子、200:樹脂微粒子、300:処理金ナノ粒子
図1
図2
図3