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特開2024-172801方法、情報処理装置、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172801
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】方法、情報処理装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/101 20220101AFI20241205BHJP
【FI】
H04L67/101
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090775
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】邵 校
(57)【要約】
【課題】端末の処理の一部のオフロード先のクラウドとエッジサーバ間における切替を、コアネットワーク側で実行する。
【解決手段】コンピュータが、少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、当該通信品質に基づいて、外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを当該コア網へ送信することと、を実行する方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、
前記通信品質に基づいて、前記外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、前記端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを前記コア網へ送信することと、
を実行する方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記通信品質が、前記外部ネットワーク向けの通信が安定していることを示す第1の条件を満たす場合には、前記オフロード先として前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバを判定し、前記端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記コア網へ送信し、
前記通信品質が前記第1の条件を満たさない場合には、前記オフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記コア網へ送信する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、
複数の端末のそれぞれについて、端末と前記コア網間の通信品質をさらに取得し、
第1の端末と前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバ間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記コア網へ送信し、
前記通信品質が前記第2の条件を満たさない場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記コア網へ送信する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コア網は、5G(5th Generation)のコア網であり、
前記コンピュータは、
前記コア網内の前記外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質として、UPFと前記外部ネットワーク間の通信品質をNWDAF(NetWork Data Analytics Function)から取得し、
前記第1のリクエストを前記コア網内のPCF(Policy Control Function)へ送信
し、
前記第1のリクエストに基づく前記端末からのトラフィックの誘導の変更は、前記PCFからSMF(Session Management Function)へ通知され、前記SMFが所定のUPF
を制御することで実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータが、
前記UPFと前記外部ネットワーク間の通信品質が、前記外部ネットワーク向けの通信
が安定していることを示す第1の条件を満たす場合には、前記オフロード先として前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバを判定し、前記端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信し、
前記通信品質が前記第1の条件を満たさない場合には、前記オフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記NWDAFから、複数の端末について、端末と第1のUPFとの間の通信品質及び前記第1のUPFと前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバとの間の通信品質を取得し、
第1の端末と前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバとの間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記第1のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信し、
前記通信品質が前記第2の条件を満たさない場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信する、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のUPFは、第1の端末と前記外部ネットワークとの間に存在するULCL(Uplink Classifier)として動作するUPFであり、
前記ULCLは、前記第1のリクエストに基づく前記第1の端末からのトラフィックの誘導の変更によって、前記第1の端末からのトラフィックを、前記オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在する前記外部ネットワーク又は前記ローカルネットワークへ転送する、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記所定のUPFは、第1の端末と前記外部ネットワークに接続する第1のPSA(PDU Session Anchor)-UPFとの間に存在し、且つ、前記第1の端末と前記ローカルネットワークに接続する第2のPSA-UPFとの間に存在する、Branching PointとなるUPFであり、
前記Branching PointとなるUPFは、前記第1のリクエストに基づく前記第1の端末からのトラフィックの誘導の変更によって、IPv6プレフィクスに基づいて、前記第1の端末からのトラフィックを、前記オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークに接続するPSA-UPFとしての、前記第1のPSA-UPF又は前記第2のPSA-UPFへ転送する、
請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記所定のUPFは、前記外部ネットワークに接続する第1のPSA(PDU Session Anchor)-UPFと、前記ローカルネットワークに接続する第2のPSA-UPFと、であり、
前記SMFは、前記第1のリクエストに基づく第1の端末からのトラフィックの誘導の変更として、前記第1の端末と、前記オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークに接続するPSA-UPFとしての、前記第1の
PSA-UPF又は前記第2のPSA-UPFと、の間に新たにPDUセッションを確立させ、前記第1の端末ともう一方のPSA-UPAとの間の既存のセッションを解放させることで、前記第1の端末からのトラフィックを、前記オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークに接続するPSA-UPFとしての、前記第1のPSA-UPF又は前記第2のPSA-UPFへ誘導する、
請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記コンピュータは、
前記第1のリクエストをNEF(Network Exposure Function)へ送信し、
前記NEFは、前記第1のリクエストを前記PCFへ通知する、
請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピュータは、
前記第1の端末のトラフィックのうちの第1のアプリケーションのトラフィックのオフロード先の切替を判定する、
請求項3又は6に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のアプリケーションは、応答遅延が所定値より小さいことが求められ、且つ、処理が連続して発生するアプリケーションである、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、
前記通信品質に基づいて、前記外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、前記端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを前記コア網へ送信することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、
複数の端末のそれぞれについて、端末と前記コア網間の通信品質をさらに取得し、
第1の端末と前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバ間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記コア網へ送信し、
前記通信品質が前記第2の条件を満たさない場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記コア網へ送信する、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記コア網は、5G(5th Generation)のコア網であり、
前記制御部は、
前記コア網内の前記外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質として、UPFと前記外部ネットワーク間の通信品質をNWDAF(NetWork Data Analytics Function)から取得し、
前記第1のリクエストを前記コア網内のPCF(Policy Control Function)へ送信
し、
前記第1のリクエストに基づく前記端末からのトラフィックの誘導の変更は、前記PCFからSMF(Session Management Function)へ通知され、前記SMFが所定のUPF
を制御することで実行される、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記NWDAFから、複数の端末について、端末と第1のUPFとの間の通信品質及び前記第1のUPFと前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバとの間の通信品質を取得し、
第1の端末と前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバとの間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記第1のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信し、
前記通信品質が前記第2の条件を満たさない場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信する、
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記第1のリクエストをNEF(Network Exposure Function)へ送信し、
前記NEFは、前記第1のリクエストを前記PCFへ通知する、
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項18】
コンピュータに、
少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、
前記通信品質に基づいて、前記外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、前記端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを前記コア網へ送信することと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記コア網は、5G(5th Generation)のコア網であり、
前記コンピュータに、
前記コア網内の前記外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質として、UPFと前記外部ネットワーク間の通信品質をNWDAF(NetWork Data Analytics Function)から取得させ、
前記第1のリクエストを前記コア網内のPCF(Policy Control Function)へ送信
させ、
前記第1のリクエストに基づく前記端末からのトラフィックの誘導の変更は、前記PCFからSMF(Session Management Function)へ通知され、前記SMFが所定のUPF
を制御することで実行される、
請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記コンピュータに、
前記NWDAFから、複数の端末について、端末と第1のUPFとの間の通信品質及び前記第1のUPFと前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバとの間の通信品質を取得させ、
第1の端末と前記外部ネットワーク上の前記第1のサーバとの間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記第1のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記ローカルネットワークから前記外部ネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信させ、
前記通信品質が前記第2の条件を満たさない場合には、前記第1の端末のトラフィックのオフロード先として前記ローカルネットワーク内の前記第2のサーバを判定し、前記第1の端末からのトラフィックの誘導先を前記外部ネットワークから前記ローカルネットワークへ変更することを指示する前記第1のリクエストを前記PCFへ送信させる、
請求項19に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末からのトラフィックのオフロード先の切替に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナアプリケーションの処理時間と、車載機とクラウドサーバ又はエッジサーバとの間の往復通信に要する往復通信時間(RTT:Round-TripTime)と、に基づいて、車載機、クラウドサーバ、及びエッジサーバの何れにおいてコンテナアプリケーションを実行させるかを判定する情報処理システムが開示されている(例えば、特許文献1)。端末と、エッジサーバに接続する5Gコア網内のPSA-UPF(PDU Session Anchor-User Plane Function)との間の遅延に基づいて、PSA-UPFを切り替えることでエッジサーバを
切り替える技術が開示されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-080171号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 23.548 V18.1.1 “5G System Enhancements for Edge Computing;Stage 2(Release 18)”、 3GPP TSG SA WG2、2023年4月、“ 6.3.6 Edge Relocation Considering User Plane Latency Requirement”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、端末の処理の一部のオフロード先のクラウドとエッジサーバ間における切替を、コアネットワーク側で実行可能な方法、装置、及び、プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様の一つは、
コンピュータが、
少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、
前記通信品質に基づいて、前記外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、前記端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを前記コア網へ送信することと、
を実行する方法である。
【0007】
本開示の他の態様の一つは、
少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、
前記通信品質に基づいて、前記外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、前記端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを前記コア網へ送信することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0008】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータに、
少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、
前記通信品質に基づいて、前記外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、前記端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを前記コア網へ送信することと、
を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、端末の処理の一部のオフロード先のクラウドとエッジサーバ間における切替を、コアネットワーク側で実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第5世代移動体通信システムのアーキテクチャの一例を示す図である。
図2図2は、通信システムにおけるオフロード先切替処理を説明する図である。
図3図3は、ECSFを含むNF及び外部サーバの夫々として動作可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、ECSFの機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、ECSFのオフロード先切替判定処理のフローチャートの一例である。
図6図6は、ECSFのオフロード先切替判定処理から切替ポイントであるUPFへ新たなオフロード先へのトラフィック誘導設定が反映されるまでの処理のシーケンスの一例である。
図7図7は、エッジサーバへアクセスするための構成の具体例1における通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
図8図8は、具体例1の通信システムにおけるオフロード先の切替処理のシーケンスの一例を示す図である。
図9図9は、エッジサーバへアクセスするための構成の具体例2における通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
図10図10は、具体例2の通信システムにおけるオフロード先の切替処理のシーケンスの一例を示す図である。
図11図11は、エッジサーバへアクセスするための構成の具体例3における通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
図12図12は、具体例3の通信システムにおけるオフロード先の切替処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
端末の計算処理の一部を、ネットワークを介してサーバ側で実行することは、オフロード、又は、オフローディングと称される。オフローディングにより、リソースが比較的少ない端末でもより高度な処理を実現することができる。しかしながら、例えば、車載カメラの映像解析によるリアルタイム物体検出処理等の低遅延応答が要求され、且つ、連続的に発生する処理をパブリッククラウドにオフローディングする場合には、実現が困難なことがある。パブリッククラウドに接続するためのインターネットでは通信品質が保証されていないため、インターネット区間の通信遅延が大きくなると、低遅延応答の通信が継続できなくなる可能性があるためである。
【0012】
一方、インターネットを経由せずにモバイル網から直接接続可能なエッジサーバへオフローディングすることで安定的に低遅延応答の通信を実現することができる。しかしながら、個々のエッジサーバが有するリソースはクラウドに比べて限られるため、エッジサーバへオフロードする端末が多くなると、エッジサーバのリソースが不足する可能性がある。すなわち、エッジサーバへオフロードするトラフィックには上限がある。したがって、低遅延応答が要求され、且つ、連続的に発生する処理を安定的に継続するためには、端末からのトラフィックのオフロード先をクラウドとエッジサーバ間とで調節することが求められる。
【0013】
本開示の態様の一つでは、上記要求を鑑み、クラウド向けの通信の状態に応じて、オフローディング先がクラウド又はエッジサーバ間で切り替えられる。より具体的には、本開示の態様の一つは、コンピュータが、少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、当該通信品質に基づいて、外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを当該コア網へ送信することと、を実行する方法である。
【0014】
当該コンピュータは、当該コア網内のコンピュータであってもよいし、当該コア網外のコンピュータであってもよい。コア網は、例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、及び、6G(6th Generation)以降のモバイルコア網のいずれであってもよい。コア網は、有線ネットワークのコア網であってもよい。コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスは、例えば、5GにおけるUPF(User Plane Function)と外部ネットワーク間のパス、及び、4GにおけるSGW(Serving GateWay)とPGW(Packet data network GW)間のパス等である。第2のサーバは、例えば、エッジサーバとして動作するサーバである。
【0015】
通信品質は、例えば、遅延、スループット、及び、ジッタ等の一つ又は複数に基づいて表される。通信品質は、例えば、ネットワーク状態を分析する、コア網内又はコア網外の装置から取得されてもよいし、当該コンピュータ自身がネットワーク状態を分析することで取得してもよい。
【0016】
本開示の態様の一つによれば、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を、端末、第2のサーバ(エッジサーバ)、及び、クラウド上の装置のいずれの関与もなく、コア網側で制御することができる。これによって、端末、第2のサーバ(エッジサーバ)、及び、クラウド上の第1のサーバの構成を変更することなく、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を動的に行うことができる。また、端末、第2のサーバ(エッジサーバ)、及び、クラウド上の第1のサーバにおいて、端末からのトラフィックのオフロード先の切替に係るリソースを用意しなくてよいため、これらの装置のリソースを軽量化することができる。
【0017】
本開示の態様の一つでは、当該コンピュータは、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質が、外部ネットワーク向けの通信が安定していることを示す第1の条件を満たす場合には、端末からのトラフィックのオフロード先として外部ネットワーク上の第1のサーバを判定してもよい。この場合には、当該コンピュータによって送信される第1のリクエストは、端末からのトラフィックの誘導先をローカルネットワークから外部ネットワークへ変更することを指示してもよい。
【0018】
コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質が第1の条件を満たさない場合には、当該コンピュータは、当該オフロード先としてローカルネットワ
ーク内の第2のサーバを判定してもよい。この場合には、当該コンピュータによって送信される第1のリクエストは、端末からのトラフィックの誘導先を外部ネットワークからローカルネットワークへ変更することを指示してもよい。第1の条件は、例えば、応答遅延、スループット、及び、ジッタ等のいずれか一つ又は複数によって定義される。
【0019】
本開示の態様の一つによれば、端末からのトラフィックのローカルネットワーク内の第2のサーバ(エッジサーバ)へのオフロードが、外部ネットワーク向けの通信が安定していない場合に限定することができる。これによって、例えば、低遅延応答が要求され、且つ、連続的に発生する処理の通信を安定的に端末に提供することができる。
【0020】
本開示の態様の一つでは、当該コンピュータは、複数の端末のそれぞれについて、端末とコア網間の通信品質をさらに取得してもよい。この場合に、当該コンピュータは、第1の端末と外部ネットワーク上の第1のサーバ間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、第1の端末のトラフィックのオフロード先として外部ネットワーク上の第1のサーバを判定してもよい。この場合には、当該コンピュータによって送信される第1のリクエストは、第1の端末からのトラフィックの誘導先をローカルネットワークから外部ネットワークへ変更することを指示してもよい。
【0021】
第1の端末と外部ネットワーク上の第1のサーバとの間の通信品質が第2の条件を満たさない場合には、当該コンピュータは、第1の端末のトラフィックのオフロード先としてローカルネットワーク内の第2のサーバを判定してもよい。この場合には、当該コンピュータによって送信される第1のリクエストは、第1の端末からのトラフィックの誘導先を外部ネットワークからローカルネットワークへ変更することを指示してもよい。第2の条件は、第1の条件と同様である。
【0022】
本開示の態様の一つによれば、端末単位でトラフィックのオフロード先の切替を制御することができる。また、当該コンピュータは、第1の端末のトラフィックのうちの第1のアプリケーションのトラフィックのオフロード先の切替を判定してもよい。これによって、アプリケーション単位又はフロー単位でトラフィックのオフロード先の切替を制御することができる。
【0023】
本開示の態様の一つでは、コア網は、5Gのコア網であってもよい。当該コンピュータは、コア網内の前記外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質として、UPFと外部ネットワーク間の通信品質をNWDAF(NetWork Data Analytics Function)から取得してもよい。また、当該コンピュータは、第1のリクエストをPCF(Policy Control Function)へ指示してもよい。第1のリクエストに基づく端末からのトラフィックの誘導の変更は、当該PCFからSMF(Session Management Function)へ通知
され、当該SMFが所定のUPFを制御することで実行されてもよい。または、当該コンピュータは、第1のリクエストをNEF(Network Exposure Function)へ送信してもよ
い。当該NEFは、第1のリクエストをPCFへ通知してもよい。本開示の態様の一つによれば、5Gコア網の機能を利用して、5Gコア網側で端末からのトラフィックのオフロード先を切り替えることができる。
【0024】
当該コンピュータは、当該UPFと外部ネットワーク間の通信品質が、外部ネットワーク向けの通信が安定していることを示す第1の条件を満たす場合には、端末からのトラフィックのオフロード先として外部ネットワーク上の第1のサーバを判定してもよい。当該UPFと外部ネットワーク間の通信品質が第1の条件を満たさない場合には、当該コンピュータは、当該オフロード先としてローカルネットワーク内の第2のサーバを判定してもよい。これによって、端末からのトラフィックのローカルネットワーク内の第2のサーバ(エッジサーバ)へのオフロードを、外部ネットワーク向けの通信が安定していない場合
に限定することができる。
【0025】
当該コンピュータは、NWDAFから、複数の端末について、端末から第1のUPFの間の通信品質及び第1のUPFから外部ネットワーク上の第1のサーバの間の通信品質を取得してもよい。当該コンピュータは、第1の端末から外部ネットワーク上の第1のサーバの間における通信品質が第2の条件を満たす場合には、第1の端末のトラフィックのオフロード先として外部ネットワーク上の第1のサーバを判定してもよい。第1の端末から外部ネットワーク上の第1のサーバの通信品質が第2の条件を満たさない場合には、当該コンピュータは、第1の端末のトラフィックのオフロード先としてローカルネットワーク内の第2のサーバを判定してもよい。これによって、端末単位の通信品質に基づいて、端末単位でトラフィックのオフロード先の切替を制御することができる。第1のUPFは、例えば、端末とクラウドとの間において、端末側の5G網の境界に位置するエッジUPFである。
【0026】
第1の端末からのトラフィックの誘導の変更を実行する所定のUPFは、第1の端末と外部ネットワークとの間に存在するULCL(Uplink Classifier)として動作するUP
Fであってもよい。当該ULCLは、第1のリクエストに基づく第1の端末からのトラフィックの誘導の変更によって、第1の端末からのトラフィックを、オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在する外部ネットワーク又はローカルネットワークへ転送してもよい。
【0027】
第1の端末からのトラフィックの誘導の変更を実行する所定のUPFは、第1の端末と外部ネットワークに接続する第1のPSA(PDU Session Anchor)-UPFとの間に存在し、且つ、第1の端末とローカルネットワークに接続する第2のPSA-UPFとの間に存在する、Branching PointとなるUPFであってもよい。当該Branching PointとなるUPFは、第1のリクエストに基づく第1の端末からのトラフィックの誘導の変更によって、IPv6プレフィクスに基づいて、第1の端末からのトラフィックを、オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークに接続するPSA-UPFとしての、第1のPSA-UPF又は第2のPSA-UPFへ転送してもよい。
【0028】
第1の端末からのトラフィックの誘導の変更を実行する所定のUPFは、外部ネットワークに接続する第1のPSA(PDU Session Anchor)-UPFと、ローカルネットワークに接続する第2のPSA-UPFと、であってもよい。この場合に、SMFは、第1のリクエストに基づく第1の端末からのトラフィックの誘導の変更として、第1の端末と、オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークに接続するPSA-UPFとしての、第1のPSA-UPF又は第2のPSA-UPFと、の間に新たにPDUセッションを確立させ、第1の端末ともう一方のPSA-UPAとの間の既存のセッションを解放させることで、第1の端末からのトラフィックを、オフロード先の切替の判定結果が示す新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークに接続するPSA-UPFとしての、第1のPSA-UPF又は第2のPSA-UPFへ誘導してもよい。
【0029】
本開示は、他の態様の一つとして、上記方法を実行する情報処理装置として特定することができる。当該情報処理装置は、少なくとも、コア網内の外部ネットワークへ通じるユーザプレーン上のパスの通信品質を取得することと、当該通信品質に基づいて、外部ネットワーク上の第1のサーバとローカルネットワーク内の第2のサーバとの間での、端末からのトラフィックのオフロード先の切替を判定した場合に、端末からのトラフィックの誘導の変更を指示する第1のリクエストを当該コア網へ送信することと、を実行する制御部、を備える。本開示は、他の態様の一つとして、上記方法をコンピュータに実行させるた
めのプログラム、及び、当該プログラムを記録した非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。
【0030】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、第5世代移動体通信システムのアーキテクチャの一例を示す図である。第5世代移動体通信ネットワークを、以下、5G網、と称する。5G網は、5Gコアネットワーク(5GC)及びアクセス網((R)AN)を有する。5G網には、UE(User Equipment)50、DN 90、及び、AFが接続されている。UE 50は、ユーザ(加入者)の端末である。RAN(Radio Access Network)は、5GCへのアクセス網である。RAN3は、基地局(gNB)を含む。
【0032】
図1では、5GCに含まれる構成要素のうちの一部が示されている。また、図1では、第1実施形態に係る構成要素について符号が付されている。5Gでは、ネットワーク機能を実現するソフトウェアと当該ソフトウェアが実行されるハードウェアとが、ハードウェア抽象化技術を用いて分離されている。これによって、ハードウェア製品ごとの構成に依存せずに、様々なネットワーク機能のソフトウェアを共通のハードウェアリソース上で動作させることができる。図1では、5GCに含まれるネットワーク機能(NF:Network Function)が示されている。NFは、5GCに含まれる複数のNFのそれぞれは、1又は2以上のコンピュータ(情報処理装置)がプログラムを実行することによって実現される。ただし、単一のコンピュータがいずれか2以上のNFを実現してもよい。
【0033】
UPF(User Plane Function)70は、ユーザパケットのルーティング、転送、パケ
ット検査、及び、QoS処理を行う。ユーザパケットとは、UE 50が送信及び受信するユーザプレーンのパケットである。
【0034】
AMF(Access and Mobility Management Function)7は、RANを収容し、5GC
におけるUEの登録管理(Registration Management)、接続管理(Connection Management)、及び、移動管理(Mobility Management)を行う。また、AMF 7は、SMF
6とUE 50との間のメッセージの中継も行う。
【0035】
SMF(Session Management Function)6は、PDU(Protocol Data Unit)セッシ
ョンの管理、UEへのIPアドレスの割り当て及び管理、及び、UPF 70の選択及び制御を行う。PDUセッションの管理には、PDUセッションの確立(Establishment)
、変更(modify)、及び、解放(release)が含まれる。例えば、ポリシーが変更される
と、PDUセッションの変更が発生し、SMF 6を通じて、QoS又はポリシーの変更がUPF 70に適用される。PDUセッションは、UE 50とDN(Data Network)90との間でデータのやり取りを行うための仮想的な通信路である。DN 90は、5GCの外部のデータネットワーク(クラウド、インターネット等)である。
【0036】
PCF(Policy Control Function)5は、ポリシールールを実施させるために、各N
Fに提供する。ポリシールールには、例えば、QoS、フィルタリング、ルーティング、課金等に関するルールが含まれている。ポリシールールが登録、変更、又は、削除される場合には、まずPCF 5に通知され、PCF 5がSMF6を通じて、該当するUPF
70に対してポリシーの設定、変更、又は、削除等の制御を行う。
【0037】
UDR 4は、UDM(Unified Data Management)、PCF 5、及び、NEF 3
で使用されるデータを保存し、これらのデータの検索を提供する。
【0038】
NEF 3は、5Gシステム内のネットワーク機能が開示する能力やイベント情報を安全にAF(Application Function)などの外部アプリケーションに開示する機能を提供する。また、NEF 3は、許可された外部アプリケーションからネットワーク内へ情報を受け取る機能を提供する。AFは、5GC仕様以外の補助的なサービスを提供するアプリケーションサーバ(外部サーバ)である。
【0039】
NWDAF 2は、ネットワーク内の分析情報を提供する。NWDAF 2が提供するネットワーク内の分析情報には、例えば、各区間における通信遅延、スループット、ジッタ、トラフィックの負荷レベル等がある。
【0040】
EASDF(Edge Application Server Discovery Function)8は、UE 50とDNSサーバとの通信の仲介を行う。
【0041】
NRFは、5GC内におけるNF(例えば、AMF、SMF、UPFなど)の情報を記憶及び管理している。NRFは、使用を所望するNFに係る問い合わせに対して、複数のNFの候補を問い合わせ元に返信することができる。NSSFは、ネットワークスライシングによって生成されたネットワークスライスの中から、加入者が使用するネットワークスライスを選択する機能を有する。ネットワークスライスは、用途に応じたスペックを有する仮想のネットワークである。AUSFは、UE認証の機能を提供する。UDMは、加入者契約情報、及び、AKA認証のための認証情報を保持する。
【0042】
第1実施形態では、5GCに、新たにECSF(Edge Cloud Switching Function)1
を追加する。ECSF 1は、UE 50からのトラフィックのオフロード先として、DN 90とローカルネットワーク内のエッジサーバとの切替の制御を行う。ECSF 1は、5GC内のNFとして追加されてもよいし、5GC外のAFの一つとして追加されてもよい。以下の説明では、ECSF 1は、5GC内のNFとして追加されることが想定される。
【0043】
5GCにおいて、同種類の複数のNFが用意される場合がある。例えば、1つのNFがデータセンタ(局舎)毎に用意される場合がある。また、データセンタ間で1つのNFが共用される場合もある。また、1つのデータセンタで複数個の同種類のNFを構成する場合もある。NFとデータセンタとの対応関係は適宜設定することができる。
【0044】
図2は、通信システム100におけるオフロード先切替処理を説明する図である。オフロード先切替処理は、UEからのトラフィックのオフロード先を、クラウド上のサーバとローカルネットワーク内のエッジサーバ間で動的に切り替える処理である。UEからのトラフィックのオフロード先は、すなわち、UEからのトラフィックのオフロード先とも言える。
【0045】
通信システム100には、5GC、UE 50、UPF 70、DN 90、及び、エッジサーバ60が含まれている。図2では、通信システム100には、5GCに含まれるNFのうち、オフロード先切替処理に係るECSF 1、NWDAF 2、NEF 3、PCF 5、及び、SMF 6が抽出されて示されている。ただし、オフロード先切替処理にかかわるNFは、これらに限定されない。エッジサーバ60は、5GCと同じモバイル網内のローカルDNに接続している。DN 90の先にはパブリッククラウドが接続されている。パブリッククラウド上のサーバとエッジサーバ60とは、オフロード対象のサービスのアプリケーションプログラムを稼働させている。また、パブリッククラウド上のサーバとエッジサーバ60とは、UE 50からは、共通のサービス名、IPアドレス、ポート番号、プロトコル等の組み合わせでアクセス可能な状態であるとする。
【0046】
(1)ECSF 1は、NWDAF 2から、例えば、所定の周期で、指定区間の通信品質に関する情報を取得する。指定区間は、例えば、UE 50とクラウド上の指定サーバ間の区間である。通信品質は、例えば、通信遅延、スループット、及び、ジッタ等のいずれか又は2つ以上の組み合わせで示される。この場合に、通信品質に関する情報は、例えば、通信遅延、スループット、及び、ジッタ等を含む。
【0047】
(2)ECSF 1は、指定区間の通信品質に基づいて、UE 50のトラフィックのオフロード先を、クラウド上のサーバ又はエッジサーバ60のいずれかに判定する。クラウド向けの通信が安定している場合には、UE 50のオフロード先としてクラウド上のサーバが選択される。クラウド向けの通信が安定していない場合には、UE 50のオフロード先としてエッジサーバ60が選択される。
【0048】
(3)ECSF 1は、NEF 3へ、新たなオフロード先へUE 50のトラフィックの誘導(steering)を切り替えることを指示するトラフィック誘導変更指示を出力する。トラフィック誘導変更指示とともに、例えば、対象のUE 50に関する情報等も出力される。トラフィック誘導変更指示は、『第1のリクエスト』の一例である。
【0049】
(4)トラフィック誘導変更指示がNEF 3に通知されると、NEF 3、PCF 5、及び、SMF 6を通じて、UE 50からのトラフィックの誘導先の切替ポイントとなるUPF 70へ、新たなオフロード先へのトラフィックの誘導の設定が反映される。以降、UE 50からのトラフィックは、新たなオフロード先へ、UPF 70によって転送される。
【0050】
(4)の処理は、5G網で採用されているエッジサーバへのアクセス方法に応じたシステム構成に応じて、実行される。(4)の処理の具体例は、後述される。
【0051】
上記(1)-(4)の処理において、UE 50、エッジサーバ60、及び、クラウド上のサーバはかかわっておらず、これらは、通常通りに動作するだけで、UE 50のオフロード先がUE 50とクラウド間の通信品質に基づいて動的に切り替えられる。したがって、UE 50のオフロード先の動的な切替をネットワーク側で制御することができ、UE 50、エッジサーバ60、及び、クラウド上のサーバの構成を変更しなくてもよい。
【0052】
図3は、ECSF 1を含むNF及び外部サーバの夫々として動作可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置110は、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、又はサーバマシンなどの情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成可能である。情報処理装置110は、1又は2以上のコンピュータの集合体(クラウド)であってもよい。なお、ECSF 1を含むNFは、該当の処理を実行する専用のFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電気回路を備える装置であってもよい。
【0053】
情報処理装置110は、ハードウェア構成として、プロセッサ101、メモリ102、補助記憶装置103、及び、通信部104を備える。メモリ102および補助記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。プロセッサ101、補助記憶装置103、及び、通信部104は、バスによって電気的に接続されている。
【0054】
補助記憶装置103は、ECSF 1を含む各種NFのいずれかとして動作するために用いられるプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ101が使用するデータを格納する。補助記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable RO
M)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)、又は、SSD(Solid State Drive
)である。補助記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、ECSF 1の制御プログラム、及び、ECSF 1の複数のAPI等がある。
【0055】
メモリ102は、プロセッサ101に、補助記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0056】
プロセッサ101は、補助記憶装置103に保持されたOS、及び、ECSF 1を含む各種NFに関連するプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、各種NFに該当する処理を実行する。プロセッサ101は、例えば、CPU、又は、DSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。プロセッサ101は、「制御部」の一例である。
【0057】
通信部104は、例えば、NIC(Network Interface Card)、光回線インタフェース等である。なお、通信部104は、例えば、無線LAN等の無線ネットワークに接続する無線通信回路であってもよい。なお、ECSF 1を含む各種NFの機能を実現する情報処理装置110のハードウェア構成は、図3に示されるものに限定されない。
【0058】
図4は、ECSF 1の機能構成の一例を示す図である。ECSF 1は、機能構成として、情報取得部11と、切替判定部12と、を備える。情報取得部11は、NWDAF
2から所定の周期で、指定区間の通信品質に関する情報を取得する。指定区間は、指定されたUE 50とクラウド上の指定サーバとの間の区間である。指定区間で指定されるUE 50は、1台であってもよいし、複数台のUE群であってもよい。なお、NWDAF 2では、UEとUPF間と、UPFとDN間と、それぞれの区間について通信品質に関する情報が取得される。そのため、情報取得部11は、NWDAF 2から、指定されたUE 50とエッジUPF間の通信品質に関する情報と、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間の通信品質に関する情報とを取得する。エッジUPFとは、UE 50とクラウドとの間において、UE 50側の5G網の境界に位置するUPFである。
【0059】
指定区間は、例えば、ECSF 1の管理者によって設定される。通信品質に関する情報を取得するUE 50は、単一のUE 50が指定されてもよいし、UE 50群が指定されてもよい。この場合には、情報取得部11は、複数の指定区間について情報取得部11から通信品質に関する情報を取得してもよい。情報取得部11は、例えば、Nnwdaf_AnalyticsSubscription_SubscribeサービスのAPIであってもよい。
【0060】
切替判定部12は、指定区間の通信品質に基づいて、指定されたUE 50のオフロード先を判定する。NWDAF 2からは、UE 50とエッジUPF間の通信品質に関する情報と、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間の通信品質に関する情報とが取得される。そのため、切替判定部12は、UE 50とエッジUPF間の通信品質に関する情報と、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間の通信品質に関する情報とに基づいて、指定区間の通信品質を算出する。例えば、通信遅延の場合には、UE 50とエッジUPF間の通信遅延と、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間の通信遅延と、の和が指定区間の通信品質として用いられてもよい。
【0061】
切替判定部12は、クラウド向けの通信が安定しているか否かを、通信品質条件が満たされているか否かで判定する。通信品質条件は、クラウド向けの通信が安定していることを示す条件である。通信品質条件は、例えば、通信品質を示す情報のそれぞれの種類に対
して、安定した通信に要求される値(要求値)を用いて定義される。例えば、通信品質を示す情報が通信遅延である場合には、通信品質条件は、所定時間における平均往復通信遅延が要求値以上であること、を含む。通信品質条件は、これに限定されず、スループット、及び、ジッタ等に関する条件を含んでもよい。また、通信品質条件は、通信品質に関する情報のそれぞれの種類についての条件を含んでもよいし、1つの種類の通信品質に関する情報について複数の条件を含んでもよい。
【0062】
切替判定部12は、例えば、通信品質条件が満たされているか否かが変化した場合に、UE 50のオフロード先の切替を判定する。切替判定部12は、通信品質条件が満たされている場合には、UE 50のオフロード先をクラウド上のサーバに判定する。切替判定部12は、通信品質条件が満たされていない場合には、UE 50のオフロード先をエッジサーバ60に判定する。切替判定部12は、UE 50のオフロード先の切替を判定した場合に、新たなオフロード先のサーバが存在するネットワークへUE 50からのトラフィックを誘導するように変更することを指示する、トラフィック誘導変更指示をNEF 3へ送信する。トラフィック誘導変更指示とともに、対象のUE 50に関する情報と、誘導先のネットワークに関する情報と、もNEF 3へ送信される。対象のUE 50に関する情報は、例えば、IPアドレス等の、UE 50の識別情報等である。誘導先のネットワークに関する情報は、例えば、UE 50の位置に応じたローカルDN又はクラウドDNの識別情報等である。
【0063】
トラフィック誘導変更指示は、例えば、Nnef_TrafficInfluenceサービスのAPIを通
じて、NEF 3へ送信されてもよい。なお、ECSF 1が、NEF 3を介さずにPCF 4へアクセス可能である場合には、トラフィック誘導変更指示は、Npcf_PolicyAuthorizationサービスのAPIを通じて、ECSF 1からPCF 5へ直接送信されてもよい。
【0064】
NEF 3がトラフィック誘導変更指示を受信すると、NEF 3からPCF 5、PCF 5からSMF 6へと処理が進み、SMF 6によって、切替ポイントとなるUPF 70にトラフィック誘導設定が反映される。詳細は後述される。なお、ECSF 1の機能構成は、図4に示される構成に限定されず、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0065】
図5は、ECSF 1のオフロード先切替判定処理のフローチャートの一例である。図5に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。図5に示される処理が実行される間隔は、例えば、1秒から60秒の範囲からECSF 1の管理者によって任意に設定される。図5に示される処理の実行主体は、ECSF 1の処理を実行する情報処理装置110のCPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0066】
OP101では、情報取得部11は、NWDAF 2から、指定のUE 50とエッジUPF間、及び、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間、それぞれの区間の通信品質に関する情報を取得する。切替判定部12は、NWDAF 2から取得した2つの区間の通信品質に関する情報に基づいて、指定区間(指定のUE 50とクラウド上の指定サーバ間)の通信品質を取得する。
【0067】
OP102では、切替判定部12は、指定区間の通信品質が通信品質条件を満たすか否かを判定する。指定区間の通信品質が通信品質条件を満たす場合には(OP102:YES)、処理がOP103へ進む。指定区間の通信品質が通信品質条件を満たさない場合には(OP102:NO)、処理がOP106へ進む。
【0068】
OP103からOP105は、指定区間の通信品質が通信品質条件を満たす場合に実行
される処理である。OP103では、切替判定部12は、OP102における指定区間の通信品質が通信条件を満たすか否かの判定結果が前回から変化したか否かを判定する。OP102における判定結果が前回から変化していない場合には(OP103:NO)、クラウド向けの通信が安定している状態から変化していないことが示される。この場合には、切替判定部12は、指定のUE 50のオフロード先を切り替えないことを判定し、図5に示される処理が終了する。
【0069】
OP102における判定結果が前回から変化した場合には(OP103:YES)、クラウド向けの通信が安定していない状態から安定している状態へと遷移したことが示され、処理がOP104へ進む。OP104では、切替判定部12は、指定のUE 50のオフロード先をエッジサーバ60に切り替えることを判定する。
【0070】
OP105では、切替判定部12は、NEF 3へ、指定のUE 50のトラフィックをクラウド上の指定サーバへ切り替えることを指示するトラフィック誘導変更指示を送信する。トラフィック誘導変更指示とともに、指定のUE 50に関する情報と、クラウド上の指定サーバに関する情報と、も送信される。その後、図5に示される処理が終了する。
【0071】
OP106からOP108は、指定区間の通信品質が通信品質条件を満たさない場合に実行される処理である。OP106では、切替判定部12は、OP102における指定区間の通信品質が通信条件を満たすか否かの判定結果が前回から変化したか否かを判定する。OP102における判定結果が前回から変化していない場合には(OP106:NO)、クラウド向けの通信が安定していない状態から変化していないことが示される。この場合には、切替判定部12は、指定のUE 50のオフロード先を切り替えないことを判定し、図5に示される処理が終了する。
【0072】
OP102における判定結果が前回から変化した場合には(OP106:YES)、クラウド向けの通信が安定している状態から安定していない状態へと遷移したことが示され、処理がOP107へ進む。OP107では、切替判定部12は、指定のUE 50のオフロード先をエッジサーバ60に切り替えることを判定する。
【0073】
OP108では、切替判定部12は、NEF 3へ、指定のUE 50のトラフィックをエッジサーバ60へ切り替えることを指示するトラフィック誘導変更指示を送信する。トラフィック誘導変更指示とともに、指定のUE 50に関する情報と、新たなオフロード先がエッジサーバ60であることと、も送信される。その後、図5に示される処理が終了する。なお、ECSF 1のオフロード先切替判定処理は図5に示される処理に限定されず、実施の態様に応じて適宜変更可能である。
【0074】
図6は、ECSF 1のオフロード先切替判定処理から切替ポイントであるUPF 70へ新たなオフロード先へのトラフィック誘導設定が反映されるまでの処理のシーケンスの一例である。
【0075】
S11では、ECSF 1は、NWDAF 2へ、Nnwdaf_AnalyticsSubscription_Subscribeメッセージを送信する。Nnwdaf_AnalyticsSubscription_Subscribeメッセージは、NWDAF 2への情報の取得リクエストである。Nnwdaf_AnalyticsSubscription_Subscribeメッセージとともに、取得したい区間(UE 50とエッジUPF間と、エッジUPFとクラウド間)、取得した通信品質に関する情報、についての情報も送信される。
【0076】
S12では、NWDAF 2は、ECSF 1へ、Nnwdaf_AnalyticsSubscription_Notifyメッセージを送信する。Nnwdaf_AnalyticsSubscription_Notifyメッセージは、Nnwdaf
_AnalyticsSubscription_Subscribeメッセージでリクエストされた情報を通知するメッセージである。これによって、ECSF 1は、指定区間の通信品質に関する情報を取得する(図5、OP101)。
【0077】
S21では、ECSF 1は、指定区間の通信品質に関する情報に基づいて、UE 50のオフロード先の切替を判定する(図5、OP104又はOP107)。S22では、ECSF 1は、NEF 3へ、Nnef_TrafficInfluence_Create(又は、Update、Delete)メッセージを送信する。Nnef_TrafficInfluence_Create(又は、Update、Delete)メッセージは、5GCに対して、トラフィックのルーティング等の変更のリクエストに用いられるメッセージである。第1実施形態では、Nnef_TrafficInfluence_Create(又は、Update、Delete)メッセージは、新たなオフロード先へUE 50のトラフィックの誘導を切り替えることを指示する、トラフィック誘導変更指示に相当する。Nnef_TrafficInfluence_Create(又は、Update、Delete)メッセージとともに、エッジサーバとクラウド上のサーバ間のオフロード先の切替を指示するパラメータと、UE 50のIPアドレスと、現在のオフロード先に関する情報及び新たなオフロード先に関する情報と、DNAI(Data
Network Access Identifier)と、も送信される。オフロード先に関する情報は、例えば、サーバのIPアドレス、ポート番号、URI等がある。これによって、対象のUE 50のトラフィックの誘導先を新たなオフロード先に切り替えることを含むポリシールールが示される。
【0078】
S23では、NEF 3は、Nnef_TrafficInfluence_Create(又は、Update、Delete)メッセージとともに受信したポリシールールを、UDR 4に、格納する(Create又はUpdateメッセージの場合)。S24では、NEF 3は、ECSF 1へ、Nnef_TrafficInfluence_Create(又は、Update、Delete) レスポンスメッセージを送信する。
【0079】
S30では、UDR 4は、PCF 5へ、ポリシールールが変更になったことを通知するNudr_DM_Notifyメッセージを送信する。Nudr_DM_Notifyメッセージとともにポリシールールも送信される。
【0080】
S40では、PCF 5は、SMF 6へ、PDUセッションに適用されるポリシールールの更新を提供するNpcf_SMPolicyControl_UpdateNotifyメッセージを送信する。Npcf_SMPolicyControl_UpdateNotifyメッセージとともにポリシールールに基づいてPCF 5が作成したPCCルールも送信される。作成されたPCCルールには、AF influenced Traffic Steering Enforcement Controlの情報が含まれている。当該PCCルール内のAF influenced Traffic Steering Enforcement Controlの情報には、エッジサーバとクラウド上のサーバ間のオフロード先の切替を指示するパラメータに関する情報と、UE 50のIPアドレスと、現在のオフロード先に関する情報及び新たなオフロード先に関する情報と、DNAI(Data Network Access Identifier)と、が含まれている。オフロード先に関する情報は、例えば、サーバのIPアドレス、ポート番号、URI等がある。
【0081】
S50では、SMF 6は、PCF 5から提供されたPCCルールに従って、切替ポイントであるUPF 70に対して、対象のUE 50のトラフィックの誘導先を現在のオフロード先から新たなオフロード先に切り替えるための設定を反映させる。S50以降の処理は、5G網で採用されているエッジサーバへのアクセス方法に応じて異なるため、具体例を挙げて後述される。
【0082】
(エッジサーバへアクセスするための構成の具体例)
UE 50のオフロード先の切り替えの処理は、主に、SMF 8とUPF等によって行われる。オフロード先の切替を実現するためには、エッジサーバへのアクセスが実現されることが求められる。エッジサーバへアクセスするための構成の一例として、以下の3
つが挙げられる。
(具体例1)ULCL(UpLink CLassifier)を用いる構成
(具体例2)IPv6マルチホーミングを用いる構成
(具体例3)PDUセッションを張り替えを行う構成
なお、いずれの具体例においても、5GCの構成は同じである。
【0083】
図7は、エッジサーバへアクセスするための構成の具体例1における通信システム100Aのシステム構成の一例を示す図である。図7に示される通信システム100Aでは、オフロード先の切替の構成として、ULCLが用いられる。ULCLは、PDUセッションに対して、アップリンク方向の指定されたトラフィックを分離して、PDUセッションのアンカーとなる複数のUPFへそれぞれルーティングする機能である。PDUセッションのアンカーとなるUPFとは、UE 50からのアップリンク方向でPDUセッションを最後に中継するUPFのことである。PDUセッションのアンカーとなるUPFを、以下、PSA(PDU Session Anchor)-UPF、と称する。
【0084】
ULCLによって分離されるトラフィックは、IP 5-tuplesによって指定可能である。IP 5-tuplesとは、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、プロトコル番号、送信元ポート番号、及び、宛先ポート番号のことである。ULCLはUPFに搭載される機能である。ULCLを動作させるUPFは、UE 50とPSA-UPFとの間に位置するので、I-UPF(Intermediate-UPF)とも呼ばれる。
【0085】
通信システム100Aは、ULCLであるI-UPF 70Aと、クラウドに接続するDN 90を接続するPSA-UPF 71と、エッジサーバ60Aが接続するローカルDNを接続するPSA-UPF 72と、を含む。以下、ULCLであるI-UPF 70Aを、以下、単に、ULCL 70A、と表記する。
【0086】
通信システム100Aでは、ULCL 70Aが切替ポイントとなる。また、ECSF
1は、NWDAF 2から、UE 50とPSA-UPF 71との間の通信品質に関する情報と、PSA-UPF 71とクラウド上のサーバとの間の通信品質に関する情報とを取得する。通信システム100Aにおいても、ECSF 1によるオフロード先切替の処理(図5)、及び、オフロード先切替発生時の制御プレーンにおけるシーケンス(図6)は、上述の通りである。
【0087】
なお、ULCLを用いる場合には、分離するトラフィックをIP 5-tuplesを用いて指定することができるので、オフロード先を切り替えるトラフィックの粒度を、UE単位よりも細かく、フロー単位で設定することができる。したがって、通信システム100Aにおいて、ECSF 1は、オフロード先の切替を判定した場合には、オフロード先を切り替えるUE 50のトラフィックをIP 5-tuplesを用いて指定し、該当するUE 50からのトラフィックの一部について、オフロード先を切り替えさせてもよい。クラウド向けの通信が安定していない場合には、例えば、低遅延応答が要求され、且つ、連続的に発生する処理に係るトラフィックを優先的に、クラウドからエッジサーバ60へ、オフロード先を切り替えるようにしてもよい。低遅延応答が要求され、且つ、連続的に発生する処理は、例えば、車載カメラの映像解析のためのリアルタイム物体検出処理、自動運転、及び、メタバースのアプリケーション等がある。優先的にオフロード先を切り替えるトラフィックの指定は、例えば、ECSF 1の管理者によって予めECSF
1に設定されており、ポリシールールに含められて、ECSF 1から、NEF 3、UDR 4、PCF 5、SMF 6を通じて、ULCL 70Aに通知される。
【0088】
図8は、具体例1の通信システム100Aにおけるオフロード先の切替処理のシーケンスの一例を示す図である。図8に示される処理は、例えば、通信システム100Aにおい
図6に示される処理のシーケンスが発生し、S21において、ECSF 1によって、UE 50のオフロード先が切り替えられることが判定され、S22からS40の処理まで実行された後に行われる処理のシーケンスである。図8では、UE 50のオフロード先はクラウド上のサーバであり、エッジサーバ60へ切り替えられる場合の処理を想定して説明される。したがって、図8では、UE 50は、クラウドへ接続するDN 90に接続するPSA-UPF 71と既にPDUセッションを確立していることとする。PSA-UPF 71は、図8において、「UPF(PSA1)」とも表記されている。
【0089】
S61は、図6のS40に相当し、SMF 6Aは、PCF 5からNpcf_SMPolicyControl_UpdateNotifyメッセージを受信する。PCF 5からは、UE 50からの指定の
トラフィックのオフロード先をエッジサーバ60に切り替えることを含むポリシールールも受信される。
【0090】
S62からS66の処理は、PSA-UPFとULCLとを新たに追加する処理である(TS23.502の4.3.5.4参照)。S62では、SMF 6Aは、ポリシールールがエッジサ
ーバの再配置の指示を示すので、指定のトラフィックの新たなオフロード先となるローカルDNを接続するPSA-UPF 72を選択し、PSA-UPF 72と接続を確立させる(N4 session establishment request/response メッセージのやり取り)。PSA-UPF 72は、例えば、ポリシールールに示される新たなオフロード先のローカルDNのDNAI、及び、UE 50の位置情報等に基づいて、選択される(TS23.502の6.3.3.3参照)。PSA-UPF 72は、図8において、「UPF(PSA2)」とも表記さ
れている。
【0091】
S63では、SMF 6Aは、ポリシールールに従って、ULCL 70Aとして動作するUPFを選択し、ULCL 70Aと接続を確立させる(N4 session establishment
request/response メッセージのやり取り)。このときに、PSA-UPF 71とPSA-UPF 72とそれぞれに転送するトラフィックの情報もULCL 70Aに適用される。これによって、オフロード先の切替の設定がULCL 70Aに反映される。
【0092】
S64では、SMF 6Aは、PSA-UPF 71に対して、UE 50のダウンリンク方向のトラフィックがULCL 70Aへ転送されるように、設定を更新する。S65では、SMF 6Aは、PSA-UPF 72に対して、UE 50のダウンリンク方向のトラフィックがULCL 70Aへ転送されるように、設定を更新する。S64及びS65の処理によって、ULCL 70Aによって分離されたUE 50のアップリンク方向のトラフィックに対するダウンリンク方向のトラフィックが、ULCL 70Aにおいてマージされるようになる。
【0093】
S66では、SMF 6Aは、AMF 7を通じて、N3トンネルのUPF側の終端がULCL 70Aとなるように(UE 50から見てネクストホップがULCL 70Aとなるように)、RAN側の設定を更新する。これによって、UE 50のアップリンク方向のトラフィックがまずULCL 70Aに到達するようになる。
【0094】
以降、UE 50からのアップリンク方向の指定のトラフィックは、ULCL 70Aによって分離され、PSA-UPF 72へ転送されるようになる。UE 50Aからのアップリンク方向の指定のトラフィック以外のトラフィックは、引き続き、ULCL 70Aによって、PSA-UPF 71へ転送される。
【0095】
一方、例えば、UE 50からの全てのトラフィックのオフロード先をエッジサーバ60に切り替える場合には、UE 50からのアップリンク方向のトラフィックをULCL
70で分離しなくてもよくなり、PSA-UPF 71へ転送されるトラフィックがな
くなる。この場合には、UE 50とPSA-UPF 71間のPDUセッションを解放するためのS71からS74の処理が実行される(TS23.502 4.3.5.5.1参照)。
【0096】
S71では、SMF 6Aは、AMF 7を通じて、N3トンネルのUPF側の終端がPSA-UPF 72となるように(UE 50から見てネクストホップがPSA-UPF 72となるように)、RAN側の設定を更新する。これによって、UE 50のアップリンク方向のトラフィックがULCL 70Aを介さずに、PSA-UPF72に到達するようになる。
【0097】
S72では、SMF 6Aは、PSA-UPF 72に対して、UE 50のダウンリンク方向のトラフィックがULCL 70Aを介さずにUE 50へ転送されるように、設定を更新する。
【0098】
S73では、SMF 6Aは、PSA-UPF 71との接続を解放する(N4 session
release request/response メッセージのやり取り)。S74では、SMF 6Aは、ULCL 70Aとの接続を解放する(N4 session release request/response メッセージのやり取り)。以降、UE 50のトラフィックは、PSA-UPF 72をオフローディング先とする(ローカルブレイクアウト)。
【0099】
UE 50とPSA-UPF 72間のPDUセッションが確立されても、UE 50はエッジサーバ60を知らないため、エッジサーバ60を探索する。S80は、エッジサーバ60の探索の処理であり、TS23.548 6.2.3.2.2に従った、SMF 6A、UE 50、EASDF 8、DNSサーバ30間の処理のシーケンスによって、エッジサーバ60が選択される。
【0100】
なお、図8では、UE 50からのトラフィックのオフロード先をクラウド上のサーバからエッジサーバ60へ切り替える場合のシーケンスについて説明された。UE 50からのトラフィックのオフロード先をエッジサーバ60からクラウド上のサーバへ切り替える場合も同様にして実現することができる。また、ULCLは、PSA-UPF 72と同じUPF上に構成されてもよい。
【0101】
図9は、エッジサーバへアクセスするための構成の具体例2における通信システム100Bのシステム構成の一例を示す図である。図9に示される通信システム100Bでは、オフロード先の切替の構成として、IPv6マルチホーミングが用いられる。マルチホーミングは、外部のネットワークに接続する場合に複数の経路で接続することである。
【0102】
通信システム100Bは、Branching PointとなるI-UPF 70Bと、クラウドに接続するDN 90を接続するPSA-UPF 73と、エッジサーバ60Bが接続するローカルDNを接続するPSA-UPF 74と、を含む。以下、Branching PointとなるI-UPF 70Bを、以下、単に、BP 70B、と表記する。
【0103】
通信システム100Bでは、BP 70Bが切替ポイントとなる。また、ECSF 1は、NWDAF 2から、UE 50とPSA-UPF 73との間の通信品質に関する情報と、PSA-UPF 73とクラウド上のサーバとの間の通信品質に関する情報とを取得する。通信システム100Bにおいても、ECSF 1によるオフロード先切替の処理(図5)、及び、オフロード先切替発生時の制御プレーンにおけるシーケンス(図6)は、上述の通りである。
【0104】
なお、IPv6マルチホーミングを用いる場合には、BP 70Bは、送信元のIPv
6アドレスのプレフィクスに基づいてトラフィックを分岐させる。そのため、エッジサーバ60に通ずるPSA-UPF 74に転送させるIPv6プレフィクスが、PDUセッションに新たに割り当てられる。ECSF 1は、PSA-UPF 74に転送させたいトラフィックを、例えば、IP 5-tuplesによって指定してもよい。エッジサーバ60へ転送させるトラフィックの情報は、例えば、ECSF 1の管理者によって予めECSF 1に設定されており、ポリシールールに含められて、ECSF 1から、NEF 3、UDR 4、PCF 5、SMF 6を通じて、ULCL 70Bに通知される。
【0105】
図10は、具体例2の通信システム100Bにおけるオフロード先の切替処理のシーケンスの一例を示す図である。図10に示される処理は、例えば、図6に示される処理のシーケンスに続いて実行される。図10では、UE 50のオフロード先が、クラウド上のサーバからエッジサーバ60へ切り替えられる場合の処理を想定して説明される。したがって、図10では、UE 50は、クラウドへ接続するDN 90に接続するPSA-UPF 73と既にIPv6マルチホーミングのPDUセッションを確立していることとする。
【0106】
S111からS116における処理は、それぞれ、図8における具体例1のシーケンスのS61からS66と同様である。なお、S113では、SMF 6Bは、BP 70Bに、PSA-UPF 73及びPSA-UPF 74それぞれに転送される、PDUセッションの送信元IPv6プレフィクスを通知する。
【0107】
S117では、SMF 6Bは、UE 50に、PSA-UPF 74への転送用に割り当てられた新しいIPv6プレフィクス(PSA-UPF 74転送用IPv6プレフィクス)を通知する。S117の通知は、SMF 6BからPSA-UPF 74を通じて、IPv6 Router Advertisement メッセージを用いて行われる。また、S117では、SMF 6Bは、UE 50に、PSA-UPF 74転送用IPv6プレフィクスを、指定されるトラフィック(例えば、車載カメラの映像解析のためのリアルタイム物体検出処理、自動運転、及び、メタバースなど)に用いることを示すポリシールールを通知する。これによって、UE 50は、指定のトラフィックの送信元IPv6プレフィクスとして、PSA-UPF 74転送用IPv6プレフィクスを用いるようになり、BP 70Bによって指定のトラフィックはPSA-UPF 74へ転送されるようになる。
【0108】
S118では、SMF 6Bは、UE 50に、元々用いていたPSA-UPF 73への転送用のIPv6プレフィクスを、指定トラフィック以外のトラフィックに用いるように、割り当て直す。これによって、UE 50は、指定のトラフィック以外のトラフィックの送信元IPv6プレフィクスとして、PSA-UPF 73転送用IPv6プレフィクスを用いるようになり、BP 70Bによって指定のトラフィック以外のトラフィックはPSA-UPF 73へ転送されるようになる。
【0109】
例えば、UE 50からの全てのトラフィックのオフロード先をエッジサーバ60に切り替える場合には、S118において、PSA-UPF 73への転送用のIPv6プレフィクスを用いるように割り当てられるトラフィックが存在しなくなる。また、BP 70BがUE 50からのトラフィックを分岐させなくてもよくなる。この場合には、UE
50とPSA-UPF 73間のPDUセッションを解放するためのS121からS124の処理が実行される。S121からS124の処理は、具体例11の図8のS71からS74の処理と同様である。その後、具体例2においても、具体例1と同様に、SMF
6A、UE 50、EASDF 8、DNSサーバ30によって、エッジサーバ60の探索処理が行われる(S80)。
【0110】
なお、図10では、UE 50からのトラフィックのオフロード先をクラウド上のサーバからエッジサーバ60へ切り替える場合のシーケンスについて説明された。UE 50からのトラフィックのオフロード先をエッジサーバ60からクラウド上のサーバへ切り替える場合も同様にして実現することができる。また、BP 70Bは、PSA-UPF 74と同じUPF上に構成されてもよい。
【0111】
図11は、エッジサーバへアクセスするための構成の具体例3における通信システム100Cのシステム構成の一例を示す図である。図11に示される通信システム100Cでは、オフロード先の切替の構成として、PDUセッションを張り替えをIPv6マルチホーミングが用いられる。
【0112】
通信システム100Cは、クラウドに接続するDN 90を接続するPSA-UPF 75と、エッジサーバ60Aが接続するローカルDNを接続するPSA-UPF 76と、を含む。図11に示されるように、クラウドに接続するPSA-UPF 75と、エッジサーバ60に接続するPSA-UPF 76とが異なる場合には、通信システム100Cでは、明確に切替ポイントとなるUPF 70は存在しない。
【0113】
また、ECSF 1は、NWDAF 2から、UE 50とPSA-UPF 75との間の通信品質に関する情報と、PSA-UPF 75とクラウド上のサーバとの間の通信品質に関する情報とを取得する。通信システム100Cにおいても、ECSF 1によるオフロード先切替の処理(図5)、及び、オフロード先切替発生時の制御プレーンにおけるシーケンス(図6)は、上述の通りである。
【0114】
図12は、具体例3の通信システム100Cにおけるオフロード先の切替処理のシーケンスの一例を示す図である。図12に示される処理は、図12に示される処理は、例えば、図6に示される処理のシーケンスに続いて実行される。図12では、UE 50からのすべてのトラフィックのオフロード先が、クラウド上のサーバからエッジサーバ60へ切り替えられる場合の処理を想定して説明される。したがって、図12では、UE 50は、クラウドへ接続するDN 90に接続するPSA-UPF 75と既にPDUセッションを確立していることとする。
【0115】
S211は、図6のS40に相当し、SMF 6Cは、PCF 5からNpcf_SMPolicyControl_UpdateNotifyメッセージを受信する。PCF 5からは、UE 50からの全て
のトラフィックのオフロード先をエッジサーバ60に切り替えることを含むポリシールールも受信される。
【0116】
S212では、SMF 6Cは、PDU Session Modification CommandをAMF 7を通じて、UE 50へ送信する。S212において送信されるPDU Session Modification Commandは、UE 50に、クラウド上のサーバに接続するPSA-UPF 75とのPDUセッションを解放して、ローカルDNに接続するPSA-UPF 76とPDUセッションを確立することを指示する。先にクラウド上のサーバに接続するPSA-UPF 75とのPDUセッションを解放してもよいし、または先にローカルDNに接続するPSA-UPF 76とPDUセッションを確立してもよい。S213では、UE 50は、PDU Session Modification Commandに対する応答を、AMF 7を通じて、SMF 6Cへ送信する。
【0117】
S214では、UE 50とPSA-UPF 76との間のPDUセッションの確立手順が実行される(TS23.502の4.3.2.2.1参照)。UE 50とPSA-UPF 76との
間のPDUセッションが確立すると、UE 50は、新たなPDUセッションを用いて通信を開始することができる。
【0118】
S215では、UE 50とPSA-UPF 75との間のPDUセッションの解放手順が実行される(TS23.502の4.3.4.2参照)。これによって、UE 50からのトラフィ
ックはすべてエッジサーバ60へオフロードされるようになる。その後、具体例1及び具体例2と同様に、具体例3においても、SMF 6A、UE 50、EASDF 8、DNSサーバ30によって、エッジサーバ60の探索処理が行われる(S80)。
【0119】
なお、図12では、UE 50からのトラフィックのオフロード先をクラウド上のサーバからエッジサーバ60へ切り替える場合のシーケンスについて説明された。UE 50からのトラフィックのオフロード先をエッジサーバ60からクラウド上のサーバへ切り替える場合も同様にして実現することができる。
【0120】
図12では、UE 50からの全てのトラフィックのオフロード先がクラウド上のサーバからエッジサーバ60へ切り替えられるが、これに限定されない。ECSF 1は、UE 50からのトラフィックのうち、オフロード先が切り替えられるトラフィックを、例えば、IP 5-tuplesを用いて指定することもできる。オフロード先が切り替えられるトラフィックが指定された場合には、指定のトラフィックに対してUE 50とPSA-UPF 76との間にPDUセッションを追加し、指定のトラフィック以外のトラフィックに対して割り当てるように既存のUE 50とPSA-UPF 75との間のPDUセッションを変更すればよい。
【0121】
なお、オフロード先を切り替える構成は上記の具体例1から具体例3に限定されない。例えば、UE 50がSIMカードを2枚備え、クラウドへのPDUセッションとエッジサーバへのPDUセッションとで異なるSIMカードを割り当てることで、クラウドへのPDUセッションとエッジサーバへのPDUセッションを切り替えることで、オフロード先を切り替えてもよい。
【0122】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態によれば、5GC側でUE 50のオフロード先の切替を制御することができる。これによって、オフロード先の切替のための構成をUE 50、クラウドサーバ上のサーバ、及びエッジサーバに追加しなくてよく、これらの装置を軽量化することができる。また、第1実施形態によれば、UE 50のオフロード先を、クラウド上のサーバとエッジサーバとの間で動的に切り替えることができる。
【0123】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0124】
第1実施形態では、端末からのトラフィックのオフロード先を動的に切り替える技術を5G網に適用することについて説明されたが、適用先は5G網に限定されない。例えば、4G網、LTE網、及び、6G網等の異なる移動体通信網に加え、有線ネットワークのコアネットワーク(バックボーンネットワーク)であっても、コアネットワークの内部又は外部にECSF 1とNWDAF 2の機能を果たす装置を備えることで、第1実施形態で説明された端末からのトラフィックのオフロード先を動的に切り替える技術を適用することができる。また、ECSF 1とNWDAF 2とは同じ情報処理装置上で動作してもよい。
【0125】
また、第1実施形態では、ECSF 1は、NWDAF 2から、指定されたUE 50とエッジUPF間の通信品質に関する情報と、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間の通信品質に関する情報とを取得し、指定されたUE 50とクラウド上の指定サーバ
間の通信品質に基づいて、UE 50からのトラフィックのオフロード先の切替を判定する。これに限定されず、ECSF 1は、NWDAF 2から、エッジUPFとクラウド上の指定サーバ間の通信品質に関する情報を取得し、これに基づいて、当該エッジUPFに接続するUE 50からのトラフィックのオフロード先の切替を判定してもよい。
【0126】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0127】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0128】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0129】
1・・ECSF
2・・NWDAF
3・・NEF
4・・UDR
5・・PCF
6・・SMF
7・・AMF
8・・EASDF
11・・情報取得部
12・・切替判定部
50・・UE
60・・エッジサーバ
70・・UPF
90・・DN
100・・通信システム
101・・プロセッサ
102・・メモリ
103・・補助記憶装置
104・・通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12