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特開2024-172803画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172803
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241205BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241205BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/38 202
B41J29/00 Z
G03G21/00 388
H04N1/00 912
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090780
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩内 伸之
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK15
2C061HK19
2C061HL01
2C061HN15
2C061HN16
2C061HN19
2C061HN23
2C061HV14
2H270KA59
2H270KA61
2H270LA70
2H270LA80
2H270LA87
2H270MB03
2H270MB39
2H270MC78
2H270MD17
2H270NA10
2H270NC08
2H270NC20
2H270ND21
2H270ND33
2H270NE10
2H270PA02
2H270PA04
2H270PA26
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC04
5C062AC09
5C062AC38
5C062AC60
5C062AC68
5C062AF07
5C062AF10
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】印刷数に上限が設けられた画像形成装置において上限を超えて印刷を許す場合、印刷ジョブ毎により適切な枚を印刷可能にすること。
【解決手段】画像形成装置は、印刷ジョブ投入時にサーバと通信を行い、印刷部による累積印刷面数が契約している定額サービスにおける所定の印刷面数に達しているか否かを判定する。累積印刷面数が印刷面数の上限に達していると判定した場合、画像形成装置は、サーバと通信可能か否かを判定し、サーバと通信不能である場合、実行中の印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たすか否かを判定する。画像形成装置は、実行中の印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たすと判定した場合は印刷処理を継続して行い、所定の条件を満たさないと判定した場合は印刷処理を終了する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された印刷ジョブに基づき用紙に対して印刷処理を行う印刷手段と、
前記印刷手段により前記印刷処理を行った累積印刷面数が予め設定された上限に達した場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、入力された前記印刷ジョブによって定まる印刷面数分の印刷処理が完了する前に前記累積印刷面数が前記上限に達した場合であっても、当該印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合には、前記印刷手段に前記印刷処理を続行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記印刷条件おいて複数部数の印刷、複数ページの印刷、及び両面の印刷のうちの少なくとも1つが指定されていることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記印刷条件で指定される印刷設定値が最後に印刷処理された面と次に印刷処理される面とにおいて変化しないことを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷設定値は、前記用紙のサイズを指定する値である、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷設定値は、複数部数の印刷が指定されているときの印刷処理中の部を示す値である、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷設定値は、印刷処理中の用紙番号である、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷制御手段は、前記画像形成装置においてインクロー警告が出た場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷制御手段は、前記累積印刷面数が前記上限を超える印刷処理を行ってからの経過時間が所定の時間を経過した場合、前記印刷処理を終了させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記印刷制御手段に対して前記上限を設定するサーバと通信する通信手段をさらに備え、
前記印刷制御手段は、前記印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合であっても、前記累積印刷面数が前記上限に達しているときに前記通信手段が前記サーバと通信可能である場合、前記印刷手段に前記印刷処理を終了させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
入力された印刷ジョブに基づき用紙に対して印刷処理を行う印刷ステップと、
前記印刷ステップにより前記印刷処理を行った累積印刷面数が予め設定された上限に達した場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷ステップを制御する印刷制御ステップと、
を備え、
前記印刷制御ステップは、入力された前記印刷ジョブによって定まる印刷面数分の印刷処理が完了する前に前記累積印刷面数が前記上限に達した場合であっても、当該印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合には、前記印刷ステップに前記印刷処理を続行させる、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に画像形成装置を定額で利用可能にする定額サービスが知られている。定額サービスの契約が締結された画像形成装置では、通常、管理サーバと常時通信を行い、管理サーバによってプリント枚数やスキャン枚数が管理される。定額サービスの適切な運用のため、管理サーバとの通信が途切れた場合、画像形成装置の使用が制限されることがある。特許文献1では、画像形成装置がオフライン状態になり、管理サーバとの通信が途切れた場合は、管理サーバと常時通信している時とは異なる第2の印刷枚数上限を適用して印刷する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-160203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、引用文献1の技術では、オフライン時に印刷ジョブが実行され、予め設定された第2の印刷枚数上限に達すると、一律に印刷ジョブが途中でキャンセルされてしまい、ユーザが不便を感じるといった課題がある。
【0005】
そこで本発明は、印刷数に上限が設けられた画像形成装置において上限を超えて印刷処理を行わせる場合、各印刷ジョブに応じた適切な数の印刷を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像形成装置であって、入力された印刷ジョブに基づき用紙に対して印刷処理を行う印刷手段と、前記印刷手段により前記印刷処理を行った累積印刷面数が予め設定された上限に達した場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、を備え、前記印刷制御手段は、入力された前記印刷ジョブによって定まる印刷面数分の印刷処理が完了する前に前記累積印刷面数が前記上限に達した場合であっても、当該印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合には、前記印刷手段に前記印刷処理を続行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、印刷数に上限が設けられた画像形成装置において上限を超えて印刷処理を行わせる場合、各印刷ジョブに応じた適切な数の印刷を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態における画像処理システム100を示すブロック図
図2】画像形成装置に印刷ジョブを投入した際の印刷ジョブに基づきページ単位で印刷処理の可否の判定を行う処理を示すフロー図
図3】契約印刷面数の上限を超えて印刷ジョブを続行するか否かを印刷条件に基づき決めるための判定処理を説明するフロー図
図4】契約印刷面数の上限を超えて印刷ジョブを続行するか否かを経過時間に基づき決めるための判定処理を説明するフロー図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に説明する。ただし、本発明については、その趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下に記載する実施形態に対して適宜変更、改良が加えられたものについても本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0010】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態における画像処理システム100の構成を示すブロック図である。画像処理システム100は、画像形成装置300と、サーバ500を有する。
【0011】
画像形成装置300は、CPU310と、プログラムメモリ320と、データメモリ330と、通信制御部340と、印刷制御部350と、印刷部360と、接続部370を有する。印刷制御部350は、CPU310からの指示に従って、印刷部360を制御して印刷処理を行う。印刷部360は、カートリッジ400に充填されたインク等の色材を用いて記録媒体に印刷を行う。
【0012】
CPU310は、システム制御部であり、画像形成装置300全体を制御する。プログラムメモリ320は、CPU310が実行する制御プログラムや、組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラム等を格納する。データメモリ330は、プログラム制御変数等を格納し、印刷制御部350による印刷処理時に利用する各種ワークバッファ領域が設けられている。また、データメモリ330は、画像形成装置300の識別情報331と、画像形成装置300が通信制御部340を通じて受信した定額サービスの契約情報332と、印刷部360で契約期間内に印刷された累積印刷面数333を保持する。識別情報331は、画像形成装置300が製造される際に割り当てられた個体を識別するための情報であり、例えばシリアル番号である。契約情報332は、定額サービスに契約しているか否かを示す情報であり、定額サービス契約状態と定額サービス未契約状態とのいずれか一方を示す情報である。累積印刷面数333は、定額サービス契約で印刷可能とされている印刷面数をカウントした値である。
【0013】
尚、印刷面数の面とは、出力用紙の1表面を指す。例えば両面印刷を行う場合、1枚の出力用紙に対し、表面と裏面との2面を印刷することが可能である。つまり、両面印刷を行い表面と裏面とに印刷を行った場合、印刷面数は、2カウントアップすることになる。尚、両面印刷設定であっても表面のみに印刷を行う場合、印刷面数は1カウントアップすることになる。また、1枚の出力用紙に対して複数のページを割り付けて印刷する、所謂Nin1印刷機能を実行する場合であっても、印刷面数のカウントは、印刷に用いた出力用紙の面数でカウントアップする。
【0014】
通信制御部340は、通信回線390や各種インターフェイスを介して外部とのデータ授受を制御する。
【0015】
印刷制御部350は、データメモリ330より印刷用のデータを取得し、印刷部360を介しての印刷処理を制御する。印刷部360は、印刷制御部350による印刷命令を受けて印刷処理を行う。この際、データメモリ330に保持された契約情報332が定額サービス契約状態であり、印刷部360に定額サービス専用のカートリッジ400が装着されていれば、印刷制御部350は印刷ログをサーバ500へ送信する。印刷ログとは、印刷した用紙サイズや、カラーかモノクロか、また両面印刷か片面印刷か等、ユーザが設定して出力した印刷内容、インク消費量またはカートリッジ400のインク残量を示す情報のことである。この印刷ログは、印刷制御部350により印刷ジョブ単位で生成され、通信制御部340を通してサーバ500へ送信される。尚、本実施形態では、カートリッジ400が定額サービス専用のものか否かの判定は印刷部360が行い、印刷部360はその判定結果を印刷制御部350に出力するものとする。
【0016】
接続部370は、カートリッジ400に搭載されたメモリ410に接続し、メモリ410に記憶されたカートリッジ400に関する情報を読み出す。接続部370は、カートリッジ400の情報の読み出しを、CPU310からの指示や、印刷制御部350を介した印刷部360による情報取得の要求等に基づき行う。
【0017】
上記構成要素310、320、330、340、350、360、370は、CPU310が管理するCPUバス380を介して、相互に接続されている。
【0018】
カートリッジ400は、メモリ410を有し、メモリ410には、識別情報411、残量情報412、製品情報413、および使用状態情報414が保持されている。識別情報411は、カートリッジ400が製造される際に割り当てられた個体を識別するための情報であり、例えばシリアル番号である。残量情報412は、カートリッジ400に充填されているインクの残量に関する情報であり、残存するインクの体積の単位を用いて表された値でもよいし、所定の計量単位を用いて表された値でもよい。製品情報413は、カートリッジ400が定額サービス専用のものであるのか、例えば市販で購入可能である定額サービス専用ではないもの(以下、通常カートリッジ)であるのかを示す情報である。使用状態情報414は、カートリッジ400が一度も使用されたことのない新品であるか、一度以上使用された旧品であるかを示す情報である。カートリッジ400は、接続部370が読み出し可能なメモリ410を有し、充填された色材を印刷部360に供給可能であり、画像形成装置300から取り外して交換可能なものであればよい。そのため、カートリッジ400はインクカートリッジのみに限定されず、例えばトナーカートリッジであってもよい。
【0019】
サーバ500は、CPU510と、プログラムメモリ520と、記憶部530と、通信制御部540を有する。
【0020】
CPU510はシステム制御部であり、サーバ500全体を制御する。プログラムメモリ520は、CPU510が実行する制御プログラムや、組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラム等を格納する。プログラムメモリ520には判定プログラム521が格納されている。判定プログラム521は、2つの画像形成装置300の識別情報331および契約グループ情報に基づき、カートリッジ400の使用可否を判定する。
【0021】
記憶部530は、定額サービスを契約したユーザの情報、定額サービスを契約したユーザが利用する画像形成装置300の識別情報331とその契約グループ情報、およびその画像形成装置300から送信された印刷ログを関連付けて保持する。また、記憶部530は、サービス専用のカートリッジ400を最後に装着した画像形成装置300の情報を、カートリッジ400の識別情報411および画像形成装置300の識別情報331と関連付けて保持する。
【0022】
通信制御部540は、通信回線560を介して外部とのデータ授受を制御する。
【0023】
上記構成要素510~540は、CPU510が管理するCPUバス550を介して、相互に接続されている。
【0024】
尚、本発明の実施形態では、画像形成装置300としてインクジェット方式のプリンタ(印刷装置)を例示するが、例えば、フルカラーレーザービーム(電子写真)方式のプリンタ、モノクロプリンタ等にも適用することができる。
【0025】
次に、画像形成装置に関する定額サービスについて説明する。ユーザに対して印刷に用いる消耗品(例えば、インクやトナー)を定額で利用可能とする消耗品定額サービスと、消耗品に加えて画像形成装置300も定額で利用可能とする本体込定額サービスが知られている。どちらの定額サービスにおいても本発明は適用可能であるが、本実施形態は、本体込定額サービスを契約しているものとして説明する。
【0026】
本体込定額サービスに契約すると、サービス提供者から画像形成装置300と定額サービス専用のカートリッジ400が提供され、それらを使用して所定の印刷面数まで定額で印刷することができる。尚、画像形成装置300の使用料金は定額料金に含まれているものとする。また、所定の印刷面数を超えて印刷したい場合は、ユーザは、例えば印刷面数がより多い上位のサービスプランに変更したり、1面毎に請求額が設定された従量課金制のサービスプランに変更したりして、契約内容を変更する必要があるものとする。
【0027】
ユーザが定額サービス契約の申請をすると、サービス提供者は、定額サービス専用の画像形成装置300とカートリッジ400とをユーザに配送する。ユーザが複数の画像形成装置300を契約した場合、契約台数分の画像形成装置300とカートリッジ400とが配送される。この時、サーバ500では、前述の通り、定額サービスに契約したユーザの情報、定額サービスで利用される画像形成装置300の識別情報とその契約グループ情報が登録され、管理される。尚、1つの契約において提供された複数の画像形成装置300では、それらの契約グループ情報は同一のものとなる。
【0028】
画像形成装置300は、通信回線390を介してサーバ500から定額サービス契約情報を受信すると、受信した定額サービス契約情報に基づき画像形成装置300のデータメモリ330に保持される契約情報332を更新する。契約情報332は、画像形成装置300が定額サービス契約状態であるか否かを示す情報や、契約状態である場合、契約している定額サービスの契約内容に関する情報を含む。また画像形成装置300は、印刷ジョブを実行する毎に前述した印刷ログをサーバ500に送信する。サーバ500は、受信した印刷ログに基づき、画像形成装置300の印刷面数を画像形成装置300それぞれのカートリッジ400の消耗率を算出し、インク残量が所定の量を下回ると新品の定額サービス専用のカートリッジ400を配送する。
【0029】
このような定額サービスを適切に運用するためには、画像形成装置300がネットワークを介してサーバ500に印刷ログを適宜送信できる環境が必須である。しかし、様々な理由により通信環境が確保できなくなることもある。そのため、画像形成装置300がサーバ500に接続できない場合は、画像形成装置300におけるプリントやスキャンの機能の利用数に所定の制限を課し、その制限下で画像形成装置300の利用を可能としているものとする。
【0030】
図2に、印刷ジョブが画像形成装置300に投入された際に印刷ジョブに基づきページ単位で印刷処理の可否の判定を行う処理を説明するフローチャートを示す。
【0031】
S201において、画像形成装置300は、ユーザ端末等から印刷ジョブを受け取る。
【0032】
S202において、画像形成装置300は、印刷ジョブ投入時にサーバ500と通信を行い、印刷部360による印刷面数が契約している定額サービスにおける所定の印刷面数に達しているか否かを判定する。画像形成装置300がサーバ500と通信可能な状態で累積印刷面数333が所定の印刷面数に達していなければS203に進み、累積印刷面数が所定の印刷面数に達していれば、S206に進む。
【0033】
S203において、画像形成装置300は、1面分の印刷処理を実行する。
【0034】
S204において、画像形成装置300は、データメモリ330に保持されている累積印刷面数333の更新を行う。
【0035】
S205にて、画像形成装置300は、印刷ジョブにおいて指定された印刷すべきページのうち未印刷のページがあるか否かの判定を行う。未印刷のページがある場合、S202に戻り、未印刷のページが無い場合、S201で投入された印刷ジョブの実行を完了する。
【0036】
次に、S202において印刷面数が所定の上限に達していると判定した場合の処理について説明する。
【0037】
S206において、画像形成装置300は、サーバ500と通信可能か否かを判定する。サーバ500と通信可能である場合はS207に進み、サーバ500と通信不能である場合はS210に進む。
【0038】
S207において、画像形成装置300は、契約プランの更新が許可されているか否かを判定する。契約プランの更新が許可されている場合はS208に進み、契約プランの更新が許可されていない場合はS209に進む。
【0039】
S208において、画像形成装置300は、ユーザ入力に基づき、サーバ500にアクセスして契約プランの更新を行う。この場合の契約プランの更新とは、例えば印刷面数が現在よりも多い上位の定額サービスのプランへの変更や、予め定められた印刷面数が無く、1面印刷する毎に所定の請求額が加算される従量課金制のプラン等への変更が考えられる。契約プランを更新後、画像形成装置300はS203に進む。
【0040】
S209において、画像形成装置300は、印刷ジョブをキャンセルして、S201において投入された印刷ジョブに基づく印刷処理を終了する。
【0041】
次に、S206において画像形成装置300がオフラインでサーバ500と通信不能である場合の処理について説明する。
【0042】
S210において、画像形成装置300は、実行中の印刷ジョブにおいて規定される印刷条件が所定の条件を満たすか否かを判定する。画像形成装置300は、実行中の印刷ジョブにおいて規定される印刷条件が所定の条件を満たすと判定した場合はS203に進み、印刷ジョブが所定の条件を満足さないと判定した場合はS209に進む。すなわち、実行中の印刷ジョブにおいて規定される印刷条件が所定の条件を満たす場合、実行中の印刷ジョブに基づく印刷処理を継続して実行する。実行中の印刷ジョブにおいて規定される印刷条件が所定の条件を満たさない場合、実行中の印刷ジョブに基づく印刷処理を終了する。
【0043】
図3に、本実施形態のS210において行う印刷ジョブが所定の条件を満たすか否かを判定する処理のフローを示す。尚、S210を実施する際には、印刷ジョブを実行中にS202において契約している定額サービスにおける印刷面数の上限に達し、かつ、オフラインでサーバ500と通信不能であると判定されている。
【0044】
S301において、画像形成装置300は、実行中の印刷ジョブが複数部数、複数ページ、および両面への印刷の指定のうちの少なくとも1つを含んでいるか否かを判定する。画像形成装置300は、少なくとも複数部数、複数ページ、および両面への印刷の指定のいずれか1つを含む場合、S302に進み、それらのいずれも含まない場合、S209に進む。尚、S301の判定は、印刷ジョブの1ページ目を処理する際に参照する情報に基づき行えばよい。
【0045】
S302において、画像形成装置300は、所定の印刷設定値が、最後に印刷した面と、次に印刷する面とにおいて変化するか否かを判定する。印刷設定値とは、例えば用紙サイズや用紙番号(シート番号)である。画像形成装置300は、最後に印刷した面と次に印刷する面とで印刷設置値に変更がない場合、S303に進み、それらの面で印刷設定値に変更がある場合、S209に進む。
【0046】
S303において、画像形成装置300は、インクロー警告が出ているか否かを判定する。画像形成装置300は、インクロー警告が出ていない場合、S203に進み、インクロー警告が出ている場合、S209に進む。
【0047】
このように、画像形成装置300は、印刷ジョブがS301~S303の条件を満たす場合、所定の条件を満たすとして印刷面数の上限を超えて印刷処理を継続して行う。S301~S303のいずれか1つの条件を満たさない場合は、実行中の印刷ジョブに基づく印刷処理を終了する。
【0048】
ここで、本実施形態と従来技術との比較を行う。例えば、10ページの印刷を指定する印刷ジョブを実行したが、途中の7ページ目で印刷面数の上限に達成した場合を考える。このような場合、従来技術では、8ページ目以降の印刷を行わずに、印刷ジョブをキャンセルして印刷処理を終了していた。一方、本実施形態では、最後に印刷したページの用紙サイズと、次に印刷するページの用紙サイズが同じで、かつ、インクロー警告が出ていなければ、8ページ目以降の印刷処理も継続して行われる。
【0049】
一方、無闇に印刷を許すと定額サービス提供者の利益を損なうことになるため、複数ページ指定があっても、最後に印刷したページの用紙サイズと、次に印刷するページの用紙サイズが異なる場合は、印刷ジョブをキャンセルして、印刷処理を終了する。このようにきりの良いところで印刷処理を終了させることにより、契約ユーザと定額サービス提供者との双方が利益を得ることができる。
【0050】
さらに、200ページの印刷ジョブを印刷開始したとき1ページ目で利用数の上限に達してしまった場合に残り199ページを全て印刷させてしまうと、定額サービス提供者が一方的に利益を損なうことになる。そこで、定額サービス提供者が大きな不利益を受ないよう、S303でインクロー警告が出た時点で印刷ジョブをキャンセルさせ、印刷処理を終了させる。尚、インクロー警告とは、インク残量がある一定の閾値以下(例えば、20%以下)になった場合に、インクが少なくなってきていることをユーザに通知するためのものである。
【0051】
尚、複数部数印刷が指定されている場合は、印刷中の部を印刷し終えるまで実行中の印刷ジョブに基づく印刷処理を継続して行い、次の部の印刷を行うことになった時点で印刷ジョブをキャンセルし、印刷処理を終了するようにしてもよい。また、両面印刷が指定されている場合は、印刷中の用紙の両面に印刷し終えるまで印刷ジョブの実行を継続し、次の新たな用紙への印刷を行うことになった時点で印刷ジョブをキャンセルするようにしてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、実行中の印刷ジョブに対する続行・キャンセルの判定をより詳細な条件に基づき行うことができる。これにより本実施形態では、定額サービス提供者が受ける不利益の増加に一定の歯止めを設けながら、契約ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0053】
[実施形態2]
実施形態1では、サーバ500と通信できない状況において印刷面数の上限を超えて印刷可能とするか否かを、印刷ジョブおよび画像形成装置300が印刷時に用いる記録材の残量に基づき判定した。これに対し実施形態2では、サーバ500と通信できない状況において印刷面数を超えた印刷処理の可否を、印刷面数の上限を超えた時点から所定の期間、例えば10分を経過したか否かに基づき判定する。すなわち、印刷面数の上限を超えた時点から所定の期間経過していなければ印刷ジョブを継続して実行可能とし、所定の期間を経過していれば印刷ジョブをキャンセルして印刷処理を終了する。
【0054】
図4は、所定の条件として契約数を超えて画像形成装置300を利用した時点からの経過時間が予め定められた時間内であるか否か判定する処理のフロー図である。図4に示すフローは、図2に示すフローのS210において、図3に示すフローにS303に追加して実施するものとして説明する。
【0055】
S401において、画像形成装置300は、契約数を超えて利用した数を数えるカウンターが起動しているかを判定する。画像形成装置300は、カウンターが起動していない場合、S402に進み、カウンターが起動している場合、S403に進む。
【0056】
S402において、画像形成装置300は、契約数の上限を越えて印刷処理を行おうとする時点からの経過時間を監視するためのカウンターを起動する。
【0057】
S403において、画像形成装置300は、契約数の上限を越えてからの経過時間を監視するためのカウンターが所定の期間、例えば10分を超えているか否かを判定する。所定の期間内である場合は、一定条件に当てはまると判定してS203に進み、所定の時間を超えている場合は、一定条件に当てはまらないと判定してS209に進む。
【0058】
尚、カウンターは、カウンター起動時にリセットしてもよいし、契約プランの更新を実施する際にリセットしてもよい。また、契約数の上限を超えた時点から所定の期間は、任意の時間を設定することができ、1時間以上でもよく、例えば12時間としてもよい。また、用紙や記録材の消費が無い印刷以外のジョブ、例えばスキャンジョブやFAXジョブであれば、契約数の上限を超えた時点から所定の期間は、新たなジョブの実行を可能にするようにしてもよい。その場合は、図4に示すフローのみを実施して、S403において所定の期間内である場合はジョブを実行し、所定の期間内でない場合は、ジョブを実行しないとすればよい。
【0059】
以上説明したことにより、サーバ500と通信できない状態になった場合でも一定期間は画像形成装置300を利用できるようにすることで、定額サービス提供者が一方的に大きな不利益を受けることなく、契約ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0060】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0061】
本開示は、以下の構成および方法を含む。
[構成1]
入力された印刷ジョブに基づき用紙に対して印刷処理を行う印刷手段と、
前記印刷手段により前記印刷処理を行った累積印刷面数が予め設定された上限に達した場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、入力された前記印刷ジョブによって定まる印刷面数分の印刷処理が完了する前に前記累積印刷面数が前記上限に達した場合であっても、当該印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合には、前記印刷手段に前記印刷処理を続行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
[構成2]
前記所定の条件は、前記印刷条件おいて複数部数の印刷、複数ページの印刷、及び両面の印刷のうちの少なくとも1つが指定されていることを含む、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
[構成3]
前記所定の条件は、前記印刷条件で指定される印刷設定値が最後に印刷処理された面と次に印刷処理される面とにおいて変化しないことを含む、
ことを特徴とする構成1又は2に記載の画像形成装置。
[構成4]
前記印刷設定値は、前記用紙のサイズを指定する値である、
ことを特徴とする構成3に記載の画像形成装置。
[構成5]
前記印刷設定値は、複数部数の印刷が指定されているときの印刷処理中の部を示す値である、
ことを特徴とする構成3に記載の画像形成装置。
[構成6]
前記印刷設定値は、印刷処理中の用紙番号である、
ことを特徴とする構成3に記載の画像形成装置。
[構成7]
前記印刷制御手段は、前記画像形成装置においてインクロー警告が出た場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷手段を制御する、
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成8]
前記印刷制御手段は、前記累積印刷面数が前記上限を超える印刷処理を行ってからの経過時間が所定の時間を経過した場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷手段を制御する、
ことを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成9]
前記印刷制御手段に対して前記上限を設定するサーバと通信する通信手段をさらに備え、
前記印刷制御手段に対して前記上限を設定するサーバと通信する通信手段をさらに備え、
前記印刷制御手段は、前記印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合であっても、前記累積印刷面数が前記上限に達しているときに前記通信手段が前記サーバと通信可能である場合、前記印刷手段に前記印刷処理を終了させる、
ことを特徴とする構成1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成10]
入力された印刷ジョブに基づき用紙に対して印刷処理を行う印刷ステップと、
前記印刷ステップにより前記印刷処理を行った累積印刷面数が予め設定された上限に達した場合、前記印刷処理を終了させるよう前記印刷ステップを制御する印刷制御ステップと、
を備え、
前記印刷制御ステップは、入力された前記印刷ジョブによって定まる印刷面数分の印刷処理が完了する前に前記累積印刷面数が前記上限に達した場合であっても、当該印刷ジョブが規定する印刷条件が所定の条件を満たす場合には、前記印刷ステップに前記印刷処理を続行させる、
ことを特徴とする画像形成方法。
[構成11]
コンピュータを構成1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置として機能させるためのプログラム。
図1
図2
図3
図4