(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172804
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20241205BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G1/137 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090781
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】出口 雅也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼本 直樹
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522AA03
3F522BB01
3F522BB06
3F522BB22
3F522CC01
3F522HH02
3F522HH37
3F522JJ02
3F522KK05
3F522LL31
3F522LL53
3F522LL63
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行う。
【解決手段】ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付ける導入先情報受付部と、棚の数及び配置、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンのデータを記憶するレイアウトパターンデータ記憶部と、記憶された無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付ける算出条件変更受付部と、ピッキングシステムの導入先に関する情報、レイアウトパターンのデータ、変更を受け付けた無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数に基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する処理能力算出部と、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力する情報出力部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供する情報提供装置であって、
前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付ける導入先情報受付部と、
前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンのデータを記憶するレイアウトパターンデータ記憶部と、
前記レイアウトパターンデータ記憶部に記憶された前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付ける算出条件変更受付部と、
前記導入先情報受付部で受け付けた前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターンデータ記憶部に記憶されたレイアウトパターンのデータ、前記算出条件変更受付部で変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する処理能力算出部と、
前記処理能力算出部で算出された、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力する情報出力部と、を含む、
情報提供装置。
【請求項2】
前記処理能力算出部は、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、単位時間当たりの前記物品の処理可能数を算出する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記ピッキングシステムは、前記無人搬送装置で搬送される前記物品を、パレット上に積み込む無人積込装置をさらに備え、
前記処理能力算出部は、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、前記無人積込装置の単位時間当たりの処理可能数を算出する、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記導入先情報受付部で受け付ける前記ピッキングシステムの導入先に関する情報は、前記ピッキングシステムで取り扱う前記物品の種類数、単位期間当たりの前記物品の取り扱い数、を含み、
前記処理能力算出部は、前記物品の種類数、及び前記物品の取り扱い数に基づいて、前記パレット上に、同一の種類の前記物品のみを一つの層に積込可能な層数を試算し、試算された前記層数に基づいて、前記ピッキングシステムから出荷する前記パレットの数に関する評価を行う、
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記レイアウトパターンデータ記憶部は、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の少なくとも一部が異なる、複数の前記レイアウトパターンのデータを記憶しており、
前記算出条件変更受付部は、複数の前記レイアウトパターンの中から、前記処理能力算出部による算出を行う際に用いる、前記レイアウトパターンの種類、及び前記レイアウトパターンの数の変更の入力を受け付け可能であり、
前記処理能力算出部は、前記導入先情報受付部で受け付けた前記レイアウトパターンの種類、及び前記レイアウトパターンの数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出可能である、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記処理能力算出部で前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の条件に基づいて、前記ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を算出するコスト情報算出部、を更に備え、
前記情報出力部は、前記コスト情報算出部で算出された、前記導入コストに関する情報を外部に出力する、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項7】
物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供する情報提供方法であって、
前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付けるステップと、
前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンに対し、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付けるステップと、
前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターン、変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出するステップと、
前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力するステップと、を含む、
情報提供方法。
【請求項8】
物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供するため、
前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付けるステップと、
前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンに対し、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付けるステップと、
前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターン、変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出するステップと、
前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力するステップと、を含む処理をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提供装置、情報提供方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫、工場、貨物取扱施設等において、作業効率化を図るため、物品を収容する棚からの物品の取り出し、取り出した物品の搬送等、を自動的に行うシステムが導入されている。例えば、特許文献1には、ピッキングハンドを用いて第1位置でピッキングしたワークを、第1位置とは異なる第2位置に配置するピッキング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したようなシステムの導入を検討している顧客に対し、ピッキングシステムを販売しようとする場合、販売者は、システム導入による効果、システム導入に要するコスト等を提示する必要がある。これには、顧客側の有する倉庫等の大きさ、取り扱う物品の量、物品の種類数、現状のコスト等の顧客側の状況に応じて、顧客に適した構成のシステムを構築する必要がある。具体的には、例えば、棚の配置や数、それに応じた自動搬送システムのレイアウト、自動搬送機器の必要数等を、顧客側の状況に合わせて設定し、その上で、システム導入による効果、システム導入に要する費用等を算出する。このような作業には、多大な手間と時間を要する。このため、システム導入による効果等の顧客への情報提供を、より簡易に行えるようにすることが望まれている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行うことができる情報提供装置、情報提供方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る情報提供装置は、物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供する情報提供装置であって、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付ける導入先情報受付部と、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンのデータを記憶するレイアウトパターンデータ記憶部と、前記レイアウトパターンデータ記憶部に記憶された前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付ける算出条件変更受付部と、前記導入先情報受付部で受け付けた前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターンデータ記憶部に記憶されたレイアウトパターンのデータ、前記算出条件変更受付部で変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する処理能力算出部と、前記処理能力算出部で算出された、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力する情報出力部と、を含む。
【0007】
本開示に係る情報提供方法は、物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供する情報提供方法であって、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付けるステップと、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンに対し、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付けるステップと、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターン、変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出するステップと、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力するステップと、を含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供するため、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付けるステップと、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンに対し、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付けるステップと、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターン、変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出するステップと、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の情報提供装置、情報提供方法、プログラムによれば、システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報提供装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】上記情報提供装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】レイアウトパターンの他の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報提供方法の手順を示すフローチャートである。
【
図6】一つのパレット上に異なる種類の荷物が搭載された状態の一例を示す図である。
【
図7】複数のパレットに、異なる種類の荷物が搭載された状態の一例を示す図である。
【
図8】表示部に表示される、ピッキングシステムの処理能力に関する情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図9】表示部に表示される、導入コストに関する情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図10】表示部に表示される、ピッキングシステムを導入した場合における、作業時間スケジュールの例と、ピッキングシステムを導入しない場合における作業時間スケジュールの例を示す表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による情報提供装置、情報提供方法、プログラムを実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
(情報提供装置の構成)
情報提供装置10は、ピッキングシステムを販売する販売者が、ピッキングシステムの導入を検討する顧客に対し、ピッキングシステムのシステム導入による効果等についての情報提供を行うためのものである。
【0012】
ここで、情報提供装置10の説明に先立ち、ピッキングシステムについての概略を説明する。ピッキングシステムは、例えば、倉庫、工場、貨物取扱施設等に導入(設置)される。ピッキングシステムは、荷物(物品)を収容可能な複数の棚と、棚から荷物を取り出す無人フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)と、無人フォークリフトで取り出した荷物を搬送する無人搬送装置(AGV:Automated Guided Vehicle)と、を少なくとも備えている。本実施形態において、複数の荷物は、パレット上に搭載されている。ピッキングシステムは、複数の荷物を搭載したパレットを、複数の棚に収納している。本実施形態において、ピッキングシステムは、パレットに搭載された所定の荷物を取り出し、発送用のパレット上に積み込むパレタイザ(無人積込装置)を更に備えている。
【0013】
このようなピッキングシステムは、予め設定された荷物処理プログラムに基づいて、無人フォークリフト、無人搬送装置、及びパレタイザが自動的に動作する。荷物処理プログラムは、発注者からの発注内容に応じて生成される。荷物処理プログラムは、複数の棚に収納された複数の荷物の中から、発注内容に応じた種類の荷物を、発注内容に応じた数だけピックアップし、発注先に向けて発送されるパレットに積み上げるように、無人フォークリフト、無人搬送装置、及びパレタイザを動作させる。
【0014】
無人フォークリフトは、複数の棚に収納された、荷物を搭載したパレットの中から、荷物処理プログラムに基づいて、指定された荷物が搭載されたパレットを取り出す。無人フォークリフトは、取り出したパレットを、無人搬送装置に受け渡す。無人搬送装置は、受け渡されたパレットを、パレタイザの周囲の所定の位置まで搬送する。パレタイザは、荷物処理プログラムに基づいて、無人搬送装置によって搬送されてきたパレット上の荷物を所定数取り出し、荷物の発送先ごとに設定された発送用のパレットに積み込む。パレタイザは、荷物処理プログラムに基づいて、荷物の発送先ごとに、指定された種類の荷物を、指定された数だけ、発送用のパレットに積み込む。このとき、パレタイザは、複数の種類の荷物を、それぞれ指定された数だけ、発送用のパレットに積み込むことができる。パレタイザは、一つのパレットに、複数の荷物を積込可能である。荷物の発送先に対する荷物の数が、一つのパレットに積込可能な数を超える場合等、パレタイザは、複数の発送用のパレットに分けて、荷物を積み込むこともできる。パレタイザによって所定の荷物が積み込まれたパレットは、トラック等に搭載され、所定の発送先へ運搬される。
【0015】
図1は、情報提供装置の機能構成を示す図である。
図1に示すように、情報提供装置10は、例えば、ピッキングシステムを販売する販売者が操作可能なコンピュータである。情報提供装置10は、ピッキングシステムの導入を検討する顧客に対し、その検討のための、ピッキングシステムを導入するに際する情報を生成して提供する。より具体的には、情報提供装置10は、顧客がピッキングシステムを導入した場合に想定されるピッキングシステムの処理能力に関する情報、及びピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を提供する。情報提供装置10は、顧客に提供する情報を、後述の表示部30に出力する。
【0016】
図2は、情報提供装置本体のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、情報提供装置10は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置64、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。このような情報提供装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0017】
図1に示すように、情報提供装置10のCPU61は予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、導入先情報受付部12と、レイアウトパターンデータ記憶部14と、算出条件変更受付部16と、処理能力算出部18と、コスト情報算出部20と、情報出力部22と、を備える。
【0018】
導入先情報受付部12は、ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付ける。ピッキングシステムの導入先に関する情報とは、ピッキングシステムの導入を検討している顧客側の、現状の荷物の取り扱い状況に関する情報である。具体的には、導入先情報受付部12は、ピッキングシステムの導入先に関する情報として、例えば、取り扱っている荷物の種類数、1日あたりの荷物の取扱量(受注量)、荷物の届け先の数、等の入力を受け付ける。販売者側の担当者、または顧客側の担当者は、これらの情報を、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器3を用い、情報提供装置10に入力する。この入力機器は、情報提供装置10自体に装備されていてもよいし、情報提供装置10に接続されていてもよい。
【0019】
レイアウトパターンデータ記憶部14は、ピッキングシステムの複数のレイアウトパターンのデータを記憶している。ピッキングシステムのレイアウトパターンとは、棚の数及び配置、無人フォークリフトの台数、無人搬送装置、及びパレタイザの台数が予め設定されてモデル化されたものである。
図3は、レイアウトパターンの一例を示す図である。
図4は、レイアウトパターンの他の一例を示す図である。
本実施形態のレイアウトパターンデータ記憶部14では、
図3、及び
図4に示す、二種類のレイアウトパターンA、Bのデータを記憶している。
【0020】
図3に示す第一のレイアウトパターンAでは、例えば、20m×30mのエリアD1内に、複数の棚101と、1台の無人フォークリフト102と、3台の無人搬送装置103と、1台のパレタイザ104と、が配置されている。
【0021】
一方、
図4に示す第二のレイアウトパターンBは、第一のレイアウトパターンAとは異なる構成とされている。第二のレイアウトパターンBは、エリアD2のサイズ、無人フォークリフト102の台数、無人搬送装置103の台数、パレタイザ104の台数のうちの少なくとも一つが、第一のレイアウトパターンAと異なっている。本実施形態においては、第二のレイアウトパターンBは、エリアD2のサイズ、棚101の数、無人フォークリフト102の台数、無人搬送装置103の台数が、第一のレイアウトパターンAと異なっている。本実施形態の第二のレイアウトパターンBでは、例えば、30×40mのサイズのエリアD2内に、第一のレイアウトパターンAよりも多い数の棚101と、2台の無人フォークリフト102と、4台の無人搬送装置103と、を備えている。
本実施形態において、第二のレイアウトパターンBは、第一のレイアウトパターンAと同様、1台のパレタイザ104を備えている。すなわち、第一のレイアウトパターンA、及び第二のレイアウトパターンBは、それぞれ、1台のパレタイザ104を中心としてモジュール化されている。後述する処理能力算出部18では、このような第一のレイアウトパターンA、第二のレイアウトパターンBを、適宜組み合わせることで、ピッキングシステムの全体を構成し、処理能力に関する情報の算出を行う。
【0022】
算出条件変更受付部16は、後に詳述するように、必要に応じて、処理能力算出部18で、導入先のピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する際に用いるレイアウトパターン(第一のレイアウトパターンA、第二のレイアウトパターンB)に対し、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数を含む、算出条件の変更の入力を受け付ける。
また、算出条件変更受付部16は、複数のレイアウトパターンの中から、処理能力算出部18による算出を行う際に用いる、レイアウトパターンの種類、及びレイアウトパターンの数を含む、算出条件の変更の入力を受け付け可能である。
変更する算出条件は、販売者側の担当者、又は顧客側の担当者が、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器3を用い、情報提供装置10に入力する。
【0023】
処理能力算出部18は、予め記憶された計算式に基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する。処理能力算出部18は、導入先情報受付部12で受け付けたピッキングシステムの導入先に関する情報、レイアウトパターンデータ記憶部14に記憶されたレイアウトパターンのデータ、算出条件変更受付部16で変更を受け付けた無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数に基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する。処理能力算出部18は、導入先情報受付部12で受け付けたレイアウトパターンの種類、及びレイアウトパターンの数に基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する。
【0024】
処理能力算出部18は、ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、単位時間当たりの荷物の処理可能数を算出する。ここで、単位時間当たり、とは、例えば1時間当たりであってもよいし、1日あたり、1週間当たり、等であってもよい。本実施形態において、処理能力算出部18は、1時間当たりにピッキングシステムで処理できる荷物の数を、処理可能数として算出する。算出された処理可能数に基づいて、顧客側は、ピッキングシステムの処理能力についての評価を行うことができる。
【0025】
また、処理能力算出部18は、ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、パレタイザの単位時間当たりの処理可能数を算出する。処理能力算出部18は、後に詳述するように、荷物の種類数、及び荷物の取り扱い数に基づいて、パレット上に、同一の種類の荷物のみを一つの層に積込可能な層数を試算し、試算された層数に基づいて、ピッキングシステムから出荷するパレットの数に関する評価を行う。
パレットに複数種類の荷物を積み込もうとする場合、荷物のサイズ等により、異なる種類の荷物を、一つのパレットに混載できない場合がある。パレット上に、同一の種類の荷物のみで一つの層を形成できれば、その層の上面は平面状となり、その上に、他の種類の荷物を積み込むことができる。その結果、出荷するパレットの数の低減に寄与できる。このため、同一の種類の荷物のみで一つの層を構成可能な層数を試算し、試算された層数に基づいて、ピッキングシステムから出荷するパレットの数に関する評価を行うことで、荷物を積み込んだパレットを出荷先に運搬する際の効率についても、評価が行える。
【0026】
コスト情報算出部20は、処理能力算出部18でピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の条件(ピッキングシステムの構成)に基づいて、ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を算出する。具体的には、コスト情報算出部20は、処理能力算出部18でピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の、レイアウトパターンの種類、及び数に基づいて、ピッキングシステムを構成する棚の数、無人フォークリフトの数、無人搬送装置の数、パレタイザの数を求め、予め自装置に記憶された各機器の単価等に基づいて、装置コストを算出する。この装置コストには、棚、無人フォークリフト、無人搬送装置、及びパレタイザ以外の付帯装置等も含まれる。
さらに、コスト情報算出部20は、棚、無人フォークリフト、無人搬送装置、パレタイザ、及び付帯装置の各々に関連付けて設定された、各々の機器のメンテナンスコストについても算出可能である。
コスト情報算出部20は、このように算出される、装置コスト、及びメンテナンスコストに基づいて、処理能力算出部18で算出を行った構成のピッキングシステムを導入した場合に必要となる導入コストを算出する。
【0027】
情報出力部22は、処理能力算出部18で算出された、ピッキングシステムの処理能力に関する情報、及び、コスト情報算出部20で算出された、ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を、外部の表示部30に向けて出力する。
【0028】
表示部30は、情報提供装置10から出力された情報を表示する。表示部30は、情報提供装置10が、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である場合、自装置に備えたモニタ画面である。
また、表示部30は、情報提供装置10に対し、WAN(いわゆるインターネット)、LAN、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信等の通信ネットワークを介してアクセス可能な、外部端末に備えられていてもよい。この場合、表示部30を備える外部端末は、情報提供装置10とは異なる、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。また、情報提供装置10は、データネットワークを介してアクセス可能な、いわゆるクラウドサーバであってもよい。
【0029】
(情報提供方法の手順)
次に、上記したような情報提供装置10における、情報提供方法S10の流れについて説明する。
図5は、本実施形態における情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、情報提供方法S10は、情報の入力を受け付けるステップS11と、ピッキングシステムの構成を仮設定するステップS12と、処理能力に関する情報を算出するステップS13と、処理能力に関する情報を外部に出力するステップS14と、算出条件を変更するステップS15と、導入コストに関する情報を算出するステップS16と、コスト情報を外部に出力するステップS17と、を含んでいる。情報提供装置10では、情報提供方法S10を実行するプログラムが実行されると、各ステップS11~S17で必要な所定の表示画面を、表示部30に表示させる。なお、以下に示す情報提供方法S10は、本実施形態では、ピッキングシステムの販売者側の担当者で、情報提供装置10を操作するものとする。なお、以下に示す情報提供方法S10は、ピッキングシステムの導入を検討する顧客側の担当者が情報提供装置10を操作することで実施してもよい。また、顧客側の担当者、又は販売者側の担当者が、表示部30を備えた外部端末を用い、通信ネットワークを介して情報提供装置10にアクセスし、実質的に情報提供装置10を操作するようにしてもよい。
【0030】
情報の入力を受け付けるステップS11では、ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付ける。ステップS11では、販売者側の担当者が、顧客側から提供される、ピッキングシステムの導入先に関する情報を入力機器3で入力する。ステップS11で入力する、ピッキングシステムの導入先に関する情報としては、取り扱っている荷物の種類数、1日あたりの荷物の取扱量(受注量)、荷物の出荷先となる届け先の数、ピッキングシステムの導入を検討している倉庫等のスペースの広さ、等がある。導入先情報受付部12では、ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付け、情報提供装置10のメモリ等に記憶させる。
【0031】
また、情報の入力を受け付けるステップS11では、販売者側の担当者が、ピッキングシステムの導入先に関する情報として、ピッキングシステムの導入前における、現状のコストに関する情報を顧客側から取得し、入力機器3で情報提供装置10に入力する。現状のコストに関する情報としては、荷物の取り扱いに携わる人員の数、人手による荷物の処理に要する時間、人件費、作業者一人当たりの荷物の処理能力、年間の稼働日数等がある。
【0032】
続いて、ピッキングシステムの構成を仮設定するステップS12では、後述のステップS13で処理能力に関する情報の算出対象とするピッキングシステムの構成についての仮設定を行う。販売者側の担当者は、顧客側から得た、ピッキングシステムの導入先に関する情報、顧客側の担当者との話し合い等に基づき、算出対象となるピッキングシステムの構成を、入力機器3で仮に設定する。ピッキングシステムの構成は、
図3、
図4に示したようなレイアウトパターン(第一のレイアウトパターンA、第二のレイアウトパターンB)を適宜選択することで仮設定する。ピッキングシステムとしては、例えば、第一のレイアウトパターンA、及び第二のレイアウトパターンBのいずれか一つを選択してもよい。また、第一のレイアウトパターンA、及び第二のレイアウトパターンBのいずれか一つを、複数組備えることで、ピッキングシステムを構成してもよい。また、第一のレイアウトパターンAと、第二のレイアウトパターンBと、それぞれ一組以上備えることで、ピッキングシステムを構成してもよい。
【0033】
処理能力に関する情報を算出するステップS13では、ステップS11で入力されたピッキングシステムの導入先に関する情報、ステップS12で仮設定されたピッキングシステムに選択されたレイアウトパターンに基づいて、処理能力算出部18で、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する。具体的には、荷物の種類数、荷物の取扱量(受注量)、届け先数といった数値に基づいて、予め設定された数式に基づいて、例えば、パレタイザ1台当たり、1時間当たりの処理能力を算出する。ここで用いる数式は、例えば、過去に同様の算出を実行した際の結果を蓄積することで得た、重回帰式を用いることができる。
【0034】
また、処理能力に関する情報を算出するステップS13では、処理能力算出部18で、荷物の種類数、及び荷物の取り扱い数に基づいて、パレット上に、同一の種類の荷物のみを一つの層に積込可能な層数を試算し、試算された層数に基づいて、ピッキングシステムから出荷するパレットの数に関する評価を行う。
例えば、
図6に示すように、同一の種類の荷物P1の数が、パレット200上の1層分の荷物数の倍数である場合、パレット200上に、同一の種類の荷物P1のみで層L1、L2を形成できる。この場合、最上部の層L2の上面は平面状となる。この場合、層L2の上に、他の種類の荷物P2を積み込むことができる。
一方、
図7に示すように、同一の種類の荷物P1の数が、パレット200上の1層分の荷物数の倍数ではない場合、パレット200上に、同一の種類の荷物P1を搭載すると、1つの層を同一の種類の荷物P1で形成できず、端数となる荷物P1xが生じる。この場合、このパレット200上に、大きさが異なる他の荷物を、パレタイザで積み込むことができない。このため、他の荷物P2は、他の荷物P2のみで、異なるパレット200上に搭載することとなる。すると、荷物P1、P2を搭載するのに必要なパレット200の数が増加することとなる。
【0035】
このため、本実施形態では、処理能力算出部18で、例えば、次式(1)により、同一の種類の荷物のみで、パレット200上に層(レイヤー)を形成できるレイヤー比率を算出する。
(レイヤー比率)=(同一の種類の荷物で形成することができた層の数)×(1層当たりの荷物の数)/(荷物の総数) ・・・(1)
例えば、
図6の例では、1つのパレット200に、一の種類の荷物P1が、1層あたり8個、計2層に搭載され、さらに、その上に、他の種類の荷物P2が、1層当たり8個、計3層に搭載されている。このため、この場合のレイヤー比率は、上式(1)に基づいて、
(レイヤー比率)=(8×2+8×3)/40=100%となる。
一方、
図7の例では、1つ目のパレット200に、一の種類の荷物P1が、1層あたり8個、計2層に搭載され、その上に3つの荷物P1が搭載されている。また、2つ目のパレット200に、他の種類の荷物P2が、1層当たり8個、2層に搭載され、その上に5つの荷物P2が搭載されている。この場合のレイヤー比率は、上式(1)に基づいて、
(レイヤー比率)=(8×2+8×2)/40=80%となる。
【0036】
また、処理能力算出部18では、パレタイザ1台当たりの処理能力を、例えば次式(2)により算出する。
(パレタイザ単体処理能力)=(a+受注量×b+荷物の種類数×c+レイヤー比率×d+届け先数×e+f) ・・・(2)
ここで、a~fは、販売者側で適宜設定する係数である。
【0037】
処理能力に関する情報を外部に出力するステップS14では、ステップS13で算出された、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を、情報出力部22が表示部30に出力する。
図8は、表示部30に表示される、ピッキングシステムの処理能力に関する情報の表示画面V1の一例を示す図である。この
図8に示すように、表示画面V1には、算出対象としたピッキングシステムの機器構成として、パレタイザの台数、無人フォークリフト(AGF)の台数、自動搬送装置(AGV)の台数の他、荷物の種類数、1日あたりの荷物の受注量、算出されたレイヤー比率、荷物の届け先の数等が表示される。また、表示画面V1には、算出された、パレタイザ単体処理能力、1日あたりにピッキングできる荷物の数等が表示される。
また、表示画面V1には、例えば、荷物の種類数と1時間当たりの荷物の処理能力との相関、レイヤー比率と1時間当たりの荷物の処理能力との相関、受注量と1時間当たりの荷物の処理能力との相関、届け先数と1時間当たりの荷物の処理能力との相関、を示すグラフG1~G4を、参考のために表示することもできる。
【0038】
販売者側の担当者、または顧客側の担当者は、表示画面V1に表示される算出結果等の情報を見て、算出条件の変更の必要性を検討する。販売者側の担当者、または顧客側の担当者が、算出条件の変更の必要性がないと判断した場合は、ステップS15をスキップして、ステップS16に進む。一方、算出条件の変更の必要性があると判断した場合、算出条件を変更するステップS15に進む。
【0039】
算出条件を変更するステップS15では、販売者側の担当者が、ステップS12で仮に設定したピッキングシステムで選択したレイアウトパターンに対し、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数を、入力機器3で表示画面V1上に入力することで変更する。算出条件変更受付部16では、変更された算出条件の入力を受け付ける。
ステップS15で算出条件の変更を受け付けた場合、ステップS13に戻り、ピッキングシステムの導入先に関する情報、レイアウトパターン、変更を受け付けた無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数に基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を再度算出する。
そして、処理能力に関する情報を外部に出力するステップS14で、ステップS13における算出結果を、表示画面V1に表示させる。
販売者側の担当者、または顧客側の担当者が、表示画面V1に表示される算出結果を見て、算出条件の変更の必要性がないと判断するまで、ステップS15、S13、S14を繰り返す。算出条件の変更の必要性がないと判断された場合、ステップS16に進む。
【0040】
導入コストに関する情報を算出するステップS16では、コスト情報算出部20で、処理能力算出部18でピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の算出条件(ピッキングシステムの構成)に基づいて、ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を算出する。コスト情報算出部20は、処理能力算出部18でピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の、レイアウトパターンの種類、及び数に基づいて、棚の数、無人フォークリフトの数、無人搬送装置の数、パレタイザの数を算出し、予め記憶されたそれぞれの機器の単価、利益率等に基づいて、ピッキングシステムに要する装置コストを算出する。この装置コストには、棚、無人フォークリフト、無人搬送装置、及びパレタイザ以外の付帯装置等も含まれる。
さらに、コスト情報算出部20は、棚、無人フォークリフト、無人搬送装置、パレタイザ、及び付帯装置の各機器に関連付けて予め設定された、各々のメンテナンスコストについても算出する。
コスト情報算出部20は、このように算出される、装置コスト、及びメンテナンスコストに基づいて、処理能力算出部18で算出を行った構成のピッキングシステムを導入した場合に必要となる導入コストを算出する。
【0041】
続いて、コスト情報を外部に出力するステップS17では、ステップS16で算出された、ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を、情報出力部22で表示部30に出力する。
図9は、表示部30に表示される、導入コストに関する情報の表示画面V2の一例を示す図である。この
図9に示すように、表示部30に表示される表示画面V2には、パレタイザの台数、無人フォークリフト(AGF)の台数、無人搬送装置(AGV)の台数の他、ピッキングシステムを導入するのに必要な初期投資額、メンテナンス等に必要なランニングコスト等が表示される。
また、比較のため、ステップS11で入力された、導入先に関する情報に基づいて、ピッキングシステムを導入せずに、現状のまま、作業者による手作業で同様の作業を行った場合の情報(手動ピッキング情報)として、必要な人件費、作業者一人当たりの処理能力、年間の稼働日数等を表示することもできる。
また、ピッキングシステムを導入した場合に必要な、初期投資額とランニングコストの合計額の変化と、ピッキングシステムを導入しない場合の人件費の変化とを比較するグラフG5を表示するようにしてもよい。このグラフG5により、ピッキングシステムを導入した場合に、費用が回収できるまでの期間を、容易に把握できる。
【0042】
また、情報出力部22では、
図10に示すように、ピッキングシステムを導入した場合における、作業時間スケジュールの例K1と、ピッキングシステムを導入しない場合における作業時間スケジュールの例K2を示す表示画面V3を、表示部30に表示させることもできる。
【0043】
(作用効果)
上記構成の情報提供装置10、情報提供方法S10、プログラムでは、導入先に関する情報と、予め設定されたレイアウトパターンのデータとに基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を出力する。このように、予め設定されたレイアウトパターンのデータを利用することで、導入先の細かい条件に合わせて棚の数及び配置、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数等を設定する必要がなく、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を簡便に出力することができる。また、出力されたピッキングシステムの処理能力に関する情報に応じて、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数を変更することで、ピッキングシステムの条件を導入先に合わせて容易に調整できる。その結果、導入先に応じて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を、より高い精度で得ることができる。このようにして得たピッキングシステムの処理能力に関する情報を、外部に出力することで、導入先の担当者は、ピッキングシステムの導入の有無の判断材料とすることができる。その結果、システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行うことができる。
【0044】
また、ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、単位時間当たりの荷物の処理可能数を算出することで、ピッキングシステムを導入した場合における、荷物の処理効率について、定量的な評価を行うことができる。
【0045】
また、処理能力算出部18は、ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、パレタイザの単位時間当たりの処理可能数を算出する。
これにより、ピッキングシステムがパレタイザを備える場合、パレタイザによる処理能力により、ピッキングシステムの処理能力を評価することができる。
【0046】
また、処理能力算出部18は、荷物の種類数、及び荷物の取り扱い数に基づいて、パレット上に、同一の種類の荷物のみを一つの層に積込可能な層数を試算し、試算された層数に基づいて、ピッキングシステムから出荷するパレットの数に関する評価を行う。
これにより、パレットに複数種類の荷物を積み込む場合、荷物のサイズ等により、異なる種類の荷物を、一つのパレットに混載できない場合がある。パレット上に、同一の種類の荷物のみで一つの層を形成できれば、その層の上面は平面状となり、その上に、他の種類の荷物を積み込むことができる。その結果、出荷するパレットの数の低減に寄与できる。このため、同一の種類の荷物のみで一つの層を構成可能な層数を試算し、試算された層数に基づいて、ピッキングシステムから出荷するパレットの数に関する評価を行うことで、荷物を積み込んだパレットを出荷先に運搬する際の効率についても、評価を行うことができる。
【0047】
また、処理能力算出部18は、導入先情報受付部12で受け付けたレイアウトパターンの種類、及びレイアウトパターンの数に基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出可能である。
これにより、複数のレイアウトパターンの種類、レイアウトパターンの数を適宜変更することで、導入先の条件に、より近い条件で、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出できる。
【0048】
また、情報出力部22は、コスト情報算出部20で算出された、導入コストに関する情報を外部に出力する。
これにより、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の条件に基づいて、ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を算出し、外部に出力することで、導入先の担当者は、ピッキングシステムの処理能力と、導入コストとを考慮しつつ、ピッキングシステムの導入についての検討を行うことができる。
【0049】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、ピッキングシステムで、物品として、荷物を取り扱うようにしたが、ピッキングシステムが、例えば工場等に設置される場合、物品としては、工場で生産する部品や製品などであってもよい。
また、上記実施形態でコンピュータが実行するプログラムの一部または全部は、コンピュータが読取可能な記録媒体や通信回線を介して頒布することができる。
【0050】
<付記>
実施形態に記載の情報提供装置10、情報提供方法S10、プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0051】
(1)第1の態様に係る情報提供装置10は、物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供する情報提供装置10であって、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付ける導入先情報受付部12と、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンのデータを記憶するレイアウトパターンデータ記憶部14と、前記レイアウトパターンデータ記憶部14に記憶された前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付ける算出条件変更受付部16と、前記導入先情報受付部12で受け付けた前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターンデータ記憶部14に記憶されたレイアウトパターンのデータ、前記算出条件変更受付部16で変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出する処理能力算出部18と、前記処理能力算出部18で算出された、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力する情報出力部22と、を含む。
ピッキングシステムの導入先に関する情報の例としては、ピッキングシステム導入前における、取り扱う物品の種類の数、1日あたりの物品の取扱量、物品の発送先の数等が挙げられる。
【0052】
この情報提供装置10は、導入先に関する情報と、予め設定されたレイアウトパターンのデータとに基づいて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を出力する。このように、予め設定されたレイアウトパターンのデータを利用することで、導入先の細かい条件に合わせて棚の数及び配置、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数等を設定する必要がなく、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を簡便に出力することができる。また、出力されたピッキングシステムの処理能力に関する情報に応じて、無人フォークリフトの台数、及び無人搬送装置の台数を変更することで、ピッキングシステムの条件を導入先に合わせて容易に調整できる。その結果、導入先に応じて、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を、より高い精度で得ることができる。このようにして得たピッキングシステムの処理能力に関する情報を、外部に出力することで、導入先の担当者は、ピッキングシステムの導入の有無の判断材料とすることができる。その結果、システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行うことができる。
【0053】
(2)第2の態様に係る情報提供装置10は、(1)の情報提供装置10であって、前記処理能力算出部18は、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、単位時間当たりの前記物品の処理可能数を算出する。
【0054】
これにより、ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、単位時間当たりの物品の処理可能数を算出することで、ピッキングシステムを導入した場合における、物品の処理効率について、定量的な評価を行うことができる。
【0055】
(3)第3の態様に係る情報提供装置10は、(1)又は(2)の情報提供装置10であって、前記ピッキングシステムは、前記無人搬送装置で搬送される前記物品を、パレット上に積み込む無人積込装置をさらに備え、前記処理能力算出部18は、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報として、前記無人積込装置の単位時間当たりの処理可能数を算出する。
【0056】
これにより、ピッキングシステムが無人積込装置を備える場合、無人積込装置による処理能力により、ピッキングシステムの処理能力を評価することができる。
【0057】
(4)第4の態様に係る情報提供装置10は、(3)の情報提供装置10であって、前記導入先情報受付部12で受け付ける前記ピッキングシステムの導入先に関する情報は、前記ピッキングシステムで取り扱う前記物品の種類数、単位期間当たりの前記物品の取り扱い数、を含み、前記処理能力算出部18は、前記物品の種類数、及び前記物品の取り扱い数に基づいて、前記パレット上に、同一の種類の前記物品のみを一つの層に積込可能な層数を試算し、試算された前記層数に基づいて、前記ピッキングシステムから出荷する前記パレットの数に関する評価を行う。
【0058】
これにより、パレットに複数種類の物品を積み込む場合、物品のサイズ等により、異なる種類の物品を、一つのパレットに混載できない場合がある。パレット上に、同一の種類の物品のみで一つの層を形成できれば、その層の上面は平面状となり、その上に、他の種類の物品を積み込むことができる。その結果、出荷するパレットの数の低減に寄与できる。このため、同一の種類の前記物品のみで一つの層を構成可能な層数を試算し、試算された前記層数に基づいて、ピッキングシステムから出荷するパレットの数に関する評価を行うことで、物品を積み込んだパレットを出荷先に運搬する際の効率についても、評価を行うことができる。
【0059】
(5)第5の態様に係る情報提供装置10は、(1)から(4)の何れか一つの情報提供装置10であって、前記レイアウトパターンデータ記憶部14は、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の少なくとも一部が異なる、複数の前記レイアウトパターンのデータを記憶しており、前記算出条件変更受付部16は、複数の前記レイアウトパターンの中から、前記処理能力算出部18による算出を行う際に用いる、前記レイアウトパターンの種類、及び前記レイアウトパターンの数の変更の入力を受け付け可能であり、前記処理能力算出部18は、前記導入先情報受付部12で受け付けた前記レイアウトパターンの種類、及び前記レイアウトパターンの数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出可能である。
【0060】
これにより、複数のレイアウトパターンの種類、レイアウトパターンの数を適宜変更することで、導入先の条件に、より近い条件で、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出できる。
【0061】
(6)第6の態様に係る情報提供装置10は、(1)から(5)の何れか一つの情報提供装置10であって、前記処理能力算出部18で前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の条件に基づいて、前記ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を算出するコスト情報算出部20、を更に備え、前記情報出力部22は、前記コスト情報算出部20で算出された、前記導入コストに関する情報を外部に出力する。
【0062】
これにより、ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出した際の条件に基づいて、ピッキングシステムの導入に要する導入コストに関する情報を算出し、外部に出力することで、導入先の担当者は、ピッキングシステムの処理能力と、導入コストとを考慮しつつ、ピッキングシステムの導入についての検討を行うことができる。
【0063】
(7)第7の態様に係る情報提供方法S10は、物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供する情報提供方法S10であって、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付けるステップS11と、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンに対し、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付けるステップS15と、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターン、変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出するステップS13と、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力するステップS14と、を含む。
【0064】
これにより、システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行うことができる。
【0065】
(8)第8の態様に係るプログラムは、物品を収容可能な複数の棚、前記棚から物品を取り出す無人フォークリフト、及び前記無人フォークリフトで取り出した前記物品を搬送する無人搬送装置、を少なくとも含むピッキングシステムを導入するに際する情報を提供するため、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報の入力を受け付けるステップS11と、前記棚の数及び配置、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数が予め設定されたレイアウトパターンに対し、前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数の変更の入力を受け付けるステップS15と、前記ピッキングシステムの導入先に関する情報、前記レイアウトパターン、変更を受け付けた前記無人フォークリフトの台数、及び前記無人搬送装置の台数に基づいて、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を算出するステップS13と、前記ピッキングシステムの処理能力に関する情報を外部に出力するステップS14と、を含む処理をコンピュータに実行させる。
【0066】
これにより、システム導入による効果等の顧客への情報提供をより簡易に行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
3…入力機器
10…情報提供装置
12…導入先情報受付部
14…レイアウトパターンデータ記憶部
16…算出条件変更受付部
18…処理能力算出部
20…コスト情報算出部
22…情報出力部
30…表示部
61…CPU
62…ROM
63…RAM
64…記憶装置
65…信号送受信モジュール
101…棚
102…無人フォークリフト
103…無人搬送装置
104…パレタイザ
200…パレット
A…第一のレイアウトパターン(レイアウトパターン)
B…第二のレイアウトパターン(レイアウトパターン)
D1、D2…エリア
L1、L2…層
P1、P1x、P2…荷物
S10…情報提供方法
S11…情報の入力を受け付けるステップ
S12…ピッキングシステムの構成を仮設定するステップ
S13…処理能力に関する情報を算出するステップ
S14…処理能力に関する情報を外部に出力するステップ
S15…算出条件を変更するステップ
S16…導入コストに関する情報を算出するステップ
S17…コスト情報を外部に出力するステップ
V1~V3…表示画面