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特開2024-172819半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法
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  • 特開-半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172819
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20241205BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241205BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01R31/26 J
H01L21/66 B
G01R31/28 K
G01R31/28 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090811
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】多田 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】長南 大樹
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AB02
2G003AG03
2G003AG04
2G003AH07
2G132AD01
2G132AF02
2G132AF18
2G132AL31
4M106AA02
4M106AC13
4M106BA01
4M106CA04
4M106DD04
4M106DD11
4M106DJ14
4M106DJ20
4M106DJ27
4M106DJ38
(57)【要約】
【課題】プローブ治具を用いた半導体チップの電気特性試験において、半導体チップ、プローブ治具、測定機器などがダメージを受けることを防止する。
【解決手段】試験システムは、複数のプローブピン(2p)を有するプローブ治具(2)と、複数のプローブピン(2p)のそれぞれに接続された複数の電流フォース線(3)および複数の電流センス線(4)と、複数の電流センス線(4)のそれぞれの電流値を測定する複数の電流モニタ(5)と、複数の電流フォース線(3)のそれぞれに接続した導通/遮断を切り替える複数の半導体スイッチ(6)とを備える。複数の半導体スイッチ(6)はゲートドライバ回路(8)により制御される。遮断要否判定回路(9)は、複数の電流モニタ(5)のそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定し、異常な値の電流値が測定された電流フォース線(3)の半導体スイッチ(6)をオフ状態にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを搭載するステージと、
前記半導体チップに接触させる複数のプローブピンを有するプローブ治具と、
複数の前記プローブピンのそれぞれに接続された複数の電流フォース線および複数の電流センス線と、
複数の前記電流センス線のそれぞれの電流値を測定する複数の電流モニタと、
複数の前記電流フォース線のそれぞれに接続した導通/遮断を切り替える複数の半導体スイッチと、
複数の前記半導体スイッチのそれぞれのオン/オフを制御するゲートドライバ回路と、
複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定し、複数の前記電流モニタのいずれかで測定された電流値が異常な値と判定されると、異常な値の電流値が測定された前記電流フォース線の前記半導体スイッチをオフ状態にするように前記ゲートドライバ回路を制御する遮断要否判定回路と、
を備える試験システムを有する、
半導体装置の製造装置。
【請求項2】
複数の前記電流モニタのいずれかで測定された電流値が異常な値と判定されると、アラームを発報する報知器をさらに備える、
請求項1に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項3】
前記遮断要否判定回路は、複数の前記半導体スイッチのそれぞれをオン状態にするかオフ状態にするかの設定を記憶する記憶部を備える、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項4】
前記記憶部は、複数の前記半導体スイッチのそれぞれをオン状態にするかオフ状態にするかの設定を、前記半導体チップの品種ごとに記憶する、
請求項3に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項5】
複数の前記プローブピンのそれぞれに対応して設けられ、複数の前記プローブピンのそれぞれが前記半導体チップに接触する位置を撮影する複数のチップ認識カメラをさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項6】
前記遮断要否判定回路は、複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定するための閾値を、前記半導体チップの品種ごとに記憶する記憶部を備える、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項7】
前記遮断要否判定回路は、複数の前記チップ認識カメラが撮影した前記半導体チップの映像から、前記半導体チップの品種を識別し、複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定するための閾値を、前記半導体チップの品種に合わせて変更する、
請求項5に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造装置を用いて、炭化珪素からなる前記半導体チップを形成する工程と、
前記試験システムを用いて前記半導体チップの電気特性試験を行う工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子が形成された半導体チップに電流および電圧を印加して行われる電気特性試験のための治具として、半導体素子の電極(パッド)に接触させる複数のプローブピンを備えるプローブ治具が知られている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-205966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、プローブピンとパッドとの接触状態は、電気特性試験の前に確認されるが、電気特性試験中には監視されていない。そのため、電気特性試験中に特定のプローブピンまたは特定の電流経路に異常が生じても、それを検出できないまま試験が続行され、特定のプローブピンに電流が集中して流れることによって、半導体チップ、プローブ治具、測定機器などがダメージを受けることが懸念される。
【0005】
本開示は以上のような課題を解決するためになされたものであり、プローブ治具を用いた半導体チップの電気特性試験において、半導体チップ、プローブ治具、測定機器などがダメージを受けることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置の製造装置は、半導体チップを搭載するステージと、前記半導体チップに接触させる複数のプローブピンを有するプローブ治具と、複数の前記プローブピンのそれぞれに接続された複数の電流フォース線および複数の電流センス線と、複数の前記電流センス線のそれぞれの電流値を測定する複数の電流モニタと、複数の前記電流フォース線のそれぞれに接続した導通/遮断を切り替える複数の半導体スイッチと、複数の前記半導体スイッチのそれぞれのオン/オフを制御するゲートドライバ回路と、複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定し、複数の前記電流モニタのいずれかで測定された電流値が異常な値と判定されると、異常な値の電流値が測定された前記電流フォース線の前記半導体スイッチをオフ状態にするように前記ゲートドライバ回路を制御する遮断要否判定回路と、を備える試験システムを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、異常な電流経路が分離され、特定のプローブピンに電流が集中することが防止されるため、半導体チップ、プローブ治具、測定機器などがダメージを受けることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の試験システムの構成を示す図である。
図2】プローブピンごとの電流の立ち上がり波形の例を示す図である。
図3】実施の形態2に係る半導体装置の試験システムの構成を示す図である。
図4】実施の形態4に係る半導体装置の試験システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の試験システムの構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、当該試験システムは、電気特性試験の対象である半導体チップ30を搭載するステージ1と、半導体チップ30に接触する複数のプローブピン2pを有するプローブ治具2とを備える。
【0011】
各プローブピン2pには、電流フォース線3と電流センス線4とがそれぞれ一つずつ電気的に接続されている。各プローブピン2pに接続した電流フォース線3は、それぞれ電気的に独立している。各プローブピン2pに接続した電流センス線4は、それぞれ電気的に独立している。
【0012】
各電流フォース線3には、当該電流フォース線3の導通/遮断を切り替える半導体スイッチ6が1つずつ電気的に接続されている。各電流センス線4には、当該電流センス線4を流れる電流をモニタする電流モニタ5が1つずつ電気的に接続されている。各半導体スイッチ6の制御電極は、当該半導体スイッチ6のオン/オフ(導通/遮断)を制御するゲートドライバ回路8と電気的に接続されている。
【0013】
ステージ1は、電流源7が出力する電圧および電流を半導体チップ30の下面の電極に供給する下電極として機能する。よって、半導体スイッチ6をオン状態にして、プローブ治具2のプローブピン2pをステージ1に載置された半導体チップ30の上面のパッドに接触させると、電流源7から半導体チップ30に供給された電流がプローブピン2pを通って電流フォース線3を流れる。電流センス線4には、電流フォース線3を流れる電流の一部が流れるため、電流モニタ5は、電流センス線4の電流を測定することによって、間接的に電流フォース線3の電流値(すなわちプローブピン2pの電流値)を測定することができる。
【0014】
ゲートドライバ回路8には、遮断要否判定回路9が接続されている。遮断要否判定回路9は、各電流モニタ5によって測定される各電流フォース線3の電流値が異常な値かどうかを判定し、いずれかの電流モニタ5で測定された電流値が異常な値と判定されると、電流値が異常な値と判定された電流フォース線3に接続した半導体スイッチ6をオフ状態にするようにゲートドライバ回路8を制御する。
【0015】
試験システムを構成する上記の要素のうち、ステージ1およびプローブ治具2は、ハンドラ21に配備されており、電流モニタ5、半導体スイッチ6、遮断要否判定回路9、ゲートドライバ回路8および電流源7は、テスタ22に配備されている。よって、電流フォース線3は、ハンドラ21内のプローブ治具2とテスタ22内の電流モニタ5とを接続し、電流センス線4は、ハンドラ21内のプローブ治具2とテスタ22内の半導体スイッチ6とを接続する。
【0016】
また、本実施の形態において、試験システムは、半導体装置の製造装置に組み込まれる。よって、本実施の形態における半導体装置の製造方法は、当該試験システムを備える半導体装置の製造装置を用いて、半導体素子が作り込まれた半導体チップ30を形成する工程と、当該製造装置が備える試験システムを用いて半導体チップ30の電気特性試験を行う工程と、を備えたものである。
【0017】
ここで、電気特性試験の方法を説明する。まず、ハンドラ21内部のステージ1上に半導体チップ30を載置し、プローブ治具2のプローブピン2pを半導体チップ30のパッドに接触させる。テスタ22側では、ゲートドライバ回路8が、予め設定されたテストプログラムに従って半導体スイッチ6および電流源7を制御して、試験のための電圧および電流をステージ1に印加する。それにより、ステージ1に印加された電流は半導体チップ30を流れ、各プローブピン2pを通って、各電流フォース線3に流れる。各電流フォース線3の電流値(すなわちプローブピン2pごとの電流値)は、各電流モニタ5によって測定される。
【0018】
各電流モニタ5によって測定される各電流フォース線3の電流値は、遮断要否判定回路9に入力され、遮断要否判定回路9は、電流値が異常な値となった電流フォース線3に接続した半導体スイッチ6を遮断させるようにゲートドライバ回路8を制御する。
【0019】
本実施の形態において、遮断要否判定回路9は、試験開始から一定時間経過した時刻t1に電流モニタ5で測定された電流フォース線3の電流値が、上限閾値IHを上回る場合、あるいは、下限閾値ILを下回る場合に、当該電流値が異常な値であると判断するものとする。言い換えれば、遮断要否判定回路9は、時刻t1に電流モニタ5で測定された電流フォース線3の電流値が、上限閾値IHと下限閾値ILとの間の範囲から外れた場合に、当該電流値が異常な値であると判断する。
【0020】
例えば、4つのプローブピン2pに接続した4つの電流フォース線3の電流値(電流モニタ5による測定値)の立ち上がり波形が図2に示す電流波形Ia,Ib,Ic,Idであったとする。そのうち、電流波形Iaの電流値は時刻t1において下限閾値ILを下回り、電流波形Ibの電流値は時刻t1において上限限閾値IHを上回っている。この場合、遮断要否判定回路9は、電流波形IaおよびIbに対応する2つの電流フォース線3に接続された半導体スイッチ6をオフ状態にするようにゲートドライバ回路8を制御し、当該2つの電流フォース線3の電流を遮断する。
【0021】
例えば、一部のプローブピン2pあるいは電流経路に異常が生じ、特定のプローブピン2pおよび電流フォース線3に電流が集中するアンバランスが生じると、半導体チップ30、プローブ治具2あるいは電流モニタ5がダメージを受けることが懸念される。本実施の形態に係る試験システムでは、遮断要否判定回路9が、個々の電流フォース線3の電流値の異常を検出し、異常が検出された電流フォース線3を遮断することで、特定のプローブピン2pへの電流集中を防止し、その結果、半導体チップ30、プローブ治具2あるいは電流モニタ5がダメージを受けることが防止される。
【0022】
異常な電流経路を分離するために一部のプローブピン2pおよび電流フォース線3を遮断した状態でも、プローブ治具2を使用しての電気特性試験は継続して行うことができる。そのため、補修対応を速やかに実施できない場合でも、試験システムが組み込まれた半導体装置の製造装置の稼働を止めずに量産を続けることができるので、装置処理能力向上に寄与できる。
【0023】
ただし、使用可能なプローブピン2pおよび電流フォース線3の数が大幅に減ると、プローブピン2pおよび電流フォース線3を流れる電流が過大になるおそれがある。そのため、最小限必要なプローブピン2pの数(最小使用ピン数)あるいは、プローブピン2pの最大定格電流などを定めておくことが好ましい。
【0024】
また、本実施の形態に係る試験システムのプローブ治具2にはプローブピン2pが複数設けられており、各プローブピン2pを流れる電流を電流モニタ5で測定できるため、例えば、ステージ1上に載置された半導体チップ30に複数の半導体装置が含まれている場合や、ステージ1上に複数の半導体チップ30が載置された場合に、複数の半導体装置あるいは複数の半導体チップ30に対して同時に電気特性試験を行うこともでき、それによっても生産性の向上に寄与できる。
【0025】
なお、電気特性試験の対象となる半導体チップ30に制約はないが、本実施の形態では、半導体チップ30は、パワー半導体素子(例えば、ダイオード素子、スイッチング素子等)であるものとする。半導体素子の材料は、シリコンの他、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、酸化ガリウム系材料、ダイヤモンドなど、シリコンに比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体でもよい。特に炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)とは異なり多くの結晶多型を有しているため、SiC結晶を1つの結晶多型のみで構成することは難しく、結晶成長中に他の結晶多型が混入してそれが欠陥の原因となりやすい。従って、SiC半導体素子では、電気特性試験時に特定のプローブピン2pへの電流集中がSi半導体装置よりも発生しやすく、本実施の形態は有用である。また、SiCはSiと比べて破壊電界強度が高いことから、SiC半導体素子は、高耐圧素子として使用される。そのため、SiC半導体素子の電気特性試験では、Si半導体素子の場合よりも大電流を流す必要があり、一部のプローブピン2pまたは電流経路に異常が発生しやすく、本実施の形態は有用である。
【0026】
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る半導体装置の試験システムの構成を示す図である。実施の形態2に係る試験システムの構成は、実施の形態1(図1)の構成に対し、報知器10を追加したものである。報知器10は、遮断要否判定回路9に接続されている。
【0027】
報知器10は、遮断要否判定回路9からゲートドライバ回路8へ半導体スイッチ6をオフ状態にするための信号(遮断信号)が送られたかどうかを監視し、遮断信号が送られたことを検出すると、ユーザに対してアラームを発報する。それにより、ユーザは、いずれかの電流フォース線3の電流値に異常が発生したことを認識でき、プローブピン2pや電流経路の調査や補修などのメンテナンスを速やかに行うことができる。それにより試験システムの復旧を短時間で行うことができ、試験システムの復旧のために半導体装置の製造装置の稼働を止める時間を短くできる。
【0028】
<実施の形態3>
実施の形態3では、実施の形態1または2の試験システムが備える遮断要否判定回路9に、電流フォース線3ごとに半導体スイッチ6をオン状態にするかオフ状態にするかの設定を記憶する記憶部(不図示)を設ける。記憶部においてオン状態に設定された半導体スイッチ6は、実施の形態1または2と同様に動作し、電流フォース線3の電流値の異常が検出されたときに、遮断要否判定回路9からの遮断信号によりオフ状態にされる。一方、記憶部においてオフ状態に設定された半導体スイッチ6には、電流フォース線3の電流値に関係なく、遮断要否判定回路9から遮断信号が入力され、オフ状態に維持される。
【0029】
このように、実施の形態3の試験システムでは、複数のプローブピン2pのうち、電気特性試験に使用するプローブピン2pを予め選択して設定することができる。また、記憶部に、半導体チップ30の品種ごとの複数の設定を記憶させ、電気特性試験の対象となる半導体チップ30の品種に合わせて設定を切り替え可能にすると、利便性が向上する。
【0030】
半導体チップ30の上面のパッドのパターン(例えば、温度センスパッドや電流センスパッドなどの位置や形状)は半導体チップ30の品種ごとに異なるが、使用するプローブピン2pを予め設定できることで、あらゆる品種の半導体チップ30の電気特性試験に対応できる。よって、半導体チップ30のパッドのパターンに合わせてプローブ治具2のプローブピン2pの配置を変更したり、プローブ治具2を交換したりする必要がなくなり、電気特性試験の効率化に寄与できる。また、同じプローブ治具2を使って複数の品種の半導体チップ30の試験を行うことができるため、プローブ治具2を作成するための金型費の低減や設計費の低減など、コストダウンを見込むことができる。
【0031】
<実施の形態4>
図4は、実施の形態4に係る半導体装置の試験システムの構成を示す図である。実施の形態4に係る試験システムの構成は、実施の形態1の構成(図1)に対し、各プローブピン2pに対応する位置にチップ認識カメラ11を設けたものである。チップ認識カメラ11は、プローブピン2pおよび半導体チップ30を撮影でき、特に、プローブピン2pが半導体チップ30に接触する位置を撮影する。試験システムは、チップ認識カメラ11が撮影した映像から半導体チップ30に対するプローブピン2pの位置を認識し、プローブピン2pの半導体チップ30に対するコンタクト位置を補正することができる。それにより、プローブピン2pによる正確なプロービングを実現できる。
【0032】
本実施の形態は、実施の形態2または3にも適用可能である。例えば、実施の形態2の試験システム(図3)にチップ認識カメラ11を適用し、プローブピン2pが半導体チップ30のパッドの正しいコンタクト位置から外れ、コンタクト位置を補正不可能であることがチップ認識カメラ11によって検出された場合に、報知器10がユーザにアラームを発報するようにしてもよい。
【0033】
<実施の形態5>
実施の形態5では、実施の形態1から4の試験システムが備える遮断要否判定回路9に、半導体チップ30の品種毎に設定された電流の異常検出のための閾値(上限閾値IHおよび下限閾値IL)を記憶する記憶部(不図示)を設ける。
【0034】
電流の立ち上がりの傾きは、半導体チップ30の特性によって異なるため、電気特性試験の対象となる半導体チップ30の品種が変わると閾値を変更する必要があるが、記憶部に、半導体チップ30の品種ごとの複数の閾値を記憶させ、電気特性試験の対象となる半導体チップ30の品種に合わせて閾値を変更可能にすることで、試験を効率よく行うことができる。
【0035】
また、本実施の形態を実施の形態3の試験システム(図4)に適用し、試験システムが、チップ認識カメラ11が撮影した映像から電気特性試験の対象となる半導体チップ30の品種を識別し、品種に合わせて閾値を自動的に変更してもよい。それにより、閾値の設定ミスの防止や作業時間の短縮を図ることができる。
【0036】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0037】
<付記>
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0038】
(付記1)
半導体チップを搭載するステージと、
前記半導体チップに接触させる複数のプローブピンを有するプローブ治具と、
複数の前記プローブピンのそれぞれに接続された複数の電流フォース線および複数の電流センス線と、
複数の前記電流センス線のそれぞれの電流値を測定する複数の電流モニタと、
複数の前記電流フォース線のそれぞれに接続した導通/遮断を切り替える複数の半導体スイッチと、
複数の前記半導体スイッチのそれぞれのオン/オフを制御するゲートドライバ回路と、
複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定し、複数の前記電流モニタのいずれかで測定された電流値が異常な値と判定されると、異常な値の電流値が測定された前記電流フォース線の前記半導体スイッチをオフ状態にするように前記ゲートドライバ回路を制御する遮断要否判定回路と、
を備える試験システムを有する、
半導体装置の製造装置。
【0039】
(付記2)
複数の前記電流モニタのいずれかで測定された電流値が異常な値と判定されると、アラームを発報する報知器をさらに備える、
付記1に記載の半導体装置の製造装置。
【0040】
(付記3)
前記遮断要否判定回路は、複数の前記半導体スイッチのそれぞれをオン状態にするかオフ状態にするかの設定を記憶する記憶部を備える、
付記1または付記2に記載の半導体装置の製造装置。
【0041】
(付記4)
前記記憶部は、複数の前記半導体スイッチのそれぞれをオン状態にするかオフ状態にするかの設定を、前記半導体チップの品種ごとに記憶する、
付記3に記載の半導体装置の製造装置。
【0042】
(付記5)
複数の前記プローブピンのそれぞれに対応して設けられ、複数の前記プローブピンのそれぞれが前記半導体チップに接触する位置を撮影する複数のチップ認識カメラをさらに備える、
付記1から付記4のいずれか一つに記載の半導体装置の製造装置。
【0043】
(付記6)
前記遮断要否判定回路は、複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定するための閾値を、前記半導体チップの品種ごとに記憶する記憶部を備える、
付記1から付記5のいずれか一つに記載の半導体装置の製造装置。
【0044】
(付記7)
前記遮断要否判定回路は、複数の前記チップ認識カメラが撮影した前記半導体チップの映像から、前記半導体チップの品種を識別し、複数の前記電流モニタのそれぞれで測定された電流値が異常な値かどうかを判定するための閾値を、前記半導体チップの品種に合わせて変更する、
付記5に記載の半導体装置の製造装置。
【0045】
(付記8)
付記1から付記7のいずれか一つに記載の半導体装置の製造装置を用いて、炭化珪素からなる前記半導体チップを形成する工程と、
前記試験システムを用いて前記半導体チップの電気特性試験を行う工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0046】
1 ステージ、2 プローブ治具、2p プローブピン、3 電流フォース線、4 電流センス線、5 電流モニタ、6 半導体スイッチ、7 電流源、8 ゲートドライバ回路、9 遮断要否判定回路、10 報知器、11 チップ認識カメラ、21 ハンドラ、22 テスタ、30 半導体チップ。
図1
図2
図3
図4