(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172824
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】防災設備
(51)【国際特許分類】
A62C 37/00 20060101AFI20241205BHJP
A62C 37/50 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A62C37/00
A62C37/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090819
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 多賀路
(72)【発明者】
【氏名】戸賀沢 舟
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189FB09
2E189GA07
(57)【要約】
【課題】防災設備に収容された操作端末を取り出し易くする。
【解決手段】防災に関するユーザの操作を受け付ける現地操作ユニット6を収容する第1収容部と、現地操作ユニット6に一端が接続されるケーブルを収容する第2収容部と、第1収容部と第2収容部とを分離する棚324と、を中央操作盤3の筐体32に設ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災に関するユーザの操作を受け付ける操作端末、を収容する第1収容部と、
前記操作端末に一端が接続されるケーブル、を収容する第2収容部と、
前記第1収容部と前記第2収容部とを分離する部材と、
を備える防災設備。
【請求項2】
前記操作端末に接続されるヘッドセット、を収容する第3収容部が、前記第1収容部の手前に設けられる、請求項1に記載の防災設備。
【請求項3】
前記ケーブルの他端が接続されるコネクタ、を前記第1収容部及び前記第2収容部の中央付近の手前側の天井に更に備え、
前記ケーブルを介して前記操作端末の導通試験が行われる、
請求項1に記載の防災設備。
【請求項4】
前記第1収容部及び前記第2収容部を有する筐体と、
前記筐体の内部を外部から遮蔽するための扉と、を備え、
前記扉は前記筐体に対して施錠可能であり、
前記扉には、前記第1収容部及び前記第2収容部に対応する位置に常時開閉自在な窓が設けられる、請求項1に記載の防災設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災設備、に関する。
【背景技術】
【0002】
防災設備の一例としては、火源に向けて放水する放水銃の制御を行う制御盤が挙げられる。この種の制御盤の中には、放水銃を操作するための操作部がケーブルを介して制御盤に接続される操作端末として制御盤とは別個に構成されたものがある。特許文献1に開示の制御盤は、操作端末を収容可能な収容凹部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、操作端末とケーブルとが共に収容されるため、操作端末を取り出す際にケーブルが操作端末に絡まる等、操作端末の迅速な取り出しに支障が生じる場合がある。
【0005】
本開示は、防災設備に収容された操作端末を取り出し易くする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示の第1の態様に係る防災設備は、防災に関するユーザの操作を受け付ける操作端末、を収容する第1収容部と、前記操作端末に一端が接続されるケーブル、を収容する第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部とを分離する部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、防災設備に収容された操作端末が取り出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の防災設備の一実施形態による中央操作盤3を含む消火システム1の構成例を示す図である。
【
図2】現地操作ユニット6の本体部の外観の一例を示す図である。
【
図3】中央操作盤3の正面の一例を示す正面図である。
【
図4】中央操作盤3の扉31を開けた拡大図である。
【
図5】
図4におけるX1X2線に沿った平面による中央操作盤3の断面を示す断面図である。
【
図6】変形例(3)を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<A.実施形態>
以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0010】
<消火システムの構成>
図1は、本開示の防災設備の一実施形態による中央操作盤3を含む消火システム1の構成例を示す図である。消火システム1は、例えばビル、店舗又は公共施設等の監視領域に設置される。消火システム1は、監視領域において火災が発生した場合に、火源に向けて放水を行うことにより、消火を行うシステムである。
【0011】
図1に示されるように、消火システム1は、中央操作盤3の他に、自動火災報知設備2、複数のノズルユニット4、及び現地制御盤5を含む。自動火災報知設備2には、回線D1を介して中央操作盤3が接続される。中央操作盤3は、監視領域における防災管理室に設置される。中央操作盤3には、回線D2を介して、複数のノズルユニット4が接続される。また、複数のノズルユニット4は、回線D3を介して現地制御盤5に接続される。
図1では、現地制御盤5が1つだけ図示されているが、実際には複数の現地制御盤5が回線D3を介してノズルユニット4に接続されている。複数の現地制御盤5の各々は、例えば監視領域が複数階の建物である場合、各階に一つずつ設置される。
【0012】
消火システム1に含まれる各装置の役割は既存の消火システムにおけるものと特段に変わるところはない。即ち、自動火災報知設備2は、火災の発生を検知して警報を行う。中央操作盤3は、火源の位置に対して放水を行うノズルユニット4を選択する。ノズルユニット4は、火源の位置を特定する。ノズルユニット4は、現地制御盤5による制御の下、火源に向けて放水を行う。現地制御盤5は、ノズルユニット4による放水を制御する。現地操作ユニット6は、現地制御盤5に対する操作(放水方向の操作、放水開始、及び放水停止等)に用いられる。現地操作ユニット6は、本開示における操作端末の一例である。
【0013】
通常、現地操作ユニット6は、中央操作盤3に収容されている。消火システム1による消火を行う際には、ユーザは、複数の現地制御盤5のうちの何れか1つの現地制御盤5(例えば、火源に最寄りの現地制御盤5)に1つの現地操作ユニット6を接続して当該現地制御盤5に対する操作を行う。複数の現地制御盤5の何れか一つに現地操作ユニット6が収容されていると、火災の発生の際にどの現地制御盤5に現地操作ユニット6が収容されているのかが判りにくく、初期消火に支障が生じる場合がある。このため、本実施形態では、1台しかない中央操作盤3に現地操作ユニット6が収容されている。
【0014】
図1に示される消火システム1では、ユーザは、火災の発生時、中央操作盤3から現地操作ユニット6を取り出し、例えば火源に最寄りの現地制御盤5にケーブルを介して現地操作ユニット6を接続する。このケーブルの長さは例えば4メートルである。ユーザは、現地制御盤5からケーブルを延ばして火源に放水するノズルユニット4に近づき、ノズルユニット4による放水の様子を目視確認しながら、放水を制御する操作を現地操作ユニット6に対して行うことができる。
【0015】
<現地操作ユニット>
現地操作ユニット6は、本体部と、本体部の付属品とにより構成される。
図2は、現地操作ユニット6の本体部の外観の一例を示す図である。現地操作ユニット6の本体部には、例えば抵抗膜方式のタッチスクリーン62と、ジャック64と、端子65とが設けられる。ジャック64には、付属品の一つであるヘッドセット8の端子が挿入される。本実施形態におけるヘッドセット8は、マイクが付いた片耳タイプのヘッドセットである。端子65には、前述のケーブルの一端が接続される。
図2では詳細な図示を省略したが、現地操作ユニット6は、タッチスクリーン62が押されると、“ピッ”というタッチ音を出力するスピーカを含む。ヘッドセット8及びケーブルの他の付属品の具体例としては、ユーザが現地操作ユニット6の本体部を肩にかけるためのショルダーストラップ7が挙げられる。
【0016】
<中央操作盤>
図3は、中央操作盤3の正面の一例を示す正面図である。
図3に示されるように、中央操作盤3は、鉛直方向に長尺の直方体状の筐体32と、筐体32の正面に開閉自在に設けられる扉31とを有する。扉31は、閉状態において筐体32内部を外部から遮蔽する。扉31は、通常、施錠されている。中央操作盤3は防災責任者等の管理者が操作する装置であり、管理者が操作するものについては鍵による施錠が求められるからである。扉31には、透明なアクリル板により形成された窓311が設けられる。詳細については後述するが、窓311の背後には、現地操作ユニット6を収容する収容部321が設けられる。すなわち、窓311は、現地操作ユニット6を収容する収容部321に対応する位置に設けられる。
図3では、収容部321の図示は省略されている。
【0017】
本実施形態では、窓311は施錠されておらず、常時開閉自在である。このため、本実施形態では、管理者であるか否かを問わずにユーザは、何時でも窓311を手前に引くことにより、窓311を開け、現地操作ユニット6を取り出すことができる。火災発生時には、管理者であるか否かを問わずに迅速に現地操作ユニット6を取り出し、初期消火を行う必要があるからである。
【0018】
図4は、扉31を開けた状態の中央操作盤3、換言すれば筐体32の拡大図である。筐体32には、現地操作ユニット6を収容する収容部321が設けられる。収容部321の内部の空間は、収容部321の中央に設けられた仕切り板323により2つの空間に仕切られている。収容部321において仕切り板323により区切られた一方の空間には、現地操作ユニット6の運用機が収容される。収容部321において仕切り板323により区切られた他方の空間には、現地操作ユニット6の予備機が収容される。
【0019】
収容部321において仕切り板323により区切られた2つの空間の各々には、L字型の棚324が下方に空間が空くように設けられる。棚324の下に形成された空間には、現地操作ユニット6の付属品等が収容され、棚324の向かって左側には現地操作ユニット6が置かれる。棚324の向かって左側の空間は、本開示における第1収容部の一例である。
【0020】
棚324の高さは、現地操作ユニット6があまり上下に動かないように、現地操作ユニット6の高さよりも若干高い。棚324の向かって右側には、一端が現地操作ユニット6に接続されたケーブルが収容される。棚324の向かって右側の空間は本開示における第2収容部の一例である。棚324は、第1収容部と第2収容部とを分離する部材の一例である。現地操作ユニット6とケーブルとを分離して収容することにより、ケーブルが現地操作ユニット6に絡まることがなく、現地操作ユニット6の取り出しに支障が生じることはない。また、現地操作ユニット6とケーブルとを分離して収容することにより、ケーブルがタッチスクリーン62に接触してタッチ音が出力される等の誤動作の発生を防止することができる。
【0021】
収容部321において仕切り板323により区切られた2つの空間における手前側の上方(天井)には、ケーブルの他端が接続されるコネクタ325が設けられる。コネクタ325は、収容部321において仕切り板323により区切られた2つの空間の各々において、幅方向の中央付近(より正確には、幅方向の真ん中より少し向かって右側)に設けられる。現地操作ユニット6の出し入れに支障が生じないようにするためである。現地操作ユニット6を出し入れするために、コネクタ325と当該コネクタ325が設けられた空間を区画する壁面のうちの左側の壁面との間には、現地操作ユニット6を保持する人の手が入るだけのスペースを確保する必要がある。そこで、コネクタ325と当該コネクタ325が設けられた空間を区画する壁面のうちの左側の壁面との間の距離L1は、現地操作ユニット6を保持する人の手が入る程度の長さを有する。コネクタ325からケーブルを抜く場合には、ユーザがコネクタ325に接続されたケーブルの他端を持って時計回りに45度程度回し、下向きに約20ニュートンの力でひっぱる。
【0022】
現地操作ユニット6のケーブルがコネクタ325に接続されている間、中央操作盤3は、定期的に現地操作ユニット6のライフチェックを行う。ライフチェックとは、通電確認のための導通試験である。中央操作盤3は、ケーブルを介して現地操作ユニット6に対して問い合わせを行い、応答がなければ異常(脱落)と判定し、警報を出力する。
【0023】
図5は、
図4におけるX1X2線に沿った平面による中央操作盤3の断面を示す断面図である。なお、
図5では、ケーブルの図示は省略されている。
図5に示されるように、棚324の奥行き方向の長さL2は、収容部321の奥行き方向の長さL3よりも短い。このため、収容部321において仕切り板323により区切られた2つの空間の各々における棚324の手前部分には、ヘッドセット8とショルダーストラップ7とが収容される。棚324の手前部分に形成された空間は、本開示における第3収容部の一例である。現地操作ユニット6と、ヘッドセット8及びショルダーストラップ7と、を分離して収容することにより、現地操作ユニット6を取り出すときに、これらの付属品が本体に絡まず取り出すことができる。また、現地操作ユニット6をヘッドセット8及びショルダーストラップ7と一緒に収容すると、ヘッドセット8又はショルダーストラップ7がタッチスクリーン62に接触して誤動作が発生し得るが、これらを分離して収容することにより、誤動作の発生を回避できる。また、ヘッドセット8とショルダーストラップ7とは、現地操作ユニット6の手前に収容されるため、取り出し易い。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、中央操作盤3に収容された現地操作ユニット6を取り出し易くすることが可能になる。
【0025】
<B:変形例>
上述した実施形態は以下のように変形されてもよい。
(1)棚324の形状はL字型に限定されず、逆T字型、I字型、又はU字型であってもよい。但し、棚324の形状はT字型よりもL字型、I字型、又はU字型にした方が、棚324を金属で作成する際に溶接等が不要になるため、製造コストが低減される。また、棚324の形状をI字型にすると、手前に置いたヘッドセット8及びショルダーストラップ7がタッチスクリーン62に干渉する可能性があり、上記実施形態に比較して現地操作ユニット6の誤動作が懸念されるが、棚324の形状をL字型、逆T字型、又はU字型にして下方に空間が空くように設けることにより、この誤動作を防ぐことができる。
【0026】
(2)現地操作ユニット6は、縦置きには限定されない。例えば、棚324を90度回転させて設け、現地操作ユニット6が横置きにされてもよい。但し、現地操作ユニット6を横置きにすると、コネクタ325も横側の壁面に設けることとなり、ケーブルを横方向に引き抜かなければならないため、上記実施形態のようにコネクタ325を縦側の壁面に設けた方が、ケーブルを引き抜き易くなる。
【0027】
(3)棚324に代えて、例えば針金等で形成されたフック326が収容部321に設けられ、フック326に現地操作ユニット6が保持されてもよい。
図6(A)は、2つのフック326が高さ方向に並べて設けられた収容部321を正面から見た正面図の一例であり、
図6(B)は当該収容部321を右側から見た透視図の一例である。また、
図6(C)に示されるように、2つのフック326が奥行方向に並べて設けられ、フック326は、現地操作ユニット6を保持している状態では現地操作ユニット6の重さで下がり、現地操作ユニット6を保持していない状態では、上方向に上がるように板バネ等で付勢されてもよい。
図6(C)に示す態様によれば、後方の現地操作ユニット6が取り出し易くなる。
【0028】
(4)現地操作ユニット6を収容する収容部321は、中央操作盤3以外の装置に設けられてもよい。現地操作ユニット6を収容する収容部は、例えば現地制御盤5に設けられてもよく、また、現地制御盤5にコネクタボックスが接続される場合には、当該コネクタボックスに、現地操作ユニット6を収容する収容部が設けられてもよい。
【0029】
(5)本開示における操作端末は、現地操作ユニット6には限定されず、装置の操作に用いられる可搬型のユニットであればよい。例えば、本開示における操作端末は、受信機の操作に用いられる端末でもよく、この場合、操作端末は受信機に収容されてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…消火システム、2…自動火災報知設備、3…中央操作盤、4…ノズルユニット、31…扉、311…窓、32…筐体、321…収容部、323…仕切り板、324…棚、325…コネクタ。