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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172865
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】段ボール製椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 5/00 20060101AFI20241205BHJP
   A47C 4/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A47C5/00 A
A47C4/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090875
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】505362942
【氏名又は名称】東海紙器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚貴
(57)【要約】
【課題】耐荷重性が大きく強度に優れ、手軽に取り扱うことができ、製造コストも抑制される組立式の段ボール製椅子を提供する。
【解決手段】正面板1、対向する側面板2,3及び背面板4が連なって形成された胴枠6の高さ方向に段目を向け、胴枠6の対向する側面板2,3を中折線7に沿って谷折りし、側面板2,3から座受板12をそれぞれ内側へ折り曲げ、座受板12から差込片13を下方へ折り曲げて、その差入切溝14を側面板2,3の受入切溝11に差し込み、座受板12を互い違いに側面板2,3の上端に載せて支持し、正面板1及び背面板4から座面板8をそれぞれ内側へ折り曲げ、座面板8から差込片9を下方へ折り曲げて、その差入切溝10を受入切溝11に差し込み、座面板8をそれぞれ座受板12の上面に被せ、互いの段目が交差するように載せて支持するものとする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板(1)、対向する側面板(2,3)及び背面板(4)が連なって形成された胴枠(6)の高さ方向に段目が向けられ、前記対向する側面板(2,3)の幅方向中央部に、それぞれ高さ方向に延びる中折線(7)が入れられ、
前記正面板(1)及び前記背面板(4)の上端にそれぞれ座面板(8)及び差込片(9)が順次連設され、前記差込片(9)の先端に差入切溝(10)が、前記側面板(2,3)の上端中央部に受入切溝(11)がそれぞれ形成された段ボール製椅子において、
前記対向する側面板(2,3)のうち、一方の側面板(2)の上端には、前記受入切溝(11)より前記正面板(1)側に座受板(12)が連設され、他方の側面板(3)の上端には、前記受入切溝(11)より前記背面板(4)側に座受板(12)が連設され、
前記それぞれの座受板(12)には、前記側面板(2,3)の上端の中央部側から延びる内側縁に差込片(13)が連設され、前記差込片(13)の先端に差入切溝(14)が形成され、
組み立てに際しては、前記胴枠(6)を角筒状に立体化して、前記胴枠(6)の対向する側面板(2,3)を前記中折線(7)に沿って谷折りし、
前記対向する側面板(2,3)から前記座受板(12)をそれぞれ内側へ折り曲げるとともに、前記座受板(12)から前記差込片(13)を下方へ折り曲げて、その差入切溝(14)を前記受入切溝(11)に差し込み、前記一方の側面板(2)から延びる座受板(12)を前記他方の側面板(3)の上端に、前記他方の側面板(3)から延びる座受板(12)を前記一方の側面板(2)の上端にそれぞれ載せて支持し、
前記正面板(1)及び前記背面板(4)から前記座面板(8)をそれぞれ内側へ折り曲げ、前記座面板(8)から前記差込片(9)を下方へ折り曲げて、その差入切溝(10)を前記受入切溝(11)に差し込み、前記座面板(8)をそれぞれ前記座受板(12)の上面に被せるように載せて支持することを特徴とする段ボール製椅子。
【請求項2】
前記対向する側面板(2,3)の受入切溝(11)には、それぞれ前記座面板(8)に連設された2枚の差込片(9)と、前記座受板(12)に連設された1枚の差込片(13)とが重なり合って、これらの差込片(9,13)に形成された差入切溝(10,14)が差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の段ボール製椅子。
【請求項3】
前記対向する側面板(2,3)の受入切溝(11)は、それぞれ深溝部(11a)と浅溝部(11b)とから形成され、
前記正面板(1)及び前記背面板(4)からそれぞれ延びる座面板(8)に連設された差込片(9)の差入切溝(10)は深く、前記対向する側面板(2,3)からそれぞれ延びる座受板(12)に連設された差込片(13)の差入切溝(14)は浅くなっており、
前記座受板(12)に連設された差込片(13)の差入切溝(14)を前記受入切溝(11)の深溝部(11a)に差し込み、前記座面板(8)に連設された差込片(9)の差入切溝(10)を前記受入切溝(11)の浅溝部(11b)に差し込むと、前記正面板(1)及び前記背面板(4)からそれぞれ延びる前記座面板(8)の高さが揃うことを特徴とする請求項2に記載の段ボール製椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、扁平な折畳状態から組み立てて使用する段ボール製椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の段ボール製椅子として、下記特許文献1には、図7に示すものが記載されている。この段ボール製椅子は、正面板51、対向する側面板52,53及び背面板54が継代55を介し連なって胴枠56が形成され、正面板51及び背面板54の上端からそれぞれ座面板57及び差込片58が順次連なり、側面板52,53に中折線59が入れられ、差込片58の先端に2本の差入切溝60が形成されるとともに、側面板52,53の上端中央部に受入切溝61が形成されたものである。
【0003】
この椅子の組み立てに際しては、角筒状とした胴枠56の対向する側面板52,53を中折線59に沿って表面側が窪むように谷折りし、対向する側面板52,53から座面板57をそれぞれ内側へ折り曲げ、座面板57から差込片58を下方へ折り曲げて、差入切溝60を受入切溝61に差し込み、座面板57を胴枠56に載せて支持する。
【0004】
なお、正面板51と背面板54とは、いずれを着座者の向く前方向に向けるようにしてもよいが、外見を考慮して、便宜上、組立状態で継代55による胴枠56の接合部が稜線に位置しない面の構成部分を正面板51と称している。
【0005】
ところで、段ボールは、中しんの段頂が延びる方向である段目方向の強度が大きく、これに交差する方向の強度が小さくなる性質を有する。このため、上記のような段ボール製椅子では、段ボールの段目方向を着座者の体重が作用する胴枠56の高さ方向に向けることより、胴枠56の座屈を防止することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60-167557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記段ボール製椅子では、着座者の体重が作用すると、座面板57や胴枠56の側面の中折線59に沿った谷折部分が撓んで変形しやすいため、段ボールとして厚手で曲げ強度が大きいものを使用せざるを得ず、これにより、重くなって持ち運びが煩わしく感じられたり、製造コストが高くなったりするという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、耐荷重性が大きく強度に優れ、手軽に取り扱うことができ、製造コストも抑制される組立式の段ボール製椅子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、正面板、対向する側面板及び背面板が連なって形成された胴枠の高さ方向に段目が向けられ、前記対向する側面板の幅方向中央部に、それぞれ高さ方向に延びる中折線が入れられ、
前記正面板及び前記背面板の上端にそれぞれ座面板及び差込片が順次連設され、前記差込片の先端に差入切溝が、前記側面板の上端中央部に受入切溝がそれぞれ形成された段ボール製椅子において、
前記対向する側面板のうち、一方の側面板の上端には、前記受入切溝より前記正面板側に座受板が連設され、他方の側面板の上端には、前記受入切溝より前記背面板側に座受板が連設され、
前記それぞれの座受板には、前記側面板の上端の中央部側から延びる内側縁に差込片が連設され、前記差込片の先端に差入切溝が形成され、
組み立てに際しては、前記胴枠を角筒状に立体化して、前記胴枠の対向する側面板を前記中折線に沿って谷折りし、
前記対向する側面板から前記座受板をそれぞれ内側へ折り曲げるとともに、前記座受板から前記差込片を下方へ折り曲げて、その差入切溝を前記受入切溝に差し込み、前記一方の側面板から延びる座受板を前記他方の側面板の上端に、前記他方の側面板から延びる座受板を前記一方の側面板の上端にそれぞれ載せて支持し、
前記正面板及び前記背面板から前記座面板をそれぞれ内側へ折り曲げ、前記座面板から前記差込片を下方へ折り曲げて、その差入切溝を前記受入切溝に差し込み、前記座面板をそれぞれ前記座受板の上面に被せるように載せて支持するものとしたのである。
【0010】
そして、前記対向する側面板の受入切溝には、それぞれ前記座面板に連設された2枚の差込片と、前記座受板に連設された1枚の差込片とが重なり合って、これらの差込片に形成された差入切溝が差し込まれるものとしたのである。
【0011】
また、前記対向する側面板の受入切溝は、それぞれ深溝部と浅溝部とから形成され、
前記正面板及び前記背面板からそれぞれ延びる座面板に連設された差込片の差入切溝は深く、前記対向する側面板からそれぞれ延びる座受板に連設された差込片の差入切溝は浅くなっており、
前記座受板に連設された差込片の差入切溝を前記受入切溝の深溝部に差し込み、前記座面板に連設された差込片の差入切溝を前記受入切溝の浅溝部に差し込むと、前記正面板及び前記背面板からそれぞれ延びる前記座面板の高さが揃うものとしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る段ボール製椅子は、一方の側面板と他方の側面板との間で橋渡しされるように延びる座受板と、正面板及び背面板からそれぞれ側面板の谷折部分へ延びる座面板とが重なり、これらの段目が交差した状態で、着座者の体重を受け止める座面が形成されるので、強固で変形しにくい構造となる。
【0013】
これにより、材料の段ボールとして、特に厚く曲げ強度が大きいものを使用する必要がなくなるので、軽量で扱いやすいものとなり、製造コストも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施形態に係る段ボール製椅子のブランクを示す図
図2】同上の折畳状態を示す図
図3】同上の組立過程を上方から見た平面図
図4】同上の組立過程を示す斜視図
図5】同上の組立過程を示す斜視図
図6】同上の組立状態を示す斜視図
図7】特許文献1に記載の段ボール製椅子の組立過程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<概要>
以下、この発明の実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
この段ボール製椅子は、図1に示すようなブランクから成り、図2に示す折畳状態から図3乃至図5に示す組立過程を経て、図6に示す背凭れのない箱状の腰掛け形態として使用されるものである。
【0016】
これらの図面において、段ボールの中しんの段頂が延びる方向である段目方向は、表面を切り欠いた部分内の多数条の平行する直線で表わしている。
【0017】
なお、上述の先行技術文献記載のものと同様、正面板1と背面板4とは、いずれを着座者の向く前方向に向けるようにしてもよいが、便宜上、組立状態で継代5による胴枠6の接合部が稜線に位置しない面の構成部分を正面板1と称している。
【0018】
<ブランク>
図1に示すブランクでは、正面板1の一側に側面板2が、他側に側面板3がそれぞれ連設され、側面板2に背面板4が、側面板3に継代5それぞれ連設されて、これらが胴枠6となる部分を形成している。段ボールの段目は、胴枠6の高さ方向に向けられている。
【0019】
側面板2,3の幅方向中央部には、それぞれ高さ方向に延びる中折線7が入れられている。中折線7は、押罫と切目とが交互に断続するリード罫とされている。
【0020】
正面板1及び背面板4の上端には、それぞれ座面板8及び差込片9が順次連設され、差込片9の先端には、深い差入切溝10が形成されている。
【0021】
側面板2,3の上端中央部には、それぞれ中折線7の上方に受入切溝11が形成され、受入切溝11は、中折線7の位置を段差とする深溝部11aと浅溝部11bとから成るものとされている。一方の側面板2の深溝部11aは、中折線7に対して背面板4側に位置し、他方の側面板3の深溝部11aは、中折線7に対して正面板1側に位置している。
【0022】
側面板2,3のうち、一方の側面板2の上端には、受入切溝11より正面板1側に座受板12が連設され、他方の側面板3の上端には、受入切溝11より背面板4に接合される継代5側に座受板12が連設されている。
【0023】
座受板12は、側面板2,3の上端の中央部側から延びる内側縁及びその反対側の外側縁が段目に対して、側面板2,3の上端の開放部分側へ傾斜し、座受板12の先端縁は、外側縁及び内側縁に対し直角をなすように切断されている。座面板8から延びる差込片9の先端縁と座受板12の先端の角部とは、ほぼ横一線に揃うように設定されている。
【0024】
そして、これらの座受板12の内側縁には、側面板2,3の上端から少し離れた部分にそれぞれ差込片13が連設され、差込片13の先端には、差込片9の差入切溝10よりも浅い差入切溝14が形成されている。
【0025】
<折畳状態>
上記のようなブランクは、図2に示す折畳状態とする製造工程において、正面板1と側面板3との境界及び側面板2と背面板4の境界に沿って折り重ねられ、継代5が背面板4の側端に臨む部分の内面に貼り着けられる。そして、このように嵩張らない扁平な折畳状態にして、段ボール製椅子は保管され、使用する場所に運搬される。
【0026】
<組立過程>
この折畳状態から段ボール製椅子を組み立てて使用するには、図3に示すように、正面板1,対向する側面板2,3及び背面板4から成る胴枠6を角筒状に立体化し、胴枠6の対向する側面板2,3を中折線7に沿って外面側が窪むように谷折りする。
【0027】
次に、図4に示すように、対向する側面板2,3から座受板12をそれぞれ内側へ折り曲げ、座受板12から差込片13を下方となる方向へ折り曲げる。
【0028】
続いて、図5に示すように、対向する側面板2,3から延びる座受板12に連設された差込片13の差入切溝14を、それぞれ受入切溝11の深溝部11aに差し込み、一方の側面板2から延びる座受板12を他方の側面板3の上端に、他方の側面板3から延びる座受板12を一方の側面板2の上端にそれぞれ載せて支持する。
【0029】
その後、図6に示すように、正面板1及び背面板4から座面板8をそれぞれ内側へ折り曲げ、座面板8から差込片9を下方へ折り曲げて、差込片9の差入切溝10を受入切溝11の浅溝部11bに差し込み、座面板8をそれぞれ座受板12の上面に被せるように載せて支持すると、組み立てが完了する。
【0030】
この組み立てに際しては、座受板12に連設された差込片13の差入切溝14を受入切溝11の深溝部11aに差し込むことにより、差込片13の揺動が阻止された状態となるので、座面板8に連設された差込片9の差入切溝10を受入切溝11の浅溝部11bに容易に差し込むことができる。
【0031】
<組立状態>
上記のように組み立てた状態では、一方の側面板2から延びる座受板12の外側縁が正面板1の上端に沿い、他方の側面板3から延びる座受板12の外側縁が背面板4の上端に沿うことにより、胴枠6が保形される。
【0032】
また、対向する側面板2,3の受入切溝11には、それぞれ2枚の差込片9と、1枚の差込片13とが重なり合って、これらの差入切溝10,14が差し込まれる。
【0033】
そして、正面板1及び背面板4からそれぞれ延びる座面板8の高さが揃い、座面全体が平坦面をなす形態となる。
【0034】
<効果>
上記のような段ボール製椅子は、一方の側面板2と他方の側面板3との間で橋渡しされるように延びる座受板12と、正面板1及び背面板4からそれぞれ側面板2,3の谷折部分へ延びる座面板8とが重なり、これらの段目が交差した状態で、着座者の体重を受け止める座面が形成されるので、強固で変形しにくい構造となる。
【0035】
これにより、材料の段ボールとして、特に厚く曲げ強度が大きいものを使用する必要がなくなるので、軽量で扱いやすいものとすることができ、製造コストも抑制できることから、安価に提供することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 正面板
2,3 側面板
4 背面板
5 継代
6 胴枠
7 中折線
8 座面板
9 差込片
10 差入切溝
11 受入切溝
11a 深溝部
11b 浅溝部
12 座受板
13 差込片
14 差入切溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7