(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172868
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/14 605
B41J2/14 501
B41J2/14 607
B41J2/14 613
B41J2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090882
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】來山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】村岡 千秋
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 知明
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF34
2C057AG11
2C057AG29
2C057AG31
2C057AG81
(57)【要約】
【課題】複数の記録素子基板を備え、大サイズ化を抑制可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、複数の吐出口104が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、第1圧力室101aと、を有する第1素子基板100aと、複数の吐出口104が第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、第2圧力室101cと、を有する第2素子基板100bと、液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、を備え、第2吐出口列は、少なくとも一部が第1吐出口列に対して第1方向と直交する第2方向に隣接し、複数の貯留室は、第1圧力室101a及び第2圧力室101bと連通する第1貯留室301aと、第1圧力室101aと連通する第2貯留室301bと、第2圧力室101bと連通する第3貯留室301cと、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数の吐出口が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、前記第1吐出口列の吐出口に対応して設けられる第1圧力室と、を有する第1素子基板と、
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、前記第2吐出口列の吐出口に対応して設けられる第2圧力室と、を有する第2素子基板と、
液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、
を備え、
前記第2吐出口列は、少なくとも一部が前記第1吐出口列に対して前記第1方向と直交する第2方向に隣接し、
前記複数の貯留室は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室と連通する第1貯留室と、前記第1圧力室と連通する第2貯留室と、前記第2圧力室と連通する第3貯留室と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1貯留室から前記第1圧力室に供給した液体の一部を前記第2貯留室で回収し、
前記第1貯留室から前記第2圧力室に供給した液体の一部を前記第3貯留室で回収することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第2吐出口列は、前記第1吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置されることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第1素子基板は、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、を有し、
前記第2素子基板は、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第4吐出口列と、前記第4吐出口列の吐出口に対応して設けられる第4圧力室と、を有し、
前記第2貯留室は、前記第3圧力室と連通し、
前記第3貯留室は、前記第4圧力室と連通し、
前記複数の貯留室は、前記第3圧力室と連通する第4貯留室と、前記第4圧力室と連通する第5貯留室と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第4貯留室から前記第3圧力室に供給した液体の一部を前記第2貯留室で回収し、
前記第5貯留室から前記第4圧力室に供給した液体の一部を前記第3貯留室で回収することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第1貯留室の前記第1方向の幅は、前記第2貯留室、前記第3貯留室、前記第4貯留室及び前記第5貯留室の前記第1方向の幅より大きいことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1貯留室、前記第4貯留室及び前記第5貯留室の容積の和は、前記第2貯留室及び前記第3貯留室の容積の和より大きいことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第2貯留室から前記第1圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収し、
前記第3貯留室から前記第2圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第2吐出口列は、前記第1吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置されること
を特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記第1貯留室の前記第1方向の幅は、前記第2貯留室及び前記第3貯留室の前記第1方向の幅より大きいことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記第2貯留室及び前記第3貯留室の容積の和は、前記第1貯留室の容積より大きいことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記第2吐出口列は、前記第1方向において前記第1吐出口列と同一の位置に配置されることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、を有する第3素子基板を備え、
前記第1貯留室は、前記第3圧力室と連通し、
前記第2吐出口列は、前記第1吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置され、
前記第3吐出口列は、前記第2方向において前記第1吐出口列と同一の位置に配置され、且つ一部が前記第2吐出口列に対して前記第2方向に隣接するように前記第2吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置され、
前記複数の貯留室は、前記第3圧力室と連通する第4貯留室を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記第2貯留室から前記第1圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収し、
前記第3貯留室から前記第2圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収し、
前記第4貯留室から前記第3圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収することを特徴とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記第2貯留室、前記第3貯留室及び前記第4貯留室の容積の和は、前記第1貯留室の容積より大きいことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項16】
液体を吐出する複数の吐出口が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、前記第1吐出口列の吐出口に対応して設けられる第1圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、前記第2吐出口列の吐出口に対応して設けられる第2圧力室と、を有する第1素子基板と、
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第4吐出口列と、前記第4吐出口列の吐出口に対応して設けられる第4圧力室と、を有する第2素子基板と、
液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、
を備え、
前記第3吐出口列は、少なくとも一部が前記第2吐出口列に対して前記第1方向と直交する第2方向に隣接し、
前記複数の貯留室は、前記第1圧力室及び前記第3圧力室と連通する第1貯留室と、前記第2圧力室と連通する第2貯留室と、前記第4圧力室と連通する第3貯留室と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項17】
前記第3吐出口列及び前記第4吐出口列は、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置されることを特徴とする請求項16に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項18】
前記第1貯留室の前記第1方向の幅は、前記第2貯留室及び前記第3貯留室の前記第1方向の幅より大きいことを特徴とする請求項17に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項19】
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第5吐出口列と、前記第5吐出口列の吐出口に対応して設けられる第5圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第6吐出口列と、前記第6吐出口列の吐出口に対応して設けられる第6圧力室と、を有する第3素子基板を備え、
前記第2貯留室は、前記第5圧力室と連通し、
前記複数の貯留室は、前記第6圧力室と連通する第4貯留室を含むことを特徴とする請求項16に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項20】
前記第2吐出口列、前記第3吐出口列、前記第4吐出口列、前記第5吐出口列及び前記第6吐出口列は、前記第1方向において前記第1吐出口列と同一の位置に配置されることを特徴とする請求項19に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項21】
内部に接続流路が形成され、一端部に前記第1素子基板及び前記第2素子基板が接続され、他端部に前記流路形成部材が接続される接続部材を備えることを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項22】
前記接続流路の前記一端部は、前記第1素子基板及び前記第2素子基板に近づくにつれて前記第1方向の幅が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項21に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項23】
前記流路形成部材は、樹脂材料と、前記複数の貯留室の内壁の一部を構成する金属材料とにより構成されていることを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項24】
前記流路形成部材は、樹脂材料と、前記複数の貯留室の内壁の一部を構成する金属材料とにより構成されていることを特徴とする請求項21に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙等の記録媒体に対して画像記録を行う液体吐出ヘッドとして、内部に流路が形成された記録素子基板からインク等の液体を記録媒体に向けて吐出する構成が知られている。このようなインクジェット方式の液体吐出ヘッドを備える記録装置においては、液滴が記録素子基板の吐出口から吐出されて記録媒体の所望の位置に着弾することによって、記録媒体上に画像が記録される。
【0003】
特許文献1には、記録素子基板を備える吐出ユニットを記録媒体の搬送方向や幅方向に複数配置して、吐出口列を多列化し、吐出口列を見かけ上、長尺化している構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の構成においては、各吐出ユニットごとに記録素子基板が設けられており、各記録素子基板へ液体を供給するための流路が各吐出ユニットの内部に形成されている。このような構成においては、記録素子基板の数が増えるほど流路を多く形成する必要があるため、液体吐出ヘッドが大サイズ化しやすい。
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、複数の記録素子基板を備え、大サイズ化を抑制可能な液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する複数の吐出口が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、前記第1吐出口列の吐出口に対応して設けられる第1圧力室と、を有する第1素子基板と、
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、前記第2吐出口列の吐出口に対応して設けられる第2圧力室と、を有する第2素子基板と、
液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、
を備え、
前記第2吐出口列は、少なくとも一部が前記第1吐出口列に対して前記第1方向と直交する第2方向に隣接し、
前記複数の貯留室は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室と連通する第1貯留室と、前記第1圧力室と連通する第2貯留室と、前記第2圧力室と連通する第3貯留室と、を含むことを特徴とする。
また、上述の目的を達成するため、本発明の液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する複数の吐出口が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、前記第1吐出口列の吐出口に対応して設けられる第1圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、前記第2吐出口列の吐出口に対応して設けられる第2圧力室と、を有する第1素子基板と、
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第4吐出口列と、前記第4吐出口列の吐出口に対応して設けられる第4圧力室と、を有する第2素子基板と、
液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、
を備え、
前記第3吐出口列は、少なくとも一部が前記第2吐出口列に対して前記第1方向と直交する第2方向に隣接し、
前記複数の貯留室は、前記第1圧力室及び前記第3圧力室と連通する第1貯留室と、前記第2圧力室と連通する第2貯留室と、前記第4圧力室と連通する第3貯留室と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の記録素子基板を備え、大サイズ化を抑制可能な液体吐出ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る液体吐出ユニットの分解斜視図である。
【
図3】圧力損失の低減効果と流路内の気泡の除去性アップ効果の説明図である。
【
図4】第1実施形態に係る記録素子基板の断面模式図である。
【
図5】第1実施例に係る液体吐出ユニットの流路構成の説明図である。
【
図6】第2実施例に係る液体吐出ユニットの流路構成の説明図である。
【
図7】第3実施例に係る液体吐出ユニットの流路構成の説明図である。
【
図8】第4実施例に係る液体吐出ユニットの流路構成の説明図である。
【
図9】第5実施例に係る液体吐出ユニットの流路構成の説明図である。
【
図10】第6実施例に係る液体吐出ユニットの流路構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
<第1実施形態>
(液体吐出ヘッドの構成)
まず、本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッド10について説明する。液体吐出ヘッド10は、液体としてインクを吐出して記録媒体上に画像を記録するインクジェット方式の記録ヘッドであり、インクジェットプリンタ等の記録装置に設けられる。
【0012】
図1は、本発明における液体吐出ヘッド10の構成例の分解斜視図である。液体吐出ヘッド10は、記録素子基板100と、接続部材200と、流路部材300と、電気回路基板400と、サブタンクユニット500とを備える。以下、液体吐出ヘッド10が記録装置に搭載されたときの液体吐出ヘッド10の走査方向をX方向、液体吐出ヘッド10に対向する記録媒体の搬送方向をY方向、液体吐出ヘッド10のインクの吐出方向をZ方向として説明する。第1実施形態において、Y方向(第1方向)は記録素子基板100の長手方向と平行であり、X方向(第2方向)は記録素子基板100の短手方向と平行である。
【0013】
サブタンクユニット500は、液体吐出ヘッド10の外部から供給されて画像記録に使
用されるインクを内部に貯留する。サブタンクユニット500は圧力調整機構を備え、液体吐出ヘッド10の流路内の圧力を制御する機能も併せ持つ。以下では本発明の適用例として、サブタンクユニット500を備え、インクが外部供給される液体吐出ヘッド10について説明するが、本発明はこのような構成に限らず適用可能である。本発明は、例えば、液体吐出ヘッド10内にインクカートリッジが備え付けられている構成にも適用可能である。
【0014】
記録素子基板100、接続部材200、流路部材300の内部には夫々インクが流れるための流路が形成されている。サブタンクユニット500に貯留されるインクは、流路部材300と、流路部材300と記録素子基板100の流路を接続する接続部材200とを介して記録素子基板100に供給される。そして、記録素子基板100に供給されたインクは、記録素子基板100が備えるエネルギー発生素子が駆動されることにより吐出される。
【0015】
エネルギー発生素子を駆動する信号は、液体吐出ヘッド10を備える記録装置によって生成され、電気接続部材(フレキシブルケーブル)410を介して電気回路基板400が受け取る。電気回路基板400が受信した信号が電気配線部材420を通して記録素子基板100へと伝送されることで、記録素子基板100のエネルギー発生素子が駆動される。
【0016】
液体吐出ヘッド10には、流路部材300、接続部材200、記録素子基板100、電気配線部材420により構成される液体吐出ユニット20が複数設けられている。各液体吐出ユニット20は、枠体30ないしフェイスカバー40に固定されることにより、液体吐出ヘッド10を構成する。液体吐出ユニット20は、接着剤等により枠体30やフェイスカバー40へ高精度に固定される。一方、サブタンクユニット500は、上方よりヘッドカバー50が装着され、ヘッドカバー50により周囲を覆われる。
【0017】
図1には、第1実施形態として、4つの液体吐出ユニット20を備える液体吐出ヘッド10が示されている。しかしながら、本発明の適用にあたっては、液体吐出ヘッド10は4つ未満ないし5つ以上の液体吐出ユニット20がXY平面上に並べて配置されて構成されていてもよい。
【0018】
(液体吐出ユニットの構成)
次に、液体吐出ユニット20の構成についてより詳細に説明する。
図2は、液体吐出ユニット20の分解斜視図であり、液体吐出ユニット20の構成例を示す。第1実施形態の液体吐出ユニット20は、複数の記録素子基板100と、複数の記録素子基板100が接続される接続部材200と、接続部材200が接続される流路部材300とを含む。言い換えると、接続部材200の一端部には複数の記録素子基板100が接続され、他端部には流路部材300が接続される。
【0019】
流路部材300は、液体を貯留する複数の貯留室301を備え、内部にインクの流路が形成された樹脂を主材料とした流路形成部材である。貯留室301は、流路部材300の吐出面側(接続部材200が接続される側)に貯留室開口302が形成されている。記録素子基板100は、Siウエハに半導体プロセスを施すことにより流路が形成され、エネルギー発生素子が実装された部材である。サブタンクユニット500より記録素子基板100に近い位置に液体を貯留する貯留室301が設けられることで、圧力損失の影響を低減して吐出動作の安定性が向上する。
【0020】
主に樹脂で形成される流路部材300と、Siで形成される記録素子基板100とでは製造可能な肉厚が大きく異なる。例えば、樹脂では一般的に0.6mm程度が薄肉厚の限
界であるが、Siでは0.1mm以下の肉厚も形成可能である。
【0021】
一方、樹脂部品である流路部材300は部品単価としてはサイズに関わらず比較的安価であるが、ヒータや流路などの複数機能を持たせるために複数層の半導体プロセスを経る記録素子基板100は比較的高価である。したがって、液体吐出ヘッド10の製造コストアップを抑制するためには、記録素子基板100のサイズが小さいことが好ましい。
【0022】
また、インクジェットプリンタに使用される液体は溶剤などの化学成分が多く含まれており、流路形成部には常時ケミカルストレスがかかる。流路形成部品の破壊を防ぐためには、流路部材300は1.5mm程度の肉厚を確保し、記録素子基板100には保護膜を形成することが好ましい。したがって、ケミカルストレス対策によっても流路部材300と記録素子基板100のサイズ差は更に大きくなりうる。
【0023】
これらのサイズが互いに大きく異なる部材を流体的に接続するために、液体吐出ヘッド10と流路部材300にはSiウエハを加工して流路のピッチ変換をおこなう接続部材200が接続される。接続部材200は記録素子基板100とは異なり、主に流路を形成する加工のみが施されるため、比較的安価に製造可能である。流路部材300と接続部材200、接続部材200と記録素子基板100は夫々接着剤で接合されて互いの流路が接続される。なお、これらの部材の接合方法は接着に限らず、例えば弾性部材を間に挟んでビス締めされてもよい。
【0024】
液体吐出ヘッド10には、複数の液体吐出ユニット20がX方向(走査方向)に並んで配置されている。このような構成により、液体吐出ヘッド10は所望の色数のインクを吐出可能である。このような構成の液体吐出ヘッド10において、液体吐出ヘッド10の小型化のため、夫々の液体吐出ユニット20のX方向の幅はなるべく小さくすることが好ましい。そこで、第1実施形態においては、流路部材300の貯留室301の内壁の一部を金属板303で形成している。金属板303は、樹脂部材に接着して固定されている。金属板303であればケミカルストレス対策のための肉厚が0.2mm程度でよい。したがって、流路部材300は、樹脂材料と、貯留室301の壁の一部を構成する金属材料により構成されている。流路部材300の壁の一部を金属板303で形成することで、樹脂部材だけで流路部材300を構成する場合と比較して流路部材300を薄肉で形成できる。
【0025】
なお、液体吐出ヘッド内に複数の液体吐出ユニットを組み付ける液体吐出ヘッドの場合、液体吐出ユニットの数を自由に選択できるという利点がある一方で、記録素子基板同士の相対精度が悪化してしまうという課題がある。複数の記録素子基板をずらして配置し、見かけ上のノズル長尺化をおこなう場合、記録素子基板同士の相対精度は特に重要である。例えば、2枚の記録素子基板でノズル長尺化をする場合に、各記録素子基板の吐出口が異なる方向を向いていると、1スキャンの上段と下段で記録媒体への液体着弾状態が変わり、帯状の画像ムラとなって現れてしまうおそれがある。
【0026】
従来、液体吐出ヘッドとして、一体の支持部材に複数の記録素子基板が実装される構成が知られている。このような構成においては、1つの部品(支持部材)に比較的部品精度の高い記録素子基板が接合されるため、シンプルに構成できて高精度化を実現しやすかった。比較して液体吐出ヘッド内に複数の液体吐出ユニットを組み付ける液体吐出ヘッドの場合は、記録素子基板より大きく部品の構成点数が多い吐出ユニットを別の一体部品に組み付ける必要がある。したがって、このような構成においては、サイズの観点でも構成点数の観点でも公差が大きくなりやすく精度が悪化するおそれがある。この課題に対しては、液体吐出ユニットごとの調整機構を設けたり、複数の液体吐出ユニットを組み付ける、より大きな筐体部品を高精度部材にしたりすることで対策が行われることがある。ただし、この対策方法は構成の複雑化やコストアップといったデメリットを備えている。
【0027】
そこで、第1実施形態の液体吐出ユニット20では、見かけ上のノズル長尺化をおこなうため、複数の記録素子基板100を平面性の高い一体の接続部材200に接合している。このような構成とすることで、特に重要な記録素子基板100間での相対精度を高精度に保ちやすくなる。
【0028】
また、2枚以上の記録素子基板を設けて見かけ上のノズル長尺化をおこなう場合、Y方向(記録媒体搬送方向)において吐出口列(ノズル列)がオーバーラップするように記録素子基板を配置する必要がある。そのため、1枚の記録素子基板を備える液体吐出ユニットを複数設けて見かけ上のノズル長尺化をおこなう構成の場合、各記録素子基板の上方に個別の流路形成部材が配置されるため、液体吐出ヘッドのX方向(走査方向)の幅が大きくなりがちであった。
【0029】
そこで、第1実施形態の液体吐出ユニット20は、吐出口列のオーバーラップ部分において、流路部材300及び接続部材200を一体化している。このような構成により、複数の記録素子基板100のX方向の間隔を狭めることができるため、液体吐出ヘッド10のX方向幅の大サイズ化(サイズアップ)を抑制できる。
【0030】
(圧力損失の軽減と流路内発生気泡の除去性アップ)
次に、圧力損失の軽減と流路内発生気泡の除去性アップのための流路構成について説明する。インクは、流路部材300から接続部材200を介して記録素子基板100まで流れる。貯留室301には、接続部材200内の流路に接続する貯留室開口302が形成されている。記録素子基板100には、接続部材200内の流路に接続する流路開口として共通供給路102が形成されている。貯留室301の貯留室開口302と記録素子基板100の共通供給路102は、いずれも記録素子基板100の長手方向(Y方向)に延びる長辺を備える長方形もしくは長丸を断面形状とする開口である。同様に、貯留室301の貯留室開口302と記録素子基板100の共通供給路102とを接続する接続部材200の液体供給開口201も、記録素子基板100の長手方向に延びる長辺を備える長方形もしくは長丸を断面形状とする開口である。これらの開口は、圧力損失の軽減と流路内発生気泡の除去性アップのために、このような形状とされている。
【0031】
上述の圧力損失の低減効果と流路内に発生する気泡の除去性アップ効果について、
図3(a)、(b)を参照してより詳細に説明する。
図3(a)、(b)は、比較例と第1実施形態のインク流路の説明図である。
図3(a)は比較例に係るインク流路をX方向に見た模式的断面図であり、
図3(b)は第1実施形態に係るインク流路をX方向に見た模式的断面図である。比較例においては、第1実施形態と比較して接続部材200の液体供給開口201の長手方向(Y方向)幅が小さく形成されている。
【0032】
まずは、上述の圧力損失の軽減効果についてより詳細に説明する。記録素子基板100には、インクを吐出するために各吐出口に対応して設けられる圧力室101が長手方向に複数配列されている。夫々の圧力室101には、共通供給路102を介してインクが供給される。
図3(a)に示されるように、液体供給開口201の長手方向幅が共通供給路102の長手方向幅に対して小さい場合、圧力室101の場所によって、液体供給開口201から圧力室101までの距離に差が発生する。記録素子基板100の長手方向でインクの供給経路の長さに差が生じた場合、圧力損失差によって各圧力室101への液体供給性に差ができてしまい、印刷物の色味にムラが発現することがある。このようなムラは写真やポスターのように1面に液体を吐出して印刷した場合に悪い意味で目立ってしまい、品質の悪さにつながってしまう。
【0033】
一方、
図3(b)に示されるように、液体供給開口201の長手方向幅が大きい場合、
長手方向に並ぶ各圧力室101への供給経路差が小さくなり、各圧力室101への液体供給性の差を小さくすることが可能である。なるべく圧力損失を与えずにインクを供給するためには、吐出口列方向全域に液体供給開口201が開いていることが好ましい。また、インクの高性能化や多機能化に応じて、高粘度なインクが記録装置に用いられることがある。このようなインクを用いる場合に備えて、流路内の圧力損失はできるだけ下げられていることが好ましい。
【0034】
次に、流路内発生気泡の除去性アップ効果についてより詳細に説明する。第1実施形態に係る液体吐出ヘッド10は、発熱によるインク吐出方式を採用しており、温度変化によってインク内に気泡600が発生することがある。吐出部周辺に存在する気泡600はインク吐出に悪影響を及ぼして印刷物の品質を低下させるおそれがあるため、気泡600は吐出部近傍から遠ざける必要がある。しかしながら、
図3(a)に示されるように、液体供給開口201の長手方向幅が共通供給路102の長手方向幅に対して小さい場合、液体供給開口201が形成されていない部分は流路の天井となってしまう。気泡600は浮力により上昇するため、天井となった部分には気泡600が留まり、記録素子基板100内に気泡600が溜め込まれてしまう可能性がある。
【0035】
上述の通り、気泡滞留部が圧力室101近傍に位置することは好ましくない。したがって、液体吐出ヘッド10においては浮力により気泡600が圧力室101から遠ざかるような流路とされることが好ましい。そこで、第1実施形態の接続部材200は、
図3(b)に示されるように、液体供給開口201の長手方向幅が大きくされ、記録素子基板100内に発生した気泡600が浮力によって自然に圧力室101から遠ざかるように構成されている。更に、記録素子基板100内の上部で気泡600が浮力によってスムーズに上昇することができるよう、液体供給開口201の下端部には傾斜202が設けてられている。すなわち、傾斜202が設けられた接続部材200の内部の接続流路の一端部は、記録素子基板100に近づくにつれて長手方向幅が大きくなるように構成されている。
【0036】
なお、上述した流路部材300、接続部材200、記録素子基板100の開口はいずれも1つの開口であるが、開口の途中に梁構造が導入されて、互いに独立した複数の開口として構成されてもよい。
【0037】
(圧力室近傍の液体流れ)
次に、記録素子基板100内の圧力室101近傍における液体流れについて説明する。本発明は、液体吐出ヘッド10内でインクを循環させる構成とインクを循環させない構成のどちらに対しても適用可能である。そこで、以下では液体吐出ヘッド10内でインクが循環する構成である場合と循環しない構成である場合とに場合分けして説明する。
図4(a)、(b)は、記録素子基板100内の液体流れの説明図である。
図4(a)は、液体吐出ヘッド10内で液体が循環される記録素子基板100の構成例をY方向に見た模式的断面図である。
図4(b)は、液体吐出ヘッド10内で液体が循環されない非循環の記録素子基板100の構成例をY方向に見た模式的断面図である。
図4(a)、(b)には、記録素子基板100内でインクが流れる方向が矢印で示されている。また、以下では、一つの圧力室101における液体流れについて説明するが、各圧力室101における液体流れは同様である。
【0038】
まず、
図4(a)を参照して液体が循環される場合の液体流れについて説明する。液体供給路は、共通供給路102と、供給口103と、圧力室101とにより構成される。供給口103は、共通供給路102と圧力室101とを連通する流路である。流路部材300や接続部材200を介して共通供給路102に供給されたインクは、供給口103を通って圧力室101へと供給される。流路部材300の貯留室301はいずれかの圧力室101と連通するように液体吐出ヘッド10内の流路は構成されており、貯留室301を介
してサブタンクユニット500と圧力室101の間でインクが行き来する。
【0039】
記録素子基板100には、各圧力室101に対応してインクを吐出するためのエネルギー発生素子107が設けられている。圧力室101に供給されたインクは、エネルギー発生素子107の駆動により、ノズルである吐出口104を介して記録媒体に向けて吐出される。一方で、吐出口104から吐出されなかったインクは、液体回収路へと流れる。
【0040】
液体回収路は、圧力室101と、回収口105と、共通回収路106により構成される。回収口105は、圧力室101と共通回収路106とを連通する流路である。共通回収路106は、共通供給路102の長手方向に長い開口であり、複数の圧力室101と回収口105を介して接続される。圧力室101に供給されたインクのうち、吐出口104から吐出されなかったインクは、回収口105を介して共通回収路106に流れる。その後、共通回収路106内の液体は接続部材200や流路部材300を経由してサブタンクユニット500や記録装置本体へと回収される。
【0041】
次に、
図4(b)を参照して非循環の場合の液体流れについて説明する。液体供給路は、共通供給路102と、供給口103と、圧力室101とにより構成される。供給口103は、一つの圧力室101に対して複数設けられていてもよい。流路部材300や接続部材200を介して共通供給路102に供給されたインクは、供給口103を通って圧力室101へと供給される。圧力室101へと供給された液体は、吐出口104を介してのみ消費される。
【0042】
(液体吐出ユニットの流路構成)
次に、液体吐出ユニット20のインクの流路構成について、複数の実施例に基づいて例示的に説明する。以下、第1実施形態の液体吐出ヘッド10において、記録素子基板100の配置関係や液体吐出ヘッド10の循環構成を変更した複数の実施例について説明する。
【0043】
〔第1実施例〕
図5を参照して、第1実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成について説明する。
図5(a)~(d)は、第1実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成の説明図である。
図5(a)は、液体吐出ユニット20の底面図である。
図5(b)は、
図5(a)のA-A断面図である。
図5(c)は、
図5(a)のB-B断面図である。
図5(d)は、
図5(a)のC-C断面図である。
図5(b)~(d)には、インクの流れ方向が矢印で示されている。
【0044】
第1実施例において、液体吐出ユニット20は、記録素子基板100として第1素子基板100aと第2素子基板100bとを備える。第1素子基板100aと第2素子基板100bは、夫々複数の吐出口104が長手方向(Y方向)に配列されて構成される吐出口列を2列ずつ有する。
図5(b)に示されるA-A断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100aを通る断面である。
図5(c)に示されるB-B断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100aと第2素子基板100bを通る断面である。
図5(d)に示されるC-C断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第2素子基板100bを通る断面である。
【0045】
第1素子基板100aと第2素子基板100bは、互いに長手方向(Y方向)にずれて配置されている。また、長手方向と直交する短手方向(X方向)において、第1素子基板100aの長手方向の一端部は、第2素子基板100bの長手方向の一端部と隣接している。第1素子基板100aの吐出口列の一部と第2素子基板100bの吐出口列の一部とが短手方向に重なるように各素子基板が配置されることで、見かけ上吐出口列の長尺化が
図られている。液体吐出ユニット20には、夫々長手方向に配列される複数の第1吐出口104a、複数の第2吐出口104b、複数の第3吐出口104c、複数の第4吐出口104dが設けられ、第1~4吐出口列が構成されている。
【0046】
第1実施例は、サブタンクユニット500の内部に循環ポンプと圧力制御室兼貯留室が設けられており、液体吐出ヘッド10は内部でインクを循環可能に構成されている。インクの循環方向において、循環ポンプの上流側と下流側で圧力差を発生させることによって、液体吐出ヘッド10内でインクが循環される。
【0047】
第1素子基板100aは、第1圧力室101aと接続する第1吐出口104aが長手方向に配列されて構成される第1吐出口列と、第3圧力室101cと接続する第3吐出口104cが長手方向に配列されて構成される第3吐出口列とを有する。また、第1素子基板100aは、第1圧力室101aと連通する第1共通供給路102aと第1共通回収路106aと、第3圧力室101cと連通する第3共通供給路102cと第3共通回収路106cとを有する。第1共通供給路102a、第1共通回収路106a、第3共通供給路102c、第3共通回収路106cは、いずれも第1素子基板100aの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0048】
第2素子基板100bは、第2圧力室101bと接続する第2吐出口104bが長手方向に配列されて構成される第2吐出口列と、第4圧力室101dと接続する第4吐出口104dが長手方向に配列されて構成される第4吐出口列とを有する。また、第2素子基板100bは、第2圧力室101bと連通する第2共通供給路102bと第2共通回収路106bと、第4圧力室101dと連通する第4共通供給路102dと第4共通回収路106dとを有する。第2共通供給路102b、第2共通回収路106b、第4共通供給路102d、第4共通回収路106dは、いずれも第2素子基板100bの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0049】
短手方向(X方向)においては、第3吐出口列、第1吐出口列、第2吐出口列、第4吐出口列の順で並んでいる。すなわち、第1素子基板100aの第1吐出口104aで構成される第1吐出口列の一部と、第2素子基板100bの第2吐出口104bで構成される第2吐出口列の一部とは短手方向に隣接している。
図5(c)に示される
図5(a)のB-B断面は、第1吐出口104a、第2吐出口104b、第3吐出口104c、第4吐出口104dを通る断面である。
【0050】
流路部材300は、複数の貯留室301として、第1貯留室301a、第2貯留室301b、第3貯留室301c、第4貯留室301d、第5貯留室301eを備える。各貯留室301は、液体を内部に貯留可能に構成され、サブタンクユニット500と接続部材200の間でインクの流路を構成する。短手方向(X方向)において、第4貯留室301d、第2貯留室301b、第1貯留室301a、第3貯留室301c、第5貯留室301eの順で複数の貯留室301が並んで配置されている。
【0051】
第1貯留室301aの長手方向幅は、第1素子基板100aの吐出口列と第2素子基板100bの吐出口列を略覆う長さである。第2貯留室301bと第4貯留室301dの長手方向幅は、第1素子基板100aの吐出口列を略覆う長さである。第3貯留室301cと第5貯留室301eの長手方向幅は、第2素子基板100bの吐出口列を略覆う長さである。
【0052】
図5(b)、(c)に示されるように、第1素子基板100aにおいて、インクは第1貯留室301a、第1共通供給路102a、第1圧力室101a、第1共通回収路106a、第2貯留室301bの順で各流路を流れる。また、第1素子基板100aにおいて、
インクは第4貯留室301d、第3共通供給路102c、第3圧力室101c、第3共通回収路106c、第2貯留室301bの順で各流路を流れる。すなわち、第1素子基板100aでは、第1貯留室301aと第4貯留室301dからインクが供給され、第2貯留室301bにインクが回収される。
【0053】
図5(c)、(d)に示されるように、第2素子基板100bにおいて、インクは第1貯留室301a、第2共通供給路102b、第2圧力室101b、第2共通回収路106b、第3貯留室301cの順で各流路を流れる。また、第2素子基板100bにおいて、インクは第5貯留室301e、第4共通供給路102d、第4圧力室101d、第4共通回収路106d、第4貯留室301dの順で各流路を流れる。すなわち、第2素子基板100bでは、第1貯留室301aと第5貯留室301eからインクが供給され、第3貯留室301cにインクが回収される。
【0054】
上述の通り、第1実施例は、第1貯留室301aから、第1素子基板100aの第1圧力室101aと第2素子基板100bの第2圧力室101bにインクが供給されるように構成されている。このように、異なる記録素子基板100の流路を共通化することで、複数の記録素子基板100が走査方向(X方向)に並んで配置される構成において、液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)幅の大サイズ化を抑制できる。
【0055】
なお、流路内に発生した気泡が圧力室101近傍に存在しているとインク吐出に悪影響があるため、流路内に発生した気泡は浮力によって自然除去できる構成が好ましい。第1実施例のようなインクが循環する流路構成では、回収流路で気泡が圧力室101から遠ざかるようにインクが流れるが、供給流路で気泡が圧力室101に近づくようにインクが流れる。すなわち、特に供給流路において、気泡を記録素子基板100から遠ざけて気泡を溜め込んでおく気泡貯留領域を設け、液体吐出ヘッド10の外部からの定期的な吸引により気泡を液体吐出ヘッド10の外部へ排出する機構が設けられることが好ましい。
【0056】
供給流路内に気泡貯留領域を設けるため、第1実施例では供給側の第1貯留室301a、第4貯留室301d、第5貯留室301eの容積の和が、回収側の第2貯留室301b、第3貯留室301cの容積の和より大きく設定されている。このような構成により、流路内発生気泡の除去性が向上される。
【0057】
サブタンクユニット500から流路部材300の各貯留室にインクを供給する流路は、流路部材300内で分岐されてもよいし、サブタンクユニット500内で分岐されてもよい。又は、サブタンクユニット500と流路部材300の間に流路を分岐させる別部材を設けてもよい。
【0058】
流路部材300の各貯留室からサブタンクユニット500にインクを回収する流路は、流路部材300内で統合されてもよいし、サブタンクユニット500内で統合されてもよい。又は、サブタンクユニット500と流路部材300の間に流路を統合させる別部材を設けてもよい。又は、サブタンクユニット500を記録素子基板100と同数設けてもよい。流路部材300とサブタンクユニット500とを接続する流路は、以下で説明する実施例においても同様に構成し得る。
【0059】
〔第2実施例〕
図6を参照して、第2実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成について説明する。
図6(a)~(d)は、第2実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成の説明図である。
図6(a)は、液体吐出ユニット20の底面図である。
図6(b)は、
図6(a)のD-D断面図である。
図6(c)は、
図6(a)のE-E断面図である。
図6(d)は、
図6(a)のF-F断面図である。
図6(b)~(d)には、インクの流れ方向が矢印
で示されている。
【0060】
第2実施例において、液体吐出ユニット20は、記録素子基板100として第1素子基板100cと第2素子基板100dとを備える。第1素子基板100cと第2素子基板100dは、夫々複数の吐出口104が長手方向(Y方向)に配列されて構成される吐出口列を1列ずつ有する。
図6(b)に示されるD-D断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100cを通る断面である。
図6(c)に示されるE-E断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100cと第2素子基板100dを通る断面である。
図6(d)に示されるF-F断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第2素子基板100dを通る断面である。
【0061】
第1素子基板100cと第2素子基板100dは、互いに長手方向(Y方向)にずれて配置されている。また、長手方向と直交する短手方向(X方向)において、第1素子基板100cの長手方向の一端部は、第2素子基板100dの長手方向の一端部と隣接している。第1素子基板100cの吐出口列の一部と第2素子基板100dの吐出口列の一部とが短手方向に重なるように各素子基板が配置されることで、見かけ上吐出口列の長尺化が図られている。液体吐出ユニット20には、夫々長手方向に配列される複数の第1吐出口104e、複数の第2吐出口104fが設けられ、第1、2吐出口列が構成されている。
【0062】
第2実施例では、サブタンクユニット500の内部に循環ポンプと圧力制御室兼貯留室が設けられており、液体吐出ヘッド10は内部でインクを循環可能に構成されている。インクの循環方向において、循環ポンプの上流側と下流側で圧力差を発生させることによって、液体吐出ヘッド10内でインクが循環される。
【0063】
第1素子基板100cは、第1圧力室101eと接続する第1吐出口104eが長手方向に配列されて構成される第1吐出口列を有する。また、第1素子基板100cは、第1圧力室101eと連通する第1共通供給路102eと第1共通回収路106eを有する。第1共通供給路102e、第1共通回収路106eは、いずれも第1素子基板100cの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0064】
第2素子基板100dは、第2圧力室101fと接続する第2吐出口104fが長手方向に配列されて構成される第2吐出口列を有する。また、第2素子基板100dは、第2圧力室101fと連通する第2共通供給路102fと第2共通回収路106fを有する。第2共通供給路102f、第2共通回収路106fは、いずれも第2素子基板100dの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0065】
短手方向(X方向)において、第1吐出口列と第2吐出口列は、夫々の長手方向の端部が互いに隣接するように配列されている。
図6(c)に示される
図6(a)のE-E断面は、第1吐出口104eと第2吐出口104fとを通る断面である。
【0066】
流路部材300は、複数の貯留室301として、第1貯留室301f、第2貯留室301g、第3貯留室301hを備える。各貯留室301は、液体を内部に貯留可能に構成され、サブタンクユニット500と接続部材200の間でインクの流路を構成する。短手方向(X方向)において、第2貯留室301g、第1貯留室301f、第3貯留室301hの順で各貯留室301が並んで配置されている。
【0067】
第1貯留室301fの長手方向幅は、第1素子基板100cの吐出口列と第2素子基板100dの吐出口列を略覆う長さである。第2貯留室301gの長手方向幅は、第1素子基板100cの吐出口列を略覆う長さである。第3貯留室301hの長手方向幅は、第2素子基板100dの吐出口列を略覆う長さである。
【0068】
図6(b)、(c)に示されるように、第1素子基板100cにおいて、インクは第2貯留室301g、第1共通供給路102e、第1圧力室101e、第1共通回収路106e、第1貯留室301fの順で各流路を流れる。すなわち、第1素子基板100cでは、第2貯留室301gからインクが供給され、第1貯留室301fにインクが回収される。
【0069】
図6(c)、(d)に示されるように、第2素子基板100dにおいて、インクは第3貯留室301h、第2共通供給路102f、第2圧力室101f、第2共通回収路106f、第1貯留室301fの順で各流路を流れる。すなわち、第2素子基板100dでは、第3貯留室301hからインクが供給され、第1貯留室301fにインクが回収される。
【0070】
上述の通り、第2実施例は、第1素子基板100cの第1圧力室101eと第2素子基板100dの第2圧力室101fから、第1貯留室301fにインクが回収されるように構成されている。このように、異なる記録素子基板100の流路を共通化することで、複数の記録素子基板100が走査方向(X方向)に並んで配置される構成において、液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)幅の大サイズ化を抑制できる。
【0071】
供給流路内に気泡貯留領域を設けるため、第2実施例では供給側の第2貯留室301g、第3貯留室301hの容積の和が、回収側の第1貯留室301fの容積より大きく設定されている。このような構成により、流路内発生気泡の除去性が向上される。
【0072】
〔第3実施例〕
図7を参照して、第3実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成について説明する。
図7(a)~(d)は、第3実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成の説明図である。
図7(a)は、液体吐出ユニット20の底面図である。
図7(b)は、
図7(a)のG-G断面図である。
図7(c)は、
図7(a)のH-H断面図である。
図7(d)は、
図7(a)のJ-J断面図である。
図7(b)~(d)には、インクの流れ方向が矢印で示されている。
図7(b)~(d)では、種別が異なるインクについて、線種を分けて区別して表現している。
【0073】
第3実施例において、液体吐出ユニット20は、記録素子基板100として第1素子基板100eと第2素子基板100fとを備える。第1素子基板100eと第2素子基板100fは、夫々複数の吐出口104が長手方向(Y方向)に配列されて構成される吐出口列を2列ずつ有する。
図7(b)に示されるG-G断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100eを通る断面である。
図7(c)に示されるH-H断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100eと第2素子基板100fを通る断面である。
図7(d)に示されるJ-J断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第2素子基板100fを通る断面である。
【0074】
第1素子基板100eと第2素子基板100fは、互いに長手方向(Y方向)にずれて配置されている。また、長手方向と直交する短手方向(X方向)において、第1素子基板100eの長手方向の一端部は、第2素子基板100fの長手方向の一端部と隣接している。第1素子基板100eの吐出口列の一部と第2素子基板100fの吐出口列の一部とが短手方向に重なるように各素子基板が配置されることで、見かけ上吐出口列の長尺化が図られている。液体吐出ユニット20には、夫々長手方向に配列される複数の第1吐出口104g、複数の第2吐出口104h、複数の第3吐出口104i、複数の第4吐出口104jが設けられ、第1~4吐出口列が構成されている。
【0075】
第1素子基板100eは、第1圧力室101gと接続する第1吐出口104gが長手方向に配列されて構成される第1吐出口列と、第2圧力室101hと接続する第2吐出口1
04hが長手方向に配列されて構成される第2吐出口列とを有する。また、第1素子基板100eは、第1圧力室101gと連通する第1共通供給路102gと、第2圧力室101hと連通する第2共通供給路102hとを有する。第1共通供給路102g、第2共通供給路102hは、いずれも第1素子基板100eの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。第1圧力室101gと第2圧力室101hに供給されたインクは回収されず、吐出口104(ノズル)を介してのみ消費される。
【0076】
第2素子基板100fは、第3圧力室101iと接続する第3吐出口104iが長手方向に配列されて構成される第3吐出口列と、第4圧力室101jと接続する第4吐出口104jが長手方向に配列されて構成される第4吐出口列とを有する。また、第2素子基板100fは、第3圧力室101iと連通する第3共通供給路102iと、第4圧力室101jと連通する第4共通供給路102jとを有する。第3共通供給路102i、第4共通供給路102jは、いずれも第2素子基板100fの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。第3圧力室101iと第4圧力室101jに供給されたインクは回収されず、吐出口104(ノズル)を介してのみ消費される。
【0077】
短手方向(X方向)においては、第2吐出口列、第1吐出口列、第3吐出口列、第4吐出口列の順で並んでいる。すなわち、第1素子基板100eの第1吐出口104gで構成される第1吐出口列と、第2素子基板100fの第3吐出口104iで構成される第3吐出口列とは互いに隣接して配置されている。
図7(c)に示される
図7(a)のH-H断面は、第1吐出口104g、第2吐出口104h、第3吐出口104i、第4吐出口104jを通る断面である。
【0078】
流路部材300は、複数の貯留室301として、第1貯留室301i、第2貯留室301j、第3貯留室301kを備える。各貯留室301は、液体を内部に貯留可能に構成され、サブタンクユニット500と接続部材200の間でインクの流路を構成する。短手方向(X方向)において、第2貯留室301j、第1貯留室301i、第3貯留室301kの順で各貯留室301が並んで配置されている。
【0079】
第1貯留室301iの長手方向幅は、第1素子基板100eの吐出口列と第2素子基板100fの吐出口列を略覆う長さである。第2貯留室301jの長手方向幅は、第1素子基板100eの吐出口列を略覆う長さである。第3貯留室301kの長手方向幅は、第2素子基板100fの吐出口列を略覆う長さである。
【0080】
第3実施例では、液体吐出ヘッド10は、3種類のインクをサブタンクユニット500から流路部材300に供給可能に構成されている。第1素子基板100eに対しては第1貯留室301iと第2貯留室301jを介して2種類の液体が供給され、第2素子基板100fに対しては第1貯留室301iと第3貯留室301kを介して2種類の液体が供給される。また、液体吐出ヘッド10は、流路部材300からサブタンクユニット500にインクを回収可能には構成されていない非循環構成である。
【0081】
図7(b)、(c)に示されるように、第1素子基板100eにおいて、第1インクは第1貯留室301i、第1共通供給路102g、第1圧力室101gの順で各流路を流れて第1吐出口104gから吐出される。また、第1素子基板100eにおいて、第2インクは第2貯留室301j、第2共通供給路102h、第2圧力室101hの順で各流路を流れて第2吐出口104hから吐出される。すなわち、第1素子基板100eには、第1貯留室301iから第1インクが供給され、第2貯留室301jから第2インクが供給される。
【0082】
図7(c)、(d)に示されるように、第2素子基板100fにおいて、第1インクは
第1貯留室301i、第3共通供給路102i、第3圧力室101iの順で各流路を流れて第3吐出口104iから吐出される。また、第2素子基板100fにおいて、第3インクは第2貯留室301j、第4共通供給路102j、第4圧力室101jの順で各流路を流れて第4吐出口104jから吐出される。すなわち、第2素子基板100fには、第1貯留室301iから第1インクが供給され、第3貯留室301kから第3インクが供給される。
【0083】
上述の通り、第3実施例は、第1貯留室301iから、第1素子基板100eの第1圧力室101gと第2素子基板100fの第3圧力室101iにインクが供給されるように構成されている。このように、異なる記録素子基板100の流路を共通化することで、複数の記録素子基板100が走査方向(X方向)に並んで配置される構成において、液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)幅の大サイズ化を抑制できる。
【0084】
また、第3実施例の構成によれば、単一の記録素子基板100から2種以上のインク(例えば2色以上のインク)を吐出することができる。このような構成により、液体吐出ユニット20の統一化を図ることができるため、例えばインクの色毎に液体吐出ユニット20が設けられている構成と比較して、液体吐出ヘッド10の小サイズ化を図ることができる。
【0085】
なお、第1インク、第2インク、第3インクは互いに同種の液体であってもよい。この場合、サブタンクユニット500から途中で分岐する共通の流路を通して各圧力室にインクを供給できる。
【0086】
〔第4実施例〕
図8を参照して、第4実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成について説明する。
図8(a)~(f)は、第4実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成の説明図である。
図8(a)は、液体吐出ユニット20の底面図である。
図8(b)は、
図8(a)のK-K断面図である。
図8(c)は、
図8(a)のL-L断面図である。
図8(d)は、
図8(a)のM-M断面図である。
図8(e)は、
図8(a)のN-N断面図である。
図8(f)は、
図8(a)のP-P断面図である。
図8(b)~(f)には、インクの流れ方向が矢印で示されている。
【0087】
第4実施例において、液体吐出ユニット20は、記録素子基板100として第1素子基板100gと第2素子基板100hと第3素子基板100iとを備える。第1素子基板100g、第2素子基板100h、第3素子基板100iは、夫々複数の吐出口104が長手方向(Y方向)に配列されて構成される吐出口列を1列ずつ有する。
図8(b)に示されるK-K断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100gを通る断面である。
図8(c)に示されるL-L断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100gと第2素子基板100hを通る断面である。
図8(d)に示されるM-M断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第2素子基板100hを通る断面である。
図8(e)に示されるN-N断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第2素子基板100hと第3素子基板100iを通る断面である。
図8(f)に示されるP-P断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第3素子基板100iを通る断面である。
【0088】
第1素子基板100gと第2素子基板100hと第3素子基板100iは、互いに長手方向(Y方向)にずれて配置されている。また、長手方向と直交する短手方向(X方向)において、第1素子基板100gの長手方向の一端部は、第2素子基板100hの長手方向の一端部と隣接している。第2素子基板100hの長手方向の他端部は、第3素子基板100iの長手方向の一端部と隣接している。第1素子基板100gと第3素子基板10
0iは、短手方向において略同一の位置に配置されている。第4実施例では、第1素子基板100gの吐出口列の一部と第2素子基板100hの吐出口列の一部とが短手方向に重なり、且つ第2素子基板100hの吐出口列の一部と第3素子基板100iの吐出口列の一部とが短手方向に重なる。このように各素子基板が配置されることで、見かけ上吐出口列の長尺化が図られている。液体吐出ユニット20には、夫々長手方向に配列される複数の第1吐出口104k、複数の第2吐出口104m、複数の第3吐出口104nが設けられ、第1~3吐出口列が構成されている。
【0089】
第4実施例では、サブタンクユニット500の内部に循環ポンプと圧力制御室兼貯留室が設けられており、液体吐出ヘッド10は内部でインクを循環可能に構成されている。インクの循環方向において、循環ポンプの上流側と下流側で圧力差を発生させることによって、液体吐出ヘッド10内でインクが循環される。
【0090】
第1素子基板100gは、第1圧力室101kと接続する第1吐出口104kが長手方向に配列されて構成される第1吐出口列を有する。また、第1素子基板100gは、第1圧力室101kと連通する第1共通供給路102kと第1共通回収路106kを有する。第1共通供給路102k、第1共通回収路106kは、いずれも第1素子基板100gの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0091】
第2素子基板100hは、第2圧力室101mと接続する第2吐出口104mが長手方向に配列されて構成される第2吐出口列を有する。また、第2素子基板100hは、第2圧力室101mと連通する第2共通供給路102mと第2共通回収路106mを有する。第2共通供給路102m、第2共通回収路106mは、いずれも第2素子基板100hの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0092】
第3素子基板100iは、第3圧力室101nと接続する第3吐出口104nが長手方向に配列されて構成される第3吐出口列を有する。また、第3素子基板100iは、第3圧力室101nと連通する第3共通供給路102nと第3共通回収路106nを有する。第3共通供給路102n、第3共通回収路106nは、いずれも第3素子基板100iの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0093】
短手方向(X方向)において、第1吐出口列と第2吐出口列は夫々の長手方向の端部が互いに隣接するように配列され、第2吐出口列と第3吐出口列は夫々の長手方向の端部が互いに隣接するように配列されている。
図8(c)に示される
図8(a)のL-L断面は、第1吐出口104kと第2吐出口104mとを通る断面である。
図8(e)に示される
図8(a)のN-N断面は、第2吐出口104mと第3吐出口104nとを通る断面である。
【0094】
流路部材300は、複数の貯留室301として、第1貯留室301m、第2貯留室301n、第3貯留室301o、第4貯留室301pを備える。各貯留室301は、液体を内部に貯留可能に構成され、サブタンクユニット500と接続部材200の間でインクの流路を構成する。短手方向(X方向)において、第2貯留室301n、第1貯留室301m、第3貯留室301oの順で各貯留室301が並んで配置されている。また、第4貯留室301pは、第2貯留室301nに対して長手方向(Y方向)で異なる位置であって、短手方向で略同一の位置に配置されている。
【0095】
第1貯留室301mの長手方向幅は、第1素子基板100gの吐出口列と第2素子基板100hと第3素子基板100iの吐出口列を略覆う長さである。第2貯留室301nの長手方向幅は、第1素子基板100gの吐出口列を略覆う長さである。第3貯留室301oの長手方向幅は、第2素子基板100hの吐出口列を略覆う長さである。第4貯留室3
01pの長手方向幅は、第3素子基板100iの吐出口列を略覆う長さである。
【0096】
図8(b)、(c)に示されるように、第1素子基板100gにおいて、インクは第2貯留室301n、第1共通供給路102k、第1圧力室101k、第1共通回収路106k、第1貯留室301mの順で各流路を流れる。すなわち、第1素子基板100gでは、第2貯留室301nからインクが供給され、第1貯留室301mにインクが回収される。
【0097】
図8(c)、(d)、(e)に示されるように、第2素子基板100hにおいて、インクは第3貯留室301o、第2共通供給路102m、第2圧力室101m、第2共通回収路106m、第1貯留室301mの順で各流路を流れる。すなわち、第2素子基板100hでは、第3貯留室301oからインクが供給され、第1貯留室301mにインクが回収される。
【0098】
図8(e)、(f)に示されるように、第3素子基板100iにおいて、インクは第4貯留室301p、第3共通供給路102n、第3圧力室101n、第3共通回収路106n、第1貯留室301mの順で各流路を流れる。すなわち、第3素子基板100iでは、第4貯留室301pからインクが供給され、第1貯留室301mにインクが回収される。
【0099】
上述の通り、第4実施例は、第1素子基板100gの第1圧力室101k、第2素子基板100hの第2圧力室101m、第3素子基板100iの第3圧力室101nから、第1貯留室301mにインクが回収されるように構成されている。このように、異なる記録素子基板100の流路を共通化することで、複数の記録素子基板100が走査方向(X方向)に並んで配置される構成において、液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)幅の大サイズ化を抑制できる。
【0100】
供給流路内に気泡貯留領域を設けるため、第4実施例では供給側の第2貯留室301n、第3貯留室301o、第4貯留室301pの容積の和が、回収側の第1貯留室301mの容積より大きく設定されている。このような構成により、流路内発生気泡の除去性が向上される。
【0101】
なお、第4実施例では3枚の記録素子基板100を1つの液体吐出ユニット20に搭載する構成例としたが、本発明の適用にあたっては4枚以上の記録素子基板100が液体吐出ユニット20に搭載されていてもよい。また、記録素子基板100を3枚以上備える液体吐出ヘッド10であって、インクを内部で循環しない非循環構成で複数種類の液体を吐出可能な液体吐出ヘッド10にも、本発明は適用可能である。
【0102】
〔第5実施例〕
図9を参照して、第5実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成について説明する。
図9(a)、(b)は、第5実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成の説明図である。
図9(a)は、液体吐出ユニット20の底面図である。
図9(b)は、
図9(a)のQ-Q断面図である。
図9(b)には、インクの流れ方向が矢印で示されている。
【0103】
第5実施例において、液体吐出ユニット20は、記録素子基板100として第1素子基板100jと第2素子基板100kとを備える。第1素子基板100jと第2素子基板100kは、夫々複数の吐出口104が長手方向(Y方向)に配列されて構成される吐出口列を1列ずつ有する。
図9(b)に示されるQ-Q断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100jと第2素子基板100kを通る断面である。
【0104】
第1素子基板100jと第2素子基板100kは、互いに長手方向(Y方向)で略同一の位置配置されている。長手方向と直交する短手方向(X方向)において、第1素子基板
100jは、第2素子基板100kと隣接している。液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)において、吐出口列の長さ(ノズル長)が略同一である2つの吐出口列が並列して配置されることで、液体吐出ヘッド10の1スキャンの吐出発数を増やすことができる。
【0105】
第5実施例は、サブタンクユニット500の内部に循環ポンプと圧力制御室兼貯留室が設けられており、液体吐出ヘッド10は内部でインクを循環可能に構成されている。インクの循環方向において、循環ポンプの上流側と下流側で圧力差を発生させることによって、液体吐出ヘッド10内でインクが循環される。
【0106】
第1素子基板100jは、第1圧力室101oと接続する第1吐出口104oが長手方向に配列されて構成される第1吐出口列を有する。また、第1素子基板100jは、第1圧力室101oと連通する第1共通供給路102oと第1共通回収路106oを有する。第1共通供給路102o、第1共通回収路106oは、いずれも第1素子基板100jの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0107】
第2素子基板100kは、第2圧力室101pと接続する第2吐出口104pが長手方向に配列されて構成される第2吐出口列を有する。また、第2素子基板100kは、第2圧力室101pと連通する第2共通供給路102pと第2共通回収路106pを有する。第2共通供給路102p、第2共通回収路106pは、いずれも第2素子基板100kの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。
【0108】
短手方向(X方向)において、第1吐出口列と第2吐出口列は互いに隣接して配列されている。そして、長手方向(Y方向)において、第1吐出口列と第2吐出口列は互いに同一の位置に配置されている。
【0109】
流路部材300は、第1貯留室301q、第2貯留室301r、第3貯留室301sを備える。各貯留室は、液体を内部に貯留可能に構成され、サブタンクユニット500と接続部材200の間でインクの流路を構成する。短手方向(X方向)において、第2貯留室301r、第1貯留室301q、第3貯留室301sの順で各貯留室301が並んで配置されている。
【0110】
第1貯留室301q、第2貯留室301r、第3貯留室301sの長手方向幅は、第1素子基板100jの吐出口列と第2素子基板100kの吐出口列を略覆う長さであり、互いに略同一である。
【0111】
図9(b)に示されるように、第1素子基板100jにおいて、インクは第2貯留室301r、第1共通供給路102o、第1圧力室101o、第1共通回収路106o、第1貯留室301qの順で各流路を流れる。すなわち、第1素子基板100jでは、第2貯留室301rからインクが供給され、第1貯留室301qにインクが回収される。
【0112】
図9(b)に示されるように、第2素子基板100kにおいて、インクは第3貯留室301s、第2共通供給路102p、第2圧力室101p、第2共通回収路106p、第1貯留室301qの順で各流路を流れる。すなわち、第2素子基板100kでは、第3貯留室301sからインクが供給され、第1貯留室301qにインクが回収される。
【0113】
上述の通り、第5実施例は、第1素子基板100jの第1圧力室101oと第2素子基板100kの第2圧力室101pから、第1貯留室301qにインクが回収されるように構成されている。このように、異なる記録素子基板の流路を共通化することで、複数の記録素子基板100が走査方向(X方向)に並んで配置される構成において、液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)幅の大サイズ化を抑制できる。
【0114】
供給流路内に気泡貯留領域を設けるため、第5実施例では供給側の第2貯留室301r、第3貯留室301sの容積の和が、回収側の第1貯留室301qの容積より大きく設定されている。このような構成により、流路内発生気泡の除去性が向上される。
【0115】
〔第6実施例〕
図10を参照して、第5実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成について説明する。
図10(a)、(b)は、第5実施例に係る液体吐出ユニット20の流路構成の説明図である。
図10(a)は、液体吐出ユニット20の底面図である。
図10(b)は、
図10(a)のR-R断面図である。
図10(b)には、インクの流れ方向が矢印で示されている。
図10(b)では、種別が異なるインクについて、線種を分けて区別して表現している。
【0116】
第6実施例において、液体吐出ユニット20は、記録素子基板100として第1素子基板100mと第2素子基板100nと第3素子基板100oとを備える。第1素子基板100m、第2素子基板100n、第3素子基板100oは、夫々複数の吐出口104が長手方向(Y方向)に配列されて構成される吐出口列を2列ずつ有する。
図10(b)に示されるR-R断面は、液体吐出ユニット20をY方向に見たときの第1素子基板100mと第2素子基板100nと第3素子基板100oを通る断面である。
【0117】
第1素子基板100mと第2素子基板100nと第3素子基板100oは、互いに長手方向(Y方向)で略同一の位置配置されている。長手方向と直交する短手方向(X方向)において、第1素子基板100m、第2素子基板100n、第3素子基板100oの順で各記録素子基板100が並列して配置されている。すなわち、第2素子基板100nは、第1素子基板100mと第3素子基板100oの間で夫々と隣接する。液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)において、吐出口列の長さ(ノズル長)が略同一である6つの吐出口列が並列して配置されることで、液体吐出ヘッド10の1スキャンの吐出発数を増やすことができる。
【0118】
第1素子基板100mは、第1圧力室101qと接続する第1吐出口104qが長手方向に配列されて構成される第1吐出口列と、第2圧力室101rと接続する第2吐出口104rが長手方向に配列されて構成される第2吐出口列とを有する。また、第1素子基板100mは、第1圧力室101qと連通する第1共通供給路102qと、第2圧力室101rと連通する第2共通供給路102rとを有する。第1共通供給路102q、第2共通供給路102rは、いずれも第1素子基板100mの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。第1圧力室101qと第2圧力室101rに供給されたインクは回収されず、吐出口104(ノズル)を介してのみ消費される。
【0119】
第2素子基板100nは、第3圧力室101sと接続する第3吐出口104sが長手方向に配列されて構成される第3吐出口列と、第4圧力室101tと接続する第4吐出口104tが長手方向に配列されて構成される第4吐出口列とを有する。また、第2素子基板100nは、第3圧力室101sと連通する第3共通供給路102sと、第4圧力室101tと連通する第4共通供給路102tとを有する。第3共通供給路102s、第4共通供給路102tは、いずれも第2素子基板100nの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。第3圧力室101sと第4圧力室101tに供給されたインクは回収されず、吐出口104(ノズル)を介してのみ消費される。
【0120】
第3素子基板100oは、第5圧力室101uと接続する第5吐出口104uが長手方向に配列されて構成される第5吐出口列と、第6圧力室101vと接続する第6吐出口104vが長手方向に配列されて構成される第6吐出口列とを有する。また、第3素子基板
100oは、第5圧力室101uと連通する第5共通供給路102uと、第6圧力室101vと連通する第6共通供給路102vとを有する。第5共通供給路102u、第6共通供給路102vは、いずれも第3素子基板100oの吐出口面と反対側の面に開口し、接続部材200内の流路と接続されている。第5圧力室101uと第6圧力室101vに供給されたインクは回収されず、吐出口104(ノズル)を介してのみ消費される。
【0121】
短手方向(X方向)においては、第2吐出口列、第1吐出口列、第3吐出口列、第4吐出口列、第5吐出口列、第6吐出口列の順で並んでいる。すなわち、第1素子基板100mの第1吐出口104qで構成される第1吐出口列と、第2素子基板100nの第3吐出口104sで構成される第3吐出口列とは互いに隣接して配置されている。また、第2素子基板100nの第4吐出口104tで構成される第4吐出口列と、第3素子基板100oの第5吐出口104uで構成される第5吐出口列とは互いに隣接して配置されている。そして、長手方向(Y方向)において、第1吐出口列、第2吐出口列、第3吐出口列、第4吐出口列、第5吐出口列、第6吐出口列は互いに同一の位置に配置されている。
【0122】
流路部材300は、第1貯留室301t、第2貯留室301u、第3貯留室301v、第4貯留室301wを備える。各貯留室は、液体を内部に貯留可能に構成され、サブタンクユニット500と接続部材200の間でインクの流路を構成する。短手方向(X方向)において、第3貯留室301v、第1貯留室301t、第2貯留室301u、第4貯留室301wの順で各貯留室301が並んで配置されている。
【0123】
第1貯留室301t、第2貯留室301u、第3貯留室301v、第4貯留室301wの長手方向幅は、第1素子基板100m、第2素子基板100n、第3素子基板100oの吐出口列を略覆う長さであり、互いに略同一である。
【0124】
第6実施例では、液体吐出ヘッド10は、4種類のインクをサブタンクユニット500から流路部材300に供給可能に構成されている。第1素子基板100mに対しては第1貯留室301tと第3貯留室301vを介して2種類の液体が供給される。第2素子基板100nに対しては第1貯留室301tと第2貯留室301uを介して2種類の液体が供給される。第3素子基板100oに対しては第2貯留室301uと第4貯留室301wを介して2種類の液体が供給される。また、液体吐出ヘッド10は、流路部材300からサブタンクユニット500にインクを回収可能には構成されていない非循環構成である。
【0125】
図10(b)に示されるように、第1素子基板100mにおいて、第1インクは第1貯留室301t、第1共通供給路102q、第1圧力室101qの順で各流路を流れて第1吐出口104qから吐出される。また、第1素子基板100mにおいて、第2インクは第3貯留室301v、第2共通供給路102r、第2圧力室101rの順で各流路を流れて第2吐出口104rから吐出される。すなわち、第1素子基板100mには、第1貯留室301tから第1インクが供給され、第3貯留室301vから第2インクが供給される。
【0126】
図10(b)に示されるように、第2素子基板100nにおいて、第1インクは第1貯留室301t、第3共通供給路102s、第3圧力室101sの順で各流路を流れて第3吐出口104sから吐出される。また、第2素子基板100nにおいて、第3インクは第2貯留室301u、第4共通供給路102t、第4圧力室101tの順で各流路を流れて第4吐出口104tから吐出される。すなわち、第2素子基板100nには、第1貯留室301tから第1インクが供給され、第2貯留室301uから第3インクが供給される。
【0127】
図10(b)に示されるように、第3素子基板100oにおいて、第3インクは第2貯留室301u、第5共通供給路102u、第5圧力室101uの順で各流路を流れて第5吐出口104uから吐出される。また、第3素子基板100oにおいて、第4インクは第
4貯留室301w、第6共通供給路102v、第6圧力室101vの順で各流路を流れて第6吐出口104vから吐出される。すなわち、第3素子基板100oには、第2貯留室301uから第3インクが供給され、第4貯留室301wから第4インクが供給される。
【0128】
上述の通り、第6実施例は、第1貯留室301tから、第1素子基板100mの第1圧力室101qと第2素子基板100nの第3圧力室101sにインクが供給されるように構成されている。更に、第6実施例は、第2貯留室301uから、第2素子基板100nの第4圧力室101tと第3素子基板100oの第5圧力室101uにインクが供給されるように構成されている。このように、異なる記録素子基板100の流路を共通化することで、複数の記録素子基板100が走査方向(X方向)に並んで配置される構成において、液体吐出ヘッド10の走査方向(X方向)幅の大サイズ化を抑制できる。
【0129】
また、第6実施例の構成によれば、単一の記録素子基板100から2種以上のインク(例えば2色以上のインク)を吐出することができる。このような構成により、液体吐出ユニット20の統一化を図ることができるため、例えばインクの色毎に液体吐出ユニット20が設けられている構成と比較して、液体吐出ヘッド10の小サイズ化を図ることができる。
【0130】
なお、第1インク、第2インク、第3インク、第4インクは互いに同種の液体であってもよい。この場合、サブタンクユニット500から途中で分岐する共通の流路を通して各圧力室にインクを供給できる。
【0131】
以上より、第1実施形態の構成によれば、記録素子基板100の枚数、開口を含む流路構成やインクの循環、非循環によらず、複数の記録素子基板100に液体を供給するための流路を共通化することができる。ひいては、液体吐出ヘッド10の大サイズ化を抑制できる。
【0132】
なお、上述の各実施例の構成は互いに組合せることができる。例えば、第4実施例のように3枚以上の記録素子基板100が設けられた液体吐出ヘッド10において、第1実施例のように各記録素子基板100に2列以上の吐出口列が設けられていてもよい。
【0133】
また、上述の幾つかの実施例では、液体吐出ヘッド内に設けた循環ポンプを用いて液体吐出ヘッド10の内部でインクを循環可能に構成されていたが、本発明の適用はこのような構成に限られない。例えば、液体吐出ヘッド10外に循環ポンプを設けて液体を循環させる構成や、記録素子基板100より手前の接続部材200や流路部材300などで液体を循環させる構成にも、本発明は適用可能である。
【0134】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
液体を吐出する複数の吐出口が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、前記第1吐出口列の吐出口に対応して設けられる第1圧力室と、を有する第1素子基板と、
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、前記第2吐出口列の吐出口に対応して設けられる第2圧力室と、を有する第2素子基板と、
液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、
を備え、
前記第2吐出口列は、少なくとも一部が前記第1吐出口列に対して前記第1方向と直交する第2方向に隣接し、
前記複数の貯留室は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室と連通する第1貯留室と、前記第1圧力室と連通する第2貯留室と、前記第2圧力室と連通する第3貯留室と、を含む
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
(構成2)
前記第1貯留室から前記第1圧力室に供給した液体の一部を前記第2貯留室で回収し、
前記第1貯留室から前記第2圧力室に供給した液体の一部を前記第3貯留室で回収することを特徴とする構成1に記載の液体吐出ヘッド。
(構成3)
前記第2吐出口列は、前記第1吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置されることを特徴とする構成2に記載の液体吐出ヘッド。
(構成4)
前記第1素子基板は、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、を有し、
前記第2素子基板は、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第4吐出口列と、前記第4吐出口列の吐出口に対応して設けられる第4圧力室と、を有し、
前記第2貯留室は、前記第3圧力室と連通し、
前記第3貯留室は、前記第4圧力室と連通し、
前記複数の貯留室は、前記第3圧力室と連通する第4貯留室と、前記第4圧力室と連通する第5貯留室と、を含むことを特徴とする構成3に記載の液体吐出ヘッド。
(構成5)
前記第4貯留室から前記第3圧力室に供給した液体の一部を前記第2貯留室で回収し、
前記第5貯留室から前記第4圧力室に供給した液体の一部を前記第3貯留室で回収することを特徴とする構成4に記載の液体吐出ヘッド。
(構成6)
前記第1貯留室の前記第1方向の幅は、前記第2貯留室、前記第3貯留室、前記第4貯留室及び前記第5貯留室の前記第1方向の幅より大きいことを特徴とする構成5に記載の液体吐出ヘッド。
(構成7)
前記第1貯留室、前記第4貯留室及び前記第5貯留室の容積の和は、前記第2貯留室及び前記第3貯留室の容積の和より大きいことを特徴とする構成5又は6に記載の液体吐出ヘッド。
(構成8)
前記第2貯留室から前記第1圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収し、
前記第3貯留室から前記第2圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収することを特徴とする構成1に記載の液体吐出ヘッド。
(構成9)
前記第2吐出口列は、前記第1吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置されることを特徴とする構成8に記載の液体吐出ヘッド。
(構成10)
前記第1貯留室の前記第1方向の幅は、前記第2貯留室及び前記第3貯留室の前記第1方向の幅より大きいことを特徴とする構成9に記載の液体吐出ヘッド。
(構成11)
前記第2貯留室及び前記第3貯留室の容積の和は、前記第1貯留室の容積より大きいことを特徴とする構成8~10のいずれか一の構成に記載の液体吐出ヘッド。
(構成12)
前記第2吐出口列は、前記第1方向において前記第1吐出口列と同一の位置に配置されることを特徴とする構成8に記載の液体吐出ヘッド。
(構成13)
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、を有する第3素子基板を
備え、
前記第1貯留室は、前記第3圧力室と連通し、
前記第2吐出口列は、前記第1吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置され、
前記第3吐出口列は、前記第2方向において前記第1吐出口列と同一の位置に配置され、且つ一部が前記第2吐出口列に対して前記第2方向に隣接するように前記第2吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置され、
前記複数の貯留室は、前記第3圧力室と連通する第4貯留室を含むことを特徴とする構成1に記載の液体吐出ヘッド。
(構成14)
前記第2貯留室から前記第1圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収し、
前記第3貯留室から前記第2圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収し、
前記第4貯留室から前記第3圧力室に供給した液体の一部を前記第1貯留室で回収することを特徴とする構成13に記載の液体吐出ヘッド。
(構成15)
前記第2貯留室、前記第3貯留室及び前記第4貯留室の容積の和は、前記第1貯留室の容積より大きいことを特徴とする構成14に記載の液体吐出ヘッド。
(構成16)
液体を吐出する複数の吐出口が第1方向に配列されて構成される第1吐出口列と、前記第1吐出口列の吐出口に対応して設けられる第1圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第2吐出口列と、前記第2吐出口列の吐出口に対応して設けられる第2圧力室と、を有する第1素子基板と、
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第3吐出口列と、前記第3吐出口列の吐出口に対応して設けられる第3圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第4吐出口列と、前記第4吐出口列の吐出口に対応して設けられる第4圧力室と、を有する第2素子基板と、
液体を貯留する複数の貯留室を有する流路形成部材と、
を備え、
前記第3吐出口列は、少なくとも一部が前記第2吐出口列に対して前記第1方向と直交する第2方向に隣接し、
前記複数の貯留室は、前記第1圧力室及び前記第3圧力室と連通する第1貯留室と、前記第2圧力室と連通する第2貯留室と、前記第4圧力室と連通する第3貯留室と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
(構成17)
前記第3吐出口列及び前記第4吐出口列は、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列に対して前記第1方向にずれて配置されることを特徴とする構成16に記載の液体吐出ヘッド。
(構成18)
前記第1貯留室の前記第1方向の幅は、前記第2貯留室及び前記第3貯留室の前記第1方向の幅より大きいことを特徴とする構成17に記載の液体吐出ヘッド。
(構成19)
液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第5吐出口列と、前記第5吐出口列の吐出口に対応して設けられる第5圧力室と、液体を吐出する複数の吐出口が前記第1方向に配列されて構成される第6吐出口列と、前記第6吐出口列の吐出口に対応して設けられる第6圧力室と、を有する第3素子基板を備え、
前記第2貯留室は、前記第5圧力室と連通し、
前記複数の貯留室は、前記第6圧力室と連通する第4貯留室を含むことを特徴とする構成16に記載の液体吐出ヘッド。
(構成20)
前記第2吐出口列、前記第3吐出口列、前記第4吐出口列、前記第5吐出口列及び前記第6吐出口列は、前記第1方向において前記第1吐出口列と同一の位置に配置されること
を特徴とする構成19に記載の液体吐出ヘッド。
(構成21)
内部に接続流路が形成され、一端部に前記第1素子基板及び前記第2素子基板が接続され、他端部に前記流路形成部材が接続される接続部材を備えることを特徴とする構成1~20のいずれか一の構成に記載の液体吐出ヘッド。
(構成22)
前記接続流路の前記一端部は、前記第1素子基板及び前記第2素子基板に近づくにつれて前記第1方向の幅が大きくなるように構成されていることを特徴とする構成21に記載の液体吐出ヘッド。
(構成23)
前記流路形成部材は、樹脂材料と、前記複数の貯留室の内壁の一部を構成する金属材料とにより構成されていることを特徴とする構成1~20のいずれか一の構成に記載の液体吐出ヘッド。
(構成24)
前記流路形成部材は、樹脂材料と、前記複数の貯留室の内壁の一部を構成する金属材料とにより構成されていることを特徴とする構成21に記載の液体吐出ヘッド。
【符号の説明】
【0135】
10…液体吐出ヘッド、100…記録素子基板、101…圧力室、101a…第1圧力室、101b…第2圧力室、104…吐出口、104a…第1吐出口、104b…第2吐出口、300…流路部材(流路形成部材)、301…貯留室、301a…第1貯留室、301b…第2貯留室、301c…第3貯留室