(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172896
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物及びスクイズ容器入り洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20241205BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20241205BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20241205BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/28
C11D17/04
C11D3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090938
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】富田 結
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB22
4H003BA21
4H003DA05
4H003DA17
4H003DA19
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB22
4H003EB37
4H003EB41
4H003FA17
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】高温時の液切れ性及び糸引き防止性が良好であり、定量吐出スクイズ容器に収容して使用するときの定量吐出性も良好な液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)成分:下記式(a)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、(b)成分:増粘剤と、(c)成分:芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、水を含む液体洗浄剤組成物。式中、R
1は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、AOはオキシアルキレン基、mはAOの平均繰り返し数を示す0~10の数、Ma及びMbはそれぞれ独立して対イオンである。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分:下記式(a)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
(b)成分:増粘剤と、
(c)成分:芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
水を含む、液体洗浄剤組成物。
【化1】
式中、R
1は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、AOはオキシアルキレン基であり、mはAOの平均繰り返し数を示す0~10の数であり、Ma及びMbはそれぞれ独立して対イオンである。
【請求項2】
前記(a)成分/前記(b)成分で表される質量比が0.1~1000である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(b)成分/前記(c)成分で表される質量比が0.001~10である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の液体洗浄剤組成物が、スクイズ容器に収容された、スクイズ容器入り洗浄剤物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物、及びスクイズ容器入り洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤組成物を収容する容器として、容器本体をスクイズ(圧搾)して変形させると吐出口から内容液が吐出されるスクイズ容器がある。
また、容器本体を押圧したときの変形量が一定になるように設計して、一定量の内容液を吐出可能とした定量吐出スクイズ容器もある。定量吐出スクイズ容器は、例えば食器洗い機用の洗浄剤など、推奨される使用量が設定されている液体洗浄剤組成物の容器として好適である。
【0003】
液体洗浄剤組成物を定量吐出スクイズ容器に収容したスクイズ容器入り洗浄剤物品にあっては、吐出操作を繰り返したときの吐出量の変動が小さいことが望ましい。
特許文献1の実施例には、非イオン界面活性剤と、金属封鎖剤と、増粘剤((メタ)アクリル酸系ポリマー)と、水とを含む液体洗浄剤組成物を、定量吐出スクイズ容器に収容した液体洗浄剤物品が、温度変化による吐出量の変動が少ない定量吐出性、及び20℃において吐出後の液だれが生じない液切れ性(20℃)において良好な物性を有することが示されている。
特許文献2の実施例には、陰イオン界面活性剤(アルキル硫酸塩)と、陽イオン界面活性剤と、多糖系高分子(キサンタンガム)と、特定の金属封鎖剤と、水とを含む液体洗浄剤組成物を、定量吐出スクイズ容器に収容した液体洗浄剤物品が、前記定量吐出性及び前記液切れ性(20℃)において良好な物性を有することが示されている。
特許文献3の実施例には、陰イオン界面活性剤(アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩)と、芳香族スルホン酸又は芳香族カルボン酸と、増粘剤(架橋ポリアクリル酸、キサンタンガム)と、水とを含む液体洗浄剤組成物を、定量吐出スクイズ容器に収容した液体洗浄剤物品が、前記定量吐出性において良好な物性を有し、また50℃の環境下で保存したときに外観の変化が小さい高温安定性が良好であったことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-60798号公報
【特許文献2】特開2016-160279号公報
【特許文献3】特開2017-110058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、容器入り洗浄剤物品が、例えば食器洗い機の上や食器洗い機の近くなどの高温になる場所に保管されている場合など、使用時の液温が高くなる場合があることに着目した。
本発明者等の知見によれば、特許文献1~3に記載の液体洗浄剤物品は、液温が高い場合の液切れ性が充分でなく、また液温が高いと吐出後に糸引きが生じやすく、使用性の点で課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、高温時の液切れ性及び糸引き防止性が良好であり、定量吐出スクイズ容器に収容して使用するときの定量吐出性も良好な液体洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1](a)成分:下記式(a)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
(b)成分:増粘剤と、
(c)成分:芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、水を含む、液体洗浄剤組成物。
【化1】
式中、R
1は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、AOはオキシアルキレン基であり、mはAOの平均繰り返し数を示す0~10の数であり、Ma及びMbはそれぞれ独立して対イオンである。
[2]前記(a)成分/前記(b)成分で表される質量比が0.1~1000である、[1]に記載の液体洗浄剤組成物。
[3]前記(b)成分/前記(c)成分で表される質量比が0.001~10である、[1]又は[2]に記載の液体洗浄剤組成物。
[4]前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の液体洗浄剤組成物が、スクイズ容器に収容された、スクイズ容器入り洗浄剤物品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高温時の液切れ性及び糸引き防止性が良好であり、定量吐出スクイズ容器に収容して使用するときの定量吐出性も良好な液体洗浄剤組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分と(b)成分と(c)成分と水とを含む。
液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
【0009】
<(a)成分>
(a)成分は、下記式(a)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。(a)成分は、10モル以下のアルキレンオキサイドが付加していてもよい、炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するモノアルキルスルホコハク酸及びその塩、並びに10モル以下のアルキレンオキサイドが付加していてもよい、炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するモノアルケニルスルホコハク酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種ともいえる。
【0010】
【0011】
式中、R1は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、AOはオキシアルキレン基であり、mはAOの平均繰り返し数を示す0~10の数であり、Ma及びMbはそれぞれ独立して対イオンである。
【0012】
式(a)中、R1の炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R1の炭素数が8~18であると、高温時の液切れ性、高温時の糸引き防止性を向上しやすい。R1の炭素数は、10~16が好ましく、12~16がより好ましい。
【0013】
式(a)中、AOはオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基としては、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。これらの中でもオキシエチレン基が好ましい。
式(a)中、mはAOの平均繰り返し数を示す0~10の数である。mが0~10であると、高温時の液切れ性、高温時の糸引き防止性を向上しやすい。mは、0~4が好ましく、3~4がより好ましく、4が特に好ましい。
【0014】
式(a)中、Ma及びMbはそれぞれ独立して対イオンである。対イオンとしては、例えば水素イオン、水溶性の塩を形成し得るものが挙げられる。これらの中でも、水溶性の塩を形成し得るものが好ましい。水溶性の塩を形成し得るものとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化したエタノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、高温時の液切れ性、高温時の糸引き防止性の観点から、アルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが特に好ましい。
Ma及びMbは、同じ種類の対イオンであってもよいし、異なる種類の対イオンであってもよいが、同じ種類の対イオンであることが好ましい。
なお、Maが2価以上の対イオンである場合、Maは1/価数を乗じた数で-Oと結合しているものとする。例えば、Maがマグネシウムイオンの場合、Maの数は1/2である。同様に、Mbが2価以上の対イオンである場合、Mbは1/価数を乗じた数で-SO3と結合しているものとする。
【0015】
(a)成分としては、モノアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。mが0の場合、例えばスルホコハク酸モノラウリル2ナトリウムが好ましい。mが1以上の場合、例えばポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。ポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸2トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(3)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノラウリルスルホコハク酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8~18)スルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウムが挙げられる。なお、ポリオキシエチレンの後ろのカッコ内の数値は、オキシエチレン基の平均繰り返し数を表す。
(a)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(a)成分は、高温時の液切れ性、高温時の糸引き防止性の向上に寄与する。
(a)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1~20質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1.5~3質量%が特に好ましい。(a)成分の含有量が上記下限値以上であると、高温時の糸引き防止性を向上しやすい。(a)成分の含有量が上記の範囲内であると、高温時の液切れ性を向上しやすい。
【0017】
<(b)成分>
(b)成分は増粘剤である。増粘剤は、酸性多糖類を含むことが好ましい。さらに、酸性多糖類以外の他の増粘剤を含んでもよい。
「酸性多糖類」とは、2つ以上の単糖から構成され、かつ、水に溶解したときに無機カチオンと塩を形成し得る、酸性の官能基を有する糖類をいう。好ましくは、水に溶解する水溶性高分子であって、特に酸性側のpH領域で粘性を示したりゲル化したりする性質を有する増粘多糖類である。
【0018】
酸性多糖類の構成単位となる単糖としては特に限定されないが、例えばグルコース、ガラクトース(D形、L形)、キシロース、マンノース、ラムノース、フコース、アラビノース等の中性糖;グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸;グルコサミン、ガラクトサミン等のアミノ糖などが挙げられる。
酸性の官能基としては特に限定されないが、例えば-COOH(カルボキシ基)、-SO3H(スルホ基)、-OSO3H、-CH2OSO3Hなどが挙げられる。
酸性多糖類としては、例えばキサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、大豆多糖類、アルギン酸、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、ヒアルロン酸、アガロペクチン、ポルフィラン、フコイダン(硫酸化フカン)、アスコフィランなどが挙げられる。
これらの中でも、キサンタンガム、ジェランガムが好ましく、キサンタンガムがより好ましい。
酸性多糖類は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
酸性多糖類以外の他の増粘剤として、液体洗浄剤において公知の増粘剤を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アクリル酸系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー等の水溶性高分子等が挙げられる。
他の増粘剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
(b)成分は、高温時の液切れ性、定量吐出性の向上に寄与する。
(b)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.01~1質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましく、0.1~0.3質量%がさらに好ましい。(b)成分の含有量が上記下限値以上であると、高温時の液切れ性を向上しやすく、上記上限値以下であると、高温時の糸引き防止性を向上しやすい。また(b)成分の含有量が上記範囲内であると、定量吐出性を向上しやすい。
(b)成分の総質量のうち酸性多糖類の割合は50~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましい。
【0021】
(a)成分/(b)成分で表される質量比(以下、「a/b比」ともいう。)は、0.1~1000が好ましく、1~300がより好ましく、1~100が特に好ましい。a/b比が上記下限値以上であると、高温時の糸引き防止性を向上しやすい。a/b比が上記範囲内であると、高温時の液切れ性を向上しやすい。
【0022】
<(c)成分>
(c)成分は、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。(c)成分は陰イオン性界面活性剤を含まない。
(c)成分は、下記一般式(c1)で表される芳香族スルホン酸又はその塩、及び一般式(c2)で表される芳香族カルボン酸又はその塩であることが好ましい。
【0023】
【0024】
式(c1)、(c2)中、M2、M3は水素原子又はアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアミン類、アルカノールアミン類を示す。R2~R5はそれぞれ水素原子又は炭素数1~3のアルキル基、アルケニル基、カルボニル基を示す。
【0025】
(c)成分の具体例としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩等が挙げられる。
なかでも、定量吐出性の観点から、安息香酸、クメンスルホン酸、m-キシレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びこれらの塩が好ましく、m-キシレンスルホン酸又はその塩がより好ましい。
(c)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0026】
(c)成分は定量吐出性の向上に寄与する。
(c)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましく、2~4質量%が特に好ましい。(c)成分の含有量が上記の範囲内であると、定量吐出性を向上しやすい。
【0027】
液体洗浄剤組成物中、(b)成分/(c)成分で表される質量比(以下、「b/c比」とも記す。)は、0.001~10が好ましく、0.01~1がより好ましく、0.01~0.5が特に好ましい。b/c比が上記範囲内であると、定量吐出性を向上しやすい。
【0028】
<水>
液体洗浄剤組成物は水を含む。
液体洗浄剤組成物の水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、70~99質量%が好ましく、80~95質量%がより好ましい。水の含有量が上記範囲内であると、液体洗浄剤組成物を調製しやすくなる。
【0029】
<他の成分(任意成分)>
本発明の液体洗浄剤組成物には、本発明の目的に反しない限り、液体洗浄剤に通常含まれる如何なる成分も含むことができる。例えば、(a)成分以外の界面活性剤、シリコーン系消泡剤、酵素、キレート剤、安定化剤、溶剤、植物抽出エキス、吸油剤、食器保護剤、着色剤、(c)成分以外のハイドロトロープ剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、漂白剤のような通常、液体洗浄剤組成物に用いられる物質を使用できる。
【0030】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基を有するスルホン酸、硫酸エステル、カルボン酸、リン酸エステル及びこれらの塩が挙げられる。
【0031】
アミドアミン型界面活性剤としては、例えば、特開2021-4333号公報に記載の式(a-1)で表される化合物が挙げられる。
アミドアミン型界面活性剤の具体例としては、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジプロピルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノエチルアミド、アラキジン酸ジエチルアミノエチルアミド、アラキジン酸ジプロピルアミノエチルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジエチルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、ミリスチン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パルミチン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0032】
液体洗浄剤組成物の外観安定性の点で、(a)成分以外の他の界面活性剤は、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド及びベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
(a)成分と他の界面活性剤との合計質量に対し、(a)成分の割合は50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、80~100質量%が特に好ましい。
【0033】
シリコーン系消泡剤としては、特に限定されず、これまで液体洗浄剤組成物に用いられる一般的な消泡剤のいずれも用いることができる。シリコーン系消泡剤としては、オイル型、コンパウンド型、自己乳化型コンパウンド型、粉体型など特に制限されるものではないが、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリオルガノシロキサン油又は樹脂の分散液又はエマルジョン、及びポリオルガノシロキサンがシリカ上に化学吸着又は溶融されたポリオルガノシロキサンとシリカ粒子の組み合わせ等を挙げることができ、例えば、FS Antifoam 1266(ダウケミカル社製)、FS Antifoam 93(ダウケミカル社製)等が好ましい。
【0034】
酵素としては、これまで液体洗浄剤組成物に用いられる一般的な酵素のいずれも用いることができ、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、グルカナーゼ等が挙げられる。
【0035】
キレート剤としては、これまで液体洗浄剤組成物に用いられる一般的なキレート剤のいずれも用いることができ、例えば高分子キレート剤、低分子キレート剤が挙げられる。
高分子キレート剤は、重量平均分子量が1000以上のキレート剤が好適である。
高分子キレート剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-マレイン酸共重合体、メタクリル酸-マレイン酸共重合体、エチレン-マレイン酸共重合体、及びこれらの塩等が挙げられる。高分子キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
なお、高分子キレート剤の重量平均分子量は、ポリアクリル酸ナトリウムを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される値を示す。
【0036】
低分子キレート剤は、分子量が800以下のキレート剤が好適である。低分子キレート剤の分子量は、100以上800以下が好ましく、150以上500以下がより好ましい。
低分子キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β-アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、トリポリリン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。低分子キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
【0037】
ハイドロトロープ剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のポリオール等が挙げられる。
【0038】
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン等の有機塩基;塩酸、硫酸等の無機酸;シュウ酸等の有機酸等が挙げられる。液体洗浄剤組成物の保存安定性とコスト面から、無機塩基のなかでは水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、特に保存安定性、液流動性等の観点から水酸化カリウムが好ましい。有機塩基のなかではモノエタノールアミンが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤の含有量は、液体洗浄剤組成物を所定のpHに調整する量を適宜設定すればよい。
【0039】
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、5~10が好ましく、6~9がより好ましい。
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、JIS Z 8802:2011の「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値である。
【0040】
<製造方法>
本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、常法に準じて製造することができる。
例えば、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、水の一部と、必要に応じてpH調整剤以外の任意成分を混合し、必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpHに調整した後、残りの水を混合することで、液体洗浄剤組成物を製造できる。pH調整剤を添加する工程で中和熱により反応液の液温が生じる場合など、必要に応じて常温まで冷却する工程を設けてもよい。
【0041】
<使用方法>
本発明の液体洗浄剤組成物を用いて洗浄対象物を洗浄する方法としては、液体洗浄剤を原液のまま洗浄対象物に接触させて洗浄した後、水ですすぐ方法、液体洗浄剤を原液のまま洗浄対象物に接触させて洗浄した後、拭き取る方法、液体洗浄剤を水と混合した希釈液を洗浄対象物に接触させて洗浄した後、水ですすぐ方法、液体洗浄剤を水と混合した希釈液を洗浄対象物に接触させて洗浄した後、拭き取る方法等が挙げられる。
洗浄は機械力をかける洗浄方法でもよい。例えば、前記原液又は希釈液を含ませたスポンジ等で洗浄対象物を擦って洗浄してもよい。前記原液又は希釈液を洗浄対象物に塗布し、スポンジ等で擦って洗浄してもよい。前記洗希釈液に洗浄対象物を浸し、スポンジ等で擦って洗浄してもよい。原液を食器洗い機内に吐出し、食器洗い機を運転させて洗浄してもよい。
洗浄対象物は、物品等の硬表面が好ましい。例えば浴室の硬表面、浴室用品、トイレの硬表面、トイレ用品、台所の硬表面、台所用品(食器、調理器具等)が例示できる。
硬表面とは、プラスチック類、陶磁器、ガラス、ステンレス等の硬質な材質からなる表面を意味する。
【0042】
本発明の液体洗浄剤組成物は、食器洗い機用として好適に用いることができ、食器洗い機の機種や、食器等の汚れの程度に応じて使用すればよい。
液体洗浄剤組成物を用いて食器洗い機により洗浄対象物を洗浄する方法としては、洗浄とすすぎの各工程をいずれも有する方法が挙げられる。
洗浄方法としては、例えば、常温(好ましくは5~30℃程度)の水道水を食器洗浄機庫内に導入して調製される洗浄液を、所定の洗浄温度(洗浄時に循環する洗浄液の温度)まで昇温しながら洗浄対象物を洗浄する工程(以下「洗浄工程」という。)と、洗浄後の洗浄対象物を、常温の水道水ですすぐ工程(以下「すすぎ(1)工程」という。)と、常温の水道水を、好ましくは70~75℃まで2~3℃/分で昇温しながら、前記すすぎ(1)工程後の洗浄対象物をさらにすすぐ工程(以下「すすぎ(2)工程」という。)を有する方法が挙げられる。洗浄工程での洗浄時間は、10~40分間が好ましい。
一般的な標準コースの場合、洗浄工程における洗浄温度が55~65℃程度、昇温速度が2~3℃/分程度である。低温コースは、例えば、洗浄温度が35~45℃程度、昇温速度が1℃/分程度である。本発明の液体洗浄剤組成物は、低温洗浄においても油汚れに対する洗浄力に優れ、例えば、洗浄温度が35℃であっても、優れた洗浄力を発揮する。
液体洗浄剤組成物の1回の使用量は、いずれのコースにおいても、水道水約3リットルに対して2~9gとすることが好ましい。
【0043】
<スクイズ容器入り洗浄剤物品>
本発明のスクイズ容器入り洗浄剤物品、液体洗浄剤組成物がスクイズ容器に収容された物品である。
スクイズ容器は特に限定されず、公知のスクイズ容器を用途に応じて用いることができる。スクイズ容器の容量は、例えば100~1000mLが好ましい。
スクイズ容器として、定量吐出スクイズ容器が好ましい。例えば、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体を備え、容器本体の所定の位置を押すと所定の変形量でスクイズ変形できるように構成された定量吐出スクイズ容器が好ましい。
具体例として、特開2016-160279号公報に記載の、定量吐出スクイズ容器が挙げられる。
1回のスクイズ変形で吐出される液体洗浄剤組成物の量は、例えば2~9gが好ましい。
【0044】
<作用効果>
以上説明した液体洗浄剤組成物は、(a)成分と(b)成分と(c)成分と水を含むため、高温時の液切れ性及び糸引き防止性が良好となる。したがって、吐出口から吐出して使用するスクイズ容器入り洗浄剤物品に好適である。
加えて、定量吐出スクイズ容器に収容して使用するときの定量吐出性が良好である。したがって、定量吐出スクイズ容器入り洗浄剤物品に好適である。
特に、(b)成分及び(c)成分と組み合わせる界面活性剤として特定の(a)成分を用いることにより、かかる効果が得られると考えられる。
【実施例0045】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0046】
<使用原料>
[(a)成分]
a-1:前記式(a)中のmは0、Ma及びMbはナトリウムイオン、R1は炭素数10、12、14の混合品(モノアルキルスルホコハク酸ナトリウムEO0)、東邦化学株式会社製、商品名『コハクール L-40』。
a-2:前記式(a)中のAOはオキシエチレン基(EO)、mは3、Ma及びMbはナトリウムイオン、R1は炭素数10、12の混合品(モノアルキルスルホコハク酸ナトリウムEO3)、東邦化学株式会社製、商品名『コハクール L-300』。
a-3:前記式(a)中のAOはEO、mは4、Ma及びMbはナトリウムイオン、R1は炭素数12、14、16の混合品(モノアルキルスルホコハク酸ナトリウムEO4)、東邦化学株式会社製、商品名『コハクール L-400』。
a-4:前記式(a)中のAOはEO、mは9、Ma及びMbはナトリウムイオン、R1は炭素数12、13、14の混合品(モノアルキルスルホコハク酸ナトリウムEO9)、株式会社日本触媒社製、商品名『ソフタノール MES-9』。
【0047】
[(a’)成分:比較成分]
a’-1:SAS(第2級アルカンスルホン酸、商品名「SAS30」、クラリアント・ジャパン社製)。
a’-2:C10AS(直鎖アルキル(炭素数10)硫酸エステルナトリウム、Fluorochem Ltd.製、商品名「n-Decyl sodium sulfate」)。
a’-3:LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C10~14)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名『ライポンLS-250』)。
a’-4:AES(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(C12~14、EO=2)、新日本理化株式会社製、『シノリン SPE-1250』)。
a’-5:AOS(α―オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、『リポランLB-440』)。
a’-6:DSS(ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、(ライオン・スペシャリティ・ ケミカルズ株式会社製、商品名『リパール870P』)。
【0048】
[(b)成分]
b-1:キサンタンガム、ケルコ社製、商品名『KELZAN T』。
b-2:ジェランガム、三昌株式会社製、商品名『KELCO-CRETE DG』。
【0049】
[(c)成分]
c-1:m-キシレンスルホン酸、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社製、商品名『SXA』。
c-2:p-トルエンスルホン酸、明友産業株式会社製。
c-3:安息香酸ナトリウム、富士フイルム和光純薬工業社製。
c-4:クメンスルホン酸ナトリウム、テイカ社製、商品名『テイカトックスN5040』。
【0050】
[任意成分]
プロピレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製、試薬。
シリコーン化合物:ダウ・ケミカル日本株式会社製、商品名『DOWSIL FS Antifoam 93』。
【0051】
[pH調整剤]
・水酸化ナトリウム:関東化学株式会社製、48%水酸化ナトリウム。
・硫酸:富士フイルム和光純薬株式会社製、試薬特級。
【0052】
<実施例1~15、比較例1~9>
表1~3に示す組成に従い、溶媒の水に(a)成分、(b)成分、(c)成分、任意成分を溶解し、pH調整することにより、各例の液体洗浄剤組成物0.8kgをそれぞれ調製した。
具体的には、1Lビーカー(直径12cm)内に、水を合計量として組成物全体の40質量%となるように投入した。撹拌機(新東科学株式会社製、HEIDON FBL1200スリーワンモーター)に直径7.5cm、幅1.5cm、角度45度の4枚羽パドルを装備し、その後、内容物が飛び散らないように回転数400~900rpmで撹拌しながら、(a)成分又は(a’)成分、(b)成分、任意成分のプロピレングリコール、(c)成分を添加し、次いでpH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)でpHを7.5に調整した。その後、常温まで冷却し、前記撹拌機の回転数650rpmで撹拌しながら残りの任意成分を添加し、pH調整剤でpHを7に調整した。添加終了後、さらに回転数650rpmで5分間撹拌し、組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、回転数650rpmで1分間撹拌することにより液体洗浄剤組成物を得た。
表中の各成分の含有量の単位は質量%であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。
液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は、25℃に調整した液体洗浄剤組成物について、ガラス電極式pHメーター(HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。測定方法は、JIS Z 8802:2011「pH測定方法」に準拠した。
【0053】
<評価>
各実施例及び比較例の液体洗浄剤組成物について、以下に示す各評価を行った。評価結果を表1~3に示す。
[定量吐出性]
定量吐出スクイズ容器(花王社製品名「キュキュット ウルトラクリーン」の容器)を用いた。このスクイズ容器は、吐出口を下向きにした状態で、容器側面の所定位置を指でペコっと凹むまで押して変形させると、吐出口から1回分の液体洗浄剤組成物が勢いよく吐出されるようになっている。
前記スクイズ容器に、液体洗浄剤組成物を400g充填して洗浄剤物品を得た。吐出口を開口させた状態で、容器を手で持って吐出口が下向きになるよう反転させ、容器側面を指で押して液体洗浄剤組成物を吐出させた。吐出口から勢いよく吐出された1回分の液体洗浄剤組成物の量(単位:g)を測定した。この吐出操作を5回行い平均の吐出量を求めた。液温を5℃、20℃、40℃に変更し、各温度で同様にして平均の吐出量を測定した。平均の吐出量を用い、下記計算式により吐出量差を算出した。測定者3名が同様に測定してそれぞれの吐出量差を求め、3名の吐出量差の平均値を求めた。例示として実施例3と比較例9における3名(測定者A、B、C)の測定結果を表4に示す。
吐出量差の平均値に基づき、下記評価基準で定量吐出性を評価した。◎◎、◎、○を合格とした。
吐出量差=5℃での吐出量/40℃での吐出量
(評価基準)
◎◎:吐出量差が0.9以上1以下。
◎:吐出量差が0.7以上0.9未満。
○:吐出量差が0.5以上0.7未満。
×:吐出量差が0.5未満。
【0054】
[高温時の液切れ性]
上記定量吐出性の評価において、液温40℃で上記吐出操作を行った際に、1回分の液体洗浄剤組成物が勢いよく吐出し終えた後に吐出口から液だれした量を測定した。3名の測定者が5回ずつ吐出操作を行い、15個の測定値の平均値を液だれ量とした。下記評価基準で液切れ性を評価した。◎、○を合格とした。
(評価基準)
◎:液だれ量が0.5g未満。
○:液だれ量が0.5g以上1g未満。
×:液だれ量が1g以上。
【0055】
[高温時の糸引き防止性]
上記定量吐出性の評価において、容器側面を指で押して1回分の液体洗浄剤組成物が勢いよく吐出し終えた後に、吐出口を下向きに保ったまま指を元に戻し、吐出口からの液体洗浄剤組成物の糸引きについて評価した。具体的には、液温40℃で上記吐出操作を行った際に、指を元に戻した後も吐出口から排出されている液体洗浄剤組成物について、下記評価基準にて糸引き防止性を評価した。◎、〇を合格とした。
(評価基準)
◎:指を元に戻した後の糸引きは全くない。
○:指を元に戻した後の糸引きはわずかに見られたが、すぐに切れる。
×:指を元に戻した後の糸引きが見られ、しばらく切れない。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
実施例1~14の液体洗浄剤組成物は、定量吐出性、高温時の切れ性及び糸引き防止性がいずれも合格となる液物性を有していた。
(a)成分を含まない比較例1は、高温時の切れ性及び糸引き防止性が不合格であった。
(a)成分の代わりに陰イオン界面活性剤である(a’-1)~(a’-6)成分を用いた比較例2~7でも、高温時の切れ性及び糸引き防止性が不合格であった。
(b)成分を含まない比較例8は、定量吐出性及び高温時の切れ性が不合格であった。
(c)成分を含まない比較例9は、定量吐出性が不合格であった。