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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172897
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 390
A61B5/055 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090939
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 直子
(72)【発明者】
【氏名】武内 大樹
(72)【発明者】
【氏名】田端 優吾
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB01
4C096AC01
4C096AC08
4C096AD10
4C096AD18
4C096AD19
4C096AD24
4C096BB32
4C096CA15
4C096CA17
4C096CC12
4C096CC40
4C096DC28
4C096EB05
4C096EB06
4C096EB10
4C096FC20
(57)【要約】
【課題】磁気共鳴イメージング装置において、関心領域の中心位置とアイソセンターとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援することである。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、撮像用のコイルをセットした被検体の関心領域の中心位置を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、アイソセンターの位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置を移動する際に目標となる位置である目標位置を算出する、算出手段と、前記算出手段が算出した前記目標位置に関する目標位置情報を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用のコイルをセットした被検体の関心領域の中心位置を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、アイソセンターの位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置を移動する際に目標となる位置である目標位置を算出する、算出手段と、
前記算出手段が算出した前記目標位置に関する目標位置情報を出力する出力手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記出力手段により出力された前記目標位置情報を表示する表示手段を、さらに備える請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記被検体を載置する天板と、
前記出力手段により出力された前記目標位置情報に基づいて、前記天板の位置を制御する制御手段と、
をさらに備える請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記出力手段により出力された前記目標位置情報に基づいて、前記関心領域の中心位置を前記目標位置に近づけるように、前記天板の位置を制御する、
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記撮像用のコイルをセットした被検体を撮影するカメラを更に備え、
前記推定手段は、前記カメラにより撮影された前記撮像用のコイルをセットした被検体を少なくとも含む撮影画像に基づいて、前記関心領域の中心位置を推定する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記推定手段は、
前記撮影画像に基づいて、前記被検体の頭部にセットされた前記コイルのチルト角度と、前記被検体の前記頭部の大きさと、を認識し、
前記チルト角度と前記頭部の大きさとに基づいて、前記頭部の中心位置を推定する、
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記推定手段は、
前記撮影画像に基づいて、前記コイルの高さと、前記高さの方向及び前記被検体の長手方向のいずれとも直交する方向における、前記被検体の腕部又は脚部にセットされたコイルの位置とを認識し、
前記コイルの高さと、前記高さの方向及び前記被検体の長手方向のいずれとも直交する方向における前記コイルの位置とに基づいて、前記腕部又は前記脚部の中心位置を推定する、
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記推定手段は、前記カメラにより撮影された前記撮影画像に加えて、前記被検体にセットされた前記コイルに関するコイル情報に更に基づいて、前記関心領域の中心位置を推定する、
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記コイルに設けられた、前記コイルの位置を示すマーカーを撮影するカメラをさらに備え、
前記推定手段は、前記カメラにより撮影された前記マーカーを少なくとも含む撮影画像に基づいて、前記関心領域の中心位置を推定する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
ボアを有する磁石架台をさらに備え、
前記算出手段は、
前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、アイソセンターの位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置を前記アイソセンターの位置に移動させることができない場合、前記ボアの内壁と接触しない範囲における、前記アイソセンターの位置に近接する位置を前記目標位置として算出する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記算出手段は、
前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、アイソセンターの位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置を前記アイソセンターの位置に移動させることができる場合、前記アイソセンターの位置を前記目標位置として算出する、
請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記算出手段は、
前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、アイソセンターの位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置と、前記アイソセンターの位置との第1差分を算出し、
前記コイルの大きさ及び/又は前記被検体の体勢と、前記ボアの口径とに基づいて、少なくとも前記被検体及び前記コイルのいずれもが前記ボアの内壁と接触しない範囲を算出する、
請求項10又は請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記出力手段は、前記目標位置情報として、前記第1差分を出力する、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
前記算出手段は、前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、前記アイソセンターの位置に近接する位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置と前記前記アイソセンターの位置に近接する位置との第2差分を算出し、
前記出力手段は、前記目標位置情報として、前記第2差分を出力する、
請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
前記コイルのチルト角度は、調整可能である、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
ボアを有する磁石架台と、
前記天板を前記ボア内で移動可能に支持するレールと、
をさらに備える請求項3又は請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項17】
前記天板の位置に対応して、前記レールの位置を制御するレール制御手段を、さらに備える請求項16に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項18】
前記天板に設けられ、前記天板が前記レール上を移動することを可能にするキャスターをさらに備え、
前記制御手段は、前記キャスターに対する前記天板の位置を制御する、
請求項16に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置において、より高画質な画像を取得するためには、患者である被検体の撮像対象となる部位の中心位置、つまり関心領域の中心位置を、磁気共鳴イメージング装置のアイソセンターに近づける必要がある。しかし、患者の負担を低減するように患者の体勢を調整すると、関心領域の中心位置がアイソセンターからずれてしまう場合がある。このため、関心領域の中心位置とアイソセンターとの間のずれを、磁気共鳴イメージング装置の奥行き方向、左右方向、及び、高さ方向で調整する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-207683号公報
【特許文献2】特表2007-501647号公報
【特許文献3】特開平10-225525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、磁気共鳴イメージング装置において、関心領域の中心位置とアイソセンターとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、撮像用のコイルをセットした被検体の関心領域の中心位置を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された前記関心領域の中心位置と、アイソセンターの位置とに基づいて、前記関心領域の中心位置を移動する際に目標となる位置である目標位置を算出する、算出手段と、前記算出手段が算出した前記目標位置に関する目標位置情報を出力する出力手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示す、天板に載置された被検体を上から見た図。
図3】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置で実行される天板制御処理を説明するフローチャート図。
図4】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、受信コイルのセットの一例を説明する図。
図5】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、関心領域の中心位置とアイソセンターの位置とを説明する図。
図6】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、関心領域の中心位置とアイソセンターの位置に近接する位置とを説明する図。
図7】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、高さ方向における天板の位置の制御の一例を示す図。
図8】第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、奥行き方向における天板の位置の制御の一例を示す図。
図9】第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図。
図10図9に示す、天板に載置された被検体を上から見た図。
図11】変形例1に係る磁気共鳴イメージング装置の一例を示す図。
図12】変形例1を適用した第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を説明する図。
図13】第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図。
図14】第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置で実行される目標位置表示処理の内容を説明するフローチャート図。
図15】第4実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置で実行される天板制御処理の内容を説明するフローチャート図。
図16】第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一例を示すブロック図。
図17】第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、関心領域の中心位置をアイソセンターに合わせた場合を示す図。
図18】第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一例を示すブロック図。
図19】第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において、関心領域の中心位置をアイソセンターに合わせた場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、磁気共鳴イメージング装置の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0008】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の一例を示すブロック図である。磁気共鳴イメージング装置1は、被検体Pの断層画像としてMR(Magnetic Resonance)画像を取得するための装置である。第1実施形態では、図1に示すように、被検体Pの頭部を関心領域ROIとする場合について説明する。また、図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、例えば、磁石架台2と、カメラ3と、寝台装置4と、データ処理装置5と、を備える。図1に示す例において、被検体Pは寝台装置4が備える天板41上に仰臥位で載置されている。なお、被検体Pは例えば人体であり、理解を容易にするために示されているに過ぎない。このため、被検体Pは、磁気共鳴イメージング装置1の構成に含まれない。
【0009】
磁石架台2は、被検体Pを撮像する撮像系を有する装置である。図1に示すように、磁石架台2は、例えば、静磁場磁石201と、静磁場電源202と、傾斜磁場コイル203と、傾斜磁場電源204と、送信コイル205と、送信回路206と、受信コイル207と、受信回路208と、シーケンス制御回路209と、筐体210とを備える。図1においては、静磁場電源202、傾斜磁場電源204、送信回路206、受信回路208、シーケンス制御回路209は、磁石架台2の筐体210の外部に備えられているが、磁石架台2の筐体210の内部に備えられてもよい。以降、図面において煩雑さを避けるために、静磁場電源202、傾斜磁場電源204、送信回路206、受信回路208、シーケンス制御回路209は適宜省略する。
【0010】
磁石架台2の筐体210は、略円筒形状のボアBを有している。ここで、略円筒形状とは、中心軸に直交する断面の形状が真円状となるものだけでなく、楕円状となるものを含む意味である。そして、図1に示すように、磁石架台2の筐体210は、ボアBを囲むように、静磁場磁石201、傾斜磁場コイル203及び送信コイル205を収容している。ここで、ボアB内が、MR画像の撮像時に被検体Pが配置される撮像空間となる。つまり、撮像時において、ボアB内に天板41が挿入されることにより、天板41に載置された被検体PがボアB内に挿入される。また、図1に示すように、ボアB内には、磁気共鳴イメージング装置1のアイソセンターIが位置している。このアイソセンターIは、磁場中心位置とも呼ばれる。
【0011】
なお、ここでは、図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1が、所謂トンネル型の構造を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。磁気共鳴イメージング装置1は、被検体Pが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石201、一対の傾斜磁場コイル203及び一対の送信コイル205を配置した、所謂オープン型の構造を有していてもよい。このようなオープン型の構造では、一対の静磁場磁石201、一対の傾斜磁場コイル203及び一対の送信コイル205によって挟まれた空間が、トンネル型の構造におけるボアBに相当する。
【0012】
静磁場磁石201は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生させる。静磁場磁石201は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。なお、静磁場磁石201は、永久磁石であってもよい。
【0013】
静磁場電源202は、静磁場磁石201に電流を供給する。なお、静磁場磁石201が永久磁石である場合、磁気共鳴イメージング装置1は、静磁場電源202を備えていなくてもよい。また、静磁場電源202は、磁気共鳴イメージング装置1とは別に備えられていてもよい。
【0014】
傾斜磁場コイル203は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石201の内側に配置される。傾斜磁場コイル203は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源204から個別に電流の供給を受けて、X軸、Y軸、及びZ軸の各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル203によって発生するX軸、Y軸、及びZ軸の各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grである。また、傾斜磁場電源204は、シーケンス制御回路209の制御の下、傾斜磁場コイル203に電流を供給する。
【0015】
ここで、X軸、Y軸、及びZ軸は、磁気共鳴イメージング装置1に固有の装置座標系を構成する。例えば、Z軸方向は、傾斜磁場コイル203の円筒の軸方向に一致し、静磁場磁石201によって発生する静磁場の磁束に沿って設定される。また、Z軸方向は、寝台装置4の長手方向と同方向であり、寝台装置4上に載置された被検体Pの頭尾方向とも同方向となる。また、X軸方向は、Z軸方向に直交する水平方向に沿って設定される。Y軸方向は、Z軸方向に直交する鉛直方向に沿って設定される。
【0016】
送信コイル205は、傾斜磁場コイル203の内側に配置され、送信回路206からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信回路206は、シーケンス制御回路209の制御の下、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア(Larmor)周波数に対応するRFパルスを送信コイル205に供給する。
【0017】
受信コイル207は、被検体Pの関心領域ROIにセットされ、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を受信する撮像用のコイルである。受信コイル207は、磁気共鳴信号を受信すると、受信した磁気共鳴信号を受信回路208へ出力する。例えば、受信コイル207は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルをコイルエレメントとして組み合わせて構成されたフェーズドアレイコイルである。この受信コイル207は本実施形態におけるコイルに相当している。
【0018】
既述のように、第1実施形態では、被検体Pの関心領域ROIは頭部である。そのため、図1に示すように、頭部には頭部用の受信コイル207(ヘッドコイル)がセットされる。この図1に示す例において、頭部にセットされた受信コイル207は、頭部と接する面が任意のチルト角度θで傾いている。頭部にセットされた受信コイル207のチルト角度θは、調整可能である。例えば、頭部にセットされた受信コイル207のチルト角度θは、受信コイル207に備えられたチルト角度調整機構(図示せず)により調整されてもよく、ユーザが受信コイル207の下部に所定のチルト角度θを有するチルトマットを敷くことにより調整されてもよい。このように、被検体Pの頭部にセットされた受信コイル207がチルト角度θで傾いていることにより、仰臥位で天板41上に載置されている被検体Pの体勢が無理のないものとなり、被検体Pの負担を低減することができる。なお、図1に示す例においては、頭部と接する面が任意のチルト角度θで傾いていることとしたが、頭部と接する面は水平であってもよい。
【0019】
なお、上述した送信コイル205及び受信コイル207は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。例えば、磁石架台2は、WB(Whole Body)コイルを備えていてもよい。
【0020】
受信回路208は、受信コイル207から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路208は、受信コイル207から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路208は、生成した磁気共鳴データをシーケンス制御回路209へ送信する。
【0021】
シーケンス制御回路209は、データ処理装置5から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源204、送信回路206及び受信回路208を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源204が傾斜磁場コイル203に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路206が送信コイル205に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路208が磁気共鳴信号を検出するタイミング等が定義される。
【0022】
また、シーケンス制御回路209は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0023】
さらに、シーケンス制御回路209は、傾斜磁場電源204、送信回路206及び受信回路208を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路208から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データをデータ処理装置5へ転送する。
【0024】
カメラ3は、撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pを撮影する。このため、カメラ3は、撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pを撮影可能な位置に配置される。図1に示す例において、本実施形態に係るカメラ3は、天板41が挿入されるボアBの開口とは反対側の開口の近傍に配置されている。カメラ3により撮影された撮影画像は、撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pを少なくとも含む。本実施形態に係る撮影画像は撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pに加えて、受信コイル207や、寝台装置4、磁石架台2等を含む。この撮影画像は、データ処理装置5へ出力される。なお、図1に示す例において、本実施形態に係るカメラ3は1台であるが、カメラ3の台数は1台に限られない。すなわち、カメラの台数は任意であり、複数のカメラ3を備えてもよい。また、撮影画像が含む構成は任意であり、撮影画像は、撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pを少なくとも含んでいればよい。
【0025】
寝台装置4は、被検体Pを載置し、被検体Pを撮像空間に導入するための装置である。図1に示すように、寝台装置4は、例えば、天板41と、基台42と、天板駆動装置43と、を備える。寝台装置4は、天板41の長手方向が静磁場磁石201の中心軸すなわちZ軸と略平行になるように設置される。
【0026】
天板41は、被検体Pを載置する板状の部材である。基台42は、天板41を移動可能に支持する。本実施形態に係る基台42は、天板41を高さ方向(Y軸方向)、天板41の長手方向(Z軸方向)に沿って移動可能に支持する。基台42には、天板駆動装置43が収容される。天板駆動装置43は、データ処理装置5の処理回路54の制御の下、天板41を、高さ方向(Y軸方向)、天板41の長手方向(Z軸方向)、に移動させる。天板駆動装置43は、被検体Pが載置された天板41をY軸方向に移動させた後、天板41をZ軸方向に移動させて、ボアB内に挿入する。天板駆動装置43は、モータやアクチュエータを含む。なお、天板41はユーザによって手動でボアB内に挿入される形式であってもよい。
【0027】
データ処理装置5は、磁気共鳴イメージング装置1の全体制御やシーケンス制御回路209から受信した信号の処理を実行する装置である。図1に示すように、データ処理装置5は、例えば、メモリ51と、ディスプレイ52と、入力装置53と、処理回路54と、を備える。本実施形態では、データ処理装置5は磁石架台2とは別体として説明するが、磁石架台2にデータ処理装置5の各構成要素の一部又は全部が含まれていてもよい。
【0028】
メモリ51は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどによって構成される。メモリ51は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)などの可搬型メディアによって構成されてもよい。メモリ51は、処理回路54において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)なども含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータ、シーケンス制御回路209から送信された磁気共鳴データ、システム制御機能541を有する処理回路54によってk空間に配列されたk空間データ、接続コイル情報、装置情報等を記憶する。
【0029】
なお、これらのデータは、メモリ51ではなく、或いはメモリ51に加えて、磁気共鳴イメージング装置1が通信可能な外部メモリに記憶されてもよい。この外部メモリは、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御される。
【0030】
ここで、接続コイル情報は、撮像用の受信コイル207に関する情報である。この接続コイル情報は、例えば、受信コイル207を識別するための識別情報や受信コイル207の大きさ等の情報を含んでいる。この接続コイル情報は、本実施形態におけるコイル情報に相当している。
【0031】
また、装置情報は、磁気共鳴イメージング装置1に関する情報である。この装置情報は、例えば、アイソセンターの位置やボアBの口径等の情報を含んでいる。アイソセンターの位置とは、床面や寝台装置4の基台42等の所定の基準位置からの位置に関する情報である。
【0032】
ディスプレイ52は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ52は、被検体Pにおける関心領域を表示したり、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示したりする。例えば、ディスプレイ52は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどである。ディスプレイ52は、磁石架台2に設けられてもよい。また、ディスプレイ52は、デスクトップ型でもよいし、データ処理装置5の本体部と無線通信可能な表示装置であってもよい。ディスプレイ52は、例えばタブレット端末であってもよい。このディスプレイ52は、本実施形態における表示手段に相当している。
【0033】
入力装置53は、操作者による各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す電気信号を処理回路54に出力する。例えば、入力装置53は、撮像条件や関心領域ROIの設定などを行う入力操作を受け付ける。例えば、入力装置53は、マウスやキーボード、タッチパネル、ドラッグボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。入力装置53は、磁石架台2に設けられていてもよく、寝台装置4に設けられてもよい。また、入力装置53は、データ処理装置5の本体部と無線通信可能なディスプレイ52により実現されてもよい。入力装置53はディスプレイ52に形成されるタッチコマンドスクリーンであってもよい。
【0034】
処理回路54は、この磁気共鳴イメージング装置1の全体的な制御を行う制御回路であり、また、各種演算を行う演算回路でもある。例えば、本実施形態に係る処理回路54は、システム制御機能541と、インタフェース機能542と、画像生成機能543と、推定機能544と、算出機能545と、出力機能546と、天板制御機能547とを有する。システム制御機能541は、本実施形態に係るシステム制御手段に相当しており、インタフェース機能542は、本実施形態に係るインタフェース手段に相当しており、画像生成機能543は、本実施形態に係る画像生成手段に相当しており、推定機能544は、本実施形態に係る推定手段に相当しており、算出機能545は、本実施形態に係る算出手段に相当しており、出力機能546は、本実施形態に係る出力手段に相当しており、天板制御機能547は、本実施形態に係る制御手段に相当している。
【0035】
図1における実施形態では、システム制御機能541と、インタフェース機能542と、画像生成機能543と、推定機能544と、算出機能545と、出力機能546と、天板制御機能547にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ51に格納されている。処理回路54は、プログラムをメモリ51から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。なお、図1においては、単一の処理回路54にて、システム制御機能541と、インタフェース機能542と、画像生成機能543と、推定機能544と、算出機能545と、出力機能546と、天板制御機能547とが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路54を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。
【0036】
システム制御機能541は、磁気共鳴イメージング装置1の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、システム制御機能541は、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。システム制御機能541は、生成したシーケンス情報を、インタフェース機能542を介してシーケンス制御回路209へ送信する。また、システム制御機能541は、メモリ51に記憶された磁気共鳴データをk空間に配置したk空間データを生成し、メモリ51に格納する。
【0037】
インタフェース機能542は、シーケンス情報をシーケンス制御回路209へ送信し、シーケンス制御回路209から磁気共鳴データを受信する。また、インタフェース機能542は、磁気共鳴データを受信し、受信した磁気共鳴データをメモリ51に格納する。また、インタフェース機能542は、メモリ51から、画像生成機能543による画像処理のためのデータや画像等を取得する。
【0038】
画像生成機能543は、k空間データをメモリ51から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、MR画像を生成する。
【0039】
推定機能544は、撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pの関心領域ROIの中心位置を推定する。具体的には、推定機能544は、カメラ3により撮影された撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pを少なくとも含む撮影画像に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定する。
【0040】
なお、推定機能544が、関心領域ROIの中心位置Cを推定する方法は、カメラ3により撮影された撮影画像を用いる場合に限られない。例えば、システム制御機能541は、被検体Pのプリスキャンを行い、推定機能544は、プリスキャンによって得られたMR画像から、関心領域ROIの中心位置Cを推定してもよい。ここで、プリスキャンとは、位置決め用のMR画像を撮像するために、診断用のMR画像を撮像する前に被検体Pをスキャンすることである。
【0041】
算出機能545は、推定機能544により推定された関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置とに基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを移動する際に目標となる位置である目標位置を算出する。
【0042】
出力機能546は、算出機能545が算出した目標位置に関する目標位置情報を出力する。本実施形態に係る出力機能546は、目標位置情報を、例えば天板制御機能547に出力する。
【0043】
目標位置情報とは、後述する関心領域ROIの中心位置Cを移動する際に目標となる位置である目標位置に関する情報である。この目標位置情報は、詳しくは後述するが、例えば、関心領域ROIの中心位置Cとアイソセンターの位置Iとの差分や、関心領域ROIの中心位置Cとアイソセンターの位置Iに近接する位置との差分に関する情報である。なお、目標位置情報はこれに限られず、アイソセンターの位置Iやアイソセンターの位置Iに近接する位置等の目標位置の座標に関する情報であってもよい。
【0044】
天板制御機能547は、出力機能546により出力された目標位置情報に基づいて、天板41の位置を制御する。具体的には、天板制御機能547は、天板41を制御するための調整量を算出し、調整量に基づいて指令信号を生成し、天板駆動装置43に出力する。天板駆動装置43は、指令信号に基づいて、天板41の位置を制御する。また、天板制御機能547は、出力機能546により出力された目標位置情報に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置に近づけるように、天板41の位置を制御する。
【0045】
ここで、第1実施形態において、既述している通り、関心領域ROIが被検体Pの頭部である。図2は、図1に示す、天板41に載置された被検体Pを上から(すなわちY軸方向に)見た図である。図2に示すように、頭部は被検体Pの正中線上に位置するため、被検体Pが仰臥位で天板41の略中央に載置されている場合、X軸方向において、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIとは略一致している可能性が高い。そのため、天板駆動装置43が関心領域ROIの中心位置Cを動かす方向は主にY軸方向となる。
【0046】
図3は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1で実行される天板制御処理の内容を説明するフローチャート図である。この図3に示す天板制御処理では、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cを推定したり、目標位置を算出したり、目標位置情報を出力したり、天板41を制御したりする。
【0047】
この天板制御処理が実行される前に、被検体Pに受信コイル207がセットされる。図4は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、受信コイル207のセットの一例を説明する図である。図4に示す例において、仰臥位で天板41上に載置されている被検体Pの体勢が無理なく、被検体Pの負担を低減できるように、被検体Pの頭部にセットされた受信コイル207がチルト角度θで傾いている。そして、この天板制御処理は、被検体Pに受信コイル207がセットされた場合に実行される。
【0048】
図3に示すように、まず、磁気共鳴イメージング装置1は、撮影画像を取得する(ステップS11)。この撮影画像を取得する処理は、処理回路54における推定機能544により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、カメラ3により撮影された受信コイル207をセットした被検体Pを少なくとも含む撮影画像を取得する。
【0049】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cを推定する(ステップS13)。この関心領域ROIの中心位置Cを推定する処理は、処理回路54における推定機能544により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS11において取得した撮影画像に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定する。より具体的には、本実施形態に係る推定機能544は、撮影画像に対して、画像解析を実行することにより、被検体Pの頭部にセットされた受信コイル207のチルト角度θと、被検体Pの頭部の大きさとを認識し、認識されたチルト角度θと被検体Pの頭部の大きさとに基づいて、関心領域ROIである頭部の中心位置Cを推定する。
【0050】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、接続コイル情報を取得する(ステップS15)。この接続コイル情報を取得する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、被検体Pにセットされた受信コイル207に関する接続コイル情報を取得する。より具体的には、本実施形態に係る推定機能544は、メモリ51から、接続コイル情報として、被検体Pにセットされた受信コイル207の大きさを取得する。
【0051】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、装置情報を取得する(ステップS17)。この装置情報を取得する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、メモリ51から、装置情報を取得する。より具体的には、本実施形態に係る算出機能545は、装置情報として、アイソセンターIの位置と、ボアBの口径を取得する。
【0052】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分を算出する(ステップS19)。この差分を算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS13において、推定機能544により推定された関心領域ROIの中心位置Cと、ステップS17において取得した装置情報におけるアイソセンターIの位置とに基づいて、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分を算出する。この関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分は、本実施形態における第1差分に相当している。
【0053】
図5は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置とを説明する図である。図5に示すように、算出機能545は、関心領域ROIである頭部の中心位置Cと、アイソセンターIの位置とに基づいて、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分を算出する。
【0054】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、ボアBと接触しない範囲を算出する(ステップS21)。このボアBと接触しない範囲を算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS15において取得した接続コイル情報及び/又はステップS11において取得した撮影画像と、ステップS11において取得した装置情報とに基づいて、少なくとも被検体P及び受信コイル207のいずれもがボアBの内壁と接触しない範囲を算出する。より具体的には、算出機能545は、ステップS15において取得した接続コイル情報における受信コイル207の大きさ及び/又はステップS11において取得した撮影画像から特定した被検体Pの体勢と、ステップS11において取得した装置情報におけるボアBの口径とに基づいて、被検体P及び受信コイル207のいずれもがボアBの内壁と接触しない範囲を算出する。
【0055】
被検体P及び受信コイル207のいずれもがボアBの内壁と接触しない範囲とは、例えば、被検体PからボアBの内壁までの距離や受信コイル207からボアBの内壁までの距離等の、ボアBの内壁までの距離の範囲等である。なお、上述したステップS21においては、算出機能545は。被検体P及び受信コイル207のいずれもがボアBの内壁と接触しない範囲を算出することとしたが、被検体P及び受信コイル207に加えて、天板41及び/又はチルトマットのいずれもがボアBの内壁と接触しない範囲を算出するようにしてもよい。
【0056】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることができるか否かを判定する(ステップS23)。この移動させることができるか否かを判定する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS19で算出した、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分と、ステップS21で算出したボアBの内壁と接触しない範囲とに基づいて、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることができるか否かを判定する。より具体的には、算出機能545は、差分がボアBの内壁と接触しない範囲内に収まっているか否かを判定する。
【0057】
そして、ステップS23において、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることができる場合(ステップS23:Yes)、磁気共鳴イメージング装置1は、アイソセンターIの位置を目標位置として算出する(ステップS25)。このアイソセンターIの位置を目標位置として算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。
【0058】
一方、ステップS23において、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることができない場合(ステップS23:No)、磁気共鳴イメージング装置1は、ボアBと接触する部分を表示する(ステップS27)。このボアBと接触する部分を表示する処理は、処理回路54におけるシステム制御機能541により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS17で算出した、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分と、ステップS21で算出されたボアBの内壁と接触しない範囲に基づいて、ボアBの内壁と接触する部分をディスプレイ52に表示する。より具体的には、システム制御機能541は、ステップS21で算出されたボアBの内壁と接触しない範囲に基づいて、ステップS11で取得した撮影画像に、ボアBの内壁と接触する部分を示す情報を重畳させることにより、ボアBの内壁と接触する部分をディスプレイ52に表示する。
【0059】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、被検体P又は受信コイル207の位置が再調整されるか否かを判定する(ステップS29)。この再調整されるか否かを判定する処理は、処理回路54におけるシステム制御機能541により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ユーザが被検体P又は受信コイル207の位置を再調整するか否かを確認するための確認ボタンをディスプレイ52に表示し、確認ボタンに対するユーザの入力操作を受け付けることにより、ユーザにより被検体P又は受信コイル207の位置が再調整されるか否かを判定する。
【0060】
そして、ステップS29において、被検体P又は受信コイル207の位置が再調整されると判定した場合(ステップS29:Yes)、ユーザが被検体Pや受信コイル207の位置を再調整した後、磁気共鳴イメージング装置1は、被検体Pの位置やコイル上述したステップS11に戻り、ステップS11からの処理を繰り返す。つまり、磁気共鳴イメージング装置1は、再度、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置との差分を算出し、ボアBの内壁と接触しない範囲を算出し、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることができるか否かを判定する。ここで、受信コイル207の位置の再調整には、受信コイル207のチルト角度の再調整や受信コイル207の下に敷かれたチルトマットの位置の再調整等を含む。
【0061】
一方、ステップS29において、被検体P又は受信コイル207の位置が再調整されないと判定した場合(ステップS29:No)、磁気共鳴イメージング装置1は、アイソセンターIの位置に近接する位置を目標位置として算出する(ステップS31)。このアイソセンターIの位置に近接する位置を目標位置として算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ボアBの内壁と接触しない範囲における、アイソセンターIの位置に近接する位置を目標位置として算出する。このアイソセンターIの位置に近接する位置とは、ステップS21において算出したボアBの内壁と接触しない範囲において、アイソセンターIの位置に近い位置である。なお、アイソセンターIの位置に近接する位置は、例えば、ステップS21において算出したボアBの内壁と接触しない範囲において、アイソセンターIの位置に最も近い位置である。なお、アイソセンターIの位置に近接する位置は、アイソセンターIの位置に最も近い位置に限られず、ステップS21において算出したボアBの内壁と接触しない範囲において、アイソセンターIの位置に対する所定の位置であればよい。
【0062】
図6は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に近接する位置とを説明する図である。図6に示す例においては、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置まで移動すると、天板41をボアB内に挿入する際に、受信コイル207及び/又は被検体Pが、ボアBと接触することとなる。このため、図6に示すように、算出機能545は、ボアBの内壁と接触しない範囲における、アイソセンターIの位置に近接する位置PRを目標位置として算出している。
【0063】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に接する位置に近接する位置との差分を算出する(ステップS33)。この差分を算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS13において推定された関心領域ROIの中心位置Cと、ステップS31において算出されたアイソセンターIの位置に近接する位置PRとに基づいて、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に近接する位置PRとの差分を算出する。関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に近接する位置PRとの差分は、本実施形態における第2差分に相当している。
【0064】
ステップS25の後、又は、ステップS33の後、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、目標位置情報を出力する(ステップS35)。この目標位置情報を出力する処理は、処理回路54における出力機能546により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、天板制御機能547に、目標位置情報を出力する。より具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS25においてアイソセンターIの位置を目標位置として算出した場合、目標位置情報として、ステップS19で算出した関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置との差分を天板制御機能547に出力する。また、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS31においてアイソセンターIの位置に近接する位置PRを目標位置として算出した場合、目標位置情報として、ステップS33において算出した関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に接する位置に近接する位置との差分を天板制御機能547に出力する。
【0065】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置まで移動する(ステップS37)。この目標位置まで移動する処理は、処理回路54における天板制御機能547により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS35において出力された目標位置情報に基づいて、天板41を制御するための調整量を算出し、調整量に基づいて指令信号を生成し、天板駆動装置43に出力し、天板駆動装置43に天板41の位置を移動させることにより、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置まで移動させる。
【0066】
図7は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、高さ方向における天板41の位置の制御の一例を示す図である。図7に示す例において、磁気共鳴イメージング装置1は、天板41を制御するための調整量に基づいて、天板駆動装置43に天板41の位置を移動させることにより、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置であるアイソセンターIの位置まで移動させる。
【0067】
次に、図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、天板41をボアBに挿入する(ステップS39)。この天板41をボアBに挿入する処理は、処理回路54における天板制御機能547により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、天板41を制御することにより、天板41をボアBに挿入する。これにより、磁気共鳴イメージング装置1は、被検体PをボアB内に配置し、MR画像の撮像を行う。
【0068】
図8は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、奥行き方向における天板41の位置の制御の一例を示す図である。図8に示す例において、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cが、目標位置であるアイソセンターIの位置まで移動した状態において、天板41の位置を天板41の長手方向に制御することにより、天板41をボアBに挿入する。
【0069】
ステップS39にて天板41をボアBに挿入することにより、本実施形態に係る天板制御処理は終了する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1によれば、受信コイル207をセットした被検体Pの関心領域ROIの中心位置Cを推定し、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置とに基づいて、目標位置を算出し、目標位置に関する目標位置情報を出力し、出力された目標位置情報に基づいて天板41の位置を制御している。これにより、関心領域の中心位置CとアイソセンターIとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援することができる。
【0071】
特に、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1によれば、ボアBによって関心領域の中心位置Cの移動範囲が制限されることを考慮して、目標位置を算出し、被検体Pが載置された天板41の位置を制御することができる。これにより、ボアBを考慮する場合においても、関心領域の中心位置CとアイソセンターIとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援することができる。
【0072】
なお、上述した第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、天板制御処理のステップS27及びステップS29は省略されてもよい。すなわち、ステップS23において、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることができない場合(ステップS23:No)、磁気共鳴イメージング装置1は、アイソセンターIの位置に近接する位置を目標位置として算出してもよい。
【0073】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態においては、関心領域ROIは被検体Pの頭部であるとしたため、関心領域ROIの中心位置Cと目標位置とのズレはY軸方向に生じていた。しかしながら、受信コイル207は、撮像対象に応じて、被検体Pの任意の位置にセットされ得るものである。そして、撮像対象が腕や脚であり、受信コイル207が例えば腕部や脚部にセットされる場合、腕部や脚部は正中線上に位置しないため、関心領域ROIの中心位置Cと目標位置とのズレはY軸方向のみならず、X軸方向おいても生じる場合がある。そこで、第2実施形態においては、受信コイル207が例えば腕部や脚部にセットされた場合であっても、関心領域ROIの中心位置Cを推定し、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置とに基づいて目標位置を算出し、目標位置情報を出力し、天板41の位置を制御する磁気共鳴イメージング装置1を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0074】
図9は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における図1に対応する図である。この図9に示すように、受信コイルと、基台と、天板駆動装置と、推定機能と、算出機能と、天板制御機能との構成及び機能が上述した第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、受信コイル207aと、基台42aと、天板駆動装置43aと、推定機能544aと、天板制御機能547aと表記する。また、上述した第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1に対して、カメラ3aを追加することにより構成されている。また、受信コイル207aと、カメラ3aと、基台42aと、天板駆動装置43aと、推定機能544aと、天板制御機能547a以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における図1と同様であるので説明を省略する。
【0075】
第2実施形態では、関心領域ROIは被検体Pの右脚の膝である。そのため、図9に示すように、本実施形態に係る受信コイル207aは被検体Pの右脚の膝にセットされているものとする。その他の受信コイル207aの構成は上述した第1実施形態に係る受信コイル207と同等であるため説明を省略する。
【0076】
カメラ3aは、撮像用の受信コイル207をセットした被検体Pを撮影する。具体的には、カメラ3が受信コイル207aのY軸方向の位置を認識可能に配置されるのに対し、カメラ3aは、主に受信コイル207aのX軸方向の位置を認識可能に配置される。そのため、図4に示すように、本実施形態に係るカメラ3aは、被検体Pの上方から撮影可能となるように、磁気共鳴イメージング装置1が配置されている検査室の任意の位置に配置される。図9に示す例において、本実施形態に係るカメラ3aは、例えば、検査室の天井に配置されている。なお、受信コイル207aのY軸方向の位置は、本実施形態におけるコイルの高さに相当している。また、受信コイル207aのX軸方向の位置は、本実施形態におけるコイルの位置に相当している。
【0077】
なお、図9に示す例においては、受信コイル207aのX軸方向の位置を認識できるように、カメラ3aを配置することとしたが、カメラ3が、受信コイル207aのX軸方向の位置を認識してもよい。この場合、カメラ3aは省略してもよい。同様に、受信コイル207aのY軸方向の位置を認識できるようにカメラ3を配置することとしたが、カメラ3aが受信コイル207aのY軸方向の位置を認識してもよい。この場合、カメラ3は省略してもよい。
【0078】
基台42aは、天板41を移動可能に支持する。本実施形態に係る基台42aは、天板41を、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能に支持する。本実施形態に係る天板駆動装置43aは、データ処理装置5の処理回路54の制御の下、天板41を、X軸方向、高さ方向(Y軸方向)、天板41の長手方向(Z軸方向)、に移動させる。また、本実施形態に係る天板駆動装置43aは、被検体Pが載置された天板41をX軸方向及び/又はY軸方向に移動させた後、天板41をZ軸方向に移動させて、ボアB内に挿入する。
【0079】
推定機能544aは、カメラ3及びカメラ3aにより撮影された撮像用の受信コイル207aをセットした被検体Pを含む撮影画像に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定する。推定機能544aは、本実施形態における推定手段に相当している。その他の推定機能544aの構成は上述した第1実施形態に係る推定機能544と同等であるため説明を省略する。
【0080】
天板制御機能547aは、出力機能546により出力された目標位置情報に基づいて、天板41の位置を制御する。本実施形態に係る天板制御機能547aは、Y軸方向及びZ軸方向に加えて、X軸方向においても天板41の位置を制御することができる。天板制御機能547aは、本実施形態における制御手段に相当している。その他の天板制御機能547aの構成は上述した第1実施形態に係る天板制御機能547と同等であるため説明を省略する。
【0081】
図10は、図9に示す、天板41に載置された被検体Pを上から(すなわちY軸方向に)見た図であり、上述した第1実施形態における図2に対応する図である。図10に示すように、関心領域ROIが腕部又は脚部等の場合、X軸方向においても、関心領域ROIの中心位置CがアイソセンターIから大きくずれることが予想される。このように、受信コイル207aが被検体Pの腕部又は脚部にセットされるコイルである場合には、主にカメラ3aが、X軸方向における、被検体Pの腕部又は脚部にセットされる受信コイル207aの位置を撮影する。
【0082】
上述した図3の天板制御処理におけるステップS13において、処理回路54における推定機能544aは、ステップS11で取得したカメラ3の撮影画像に基づいて、高さ方向(Y軸方向)における受信コイル207aの高さを認識し、ステップS11で取得したカメラ3aの撮影画像に基づいて、高さ方向及び被検体Pの長手方向のいずれとも直交する方向(X軸方向)における受信コイル207aの位置を認識し、認識された受信コイル207aの高さ及び受信コイル207aの位置に基づいて、脚部における右脚の膝の中心位置を推定する。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1においては、関心領域ROIが被検体Pの腕部や脚部である場合においても、アイソセンターIを、関心領域ROIの中心位置Cを移動する際に目標となる位置である目標位置として、被検体Pが載置された天板41の位置を制御している。これにより、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援する関心領域ROIの高画質な画像の取得を支援することができる。
【0084】
〔変形例1〕
上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1においては、受信コイル207をセットした被検体を撮影するカメラ3により撮影された撮影画像に基づいて、受信コイル207のチルト角度と、被検体Pの頭部の大きさとを認識し、受信コイル207のチルト角度と、被検体Pの頭部の大きさとに基づいて、関心領域ROIである頭部の中心位置Cを推定するのに代えて、受信コイル207に設けられた、受信コイル207の位置を示すマーカーを含む撮影画像に基づいて、関心領域ROIである頭部の中心位置Cを推定するようにしてもよい。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例1として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0085】
図11は、変形例1に係る磁気共鳴イメージング装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における図1に対応する図である。この図11に示すように、受信コイルと、カメラと、推定機能と、天板制御機能との構成及び機能が第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、受信コイル207bと、カメラ3bと、推定機能544bと表記する。受信コイル207b、カメラ3b、及び、推定機能544b以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における図と同様であるので説明を省略する。
【0086】
本変形例に係る受信コイル207bには、マーカー2071が設けられている。マーカー2071は、受信コイル207bの位置を示している。このマーカー2071の位置と、受信コイル207bをセットした被検体Pの関心領域ROIである頭部の中心位置Cとは、所定の位置関係にある。所定の位置関係とは、例えば、マーカー2071の位置に対して、被検体Pの関心領域ROIである頭部の中心位置Cが、設計上、予め決まった位置になることである。例えば、このマーカー2071の位置対して、受信コイル207bをセットした被検体Pの関心領域ROIである頭部の中心位置Cが、Z軸方向において同軸上であり、X方向の位置及びY方向の位置において一致している位置等である。その他の受信コイル207bの構成は上述した第1実施形態に係る受信コイル207と同等であるため説明を省略する。
【0087】
本変形例に係るカメラ3bは、受信コイル207bに設けられた、受信コイル207bの位置を示すマーカー2071を撮影する。このため、カメラ3bは、撮像用の受信コイル207bをセットした被検体Pを撮影可能な位置に配置される。図1に示す例において、本実施形態に係るカメラ3bは、天板41が挿入されるボアBの開口とは反対側の開口の近傍に配置されている。カメラ3bにより撮影された撮影画像は、マーカー2071を少なくとも含む。本実施形態に係る撮影画像は、マーカー2071に加えて、被検体Pや受信コイル207bや、寝台装置4、磁石架台2等を含む。なお、撮影画像はマーカー2071以外の構成を含んでもよい。その他のカメラ3bの構成は上述した第1実施形態に係るカメラ3と同等であるため説明を省略する。また、撮影画像が含む構成は任意であり、撮影画像は、マーカー2071を少なくとも含んでいればよい。
【0088】
推定機能544bは、カメラ3bにより撮影されたマーカー2071を少なくとも含む撮影画像に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定する。
【0089】
上述した図3の天板制御処理におけるステップS13において、処理回路54における推定機能544bは、カメラ3bにより撮影されたマーカー2071を少なくとも含む撮影画像に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定する。具体的には、推定機能544bは、ステップS11において取得した撮影画像に対して、画像解析を実行することにより、マーカー2071の位置を認識し、認識されたマーカー2071の位置に基づいて、関心領域ROIである頭部の中心位置Cを推定する。
【0090】
なお、本変形例において、マーカー2071の位置と、受信コイル207bをセットした被検体Pの関心領域ROIである頭部の中心位置Cとは、Z軸方向において同軸上にあり、X方向の位置及びY方向の位置において一致している場合、ステップS13において、マーカー2071の位置を関心領域ROIの中心位置として推定してもよい。このように、マーカー2071の位置を関心領域ROIの中心位置として推定する場合、天板制御機能547は、マーカー2071の位置が目標位置に移動するように、天板41の位置を制御してもよい。
【0091】
以上のように、変形例1に係る磁気共鳴イメージング装置1においては、カメラ3bにより撮影されたマーカー2071を少なくとも含む撮影画像に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定することとしたので、受信コイル207bに覆われることにより、撮影画像から被検体Pの頭部の大きさが認識できない場合でも、関心領域ROIの中心位置Cを推定することができる。
【0092】
上述した変形例1の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、本変形例は、第2実施形態に対しても適用可能なことは明らかである。図12は、変形例1を適用した第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一例を説明する図である。図12に示すように、脚部にセットされた受信コイル207bにマーカー2071を設けるようにしてもよい。また、図12に示す例においては、カメラ3aは、受信コイル207bに設けられた、受信コイル207bの位置を示すマーカー2071を撮影するようにしてもよい。
【0093】
〔第3実施形態〕
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、出力機能546が目標位置情報を天板制御機能547に出力することにより、天板制御機能547が、天板41を制御して、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置に移動させることとしたが、天板41の位置を制御せずとも、ユーザが受信コイル207の下にマット等のスペーサを配置したり、被検体Pの位置をずらしたりすることで、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIに近づけることが可能な場合がある。そのような場合、天板41の位置を制御する必要はなく、ユーザに、目標位置に関する目標位置情報を認識させればよい。そこで、第3実施形態においては、目標位置に関する目標位置情報をディスプレイ52に出力する磁気共鳴イメージング装置1を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0094】
図13は、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の構成の一例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における図1に対応する図である。この図13に示すように、ディスプレイと、出力機能と、天板制御機能の機能が上述した第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、ディスプレイ52aと、出力機能546aと、天板制御機能547bと表記する。ディスプレイ52aと、出力機能546aと、天板制御機能547b以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における図1と同様であるので説明を省略する。
【0095】
本実施形態に係るディスプレイ52aは、目標位置情報を表示したり、被検体Pにおける関心領域を表示したり、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示したりする。その他のディスプレイ52aの構成は上述した第1実施形態に係るディスプレイ52と同等であるため説明を省略する。
【0096】
出力機能546aは、算出機能545が算出した目標位置に関する目標位置情報を出力する。本実施形態に係る出力機能546は、目標位置情報を、ディスプレイ52に出力する。出力機能546aは、本実施形態における出力手段に相当している。
【0097】
天板制御機能547bは、天板41の位置を制御する。本実施形態に係る天板制御機能547bは、ユーザによる被検体Pの関心領域ROIの中心位置Cの調整が完了した場合に、被検体Pが載置された天板41をボアBに挿入することにより、被検体PをボアB内に配置する。天板制御機能547bは、本実施形態における制御手段に相当している。
【0098】
図14は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1で実行される目標位置表示処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における図3に対応する図である。この図14に示す目標位置表示処理では、関心領域ROIの中心位置Cを推定したり、目標位置を算出したり、目標位置情報をディスプレイ52に出力したりする。なお、ステップS11~ステップS33までの処理は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
ステップS25及びステップS33の後、磁気共鳴イメージング装置1は、目標位置情報を出力する(ステップS41)。この目標位置情報を出力する処理は、処理回路54における出力機能546aにより実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ディスプレイ52に、目標位置情報を出力する。より具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS25においてアイソセンターIの位置を目標位置として算出した場合、目標位置情報として、ステップS19で算出した関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置との差分をディスプレイ52に出力する。また、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS31においてアイソセンターIの位置に近接する位置PRを目標位置として算出した場合、目標位置情報として、ステップS33において算出した関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に接する位置に近接する位置との差分をディスプレイ52に出力する。
【0100】
次に、図14に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は目標位置情報を表示する(ステップS43)。この目標位置情報を表示する処理は、処理回路54におけるシステム制御機能541により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、出力機能546aにより出力された目標位置情報をディスプレイ52aに表示する。
【0101】
ステップS43にて、目標位置情報をディスプレイ52aに表示することにより、本実施形態に係る目標位置表示処理を終了する。この後、ユーザは、ディスプレイ52aに表示された目標位置情報に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cが目標位置に位置づけされるように、被検体Pの位置を調整する。
【0102】
以上のように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1においては、関心領域ROIの中心位置Cを推定し、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に基づいて目標位置を算出して、目標位置に関する目標位置情報をディスプレイ52に表示している。これにより、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1は、ユーザに被検体Pの関心領域ROIの中心位置Cの調整を促すことができる。その結果、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援することができる。
【0103】
上述した第3実施形態の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、第3実施形態は、第2実施形態及び変形例1に対しても適用可能なことは明らかである。
【0104】
〔第4実施形態〕
上述した第1実施形態乃至第3実施形態においては、ボアBによって関心領域ROIの中心位置Cの移動範囲が制限されることを考慮して、目標位置を算出することとしたが、関心領域ROIの中心位置CがアイソセンターIの位置に移動した場合でも、被検体Pや受信コイル207がボアBに接触しないように設計されている場合等、ボアBによる関心領域ROIの中心位置Cの移動範囲の制限を考慮しない場合もある。そこで、第4実施形態においては、アイソセンターIの位置を目標位置として算出し、目標位置に関する目標位置情報を算出する磁気共鳴イメージング装置1を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の構成は、上述した第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の構成を説明した図1と同等であるので説明を省略する。
【0105】
図15は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1で実行される天板制御処理の内容を説明するフローチャート図である。この図15に示す天板制御処理では、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cを推定したり、目標位置を算出したり、目標位置情報を出力したり、天板41を制御したりする。なお、ステップS11~ステップS17までの処理は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0106】
ステップS17の後、図15に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、目標位置を算出する(ステップS51)。この目標位置を算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置とに基づいて、目標位置を算出する。より具体的には、算出機能545は、アイソセンターIの位置を目標位置として算出する。
【0107】
次に、図15に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分を算出する(ステップS53)。この差分を算出する処理は、処理回路54における算出機能545により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置とに基づいて、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分を算出する。
【0108】
次に、図15に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、目標位置情報を出力する(ステップS55)。この目標位置情報を出力する処理は、処理回路54における出力機能546により実現される。具体的には磁気共鳴イメージング装置1は、目標位置情報として、ステップS53で算出した関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置との差分を天板制御機能547に出力する。
【0109】
次に、図15に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置まで移動させる(ステップS57)。この目標位置まで移動させる処理は、処理回路54における天板制御機能547により実現される。具体的には、磁気共鳴イメージング装置1は、ステップS55において出力された目標位置情報に基づいて、天板41を制御するための調整量を算出し、調整量に基づいて指令信号を生成し、天板駆動装置43に出力し、天板駆動装置43に天板41の位置を制御させることにより、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIの位置まで移動させる。なお、ステップS39の処理は、上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
そして、ステップS39にて天板41をボアBに挿入することにより、本実施形態に係る天板制御処理は終了する。
【0111】
以上のように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1によれば、受信コイル207をセットした被検体Pの関心領域ROIの中心位置Cを推定し、関心領域ROIの中心位置Cと、アイソセンターIの位置とに基づいて、アイソセンターIの位置を目標位置として算出し、目標位置に関する目標位置情報を出力し、出力された目標位置情報に基づいて天板41の位置を制御している。これにより、関心領域の中心位置CとアイソセンターIとの間のずれを調整して、高画質な画像の取得を支援することができる。
【0112】
なお、上述した第4実施形態の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、第4実施形態は、第2実施形態、第3実施形態及び変形例1に対しても適用可能なことは明らかである。例えば、第4実施形態を第3実施形態に適用する場合にあっては、出力機能546aは、目標位置情報をディスプレイ52に出力し、ディスプレイ52は、出力機能546aにより出力された目標位置情報を表示するようにしてもよい。
【0113】
また、上述した第4実施形態において、磁気共鳴イメージング装置1は、アイソセンターIの位置を目標位置として算出したが、目標位置は、アイソセンターIの位置に限られず、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置との間の任意の位置を目標位置として算出してもよい。
【0114】
また、上述した第4実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、天板制御処理のステップS53は省略されてもよい。すなわち、算出機能545が関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置との差分を算出しない場合、ステップS55において、出力機能546は、目標位置情報として、アイソセンターIの位置の座標を出力するようにしてもよい。
【0115】
〔第5実施形態〕
上述した第1乃至第4実施形態においては、ボアB内に天板41を支持するレールが備えられていないが、ボアB内にレールが備えられていてもよい。そこで、第5実施形態においては、ボアB内にレールを備える磁気共鳴イメージング装置1を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0116】
図16は、第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における図1に対応する図である。本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1は、上述した第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1に対して、レール211と、レール支持部材212と、レール駆動装置213と、レール制御機能548とを追加することにより構成されている。また、レール211と、レール支持部材212と、レール駆動装置213と、レール制御機能548以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における図1と同様であるので説明を省略する。
【0117】
レール211は、天板41をボアB内で移動可能に支持する。レール211は、筐体210のボアB内の下側に、ボアBの軸方向に沿って延在するように設けられている。天板41は、レール211上と基台42上とをZ軸方向に移動可能である。天板41は、レール211上をスムーズに移動するためにレール211に嵌合するキャスターを備えていてもよい。
【0118】
レール支持部材212は、レール211を高さ方向(Y軸方向)に沿って移動可能に支持する。レール支持部材212には、レール駆動装置213が収容される。なお、天板41がX軸方向に沿って移動可能である場合には、レール支持部材212は、レール211をX軸方向に沿って移動可能に支持するようにしてもよい。
【0119】
レール駆動装置213は、レール制御機能548の制御下で、レール211を高さ方向(Y軸方向)に移動させる。具体的には、レール駆動装置213は、天板41の位置に対応して、レール211を高さ方向(Y軸方向)に移動させる。なお、天板41がX軸方向に沿って移動可能である場合には、レール駆動装置213は、レール211をX軸方向に沿って移動させてもよい。
【0120】
レール制御機能548は、天板41の位置に対応して、レール211の位置を制御する。具体的には、レール制御機能548は、天板制御機能547から天板41の位置を読み取ることにより、天板41の位置に基づいて、レール211の位置を制御する制御信号を生成する。そして、レール制御機能548は制御信号をレール駆動装置213に送信し、レール駆動装置213は制御信号に基づいてレール211の位置を天板41の位置に対応する位置に移動させる。
【0121】
なお、レール制御機能548は、天板制御機能547から天板の位置を読み取ることにより、レール211の位置を制御することとしたが、レール211の制御方法はこれに限られない。出力機能546がレール制御機能548に目標位置情報を出力し、レール制御機能548は、出力機能546により出力された目標位置情報に基づいて、レール211の位置を制御するようにしてもよい。このレール制御機能548は、本実施形態に係るレール制御手段に相当している。
【0122】
上述した図3の天板制御処理におけるステップS37において、処理回路54における天板制御機能547が天板41の位置を移動させるとともに、処理回路54におけるレール制御機能548は、天板制御機能547から天板41の位置を読み取ることにより、天板41の位置に基づいて、レール211の位置を制御する制御信号を生成する。そして、レール制御機能548は制御信号をレール駆動装置213に送信し、レール駆動装置213は制御信号に基づいてレール211の位置を天板41の位置に対応する位置に移動させる。
【0123】
図17は、第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIに合わせた場合の一例を示す図である。図17に示すように、処理回路54におけるレール制御機能548は、天板41の位置が天板駆動装置43によって高さ方向(Y軸方向)に移動すると、天板41の位置に対応して、レール211をレール駆動装置213によって高さ方向(Y軸方向)に移動させる。
【0124】
以上、第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1によれば、ボアB内において、天板41を、レール211に沿って移動させることができる。このため、ボアB内に天板41が挿入された場合において、MR画像撮像時の天板41の位置ずれや振動、撓みを抑制することができる。これにより、より高画質なMR画像の取得を支援することができる。
【0125】
なお、上述した第5実施形態の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、第5実施形態は、第2実施形態乃至第4実施形態、及び、変形例1に対しても適用可能なことは明らかである。
【0126】
また、上述した第5実施形態において、レール211は、レール制御機能548の制御の下、自動で移動することとしたが、レール211はユーザが手動で移動させてもよい。
【0127】
〔第6実施形態〕
上述した第5実施形態においては、レール211の位置は可変であるが、レール211の位置は固定されていてもよい。そこで、第6実施形態においては、位置が固定されたレールを備える磁気共鳴イメージング装置1を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0128】
図18は、第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の一例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における図1に対応する図である。この図18に示すように、基台と、天板駆動装置と、天板制御機能との構成及び機能が上述した第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、基台42bと、天板駆動装置43bと、天板制御機能547cと表記する。上述した第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1に対して、レール211aと、キャスター44と、天板支持手段45と、キャスター制御機能549と追加することにより構成されている。また、図18に示すように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1は、レール211aと、基台42bと、天板駆動装置43bと、キャスター44と、天板支持手段45と、キャスター制御機能549以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における図1と同様であるので説明を省略する。
【0129】
レール211aは,天板41をボアB内で移動可能に支持する。レール211aは、筐体210のボアB内の下側に、ボアBの軸方向に沿って延在するように設けられている。また、本実施形態に係るレール211aは、基台42bと同じ高さに位置している。
【0130】
基台42aは天板41を支持する。キャスター44は、天板41に設けられ、天板41がレール211a上を移動することを可能にする。また、キャスター44は、キャスター制御機能549の制御の下で、天板41が基台42b上をZ軸方向に移動することを可能にする。
【0131】
天板駆動装置43bは、天板支持手段45を介して、天板制御機能547の制御の下、キャスター44に対する天板41の位置を、高さ方向(Y軸方向)、天板41の長手方向(Z軸方向)に移動させる。天板駆動装置43bは、被検体Pが載置された天板41を高さ方向に移動させた後、天板41をZ軸方向に移動させて、ボアB内に挿入する。天板駆動装置43bは、モータやアクチュエータを含む。なお、天板41はユーザによって手動でボアB内に挿入される形式であってもよい。
【0132】
天板支持手段45は、天板41を高さ方向(Y軸方向)に沿って移動可能に支持する。天板支持手段45の一端側には、天板駆動装置43bを介して、天板41が設けられ、天板支持手段45の他端側には、天板駆動装置43bを介して、キャスター44が設けられている。この天板支持手段45は、例えばジャッキ構造を有している。
【0133】
天板制御機能547cは、出力機能546により出力された目標位置情報に基づいて、天板41の位置を制御する。本実施形態に係る天板制御機能547cは、キャスター44に対する天板41の位置を制御する。天板制御機能547cは、本実施形態における制御手段に相当している。
【0134】
キャスター制御機能549は、キャスター44を制御することにより、天板41に載置された被検体Pを撮像空間に導入する。具体的には、キャスター制御機能549は、キャスター44を制御することにより、天板41をZ軸方向に移動させる。なお、キャスター制御機能549は、キャスター44を制御することにより、天板41をX軸方向に移動させてもよい。このキャスター制御機能549は、本実施形態におけるキャスター制御手段に相当している。
【0135】
上述した図3の天板制御処理におけるステップS37において、天板制御機能547cは、出力機能546により出力された目標位置情報に基づいて、キャスター44に対する天板41の位置を制御する。具体的には、天板制御機能547cは、ステップS35において出力された目標位置情報に基づいて、キャスター44に対する天板41の位置を制御するための調整量を算出し、調整量に基づいて指令信号を生成し、天板駆動装置43bに出力し、天板駆動装置43bに天板41の位置を移動させることにより、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置まで移動させる。
【0136】
図19は、第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1において、関心領域ROIの中心位置CをアイソセンターIに合わせた場合を示す図である。図19に示すように、例えば、天板制御機能547cは、天板駆動装置43bにより、天板支持手段45を介して、キャスター44を下に押し下げるようにして天板41を持ち上げる。これにより、天板制御機能547cは、関心領域ROIの中心位置Cを目標位置であるアイソセンターIの位置まで移動させる。
【0137】
以上、第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1によれば、ボアB内のレール211aをY軸方向に移動させることなく、Z軸方向におけるレール211aに沿った天板41の移動が可能になる。このため、ボアB内に天板41が挿入された場合において、天板41の位置ずれや振動、撓みを抑制することができる。これにより、より高画質なMR画像の取得を支援することができる。
【0138】
なお、上述した第6実施形態の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、第6実施形態は、第2実施形態乃至第5実施形態、及び、変形例1に対しても適用可能なことは明らかである。
【0139】
〔第1乃至第6実施形態のその他の変形例〕
上述した第1乃至第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1においては、推定機能544は、天板制御処理のステップS13において、撮影画像に基づいて、被検体Pの頭部にセットされた受信コイル207のチルト角度を認識したが、受信コイル207のチルト角度は、接続コイル情報に含まれてもよい。この場合、天板制御処理のステップS13の処理の前に、受信コイル207のチルト角度に関する情報を含む接続コイル情報を取得する。そして、推定機能544は、カメラ3により撮影された撮影画像に加えて、被検体Pにセットされた受信コイル207に関する接続コイル情報に更に基づいて、関心領域ROIの中心位置Cを推定するようにしてもよい。ここで、接続コイル情報が受信コイル207のチルト角度を含む場合、受信コイル207のチルト角度θは、チルト角度調整機構によりチルト角度θが調整された際の調整量から算出されて取得されてもよく、ユーザから受信コイル207のチルト角度θを入力する入力操作を受け付けることにより取得されてもよい。
【0140】
上述した第1乃至第6実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1においては、カメラ3、3a、3bを用いて撮影された撮影画像から、受信コイル207のチルト角度や被検体Pの頭部の大きさ、受信コイル207の高さ、受信コイル207の位置、患者の体勢等の情報を取得することとしたが、受信コイル207のチルト角度や被検体Pの頭部の大きさ、受信コイル207の高さ、受信コイル207の位置、患者の体勢等の情報を取得する方法はこれに限られない。すなわち、これらの情報を取得する方法は任意であり、距離センサや位置検出センサ等の各種のセンサの検出結果から、受信コイル207のチルト角度や被検体Pの頭部の大きさ、受信コイル207の高さ、受信コイル207の位置、患者の体勢等の情報を取得するようにしてもよい。
【0141】
上述した第1乃至第3実施形態、第5実施形態、及び、第6実施形態においては、出力機能546は、目標位置情報として、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置との差分、又は、関心領域ROIの中心位置CとアイソセンターIの位置に接する位置に近接する位置との差分を出力することとしたが、出力機能546が出力する目標位置情報は差分に限られない。すなわち、出力機能546が出力する目標位置情報の内容は任意であり、出力機能546は、例えば、アイソセンターIの位置の座標又はアイソセンターIの位置に接する位置に近接する位置の座標を出力するようにしてもよい。
【0142】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))などの回路を意味する。プロセッサは、メモリ51に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。メモリ51にプログラムを記憶させる代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。なお、シーケンス制御回路209、送信回路206、受信回路208等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0143】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0144】
1…磁気共鳴イメージング装置、2…磁石架台、3…カメラ、4…寝台装置、5…データ処理装置、41…天板、42…基台、43…天板駆動装置、44…キャスター、45…天板支持手段、51…メモリ、52…ディスプレイ、53…入力装置、54…処理回路、201…静磁場磁石、202…静磁場電源、203…傾斜磁場コイル、204…傾斜磁場電源、205…送信コイル、206…送信回路、207…受信コイル、208…受信回路、209…シーケンス制御回路、210…筐体、211…レール、212…レール支持部材、213…レール駆動装置、541…システム制御機能、542…インタフェース機能、543…画像生成機能、544…推定機能、545…算出機能、546…出力機能、547…天板制御機能、548…レール制御機能、549…キャスター制御機能
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