(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172899
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241205BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241205BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H05K1/02 Q
H01L23/12 J
H01L23/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090944
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】平野 和明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑也
【テーマコード(参考)】
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA16
5E338AA18
5E338BB05
5E338BB13
5E338BB14
5E338BB63
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5E338CD10
5E338EE02
5E338EE11
5F136BB03
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA74
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】電気絶縁性を確保しつつ放熱性を向上できる電子装置を提供すること。
【解決手段】電子装置100は、配線基板30と、配線基板30の一面S1に実装された二つのコンデンサ11,12と、配線基板30が実装された配線部材40とを備える。配線基板30は、電気絶縁性の基材31と、導電性の配線の一部として一面S1から反対面S2にわたって設けられ基材31によって電気的に絶縁された三つの貫通電極32a~32cを有する。配線部材40は、反対面S2に設けられ、電気絶縁性の絶縁部41と、絶縁部41で電気的に絶縁されたバスバ42,熱伝達部43,44とを有し、絶縁部41とバスバ42,熱伝達部43,44とで冷却機構に接する接触面S4が形成される。バスバ42,熱伝達部43,44は、絶縁部41よりも熱伝導率が高く、各貫通電極32a~32cの少なくとも一部と個別に接し、接触面S4の一部をなす露出面S41~S43を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の基材(31)と導電性の配線とを有し、前記基材と前記配線とで一面(S1)、および前記一面の反対面(S2)が形成され、前記配線の一部として前記一面から前記反対面にわたって設けられ前記基材によって電気的に絶縁された複数の貫通電極(32a~32c)を含む配線基板(30)と、
複数の前記貫通電極と電気的に接続され、前記一面に実装された複数の回路素子(11,12)と、
前記反対面に設けられ、電気絶縁性の第1部材(41)と、前記第1部材で電気的に絶縁された複数の第2部材(42~44)とを有し、前記第1部材と複数の前記第2部材とで放熱面(S4)が形成された中間部材(40)と、を備え、
複数の前記回路素子は、複数の前記貫通電極の一つを介して電気的に接続されており、
複数の前記第2部材は、前記第1部材よりも熱伝導率が高く、各貫通電極の少なくとも一部と個別に接しており、前記放熱面の一部をなす露出面(S41~S43)を備えている電子装置。
【請求項2】
複数の前記第2部材の一つは、前記貫通電極を介して前記回路素子と電気的に接続された導電性部材である請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
複数の前記第2部材間に設けられた前記第1部材は、複数の前記貫通電極間に設けられた前記基材の少なくとも一部と接している請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
各第2部材は、前記貫通電極における前記反対面を形成している部位の全域と接している請求項1~3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
冷却機構に搭載可能に構成されており、
前記放熱面は、前記冷却機構との接触面をなしている請求項1~3のいずれか1項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の一例として、配線基板に複数の回路素子が実装された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子装置は、回路素子の熱を放熱するために、配線基板に設けられた貫通電極を用いることが考えられる。しかしながら、複数の回路素子が実装された配線基板は、電気的絶縁性を確保するために、各回路素子に対して貫通電極を設けることができない可能性がある。この場合、電子装置は、電気絶縁性の確保と放熱性の両立ができないという問題がある。
【0005】
開示される一つの目的は、電気絶縁性を確保しつつ放熱性を向上できる電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電子装置は、
電気絶縁性の基材(31)と導電性の配線とを有し、基材と配線とで一面(S1)、および一面の反対面(S2)が形成され、配線の一部として一面から反対面にわたって設けられ基材によって電気的に絶縁された複数の貫通電極(32a~32c)を含む配線基板(30)と、
複数の貫通電極と電気的に接続され、一面に実装された複数の回路素子(11,12)と、
反対面に設けられ、電気絶縁性の第1部材(41)と、第1部材で電気的に絶縁された複数の第2部材(42~44)とを有し、第1部材と複数の第2部材とで放熱面(S4)が形成された中間部材(40)と、を備え、
複数の回路素子は、複数の貫通電極の一つを介して電気的に接続されており、
複数の第2部材は、第1部材よりも熱伝導率が高く、各貫通電極の少なくとも一部と個別に接しており、放熱面の一部をなす露出面(S41~S43)を備えていることを特徴とする。
【0007】
このように、電子装置は、複数の貫通電極が基材で電気的に絶縁されている。また、各貫通電極と個別に接している複数の第2部材は、第1部材で電気的に絶縁されている。そのため、電子装置は、電気絶縁性を確保できる。
【0008】
また、複数の貫通電極には、複数の回路素子が電気的に接続されている。そのため、複数の回路素子から発せられた熱は、複数の貫通電極を介して複数の第2部材に伝達される。そして、複数の第2部材は、放熱面の一部をなす露出面を備えている。そのため、電子装置は、複数の回路素子からの熱を貫通電極、および第1部材よりも熱抵抗が低い第2部材を介して放熱できる。よって、電子装置は、放熱性を向上できる。
【0009】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面と示す。
【0012】
(実施形態)
<全体構成>
図1、
図2に示すように、電子装置100は、二つのコンデンサ11,12、コンデンサ11,12が実装された配線基板30、配線基板30が実装された配線部材40を備える。電子装置100は、たとえば、配線部材40が絶縁層200と接した状態で冷却器300に搭載される。電子装置100は、配線部材40を介して、電力変換回路などの外部回路や電源ラインやグランドラインなどの外部配線と電気的に接続される。外部回路は、電子装置100とは別体に設けられた回路である。外部配線は、電子装置100とは別体に設けられた配線である。コンデンサ11,12は、回路素子に相当する。配線部材40は、中間部材に相当する。
【0013】
本実施形態では、回路素子の一例として、コンデンサ11,12を採用している。しかしながら、回路素子は、コンデンサ11,12に限定されず、抵抗素子やスイッチング素子などであっても採用できる。配線基板30は、三つ以上の回路素子が実装されてもよい。配線基板30は、コンデンサ11,12のほかにも抵抗素子やスイッチング素子などが実装されてもよい。
【0014】
絶縁層200と冷却器300は、冷却機構に相当する。冷却機構は、冷却器300のみを備えていてもよい。この場合、電子装置100は、絶縁層200を介して冷却機構である冷却器300に搭載される。また、配線部材40は、絶縁層200を備えていてもよい。この場合、電子装置100は、冷却器300との間に絶縁層200が配置されるように、冷却機構である冷却器300に搭載される。冷却器300は、冷媒流路を形成する筐体の一部やヒートシンクなどを採用できる。
【0015】
なお、電子装置100、絶縁層200、冷却器300、電力変換回路、外部配線を備えた構成は、電力変換装置ともいえる。そのため、電子装置100は、電力変換装置に設けられたモジュールともいる。電力変換回路は、コンバータ回路やインバータ回路などである。
【0016】
<コンデンサ>
図1、
図2に示すように、コンデンサ11,12は、配線基板30の一面S1に実装される。コンデンサ11,12は、たとえばX方向に並んで配置される。
【0017】
第1コンデンサ11は、第1電極11aと第2電極11bとを有する。第1電極11aは、はんだ20によって貫通電極32aと電気的に接続される。第2電極11bは、はんだ20によって貫通電極32bと電気的に接続される。
【0018】
第2コンデンサ12は、第1電極12aと第2電極12bとを有する。第1電極12aは、はんだ20によって貫通電極32bと電気的に接続される。第2電極12bは、はんだ20によって貫通電極32cと電気的に接続される。
【0019】
このように、コンデンサ11,12は、複数の貫通電極32a~32cの一つである貫通電極32bを介して電気的に接続される。よって、第1コンデンサ11と第2コンデンサ12は、対をなす回路素子、または回路素子群といえる。回路素子群は、電気的に接続された三つ以上の回路素子を含んでいてもよい。なお、貫通電極32bは、共通電極ともいえる。
【0020】
コンデンサ11,12は、たとえばYコンデンサとして用いることができる。配線基板30は、複数の回路素子群が実装されてもよい。
【0021】
<配線基板>
図2に示すように、配線基板30は、電気絶縁性の基材31と導電性の配線とを有する。配線基板30は、一面S1と一面S1の反対面S2とを有する。一面S1と反対面S2は、基材31と配線とで形成される。配線基板30は、Z方向において、配線部材40上に配置される。一面S1と反対面S2は、XY平面に沿う面である。
【0022】
基材31は、電気絶縁性の樹脂を主成分として構成される。基材31は、たとえば、ガラス繊維を布状に編んで重ねたものにエポキシ樹脂を含浸させたものなどを採用できる。
【0023】
配線基板30は、配線の一部として一面S1から反対面S2にわたって設けられた貫通電極32a~32cを有する。貫通電極32a~32cは、銅などの金属を主成分として構成される。配線基板30は、二つのコンデンサ11,12に対して、三つの貫通電極32a~32cが設けられている。しかしながら、本開示は、二つ以上の貫通電極が設けられた配線基板30であれば採用できる。
【0024】
貫通電極32a~32cは、一面S1の一部および反対面S2の一部を含んでいる。貫通電極32a~32cは、一面S1側および反対面S2側に露出しているともいえる。各貫通電極32a~32cは、基材31によって互いに電気的に絶縁される。つまり、各貫通電極32a~32cは、基材31によって、コンデンサ11,12を介することなく電気的に接続することが防止されている。電気的に絶縁されるとは、絶縁距離が保たれているともいえる。なお、反対面S2は、配線部材40と対向する面である。
【0025】
貫通電極32a~32cは、一面S1側に露出した部位に各電極11a,11b,12a,12bがはんだ20を介して接続される。貫通電極32a~32cは、反対面S2側に露出部位として、電極端面S21~S23を含んでいる。電極端面S21は、バスバ42と電気的に接続される。電極端面S22は、熱伝達部43と接続される。電極端面S23は、熱伝達部44と接続される。なお、電極端面S21~S23は、XY平面に沿う面である。電極端面S21~S23は、貫通電極32a~32cにおける反対面S2を形成している部位に相当する。バスバ42および熱伝達部43,44に関しては、後ほど説明する。
【0026】
なお、配線基板30は、配線として、貫通電極32a~32cのみを備えていてもよい。また、配線基板30は、配線として、貫通電極32a~32c以外の部位を備えていてもよい。配線基板30は、板状の部材である。配線基板30は、自身に実装されたコンデンサ11,12どうしを電気的に接続するための配線を備えた基板といえる。
【0027】
<配線部材>
配線部材40は、配線基板30の反対面S2に設けられる。つまり、配線部材40は、反対面S2に接続される。配線部材40は、電気絶縁性の絶縁部41と、バスバ42と、熱伝達部43,44とを有する。バスバ42と熱伝達部43と熱伝達部44は、絶縁部41によって互いに電気的に絶縁される。つまり、バスバ42と熱伝達部43と熱伝達部44は、絶縁部41によって、コンデンサ11,12を介することなく電気的に接続することが防止されている。なお、絶縁部41は、第1部材に相当する。バスバ42と熱伝達部43,44は、第2部材に相当する。よって、配線部材40は、複数の第2部材を備えているといえる。
【0028】
本実施形態では、一例として、電気絶縁性の樹脂を主成分として構成された絶縁部41を採用する。しかしながら、絶縁部41は、バスバ42と熱伝達部43、熱伝達部43と熱伝達部44を電気的に絶縁するものであれば採用できる。よって、絶縁部41は、空気層などであっても採用できる。
【0029】
また、本実施形態では、一例として、アルミニウムや銅などの導電性の部材を主成分として構成されたバスバ42、熱伝達部43,44を採用する。しかしながら、本開示は、導電性を有していない熱伝達部43,44であっても採用できる。つまり、熱伝達部43,43は、セラミックスなどを主成分として構成されてもよい。
【0030】
配線部材40は、絶縁部41とバスバ42と熱伝達部43,44とで配線基板30と対向する対向面S3が形成される。対向面S3は、バスバ42の一部であるバスバ対向面S31、熱伝達部43の一部である熱伝達対向面S32、熱伝達部44の一部である熱伝達対向面S33を含んでいる。対向面S3は、XY平面に沿う面である。
【0031】
バスバ対向面S31の少なくとも一部は、貫通電極32aの電極端面S21と対向している。そして、バスバ対向面S31は、電極端面S21と接続される。これによって、バスバ42は、貫通電極32aと電気的に接続される。
【0032】
上記のように、貫通電極32aには、第1コンデンサ11が電気的に接続されている。よって、バスバ42は、貫通電極32aを介して第1コンデンサ11と電気的に接続された導電性部材である。なお、バスバ42は、外部回路または外部配線と電気的に接続される。
【0033】
熱伝達対向面S32の少なくとも一部は、貫通電極32bの電極端面S22と対向している。そして、熱伝達対向面S32は、電極端面S22と接続される。これによって、熱伝達部43は、貫通電極32bと接続される。本実施形態では、一例として、熱伝達部43と貫通電極32bとが電気的に接続された例を採用する。
【0034】
熱伝達対向面S33の少なくとも一部は、貫通電極32cの電極端面S23と対向している。そして、熱伝達対向面S33は、電極端面S23と接続される。これによって、熱伝達部44は、貫通電極32cと接続される。本実施形態では、一例として、熱伝達部44と貫通電極32cとが電気的に接続された例を採用する。なお、バスバ42、熱伝達部43,43のそれぞれは、各貫通電極32a~32cとはんだなどの導電性の接続部材で接続される。
【0035】
バスバ対向面S31の面積は、電極端面S21の面積よりも広い。熱伝達対向面S32の面積は、電極端面S22の面積よりも広い。熱伝達対向面S33の面積は、電極端面S23の面積よりも広い。そして、本実施形態では、一例として、電極端面S21~S23のそれぞれにおける全域と接するバスバ42と熱伝達部43,44とを採用している。つまり、バスバ42は、電極端面S21の全域と接している。熱伝達部43は、電極端面S22の全域と接している。熱伝達部44は、電極端面S23の全域と接している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
【0036】
バスバ42、熱伝達部43,44は、各貫通電極32a~32cの少なくとも一部と個別に接している。つまり、バスバ42は、複数の貫通電極32a~32cのうち、貫通電極32aのみと直接接続される。熱伝達部43は、複数の貫通電極32a~32cのうち、貫通電極32bのみと直接接続される。熱伝達部44は、複数の貫通電極32a~32cのうち、貫通電極32cのみと直接接続される。
【0037】
また、上記のように、個別に接するために、絶縁部41が設けられている。つまり、複数の第2部材42~44間に設けられた絶縁部41は、複数の貫通電極32a~32c間に設けられた基材31の少なくとも一部と接している。具体的には、バスバ42と熱伝達部43との間に設けられた絶縁部41は、貫通電極32aと貫通電極32bとの間に設けられた基材31の少なくとも一部と接している。また、熱伝達部43と熱伝達部44との間に設けられた絶縁部41は、貫通電極32bと貫通電極32cとの間に設けられた基材31の少なくとも一部と接している。
【0038】
よって、絶縁部41は、バスバ42と貫通電極32bとを電気的に絶縁し、かつ、熱伝達部43と貫通電極32aとを電気的に絶縁する。同様に、絶縁部41は、熱伝達部43と貫通電極32cとを電気的に絶縁し、かつ、熱伝達部44と貫通電極32bとを電気的に絶縁する。このように、絶縁部41は、各第2部材42~44と、各第2部材42~44と直接的に接続されてない貫通電極32a~32cとの絶縁距離を確保している。
【0039】
また、配線部材40は、絶縁部41とバスバ42と熱伝達部43,44とで冷却機構に接する接触面S4が形成される。接触面S4は、バスバ42の一部である露出面S41、熱伝達部43の一部である露出面S42、熱伝達部44の一部である露出面S43を含んでいる。つまり、バスバ42と熱伝達部43,44は、接触面S4の一部をなす露出面S41~S43を備えている。接触面S4は、XY平面に沿う面である。接触面S4は、コンデンサ11,12からの熱を放熱する面である。接触面S4は、放熱面に相当する。接触面S4は、冷却機構に接していなくてもよい。
【0040】
接触面S4は、冷却機構の一部である絶縁層200と接している。また、配線部材40の接触面S4は、絶縁層200が機械的に接続されているといえる。これによって、冷却器300が導電性部材で構成されていたとしても、バスバ42および熱伝達部43,44は、冷却器300と電気的に絶縁される。
【0041】
バスバ42と熱伝達部43,44は、絶縁部41よりも熱伝導率が高い。また、バスバ42と熱伝達部43,44は、絶縁部41よりも熱抵抗が低い。さらに、バスバ42と熱伝達部43,44は、基材31よりも熱伝導率が高い。これは、バスバ42と熱伝達部43,44を放熱経路としての用いるためである。バスバ42と熱伝達部43,44は、高熱伝導部や低熱抵抗部ともいえる。
【0042】
なお、配線部材40は、配線基板30やコンデンサ11,12と、外部回路や外部配線とを電気的に接続するための部材といえる。また、配線部材40は、バスバ部材や外部接続基板ともいえる。
【0043】
<電流路と熱経路>
図2に示すように、電子装置100は、破線矢印で示すように電流路が形成される。電流は、主に、バスバ42、貫通電極32a、第1コンデンサ11、貫通電極32b、第2コンデンサ12、貫通電極32cと流れる。
【0044】
また、電子装置100は、一点鎖線で示すように熱経路が形成される。第1コンデンサ11側の熱経路は、主に、貫通電極32aからバスバ42、および、貫通電極32bから熱伝達部43である。一方、第2コンデンサ12側の熱経路は、主に、貫通電極32bから熱伝達部43、および、貫通電極32cから熱伝達部44である。コンデンサ11、12から発せられた熱は、熱経路を通って放熱される。そのため、熱経路は、放熱経路ともいえる。
【0045】
このように、電子装置100は、各コンデンサ11,11の各電極11a,11b,12a,12bに対して、接触面S4までの放熱経路が形成される。また、電子装置100は、第1コンデンサ11からバスバ42までの電流路以外にも放熱経路が形成されるといえる。さらに、電子装置100は、絶縁部41が形成された箇所よりも熱抵抗が低い放熱経路が形成されるといえる。
【0046】
そして、接触面4は、絶縁層200を介して冷却器300に接している。そのため、電子装置100は、コンデンサ11,12の熱を放熱経路を介して冷却器300へと放熱できる。
【0047】
<効果>
以上のように、電子装置100は、貫通電極32a~32cが基材31で電気的に絶縁されている。また、各貫通電極32a~32cと個別に接しているバスバ42,熱伝達部43,44は、絶縁部41で電気的に絶縁されている。そのため、電子装置100は、電気絶縁性を確保できる。
【0048】
また、貫通電極32a~32cには、コンデンサ11,12が電気的に接続されている。そのため、コンデンサ11,12から発せられた熱は、貫通電極32a~32cを介してバスバ42,熱伝達部43,44に伝達される。そして、バスバ42,熱伝達部43,44は、接触面S4の一部をなす露出面S41~S43を備えている。
【0049】
そのため、電子装置100は、コンデンサ11,12からの熱を貫通電極32a~32c、および絶縁部41よりも熱抵抗が低いバスバ42,熱伝達部43,44を介して放熱できる。よって、電子装置100は、放熱性を向上できる。つまり、電子装置100は、熱伝達部43,44が設けられていない構成よりも放熱性を向上できる。
【0050】
なお、本実施形態では、一例として、接触面S4が冷却機構に接する電子装置100を採用している。そのため、電子装置100は、コンデンサ11,12からの熱を効率的に放熱できる。しかしながら、本開示は、冷却機構に接していない電子装置100であっても採用できる。つまり、電子装置100は、接触面S4から空間に放熱するものであってもよい。
【0051】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例1~3に関して説明する。上記実施形態および変形例1~3は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0052】
(変形例1)
図3に示すように、変形例1の電子装置110は、熱伝達部43,44の構成が電子装置100と異なる。
図3は、
図2に相当する断面図である。
【0053】
熱伝達部43は、上記実施形態の構成よりも体格が小さい。熱伝達対向面S32の面積は、電極端面S22の面積と同等である。そして、熱伝達部43は、貫通電極32bの対向領域に設けられている。そのため、熱伝達対向面S32の全域が電極端面S22と接している。
【0054】
熱伝達部44は、上記実施形態の構成よりも体格が小さい。熱伝達対向面S33の面積は、電極端面S23の面積と同等である。そして、熱伝達部44は、貫通電極32cの対向領域に設けられている。そのため、熱伝達対向面S33の全域が電極端面S23と接している。
【0055】
電子装置110は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置110は、バスバ42と熱伝達部43の間隔、および、熱伝達部43と熱伝達部44の間隔を広げることができる。そのため、電子装置110は、電子装置100よりも電気絶縁性を確保しやすい。
【0056】
(変形例2)
図4に示すように、変形例2の電子装置120は、バスバ42、熱伝達部43,44の構成が電子装置110と異なる。
図4は、
図2に相当する断面図である。
【0057】
バスバ42は、貫通電極32aの対向領域の一部のみに設けられている。そのため、バスバ対向面S31と電極端面S21との接触面積は、第2実施形態の構成よりも狭い。
【0058】
熱伝達部43は、第1実施形態の構成よりも体格が小さい。そして、熱伝達部43は、貫通電極32bの対向領域に設けられている。そのため、熱伝達対向面S32と電極端面S22とは、一部のみで接している。よって、熱伝達対向面S32と電極端面S22との接触面積は、第2実施形態の構成よりも狭い。
【0059】
熱伝達部44は、第1実施形態の構成よりも体格が小さい。そして、熱伝達部44は、貫通電極32cの対向領域に設けられている。そのため、熱伝達対向面S33と電極端面S23とは、一部のみで接している。よって、熱伝達対向面S33と電極端面S23との接触面積は、第2実施形態の構成よりも狭い。
【0060】
電子装置120は、電子装置110と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置120は、電子装置110よりも電気絶縁性を確保しやすい。
【0061】
(変形例3)
図5に示すように、変形例3の電子装置130は、バスバ42、熱伝達部43,44の構成が電子装置100と異なる。
図5は、
図2に相当する断面図である。
【0062】
熱伝達部43,44は、第1実施形態の構成よりも各貫通電極32a~32cとの接触面積が狭い。また、バスバ42、熱伝達部43,44は、第1実施形態の構成よりも体格が大きい。
【0063】
バスバ42は、貫通電極32bの近傍まで設けられている。よって、バスバ対向面S31の面積は、第1実施形態の構成よりも広い。バスバ対向面S31は、電極端面S21の全域と接している。つまり、バスバ対向面S31と電極端面S21との接触面積は、第1実施形態の構成と同様である。
【0064】
熱伝達部43は、貫通電極32bの対向領域から貫通電極32c側にずれた位置に設けられている。そのため、熱伝達対向面S32と電極端面S22とは、一部のみで接している。よって、熱伝達対向面S32と電極端面S22との接触面積は、第1実施形態の構成よりも狭い。
【0065】
熱伝達部44は、貫通電極32cの対向領域からずれた位置に設けられている。そのため、熱伝達対向面S33と電極端面S23とは、一部のみで接している。よって、熱伝達対向面S33と電極端面S23との接触面積は、第1実施形態の構成よりも狭い。
【0066】
また、バスバ42と熱伝達部43との間の絶縁部41は、基材31と対向する部位を含んでいる。同様に、熱伝達部43と熱伝達部44との間の絶縁部41は、基材31と対向する部位を含んでいる。
【0067】
電子装置130は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。
【0068】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0069】
11…第1コンデンサ、12…第2コンデンサ、20…はんだ、30…配線基板、40…中間部材、41…第1部材、42…第2部材、S4…接触面、S41~S43…露出面、200…絶縁層、300…冷却器