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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017290
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】複合容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65D77/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119829
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB26
3E067AB28
3E067AC01
3E067BA06C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BB25B
3E067BC07B
3E067CA07
3E067EB17
3E067EB27
3E067ED08
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】段ボール箱等への収容効率が高く、内容物の押し出しが容易で、かつ自立性が維持される複合容器を提供する。
【解決手段】前面板21、右面板22、背面板23、左面板24で胴部28が形成され、前面板、背面板の谷折り罫線27よりも下方にスカート片20a、スカート片と右面板および左面板との間に切れ目26、スカート片の下端をつなぐ底面板20を有し、右面板および左面板は、下端が底面板と接続しておらず、幅方向の略中央に外側に向かって折り曲げる折り罫線22aがそれぞれ設けられ、前面板および背面板の上端に屋根型の頂部25が形成され、頂部に貫通孔25eが形成された角筒状カートン2に、口栓付きパウチ3が収納され、平坦に変形させたときに、右面板と左面板が外側に向かって突出する様に折れ曲がり、スカート片の下端側がスカート状に広がることで、底面板の形状が保持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック樹脂フィルムを貼り合わせて形成され、口栓が取り付けられた口栓付きパウチと、該口栓付きパウチを収納する紙製の角筒状カートンからなる複合容器であって、
前記角筒状カートンは、前面板、右面板、背面板、左面板が順次接続して角筒の胴部が形成され、
前記前面板および前記背面板は、下部側に谷折り罫線が設けられ、該谷折り罫線よりも下方がスカート片となっており、該スカート片と前記右面板および前記左面板との間が切れ目となっており、
一方の前記スカート片の下端から他方の前記スカート片の下端に渡る、前記角筒の底面を形成する底面板を有し、
前記右面板および前記左面板の下端は前記底面板と接続しておらず、
前記右面板および前記左面板の幅方向の略中央に、上端から下端に渡って、前記角筒の外側に向かって突出する様に折り曲げる折り罫線がそれぞれ設けられ、
前記前面板および前記背面板の上端に頂板が接続され、
前記頂板が上端側で接続されて屋根型の頂部が形成され、
前記頂部の頂点の中央に貫通孔が形成され、
前記角筒状カートンに収納された前記口栓付きパウチの口栓が前記貫通孔から突出し、
前記前面板および前記背面板の法線方向から力を加えて前記角筒状カートンを平坦に変形させたときに、
前記右面板と前記左面板が外側に向かって突出する様に折れ曲がり、前記スカート片の下端側が前記谷折り罫線で折れ曲がって前記法線方向にスカート状に広がることで、前記底面板の形状が保持されると共に前記角筒が平坦になることを特徴とする複合容器。
【請求項2】
前記右面板および前記左面板の天地方向の長さが、前記前面板および前記背面板の天地方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口栓付きパウチと紙製の角筒状カートンを組み合わせた複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製の軟包装材を貼り合わせて構成された包装袋は、パウチとも称され、平パウチ、スタンディングパウチ、ガゼットパウチ等の種々の形態からなるものが知られ、例えばジュース類、果汁類、ゼリー状飲料、栄養ドリンク剤等の飲料品や、調味料、その他種々の飲食品などの、流動性を有する内容物を収容する包装容器として広く用いられている。
【0003】
これらのパウチにおいて、その開封を容易にし、かつ内容物を容易に、あるいは、内容物を注出しやすくするために、パウチの上部に注出口となるスパウトを取り付けた口栓付きパウチが提案されている(例えば特許文献1)。スパウトは、パウチの内部への連通孔が形成された筒部を有している。また、スパウトの連通孔を封止するキャップが着脱自在に設けられ、必要に応じて内容物を取り出せ、また保存できるようにしている。
【0004】
しかし一般に、口栓付きパウチは軟包装材を貼り合わせて構成されているため柔軟で、内容物を充填した場合に、内容物が自重により下方に集まり、下方側のみが膨らむ胴膨れが生じ、段ボールへの収容時にデッドスペースが生じて収納効率が悪い、という問題があった。また、内容物の粘度が高い場合、中身の注ぎ出しが容易でなく、特に大型容器の場合はその傾向が顕著であった。さらに、内容物が徐々に消費されてくると、たとえスタンディングパウチであってもパウチ単体での自立性が悪くなってしまい、倒れ易く、保管しにくいという問題もあった。
【0005】
自立性を得るための方法として、キャップを大型にしたり、キャップの形状に工夫を加えてパウチをキャップ上に倒立させられるようにしたパウチも提案されている(例えば特許文献2)。しかしキャップを大型にすると、プラスチック樹脂の使用量が増えてしまい、近年の環境意識の高まりや資源保護の観点から求められている、プラスチック樹脂使用量の削減の動きに反するものとなってしまう。また、注出口を下向きにすることへの心理的な抵抗感や、外気温の上昇に伴うパウチ内部の空気や内容物の膨張によりパウチの内圧が高まったときに、注出口から内容物が滲み出てしまうことがある、といった問題もあり、望ましい解決策とは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-87046号公報
【特許文献2】特開2014-189316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、段ボール箱等へ多数収納する際の収容効率が高く、パウチの内容物の流動性が低い場合や内容物が減少したときでも内容物の押し出しが容易で、かつ内容物の量が少なくなったときでも自立性が保持される複合容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、
プラスチック樹脂フィルムを貼り合わせて形成され、口栓が取り付けられた口栓付きパウ
チと、該口栓付きパウチを収納する紙製の角筒状カートンからなる複合容器であって、
前記角筒状カートンは、前面板、右面板、背面板、左面板が順次接続して角筒の胴部が形成され、
前記前面板および前記背面板は、下部側に谷折り罫線が設けられ、該谷折り罫線よりも下方がスカート片となっており、該スカート片と前記右面板および前記左面板との間が切れ目となっており、
一方の前記スカート片の下端から他方の前記スカート片の下端に渡る、前記角筒の底面を形成する底面板を有し、
前記右面板および前記左面板の下端は前記底面板と接続しておらず、
前記右面板および前記左面板の幅方向の略中央に、上端から下端に渡って、前記角筒の外側に向かって突出する様に折り曲げる折り罫線がそれぞれ設けられ、
前記前面板および前記背面板の上端に頂板が接続され、
前記頂板が上端側で接続されて屋根型の頂部が形成され、
前記頂部の頂点の中央に貫通孔が形成され、
前記角筒状カートンに収納された前記口栓付きパウチの口栓が前記貫通孔から突出し、
前記前面板および前記背面板の法線方向から力を加えて前記角筒状カートンを平坦に変形させたときに、
前記右面板と前記左面板が外側に向かって突出する様に折れ曲がり、前記スカート片の下端側が前記谷折り罫線で折れ曲がって前記法線方向にスカート状に広がることで、前記底面板の形状が保持されると共に前記角筒が平坦になることを特徴とする複合容器である。
【0009】
上記複合容器において、
前記右面板および前記左面板の天地方向の長さが、前記前面板および前記背面板の天地方向の長さよりも短いものであって良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合容器によれば、柔軟な口栓付きパウチを紙製の角筒状カートンに収納することで、外形が一定の形状となって段ボール箱などへの収納が無駄なく効率的に行え、角筒状カートンは口栓付きパウチを収納した状態で平坦な形状に変形させることができて、口栓付きパウチの内容物を容易に効率的に注出することができ、平坦な形状に変形されたときも角筒状カートンの底面は形状が保持されて容器の自立性が保たれる複合容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の複合容器の一実施形態の外観斜視図である。
図2】本発明の複合容器の一実施形態を構成する口栓付きパウチと角筒状カートンの外観斜視図である。
図3】角筒状カートンを形成するブランクシートの展開図である。
図4】角筒状カートンを平坦に変形させた状態の外観斜視図である。
図5】本実施形態の複合容器から内容物を注出する態様の説明図である。
図6】平坦に変形された複合容器が自立する態様を示す外観斜視図である。
図7】本発明の複合容器の別の実施形態を構成する角筒状カートンの外観斜視図である。
図8図7の角筒状カートンを形成するブランクシートの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。また同等の部材等には同一の符号を付し、説明を省略することがある。なお、以下
の説明で用いる左右、天地、前後などの位置関係を示す語は、該当の図面での相対的な位置関係をわかりやすく表現するために用いている。
【0013】
図1は、本発明の複合容器の一実施形態の外観斜視図である。また図2は本発明の複合容器の一実施形態を構成する口栓付きパウチ(以下、単に「パウチ」とも記す)と角筒状カートン(以下、単に「カートン」とも記す)の外観斜視図である。また図3は、本発明の複合容器の一実施形態のカートンのブランクシートの展開図である。複合容器1は、4枚の側面板で構成された角筒状の胴部28と、矩形の底面板20と、側面板の上端に形成された屋根型の頂部25を有する角筒状の紙製のカートン2に、プラスチック樹脂フィルムを貼り合わせて形成した口栓付きパウチ3を収納して構成される。
【0014】
カートン2は、図3のブランクシート2bを折り立てて適宜接着して形成されており、図2(a)では、図3に表示されている面が外側となる様に折り立てて組み立てて形成したカートン2を斜め方向から見たときの形状の概要を示している。ブランクシート2bは、パウチ3を収納するのに十分な強度、剛性、また加工適性を持つ紙素材であれば特に限定はないが、好ましい素材としては板紙や段ボールが例示できる。
【0015】
カートン2の構成を、ブランクシート2bも参照しながら説明する。角筒の側面を構成する側面板を前面板21、右面板22、背面板23、左面板24と称することとする。ただし図2では背面板23、左面板24は隠れている。左面板24は第一片24aと第二片24bが接着片24dで貼り合わされて形成されている。前面板21の下部側には谷折り罫線27が設けられ、前面板21の谷折り罫線27よりも下方はスカート片20aとなっており、さらに折り罫線を介して底面板20が接続している。
【0016】
背面板23の下部側にも谷折り罫線27が設けられ、谷折り罫線27よりも下方がスカート片20cとなっており、さらに折り罫線を介して底面板20と接着される接着片20bが接続している。接着片20bで接着されることで、前面板21、スカート片20a、底面板20、スカート片20c、背面板23は連続した態様となる。ここで、谷折り罫線とは、スカート片を角筒の外側に折り曲げる罫線である。なお接着片を設ける部位には任意性があり、接着片としての機能を果たし得る部位であれば、上記以外の部位に設けても良い。
【0017】
一方、右面板22および左面板24と隣接するスカート片20a、20cの境界線は、切れ目26となっていて直接接続されていない。また右面板22、左面板24の下端は底面板20と接続していない。また右面板22および左面板24の天地方向に直交する方向(幅方向と称することとする)の略中央に、上端から下端に渡ってカートン2の外側に向かって突出する様に折り曲げる折り罫線22a、24cがそれぞれ設けられている。
【0018】
前面板21および背面板23の上端には、頂板25a、25bがそれぞれ連設されている。頂板25aおよび25bは、その上端側で幅方向の両端に設けられた接着片25cで互いに接着され、屋根型の頂部25を形成する。また頂板25a、25bの幅方向の中央部分には切り欠き25dが設けられ、頂部25が形成されたときに切り欠き25dの部位は貫通孔25eとなって、パウチ3の口栓32が突出される。
【0019】
パウチ3は、ここでは2枚のプラスチック樹脂フィルムの周縁部をシール部31として貼り合わせて袋状とされ、一端縁に口栓32が取り付けられた四方シールの平パウチ形状のものである。パウチ3の形状としては、これ以外にも、三方シールの平パウチ、スタンディングパウチ、ガセットパウチの形状のものでも良く、特に制限はない。パウチ3を構成するプラスチック樹脂フィルムは、特に限定はなく、パウチ用として適用し得るものを適宜採用して、単層または多層のフィルムで構成することができる。
【0020】
パウチ3は、収納部30に内容物を収納するが、特に粉体状や液状の内容物を収納すると、内容物の重みにより、パウチ3単体では収納部30の下方側に内容物が集まり、下方側が部分的に膨らんだ形状となりやすく、またその形状がばらついたものとなってしまいやすい。本実施形態の複合容器では、パウチ3がカートン2に収納されることで、その外形が一定の角筒状になり、まとめて段ボール箱などに収納する際の収納効率が良く、輸送などの際に振動が加わってもパウチ3が動きにくく、型崩れや荷崩れが起こりにくい。
【0021】
カートン2は、図4に示す様に前面板21および背面板23の法線方向から(白矢印の様に)角筒を押しつぶす様に力を加えることで、平坦な形状に変形させることができる。このとき、屋根型の頂部25は頂板25a、25bが自然に上方にせりあがって平坦になり、角筒状の胴部28は、右面板22および左面板24が折り罫線22a、24cの部位がカートン2の外側に向かって突出する様に折り曲がることで平坦に変形する。一方、底面板20は、スカート片20a、20cが谷折り罫線27で角筒の外側に折れ曲がってスカート状に広がることで、折れ曲がることなく底面の形状が保持される。
【0022】
図5は、複合容器を平坦に変形させて口栓付きパウチから内容物を注出する態様の説明図である。カートン2にパウチ3を収納した状態で、パウチ3から内容物を注出するには、口栓32からキャップを取り外してカートン2ごとパウチ3を傾けることで、注出筒33から内容物34を流出させることができる。しかし内容物の粘度が高い場合など流動性が低い場合や、内容物の量が少なくなって流出しにくくなったときは、カートン2を前述の様に押しつぶす様にして平坦に変形させながら、同時にパウチ3を平坦にスクィーズ(扱く)ことができるため、内容物を容易に残りなく注出することができる。
【0023】
そして、平坦にスクィーズされたパウチ3は、単体では自立性が失われてしまうため、その後の保管などに不都合であるが、本実施形態の複合容器では、パウチ3がカートン2に収納され、かつ、カートン2が平坦に変形されたときでも、底面板20は変形せずに底面としての形状が保持されているため、図6に示す様に、底面板20上に自立した態様を保つことができ、保管に不都合がない。
【0024】
図7は、本発明の複合容器の別の実施形態を構成する角筒状カートンの外観斜視図である。また図8は、図7の角筒状カートン4を形成するブランクシートの展開図である。本実施形態においては、図7(a)のカートン4の斜視図において示される様に、右面板22と隠れている左面板24の天地方向の長さは、前面板21および背面板23の天地方向の長さよりも短く設定されており、その結果、右面板22および左面板24の下端と底面板20の間に隙間が形成されている。
【0025】
カートン4を平坦に変形させた際、スカート片20a、20cがスカート状に広がって前面板21などに対して傾いた状態となる結果、前面板21全体としての天地方向の高さが若干低くなるのに対し、右面板22と左面板24の高さは変わらないため、底面板20に対して右面板22と左面板24の下端がより下方に突出して天地方向の位置がずれ、複合容器を自立させたときの安定性が損なわれる恐れがある。谷折り罫線27が比較的高い位置に設けられるなどして、平坦に変形させた際のスカート片20a、20cの傾きが小さい場合、このズレは小さいので影響は小さいが、そうでない場合は、右面板22と左面板24の天地方向の長さをあらかじめ短く設定しておくことで、右面板22と左面板24の下端が下方に突出せず、ズレの発生を抑制することができる。
【0026】
上記の隙間を形成するには、図8のブランクシート4bに示す様に、右面板22と左面板24の部分の下端と、スカート片20a、20cの下端とに段差sの差を設ければよい。sの値をどの程度とするかは、谷折り罫線27の位置、右面板22と左面板24の幅などから、発生し得るズレを算出して設定すればよい。ブランクシート4bのそれ以外の部分については前述のブランクシート2bと同様であるので、説明は省略する。
【符号の説明】
【0027】
1・・・複合容器
2、4・・・角筒状カートン
2b、4b・・・ブランクシート
20・・・底面板、20a、20c・・・スカート片、21・・・前面板、22・・・右面板、22a、24c・・・折り罫線、23・・・背面板、24・・・左面板、25・・・頂部、25a、25b・・・頂板、25c・・・接着片、25d・・・切り欠き、25e・・・貫通孔、26・・・切れ目、27・・・谷折り罫線、28・・・胴部
3・・・口栓付きパウチ
30・・・収納部、31・・・シール部、32・・・口栓、33・・・注出筒、34・・・内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8