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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172904
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20241205BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20241205BHJP
   F25D 21/06 20060101ALI20241205BHJP
   B05B 17/06 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D23/00 302E
F25D21/06 Z
B05B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090953
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由紀
(72)【発明者】
【氏名】中野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】村田 颯太
【テーマコード(参考)】
3L045
3L046
3L345
4D074
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA12
3L045LA02
3L045MA07
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA04
3L046AA02
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA04
3L345AA02
3L345AA17
3L345BB05
3L345GG33
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK04
4D074AA02
4D074BB03
4D074DD12
4D074DD17
4D074DD18
4D074DD22
4D074DD32
4D074DD63
4D074DD64
(57)【要約】
【課題】食品の鮮度保持能力を向上した冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、貯蔵室と、貯蔵室内に水分を供給する加湿装置と、加湿装置の駆動を制御する制御装置と、貯蔵室内の湿度を検知する検知部と、を備える。制御装置は、検知部の検知湿度を取得して、検知湿度に基づいて貯蔵室内の湿度が所定の目標湿度となるように加湿装置の駆動を制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室内に水分を供給する加湿装置と、
前記加湿装置の駆動を制御する制御装置と、
前記貯蔵室内の湿度を検知する検知部と、を備え、
前記制御装置は、
前記検知部の検知湿度を取得して、前記検知湿度に基づいて前記貯蔵室内の湿度が所定の目標湿度となるように前記加湿装置の駆動を制御する、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御装置は、前記検知部による前記検知湿度が高い場合は前記検知湿度が低い場合と比べて前記加湿装置の水分の供給能力を低下させる、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記加湿装置は、前記貯蔵室内に水を噴霧する噴霧部を有し、
前記制御装置は、前記噴霧部から連続的又は周期的に水を噴霧させ、前記検知部の前記検知湿度が高い場合は前記検知湿度が低い場合と比べて噴霧間隔を長くする、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記加湿装置は、前記貯蔵室内に水を噴霧する噴霧部を有し、
前記制御装置は、前記噴霧部から連続的又は周期的に水を噴霧させ、前記検知部の前記検知湿度が高い場合は前記検知湿度が低い場合と比べて1回あたりに噴霧する水の量を低下させる、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室を含んで形成され内部を空気が循環する循環風路と、
前記循環風路に設けられて前記循環風路内の空気を冷却する冷却器と、
前記循環風路内に設けられて前記冷却器によって冷却された空気を前記貯蔵室に送る送風装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記送風装置を駆動して前記冷却器を除霜する除霜処理を実行し、前記除霜処理の実行期間である除霜期間中において、前記加湿装置の駆動状態を制御する、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記制御装置は、前記除霜期間中の少なくとも一部の期間において、前記加湿装置の水分の供給能力を低下させる、
請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記除霜期間は、前記除霜処理の開始直後の期間を含む初期期間と、前記初期期間経過後の期間であって前記除霜処理の終了直前の期間を含む終期期間とを含み、
前記制御装置は、前記初期期間において前記加湿装置の水分の供給能力を所定能力未満とする処理と、前記終期期間において前記加湿装置の水分の供給能力を前記所定能力以上とする処理との、少なくともいずれか一方又は両方を実行する、
請求項5に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
高湿度環境下で保存すると野菜は鮮度よく保存できることが知られている。従来、野菜室空間は吸込みダクトからの一部導入冷気を除いてほぼ密閉状態にすることで容器内部を外周面から間接的に冷却し、加湿装置により野菜室内を高湿度状態に保持した冷蔵庫が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-46768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貯蔵室内を略密閉状態として加湿すると、結露が発生し易くなる。結露の発生により、野菜等の食品が蒸れたりカビや細菌の繁殖が進んだりすることで、いわゆる水腐れが発生する虞がある。
【0005】
したがって、食品の鮮度保持機能を向上した冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内に水分を供給する加湿装置と、前記加湿装置の駆動を制御する制御装置と、前記貯蔵室内の湿度を検知する検知部と、を備える。前記制御装置は、前記検知部の検知湿度を取得して、前記検知湿度に基づいて前記貯蔵室内の湿度が所定の目標湿度となるように前記加湿装置の駆動を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による冷蔵庫の構成の一例を示す斜視図
図2】第1実施形態による冷蔵庫について冷蔵室周辺の構成の一例を右側面側から見た縦断面図
図3】第1実施形態による冷蔵庫について冷凍サイクルの概略構成を示す図
図4】第1実施形態による冷蔵庫について電気的構成の一例を示す図
図5】加湿装置による水分供給ありとなしとの環境下で3日間野菜室に保存した野菜の重量残存率の実験結果を示す表
図6】加湿装置の駆動条件を変えた場合の3日間野菜室に保存した野菜の結露量と重量残存率との実験結果を示す表
図7】第1実施形態による冷蔵庫の湿度検知部の検知湿度に基づいて制御装置の行う加湿装置の駆動の制御例を示すチャート
図8】第2実施形態による冷蔵庫の湿度検知部の検知湿度に基づいて制御装置の行う加湿装置の駆動の制御例を示すチャート
図9】第3実施形態による冷蔵庫の除霜期間において制御装置の行う加湿装置の駆動の制御例を示すチャート
図10】第3実施形態による冷蔵庫の除霜期間において加湿装置による水分供給能力と除霜運転による水分供給能力とのイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態による冷蔵庫について、図1図7を参照して説明する。図1に示す冷蔵庫10は、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体としての断熱箱体11内に複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、断熱箱体11の開口側を、冷蔵庫10の前面側とし、開口とは反対側を、冷蔵庫10の背面側とする、また、冷蔵庫10を図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向とする。また、図1の冷蔵庫10を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向とする。
【0010】
図1に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体11を主体として構成されている。断熱箱体11は前面が開口した箱体で構成されており、内部に複数の貯蔵室を有している。詳細は図示しないが、断熱箱体11は、例えば樹脂製の内箱と金属製の外箱との間に断熱性の高い部材である断熱部材を設けて構成されている。
【0011】
断熱箱体11は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば冷蔵室12、野菜室13、製氷室14、小冷凍室15、及び冷凍室16を備えている。冷蔵室12、及び野菜室13は冷蔵温度帯の貯蔵室である。製氷室14、小冷凍室15、及び冷凍室16は、冷凍温度帯の貯蔵室である。冷蔵温度帯は、例えば1℃~5℃、好ましくは2℃~4℃の範囲内に設定することができる。冷凍温度帯は、-15℃以下、好ましくは-20℃~-18℃の範囲内に設定することができる。なお、各貯蔵室12,13,14,15,16の一部又は全部は、温度帯を変更できる構成であっても良い。例えば、冷蔵室12の一部に冷蔵温度帯よりも高温又は低温である温度帯例えば0℃前後のチルド温度帯や-3℃前後のパーシャルフリージング温度帯に変更可能な区画を設けても良い。また、冷凍温度帯の貯蔵室の一部例えば小冷凍室15を冷凍温度帯よりも高温又は低温である温度帯に変更可能に構成しても良い。
【0012】
本実施形態において、冷蔵室12は、断熱箱体11の最上部に設けられている。野菜室13は、冷蔵室12の下方に設けられている。製氷室14及び小冷凍室15は、野菜室13の下方にあって左右に並べて設けられている。冷凍室16は、製氷室14及び小冷凍室15の下方、つまり断熱箱体11の最下部に設けられている。
【0013】
冷蔵庫10は、各貯蔵室12,13,14,15,16を開閉する扉として、冷蔵室扉121,122、野菜室扉131、製氷室扉141、小冷凍室扉151、及び冷凍室扉161を備えている。冷蔵室扉121,122は、例えば観音開きのヒンジ開閉式の扉であって、冷蔵室12の前側の開口を開閉する。野菜室扉131、製氷室扉141、小冷凍室扉151、冷凍室扉161は、いずれも引き出し式であって、それぞれ野菜室13、製氷室14、小冷凍室15、及び冷凍室16の前側の開口を開閉する。
【0014】
断熱箱体11は、図2に示すように、内部に断熱仕切り壁17と、非断熱仕切り壁18とを有している。断熱仕切り壁17は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13と、冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16とを断熱した状態で上下方向に仕切っている。非断熱仕切り壁18は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13内において、冷蔵室12と野菜室13とを断熱せずに上下方向に仕切っている。
【0015】
冷蔵庫10は、機械室19を備える。機械室19は、断熱箱体11の外部に設けられている。本実施形態では、機械室19は、冷蔵庫10の下部この場合冷凍室16の後方に設けられている。他の実施形態では、機械室19は例えば冷蔵庫10の上部つまり冷蔵室12の上部後方に設けられていても良い。
【0016】
冷蔵庫10は、図3に示す冷凍サイクル20を備える。冷凍サイクル20は、冷蔵冷却器21、冷凍冷却器22、圧縮機23、凝縮器24、切替弁25、冷蔵絞り装置26、冷凍絞り装置27、及び冷媒流路28を含んで構成される。冷蔵冷却器21と冷凍冷却器22とは、液体の冷媒を気化させて、貯蔵室12,13,14,15,16を冷却する冷気を生成する。圧縮機23は、インバータ制御により運転周波数を可変に構成されており、高温高圧の気体状の冷媒を吐出する。凝縮器24は、圧縮機23から吐出される気体状の冷媒を受けて放熱し液化する。切替弁25は、凝縮器24の出口側に接続され、冷媒の流路を切り替える機能を有する。冷蔵絞り装置26及び冷凍絞り装置27は、切替弁25の出口251,252にそれぞれ接続され、液体状の冷媒を減圧膨張させて冷蔵冷却器21又は冷凍冷却器22に送る。冷媒流路28は、圧縮機23、切替弁25、冷蔵絞り装置26、冷凍絞り装置27、冷蔵冷却器21、冷凍冷却器22、及び凝縮器24の間を接続し、内部に冷媒を流す経路を構成する。
【0017】
凝縮器24と圧縮機23と切替弁25とは、冷媒流路28によって直列に接続されている。冷蔵絞り装置26と冷蔵冷却器21と、及び冷凍絞り装置27と冷凍冷却器22とは、それぞれが直列に接続されており、互いに切替弁25を介して並列に接続される。圧縮機23と凝縮器24とは、機械室19内部に配置されている。
【0018】
切替弁25は例えば三方弁であり、冷蔵冷却器側の出口251と冷凍冷却器側の出口252とを有する。冷蔵冷却器側の出口251は、冷蔵冷却器21の上流側に繋がる出口である。冷凍冷却器側の出口252は、冷凍冷却器22の上流側に繋がる出口である。切替弁25を冷蔵冷却器21側に切り替えて出口251を開放することで、冷蔵冷却器21に冷媒が供給され、冷蔵冷却器21は冷蔵温度帯の貯蔵室12,13を冷却する冷気を生成する。切替弁25を冷凍冷却器22側に切り替えて出口252を開放することで、冷凍冷却器22に冷媒が供給され、冷凍冷却器22は冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16を冷却する冷気を生成する。
【0019】
冷媒流路28において冷蔵冷却器21の下流側は圧縮機23に接続されている。冷媒流路28において冷凍冷却器22の下流側であって圧縮機23の上流側には図示しない逆止弁が設けられている。また、本実施形態では冷凍サイクル20は圧縮機23に対して2つの冷却器21,22が接続されている構成だが、これに限らない。別の実施形態では、例えば1つの冷却器によって冷蔵温度帯の貯蔵室12,13と冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16とを冷却する冷気を生成する構成であっても良い。
【0020】
冷蔵庫10は、冷蔵循環風路30と、冷凍循環風路40と、を備える。循環風路30,40は、貯蔵室12,13,14,15,16を含んで構成され、内部を空気が循環することで各貯蔵室12,13,14,15,16に冷却器21,22によって生成した冷気を供給すると共に各貯蔵室12,13,14,15,16から空気を回収することを可能とする。この場合、冷蔵循環風路30は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13を内部に含んで構成される。冷凍循環風路40は、冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16を内部に含んで構成される。
【0021】
冷蔵循環風路30は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13と、冷蔵冷却器室31と、ダクト32と、を含んで構成され、内部に冷蔵送風機33を有する。冷蔵冷却器室31は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13の後方に設けられており、内部に冷蔵冷却器21を収容する。ダクト32は、空気の流れに関して、冷蔵冷却器室31の下流であって冷蔵温度帯の貯蔵室12,13の上流に位置して、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13に冷気を供給する。ダクト32は、冷蔵室12の後方に設けられている。冷蔵送風機33は、冷却器室31又はダクト32内に設けられて、冷却器21によって生成された冷気を各貯蔵室12,13に向けて送風する。本実施形態では、冷蔵送風機33は、冷却器室31において冷蔵冷却器21の下流に設けられている。
【0022】
ダクト32は、複数の吹き出し口321を有する。複数の吹き出し口321は、ダクト32と冷蔵室12とを連通する。冷蔵冷却器室31は、複数の戻り口311,312を有する。冷蔵室側戻り口311は、冷却器室31から冷蔵室12の下部の背面側に向けて開口して設けられている。この場合、冷蔵室側戻り口311は、冷蔵室12の最下部に設けられた例えばチルド室123の背部に対して開口して連通している。野菜室側戻り口312は、冷蔵冷却器室31から野菜室13の背面側に向けて開口して設けられている。なお、冷蔵室12と野菜室13との間の非断熱仕切り壁18には、図示しない連通口が設けられており、冷蔵室12と野菜室13とを連通している。
【0023】
冷蔵送風機33は、冷蔵室12及び又は野菜室13内の空気を冷蔵冷却器室31内に吸込み、吸い込んだ空気に冷蔵冷却器21を通過させてからダクト32を通して貯蔵室12,13に送る。吹き出し口321から冷蔵室12に供給された冷気は、冷蔵室12内を循環し、一部は非断熱仕切り壁18の連通口から野菜室13に流入する。冷蔵室12及び野菜室13を冷却した空気は、戻り口311,312から再び冷蔵冷却器室31に取り込まれ、冷蔵冷却器21によって再び冷却される。
【0024】
冷凍循環風路40は、冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16と、冷凍冷却器室41と、を含んで構成され、内部に冷凍送風機42を有する。冷凍冷却器室41は、冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16の後方に設けられており、内部に冷凍冷却器22を収容する。冷凍冷却器室41は、冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16に向けて開口した複数の吹き出し口411を有している。冷凍送風機42は、冷却器室41内に設けられて、冷却器22によって生成された冷気を複数の吹き出し口411を通して各貯蔵室14,15,16に向けて送風する。冷凍冷却器室41は、冷凍温度帯の貯蔵室14,15,16に向けて開口したこの場合冷凍室16に向けて開口した戻り口412を有する。
【0025】
冷凍送風機42は、貯蔵室14,15,16内の空気を冷凍冷却器室41内に吸込み、吸い込んだ空気に冷凍冷却器22を通過させてから貯蔵室14,15,16に送る。吹き出し口411から貯蔵室14,15,16に供給された冷気は、貯蔵室14,15,16内を循環する。貯蔵室14,15,16を冷却した空気は、戻り口412から再び冷凍冷却器室41に取り込まれ、冷凍冷却器22によって再び冷却される。
【0026】
冷蔵送風機33及び冷凍送風機42は、それぞれファンとファンモータとを含んで構成される。ファンモータの回転数は可変に構成されている。なお、本明細書において、ファンモータの回転数を送風機33,42の回転数と称することがある。
【0027】
冷蔵庫10は、加湿装置50を備える。加湿装置50は、冷蔵循環風路30内に設けられて、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13の全体又は一部に対して水分を供給する機能を有する。本実施形態では、加湿装置50は、特に野菜室13に対して水分を供給する機能を有する。この場合、加湿装置50は、野菜室13に対して水分を供給することができる位置であれば、どのような位置に配置されていても良いが、例えば、野菜室13の背面壁や、非断熱仕切り壁18に配置することができる。本実施形態では、加湿装置50は、野菜室13の背面壁に配置されている。
【0028】
加湿装置50は、空気中に水分を供給することができればどのような方式でも良いが、例えば、超音波の振動によって水面を破壊し微細な霧を発生させる超音波霧化装置、水に高電圧を印加した電極を近づけることで微細な霧を発生する静電霧化装置等が挙げられる。本実施形態では、加湿装置50は、超音波霧化装置である。加湿装置50は、空気中に水分を噴霧する噴霧部51を有する。噴霧部51から噴霧された霧は、冷蔵循環風路30を循環する空気の流れに乗って野菜室13内に拡散し、野菜室13内部の空気や、野菜室13内部に貯蔵された食品を潤す。
【0029】
加湿装置50は、連続的又は断続的に水を噴霧することができる。加湿装置50は、噴霧周期が可変に構成され、また、1回あたりに噴霧する水分量も可変に構成されている。1回あたりに噴霧する水分量の変化の方法は、例えば1単位時間当たりに霧化する水分量を固定して1回あたりの連続噴霧時間を変化させる場合や、1回あたりの連続噴霧時間を固定して1単位時間当たりに霧化する水分量を変化させる場合がある。本実施形態では、加湿装置50の1単位時間当たりに霧化する水分量を固定して1回あたりの連続噴霧時間を変化させる。なお、本実施形態の加湿装置50が単位時間当たりに供給可能な水分量は、連続噴霧を行った場合20g/時間すなわち約0.33g/分であるが、これに限らない。
【0030】
なお、加湿装置50が利用する水は、例えば、冷凍冷却器22を除霜した際に発生した除霜水とすることができる。この場合、制御装置60は、図示しないポンプを駆動して、除霜水を加湿装置50に供給することができる。また、本実施形態では、冷蔵庫10は、冷蔵冷却器21と冷凍冷却器22との2つの冷却器を備える構成であるが、これに限らない。例えば、1つの冷却器によって冷蔵温度帯の貯蔵室12、13と冷凍温度帯の貯蔵室14、15、16とをそれぞれ冷却する構成の場合、加湿装置50は、専用の貯水タンクから水が供給される構成であってもよい。
【0031】
冷蔵庫10は、制御装置60と、湿度検知部61と、を更に備える。制御装置60は、CPU601や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶領域602を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置60は、冷蔵庫10全体の動作を制御する。圧縮機23、切替弁25、冷蔵送風機33、冷凍送風機42、加湿装置50、及び湿度検知部61は、制御装置60に電気的に接続されており制御装置60によって駆動制御される。
【0032】
湿度検知部61は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13内部とりわけ加湿装置50による水分供給の対象である野菜室13内部の環境湿度を検知する機能を有する。湿度検知部61は、例えば野菜室13内部の環境湿度を検知することができる位置であれば、どのような位置に配置されていても良いが、例えば、野菜室13の側面若しくは背面壁や、非断熱仕切り壁18に配置することができる。本実施形態では、湿度検知部61は、非断熱仕切り壁18に配置されている。
【0033】
図5に示すように、加湿装置50の駆動の有無によって、3日間保管後の野菜の重量残存率が異なる実験結果となった。加湿装置50による水分供給があると、野菜の重量残存率は98%であった一方、加湿装置50による水分供給がないと、野菜の重量残存率は94%であった。通常、野菜の重量残存率が95%以上で鮮度が良いといわれている。また、保存期間の間に野菜から水分が蒸発してしまうが、加湿装置50による水分の供給があると、野菜からの水分蒸発の程度が加湿装置50による水分の供給がない場合の1/3に抑制されたことを示す。
【0034】
図6に示すように、加湿装置50から連続噴霧した場合と非連続的かつ周期的に噴霧した場合とで、3日間保管後の結露量(g)と野菜の重量残存率(%)とが異なる実験結果となった。連続噴霧した場合、3日後の結露量は22gであった。一方、1分噴霧し、29分停止した場合と、0.5分噴霧し、14.5分停止した場合とでは、結露は発生しなかった。また、連続噴霧の場合、3日後の野菜の重量残存率(%)は94%であったのに対して、上述の条件で非連続的に噴霧した場合、3日後の野菜の重量残存率(%)は98%であった。加湿装置50を駆動しない場合、貯蔵室13内部の湿度は約60%Rhであった。また、加湿装置50を駆動した場合、貯蔵室13内部の湿度は、約85~約95%Rhで推移していた。なお、図面において、噴霧をON、停止をOFFと表現することがある。
【0035】
これらの実験結果に基づいて、制御装置60による加湿装置50の駆動を制御の内容が設定されている。制御装置60は、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13内部とりわけ加湿装置50による水分供給の対象である野菜室13内部の環境湿度を所定の目標湿度となるように加湿装置50の駆動を制御する。この場合、制御装置60は、湿度検知部61が検知した検知湿度を取得する。そして、制御装置60は、取得した湿度検知部61の検知湿度に基づいて、加湿装置50の水分供給能力を制御する。所定の目標湿度は、例えば94%Rh(相対湿度)から96%Rhの範囲内に設定することができる。なお、この湿度の範囲は、野菜室13内部に貯蔵されている食品とりわけ野菜が乾燥せず、かつ結露が発生しない湿度の範囲内であれば適宜設定することができる。
【0036】
制御装置60は、湿度検知部61の検知湿度が高い場合、検知湿度が低い場合と比べて加湿装置50による水分供給能力を低下させる。これにより、野菜室13内部の湿度が低く野菜が乾燥する虞がある場合には、水分を豊富に供給して野菜室13内部の湿度を急速に上昇させて野菜の乾燥を抑制するとともに、野菜室13内部の湿度が十分に高く、それ以上水分を供給すると結露が発生し野菜が傷む虞がある場合には、水分の供給を控えめにして結露の発生を抑制することができる。本実施形態では、制御装置60は、検知湿度が高い場合、検知湿度が低い場合に比べて加湿装置50による噴霧間隔を長くする制御を実行する。本明細書において、噴霧間隔を長くすることには、非連続的な噴霧運転の周期を長くすることの外、非連続的な噴霧運転から運転を停止することや、連続的な噴霧運転から非連続的な噴霧運転とすることが含まれる概念である。
【0037】
図7に、制御装置60による加湿装置50に対する制御内容の例1及び例2を示す。この場合、湿度検知部61の検知湿度を複数の段階に区分して、それぞれの区分に対して加湿装置50の制御内容が設定されている。例1では、検知湿度が75%Rh以下では、制御装置60は加湿装置50を連続運転して連続噴霧を実行する。検知湿度が76%~80%では、制御装置60は加湿装置50を1分運転して14分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が81%~85%では、制御装置60は加湿装置50を1分運転して29分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が86%~90%では、制御装置60は加湿装置50を1分運転して44分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が91%~95%では、制御装置60は加湿装置50を1分運転して59分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が96%以上では、制御装置60は加湿装置50の運転を停止する。例1では、加湿装置50を周期的に運転する場合に、1回あたりの噴霧時間は1分間に設定されている。
【0038】
例2では、検知湿度が75%Rh以下では、制御装置60は加湿装置50を連続運転して連続噴霧を実行する。検知湿度が76%~80%では、制御装置60は加湿装置50を0.5分運転して9.5分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が81%~85%では、制御装置60は加湿装置50を0.5分運転して14.5分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が86%~90%では、制御装置60は加湿装置50を0.5分運転して29.5分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が91%~95%では、制御装置60は加湿装置50を0.5分運転して44.5分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が96%以上では、制御装置60は加湿装置50の運転を停止する。例2では、加湿装置50を周期的に運転する場合に、1回あたりの噴霧時間は0.5分間に設定されている。このように、加湿装置50は、噴霧間隔と、1回あたりの噴霧時間とが可変に構成されている。
【0039】
記憶領域602は、例えば図7に示すような検知湿度の区分と、それぞれの区分に対応した制御内容のチャートを記憶している。制御装置60は、湿度検知部61の検知湿度を取得して、記憶領域602に記憶されたチャートと照合して加湿装置50に対する制御内容を決定する。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、冷蔵庫10は、貯蔵室12,13,14,15,16と、加湿装置50と、制御装置60と、検知部としての湿度検知部61と、を備える。加湿装置50は、貯蔵室13内に水分を供給する機能を有する。制御装置60は、加湿装置50の駆動を制御する。湿度検知部61は、貯蔵室13内の湿度を検知する。制御装置60は、湿度検知部61の検知湿度を取得して、検知湿度に基づいて貯蔵室13内の湿度を所定の範囲内に維持するように加湿装置50の駆動を制御する。
【0041】
これによれば、貯蔵室13を略密閉状態としなくとも、貯蔵室13内部の湿度を目標湿度に近づけ、また維持することができる。そのため、貯蔵室13内部を野菜などの貯蔵に適する比較的高湿度としつつ結露が発生することを抑制することができる。よって、野菜等の食品が蒸れたりカビや細菌の繁殖が進んだりすることで、いわゆる水腐れが発生することが抑制され、食品の鮮度保持機能を向上した冷蔵庫が提供される。
【0042】
ここで、検知湿度に関わらず、加湿装置50による水分の供給能力を一定に設定すると、貯蔵室13内部の湿度が比較的低い場合に目標湿度となるまでに非常に長期間が必要となる虞や、貯蔵室13内部の湿度が比較的高い場合に、すぐに目標湿度を超過してしまい、結露が発生しやすくなる虞がある。
【0043】
これに対して、制御装置60は、検知湿度が高い場合は検知湿度が低い場合と比べて加湿装置50の水分の供給能力を低下させる。
【0044】
これにより、検知湿度が低い場合には、多めに水分供給を行って迅速に貯蔵室13内部の湿度を目標湿度に近づけることができる一方、検知湿度が高い場合には徐々に目標湿度に達するように制御されるため、過度に水分が供給されることがなく、結露の発生が抑制される。
【0045】
加湿装置50は、貯蔵室13内に水を噴霧する噴霧部51を有する。制御装置60は、噴霧部51から連続的又は周期的に水を噴霧させ、検知湿度が高い場合は検知湿度が低い場合と比べて噴霧間隔を長くする。
【0046】
これにより、噴霧間隔を変化することにより、検知湿度が低い場合には、頻繁に水分を供給して迅速に貯蔵室13内部の湿度を目標湿度に近づけることができる一方、検知湿度が高い場合には噴霧の頻度を抑えることで、過度に水分が供給されることがなく、結露の発生が抑制される。
【0047】
(第2実施形態)
次に、図8を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置60は、湿度検知部61の検知湿度が高い場合、検知湿度が低い場合と比べて、1回あたりに噴霧部51から噴霧する水の量を低下させる。
【0048】
本明細書において、1回あたりに噴霧する水の量を低下させることには、非連続的な噴霧運転の周期において1回あたりに噴霧する水の量を低下させることの外、非連続的な噴霧運転から運転を停止することや、連続的な噴霧運転から非連続的な噴霧運転とすることが含まれる概念である。
【0049】
この場合、1回あたりに噴霧部51から噴霧する水の量を変化させるためには、例えば、噴霧部51からの単位時間当たりの流量を固定して噴霧1回あたりの時間を変化させる方法と、噴霧1回あたりの時間を固定して噴霧部51からの単位時間当たりの流量を変化させる方法とがある。本実施形態では、制御装置60は、噴霧部51からの単位時間当たりの流量を固定して噴霧1回あたりの時間を変化させる。
【0050】
図8に、制御装置60による加湿装置50に対する制御内容の例3を示す。この場合、湿度検知部61の検知湿度を複数の段階に区分して、それぞれの区分に対して加湿装置50の制御内容が設定されている。例3では、検知湿度が75%Rh以下では、制御装置60は加湿装置50を連続運転して連続噴霧を実行する。検知湿度が76%~80%では、制御装置60は加湿装置50を3分運転して44分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が81%~85%では、制御装置60は加湿装置50を1.5分運転して44分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が86%~90%では、制御装置60は加湿装置50を1分運転して44分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が91%~95%では、制御装置60は加湿装置50を0.5分運転して44分停止する周期的な噴霧を実行する。検知湿度が96%以上では、制御装置60は加湿装置50の運転を停止する。
【0051】
記憶領域602は、例えば図8に示すような検知湿度の区分と、それぞれの区分に対応した制御内容のチャートを記憶している。制御装置60は、湿度検知部61の検知湿度を取得して、記憶領域602に記憶されたチャートと照合して加湿装置50に対する制御内容を決定する。
【0052】
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0053】
加湿装置50は、貯蔵室13内に水を噴霧する噴霧部51を有する。制御装置60は、噴霧部51から連続的又は周期的に水を噴霧させ、湿度検知部61の検知湿度が高い場合は検知湿度が低い場合と比べて1回あたりに噴霧する水の量を低下させる。
【0054】
これにより、噴霧時間を変化することにより、検知湿度が低い場合には、集中的に水分を供給して迅速に貯蔵室13内部の湿度を目標湿度に近づけることができる一方、検知湿度が高い場合には噴霧時間を抑えることで、過度に水分が供給されることがなく、結露の発生が抑制される。
【0055】
(第3実施形態)
続いて、図9及び図10を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置60は、冷蔵庫10の冷却運転の制御内容に関連して加湿装置50の制御内容を変更する。
【0056】
具体的には、制御装置60は、冷蔵冷却器21の除霜期間において、加湿装置50の制御内容を変更する処理を実行する。除霜期間は、制御装置60が除霜処理を実行する期間である。除霜処理は、圧縮機23を停止し又は圧縮機23を駆動しかつ切替弁25を出口252側に切り替えて冷蔵冷却器21に冷媒を送らない状態で冷蔵送風機33を比較的低速で駆動することで、冷蔵冷却器21を冷却しない状態で冷蔵温度帯の空気を冷蔵冷却器21に当てて、冷蔵冷却器21の表面に付着した霜を溶解させる処理である。この場合、除霜処置における冷蔵送風機33の回転数は、通常の冷却運転における冷蔵送風機33の回転数よりも低く設定されている。
【0057】
除霜処理が実行されると、冷蔵冷却器21の表面に付着していた霜が溶解する。除霜期間中、冷蔵送風機33は駆動されているので、溶解した霜から発生した水分が、循環風路を流れて冷蔵温度帯の貯蔵室12,13に供給される。そのため、加湿装置50の駆動を考慮しない場合、除霜期間において、冷蔵温度帯の貯蔵室12,13の湿度は除霜期間以外の期間よりも高くなる可能性がある。
【0058】
制御装置60は、除霜期間の少なくとも一部又は全部の期間において、加湿装置50の水分の供給能力を制御する。具体的には、制御装置60は、除霜期間の一部の期間又は全部の期間において、加湿装置50の水分の供給能力を低下させる制御を実行する。この場合、水分の供給能力を低下させることには、水分の供給能力を除霜期間以外の期間よりも低下させることと、加湿装置50の駆動を停止して水分を供給しないこととが含まれる。
【0059】
本実施形態では、制御装置60は、除霜期間の一部の期間において、加湿装置50の水分の供給能力を低下させる制御を実行する。除霜期間は、初期期間と、中間期間と、終期期間とを含んでいる。初期期間は、除霜処理の開始直後の期間を含む期間である。中間期間は、初期期間後の期間であって、終期期間の開始前の期間である。終期期間は、初期期間と中間期間との後の期間であって、除霜処理の終了直前の期間を含む。初期期間は、除霜処理が開始してから、冷蔵冷却器21表面の霜が溶解し始めるまでを目安に設定されている。中間期間は、冷蔵冷却器21表面の霜が溶解し始めてから当該霜が溶解し終わるまでを目安に設定されている。終期期間は、冷蔵冷却器21表面の霜が溶解し終わってから除霜処理の終了までを目安に設定されている。
【0060】
この場合、制御装置60は、既知の任意の方法によって、冷蔵冷却器21表面の霜の溶解の開始と終了とを判定できる。例えば、制御装置60は、除霜処理の開始からの経過時間によって、冷蔵冷却器21表面の霜の溶解の開始と終了とを判定してもよい。また、図示しない温度検知部によって冷蔵冷却器21の温度を検知して、検知温度が所定の第1温度以上となったら冷蔵冷却器21表面の霜が溶解し始めたと判断し、検知温度が第1温度よりも高い所定の第2温度以上となったら冷蔵冷却器21表面の霜が溶解し終わったと判断してもよい。
【0061】
図9に一例を示すように、制御装置60は、初期期間と、中間期間と、終期期間との各期間において、加湿装置50の水分供給能力を調整する制御を実行する。制御装置60は、初期期間において、加湿装置50の水分供給能力を、通常運転における水分供給能力よりも低下させる。ここで通常運転とは、除霜処理を行っていない期間における加湿装置50の運転を指し、上記各実施形態で例示したように、湿度検知部61の検知湿度によって異なる水分能力が設定されている。例えば、初期期間における水分供給能力は、通常運転における水分供給能力の約25%~約75%の範囲内に設定することができる。本実施形態では、初期期間における水分供給能力は、通常運転における水分供給能力の約50%に設定されている。冷蔵冷却器21の表面に付着した霜が溶解を始めるまでの期間は、溶解した霜つまり除霜水から貯蔵室13内部に水分が未だ供給されないため、加湿装置50によって水分を供給する。一方、循環空気が過度に高湿度となると、冷蔵冷却器21からの除霜が妨げられる虞があるが、初期期間において、加湿装置50の水分供給能力は低下しているため、冷蔵冷却器21からの除霜の妨げとなり難い。
【0062】
制御装置60は、中間期間において、加湿装置50の水分供給能力を低下又は停止させる。これにより、冷蔵冷却器21の除霜により発生した除霜水を利用して貯蔵室13内に水分を供給しつつ、加湿装置50を駆動する電力を抑制することができる。この場合、例えば、中間期間における水分供給能力は、通常運転における水分供給能力の0%~約25%の範囲内に設定することができる。本実施形態では、中間期間における水分供給能力は、通常運転における水分供給能力の0%に設定つまり中間期間において加湿装置50は駆動が停止されている。
【0063】
制御装置60は、終期期間において、加湿装置50の水分供給能力を、初期期間における水分供給能力以上とする。本実施形態では、制御装置60は、終期期間において、加湿装置50の水分供給能力を、通常運転における水分供給能力と同等に設定する。冷蔵冷却器21表面の霜が溶解し終えた後の期間には、冷蔵冷却器21の除霜により発生した除霜水を利用して貯蔵室13内に水分を供給することができないため、再び加湿装置50の水分供給を開始又は水分供給能力を増加して、加湿装置50によって貯蔵室13内部に水分を供給する。
【0064】
図10は、加湿装置50と冷蔵冷却器21の除霜水とによる水分供給能力を示す概念図である。初期期間においては、加湿装置50による水分供給能力は通常運転時における供給能力よりも低下しており、除霜水による水分供給能力はまだ高くない。中間期間においては、加湿装置50は駆動が停止しているため、水分供給能力は略ゼロであり、除霜水による水分供給能力は高い。終期期間においては、加湿装置50の駆動が再開し次第に水分供給能力は通常運転時程度まで回復する。一方、除霜水による水分供給能力は次第にゼロとなる。
【0065】
本実施形態によれば、冷蔵庫10は、循環風路としての冷蔵循環風路30と、冷却器としての冷蔵冷却器21と、送風装置としての冷蔵送風機33と、を備える。冷蔵循環風路30は、貯蔵室12,13を含んで形成され内部を空気が循環する風路である。冷蔵冷却器21は、冷蔵循環風路30に設けられて、冷蔵循環風路30内の空気を冷却する。冷蔵送風機33は、冷蔵冷却器21によって冷却された空気を貯蔵室12,13に送る。制御装置60は、冷蔵送風機33を駆動して冷蔵冷却器21を除霜する除霜処理を実行し、除霜処理の実行期間である除霜期間中において、加湿装置50の駆動状態を制御する。
【0066】
これによれば、除霜期間中は冷蔵冷却器21に発生した除霜水による水分供給能力を考慮して加湿装置50による水分供給を行うことができるので、より適切かつ効率的に貯蔵室13に水分を供給することができる。
【0067】
制御装置60は、除霜期間中の少なくとも一部の期間において、加湿装置50の水分の供給能力を低下させる。
【0068】
これによれば、除霜期間中は冷蔵冷却器21に発生した除霜水を利用することで、加湿装置50の駆動を抑制又は停止することができるため、電力の利用を抑制することができる。また、除霜期間中に貯蔵室13に過度に水分が供給されないようにできるため、貯蔵室13に結露が発生することを抑制できる。
【0069】
除霜期間は、除霜処理の開始直後の期間を含む初期期間と、初期期間経過後の期間であって除霜処理の終了直前の期間を含む終期期間とを含む。制御装置60は、初期期間において加湿装置50の水分の供給能力を所定能力未満とする処理と、終期期間において加湿装置50の水分の供給能力を所定能力以上とする処理との、少なくともいずれか一方又は両方の処理を実行する。
【0070】
これにより、初期期間における当該処理を実行した場合、除霜水による水分供給が未だ見込めない初期期間においては、除霜能力を妨げない程度の水分を加湿装置50により供給することができる。また、終期期間における当該処理を実行した場合、除霜水による水分供給が終了すると考えられる終期期間においては、加湿装置50による水分供給能力を回復させて、貯蔵室13内部に貯蔵された野菜などの食品の鮮度を保つことができる。
【0071】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…冷蔵庫、12…冷蔵室、13…野菜室(貯蔵室)、30…冷蔵循環風路(循環風路)、33…冷蔵送風機(送風装置)、50…加湿装置、51…噴霧部、60…制御装置、61…湿度検知部(検知部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10