(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172905
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20241205BHJP
F25D 21/14 20060101ALI20241205BHJP
B05B 17/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F25D23/00 302F
F25D23/00 302E
F25D21/14 P
B05B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090954
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
【テーマコード(参考)】
3L048
3L345
4D074
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048CA02
3L048CE06
3L048DA01
3L048DC05
3L048GA02
3L345AA02
3L345AA17
3L345BB05
3L345GG13
3L345GG33
3L345KK04
4D074AA02
4D074BB03
4D074DD07
4D074DD12
4D074DD13
4D074DD17
4D074DD18
4D074DD22
4D074DD34
4D074DD51
(57)【要約】
【課題】水を安定して貯蔵室内に噴霧できる技術を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、貯蔵室と、水を貯蔵室内に噴霧する噴霧装置と、を備え、噴霧装置は、霧を発生させる霧化部と、霧化部に水を供給する給水部材と、給水部材を霧化部に上下方向に沿って接触させる弾性部材と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
水を前記貯蔵室内に噴霧する噴霧装置と、を備え、
前記噴霧装置は、霧を発生させる霧化部と、前記霧化部に前記水を供給する給水部材と、前記給水部材を前記霧化部に上下方向に沿って接触させる弾性部材と、を有する、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記噴霧装置は、前記霧化部で発生した前記霧を前記貯蔵室内に放出するための放出部を更に有し、
前記放出部は、平面視において前記霧化部の少なくとも一部と重なっている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室を冷却するための冷却器と、前記貯蔵室と前記冷却器との間の空間を仕切り前記冷却器の前記貯蔵室側の面を覆う覆い部材と、を更に備え、
前記覆い部材は、前記放出部に対応した位置に設けられ前記覆い部材を厚み方向に貫通して形成された開口部を有し、
前記放出部の先端部は、前記開口部から前記貯蔵室内に突出している、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記霧化部と前記放出部とは、上下方向に対向して設けられており、
前記放出部は、前記放出部内の水滴が前記霧化部に落ちることを抑制する構成を有する、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記噴霧装置は、前記霧化部の外部に露出する部分を囲むように上方に突出して形成された突出部を更に有する、
請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷却器で生じた除霜水を受けて貯留する貯水部材を更に備え、
前記貯水部材は、前記除霜水が集中する部位を有しており、
前記噴霧装置は、前記貯水部材の前記除霜水が集中する部位に貯留される前記除霜水又は前記除霜水が集中する部位に向かって流れる前記除霜水を給水する、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷却器で生じた前記除霜水を受けて排水する排水樋を更に備え、
前記貯水部材の少なくとも一部は、前記排水樋の内部に設けられている、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記噴霧装置は、前記噴霧装置の下部を構成し前記給水部材及び前記弾性部材を収容する収容部材を更に有し、
前記収容部材は、前記収容部材の外部から内部に前記除霜水を通過させる通水孔が形成されている、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記噴霧装置は、前記給水部材よりも下方に位置し前記霧化部に前記除霜水を導く導水部材を更に有する、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波霧化装置を用いて野菜等の貯蔵物を収納する貯蔵室内を加湿する冷蔵庫が知られている。超音波霧化装置では、給水部材から供給される水を振動板により振動させて霧化し、発生した霧を野菜室内へ向けて放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来構成では、振動板と給水部材の接触状態を維持するコイルばねを設けているが、当該コイルばねは水平方向から給水部材を振動板に対して押し当てるように配置されている。このような構成では、超音波霧化装置に何らかの振動等が発生して給水部材に対するコイルばねの接触点が変化すると、給水部材と振動板との接触状態が不安定になる。そして、給水部材と振動板との接触状態が不安定になると、超音波霧化装置による安定した噴霧が困難となる。したがって、従来構成では、貯蔵室内に水を安定して噴霧する点において改善の余地があった。
【0005】
そこで、発明は、水を安定して貯蔵室内に噴霧できる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室と、水を前記貯蔵室内に噴霧する噴霧装置と、を備え、前記噴霧装置は、霧を発生させる霧化部と、前記霧化部に前記水を供給する給水部材と、前記給水部材を前記霧化部に上下方向に沿って接触させる弾性部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による冷蔵庫の構成の一例を示す正面図
【
図2】一実施形態による冷蔵庫の構成の一例を示す断面図
【
図3】一実施形態による冷蔵庫について、野菜室の内部の構成の一例を示す正面図
【
図4】一実施形態による冷蔵庫について、排水樋周辺の構成の一例を示す斜視図
【
図5】一実施形態による冷蔵庫について、貯水部材の構成の一例を示す平面図
【
図6】一実施形態による冷蔵庫について、冷却器室周辺の構成の一例を示す断面図
【
図7】一実施形態による冷蔵庫について、噴霧装置の周辺を拡大して示す断面図
【
図8】一実施形態による冷蔵庫について、噴霧装置の一部の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図では、説明の便宜上、必要に応じて各構成の寸法を適宜拡大している場合があり、各構成同士の寸法比は実際と同一であるとは限らない。
【0009】
図1に示す冷蔵庫10は、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体11内に複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、冷蔵庫本体11の開口側を冷蔵庫10の前側とし、開口とは反対側を冷蔵庫10の後側とする。また、冷蔵庫10を
図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向とする。冷蔵庫10を前方から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向つまり幅方向とし、冷蔵庫10の前後方向を、冷蔵庫10の奥行方向とする。
【0010】
冷蔵庫10は、冷蔵庫本体11を主体に構成されている。冷蔵庫本体11は、前面が開口した断熱性を有する矩形の箱体で構成されている。冷蔵庫本体11は、箱体を構成する各壁部の内部に例えば硬質発泡ウレタン等の発泡断熱材や真空断熱パネル等の断熱部材で構成される断熱材が設けられている。
【0011】
冷蔵庫本体11は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室で区分されている。冷蔵庫10は、貯蔵室として、例えば冷蔵室12、野菜室13、製氷室14、小冷凍室15、及び冷凍室16を備えている。冷蔵室12及び野菜室13は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、例えば1~5℃程度に冷却される。一方、製氷室14、小冷凍室15、及び冷凍室16は、冷凍温度帯の貯蔵室であり、例えば-18℃以下に冷却される。冷蔵温度帯及び冷凍温度帯は、貯蔵物を冷蔵や冷凍して収容するのに適した温度帯である。
【0012】
冷蔵庫10は、右側冷蔵室扉21、左側冷蔵室扉22、野菜室扉23、製氷室扉24、小冷凍室扉25、及び冷凍室扉26を備えている。各扉21~26は、例えば金属製又は合成樹脂製の枠部材の内部に断熱材を充填して構成されている。右側冷蔵室扉21及び左側冷蔵室扉22は、例えば観音開きのヒンジ開閉式扉であって、冷蔵室12の前側の開口を開閉する。冷蔵庫10は、観音式の扉21、22を備える構成に限らず、いわゆる片開き式の扉を備える構成であっても良い。野菜室扉23、製氷室扉24、小冷凍室扉25、及び冷凍室扉26は、いずれも引出し式であって、それぞれ野菜室13、製氷室14、小冷凍室15、及び冷凍室16の前側の開口を開閉する。
【0013】
冷蔵室12は、冷蔵庫本体11の最上段に設けられている。冷蔵室12内の空間には、複数この場合4つの棚板121が設けられている。複数の棚板121は、例えば合成樹脂製で、貯蔵物を載置可能に構成されている。また、冷蔵室12は、特別室17が設けられている。特別室17は、冷蔵室12内において、冷蔵室12内の大部分の温度帯である冷蔵温度帯とは異なる温度帯に維持可能に構成されている。特別室17は、例えば内部を例えば0℃前後のいわゆるチルド温度帯に維持可能なチルド室として構成できる。なお、特別室17は、冷蔵温度帯よりもさらに高い温度帯に維持可能な高温室として構成しても良い。
【0014】
特別室17は、冷蔵室12内の最下段に設けられている。特別室17は、
図2に示すように、ケース171が設けられている。ケース171は、例えば上面側が開口した容器状に形成され、特別室17に収容された状態から前方へ引き出すことによって、上面側の開口から貯蔵物を出し入れすることが可能となっている。
【0015】
野菜室13は、冷蔵室12の下方に設けられている。製氷室14及び小冷凍室15は、野菜室13の下方にあって、左右に並べて設けられている。そして、冷凍室16は、製氷室14及び小冷凍室15の下方、つまり冷蔵庫本体11の最下段に設けられている。
【0016】
また、冷蔵庫本体11は、
図2に示すように、断熱仕切り壁18及び非断熱仕切り壁19を有している。断熱仕切り壁18は、冷蔵温度帯の貯蔵室12、13と、冷凍温度帯の貯蔵室14、15、16とを断熱した状態で上下方向に仕切っている。非断熱仕切り壁19は、冷蔵温度帯の貯蔵室12、13内において、冷蔵室12と野菜室13とを断熱せずに上下方向に仕切っている。そのため、冷蔵室12と野菜室13とは、それぞれ熱的に相互に繋がっている。
【0017】
冷蔵庫10は、
図2に示すように、野菜室容器231を備えている。野菜室容器231は、貯蔵物を収容可能な引き出し式の容器であり、野菜室扉23に取り付けられて野菜室扉23と一体的に出し入れ可能に構成されている。本実施形態では、野菜室容器231は、上下方向に積み重ねられた多段式で構成されており、下段容器232と上段容器233とを有している。
【0018】
下段容器232は、例えば上面側が開口した容器状に形成されており、上面側の開口から貯蔵物を出し入れできる。下段容器232は、天井壁232aを有している。天井壁232aは、下段容器232の上面側の開口の一部を覆っている。天井壁232aは、下段容器232の後壁の上端方前方に延びて構成されている。つまり、下段容器232は、天井壁232aによって、上面後方部が閉塞している。
【0019】
上段容器233は、下段容器232の上方に位置している。上段容器233の内容積は、下段容器232の内容積よりも小さく設定されている。上段容器233は、野菜室扉23が閉扉され野菜室容器231が野菜室13内に収容された状態で、下段容器232の上面側の開口を覆っている。このため、下段容器232内の湿気が下段容器232の外部に逃げにくい構成となっており、下段容器232は高湿度に維持される。上段容器233は、非断熱仕切り壁19との間に所定間隔をあけて配置される。上段容器233は、例えば上面側が開口した容器状に形成されている。本実施形態では、上段容器233は蓋を有していないため、常に上面側の開口が開放している。上段容器233は、野菜室13に収容された状態から前方へ引き出すことによって、上面側の開口から貯蔵物を出し入れすることが可能となっている。
【0020】
冷蔵庫10は、冷却器31及び循環風路40を備えている。冷却器31は、冷蔵室12及び野菜室13を冷却するための冷気を生成する。冷却器31は、図示しない圧縮機、及び凝縮器や膨張弁等とともに周知の冷凍サイクルを構成している。冷却器31には、圧縮機によって圧縮された冷媒が供給される。圧縮機は、冷蔵庫本体11の下端部背面側に設けられた図示しない機械室内に配置されている。圧縮機は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。制御装置は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報に基づいて冷蔵庫10の動作全般の制御を行う。
【0021】
循環風路40は、その内部を空気が循環することで貯蔵室12、13に冷却器31によって生成した冷気を供給する。循環風路40は、冷蔵室12、冷却器室41、及びダクト42を含んで構成される。冷却器室41は、貯蔵室12、13と冷却器31との間の空間を前後方向に仕切る背面部材43の後方に設けられている。冷却器室41は、内部に冷却器31を収容する。つまり、背面部材43は、冷却器31の貯蔵室12、13側の面を覆っている。背面部材43は、覆い部材として機能する。
【0022】
また、背面部材43と冷却器31との間には、断熱部材401が設けられている。断熱部材401は、断熱性を有しており、例えば発泡プラスチックで形成されている。断熱部材401は、背面部材43の背部に沿って上下方向に延びている。断熱部材401の下端部は、野菜室13の後方に位置する。冷却器室41内には、冷却器31の下流側に送風機44が設けられている。送風機44は、冷却器31によって生成された冷気を貯蔵室12、13にダクト42を介して供給する機能を有する。
【0023】
ダクト42は、循環風路40の空気の流れにおいて、冷却器室41の下流側であって冷蔵室12の上流側に位置しており、冷却器室41と冷蔵室12とを繋いでいる。ダクト42は、冷蔵室12の後方に設けられ、冷蔵室12に冷気を供給する。ダクト42は、複数の吹き出し口421を有する。吹き出し口421は、ダクト42と冷蔵室12とを連通する。また、背面部材43には、吸い込み口431が設けられている。吸い込み口431は、非断熱仕切り壁19の後方に位置しており、冷蔵室12と冷却器室41とを連通している。
【0024】
図2の黒矢印で示すように、複数の吹き出し口421から冷蔵室12内に供給された冷気は、冷蔵室12内を循環した後に、吸い込み口431から再び冷却器室41に取り込まれ、冷却器31によって再び冷却される。ここで、野菜室13は、冷蔵室12内を流れる冷気が非断熱仕切り壁19等に接触することで、間接的に冷却される。つまり、野菜室13には、冷気が直接流入しない。これにより、野菜室13は、冷蔵室12よりも高い温度が実現されるとともに、野菜室13内に直接冷気が流れ込まないことで、野菜室13内に貯蔵された野菜の乾燥が抑制されている。
【0025】
本実施形態では、冷蔵庫10は、光源ユニット50を備えている。光源ユニット50は、野菜室13内を照明又は除菌する機能を有する。光源ユニット50は、制御装置によって制御される。光源ユニット50は、
図3に示すように、光源ユニット50は、例えば野菜室13の左右方向の中央付近であって、野菜室容器231を臨む位置に設けられている。光源ユニット50は、例えば可視光を照射する可視光LED及び例えば紫外光を照射する紫外光LEDを含んで構成されている。可視光LEDは、照明のためのものである。紫外光LEDは、除菌や脱臭等をするためのものである。
【0026】
冷蔵庫10は、排水樋61、貯水部材62、及び噴霧装置70を備えている。排水樋61、貯水部材62、及び噴霧装置70は、
図2等に示すように、冷却器室41内に設けられている。排水樋61は、冷却器31の下方に位置しており、冷却器31に付着した霜が除霜時に発生する除霜水を受ける。排水樋61に溜まった除霜水は、排水樋61に接続された図示しない排水ホースを介して庫外の機械室に排出される。
【0027】
貯水部材62は、上下方向において、冷却器31と排水樋61との間に位置している。貯水部材62は、上面が開口した容器状に形成され、冷却器31で生じた除霜水の一部を受けて貯留する。貯水部材62の少なくとも一部は、排水樋61の内部に設けられている。つまり、貯水部材62は、上下方向において排水樋61と重なるように配置されている。
図4に示すように、貯水部材62の幅方向の寸法は、排水樋61の幅方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0028】
貯水部材62は、
図4及び
図5に示すように、底面部621、側面部622、及び台座部材623を有している。底面部621は、貯水部材62の底面を構成している。底面部621は、平面部621a、傾斜面部621b、及び排水孔621cを有している。平面部621aは、例えば底面部621の前側であって右寄りの位置に設けられている。平面部621aは、例えば略矩形状に形成されており、冷蔵庫10の設置面に対して略平行な状態つまり略水平に構成されている。
【0029】
傾斜面部621bは、底面部621のうち大部分を占める部分である。傾斜面部621bは、冷却器31と対向している。傾斜面部621bは、平面部621aと連続して形成されている。傾斜面部621bは、平面部621a側に向かって下方に傾斜して形成されている。したがって、平面部621aは、底面部621の最下部を構成している。平面部621aは、貯水部材62内の除霜水が集中する部位である。そして、傾斜面部621bは、平面部621aに向かって除霜水が流れる部位である。
【0030】
排水孔621cは、底面部621を厚さ方向に貫通して形成されている。排水孔621cは、底面部621上に残水した除霜水を貯水部材62の外部に排出するためのものである。排水孔621cは、
図5に示すように、平面部621aに複数例えば4つ設けられている。複数の排水孔621cは、所定の間隔をあけて設けられており、例えば平面部621aの四隅に設けられている。排水孔621cを平面部621aの四隅つまり前後左右にそれぞれ設けることで、例えば冷蔵庫10がいずれかの方向に傾いた場合であっても、排水孔621cから除霜水を排出できる。排水孔621cは、下方に向かって拡径する円錐状に形成されている。これにより、排水孔621cの入口側の開口面積を小さくすることで、貯水部材62に溜まった水の流出を抑えることができる。なお、
図5において、図面を見やすくするために、排水孔621cの符号は一部のみ付しており、その他の排水孔621cの符号は省略している。
【0031】
側面部622は、貯水部材62の側面を構成している。側面部622は、底面部621から側面部622の上端までの距離において、平面部621aから側面部622の上端までの距離が最も大きくなるように設定されている。台座部材623は、平面部621aに対応した位置に設けられており、底面部621上に配置されている。台座部材623は、平面視で例えば略コ字状に形成されており、前側が開放している。
【0032】
台座部材623は、通水開口623a及び段部623bを有している。通水開口623aは、例えば台座部材623の下端部を切り欠いて形成されており、例えば略矩形状に形成されている。通水開口623aは、台座部材623の各側面にそれぞれ設けられている。段部623bは、台座部材623の上面の内周縁を下方に凹むように形成されている。段部623bは、台座部材623の上面にわたって形成されている。
【0033】
噴霧装置70は、冷蔵庫10内にある水例えば冷却器31で生じた除霜水を野菜室13内に噴霧する。噴霧装置70は、平面部621aに対応する位置に設けられている。噴霧装置70は、平面部621aに設ける構成に限らず、傾斜面部621bの途中部分に設ける構成としても良い。噴霧装置70は、吸い込み口431の下方に設けられている。噴霧装置70は、放出部71、収容部材72、霧化部73、給水部材74、弾性部材75、及び導水部材76を有して構成できる。放出部71は、噴霧装置70で発生した霧を野菜室13内に放出する。放出部71は、
図6に示すように、筒状に形成されており、断面視において例えば略L字状である。放出部71は、例えば背面部材43に取り付けられている。
【0034】
本実施形態では、背面部材43は、開口部432を有している。開口部432は、放出部71に対応した位置に設けられ、背面部材43を厚み方向に貫通して形成されている。開口部432は、
図3に示すように、光源ユニット50と左右方向に並んで設けられている。そして、
図6等に示すように、放出部71の先端部71aは、開口部432から野菜室13内に突出している。これにより、光源ユニット50の照明の照射範囲内に、放出部71から噴射された霧が拡散されるため、当該霧の視認性が向上される。また、光源ユニット50の紫外光LEDから照射された紫外光が霧にあたることで、除菌された霧を野菜室13内に噴射できる。霧の除菌性及び視認性をより向上させるために、放出部71の先端部71aの向きを、放出部71の噴射方向の中心線が光源ユニット50の照射方向の中心線と交差するように配置しても良い。
【0035】
放出部71の先端部71aは、野菜室容器231の上段容器233の上端よりも上方に位置している。これにより、放出部71から放出された霧を、上段容器233の上面側の開口から上段容器233内に効率良く送ることができる。また、放出部71の先端部71aは、前方から後方に向かって下降傾斜して形成されている。つまり、先端部71aの上端は、先端部71aの下端よりも野菜室13側に位置している。これにより、先端部71aの開口面積を広く確保して霧の単位時間あたりの噴霧量の向上を図るとともに、先端部71aが上段容器233に干渉することを抑制できる。
【0036】
収容部材72は、放出部71の下方に位置しており、噴霧装置70の下部を構成する。収容部材72は、例えば全体として略T字状に形成されている。収容部材72は、内部に長手方向に沿って延びる空間Sを有している。空間Sには、霧化部73、給水部材74、弾性部材75、及び導水部材76の一部が収容されている。収容部材72は、
図7及び
図8に示すように、本体部721、平板部722、円環部723、及び突出部724を有して構成できる。本体部721は、例えば円筒状に形成され、収容部材72の主体を構成している。
【0037】
本体部721は、通水孔725を有している。通水孔725は、収容部材72の外部から内部に除霜水を通過させるためのものである。通水孔725は、例えば本体部721の底部又は側部の一方又は両方に設けられている。本実施形態では、通水孔725は、本体部721の底部と側部の両方に設けられており、底部の通水孔725a及び側部の通水孔725bを有している。側部の通水孔725bは、本体部721の前後方向に対応して複数形成されている。側部の通水孔725bは、台座部材623の通水開口623aと左右方向において重なっている。
【0038】
平板部722は、本体部721の上部に設けられている。平板部722は、例えば略矩形状に形成されている。平板部722は、台座部材623の段部623bに載置可能に構成されている。段部623bに平板部722を載せることで、収容部材72は台座部材623に支持される。また、収容部材72は、段部623bと貯水部材62の前側の側面部622によって、前後方向の移動が規制されている。台座部材623の段部623bから台座部材の下端部までの寸法は、本体部721の長さ寸法よりも大きく設定されている。つまり、台座部材623に収容部材72が支持された状態で、本体部721の下端部つまり収容部材72の下端部と貯水部材62の平面部621aとは離れている。換言すれば、収容部材72は、平面部621aから浮いた状態で台座部材623に支持される。
【0039】
平板部722は、平板部孔722aを有している。平板部孔722aは、平板部722を厚さ方向に貫通して形成されている。平板部孔722aは、空間Sの一部を構成している。円環部723は、平板部722の上部に設けられている。円環部723は、円環状に形成されている。円環部723は、円環部孔723aを有している。
【0040】
突出部724は、円環部723の上部に設けられている。突出部724は、例えば円筒状に形成されており、円環部723の上面から上方に突出して形成されている。突出部724は、収容部材72の上部を構成している。突出部724の内径は、円環部孔723aの孔径よりも小さく設定されている。突出部724の上端と放出部71の下端との間には、所定の間隔が設けられている。また、放出部71の下端の内径は、突出部724の外径よりも大きく設定されている。
【0041】
霧化部73は、除霜水を用いて霧を発生される機能を有する。霧化部73は、空間Sを構成する平板部孔722aの一部及び円環部孔723aの内部に設けられている。霧化部73は、振動子731及び防振材732を含んで構成されている。振動子731は、例えば超音波素子を含んで構成されている。振動子731は、制御装置から電源が供給されると、超音波の振動を発生させる。
【0042】
振動子731は、例えば略円形状に構成されている。
図7に示すように、振動子731の一部この場合中央付近は、収容部材72の外部から視認可能であって、外部に露出する部分である。また、上述した突出部724は、振動子731の中央付近を囲むようにして配置されている。振動子731は、中央付近に複数の微細な孔731aが設けられている。孔731aの径は、例えば数μm程度である。孔731aは、霧を噴出する噴出孔として機能する。孔731aは、放出部71と上下方向において対向している。つまり、放出部71は、平面視において霧化部73の少なくとも一部と重なっている。孔731aから噴霧された除霜水は、放出部71内で噴霧方向が上下方向から水平方向に変換されて、その後野菜室13内に供給される。
【0043】
例えば放出部71の内面において振動子731の複数の孔731aと対向する部分は、曲面状に形成されている。つまり、放出部71は、放出部71内の水滴が霧化部73に落ちることを抑制する構成を有する。これにより、例えば放出部71内に滞留した霧によって放出部71の内面に結露水が発生したとしても、当該結露水は放出部71の内面の曲線部分に沿って垂れ落ちる。したがって、放出部71内の結露水を振動子731の外方に導くことができる。そのため、結露水が振動子731上に落ちて孔731aが塞がれてしまい、霧化部73からの霧の噴射等が阻害される又は振動子731が故障するといった事態を回避できる。
【0044】
防振材732は、例えば円環状に形成されており、振動子731の外周部に取り付けられている。防振材732は、例えばシリコンゴム等で構成されている。防振材732は、振動子731の振動が周辺の部品へ伝達及び接触による破損等を防止するためのものである。
【0045】
給水部材74は、貯水部材62に貯留された除霜水を受けて、霧化部73に当該除霜水を供給するためのものである。給水部材74は、例えばウレタンスポンジ等で構成されており、保水性に優れるとともに毛細管現象によって水を吸い上げる。給水部材74は、
図7等に示すように、例えば棒状の部材で構成され、上端部が振動子731に接触しており、下端部が導水部材76に接触している。給水部材74には、収容部材72の通水孔725から除霜水が供給される。給水部材74によって霧化部73まで吸い上げられた除霜水は、複数の孔731aまで移動する。
【0046】
弾性部材75は、例えばステンレス製であって、コイルばねで構成されている。弾性部材75は、給水部材74を霧化部73に上下方向に沿って接触させるためのものである。弾性部材75は、導水部材76を介して給水部材74を上方に付勢している。弾性部材75を給水部材74に対して上下方向に配置することで、重力方向と付勢方向とが一直線上となるため、霧化部73に対する給水部材74の接触様態を安定して維持できる。
【0047】
弾性部材75は、収容部材72の内面上に配置されている。弾性部材75を収容部材72の内面上に配置して、貯水部材62の底面部621から浮いた状態にすることで、弾性部材75が貯水部材62に貯留した除霜水に長時間接触することを回避している。なお、弾性部材75は、コイルばねに限らず、弾性ゴム等で構成しても良い。
【0048】
導水部材76は、貯水部材62に貯留された除霜水を給水部材74に導くためのものである。導水部材76は、シート状の部材で構成されている。本実施形態では、導水部材76は、貯水部材62の底面部621上に配置され、後方に向かって延びて台座部材623の外側で折り曲げられて延伸方向が反転している。そして、導水部材76は、収容部材72の側部の通水孔725bを通って収容部材72の内部まで延びて、給水部材74と弾性部材75とに挟まれて保持されている。つまり、導水部材76の最下点は、給水部材74の最下点よりも下方に位置している。このようにして、給水部材74の下方に設けられた導水部材76から給水部材74に除霜水が供給されるため、貯水部材62に少量の除霜水しか溜まっていない状態であっても、噴霧装置70から野菜室13内への除霜水の噴射が実現される。なお、導水部材76から霧化部73に直接つまり給水部材74を介さずに貯水部材62に貯留された除霜水を導く構成としても良い。
【0049】
以上説明した実施形態によれば、冷蔵庫10は、貯蔵室12、13と、噴霧装置70と、を備える。噴霧装置70は、水を野菜室13内に噴霧する。そして、噴霧装置70は、霧を発生させる霧化部73と、霧化部73に水を供給する給水部材74と、給水部材74を霧化部73に上下方向に沿って接触させる弾性部材75と、を有する。
【0050】
これによれば、弾性部材75から給水部材74に対して作用する力の方向と重力方向とを一致させることで、給水部材74と霧化部73との接触状態の維持を安定させることができる。これにより、噴霧装置70によって、水を安定して野菜室13内に噴霧することができる。よって、野菜室13内を高湿度に保ち、野菜室13内の貯蔵物の鮮度維持を図ることができる。
【0051】
噴霧装置70は、放出部71を有する。放出部71は、霧化部73で発生した霧を野菜室13内に放出するためのものである。放出部71は、平面視において霧化部73の少なくとも一部と重なっている。これによれば、霧化部73で発生した霧を放出部71に効率良く導くことができる。これにより、水を効率的に野菜室13内に噴霧できるため、野菜室13内を効果的に加湿できる。
【0052】
冷蔵庫10は、冷却器31及び背面部材43を更に備える。冷却器31は、貯蔵室12、13を冷却するためのものである。背面部材43は、貯蔵室12、13と冷却器31との間の空間を仕切り、冷却器31の貯蔵室12、13側の面を覆う。背面部材43は、放出部71に対応した位置に設けられ、背面部材43を厚み方向に貫通して形成された開口部432を有する。そして、放出部71の先端部71aは、開口部432から野菜室13内に突出している。これによれば、放出部71の先端部71aを野菜室13内に配置することで、野菜室13内に円滑に水を噴霧できる。これにより、野菜室13内を効果的に加湿できるため、貯蔵物の鮮度維持を図ることができる。
【0053】
また、霧化部73と放出部71とは、上下方向に対向して設けられている。放出部71は、放出部71内の水滴が霧化部73に落ちることを抑制する構成を有する。ここで、放出部71内に霧が滞留し結露が生じた場合に、放出部71内の水滴が霧化部73に落ちると、霧化部73からの霧の発生が阻害される等の不具合が生じるおそれがある。そこで、放出部71を、放出部71内の水滴が霧化部73に落ちることを抑制する構成を有するようにすることで、霧化部73の不具合の発生を抑制できる。これにより、噴霧装置70ひいては冷蔵庫10の信頼性を向上できる。
【0054】
噴霧装置70は、突出部724をさらに有する。突出部724は、霧化部73の外部に露出する部分731を囲むように上方に突出して形成されている。これによれば、霧化部73の周囲に落ちた水や跳ね返った水が霧化部73に侵入することを抑制できる。これにより、霧化部73からの霧の発生が阻害される等の不具合の発生を抑制できる。
【0055】
冷蔵庫10は、貯水部材62を更に備える。貯水部材62は、冷却器31で生じた除霜水を受けて貯留する。また、貯水部材62は、除霜水が集中する部位としての平面部621aを有している。そして、噴霧装置70は、平面部621aに貯留される除霜水又は平面部621aに向かって流れる除霜水を給水する。これによれば、噴霧装置70によって、貯水部材62の特定の部位に集中して貯留させた除霜水又は当該特定の部位に向かって流れる除霜水を給水することで、除霜水を円滑かつ効率良く野菜室13内の噴霧に活用できる。
【0056】
また、冷蔵庫10は、排水樋61を更に備える。排水樋61は、冷却器31で生じた除霜水を受けて排水する。貯水部材62の少なくとも一部は、排水樋61の内部に設けられている。これによれば、貯水部材62と排水樋61との上下方向における間隔を小さくすることができる。これにより、冷蔵庫10内のスペース利用の効率化を図ることができるため、貯蔵室12、13の内容積の増加を図ることができる。
【0057】
噴霧装置70は、収容部材72を更に有している。収容部材72は、噴霧装置70の下部を構成し、給水部材74及び弾性部材75を収容する。収容部材72は、収容部材72の外部から内部に除霜水を通過させる通水孔725が形成されている。
【0058】
これによれば、収容部材72内に給水部材74及び弾性部材75を収容して、給水部材74及び弾性部材75を安定して保持するとともに、収容部材72に形成された通水孔725から貯水部材62に溜まった除霜水を給水部材74に案内できる。これにより、給水部材74に円滑に除霜水が導かれるため、噴霧装置70から安定して野菜室13内に除霜水を噴霧できる。
【0059】
噴霧装置70は、導水部材76を更に有する。導水部材76は、給水部材74よりも下方に位置し、霧化部73に除霜水を導く。ここで、貯水部材62に貯留された除霜水の水位が低い場合、給水部材74が除霜水を吸い上げられず、野菜室13内への除霜水の噴霧が滞ってしまう。そこで、導水部材76によって給水部材74よりも低い位置に存在する除霜水を霧化部73に導くようにすることで、貯水部材62に少量の水しか溜まっていない場合でも噴霧が可能となる。よって、除霜水を効率的に野菜室13内に噴霧できる。
【0060】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10…冷蔵庫、12…冷蔵室(貯蔵室)、13…野菜室(貯蔵室)、31…冷却器、43…背面部材(覆い部材)、432…開口部、61…排水樋、62…貯水部材、70…噴霧装置、71…放出部、72…収容部材、724…突出部、725…通水孔、73…霧化部、74…給水部材、75…弾性部材、76…導水部材