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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172909
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】壁下地の施工方法及び下地構成部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/76 20060101AFI20241205BHJP
   E04B 2/78 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04B2/76
E04B2/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090961
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大川 悠奈
(57)【要約】
【課題】壁下地を効率的に形成するための壁下地の施工方法及び下地構成部材を提供する。
【解決手段】壁下地10に用いられる下地構成部材20は、下部部材21と、上部部材26とを備える。下部部材21は、離間して立設した1対の第1フレーム部22と、これら第1フレーム部22の下端部を連結した下部連結部材23とを有する。上部部材26は、第1フレーム部22の内側に収容されて上方に摺動可能な第2フレーム部27と、これら第2フレーム部27の上端部を連結した上部連結部材28とを有する。そして、下地構成部材20を、所定間隔で配置した後、第1フレーム部22から第2フレーム部27を引き出すことにより、壁下地10の高さに応じた高さまで伸長させた後、伸長させた第2フレーム部27の上端部を固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁下地を形成するための施工方法であって、
伸縮可能なフレームを有する下地構成部材を配置した後、
前記フレームを前記壁下地の高さに応じた高さまで伸長させ、
前記伸長させた前記フレームの端部を固定することにより、前記壁下地の高さに対応するフレームを形成することを特徴とする壁下地の施工方法。
【請求項2】
壁下地に用いられる下地構成部材であって、
離間して立設した1対の第1フレーム部と、これら第1フレーム部の端部を連結した第1連結部材とを有した第1部材と、
前記第1フレーム部の延在方向に摺動可能な第2フレーム部と、これら第2フレーム部の端部を連結した第2連結部材とを有した第2部材とを備え、
前記第1フレーム部と、この第1フレーム部に対して伸長した第2フレーム部とによって、前記壁下地の高さに対応するフレームを形成することを特徴とする下地構成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軽量鉄骨下地のような鋼材等で構成される下地構成部材を用いて、壁下地を施工する壁下地の施工方法及びそれに用いられる下地構成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場における人手不足解消のために、ロボットを用いる場合がある。例えば、コンクリート2次製品用型枠を、ロボットを用いて形成する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の技術においては、組立てロボットが基準側壁パネルをベースパネル上の所定の組付け位置に位置決めした後、組立てロボットが通常側壁パネルをベースパネル上の所定の組付け位置に位置決めする。そして、2台のナット締めロボットによりナットで締結することで、基準側壁パネルと通常側壁パネルとをベースパネルに連結するとともに、基準側壁パネルと通常側壁パネルとを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-309721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、建築物に用いられる壁下地は、下地材料を現地で切断することにより下地構成部材を形成した後、これらを組み立てることにより構成していた。この場合、壁下地の上下の水平方向に延在するランナーを設置後に、垂直方向に延在するスタッドを回転させながら押し込む等の細かい動作が必要であった。特に、このような細かい動作は、回転運動又は直線運動を基本とするロボットにおいては難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する壁下地の施工方法は、壁下地を形成するための施工方法であって、伸縮可能なフレームを有する下地構成部材を配置した後、前記フレームを前記壁下地の高さに応じた高さまで伸長させ、前記伸長させた前記フレームの端部を固定することにより、前記壁下地の高さに対応するフレームを形成する。
【0006】
また、上記課題を解決するための下地構成部材は、壁下地に用いられる下地構成部材であって、離間して立設した1対の第1フレーム部と、これら第1フレーム部の端部を連結した第1連結部材とを有した第1部材と、前記第1フレーム部の延在方向に摺動可能な第2フレーム部と、これら第2フレーム部の端部を連結した第2連結部材とを有した第2部材とを備え、前記第1フレーム部と、この第1フレーム部に対して伸長した第2フレーム部とによって、前記壁下地の高さに対応するフレームを形成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、壁下地を効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における壁下地を説明する正面図である。
図2】実施形態における壁下地を構成する下地構成部材を説明する正面図である。
図3】実施形態において壁下地の施工方法を説明する説明図である。
図4】実施形態において壁下地の施工方法を説明する説明図である。
図5】第1変更例における壁下地を構成する下地構成部材を説明する正面図である。
図6】第1変更例における下地構成部材を用いた壁下地の構成を説明する正面図である。
図7】第1変更例における壁下地とともに使用した連結部材の構成を説明する上面図である。
図8】第2変更例における壁下地を構成する下地構成部材を説明する正面図である。
図9】第2変更例における下地構成部材を用いた壁下地の構成を説明する正面図である。
図10】第3変更例における下地構成部材を位置決めするマーカを説明する正面図である。
図11】第4変更例における下地構成部材を位置決めするマーカの要部を説明する拡大正面図である。
図12】第5変更例における下地構成部材を説明する正面図である。
図13】第5変更例における下地構成部材を用いた壁下地を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図4を用いて、壁下地の施工方法及び下地構成部材を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、伸長する複数の下地構成部材を組み立てることにより、建物の壁を構成するための壁下地を形成する。なお、この壁下地は、石膏ボード壁の内側にある下地材であって、石膏ボード壁を固定するとともに補強するために設置される。
【0010】
図1に示すように、本実施形態における壁下地10は、下部ランナー11、上部ランナー12、側端部材13,14及び複数(例えば3個)の下地構成部材20で構成される。
下部ランナー11は、上が開口した断面がコ字形状の棒状の鋼製下地材で構成されている。
下部ランナー11には、複数の下地構成部材20が内嵌された状態で固定されている。下部ランナー11に固定される複数の下地構成部材20は、離間する下地構成部材20の距離に対応する間隔を空けて配置される。
【0011】
更に、下部ランナー11には、固定する下地構成部材20の配置に対応した複数のマーカM1が固定されている。各マーカM1は、その上端部が下部ランナー11より上方に突出しているとともに、下地構成部材20の両側面に当接する位置に配置される。
上部ランナー12は、下が開口した断面がコ字形状の棒状の鋼製下地材で構成されている。
【0012】
下部ランナー11及び上部ランナー12の両端部には、これらを連結する側端部材13,14がそれぞれ固定されている。
側端部材13,14は、同じ構造を有する。側端部材13(14)は、ベース部13a(14a)、第1フレーム部13b(14b)、第2フレーム部13c(14c)及び先端部13d(14d)を有する。第1フレーム部13bは、ベース部13aに固定される。第1フレーム部13bは、水平断面が四角形状をした中空空間を有した角形鋼管で構成される。第2フレーム部13cは、第1フレーム部13bよりも小さく、第1フレーム部13b内において、上方向に引出可能に収容されている。第2フレーム部13cの上端部には、先端部13dが固定されている。そして、この先端部13dは、上部ランナー12に固定される。
【0013】
本実施形態では、複数の下地構成部材20は、離間して一列に並んでいる。ここでは、下地構成部材20の後述するフレーム部(22,27)の幅と同じ大きさの間隔を空けて並んでいる。
【0014】
(下地構成部材20の構成)
図2に示すように、壁下地10に用いられる下地構成部材20は、第1部材としての下部部材21及び第2部材としての上部部材26を備える。
【0015】
下部部材21は、正面から見て上が開口したコ字形状を有し、対向する1対(2個)の第1フレーム部22と、これらの下端部を連結する第1連結部材としての下部連結部材23とを有する。第1フレーム部22及び下部連結部材23は、角形鋼管で構成されている。このため、第1フレーム部22は、水平断面が四角形状をした中空空間を有した部材であって、壁下地10の半分の高さより長い長さを有する。
【0016】
上部部材26は、正面から見て下が開口したコ字形状を有し、対向する1対(2個)の第2フレーム部27と、これらの上端部を連結する第2連結部材としての上部連結部材28とを有する。第2フレーム部27及び上部連結部材28は、角形鋼管で形成されている。第2フレーム部27は、下部部材21の第1フレーム部22に対応する間隔で、上部連結部材28に固定されている。第2フレーム部27は、第1フレーム部22よりも外形が小さく、第1フレーム部22の中空空間に収容されている。第2フレーム部27は、第1フレーム部22の延在方向に摺動可能になっている。
【0017】
そして、第2フレーム部27が第1フレーム部22から引き出された場合、第2フレーム部27が引き出された長さと、第1フレーム部22の長さとを加えた長さのフレームF1が形成される。従って、第1フレーム部22及び第2フレーム部27によって伸縮可能なフレームF1が構成される。
【0018】
(壁下地10の施工方法に用いられるロボット30の構成)
次に、上述した構成の壁下地10の施工方法に用いられるロボット30の構成を説明する。
【0019】
図3に示すように、ロボット30は、走行装置31、昇降装置32、把持装置33、撮影装置34及び制御装置35を備えている。走行装置31は、ロボット30を直線的に移動させる機構である。昇降装置32は、把持装置33を上下方向に移動(昇降)させる機構である。把持装置33は、下地構成部材20を把持する。撮影装置34は、下部ランナー11のマーカM1を撮影する。
【0020】
制御装置35は、走行装置31、昇降装置32、把持装置33及び撮影装置34を制御する。制御装置35は、撮影装置34が撮影した画像からマーカM1を特定する。制御装置35は、把持装置33によって把持した下地構成部材20を、所定位置に配置する。
【0021】
(壁下地10の施工方法)
壁下地10を施工するには、まず、壁下地10を配置する領域の設置面に、下部ランナー11を載置する。
【0022】
次に、ロボット30を用いて、下部ランナー11の上に、下地構成部材20を、矢印の方向に(左から右へと)順番に配置する。
具体的には、ロボット30は、撮影装置34が撮影した画像を用いて、マーカM1を特定する。次に、ロボット30は、把持装置33によって把持した下地構成部材20を、マーカM1に対応する各位置に配置する。そして、昇降装置32を用いて下地構成部材20を降下させることにより、下地構成部材20の下部連結部材23を下部ランナー11に内嵌させる。
【0023】
この場合、下地構成部材20の第2フレーム部27は、重力により、第1フレーム部22の内部に収容されている。更に、下地構成部材20の上部連結部材28は、第1フレーム部22の上に載置された状態になっている。このようにして下地構成部材20を配置した後、次のマーカM1の近傍まで、走行装置31を駆動して、上記の処理を繰り返す。
【0024】
次に、図4に示すように、下部ランナー11の両端部に側端部材13,14を立設する。この場合、側端部材13,14の第1フレーム部13b,14b内に第2フレーム部13c,14cが収容された状態で、下部ランナー11上に配置する。そして、側端部材13,14の下端部を、下部ランナー11に鋲等により固定する。次に、側端部材13,14の第2フレーム部13c,14cを上方に引き出した後、先端部13d,14dを、上部ランナー12の両端に、溶接等により固定する。
【0025】
次に、図1に示すように、ロボット30の把持装置33を用いて、各下地構成部材20の上部連結部材28を掴んだ後、昇降装置32によって、この上部連結部材28を上方に引っ張り上げる。これにより、下地構成部材20の第1フレーム部22から第2フレーム部27が摺動することにより、下地構成部材20の上部部材26が持ち上げられる。そして、上部連結部材28が上部ランナー12に当接するまで、ロボット30が上部部材26を持ち上げた後、上部連結部材28を上部ランナー12に、溶接等により固定する。更に、上部ランナー12に固定された上部部材26の第2フレーム部27を、第1フレーム部22に対して、溶接等により固定する。
【0026】
(作用)
下地構成部材20は、第1フレーム部22内に収容された第2フレーム部27を備える。複数の下地構成部材20を離間して、下部ランナー11の上に固定した後、下地構成部材20の第2フレーム部27を第1フレーム部22から引き出して、第2フレーム部27の上端部を連結している上部連結部材28を、上部ランナー12に固定する。ここで、下地構成部材20の配置は、下部ランナー11に設けたマーカM1によって決まるため、マーカM1に応じた下地構成部材20を配置することで、壁下地10の下地構成部材20の配置を効率的に決められる。
【0027】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の壁下地10は、複数の下地構成部材20を有する。複数の下地構成部材20を離間して、下部ランナー11の上に固定する。そして、下地構成部材20の第2フレーム部27を第1フレーム部22から引き出した後、第2フレーム部27の上端部を連結している上部連結部材28を、上部ランナー12に固定する。このため、下地構成部材20を配置した後、第2フレーム部27を引き出す(伸長する)という比較的単純な作業で壁下地10を構築可能である。従って、ロボット30を用いて、壁下地10を効率的に形成することができる。
【0028】
(2)本実施形態の壁下地10を構成する下地構成部材20は、下部部材21の第1フレーム部22の中空空間の内部に、第2フレーム部27を収容している。そして、第2フレーム部27の上端部を連結する上部連結部材28を引き上げることにより、第1フレーム部22及び第2フレーム部27で構成するフレームF1を容易に伸長することができる。
【0029】
(3)本実施形態の壁下地10の下部ランナー11には、下地構成部材20の配置位置に応じてマーカM1が設けられている。ロボット30は、このマーカM1に対応して下地構成部材20を配置する。これにより、所定の間隔で下地構成部材20を下部ランナー11の上に配置することができる。
【0030】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の下部ランナー11には、複数のマーカM1を設けた。下地構成部材20の配置位置を特定するための手段は、下部ランナー11から上方に突出したマーカM1を用いる場合に限られない。例えば、下部ランナー11に、下地構成部材20の配置に応じて、塗装によりマーカを形成してもよい。更に、マーカを省略してもよい。この場合には、ロボット30が、加速度センサ等を用いて走行装置31の走行距離を算出する。そして、1つの下地構成部材20の配置位置からの走行距離が、次の下地構成部材までの配置距離となったときに、次の下地構成部材20を配置する。これにより、マーカを省略しても、ロボット30によって、下地構成部材を、所望の位置に配置することができる。更に、下部ランナー11に、下地構成部材20の間隔に対応する長さの棒状物を挿入してもよい。これにより、隣接される下地構成部材20の下端部を、挿入した棒状物を挟み込むことにより並べることができる。
【0031】
・上記実施形態の下地構成部材20は、中空空間を有する角形鋼管の第1フレーム部22内に、これより小さい角形鋼管の第2フレーム部27を挿入した。フレーム部が伸長可能な構成を有する下地構成部材は、この構成に限られない。例えば、第1フレーム部及び第2フレーム部を角形鋼管で構成する代わりに、摺動可能に嵌合する大小の溝形鋼でそれぞれ第1フレーム部及び第2フレーム部を構成してもよい。更に、第2フレーム部の内径を第1フレーム部の外径より大きくして、下部部材の第1フレーム部が、上部部材の第2フレーム部の内部に、摺動可能に収容される構成としてもよい。
【0032】
・上記実施形態の下地構成部材20は、1対の第1フレーム部22の下端部を連結する下部連結部材23を有する下部部材21を備える。
図5に示すように、下部部材41に、第1フレーム部22の上端部を連結する連結部45を更に設けた下地構成部材40としてもよい。
【0033】
これにより、図6に示すように、下地構成部材40の第2フレーム部27を伸長したときには、下部部材41の上端部の位置にある連結部45によって第1フレーム部22同士を補強した壁下地60を構築することができる。
【0034】
更に、下地構成部材40の第2フレーム部27を伸長させて上部ランナー12に固定した後、隣接する下地構成部材20を連結する連結部材50を設けてもよい。
図7に示すように、連結部材50は、1対(2個)の把持部51と、これらを連結する連結部55とを備える。把持部51は、縦にスリット(隙間)が設けられた嵌合部材であって、スリットの反対側から押し込むことにより、スリットが広がるので、それぞれ第2フレーム部27(13c,14c)を嵌合して把持する。連結部55は、隣接する下地構成部材20の間隔に応じた長さを有する。これにより、連結部45とともに、下地構成部材40の中央高さにおいて、下地構成部材40を補強することができる。
【0035】
・上記実施形態の壁下地10は、下部ランナー11及び上部ランナー12を備えた。これに代えて、下地構成部材の連結部を、1対のフレーム部の間隔よりも長くすることにより、下部ランナー11や上部ランナー12を省略してもよい。
【0036】
具体的には、図8に示す下地構成部材80を用いる。この下地構成部材80は、下部部材81及び上部部材86を備える。下部部材81は、離間した1対の第1フレーム部82と、これら第1フレーム部82の下端部を連結する下部連結部材83とを有する。上部部材86は、離間した1対の第2フレーム部87と、これら第2フレーム部87の上端部を連結する上部連結部材88とを備える。第1フレーム部82は、第1フレーム部22と同様に、中空の角形鋼管で構成されており、水平断面が小さい第2フレーム部87を摺動可能に内嵌している。なお、図7においては、説明のために、上部部材86を少し上方に持ち上げた状態を示している。
【0037】
下部連結部材83は、上が開口したコ字形状の溝形鋼で構成されている。上部連結部材88は、下が開口したコ字形状の溝形鋼で構成されている。下部連結部材83及び上部連結部材88は、1対の第1フレーム部82(第2フレーム部87)の間隔より長くなる様に水平方向に延在する。ここでは、下部連結部材83及び上部連結部材88は、各フレーム部(82,87)から、隣接する下地構成部材80との隙間の半分の長さ分、水平方向に突出する長さを有する。なお、下部連結部材83及び上部連結部材88の長さは、壁下地の構成に応じて変更可能である。
そして、図9に示すように、ロボット30を用いて、複数の下地構成部材80の下部連結部材83を並べた後、下部連結部材83の端部同士を溶接等で固定する。この場合、下地構成部材80が、鋲等により床に固定されている場合には、下部連結部材83の端部同士を固定しなくてもよい。
【0038】
次に、下地構成部材80の端部に側端部材73,74を立設する。そして、下地構成部材80の上部部材86を上方に引き出した後、下地構成部材80の上部連結部材88の端部と、これに隣接する側端部材73,74及び上部の端部とをそれぞれ溶接等で固定する。これにより、壁下地70において、隣接する下地構成部材80の間隔を、下部連結部材83を配置するだけで決めることができる。
更に、上述した下地構成部材20を配置する場合においても、下部ランナー11や上部ランナー12を省略してもよい。この場合には、床に鋲打ち等で下地構成部材を固定する。
【0039】
・上記実施形態においては、下地構成部材20を配置する下部ランナー11の上にマーカM1を設けた。これに代えて、床の上にマーカを設けてもよい。この場合、上述したマーカM1の形成や塗装により、床の上にマーカを形成してもよい。
更に、図10に示すように、配置する下地構成部材20側が低くなるように傾斜したマーカM2を形成してもよい。このマーカM2を用いることにより、ロボットによる下地構成部材20の位置決めが不正確であっても、マーカM2の傾斜面によって位置が調整されるので、効率的に、所望の位置に配置することができる。
【0040】
更に、図11に示すように、スナップ機能を設けたマーカM3としてもよい。この場合には、下地構成部材20の第1フレーム部22に孔22hを形成する。そして、孔22hの外側(マーカM3側)の位置に上方に突出した突起部22aを設ける。更に、マーカM3を、上部が傾斜した略台形形状の板部材で形成する。そして、傾斜部の下端部に、孔22hに係合する係合部M3aを形成する。これにより、下地構成部材20がマーカM3に対応するように配置された場合には、突起部22aが係合部M3aに嵌合するので、下地構成部材20の位置決めを正確に行なうことができる。更に、上述のスナップ機能に限られず、設置する位置にある下地構成部材20と嵌合する嵌合部を有するマーカを形成してもよい。
【0041】
・上記実施形態の壁下地10は、ロボット30を用いて、下地構成部材20を配置した後、下地構成部材20のフレームF1を上部ランナー12まで伸長させて固定することにより構成した。下地構成部材20の配置は、ロボット30を用いる場合に限られない。例えば、同じ施工方法を人手で実行してもよい。この場合においても、壁下地を効率的に形成することができる。
【0042】
・上記実施形態においては、下地構成部材20の第1フレーム部22と下部ランナー11との固定や第2フレーム部27と上部ランナー12との固定は、溶接により行なった。固定の方法は、溶接に限られず、例えば、ボルトやナットを用いて固定してもよい。更に、第2フレーム部27を、壁下地10を構成するための高さに伸長した後、挿入していた第1フレーム部22をかしめる(つぶす)ことにより、第2フレーム部27の長さを固定してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、下地構成部材20は、下部ランナー11の上に配置した後、第2フレーム部27を伸長した。下地構成部材20は、床や下部ランナー11に配置する代わりに、天井や上部ランナー12に固定した後、下方に伸長させてもよい。
この場合、下地構成部材90を、床又下部ランナー11まで伸長させなくてもよい。例えば、出入口等となる開口部を有する壁下地を形成する場合には、開口部の上端部まで下方に伸長させる。具体的には、図12に示す下地構成部材90を用いてもよい。この下地構成部材90は、第1部材としての上部部材91及び第2部材としての下部部材96を有する。上部部材91は、第1フレーム部92及びこれらを連結する連結部材93を備える。下部部材96は、第2フレーム部97及びこれらを連結する連結部材98を有する。第1フレーム部92は、下方に伸長可能な第2フレーム部97を収容している。連結部材93は、壁下地の水平方向の大きさに対応する長さを有する。
【0044】
そして、図13に示すように、この下地構成部材90を、上階の床スラブ(天井スラブ)に固定する。その後、壁下地に形成する開口部の上端部まで、第2フレーム部97を伸長する。そして、連結部材93及び連結部材98に当接するように、略四角枠形状のフレーム部99を配置する。これにより、壁下地100を構成する。また、下地構成部材90を配置した後、第2フレーム部97を伸長する前に、フレーム部99を配置してもよい。
【0045】
・上記実施形態の壁下地10は、複数の下地構成部材20を配置した後に、各下地構成部材20の第2フレーム部27を第1フレーム部22から引き出すことによりフレームを伸長した。これに代えて、1つの下地構成部材が配置された直後に、この下地構成部材のフレームを伸長してもよい。この場合には、下地構成部材を配置する配置ロボットと、このロボットに後続する下地構成部材のフレームを伸長する伸長ロボットとを併用してもよい。
・上記実施形態の壁下地10は、角形鋼管により構成される下地構成部材20を用いて構成した。下地構成部材20は、鋼材により構成される場合に限られず、例えば、木材やFRP(繊維強化プラスチック)等によって構成してもよい。
【0046】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記壁下地は、離間して立設した1対の第1フレーム部と、これら第1フレーム部の下端部を連結した下部連結部とを有した第1部材と、前記第1フレーム部に対して上方に摺動可能な第2フレーム部と、これら第2フレーム部の上端部を連結した上部連結部材とを有した第2部材とを備え、前記第1フレーム部と、この第1フレーム部に対して伸長した第2フレーム部とによって、前記壁下地の高さに対応するフレームを形成する壁構成部材を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の壁下地の施工方法。
【0047】
(b)前記下部連結部は、前記第1フレーム部の離間距離よりも長く延在して形成されていることを特徴とする前記(a)に記載の壁下地の施工方法。
(c)前記下部連結部の端部を固定することを特徴とする前記(b)に記載の壁下地の施工方法。
【0048】
(d)下部ランナーに、前記下地構成部材の前記下部連結部を離間して固定することを特徴とする前記(a)に記載の壁下地の施工方法。
【符号の説明】
【0049】
F1…フレーム、M1,M2,M3…マーカ、M3a…係合部、10,60,70,100…壁下地、11…下部ランナー、12…上部ランナー、13,14,73,74…側端部材、13a,14a…ベース部、13b,14b,22,82,92…第1フレーム部、13c,14c,27,87,97…第2フレーム部、13d,14d…先端部、20,40,80,90…下地構成部材、21,41,81…第1部材としての下部部材、22a…突起部、23,83…第1連結部材としての下部連結部材、26,86…第2部材としての上部部材、28,88…第2連結部材としての上部連結部材、30…ロボット、31…走行装置、32…昇降装置、33…把持装置、34…撮影装置、35…制御装置、45,55…連結部、50…連結部材、51,52…把持部、91…第1部材としての上部部材、93,98…連結部材、96…第2部材としての下部部材、99…フレーム部。
図1
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図13