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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172916
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】スペーサ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H01R13/42 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090975
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 直人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博司
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE14
5E087FF03
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG15
5E087GG26
5E087GG31
5E087GG32
5E087RR27
(57)【要約】
【課題】機械でのコネクタ組み立て時や部品輸送時に複数のスペーサの係止アーム同士が絡み付くことを防止する。
【解決手段】スペーサ4は、複数の端子3を収容したハウジング2に装着されてコネクタ1を構成し、端子3の抜け止めを行うものである。スペーサ4は、端子3が通される端子挿通孔42が複数設けられた本体部41と、ハウジング2に係止する一対の係止アーム45と、本体部41と各係止アーム45とを繋いだ連結部44と、連結部44から突出した一対の突出部46と、を備えている。スペーサ4は、係止アーム45の一方側に本体部41が配置され、係止アーム45の他方側に突出部46が配置されている。また、スペーサ4は、一対の係止アーム45よりも外側に本体部41の長手方向両端部(側面41a,41b)が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子を収容したハウジングに装着されて前記端子の抜け止めを行うスペーサであって、
前記端子が通される端子挿通孔が複数設けられた本体部と、
前記ハウジングに係止する係止アームと、
前記本体部と前記係止アームとを繋いだ連結部と、
前記連結部から突出した突出部と、を備え、
前記係止アームの一方側に前記本体部が配置され、前記係止アームの他方側に前記突出部が配置されている
ことを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記端子挿通孔に前記端子が通される方向を端子挿通方向とし、
前記係止アームにおける前記端子挿通方向の一方側に前記本体部が配置され、前記係止アームにおける前記端子挿通方向の他方側に前記突出部が配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記本体部が、長手方向と短手方向を有する板状に形成され、前記端子挿通方向が前記長手方向及び前記短手方向と直交しており、
前記係止アームが一対設けられ、これら一対の係止アームは、前記長手方向に間隔をあけて配置され、かつ、これら一対の係止アームは、前記本体部の長手方向両端部よりも中央側に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のスペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの構成部品であるスペーサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハウジングに設けられたランスとハウジングに装着されたスペーサとによって、ハウジングに収容された端子の二重係止を行い、端子の抜け止めを行うコネクタが公知である(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図8は、従来のスペーサ504を備えたコネクタ501の分解図である。このコネクタ501は、端子収容室522が複数設けられたハウジング502と、各端子収容室522に収容される端子503(一つのみ示す)と、ハウジング502に装着されて端子503の抜け止めを行うスペーサ504と、を備えている。
【0004】
端子503は、電線511の端末に接続されたものであり、芯線圧着部531と、被覆圧着部532と、相手コネクタの端子と接続される角筒状の接続部533と、を備えている。
【0005】
ハウジング502の各端子収容室522には、端子503に係止するランスが設けられている。また、ハウジング502には、スペーサ504が挿入される凹部が設けられている。
【0006】
スペーサ504は、端子503が通される端子挿通孔542が複数設けられた本体部541と、ハウジング502に係止する一対の係止アーム545と、を備えている。一対の係止アーム545は、本体部541の両端部から延設されている。
【0007】
コネクタ501は、スペーサ504がハウジング502の凹部に挿入されて仮係止した状態で、各端子収容室522に各端子503が挿入され、各ランスが各端子503に係止する。また、この際、スペーサ504の各端子挿通孔542に各端子503が通される。その後、スペーサ504が凹部にさらに深く挿入されてハウジング502に本係止することで、スペーサ504が各端子503に係止する。
【0008】
このように、コネクタ501は、ハウジング502のランスとスペーサ504とによって端子503の二重係止を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-113505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来のスペーサ504においては、本体部541の両側に係止アーム545が配置されて係止アーム545がむき出しになっているため、図9に示すように、複数のスペーサ504の係止アーム545同士が絡み付き易いという問題があった。具体的には、機械でコネクタ501を組み立てる際にパーツフィーダー内で複数のスペーサ504の係止アーム545同士が絡み付いたり、組み立て前の部品輸送時に複数のスペーサ504の係止アーム545同士が絡み付いたりすることがあった。
【0011】
上述のように係止アーム545同士が絡み付いた場合、係止アーム545が破損したり、機械が停止して生産効率が低下したりするので、改善が必要であった。
【0012】
そこで、本発明は、機械でのコネクタ組み立て時や部品輸送時に複数のスペーサ同士が絡み付くことを防止できるスペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の端子を収容したハウジングに装着されて前記端子の抜け止めを行うスペーサであって、前記端子が通される端子挿通孔が複数設けられた本体部と、前記ハウジングに係止する係止アームと、前記本体部と前記係止アームとを繋いだ連結部と、前記連結部から突出した突出部と、を備え、前記係止アームの一方側に前記本体部が配置され、前記係止アームの他方側に前記突出部が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機械でのコネクタ組み立て時や部品輸送時に複数のスペーサの係止アーム同士が絡み付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかるスペーサを備えたコネクタの底面図である。
図2図1のコネクタの分解図である。
図3図2のスペーサの斜視図である。
図4図3のスペーサの背面図である。
図5図3のスペーサの側面図である。
図6】本発明の二つのスペーサ同士が当接した状態を示す図である。
図7図6の二つのスペーサを側方から見た図である。
図8】従来のスペーサを備えたコネクタの分解図である。
図9図8のスペーサの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態にかかる「スペーサ」について、図1~7を参照して説明する。
【0017】
図1,2に示すように、スペーサ4は、複数の端子3を収容したハウジング2に装着されてコネクタ1を構成し、端子3の抜け止めを行うものである。即ち、コネクタ1は、ハウジング2と、ハウジング2に収容された複数の端子3(図2では一つのみ示す)と、レバー6(図1のみに示す)と、スペーサ4と、を備えている。
【0018】
端子3は、電線11の端末に接続されたものであり、電線11の露出した芯線を圧着した芯線圧着部31と、電線11の被覆部分を圧着した被覆圧着部32と、相手コネクタ(図示省略)の雄端子と接続される角筒状の接続部33と、を備えている。このような端子3は、一般的に雌端子と呼ばれている。
【0019】
ハウジング2は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。ハウジング2は、直方体状のハウジング本体21と、レバー6を回動可能に取り付けるボス23及び補助ガイドボス24と、を備えている。
【0020】
ハウジング本体21は、図2に示すように、正面21fと、背面21eと、上面21cと、底面21dと、一対の側面21a,21bと、を備えている。正面21fは、相手コネクタと嵌合方向に対向する面である。背面21eは、正面21fと反対側の面である。上面21cは、ボス23が設けられた面である。上面21cは、正面21f及び背面21eの長辺を含む面である。底面21dは、上面21cと反対側の面であり、補助ガイドボス24が設けられた面である。底面21dは、正面21f及び背面21eの長辺を含む面である。側面21a,21bは、正面21f及び背面21eの短辺を含む面である。
【0021】
なお、ハウジング本体21の上面21c、底面21dの呼称は、図2の紙面方向を基準として便宜的に付与した呼称であり、実際にコネクタ1が使用される状況での上下方向とは必ずしも一致していない。
【0022】
ハウジング本体21には、複数の端子収容室22と、各端子収容室22に収容された各端子3に係止するランスと、スペーサ4が挿入される凹部25と、が設けられている。各端子収容室22は、正面21f及び背面21eに開口している。端子3は、背面21e側から端子収容室22に挿入される。相手コネクタの雄端子は、正面21f側から端子収容室22に挿入され、角筒状の接続部33内に挿入される。
【0023】
凹部25は、図1に示すように、ハウジング本体21の底面21dから上面21c側に凹に形成されている。
【0024】
レバー6は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。レバー6は、ハウジング2に回動可能に装着され、初期位置から嵌合完了位置まで回動することでハウジング2と相手コネクタとを近付けて嵌合させる。
【0025】
図1~5に示すスペーサ4は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。スペーサ4は、端子3が通される端子挿通孔42が複数設けられた本体部41と、ハウジング2に係止する一対の係止アーム45と、本体部41と各係止アーム45とを繋いだ連結部44と、連結部44から突出した一対の突出部46と、を備えている。
【0026】
本体部41は、長手方向と短手方向を有する板状に形成されている。本体部41の長手方向は、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング2の長手方向と一致している。本体部41の短手方向は、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、凹部25の深さ方向(ハウジング本体21の底面21dから上面21cに向かう方向)と一致している。複数の端子挿通孔42は、本体部41の長手方向及び短手方向と直交する厚み方向に本体部41を貫通している。即ち、端子挿通孔42に端子3が通される端子挿通方向が本体部41の長手方向及び短手方向と直交している。
【0027】
本体部41は、正面41fと、背面41eと、上面41cと、底面41dと、一対の側面41a,41bと、を備えている。正面41fは、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング本体21の正面21f側に配置される面である。背面41eは、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング本体21の背面21e側に配置される面である。上面41cは、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング本体21の上面21c側に配置される面である。底面41dは、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング本体21の底面21d側に配置される面である。側面41aは、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング本体21の側面21a側に配置される面である。側面41bは、スペーサ4が凹部25に挿入された状態で、ハウジング本体21の側面21b側に配置される面である。
【0028】
なお、本体部41の上面41c、底面41dの呼称は、ハウジング本体21の上面21c、底面21dと対応させて便宜的に付与した呼称であり、実際にコネクタ1が使用される状況での上下方向とは必ずしも一致していない。
【0029】
本体部41の上面41cには、複数の凹部43が設けられている。これら凹部43は、ハウジング本体21の最上段(上面21c側の段)の端子収容室22内に配置される。そして、当該端子収容室22内の端子3に凹部43内面が係止する。端子挿通孔42は、最上段以外の端子収容室22内に配置される。そして、当該端子収容室22内の端子3に端子挿通孔42内面が係止する。
【0030】
スペーサ4がハウジング2の凹部25に挿入されて仮係止した状態で、各端子収容室22に各端子3が挿入され、各ランスが各端子3に係止する。また、この際、スペーサ4の各端子挿通孔42に各端子3が通される。その後、スペーサ4が凹部25にさらに深く挿入されてハウジング2に本係止することで、凹部43内面、端子挿通孔42内面が各端子3に係止する。このように、コネクタ1は、ハウジング2のランスとスペーサ4とによって端子3の二重係止を行う。
【0031】
連結部44は、本体部41の背面41eの底面41d側端部に連なり、本体部41の長手方向に延びた細長い板状に形成されている。連結部44の底面は、本体部41の底面41dと面一に形成されている。
【0032】
一対の係止アーム45は、連結部44の長手方向両端部に連なっている。各係止アーム45は、連結部44の端部から本体部41の上面41c側に延びたアーム部45aと、アーム部45aの連結部44から離れた先端から突出した爪部45bと、を備えている。このように、一対の係止アーム45は、本体部41の長手方向に間隔をあけて配置されている。また、一対の係止アーム45は、本体部41の長手方向両端部(側面41a,41b)よりも中央側に配置されている。
【0033】
スペーサ4が挿入される凹部25内には、一対の係止アーム45が仮係止する仮係止部と、一対の係止アーム45が本係止する本係止部と、が設けられている。
【0034】
一対の突出部46は、連結部44の端面から本体部41と反対側に突出している。一対の突出部46の底面は、連結部44の底面と面一に形成されている。一方の突出部46は、一方の係止アーム45の近傍に配置されている。他方の突出部46は、他方の係止アーム45の近傍に配置されている。
【0035】
このように、係止アーム45における前記端子挿通方向の一方側(図5中右側)に本体部41が配置され、係止アーム45における前記端子挿通方向の他方側(図5中左側)に突出部46が配置されている。
【0036】
上記構成のスペーサ4は、突出部46を設けることで、図6,7に示すように二つのスペーサ4同士が接触した際、先に突出部46が相手に接触し、二つのスペーサ4の係止アーム45間にクリアランスCを取ることができる。このため、係止アーム45同士の絡み付きを防ぐことができる。また、スペーサ4は、一対の係止アーム45よりも外側に本体部41の長手方向両端部(側面41a,41b)が配置されているので、複数のスペーサ4同士が接触した際、複数のスペーサ4の係止アーム45同士の絡み付きを防ぐことができる。
【0037】
これにより、係止アーム45の破損を防止でき、不良品の発生を抑えられる。また、機械でコネクタ1を組み立てる際に、パーツフィーダー内で複数のスペーサ4の係止アーム45同士が絡み付くことを回避できるので、機械が停止することを回避でき、生産効率を向上させることができる。また、スペーサ4は、一つの向きでしかハウジング2に組み付けられない形状とされているため、ハウジング2に組み付ける際の逆組み付け防止用のポカヨケとなる。さらに、スペーサ4は、本体部41の底面41dに加えて、連結部44の底面及び突出部46の底面を部品組み付け時の治具の当て面として利用することができる。このように治具の当て面を広くとれるため、治具の強度確保、組み付け精度の向上が可能となる。
【0038】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ
2 ハウジング
3 端子
4 スペーサ
41 本体部
42 端子挿通孔
44 連結部
45 係止アーム
46 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9