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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172920
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ベッドシステム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20241205BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090979
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔太
(72)【発明者】
【氏名】冨川 淳
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】利便性を向上可能なベッドシステム及び情報処理方法等を提供する。
【解決手段】ベッドシステムは、医療従事者が使用するモバイル端末と、患者を一意に特定する患者識別情報を記憶するベッドサイド端末と、を備え、前記モバイル端末は、前記モバイル端末及び前記ベッドサイド端末の少なくとも一方において、使用者が前記医療従事者であることを確認する認証処理が実行された状態で、前記モバイル端末と前記ベッドサイド端末とが所定の距離に近づいた場合、近距離通信により前記ベッドサイド端末から前記患者識別情報を受信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者が使用するモバイル端末と、
患者を一意に特定する患者識別情報を記憶するベッドサイド端末と、
を備え、
前記モバイル端末は、
前記モバイル端末及び前記ベッドサイド端末の少なくとも一方において、使用者が前記医療従事者であることを確認する認証処理が実行された状態で、前記モバイル端末と前記ベッドサイド端末とが所定の距離に近づいた場合、近距離通信により前記ベッドサイド端末から前記患者識別情報を受信する、
ベッドシステム。
【請求項2】
前記モバイル端末は、前記患者に関するデータを前記患者識別情報に対応付け、前記患者識別情報に対応付けられた前記患者に関するデータを、外部装置に送信する、請求項1に記載のベッドシステム。
【請求項3】
前記ベッドサイド端末は、
前記モバイル端末が備える表示画面よりも大きい表示画面を備え、
前記医療従事者による所定の入力に基づいて前記モバイル端末から受信した前記患者に関するデータを、前記ベッドサイド端末が備える前記表示画面に表示させる、
請求項2に記載のベッドシステム。
【請求項4】
前記モバイル端末及び前記ベッドサイド端末の前記一方において前記認証処理が実行された状態で、前記モバイル端末と前記ベッドサイド端末とが前記所定の距離に近づいた場合、前記認証処理において前記使用者が前記医療従事者であることを確認するために用いられた認証情報を、前記一方から他方に送信し、前記他方において認証処理を実行させる、請求項1に記載のベッドシステム。
【請求項5】
前記医療従事者の発話の入力を受け付ける音入力部を備え、前記モバイル端末と情報通信可能に接続される、ヘッドセットをさらに備え、
前記モバイル端末は、前記ヘッドセットの前記音入力部に入力された前記医療従事者の発話に基づいて、情報処理を実行する、
請求項1に記載のベッドシステム。
【請求項6】
表示画面を備え、前記医療従事者が装着可能に構成される、スマートグラスをさらに備え、
前記スマートグラスは、前記モバイル端末から受信した前記患者に関するデータを前記表示画面に表示させる、
請求項1に記載のベッドシステム。
【請求項7】
前記モバイル端末は、前記医療従事者による所定の入力に基づいて、前記患者識別情報により特定される前記患者とは異なる患者の患者に関するデータを外部装置から取得し、前記異なる患者の患者に関するデータを表示させる、請求項1に記載のベッドシステム。
【請求項8】
医療従事者が使用するモバイル端末と、患者を一意に特定する患者識別情報を記憶するベッドサイド端末と、を備えるベッドシステムにより実行される情報処理方法であって、
前記モバイル端末及び前記ベッドサイド端末の少なくとも一方において、使用者が前記医療従事者であることを確認する認証処理を実行するステップと、
前記認証処理が実行された状態で、前記モバイル端末と前記ベッドサイド端末とが所定の距離に近づいた場合、近距離通信により前記ベッドサイド端末から前記モバイル端末に前記患者識別情報を送信するステップと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドシステム及び情報処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベッドサイド端末を含むベッドシステムが知られている。例えば特許文献1には、複数のベッドにそれぞれ対応して設けられる複数のベッドサイド端末を備えるベッドシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-029436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のベッドシステムは、ベッドシステムを使用する医療従事者にとって、必ずしも使い勝手が良いものではなかった。
【0005】
本開示のいくつかの態様によれば、利便性を向上可能なベッドシステム及び情報処理方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、医療従事者が使用するモバイル端末と、患者を一意に特定する患者識別情報を記憶するベッドサイド端末と、を備え、前記モバイル端末は、前記モバイル端末及び前記ベッドサイド端末の少なくとも一方において、使用者が前記医療従事者であることを確認する認証処理が実行された状態で、前記モバイル端末と前記ベッドサイド端末とが所定の距離に近づいた場合、近距離通信により前記ベッドサイド端末から前記患者識別情報を受信する、ベッドシステムに関係する。
【0007】
本開示の他の態様は、医療従事者が使用するモバイル端末と、患者を一意に特定する患者識別情報を記憶するベッドサイド端末と、を備えるベッドシステムにより実行される情報処理方法であって、前記モバイル端末及び前記ベッドサイド端末の少なくとも一方において、使用者が前記医療従事者であることを確認する認証処理を実行するステップと、前記認証処理が実行された状態で、前記モバイル端末と前記ベッドサイド端末とが所定の距離に近づいた場合、近距離通信により前記ベッドサイド端末から前記モバイル端末に前記患者識別情報を送信するステップと、を含む、情報処理方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るベッドシステムの構成例を示す概略図である。
図2図1のベッドシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
図3】ベッドシステムが実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
図4】認証処理が行われる前にベッドサイド端末の表示部に表示される画面例である。
図5】モバイル端末とベッドサイド端末との間における、近距離通信による情報通信の様子を示す図である。
図6】認証処理が行われた後にベッドサイド端末の表示部に表示される画面例である。
図7】ベッドサイド端末の表示部に表示される入力画面の画面例である。
図8】変形例に係るベッドシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
図9】変形例に係るベッドシステムが実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
図10】変形例に係るベッドシステムが実行する他の処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.システム構成例
図1は、一実施形態に係るベッドシステム1の構成例を示す概略図である。図2は、図1のベッドシステム1の構成例を示す機能ブロック図である。ベッドシステム1は、例えば病院などの医療施設で使用される。本実施形態に係るベッドシステム1は、図1及び図2に示すように、モバイル端末10と、ベッドサイド端末20と、サーバ装置30と、電子カルテシステム40と、測定機器50とを備える。モバイル端末10、ベッドサイド端末20、サーバ装置30、電子カルテシステム40及び測定機器50は、それぞれ適宜の通信方式により、他の機器と情報通信を行うことができる。図1及び図2において、破線は、機器間の情報通信経路を示す。なお、ベッドシステム1は、図1及び図2の例に限定されず、一部の構成を省略する、他の構成を追加する等の変形実施が適宜可能である。
【0011】
モバイル端末10は、例えば医師や看護師などの医療従事者が、業務中に使用する端末装置である。各医療従事者は、例えばそれぞれ1台のモバイル端末10を有する。従って、図1及び図2では、モバイル端末10が1台のみ図示されているが、実際には、ベッドシステム1は、モバイル端末10を複数台備えていてもよい。モバイル端末10は、例えばスマートフォンなどの携帯可能な端末により構成される。
【0012】
モバイル端末10は、図2に示すように、機能ブロックとして、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、入力部15と、を備える。
【0013】
制御部11は、モバイル端末10の各機能部をはじめとして、モバイル端末10の全体を制御及び管理する。制御部11は、例えば記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態で説明する処理を実行する。
【0014】
制御部11は、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を、ハードウェアとして含むことができる。例えば、制御部11は、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子などのハードウェアによって構成できる。1又は複数の回路装置は例えばIC(Integrated Circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等である。1又は複数の回路素子は例えば抵抗、キャパシタ等である。
【0015】
制御部11は、プロセッサによって実現されてもよい。プロセッサは、ハードウェアを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサを用いることが可能である。
【0016】
記憶部12は、各種情報を記憶する。記憶部12は、例えばプロセッサにより構成される制御部11を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、記憶部12は、コンピュータによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサ(制御部11)が実行することによって、制御部11による処理が実現される。ここでの命令は、コンピュータプログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。また、記憶部12は、例えば制御部11のワーク領域として機能してもよい。
【0017】
通信部13は、情報通信を行うためのインターフェイスであり、例えばアンテナ、RF(radio frequency)回路、及びベースバンド回路を含む。通信部13は、制御部11による制御に従って動作してもよいし、制御部11とは異なる通信制御用のプロセッサを含んでもよい。例えば通信部13は、Bluetooth(登録商標)及び/又はNFC(Near Field Communication)を用いて、ベッドサイド端末20との通信を行う。例えば通信部13は、NFCを用いて、測定機器50との通信を行う。例えば通信部13は、インターネット、イントラネット又は無線LAN(Local Area Network)を用いて、サーバ装置30との通信を行う。ただし、ここで示した通信方式は一例に過ぎず、通信部13は、各機器との間で、適宜の通信方式を用いて通信を行うことができる。各機器との間で用いられる通信方式は、同じであってもよいし異なってもよい。
【0018】
表示部14は、種々の情報を表示するインターフェイスである。表示部14は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は、他の方式のディスプレイによって構成される表示画面を含む。表示部14には、制御部11の制御に基づき、例えばユーザ認証画面や、患者に関する情報を表示する画面などが表示される。
【0019】
入力部15は、モバイル端末10を使用する医療従事者による操作入力を受け付ける。入力部15、例えば操作ボタンにより構成されている。あるいは、表示部14にタッチセンサが設けられ、表示部14に設けられたタッチセンサが入力部15として機能してもよい。本実施形態では、表示部14にタッチセンサが設けられ、当該タッチセンサが入力部15として機能するとする。
【0020】
ベッドサイド端末20は、例えばベッドシステム1が使用される医療施設において、病床の近傍に配置される端末装置である。例えば、ベッドシステム1が使用される医療施設は、患者が使用するベッドを複数有する。ベッドサイド端末20は、複数の病床のそれぞれに対応付けて、各病床の近傍に配置される。従って、図1及び図2では、ベッドサイド端末20が1台のみ図示されているが、実際には、ベッドシステム1は、ベッドサイド端末20を複数台備えていてよい。
【0021】
各ベッドサイド端末20は、1人の患者に対応付けられる。具体的には、ベッドサイド端末20は、当該ベッドサイド端末20が配置されたベッドを使用する患者に対応付けられる。ベッドサイド端末20と患者との対応関係は、例えば後述するサーバ装置30の記憶部32などに記憶される。また、ベッドサイド端末20には、当該ベッドサイド端末20に対応付けられた患者の情報が記憶されていてよい。
【0022】
ベッドサイド端末20は、例えばパーソナルコンピュータ又はタブレット端末等により構成することができる。ベッドサイド端末20は、例えば病室に配置された床頭台に設置される。
【0023】
ベッドサイド端末20は、図2に示すように、機能ブロックとして、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、入力部25と、を備える。制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24及び入力部25の基本的なハードウェア構成については、モバイル端末10の制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び入力部15とそれぞれ同様であってよいため、ここでは詳細な説明を適宜省略する。
【0024】
制御部21は、ベッドサイド端末20の各機能部をはじめとして、ベッドサイド端末20の全体を制御及び管理する。制御部21は、例えば記憶部22に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態で説明する処理を実行する。記憶部22は、各種情報を記憶する。記憶部22は、例えばプロセッサにより構成される制御部21を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。また、記憶部22は、ベッドサイド端末20に対応付けられた患者を一意に特定する患者識別情報を記憶する。記憶部22は、例えば、患者識別情報と患者の名前とを対応付けて記憶していてもよい。
【0025】
通信部23は、情報通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部23は、Bluetoothを用いて、モバイル端末10との通信を行う。例えば通信部23は、インターネット、イントラネット又は無線LANを用いて、サーバ装置30との通信を行う。ベッドサイド端末20は、通信部23としてのNFCリーダライタを含んで構成される。ベッドサイド端末20は、例えば図1に示すように、外付けのNFCリーダライタ20aに接続されることにより、NFCによる通信が可能に構成されていてもよい。
【0026】
表示部24は、種々の情報を表示するインターフェイスである。表示部24は、表示画面を含む。本実施形態において、ベッドサイド端末20が備える表示画面は、モバイル端末10が備える表示画面よりも大きい。入力部25は、ベッドサイド端末20を操作する医療従事者による操作入力を受け付ける。入力部25は、例えばキーボードなどの操作ボタンにより構成されている。あるいは、表示部24にタッチセンサが設けられ、表示部24に設けられたタッチセンサが入力部25として機能してもよい。
【0027】
サーバ装置30は、ベッドシステム1の全体を管理するサーバ装置である。サーバ装置30は、例えばベッドシステム1が使用される医療施設内又は外部の所定の場所に配置される。サーバ装置30は、図2に示すように、機能ブロックとして、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備える。制御部31、記憶部32及び通信部33の基本的なハードウェア構成については、モバイル端末10の制御部11、記憶部12及び通信部13とそれぞれ同様であってよいため、ここでは詳細な説明を適宜省略する。
【0028】
制御部31は、サーバ装置30の各機能部をはじめとして、サーバ装置30の全体を制御及び管理する。制御部31は、例えば記憶部32に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態で説明する処理を実行する。
【0029】
記憶部32は、各種情報を記憶する。記憶部32は、例えばプロセッサにより構成される制御部31を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。また、サーバ装置30は、ベッドサイド端末20と患者との対応関係とを記憶する。例えば、サーバ装置30は、ベッドサイド端末20を一意に特定するベッドサイド端末識別情報と、患者を一意に特定する患者識別情報とを、記憶する。
【0030】
通信部33は、情報通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部33は、インターネット、イントラネット又は無線LANを用いて、モバイル端末10、ベッドサイド端末20及び電子カルテシステム40との通信を行う。
【0031】
電子カルテシステム40は、ベッドシステム1が使用される医療施設における患者の診療記録(カルテ)を保存するシステムである。電子カルテシステム40は、例えばコンピュータ又はサーバ装置などにより構成される。電子カルテシステム40は、例えばベッドシステム1が使用される医療施設内又は外部の所定の場所に配置される。
【0032】
電子カルテシステム40は、図1及び図2に示すように、機能ブロックとして、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、表示部44と、入力部45と、を備える。制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44及び入力部45の基本的なハードウェア構成については、モバイル端末10の制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び入力部15とそれぞれ同様であってよいため、ここでは詳細な説明を適宜省略する。
【0033】
制御部41は、電子カルテシステム40の各機能部をはじめとして、電子カルテシステム40の全体を制御及び管理する。制御部41は、例えば記憶部42に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態で説明する処理を実行する。
【0034】
記憶部42は、各種情報を記憶する。記憶部42は、例えばプロセッサにより構成される制御部41を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。また、記憶部42は、患者の診療記録のデータを記憶する。例えば、記憶部42は、患者を一意に特定する患者識別情報に対応付けて、当該患者の基本情報と、当該患者の診療記録とを、記憶する。患者識別情報は、サーバ装置30で用いられる識別情報と共通の識別情報が用いられてよい。患者の基本情報は、例えば、患者の氏名、性別、生年月日、住所及び連絡先などを含む。患者の診療記録は、症状、現病歴、既往歴、嗜好(例えば飲酒及び喫煙の有無)、アレルギー、身体の所見、検査結果、入院後の経過状況、及び、治療方針などを含む。また、患者の診療記録は、患者のバイタルデータを含む。バイタルデータは、後述する測定機器50により測定される、患者のバイタルサイン(生体情報)に関するデータである。バイタルデータは、例えば、脈拍、血圧及び体温を含む。バイタルデータは、例えば、呼吸数、血中酸素飽和度(SpO2)及び血糖値などを含んでもよい。
【0035】
通信部43は、情報通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部43は、インターネット、イントラネット又は無線LANを用いて、サーバ装置30との通信を行う。
【0036】
表示部44は、種々の情報を表示するインターフェイスである。入力部45は、電子カルテシステム40を管理する医療従事者又は管理者による操作入力を受け付ける。入力部45、例えばキーボードなどの操作ボタンにより構成されている。あるいは、表示部44にタッチセンサが設けられ、表示部44に設けられたタッチセンサが入力部45として機能してもよい。
【0037】
測定機器50は、患者のバイタルサインを測定可能な機器である。測定機器50は、例えば、血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメータ、血圧を測定する血圧計、又は、体温を測定する体温計などである。ベッドシステム1は、複数種類の測定機器50を備えていてもよい。例えば、ベッドシステム1は、パルスオキシメータ、血圧計及び体温計を備えていてもよい。従って、図1及び図2では、測定機器50が1台のみ図示されているが、実際には、ベッドシステム1は、測定機器50を複数台備えていてよい。
【0038】
測定機器50は、図2に示すように、機能ブロックとして、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、表示部54と、入力部55と、測定部56と、を備える。制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54及び入力部55の基本的なハードウェア構成については、モバイル端末10の制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び入力部15とそれぞれ同様であってよいため、ここでは詳細な説明を適宜省略する。
【0039】
制御部51は、測定機器50の各機能部をはじめとして、測定機器50の全体を制御及び管理する。制御部51は、例えば記憶部52に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態で説明する処理を実行する。記憶部52は、各種情報を記憶する。記憶部52は、例えばプロセッサにより構成される制御部51を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。
【0040】
通信部53は、情報通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部53はNFCを用いて、モバイル端末10との通信を行う。あるいは、通信部53は、インターネット、イントラネット又は無線LANを用いて、モバイル端末10との通信を行ってもよい。
【0041】
表示部54は、種々の情報を表示するインターフェイスである。例えば表示部54は、測定部56によるバイタルサインの測定結果を表示する。入力部55は、測定機器50を操作する医療従事者又は患者による操作入力を受け付ける。入力部55は、例えば操作ボタンにより構成されている。あるいは、表示部54にタッチセンサが設けられ、表示部54に設けられたタッチセンサが入力部55として機能してもよい。
【0042】
測定部56は、バイタルサインを測定する機構である。測定部56は、例えば制御部51による制御に基づき、バイタルサインを測定する。測定部56は、例えば、脈拍、血圧又は体温を測定する機構である。測定部56の具体的な構成は、公知の測定機器が備える測定部と同様である。
【0043】
2.情報処理例
次に、ベッドシステム1で実行される情報処理の一例について説明する。図3は、ベッドシステム1が実行する処理の一例を示すシーケンス図である。図3に示すシーケンスが実行される前に、モバイル端末10とベッドサイド端末20とは、例えばBluetoothによる通信を実行するためのペアリングが行われているとする。なお、モバイル端末10とベッドサイド端末20とが、例えばNFCを用いて通信を行う場合、事前にペアリングを行う必要はない。
【0044】
図3に示すシーケンスが開始される前は、ベッドサイド端末20は、認証処理が行われていない状態であるとする。認証処理は、機器(ここではベッドサイド端末20)の使用者が適当な医療従事者であることを確認する処理である。認証処理は、公知の適宜の方法で行うことができる。例えば、認証処理は、認証情報としてID及びパスワードを用いて行われる。この場合、医療従事者は、認証情報(ID及びパスワード)を機器に入力し、機器は、入力された認証情報が、予めに記憶された認証情報と一致するか否かに基づいて、認証処理を行うことができる。認証情報は、サーバ装置30の記憶部32に記憶されていてもよい。この場合、機器は、サーバ装置30と情報通信を行うことにより、入力された認証情報が、サーバ装置30の記憶部32に記憶された認証情報と一致するか否かに基づいて、認証処理を行うことができる。
【0045】
なお、認証処理は、必ずしもID及びパスワードを認証情報として用いたものでなくてもよい。例えば、パスワードに代えて暗証番号が用いられてもよい。あるいは、認証処理として、生体認証が行われてもよい。生体認証として、例えば、指紋認証、静脈認証、虹彩認証、声紋認証又は顔認証などを用いることができる。あるいは、認証処理として、ICカードを用いた認証が行われてもよい。この場合、医療従事者は、例えば自身が携帯するICカードを機器にかざすと、当該機器が、読み取った情報に基づいて認証処理を行うことができる。
【0046】
図4は、認証処理が行われる前にベッドサイド端末20の表示部24に表示される画面例である。認証処理が行われる前において、ベッドサイド端末20の表示部24には、患者が閲覧可能な情報が表示される。例えば、表示部24には、患者名及び病床番号が表示される。図4に示す例では、患者名として「患者28」、病床番号として「4N35-01」が表示されている。なお、病床番号は、上述したベッドサイド端末識別情報として用いられてもよい。また、表示部24には、図4に一例として示すような、患者の情報が表示される。ただし、図4は一例に過ぎず、図4に示されていない他の患者の情報が、表示部24に表示されてもよい。
【0047】
再び図3を参照すると、医療従事者は、ベッドシステム1において、患者のバイタルデータを電子カルテシステムに登録することができる。医療従事者は、例えば自身が有するモバイル端末10を持って、バイタルサインの測定対象である患者Aがいる病室に行く。
【0048】
医療従事者は、患者Aのバイタルサインを測定する前に、認証処理をモバイル端末10に実行させる。医療従事者は、例えば、病室に向かう前、病室に向かっている途中、又は、病室に到着した後に、認証処理をモバイル端末10に実行させる。
【0049】
モバイル端末10は、医療従事者の操作に基づき、医療従事者の認証処理を実行する(ステップS11)。認証処理は、モバイル端末10の使用者が、適当な医療従事者であることを確認する処理である。認証処理は、適宜の方法により行うことができ、例えば上述した例で示した方法により行うことができる。
【0050】
次に、医療従事者は、認証処理が行われたモバイル端末10とベッドサイド端末20との間で、近距離通信による情報通信を実行させる。医療従事者は、例えば図5に示すように、認証処理が行われたモバイル端末10を、認証処理が行われていないベッドサイド端末20のNFCリーダライタ20aに近づけることにより、NFCを用いてモバイル端末10とベッドサイド端末20との間の情報通信を実行させる。すなわち、医療従事者は、モバイル端末10をベッドサイド端末20にかざすことによって、モバイル端末10のNFCリーダライタをベッドサイド端末20のNFCリーダライタ20aに近づけ、これによって情報通信を実行させることができる。
【0051】
モバイル端末10とベッドサイド端末20とが所定の距離に近づいた場合、モバイル端末10は、ステップS11の認証処理において使用者が前記医療従事者であることを確認するために用いられた認証情報を、ベッドサイド端末20に送信する(ステップS12)。例えば、モバイル端末10は、ステップS11において医療従事者から入力されたID及びパスワードを、ベッドサイド端末20に送信する。なお、所定の距離は、例えば、モバイル端末10とベッドサイド端末20との間で近距離通信(例えばNFCによる通信)が実行可能な距離である。
【0052】
ベッドサイド端末20は、モバイル端末10から受信した認証情報を用いて、認証処理を実行する(ステップS13)。ベッドサイド端末20が実行する認証処理は、ステップS11で説明した認証処理と同様の方法で行われてよい。例えば、ベッドサイド端末20は、サーバ装置30と情報通信を行うことにより、モバイル端末10から受信した認証情報が、サーバ装置30の記憶部32に記憶された認証情報と一致するか否かに基づいて、認証処理を行うことができる。このようにして、医療従事者がベッドサイド端末20に対して操作を行うことなく、ベッドサイド端末20での認証が行われる。
【0053】
なお、ベッドサイド端末20について、別途の方法で予め認証処理が行われている場合には、ステップS13は実行されなくてもよい。つまり、ベッドサイド端末20は、予め認証処理が行われていても、行われていなくてもよい。
【0054】
また、ステップS13は、必ずしも実行されてなくてもよい。つまり、ベッドサイド端末20では、必ずしも認証処理が実行されなくてもよい。モバイル端末10とベッドサイド端末20とのうち、少なくとも一方で認証処理が実行されていれば、本実施形態で説明する処理を実行することができ、本実施形態で説明する効果を奏することができる。
【0055】
ベッドサイド端末20は、認証処理が行われた場合、認証処理が行われる前とは、表示部24における表示画面を異ならせることができる。図6は、認証処理が行われた後にベッドサイド端末20の表示部24に表示される画面例である。認証処理が行われた場合、ベッドサイド端末20の表示部24には、患者に関する詳細な情報が表示され、あるいは、患者に関する詳細な情報を閲覧するためのボタンが表示される。例えば図6に示すように、表示部24には、患者の生年月日、年齢及び性別が表示される。例えば図6に示すように、表示部24には、「患者情報」や「経過表」など、患者に関する詳細な情報を閲覧するためのボタンが表示される。例えば医療従事者が、「患者情報」と表示されたボタンを選択する操作入力を行った場合、表示部24には、患者に関する更なる詳細な情報が表示される。例えば医療従事者が、「経過表」と表示されたボタンを選択する操作入力を行った場合、表示部24には、患者の過去のバイタルデータなどの診療記録が表示される。
【0056】
さらに、ベッドサイド端末20の表示部24には、例えば図6に示すように、「測定値登録」というボタンが表示される。例えば医療従事者が、「測定値登録」と表示されたボタンを選択する操作入力を行った場合、表示部24には、バイタルデータを入力するための入力画面が表示される。
【0057】
図7は、ベッドサイド端末20の表示部に表示される入力画面の画面例である。入力画面には、例えば、バイタルデータを示す項目(例えば図7の「体温」「血圧H」など)と、各項目に関するバイタルデータを入力する欄とが表示される。また、入力画面には、例えば前回入力されたバイタルデータが表示される。医療従事者は、入力画面において、例えば測定機器50により測定されたバイタルサインの値を入力することができる。入力は、例えば、ベッドサイド端末20の入力部25を操作することによって行うことができる。なお、図3に示すシーケンスでは、バイタルデータはベッドサイド端末20ではなく、モバイル端末10に入力される。詳細については、後述するステップS16で説明する。
【0058】
再び図3を参照すると、モバイル端末10とベッドサイド端末20とが所定の距離に近づいた場合、ベッドサイド端末20は、当該ベッドサイド端末20に対応付けられた患者Aの患者識別情報を、モバイル端末10に送信する(ステップS14)。具体的には、ベッドサイド端末20は、記憶部22に記憶されている患者識別情報を、モバイル端末10に送信する。モバイル端末10は、ベッドサイド端末20から患者識別情報を受信する。つまり、これにより、モバイル端末10は、ベッドサイド端末20に対応付けられた患者Aの患者識別情報を取得することができる。そのため、モバイル端末10は、ベッドサイド端末20に対応付けられた患者Aを特定することができる。
【0059】
なお、ステップS12とステップS14とは、必ずしもここで説明した順序で実行されなくてもよい。例えば、ステップS12とステップS14とは、同時に実行されてもよく、ステップS14がステップS12よりも先に実行されてもよい。また、Bluetoothによる通信のためのペアリングが事前に行われたモバイル端末10とベッドサイド端末20とは、NFCによる通信を行ったときに、Bluetoothによる通信のための接続が行われてよい。つまり、NFCによる通信を契機として、モバイル端末10とベッドサイド端末20とのBluetooth接続が行われてよい。また、上述のように、モバイル端末10とベッドサイド端末20との間で、Bluetoothではなく、NFCによる通信が行われる場合には、事前にモバイル端末10とベッドサイド端末20とがペアリングされる必要はない。
【0060】
次に、医療従事者は、測定機器50を用いて患者Aのバイタルサインを測定する。すなわち、測定機器50は、医療従事者の操作に基づいて、患者Aのバイタルサインを測定する。(ステップS15)。例えば、測定機器50は、パルスオキシメータである場合、患者Aの血中酸素飽和度を測定し、血圧計である場合、患者Aの血圧を測定し、体温計である場合、患者Aの体温を測定する。
【0061】
医療従事者は、モバイル端末10と測定機器50との間で情報通信を実行させる。例えば、医療従事者は、バイタルサインを測定させた測定機器50とモバイル端末10とを近づけることにより、NFCを用いてモバイル端末10と測定機器50との間の情報通信を実行させる。この場合、モバイル端末10の通信部13と測定機器50の通信部53とは、NFCリーダライタを含んで構成され、NFCリーダライタを用いて情報通信が実行させる。すなわち、医療従事者は、モバイル端末10を測定機器50にかざす、又は、測定機器50をモバイル端末10にかざすことによって、モバイル端末10のNFCリーダライタと測定機器50のNFCリーダライタとを近づけることにより、情報通信を実行させることができる。
【0062】
モバイル端末10と測定機器50との間の情報通信において、測定機器50は、ステップS15で測定したバイタルサインに関するデータであるバイタルデータを、モバイル端末10に送信する(ステップS16)。例えば、測定機器50は、患者Aの血中酸素飽和度の変化に基づいて算出される脈拍、血圧又は体温のデータを、モバイル端末10に送信する。このようにして、バイタルデータがモバイル端末10に入力される。
【0063】
なお、バイタルデータには、バイタルサインが測定された日時に関する情報が付加されてもよい。日時に関する情報は、例えば、測定機器50が、バイタルサインを測定したときに、リアルタイムクロックなどを用いて取得することができる。
【0064】
モバイル端末10は、測定機器50から取得したバイタルデータを、表示部14に表示させる(ステップS17)。これにより、医療従事者は、測定されたバイタルデータを確認することができる。
【0065】
また、モバイル端末10は、ベッドサイド端末20から取得した患者識別情報と、測定機器50から取得したバイタルデータとに基づいて、対応付けデータを生成する(ステップS18)。対応付けデータは、患者識別情報とバイタルデータとを対応付けたデータである。つまり、モバイル端末10は、ステップS18において、患者識別情報とバイタルデータとを対応付けることにより、対応付けデータを生成する。これにより、バイタルデータが患者Aに紐付けられる。なお、ステップS18では、モバイル端末10は、必ずしも「対応付けデータ」を生成しなくてもよく、患者識別情報とバイタルデータとを対応付ければよい。
【0066】
モバイル端末10は、生成した対応付けデータを、外部装置であるサーバ装置30に送信する(ステップS19)。つまり、モバイル端末10は、患者識別情報に対応付けられたバイタルデータを、サーバ装置30に送信することができる。モバイル端末10は、例えば医療従事者による入力部15に対する所定の操作入力に基づいて、ネットワークを介して、対応付けデータをサーバ装置30に送信する。
【0067】
サーバ装置30は、モバイル端末10から受信した対応付けデータを、例えばネットワークを介して電子カルテシステム40に送信する(ステップS20)。なお、サーバ装置30は、受信した対応付けデータを、サーバ装置30の記憶部32に記憶してもよい。
【0068】
電子カルテシステム40は、サーバ装置から受信した対応付けデータを、記憶部42に記憶する(ステップS21)。具体的には、電子カルテシステム40は、対応付けデータに含まれる患者識別情報に基づいて、対象となる患者Aを特定する。電子カルテシステム40は、特定した患者Aの診療記録のデータとして、対応付けデータに含まれるバイタルデータを追加することにより、対応付けデータを記憶部42に記憶させることができる。このようにして、新たに測定されたバイタルサインを示すバイタルデータが、電子カルテシステム40に記憶される。
【0069】
なお、モバイル端末10は、例えば医療従事者による入力部15に対する所定の操作入力に基づいて、測定機器50から取得したバイタルデータをベッドサイド端末20に送信することができる。例えば、医療従事者が、モバイル端末10の入力部15に対して、ベッドサイド端末20にバイタルデータを表示させるための所定の操作入力を行ったとする。モバイル端末10は、当該操作入力に基づいて、測定機器50から取得したバイタルデータをベッドサイド端末20に送信する(ステップS22)。バイタルデータは、例えばBluetooth接続により、モバイル端末10からベッドサイド端末20に送信される。
【0070】
ベッドサイド端末20は、モバイル端末10からバイタルデータを受信すると、バイタルデータを表示部24を構成する表示画面に表示する(ステップS23)。医療従事者及び/又は患者Aは、ベッドサイド端末20の表示部24における表示を見ることで、バイタルデータを確認することができる。
【0071】
なお、バイタルデータのベッドサイド端末20への送信(ステップS22)と、ベッドサイド端末20におけるバイタルデータの表示(ステップS23)とは、ステップS16でモバイル端末10が測定機器50からバイタルデータを取得した後、医療従事者の操作に基づいて適宜のタイミングで実施することができる。従って、ステップS22及びステップS23が実行されるタイミングは、必ずしも対応付けデータが電子カルテシステム40に記憶された後でなくてもよい。
【0072】
また、バイタルデータは、必ずしもステップS22で示したように、モバイル端末10からベッドサイド端末20に送信されなくてもよい。例えば、バイタルデータは、サーバ装置30からモバイル端末10を経由することなく、直接ベッドサイド端末20に送信されてもよい。この点については、本明細書に記載の他の処理についても同様であり、具体的には、後述する図9及び図10の処理についても同様である。
【0073】
このように、本実施形態に係るベッドシステム1では、ベッドサイド端末20からモバイル端末10に患者識別情報が送信され(ステップS14)、モバイル端末10が、患者識別情報とバイタルデータとを対応付けて、対応付けデータを生成する(ステップS18)。そのため、バイタルデータを入力する際に、バイタルデータを誤って別の患者(ここでの例では、患者Aとは異なる患者)と対応付けるというミスを防止することができる。
【0074】
例えば、バイタルデータを含む様々なデータ(情報)を入力する際に、医療従事者がモバイル端末10を操作することによって、バイタルデータを対応付ける患者を手動で選択する場合、医療従事者が誤って別の患者を選択するというヒューマンエラーが発生する可能性がある。また、モバイル端末10は、表示部14や入力部15のサイズが小さい場合があり、医療従事者が、そもそもバイタルデータを対応付ける患者を選択する操作を行いにくかったり、入力部15の操作のしにくさに起因して、意図しない患者が選択されたりする可能性がある。これに対し、本実施形態に係るベッドシステム1では、医療従事者が患者を手動で選択するという操作を必要としないため、データが誤って別の患者と対応付けられることを防止することができる。これにより、患者情報の取り違いを減らすことができ、ひいては医療事故の可能性を減らすことができる。
【0075】
また、本実施形態に係るベッドシステム1では、モバイル端末10がベッドサイド端末20にバイタルデータを送信し(ステップS22)、ベッドサイド端末20にバイタルデータが表示される(ステップS23)。ベッドサイド端末20の表示画面は、モバイル端末10の表示画面よりも大きいため、ベッドサイド端末20にバイタルデータを表示させることにより、医療従事者及び/又は患者は、バイタルデータを確認しやすくなる。
【0076】
さらに、本実施形態に係るベッドシステム1では、測定機器50で測定されたバイタルサインを示すバイタルデータは、モバイル端末10に入力される。具体的には、測定機器50からバイタルデータがモバイル端末10に送信されることにより(ステップS16)、モバイル端末10にバイタルデータが入力される。仮に、バイタルデータがベッドサイド端末20に入力される場合、ベッドサイド端末20が配置された位置によっては、入力しにくい場合がある。しかしながら、本実施形態に係るベッドシステム1では、携帯可能なモバイル端末10にバイタルデータが入力されるため、ベッドサイド端末20の配置に依存することなく、医療従事者は容易にバイタルデータの入力を行うことができる。すなわち、バイタルデータを入力する際の、医療従事者に対する負荷を軽減することができる。
【0077】
また、本実施形態に係るベッドシステム1では、認証情報がモバイル端末10からベッドサイド端末20に共有される(ステップS12)。そのため、医療従事者は、ベッドサイド端末20を直接操作することなく、ベッドサイド端末20に認証処理を実行させることができる。そのため、医療従事者にとっての利便性が高まる。
【0078】
なお、図3に示すシーケンスでは、モバイル端末10で認証処理が実行された後、認証情報がモバイル端末10からベッドサイド端末20に送信されると説明した。しかしながら、これとは反対に、先に医療従事者がベッドサイド端末20で認証処理を行い、認証情報がベッドサイド端末20からモバイル端末10に送信されてもよい。つまり、モバイル端末10とベッドサイド端末20とは、先に認証処理を実行した端末が、他方の端末に認証情報を送信してよい。言い換えれば、上記実施形態で説明した処理は、モバイル端末10及びベッドサイド端末20の少なくとも一方において、認証処理が実行された状態で実行することができる。モバイル端末10とベッドサイド端末20との間で、認証情報が共有されることにより、医療従事者にとっての利便性が高まる。なお、モバイル端末10とベッドサイド端末20との双方について、それぞれ独立して認証処理が行われていてもよい。
【0079】
先にベッドサイド端末20で認証処理が行われる場合、医療従事者は、例えば自身が携帯するICカードを用いて認証処理を行ってもよい。例えば、医療従事者が、ICカードをベッドサイド端末20のNFCリーダライタ20aにかざすと、ベッドサイド端末20は、NFCリーダライタ20aで読み取った情報に基づき、認証処理を行うことができる。
【0080】
図3に示すシーケンスでは、モバイル端末10とベッドサイド端末20との間の近距離通信により、認証情報がモバイル端末10からベッドサイド端末20に送信されると説明した(ステップS12)。しかしながら、認証情報は、必ずしもモバイル端末10からベッドサイド端末20に送信されなくてもよい。例えば、サーバ装置30が、認証処理が完了したモバイル端末10から、認証情報と、当該モバイル端末10を一意に特定するモバイル端末識別情報と、を取得し、記憶部32に記憶する。医療従事者がモバイル端末10をベッドサイド端末20のNFCリーダライタ20aにかざしたとき、ベッドサイド端末20は、モバイル端末10のモバイル端末識別情報を、モバイル端末10から取得する。ベッドサイド端末20は、取得したモバイル端末識別情報を用いて、サーバ装置30に認証情報を要求する。ベッドサイド端末20は、サーバ装置30が要求に応じて送信した識別情報を受信し、受信した識別情報を用いて認証処理を行うことができる。
【0081】
図3に示すシーケンスでは、測定機器50からモバイル端末10にバイタルデータが送信されることにより、モバイル端末10にバイタルデータが入力されると説明した。しかしながら、モバイル端末10へのバイタルデータの入力は、必ずしもこの方法により行われなくてもよい。例えば、測定機器50で測定され、測定機器50の表示部54に表示されたバイタルサインを、医療従事者が読み取って、読み取ったバイタルサイン(例えば数値)を、医療従事者がモバイル端末10の入力部15から入力することにより、バイタルデータがモバイル端末10に入力されてもよい。この場合、モバイル端末10は、ベッドサイド端末20から取得した患者識別情報と、医療従事者が入力部15から入力したバイタルデータとを対応付けることにより、対応付けデータを生成することができる(ステップS18)。
【0082】
図3に示すシーケンスでは、対応付けデータがモバイル端末10からサーバ装置30を経由して電子カルテシステム40に送信される場合の例について説明した。しかしながら、対応付けデータは、モバイル端末10から、サーバ装置30を経由することなく、直接、外部装置である電子カルテシステム40に送信されてもよい。あるいは、対応付けデータは、モバイル端末10からベッドサイド端末20を経由して電子カルテシステム40に送信されてもよい。つまり、対応付けデータは、所定の機器を経由してもしなくてもよく、モバイル端末10から電子カルテシステム40に送信されればよい。
【0083】
3.変形例
図8は、変形例に係るベッドシステム2の構成例を示す機能ブロック図である。変形例に係るベッドシステム2の詳細について、上述したベッドシステム1と共通する点については適宜説明を省略しながら、説明する。
【0084】
変形例に係るベッドシステム2は、図8に示すように、モバイル端末10と、ベッドサイド端末20と、サーバ装置30と、電子カルテシステム40と、測定機器50と、ヘッドセット60と、スマートグラス70と、を備える。つまり、変形例に係るベッドシステム2は、ヘッドセット60及びスマートグラス70をさらに備える点で、ベッドシステム1と異なる。
【0085】
ヘッドセット60及びスマートグラス70は、医療従事者が頭部に装着可能な機器である。ヘッドセット60及びスマートグラス70は、例えば、ワイヤレスでモバイル端末10と情報通信可能に構成される。具体的には、ヘッドセット60及びスマートグラス70は、例えばBluetoothなどの所定の通信方式によりモバイル端末10と情報通信可能に構成され、予めモバイル端末10とペアリングされている。
【0086】
ヘッドセット60は、図8に示すように、機能ブロックとして、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、音出力部64と、音入力部65と、を備える。制御部61、記憶部62及び通信部63の基本的なハードウェア構成については、モバイル端末10の制御部11、記憶部12及び通信部13とそれぞれ同様であってよいため、ここでは詳細な説明を適宜省略する。
【0087】
制御部61は、ヘッドセット60の各機能部をはじめとして、ヘッドセット60の全体を制御及び管理する。制御部61は、例えば記憶部62に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、適宜の処理を実行する。記憶部62は、各種情報を記憶する。記憶部62は、例えばプロセッサにより構成される制御部61を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。通信部63は、情報通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部63は、Bluetoothを用いて、モバイル端末10との通信を行う。
【0088】
音出力部64は、音を出力するデバイスである。音出力部64は、音を出力する1以上のスピーカにより構成される。音出力部64は、制御部61の制御に基づき、例えばヘッドセット60がモバイル端末10から受信した音データに基づく音を出力する。
【0089】
音入力部65は、周囲の音を取得する。音入力部65は、医療従事者がヘッドセット60を装着した状態(装着状態)において、例えば医療従事者が発した声を取得しやすい位置に配置される。具体的には、音入力部65は、装着状態において、医療従事者の口の近傍に位置するように、ヘッドセット60に配置される。従って、音入力部65は、医療従事者の発話の入力を受け付けることができる。音入力部65は、例えばマイクにより構成されている。
【0090】
スマートグラス70は、例えばメガネ型又はゴーグル型のウェアラブルデバイスである。スマートグラス70は、図8に示すように、機能ブロックとして、制御部71と、記憶部72と、通信部73と、表示部74と、入力部75と、を備える。制御部71、記憶部72、通信部73及び入力部75の基本的なハードウェア構成については、モバイル端末10の制御部11、記憶部12、通信部13及び入力部15とそれぞれ同様であってよいため、ここでは詳細な説明を適宜省略する。
【0091】
制御部71は、スマートグラス70の各機能部をはじめとして、スマートグラス70の全体を制御及び管理する。制御部71は、例えば記憶部72に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、適宜の処理を実行する。記憶部72は、各種情報を記憶する。記憶部72は、例えばプロセッサにより構成される制御部71を動作させるための、コンピュータプログラム及び各種データを記憶する。通信部73は、情報通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信部73は、Bluetoothを用いて、モバイル端末10との通信を行う。
【0092】
表示部74は、種々の情報を表示するインターフェイスである。表示部74は、表示画面を含む。表示画面は、例えば可視光を透過させる透過型ディスプレイにより構成される。従って、スマートグラス70を装着した医療従事者は、表示部74に表示された情報を見ることができるとともに、目の前方にある実空間を、表示部74を通して見ることができる。表示部74には、制御部71の制御に基づき、スマートグラス70がモバイル端末10から受信した患者に関する情報を表示する画面などが表示される。
【0093】
入力部75は、スマートグラス70を操作する医療従事者による操作入力を受け付ける。入力部75は、例えば操作ボタンにより構成されている。
【0094】
次に、変形例に係るベッドシステム2で実行される情報処理の一例について説明する。ベッドシステム2は、図3を参照して説明したステップS11からステップS21までの処理を、ベッドシステム1と同様に実行することができる。変形例に係るベッドシステム2は、図3を参照して説明したステップS22及びS23を実行してもよい。
【0095】
変形例に係るベッドシステム2において、モバイル端末10は、ヘッドセット60の音入力部65に入力された医療従事者の発話に基づいて、情報処理を実行することができる。一例として、変形例に係るベッドシステム2は、図9に示すシーケンスを実行することができる。以下、図9に示すシーケンスについて、詳細に説明する。図9に示すシーケンスは、例えば図3のステップS11からステップS16までが完了した状態で実行される。
【0096】
まず、ヘッドセット60及びスマートグラス70を装着した状態の医療従事者が、患者Aのバイタルデータを、ベッドサイド端末20に表示させる指示を、音声で行ったとする。例えば、医療従事者が、「患者Aのバイタルデータをベッドサイド端末に表示して」と発話したとする。
【0097】
ヘッドセット60は、音入力部65において、上記医療従事者が発話した音声の指示の入力(音声指示入力)を受け付ける(ステップS31)。
【0098】
ヘッドセット60は、音声認識により、受け付けた音声指示入力に基づいて、医療従事者の発話内容に対応する指示情報を生成する(ステップS32)。指示情報は、所定の情報処理を実行させるためのコマンドであり、具体的には、医療従事者の発話内容を実現する処理を実行させるためのコマンドである。ヘッドセット60は、公知の音声認識技術を用いて、指示情報を生成することができる。ヘッドセット60は、例えば音声認識により音声指示入力をテキストデータ又は他の形式のデータに変換し、変換したデータに基づいて指示情報を生成することができる。なお、音声指示入力に基づく指示情報の生成は、必ずしもヘッドセット60で行われなくてもよく、例えば、モバイル端末10又は他の外部の装置(例えばサーバ装置など)によって行われてもよい。
【0099】
ヘッドセット60は、生成した指示情報を、例えばBluetooth接続により、モバイル端末10に送信する(ステップS33)。
【0100】
モバイル端末10は、受信した指示情報に基づき、図3のステップS16で取得した患者Aのバイタルデータを、ベッドサイド端末20に送信する(ステップS34)。ベッドサイド端末20は、モバイル端末10から受信した患者Aのバイタルデータを、表示部24に表示させる(ステップS35)。ステップS34及びステップS35の具体的な処理は、図3を参照して説明したステップ21及びステップS23に、それぞれ対応する。
【0101】
ベッドシステム1では、ステップS22及びステップS23で説明したように、医療従事者がモバイル端末10の入力部15に対して所定の操作入力を行うことにより、バイタルデータがベッドサイド端末20に表示された。これに対し、変形例に係るベッドシステム2では、モバイル端末10の入力部15への操作入力に代えて、発話つまり音声認識により、バイタルデータをベッドサイド端末20に表示させることができる。すなわち、ベッドシステム2では、医療従事者は、モバイル端末10に対する操作を行うことなく、ベッドシステム1と同様の処理を実行させることができる。そのため、ベッドシステム2では、医療従事者は、ベッドシステム2において何らかの処理を実行させるために、モバイル端末10を取り出して、モバイル端末10を操作する、という必要がなくなる。これにより、医療従事者にとっての利便性が、さらに高まる。
【0102】
なお、医療従事者は、ステップS31からステップS35と同様の要領で、ベッドサイド端末20とともに又はベッドサイド端末20に代えて、スマートグラス70にバイタルデータを表示させることもできる。例えば、医療従事者は、「患者Aのバイタルデータをスマートグラスに表示して」と発話したとする。ヘッドセット60は、当該発話に係る音声指示入力を受け付け(ステップS31)、当該発話に応じた指示情報を生成し(ステップS32)、指示情報をモバイル端末10に送信する(ステップS33)。モバイル端末10は、指示情報に基づき、患者Aのバイタルデータをスマートグラス70に送信する(ステップS36)。スマートグラス70は、受信した患者Aのバイタルデータを、表示部74を構成する表示画面に表示させる(ステップS37)。この場合、スマートグラス70は、医療従事者が装着しているため、医療従事者がベッドサイド端末20の表示部24が見える位置にいなくても、患者Aのバイタルデータを見ることができる。つまり、医療従事者は、ベッドサイド端末20が配置された位置まで移動することなく、患者Aのバイタルデータを見ることができる。そのため、医療従事者にとっての利便性が、さらに高まる。
【0103】
変形例に係るベッドシステム2において、ベッドサイド端末20には、ベッドサイド端末20に対応付けられた患者だけでなく、他の患者のバイタルデータが表示されてもよい。つまり、モバイル端末10は、医療従事者による所定の入力に基づいて、図3のステップS14で取得した患者識別情報により特定される患者とは異なる患者のバイタルデータを外部装置から取得し、当該異なる患者のバイタルデータを表示させることができる。例えば、患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20に、患者Aとは異なる患者Bのバイタルデータが表示されてもよい。この場合の処理例について、図10に示すシーケンスを参照しながら説明する。
【0104】
例えば、ヘッドセット60を装着した状態の医療従事者が、患者Bのバイタルデータを患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20に表示させる指示を、音声で行ったとする。例えば、医療従事者が、「患者Bのバイタルデータをベッドサイド端末に表示して」と発話したとする。このとき、医療従事者は、患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20において認証処理が行われた状態であり、患者Bに対応付けられたベッドサイド端末20においては、認証処理が行われていない状態であるとする。
【0105】
ヘッドセット60は、音入力部65において、上記医療従事者が発話した音声指示入力を受け付ける(ステップS41)。
【0106】
ヘッドセット60は、音声認識により、受け付けた音声指示入力をテキストに変換し、テキストに基づいて、医療従事者の発話内容に対応する指示情報を生成する(ステップS42)。ここで、医療従事者は、患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20において認証処理が行われた状態であるため、ヘッドセット60は、「患者Bのバイタルデータを患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20に表示する」という内容の指示情報を生成する。
【0107】
ヘッドセット60は、生成した指示情報を、例えばBluetooth接続により、モバイル端末10に送信する(ステップS43)。
【0108】
モバイル端末10は、受信した指示情報に基づき、ネットワークを介して、患者Bのバイタルデータの送信を依頼するバイタルデータ送信依頼を、サーバ装置30に送信する(ステップS44)。
【0109】
サーバ装置30は、受信したバイタルデータ送信依頼に基づき、ネットワークを介して、同様にバイタルデータ送信依頼を、電子カルテシステム40に送信する(ステップS45)。なお、サーバ装置30は、例えば記憶部32を参照して、モバイル端末10に含まれる患者Bの名前を、患者Bの患者識別情報に変換することができる。例えば、サーバ装置30の記憶部32には、患者の名前と患者識別情報とが対応付けて記憶されているとする。この場合、サーバ装置30は、患者Bという患者の名前に対応する患者識別情報を検索し、患者Bの患者識別情報をバイタルデータ送信依頼に含めて送信することができる。なお、サーバ装置30に患者Bのデータが記憶されている場合には、サーバ装置30は電子カルテシステム40にバイタルデータ送信依頼を送信しなくてもよい。つまり、この場合、ステップS45及びステップS46については、省略することができる。
【0110】
電子カルテシステム40は、バイタルデータ送信依頼に基づき、対象となる患者Bのバイタルデータを抽出し、ネットワークを介して、サーバ装置30に患者Bのバイタルデータを送信する(ステップS46)。例えば、電子カルテシステム40は、バイタルデータ送信依頼に含まれる患者識別情報に対応付けられたバイタルデータを、記憶部42に記憶されたバイタルデータの中から抽出し、抽出したバイタルデータをサーバ装置30に送信する。なお、サーバ装置30において患者Bの名前が患者Bの患者識別情報に変換されていない場合には、電子カルテシステム40が患者Bの名前が患者Bの患者識別情報に変換してもよい。
【0111】
サーバ装置30は、電子カルテシステム40から受信した患者Bのバイタルデータを、ネットワークを介してモバイル端末10に送信する(ステップS47)。
【0112】
モバイル端末10は、サーバ装置30から受信した患者Bのバイタルデータを、例えばBluetooth接続により、患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20に送信する(ステップS48)。
【0113】
患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20は、モバイル端末10から患者Bのバイタルデータを受信すると、患者Bのバイタルデータを表示部24に表示する(ステップS49)。これにより、医療従事者は、患者Aに対応付けられたベッドサイド端末20の表示部24における表示を見ることで、患者Bのバイタルデータを確認することができる。つまり、医療従事者は、所望の患者のバイタルデータを、他の患者に対応付けられたベッドサイド端末20で閲覧することができる。そのため、医療従事者は、所望の患者に対応付けられたベッドサイド端末20で認証処理を行うことなく、所望の患者のバイタルデータを閲覧することができる。これにより、医療従事者にとって利便性が高まる。
【0114】
なお、図10を参照して説明したような、特定の患者(ここでは患者B)のバイタルデータを、別の患者(ここでは患者A)に対応付けられたベッドサイド端末20に表示させる処理は、所定の条件が満たされた場合にのみ、実行されてよい。所定の条件は、例えば、別の患者に対応付けられたベッドサイド端末20について、医療従事者の認証処理が行われたことである。所定の条件は、例えば、ベッドサイド端末20の近傍に医療従事者がいることであってもよい。ベッドサイド端末20の近傍に医療従事者がいるか否かは、例えば、ベッドサイド端末20の近傍を撮影するカメラによって撮影された画像に、医療従事者がいるか否かや、ベッドサイド端末20で受信される、医療従事者の認証処理が行われたモバイル端末10から受信した信号の信号強度などに基づいて判定することができる。所定の条件は、ここで示した例に限られず、医療従事者がベッドサイド端末20を閲覧する状態にあることを推定可能な他の条件であってもよい。患者のバイタルデータは、厳密に管理が必要な個人情報でありうるため、所定の条件が満たされた場合にのみ、特定の患者のバイタルデータを、別の患者に対応付けられたベッドサイド端末20に表示させることで、個人情報の閲覧を制限することができる。つまり、所定の条件を課すことにより、医療従事者など、閲覧権限を有する人のみが患者のバイタルデータを閲覧可能にすることができる。
【0115】
図10を参照して説明したシーケンスにおいて、医療従事者は、ベッドサイド端末20ではなく、スマートグラス70又はモバイル端末10に所望の患者のバイタルデータを表示させてもよい。この場合、バイタルデータが、医療従事者が装着しているスマートグラス70、又は、医療従事者が有するモバイル端末10に表示されるため、他人に患者のバイタルデータが閲覧されにくくなる。そのため、個人情報となりうる患者のバイタルデータが、他人に閲覧される可能性を低減することができる。
【0116】
また、図10を参照して説明したシーケンスにおいて、モバイル端末10は、ヘッドセット60に入力された発話に基づく指示情報ではなく、モバイル端末10の入力部15への操作入力に基づいて、所望の患者のバイタルデータを表示させてもよい。
【0117】
4.認証処理の他の方法
上述したベッドシステム1及びベッドシステム2では、モバイル端末10をベッドサイド端末20にかざすことによって、NFCを用いて認証情報がモバイル端末10からベッドサイド端末20に送信され、ベッドサイド端末20での認証処理が行われると説明した(図3のステップS12及びステップS13ご参照)。しかしながら、ベッドサイド端末20における認証処理は、他の方法により行われてもよい。
【0118】
例えば、医療従事者が、認証処理が完了しているモバイル端末10を持って、ベッドサイド端末20から所定の距離の範囲内に近づいたとする。所定の距離は、適宜定めることができ、例えば数メートルから十数メートルなどとすることができる。ベッドサイド端末20は、適宜の公知の方法で、モバイル端末10が所定の距離の範囲内に近づいたか否かを判定でき、例えばモバイル端末10から受信した信号の信号強度などに基づいて判定できる。
【0119】
ベッドサイド端末20は、モバイル端末10が所定の距離の範囲内に近づいたと判定した場合、モバイル端末10に対して、認証情報を要求する要求信号を送信する。モバイル端末10は、要求信号を受信したことに応じて、ベッドサイド端末20の認証処理を実行するか否かについて、医療従事者に問合せを行う。問合せは、適宜の方法によって行うことができる。例えば、モバイル端末10は、表示部14への画面表示、スピーカからの音の出力、又は、振動子の振動など、医療従事者が認識可能な適宜の方法で、問合せを行うことができる。あるいは、モバイル端末10は、例えばヘッドセット60からの音の出力、又は、スマートグラス70の表示部74への表示により、問合せを行うこともできる。モバイル端末10は、問合せにおいて、認証情報を要求しているベッドサイド端末20に対応付けられた患者の情報(例えば患者の名前など)を医療従事者に通知してもよい。ベッドサイド端末20に対応付けられた患者の情報は、例えば要求信号に含めて、ベッドサイド端末20からモバイル端末10に提供される。
【0120】
医療従事者は、問合せに対し、認証情報をベッドサイド端末20に提供するか否かの回答を入力する。例えば、医療従事者は、モバイル端末10の入力部15を用いて回答を入力することができる。あるいは、医療従事者は、発話により、ヘッドセット60から回答を入力することができる。
【0121】
モバイル端末10は、医療従事者により入力された回答に応じた処理を行う。例えば、医療従事者が、認証情報を提供しないことを示す回答を入力した場合、モバイル端末10は、ベッドサイド端末20に対し、要求を拒絶する信号を送信する。一方、医療従事者が、認証情報を提供することを示す回答を入力した場合、モバイル端末10は、ベッドサイド端末20に対し、認証情報を送信する。この場合、ベッドサイド端末20は、受信した認証情報を用いて、認証処理を実行する。この方法によれば、医療従事者が、モバイル端末10をベッドサイド端末20にかざすことなく、所定の距離の範囲内に近づいたときに、ベッドサイド端末20の認証処理を完了させることができる。そのため、例えば、医療従事者が、患者がいる病室に向かっている途中で、当該病室の中にあるベッドサイド端末20の所定の距離の範囲内に近づいたときに、ベッドサイド端末20の認証処理を実行させることができる。これにより、医療従事者は、病室に入った後、ベッドサイド端末20を用いた診療をすぐに開始することができる。
【0122】
医療従事者がスマートグラス70を装着している場合、スマートグラス70を用いた他の方法で、ベッドサイド端末20における認証処理を実行させることができる。例えば、医療従事者が、モバイル端末10の入力部15への所定の操作入力、又は、発話によるヘッドセット60への音声入力を行うと、スマートグラス70は、例えば医療施設内のマップを表示する。マップには、例えば病室の位置と患者の名前とが含まれる。医療従事者が、マップ上において所望の患者がいる病室に視線を向けると、スマートグラス70が備えるカメラなどを用いて視線が自動的に検出され、モバイル端末10から、マップ上で視線が向けられた位置にある病室に配置されているベッドサイド端末20に、認証情報が送信される。認証情報を受信したベッドサイド端末20は、受信した認証情報を用いて、認証処理を実行する。このようにして、医療従事者は、所望のベッドサイド端末20に認証処理を実行させることができる。
【0123】
以上、本明細書では、ベッドシステム1及び2を用いて、患者のバイタルデータに関する処理が行われることを説明した。しかしながら、ベッドシステム1及び2で扱われるデータは、必ずしもバイタルデータに限られず、他のデータであってもよい。例えば、ベッドシステム1及び2では、患者に関するデータが扱われてよい。バイタルデータ以外の患者に関するデータの一例としては、例えば患者の年齢や血液型等の患者情報や患者のスケジュール情報などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0124】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また端末装置、検出装置、ベッド等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1,2…ベッドシステム、10…モバイル端末、20…ベッドサイド端末、20a…リーダライタ、30…サーバ装置、40…電子カルテシステム、50…測定機器、60…ヘッドセット、70…スマートグラス、11,21,31,41,51,61,71…制御部、12,22,32,42,52,62,72…記憶部、13,23,33,43,53,63,73…通信部、14,24,44,54,74…表示部、15,25,45,55,75…入力部、56…測定部、64…音出力部、65…音入力部
図1
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