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特開2024-172922バスバーアッセンブリ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172922
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バスバーアッセンブリ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/06 20060101AFI20241205BHJP
   H02G 1/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H05K7/06 C
H02G1/12 080
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090984
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】小谷 哲之
【テーマコード(参考)】
5G353
【Fターム(参考)】
5G353BA03
5G353CA05
(57)【要約】
【課題】間隙を介して同一平面内に配置された複数のバスバーを有するバスバーアッセンブリであって、前記間隙の開口幅の自由度を高め且つ製造効率を向上させつつ、構成部材間の密着性を向上させ得るバスバーアッセンブリを提供する。
【解決手段】本発明のバスバーアッセンブリにおいては、間隙を存しつつ並列配置された複数のバスバーの全体の平面視周縁領域に沿うように剛性且つ導電性の枠体が前記複数のバスバーの上面に絶縁性接着材によって接着され、複数のバスバー及び枠体の固着体の外表面が絶縁性樹脂体によって覆われており、絶縁性樹脂体には、枠体の中央開口内で且つ平面視において複数のバスバーのそれぞれの上面の少なくとも一部と重合する一又は複数の開口が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、
上下に貫通する中央開口を有する剛性且つ導電性の枠体であって、前記複数のバスバー及び前記間隙を含む領域の平面視周縁に沿うように、前記複数のバスバーの上面に絶縁性接着材によって接着された枠体と、
前記複数のバスバー及び前記枠体の固着体の外表面を覆う絶縁性樹脂体とを備え、
前記絶縁性樹脂体には、前記複数のバスバーの上面及び下面をそれぞれ露出させる上面露出部及び下面露出部が設けられていることを特徴とするバスバーアッセンブリ。
【請求項2】
前記下面露出部は、前記複数のバスバーの下面を全体的に露出させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項3】
前記上面露出部は、前記複数のバスバーの上面をそれぞれ個別に露出させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項4】
前記上面露出部は、前記複数のバスバーの上面を一体的に露出させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項5】
導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、上下に貫通する中央開口を有する剛性且つ導電性の枠体であって、前記複数のバスバー及び前記間隙を含む領域の平面視周縁に沿うように、前記複数のバスバーの上面に絶縁性接着材によって接着された枠体と、前記複数のバスバー及び前記枠体の固着体の外表面を覆う絶縁性樹脂体とを含むバスバーアッセンブリの製造方法であって、
前記複数のバスバーを形成するバスバーアッセンブリ形成領域を有するバスバー用導電性金属平板を用意する工程と、
前記バスバーアッセンブリ形成領域に、上面及び下面の間を貫通し且つ前記間隙と同一幅の一又は複数のスリットを形成して、前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位を形成するスリット形成工程と、
前記枠体を形成する枠体形成領域を有する剛性の枠体用導電性平板を、前記バスバー用導電性金属平板を用意する工程から前記スリット形成工程までの処理の前又は後に、若しくは、並行して用意する工程と、
前記バスバー用導電性金属平板に前記枠体用導電性平板を重合させて、前記枠体形成領域を前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面に絶縁性接着材によって接着させる平板接着工程と、
前記バスバーアッセンブリ形成領域及び前記枠体形成領域の固着体の外表面を電着塗装による絶縁性樹脂体によって一体的に覆う絶縁性樹脂体被覆工程と、
前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの上面のうち前記枠体形成領域によって囲まれた部分の少なくとも一部及び前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの下面の少なくとも一部を露出させるバスバー露出工程と、
前記バスバー露出工程の後、又は、前記絶縁性樹脂体被覆工程の後で且つ前記バスバー露出工程の前に行なわれる切断工程であって、前記バスバーアッセンブリ形成領域及び前記枠体形成領域を、前記バスバー用導電性金属平板及び前記枠体用導電性平板から切断する切断工程とを含むことを特徴とするバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項6】
前記バスバー露出工程において、前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの上面のうち前記枠体形成領域によって囲まれた部分の少なくとも一部を露出させる処理は、前記バスバー形成領域の上面を覆う前記絶縁性樹脂体の所定部位をレーザー光照射によって除去することによって行われることを特徴とする請求項5に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【請求項7】
前記バスバー露出工程において、前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの下面の少なくとも一部を露出させる処理は、前記バスバー形成領域の下面を覆う前記絶縁性樹脂体をレーザー光照射によって除去することによって行われることを特徴とする請求項5又は6に記載のバスバーアッセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバスバーが電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されてなるバスバーアッセンブリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同一平面内で間隙を存しつつ並列配置された複数のバスバーが互いに対して電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されている平面型バスバーアッセンブリが提案され、種々の分野において利用されている。
【0003】
本願出願人は、同一平面内において間隙を存しつつ並列配置された複数のバスバーと、前記間隙を跨ぐように前記複数のバスバーの上面に接着されて、前記間隙が存する状態で前記複数のバスバーを連結する絶縁性樹脂フィルムと、前記複数のバスバーが前記絶縁性樹脂フィルムによって連結されてなるバスバー連結体の平面視における周縁領域に沿うように前記絶縁性樹脂フィルムの上面に接着された剛性の枠体とを備えた平面型バスバーアッセンブリに関する出願を行い、特許を受けている(下記特許文献1参照)。
【0004】
前記特許文献1に記載のバスバーアッセンブリは、前記間隙に絶縁性樹脂を充填するタイプの平面型バスバーアッセンブリに比して、前記間隙の開口幅に関する設計自由度を向上できる点、及び、製造効率の向上を図り得る点で、有効であるが、その一方で、構成部材間の密着性、即ち、前記バスバーと前記絶縁性樹脂フィルムとの間の密着性、及び、前記絶縁性樹脂フィルムと前記枠体との間の密着性において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6788767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、間隙を介して同一平面内に並列配置された複数のバスバーを有するバスバーアッセンブリであって、前記間隙の開口幅の自由度を高め且つ製造効率を向上させつつ、構成部材間の密着性を向上させ得るバスバーアッセンブリ、及び、その製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、上下に貫通する中央開口を有する剛性且つ導電性の枠体であって、前記複数のバスバー及び前記間隙を含む領域の平面視周縁に沿うように、前記複数のバスバーの上面に絶縁性接着材によって接着された枠体と、前記複数のバスバー及び前記枠体の固着体の外表面を覆う絶縁性樹脂体とを備え、前記絶縁性樹脂体には、前記複数のバスバーの上面及び下面をそれぞれ露出させる上面露出部及び下面露出部が設けられているバスバーアッセンブリを提供する。
【0008】
好ましくは、前記下面露出部は、前記複数のバスバーの下面を全体的に露出させるように構成される。
【0009】
一形態においては、前記上面露出部は、前記複数のバスバーの上面をそれぞれ個別に露出させるように構成される。
他形態においては、前記上面露出部は、前記複数のバスバーの上面を一体的に露出させるように構成される。
【0010】
また、前記目的を達成する為に、本発明は、導電性平板状部材によって形成され、対向する側面の間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、上下に貫通する中央開口を有する剛性且つ導電性の枠体であって、前記複数のバスバー及び前記間隙を含む領域の平面視周縁に沿うように、前記複数のバスバーの上面に絶縁性接着材によって接着された枠体と、前記複数のバスバー及び前記枠体の固着体の外表面を覆う絶縁性樹脂体とを含むバスバーアッセンブリの製造方法であって、前記複数のバスバーを形成するバスバーアッセンブリ形成領域を有するバスバー用導電性金属平板を用意する工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域に、上面及び下面の間を貫通し且つ前記間隙と同一幅の一又は複数のスリットを形成して、前記複数のバスバーに対応した複数のバスバー形成部位を形成するスリット形成工程と、前記枠体を形成する枠体形成領域を有する剛性の枠体用導電性平板を、前記バスバー用導電性金属平板を用意する工程から前記スリット形成工程までの処理の前又は後に、若しくは、並行して用意する工程と、前記バスバー用導電性金属平板に前記枠体用導電性平板を重合させて、前記枠体形成領域を前記バスバーアッセンブリ形成領域の上面に絶縁性接着材によって接着させる平板接着工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域及び前記枠体形成領域の固着体の外表面を電着塗装による絶縁性樹脂体によって一体的に覆う絶縁性樹脂体被覆工程と、前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの上面のうち前記枠体形成領域によって囲まれた部分の少なくとも一部及び前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの下面の少なくとも一部を露出させるバスバー露出工程と、前記バスバー露出工程の後、又は、前記絶縁性樹脂体被覆工程の後で且つ前記バスバー露出工程の前に行なわれる切断工程であって、前記バスバーアッセンブリ形成領域及び前記枠体形成領域を、前記バスバー用導電性金属平板及び前記枠体用導電性平板から切断する切断工程とを含むバスバーアッセンブリの製造方法を提供する。
【0011】
好ましくは、前記バスバー露出工程において、前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの上面のうち前記枠体形成領域によって囲まれた部分の少なくとも一部を露出させる処理は、前記バスバー形成領域の上面を覆う前記絶縁性樹脂体の所定部位をレーザー光照射によって除去するように構成される。
【0012】
好ましくは、前記バスバー露出工程において、前記複数のバスバー形成部位のそれぞれの下面の少なくとも一部を露出させる処理は、前記バスバー形成領域の下面を覆う前記絶縁性樹脂体をレーザー光照射によって除去するように構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るバスバーアッセンブリによれば、同一平面内に並列配置された複数のバスバーの間の間隙の開口幅の自由度を高め且つ製造効率を向上させることができ、さらに、構成部材間の密着性を向上させることができる。
また、本発明に係るバスバーアッセンブリの製造方法によれば、前記バスバーアッセンブリを再現性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は、本発明の一実施の形態に係るバスバーアッセンブリの平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるI(b)-I(b)線に沿った断面図である。
図2図2(a)は、前記バスバーアッセンブリにおける枠体の平面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるII(b)-II(b)線に沿った断面図である。
図3図3は、前記バスバーアッセンブリにLED等の半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの縦断面図である。
図4図4は、前記アッセンブリアッセンブリの一製造方法において用いられるバスバー用導電性金属平板の平面図である。
図5図5(a)は、図4におけるV(a)部拡大図であり、図5(b)は、図5(a)におけるV(b)-V(b)線に沿った断面図である。
図6図6は、前記製造方法において用いられる枠体用導電性金属平板の平面図である。
図7図7(a)は、図6におけるVII(a)部拡大図であり、図7(b)は、図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った断面図である。
図8図8は、前記製造方法における平板接着工程後の前記バスバー用導電性金属平板及び前記枠体用導電性金属平板の平面図である。
図9図9は、図8におけるIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、前記製造方法における絶縁性樹脂体被覆工程後の前記バスバー用導電性金属平板及び前記枠体用導電性金属平板の平面図である。
図11図11は、図10におけるXI-XI線に沿った断面図である。
図12図12(a)及び(b)は、それぞれ、前記製造方法におけるバスバー露出工程の下面露出処理及び上面露出処理の模式縦断面図である。
図13図13は、前記製造方法における切断工程を説明する為の前記バスバー用導電性金属平板及び前記枠体用導電性金属平板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るバスバーアッセンブリの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1(a)に、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1の平面図を示す。
また、図1(b)に、図1(a)におけるI(b)-I(b)線に沿った断面図を示す。
【0016】
図1(a)及び図1(b)に示すように、前記バスバーアッセンブリ1は、導電性平板状部材によって形成された複数のバスバー10であって、対向する側面の間に間隙19が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバー10と、
前記複数のバスバー10の上面に絶縁性接着材20によって接着された枠体30と、
前記複数のバスバー10及び前記枠体30の固着体の外表面を覆う絶縁性樹脂体40とを有している。
【0017】
前記バスバー10は、Cu等の導電性金属によって形成される。
本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1は、前記複数のバスバー10として、第1~第3バスバー10(1)~10(3)の3つのバスバーを有しており、前記間隙19として、第1及び第2間隙19(1)、19(2)を有している。
【0018】
即ち、前記バスバーアッセンブリ1は、前記第1バスバー10(1)と、第1間隙19(1)を介して前記第1バスバー10(1)に隣接配置された第2バスバー10(2)と、第2間隙19(2)を介して前記第2バスバー10(2)に隣接配置された第3バスバー10(3)とを有している。
【0019】
前記バスバー10(1)~10(3)の各々は、図1(b)に示す縦断面視において、前記枠体30が接着される上面と、前記上面とは反対側の下面と、前記間隙19を存しつつ隣接する他のバスバー10(1)~10(3)と対向する側面とを有している。
【0020】
図2(a)に、前記枠体30の平面図を示す。
また、図2(b)に、図2(a)におけるII(b)-II(b)線に沿った断面図を示す。
【0021】
前記枠体30は、導電性を有し、さらに、前記間隙19を存しつつ同一平面上に配置された前記複数のバスバー10(本実施の形態においては、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3))の上面に接着されることで、前記複数のバスバー10の相対位置を保持し得る剛性を有するものとされる。
前記枠体30は、例えば、Cu、ステンレス等の種々の材質によって形成され、好適には、前記バスバー10と同一材質によって形成される。
【0022】
図1(a)及び(b)並びに図2(a)及び(b)に示すように、前記枠体30は、上下に貫通する中央開口35を有し、前記複数のバスバー10及び前記間隙19を含む領域の平面視周縁に沿うように、前記複数のバスバー10の上面に絶縁性接着材20によって接着されている。
【0023】
前記絶縁樹脂体40は、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の耐熱性及び絶縁性を有する絶縁性樹脂材料の被膜によって形成され、好適には、インシュリード(登録商標)を用いて形成される。
【0024】
前記絶縁性樹脂体40には、前記複数のバスバー10の上面及び下面をそれぞれ露出させる上面露出部及び下面露出部が設けられている
【0025】
本実施の形態においては、前記絶縁性樹脂体40には、前記上面露出部として、前記枠体30の前記中央開口35内において、前記複数のバスバー10の上面を露出させる一又は複数の開口が設けられている。
【0026】
具体的には、図1(a)及び(b)に示すように、本実施の形態においては、前記絶縁性樹脂体40には、前記上面露出部として、前記第1バスバー10(1)の上面の所定領域を露出させる第1樹脂体開口40(1)と、前記第2バスバー10(2)の上面の所定領域を露出させる第2樹脂体開口40(2)と、前記第3バスバー10(3)の上面の所定領域を露出させる第3樹脂体開口40(3)とが設けられている。
【0027】
図1(b)に示すように、本実施の形態においては、前記下面露出部は、前記複数のバスバー10の下面全体を露出させるように構成されている。
【0028】
即ち、本実施の形態においては、前記絶縁性樹脂体40は、前記複数のバスバー10の下面全体を露出させた状態で、前記複数のバスバー10及び前記枠体30が固着されてなる前記固着体の外表面を覆うように構成されている。
【0029】
図3に、前記バスバーアッセンブリ1にLED等の半導体素子110が装着されてなる半導体モジュール101の一例の縦断面図を示す。
前記半導体モジュール101は、前記半導体素子110として、第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)を有している。
【0030】
前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の各々は、厚み方向一方側の上面及び厚み方向他方側の下面にそれぞれ上側電極層及び下側電極層111、112を有し、前記上側電極層及び下側電極層111、112の間に素子本体115を有している。
【0031】
前記半導体モジュール101においては、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)が正極側電極及び負極側電極の一方(例えば、正極側電極)である第1電極として作用し、前記第3バスバー10(3)が正極側電極及び負極側電極の他方(例えば、負極側電極)である第2電極として作用する。
【0032】
即ち、前記第1半導体素子110(1)は、前記下側電極層112が、第1電極として作用する前記第1バスバー10(1)の上面のうち前記第1樹脂体開口40(1)によって露出された領域に電気的に接続状態で固着され、且つ、上側電極層111が、第2電極として作用する前記第3バスバー10(3)の上面のうち前記第3樹脂体開口40(3)によって露出された領域にワイヤボンディング等の第1電気接続部材120(1)を介して電気的に接続される。
【0033】
前記第2半導体素子110(2)は、前記下側電極層112が、第1電極として作用する前記第2バスバー10(2)の上面のうち前記第2樹脂体開口40(2)によって露出された領域に電気的に接続状態で固着され、且つ、上側電極層111が、第2電極として作用する前記第3バスバー10(3)の上面のうち前記第3樹脂体開口40(3)によって露出された領域にワイヤボンディング等の第2電気接続部材120(2)を介して電気的に接続される。
【0034】
好ましくは、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の上面にはメッキ層(図示せず)が設けられる。
この場合、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の下側電極層112は、それぞれ、前記第1及び第2バスバー10(1)、10(2)の上面のメッキ層に電気的に接続されるようにダイボンディングされ、且つ、前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)の上側電極層111は、それぞれ、前記第3バスバー10(3)の上面に設けられたメッキ層(図示せず)に前記第1及び第2電気接続部材120(1)、120(2)によってワイヤボンディングされる。
【0035】
なお、図3中の符号130は、前記バスバーアッセンブリ1に装着された前記第1及び第2半導体素子110(1)、110(2)並びに前記第1及び第2電気接続部材120(1)、120(2)等の部品を保護する為に、前記バスバーアッセンブリ1の上面に固着される封止樹脂層である。
【0036】
前記枠体30は、前記封止樹脂層130を設ける際に、前記封止樹脂層130を形成する樹脂材料が硬化前に流れ出ることを防止する。
前記封止樹脂層130は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の透明樹脂材料によって形成される。
【0037】
斯かる構成の前記バスバーアッセンブリ1によれば、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)が同一平面内に配置されているので、上下方向(厚み方向)に関し可及的に小型化を図ることができる。
【0038】
また、前記バスバーアッセンブリ1によれば、隣接するバスバー10は側面において対向するように配置されているので、複数のバスバーが上下に積層されている積層型バスバーアッセンブリに比して、隣接するバスバー同士の対向面積を可及的に小さくすることができ、これにより、隣接するバスバー10間にリーク電流が流れることを有効に防止乃至は低減することができる。
【0039】
さらに、前記バスバーアッセンブリ1は、互いの間に間隙19が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバー10の相対位置の保持が、前記間隙19内に充填された絶縁性樹脂によって行われる構成(以下、比較構成という)に比して、前記間隙19の開口幅の自由度を高めることができ、且つ、製造効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0040】
即ち、前記比較構成においては、バスバーアッセンブリ全体の平面方向の小型化を図る為に前記間隙19の開口幅を狭め過ぎると、絶縁性樹脂材料の表面張力によって前記間隙19内への絶縁性樹脂材料の充填作業が困難になり、場合によっては不可能になり得る。
【0041】
これに対し、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1においては、互いの間に前記間隙19が存する状態で同一平面内に配置された前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の相対位置の保持は、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の上面に接着された前記枠体30と、前記固着体の外表面を覆う前記絶縁性樹脂体40とによって行われている。
【0042】
即ち、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1においては、前記間隙19内に絶縁性樹脂材料を充填させる必要が無く、従って、前記間隙19の開口幅の自由度を高めることができると共に、前記複数のバスバー10の保持強度を高めることができる。
【0043】
さらに、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1においては、前記複数のバスバー10と前記枠体30との接着面が前記絶縁性樹脂体40によって覆われている。
【0044】
従って、前記複数のバスバー10と前記枠体30との間の密着性を向上させ、且つ、密着性を良好に維持することができる。
【0045】
また、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1においては、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の下面の全面が露出されている。
従って、前記バスバーアッセンブリ1を半導体モジュール101として使用した場合において、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の下面を介した放熱特性を向上させることができる。
【0046】
以下、前記バスバーアッセンブリ1の製造方法の一例について説明する。
図4に、前記製造方法において用いられるバスバー用導電性金属平板200の平面図を示す。
また、図5(a)に、図5におけるV(a)部拡大図を、図5(b)に、図5(a)におけるV(b)-V(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0047】
図4及び図5に示すように、前記製造方法は、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)と同一厚みのバスバーアッセンブリ形成領域210を有するバスバー用導電性金属平板200を用意する工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域210に、前記間隙19と同一幅を有し、厚み方向一方側の第1面211及び厚み方向他方側の第2面212の間を貫通するスリット215を形成するスリット形成工程とを有している。
図4及び図5は、前記スリット形成工程完了後の状態を示している。
【0048】
なお、前述の通り、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1は、前記複数のバスバー10として、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の3つのバスバーを有している。その為、前記バスバーアッセンブリ形成領域210には、前記スリット215として、第1及び第2スリット215(1)、215(2)が形成される。
例えば、2つのバスバーが並列配置されてなるバスバーアッセンブリを製造する際には、1つのスリットが形成される。
【0049】
図4及び図5(a)に示すように、本実施の形態においては、前記バスバー用導電性金属平板200は、当該導電性金属平板200が位置するX-Y平面内のY方向に沿って直列配列された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、Y方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有しており、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210に対して加工処理を同時に行えるようになっている。
【0050】
本実施においては、前記バスバー用導電性金属平板200は、前記バスバー列205の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
【0051】
なお、複数の前記バスバー列205をX方向に並列配置させ、X方向に並列配置された複数のバスバー列205を前記一対の把持片207、207によって一体的に保持することも可能である。
かかる変形構成によれば、より多くのバスバーアッセンブリ1を同時に製造することができる。
【0052】
本実施の形態においては、前記バスバーアッセンブリ形成領域210は、Y方向長さが前記バスバーアッセンブリ1の前記間隙19に平行な方向の長さと同一とされ、且つ、前記バスバー形成部位210のX方向長さが前記バスバーアッセンブリ1の前記間隙19とは直交する方向の長さと同一なるように、X方向及びY方向の長さが設定されている。
【0053】
前記スリット215(1)、215(2)は、前記第1及び第2間隙19(1)、19(2)を形成するものであり、対応する前記第1及び第2間隙19(1)、19(2)と同一幅とされる。
なお、前記第1及び第2間隙19(1)、19(2)の幅は、前記バスバーアッセンブリ1の仕様に応じて定まる。
【0054】
図5(a)に示すように、本実施の形態においては、一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aに形成された第1及び第2スリット215(1)、215(2)は、長手方向(Y方向)一方側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aの長手方向(Y方向)一方側に連結された一の連結領域230A(1)内へ延び、且つ、長手方向(Y方向)他方側が当該一のバスバーアッセンブリ形成領域230Aの長手方向(Y方向)他方側に連結された他の連結領域230A(2)内へ延びている。
【0055】
そして、前記スリット形成工程後の状態において、前記一のバスバーアッセンブリ形成領域210Aに形成された第1及び第2スリット215(1)、215(2)を介して隣接する第1~第3バスバー形成部位220(1)~220(3)は、前記一の連結領域230A(1)及び前記他の連結領域230A(2)を介して、互いに対して繋がった状態に維持されるように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記第1及び第2スリット215(1)、215(2)(前記第1及び第2間隙19(1)、19(2))を精度良く形成することができる。
【0056】
前記製造方法は、前記バスバー用導電性金属平板200を用意する工程から前記スリット形成工程までの処理に並行して、若しくは、前記処理の前又は後に、前記枠体30を形成する処理を行うように構成されている。
【0057】
図6に、前記枠体形成処理において用いられる枠体用導電性金属平板300の平面図を示す。
また、図7(a)に、図6におけるVII(a)部拡大図を、図7(b)に、図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0058】
前記枠体形成処理は、前記枠体30の厚みと同一厚みを有し且つ平面視において前記バスバーアッセンブリ形成領域210に対応した外形状を有する枠体形成領域310を含む枠体用導電性金属平板300を用意する工程と、前記枠体30に相当する枠体形成部位320が残るように前記枠体形成領域310の中央を打ち抜く打ち抜き工程とを備えている。
図7は、前記打ち抜き工程後の状態を示している。
【0059】
前記枠体用導電性金属平板300は、剛性を有する種々の材料によって形成される。
好ましくは、前記枠体用導電性金属平板300は、前記バスバー用導電性金属平板200と同一材料によって形成される。
【0060】
前記枠体用導電性金属平板300は、前記バスバー用導電性金属平板200に重合させた際に、前記枠体形成領域310が前記バスバーアッセンブリ形成領域210に位置合わせされるように構成されている。
【0061】
詳しくは、前述の通り、前記バスバー用導電性金属平板200は、Y方向に沿って直列配列された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、Y方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有している。
【0062】
従って、前記枠体用導電性金属平板300は、図6に示すように、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210と同一ピッチでY方向に直列配置された複数の前記枠体形成領域310と、Y方向に隣接する枠体形成領域310の間を連結する連結領域330とを含む枠体列305を有している。
【0063】
なお、前述の通り、前記バスバー用導電性金属平板200は、前記バスバー列205の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
【0064】
これに応じて、図6に示すように、前記枠体用導電性金属平板300にも、前記枠体列305の長手方向(Y方向)一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片307が設けられ、前記一対の把持片307には前記位置合わせ孔208に対応した位置合わせ孔308が設けられている。
【0065】
前記製造方法は、前記バスバー用導電性金属平板200及び前記枠体用導電性金属平板300を重合させて、前記枠体形成領域310を対応する前記バスバーアッセンブリ形成領域210の第1面211に絶縁性接着材によって接着させる平板接着工程を有している。
【0066】
図8に、前記平板接着工程後の状態の前記バスバー用導電性金属平板200及び前記枠体用導電性金属平板300の平面図を示す。
また、図9に、図8におけるIX-IX線に沿った断面図を示す。
【0067】
前記製造方法は、前記平板接着工程後に、電着塗装によって、前記バスバーアッセンブリ形成領域210及び前記枠体形成領域310が絶縁性接着材によって固着されてなる固着体の外表面を前記絶縁性樹脂体40によって一体的に覆う絶縁性樹脂体被覆工程を有している。
【0068】
図10に、前記絶縁性樹脂体被覆工程後の状態の前記バスバー用導電性金属平板200及び前記枠体用導電性金属平板300の平面図を示す。
また、図11に、図10におけるXI-XI線に沿った断面図を示す。
【0069】
電着塗装によって前記固着体の外表面に前記絶縁性樹脂体40を設けることにより、前記バスバーアッセンブリ形成領域210と前記枠体形成領域310との間に隙間が生じることを有効に防止乃至は低減できる。
【0070】
前記製造方法は、さらに、前記複数のバスバー形成部位220のそれぞれの上面のうち前記枠体形成部位320によって囲まれた部分の少なくとも一部を露出させる上面露出処理、及び、前記複数のバスバー形成部位220のそれぞれの下面の少なくとも一部を露出させる下面露出処理を含むバスバー露出工程を有している。
【0071】
本実施の形態においては、前記バスバー露出工程は、露出させるべき部位にレーザー光を照射するように構成されている。
【0072】
図12(a)及び(b)に、それぞれ、前記下面露出処理及び前記上面露出処理の模式縦断面図を示す。
なお、図12(a)及び(b)中の符号Lがレーザー光である。
【0073】
前述の通り、前記バスバーアッセンブリ1の前記下面露出部は、前記第1~第3バスバー10(1)~10(3)の下面全体を露出させるように構成されている。
従って、本実施の形態においては、図12(a)に示すように、前記下面露出処理は、前記第1~第3バスバー形成部位220(1)~220(3)の下面全体を露出させるように構成されている。
【0074】
また、前記バスバーアッセンブリ1の前記上面露出部は、前記第1~第3樹脂体開口40(1)~40(3)を有している。
従って、本実施の形態においては、図12(b)に示すように、前記上面露出処理は、前記絶縁性樹脂体40に、前記第1~第3樹脂体開口40(1)~40(3)を形成するように構成されている。
【0075】
前記製造方法は、さらに、前記バスバーアッセンブリ形成領域210及び前記枠体形成領域310を前記バスバー用導電性金属平板200及び前記枠体用導電性金属平板300から切断する切断工程を有している。
【0076】
前記切断工程は、図13に示すように、前記バスバーアッセンブリ形成領域210及び前記枠体形成領域のY方向一方側及び他方側のエッジにそれぞれ沿った切断線C1、C2で切断するように構成される。
【0077】
なお、本実施の形態においては、前記切断工程は、前記バスバー露出工程の後に行われているが、これに代えて、前記切断工程を、前記絶縁性樹脂体被覆工程の後で且つ前記バスバー露出工程の前に行なうことも可能である。
この場合、前記バスバー露出工程は、前記切断工程の後に実行される。
【符号の説明】
【0078】
1 バスバーアッセンブリ
10(1)~10(3) 第1~第3バスバー
19 間隙
20 絶縁性接着材
30 枠体
40 絶縁性樹脂体
40(1)~40(3) 第1~第3樹脂体開口
200 バスバー用導電性金属平板
210 バスバーアッセンブリ形成領域
215(1)、215(2) 第1及び第2スリット
220(1)~220(3) 第1~第3バスバー形成部位
300 枠体用導電性金属平板
310 枠体形成領域
L レーザー光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13