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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172927
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ルイボス茶組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20210101AFI20241205BHJP
   A23F 3/34 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A23L2/38 C
A23F3/34
A23L2/38 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090994
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000246398
【氏名又は名称】有機合成薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】日下部 加奈
(72)【発明者】
【氏名】平久江 勝彦
【テーマコード(参考)】
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B027FB15
4B027FE09
4B027FK05
4B117LC03
4B117LE09
4B117LG18
4B117LK14
4B117LP01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、飲みやすいルイボス茶を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明のグリシン及び液体のルイボス茶を含む、ルイボス茶組成物、又はグリシン及びルイボス茶葉を含む、ルイボス茶葉組成物によって解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリシン及び液体のルイボス茶を含む、ルイボス茶組成物。
【請求項2】
グリシン及びルイボス茶葉を含む、ルイボス茶葉組成物。
【請求項3】
請求項2に記載のルイボス茶葉組成物を含むティーバッグ。
【請求項4】
ルイボス茶葉又は液体のルイボス茶にグリシンを混合する工程を含む、ルイボス茶の風味改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルイボス茶組成物に関する。本発明によれば、ルイボス茶の風味を改善することができる。
【背景技術】
【0002】
ルイボス(Aspalathus linearis)を乾燥させた葉は、ルイボス茶として利用される。ルイボス茶(ルイボスティー)は、健康茶の一種である。近年は日本でもコンビニエンスストアなどでペットボトルやパック入り飲料として売られ、一般化してきている。
【0003】
ルイボスは、フラボノイドを含めた多数のフェノール系化合物を含んでおり、抗酸化作用があるとされている。特に、ルイボスティー熱水抽出物は、高脂肪含有食品に対する抗酸化物質として利用可能である。更に、ルイボスティーが食後高血糖を改善し、食後の血糖値の急激な上昇を抑えること、更に血中の尿酸濃度を低下させ、高尿酸血症、痛風の予防ないし治療に有効であることが報告されている。また、ノンカフェインの健康茶であり、リラックス効果、美肌効果、抗アレルギー対策にも効果が期待されている。また、ルイボスの茶葉のティーバッグも開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録3137381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ルイボスティーは独特の風味を有しており、例えばクセのある木の皮のような風味を有し、飲みにくく感じることもあり、更に独特な後味を呈した。
従って、本発明の目的は、飲みやすいルイボス茶を提供することである。
本発明は、その様な飲料の飲みにくさを解消し、爽やかな清涼感、味のキレが向上した飲料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、飲みやすいルイボス茶について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、ルイボス茶にグリシンを添加することによって、無糖でありながら甘みが付加され、ルイボスティーの風味が改善することを見出した。一部のクセをマスクし、その風味、味をマイルドにし、すっきりして飲みやすい飲料にすることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]グリシン及び液体のルイボス茶を含む、ルイボス茶組成物、
[2]グリシン及びルイボス茶葉を含む、ルイボス茶葉組成物、
[3][2]に記載のルイボス茶葉組成物を含むティーバッグ、及び
[4]ルイボス茶葉又は液体のルイボス茶にグリシンを混合する工程を含む、ルイボス茶の風味改善方法、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のルイボス茶組成物によれば、無糖でありながらでも甘味を付加することができ、ルイボス茶の風味を改善することができ、飲みやすいルイボスティー飲料を提供することができる。具体的には、例えば爽やかな清涼感を示し、味のキレを向上させることができる。また、ノンシュガーでありながら、甘味風味を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]ルイボス茶組成物及びルイボス茶葉組成物
本発明のルイボス茶組成物は、グリシン及び液体のルイボス茶を含む。本発明のルイボス茶葉組成物は、グリシン及びルイボス茶葉を含む。グリシンを含むことにより、腐敗しやすいルイボスティーの保存性を向上させることができる。また、低カロリーで甘みが感じられるルイボスティーを提供することができる。更にグリシンルイボスティーを夜飲むことによって、口腔衛生を改善し、更に睡眠を改善することができる。本発明のルイボス茶組成物は、身体の凝り改善、いらいら感抑制、顔の乾燥和らげる、顔の肌荒れ防止、飲酒翌朝の調子改善、及び夜中の目覚めの回数(トイレの回数)の低減などに優れた効果を示す。
【0009】
《ルイボス茶》
ルイボスはマメ亜科のアスパラトゥス属の一種である。葉を乾燥させることによって、ルイボス茶として飲用されている。ルイボス茶は、ほのかに甘みがあり、カフェインを含まないのが特徴である。
また、ルイボス茶は、フラボノール、フラボン、ジヒドロカルコン、ビテキシンなどのフェノール系化合物を含んでおり、抗酸化作用があることが報告されている。また、ルイボス茶は、食後高血糖を改善し、食後の血糖値の急激な上昇を抑えること、更に血中の尿酸濃度を低下させ、高尿酸血症、痛風の予防ないし治療に有効であることが報告されている。
【0010】
《グリシン》
本発明に用いるグリシンは下記式[2]:
【化1】
で表される化合物である。本発明の組成物に含まれるグリシンとしては、グリシンを比較的多く含む食品又は天然物からの抽出物、濃縮物、又は精製物等を用いることができる。また、合成されたグリシンを用いてもよい。グリシンの合成方法としては、ホルムアルデヒドとシアン化水素とアンモニアからアミノアセトニトリル(グリシノニトリル)を合成し、これを水酸化ナトリウム等で加水分解してグリシンの金属塩を製造した後、硫酸等の酸で中和するストレッカー法が挙げられる、更に、ホルムアルデヒドとシアン化水素からグリコロニトリルを合成し、これとアンモニアと二酸化炭素とを水の存在下にて反応させることによりヒダントインを製造した後、加水分解により製造するヒダントイン法が挙げられる。
【0011】
本発明に用いるルイボス茶葉は、限定されるものではないが、不発酵茶(乾燥生茶)、半発酵茶、発酵茶を含む。茶葉としては、抽出して飲用可能な部位であれば何ら制限されず、葉、又は茎などを適宜使用することができる。また、その形態も大葉、粉状など制限されない。国内で流通している茶葉の90%以上は発酵茶であるので、発酵茶についてその製法は、一般に、茶葉の収穫→裁断→発酵→乾燥→ふるい→包装の手順で製造される。
【0012】
本発明のルイボス茶葉組成物におけるルイボス茶葉及びグリシンの比率は、本発明効果が得られる限りにおいて特に限定されるものではないが、ルイボス茶葉100重量部に対して、グリシンの添加量は、上限が500重量部以下であり、好ましくは350重量部以下であり、更に好ましくは250重量部以下であり、最も好ましくは150重量部以下である。下限は、5重量部以上であり、最も好ましくは50重量部以上である。前記、上限と下限とは、適宜組み合わせて、ルイボス茶葉に対するグリシンの比率とすることができる。また、前記範囲であることにより、ルイボス茶の風味を改善することができる。
【0013】
(ティーバッグ)
本発明のティーバッグは、前記ルイボス茶葉組成物を含む。本発明のルイボス茶葉組成物を含むことを除いては、通常のティーバックの製造方法によって、製造することができる。
ティーバッグの素材としては、布製の素材、又は紙製の素材を上げることができる。例えば、不織布であり、ポリエチレンテレフタレート繊維(以後、PET繊維と略記する。)からなるサーマルボンド又はスパンボンド不織布を1層又は2層重合せしめた素材が挙げられる。また、湿潤強度の高い紙、例えば市販されているデキスタJ(商標名)を用いることができる。
【0014】
ティーバッグに含まれるルイボス茶葉組成物の量は、特に限定されるものではないが、上限は10g以下であり、好ましくは5g以下であり、更に好ましくは4g以下であり、最も好ましくは3g以下である。下限は、0.5g以上であり、好ましくは1g以上であり、更に好ましくは1.5g以上であり、最も好ましくは2g以上である。前記、上限と下限とは、適宜組み合わせて、1つのティーバッグに含まれるルイボス茶葉組成物の量とすることができる。
特に、ティーバッグによる形態はお湯を注ぐだけで飲用でき手軽であるため、好ましい。
【0015】
本発明のルイボス茶組成物は、液体のルイボス茶及びグリシンを含むものである。液体のルイボス茶は、前記ルイボス茶葉の抽出物を含有する。本明細書においてルイボス茶葉抽出物とは、茶葉から抽出溶媒を用いて抽出されたものをいう。ルイボス茶の抽出方法は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、抽出溶媒としては、水、エタノール、メタノール、又はアセトンが挙げられる。水を抽出溶媒としても用いる場合、熱水抽出、又は水抽出が挙げられる。従って、水の温度としては、上限が100℃以下であり、ある態様では80℃以下であり、ある態様では60℃以下である。温度の下限は、5℃以上であり、ある態様では10℃以上であり、ある態様では20℃以上である。前記上限と下限とは、適宜組み合わせて、抽出溶媒の温度範囲とすることができる。
【0016】
本発明のルイボス茶組成物は、ルイボス茶の成分であるポリフェノール(アスパラチン、タンニンなど)を含む。本発明のルイボス茶組成物におけるポリフェノールの含有量は、限定されるものではないが、140~400mg/mLである。
【0017】
本発明のルイボス茶組成物における、液体のルイボス茶及びグリシンの比率は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、グリシンの添加量は、上限が70mg/mL以下であり、好ましくは50mg/mL以下であり、更に好ましくは30mg/mL以下であり、最も好ましくは20mg/mL以下である。下限は、1mg/mL以上であり、好ましくは3mg/mL以上であり、更に好ましくは6mg/mL以上であり、最も好ましくは10mg/mL以上である。前記、上限と下限とは、適宜組み合わせて、ルイボス茶(液体)に対するグリシンの比率とすることができる。また、前記範囲であることにより、ルイボス茶の風味を改善することができる。
【0018】
ルイボス茶の風味は、前記の通り、木の皮のような風味を呈することがあるが、グリシンを添加することにより、爽やかな清涼感を示し、味のキレを向上させることができる。
【0019】
[2]ルイボス茶の風味改善方法
本発明のルイボス茶の風味改善方法は、ルイボス茶葉又は液体のルイボス茶にグリシンを混合する工程を含む。
ルイボス茶の風味改善方法において、「ルイボス茶葉」、「液体のルイボス茶」、及び「グリシン」は、前記「[1]ルイボス茶組成物及びルイボス茶葉組成物」に記載のものを限定することなく用いることができる。
【0020】
グリシン混合工程において、ルイボス茶葉に混合するグリシンの量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、ルイボス茶葉100重量部に対して、グリシンの混合量は、上限が500重量部以下であり、好ましくは350重量部以下であり、更に好ましくは250重量部以下であり、最も好ましくは150重量部以下である。下限は、5重量部以上であり、最も好ましくは50重量部以上である。
【0021】
グリシン混合工程において、液体のルイボス茶に混合するグリシンの量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、グリシンの添加量は、上限が70mg/mL以下であり、好ましくは50mg/mL以下であり、更に好ましくは30mg/mL以下であり、最も好ましくは20mg/mL以下である。下限は、1mg/mL以上であり、好ましくは3mg/mL以上であり、更に好ましくは6mg/mL以上であり、最も好ましくは10mg/mL以上である。
【実施例0022】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
《実施例1》
ルイボスティー茶葉(南アフリカ産)2gとグリシン(有機合成薬品工業(株))無添加、0.1g、0.5g、1g、2g、3g添加を市販のティーバックに入れたものを用意する。各々のティーバックをカップにいれ、そこに湯(100℃)を150mL注ぎ、2分ほど抽出したあとティーバックを取り出す。
グリシン無添加のルイボスティーを基準に、得られた各々のルイボスティーの官能評価を行った。
表1に、パネル12人で無添加との比較で官能評価を行ったとき、ルイボスティーの特有の臭い低減及び、甘味を感じた、飲みやすくなった、後味が改善したなどのスコアの平均値を示した。
《特有の臭い低減》
スコア1:ルイボスティー特有の臭いが強く増強されている
スコア2:ルイボスティー特有の臭いが増強されている
スコア3:ルイボスティー特有の臭いに変化はない
スコア4:ルイボスティー特有の臭いが低減されている
スコア5:ルイボスティー特有の臭いが強く低減されている
《甘みの評価》
スコア1:甘みを感じない
スコア2:甘みが弱い
スコア3:甘みが強い
スコア4:甘みがとても強い
《飲みやすさの評価》
スコア1:飲みにくい
スコア2:やや飲みにくい
スコア3:飲みやすい
スコア4:とても飲みやすい
《後味の改善》
スコア1:後味が悪い
スコア2:後味がやや悪い
スコア3:後味が良い
スコア4:後味がとても良い
【表1】
【0024】
結果は、上記の通りでありグリシンとの組み合わせで、0.1g以上添加した試料で特有の臭いが低減することが明らかとなった。また、1g以上添加して試料において、甘みを感じることを確認した。飲みやすさにおいては、0.1g以上で飲みやすくなったとの評価を得た。後味に関しては、0.1g以上で改善したとの評価を得た。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のルイボス茶組成物は、健康飲料として用いることができる。