(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172935
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241205BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241205BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J2/01 207
B41J2/01 401
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091010
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】浅井 優太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB40
2C056EC26
2C056FA10
2C061AP01
2C061AQ05
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ41
2C061HV02
2C061HV33
(57)【要約】
【課題】液体吐出装置を、ノズルにおいて液体の吐出に異常があるか否かを検査するための吐出検査部に異常があるときに、ユーザが吐出検査部の交換を行いやすいユーザインターフェースを有するものとする。
【解決手段】ノズルの以上を検査するための吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときに、故障報知画面100を操作パネルに表示させる。故障報知画面100のメッセージ部101には、吐出検査部の交換を促すメッセージなどが表示される。メッセージ部101は選択可能であり、メッセージ部101が選択されたときに、吐出検査部が停止したことによる影響を報知するための機能停止報知画面110を操作パネルに表示させる。故障報知画面100の交換選択部102が選択されたときに、交換用の吐出検査部を所持しているか否かを確認するための所持確認画面120を操作パネルに表示させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有し、前記複数のノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記複数のノズルの各々について、液体の吐出に異常があるか否かに応じた信号を出力する吐出検査部と、
報知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したか否かを示す故障情報を取得し、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記報知部に前記吐出検査部の交換を促す報知を行わせることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記報知部は表示部であり、
前記報知は、前記表示部に前記吐出検査部の交換を促す第1オブジェクト表示させることであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記吐出検査部を停止させたことを示す第2オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得したことに応じて、前記第1オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後、前記ヘッドに前記複数のノズルからの液体の吐出を開始させる前に、前記第1オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記ヘッドに前記複数のノズルから液体を吐出させている最中に前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得したときには、前記ヘッドに前記複数のノズルからの液体の吐出を停止させ、前記第1オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ヘッドに前記複数のノズルから液体を吐出させている最中に前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得したときには、前記ヘッドによる前記複数のノズルからの液体の吐出が完了した後に、前記第1オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1オブジェクトを前記表示部にポップアップ表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記制御部は、
メッセージが表示されるメッセージバーを含む画面を前記表示部に表示させ、
前記第1オブジェクトを前記メッセージバーに表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、
待機画面を前記表示部に表示させ、
前記第1オブジェクトを前記待機画面に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記吐出検査部が故障したことにより低下した前記液体吐出装置の機能を示す第3オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
ユーザにより操作が行われる操作部、を備え、
前記制御部は、
前記第1オブジェクトを、前記操作部の操作によって選択できるように前記表示部に表示させ、
前記操作部において前記第1オブジェクトを選択する操作が行われたときに、前記第3オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
ユーザにより操作が行われる操作部、を備え、
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記操作部の操作によって前記吐出検査部を交換することを選択する第4オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記操作部において前記第4オブジェクトに基づいて前記吐出検査部を交換することを選択する操作が行われたときに、前記操作部の操作によって交換用の前記吐出検査部を所持しているか否か選択する第5オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記操作部において前記第5オブジェクトに基づいて交換用の前記吐出検査部を所持していないことを選択する操作が行われたときに、交換用の前記吐出検査部の購入を促す第6オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記操作部において前記第4オブジェクトに基づいて前記吐出検査部を交換することを選択する操作が行われたときに、前記吐出検査部の交換手順を示す第7オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記操作部において前記第4オブジェクトに基づいて前記吐出検査部を交換することを選択する操作が行われたときに、前記吐出検査部の交換手順が記載されたウェブサイトへの接続を促す第8オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記操作部において前記第4オブジェクトに基づいて前記吐出検査部を交換することを選択する操作が行われたときに、前記液体吐出装置の電源をオフにした状態で前記吐出検査部を交換することを促す第9オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記吐出検査部が正常に交換されたときに、前記吐出検査部の交換が正常に行われたことを示す第10オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項20】
前記制御部は、
前記吐出検査部が正常に交換されたときに、交換によって取り外された前記吐出検査部の処理の方法を示す第11オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項21】
前記制御部は、
前記吐出検査部が正常に交換されなかったときに、前記吐出検査部の交換が正常に行われなかったことを報知するとともに、前記吐出検査部をセットし直すことを促す第12オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項22】
前記第4オブジェクトは、
ユーザ自身が前記吐出検査部を交換することを選択するための第1部分と、
サービスマンに前記吐出検査部の交換を依頼することを選択するための第2部分と、
前記液体吐出装置の修理を依頼することを選択するための第3部分と、を有することを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項23】
複数のノズルを有し、前記複数のノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記複数のノズルの各々について、液体の吐出に異常があるか否かに応じた信号を出力する吐出検査部と、
報知部を有する外部装置との通信を行うための通信部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記吐出検査部が故障したか否かを示す故障情報を取得し、
前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記外部装置に前記吐出検査部の交換を促す報知を行わせるための信号を、前記通信部を介して前記外部装置に送信することを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置の一例として、特許文献1にはノズルからインクを吐出して記録を行うインクジェット式記録装置が記載されている。特許文献1に記載の記録装置は、ノズルからインクが吐出されたか否かを検知するための液体噴射ヘッド検査装置と、液体噴射ヘッド検査装置の故障の有無を判断するための判断部とを備えている。そして、特許文献1に記載の記録装置では、判断部により液体噴射ヘッド検査装置が故障したと判断されたときにエラーを報告する。また、特許文献1には、判断部により液体噴射ヘッド検査装置が故障したと判断されたときに、記録装置、液体噴射ヘッド検査装置等の点検、または、液体噴射ヘッド検査装置の交換などを行えばよい旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、特許文献1には、判断部により液体噴射ヘッド検査装置が故障したと判断されたときにエラーを報告すること、および、エラーが報告されたときに、記録装置、液体噴射ヘッド検査装置等の点検、または、液体噴射ヘッド検査装置の交換などを行えばよい旨が記載されている。しかしながら、特許文献1では、判断部により液体噴射ヘッド検査装置が故障したと判断されたときにエラーが報告されるだけである。そのため、ユーザは、上記エラーが報告されたときに何を行えばよいかを把握できない。また、液体噴射ヘッド検査装置の交換をどのように行えばよいか分からない。
【0005】
本発明の目的は、ノズルにおいて液体の吐出に異常があるか否かを検査するための吐出検査部に異常があるときに、ユーザが吐出検査部の交換を行いやすいユーザインターフェースを有する液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、複数のノズルを有し、前記複数のノズルから液体を吐出するヘッドと、前記複数のノズルの各々について、液体の吐出に異常があるか否かに応じた信号を出力する吐出検査部と、報知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐出検査部が故障したか否かを示す故障情報を取得し、前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記報知部に前記吐出検査部の交換を促す報知を行わせる。
【0007】
また、本発明の液体吐出装置は、複数のノズルを有し、前記複数のノズルから液体を吐出するヘッドと、前記複数のノズルの各々について、液体の吐出に異常があるか否かに応じた信号を出力する吐出検査部と、報知部を有する外部装置との通信を行うための通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐出検査部が故障したか否かを示す故障情報を取得し、前記吐出検査部が故障したことを示す前記故障情報を取得した後に、前記外部装置に前記吐出検査部の交換を促す報知を行わせるための信号を、前記通信部を介して前記外部装置に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得した後に、吐出検査部の交換を促す報知を行わせる。これにより、ユーザは、上記報知に基づいて、吐出検査部を交換する必要があることを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態のプリンタの概略構成図である。
【
図2】キャップ内に配置された電極およびこの電極に電圧を印加するための構成を説明するための図である。
【
図3】(a)はノズルが正常である場合に信号処理回路から出力される信号を説明するための図であり、(b)はノズルに吐出量異常がある場合に信号処理回路から出力される信号を説明するための図である。
【
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】吐出情報を取得したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図5のフローチャートにおいて吐出検査部を交換することが選択されたときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】(a)は故障報知画面を説明するための図であり、(b)は機能低下報知画面を説明するための図であり、(c)は所持確認画面を説明するための図である。
【
図8】(a)は交換手順画面を説明するための図であり、(b)は交換完了画面を説明するための図であり、(c)は交換異常画面を説明するための図である。
【
図9】(a)は購入選択画面を説明するための図であり、(b)は購入方法画面を説明するための図である。
【
図10】(a)は待機画面のメッセージ部に吐出検査部が故障したことを示すメッセージを表示させる例を説明するための図であり、(b)は待機画面のメッセージバーに吐出検査部が故障したことを示すメッセージを表示させる例を説明するための図である。
【
図11】吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得した後、記録指示を受信したときに、故障報知画面などを表示させる例における、吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図11のフローチャートにおいて吐出検査部を交換することが選択されたときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】(a)は吐出検査部の交換手順が表示されたウェブサイトへの接続を促す交換手順画面を説明するための図である。(b)はプリンタの取扱説明書を参照して吐出検査部の交換手順を把握することを促す交換手順画面を説明するための図である。
【
図14】記録の最中に吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときに記録を停止させて故障を報知する例における、吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】記録の最中に吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときに記録が完了した後に故障を報知する例における、吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】(a)ユーザに吐出検査部の交換方法を選択させる例における、吐出検査部が故障したことを示す故障情報を取得したときの処理の流れを示すフローチャートであり、(b)はこの例における故障報知画面を説明するための図である。
【
図17】(a)は
図16のフローチャートにおいて第2選択部が選択されたときの処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は交換依頼画面を説明するための図である。
【
図18】(a)は
図16のフローチャートにおいて第3選択部が選択されたときの処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は修理依頼画面を説明するための図である。
【
図19】各画面を外部装置の表示部に表示させる例における、プリンタおよび外部装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0011】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、インクジェットヘッド4、プラテン5、搬送ローラ6,7、メンテナンスユニット8などを備えている。なお、本実施形態では、インクジェットヘッド4が、本発明の「ヘッド」に相当する。
【0012】
キャリッジ2は、水平な走査方向に延びた2本のガイドレール11,12に支持されている。なお、以下では、
図1に示すように、走査方向の右側および左側を定義して説明を行う。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介して、
図4に示すキャリッジモータ86に接続されている。キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。
【0013】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ2に搭載されている。インクジェットヘッド4は、その下面であるノズル面4aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成しており、ノズル面4aにおいて、4列のノズル列9が走査方向に並んでいる。複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列9を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。ここで、インクジェットヘッド4には、図示しないチューブなどを介して図示しない4つのインクカートリッジに接続されており、これら4つのインクカートリッジから上記4色のインクが供給される。
【0014】
プラテン5は、インクジェットヘッド4の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に記録用紙Sの全長にわたって延び、記録用紙Sを下方から支持する。搬送ローラ6は、インクジェットヘッド4およびプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ7は、インクジェットヘッド4およびプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ6,7は、図示しないギヤなどを介して
図4に示す搬送モータ87に接続されている。搬送モータ87を駆動させると、搬送ローラ6,7が回転し、記録用紙Sが搬送方向に搬送される。
【0015】
メンテナンスユニット8は、キャップ71と、吸引ポンプ72と、廃液タンク73とを備えている。キャップ71は、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。そして、キャリッジ2を、プラテン5よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ71と対向する。
【0016】
また、キャップ71は、
図4に示すキャップ昇降機構88に接続されている。キャップ昇降機構88を駆動させると、キャップ71が昇降する。キャリッジ2を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ71とを対向させた状態で、キャップ昇降機構88によりキャップ71を上昇させると、キャップ71の上端部がノズル面4aに密着し、複数のノズル10がキャップ71に覆われるキャップ状態となる。キャップ71を降下させた状態では、複数のノズル10がキャップ71に覆われない。なお、キャップ71はノズル面4aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ71は、例えば、インクジェットヘッド4のノズル面4aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0017】
吸引ポンプ72はチューブポンプなどであり、キャップ71および廃液タンク73と接続されている。そして、メンテナンスユニット8では、上記キャップ状態で吸引ポンプ72を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる、いわゆる吸引パージを行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは廃液タンク73に貯留される。
【0018】
なお、ここでは、便宜上、キャップ71が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ71が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインクを吐出する左側3列のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に備えており、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド4内のブラックインクおよびカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。ここで、カラーインクとは、イエロー、シアン、マゼンタインクのことである。あるいは、例えば、キャップ71が、ノズル列9毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列9毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0019】
また、
図2に示すように、メンテナンスユニット8には、吐出検査部20が設けられている。吐出検査部20は、電極76と、高電圧電源回路77と、信号処理回路78と、抵抗79とを有する。電極76は矩形の平面形状を有し、キャップ71内に配置されている。電極76は、抵抗79を介して高電圧電源回路77に接続されている。そして、高電圧電源回路77は、電極76に例えば600V程度の所定電圧を印加する。一方で、インクジェットヘッド4は、グランド電位に保持されている。これにより、インクジェットヘッド4と電極76との間に電位差が生じる。信号処理回路78は電極76と接続されている。信号処理回路78は、微分回路などを含み、電極76の電圧に応じた信号を出力する。ただし、信号処理回路78から出力される信号は、電流の信号であってもよい。
【0020】
上記キャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77により電極76に所定電圧を印加させ、かつ、後述する検査用駆動を行わせていない状態では、信号処理回路78から出力される信号の電圧は、
図3(a)、(b)に示す電圧V0となる。
【0021】
また、本実施形態では、上記キャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77により電極76に電圧を印加させた状態で、インクジェットヘッド4に、ノズル10から電極76に向けてインクを吐出させるための吐出駆動を行わせることができる。
【0022】
吐出駆動によってノズル10からインクが吐出された場合、電極76とインクジェットヘッド4との電位差により、吐出されたインクは帯電している。そのため、帯電したインクが電極76に近づき、電極76にインクが着弾するまで、電極76の電位が変化する。そして、帯電したインクが電極76に着弾した後、電極76の電位が減衰しながらインクの吐出前の電位に戻る。
【0023】
これにより、吐出駆動によってノズル10からインクが正常に吐出された場合には、信号処理回路78から出力される信号は、
図3(a)に示すように、電圧V0から、電圧V0よりも高い電圧V1以上の電圧まで上昇し、その後、電圧V0よりも低い電圧V2以下の電圧まで低下し、その後、減衰しながら上昇と低下とを繰り返して電圧V0に戻る。
【0024】
一方、ノズル10に異常があり、吐出駆動によってノズル10から吐出されるインク量が正常時よりも少ない場合には、
図3(b)に示すように、ノズル10から正常にインクが吐出されたときよりも信号処理回路78から出力される信号の変化が小さい。ここで、ノズル10から正常にインクが吐出されたときよりもインクの吐出量が少ないことは、インクが吐出されないことも含む。吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されない場合には信号処理回路78から出力される信号は電圧V0からほとんど変化しない。
【0025】
このように、本実施形態では、吐出駆動を行わせたときにノズル10から正常にインクが吐出されたか否かによって、信号処理回路78から出力される信号が異なる。すなわち、信号処理回路78から出力される信号は、ノズル10においてインクの吐出に異常があるか否かに応じた信号である。そして、本実施形態では、このことを利用して、ノズル10が、インクの吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを判定することができる。
【0026】
ここで、本実施形態では、電極76に所定電圧を印加し、インクジェットヘッド4をグランド電位に保持し、信号処理回路78が電極76の電圧に応じた信号を出力するように構成したが、これには限られない。電極76をグランド電位に保持し、インクジェットヘッド4に所定電圧を印加することによって、電極76とインクジェットヘッド4との間に電位差を生じさせ、信号処理回路78が、インクジェットヘッド4に接続され、インクジェットヘッド4の電圧に応じた信号を出力するように構成してもよい。
【0027】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。
図4に示すように、プリンタ1は、制御部80を備えている。制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、フラッシュメモリ84、ASIC85などからなる。なお、CPUはCentral Processing Unitの略語である。ROMはRead Only Memoryの略語である。RAMはRandom Access Memoryの略語である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略語である。制御部80は、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド4、搬送モータ87、キャップ昇降機構88、吸引ポンプ72、高電圧電源回路77、信号処理回路78などを制御する。
【0028】
また、プリンタ1は、以上に説明した構成のほかに、操作パネル69を備えている。操作パネル69は、例えば、プリンタ1の筐体に設けられたタッチパネルである。制御部80の制御により、操作パネル69には、操作画面、メッセージ等が表示される。また、ユーザが操作画面等に基づいて操作パネル69を操作すると、制御部80にユーザの操作に応じた信号が送信される。なお、本実施形態では、操作パネル69が本発明の「報知部」、「表示部」および「操作部」に相当する。
【0029】
なお、制御部80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0030】
<記録時の制御>
プリンタ1においては、制御部80が、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド4を制御して複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送モータ87を制御して搬送ローラ6,7に記録用紙Sを搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Sへの記録を行わせる。
【0031】
<吐出検査>
また、プリンタ1においては、制御部80が、キャリッジモータ86,キャップ昇降機構88などを制御して上記キャップ状態とし、高電圧電源回路77により電極76に電圧を印加させたうえで、インクジェットヘッド4に複数のノズル10の各々について電極76に向けてインクを吐出させるための吐出駆動を行わせる。そして、制御部80は、各ノズル10についての吐出駆動が行われたときに信号処理回路78から出力される信号に基づいて、当該ノズル10においてインクの吐出に異常があるか否かを示す異常情報をフラッシュメモリ84に記憶させる。
【0032】
<クリーニング>
また、プリンタ1においては、フラッシュメモリ84に記憶された異常情報に基づいて、異常のあるノズル10を回復させるためのクリーニングを行わせる。クリーニングとは、上述のパージ、インクジェットヘッド4を駆動させてノズル10からインクを排出させるフラッシングなどである。
【0033】
<吐出検査部の故障の判断>
また、プリンタ1では、制御部80は、吐出検査部20が故障しているか否かを示す故障情報を取得する。例えば、故障情報は、上記の異常情報である。この場合、異常情報が所定の条件を満たしているか否かが、吐出検査部20が故障しているか否かを示している。
【0034】
あるいは、例えば、プリンタ1が、所定のノズルチェックパターンを記録させ、ノズルチェックパターンの記録結果を入力させることができるように構成されている。そして、故障情報は、上記の異常情報と、ノズルチェックパターンの記録結果の情報とを合わせたものである。この場合、異常情報がインクの吐出に異常があることを示すノズル10と、ノズルチェックパターンの記録結果の情報がインクの吐出に異常があることを示すノズル10とに大きな違いがあるか否かが、吐出検査部20が故障しているか否かを示している。なお、この場合、例えば、プリンタ1がスキャナを有し、制御部80は、スキャナによりノズルチェックパターンを読み取った結果に基づいて、ノズルチェックパターンの記録結果の情報を取得する。あるいは、例えば、ノズルチェックパターンの記録結果に基づいてユーザに操作パネル69を操作させ、制御部80はこの操作によって操作パネル69から送信された信号に基づいて、ノズルチェックパターンの記録結果の情報を取得する。
【0035】
<吐出検査部の故障時の処理>
本実施形態では、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、制御部80が
図5、
図6のフローチャートに沿って処理を行う。
【0036】
図5、
図6のフローチャートについて説明すると、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、制御部80は、まず、吐出検査部20を停止させる(S101)。吐出検査部20を停止させるとは、例えば高電圧電源回路77、信号処理回路78への電力供給を停止させ、以降の吐出検査部20による検査を行わないことである。
【0037】
続いて、制御部80は、
図7(a)に示す故障報知画面100を表示させるための信号を操作パネル69に出力する(S102)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図7(a)に示すように、故障報知画面100がポップアップ表示される。なお、故障報知画面100および以下でポップアップ表示させるものとして説明する各画面については、全画面表示させてもよい。このように、本実施形態では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した直後に、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。すなわち、本実施形態では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したことに応じて、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。
【0038】
故障報知画面100は、メッセージ部101と、交換選択部102と、非交換選択部103とを有する。メッセージ部101には、吐出検査部20が故障したことおよび吐出検査部20を停止させていることをユーザに報知するとともに、吐出検査部20の交換を促すメッセージが表示されている。ユーザは、操作パネル69のメッセージ部101が表示されている部分に触れる操作を行うことによって、メッセージ部101を選択することができる。この後に説明する交換選択部102、非交換選択部103等、操作パネル69に表示される各部分の選択についても同様であるが、以下ではその説明を省略する。なお、本実施形態では、メッセージ部101に表示される吐出検査部20の交換を促すメッセージが、本発明の「第1オブジェクト」に相当し、メッセージ部101に表示される吐出検査部20を停止させていることを示すメッセージが、本発明の「第2オブジェクト」に相当する。
【0039】
交換選択部102は、吐出検査部20を交換することを選択するための部分である。非交換選択部103は、吐出検査部20を交換しないことを選択するための部分である。なお、本実施形態では、交換選択部102が、本発明の「第4オブジェクト」に相当する。
【0040】
図5に戻って、制御部80は、S102の信号の送信の後、ユーザにより故障報知画面100のメッセージ部101、交換選択部102および非交換選択部103のいずれかが選択されるまで待機する(S103:NO,S104:NO,S105:NO)。
【0041】
メッセージ部101が選択されたときに(S103:YES)、制御部80は、
図7(b)に示す機能低下報知画面110を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S106)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図7(b)に示すように、機能低下報知画面110がポップアップ表示される。このとき、操作パネル69に表示されていた故障報知画面100の表示は終了される。なお、以下の説明においても、操作パネル69に各画面を表示させるときには、それまで操作パネル69に表示されていた画面の表示が終了されるが、画面上に同時に表示させてもよく、重ねて表示させてもよい。以下の説明において画面の表示が終了されることについての説明は省略することがある。また、本実施形態では、機能低下報知画面110が本発明の「第3オブジェクト」に相当する。
【0042】
機能低下報知画面110は、メッセージ部111と、終了選択部112とを有する。メッセージ部111には、吐出検査部20が停止していることにより、どのような影響があるかを示すメッセージが表示されている。
図7(b)の例では、吐出検査部20が停止していることによる影響として、記録される画像の画質が低下する可能性があること、および、吸引パージ、フラッシングなどのクリーニングによるインクの消費量が多くなる可能性があることが表示されている。ただし、吐出検査部20が停止していることによる影響は、これに限られるものではない。終了選択部112は、機能低下報知画面110の表示を終了することを選択するための部分である。
【0043】
図5に戻って、制御部80は、S106の信号の送信の後、ユーザにより終了選択部112が選択されるまで待機し(S107:NO)、ユーザにより終了選択部112が選択されたときに(S107:YES)、処理がS102に戻る。
【0044】
一方、ユーザにより故障報知画面100の交換選択部102が選択されたときには(S104:YES)、処理が
図6のフローチャートのS201に進む。なお、
図6のフローチャートについては後程説明する。
【0045】
また、ユーザにより故障報知画面100の非交換選択部103が選択されたときには(S105:YES)、制御部80が表示終了信号を出力し(S108)、処理が終了する。制御部80から表示終了信号を受信した操作パネル69においては、表示されていた故障報知画面100の表示が終了される。
【0046】
次に、
図6のフローチャートについて説明する。故障報知画面100の交換選択部102が選択されると(S104:YES)、
図7(c)に示す所持確認画面120を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S201)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図7(c)に示すように、所持確認画面120がポップアップ表示される。
【0047】
所持確認画面120は、メッセージ部121と、所持選択部122と、非所持選択部123とを有する。メッセージ部121には、交換用の吐出検査部20を所持しているか否かを問い合わせるためのメッセージが表示される。所持選択部122は、交換用の吐出検査部20を所持していることを選択するための部分である。非所持選択部123は、交換用の吐出検査部20を所持していないことを選択するための部分である。なお、本実施形態では、所持選択画面120が、本発明の「第5オブジェクト」に相当する。
【0048】
図6に戻って、制御部80は、S201の信号の送信の後、ユーザにより所持選択部122および非所持選択部123のいずれかが選択されるまで待機する(S202:NO,S203:NO)。ユーザにより所持選択部122が選択されたときに(S202:YES)、制御部80は、
図8(a)に示す交換手順画面130を表示させるための信号を操作パネル69に出力する(S204)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図8(a)に示すように、交換手順画面130がポップアップ表示される。交換手順画面130には、吐出検査部20の交換手順が表示される。なお、
図8(a)では文字でのみ、吐出検査部20の交換手順が表示されているが、これには限られない。交換手順画面130に、文字とともに画像またはアニメーションなどによって吐出検査部20の交換手順が表示されてもよく、また文字はなく画像またはアニメーションのみが表示されてもよい。なお、本実施形態では、交換手順画面130が、本発明の「第7オブジェクト」および「第9オブジェクト」に相当する。
【0049】
図6に戻って、制御部80は、S204の信号の出力の後、吐出検査部20の交換が完了したか否かを判断する(S205)。
図8(a)の交換手順画面130に従って吐出検査部20が交換される場合、プリンタ1の電源がオフにされてから、吐出検査部20が交換され、その後プリンタ1の電源がオンにされる。そこで、例えば、S205では、制御部80は、S204の信号の出力の後、プリンタ1の電源がオフにされた後にオンになるまでは、吐出検査部20の交換が完了していないと判断する。そして、制御部80は、S204の信号の出力の後、プリンタ1の電源がオフにされた後にオンになったときに吐出検査部20の交換が完了したと判断する。
【0050】
制御部80は、S204の信号の出力の後、吐出検査部20の交換が完了するまで待機する(S205:NO)。そして、吐出検査部20の交換が完了したときに(S205:YES)、制御部80は、吐出検査部20が正常に交換されたか否かを確認するための交換確認処理を実行する(S206)。例えば、プリンタ1に吐出検査部20が正常な位置に取り付けられているか否かを検出するためのセンサが設けられ、S206では、このセンサから出力される信号に基づいて吐出検査部20が正常に交換されたか否かを判断する。あるいは、例えば、吐出検査部20が、自身が故障しているか否かを示す情報を記憶するICなどの記憶部を有しており、プリンタ1の制御部80は、吐出検査部20が故障したと判定した際に記憶部に故障したことを示す情報を記憶させてもよい。ICとはIntegrated Circuitの略語である。そして、制御部80は、吐出検査部20が故障したと判定した後、吐出検査部20の記憶部から読み出される上記情報が、吐出検査部20が故障していないことを示すものに切り換わったか否かに基づいて、吐出検査部20が正常に交換されたか否かを判断してもよい。
【0051】
吐出検査部20が正常に交換されたと判断した場合(S207:YES)、制御部80は、吐出検査部20の停止を解除し(S208)、
図8(b)に示す交換完了画面140を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S209)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図8(b)に示すように、交換完了画面140がポップアップ表示される。
【0052】
交換完了画面140は、メッセージ部141と、終了選択部142とを有する。メッセージ部141には、吐出検査部20の交換が正常に完了したこと、および、取り外した吐出検査部20の処理方法を示すメッセージが表示されている。終了選択部142は、交換完了画面140の表示を終了することを選択するための部分である。なお、本実施形態では、メッセージ部101に表示される、吐出検査部20の交換が正常に完了したことを示すメッセージが、本発明の「第10オブジェクト」に相当する。また、メッセージ部101に表示される、取り外した吐出検査部20の処理方法を示すメッセージが、本発明の「第11オブジェクト」に相当する。
【0053】
図6に戻って、制御部80は、S209の信号の送信の後、終了選択部142が選択されるまで待機する(S210:NO)。そして、終了選択部142が選択されたときに(S210:YES)、制御部80は、表示終了信号を出力し(S211)、処理が終了する。制御部80から表示終了信号を受信した操作パネル69においては、表示されていた交換完了画面140の表示が終了される。
【0054】
吐出検査部20が正常に交換されてないと判断した場合(S207:NO)、制御部80は、
図8(c)に示す交換異常画面150を表示させるための信号を操作パネル69に送信し(S212)、処理がS205に戻る。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図8(c)に示すように、交換異常画面150がポップアップ表示される。交換異常画面150には、吐出検査部20が正常に取り付けられなかったこと、および、吐出検査部20をセットしなおすことを促すメッセージが表示される。また、交換異常画面150には、交換手順画面130と同様の、吐出検査部20の交換手順が表示される。そして、制御部80のS212の信号の送信の後、処理がS205に戻る。なお、本実施形態では交換異常画面150が本発明の「第12オブジェクト」に相当する。
【0055】
図6に戻って、所持確認画面120の非所持選択部123が選択されたときに(S203:YES)、制御部80は、
図9(a)に示す購入選択画面160を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S213)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図9(a)に示すように、購入選択画面160がポップアップ表示される。なお、本実施形態では、購入選択画面160が、本発明の「第6オブジェクト」に相当する。
【0056】
購入選択画面160は、メッセージ部161と、購入選択部162と、非購入選択部163とを有する。メッセージ部161には、交換用の吐出検査部20を購入するかいなかを問い合わせるメッセージが表示される。購入選択部162は、交換用の吐出検査部20を購入することを選択するための部分である。非購入選択部163は、交換用の吐出検査部20を購入しないことを選択するための部分である。
【0057】
図6に戻って、制御部80は、S213の信号の出力の後、購入選択部162および非購入選択部163のいずれかが選択されるまで待機する(S214:NO,S215:NO)。購入選択部162が選択されたときに(S214:YES)、制御部80は、
図9(b)に示す購入方法画面170を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S216)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図9(b)に示すように、購入方法画面170がポップアップ表示される。
【0058】
購入方法画面170は、メッセージ部171と、終了選択部172とを有する。メッセージ部171には、交換用の吐出検査部20を購入可能なウェブサイトのURLと、このウェブサイトで交換用の吐出検査部20を購入することを促すメッセージとが表示される。なお、メッセージ部171には、上記ウェブサイトのURLの代わりに、このウェブサイトの接続するための二次元コードなどが表示されていてもよい。ウェブサイトのURLが表示される他の画面についても同様である。終了選択部172は、購入方法画面170の表示を終了することを選択するための部分である。
【0059】
図6に戻って、制御部80は、S216の信号の送信後、終了選択部172が選択されるまで待機する(S217:NO)。そして、終了選択部172が選択されたときに(S217:YES)、処理が
図5のS102に戻る。また、購入選択画面160の非購入選択部163が選択されたときにも(S215:YES)、処理が
図5のS102に戻る。
【0060】
<効果>
本実施形態では、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した後に、吐出検査部20の交換を促すメッセージが表示されたメッセージ部101を含む故障報知画面100を操作パネル69に表示させることによって、ユーザに吐出検査部20の交換を促す報知を行う。これにより、ユーザは、故障報知画面100のメッセージ部101に表示されたメッセージによる上記報知に基づいて、吐出検査部20を交換する必要があることを把握することができる。
【0061】
また、本実施形態では、故障した吐出検査部20が停止したことを示すメッセージが表示されたメッセージ部101有する故障報知画面100を表示させる。これにより、ユーザは、故障報知画面100のメッセージ部101に表示されたメッセージによる上記報知に基づいて、吐出検査部20が停止している状態となっていることを把握することができる。
【0062】
また、本実施形態では、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した直後に、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。すなわち、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したことに応じて、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザは、吐出検査部20が故障した後すぐに、吐出検査部20を交換する必要があることを把握することができる。
【0063】
また、本実施形態では、故障報知画面100を操作パネル69にポップアップ表示させる。これにより、ユーザに吐出検査部20を交換する必要があることを把握させやすくすることができる。
【0064】
また、本実施形態では、ユーザが、故障報知画面100の、吐出検査部20を交換する必要があることを示すメッセージが表示されたメッセージ部101を選択したときに、機能低下報知画面110を操作パネル69に表示させる。これにより、吐出検査部20が故障したことによりどのような影響があるかをユーザに把握させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、交換選択部102を有する故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。これより、ユーザに吐出検査部20を交換することを選択させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、交換選択部102が選択されたときに、交換用の吐出検査部20を所持しているか否かを選択するための所持選択部122および非所持選択部123を有する所持確認画面120を表示させる。これにより、ユーザが吐出検査部20を交換することを選択したときに、ユーザが交換用の吐出検査部20を所持していて直ちに吐出検査部20を交換することができるか否かを確認することができる。
【0067】
また、本実施形態では、非所持選択部123が選択されたときに、購入選択画面160を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザに交換用の吐出検査部20の購入を促すことができる。
【0068】
また、本実施形態では、交換選択部102が選択され、所持選択部122が選択されたときに、交換手順画面130を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザに吐出検査部20の交換手順を把握させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、吐出検査部20が、高電圧電源回路77により電極76に高電圧を印加するものであるため、プリンタ1の電源をオンにした状態で吐出検査部20の交換を行うと危険な場合がある。そこで、本実施形態では、プリンタ1の電源をオフにした状態で前記吐出検査部を交換することを促す交換手順画面130を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザがプリンタ1の電源をオンにした状態で吐出検査部20の交換を行わないように促すことができる。
【0070】
また、本実施形態では、吐出検査部20が正常に交換されたときに、吐出検査部20が正常に交換されたことを示すメッセージが表示されたメッセージ部141を有する交換完了画面140を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザに吐出検査部20が正常に交換されたことを把握させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、取り外した吐出検査部の処理方法を示すメッセージが表示されたメッセージ部141を有する交換完了画面140を表示させる。これにより、ユーザに、取り外された吐出検査部20の処理方法を把握させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、吐出検査部20が正常に交換されなかったときに、吐出検査部20が正常に取り付けられなかったこと、および、吐出検査部20をセットし直すことを促すメッセージが表示された交換異常画面150を表示させる。これにより、ユーザに、吐出検査部20が正常に交換されなかったことを報知するとともに、吐出検査部20をセットし直すことをユーザに促すことができる。
【0073】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0074】
上述の実施形態では、故障報知画面を操作パネル69にポップアップ表示させたが、これには限られない。
【0075】
変形例1では、制御部80は、記録用紙Sへの記録が行われていないときなどに、操作パネル69に
図10(a)に示すような待機画面180を表示させる。待機画面180は、複数の選択部181とメッセージ部182とを有する。複数の選択部181は、ユーザにプリンタ1に対する操作を行うために選択させる部分である。メッセージ部182は、プリンタ1に関連する各種メッセージが表示される部分である。
【0076】
そして、変形例1では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、操作パネル69を制御して、吐出検査部20が故障したこと、故障した吐出検査部20を停止させたこと、吐出検査部20の交換が必要なこと、および、吐出検査部20の交換するときの操作パネル69の操作を示す情報を、待機画面180のメッセージ部182に表示させる。そして、変形例1では、例えば、操作パネル69において、上述の吐出検査部20を交換するときの操作が行われたときに、
図6のフローチャートのS201~S215と同様の処理が行われる。ただし、この場合には、S215で非交換選択部103が選択された場合、および、S217で終了選択部172が選択されたときに、制御部80は、操作パネル69を制御して、
図10(a)の待機画面180が表示された状態に戻る。
【0077】
変形例1では、待機画面180のメッセージ部182に、故障した吐出検査部20の交換が必要であることなどを示すメッセージを表示させることにより、プリンタ1の待機状態において、ユーザに吐出検査部20を交換する必要があることを把握させることができる。
【0078】
変形例2では、制御部80は、記録用紙Sへの記録が行われていないときなどに、操作パネル69に
図10(b)に示すような待機画面190を表示させる。待機画面190は、変形例1複数の選択部181と同様の複数の選択部191と、変形例1のメッセージ部182と同様のメッセージ部192と、メッセージバー193とを有する。メッセージバー193は、メッセージ部192とは別に設けられた、ユーザに対する報知を行うためのメッセージが表示される部分である。
【0079】
そして、変形例2では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、操作パネル69を制御して、吐出検査部20の交換が必要であることを示すメッセージをメッセージバー193に表示させる。また、変形例2では、メッセージバー193を選択することができるようになっている。そして、例えば、吐出検査部20が故障したことを示す表示が表示されたメッセージバー193を選択すると、
図6のフローチャートのS201~S215と同様の処理が行われる。ただし、この場合には、S215で非交換選択部103が選択された場合、および、S217で終了選択部172が選択されたときに、制御部80は、操作パネル69を制御して、
図10(b)の待機画面190が表示された状態に戻る。
【0080】
変形例2では、メッセージバー193に、吐出検査部20の交換が必要であることなどを示すメッセージを表示させることにより、ユーザに吐出検査部20を交換する必要があることを把握させやすくすることができる。
【0081】
なお、変形例2では、メッセージバー193が待機画面190を構成するものであったが、メッセージバーは待機画面以外の画面を構成するものであってもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した直後に、故障報知画面100を操作パネル69に表示させた。すなわち、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したことに基づいて、故障報知画面100を操作パネル69に表示させた。しかしながら、これには限られない。
【0083】
変形例3では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、
図11、
図12のフローチャートに沿って処理を行う。
【0084】
より詳細に説明すると、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、制御部80は、上述の実施形態と同様、吐出検査部20を停止させる(S101)。続いて、制御部80は、記録用紙Sへの記録を指示する記録指示を受信するまで待機する(S301:NO)。記録指示を受信したときに(S301:YES)、上述の実施形態と同様のS102~S108の処理を実行する。
【0085】
ただし、変形例3では、制御部80は、S108の表示終了信号の出力の後、記録指示に基づいて記録用紙Sへの記録を行わせる記録処理を実行する(S302)。
【0086】
また、変形例3では、S211で表示終了信号を出力した後、検査処理を実行する(S401)。検査処理において、制御部80は、上述の実施形態で説明したのと同様にして、上記キャップ状態で、高電圧電源回路77により電極76に電圧を印加させたうえで、インクジェットヘッド4に複数のノズル10の各々について吐出駆動を行わせ、各ノズル10についての異常情報をフラッシュメモリ84に記憶させる。
【0087】
続いて、制御部80は、クリーニング処理を実行する(S402)。クリーニング処理において、制御部80は、異常情報に基づいて、吸引パージあるいはフラッシングを行わせる。なお、異常情報に基づいて、吸引パージあるいはフラッシングを行わせることは、例えば、吐出に異常のあるノズル10がないことを異常情報が示していて、吸引パージおよびクリーニングのいずれをも行わせないことも含む。続いて、制御部80は、記録指示に基づいて記録用紙Sへの記録を行わせる記録処理を実行し(S403)、処理が終了する。
【0088】
変形例3では吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した後、記録指示を受信したとき、つまり、記録用紙Sへの記録を行わせる前に、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザは、記録用紙Sへの記録を行わせる前に、吐出検査部20を交換する必要があることを把握することができる。また、ユーザがプリンタ1を使用するタイミングで表示されるため、吐出検査部20の故障に気づきやすい。
【0089】
ここで、本変形例では、吐出検査部20が正常に交換されたと判断した場合(S207:YES)、制御部80は、吐出検査部20の停止を解除し(S208)、
図8(b)に示す交換完了画面140を表示させるための信号を操作パネル69に送信(S209)したが、これには限られない。交換された吐出検査部20が検査処理(S401)において正常な検査ができたか否かを判断し、正常な検査ができた後に交換完了画面140を表示させるための信号を操作パネル69に送信してもよい。この場合には、交換された吐出検査部20が故障していた場合に交換完了画面140を表示させないようにすることができる。
【0090】
また、上述の実施形態では、交換手順画面130を操作パネル69に表示させることによって、吐出検査部20の交換手順を示したが、これには限られない。
【0091】
変形例4では、上述の実施形態において、所持選択部122が選択されたときに(S202:YES)、制御部80が、
図13(a)に示す交換手順画面200を表示させるための信号を操作パネル69に出力する。この信号を受信した操作パネル69には、
図13(a)に示す交換手順画面200が表示される。交換手順画面200には、吐出検査部20の交換手順が記載されたウェブサイトのURLの情報が表示されている。また、変形例4は、交換手順画面200が、本発明の「第8オブジェクト」に相当する。
【0092】
変形例4では、交換選択部102が選択され、所持選択部122が選択されたときに、吐出検査部20の交換手順が記載されたウェブサイトのURLの情報が表示された交換手順画面200を操作パネル69に表示させる。これにより、ユーザに吐出検査部20の交換手順が記載されたウェブサイトへの接続を促すことができる。また、吐出検査部20の交換を行うときには、プリンタ1の電源をオフにするため、操作パネル69に画面が表示されない状態となる。これに対して、変形例4の場合には、プリンタ以外の外部装置を用いて上記ウェブサイトに接続することにより、吐出検査部20の交換を行うためにプリンタ1の電源をオフにしている間も、吐出検査部20の交換手順を確認することができる。
【0093】
変形例5では、上述の実施形態において、所持選択部122が選択されたときに(S202:YES)、制御部80が、
図13(b)に示す交換手順画面205を表示させるための信号を操作パネル69に出力する。この信号を受信した操作パネル69には、
図13(b)に示す交換手順画面205が表示される。交換手順画面205には、プリンタ1の取扱説明書を参照して吐出検査部20の交換手順を把握することを促すメッセージが表示されている。変形例5の場合には、ユーザがプリンタ取扱説明書を参照して、吐出検査部20の交換手順を把握することができる。
【0094】
また、上述の実施形態では、非所持選択部123が選択されたときに(S203:YES)、交換用の吐出検査部20の購入を促す購入選択画面160を表示させたが、これには限られない。例えば、非所持選択部123が選択されたときに、処理がS102に戻るようにしてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、交換選択部102が選択されたときに(S104:YES)、所持選択画面120を表示させたが、これには限られない。例えば、交換選択部102が選択されたときに、ユーザが交換用の吐出検査部20を所持しているか否かを確認することなく、処理がS204に進むようにしてもよい。
【0096】
あるいは、例えば、故障報知画面100を、交換選択部102および非交換選択部103の代わりに、所持選択部122および非所持選択部123を有し、メッセージ部101に換用の吐出検査部20を所持しているか否かを問い合わせるメッセージが表示されたものとしてもよい。そして、所持選択部122が選択されたときに、交換選択部102および非交換選択部103を有する別の画面を操作パネル69に表示させてもよい。そして、この別の画面に表示された交換選択部102が選択されたときに、制御部80が
図6のS204~S212の処理を実行してもよい。一方、故障報知画面において非所持選択部123が選択されたとき、および、上記別の画面で非交換選択部103が選択されたときに、制御部80が、
図6のS213~S217の処理を実行してもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、故障報知画面100が、吐出検査部20を交換することを選択するための交換選択部102を有していたが、これには限られない。例えば、故障報知画面100が、交換選択部102および非交換選択部103の代わりに故障報知画面100の表示を終了させるための終了選択部を有するものであり、終了選択部が選択されたときに、交換選択部および非交換選択部を有する別の画面が表示されてもよい。あるいは、例えば、故障報知画面100が、交換選択部102および非交換選択部103を有しておらず、メッセージ部101に吐出検査部20を交換する手順を示すメッセージが表示されたものであってもよい。
【0098】
また、上述の実施形態では、故障報知画面100において、メッセージ部101が選択可能となっており、メッセージ部101が選択されたときに、機能低下報知画面110が操作パネル69に表示されるようになっていたが、これには限られない。
【0099】
例えば、メッセージ部101が選択可能となっておらず、故障報知画面100が、機能低下報知画面110を表示することを選択するためのメッセージ部101とは別の選択部を有し、この選択部が選択されたときに機能低下報知画面110を表示させてもよい。あるいは、例えば、メッセージ部101が選択可能となっておらず、故障報知画面100のメッセージ部101に、機能低下報知画面110のメッセージ部111に表示されているのと同様のメッセージが表示されていてもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、故障報知画面100のメッセージ部101に、故障した吐出検査部20の交換を促すメッセージと、故障した吐出検査部20を停止させたことを示すメッセージとを表示させたが、これには限られない。例えば、故障報知画面100を、メッセージ部101に、故障した吐出検査部20の交換を促すメッセージが表示され、且つ、故障した吐出検査部20を停止させたことを示すメッセージが表示されていないものとしてもよい。そして、故障報知画面100が表示されている状態で操作パネル69において所定の操作が行われたときに、故障した吐出検査部20を停止させたことを示すメッセージが操作パネル69に表示されるようにしてもよい。
【0101】
あるいは、例えば、故障報知画面100を、メッセージ部101に、故障した吐出検査部20の交換を促すメッセージが表示されておらず、且つ、故障した吐出検査部20を停止させたことを示すメッセージが表示されたものとしてもよい。そして、故障報知画面100が表示されている状態で操作パネル69において所定の操作が行われたときに、故障した吐出検査部20の交換を促すメッセージが操作パネル69に表示されるようにしてもよい。
【0102】
さらには、操作パネル69に故障した吐出検査部20を停止させたことを示すオブジェクトを表示させなくてもよい。また、この場合、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、故障した吐出検査部20を停止させてもよいし停止させなくてもよい。
【0103】
また、上述の実施形態は、プリンタ1において記録が行われていないときに、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得する場合の例であるが、これには限られない。
【0104】
変形例6では、例えば、プリンタ1が、吐出検査部20が故障しているか否かを検出するための回路などを備えていて、制御部80が、この回路から出力される信号に基づいて故障情報を取得する。これにより、変形例6では、記録中も含め、リアルタイムで故障情報を取得することができる。そして、変形例6では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、
図14、
図6のフローチャートに沿って処理を行う。
【0105】
図14のフローチャートについて詳細に説明すると、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、制御部80は、上述の実施形態と同様、吐出検査部20を停止させる(S101)。続いて、制御部80は、記録用紙Sへの記録の最中であるか否かを判断する(S501)。記録用紙Sへの記録の最中でない場合には(S501:NO)、上述の実施形態と同様、S102~S108,S201~S217の処理を実行する。記録用紙Sへの記録の最中である場合には(S501:YES)、制御部80は、記録用紙Sへの記録を停止させてから(S502)、上述の実施形態と同様、S102~S108,S201~S217の処理を実行する。
【0106】
変形例5では、記録用紙Sへの記録の最中に吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した場合に、記録用紙Sへの記録を停止させて、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。これにより、例えば、実際にはノズル10に異常があるのに吐出検査部20が故障しているためにフラッシュメモリ84に記憶されている異常情報がノズル10に異常がないことを示している場合に、必要なクリーニングが行われずに記録用紙Sへの記録が行われてしまわないようにすることができる。そして、そのうえで、ユーザに吐出検査部20を交換する必要があることを把握させることができる。
【0107】
変形例7では、変形例6と同様、記録中も含め、リアルタイムで故障情報を取得することができる。そして、変形例7では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、
図15、
図6のフローチャートに沿って処理を行う。
【0108】
図15のフローチャートについて詳細に説明すると、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、制御部80は、上述の実施形態と同様、吐出検査部20を停止させる(S101)。続いて、制御部80は、記録用紙Sへの記録の最中であるか否かを判断する(S601)。記録用紙Sへの記録の最中でない場合には(S502:NO)、上述の実施形態と同様、S102~S108,S201~S217の処理を実行する。記録用紙Sへの記録の最中である場合には(S601:YES)、制御部80は、記録用紙Sへの記録が完了するまで待機し(S602:NO)、記録用紙Sへの記録が完了したときに(S602:YES)、上述の実施形態と同様、S102~S108,S201~S217の処理を実行する。
【0109】
変形例7では、記録用紙Sへの記録の最中に吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した場合に、記録用紙Sへの記録が完了した後に、故障報知画面100を操作パネル69に表示させる。これにより、ノズル10に異常がない場合には、問題なく記録用紙Sへの記録を行うことができ、その後に、ユーザに吐出検査部20を交換する必要があることを把握させることができる。
【0110】
また、上述の実施形態では、吐出検査部20が正常に交換されたことを示すメッセージが表示された交換完了画面140に、取り外した吐出検査部20の処理方法を示すメッセージが表示されていたが、これには限られない。
【0111】
例えば、交換完了画面140に、取り外した吐出検査部20の処理方法を示すメッセージが表示されておらず、終了選択部142が選択されたときに、取り外した吐出検査部20の処理方法を示すメッセージが表示された別の画面を操作パネル69に表示させてもよい。あるいは、吐出検査部20が正常に交換されたときに、吐出検査部20が正常に交換されたことを示す交換完了画面140を表示させずに、取り外した吐出検査部20の処理方法を示すメッセージが表示された別の画面を操作パネル69に表示させてもよい。あるいは、取り外した吐出検査部20の処理方法を示す画面を表示させなくてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態では、吐出検査部20が正常に交換されたときに交換完了画面140を操作パネル69に表示させ、吐出検査部20が正常に交換されなかったときに交換異常画面150を操作パネル69に表示させたが、これには限られない。
【0113】
例えば、吐出検査部20が正常に交換されたときに交換完了画面140を操作パネル69に表示させ、吐出検査部20が正常に交換されなかったときには、操作パネル69に画面を表示させなくてもよい。
【0114】
あるいは、吐出検査部20が正常に交換されたときには待機画面を操作パネル69に表示させ、吐出検査部20が正常に交換されなかったときに交換異常画面150を操作パネル69に表示させてもよい。
【0115】
あるいは、吐出検査部20が正常に交換されたか否かに関連する画面を操作パネル69に表示させず、吐出検査部20が交換された後にユーザにより操作パネル69において所定の操作が行われたときに待機画面を操作パネル69に表示させてもよい。
【0116】
また、上述の実施形態では、交換手順画面130で示す吐出検査部20の交換手順にプリンタ1の電源をオフにすることが含まれていることにより、ユーザにプリンタ1の電源をオフにした状態で吐出検査部20の交換を行うことが促されていたが、これには限られない。ユーザにプリンタ1の電源をオフにした状態で吐出検査部20の交換を行うこと促すオブジェクトを操作パネル69に表示させなくてもよい。この場合、例えば、電源遮断モードなどの吐出検査部20の交換時に電圧を遮断できる機能があり、ユーザが感電しないように制御を行ってもよい。そして、この場合には、プリンタ1の電源は必ずしもオフにする必要はない。また、プリンタ1の電源をオフにせずに吐出検査部20の交換を行うことができる場合には、操作パネル69に画面を表示した状態で吐出検査部20を交換できるようにしてもよい。
【0117】
また、以上の例は、吐出検査部20を交換する場合に、ユーザが常に自身で吐出検査部20を交換することを想定したものであったが、これには限られない。
【0118】
変形例8では、制御部80は、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、
図16(a)、
図17(a)、
図18(a)のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得したときに、制御部80は、上述の実施形態と同様、S101,S102と同様の処理を実行する。
【0119】
ただし、変形例8では、操作パネル69は、S102で制御部80から出力された信号を受信したときに、
図16(b)に示す故障報知画面210を表示させる。故障報知画面210は、メッセージ部211と、第1~第4選択部212~215とを有する。メッセージ部211は、上述の実施形態のメッセージ部101と同様のものであり、選択することが可能である。なお、変形例8では、第1~第3選択部212~214を合わせたものが、本発明の「第4オブジェクト」に相当する。また、第1選択部212が、本発明の「第1部分」に相当し、第2選択部213が、本発明の「第2部分」に相当し、第3選択部214が、本発明の「第3部分」に相当する。
【0120】
第1選択部212は、上述の実施形態の交換選択部102と同様、ユーザが自身で吐出検査部20を交換することを選択するための部分である。
【0121】
第2選択部213は、サービスマンに吐出検査部20の交換を依頼することを選択するための部分である。サービスマンに吐出検査部20の交換を依頼するというのは、プリンタ1が設置されている自宅、オフィスなどにサービスマンが訪問して吐出検査部20の交換を行うことを依頼することである。
【0122】
第3選択部214は、プリンタ1の修理を依頼することを選択するための部分である。プリンタ1の修理を依頼するというのは、プリンタ1を修理センターなどに送付して吐出検査部20を交換する修理を行うことを依頼することである。
【0123】
第4選択部215は、上述の実施形態の非交換選択部103と同様の、吐出検査部20を交換しないことを選択するための部分である。
【0124】
また、
図16(a)に示すように、変形例8では、制御部80は、S102の信号の出力後、メッセージ部211、第1~第4選択部212~215のいずれかが選択されるまで待機する(S103:NO,S701:NO,S702:NO,S703:NO,S704:NO)。
【0125】
そして、メッセージ部211が選択されたときに(S103:YES)、制御部80は、上述の実施形態と同様、S106,S107の処理を実行する。第1選択部212が選択されたときに(S701:YES)、上述の実施形態で交換選択部102が選択されたときと同様、処理が
図6のS201に進む。
【0126】
第2選択部213が選択されたときに(S702:YES)、処理が
図17(a)のフローチャートのS801に進む。
図17(a)のフローチャートについては後程詳細に説明する。第3選択部214が選択されたときに(S703:YES)、処理が
図18(a)のフローチャートのS901に進む。
図18(a)のフローチャートについては後程詳細に説明する。
【0127】
第4選択部215が選択されたときに(S704:YES)、上述の実施形態で非交換選択部103が選択されたときと同様、制御部80がS108の処理を実行し、処理が終了する。
【0128】
次に、
図17(a)のフローチャートについて説明する。第2選択部213が選択されると(S702:YES)、制御部80は、
図17(b)に示す交換依頼画面220を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S801)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図17(b)に示すように、交換依頼画面220がポップアップ表示される。
【0129】
交換依頼画面220は、メッセージ部221と、終了選択部222とを有する。メッセージ部221には、サービスマンによる吐出検査部20の交換の依頼を促すメッセージと、上記依頼を行うためのウェブサイトのURLとが表示される。終了選択部222は、交換依頼画面220の表示を終了することを選択するための部分である。
【0130】
制御部80は、S801の信号の出力の後、終了選択部222が選択されるまで待機し(S802:NO)、終了選択部222が選択されたときに(S802:YES)、交換依頼画面220の表示を終了すること指示する表示終了信号を操作パネル69に出力し(S803)、処理が終了する。
【0131】
次に、
図18(a)のフローチャートについて説明する。第3選択部214が選択されると(S703:YES)、制御部80は、
図18(b)に示す修理依頼画面230を表示させるための信号を操作パネル69に送信する(S901)。制御部80からこの信号を受信した操作パネル69には、
図18(b)に示すように、修理依頼画面230がポップアップ表示される。
【0132】
修理依頼画面230は、メッセージ部231と、終了選択部232とを有する。メッセージ部221には、プリンタ1の修理の依頼を促すメッセージと、上記依頼を行うためのウェブサイトのURLとが表示される。終了選択部232は、修理依頼画面230の表示を終了することを選択するための部分である。
【0133】
制御部80は、S901の信号の出力の後、終了選択部232が選択されるまで待機し(S902:NO)、終了選択部232が選択されたときに(S902:YES)、修理依頼画面230の表示を終了すること指示する表示終了信号を操作パネル69に出力し(S903)、処理が終了する。
【0134】
変形例8では、ユーザが吐出検査部20を交換することを選択する際に、自身で交換を行うか、サービスマンに交換を依頼するか、液体吐出装置の修理を依頼するかを選択することができる。
【0135】
また、以上の例では、プリンタ1が操作パネル69を備え、ユーザが操作パネル69の各選択部が表示される部分に触れる操作を行うことによって選択部を選択することができるようになっていたが、これには限られない。例えば、プリンタが、液晶ディスプレイなどの表示部と、ボタンなどの操作部とを別々に備え、ユーザが、操作部を操作することによって、表示部に操作された各選択部を選択するようになっていてもよい。
【0136】
また、以上の例では、プリンタの表示部に故障報知画面などの画面を表示させたが、これには限られない。変形例9では、
図19に示すように、プリンタ240が、上述の実施形態のプリンタ1と同様の構成に加えて、通信部241を備えている。通信部241は、プリンタ240を外部装置250と通信可能に接続するための部分である。
【0137】
外部装置250は、例えばPC、スマートフォンなどであり、通信部251と、表示部252と、操作部253とを備えている。通信部251は、プリンタ240との接続を行うための部分である。プリンタ240の通信部241と外部装置250の通信部251とが、有線または無線で接続されることによって、プリンタ240と外部装置250とが通信可能に接続される。
【0138】
表示部252は、液晶ディスプレイなどである。操作部253は、例えば、外部装置250がPCである場合にはキーボード、マウスなどであり、外部装置250がスマートフォンである場合には表示部252に設けられたタッチパネルなどである。また、外部装置250は、制御部254を備えている。制御部254は、通信部251および表示部252の動作を制御する。また、制御部254に操作部253の操作に応じた信号が入力される。
【0139】
変形例9でも、プリンタ240の制御部80は、吐出検査部20が故障していることを示す故障情報を取得したときに、
図5、
図6のフローチャートに沿って処理を行う。ただし、変形例9では、S102,S106,S108,S201,S204,S209,S211,S212,S213,S216の信号の出力を、外部装置250に向けて行う。また、変形例9では、S103~S105,S107,S202,S203,S210,S214,S215の判断を、操作部253の操作に応じて外部装置250から出力された信号に基づいて行う。
【0140】
変形例9では、吐出検査部20が故障したことを示す故障情報を取得した後に、吐出検査部20の交換を促すメッセージが表示されたメッセージ部101を含む故障報知画面100を外部装置250の表示部252に表示させることによって、ユーザに吐出検査部20の交換を促す報知を行う。これにより、ユーザは、故障報知画面100のメッセージ部101に表示されたメッセージによる上記報知に基づいて、吐出検査部20を交換する必要があることを把握することができる。
【0141】
また、以上の例では、表示部に、オブジェクト等を表示させることによって、ユーザに対して吐出検査部20が故障したことなどを報知した。すなわち、ユーザに対する報知を行う報知部が表示部であったが、これには限られない。例えば、プリンタまたは外部装置が、LEDランプなどの発光部を備え、発光部の発光によってユーザに対する報知を行ってもよい。あるいは、例えば、プリンタまたは外部装置が、スピーカを備え、スピーカから音を出すことによってユーザに対する報知を行ってもよい。
【0142】
また、以上の例では、プリンタ1が、パージとして、吸引パージを行ったが、これには限られない。例えば、インクカートリッジとインクジェットヘッド4との間の流路等にインクジェットヘッド4内のインクを加圧する加圧ポンプが設けられていてもよい。そして、複数のノズル10がキャップ71で覆われた状態で上記加圧ポンプを駆動させることによってインクジェットヘッド4内のインクを排出させる加圧パージを行ってもよい。また、吸引ポンプ72を駆動させることによる吸引パージと、上述の加圧ポンプを駆動させることによる加圧パージの両方行ってもよい。
【0143】
また、上述の実施形態では、インクジェットヘッド4に吐出駆動を行わせたときの、ノズル10からキャップ71内に配置された電極76における電圧の変化に応じて、信号処理回路78からノズル10の状態を示す状態信号を出力したが、これには限られない。
【0144】
例えば、電極76の代わりに、鉛直方向に延びており、キャリッジ2がメンテナンス位置に位置している状態でノズル10の下方の空間と対向する電極を設けてもよい。そして、信号処理回路78から、キャリッジ2をメンテナンス位置に位置させた状態で吐出駆動を行ったときの上記電極の電圧の変化に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0145】
あるいは、例えば、キャリッジ2がメンテナンス位置等の所定位置に位置している状態で、ノズル10から吐出されたインクを直接検出する光センサを設け、光センサに、検出結果に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0146】
あるいは、例えば、特許第4929699号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドのノズルが形成されたプレートに、ノズルからインクが吐出されたときの電圧の変化を検出する電圧検出回路を接続し、電圧検出回路に、キャリッジを検査位置に移動させた状態でノズルからインクを吐出させるための動作を行わせたときの電圧変化に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0147】
あるいは、例えば、特許第6231759号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドの基板を、温度検知素子を備えたものとしてもよい。そして、インクの吐出のために第1印加電圧を印加してヒータを駆動した後に、インクが吐出されないように第2印加電圧を印加してヒータを駆動し、第2印加電圧を印加してから、その後、所定時間が経過するまでの間の、温度検知素子で検知された温度の変化に基づいて、状態信号を出力させてもよい。
【0148】
また、上述の実施形態では、インクジェットヘッド4の全てのノズル10について、検査用駆動を行わせて、異常ノズルであるか否かを判定したが、これには限られない。例えば、各ノズル列9における1つおきのノズル10等、インクジェットヘッド4の一部のノズル10についてのみ、検査用駆動を行わせて異常ノズルであるか否かを判定してもよい。そして、それ以外のノズル10については、上記一部のノズル10についての判定結果に基づいて異常ノズルであるか否かを推定してもよい。
【0149】
また、以上の例では、状態信号が、インクの吐出量が不足しているか否かを示す信号であったが、これには限られない。状態信号は、インクの吐出状態が悪いか否かを示すものであってもよい。例えば、状態信号は、ノズル内の粘度が高い状態か否か、インクが曲がって吐出される状態か否か、インクの吐出量が所定量未満か否か、などの正常な記録が難しい状態であるか否かを示す信号であってもよい。
【0150】
また、以上では、キャリッジとともに走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアルヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、走査方向に記録用紙の全長にわたって延びたいわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。
【0151】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙Sに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録する画像記録装置、および、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0152】
1:プリンタ
4:インクジェットヘッド
10:ノズル
11:吐出検査部
69:操作パネル
80:制御部
100:故障報知画面
101:メッセージ部
102:交換選択部
110:機能低下報知画面
120:所持確認画面
122:所持選択部
130:交換手順画面
140:交換完了画面
150:交換異常画面
160:購入選択画面
180:待機画面
182:メッセージ部
190:待機画面
193:メッセージバー
200:交換手順画面
205:交換手順画面
240:プリンタ
250:外部装置
252:表示部