(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172938
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65D47/08 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091017
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】平野 信子
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】亀井 陽介
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】内容物がノズル周りに付着した場合でも、確実かつ容易に開閉することが可能な、ヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】キャップ本体、及び前記キャップ本体とヒンジを介して開閉自在に連結されたフタを備えるヒンジキャップであって、前記キャップ本体は、キャップ本体天板と、前記キャップ本体天板の外周端から下方に延在するキャップ本体スカート部と、前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出し、内容物注出口を有する内容物注出ノズルと、前記キャップ本体天板の外周端の近傍から上方に突出し、前記外周端の近傍を一周するキャップ本体堤防とを有し、前記フタが開閉するときの前記ヒンジの回転軸が、前記キャップ本体天板よりも高い位置にあり、前記フタを閉める際に、前記内容物注出ノズルと前記インナーリングとが最初に接触するときの前記キャップ本体天板と前記フタ天板とのなす角度が1°以上5°以下である、ヒンジキャップ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体、及び前記キャップ本体とヒンジを介して開閉自在に連結されたフタを備えるヒンジキャップであって、
前記キャップ本体は、
キャップ本体天板と、
前記キャップ本体天板の外周端から下方に延在するキャップ本体スカート部と、
前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出し、内容物注出口を有する内容物注出ノズルと、
前記キャップ本体天板の外周端の近傍から上方に突出し、前記外周端の近傍を一周するキャップ本体堤防と
を有し、
前記フタは、
フタ天板と、
前記フタ天板の中央部から下方に突出し、前記フタを閉めたときに前記内容物注出ノズルと接触して密閉を形成するインナーリングと、
前記フタ天板の外周端から下方に延在し、前記フタを閉めたときに前記キャップ本体天板に接するフタスカート部と、
前記フタスカート部の内側面から、前記フタスカート部の内側方向に突出し、前記フタを閉めたときに前記キャップ本体堤防と着脱自在に嵌合するフタスカート部嵌合突起と
を有し、
前記フタが開閉するときの前記ヒンジの回転軸が、前記キャップ本体天板よりも高い位置にあり、これにより、前記フタを閉める際に、前記内容物注出ノズルと前記インナーリングとが最初に接触するときの、前記キャップ本体天板と前記フタ天板とのなす角度が1°以上5°以下になっている、
ヒンジキャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体堤防が、前記キャップ本体天板のうちのヒンジ側の半分から突出している部分に、前記キャップ本体天板の外周端の近傍から前記キャップ本体天板の半径方向内側に屈曲している屈曲部を有する、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記ヒンジの前記回転軸の前記キャップ本体天板に対する高さHaxと、
前記内容物注出ノズルが前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出している内容物注出ノズル突出高さHnと
の比Hax/Hnが、0.50以上1.10以下である、
請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記ヒンジの前記回転軸の前記キャップ本体天板に対する高さHaxと、
前記内容物注出ノズルが前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出している内容物注出ノズル突出高さHnと
の比Hax/Hnが、0.50以上1.10以下である、
請求項2に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記キャップ本体が、前記キャップ本体天板の中央部から下方に突出し、容器本体の口部と係合して、前記容器本体の内部と前記内容物注出口と連通させるための、キャップ本体係合筒を更に有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒンジキャップ。
【請求項6】
前記キャップ本体係合筒と前記容器本体の前記口部との係合が螺合である、請求項5に記載のヒンジキャップ。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載のヒンジキャップと、容器本体とから構成される、容器。
【請求項8】
練歯磨き、食品、化粧品、又は医薬品を収納するために用いられる、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
請求項7に記載の容器と、内容物とから構成される、内容物入り容器。
【請求項10】
前記内容物が、練歯磨き、食品、化粧品、又は医薬品である、請求項9に記載の内容物入り容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、化粧品、医薬品等を収容するチューブ、ボトル等の容器を密封するためのキャップとして、ヒンジキャップが知られている。ヒンジキャップは、容器本体に装着されるキャンプ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に連結されたフタとを備えており、フタが閉状態にあるときには、容器の内容物を密封して保護することができ、フタが開状態にあるときには、キャップ本体のノズルから内容物を吐出して使用に供することができる。
【0003】
ヒンジキャップは、フタの開閉が容易なことから、練歯磨き、調味料等の、日常生活において使用頻度の高い液状内容物を収容するための容器のキャップとして用いられることが多い。
【0004】
ヒンジキャップ付き容器に、高粘度であって粒子を含む内容物、例えば、研磨剤入り練歯磨き、からし菜種子入りのマスタード等を収納すると、使用を繰り返すうちに、キャップ本体のノズル周りに内容物が付着し、ノズルとフタとの密閉が徐々に損なわれ、気密性の確保が難しくなることがある。
【0005】
この点、従来技術では、キャップ本体の天板の周囲に堤防を設ける構成が開示されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、キャップ本体及びキャップ本体にヒンジを介して開閉自在に連結されたフタ部を有するヒンジキャップにおいて、密着性を高めるためにキャップ本体側接触面とフタ部側接触面を設け、また、嵌合溝と嵌合突起を設けることによってキャップ本体とフタ部との嵌合状態を維持する構成が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、キャップ本体及びキャップ本体にヒンジを介して開閉自在に連結されたフタ部を有するヒンジキャップにおいて、キャップ本体の天板の外周端近傍に立設された内壁を有する構成が開示されている。なお、特許文献2における内壁は、その一部が外周端近傍から天板の内側方向に屈曲している屈曲部を有しており、この屈曲部には、シール部の密閉検査のための空気通路が設けられる。
【0008】
特許文献1のヒンジキャップにおけるキャップカバーの外周壁、及び特許文献2のヒンジキャップにおけるキャップ本体の内壁は、ノズルから漏洩した内容物を堰き止める堤防の機能を果たし得る。
【0009】
なお、特許文献3には、内容物が漏出しても、安全に嵌合係止できるヒンジキャップとして、フタを閉状態としたときに、ノズルの密封形成部の周囲に空間を設けた構造が提案されており、その具体的形態として、ヒンジの回転軸がキャップ本体の天板よりも少し高い位置に配置された態様が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011-073687号公報
【特許文献2】特開2020-055544号公報
【特許文献3】特開平9-086553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、食品、化粧品、医薬品等を収容する容器を密封するためのヒンジキャップにおいて、継続使用の間に内容物がノズル周りに付着した場合でも、内容物を使い切るまで確実かつ容易に開閉することが可能な、ヒンジキャップを提供することである。
【0012】
本発明が目的とするヒンジキャップは、フタを閉めたときに、使用者が快適なクリック感を感じるものであってよい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下のとおりである。
【0014】
《態様1》キャップ本体、及び前記キャップ本体とヒンジを介して開閉自在に連結されたフタを備えるヒンジキャップであって、
前記キャップ本体は、
キャップ本体天板と、
前記キャップ本体天板の外周端から下方に延在するキャップ本体スカート部と、
前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出し、内容物注出口を有する内容物注出ノズルと、
前記キャップ本体天板の外周端の近傍から上方に突出し、前記外周端の近傍を一周するキャップ本体堤防と
を有し、
前記フタは、
フタ天板と、
前記フタ天板の中央部から下方に突出し、前記フタを閉めたときに前記内容物注出ノズルと接触して密閉を形成するインナーリングと、
前記フタ天板の外周端から下方に延在し、前記フタを閉めたときに前記キャップ本体天板に接するフタスカート部と、
前記フタスカート部の内側面から、前記フタスカート部の半径方向内側に突出し、前記フタを閉めたときに前記キャップ本体堤防と着脱自在に嵌合するフタスカート部嵌合突起と
を有し、
前記フタが開閉するときの前記ヒンジの回転軸が、前記キャップ本体天板よりも高い位置にあり、これにより、前記フタを閉める際に、前記内容物注出ノズルと前記インナーリングとが最初に接触するときの、前記キャップ本体天板と前記フタ天板とのなす角度が1°以上5°以下になっている、
ヒンジキャップ。
《態様2》前記キャップ本体堤防が、前記キャップ本体天板のうちのヒンジ側の半分から突出している部分に、前記キャップ本体天板の外周端の近傍から前記キャップ本体天板の半径方向内側に屈曲している屈曲部を有する、態様1に記載のヒンジキャップ。
《態様3》前記ヒンジの前記回転軸の前記キャップ本体天板に対する高さHaxと、
前記内容物注出ノズルが前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出している内容物注出ノズル突出高さHnと
の比Hax/Hnが、0.50以上1.10以下である、
態様1に記載のヒンジキャップ。
《態様4》前記ヒンジの前記回転軸の前記キャップ本体天板に対する高さHaxと、
前記内容物注出ノズルが前記キャップ本体天板の中央部から上方に突出している内容物注出ノズル突出高さHnと
の比Hax/Hnが、0.50以上1.10以下である、
態様2に記載のヒンジキャップ。
《態様5》前記キャップ本体が、前記キャップ本体天板の中央部から下方に突出し、容器本体の口部と係合して、前記容器本体の内部と前記内容物注出口と連通させるための、キャップ本体係合筒を更に有する、態様1~4のいずれか一項に記載のヒンジキャップ。
《態様6》前記キャップ本体係合筒と前記容器本体の前記口部との係合が螺合である、態様5に記載のヒンジキャップ。
《態様7》態様1~4のいずれか一項に記載のヒンジキャップと、容器本体とから構成される、容器。
《態様8》練歯磨き、食品、化粧品、又は医薬品を収納するために用いられる、態様7に記載の容器。
《態様9》態様7に記載の容器と、内容物とから構成される、内容物入り容器。
《態様10》前記内容物が、練歯磨き、食品、化粧品、又は医薬品である、態様9に記載の内容物入り容器。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、食品、化粧品、医薬品等を収容する容器を密封するためのヒンジキャップにおいて、継続使用の間に内容物がノズル周りに付着した場合でも、内容物を使い切るまで確実かつ容易にフタを開閉することが可能な、ヒンジキャップが提供される。
【0016】
本発明のある実施態様のヒンジキャップは、フタを閉めたときに、ユーザーに快適なクリック感を与える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のヒンジキャップの一例において、フタが開状態にあるときの形態を説明するための図である。
図1(a)は斜視図であり、
図1(b)は上面図であり、
図1(c)は、
図1(b)のA-A線断面図である。
【
図2】
図2は、本発明のヒンジキャップの一例において、フタが閉状態にあるときの形態を説明するための図である。
図2(a)は斜視図であり、
図2(b)は上面図であり、
図2(c)は、
図2(b)のB-B線断面図である。
【
図3】
図3は、本発明のヒンジキャップの一例において、フタを閉める際に内容物注出ノズルとインナーリングとが最初に接触するときの、キャップ本体天板とフタ天板とのなす角度を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は、ヒンジキャップを開閉するときのインナーリング先端の軌道を示す断面図である。
図4(a)は、従来技術のヒンジキャップに関し、
図4(b)は、本発明のヒンジキャップの一例に関する。
【
図5】
図5は、本発明のヒンジキャップの一例を開閉するときのフタスカート部先端の軌道を示す断面図である。
図5(a)は、キャップ本体堤防が屈曲部を有さない場合に関し、
図5(b)は、キャップ本体堤防が屈曲部を有する場合に関する。
【
図6】
図6は、フタを閉めるときに、ユーザーがフタ(200)から受ける応力をシミュレートしたグラフである。
図6(a)は、キャップ本体堤防が屈曲部を有さない場合に関し、
図6(b)は、キャップ本体堤防が屈曲部を有する場合に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のヒンジキャップは、
キャップ本体、及び前記キャップ本体とヒンジを介して開閉自在に連結されたフタを備えるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、
キャップ本体天板と、
キャップ本体天板の外周端から下方に延在するキャップ本体スカート部と、
キャップ本体天板の中央部から上方に突出し、内容物注出口を有する内容物注出ノズルと、
キャップ本体天板の外周端の近傍から上方に突出し、前記外周端の近傍を一周するキャップ本体堤防と
を有し、
フタは、
フタ天板と、
フタ天板の中央部から下方に突出し、フタを閉めたときに内容物注出ノズルと接触して密閉を形成するインナーリングと、
フタ天板の外周端から下方に延在し、フタを閉めたときにキャップ本体天板に接するフタスカート部と、
前スカート部の内側面から、前フタスカート部の半径方向内側に突出し、フタを閉めたときにキャップ本体堤防と着脱自在に嵌合するフタスカート部嵌合突起と
を有し、
フタが開閉するときの記ヒンジの回転軸が、キャップ本体天板よりも高い位置にあり、これにより、フタを閉める際に、内容物注出ノズルとインナーリングとが最初に接触するときの、キャップ本体天板とフタ天板とのなす角度が1°以上5°以下になっている、
ヒンジキャップである。
【0019】
本発明のヒンジキャップは、キャップ本体天板から上方に突出し、外周端の近傍を一周するキャップ本体堤防を備えている。そのため、継続使用の間に内容物がノズルから漏洩した場合でも、漏洩物はキャップ本体堤防に堰き止められて、キャップの外部まで漏れ出すリスクが少ない。
【0020】
また、本発明のヒンジキャップは、フタを閉める際に、内容物注出ノズルとインナーリングとが最初に接触するときの、キャップ本体天板とフタ天板とのなす角度が1°以上5°以下である。このことにより、継続使用の間に内容物がノズルから漏洩した場合でも、フタを閉める際に、漏出した内容物をノズル内に押し戻すことができる。また、上記の角度が1°以上5°以下であることにより、確実かつ容易にフタを開閉することが可能となる。
【0021】
本発明のヒンジキャップは、ある実施態様において、
キャップ本体堤防が、キャップ本体天板のうちのヒンジ側の半分から突出している部分に、キャップ本体天板の外周端の近傍からキャップ本体天板の内側方向に屈曲している屈曲部を有している。このような構成により、フタを閉める際の、フタスカート部の下端と、キャップ本体堤防との干渉を確実に回避することができる。
【0022】
本明細書において、「上」及び「下」とは、本発明のヒンジキャップのフタを閉状態として、水平な面上にキャップ本体スカート部の端部が面に接するように載置したときの上下方向を基準とする。ヒンジキャップをこのように載置したときに、重力の働く方向が「下」方向であり、これと逆向きの方向が「上」方向である。フタについては、開状態にあるときと閉状態にあるときとで、上下が逆に成り得るが、本明細書における「上」及び「下」は、フタを閉状態としてヒンジキャップを載置したときの上下方向を基準とする。
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明のヒンジキャップの典型的な構成について説明する。しかしながら、本発明の範囲は、図面に具現化された実施態様のみに限られるものではなく、添付の特許請求の範囲によって画定される。
【0024】
《ヒンジキャップ》
図1及び
図2に、本発明のヒンジキャップの一例の構成を示す。
図1は、フタが開状態にあるときのヒンジキャップの形態であり、
図2は、フタが閉状態にあるときのヒンジキャップの形態である。
【0025】
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)は、キャップ本体(100)、フタ(200)、及びばね板(300)を有し、フタ(200)は、ばね板(300)を介してキャップ本体(100)に、開閉自在に連結されている。
【0026】
キャップ本体(100)、フタ(200)、及びばね板(300)は、それぞれ別の部品として製造された後に組み合させたものであってもよいし、一体物であってもよい。
【0027】
《キャップ本体》
キャップ本体(100)は、
キャップ本体天板(110)と、
キャップ本体天板(110)の外周端から下方に延在するキャップ本体スカート部(120)と、
キャップ本体天板(110)の中央部から上方に突出し、内容物注出口を有する内容物注出ノズル(130)と、
キャップ本体天板(110)の外周端の近傍から上方に突出し、外周端の近傍を一周するキャップ本体堤防(140)と
を有する。
【0028】
キャップ本体(100)は、キャップ本体天板(110)の中央部から下方に突出し、容器本体の口部と係合して、容器本体の内部と内容物注出口と連通させるための、キャップ本体係合筒(150)を更に有していてもよい。
【0029】
〈キャップ本体天板〉
キャップ本体天板(110)は、キャップ本体(100)の上面を規定する水平面であり、円形、楕円形、多角形等、これらの図形の組み合わせ、これらの図形の一部が切断された形状等であってよい。
【0030】
〈キャップ本体スカート部〉
キャップ本体スカート部(120)は、キャップ本体天板(110)の外周端から下方に延在する。キャップ本体スカート部(120)は、キャップ本体天板(110)の下側で、キャップ本体天板(110)を底面とする中空円柱形又はその類似の形状を形成する。
図1及び
図2に示した例では、キャップ本体スカート部(120)は、中空の円柱形の一部が切断された形状を有しているが、これに限られない。
【0031】
キャップ本体スカート部(120)は、典型的には、ヒンジキャップ(500)の装着が予定されている容器本体(図示せず)、及び後述のフタスカート部の直径とほぼ同じ直径を有し、ヒンジキャップ(500)を容器本体に装着したときに、一見するとヒンジキャップ(500)と容器本体と連続的な直線又は曲線を描き、両者が一体感を示すように構成されていてよい。
【0032】
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)では、キャップ本体スカート部(120)及び後述のフタスカート部の外周面の一部が切断されたような形状を有し、観察者に、キャップ本体スカート部(120)の切断面とフタスカート部の切断面とが連続した面を形成しているような印象を与える。このような形状も、本発明のヒンジキャップの好ましい実施態様の一例である。
【0033】
一般に、容器本体の口部の直径は、容器本体の直径よりも小さく形成されていることが多い。この場合に、ヒンジキャップ(500)と容器本体とが一体感を示すようにするために、キャップ本体スカート部(120)の下方向への延在長さを、後述のキャップ本体係合筒(150)の延在長さよりも長くして、容器本体の口部を隠蔽するように構成してよい。
【0034】
〈内容物注出ノズル〉
内容物注出ノズル(130)は、キャップ本体天板の中央部から上方に突出し、内容物注出口を有する。この内容物注出口は、容器本体(図示せず)の内部と流体的に連通しており、容器本体を例えばユーザーが手で押さえて加圧することにより、容器本体の内容物が内容物注出口から押し出されて使用に供される。
【0035】
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)において、内容物注出ノズル(130)は、キャップ本体天板(110)と同心の、中空の円柱状又は円錘台状の外形を有している。しかしながら、内容物注出ノズル(130)は、キャップ本体天板(110)と同心でなくてもよい。
【0036】
内容物注出ノズル(130)の、キャップ本体天板(110)からの突出高さ及び直径(内径)は、内容物の粘度、1回あたりの想定使用量等に応じて、適宜に設定されてよい。
【0037】
内容物注出ノズル(130)の、キャップ本体天板(110)からの突出高さは、例えば、1.0mm以上、2.0mm以上、3.0mm以上、又は4.0mm以上であってよく、例えば、20mm以下、15mm以下、12mm以下、又は10mm以下であってよい。内容物注出ノズル(130)の、内径は、例えば、5.0mm以上、7.0mm以上、又は8.0mm以上であってよく、例えば、20mm以下、18mm以下、又は15mm以下であってよい。
【0038】
図1(c)及び
図2(c)にみられるように、内容物注出ノズル(130)の内側表面は、上から下に行くにしたがって、直径が徐々に小さくなっている。これは、フタを閉めるときに、内容物注出ノズル(130)内側へのフタ(200)のインナーリング(230)の挿入を容易とし、密閉の形成を確実かつ容易とするとの観点に基づく。
【0039】
〈キャップ本体堤防〉
キャップ本体堤防(140)は、キャップ本体天板(110)の外周端の近傍から上方に突出し、外周端の近傍を一周する。キャップ本体堤防(140)は、本発明のヒンジキャップ(500)を含む容器を繰り返し使用中に、内容物注出ノズル(130)から内容物が漏洩した場合に、これを堰き止め、内容物がヒンジキャップ(500)を超えて漏れ出すことを抑制する機能を有する。
【0040】
キャップ本体堤防(140)は、キャップ本体天板(110)の外周端のできるだけ近くに配置される方が、漏洩した内容物が内容物注出ノズル(130)から飛散した場合の補足率が高くなり、漏洩した内容物の堰き止め可能量が大きくなる。一方で、フタ(200)が閉状態のとき、後述のフタスカート部がキャップ本体天板(110)の外周端付近に接することになるので、フタ天板(210)の外周端から所定の距離は、フタスカート部との接触のために空けておくことが好ましい。キャップ本体堤防(140)の配置位置は、これらの事項を考慮のうえ、当業者が適宜に設定してよい。
【0041】
キャップ本体堤防(140)の、キャップ本体天板(110)からの突出高さが高いほど、漏洩した内容物の堰き止め可能量が大きくなる。一方で、キャップ本体堤防(140)の、キャップ本体天板(110)からの突出高さが過度に高くなると、フタ(200)を閉めるときに、キャップ本体堤防(140)とフタスカート部(220)の軌道とが干渉して、密閉の形成され易さ、及び快適なクリック感を損なう場合がある。キャップ本体堤防(140)の突出高さは、これらの事項を考慮のうえ、当業者が適宜に設定してよい。
【0042】
キャップ本体堤防(140)の、キャップ本体天板(110)からの突出高さは、内容物注出ノズル(130)の突出高さに対する割合として、例えば、5%以上、10%以上、又は15%以上であってよく、例えば、40%以下、35%以下、30%以下、又は25%以下であってよい。
【0043】
キャップ本体堤防(140)は、キャップ本体天板(110)の外周端の近傍を一周する。この点、
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)では、キャップ本体堤防(140)は、ヒンジ付近で、後述のヒンジかさ上げ部(320)に切断されているように見える。このような場合でも、キャップ本体天板(110)からの突出部がキャップ本体天板(110)の外周端の近傍を一周している限り、全体としてキャップ本体堤防(140)を形成していると評価してよい。
【0044】
キャップ本体堤防(140)は、フタ(200)を閉めたときにフタスカート部嵌合突起(221)と係合する突出部を有していてよい。この突出部は、例えば、キャップ本体堤防(140)の最上部からキャップ本体天板(110)の半径方向外側に少し突出する形態であってよい。
【0045】
キャップ本体堤防(140)は、キャップ本体天板(110)のうちのばね板(300)側の半分から突出している部分に、キャップ本体天板(110)の外周端の近傍からキャップ本体天板(110)の半径方向内側に屈曲している屈曲部(140a)を有していてよい。キャップ本体堤防(140)が屈曲部(140a)を有していると、フタ(200)を閉めるときに、キャップ本体堤防(140)とフタスカート部(220)の軌道との干渉が回避される。
【0046】
屈曲部(140a)の形態及びサイズは、フタ(200)を閉めるときのフタスカート部(220)の軌道と、キャップ本体堤防(140)との干渉を回避でき、かつ、漏洩した内容物の堰き止める機能が害されない限り、任意である。
【0047】
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)のキャップ本体堤防(140)は、
図1(a)及び(b)に示したような形態の屈曲部(140a)を有している。すなわち、ヒンジキャップ(500)のキャップ本体堤防(140)は、フタスカート部(220)の軌道の通過予定点を含む2つの部分において、それぞれ、約35°の角度にわたって、半径が約20%減ずることにより、キャップ本体天板(110)の半径方向内側に屈曲している。
【0048】
屈曲部の長さ(半径が減じている角度範囲)は、例えば、5°以上、10°以上、15°以上、又は20°以上であってよく、例えば、50°以下、45°以下、40°以下、又は35°以下であってよい。
【0049】
屈曲部の屈曲の程度(キャップ本体堤防の半径に対する屈曲部の半径の減少割合)は、例えば、5%以上、10%以上、12%以上、又は15%以上であってよく、50%以下、40%以下、30%以下、又は25%以下であってよい。
【0050】
〈キャップ本体係合筒〉
キャップ本体(100)は、キャップ本体係合筒(150)を有していてよい。
【0051】
キャップ本体係合筒(150)は、キャップ本体天板(110)の中央部から下方に突出し、容器本体(図示せず)の口部と係合して、容器本体の内部と、内容物注出ノズル(130)の内容物注出口と連通させる機能を有する。
【0052】
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)において、キャップ本体係合筒(150)は、キャップ本体天板(110)と同心の、中空の円柱状の外形を有している。しかしながら、キャップ本体係合筒(150)は、キャップ本体天板(110)と同心でなくてもよい。
【0053】
また、
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)において、キャップ本体係合筒(150)は、内容物注出ノズル(130)の直下に配置されている。しかしながら、キャップ本体係合筒(150)は、内容物注出口と流体的に連通している限り、内容物注出ノズル(130)の直下以外の位置に配置されていてもよい。
【0054】
キャップ本体係合筒(150)は、容器本体の口部と係合することが予定されている。この係合の形態に制限はない。
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)では、キャップ本体係合筒(150)の内側面にキャップ本体ネジ部(151)が形成されており、容器本体の口部と螺合することが予定されているが、係合の形態は螺合に限られない。
【0055】
《フタ》
本発明のヒンジキャップにおけるフタは、キャップ本体とヒンジを介して開閉自在に連結されている。
【0056】
フタ(200)は、
フタ天板(210)と、
フタ天板(210)の中央部から下方に突出し、フタ(200)を閉めたときに内容物注出ノズル(130)と接触して密閉を形成するインナーリング(230)と、
フタ天板(210)の外周端から下方に延在し、フタ(200)を閉めたときにキャップ本体天板(110)に接するフタスカート部(220)と、
フタスカート部(220)の内側面から、フタスカート部(220)の内側方向に突出し、フタ(200)を閉めたときにキャップ本体堤防(140)と着脱自在に嵌合するフタスカート部嵌合突起(221)と
を有している。
【0057】
〈フタ天板〉
フタ天板(210)は、フタ(200)の上面を規定する水平面であり、円形、楕円形、多角形等、これらの図形の組み合わせ、これらの図形の一部が切断された形状等であってよい。フタ天板(210)は、典型的には、キャップ本体天板(110)と合同若しくは相似、又はこれらに類似する形状であるが、これらに限られない。
【0058】
〈インナーリング〉
インナーリング(230)は、フタ天板(210)の中央部から下方に突出し、フタ(200)を閉めたときに内容物注出ノズル(130)と接触して密閉を形成する機能を有する。このとき、例えば、フタ(200)を閉めたとき、インナーリング(230)の下端近傍の外側表面が、内容物注出ノズル(130)の上端近傍の内側表面と接触してよい。
【0059】
インナーリング(230)の配置位置及びサイズ(突出高さ、外径等)は、上記の機能を果たし得るように、内容物注出ノズル(130)の配置位置に応じて、適宜に定められる。
【0060】
また、
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)では、インナーリング(230)は中空の円柱状であるが、上記の機能を果たし得る可撓性を有している限り、中実の形状であってもよい。
【0061】
図2(c)に見られるように、フタ(200)を閉めたとき、インナーリング(230)の先端が、内容物注出ノズル(130)の上端近傍の内側に入り込むことにより、良好な密閉が形成される。インナーリング(230)の先端が内容物注出ノズル(130)の内側に入り込む長さは、内容物の粘度等に応じて当業者が適宜に設定してよいが、例えば、0.5mm以上5.0mm程度であってよい。
【0062】
〈フタスカート部〉
フタスカート部(220)は、フタ天板(210)の外周端から下方に延在する。フタスカート部(220)は、フタ天板(210)の下側で、フタ天板(210)を底面とする中空円柱形又はその類似の形状を形成する。
図1及び
図2に示した例では、フタスカート部(220)は、中空の円柱形の一部が切断された形状を有しているが、これに限られない。
【0063】
フタスカート部(220)は、フタ(200)を閉めたときにキャップ本体天板(110)に接するように構成されている。これにより、
図2(a)~(c)に示したように、フタ(200)を閉めたとき、キャップ本体(100)とフタ(200)とが一体感のある形態を呈することになる。
【0064】
フタスカート部(220)は、典型的には、ヒンジキャップ(500)の装着が予定されている容器本体(図示せず)、及び上述のキャップ本体スカート部とほぼ同じ直径を有し、ヒンジキャップ(500)を容器本体に装着したときに、一見するとヒンジキャップ(500)と容器本体と連続的な直線又は曲線を描き、両者が一体感を示すように構成されていてよい。
【0065】
〈フタスカート部嵌合突起〉
フタスカート部嵌合突起(221)は、フタスカート部(220)の内側面から、フタスカート部(220)の半径方向内側向に突出している。このフタスカート部嵌合突起(221)は、フタ(200)を閉めたときにキャップ本体堤防(典型的には、キャップ本体堤防の最上部からキャップ本体天板(110)の半径方向外側に突出する突出部))と着脱自在に嵌合して、フタ(200)が不用意に開くことを防止する機能を有する。
【0066】
図1及び
図2のヒンジキャップでは、フタスカート部(220)の下端の近傍からフタスカート部(220)の半径方向内側向に突出するフタスカート部嵌合突起(221)を4個有している。
図1(a)及び(c)では、そのうちの2個のフタスカート部嵌合突起(221)が見えている。
【0067】
フタスカート部嵌合突起(221)の配置位置及び個数は、フタ(200)を閉めたときにキャップ本体堤防と着脱自在に嵌合して、フタ(200)が不用意に開くことを防止する機能を発揮しうる限り、任意である。
【0068】
《ヒンジ》
本発明のヒンジキャップにおけるヒンジは、キャップ本体に、フタを開閉自在に連結する機能を有する。
【0069】
本発明のヒンジキャップにおけるヒンジは、例えば、バタフライヒンジ、点ヒンジ、3点ヒンジ、帯状ヒンジ等の公知の形状のうちから任意に選択されてよい。
図1及び2に示したヒンジキャップ(500)は、3点ヒンジを有しているが、これに限られない。
【0070】
フタ(200)が開閉するときのヒンジ(310)の回転軸は、
図1及び2に示したように、キャップ本体天板(110)よりも高い位置にある。
【0071】
ヒンジ(310)の回転軸とは、フタ(200)が開閉するときの開閉軌道の属する面に垂直な方向からヒンジキャップを観察したときに、フタ(200)を開閉するときにフタ(200)のうちの任意の一点が円軌道の中心点をいう。
【0072】
ヒンジ(310)の回転軸がキャップ本体天板(110)よりも高い位置にあることにより、フタ(200)を閉める際に、内容物注出ノズル(130)とインナーリング(230)とが最初に接触するときの、キャップ本体天板(110)とフタ天板(210)とのなす角度(θ)は、1°以上5°以下に設定される。この角度(θ)を参照するときの便宜のために、内容物注出ノズル(130)とインナーリング(230)とが最初に接触するときの、ヒンジキャップ(500)の断面図を、
図3に示した。
【0073】
角度(θ)が5°以下であれば、フタ(200)を閉める際に、内容物注出ノズル(130)とインナーリング(230)とが最初に接触するときの両者のなす角度が小さくなって、両者が平行に近い角度で接触することになり、スムースな閉栓、及び密閉形成の容易化が実現される。また、角度(θ)が1°以上であれば、フタ(200)を完全に閉めこんだときに、内容物注出ノズル(130)とインナーリング(230)とがなす角度が小さくなって、密閉形成時に両者のなす角度が平行に近くなり、確実な密閉の形成及び維持が可能となる。
【0074】
角度(θ)は、1.5°以上又は2°以上であってもよく、4°以下又は3°以下であってもよい。
【0075】
この角度(θ)を1°以上5°以下にするために、
ヒンジ(310)の回転軸のキャップ本体天板(110)に対する高さHaxと、
内容物注出ノズル(130)がキャップ本体天板(110)の中央部から上方に突出している内容物注出ノズル突出高さHnと
は、ほぼ同じ高さであってよい。
【0076】
定量的には、ヒンジ(310)の回転軸のキャップ本体天板(110)に対する高さHaxと、内容物注出ノズル(130)がキャップ本体天板(110)の中央部から上方に突出している内容物注出ノズル突出高さHnとの比Hax/Hnは、例えば、0.50以上、0.60以上、0.70以上、又は0.80以上であってよく、例えば、1.10以下、1.05以下、又は1.00以下であってよい。
【0077】
角度(θ)が1°以上5°以下であることの利点については後述する。
【0078】
ヒンジ(310)の回転軸を、キャップ本体天板(110)よりも高い位置に配置するために、本発明のヒンジキャップにおけるばね板(300)は、キャップ本体天板(110)に配置されたヒンジかさ上げ部(320)上に配置されていてよい。
【0079】
ヒンジかさ上げ部(320)の形状、サイズ、及び配置は、ヒンジ(310)の回転軸を、キャップ本体天板(110)よりも所定の距離だけ高い位置に配置することができる限り、任意である。
図1及び
図2のヒンジキャップ(500)では、略直方体のヒンジかさ上げ部(320)を有しているが、この形状に限られない。
【0080】
《本発明のヒンジキャップの利点》
本発明のヒンジキャップは、ヒンジ(310)の回転軸がキャップ本体天板(110)よりも高い位置にある。このことの利点について、図面を参照して説明する。
【0081】
図4に、ヒンジキャップを開閉するときのインナーリング先端の軌道を示す断面図を示す。
【0082】
図4(a)は、従来技術のヒンジキャップのフタ(700)を開閉するときの、インナーリング(730)の先端の軌道である。
図4(a)には、フタスカート部(720)のうちのヒンジ回転軸(810)から最も遠い地点の軌道も合わせて示す。
【0083】
従来技術のヒンジキャップでは、ヒンジ回転軸(810)は、キャップ本体天板(610)とほぼ同じ高さにある。この場合、インナーリング(730)のうちヒンジ回転軸(810)から最も遠い地点は、内容物注出ノズル(630)の最上部からやや外側の位置(a1)に最初に接触し、インナーリング(730)のうちヒンジ回転軸(810)に最も近い地点は、内容物注出ノズル(630)の内側に少し下がった地点(a2)に最初に接触する。このような接触態様では、フタを閉める際、ユーザーは、内容物注出ノズルとインナーリングとが最初に接触するときに、引っかかるような感触を覚え、スムースかつ容易な密閉の形成が妨げられる。
【0084】
これに対して、
図4(b)は、本発明のヒンジキャップの一例のフタ(200)を開閉するときの、インナーリング(230)の先端の軌道である。
図4(b)には、フタスカート部(220)のうちのヒンジ(310)の回転軸から最も遠い地点の軌道も合わせて示す。
【0085】
本発明のヒンジキャップでは、ヒンジ(310)の回転軸は、キャップ本体天板(110)よりも高い位置にある。この場合、インナーリング(230)のうちヒンジ(310)の回転軸から最も遠い地点、及びヒンジ(310)の回転軸に最も近い地点双方とも、インナーリング(230)の内側の最上部近傍の地点(b1、b2)である。このような接触態様であると、フタを閉める際に、スムースかつ容易な密閉の形成が可能となる。
【0086】
図5に、本発明のヒンジキャップにおいてフタを開閉するときのフタスカート部先端の軌道を示す断面図を示す。
【0087】
図5(a)は、本発明のヒンジキャップのキャップ本体堤防が屈曲部を有さない場合の一例に関する。この場合、フタスカート部(220)の先端うちの、ヒンジ(310)の回転軸に近い地点は、キャップ本体堤防(140)と干渉することがある。そのため、キャップ本体堤防が屈曲部を有さない場合には、密閉を形成する際のスムース性、容易性、及びクリック感が、僅かに損なわれることがある。
【0088】
これに対して、
図5(b)は、本発明のヒンジキャップのキャップ本体堤防が屈曲部を有する場合の一例に関する。この場合、キャップ本体堤防(140)は、屈曲部(140a)を有することによって、フタスカート部(220)先端の通過予定地点を回避している。そのためフタスカート部(220)の先端うちの、ヒンジ回転軸(310)に近い地点は、キャップ本体堤防(140)が存在しない地点を通過するので、キャップ本体堤防(140)と干渉することはく、密閉を形成する際のスムース性、容易性、及びクリック感が担保される。
【0089】
図6に、
図5(a)及び
図5(b)のヒンジキャップそれぞれについて、フタ(200)を閉めるときに、ユーザーがフタ(200)から受ける応力をシミュレートしたグラフである。これらのグラフは、テンシロン試験機を用いて、ヒンジキャップのフタを一定の速度(300mm/分)で押し込むときの応力の経時変化を示している。
【0090】
キャップ本体堤防が屈曲部を有さないヒンジキャップについての
図5(a)のグラフでは、キャップ本体のキャップ本体堤防と、フタのフタスカート部嵌合突起とが嵌合するときの応力ピーク高さは、約1Nである。
【0091】
キャップ本体堤防が屈曲部を有するヒンジキャップについての
図5(b)のグラフでは、このピーク高さは約4Nであり、キャップ本体堤防が屈曲部を有するときには、ユーザーに明確で快適なクリック感を与えることが理解される。
【0092】
《容器》
本発明の別の観点によると、上記に説明したヒンジキャップと、容器本体とから構成される、容器が提供される。この容器は、例えば、練歯磨き、食品、化粧品、医薬品等を収納するために用いられてよい。
【0093】
《内容物入り容器》
本発明の別の観点によると、上記の容器と、内容物とから構成される、内容物入り容器が提供される。この内容物は、例えば、練歯磨き、食品、化粧品、医薬品等であってよい。
【符号の説明】
【0094】
100 キャップ本体
110 キャップ本体天板
120 キャップ本体スカート部
130 内容物注出ノズル
140 キャップ本体堤防
140a 屈曲部
150 キャップ本体係合筒
151 キャップ本体ネジ部
200 フタ
210 フタ天板
220 フタスカート部
221 フタスカート部嵌合突起
230 インナーリング
300 ばね板
310 ヒンジ
320 ヒンジかさ上げ部
500 ヒンジキャップ
600 従来技術のキャップにおけるキャップ本体
610 従来技術のキャップ本体天板
630 従来技術のキャップにおける内容物注出ノズル
700 従来技術のキャップにおけるフタ
720 従来技術のキャップにおけるフタスカート部
730 従来技術のキャップにおけるインナーリング
810 従来技術のキャップにおけるヒンジ回転軸
a1、a2 従来技術のキャップにおいて、フタを閉めるときに内容物注出ノズルとインナーリングとが最初に接触する地点
b1、b2 フタを閉めるときに内容物注出ノズルとインナーリングとが最初に接触する地点